SAKAMOTO HITOSHI (JP)
JP2002062067A | 2002-02-28 | |||
JP2001339026A | 2001-12-07 | |||
JPS5144358A | 1976-04-15 | |||
JP2002022379A | 2002-01-23 | |||
JP2006177613A | 2006-07-06 | |||
JP2001091172A | 2001-04-06 | |||
JP2002141449A | 2002-05-17 | |||
JP2003155503A | 2003-05-30 |
吸熱部と放熱部が一体形成され、内蔵された冷媒が気化/凝縮を繰り返して熱を伝える沸騰冷却装置であって、 前記吸熱部には、発熱体が設置された吸熱面から垂直方向に多孔質体が設置されていることを特徴とする沸騰冷却装置。 |
前記吸熱面に沿って多孔質体が設置されていることを特徴とする請求項1に記載の沸騰冷却装置。 |
前記多孔質体は、前記多孔質体の気孔径以上の大きさの穴が開いていることを特徴とする請求項1に記載の沸騰冷却装置。 |
前記多孔質体は、発泡体構造であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の沸騰冷却装置。 |
前記多孔質体の材料として胴またはアルミニウムを用いることを特徴とする請求項4に記載の沸騰冷却装置。 |
本発明は、沸騰現象を利用して冷媒を循 させる沸騰冷却装置に関する。
半導体や電子機器で発生する大量の熱を えるために、半導体外部に高い熱伝導率を つ材料を接着し、吸熱器としてその内部に 媒を流すことにより、高い冷却性能を得よ とする方法が開発されている。
吸熱器で冷媒を沸騰させることで、より い冷却効果を得ようとする方法も開発され いる。
冷媒が奪った熱を外部に放出するために 、冷媒を吸熱部と放熱部のあいだで循環さ る必要があるが、一般的にはポンプが用い れている。
沸騰冷却器の場合、発生する蒸気と液体 密度差により、蒸気が重力方向に対して上 に集まる原理を利用して、冷却器下部に吸 部、上部に放熱部を設置することで、ポン を必要としない、サーマルサイフォン式冷 構造も提案されている。
例えば特許文献1や特許文献2に示される 造がこれにあたる。
特許文献1では、車両に搭載された電子機 器の冷却のためのサイフォン式沸騰冷却器と して提案されているが、ポンプが要らないほ かに、吸熱部と放熱部を比較的一体で形成す ることが出来ることを特徴としている。
ただ、提案されている構造では小型化す だけで、デスクトップ型の電子機器に搭載 ることができない。
機器の設置方向によって冷却器が機能し い方向があるため、重力方向に依存した冷 器である。
また、ポンプを使用する方式では、冷媒 吸熱部内部を速度を持って通過することに り得られる、強制対流効果を相乗効果とし 期待できるが、特許文献1ではこの効果をポ ンプを使用せずに得るための構造は提案され ていない。
特許文献2では、吸熱部と放熱部を離れた 位置に設置しながらも、重力方向上部に放熱 部、下部に吸熱部を配することで、サイフォ ン式、ポンプレスの沸騰冷却器を提案されて いる。
両部は管でつながれ、吸熱部から放熱部 向かう蒸気管を太くし、放熱部の上部に接 し、放熱部から吸熱部に帰る液用の管を細 し、放熱部下部に接続していることを特徴 している。
ただ、特許文献1と同様に、重力方向が変 わると機能しなくなる。
特許文献3でも、放熱部を上部に受熱部を 下部に配した構造を提案しているため、動作 時は重力方向にあわせて設置する必要があり 、重力方向依存性を極力解消する必要がある 電子機器には応用が出来ない。
さらに配管用のパイプが上下に屈曲され 配されていることにより、万が一蒸気が混 した場合の排除方法については検討がされ いない。
特許文献4では、ノート型PCのスクリーン での放熱部にサイフォン方式で冷媒の対流 促す構造を提案している。
吸熱から放熱部までは、ヒートパイプを いることで、ノート型PCのヒンジ部を熱的 接続しつつ可動性を保っている。
性能としては、吸熱部からヒートパイプ ヒートパイプから放熱部へとの熱抵抗がか む恐れがあり、放熱部の気液相の温度は冷 部品の温度と大きな温度差を生じる可能性 あり、その結果沸騰の効果を理想的なまで は実現できていない。
さらに、放熱部での気液の対流はあくま も、密度差に依存したもので、強制対流の 果を得ようとする構造として検討されてい い。
ヒートパイプの接続部は放熱部に向かっ 左下部に設けられているため、PC右側が重 方向に対して上方に向いた角度で使用した 合でも、期待する性能を維持することが出 ると考えられるが、熱源が上に来てしまうPC 左向きの場合はその反対で同様の性能は出な いと考えられる。
特許文献5では、放熱用ラジエータを吸熱 部の上方に構築することで、吸熱部で発生す る蒸気を冷却し、凝縮し、吸熱部に戻す全体 構造が提案されている。
両部をパイプなどでつなげる構造と比較 て効果的であることをうたっているものの 吸熱部に戻る液体を利用して、強制対流効 を狙うことは検討されていない。
吸熱部においては「ピラミッド型フィン を形成することにより沸騰促進効果を狙っ いるが、その構造からも強制対流を利用し いプール沸騰式に沸騰を促進することによ 伝熱性能を最適化することを検討している
あくまでも吸熱部を重力下部に配して使 する、重力方向依存型の沸騰冷却器である
特許文献6では、吸熱部と放熱部をパイプ で接続し、冷媒の循環を促すためにヒーター で冷媒を気化させその蒸気圧を利用すること により、冷媒を押し流す熱パルスを利用した 方法を提案されている。
冷媒をより強制的に循環させる構造を提 することにより、それを重力方向に依存す これまでの冷却器に比較すると、一見優位 があるように見える。
熱力学第二法則の観点からすると、熱を 用して動力を得ようとするこの方法は、電 がすでに供給されていることを考えると、 常に非効率的であるといわざるをえない。
さらに、熱パルス発生のための電気回路 、圧力を維持するためのチェックバルブな をひつようとすることから、従来型のポン を使用する方法に比較して高価なシステム ることが容易に想像でき、産業上の優位性 あるとは考えにくい。
特許文献7では、ウィックを利用すること で、重力方向上部に吸熱部が配された場合に も冷媒供給を可能にする構造を提案されてい る。
発熱体が設置された吸熱面に沿って冷媒 給が行えるように、ウィックを配すること 、発熱体が重力方向に対して鉛直な面に設 された場合でも、吸熱面が重力方向上部に 置された場合でも、性能が維持できるとし ウィックを設置している。
ウィックは吸熱面などと一体的に形成さ ているとあるが、その具体的な方法につい は記述がなく、ウィック自体の構造や物性 ついても記述がない。
また、表面張力を利用して液の重力に反し
吸引する場合、その限界高さは液の物性と
ィックの構造に依存するが、それらについ
の具体的記述がなく、さらに冷却器のサイ
などに関する記述もなく具体性に欠ける。
また、上述した沸騰冷却器は、近年開発 進んでいるが、いずれも動作時の重力方向 限定されているか、具体性のある提案はさ ていないのが現状である。
その結果、実際にデスクトップ型PCのよ に縦置きもしくは横置きの使用に耐えられ ような冷却器の構造は発明されていない。
そこで、多孔質体を利用する具体的な構 を提案することで、液供給のための構造と 却性能に関わる液供給能力の関連性を明ら にした沸騰冷却器の提案が必要である。
本発明は、重力方向依存性を上下左右に いて排除した構造を有する沸騰冷却器を提 することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明にか る第1の沸騰冷却装置は、吸熱部と放熱部が 一体形成され、内蔵された冷媒が気化/凝縮 繰り返して熱を伝える沸騰冷却装置であっ 、前記吸熱部には、発熱体が設置された吸 面から垂直方向に多孔質体が設置されてい ことを特徴とする。
本発明によれば、重力方向依存性を上下 右において排除した構造を有し、吸熱部と 熱体の接続部が重力に対して垂直方向にあ 動作環境、さらに吸熱部が発熱体の上部に 続した状態での動作環境において沸騰冷却 信頼性を確保することが出来る沸騰冷却器 提供可能とする。
本発明の目的は、沸騰冷却器でありなが 、重力方向依存性を上下左右において排除 た構造を有する提供することにある。
これにより、吸熱部と発熱体の接続部が 力に対して垂直方向にある動作環境(横向き 動作)、さらに吸熱部が発熱体の上部に接続 た状態での動作環境(下向き動作)において沸 騰冷却の信頼性を確保することが出来る。
また、本発明にかかる沸騰冷却器は、液 循環には熱サイフォン式に気液相が流れる 理に加え、多孔質体を用いて吸熱部に冷媒 相を供給する原理を併用することで、ポン を必要としない方式を実現する。
本発明にかかる沸騰冷却器の吸熱部は、 熱部との一体構造とし、冷媒が内蔵されて る。冷媒液相は吸熱部で沸騰蒸発し発熱体 らの熱を奪う一方、発生する蒸気は放熱部 冷却され凝縮液化する。
重力方向下部に溜まる液相は、冷媒の浸 圧を利用できるように形成された多孔質体 通り吸熱部へと送られる。
下向き動作においても冷却性能を維持で るように、発熱体設置面に対して垂直に多 質体を設置することで、必要な流量を得る とが出来るようにする。
冷却器内部の冷媒循環経路の外側は冷却 空気の通風路とすることで、効率的な空気 の放熱を行う。
(浸透速度)
ここで、多孔質体内部の液の浸透速度uは、
以下のように表される。
毛管現象で上昇する液柱はある高さで力 釣り合ったところで毛管への液流入が停止 る。
この時点で、表面張力と毛管内の液重量 よる力が平衡状態にあるといえる。
この毛管により生じる静圧とその勾配を( 1)式に使用する。
力が釣り合った地点では上昇が止まるた 、この方法で計算される流速は最大値とな 。
(液柱長さ)
平衡状態にある液柱長さは次の式で表され
。
この高さは本発明による重力方向の限界 さを示す。
これ以上に重力方向に長い構造は、毛管 象による液の移動が出来ないため、重力方 下向きの運転が出来ないためである。
(第1の実施形態)
次に、本発明にかかる実施の形態について
具体的な冷媒と、図1、図2を参照して詳細
説明する。図1は、本実施形態にかかる沸騰
却器に基づく多孔質ブロック断面積と気孔
の関係を示す図である。図2は、本実施形態
にかかる沸騰冷却器の構成の一例を示す図で
ある。
まず、絶対粘度が0.5mPa・s、冷媒の表面張 力が約10mN/m、密度1560kg/m3程度の冷媒を考える 。
この表面張力の小さな冷媒の接触角を10 程度とし、気孔径約10mmの多孔質体を使用す と、(2)式より静的液柱長さは6cmあまりとな 。
この多孔質体のPermeabilityを10-11[m2]程度と 積もると、(1)式より液流速1.2mm/sとなる。
冷媒の気化潜熱を90kJ/kg、発熱量を100Wと 定すると、多孔質ブロックの断面積は5.7cm2 要となる。
もしくは、およそ2.4cm角の多孔質体を受 面上に設置することにより、本冷却器の下 き動作と上向き動作が可能になる。
図1にブロック断面積の気孔径依存性を示 す。
また、図2を用いて本実施形態にかかる沸 騰冷却器の構成について説明する。図下方を 重力方向としたとき、発熱体3より下方に受 部(沸騰式吸熱部)1および放熱部2が位置する 下向き動作を表す。従来の沸騰冷却器では 液相が下にたまり、受熱部には運搬されず 冷却が成り立たない。本実施形態にかかる 騰冷却器の構造において、多孔質ブロック4 を受熱部に設置することにより、冷媒液相を 受熱部近傍まで運ぶことが出来、熱伝導性の ある、多孔質ブロック4を通じて冷媒が熱せ れ気化される。気化された冷媒は、多孔質 ロック4より排気され、冷却循環経路5に示す ように、横方向にある放熱部2へと向かう。 熱部2は外部で、冷却ファン6で冷やされるこ とにより凝縮し、重力方向下側へと向かい、 再び循環する。
(第2の実施形態)
図3を用いて、本発明にかかる第2の実施の
態について説明する。図3は、横向き動作が
能な構造の概略図が示されている。
図3に示す、左上には、A-A断面図を示し、 右上には、沸騰冷却器の概観図を示し、右下 には、横断面図を示す。
また、図3に示す本実施形態にかかる沸騰 冷却器の構成は、多孔質ブロック4を第1の実 の形態として受熱面から垂直方向に配する とに加え、受熱面に沿う方向にも配するこ により、冷媒の運搬を横方向にも可能にし いる。概観図には、放熱フィン7を示す。
この場合、受熱面に沿う方向に配された 孔質ブロックの断面積を前出の例の場合5.7c m2とすることで、100Wの冷却に必要な冷媒量を 輸送することが出来る。
本実施形態の冷却器に使用される冷媒の つめの例として水の場合を考える。
絶対粘度を0.65mPa・s、表面張力を70mN/m、 度を990kg/m3、接触角を約60度、気孔径を約100m mとすると、(2)式より静的液柱長さは約3.6cm。
また、(1)式を基に必要断面積を計算する 、約0.7cm2で、1cm角以下となる。
前出の例に比較して液柱長さが短くなる 方、水の大きな気化潜熱の効果で流路断面 が小さくなっている。
多孔質体は図4に例として示すように、粉 末を焼結したような構造や、発泡により気孔 を形成する方法があるが、Permeabilityを高くす るため、発泡体構造が有利である。
材料に関しては、熱伝導率が金属の中で 比較的高い、銅、ニッケル、アルミニウム が考えられる。
熱伝導率の値が低い材料を使うと、多孔 体内部で温度差が出来てしまい、沸騰が生 る面の高さの管理が難しくなる。
(第3の実施形態)
図5を用いて本発明にかかる第3の実施の形
について説明する。
本実施形態にかかる沸騰式冷却装置の構 では、多孔質ブロック4に多孔質体の気孔径 よりも大きな穴を開けることで、沸騰で生じ る蒸気の多孔質体からの排気効率を高める働 きをする。
本実施形態にかかる沸騰式冷却装置の構 では、多孔質ブロック4に多孔質体の気孔径 よりも大きな穴を開けることで、沸騰で生じ る蒸気の多孔質体からの排気効率を高める働 きをする。
図5に示すように、本実施形態にかかる沸 騰冷却器の構造においては、図下方を重力方 向としたとき、発熱体3より下方に放熱部2が 置する、下向き動作を表す。
本実施形態にかかる沸騰冷却器の構造に いては、多孔質ブロック4に多孔質体の気孔 径よりも大きな穴である蒸気排気口8を設け いる。
気化された冷媒は、多孔質ブロックより 気され、横方向にある放熱部5へと向かう。
放熱部2は外部で、冷却ファン6で冷やさ ることにより凝縮し、重力方向下側へと向 い、再び循環する。
穴の位置と形状は冷媒の物性により、液 の十分な流量を得られる一方、蒸気の効率 な排気を促せるように、液相の流れに沿っ 長く設置するのが理想的である。
第1の実施形態から第3の実施形態にかか 沸騰式冷却器は、以下に記載の効果を有す 。第1の効果は、受熱部の内部構造により、 熱体の設置方向に寄らず冷却性能を維持で る沸騰冷却方式を提供可能とする。第2の効 果は、受熱と放熱を一体構造とすることで、 構造全体の温度の均一化が図れることにより 高性能な冷却器を提供可能とする。
この出願は、2007年11月15日に出願された 本出願特願2007-296679を基礎とする優先権を主 張し、その開示の全てをここに取り込む。
本発明にかかる沸騰冷却器の活用例とし 、冷却を必要とする電子機器、および、デ クトップ型PC、ワークステーション、サー ーなどの半導体装置が挙げられる。
1 沸騰式吸熱部
2 放熱部
3 発熱体
4 多孔質ブロック
5 冷媒循環経路
6 冷却ファン
7 放熱フィン
8 蒸気排気口