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Title:
VEHICLE DRIVE UNIT CONTROL APPARATUS
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/044779
Kind Code:
A1
Abstract:
A vehicle drive unit control apparatus causes main and auxiliary actuators to appropriately cooperate with each other, while suppressing the involvement of the auxiliary actuator as much as possible, thereby achieving a desired torque. A future target value of engine-outputted torque and an achievement timing (Te) at which the future target value is achieved are acquired as reservation information related to a reservation of an engine torque adjustment. Then, when the main actuator (throttle) has been activated to perform a torque adjustment, a time required for achieving the future target value is calculated from a current engine operation state. Then, the action of the main actuator is started, for the achievement of the future target value, at a timing (Tt) earlier, by the required time, than the achievement timing (Te). In the meantime, the auxiliary actuator (ignition device) is activated to cancel a torque change accompanying the action of the main actuator during a period from the starting (Tt) of the action of the main actuator till the achievement timing (Te).

Inventors:
SOEJIMA SHINICHI (JP)
KAKO JUNICHI (JP)
OHTSUKA KAORU (JP)
TANAKA HIROYUKI (JP)
KAWAI KEISUKE (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/067846
Publication Date:
April 09, 2009
Filing Date:
October 01, 2008
Export Citation:
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Assignee:
TOYOTA MOTOR CO LTD (JP)
SOEJIMA SHINICHI (JP)
KAKO JUNICHI (JP)
OHTSUKA KAORU (JP)
TANAKA HIROYUKI (JP)
KAWAI KEISUKE (JP)
International Classes:
F02D45/00; F02D9/02; F02D41/04; F02P5/15
Foreign References:
JPH07259616A1995-10-09
JPH11351044A1999-12-21
JPH11336591A1999-12-07
JP2004346868A2004-12-09
JP2007113555A2007-05-10
JPH06207571A1994-07-26
JPH06207571A1994-07-26
Other References:
See also references of EP 2194259A4
Attorney, Agent or Firm:
TAKAHASHI, Hideki et al. (Takahashi & Partners5th Floor, Intec 88 Bldg.,20, Araki-ch, Shinjuku-ku Tokyo 07, JP)
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Claims:
 内燃機関を動力装置とする車両駆動ユニットの制御装置であって、
 前記内燃機関が出力するトルクを調整することで車両の駆動状態に関する制御を行なう車両制御手段と、
 前記内燃機関のトルク調整に用いられる主アクチュエータと、
 前記主アクチュエータとは独立して前記内燃機関のトルク調整に用いられるアクチュエータであって、前記主アクチュエータよりも動作に対するトルクの応答性が高い副アクチュエータと、
 前記車両制御手段から前記内燃機関へのトルク調整の予約を受け付け、少なくとも前記内燃機関が出力するトルクの将来目標値と前記将来目標値の実現タイミングとを予約情報として取得する予約情報取得手段と、
 前記主アクチュエータを動作させて前記内燃機関のトルク調整を行なった場合において、前記将来目標値の実現に要する所要時間を現在の機関運転状態から計算する所要時間計算手段と、
 前記実現タイミングよりも前記所要時間だけ先行したタイミングで、前記将来目標値の実現に向けて前記主アクチュエータの動作を開始する主アクチュエータ制御手段と、
 前記主アクチュエータの動作開始から前記実現タイミングまでの間、前記主アクチュエータの動作に伴い生じるトルク変化を相殺するように前記副アクチュエータを動作させる副アクチュエータ制御手段と、
を備えることを特徴とする車両駆動ユニットの制御装置。
 前記予約情報取得手段によって取得される予約情報にはトルクの調整開始タイミングと前記将来目標値に至るまでのトルクの時間変化率とが含まれ、
 前記主アクチュエータ制御手段は、前記時間変化率が前記主アクチュエータによって実現可能な時間変化率である場合は、前記調整開始タイミングから前記主アクチュエータの動作を開始することを特徴とする請求項1記載の車両駆動ユニットの制御装置。
 前記実現タイミングまでの余裕時間が前記所要時間に対して足りているか否か判定する判定手段を備え、
 前記主アクチュエータ制御手段は、前記余裕時間が前記所要時間に対して不足する場合には前記主アクチュエータの動作を速やかに開始し、
 前記副アクチュエータ制御手段は、前記余裕時間が前記所要時間に対して足りていることを条件として前記副アクチュエータを動作させることを特徴とする請求項1又は2記載の車両駆動ユニットの制御装置。
 前記内燃機関は火花点火式の内燃機関であって、
 前記主アクチュエータは前記内燃機関の吸入空気量を調整するアクチュエータであり、
 前記副アクチュエータは前記内燃機関の点火時期を調整するアクチュエータであることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の車両駆動ユニットの制御装置。
 前記車両制御手段から前記内燃機関に対して予約されるトルク調整は、トルクの増加調整であることを特徴とする請求項4項に記載の車両駆動ユニットの制御装置。
 内燃機関を動力装置とする車両駆動ユニットの制御装置であって、
 前記内燃機関が出力するトルクを消費するトルク消費要素と、
 前記内燃機関のトルク調整に用いられる主アクチュエータと、
 前記主アクチュエータとは独立して前記内燃機関のトルク調整に用いられるアクチュエータであって、前記主アクチュエータよりも動作に対するトルクの応答性が高い副アクチュエータと、
 前記トルク消費要素からのトルク消費量の変更許可の要求を受け付け、変更後の推定トルク消費量に応じて前記内燃機関が出力するトルクの将来目標値を設定する将来目標値設定手段と、
 前記主アクチュエータを動作させて前記内燃機関のトルク調整を行なった場合において、前記将来目標値の実現に要する所要時間を現在の機関運転状態から計算する所要時間計算手段と、
 前記将来目標値の実現に向けて前記主アクチュエータの動作を開始する主アクチュエータ制御手段と、
 前記所要時間に基づいて待機時間を設定し、前記主アクチュエータの動作開始から前記待機時間が経過したタイミングで、前記トルク消費要素に対してトルク消費量の変更を許可する許可手段と、
 前記主アクチュエータの動作開始から前記トルク消費要素に対してトルク消費量の変更許可が下りるまでの間、前記主アクチュエータの動作に伴い生じるトルク変化を相殺するように前記副アクチュエータを動作させる副アクチュエータ制御手段と、
を備えることを特徴とする車両駆動ユニットの制御装置。
 前記トルク消費要素に対してトルク消費量の変更を許可してから実際に変更が完了するまでの遅れ時間を計算する遅れ時間計算手段を備え、
 前記所要時間から前記遅れ時間を差し引いた時間が前記待機時間として設定されることを特徴とする請求項6記載の車両駆動ユニットの制御装置。
 前記内燃機関は火花点火式の内燃機関であって、
 前記主アクチュエータは前記内燃機関の吸入空気量を調整するアクチュエータであり、
 前記副アクチュエータは前記内燃機関の点火時期を調整するアクチュエータであることを特徴とする請求項6又は7記載の車両駆動ユニットの制御装置。
 前記トルク消費要素によって要求されるトルク消費量の変更許可は、トルク消費量の増量許可であることを特徴とする請求項8項に記載の車両駆動ユニットの制御装置。
Description:
車両駆動ユニットの制御装置

 本発明は、内燃機関を動力装置とする車 駆動ユニットの制御装置に関し、より詳し は、互いに独立して内燃機関のトルクを調 可能な主アクチュエータと副アクチュエー とを備える制御装置に関する。

 自動車等の車両駆動ユニットの動力装置 して内燃機関が用いられている。火花点火 の内燃機関であれば、そのトルクを調整す ためのアクチュエータとしてスロットルと 火装置とを備えている。スロットルによれ 吸入空気量によってトルクを調整すること でき、点火装置は点火時期によってトルク 調整することができる。

 各アクチュエータには夫々に一長一短が る。例えば、スロットルと点火装置を例に ると、スロットルを基準にした場合の点火 置の長所は動作に対するトルクの応答性に れることである。しかし、点火装置には、 費や排気ガス性能或いはノック性能等に与 る影響が大きいという短所も存在する。し がって、燃費等の車両駆動ユニットに求め れる基本性能を高く維持しつつ所望のトル を実現するためには、各アクチュエータを 々の特性に合わせて適切に動作させる必要 ある。

 従来、特性の異なる2つのアクチュエータ を協働させてトルク調整を行なうものとして は、例えば、特開平6-207571号公報に開示され いる技術が知られている。ここに開示され 技術では、スロットルと点火装置とを協働 せることで、変速動作時の目標トルクの急 な増大に内燃機関のトルクを追従させるよ にしている。より詳しくは、変速動作時、 標トルクが増大される前にスロットルを開 、目標トルクの増大に先んじて吸入空気量 増大させている。また、スロットルを開く 同時に点火時期を遅角させ、これにより吸 空気量の増大に伴うトルク変化を相殺して る。そして、目標トルクが増大される時点 らは、吸入空気量をさらに増大させるとと に、遅角した点火時期を戻していくように ている。

 しかし、特開平6-207571号公報に記載の技 は、以下にその理由を説明するように、目 トルクの実現性能と燃費性能との両立にお て改善の余地が有った。

 特開平6-207571号公報に記載の技術は、吸 空気量を増大させると同時に点火時期を遅 することで、目標トルクが増大する前にト クが増大することを防止している。しかし 点火時期の遅角は燃費の悪化を招いてしま 。このため、目標トルクの増大に先行して 入空気量を増大させる先行時間、すなわち 吸入空気量の増大によるトルク変化を点火 期によって相殺する時間は可能な限り短い とが望ましい。

 この点に関し、特開平6-207571号公報には 上記の先行時間をどのように決定するかに いては何ら記載されておらず、また、それ 関する示唆もない。それゆえ、実際に設定 れた先行期間によっては点火時期を無駄に く遅角することになってしまい、燃費を悪 させるおそれがあった。逆に先行期間が短 ぎるために、吸入空気量の不足によって目 トルクが実現できなくなるおそれもあった

 特開平6-207571号公報に記載の技術に関す 上記課題からは、内燃機関を動力装置とす 車両駆動ユニット一般に通じる次のような 題を見出すことができる。

 車両駆動ユニットにおいて内燃機関のト ク調整に使用可能なアクチュエータは複数 在している。スロットルや点火装置はその ちの一例に過ぎず、その他にも燃料噴射装 (空燃比調整装置)、バルブリフト量可変装 、EGR装置或いは可変圧縮比装置等によって トルク調整は可能である。これら複数のア チュエータのうち2つに着目したとき、燃費 の車両駆動ユニットの性能への影響がより ないほうを主アクチュエータと見ることが き、それらへの影響は大きいが動作に対す トルクの応答性に優れたほうを副アクチュ ータと見ることができる。特開平6-207571号 報に記載の技術の場合にはスロットルが主 クチュエータとなり、点火装置が副アクチ エータとなる。

 所望のトルクを実現するために主アクチ エータと副アクチュエータとを協働させる 合、採り得る各アクチュエータの動作パタ ンは複数存在している。しかし、車両駆動 ニットの性能への影響も考慮する場合には 好ましい動作パターンは1つに絞られてくる 。それは、副アクチュエータの介在を可能な 限り抑えるようにした動作パターンであり、 そのような動作パターンで主アクチュエータ と副アクチュエータとを適切に協働させるこ とができれば、車両駆動ユニットの性能を高 く維持しつつ所望のトルクを実現することが 可能になる。

 本発明は、上述のような課題を解決する めになされたもので、主アクチュエータと アクチュエータとを適切に協働させながら アクチュエータの介在を可能な限り抑えて 望のトルクを実現できるようにした車両駆 ユニットの制御装置を提供することを目的 する。

 第1の発明は、上記の目的を達成するため、 内燃機関を動力装置とする車両駆動ユニット の制御装置であって、
 前記内燃機関が出力するトルクを調整する とで車両の駆動状態に関する制御を行なう 両制御手段と、
 前記内燃機関のトルク調整に用いられる主 クチュエータと、
 前記主アクチュエータとは独立して前記内 機関のトルク調整に用いられるアクチュエ タであって、前記主アクチュエータよりも 作に対するトルクの応答性が高い副アクチ エータと、
 前記車両制御手段から前記内燃機関へのト ク調整の予約を受け付け、少なくとも前記 燃機関が出力するトルクの将来目標値と前 将来目標値の実現タイミングとを予約情報 して取得する予約情報取得手段と、
 前記主アクチュエータを動作させて前記内 機関のトルク調整を行なった場合において 前記将来目標値の実現に要する所要時間を 在の機関運転状態から計算する所要時間計 手段と、
 前記実現タイミングよりも前記所要時間だ 先行したタイミングで、前記将来目標値の 現に向けて前記主アクチュエータの動作を 始する主アクチュエータ制御手段と、
 前記主アクチュエータの動作開始から予約 れた実現タイミングまでの間、前記主アク ュエータの動作に伴い生じるトルク変化を 殺するように前記副アクチュエータを動作 せる副アクチュエータ制御手段と、
を備えることを特徴としている。

 第2の発明は、第1の発明において、
 前記予約情報取得手段によって取得される 約情報にはトルクの調整開始タイミングと 記将来目標値に至るまでのトルクの時間変 率とが含まれ、
 前記主アクチュエータ制御手段は、前記時 変化率が前記主アクチュエータによって実 可能な時間変化率である場合は、前記調整 始タイミングから前記主アクチュエータの 作を開始することを特徴としている。

 第3の発明は、第1又は第2の発明において、
 前記実現タイミングまでの余裕時間が前記 要時間に対して足りているか否か判定する 定手段を備え、
 前記主アクチュエータ制御手段は、前記余 時間が前記所要時間に対して不足する場合 は前記主アクチュエータの動作を速やかに 始し、
 前記副アクチュエータ制御手段は、前記余 時間が前記所要時間に対して足りているこ を条件として前記副アクチュエータを動作 せることを特徴としている。

 第4の発明は、第1乃至第3の何れか1つの発明 において、
 前記内燃機関は火花点火式の内燃機関であ て、
 前記主アクチュエータは前記内燃機関の吸 空気量を調整するアクチュエータであり、
 前記副アクチュエータは前記内燃機関の点 時期を調整するアクチュエータであること 特徴としている。

 第5の発明は、第4の発明において、
 前記車両制御手段から前記内燃機関に対し 予約されるトルク調整は、トルクの増加調 であることを特徴としている。

 また、第6の発明は、上記の目的を達成する ため、内燃機関を動力装置とする車両駆動ユ ニットの制御装置であって、
 前記内燃機関が出力するトルクを消費する ルク消費要素と、
 前記内燃機関のトルク調整に用いられる主 クチュエータと、
 前記主アクチュエータとは独立して前記内 機関のトルク調整に用いられるアクチュエ タであって、前記主アクチュエータよりも 作に対するトルクの応答性が高い副アクチ エータと、
 前記トルク消費要素からのトルク消費量の 更許可の要求を受け付け、変更後の推定ト ク消費量に応じて前記内燃機関が出力する ルクの将来目標値を設定する将来目標値設 手段と、
 前記主アクチュエータを動作させて前記内 機関のトルク調整を行なった場合において 前記将来目標値の実現に要する所要時間を 在の機関運転状態から計算する所要時間計 手段と、
 前記将来目標値の実現に向けて前記主アク ュエータの動作を開始する主アクチュエー 制御手段と、
 前記所要時間に基づいて待機時間を設定し 前記主アクチュエータの動作開始から前記 機時間が経過したタイミングで、前記トル 消費要素に対してトルク消費量の変更を許 する許可手段と、
 前記主アクチュエータの動作開始から前記 ルク消費要素に対してトルク消費量の変更 可が下りるまでの間、前記主アクチュエー の動作に伴い生じるトルク変化を相殺する うに前記副アクチュエータを動作させる副 クチュエータ制御手段と、
を備えることを特徴としている。

 第7の発明は、第6の発明において、
 前記トルク消費要素に対してトルク消費量 変更を許可してから実際に変更が完了する での遅れ時間を計算する遅れ時間計算手段 備え、
 前記所要時間から前記遅れ時間を差し引い 時間が前記待機時間として設定されること 特徴としている。

 第8の発明は、第6又は第7の発明において、
 前記内燃機関は火花点火式の内燃機関であ て、
 前記主アクチュエータは前記内燃機関の吸 空気量を調整するアクチュエータであり、
 前記副アクチュエータは前記内燃機関の点 時期を調整するアクチュエータであること 特徴としている。

 第9の発明は、第8の発明において、
 前記トルク消費要素によって要求されるト ク消費量の変更許可は、トルク消費量の増 許可であることを特徴としている。

 第1の発明によれば、内燃機関のトルク調 整の予約を受け付けると、その予約情報に含 まれるトルクの将来目標値の実現に要する所 要時間(主アクチュエータを動作させて内燃 関のトルク調整を行なった場合の所要時間) 現在の機関運転状態から計算される。そし 、予約された実現タイミングよりも所要時 だけ先行したタイミングで、予約された将 目標値の実現に向けて主アクチュエータの 作が開始される。このように先行して主ア チュエータが動作することで、予約どおり 実現タイミングにて予約どおりのトルク(将 来目標値)を実現することができる。

 さらに、第1の発明によれば、主アクチュ エータの動作と並行して、主アクチュエータ の動作開始から予約された実現タイミングま での間、主アクチュエータの動作に伴い生じ るトルク変化を相殺するように副アクチュエ ータが動作する。このように副アクチュエー タが動作することで、予約された実現タイミ ング前の不要なトルク変化を抑制することが できる。また、前記所要時間は予約された実 現タイミングでの将来目標値の実現に過不足 がない時間であり、副アクチュエータはこの 所要時間内で動作するので、副アクチュエー タの動作時間は必要最小限に抑えられる。つ まり、第1の発明によれば、副アクチュエー の介在を必要最小限に抑えながら所望のト クを実現することができる。

 第2の発明によれば、将来目標値に至るま でのトルクの時間変化率を主アクチュエータ の動作で実現できる場合には主アクチュエー タの動作のみでトルク調整が行なわれ、主ア クチュエータの動作では実現できない場合に 限り、副アクチュエータが介在してトルク調 整が行なわれる。このように、予約情報にト ルクの調整開始タイミングと将来目標値に至 るまでのトルクの時間変化率とが含まれる場 合には、それらに基づいて主アクチュエータ と副アクチュエータとを協調制御することで 、副アクチュエータの介在を必要最小限に抑 えつつ所望の時間変化率でトルクを調整する ことができる。

 第3の発明によれば、予約された実現タイ ミングまでの余裕時間が前記所要時間に対し て不足している場合には、主アクチュエータ の速やかな動作開始によって可能な限りの範 囲内で予約された実現タイミングにおいて将 来目標値を実現することができる。また、こ のように余裕時間が短い状況では、副アクチ ュエータを動作させることによるトルク変化 の抑制効果は大きくない。したがって、余裕 時間が足りていることを副アクチュエータの 動作条件とすることで、副アクチュエータの 無駄な動作を防止することができる。

 第4の発明によれば、主アクチュエータに よって吸入空気量を調整することで、燃費や 排気ガスに大きな影響を及ぼすこと無くトル クを調整することができる。また、副アクチ ュエータによって点火時期を調整することで 、高い応答性でトルクを調整することができ る。これらのアクチュエータを第1乃至第3の れか1つの発明のように協調制御することで 、燃費や排気ガスへの影響を最小限に抑えつ つ、所望のトルクを実現することができる。

 第5の発明によれば、増大側へのトルク調 整を、吸入空気量の調整を主体にして最小限 の点火遅角によって実現することができる。 具体的には、トルクの増加調整の予約に対し 、予約された実現タイミングに先行して吸入 空気量が増大される。そして、吸入空気量の 増大が開始されてから予約された実現タイミ ングまでの間は、吸入空気量の増大に伴うト ルク増を相殺するように点火時期が遅角され る。これにより、点火時期の遅角に伴う燃費 の低下を最小限に抑えつつ、所望の通りにト ルクを増大させることができる。

 第6の発明によれば、トルク消費要素から トルク消費量の変更許可の要求を受けると、 変更後の推定トルク消費量に応じてトルクの 将来目標値が設定され、その将来目標値の実 現に要する所要時間(主アクチュエータを動 させて内燃機関のトルク調整を行なった場 の所要時間)が現在の機関運転状態から計算 れる。そして、将来目標値の実現に向けて アクチュエータの動作が開始され、前記の 要時間に基づいて設定される待機時間の経 後、トルク消費要素に対してトルク消費量 変更が許可される。このようにトルク消費 の変更許可に対して主アクチュエータの動 開始を先行させることで、変更後のトルク 費量に見合ったトルクを短い時間で確実に 現することができる。

 さらに、第6の発明によれば、主アクチュ エータの動作と並行して、主アクチュエータ の動作開始からトルク消費量の変更許可が下 りるまでの間、主アクチュエータの動作に伴 い生じるトルク変化を相殺するように副アク チュエータが動作する。このように副アクチ ュエータが動作することで、トルク消費量が 変更される前の不要なトルク変化を抑制する ことができる。また、前記待機時間はトルク 消費量に見合った目標トルクの実現に過不足 がないよう設定され、副アクチュエータはこ の待機時間内で動作するので、副アクチュエ ータの動作時間は必要最小限に抑えられる。 つまり、第6の発明によれば、副アクチュエ タの介在を必要最小限に抑えながら、トル 消費要素でのトルク消費量に見合ったトル を実現することができる。

 第7の発明によれば、トルク消費量の変更 を許可してから実際に変更が完了するまでの 遅れ時間を考慮して待機時間が設定されるの で、内燃機関の出力トルクとトルク消費要素 によるトルク消費量とのバランスの崩れを抑 えることができ、車両駆動ユニット全体とし ては所望のトルクに維持することができる。 また、待機時間が最適化されることで、副ア クチュエータの介在も必要最小限に抑えるこ とができる。

 第8の発明によれば、主アクチュエータに よって吸入空気量を調整することで、燃費や 排気ガスに大きな影響を及ぼすこと無くトル クを調整することができる。また、副アクチ ュエータによって点火時期を調整することで 、高い応答性でトルクを調整することができ る。これらのアクチュエータを第6又は第7の 明のように協調制御することで、燃費や排 ガスへの影響を最小限に抑えつつ、トルク 費量に応じた所望のトルクを実現すること できる。

 第9の発明によれば、トルク消費量の増量 に伴う増大側へのトルク調整を、吸入空気量 の調整を主体にして最小限の点火遅角によっ て実現することができる。具体的には、トル ク消費量の変更許可の要求に対し、吸入空気 量を先行して増大させた後に変更許可が下さ れる。そして、吸入空気量の増大が開始され てからトルク消費量の変更許可が下されるま での間は、吸入空気量の増大に伴うトルク増 を相殺するように点火時期が遅角される。こ れにより、点火時期の遅角に伴う燃費の低下 を最小限に抑えつつ、所望の通りにトルクを 増大させることができる。

本発明の実施の形態1としての車両駆動 ユニットの制御装置の構成を示すブロック図 である。 本発明の実施の形態1にかかるエンジン コントローラの構成を示すブロック図である 。 将来のトルク変化に対するスロットル 度と点火時期の各制御パターンの具体例を すタイムチャートである。 本発明の実施の形態1の制御装置で実施 される一連の処理を示すフローチャートであ る。 本発明の実施の形態1において用いられ る将来情報の形式を示すタイムチャートであ る。 エンジンモデルによるトルクの計算結 の一例を示すタイムチャートである。 本発明の実施の形態1の制御装置による 制御結果の一例を示すタイムチャートである 。 本発明の実施の形態1の制御装置による 制御結果の一例を示すタイムチャートである 。 本発明の実施の形態2において用いられ る将来情報の形式を示すタイムチャートであ る。 本発明の実施の形態2の制御装置で実 される一連の処理を示すフローチャートで る。 本発明の実施の形態3としての車両駆 ユニットの制御装置の構成を示すブロック である。 本発明の実施の形態3にかかるエンジ コントローラの構成を示すブロック図であ 。 本発明の実施の形態2の制御装置で実 される一連の処理を示すフローチャートで る。 本発明の実施の形態4としての車両駆 ユニットの制御装置の構成を示すブロック である。 補機の駆動タイミングに対するスロッ トル開度と点火時期の各制御パターンの具体 例を示すタイムチャートである。 本発明の実施の形態4の制御装置で実 される一連の処理を示すフローチャートで る。 本発明の実施の形態4の制御装置によ 制御結果の一例を示すタイムチャートであ 。 補機の駆動を開始するまでの待機時間 の計算方法を示すタイムチャートである。

符号の説明

2 エンジン
4 スロットル(主アクチュエータ)
6 点火装置(副アクチュエータ)
10,30 エンジンコントローラ
12 パワートレインマネージャ
14 アクセルセンサ
16 変速機コントローラ
18 モータコントローラ
20 ナビシステム
22 VICS
24 車車間通信システム
26 補機
28 補機コントローラ

実施の形態1.
 図1は、本発明の実施の形態1としての車両 動ユニットの制御装置の構成を示すブロッ 図である。本実施の形態の制御装置は、火 点火式の内燃機関(以下、エンジン)2を動力 置とする車両駆動ユニットの制御装置とし 構成されている。以下、図1を参照して本実 の形態の制御装置の構成について説明する

 本実施の形態の制御装置は、エンジン2を 直接に制御するエンジンコントローラ10を含 。エンジンコントローラ10には、エンジン2 トルク制御にかかる2種類のアクチュエータ 4,6が接続されている。これらアクチュエータ 4,6は、入力される信号に応じて動作し、その 動作に応じたトルクをエンジン2に実現させ ものである。本実施の形態では、これらア チュエータ4,6を協働させることでエンジン2 トルク調整が行なわれる。ただし、トルク 整に関して2つのアクチュエータ4,6は同等で は無く、一方のアクチュエータ4が主として 用する主アクチュエータとなり、もう一方 アクチュエータ6は補助的に使用する副アク ュエータとなる。

 本実施の形態では、主アクチュエータ4を スロットルとし、副アクチュエータ6を点火 置とする。主アクチュエータ4であるスロッ ルは、その開度によって気筒内への吸入空 量を調整し、吸入空気量によってエンジ2ン のトルクを制御することができるアクチュエ ータである。副アクチュエータ6である点火 置は、その点火時期によってエンジン2のト クを制御することができるアクチュエータ あり、スロットルよりも動作に対するトル の応答性が高いという特徴がある。以下で 、主アクチュエータ4をスロットル4と表記 、副アクチュエータ6を点火装置6と表記する 場合がある。

 車両駆動ユニットの制御系統において、 ンジンコントローラ10の上位にはパワート インマネージャ12が設けられている。パワー トレインマネージャ12は、エンジンコントロ ラ10を介してエンジン2が出力するトルクを 整することによって、車両の駆動状態を制 している。パワートレインマネージャ12に 、ドライバのトルク要求を検出するアクセ センサ14の他、車両制御にかかる各種デバイ ス16,18,20,22,24が接続されている。パワートレ ンマネージャ12は、これらデバイスからの 報に基づいて現時点においてエンジン2に出 させるべきトルクを計算し、トルク要求と てエンジンコントローラ10に出力している

 パワートレインマネージャ12は、現時点 の車両制御に必要とするトルクだけでなく 将来において車両制御に必要となるトルク( 来トルク)も計算している。そして、計算し た将来トルクを将来情報としてエンジンコン トローラ10に出力している。この動作はパワ トレインマネージャ12からエンジン2へのト ク調整の予約を意味している。エンジンコ トローラ10が受け付けた将来情報が予約情 となり、その内容に従ってエンジン2の制御 ケジュールが立てられることになる。

 パワートレインマネージャ12における将 トルクの計算には、各種デバイス16,18,20,22,24 からの情報が用いられる。例えば、変速機コ ントローラ16からは変速機の変速に関する情 を前もって受け取ることができる。変速時 は変速機の下流においてトルク変動が生じ が、その情報を事前に受け取ることで変速 のトルク変動の吸収に必要なトルクを事前 計算することができる。このトルクをエン ン2の将来トルクとしてエンジンコントロー ラ10に対して予約することで、その後に変速 作が行なわれるときには適正なトルク調整 可能になる。

 また、車両駆動ユニットがエンジンとモ タとからなるハイブリッドシステムの場合 、モータコントローラ16からモータの運転/ 止に関する情報を前もって受け取ることが きる。その情報からモータの運転/停止に伴 うトルク変動の吸収に必要なトルクを先行し て計算し、エンジンコントローラ10に対して 約することで、その後にモータが運転/停止 されるときの適正なトルク調整が可能になる 。

 また、ナビシステム20、VICS22或いは車車 通信システム24のような情報通信システムを 備える場合には、それらの情報からこの先車 両が置かれる状況を予測することができる。 予測した状況に最適なトルクを先行して計算 し、エンジンコントローラ10に対して予約す ことで、その後に車両が置かれる状況に応 た適正なトルク調整が可能になる。例えば ナビシステム20の情報からは、この先の登 角を予測することができる。予測した登坂 から必要なトルクを計算し、エンジンコン ローラ10に対して予約しておけば、適正なタ イミングでのトルクアップによって登坂時の 減速を防止することができる。

 また、本実施の形態のようなドライブバ ワイヤシステムの場合には、アクセルセン 14の信号、すなわち、ドライバからのトル 要求を直接にエンジンコントローラ10に出力 するのではなく、遅延処理を施してから出力 することもできる。この場合は、アクセルセ ンサ14の信号が将来トルクを表すことになる

 図2はエンジンコントローラ10の構成を示 ブロック図である。この図に示すように、 ンジンコントローラ10は複数の計算要素102,1 04,106,108,110,112,114を備えている。また、スロ トルの動作を制御するスロットルドライバ11 6と点火装置の動作を制御する点火装置ドラ バ118とを備えている。エンジンコントロー 10には、パワートレインマネージャ12から供 されるトルク要求と将来情報のほか、エン ン2の運転状態に関する情報も入力されてい る。運転状態情報にはエンジン回転数、エア フローメータの出力値、現時点の実点火時期 、冷却水温度、バルブタイミング等が含まれ る。

 パワートレインマネージャ12から供給さ るトルク要求は、目標トルク計算部102に入 される。目標トルク計算部102は、入力され トルク要求をベースにしてエンジン2の目標 ルクを計算している。目標トルクの計算で 、トルク要求値に制振トルクを加算する等 処理が行なわれている。計算された目標ト クは後述する目標トルク補正部108とトルク 率計算部110とに出力される。

 パワートレインマネージャ12から供給さ る将来情報は、運転状態情報とともに目標 率計算部104に入力される。目標効率計算部10 4は、入力された将来情報に基づいて目標効 を計算する。また、将来情報と運転状態情 とに基づいて目標効率の出力タイミング(変 タイミング)を計算する。計算された目標効 率は後述する目標トルク補正部108に出力され る。目標効率は通常は1に設定されている。 標効率とその出力タイミングの計算は本実 の形態における1つの要部であるので、その 細については追って説明する。

 推定トルク計算部106は、運転状態情報か エンジン2のトルクを推定計算する。より詳 しくは、点火時期をMBTに仮設定し、様々な運 転状態情報から計算できる見込み空気量に基 づいてトルク(MBTでの推定トルク)を計算する 計算された推定トルクは後述するトルク効 計算部110に出力される。

 目標トルク補正部108には、目標トルクと 標効率とが入力される。目標トルク補正部1 08は目標トルクを目標効率で除算して補正し その補正目標トルクをスロットル開度計算 112に出力する。目標効率が通常値である1の 場合には、目標トルク計算部102で計算された 目標トルクがそのままスロットル開度計算部 112に出力される。一方、目標効率が1よりも さい値の場合には、目標効率による除算に って目標トルクは嵩上げされ、嵩上げされ 目標トルクがスロットル開度計算部112に出 される。

 スロットル開度計算部112は、目標トルク 正部108から供給される補正目標トルクを空 量に変換し、その空気量を実現するための ロットル4の開度を計算する。スロットル開 度計算部112で計算された開度は、スロットル 4の目標開度としてスロットルドライバ116に ットされる。スロットルドライバ116は、こ 目標開度を実現するようにスロットル4を制 する。

 トルク効率計算部110には、目標トルクと 定トルクとが入力される。トルク効率計算 110は目標トルクと推定トルクとの比を計算 る。本明細書では、この比をトルク効率と 義する。空気量が変化している過渡状態で 、空気量に応じて推定トルクが変化するこ で、トルク効率もそれに応じて変化する。 かし、空気量が一定となった定常状態では 推定トルクは補正目標トルクに一致する結 、トルク効率は前述の目標効率に一致する うになる。トルク効率計算部110は、計算し トルク効率を点火時期計算部114に出力する

 点火時期計算部114は、まず、トルク効率 らMBTに対する遅角量を計算する。遅角量の 算には、少なくともトルク効率を軸の1つと するマップが用いられる。この計算では、ト ルク効率が小さいほど遅角量は大きい値に設 定される。そして、トルク効率から決定され た遅角量と、エンジン2の運転状態から決ま 基本点火時期とから最終点火時期を算出す 。計算された最終点火時期は、点火時期計 部114から点火装置ドライバ118にセットされ 。点火装置ライバ118は、最終点火時期に従 て点火装置6を制御する。

 以上のようなエンジンコントローラ10の 成によれば、目標効率を設定することで、 標トルクを実現するためのスロットル開度 点火時期とを一意に決定することができる 例えば目標トルクが100Nmの場合、目標効率を 1に設定すると、スロットル開度計算部112に 力される補正目標トルクは100Nmとなる。スロ ットル開度計算部112では、この補正目標トル ク(100Nm)をMBTで発生させることができるスロ トル開度を計算し、それをスロットル4の目 開度として設定する。スロットル開度の変 後、空気量が一定となったときには、推定 ルク計算部106で計算される推定トルクも凡 100Nmとなり、目標トルクと推定トルクとの であるトルク効率は1となる。トルク効率が1 のときには点火時期計算部114で計算される遅 角量はゼロであり、最終点火時期はMBTに設定 される。

 同じ目標トルクにおいて目標効率を0.8に 更したときには、補正目標トルクは125Nmと る。これによりスロットル4の目標開度は、1 25NmのトルクをMBTで発生させることができる 度まで増大される。また、推定トルクも補 目標トルクに追従して変化し、凡そ125Nmとな る。その結果、目標トルクと推定トルクとの 比であるトルク効率は0.8となる。つまり、ト ルク効率も目標効率に追従して変化する。ト ルク効率が1よりも小さい0.8になることで最 点火時期はMBTよりも遅角されたタイミング 設定される。

 目標効率を0.8に変更したときにはスロッ ル開度の増大によるトルクアップ効果が生 る。しかし、それと同時に点火時期が遅角 れるので、そのトルクダウン効果によって 記のトルクアップ効果は相殺され、結果、 ンジン2が出力するトルクは目標トルクに維 持される。副アクチュエータである点火装置 6はその動作に対するトルクの応答性が高い で、スロットル開度の増大に伴うトルク増 確実に相殺することができる。

 エンジンコントローラ10は、パワートレ ンマネージャ12から供給される将来情報を予 約情報として受け付け、その内容に従ってエ ンジン2の制御スケジュールを立てる。図3は その一例を示した図である。図3に示すタイ ムチャート(A)は、現時刻を基準にした将来の トルク変化を示す図である。以下、パワート レインマネージャ12からエンジン2に対して、 トルクの増加調整が予約された場合の処理に ついて説明する。

 タイムチャート(A)に示すトルク変化をエ ジン2の制御によって実現する場合、採り得 る各アクチュエータ4,6の動作パターンは複数 存在している。しかし、燃費を考慮する場合 には、好ましい動作パターンは1つに絞られ 。それは、副アクチュエータである点火装 6の介在を可能な限り抑えるようにした動作 ターンであり、より具体的には、点火遅角 行なう時間を可能な限り短くした動作パタ ンである。そのような動作パターンでスロ トル4と点火装置6とを適切に協働させるこ ができれば、燃費性能を高く維持しつつ所 のトルクを実現することが可能になる。

 図3に示すタイムチャート(B)は、タイムチ ャート(A)に示すトルク変化を実現するための スロッル4の動作パターンを示す図である。 イムチャート(C)は、タイムチャート(A)に示 トルク変化を実現するための点火装置6の動 パターンを示す図である。各タイムチャー について具体的に説明すると、タイムチャ ト(A)において破線で示すトルク変化は、点 時期はMBTに設定したままで、タイムチャー (B)に示すタイミングでスロットル開度を増 させたときに推定されるトルク変化を示し いる。増大させる前のスロットル開度は現 刻の目標トルクに対応した開度であり、増 させた後のスロットル開度は、将来の目標 ルク(これをトルクの将来目標値という)に 応した開度である。なお、ここではステッ 状にスロットル開度を増大させているが、 旦最大開度まで開いた後(すなわち、スロッ ル開度をオーバーシュートさせた後)、将来 目標値に対応したスロットル開度まで戻すよ うにしてもよい。

 タイムチャート(A)に破線で示す推定トル と実線で示す目標トルクとの差は、点火時 をMBTよりも遅角することで解消することが きる。具体的には、タイムチャート(C)に示 ように、スロットル4を開くと同時に点火時 期も遅角し、予約された将来目標値の実現タ イミングにて再びMBTまで進角する。このよう に点火時期の遅角を行なうことで、予約され た実現タイミング前の不要なトルク変化を抑 制することができる。なお、タイムチャート (C)では遅角前と遅角からの復帰後とで点火時 期(MBT)に差が生じているが、これは目標トル に応じてMBTも変化するためである。

 タイムチャート(B)に示すタイミングでス ットル開度を増大させれば、タイムチャー (A)に破線で示すように、所望のタイミング トルクを将来目標値に到達させることがで る。仮にタイムチャート(B)に示すタイミン よりも遅くにスロットル開度を増大させた 合には、所望のタイミングでトルクを将来 標値に到達させることができない。一方、 イムチャート(B)に示すタイミングよりも早 にスロットル開度を増大させた場合には、 火時期を遅角させている期間が無駄に長く り、その分燃費の悪化を招いてしまう。し がって、燃費性能を高く維持しつつ予約さ た将来目標値を確実に実現するためには、 イムチャート(B)に示すタイミングを正確に 算することが重要である。

 本実施の形態においては、スロットル開 を増大させるタイミング(図3のタイムチャ ト(B)に示すタイミング)は、目標効率の出力 イミングによって決まる。前述のエンジン ントローラ10の構成によれば、目標効率計 部104が目標効率を計算して出力したタイミ グでスロットル4が開かれることになる。ま 、目標効率の設定値によって、スロットル 度や点火時期の遅角量が決定される。以下 本実施の形態の要部である目標効率とその 力タイミングの計算について、図4乃至図8 用いて説明する。

 目標効率計算部104で実施される一連の処 をフローチャートで示したものが図4である 。図4のフローチャートに示すように、最初 ステップS102では、目標効率計算部104に将来 報が入力される。将来情報は、現時刻を基 にした時間毎の将来のトルク値という形式 入力される。将来情報の一例をタイムチャ トで示したものが図5である。図5に示すよ に、将来情報からはトルクの将来目標値、 在の目標トルクに対する将来目標値のトル 偏差δTrq、将来目標値に向けたトルクの調整 開始タイミングTs、将来目標値に至るトルク 時間変化率Dt、将来目標値の実現タイミン (調整完了タイミング)Teを読み取ることがで る。次のステップS104では、現時刻からトル ク実現タイミングTeまでの時間が、将来目標 の実現までの余裕時間δTとして計算される

 次のステップS106では、主アクチュエータ であるスロットル4を動作させてエンジン2の ルク調整を行なった場合において、将来目 値の実現に要する所要時間が計算される。 の所要時間の計算には目標効率計算部104に 装されているエンジンモデルが使用される エンジンモデルはエンジン2の機能を各種パ ラメータと各種演算式とによってモデル化し たものである。スロットル開度、点火時期、 エンジン回転数、バルブタイミング等のエン ジン2の運転条件をエンジンモデルに入力す と、それらの入力条件に応じたトルクが計 されて出力される。

 図6のタイムチャートは、エンジンモデル によるトルクの計算結果の一例を示している 。この計算では、点火時期はMBTに設定され、 エンジン回転数やバルブタイミング等の他の 運転条件には実際値が用いられる。タイムチ ャート(A)はスロットル開度の変化を示し、タ イムチャート(B)はそれに応じたトルクの変化 を示している。ステップS106では、スロット 開度を増大させてからトルクの増加量がδTrq に達するまでの時間δtが前記の所要時間とし て計算される。

 次のステップS108では、ステップS104で計 された余裕時間δTとステップS106で計算され 所要時間δtとが比較される。余裕時間δTが 要時間δtに対して足りていれば、先行して ロットル開度を増大させることで、所望の イミングでトルクを将来目標値に到達させ ことができる。ステップS108の比較の結果、 余裕時間δTが所要時間δtに対して足りている 場合にはステップS110以降の処理が行なわれ 。

 一方、余裕時間δTが所要時間δtに対して 足している場合には、先行してスロットル 度を増大させたとしても所望のタイミング でにトルクを将来目標値に到達させること できない。そこで、ステップS108の比較の結 果、余裕時間δTが所要時間δtに対して不足し ている場合には後述するステップS122の処理 行なわれる。

 ステップS110では、ステップS102で入力さ た将来情報に基づいて、将来目標値に至る ルクの時間変化率Dtが計算される(図5参照)。 また、ステップS112では、前述のエンジンモ ルによる計算結果を用いて、トルクの増加 がδTrqに達するまでの間の最大時間変化率Dtm が計算される(図6参照)。この最大時間変化率 Dtmは、スロットル4の動作のみで実現できる ルクの最大時間変化率であり、これ以上の 間変化率を求める場合には他のアクチュエ タによるトルク調整を併用する必要がある

 次のステップS114では、ステップS110で計 された将来トルクの時間変化率Dtとステップ S112で計算された最大時間変化率Dtmとが比較 れる。将来トルクの時間変化率Dtがスロット ル4で実現できる最大時間変化率Dtmよりも小 い場合には、先行してスロットル4を開く必 は無く、通常と同じくトルクの立ち上がり 合わせてスロットル開度を増大させること 足りる。

 ステップS114の判定の結果、時間変化率Dt 最大時間変化率Dtmよりも小さい場合、以降 ステップはスキップされて本ルーチンは終 する。これにより、目標効率計算部104では 標効率の更新は行なわれず、出力される目 効率は通常値の1のままとなる。目標効率が 1であれば、目標トルク補正部10での目標トル クの嵩上げ補正は行なわれない。また、目標 効率が1であれば、トルク効率計算部110から 力されるトルク効率も1となることから、点 時期計算部114で計算される遅角量はゼロと り、最終点火時期はMBTに維持される。した って、ステップS114の判定結果としてNoが選 された場合には、目標トルクに従ってスロ トル4のみでトルク調整が行なわれることに なる。

 これに対し、将来トルクの時間変化率Dt スロットル4で実現できる最大時間変化率Dtm りも大きい場合は、ステップS116,118及び120 処理が行なわれる。まず、ステップS116では トルクの実現タイミングTeから前記の所要 間δtだけ先行したタイミングが目標効率の 力タイミングTtとして算出される。繰り返し の説明になるが、本実施の形態のエンジンコ ントローラ10の構成によれば、目標効率の出 タイミングTtがスロットル開度の増大タイ ングとなる。目標効率の出力タイミングTtを トルクの実現タイミングTeよりも前出しにす ことで、トルクの立ち上がりに先行してス ットル4を開くことができる。また、先行さ せる時間を前記の所要時間δtとすることで、 所望のタイミングにてトルクを将来目標値に 到達させることができる。

 ステップS118では、現時刻が目標効率の出 力タイミングTtに達したか否か判定される。 の判定は現時刻が目標効率の出力タイミン Ttになるまで繰り返し実施される。そして 目標効率の出力タイミングTtが到来した時点 でステップS120の処理が実施される。

 ステップS120では、目標効率が計算される 。そして、計算された目標効率が目標トルク 補正部108に出力される。ここでは、現在の目 標トルクの将来目標値に対する比が目標効率 として算出される。ステップS116乃至S120の処 が選択された場合の制御結果をタイムチャ トで示したものが図7である。図7のタイム ャート(A)には、予約されたトルクの将来目 値と、目標トルク計算部102で計算される目 トルクとを併せて示している。タイムチャ ト(B)には目標効率の計算結果を示している 目標効率の出力タイミングTt以前では、目標 効率はその通常値である1に設定されている そして、目標効率の出力タイミングTt以降で は、目標トルクの将来目標値に対する比が目 標効率として設定されることで、目標トルク が将来目標値に一致するまでの間は、目標効 率は1よりも小さい値に設定される。

 図7のタイムチャート(C)には、スロットル 開度計算部112による目標開度の計算結果を示 している。目標トルクと将来目標値との比が 目標効率として出力されることで、目標トル ク補正部108で計算される補正目標トルクの値 は将来目標値に一致する。その結果、スロッ トル4の目標開度は、目標効率が出力された イミングTtにて将来目標値に見合った開度ま で増大される。

 また、図7のタイムチャート(D)には、点火 時期計算部114による最終点火時期の計算結果 を示している。タイムチャート(C)に示すよう にスロットル4が開かれる結果、吸入空気量 急増していき、それに伴い推定トルク計算 106で計算される推定トルクも増大していく 点火遅角量の計算の基礎となるトルク効率 目標トルクと推定トルクとの比であるので 吸入空気量の増大に応じてトルク効率は減 していき、トルク効率の減少に伴って点火 期は遅角されていく。スロットル4の目標開 が増大されるタイミングTtが点火時期の遅 開始タイミングとなる。やがて目標トルク 増加して目標トルクと将来目標値との差が 小方向に転ずると、点火時期は進角側に戻 れていき、目標トルクが将来目標値に一致 たタイミングTeにてMBTに戻される。

 次に、ステップS108の判定の結果、余裕時 間δTが所要時間δtよりも小さかった場合の処 理について説明する。この場合には、ステッ プS110乃至S120の処理の代わりにステップS122の 処理が行なわれる。

 ステップS122では、現在の目標トルクの将 来目標値に対する比が目標効率として計算さ れる。そして、計算された目標効率が目標ト ルク補正部108に出力される。つまり、出力タ イミングTtを計ることなく、速やかに目標効 の出力が行なわれる。ステップ122の処理が 択された場合の制御結果をタイムチャート 示したものが図8である。図8のタイムチャ ト(A)には、予約されたトルクの将来目標値 、目標トルク計算部102で計算される目標ト クと、後述するようにスロットル4と点火装 6とを制御した場合の実際のエンジントルク とを示している。タイムチャート(B)には目標 効率の計算結果を示している。

 目標効率が出力されることで、スロット 開度は将来目標値に見合った開度まで速や に増大される。図8のタイムチャート(C)には 、スロットル開度計算部112による目標開度の 計算結果を示している。

 スロットル4が開かれる結果、吸入空気量 の増大に応じてトルク効率は減少していく。 点火時期計算部114ではトルク効率を点火遅角 量の計算の基礎としているが、ステップS122 処理が選択された場合は、点火遅角量にガ ドがかけられるようになっている。より詳 くは、トルク効率の値の如何によらず点火 角量はゼロに設定される。図8のタイムチャ ト(D)には、点火時期計算部114による最終点 時期の計算結果を示している。この図に示 ように、余裕時間δTが所要時間δtに対して 足している場合には、点火時期は遅角され ことなく目標トルクに応じたMBTに維持され 。

 以上説明したとおり、本実施の形態の制 装置は、エンジンコントローラ10の構成と 御の内容に種々の特徴を有している。以下 は、エンジンコントローラ10が有する特徴的 な動作とその効果についてまとめて説明する 。

 エンジンコントローラ10は、パワートレ ンマネージャ12からエンジンのトルク調整の 予約を将来情報の形で受け付けると、その将 来情報からトルクの将来目標値を読み取り、 将来目標値の実現に要する所要時間δtをエン ジン2の運転状態から計算する。そして、予 された実現タイミングTeよりも所要時間δtだ け先行したタイミングTtで、将来目標値の実 に向けて主アクチュエータであるスロット 4の動作を開始する。このようにスロットル 4を先行して動作させることで、予約どおり 実現タイミングTeにて予約どおりの将来トル ク(将来目標値)を実現することができる。

 さらに、エンジンコントローラ10は、ス ットル4を開くと同時に、スロットル開度を 大させてから予約された実現タイミングTe での間、スロットル開度の増大に伴い生じ トルク変化を相殺するように副アクチュエ タである点火装置6を動作させる。点火装置6 によって点火時期の遅角が行なわれることで 、予約された実現タイミングTe以前の不要な ルク変化を抑制することができる。また、 要時間δtは予約された実現タイミングTeで 将来目標値の実現に過不足がない時間であ 、点火装置6はこの所要時間δt内で点火時期 遅角を行なうので、点火時期の遅角時間を 要最小限に抑えることができる。

 また、エンジンコントローラ10は、将来 ルクの時間変化率Dtがスロットル4で実現で る最大時間変化率Dtmよりも小さい場合には ロットル4の制御のみでトルク調整を行なう そして、この時間変化率Dtをスロットル4の 御では実現できない場合に限り、点火装置6 による点火時期の遅角も利用してトルク調整 を行なう。このように、将来トルクの時間変 化率Dtに基づいてスロットル4と点火装置6と 協調制御することで、点火時期の遅角は必 最小限に抑えつつ、所望の時間変化率Dtでト ルクを増大させることができる。

 また、エンジンコントローラ10は、将来 標値の実現までの余裕時間δTが所要時間δt 対して不足している場合には、スロットル 度を速やかに増大させてトルクの上昇を図 一方、点火時期の遅角は禁止する。このよ に余裕時間δTが短い状況では、点火時期の 角によるトルク変化の抑制効果は大きくな 。したがって、余裕時間δTが所要時間δtに して足りていることを点火時期の遅角の条 とすることで、点火時期が無駄に遅角され のを防止することができる。

 なお、本実施の形態では、パワートレイ マネージャ12が第1の発明の「車両制御手段 に相当している。また、エンジンコントロ ラ10が第1の発明の「予約情報取得手段」に 当し、目標効率計算部104が第1の発明の「所 要時間計算手段」に相当している。また、目 標効率計算部104、目標トルク補正部108、スロ ットル開度計算部112及びスロットルドライバ 116によって第1の発明の「主アクチュエータ 御手段」が構成され、目標効率計算部104、 ルク効率計算部110、点火時期計算部114及び 火装置ドライバ118によって第1の発明の「副 クチュエータ制御手段」が構成されている

実施の形態2.
 本発明の実施の形態2としての制御装置は、 実施の形態1の制御装置とは、パワートレイ マネージャ12からエンジンコントローラ10に 給される将来情報(予約情報)の内容に違い ある。なお、制御装置の構成については実 の形態1と共通であり、全体の構成は図1によ って示され、エンジンコントローラ10の詳細 成は図2に示される。

 本実施の形態では、将来目標値とその実 タイミングのみが将来情報としてエンジン ントローラ10に供給される。将来情報の一 をタイムチャートで示したものが図9である 図9に示すように、将来情報から読み取るこ とができるのは、トルクの将来目標値とその 実現タイミング(調整完了タイミング)Teのみ あり、将来目標値に向けたトルクの調整開 タイミングや将来目標値に至るトルクの時 変化率は将来情報に含まれていない。将来 報は目標効率計算部104において目標効率の 算に使用される。このため、実施の形態1と 、目標効率計算部104における処理の内容に 相違がある。

 図10は、本実施の形態において目標効率 算部104で実施される一連の処理を示したフ ーチャートである。このフローチャートに いて、図4に示すフローチャートと同一のス ップ番号を付した処理は、その処理内容が 通していることを意味している。以下、目 効率計算部104における処理についてフロー ャートに沿って説明する。

 最初のステップS102では、目標効率計算部 104に将来情報が入力される。将来情報の形式 は図9のタイムチャートに示したとおりであ 。次のステップS104では、現時刻から実現タ ミングTeまでの時間が、将来目標値の実現 での余裕時間δTとして計算される。また、 テップS106では、スロットル4を動作させてエ ンジン2のトルク調整を行なった場合におい 、将来目標値の実現に要する所要時間δtが ンジンモデルを用いて計算される。

 次のステップS108では、ステップS104で計 された余裕時間δTとステップS106で計算され 所要時間δtとが比較される。余裕時間δTが 要時間δtに対して不足している場合にはス ップS122の処理が行なわれる。すなわち、出 力タイミングを計ることなく速やかに目標効 率の出力が行なわれ、スロットル開度は将来 目標値に見合った開度まで速やかに増大され る。一方、点火時期は遅角されることなく目 標トルクに応じたMBTに維持される。

 一方、余裕時間δTが所要時間δtに対して りている場合にはステップS116の処理が行な われる。本実施の形態における目標効率計算 部104の処理フローは、実施の形態1における 標効率計算部104の処理フローからステップS1 10,S112及びS114の処理を取り除いたものに相当 ている。図9のタイムチャートに示すように 、本実施の形態で用いられる将来情報には将 来目標値に至るトルクの時間変化率が含まれ ていないため、ステップS110,S112,S114の処理は をなさないからである。

 ステップS116では、将来目標値の実現タイ ミングTeから前記の所要時間δtだけ先行した イミングが目標効率の出力タイミングTtと て算出される。次のステップS118では、現時 が目標効率の出力タイミングTtに達したか か判定される。そして、目標効率の出力タ ミングTtが到来した時点でステップS120の処 が実施される。

 ステップS120では、現在の目標トルクの将 来目標値に対する比が目標効率として算出さ れ、その算出値が目標トルク補正部108に出力 される。これにより、スロットル開度は将来 目標値に見合った開度まで増大される。また 、点火時期はスロットル開度が増大されると 同時に遅角され、将来目標値の実現タイミン グTeにてMBTに戻される。

 以上説明したように、本実施の形態で用 られる将来情報は実施の形態1で用いられる 将来情報よりも情報量が少ない。しかし、少 なくとも将来目標値とその実現タイミングと が将来情報に含まれているならば、実施の形 態1と同様、点火時期の遅角時間を必要最小 に抑えながら、予約どおりの実現タイミン Teにて予約どおりの将来トルク(将来目標値) 実現することができる。

実施の形態3.
 図11は、本発明の実施の形態3としての車両 動ユニットの制御装置の構成を示すブロッ 図である。図11において実施の形態1の制御 置と共通する要素については同一の符号を している。本実施の形態の制御装置は、実 の形態1の制御装置とはエンジンコントロー ラ30の構成にのみ相違があり、他の要素は実 の形態1のものと共通している。

 エンジンコントローラ30には、その上位 パワートレインマネージャ12からトルク要求 と将来情報とが供給される。将来情報の供給 はパワートレインマネージャ12からエンジン2 へのトルク調整の予約を意味している。エン ジンコントローラ30が受け付けた将来情報が 約情報となり、その内容に従ってエンジン2 の制御スケジュールが立てられる。なお、本 実施の形態で用いられる将来情報は、図5の イムチャートに示すような情報を含んでい ものとする。すなわち、トルクの将来目標 、現在の目標トルクに対する将来目標値の ルク偏差δTrq、将来目標値に向けたトルクの 調整開始タイミングTs、将来目標値に至るト クの時間変化率Dt、将来目標値の実現タイ ングTeが情報として含まれている。

 図12はエンジンコントローラ30の構成を示 すブロック図である。この図に示すように、 エンジンコントローラ30は複数の計算要素302, 304,306,308,310を備えている。また、スロットル の動作を制御するスロットルドライバ312と点 火装置の動作を制御する点火装置ドライバ314 とを備えている。エンジンコントローラ30に 、パワートレインマネージャ12から供給さ るトルク要求と将来情報のほか、エンジン 転数、エアフローメータの出力値、現時点 実点火時期、冷却水温度、バルブタイミン 等のエンジン2の運転状態に関する情報も入 されている。

 パワートレインマネージャ12から供給さ るトルク要求は、目標トルク計算部302に入 される。目標トルク計算部302は、入力され トルク要求をベースにしてエンジン2の目標 ルクを計算している。目標トルクの計算で 、トルク要求値に制振トルクを加算する等 処理が行なわれている。計算された目標ト クは後述する目標トルク分割部306に出力さ る。

 パワートレインマネージャ12から供給さ る将来情報は、運転状態情報とともにタイ ング計算部304に入力される。タイミング計 部304は、入力された将来情報に基づいて、 来目標値の実現タイミングに対してスロッ ル4と点火装置6とを先行して動作させるタイ ミングを計算する。計算された先行動作開始 タイミングは後述する目標トルク分割部306に 出力される。

 目標トルク分割部306は、目標トルク計算 302から供給される目標トルクを、スロット 4により実現させるトルク(スロットル用ト ク)と、点火装置6により実現させるトルク( 火装置用トルク)とに分割する。分割された ルクのうちスロットル用トルクはスロット 開度計算部308に出力され、点火装置用トル は点火時期計算部310に出力される。

 目標トルク分割部306には、目標トルクの 、先行動作開始タイミングと将来情報とが 力されている。先行動作開始タイミングが 来していないとき、つまり、通常時には、 標トルク分割部306は目標トルクをそのまま ロットル用トルクとし、点火装置用トルク ゼロに設定する。先行動作開始タイミング 到来後は、将来情報に含まれる将来目標値 スロットル用トルクとし、目標トルクと将 目標値との差分のマイナストルクを点火装 用トルクとして算出する。そして、将来目 値の実現タイミングの到来後は、再び目標 ルクをそのままスロットル用トルクとし、 火装置用トルクはゼロに設定する。

 スロットル開度計算部308は、目標トルク 割部306から供給されるスロットル用トルク 空気量に変換し、その空気量を実現するた のスロットル4の開度を計算する。スロット ル開度計算部308で計算された開度は、スロッ トル4の目標開度としてスロットルドライバ31 2にセットされる。スロットルドライバ312は この目標開度を実現するようにスロットル4 制御する。

 点火時期計算部310は、まず、目標トルク 割部306から供給される点火装置用トルクか MBTに対する遅角量を計算する。遅角量の計 には、少なくともトルクを軸の1つとするマ ップが用いられる。この計算では、トルクの 絶対値が大きいほど遅角量は大きい値に設定 される。そして、点火装置用トルクから決定 された遅角量と、エンジン2の運転状態から まる基本点火時期とから最終点火時期を算 する。計算された最終点火時期は、点火時 計算部310から点火装置ドライバ314にセット れる。点火装置ドライバ314は、最終点火時 に従って点火装置6を制御する。

 以上のようなエンジンコントローラ30の 成によれば、実施の形態1と同様、図3のタイ ムチャートに示すような動作パターンでスロ ットル4と点火装置6とを動作させることがで る。以下、パワートレインマネージャ12か 将来情報が供給されたときのエンジンコン ローラ30の計算動作について詳細に説明する 。

 図13は、エンジンコントローラ30で実施さ れる一連の処理を示したフローチャートであ る。図13のフローチャートに示すように、最 のステップS202では、タイミング計算部304と 目標トルク分割部306とに将来情報が入力され る。将来情報の形式は図5のタイムチャート 示したとおりである。

 次のステップS204からステップS216までは タイミング計算部304において実施される処 である。まず、ステップS204では、現時刻か 実現タイミングTeまでの時間が、将来目標 の実現までの余裕時間δTとして計算される また、ステップS206では、スロットル4を動作 させてエンジン2のトルク調整を行なったと の、将来目標値の実現に要する所要時間δt エンジンモデルを用いて計算される。所要 間δtの計算方法は実施の形態1と同様である で、その詳細は省略する。

 次のステップS208では、ステップS204で計 された余裕時間δTとステップS206で計算され 所要時間δtとが比較される。余裕時間δTが 要時間δtに対して足りている場合にはステ プS210以降の処理が行なわれる。一方、余裕 時間δTが所要時間δtに対して不足している場 合には後述するステップS228の処理が行なわ る。

 ステップS210では、ステップS202で入力さ た将来情報に基づいて、将来目標値に至る ルクの時間変化率Dtが計算される。また、ス テップS212では、前述のエンジンモデルによ 計算結果を用いて、トルクの増加量がδTrqに 達するまでの間の最大時間変化率Dtmが計算さ れる。

 次のステップS214では、ステップS210で計 された将来トルクの時間変化率Dtとステップ S212で計算された最大時間変化率Dtmとが比較 れる。将来トルクの時間変化率Dtがスロット ル4で実現できる最大時間変化率Dtmよりも大 い場合は、次のステップS216の処理が行なわ る。一方、将来トルクの時間変化率Dtがス ットル4で実現できる最大時間変化率Dtmより 小さい場合には後述するステップS226の処理 が行なわれる。

 ステップS216では、将来トルクの実現タイ ミングTeから前記の所要時間δtだけ先行した イミングが先行動作開始タイミングTtとし 算出される。計算された先行動作開始タイ ングTtは目標トルク分割部306に出力される。

 次のステップS218からステップS224までは 目標トルク分割部306において実施される処 である。ステップS218では、現時刻が先行動 開始タイミングTtに達したか否か判定され 。この判定は現時刻が先行動作開始タイミ グTtになるまで繰り返し実施される。そして 、先行動作開始タイミングTtが到来した時点 ステップS220の処理が実施される。

 ステップS220では、スロットル用トルクが 目標トルクから将来情報に含まれる将来目標 値に変更され、同時に、点火装置用トルクが 通常値のゼロから目標トルクと将来目標値と の差分のマイナストルクに変更される。この 変更を受けて、スロットル開度計算部308で計 算されるスロットル4の目標開度は将来目標 に見合った開度まで増大され、点火時期計 部310で計算される最終点火時期はMBTよりも 角される。

 次のステップS222では、現時刻が将来トル ク実現タイミングTeに達したか否か判定され 。この判定は現時刻が将来トルク実現タイ ングTeになるまで繰り返し実施される。そ て、将来トルク実現タイミングTeが到来した 時点でステップS224の処理が実施される。

 ステップS224では、スロットル用トルクが 将来目標値から目標トルクに戻され、同時に 、点火装置用トルクが通常値のゼロに戻され る。この時点では目標トルクは将来目標値に 一致している。したがって、スロットル開度 計算部308で計算されるスロットル4の目標開 は現在の開度のまま維持される。点火時期 算部310で計算される最終点火時期はMBTまで 角される。

 ステップS220乃至S224の処理によれば、ス ットル4を先行して動作させることで、予約 おりに将来トルク実現タイミングTeにて将 トルク(将来目標値)を実現することができる 。さらに、スロットル開度を増大させてから 将来トルク実現タイミングTeまでの間、スロ トル開度の増大に伴い生じるトルク変化を 殺するように点火時期の遅角が行なわれる とで、将来トルク実現タイミングTe以前の 要なトルク変化を抑制することができる。 た、所要時間δtは将来トルク実現タイミン Teでの将来目標値の実現に過不足がない時間 であり、点火装置6はこの所要時間δt内で点 時期の遅角を行なうので、点火時期の遅角 間を必要最小限に抑えることもできる。

 次に、ステップS214の判定の結果、将来ト ルクの時間変化率Dtがスロットル4で実現でき る最大時間変化率Dtmよりも小さかった場合の 処理について説明する。この場合には、ステ ップS216乃至S224の処理の代わりにステップS226 の処理が行なわれる。

 ステップS226は、目標トルク分割部306にお いて実施される処理である。ステップS226で 、スロットル用トルクは目標トルクのまま され、点火装置用トルクも変更されること く通常値のゼロのままとされる。これによ 、スロットル4の目標開度は目標トルクに従 て変化し、最終点火時期はMBTに維持される したがって、この場合には目標トルクに従 てスロットル4のみでトルク調整が行なわれ ることになる。このように、将来トルクの時 間変化率Dtに基づいてスロットル4と点火装置 6とを協調制御することで、点火時期の遅角 必要最小限に抑えつつ、所望の時間変化率Dt でトルクを増大させることができる。

 次に、ステップS208の判定の結果、余裕時 間δTが所要時間δtよりも小さかった場合の処 理について説明する。この場合には、ステッ プS210乃至S224の処理の代わりにステップS228の 処理が行なわれる。

 ステップS228は、目標トルク分割部306にお いて実施される処理である。ステップS228で 、スロットル用トルクは目標トルクから将 情報に含まれる将来目標値に変更される。 の変更を受けてスロットル4の目標開度は将 目標値に見合った開度まで速やかに増大さ る。ただし、点火装置用トルクは変更され ことなく通常値のゼロのままとされる。つ り、スロットル開度のみ速やかに増大され が、点火時期は遅角されることなく目標ト クに応じたMBTに維持される。このように余 時間δTが短い状況では、点火時期の遅角に るトルク変化の抑制効果は大きくない。し がって、余裕時間δTが所要時間δtに対して りていることを点火時期の遅角の条件とす ことで、点火時期が無駄に遅角されるのを 止することができる。

 以上説明したとおり、本実施の形態のエ ジンコントローラ30は、実施の形態1のエン ンコントローラ10とはその構成においても 御の内容においても大きく異なっている。 かし、得られる効果に関しては実施の形態1 ものと同等であり、点火時期の遅角時間を 要最小限に抑えながら、予約どおりの実現 イミングTeにて予約どおりの将来トルク(将 目標値)を実現することができる。

 なお、本実施の形態では、将来情報には 5のタイムチャートに示すような情報が含ま れていることを前提としているが、必ずしも これら全ての情報が含まれていなくてもよい 。少なくとも将来目標値とその実現タイミン グとが将来情報に含まれているならば、点火 時期の遅角時間を必要最小限に抑えながら、 予約どおりの実現タイミングにて予約どおり の将来トルクを実現することができる。した がって、図9のタイムチャートに示すように 将来目標値に至るトルクの時間変化率が将 情報に含まれていなくてもよい。この場合 は、図13に示す処理フローからステップS210,S 212及びS214の処理を省略することで対応する とができる。

 本実施の形態では、パワートレインマネ ジャ12が第1の発明の「車両制御手段」に相 している。また、エンジンコントローラ30 第1の発明の「予約情報取得手段」に相当し タイミング計算部304が第1の発明の「所要時 間計算手段」に相当している。また、目標ト ルク分割部306、スロットル開度計算部308及び スロットルドライバ312によって第1の発明の 主アクチュエータ制御手段」が構成され、 標トルク分割部306、点火時期計算部310及び 火装置ドライバ312によって第1の発明の「副 クチュエータ制御手段」が構成されている

実施の形態4.
 図14は、本発明の実施の形態4としての車両 動ユニットの制御装置の構成を示すブロッ 図である。図14において実施の形態1の制御 置と共通する要素については同一の符号を している。この制御装置はエンジンコント ーラ10を含むが、その構成は実施の形態1と じく図2のブロック図にて示される。以下、 図14及び図2を参照して本実施の形態の制御装 置の構成について説明する。

 本実施の形態の制御装置は、補機26を制 する補機コントローラ28を含む。補機コント ローラ28は、エンジンコントローラ10ととも パワートレインマネージャ12に接続されてい る。エンジンコントローラ10には、エンジン2 のトルク調整に用いるアクチュエータとして 、主アクチュエータとしてのスロットル4と 副アクチュエータとしての点火装置6とが接 されている。

 本実施の形態における補機26とは、オル ネータやエアコンコンプレッサのようにエ ジン2によって駆動される機器を指す。これ の補機26は、エンジン2が出力するトルクを 費して動作する。このため、突然に補機26 駆動を開始すると、エンジン2が出力するト クの一部が補機26によって突然に消費され こととなり、車両駆動ユニット全体として 急激なトルクの低下を招いてしまう。

 このような問題は、補機26の駆動開始に わせてエンジン2のトルクを増大させること 解決可能である。つまり、補機26の駆動に するトルク(補機駆動トルク)分だけエンジン 2の出力トルクも増大させればよい。ただし エンジン2にとっては突然にトルクを増大さ ることは困難なため、補機26の駆動開始が め分かっている場合には、それに備えてエ ジン2のトルク調整に係るアクチュエータ4,6 先行して動作させておく必要がある。

 そこで、補機26を制御する補機コントロ ラ28は、補機26を駆動する必要が生じた場合 まず、パワートレインマネージャ12に対し 補機26の駆動許可を要求する。そして、パワ ートレインマネージャ12からの駆動許可が下 てから補機26の駆動を開始する。

 一方、パワートレインマネージャ12は、 機コントローラ28からの駆動許可要求を受け 付けたら、エンジンコントローラ10に対して クチュエータ4,6の先行動作の開始を指示す 。そして、適切なタイミングにて補機コン ローラ28に対し補機26の駆動を許可する。

 以上の処理において最も重要なのは、各 クチュエータ4,6の先行動作を開始してから 機26の駆動を許可するまでの時間である。 下、この点について図15のタイムチャートを 用いて説明する。

 図15に示すタイムチャート(A)には、補機26 の駆動が開始される前後での補機駆動トルク の変化が示されている。この図に示すように 、補機26の駆動開始と同時に補機駆動トルク 略ステップ状に速やかに立ち上がる。この うな補機駆動トルクの変化をエンジン2で吸 収するためには、エンジン2のトルクも補機 動トルクに合わせてタイムチャート(B)に示 ように変化させる必要が有る。

 タイムチャート(B)に示すトルク変化をエ ジン2の制御によって実現する場合、採り得 る各アクチュエータ4,6の動作パターンは複数 存在している。しかし、燃費を考慮する場合 には、好ましい動作パターンは1つに絞られ 。それは、副アクチュエータである点火装 6の介在を可能な限り抑えるようにした動作 ターンであり、より具体的には、点火遅角 行なう時間を可能な限り短くした動作パタ ンである。そのような動作パターンでスロ トル4と点火装置6とを適切に協働させるこ ができれば、燃費性能を高く維持しつつ所 のトルクを実現することが可能になる。

 図15に示すタイムチャート(C)は、タイム ャート(B)に示すトルク変化を実現するため スロッル4の動作パターンを示す図である。 イムチャート(D)は、タイムチャート(B)に示 トルク変化を実現するための点火装置6の動 作パターンを示す図である。各タイムチャー トについて具体的に説明すると、タイムチャ ート(B)において破線で示すトルク変化は、点 火時期はMBTに設定したままで、タイムチャー ト(C)に示すタイミングでスロットル開度を増 大させたときに推定されるトルク変化を示し ている。増大させる前のスロットル開度は現 時刻の目標トルクに対応した開度であり、増 大させた後のスロットル開度は、補機駆動ト ルクを加えた将来の目標トルク(これをトル の将来目標値という)に対応した開度である なお、ここではステップ状にスロットル開 を増大させているが、一旦最大開度まで開 た後(すなわち、スロットル開度をオーバー シュートさせた後)、将来目標値に対応した ロットル開度まで戻すようにしてもよい。

 タイムチャート(B)に破線で示す推定トル と実線で示す目標トルクとの差は、点火時 をMBTよりも遅角することで解消することが きる。具体的には、タイムチャート(D)に示 ように、スロットル4を開くと同時に点火時 期も遅角し、補機26の駆動を開始するタイミ グにて再びMBTまで進角する。このように点 時期の遅角を行なうことで、補機26の駆動 始前の不要なトルク変化を抑制することが きる。なお、タイムチャート(D)では遅角前 遅角からの復帰後とで点火時期(MBT)に差が生 じているが、これは目標トルクに応じてMBTも 変化するためである。

 各アクチュエータ4,6の先行動作を開始す タイミングと、補機26の駆動を開始するタ ミングとの関係が適切であれば、タイムチ ート(B)に示すように、所望のタイミングで ルクを将来目標値に到達させることができ 。しかし、各アクチュエータ4,6の先行動作 開始してから補機26の駆動開始までの時間が 短すぎる場合には、所望のタイミングまでに 十分にトルクを上昇させることができない。 一方、各アクチュエータ4,6の先行動作を開始 してから補機26の駆動開始までの時間が長す る場合には、点火時期を遅角させている期 が無駄に長くなり、その分燃費の悪化を招 てしまう。したがって、燃費性能を高く維 しつつ、補機26の駆動前後でのトルク変動 確実に抑えるためには、各アクチュエータ4, 6の先行動作を開始してから補機26の駆動開始 までの適正時間を正確に計算することが重要 である。

 以下、本実施の形態の要部である補機26 駆動許可タイミングの計算について、図16乃 至図18を用いて説明する。なお、各アクチュ ータ4,6の先行動作を開始するタイミングは エンジンコントローラ10内での目標効率の 力タイミングによって任意に決定すること できる。実施の形態1にて既述したとおり、 2に示すエンジンコントローラ10の構成によ ば、目標効率計算部104が目標効率を計算し 出力したタイミングでスロットル4が開かれ 、点火時期が遅角されることになる。また、 目標効率の設定値によって、スロットル開度 や点火時期の遅角量が決定される。

 本実施の形態においてパワートレインマ ージャ12で実施される一連の処理をフロー ャートで示したものが図16である。また、図 16のフローチャートによる制御結果をタイム ャートで示したものが図17である。以下で 、図17のタイムチャートを適宜に参照しなが ら、図16のフローチャートに沿ってパワート インマネージャ12による処理の内容を説明 ていく。

 最初のステップS302では、補機26の駆動許 要求が入力されているか否か判定される。 機コントローラ28からパワートレインマネ ジャ12には、補機駆動許可要求フラグが提示 されている。図17のタイムチャート(A)に示す うに、この補機駆動許可要求フラグがオン されたとき、駆動許可要求が入力されたこ になる。駆動許可要求が入力された場合に 、次のステップS304以降の処理が実施される 。

 ステップS304では、補機26の駆動に要する ルク(補機駆動トルク)の見積もりが行なわ る。補機駆動トルクの大きさは、補機26の目 標動作状態(例えば、補機26がオルタネータで あれば目標発電量)から計算で求めることが きる。

 次のステップS306では、ステップS304で計 した補機駆動トルクが将来情報としてエン ンコントローラ10に出力される。図17のタイ チャート(B)には、エンジンコントローラ10 出力される将来情報(補機駆動トルク)を示し ている。

 次のステップS308では、主アクチュエータ であるスロットル4を動作させてトルクアッ を図る場合のトルク勾配が予測される。こ トルク変化の予測にはエンジンモデルが使 される。エンジンモデルによれば、スロッ ル開度、点火時期、エンジン回転数、バル タイミング等のエンジン2の運転条件からエ ジン2が出力するトルクの勾配を予測するこ とができる。図18のタイムチャートは、エン ンモデルによるトルク勾配の予測結果を示 ている。この計算では、点火時期はMBTに設 され、エンジン回転数やバルブタイミング の他の運転条件には実際値が用いられる。

 次のステップS310では、ステップS308の予 結果を用い、補機26の駆動を開始するまでの 待機時間δtが計算される。図18のタイムチャ トには待機時間δtの計算方法が示されてい 。これによれば、まず、スロットル開度を 大させてから補機駆動トルク分だけトルク 増加するまでの所要時間δt2が計算される。 また、補機コントローラ28に対して補機26の 動を許可した後、実際に補機26の駆動に要す るトルクが見積もり値に達するまでの遅れ時 間δt1が計算される。そして、所要時間δt2か 遅れ時間δt1を差し引いた時間が前記の待機 時間δtとして算出される。

 次のステップS312では、ステップS304で計 した補機駆動トルクが待機時間δtだけ遅延 理される。そして、遅延処理した補機駆動 ルクを他の要求トルク(ドライバ要求トルク 含む)に加算したものが最終的なトルク要求 値としてエンジンコントローラ10に出力され 。図17のタイムチャート(C)には、エンジン ントローラ10に出力されるトルク要求値を示 している。

 次のステップS314では、前記の待機時間δt が経過したか否か判定される。この判定は待 機時間δtが経過するまで繰り返し実施される 。そして、補機26の駆動許可要求が入力され から待機時間δtが経過した時点で次のステ プS316の処理が実施される。

 ステップS316では、補機コントローラ28に して補機26の駆動が許可される。パワート インマネージャ12から補機コントローラ28に 、補機駆動許可フラグが提示されている。 17のタイムチャート(G)に示すように、この 機駆動許可フラグがオンとされたとき、補 26の駆動許可が下りたことになる。パワート レインマネージャ12からの駆動許可を受けて 補機コントローラ28は補機26の駆動を開始す る。

 以上説明した処理とは並行して、エンジ コントローラ10においても独自の処理が行 われている。まず、上述のステップS312で出 されたトルク要求は、エンジンコントロー 10の目標トルク計算部102に入力される。目 トルク計算部102は入力されたトルク要求を ースにしてエンジン2の目標トルクを計算し いる。計算された目標トルクは目標トルク 正部108に出力される。

 また、上述のステップS306で出力された将 来情報としての補機駆動トルクは、エンジン コントローラ10の目標効率計算部104に入力さ る。目標効率計算部104は入力された補機駆 トルクを用いて目標効率を計算している。 体的には補機駆動トルクを将来目標値とし 現在の目標トルクの将来目標値に対する比 目標効率として計算している。図17のタイ チャート(D)には目標効率の計算結果を示し いる。計算された目標効率は目標トルク補 部108に出力される。

 図17のタイムチャート(E)には、スロット 開度計算部112による目標開度の計算結果を している。目標トルクと将来目標値(補機駆 トルクに対応)との比が目標効率として出力 されることで、目標トルク補正部108で計算さ れる補正目標トルクの値は将来目標値に一致 する。その結果、スロットル4の目標開度は 速やかに将来目標値に見合った開度まで増 される。

 また、図17のタイムチャート(F)には、点 時期計算部114による最終点火時期の計算結 を示している。タイムチャート(E)に示すよ にスロットル4が開かれる結果、吸入空気量 急増していき、それに伴い推定トルク計算 106で計算される推定トルクも増大していく 点火遅角量の計算の基礎となるトルク効率 目標トルクと推定トルクとの比であるので 吸入空気量の増大に応じてトルク効率は減 していき、トルク効率の減少に伴って点火 期は遅角されていく。やがて目標トルクが 来目標値に一致したタイミングにて点火時 はMBTに戻される。

 以上説明したとおり、本実施の形態の制 装置は、補機26の駆動に係る制御に特徴を している。以下では、その制御の結果生じ 効果についてまとめて説明する。

 パワートレインマネージャ12は補機コン ローラ28から補機26の駆動許可の要求を受け と、補機26の駆動に要するトルク(補機駆動 ルク)からトルクの将来目標値を計算し、将 来目標値の実現に要する所要時間δt2をエン ン2の運転状態から計算する。そして、所要 間δt2に基づいて設定される待機時間δtの経 過後、補機コントローラ28に対して補機26の 動を許可する。この処理と並行してパワー レインマネージャ12は、エンジンコントロー ラ10に対して指示(将来情報)を出し、将来目 値の実現に向けて主アクチュエータである ロットル4を先行して動作させる。このよう 補機26の駆動を許可する前にスロットル4を 行して動作させることで、補機26の駆動に するトルクを短い時間で確実に実現するこ ができる。

 さらに、パワートレインマネージャ12は エンジンコントローラ10に対して指示(将来 報)を出し、スロットル開度を増大させてか 補機26の駆動許可が下りるまでの間、スロ トル開度の増大に伴い生じるトルク変化を 殺するように副アクチュエータである点火 置6を動作させる。点火装置6によって点火時 期の遅角が行なわれることで、補機26の駆動 開始される以前の不要なトルク変化を抑制 ることができる。また、待機時間δtは補機 動トルクに見合った目標トルクの実現に過 足がない時間であり、点火装置6はこの待機 時間δt内で点火時期の遅角を行なうので、点 火時期の遅角時間を必要最小限に抑えること ができる。

 さらに、パワートレインマネージャ12は 補機26の動作特性から生じる遅れ時間δt1を 慮して前記の待機時間δtを設定するので、 ンジン2の出力トルクと補機26の駆動による ルク消費量とのバランスの崩れを抑えるこ ができ、車両駆動ユニット全体としては所 のトルクに維持することができる。また、 機時間δtが最適化されることで、点火時期 遅角時間も必要最小限に抑えることができ 。

 本実施の形態では、補機26と補機コント ーラ28とにより第6の発明の「トルク消費要 」が構成されている。また、パワートレイ マネージャ12によるステップS302,S304及びS306 処理の実施は第6の発明の「将来目標値設定 段」に相当し、ステップS308及びS310の処理 実施は第6の発明の「所要時間計算手段」に 当している。また、エンジンコントローラ1 0の目標効率計算部104、目標トルク補正部108 スロットル開度計算部112及びスロットルド イバ116によって第6の発明の「主アクチュエ タ制御手段」が構成され、目標効率計算部1 04、トルク効率計算部110、点火時期計算部114 び点火装置ドライバ118によって第6の発明の 「副アクチュエータ制御手段」が構成されて いる。

その他.
 以上、本発明の実施の形態について説明し が、本発明は上述の実施の形態に限定され ものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない 囲で種々変形して実施することができる。 えば、次のように変形して実施してもよい

 実施の形態1では、パワートレインマネー ジャ12がエンジン2に対して予約するトルク調 整はトルクの増加調整となっているが、実施 の形態1の制御装置の構成によれば、トルク 減少調整にも対応することができる。この 合は、トルクダウンの実現タイミングより 先行してスロットル4が閉じられ、スロット 開度の減少に伴い生じるトルク変化を相殺 るように点火時期が進角されることになる 実施の形態2及び3に関しても同様である。

 実施の形態4では、補機コントローラ28か パワートレインマネージャ12に補機26の駆動 許可を要求しているが、実施の形態4の制御 置の構成によれば、補機26の停止にも対応す ることができる。この場合は、補機コントロ ーラ28から補機26の停止許可の要求があると 補機26の停止が許可されるに先立ってスロッ トル4が閉じられ、スロットル開度の減少に い生じるトルク変化を相殺するように点火 期が進角されることになる。

 また、実施の形態4の制御装置の構成によ れば、補機26の駆動/停止だけでなく、補機26 駆動量、すなわち、トルク消費量の段階的 変更或いは連続的な変更にも対応すること できる。例えば、補機26がオルタネータで れば、補機コントローラ28からオルタネータ の発電量の変更要求があると、発電量の変更 が許可されるに先立ってスロットル4の開度 変更され、スロットル開度の変化に伴い生 るトルク変化を相殺するように点火時期が 更されることになる。この場合、発電量の 更要求が増量要求であるならば、要求され いる増量の程度に応じてスロットル開度が 大され、それに応じて点火時期が遅角され ことになる。

 実施の形態4において、制御装置を構成し ているエンジンコントローラ10を図12に示す 成のエンジンコントローラ30に置き換えても よい。何れのエンジンコントローラ10,30もパ ートレインマネージャ12から供給されるト ク要求と将来情報とを用いて演算を行なう では共通している。また、実施の形態1で得 れる作用及び効果と、実施の形態3で得られ る作用及び効果とを比較して分かるように、 どちらのエンジンコントローラ10,30を用いて 同じ制御結果を得ることができる。

 実施の形態1において、エンジンコントロ ーラ10をパワートレインマネージャ12と一体 して1つの装置として構成してもよい。実施 形態1と同じ制御結果、つまり、主アクチュ エータと副アクチュエータの動作を実現でき るならば、制御装置を構成する個々の計算要 素の機能には限定はない。実施の形態2乃至4 関しても同様である。

 実施の形態1において、主アクチュエータ 4としてスロットルの代わりに吸気バルブの 大リフト量を変更するバルブリフト量可変 置を用いてもよい。この場合、エンジンコ トローラ10内の構成を変更する必要があるが 、スロットル開度計算部112の代わりに、補正 目標トルクから吸気バルブの最大リフト量を 計算する計算要素を配置すればよい。実施の 形態2乃至4に関しても同様である。

 また、実施の形態1において、副アクチュ エータ6として点火装置の代わりに吸気バル の最大リフト量を変更するバルブリフト量 変装置を用いてもよい。主アクチュエータ4 あるスロットルとバルブリフト量可変装置 を比較すれば、バルブリフト量可変装置の うが動作に対するトルクの応答性が高いの 、副アクチュエータとして使用することが きる。この場合も、エンジンコントローラ1 0内の構成を変更する必要があるが、点火時 計算部114の代わりに、トルク効率から吸気 ルブの最大リフト量を計算する計算要素を 置すればよい。実施の形態2乃至4に関しても 同様である。

 その他、主アクチュエータ或いは副アク ュエータとして、燃料噴射装置、EGR装置或 は可変圧縮比装置を用いることもできる。 た、モータアシスト付きターボチャージャ( MAT)を備えるエンジンでは、MATを副アクチュ ータとして用いることもできる。また、実 の形態1乃至3に関しては、オルタネータ等の エンジンによって駆動される補機を副アクチ ュエータとして用いることもできる。補機の トルク消費量を制御することで、間接的にエ ンジン2のトルク(有効トルク)を調整すること ができる。