OKA NOBUYUKI (JP)
ASADA HIROKAZU (JP)
OHASHI HIDEAKI (JP)
OKA NOBUYUKI (JP)
ASADA HIROKAZU (JP)
JPH09182957A | 1997-07-15 | |||
JPH10249513A | 1998-09-22 | |||
JPH0551278A | 1993-03-02 |
Patent business corporation 3 Edakuni [Hajime] patent firm (JP)
アルミナ-シリカ系材料からなる容器本体と、前記容器本体の内面に形成された窒化珪素-アルミナ系材料からなる保護層とを備える溶湯容器であって、 前記容器本体の材料は、アルミナ及びシリカの合計100重量部に対するアルミナの含有量x重量部が、72~95の範囲に調整されており、 前記保護層の材料は、窒化珪素及びアルミナの合計100重量部に対する窒化珪素の含有量y重量部が、下式(1)及び(2)を満たすように調整されている溶湯容器。 y < -1.1x+ 128 ・・・ (1) y > -0.5x+ 62.5 ・・・ (2) |
本発明は、各種金属溶湯を貯留する溶湯容 器に関する。
溶解炉や保持炉などのように溶湯を生成 保持する溶湯容器においては、容器本体の 傷を防止するために、容器本体の内面に内 材を形成して保護することが従来から行わ ている。
例えば、特許文献1には、マグネシア質材及
びアルミナ質材を含む誘導炉の内張用耐火物
が開示されており、スピネル化により体積収
縮の改善や異物の浸透抑制が図られている。
ところが、上記のような従来の溶湯容器に おいては、耐熱性、耐食性、浸透防止性など の観点から内張材の材料自体については種々 の検討がなされているものの、内張材が容器 本体から剥離するという問題が十分解消され ていないのが現状である。特に、近年におい ては、溶湯品質を向上させることのニーズが 高まっており、溶湯添加物だけでなく過酷な 温度条件にも曝されやすいことから、内張材 の剥離がより顕著になっており、耐久性の低 下が問題となっていた。
そこで、本発明は、高温の溶湯に対する 久性及び耐食性が良好な溶湯容器の提供を 的とする。
本発明の前記目的は、アルミナ-シリカ系 材料からなる容器本体と、前記容器本体の内 面に形成された窒化珪素-アルミナ系材料か なる保護層とを備える溶湯容器であって、 記容器本体の材料は、アルミナ及びシリカ 合計100重量部に対するアルミナの含有量x重 部が、72~95の範囲に調整されており、前記 護層の材料は、窒化珪素及びアルミナの合 100重量部に対する窒化珪素の含有量y重量部 、下式(1)及び(2)を満たすように調整されて る溶湯容器により達成される。
y < -1.1x+ 128 ・・・ (1)
y > -0.5x+ 62.5 ・・・ (2)
本発明によれば、高温の溶湯に対する耐 性及び耐食性が良好な溶湯容器を提供する とができる。
以下、本発明の実施の形態について、添 図面を参照して説明する。図1は、本発明の 一実施形態に係る溶湯容器の一例として示す 誘導炉の縦断面図である。この誘導炉1は、 、銅合金、アルミニウム、特殊鋼、各種用 の金属シリコン等の溶解に広く用いること できる。
図1に示すように、誘導炉1は、坩堝状の 器本体2の内周面に保護層3が形成されており 、容器本体2の外側には誘導コイル4が配置さ ている。容器本体2と誘導コイル4との間に 、珪砂などのバックサンド(不定形材)5が介 されており、誘導コイル4の内周面には断熱 6が配置されている。容器本体2は、円筒状 角筒状など任意の形状とすることができる
容器本体2は、アルミナ(Al2O3)-シリカ(SiO2) の材料からなり、アルミナ及びシリカの合 100重量部に対して、アルミナの含有量がム イト組成を含む72~95重量部の範囲に調整さ ている。アルミナの含有量が72重量部より少 ない(すなわち、シリカの含有量が多い)と、 分な耐熱性を得にくくなる一方、アルミナ 含有量が95重量部より多い(すなわち、シリ の含有量が少ない)と、耐熱衝撃性の低下や 溶湯の浸透が生じやすくなる。容器本体2は アルミナ及びシリカの粉体を所定の混合比 混合し、若干のバインダーを加えて静水圧 形機で成形した後、約1500℃で焼成して製造 ることができる。
アルミナ及びシリカの合計重量は、容器 体2の強度及び熱的安定性を確保するため、 バインダーなどを含む容器本体2の全体重量 90%以上であることが好ましい。アルミナ及 シリカの合計重量がこの範囲に含まれてい 限り、アルミナの一部は、SiC、MgO、ZrO2など の耐火材成分により置換可能であり、更に FeOやNa2Oなどの不可避成分を含んでいてもよ い。
また、保護層3は、窒化珪素-アルミナ系 材料からなる。窒化珪素及びアルミナの合 重量は、容器本体2に対する密着性及び耐食 を確保するため、バインダーなどを含む保 層3の全体重量の90%以上であることが好まし い。窒化珪素の含有量が少ない(すなわち、 ルミナの含有量が多い)と、溶湯に含まれる 加剤のアルカリ成分に対して十分な耐食性 得にくくなる一方、窒化珪素の含有量が多 (すなわち、アルミナの含有量が少ない)と 十分な強度が得にくくなり、溶湯撹拌によ 損耗が大きくなる。保護層3は、窒化珪素及 アルミナの粉体を所定の混合比で混合し、 ガラス等のバインダーを加えて作成したス リーを、容器本体2の内面にスプレーや刷毛 などで塗布した後、約120℃で20時間以上熱処 を施して、形成することができる。保護層 厚みは、薄すぎると耐食性が低下する一方 厚すぎると密着性が低下する傾向にあるた 、0.2~1.0cmが好ましく、0.3~0.6cmがより好まし 。
本発明においては、容器本体2及び保護層 3の材質面での最適化に加え、容器本体2及び 護層3の熱膨張が整合するようにそれぞれの 組成が調整されており、これによって保護層 3が容器本体2から剥離するのを効果的に防止 ている。
具体的には、貯留される溶湯温度を、実用
に最も過酷な条件と考えられる1600℃と仮定
し、容器本体2及び保護層3の厚みを、一般的
値である45mm、6mmにそれぞれ設定して、各素
材の熱伝導率から容器本体2及び保護層3の平
温度を算出すると、容器本体2が約1391℃、
護層3が約1558℃となる。したがって、容器本
体2及び保護層3の熱膨張量がほぼ等しくなる
めには、容器本体2の熱膨張係数をαr、保護
層3の熱膨張係数をαcとすると、1391×αr=1558×
cとなるから、
αc=0.89×αr ・・・(3)
となる。
また、容器本体2の熱膨張量は、主成分と なるアルミナ及びシリカの重量比によって変 動する。アルミナ及びシリカの重量比を横軸 、熱膨張係数を縦軸としたときの測定結果を 、図2に示す。また、保護層3の熱膨張量も、 成分となる窒化珪素及びアルミナの重量比 よって変動することから、窒化珪素及びア ミナの重量比を横軸、熱膨張係数を縦軸と たときの測定結果を、図3に示す。図2及び 3のグラフと上記数式(3)を用いることにより 容器本体2または保護層3の一方の組成が定 れば、熱膨張量がほぼ等しくなるような他 の組成も自ずと定まることになる。
図4は、容器本体2におけるアルミナ及び リカの合計100重量部に対するアルミナの含 量を横軸にとり、保護層3における窒化珪素 びアルミナの合計100重量部に対する窒化珪 の含有量を縦軸にとったときの、両者の好 しい関係を示している。図4から明らかなよ うに、両者の関係は直線的となる。
実際の誘導炉1においては、容器本体2と 護層3との間に若干の熱膨張量の差が存在し も、剥離防止の効果は得られることから、 4の結果を基に、容器本体2及び保護層3の各 成をパラメータとして、実際の誘導炉1によ り約900kgの鋼(S45C)について1600℃で5時間の溶 処理を行い、保護層3のクラックの有無を観 した。この結果を表1に示す。溶湯には炭酸 ナトリウムを1kg添加して、耐食性の確認も併 せて行った。
表1に示すように、容器本体2の組成によ て、クラックが発生しない保護層3の組成範 は変化している。図5は、表1の結果に基づ クラックが発生しない領域(適正領域)を示す グラフであり、太線で囲まれた領域が適正領 域に相当する。図4に示す計算値も、この領 内に存在している。
容器本体2におけるアルミナ及びシリカの 合計100重量部に対するアルミナの含有量をx 量部とし、保護層3における窒化珪素及びア ミナの合計100重量部に対する窒化珪素の含 量をy重量部とすると、72≦x≦95の範囲にお て、下記の数式(1)及び(2)が成立する範囲が 図5の適正領域に相当する。
y < -1.1x+ 128 ・・・ (1)
y > -0.5x+ 62.5 ・・・ (2)
また、クラックの発生しなかったこの適 領域の各ポイントについて、引き続き上記 件での溶解処理を毎日1回行ったところ、20 経過後では、溶湯の浸透も含めて、表2のよ うな結果であった。
表2に示すように、窒化珪素の割合が多く なると、時間の経過により髪の毛状の小さな クラック(ヘアークラック)が発生し、溶湯が 透し易くなって、耐久性が低下する傾向に る。表2の結果から、72≦x≦95の範囲におい 、下記の数式(2)及び(3)が成立する範囲が、 久性及び耐食性のより優れる領域であり(図 5の斜線部)、この斜線部の領域は、72≦x≦85 範囲において、更に耐久性及び耐食性が優 るものとなる。
y > -0.5x+ 62.5 ・・・ (2)
y < -0.9x+ 103 ・・・ (3)
このように、本実施形態の誘導炉1は、容 器本体2が機械的特性、耐熱性、熱的安定性 優れたアルミナ-シリカ系材料からなり、溶 中に含まれる添加剤等による化学的損傷や 溶湯の撹拌流動に伴う物理的損傷を、窒化 素-アルミナ系材料からなる保護層3により 効に防止することができる。更に、容器本 2及び保護層3の組成比を、熱膨張量がほぼ等 しくなるように調整しているので、高温の溶 湯を貯留した場合でも保護層3の剥離を効果 に抑制することができる。これらの結果、 導炉1の耐久性及び耐食性を良好に維持する とができ、誘導炉1の寿命を大幅に改善する ことができる。
本発明の溶湯容器は、上記のような誘導 以外に、例えば、抵抗炉など他の電気炉や 燃焼炉であっても良く、溶湯を貯留可能な 器であれば特に限定されるものではない。
1 誘導炉
2 容器本体
3 保護層
4 誘導コイル
5 バックサンド
6 断熱材
Next Patent: ELECTRONIC COMPONENT AND METHOD FOR MANUFACTURING THE SAME