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Patent Searching and Data


Title:
VIBRATION DAMPING DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/154222
Kind Code:
A1
Abstract:
A vibration damping device comprising: a tubular first mounting member connected to either a vibration generating section or a vibration receiving section; a second mounting member connected to the other of the vibration generating section and the vibration receiving section; a first rubber elastic body for elastically interconnecting the first and second mounting members; and a partition member for partitioning the inside of the first mounting member into a main liquid chamber having a partition wall which is a part of the first rubber elastic body, having liquid sealed therein, and having an inner volume changing as the first rubber elastic body is deformed and into a sub liquid chamber having a partition wall at least a part of which is adapted to be deformable and having liquid sealed therein.  An orifice path for interconnecting the main liquid chamber and the sub liquid chamber is formed between the outer peripheral surface side of the partition member and the inner peripheral surface side of the first mounting member, and the liquid is sealed in the main liquid chamber and the sub liquid chamber.  The liquid contains a first liquid and a second liquid which are not soluble in each other.  The second liquid has smaller surface tension than the first liquid, and the weight of the second liquid in the liquid is less than the weight of the first liquid.

Inventors:
UEKI AKIRA (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/061012
Publication Date:
December 23, 2009
Filing Date:
June 17, 2009
Export Citation:
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Assignee:
BRIDGESTONE CORP (JP)
UEKI AKIRA (JP)
International Classes:
F16F13/08; B60K5/12
Foreign References:
JPH06221372A1994-08-09
JPH10252811A1998-09-22
JPS57163747A1982-10-08
JPS60205041A1985-10-16
JP2001012537A2001-01-16
JPS579340A1982-01-18
JP2003148549A2003-05-21
Other References:
See also references of EP 2302254A4
Attorney, Agent or Firm:
SHIGA Masatake et al. (JP)
Masatake Shiga (JP)
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Claims:
 振動発生部および振動受部のいずれか一方に連結される筒状の第1取付け部材と、
 振動発生部および振動受部のいずれか他方に連結される第2取付け部材と、
 これらの第1、第2取付け部材同士を弾性的に連結する第1ゴム弾性体と、
 前記第1取付け部材の内部を、前記第1ゴム弾性体を隔壁の一部として液体が封入され、かつ第1ゴム弾性体の変形により内容積が変化する主液室と、隔壁の少なくとも一部が変形可能に形成され、かつ液体が封入される副液室と、に区画する仕切り部材と、が備えられ、
 前記仕切り部材の外周面側と第1取付け部材の内周面側との間に、主液室と副液室とを連通するオリフィス通路が形成されるとともに、これらの主液室および副液室に液体が封入された防振装置であって、
 前記液体は、互いに不溶な第1液体および第2液体を含有し、この第2液体は、第1液体よりも表面張力が小さくかつ前記液体中に含まれる重量が少ないことを特徴とする防振装置。
 請求項1記載の防振装置であって、
 前記第2液体は、第1液体の主たる成分の蒸気圧よりも蒸気圧が高いことを特徴とする防振装置。
 請求項1または2に記載の防振装置であって、
 前記第1液体はエチレングリコール単体若しくはエチレングリコールとプロピレングリコールとを含有し、前記第2液体はシリコーンオイル若しくはフッ素オイルを含有することを特徴とする防振装置。
 請求項1から3のいずれか1項に記載の防振装置であって、
 前記液体は、第1液体を60重量%以上99.9重量%以下含有し、第2液体を0.1重量%以上40重量%以下含有していることを特徴とする防振装置。
Description:
防振装置

 本発明は、例えば自動車や産業機械等に適 され、エンジン等の振動発生部の振動を吸 および減衰する防振装置に関するものであ 。
 本願は、2008年6月17日に日本国に出願された 特願2008-158351号に基づき優先権を主張し、そ 内容をここに援用する。

 この種の防振装置として、従来から、振動 生部および振動受部のいずれか一方に連結 れる筒状の第1取付け部材と、振動発生部お よび振動受部のいずれか他方に連結される第 2取付け部材と、これらの第1、第2取付け部材 同士を弾性的に連結する第1ゴム弾性体と、 記第1取付け部材の内部を、前記第1ゴム弾性 体を隔壁の一部として液体が封入され、かつ 第1ゴム弾性体の変形により内容積が変化す 主液室と、隔壁の少なくとも一部が変形可 に形成され、かつ液体が封入される副液室 、に区画する仕切り部材と、が備えられ、 記仕切り部材の外周面側と第1取付け部材の 周面側との間に、主液室と副液室とを連通 るオリフィス通路が形成されるとともに、 れらの主液室および副液室に液体が封入さ た構成が知られている。
 この防振装置においては従来から、路面の 凸等により大きな振動(荷重)が入力されて 液室の液圧が急激に上昇した後、例えば第1 ム弾性体のリバウンド等によって逆方向に 動が入力されたときに、主液室が負圧にな ことがある。この際、主液室内の液中に多 の気泡が生成されるキャビテーションが発 する。その後、主液室内の液圧が上昇する に伴って気泡が液中から消滅する時に衝撃 が発生し、この衝撃波が第1取付け部材等の 金属材料に伝播することで異音が生ずる。
 このような異音の発生を防ぐ手段として、 えば下記特許文献1に示されるように、仕切 り部材に主液室と副液室とを連通する連通孔 をオリフィス通路とは別に形成して、この連 通孔に弁を設け、主液室の液圧が急激に上昇 した後、負圧になろうとしたときに、この弁 を開いて主液室と副液室とを短絡させて主液 室の液圧が低下するのを抑えることにより、 キャビテーションが発生するのを未然に防止 する構成が知られている。

特開2003-1485489号公報

 しかしながら、前記従来の防振装置では 連通孔や弁等が設けられていたので、構造 複雑になるばかりでなく、前述のように弁 開くときの液圧を調整するチューニングも 難で不意に弁が開いて減衰性能を悪化させ おそれもあった。

 この発明は、このような事情を考慮して されたもので、構造を複雑にすることなく また減衰性能を悪化させることもなく、発 する異音の大きさを低減することができる 振装置を提供することを目的とする。

 上記課題を解決して、このような目的を 成するために、本発明の防振装置は、振動 生部および振動受部のいずれか一方に連結 れる筒状の第1取付け部材と、振動発生部お よび振動受部のいずれか他方に連結される第 2取付け部材と、これらの第1、第2取付け部材 同士を弾性的に連結する第1ゴム弾性体と、 記第1取付け部材の内部を、前記第1ゴム弾性 体を隔壁の一部として液体が封入され、かつ 第1ゴム弾性体の変形により内容積が変化す 主液室と、隔壁の少なくとも一部が変形可 に形成され、かつ液体が封入される副液室 、に区画する仕切り部材と、が備えられ、 記仕切り部材の外周面側と第1取付け部材の 周面側との間に、主液室と副液室とを連通 るオリフィス通路が形成されるとともに、 れらの主液室および副液室に液体が封入さ た防振装置であって、前記液体は、互いに 溶な第1液体および第2液体を含有し、この 2液体は、第1液体よりも表面張力が小さくか つ前記液体中に含まれる重量が少ないことを 特徴とする。

 この発明では、主液室および副液室に封入 れた液体が互いに不溶な第1液体および第2 体を含有し、かつ第2液体の含有量が第1液体 よりも少なく、さらに第2液体の表面張力が 1液体の表面張力よりも小さいので、大きな 動(荷重)が入力されると、例えば液体が制 通路を通過したり、液室の内容積が変動し り、さらには液体にキャビテーションが発 したりすること等に起因して、粒状になっ 無数の第2液体が第1液体中に分散される。
 これにより、主液室内において特に液体の 速が高くなる制限通路の開口付近で、第1液 体のみならず第2液体でもキャビテーション 発生することになり、液体が第2液体を含有 ていない場合に比べて、第1液体中に発生す る気泡の成長が抑えられる。したがって、第 1液体中のキャビテーション崩壊に起因して 生する衝撃波を小さく抑えることができる なお、上述の第1液体と第2液体とが互いに不 溶な状態は、極性流体と、非極性流体とを混 合することで得られる。

 一方、第2液体は、第1液体中で前述のよう 分散しているので、この第2液体中で発生す 気泡の成長が抑えられ、凝縮時における気 の収縮速度が高くなるのが抑制されること なり、第2液体中のキャビテーション崩壊に 起因して発生する衝撃波を小さく抑えること ができる。
 以上より、液体が第2液体を含有せず第1液 のみを含有している場合と比べて、液室内 液体全体で発生する衝撃波を小さく抑える とが可能になり、発生する異音の大きさを 減することができる。

 さらに、第1液体中で分散されている個々の 第2液体からの無数の衝撃波同士が、互いに 渉し合いそのエネルギーを打ち消し合うこ となり、前述のように第2液体中で発生する 撃波が小さく抑えられることと同時に、こ 第2液体からの衝撃波が防振装置の外側に伝 播するのを防ぐことができる。
 なお、その後さらに振動(荷重)が繰り返し 力されると、第2液体が第1液体中でより一層 細かくかつ全域にわたって均等に分散される こととなり、前述の作用効果が効果的に奏功 される。

 さらに、例えば弁機構等といった新たな 構を追加しなくてもよいので、この防振装 の複雑化を回避することができるとともに 前記従来技術のように弁を開いて主液室と 液室とを短絡させることなく、発生する異 の大きさを低減することが可能になるので このような作用効果が奏される一方で、減 性能を悪化させるおそれが生じてしまうの 防ぐことが可能になり、減衰性能を安定さ ることができる。

 ここで、前記第2液体は、第1液体の主たる 分の蒸気圧よりも同一温度での蒸気圧が高 てもよい。
 この場合、前記液体が、互いに不溶でかつ 一温度での蒸気圧が異なる第1液体および第 2液体を含有しているので、この液体全体の 気圧が、第1液体単体の蒸気圧および第2液体 単体の蒸気圧よりも高くなる。
 したがって、前述のように主液室内の液圧 低下する過程で、前記液体中において第1液 体と第2液体との界面領域でキャビテーショ が発生し始める液圧が、主液室および副液 に第1液体単体若しくは第2液体単体を封入し た場合と比べて高くなる。

 ここで、第2液体が第1液体の主たる成分 蒸気圧よりも蒸気圧が高いので、その後さ に継続して主液室内の液圧が低下する過程 、前記界面領域の中でも第1液体の主たる成 および第2液体のうち同一温度での蒸気圧が 高い第2液体側で優先的にキャビテーション 発生させつつ、このキャビテーションによ 生成された気泡を膨張させることにより、 の液圧の低下を抑制することが可能になり 第1液体の主たる成分中に前述の気泡が生成 れるのをより一層抑えることができる。

 また、前記第1液体はエチレングリコール単 体若しくはエチレングリコールとプロピレン グリコール或いは水やその他の極性流体とを 含有し、前記第2液体はシリコーンオイル若 くはフッ素オイルを含有してもよい。なお 前記第2液体として、高級アルコール、ヘキ ン、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテ 、クロロホルム、酢酸エチル、塩化メチレ 、或いは、フェノキシエタノール等のフェ ール類を使用しても良い。
 さらに、前記液体は、第1液体を60重量%以上 99.9重量%以下含有し、第2液体を0.1重量%以上40 重量%以下含有してもよい。
 これらの場合、減衰性能を低下させること く前述の作用効果が確実に奏されることに る。
 さらにまた、シリコーンオイルおよびフッ オイルは、エチレングリコールおよびプロ レングリコールと比べて高価であるものの 第2液体は、第1液体よりも液体中に含まれ 重量が少ないので、この防振装置のコスト 上昇するのを抑えることができる。

 この発明によれば、構造を複雑にするこ なく、また減衰性能を悪化させることもな 、発生する異音の大きさを低減することが きる。

本発明に係る一実施形態として示した 振装置の縦断面図である。 本発明に係る一実施形態として示した 振装置において、第2液体が第1液体中で分 していない状態において防振装置に作用す 加速度を測定したグラフである。 本発明に係る一実施形態として示した 振装置において、第2液体が第1液体中で分 している状態において防振装置に作用する 速度を測定したグラフである。 従来の防振装置に作用する加速度を測 したグラフである。 異なる第1液体と第2液体との組合せを いた場合の液体中における第2液体の重量%の 変化と、本発明に係る一実施形態として示し た防振装置に作用する加速度との相関関係を 示すグラフである。 異なる第1液体と第2液体との組合せを いた場合の液体中における第2液体の重量%の 変化と、本発明に係る一実施形態として示し た防振装置に作用する加速度との相関関係を 示すグラフである。 異なる第1液体と第2液体との組合せを いた場合の液体中における第2液体の重量%の 変化と、本発明に係る一実施形態として示し た防振装置に作用する加速度との相関関係を 示すグラフである。 異なる第1液体と第2液体との組合せを いた場合の液体中における第2液体の重量%の 変化と、本発明に係る一実施形態として示し た防振装置に作用する加速度との相関関係を 示すグラフである。 異なる第1液体と第2液体との組合せを いた場合の液体中における第2液体の重量%の 変化と、本発明に係る一実施形態として示し た防振装置の損失係数低下率との相関関係を 示すグラフである。 異なる第1液体と第2液体との組合せを いた場合の液体中における第2液体の重量% 変化と、本発明に係る一実施形態として示 た防振装置の損失係数低下率との相関関係 示すグラフである。

 10 防振装置
 11 第1取付け部材
 12 第2取付け部材
 13 第1ゴム弾性体
 14 主液室
 15 副液室
 16 仕切り部材
 24 オリフィス通路
 L 液体
 O 中心軸線

 以下、本発明に係る防振装置の一実施形 を、図1を参照しながら説明する。この防振 装置10は、振動発生部および振動受部のいず か一方に連結される筒状の第1取付け部材11 、振動発生部および振動受部のいずれか他 に連結される第2取付け部材12と、これらの 1、第2取付け部材11、12同士を弾性的に連結 る第1ゴム弾性体13と、第1取付け部材11の内 を後述する主液室14と副液室15とに区画する 仕切り部材16と、を備えている。

 なお、これらの各部材はそれぞれ、上面視 形状若しくは円環状に形成されるとともに 共通軸と同軸に配置されている。以下、こ 共通軸を中心軸線Oという。
 そして、この防振装置10が例えば自動車に 着された場合、第2取付け部材12が振動発生 としてのエンジンに連結される一方、第1取 け部材11が図示されないブラケット等を介 て振動受部としての車体に連結されること より、エンジンの振動を車体に伝達するの 抑えられる。

 第2取付け部材12は柱状に形成されるとと に、第1取付け部材11における前記中心軸線O 方向の一端開口部に配置されており、第1ゴ 弾性体13は、第1取付け部材11の一端開口部と 第2取付け部材12の外周面とに接着されて、第 1取付け部材11を前記中心軸線O方向の一端側 ら閉塞している。なお、第2取付け部材12の 端面には雌ねじ部が形成されている。また 第2取付け部材12の軸方向一端部は、第1取付 部材11における前記中心軸線O方向の一端開 面よりも前記中心軸線O方向の外方に突出し ている。

 さらに、第1取付け部材11における前記中 軸線O方向の他端開口部にはダイヤフラム19 配設されている。このダイヤフラム19は上 視円形状に形成されるとともに、前記中心 線O方向の他端側に向けて開口した逆椀状体 ある。また、このダイヤフラム19の外周縁 には、その全周にわたってリング板19aの内 面が加硫接着されている。そして、このリ グ板19aが、第1取付け部材11の前記他端開口 内に嵌合されることにより、ダイヤフラム19 は第1取付け部材11を前記中心軸線O方向の他 側から閉塞している。

 以上の構成において、第1取付け部材11の 部のうち、ダイヤフラム19と第1ゴム弾性体1 3との間に位置する部分が、これらのダイヤ ラム19および第1ゴム弾性体13によって液密に 閉塞され、後述する液体Lが充填された液室 なる。そして、この液室は、仕切り部材16に よって、第1ゴム弾性体13を隔壁の一部に有し この第1ゴム弾性体13の変形により内容積が変 化する主液室14と、ダイヤフラム19を隔壁の 部に有しこのダイヤフラム19の変形により内 容積が変化する副液室15と、に区画されてい 。

 ここで、仕切り部材16の外周面側と第1取付 部材11の内周面側との間には、第1取付け部 11の周方向に沿って延びるオリフィス通路24 が形成されている。
 図示の例では、仕切り部材16は円環状に形 され、その外周面に形成された周溝が前記 リフィス通路24とされ、このオリフィス通路 24は、前記径方向の外側から第1取付け部材11 内周面に被覆されたゴム膜18によって閉塞 れている。なお、ゴム膜18は第1ゴム弾性体13 と一体に形成され、第1取付け部材11の内周面 は第1ゴム弾性体13およびゴム膜18により全域 わたって覆われている。また、仕切り部材1 6の径方向内側には円板状のゴム部材16aが配 されており、円環状に形成された仕切り部 16の径方向中央部を閉塞している。
 さらに、本実施形態では、この防振装置10 、主液室14が鉛直方向上側に位置しかつ副液 室15が鉛直方向下側に位置するように取り付 られて用いられる圧縮式である。

 そして、本実施形態では、前記液体Lは、 互いに不溶な第1液体および第2液体を含有し いる。第2液体は、第1液体よりも表面張力 小さくかつ前記液体L中に含まれる重量が少 い。また、第2液体は、第1液体の主たる成 の蒸気圧よりも同一温度での蒸気圧が高い なお、第2液体は、少なくとも-30℃以上100℃ 下の温度範囲で、第1液体の主たる成分の蒸 気圧よりも同一温度での蒸気圧が高くかつ表 面張力が小さい。例えば、第2液体の蒸気圧 第1液体の主たる成分の蒸気圧の2倍以上であ る。

 以上のような第1液体としては、例えばエチ レングリコールとプロピレングリコールとを 含有するもの若しくはエチレングリコール単 体或いはエチレングリコールと水やその他の 極性流体の混合液等が挙げられ、また第2液 としては、例えばシリコーンオイル若しく フッ素オイル等が挙げられる。なお、前記 2液体として、高級アルコール、ヘキサン、 ンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、ク ロホルム、酢酸エチル、塩化メチレン、或 は、フェノキシエタノール等のフェノール を使用しても良い。また、前記液体Lは、第 1液体を60重量%以上99.9重量%以下含有し、第2 体を0.1重量%以上40重量%以下含有している。 ましくは、前記液体Lは、第1液体を80重量% 上99重量%以下含有し、第2液体を1重量%以上20 重量%以下含有している。なお、第2液体は、 1液体よりも粘度が低い。また例えば、本実 施形態による防振装置のサイズに応じて、第 1液体と第2液体の混合液80g~200gの内、第2液体 0.8g~40g含まれている。
 ここで、図5~図8は、異なる第1液体と第2液 との組合せを用いた場合の前記液体L中での 2液体の重量%の変化と、本発明に係る一実 形態として示した防振装置に大きな振動が 力された場合に防振装置に作用する加速度( 動加速度)との相関関係を横軸に第2液体の 量%、縦軸に加速度を表示して示したグラフ ある。図9~図10は、異なる第1液体と第2液体 の組合せを用いた場合の前記液体L中での第 2液体の重量%の変化と、本発明に係る一実施 態として示した防振装置の損失係数低下率 の相関関係を横軸に第2液体の重量%、縦軸 損失係数低下率を表示して示したグラフで る。図5は、第1液体にエチレングリコール、 第2液体にフッ素オイル(住友スリーエム社製 商品名:ノベックHFE7300)を用いた場合である 図6は、第1液体にエチレングリコール、第2 体にシリコーンオイルを用いた場合である 図7は、第1液体にエチレングリコールとプ ピレングリコールの混合液、第2液体にフッ オイル(住友スリーエム社製、商品名:ノベ クHFE7300)を用いた場合である。図8は、第1液 にエチレングリコールとプロピレングリコ ルの混合液、第2液体にシリコーンオイルを 用いた場合である。図9は、第1液体にエチレ グリコール、第2液体にフッ素オイル(住友 リーエム社製、商品名:ノベックHFE7300)を用 た場合である。図10は、第1液体にエチレン リコール、第2液体にシリコーンオイルを用 た場合である。図5~8より、第2液体の含有量 が0.1重量%以上で上記防振装置に作用する加 度の低減効果が現れ、第2液体の含有量が1重 量%以上では上記防振装置に作用する加速度 低減効果が更に顕著に現れることが分かる また、図9,10より、第2液体の含有量が20重量% 以上で上記防振装置の損失係数低下率の低減 効果が落ち始め、第2液体の含有量が40重量% 上では上記防振装置の損失係数低下率の低 効果が更に顕著に落ちることが分かる。こ らのことから、上述の第1液体、第2液体の好 ましい重量%での含有量を決定することがで る。
 さらに、前記液体Lは、少なくともこの防振 装置10に路面の凹凸等により大きな振動(荷重 )が入力されたときに、第1液体中に第2液体が 第1液体に対して分離した状態で多数箇所に 散された態様になる。

 以上説明したように、本実施形態による防 装置10によれば、主液室14および副液室15に 入された液体Lが、互いに不溶な第1液体お び第2液体を含有しているので、路面の凹凸 により大きな振動が入力されて主液室14の 圧が急激に上昇した後、例えば第1ゴム弾性 13のリバウンド等によって逆方向に振動が 力されて主液室14内の液圧が低下したときに 、前記液体L中において第1液体と第2液体との 界面領域の中で第1液体側および第2液体側の 方でキャビテーションを発生させることが 能になる。
 したがって、前記液体Lが第2液体を含まな 場合と比べて、第1液体中に気泡が生成され のを抑制することが可能になり、主液室14 液圧が上昇して元の液圧に戻る過程で、こ 第1液体中で気泡が潰されて衝撃波が発生す のを抑えることができる。

 ここで、第2液体は第1液体よりも表面張力 小さいので、混合液中に容易に分散し、キ ビテーションにより生成された気泡が潰さ て発生する衝撃波が相互に干渉し、衝撃波 エネルギーが、第1液体中のものよりも第2液 体中のものが低くなる。
 したがって、前述のように第1液体中で衝撃 波が発生するのを抑えられることと同時に、 前記液体L全体に発生する衝撃波のエネルギ を低くすることが可能になり、発生する異 の大きさを低減することができる。

 しかも、第1液体よりも表面張力が小さい 第2液体の前記液体L中に含まれる重量が、第1 液体よりも少ないので、第2液体が第1液体と べて相変化し易いことに起因して、前述の 用効果が奏される反面、例えばアイドル振 やシェイク振動が加えられる通常時にもキ ビテーションが発生し易くなってオリフィ 通路24で奏される液柱共振作用が発揮され くなってしまう等の不具合の発生を防ぐこ が可能になる。

 また、前記液体Lが、互いに不溶でかつ同一 温度での蒸気圧が異なる第1液体および第2液 を含有しているので、この液体L全体の蒸気 圧が、第1液体単体の蒸気圧および第2液体単 の蒸気圧よりも高くなる。
 したがって、前述のように主液室14内の液 が低下する過程で、前記液体L中において第1 液体と第2液体との界面領域でキャビテーシ ンが発生し始める液圧が、主液室14および副 液室15に第1液体単体若しくは第2液体単体を 入した場合と比べて高くなる。

 ここで、第2液体が第1液体の主たる成分 蒸気圧よりも同一温度での蒸気圧が高いの 、その後さらに継続して主液室14内の液圧が 低下する過程で、前記界面領域の中でも第1 体の主たる成分および第2液体のうち同一温 での蒸気圧が高い第2液体側で優先的にキャ ビテーションを発生させつつ、このキャビテ ーションにより生成された気泡を膨張させる ことにより、この液圧の低下を抑制すること が可能になり、第1液体の主たる成分中に前 の気泡が生成されるのをより一層抑えるこ ができる。

 さらに、例えば弁機構等といった新たな 構を追加しなくてもよいので、この防振装 10の複雑化を回避することができるととも 、前記従来技術のように弁を開いて主液室 副液室とを短絡させることなく、発生する 音の大きさを低減することが可能になるの 、このような作用効果が奏される一方で、 衰性能を悪化させるおそれが生じてしまう を防ぐことが可能になり、減衰性能を安定 せることができる。

 また、第1液体がエチレングリコール単体若 しくはエチレングリコールとプロピレングリ コール或いは水やその他の極性流体とを含有 し、第2液体がシリコーンオイル若しくはフ 素オイルであり、さらに、前記液体Lが、第1 液体を60重量%以上99.9重量%以下含有し、第2液 体を0.1重量%以上40重量%以下含有しているの 、減衰性能を低下させることなく前述の作 効果が確実に奏されることになる。なお、 記第2液体として、高級アルコール、ヘキサ 、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル クロロホルム、酢酸エチル、塩化メチレン 或いは、フェノキシエタノール等のフェノ ル類を使用しても良い。
 さらにまた、シリコーンオイルおよびフッ オイルは、エチレングリコールおよびプロ レングリコールと比べて高価であるものの 第2液体は、第1液体よりも液体L中に含まれ 重量が少ないので、この防振装置10のコス が上昇するのを抑えることができる。

 さらに本実施形態では、前記液体Lが、少な くともこの防振装置10に路面の凹凸等により きな振動が入力されたときに、第1液体中に 第2液体が第1液体に対して分離した状態で多 箇所に分散された態様になるので、主液室1 4内の前記液体L中において前述の気泡が生成 れる箇所を、所定の箇所に集中させること く分散させることが可能になる。
 したがって、前記衝撃波の発生箇所を主液 14内の液体L中で分散させることが可能にな 、この衝撃波が液体L中を進行して例えば防 振装置10において金属材料で形成された部分 伝播するまでの間に、そのエネルギーを衝 波相互間で干渉させ合うことにより減衰さ ることができる。
 これにより、衝撃波が防振装置10において 属材料で形成された部分に伝播しても、こ 部分が振動するのを抑制することが可能に り、発生する異音の大きさをより一層確実 低減することができる。
 ここで、図2は本発明に係る一実施形態とし て示した防振装置において、第2液体が第1液 中で分散していない状態、即ち第1液体と第 2液体が分離している状態において、大きな 動が防振装置に入力された場合に防振装置 作用する加速度を、横軸に時間、縦軸に加 度を表示して測定したグラフである。図3は 本発明に係る一実施形態として示した防振 置において、第2液体が第1液体中で分散し いる状態において、図2の場合と同様の大き 振動が防振装置に入力された場合に防振装 に作用する加速度を、横軸に時間、縦軸に 速度を表示して測定したグラフである。図4 は、従来の防振装置において、図2の場合と 様の大きな振動が防振装置に入力された場 に作用する加速度を、横軸に時間、縦軸に 速度を表示して測定したグラフである。
 なお、図2及び図3に示す本実施形態による 振装置は、第1液体であるエチレングリコー (沸点:197.1℃、表面張力:48mN/m)197.5ccに、第2 体としてフッ素オイルHFE7300(沸点:98℃、表面 張力:15.0mN/m)を2.5cc注入し、総液量を200ccとし 防振装置の場合の実施例である。
 上述のような本実施形態によれば、図3に示 すように、第2液体が第1液体中で分散してい 状態において防振装置に作用する加速度を も低減することが可能である。即ち、発生 る異音の大きさを一層確実に低減すること できる。
 また、図2に示すように、第2液体が第1液体 で分散していなくとも、第1液体に第2液体 混合するだけでも、図4に示す従来の防振装 に比べて、防振装置に作用する加速度の低 効果が顕著に現れることが分かる。

 なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形 に限定されるものではなく、本発明の趣旨 逸脱しない範囲において種々の変更を加え ことが可能である。
 例えば、第1液体および第2液体は、前述し ものに限らず、動粘度が比較的低く(25℃に いて1×10 -4 m 2 /s以下)、沸点が比較的高く(80℃以上)かつ凝 点が比較的低い(0℃以下)液体であれば、適 変更してもよい。
 また、防振装置10として圧縮式を示したが 主液室14が鉛直方向下側に位置しかつ副液室 15が鉛直方向上側に位置するように取り付け れて用いられる吊り下げ式の防振装置にも 用可能である。
 さらに、前記液体Lは、二種類の液体に限ら ず、三種類以上の液体を含有してもよい。
 また、前記液体Lには、例えば乳化剤等の界 面活性剤を混入してもよい。この場合、前記 液体L中で防振装置10を組み立てることでこの 組み立てと同時に主液室14および副液室15に 体Lを封入する場合に、効率よくこの防振装 10を製造することができる。
 さらに、例えば仕切り部材16の表面におい オリフィス通路24を除く主液室14内に位置す 部分をゴム膜等で覆う等して、異音の発生 防ぐようにしてもよい。
 また、前記実施形態では、第2液体として、 第1液体の主たる成分の蒸気圧よりも同一温 での蒸気圧が高い材質を示したが、同一温 での第1液体の蒸気圧の大きさ以下の材質を 用してもよい。この場合の作用及び効果は 下のように説明できる。
 即ち、主液室および副液室に封入された液 が互いに不溶な第1液体および第2液体を含 し、かつ第2液体の含有量が第1液体よりも少 ないので、大きな振動(荷重)が入力されると 例えば液体が制限通路を通過したり、液室 内容積が変動したり、さらには液体にキャ テーションが発生したりすること等に起因 て、粒状になった無数の第2液体が第1液体 に分散される。
 そして、主液室内において特に液体の流速 高くなる制限通路の開口付近で、第1液体お よび第2液体のうち蒸気圧の高い第1液体で優 的にキャビテーションが発生し始めるが、 の際、発生した気泡を覆う第1液体の熱が気 化熱により奪われ、第1液体の温度が低下す ことで、第1液体の蒸気圧が低下し、気泡の 長が抑えられ、さらにこの第1液体の温度が 第2液体の温度よりも大きく低下したときに 第2液体中でキャビテーションが発生し始め ことで第1液体の気泡の成長が抑えられる。 なお、第2液体の蒸発潜熱が、第1液体の蒸発 熱よりも小さいものを選ぶことで、この効 をより一層顕著にできる。この際、第2液体 は、第1液体中で前述のように分散している で、この第2液体中で発生する気泡が大きく 長するのが抑えられる。したがって、凝縮 における気泡の収縮速度が高くなるのが抑 されることとなり、第2液体中のキャビテー ション崩壊に起因して発生する衝撃波を小さ く抑えることができる。
 以上より、液室内の液体全体で発生する衝 波を小さく抑えることが可能になり、発生 る異音の大きさを低減することができる。
 さらに、第1液体中で分散されている個々の 第2液体からの無数の衝撃波同士が、互いに 渉し合いそのエネルギーを打ち消し合うこ となり、前述のように第2液体中で発生する 撃波が小さく抑えられることと同時に、こ 第2液体からの衝撃波が防振装置の外側に伝 播するのを防ぐことができる。
 なお、その後さらに振動(荷重)が繰り返し 力されると、第2液体が第1液体中でより一層 細かくかつ全域にわたって均等に分散される こととなり、前述の作用効果が効果的に奏功 される。

 構造を複雑にすることなく、また減衰性 を悪化させることもなく、発生する異音の きさを低減することができる。




 
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