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Title:
WATER-SOLUBLE AZO COMPOUND OR SALT THEREOF, INK COMPOSITION, AND COLORED MATERIAL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/142989
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a water-soluble azo compound represented by the formula (1) or a salt thereof. Also disclosed is an ink composition comprising the water-soluble azo compound or the salt thereof. The compound has a hue having high clearness suitable for ink-jet recording, can provide a recorded material having high water-resistant fastness and can be prepared into an ink composition having excellent storage stability. (1) wherein n represents a number of 1 or 2; x represents a number of 2 to 4; and A represents a bivalent linkage group represented by any one of the general formulae (2) to (4): (2); (3); and (4) wherein y represents an integer of 2 to 6; and w represents an integer of 1 to 4.

Inventors:
MORITA RYOUTAROU (JP)
KAWAIDA YOSHIAKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/058475
Publication Date:
November 27, 2008
Filing Date:
May 07, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NIPPON KAYAKU KK (JP)
MORITA RYOUTAROU (JP)
KAWAIDA YOSHIAKI (JP)
International Classes:
C09B43/16; B41J2/01; B41M5/00; C07D251/70; C09D11/00
Domestic Patent References:
WO2007049366A12007-05-03
Foreign References:
JPH04233975A1992-08-21
JPS55135166A1980-10-21
JPH083469A1996-01-09
GB595181A1947-11-28
Attorney, Agent or Firm:
SAEKI, Norio (Aminosan Kaikan Building 15-8, Nihonbashi 3-chom, Chuo-ku Tokyo 27, JP)
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Claims:
下記式(1)


(式(1)中、nは1又は2、xは2から4、Aは下記式(2)~(4)のいずれか1つで表される二価の結合基を示す)
式(2)~(4)


(式中、yは2から6の整数、wは1から4の整数を示す)
で表される水溶性アゾ化合物又はその塩。
下記式(5)


で表される請求項1に記載の水溶性アゾ化合物又はその塩。
請求項1又は請求項2に記載の水溶性アゾ化合物又はその塩を含有するインク組成物。
水溶性有機溶剤を含有する請求項3に記載のインク組成物。
インクジェット記録用である請求項3又は請求項4に記載のインク組成物。
(a)請求項1又は請求項2に記載の水溶性アゾ化合物又はその塩を含有するインク組成物、又は、(b)請求項1又は請求項2に記載の水溶性アゾ化合物又はその塩及び水溶性有機溶剤を含有するインク組成物のいずれかのインク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に記録を行うことを特徴とするインクジェット記録方法。
被記録材が情報伝達用シートである請求項6に記載のインクジェット記録方法。
情報伝達用シートが普通紙又は多孔性白色無機物を含むインク受容層を有するシ-トである請求項7に記載のインクジェット記録方法。
(a)請求項1又は請求項2に記載の水溶性アゾ化合物又はその塩、又は(b)請求項1又は請求項2に記載の水溶性アゾ化合物又はその塩を含有するインク組成物、又は、(c)請求項1又は請求項2に記載の水溶性アゾ化合物又はその塩及び水溶性有機溶剤の両者を含有するインク組成物のいずれかで着色された着色体。
着色がインクジェットプリンタによりなされた請求項9に記載の着色体。
請求項1又は請求項2に記載の水溶性アゾ化合物又はその塩を含有するインク組成物、又は、請求項1又は請求項2に記載の水溶性アゾ化合物又はその塩及び水溶性有機溶剤の両者を含有するインク組成物のいずれかのインク組成物を含む容器が装填されたインクジェットプリンタ。
Description:
水溶性アゾ化合物又はその塩、 ンク組成物及び着色体

 本発明は水溶性のアゾ化合物又はその塩 これを含有するインク組成物及びこれによ 着色された着色体に関する。

 各種カラー記録方法の中で、その代表的方 の一つであるインクジェットプリンタによ 記録方法は、インクの吐出方式が各種開発 れているが、いずれもインクの小滴を発生 せ、これを種々の被記録材料(紙、フィルム 、布帛等)に付着させ記録を行うものである この方法は、記録ヘッドと被記録材料とが 接接触しない為、音の発生がなく静かであ 、また小型化、高速化、カラー化が容易と う特長の為、近年急速に普及しつつあり、 後とも大きな伸長が期待されている。従来 万年筆、フェルトペン等のインク及びイン ジェット記録用インクとしては、水溶性の 料を水性媒体に溶解したインクが使用され おり、これらの水性インクにおいてはペン やインク吐出ノズルでのインクの目詰まり 防止すべく、一般に水溶性の有機溶剤が添 されている。これらのインクにおいては、 分な濃度の記録画像を与えること、ペン先 ノズルの目詰まりを生じないこと、被記録 上での乾燥性がよいこと、滲みが少ないこ 、保存安定性に優れること等が要求される また形成される記録画像には、耐水性、耐 性、耐光性、および耐ガス性等の堅牢度が められている。
 インクジェットのノズル詰まりは、ノズル 近でインク中の水分が他の溶剤や添加剤よ も先に蒸発し、水分が少なく溶剤や添加剤 多いという組成状態になったときに色素が 晶化し析出することに由来するものが多い よって、インクを蒸発乾燥させた場合にお ても結晶が析出しにくいということが非常 重要な要求性能の一つである。またこの理 により、溶剤や添加剤に対する高い溶解性 色素に求められる性質のひとつである。

 ところで、コンピューターのカラーディ プレー上の画像又は文字情報をインクジェ トプリンタによりカラ-で記録するには、一 般にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブ ラック(K)の4色のインクによる減法混色が用 られ、これにより記録画像がカラーで表現 れる。CRT(ブラウン管)ディスプレー等におけ るレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)による加 法混色画像を減法混色画像で出来るだけ忠実 に再現するには、インクに使用される各色素 、中でもY、M、Cのそれぞれが、標準に近い色 相を有し且つ鮮明であることが望まれる。又 、インクは長期の保存に対して安定であり、 また前記のようにプリントした画像の濃度が 高く、しかもその画像が耐水性、耐湿性、耐 光性及び耐ガス性等の堅牢度に優れている事 が求められる。

 近年のインクジェット技術の発達により インクジェット印刷のスピードの向上がめ ましく、オフィス環境での主用途である普 紙へのドキュメントの印刷に、電子トナー 用いたレーザープリンターのように、イン ジェットプリンターを用いる動きが出てい 。インクジェットプリンターは記録紙の種 を選ばない、機械の価格が安いという利点 あり、特にスモールオフィス・ホームオフ ス(SOHO)等の小~中規模オフィス環境で普及が 進んでいる。このように普通紙への印刷用途 でインクジェットプリンターを使用する場合 、印刷物に求められる品質の中では、色相や 耐水性がより重視される傾向がある。これら の性能を満たす為に顔料インクを用いるとい う方法が提案されているが、顔料インクを用 いるとそのインクの安定性の問題やヘッドの ノズル詰まりの問題などがある。また、顔料 インクを使用した場合、耐擦性にも問題が出 ることが多い。染料インクの場合このような 問題は比較的起こりにくいとされるが、特に 耐水性において顔料インクと比較して著しく 劣り、それに対する改良が強く望まれている 。

 普通紙上での耐水性向上という問題に対 ては古くから多くの提案がなされている。 水性に優れ、色相や耐光性などの改良を行 たインクジェット用のイエロー色の色素と ては、例えば特許文献1に記載の染料が提案 されている。

特開平4-233975号公報

 特許文献1に記載の染料は、特定の種類の普 通紙に対しては耐水性が非常に優れているが 、市販されている数多くの種類の普通紙に対 して、その高い耐水性が広く効果を発揮して いるとは言えない。また、特許文献1に記載 染料は、印刷した際のイエロー色としての 度が低く、特に普通紙上では色出し範囲が くなってしまうと言う問題があった。よっ 、耐水性と彩度、更には色相や印字濃度な に関して一層の向上が図られたイエロー色 色素の開発が求められていた。
 本発明は水または水溶性有機溶剤に対する 解性が高く、インクジェット記録に適する 相と彩度を有し、色濃度が高く、且つ記録 の耐光性、耐ガス性、耐湿性、および特に 水性などの堅牢性に優れた水溶性のイエロ 色の色素(化合物)及びそれを含有する保存 定性の良いインク組成物を提供する事を目 とする。

  本発明者等は前記課題を解決すべく、鋭 検討の結果、特定の式で表される水溶性テ ラアゾ化合物及びそれを含有するインク組 物が前記課題を解決するものであることを 出し、本発明を完成させたものである。
  即ち、本発明は
(1)下記式(1)で表される水溶性アゾ化合物又は その塩、

(式中、nは1又は2、xは2から4、Aは下記一般式( 2)~(4)のいずれか1つで表される二価の結合基 示す)、
式(2)

(式中、yは2から6の整数を示す)
式(3)


式(4)

(式中、wは1から4の整数を示す。)

(2)下記式(5)で表される上記(1)に記載の水溶 性アゾ化合物又はその塩、

(3)上記(1)又は(2)に記載の水溶性アゾ化合物又 はその塩を含有するインク組成物、
(4)水溶性有機溶剤を含有する上記(3)に記載の インク組成物、
(5)インクジェット記録用である上記(3)又は(4) に記載のインク組成物、
(6) (a)上記(1)又は(2)に記載の水溶性アゾ化合 又はその塩を含有するインク組成物、又は (b)上記(1)又は(2)に記載の水溶性アゾ化合物 はその塩及び水溶性有機溶剤の両者を含有 るインク組成物のいずれかのインク滴を記 信号に応じて吐出させて被記録材に記録を うことを特徴とするインクジェット記録方 、
(7)被記録材が情報伝達用シートである上記(6) に記載のインクジェット記録方法、
(8)情報伝達用シートが普通紙及び多孔性白色 無機物を含むインク受容層を有するシ-トで る上記(7)に記載のインクジェット記録方法
(9)(a)上記(1)又は(2)に記載の水溶性アゾ化合物 又はその塩、又は(b)上記(1)又は(2)に記載の水 溶性アゾ化合物又はその塩を含有するインク 組成物又は(c)上記(1)又は(2)に記載の水溶性ア ゾ化合物又はその塩及び水溶性有機溶剤の両 者を含有するインク組成物のいずれかで着色 された着色体、
(10)着色がインクジェットプリンタによりな れた(9)に記載の着色体、
(11)上記(1)又は(2)に記載の水溶性アゾ化合物 はその塩を含有するインク組成物、又は、 記(1)又は(2)に記載の水溶性アゾ化合物又は の塩及び水溶性有機溶剤の両者を含有する ンク組成物のいずれかのインク組成物を含 容器が装填されたインクジェットプリンタ
に関する。

 本発明の上記式(1)で表される水溶性アゾ化 物又はその塩は、水や水溶性有機溶剤に対 る溶解性に優れる。またインク組成物を製 する過程での、例えばメンブランフィルタ に対するろ過性が良好という特徴を有し、 通紙及びインクジェット専用記録紙上で非 に鮮明で、明度の高いイエロー色の色相を える。又、この化合物を含有する本発明の ンク組成物は長期間保存後の結晶析出、物 変化、色相変化等もなく、貯蔵安定性が極 て良好である。そして本発明のインク組成 をインクジェット記録用のインクとして使 した印刷物は被記録材(例えば紙、フィルム 等)を選択することなくイエロー色の色相と て理想的な色相であり、写真調のカラー画 を紙の上に忠実に再現させることも可能で る。
 更に本発明のインク組成物は、従来の染料 ンクと比較して普通紙上での耐水性が極め 向上している。また、写真画質用インクジ ット専用紙やフィルムのような多孔性白色 機物を表面に塗工した被記録材に記録して 各種堅牢性、すなわち耐水性、耐湿性、耐 ス性、および耐光性が良好であり、写真調 記録画像の長期保存安定性にも優れている このように、式(1)の水溶性アゾ化合物はイ ロー色の色素として有用であり、インク用 特にインクジェット記録インク用のイエロ 色の色素として極めて有用である。

 本発明を詳細に説明する。尚、本明細書に いては特に断りがない限り、スルホ基およ カルボキシ基などの酸性官能基は遊離酸の で表す。
 また以下の本明細書においては特に断りが い限り、便宜上、「本発明の水溶性アゾ化 物又はその塩」あるいは「本発明の化合物 などを「本発明の色素」、また場合によっ は単に「色素」として表記する。
 本発明の色素は上記式(1)で表される。
式(1)中、nは1又は2、xは2から4、Aは上記式(2)~( 4)のいずれか1つで表される二価の結合基を示 す。

 式(1)においてnは1又は2を表し、好ましくは1 である。また、-(CO 2 H) n  で表されるカルボキシ基の置換位置は、ア 基に対して、オルト位、メタ位、パラ位の れでもよいが、メタ位がより好ましい。
 xは2から4を表し、好ましくは3である。

 上記式(1)におけるAが、上記式(2)である場 合、式(2)中のyは2から6の整数を示す。好まし くは2から4であり、特に好ましくは2である。

 上記式(1)におけるAが、上記式(4)である場 合、式(4)中のwは1から4の整数を示す。好まし くは3又は4である。

 上記式(1)におけるAとして、上記式(2)~(4)の では、上記式(3)がより好ましい。
 また、上記のn、x及びAの何れか一つの好ま いものと他のものとは組み合わせは好まし 、何れか2者の好ましいもの同士を組合わせ た化合物はより好ましく、3者の好ましいも を組み合わせたものは最も好ましい。
 上記の組合せの中でも、特に好ましい組合 の上記式(1)の化合物は、上記式(5)の化合物 ある。

 上記式(1)の化合物は遊離酸、あるいはその としても存在する。上記式(1)の化合物の塩 しては、無機又は有機の陽イオンとの塩が げられる。無機陽イオンとの塩の具体例と てはアルカリ金属塩、例えばリチウム塩、 トリウム塩、カリウム塩などの塩が挙げら る。また、有機の陽イオンとしては、たと ば下記式(6)で表される化合物の塩が挙げら るがこれらに限定されるものではない。
式(6)

(式中、Z 1 ~Z 4 はそれぞれ独立に水素原子、(C1~C4)アルキル 、ヒドロキシ(C1~C4)アルキル基又はヒドロキ (C1~C4)アルコキシ(C1~C4)アルキル基を表わす )

 ここで、Z 1 ~Z 4 における上記アルキル基の例としてはメチル 、エチル等があげられ、同じく上記ヒドロキ シアルキル基の例としてはヒドロキシメチル 、ヒドロキシエチル、3-ヒドロキシプロピル 2-ヒドロキシプロピル、4-ヒドロキシブチル 、3-ヒドロキシブチル、2-ヒドロキシブチル があげられ、更に上記ヒドロキシアルコキ アルキル基の例としては、ヒドロキシエト シメチル、2-ヒドロキシエトキシエチル、3-( ヒドロキシエトキシ)プロピル、3-(ヒドロキ エトキシ)ブチル、2-(ヒドロキシエトキシ)ブ チル等が挙げられる。

 前記塩のうち好ましいものは、ナトリウ 、カリウム、リチウム、モノエタノールア ン、ジエタノールアミン、トリエタノール ミン、モノイソプロパノールアミン、ジイ プロパノールアミン又はトリイソプロパノ ルアミンとの塩、及びアンモニウム塩等が げられる。これらのうち、より好ましいも は、リチウム塩、ナトリウム塩、及びアン ニウム塩である。

 当業者においては明らかなように、上記式( 1)の化合物の塩は以下の方法などにより容易 得ることができる。
 例えば、後述する実施例1におけるアセトン 800部を加える前の反応液、あるいは式(1)の化 合物を含むウェットケーキ又は式(1)の化合物 の乾燥品などを溶解した水溶液に食塩を加え て塩析し、析出固体を濾過することにより、 上記式(1)の化合物のナトリウム塩をウェット ケーキとして得ることができる。
 又、得られたナトリウム塩のウェットケー を水に溶解後、塩酸などの酸を加えてそのp Hを適宜調整し、析出した固体を濾過するこ により、上記式(1)の化合物の遊離酸を、あ いは式(1)の化合物の一部がナトリウム塩で る遊離酸とナトリウム塩の混合物を得るこ もできる。
 更に、式(1)の化合物の遊離酸のウェットケ キを水と共に撹拌しながら、例えば、水酸 カリウム、水酸化リチウム、アンモニア水 は式(6)の水酸化物等を添加してアルカリ性 すれば、各々添加した化合物に応じてカリ ム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、又は4 級アンモニウムの塩を得ることもできる。遊 離酸のモル数に対して、加える上記の塩のモ ル数を制限することにより、例えばリチウム 塩とナトリウム塩の混塩など、さらにはリチ ウム塩、ナトリウム塩、及びアンモニウム塩 の混塩なども調製することが可能である。上 記式(1)の化合物の塩は、その塩の種類により 溶解性などの物理的な性質、あるいはインク として用いた場合のインクの性能が変化する 場合もある。このため目的とするインク性能 などに応じて塩の種類を選択することも好ま しい。
 これらの塩のうち、特に好ましいものは、 記した通りリチウム塩、ナトリウム塩、及 アンモニウム塩である。

 本発明の上記式(1)で表される色素は、例え 次のようにして製造することができる。な 下記式(A)から(H)において適宜使用されるn、 w、x、およびyは、それぞれ上記式(1)における のと同じ意味を表す。
 特開2004-75719号公報に記載の例を参考にして 得られる下記式(A)の化合物を重亜硫酸ナトリ ウム及びホルマリンを用いてメチル-ω-スル ン酸誘導体(B)に変える。次いで、常法によ 、下記式(C)で表されるアミノベンゼンカル ン酸類をジアゾ化し、先に得られた式(B)の チル-ω-スルホン酸誘導体と0~15℃、pH6~7でカ プリング反応を行い、引き続き、80~95℃、pH 10.5~11.5で加水分解反応を行うことにより、下 記式(D)の化合物が得られる。
式(A)~(D)

 次に得られた上記式(D)の化合物(2当量)とハ ゲン化シアヌル、例えば塩化シアヌルとを 温度25~45℃、pH5~7.5で縮合することにより、 記式(E)の化合物が得られる。
式(E)

 さらに得られた上記式(E)の化合物中の塩素 子を、好ましくは75~90℃、pH7~9の条件下に、 下記式(F)~(H)のいずれか1つで表される化合物 置換することにより、前記式(1)で表される 発明の色素を得ることができる。
式(F)~(H)

 前記式(A)の化合物としては、2-スルホエト シアニリン、2-スルホプロポキシアニリン、 2-スルホブトキシアニリンが具体例として挙 られ、前記式(C)の化合物としては、例えば 4-アミノ安息香酸、3-アミノ安息香酸、2-ア ノ安息香酸、5-アミノイソフタル酸、2-アミ ノテレフタル酸などが具体例として挙げられ る。
 また、上記式(F)の化合物としては、エチレ ジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどが げられ、式(G)の化合物としてはピペラジン 挙げられ、さらに上記式(H)の化合物として 、2,3-ジアミノプロピオン酸、2,4-ジアミノ 酸、2,5-ジアミノ吉草酸、2,6-ジアミノヘキサ ン酸が具体例として挙げられる。

 次に本発明の色素の具体例を下記表1に示 す。表1において、カルボキシ及びスルホ等 酸は、遊離酸の形で表す。

 本発明の上記式(1)の色素は、カップリング 応後、塩酸などの鉱酸の添加により固体の 離酸として単離する事ができ、得られた遊 酸の固体を水又は例えば塩酸水などの酸性 で洗浄することなどにより、不純物として 有する無機塩、例えば塩化ナトリウムや硫 ナトリウムなどを除去することができる。
 上記のようにして得られる本発明の色素の 離酸は、前記のように、得られたウエット ーキを、水中で所望の無機又は有機塩基と 理することにより、対応する色素の塩の溶 を得ることができるが、インク、特にイン ジェット用インクの色素溶液としたいとき は、水の代わりに水性媒体を使用すること 出来る。なお水性媒体とは、通常の場合、 溶性の有機溶剤と水との混合溶液を意味す 。しかし通常有機溶剤とは分類されないが 例えば尿素などのように水との混合により 溶液となり、染料の溶解性を向上させ、本 明のインク組成物の障害とならない化合物 ついては上記の塩基処理の媒体として使用 可能である。従ってこのような物質の水溶 を含めて、本明細書中では水性媒体と表記 る。なお、インク組成物においては、尿素 ついては一般的には染料溶解剤として分類 れる。
 無機塩基としては、例えば水酸化リチウム 水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの ルカリ金属の水酸化物、あるいは炭酸リチ ム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの ルカリ金属の炭酸塩、および水酸化アンモ ウムなどが挙げられる。
 有機塩基の例としては、例えば前記式(6)で される有機アミンの塩、例えばジエタノー アミン、トリエタノールアミンなどのアル ノールアミンの塩などが挙げられるがこれ に限定されるものではない。

 本発明の色素は、天然及び合成繊維材料又 混紡品の染色、さらには、筆記用インク及 インクジェット記録用インク組成物の製造 適している。
 本発明の上記式(1)の色素を含む反応液(例え ば後述する実施例1における、アセトン800部 投入する前の反応液など)は、本発明のイン 組成物の製造に直接使用する事も出来る。 かし、反応液から該化合物を単離、例えば プレー乾燥などの方法により反応液などを 燥して該化合物を単離した後、得られた化 物をインク組成物に加工することもできる 本発明のインク組成物は、上記式(1)の色素 水溶液中に通常0.1~20質量%、より好ましくは 1~10質量%、更に好ましくは2~8質量%含有する。

 本発明のインク組成物は、前記式(1)の色 を水及び/又は水溶性有機溶剤(水との混和 能な有機溶剤)などの水性媒体に溶解し、必 に応じインク調整剤を添加したものである このインク組成物をインクジェットプリン 用のインクとして使用する場合、不純物と て含有する金属陽イオンの塩化物、例えば 化ナトリウム、硫酸塩、例えば硫酸ナトリ ム等の無機物の含有量が少ないものを用い のが好ましい。この場合、例えば塩化ナト ウムと硫酸ナトリウムの総含有量は、色素 に1質量%以下程度である。無機物の少ない 素を製造するには、例えばそれ自体公知の 浸透膜による方法又は本発明の化合物又は の塩の乾燥品あるいはウェットケーキをメ ノールなどのC1~C4アルカノール等及び水の混 合溶媒中で撹拌して懸濁精製し、固体を濾過 分離し、乾燥するなどの方法で脱塩処理すれ ばよい。

 本発明のインク組成物は水を媒体として 製され、必要に応じて、水溶性有機溶剤を 本発明の効果を害しない範囲内において含 しても良い。水溶性有機溶剤は、染料溶解 、乾燥防止剤(湿潤剤)、粘度調整剤、浸透 進剤、表面張力調整剤、消泡剤等の役割を たすが、主に乾燥防止剤(湿潤剤)の目的で使 用される。その他のインク調製剤としては、 例えば、防腐防黴剤、pH調整剤、キレート試 、防錆剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤、染 溶解剤、褪色防止剤、乳化安定剤、表面張 調整剤、消泡剤、分散剤、及び分散安定剤 の公知の添加剤が挙げられる。水溶性有機 剤の含有量はインク全体に対して0~60質量% 好ましくは10~50質量%であり、インク調製剤 インク全体に対して0~20質量%、好ましくは0~1 5質量%用いるのが良い。上記以外の残部は水 ある。

 上記の水溶性有機溶剤としては、例えば タノール、エタノール、n-プロパノール、 ソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノ ール、第二ブタノール、第三ブタノール等の C1~C4アルカノール;N,N-ジメチルホルムアミド たはN,N-ジメチルアセトアミド等のアミド類; 2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、ヒド キシエチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチルイミ ゾリジン-2-オンまたは1,3-ジメチルヘキサヒ ドロピリミド-2-オン等の複素環式ケトン;ア トン、メチルエチルケトン、2-メチル-2-ヒド ロキシペンタン-4-オン等のケトンまたはケト アルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサ 等の環状エーテル;エチレングリコール、1,2- または1,3-プロピレングリコール、1,2-または1 ,4-ブチレングリコール、1,6-ヘキシレングリ ール、ジエチレングリコール、トリエチレ グリコール、テトラエチレングリコール、 プロピレングリコール、ポリエチレングリ ール、ポリプロピレングリコール、または オジグリコール等の(C2~C6)アルキレン単位を するモノ、オリゴまたはポリアルキレング コールまたはチオグリコール;グリセリン、 ヘキサン-1,2,6-トリオール等のポリオール(好 しくはトリオール);エチレングリコールモ メチルエーテル、エチレングリコールモノ チルエーテル、ジエチレングリコールモノ チルエーテル、ジエチレングリコールモノ チルエーテル、ジエチレングリコールモノ チルエーテル(ブチルカルビトール)、トリエ チレングリコールモノメチルエーテル、トリ エチレングリコールモノエチルエーテル等の 多価アルコールの(C1~C4)モノアルキルエーテ ;γーブチロラクトンまたはジメチルスルホ シド等があげられる。

 上記の水溶性有機溶剤として好ましいも は、イソプロパノール、グリセリン、モノ ジまたはトリエチレングリコール、ジプロ レングリコール、2-ピロリドン、N-メチル-2- ピロリドンおよびブチルカルビトールであり 、より好ましくはイソプロパノール、グリセ リン、ジエチレングリコール、2-ピロリドン N-メチル-2-ピロリドンおよびブチルカルビ ールである。これらの水溶性有機溶剤は、 独もしくは混合して用いられる。

 上記の防腐防黴剤としては、例えば、有機 黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、 ロアリルスルホン系、ヨードプロパギル系 N-ハロアルキルチオ系、ベンゾチアゾール 、ニトリル系、ピリジン系、8-オキシキノリ ン系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピ リジンオキシド系、ニトロプロパン系、有機 スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩 、トリアジン系、チアジアジン系、アニリ 系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト 、ブロム化インダノン系、ベンジルブロム セテート系、および無機塩系等の化合物が げられる。
 有機ハロゲン系化合物としては、例えばペ タクロロフェノールナトリウムが挙げられ ピリジンオキシド系化合物としては、例え 2-ピリジンチオール-1-オキサイドナトリウ が挙げられ、イソチアゾリン系化合物とし は、例えば1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン 2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、5-ク ロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、5-ク ロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンマグネ ウムクロライド、5-クロロ-2-メチル-4-イソチ アゾリン-3-オンカルシウムクロライド、2-メ ル-4-イソチアゾリン-3-オンカルシウムクロ イド等が挙げられる。
 その他の防腐防黴剤として酢酸ソーダ、ソ ビン酸ソーダ、安息香酸ナトリウム等があ られる。防腐防黴剤のその他の具体例とし は、例えば、アベシア社製 商品名プロク ルGXL(S)およびプロクセルXL-2(S)等が好ましく げられる。

 pH調整剤は、インクの保存安定性を向上 せる目的で、インクのpHを6.0~11.0の範囲に制 できるものであれば任意の物質を使用する とができる。例えば、ジエタノールアミン トリエタノールアミンなどのアルカノール ミン;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、 水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化 物;水酸化アンモニウム;あるいは炭酸リチウ 、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのア カリ金属の炭酸塩;などが挙げられる。

 キレート試薬としては、例えばエチレン アミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸 トリウム、ヒドロキシエチルエチレンジア ン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミ 五酢酸ナトリウム、ウラシル二酢酸ナトリ ムなどがあげられる。

 防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩 チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸ア モニウム、ジイソプロピルアンモニウムナ トライト、四硝酸ペンタエリスリトール、 シクロヘキシルアンモニウムナイトライト どがあげられる。

 紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフ ノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合 、桂皮酸系化合物、トリアジン系化合物、 チルベン系化合物、又はベンズオキサゾー 系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍 を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用 ることができる。

 粘度調整剤としては、水溶性有機溶剤の に、水溶性高分子化合物があげられ、例え ポリビニルアルコール、セルロース誘導体 ポリアミン、ポリイミン等があげられる。

 染料溶解剤としては、例えば尿素、ε-カ ロラクタム、エチレンカーボネート等があ られる。尿素を使用するのが好ましい。

 褪色防止剤は、画像の保存性を向上させ 目的で使用される。褪色防止剤としては、 種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を 用することができる。有機の褪色防止剤と てはハイドロキノン類、アルコキシフェノ ル類、ジアルコキシフェノール類、フェノ ル類、アニリン類、アミン類、インダン類 クロマン類、アルコキシアニリン類、及び テロ環類などがあり、金属錯体としてはニ ケル錯体、及び亜鉛錯体などがある。

 表面張力調整剤としては、界面活性剤が げられ、例えばアニオン界面活性剤、両性 面活性剤、カチオン界面活性剤、及びノニ ン界面活性剤などがあげられる。

 アニオン界面活性剤としてはアルキルス ホカルボン酸塩、α-オレフィンスルホン酸 、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢 塩、N-アシルアミノ酸およびその塩、N-アシ ルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオ キシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸 塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸 塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩 、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アル キルフェノール型燐酸エステル、アルキル型 燐酸エステル、アルキルアリルスルホン酸塩 、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキル シルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀 酸塩などが挙げられる。

 カチオン界面活性剤としては2-ビニルピ ジン誘導体、ポリ4-ビニルピリジン誘導体な どがある。

 両性界面活性剤としてはラウリルジメチ アミノ酢酸ベタイン、2-アルキル-N-カルボ シメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニ ムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピル メチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチル リアミノエチルグリシン、その他イミダゾ ン誘導体などがある。

 ノニオン界面活性剤としては、ポリオキ エチレンノニルフェニルエーテル、ポリオ シエチレンオクチルフェニルエーテル、ポ オキシエチレンドデシルフェニルエーテル ポリオキシエチレンオクチルフェニルエー ル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポ オキシエチレンアルキルエーテル等のエー ル系;ポリオキシエチレンオレイン酸エステ ル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エス テル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモ ノステアレート、ソルビタンモノオレエート 、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシ エチレンモノオレエート、ポリオキシエチレ ンステアレートなどのエステル系;2,4,7,9-テト ラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、3,6-ジメチル -4-オクチン-3,6-ジオール、3,5-ジメチル-1-ヘキ シン-3-オールなどのアセチレングリコール( ルコール)系(例えば、日信化学工業株式会社 製 商品名サーフィノール104、82、465、オル ィンSTG等)等が挙げられる。

 消泡剤としては、高酸化油系、グリセリ 脂肪酸エステル系、フッ素系、シリコーン 化合物が必要に応じて用いられる。

 これらのインク調製剤は、単独もしくは 合して用いられる。なお、本発明のインク 表面張力は通常25~70mN/m、より好ましくは25~6 0mN/mである。また本発明のインクの粘度は30mP a・s以下が好ましい。更に20mPa・s以下に調整 ることがより好ましい。

 本発明のインク組成物を製造するにあた 、添加剤などの各薬剤を溶解させる順序に 特に制限はない。インクを調製するにあた 、用いる水はイオン交換水または蒸留水な 不純物が少ない物が好ましい。さらに、必 に応じメンブランフィルターなどを用いて 密濾過を行って夾雑物を除いてもよく、イ クジェットプリンタ用のインクとして使用 る場合は精密濾過を行うことが好ましい。 密濾過を行うフィルターの孔径は通常1ミク ロン~0.1ミクロン、好ましくは、0.8ミクロン~0 .2ミクロンである。

 本発明の色素を含有するインク組成物は 印捺、複写、マーキング、筆記、製図、ス ンピング、又は記録(印刷)、特にインクジ ット記録における使用に適する。また本発 のインク組成物は、インクジェットプリン のノズル付近における乾燥に対しても結晶 出は起こりにくく、この理由によりヘッド 閉塞もまた起こりにくい。さらに本発明の ンク組成物をインクジェット記録に用いた 合、水、光、オゾンや酸化窒素ガス、及び 擦に対する良好な耐性を有する高品質のイ ロー色の印刷物が得られ、特に普通紙上の 水性が極めて良好である。

 インクジェットプリンタにおいて、高精 な画像を供給することを目的に、高濃度の ンクと低濃度のインクの2種類のインクが1 のプリンタに装填されたものもある。その 合、本発明の色素を用いて高濃度のインク 成物と、低濃度のインク組成物をそれぞれ 製し、それらをインクセットとして使用し もよい。またどちらか一方だけに該色素を いてもよい。また本発明の色素と公知のイ ロー色の色素とを併用してもよい。また他 色、例えばブラックインクの調色用、ある はマゼンタ色素やシアン色素と混合して、 ッドインクやグリーンインクを調製する目 で本発明の色素を用いることもできる。

 本発明の着色体とは本発明の色素で着色 れた物質のことである。着色体の材質には に制限はなく、例えば紙、フィルムなどの 報伝達用シート、繊維や布(セルロース、ナ イロン、羊毛等)、皮革、カラーフィルター 基材等、着色されるものであればなんでも く、これらに限定されない。着色方法とし は、例えば浸染法、捺染法、スクリーン印 等の印刷法、インクジェットプリンタによ 方法等があげられるが、インクジェットプ ンタによる方法が好ましい。

 情報伝達用シートとしては、特に制約はな 、普通紙はもちろん、表面処理されたもの 具体的には紙、合成紙、フィルム等の基材 インク受容層を設けたものなどが用いられ 。ここでインク受容層とは、インクを吸収 て乾燥を早める等の作用を有する層で、例 ば上記基材にカチオン系ポリマーを含浸あ いは塗工する方法;または多孔質シリカ、ア ルミナゾルや特殊セラミックスなどのインク 中の色素を吸収し得る無機微粒子をポリビニ ルアルコールやポリビニルピロリドン等の親 水性ポリマーと共に上記基材表面に塗工する 方法;などにより設けられる。このようなイ ク受容層を設けたものは通常インクジェッ 専用紙、インクジェット専用フィルム、光 紙、または光沢フィルム等と呼ばれる。
 普通紙とは、特にインク受容層を設けてい い紙のことを指し、用途によってさまざま ものが数多く市販されている。市販されて る普通紙の一例を挙げると、インクジェッ 用としては、両面上質普通紙(セイコーエプ ソン株式会社製)、カラー普通紙、(キヤノン 式会社製)、Multipurpose Paper、All-in-one Printing  Paper(Hewlett Packard社製)などがある。この他 特に用途をインクジェット印刷に限定しな プレインぺーパーコピー(PPC)用紙なども普通 紙である。
 本発明のインク組成物は、上記のような普 紙上での耐水性が特に優れ、その他の光、 ゾン、湿度や摩擦などに対する耐性にも優 る。また、インクジェット印刷用にインク 容層を設けているインクジェット専用紙、 用フィルム、光沢紙または光沢フィルムな の情報伝達用シート上での耐水性、耐光性 耐ガス性、耐湿性及び耐擦性などにも優れ 特に耐水性において非常に優れる。

 本発明のインクジェット記録方法で、被記 材に記録するには、例えば上記のインク組 物が充填された容器をインクジェットプリ タの所定位置にセットし、通常の方法で、 記録材に記録すればよい。本発明のインク ェット記録方法は、本発明のインク組成物 共に、マゼンタ、シアン、必要に応じて、 リーン、ブルー(又はバイオレット)、レッ 、及びブラック等の各色のインクを併用し る。この場合、各色のインクは、それぞれ 容器に注入され、それらの容器を、インク ェットプリンタの所定位置に装填して使用 る。
 インクジェットプリンタには、例えば機械 振動を利用したピエゾ方式や加熱により生 る泡を利用したバブルジェット(登録商標) 式等を利用したものがある。本発明のイン ジェット記録方法は、いかなる方式であっ も使用が可能である。

 本発明のインク組成物は、鮮明なイエロ 色であり、普通紙、インクジェット専用紙 光沢紙に記録した画像の鮮明度が高く、イ クジェット記録法に適した色相を有する。 た、その記録画像の堅牢度が非常に高いこ を特徴とする。

 本発明のインク組成物は貯蔵中に沈澱、 離することがない。また、本発明のインク 成物をインクジェット記録に使用した場合 ノズル付近におけるインク組成物の乾燥に る結晶析出は非常に起こりにくく、噴射器( インクヘッド)を閉塞することもない。本発 のインク組成物は連続式インクジェットプ ンタを用い、比較的長い時間間隔において ンクを再循環させて使用する場合において 、又はオンデマンド式インクジェットプリ タによる断続的な使用においても、物理的 質の変化を起こさない。

 以下に本発明を実施例により、更に具体的 説明する。尚、本文中「部」及び「%」とあ るのは、特別の記載のない限り質量基準であ り、また反応温度は内温である。
 なお合成した各化合物のλmax(最大吸収波長) は、pH7~8の水溶液中での測定値を示した。ま 実施例ではナトリウム塩もしくはアンモニ ム塩の例のみを記載しているが、アルカリ 属塩や有機の陽イオンとの塩なども適当な 法を用いることにより容易に得ることが可 であり、本発明は本実施例に限定されるも ではない。
 さらに、実施例中で得た化合物の各構造式 おいて、カルボキシ及びスルホ等の基は、 離酸の形で表記した。また、上付RTMは登録 標を意味する。

実施例1
 水200部に、3-アミノ安息香酸13.7部を水酸化 トリウムでpH6に調整しながら溶解し、次い そこに亜硝酸ナトリウム7.2部を加えた。こ 溶液を0~10℃で、5%塩酸300部中に30分間かけ 滴下した後、10℃以下で1時間攪拌し、ジア 化反応を行い、ジアゾニウム塩を調製した
 一方、水130部に、2-スルホプロポキシアニ ン23.1部を、水酸化ナトリウムでpH5に調整し がら溶解し、次いで、10.4部の重亜硫酸ナト リウム及び8.6部の35%ホルマリンを用いて、常 法によりメチル-ω-スルホン酸誘導体とした
 得られたメチル-ω-スルホン酸誘導体を、先 に調製したジアゾニウム塩中に加え、0~15℃ pH6~7で5時間攪拌した。反応液を水酸化ナト ウムでpH11に調整した後、同pHを維持しなが 80~95℃で5時間攪拌した。次にそこに100部の 化ナトリウムを加えて塩析し、析出固体を 過分離することにより式(7)のアゾ化合物100 をウエットケーキとして得た。
式(7)

 次に、得られたアゾ化合物100部のウエット ーキを水300部に溶解した。この溶液に、界 活性剤(ライオン株式会社製、商品名レオコ ール RTM TD50)0.10部を加えて攪拌し、続いて塩化シアヌ ル6.4部を添加して、その後pH5~7.5、25~45℃で6 間撹拌した。
 次に、そこに、エチレンジアミン1.1部を加 、得られた混合液を、pH7~9、75~90℃で3時間 拌した。得られた反応液を20~40℃まで冷却後 、この反応液にアセトン800部を加え、20~40℃ 1時間攪拌した。析出固体を濾過分離するこ とによりウエットケーキ150部を得た。このウ エットケーキを、熱風乾燥機で、80℃で乾燥 、下記式(8)で表される本発明の水溶性アゾ 合物(λmax 384nm)28.0部をナトリウム塩として た。
式(8)

実施例2
 実施例1のエチレンジアミン1.1部をピペラジ ン3.0部とする以外は実施例1と同様の方法で 下記式(9)で表される本発明の水溶性アゾ化 物(λmax 388nm)29.0部をナトリウム塩として得 。
式(9)

実施例3
 実施例1のエチレンジアミン1.1部を2,6-ジア ノヘキサン酸5.1部とする以外は実施例1と同 の方法で、下記式(10)で表される本発明の水 溶性アゾ化合物(λmax 392nm)30.0部をナトリウム 塩として得た。
式(10)

実施例4
 実施例2で得られた前記式(9)で表される本発 明の水溶性アゾ化合物29.0部を水270部に溶解 せた。そこに塩化アンモニウムを45部添加し 、その後、塩酸でpH1~3に調整し、30分撹拌し 析出固体を濾過分離した。この処理により ナトリウム塩からアンモニウム塩への塩交 が行われ、アンモニウム塩のウエットケー 120部を得た。このウエットケーキをメタノ ル200部で洗浄した後、熱風乾燥機で80℃で乾 燥し、上記式(9)で表される本発明の水溶性ア ゾ化合物のアンモニウム塩(λmax 388nm)25.0部を 得た。

実施例5~7
(A)インクの調製
 (i)実施例5及び6
 上記実施例1及び2で得られたアゾ化合物(式( 8)及び式(9)のナトリウム塩)をそれぞれ用いて 、表2に示した組成比で混合して、本発明の ンク組成物をそれぞれ得た。得られたそれ れのインク組成物を、0.45μmのメンブランフ ルターで濾過する事により夾雑物を除き、 れぞれの化合物を含有するインクを調製し 。実施例1のアゾ化合物を使用したインクを 実施例5、実施例2のアゾ化合物を使用したイ クを実施例6とする。
 尚、水はイオン交換水を使用し、インク組 物のpHがおよそ9.5となるように水酸化ナト ウム水溶液で調整後、総量が100部になるよ に水を加えた。

 (ii)実施例7
 上記実施例4で得られたアゾ化合物(式(10)の ンモニウム塩)を用いて表3に示した組成比 混合して本発明のインク組成物を得た。得 れたインク組成物を、0.45μmのメンブランフ ルターで濾過する事により夾雑物を除き、 記アゾ化合物を含有するインクを調製した このインクを実施例7とする。
 尚、水はイオン交換水を使用し、インク組 物のpHがおよそ9.5となるようにアンモニア 溶液で調整後、総量が100部になるように水 加えた。

比較例1 
 色素成分として実施例4で得られたアゾ化合 物のかわりに、特許文献1の実施例10に記載の 色素を用いて表3と同様の組成比で、同様の 作により比較用のインクを調製した。用い 化合物の構造式を下記式(11)に示す。尚、評 は下記式(11)のアンモニウム塩を用いて行っ た。
式(11)

(B)インクジェットプリント
 インクジェットプリンタ(キヤノン株式会社 製 商品名:PIXUS ip4100)を用いて、下記表4に示 す5種類の普通紙にインクジェット記録を行 た。
インクジェット記録は下記の2種類について った。
 (i)インクジェット記録の際、チェック柄の ターン(濃度100%と0%の1.5mm角正方形を交互に み合わせたパターン)を作成し、コントラス トの高いイエロー/ホワイトの印字物を得た なお、ホワイトの部分はインクによって着 されていない、普通紙の地肌の部分である
 (ii)反射濃度が数段階の階調が得られるよう に画像パターンを作成し、イエロー色の濃度 諧調のあるグラデーションの印字物を得た。
 耐水性試験の目視判断を行う際には、チェ ク柄の印刷物を用いた。
 耐水性試験の色素残存率測定は、グラデー ョンの印字物を用い、試験前の印字物の反 濃度D値が1に最も近い部分について反射濃 の測定を行った。また、反射濃度は測色シ テム(商品名SpectroEye、GretagMacbeth社製)を用い 測定した。
  記録画像の評価(C)、記録画像の各種耐水 試験方法および試験結果の評価方法(D)~(F)、 価結果(表10)を、下記表4の後に記載する。

表4
普通紙1 
 キヤノン株式会社製
 商品名LBP PAPER LS-500
普通紙2
 Hewlett Packard社製
 商品名Multipurpose Paper
普通紙3
 Hewlett Packard社製
 商品名All-in-One Printing Paper
普通紙4
 セイコーエプソン株式会社製
 両面上質普通紙 KA4250NPD
普通紙5
 キヤノン株式会社製
 カラー普通紙 LC-301             

(C)記録画像の評価
 記録画像の評価のため、印刷物の明度L*、 度C*、及び色相角hの測定を行った。
 プリントしたグラデーションの印字物中で もっともイエローの反射濃度Dy値が1.0に最 近い部分について上記測色システムを用い 明度L*値、彩度C*値、色相角h値を測定した。 普通紙1での結果を表5に、普通紙2での結果を 表6に、普通紙3での結果を表7に、普通紙4で 結果を表8に、普通紙5での結果を表9にそれ れ記す。
 表5~9における彩度C*は、何れの普通紙にお ても、実施例5~7が比較例より明らかに高く っており、本発明の色素は、彩度の高い色 であることが判る。

表5
普通紙1
        L*   C*   h
実施例5   87.2 72.3 95.3
実施例6   86.7 72.3 93.6
実施例7   87.6 73.5 93.8
比較例1   88.8 68.0 97.8

表6
普通紙2
        L*   C*   h
実施例5   89.5 72.2 93.6
実施例6   88.9 69.8 92.8
実施例7   88.8 71.0 92.0
比較例1   90.3 69.1 97.4

表7
普通紙3
        L*   C*   h
実施例5   89.4 72.3 93.7
実施例6   89.3 70.9 92.7
実施例7   88.4 72.0 92.0
比較例1   90.9 69.4 96.9

表8
普通紙4
        L*   C*   h
実施例5   85.3 67.4 95.3
実施例6   85.6 65.1 94.8
実施例7   85.2 65.6 94.5
比較例1   86.9 63.3 98.1

表9
普通紙5
        L*   C*   h
実施例5   89.4 70.5 97.8
実施例6   89.6 70.5 97.7
実施例7   88.8 72.4 97.0
比較例1   89.4 62.4 99.5

(D)耐水性試験1(蒸発乾燥試験)
 印刷後24時間乾燥を行ったチェック柄の印 物に対して、イオン交換水を1滴滴下し、そ まま自然乾燥した。乾燥後、パターンのに みの程度を目視で評価し、以下の基準で3段 階に評価した。
  全く滲みが無い(どこに滴下したのか判別 可能)・・・・○
  ほとんど滲みが無い(滴下した場所は判別 きる)・・・・△
  明らかに滲んでいる・・・・・・・・・ ・・・・・・・・×
結果を表10に示す。

(E)耐水性試験2(浸漬試験1)
 印刷後24時間乾燥を行ったチェック柄の印 物に対して、イオン交換水中に1時間浸漬し 。乾燥後、パターンの着色部分の色落ち具 とホワイト部分の着色具合とを目視で評価 、以下の基準で3段階に評価した。
  色落ちや着色が全く無い・・・・・・・ ・・・・○
  色落ちや着色がやや見られる・・・・・ ・・・・△
  明らかに色落ちや着色が見られる・・・ ・・・・×
結果を表11に示す。

(F)耐水性試験3(浸漬試験2)
 印刷後24時間乾燥を行ったグラデーション 印字物に対して、イオン交換水中に1時間浸 した。乾燥後、反射濃度を前記の測色シス ムを用いて測色した。測定後、色素残存率 (試験後の反射濃度/試験前の反射濃度)×100(% )で計算して求め、以下の基準で3段階で評価 た。
  色素残存率が90%以上・・・・・・・・◎
  色素残存率が80%以上90%未満・・・○
  色素残存率が50%以上80%未満・・・△
  色素残存率が50%未満・・・・・・・・×
結果を表12に示す。

表10 耐水性試験1の結果

     (普通紙1)(普通紙2)(普通紙3)(普通紙4)( 通紙5)
 実施例5   △     ○     ○    ○      ○
 実施例6   ○     ○     ○    ○      ○
 実施例7   ○     ○     ○    ○      ○
 比較例1   △     ○     ○    ○      ○

表11 耐水性試験2の結果

     (普通紙1)(普通紙2)(普通紙3)(普通紙4)( 通紙5)
 実施例5   △     ○     ○     △      △
 実施例6   ○     ○     ○     ○      ○
 実施例7   ○     ○     ○     ○      ○
 比較例1   ×     △     △     ×      △

表12 耐水性試験3の結果

     (普通紙1)(普通紙2)(普通紙3)(普通紙4)( 通紙5)
 実施例5   ◎     ◎     ◎     ◎      ◎
 実施例6   ◎     ◎     ◎     ◎      ◎
 実施例7   ◎     ◎     ◎     ◎      ◎
 比較例1   △     ◎     ◎     ◎      ◎

 表5~9の結果より明らかなように、実施例5 ~7のインクは普通紙1~5のいずれでも彩度C*値 比較例1よりも優れ、高い彩度を持つイエロ 色の色相を持つインクであることがわかる また、印刷対象の普通紙によって色相角が らつくことも無く、常に高鮮明なイエロー を呈することがわかる。

 また、表10の耐水性試験1の評価結果から 普通紙1で差が見られ、実施例6及び実施例7 高い耐水性を持つことがわかる。本試験に いては、実施例5と比較例1とは、ほぼ同じ 度の耐水性であった。

 表11の耐水性試験2の評価結果から、実施 6及び実施例7のインクは普通紙1~5のいずれ も非常に良好な耐水性を示した。また、本 験において普通紙1~4を用いた場合に、実施 5のインクは、比較例1よりも明らかに優れた 耐水性を有することが判明した。

 表12の耐水性試験3の評価結果から、普通 2~5では各実施例と比較例は同等の結果であ が、普通紙1で顕著な差が見られ、各実施例 のいずれもが、比較例1よりも非常に良好な 水性を有することがわかった。

 以上の結果から、本発明の水溶性アゾ化 物はインクジェット記録用のインク組成物 調製するのに適しており、各種の堅牢性、 に耐水性に極めて優れ、また水溶解性が高 、良好で鮮明な色相を持つ。これらの特徴 ら、本発明のアゾ化合物は各種の記録用イ ク色素、特にインクジェットインク用のイ ロー色の色素として非常に有用な化合物で ることが明らかである。