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Title:
WATER-SOLUBLE AZO COMPOUND OR SALT THEREOF, INK COMPOSITION AND COLORED BODY
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/066412
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a water-soluble azo compound represented by the formula (1) below (wherein R represents an alkyl group having 1-4 carbon atoms, n represents 1 or 2, x represents an integer of 2-4 and y represents an integer of 2-11) or a salt thereof. Also disclosed is an ink composition containing such a water-soluble azo compound or a salt thereof. Specifically disclosed is a yellow dye having a hue with high definition suitable for inkjet recording, which enables a recorded matter to have various fastnesses. When an ink composition is prepared using this yellow dye, the resulting ink composition is excellent in storage stability. Also specifically disclosed is an ink composition containing such a yellow dye.

Inventors:
MORITA RYOUTAROU (JP)
KAWAIDA YOSHIAKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/002946
Publication Date:
May 28, 2009
Filing Date:
October 17, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NIPPON KAYAKU KK (JP)
MORITA RYOUTAROU (JP)
KAWAIDA YOSHIAKI (JP)
International Classes:
C09B33/06; B41J2/01; B41M5/00; B41M5/50; B41M5/52; C09B43/16; C09D11/00
Domestic Patent References:
WO2007049366A12007-05-03
Foreign References:
JPH04233975A1992-08-21
JPH07238245A1995-09-12
JPH08325493A1996-12-10
JPH07173422A1995-07-11
JP2004515597A2004-05-27
JP2008056830A2008-03-13
JP2008088281A2008-04-17
Attorney, Agent or Firm:
SAEKI, Norio (Aminosan Kaikan Building 15-8, Nihonbashi 3-chome, Chuo-k, Tokyo 27, JP)
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Claims:
下記式(1)で表される水溶性アゾ化合物又はその塩
(式中、Rは炭素数1~4のアルキル基、nは1または2、xは2から4、yは2から11の整数をそれぞれ示す)。
式(1)のRがメチル基であり、nが1であり、xが3であり、yが5から11である請求項1に記載の水溶性アゾ化合物又はその塩。
下記式(2)で表される請求項1に記載の水溶性アゾ化合物又はその塩
(式中、Meはメチル基を示す)。
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の水溶性アゾ化合物又はその塩を含有するインク組成物。
水溶性有機溶剤を含有する請求項4に記載のインク組成物。
インクジェット記録用である請求項4に記載のインク組成物。
請求項4に記載のインク組成物、又は、水溶性有機溶剤を含有する請求項4に記載のインク組成物のいずれかのインク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に記録を行うことを特徴とするインクジェット記録方法。
被記録材が情報伝達用シートである請求項7に記載のインクジェット記録方法。
情報伝達用シートが普通紙又は多孔性白色無機物を含むインク受容層を有するシ-トである請求項8に記載のインクジェット記録方法。
(a)請求項1乃至3のいずれか一項に記載の水溶性アゾ化合物又はその塩、(b)請求項1乃至3のいずれか一項に記載の水溶性アゾ化合物又はその塩を含有するインク組成物、又は、(c)請求項1乃至3のいずれか一項に記載の水溶性アゾ化合物又はその塩及び水溶性有機溶剤を含有するインク組成物のいずれかにより着色された着色体。
着色がインクジェットプリンターによりなされた請求項10に記載の着色体。
請求項4に記載のインク組成物を含む容器が装填されたインクジェットプリンター。
式(1)におけるyが3~11の整数である請求項1に記載の水溶性アゾ化合物又はその塩。
Description:
水溶性アゾ化合物又はその塩、 ンク組成物及び着色体

 本発明は水溶性のジスアゾ化合物又はそ 塩、これを含有するインク組成物及びこれ より着色された着色体に関する。

 各種カラー記録方法の中で、その代表的方 の一つであるインクジェットプリンターに る記録方法は、インクの吐出方式が各種開 されているが、いずれもインクの小滴を発 させ、これを種々の被記録材料(紙、フィル ム、布帛等)に付着させ記録を行うものであ 。この方法は、記録ヘッドと被記録材料と 直接接触しない為、音の発生がなく静かで り、また小型化、高速化、カラー化が容易 いう特長の為、近年急速に普及しつつあり 今後とも大きな伸長が期待されている。従 、万年筆、フェルトペン等のインク及びイ クジェット記録用インクとしては、水溶性 染料を水性媒体に溶解したインクが使用さ ており、これらの水性インクにおいてはペ 先やインク吐出ノズルでのインクの目詰ま を防止すべく、一般に水溶性の有機溶剤が 加されている。これらのインクにおいては 十分な濃度の記録画像を与えること、ペン やノズルの目詰まりを生じないこと、被記 材上での乾燥性がよいこと、滲みが少ない と、保存安定性に優れること等が要求され 。また形成される記録画像には、耐水性、 湿性、耐光性、および耐ガス性等の堅牢度 求められている。
 インクジェットのノズル詰まりは、ノズル 近でインク中の水分が他の溶剤や添加剤よ も先に蒸発し、水分が少なく溶剤や添加剤 多いという組成状態になったときに色素が 晶化し析出することに由来するものが多い よって、インク中の水分が少ない状態にな た場合においても結晶が析出しにくいとい ことが非常に重要な要求性能の一つである この理由から、溶剤や添加剤に対する高い 解性も色素に求められる性質のひとつであ 。

 ところで、コンピューターのカラーディ プレー上の画像又は文字情報をインクジェ トプリンターによりカラーで記録するには 一般にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C) ブラック(K)の4色のインクによる減法混色が 用いられ、これにより記録画像がカラーで表 現される。CRT(ブラウン管)ディスプレー等に けるレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)によ 加法混色画像を減法混色画像で出来るだけ 実に再現するには、インクに使用される各 素、中でもY、M、Cのそれぞれが、標準に近 色相を有し且つ鮮明であることが望まれる 又、インクは長期の保存に対して安定であ 、また前記のようにプリントした画像の濃 が高く、しかもその画像が耐水性、耐湿性 耐光性及び耐ガス性等の堅牢度に優れてい 事が求められる。

 近年のインクジェット技術の発達により インクジェット印刷のスピードの向上がめ ましく、電子トナーを用いたレーザープリ ターと同様に、オフィス環境での主用途で る普通紙へのドキュメントの印刷に、イン ジェットプリンターを用いる市場の動きが る。インクジェットプリンターは記録紙の 類を選ばない、機械の価格が安いという利 があり、特にスモールオフィス・ホームオ ィス(SOHO)等の小~中規模オフィス環境で普及 が進んでいる。このように普通紙への印刷用 途でインクジェットプリンターを使用する場 合、印刷物に求められる品質の中では、色相 、発色濃度及び耐水性がより重視される傾向 がある。これらの性能を満たす為に顔料イン クを用いるという方法が提案されているが、 顔料インクは色素が水性インク中には溶解し ない、分散状態のインクであるため、これを 用いるとインク自体の安定性の問題やヘッド のノズル詰まりの問題などが生じる。また、 顔料インクを使用した場合、耐擦性にも問題 が出ることが多い。染料インクの場合このよ うな問題は比較的起こりにくいとされるが、 特に耐水性において顔料インクと比較して著 しく劣り、それに対する改良が強く望まれて いる。また、染料インクは顔料インクと異な り、普通紙の表面に印刷された後における、 紙の深さ方向への浸透が速く、発色濃度が低 下するという問題が起こりやすい。

 普通紙上での耐水性向上という問題に対 ては古くから多くの提案がなされている。 水性に優れ、色相や耐光性などの改良を行 たインクジェット用のイエロー色の色素と ては、例えば特許文献1に記載の染料が提案 されている。また、特許文献2には耐光性や オゾン性の良好なインクジェット用イエロ 染料が提案されているが、普通紙上での耐 性についての詳細な記述は無い。

特開平4-233975号公報

特開2006-152264号公報

 特許文献1に記載の染料は、特定の種類の普 通紙に対しては耐水性が非常に優れているが 、市販されている数多くの種類の普通紙に対 して、幅広く、その高い耐水性が発揮されて いるとは言えない。また、特許文献1に記載 染料は、印刷した際のイエロー色としての 度が低く、特に普通紙上では色出し範囲が くなってしまう。更に、特許文献1に記載の 料は普通紙上でのイエロー色としての発色 度が低いという問題もあった。
 また、特許文献2に記載の色素は白色無機顔 料からなるインク受容層をもった光沢紙上で の耐湿性、耐オゾンガス性、耐光性は非常に 優れているが、普通紙上での耐水性に関して は開示されておらず、実際には普通紙上での 彩度や発色濃度が十分なものとは言えなかっ た。
 よって、耐水性と彩度、更には色相や発色 度などに関して一層の向上が図られたイエ ー色の色素の開発が求められている。
 本発明は水または水溶性有機溶剤に対する 解性が高く、インクジェット記録に適する 相と彩度を有し、発色濃度が高く、且つ記 物の耐光性、耐ガス性、耐湿性、および特 普通紙上での耐水性などの堅牢性に優れた 溶性のイエロー色の色素(化合物)及びそれ 含有する保存安定性の良いインク組成物を 供する事を目的とする。

 本発明者等は前記課題を解決すべく、鋭意 討の結果、特定の式で表される水溶性ジス ゾ化合物及びそれを含有するインク組成物 前記課題を解決するものであることを見出 、本発明を完成させたものである。
  即ち、本発明は
(1)下記式(1)で表される水溶性アゾ化合物又は その塩

(式中、Rは炭素数1~4のアルキル基、nは1ま は2、xは2から4、yは2から11の整数をそれぞれ 示す)、

(2)式(1)のRがメチル基であり、nが1であり、 xが3であり、yが5から11である上記(1)に記載の 水溶性アゾ化合物又はその塩、

(3)下記式(2)で表される上記(1)に記載の水溶 性アゾ化合物又はその塩

(式中、Meはメチル基を示す)、
(4)上記(1)乃至(3)又は後記(13)のいずれか一項 記載の水溶性アゾ化合物又はその塩を含有 るインク組成物、
(5)水溶性有機溶剤を含有する上記(4)に記載の インク組成物、
(6)インクジェット記録用である上記(4)又は(5) に記載のインク組成物、
(7)上記(4)に記載のインク組成物、又は、水溶 性有機溶剤を含有する(4)に記載のインク組成 物のいずれかのインク滴を記録信号に応じて 吐出させて被記録材に記録を行うことを特徴 とするインクジェット記録方法、
(8)被記録材が情報伝達用シートである上記(7) に記載のインクジェット記録方法、
(9)情報伝達用シートが普通紙及び多孔性白色 無機物を含むインク受容層を有するシ-トで る上記(8)に記載のインクジェット記録方法
(10)(a)上記(1)乃至(3)のいずれか一項に記載の 溶性アゾ化合物又はその塩、(b)上記(1)乃至(3 )のいずれか一項に記載の水溶性アゾ化合物 はその塩を含有するインク組成物、又は、(c )上記(1)乃至(3)のいずれか一項に記載の水溶 アゾ化合物又はその塩及び水溶性有機溶剤 含有するインク組成物、のいずれかにより 色された着色体、
(11)着色がインクジェットプリンターにより された上記(10)に記載の着色体、
(12)上記(4)乃至(6)のいずれか一項に記載のイ ク組成物を含む容器が装填されたインクジ ットプリンター、
(13)式(1)におけるyが3~11の整数である上記(1)に 記載の水溶性アゾ化合物又はその塩、
に関する。

 本発明の上記式(1)で表される水溶性アゾ化 物又はその塩は、水や水溶性有機溶剤に対 る溶解性に優れる。またインク組成物を製 する過程での、例えばメンブランフィルタ に対するろ過性が良好という特徴を有し、 通紙及びインクジェット専用記録紙上で非 に鮮明で、彩度の高い高濃度なイエロー色 色相を与える。又、この化合物を含有する 発明のインク組成物は長期間保存後の結晶 出、物性変化、色相変化等もなく、貯蔵安 性が極めて良好である。そして本発明のイ ク組成物をインクジェット記録用のインク して使用した印刷物は被記録材(例えば紙、 フィルム等)を選択することなくイエロー色 色相として理想的な色相であり、写真調の ラー画像を紙の上に忠実に再現させること 可能である。
 更に本発明のインク組成物は、従来の染料 ンクと比較して普通紙上での耐水性が極め 向上している。また、写真画質用インクジ ット専用紙やフィルムのような多孔性白色 機物を表面に塗工した被記録材に記録して 各種堅牢性、すなわち耐水性、耐湿性、耐 ス性、および耐光性が良好であり、写真調 記録画像の長期保存安定性にも優れている このように、式(1)の水溶性アゾ化合物はイ ク用、特にインクジェット記録インク用の エロー色の色素として極めて有用である。

 本発明を詳細に説明する。尚、本明細書に いては特に断りがない限り、スルホ基およ カルボキシ基などの酸性官能基は遊離酸の で表す。
 また以下の本明細書においては特に断りが い限り、便宜上、「本発明の水溶性アゾ化 物又はその塩」あるいは「本発明の化合物 などを「本発明の色素」、また場合によっ は単に「色素」として表記する。また、本 細書の各式において、Meはメチル基を示す
 本発明の色素は上記式(1)で表される。
 式(1)中、Rは炭素数1~4のアルキル基、nは1ま は2、xは2から4、yは2から11の整数をそれぞ 示す。

 式(1)においてRは炭素数1~4のアルキル基を 表し、好ましくはメチル基である。

 式(1)においてnは1又は2を表し、好ましくは1 である。なお、-(CO 2 H) n で表されるカルボキシ基の置換位置は、アゾ 基に対して、オルト位、メタ位及びパラ位の 何れでもよいが、好ましくはメタ位である。
 xは2から4を表し、好ましくは3である。

 式(1)中のyは2から11の整数を表す。好ましく は3~11、より好ましくは5から11であり、特に ましくは5である。
 式(1)で表される色素のうち、上記のR、n、x びyのうち何れか一つの好ましいもの又は特 に好ましいものと他のものとの組み合わせを 有する色素は好ましく、何れか二つの好まし いもの又は特に好ましいものと他の好ましい ものとの組み合わせを有する色素はより好ま しく、何れか三つの好ましいもの又は特に好 ましいものと他の好ましいものとの組み合わ せを有する色素はさらに好ましい。
 例えば、前記式(1)において、yが3~11である 合物は好ましい化合物の一つであり、式(1) 表される色素のうち、Rがメチル基であり、n が1であり、xが3であり、yが3~11、より好まし は5から11である組み合わせを有する色素は り好ましく、前記式(2)で表される色素はも とも好ましい。

 上記式(1)の化合物は遊離酸、あるいはそ 塩としても存在する。上記式(1)の化合物の としては、無機又は有機の陽イオンとの塩 挙げられる。無機陽イオンの塩の具体例と てはアルカリ金属塩、例えばリチウム塩、 トリウム塩、カリウム塩などの塩が挙げら る。また、有機の陽イオンとしては、たと ば下記式(3)で表される4級アンモニウムが挙 げられるがこれらに限定されるものではない 。

(式(3)中、Z 1 ~Z 4 はそれぞれ独立に水素原子、C1~C4アルキル基 ヒドロキシC1~C4アルキル基又はヒドロキシC1 ~C4アルコキシC1~C4アルキル基を表わす。)

 ここで、Z 1 ~Z 4 における上記アルキル基の例としてはメチル 、エチル等があげられ、同じく上記ヒドロキ シアルキル基の例としてはヒドロキシメチル 、ヒドロキシエチル、3-ヒドロキシプロピル 2-ヒドロキシプロピル、4-ヒドロキシブチル 、3-ヒドロキシブチル、2-ヒドロキシブチル があげられ、更に上記ヒドロキシアルコキ アルキル基の例としては、ヒドロキシエト シメチル、2-ヒドロキシエトキシエチル、3-( ヒドロキシエトキシ)プロピル、3-(ヒドロキ エトキシ)ブチル、2-(ヒドロキシエトキシ)ブ チル等が挙げられる。

 前記塩のうち好ましいものは、ナトリウム カリウム、リチウム、モノエタノールアミ 、ジエタノールアミン、トリエタノールア ン、モノイソプロパノールアミン、ジイソ ロパノールアミン、トリイソプロパノール ミンの塩、及びアンモニウム塩等が挙げら る。これらのうち、より好ましくは、リチ ム塩、ナトリウム塩、及びアンモニウム塩 あり、アンモニウム塩(前記式(3)においてZ 1 ~Z 4 が水素原子)が特に好ましい。

 当業者においては明らかなように、前記式( 1)の化合物の塩又は遊離酸は以下の方法など より容易に得ることができる。
 例えば、反応終了後の反応液(後述する実施 例1におけるアセトン800部を加える前の反応 )、あるいは式(1)の化合物を含むウェットケ キ又は式(1)の化合物の乾燥品などを溶解し 水溶液に食塩を加えて塩析し、析出固体を 過することにより、前記式(1)の化合物のナ リウム塩をウェットケーキとして得ること できる。
 又、得られたナトリウム塩のウェットケー を水に溶解後、塩酸などの酸を加えてそのp Hを適宜調整し、析出した固体を濾過するこ により、前記式(1)の化合物の遊離酸を、あ いは式(1)の化合物の一部がナトリウム塩で る遊離酸とナトリウム塩の混合物を得るこ もできる。
 また、得られたナトリウム塩のウェットケ キ又はその乾燥品を水に溶解後、塩化アン ニウム等のアンモニウム塩を添加し、塩酸 どの酸を加えてそのpHを適宜、例えばpH1~3に 調整し、析出した固体を濾過することにより 、前記式(1)の化合物のアンモニウム塩を得る ことができる。添加する塩化アンモニウムの 量又は/及びpHを適宜調整することにより、式 (1)の化合物のアンモニウム塩と式(1)の化合物 のナトリウム塩との混合物、又は式(1)の化合 物の遊離酸とアンモニウム塩との混合物等を 得ることもできる。
 また、後記するように上記反応終了後の反 液に、鉱酸を加えて直接遊離酸の固体を得 こともできる。この場合には、式(1)の化合 の遊離酸のウェットケーキを水と共に撹拌 ながら、例えば、水酸化カリウム、水酸化 チウム、アンモニア水又は式(3)の水酸化物 を添加してアルカリ性にすれば、各々添加 た化合物に応じたカリウム塩、リチウム塩 アンモニウム塩、又は4級アンモニウムの塩 を得ることもできる。遊離酸のモル数に対し て、加える上記の塩のモル数を制限すること により、例えばリチウム塩とナトリウム塩の 混塩など、さらにはリチウム塩、ナトリウム 塩、及びアンモニウム塩の混塩なども調製す ることが可能である。
 上記式(1)の化合物の塩は、その塩の種類に り溶解性などの物理的な性質、あるいはイ クとして用いた場合のインクの性能が変化 る場合もある。このため目的とするインク 能などに応じて塩の種類を選択することも ましい。

 本発明の上記式(1)で表される色素は、例え 次のようにして製造することができる。な 下記式(A)から(E)において適宜使用されるR、 n、x、およびyは、それぞれ上記式(1)における のと同じ意味を表す。
 下記式(A)で表されるアミノベンゼンカルボ 酸類をジアゾ化し、次いで、下記式(B)の化 物と0~25℃、pH3~4でカップリング反応を行う とにより、下記式(C)の化合物が得られる。
式(A)~(C)

 次に得られた上記式(C)の化合物(2当量)とハ ゲン化シアヌル(1当量)、例えば塩化シアヌ (1当量)とを、温度25~45℃、pH5~7.5で縮合する とにより、下記式(D)の化合物が得られる。
式(D)

 さらに得られた上記式(D)の化合物中の塩素 子を、好ましくは75~90℃、pH7~9の条件下にお いて、下記一般式(E)で表される化合物で置換 することにより、前記式(1)で表される本発明 の色素を得ることができる。
式(E)

 前記式(A)の化合物としては、4-アミノ安息 酸、3-アミノ安息香酸、2-アミノ安息香酸、5 -アミノイソフタル酸、2-アミノテレフタル酸 などが具体例として挙げられ、前記式(B)の化 合物としては、2-(スルホエトキシ)-5-メチル ニリン、2-(スルホプロポキシ)-5-メチルアニ ン、2-(スルホブトキシ)-5-メチルアニリンな どが具体例として挙げられる。
 また、前記式(E)の化合物としては、β-アラ ン、4-アミノ酪酸、5-アミノ吉草酸、6-アミ ヘキサン酸、7-アミノヘプタン酸、12-アミ ドデカン酸などが具体例として挙げられる

 次に本発明の色素の具体例を下記表1に示 す。表1において、カルボキシ及びスルホ等 酸は、遊離酸の形で表す。

 本発明の前記式(1)の色素は、反応終了後、 酸などの鉱酸の添加により固体の遊離酸と て単離する事ができ、得られた遊離酸の固 を水又は例えば塩酸水などの酸性水で洗浄 ることなどにより、不純物として含有する 機塩(無機不純物)、例えば塩化ナトリウム 硫酸ナトリウムなどを除去することができ 。
 上記のようにして得られる本発明の色素の 離酸は、前記の通り、得られたウェットケ キを、水中で所望の無機又は有機塩基と処 することにより、対応する色素の塩の溶液 得ることができる。
 無機塩基としては、例えば水酸化リチウム 水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの ルカリ金属の水酸化物、あるいは炭酸リチ ム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの ルカリ金属の炭酸塩、および水酸化アンモ ウムなどが挙げられる。
 有機塩基の例としては、例えば前記式(3)で される有機アミンの塩、例えばジエタノー アミン、トリエタノールアミンなどのアル ノールアミンの塩などが挙げられるがこれ に限定されるものではない。

 本発明の色素は、天然及び合成繊維材料又 混紡品の染色、さらには、筆記用インク及 インクジェット記録用インク組成物の製造 適している。
 本発明の前記式(1)の色素を含む反応液(例え ば後述する実施例1における、アセトン800部 投入する前の反応液など)は、本発明のイン 組成物の製造に直接使用する事も出来る。 かし、反応液から該化合物を単離、例えば プレー乾燥などの方法により反応液などを 燥して該化合物を単離した後、得られた化 物をインク組成物に加工することもできる 本発明のインク組成物は、インク組成物の 質量中に、前記式(1)の色素を水溶液中に通 0.1~20質量%、より好ましくは1~10質量%、更に ましくは2~8質量%含有する。

 本発明のインク組成物は、前記式(1)の色 を水又は、水と水溶性有機溶剤(水との混和 が可能な有機溶剤)との混合溶液(水性媒体と いう)に溶解し、必要に応じインク調整剤を 添加したものである。このインク組成物をイ ンクジェットプリンター用のインクとして使 用する場合、不純物として含有する金属陽イ オンの塩化物、例えば塩化ナトリウム、硫酸 塩、例えば硫酸ナトリウム等の無機不純物の 含有量が少ないものを用いるのが好ましい。 この場合、例えば塩化ナトリウムと硫酸ナト リウムの総含有量は、色素の総質量に対して 1質量%以下程度であり、下限値は0質量%、す わち検出機器の検出限界以下でよい。無機 の少ない色素を製造するには、例えばそれ 体公知の逆浸透膜による方法又は本発明の 合物又はその塩の乾燥品あるいはウェット ーキをメタノールなどのC1~C4アルカノール等 及び水の混合溶媒中で撹拌して懸濁精製し、 固体を濾過分離し、乾燥するなどの方法で脱 塩処理すればよい。

 本発明のインク組成物は水を媒体として 製され、必要に応じて、水溶性有機溶剤を 本発明の効果を害しない範囲内において含 しても良い。水溶性有機溶剤は、染料溶解 、乾燥防止剤(湿潤剤)、粘度調整剤、浸透 進剤、表面張力調整剤、消泡剤等の役割を たすが、主に乾燥防止剤(湿潤剤)の目的で使 用される。その他のインク調製剤としては、 例えば、防腐防黴剤、pH調整剤、キレート試 、防錆剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤、染 溶解剤、褪色防止剤、乳化安定剤、表面張 調整剤、消泡剤、分散剤、及び分散安定剤 の公知の添加剤が挙げられる。水溶性有機 剤の含有量はインクの総質量に対して0~60質 量%、好ましくは10~50質量%であり、インク調 剤はインク全体に対して0~20質量%、好ましく は0~15質量%用いるのが良い。上記水溶性有機 剤及びインク調製剤、並びに前記式(1)の色 以外の残部は水である。

 上記の水溶性有機溶剤としては、例えば タノール、エタノール、n-プロパノール、 ソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノ ール、第二ブタノール、第三ブタノール等の C1~C4アルカノール;N,N-ジメチルホルムアミド たはN,N-ジメチルアセトアミド等のアミド類; 2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、ヒド キシエチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチルイミ ゾリジン-2-オンまたは1,3-ジメチルヘキサヒ ドロピリミド-2-オン等の複素環式ケトン;ア トン、メチルエチルケトン、2-メチル-2-ヒド ロキシペンタン-4-オン等のケトンまたはケト アルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサ 等の環状エーテル;エチレングリコール、1,2- または1,3-プロピレングリコール、1,2-または1 ,4-ブチレングリコール、1,6-ヘキシレングリ ール、ジエチレングリコール、トリエチレ グリコール、テトラエチレングリコール、 プロピレングリコール、ポリエチレングリ ール、ポリプロピレングリコール、または オジグリコール等のC2~C6アルキレン単位を有 するモノ、オリゴまたはポリアルキレングリ コールまたはチオグリコール;トリメチロー プロパン、グリセリン、ヘキサン-1,2,6-トリ ール等のポリオール(好ましくはトリオール );エチレングリコールモノメチルエーテル、 チレングリコールモノエチルエーテル、ジ チレングリコールモノメチルエーテル、ジ チレングリコールモノエチルエーテル、ジ チレングリコールモノブチルエーテル(ブチ ルカルビトール)、トリエチレングリコール ノメチルエーテル、トリエチレングリコー モノエチルエーテル等の多価アルコールのC1 ~C4モノアルキルエーテル;γ-ブチロラクトン たはジメチルスルホキシド等があげられる

 なお、上記の水溶性有機溶剤には、例え トリメチロールプロパン等のように、常温 固体の物質も含まれている。しかし、該物 等は固体であっても水溶性を示し、さらに 物質等を含有する水溶液は水溶性有機溶剤 同様の性質を示し、同じ目的で使用するこ ができる。このため本明細書においては、 宜上、このような固体の物質であっても上 同じ目的で使用できる限り、水溶性有機溶 の範疇に含むこととする。

 上記の水溶性有機溶剤として好ましいも は、イソプロパノール、グリセリン、モノ ジまたはトリエチレングリコール、ジプロ レングリコール、2-ピロリドン、ヒドロキ エチル-2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン 、トリメチロールプロパンおよびブチルカル ビトールであり、より好ましくはイソプロパ ノール、グリセリン、ジエチレングリコール 、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、ト メチロールプロパンおよびブチルカルビト ルである。これらの水溶性有機溶剤は、単 もしくは混合して用いられる。

 上記の防腐防黴剤としては、例えば、有機 黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、 ロアリルスルホン系、ヨードプロパギル系 N-ハロアルキルチオ系、ベンゾチアゾール 、ニトリル系、ピリジン系、8-オキシキノリ ン系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピ リジンオキシド系、ニトロプロパン系、有機 スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩 、トリアジン系、チアジアジン系、アニリ 系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト 、ブロム化インダノン系、ベンジルブロム セテート系、および無機塩系等の化合物が げられる。
 有機ハロゲン系化合物としては、例えばペ タクロロフェノールナトリウムが挙げられ ピリジンオキシド系化合物としては、例え 2-ピリジンチオール-1-オキサイドナトリウ が挙げられ、イソチアゾリン系化合物とし は、例えば1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン 2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、5-ク ロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、5-ク ロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンマグネ ウムクロライド、5-クロロ-2-メチル-4-イソチ アゾリン-3-オンカルシウムクロライド、2-メ ル-4-イソチアゾリン-3-オンカルシウムクロ イド等が挙げられる。
 その他の防腐防黴剤として酢酸ナトリウム ソルビン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウ 等があげられる。防腐防黴剤のその他の具 例としては、例えば、アベシア社製 商品 プロクセルGXL(S)およびプロクセルXL-2(S)等が げられる。

 pH調整剤は、インクの保存安定性を向上 せる目的で、インクのpHを6.0~11.0の範囲に制 できるものであれば任意の物質を使用する とができる。例えば、ジエタノールアミン トリエタノールアミンなどのアルカノール ミン;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、 水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化 物;水酸化アンモニウム;あるいは炭酸リチウ 、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのア カリ金属の炭酸塩などが挙げられる。

 キレート試薬としては、例えばエチレン アミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸 トリウム、ヒドロキシエチルエチレンジア ン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミ 五酢酸ナトリウム、ウラシル二酢酸ナトリ ムなどがあげられる。

 防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩 チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸ア モニウム、ジイソプロピルアンモニウムナ トライト、四硝酸ペンタエリスリトール、 シクロヘキシルアンモニウムナイトライト どがあげられる。

 紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフ ノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合 、桂皮酸系化合物、トリアジン系化合物、 チルベン系化合物、又はベンズオキサゾー 系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍 を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用 ることができる。

 粘度調整剤としては、水溶性有機溶剤の に、水溶性高分子化合物があげられ、例え ポリビニルアルコール、セルロース誘導体 ポリアミン、ポリイミン等があげられる。

 染料溶解剤としては、例えば尿素、ε-カ ロラクタム、エチレンカーボネート等があ られる。尿素を使用するのが好ましい。

 褪色防止剤は、画像の保存性を向上させ 目的で使用される。褪色防止剤としては、 種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を 用することができる。有機の褪色防止剤と てはハイドロキノン類、アルコキシフェノ ル類、ジアルコキシフェノール類、フェノ ル類、アニリン類、アミン類、インダン類 クロマン類、アルコキシアニリン類、及び テロ環類などがあり、金属錯体としてはニ ケル錯体、及び亜鉛錯体などがある。

 表面張力調整剤としては、界面活性剤が げられ、例えばアニオン界面活性剤、両性 面活性剤、カチオン界面活性剤、及びノニ ン界面活性剤などがあげられる。

 アニオン界面活性剤としてはアルキルス ホカルボン酸塩、α-オレフィンスルホン酸 、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢 塩、N-アシルアミノ酸およびその塩、N-アシ ルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオ キシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸 塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸 塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩 、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アル キルフェノール型燐酸エステル、アルキル型 燐酸エステル、アルキルアリルスルホン酸塩 、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキル シルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀 酸塩などが挙げられる。

 カチオン界面活性剤としては2-ビニルピ ジン誘導体、ポリ4-ビニルピリジン誘導体な どがある。

 両性界面活性剤としてはラウリルジメチ アミノ酢酸ベタイン、2-アルキル-N-カルボ シメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニ ムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピル メチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチル リアミノエチルグリシン、その他イミダゾ ン誘導体などがある。

 ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシ チレンノニルフェニルエーテル、ポリオキ エチレンオクチルフェニルエーテル、ポリ キシエチレンドデシルフェニルエーテル、 リオキシエチレンオレイルエーテル、ポリ キシエチレンラウリルエーテル、ポリオキ エチレンアルキルエーテル等のエーテル系; ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポ リオキシエチレンジステアリン酸エステル、 ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステ アレート、ソルビタンモノオレエート、ソル ビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレ ンモノオレエート、ポリオキシエチレンステ アレートなどのエステル系;2,4,7,9-テトラメチ ル-5-デシン-4,7-ジオール、3,6-ジメチル-4-オク チン-3,6-ジオール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3- オールなどのアセチレングリコール(アルコ ル)系、その他の具体例として例えば、日信 学工業株式会社製 商品名サーフィノール RTM 104、82、465、オルフィンSTGやSIGMA-ALDRICH社製の Tergitol RTM 15-S-7等が挙げられる。なお、本明細書におい て上付RTMは登録商標を意味する。

 消泡剤としては、高酸化油系、グリセリ 脂肪酸エステル系、フッ素系、シリコーン 化合物が必要に応じて用いられる。

 これらのインク調製剤は、単独もしくは 合して用いられる。なお、本発明のインク 表面張力は通常25~70mN/m、より好ましくは25~6 0mN/mである。また本発明のインクの粘度は30mP a・s以下が好ましい。更に20mPa・s以下に調整 ることがより好ましい。

 本発明のインク組成物を製造するにあた 、添加剤などの各薬剤を溶解させる順序に 特に制限はない。インクを調製するにあた 、用いる水はイオン交換水または蒸留水な 不純物が少ない物が好ましい。さらに、必 に応じメンブランフィルターなどを用いて 密濾過を行って夾雑物を除いてもよく、イ クジェットプリンター用のインクとして使 する場合は精密濾過を行うことが好ましい 精密濾過を行うフィルターの孔径は通常1μm ~0.1μm、好ましくは、0.8μm~0.2μmである。

 本発明の色素を含有するインク組成物は 印捺、複写、マーキング、筆記、製図、ス ンピング、又は記録(印刷)、特にインクジ ット記録における使用に適する。また本発 のインク組成物は、インクジェットプリン ーのノズル付近における乾燥に対しても結 析出は起こりにくく、この理由によりヘッ の閉塞もまた起こりにくい。さらに本発明 インク組成物をインクジェット記録に用い 場合、水、光、オゾンや酸化窒素ガス、及 摩擦に対する良好な耐性を有する高品質の エロー色の印刷物が得られ、特に普通紙上 耐水性が極めて良好である。

 インクジェットプリンターにおいて、高 細な画像を供給することを目的に、高濃度 インクと低濃度のインクの2種類のインクが 1台のプリンタに装填されたものもある。そ 場合、本発明の色素を用いて、色素濃度が 濃度のインク組成物と、低濃度のインク組 物をそれぞれ作製し、それらをインクセッ として使用してもよい。またどちらか一方 けに該色素を用いてもよい。また本発明の 素と公知のイエロー色の色素とを併用して よい。また他の色、例えばブラックインク 調色用途、あるいはマゼンタ色素やシアン 素と混合して、レッドインクやグリーンイ クを調製する目的で本発明の色素を用いる ともできる。

 本発明の着色体とは本発明の色素で着色 れた物質のことである。着色体の材質には に制限はなく、例えば紙、フィルムなどの 報伝達用シート、繊維や布(セルロース、ナ イロン、羊毛等)、皮革、カラーフィルター 基材等、着色されるものであればなんでも く、これらに限定されない。着色方法とし は、例えば浸染法、捺染法、スクリーン印 等の印刷法、インクジェットプリンターに る方法等があげられるが、インクジェット リンターによる方法が好ましい。

 情報伝達用シートとしては、特に制約はな 、普通紙はもちろん、表面処理されたもの 具体的には紙、合成紙、フィルム等の基材 インク受容層を設けたものなどが用いられ 。ここでインク受容層とは、インクを吸収 て乾燥を早める等の作用を有する層で、例 ば上記基材にカチオン系ポリマーを含浸あ いは塗工する方法;または多孔質シリカ、ア ルミナゾルや特殊セラミックスなどのインク 中の色素を吸収し得る無機微粒子をポリビニ ルアルコールやポリビニルピロリドン等の親 水性ポリマーと共に上記基材表面に塗工する 方法;などにより設けられる。このようなイ ク受容層を設けたものは通常インクジェッ 専用紙、インクジェット専用フィルム、光 紙、または光沢フィルム等と呼ばれる。
 普通紙とは、特にインク受容層を設けてい い紙のことを指し、用途によってさまざま ものが数多く市販されている。市販されて る普通紙の一例を挙げると、インクジェッ 用としては、両面上質普通紙(セイコーエプ ソン株式会社製)、カラー普通紙、(キヤノン 式会社製)、Multipurpose Paper、All-in-one Printing  Paper(Hewlett Packard社製)などがある。この他 特に用途をインクジェット印刷に限定しな プレーンペーパーコピー(PPC)用紙なども普通 紙である。
 本発明のインク組成物は、上記のような普 紙上での耐水性が特に優れているが、その の光、オゾン、湿度や摩擦などに対する耐 にも優れる。インクジェット印刷用にイン 受容層を設けているインクジェット専用紙 専用フィルム、光沢紙または光沢フィルム どでの耐水性にも優れ、またそれらの情報 達用シート上での耐光性、耐ガス性、耐湿 及び耐擦性なども良好である。

 本発明のインクジェット記録方法で、被記 材に記録するには、例えば上記のインク組 物が充填された容器をインクジェットプリ ターの所定位置にセットし、通常の方法で 被記録材に記録すればよい。本発明のイン ジェット記録方法は、本発明のインク組成 と共に、マゼンタ、シアン、必要に応じて グリーン、ブルー(又はバイオレット)、レ ド、及びブラック等の各色のインクを併用 うる。この場合、各色のインクは、それぞ の容器に注入され、それらの容器を、イン ジェットプリンターの所定位置に装填して 用する。
 インクジェットプリンターには、例えば機 的振動を利用したピエゾ方式や加熱により ずる泡を利用したバブルジェット RTM 方式等を利用したものがある。本発明のイン クジェット記録方法は、いかなる方式であっ ても使用が可能である。

 本発明のインク組成物は、鮮明なイエロ 色であり、普通紙、インクジェット専用紙 光沢紙に記録した画像の鮮明度が高く、イ クジェット記録方法に適した色相を有する また、その記録画像の堅牢度、特に普通紙 おける耐水性が非常に高いことを特徴とす 。

 本発明のインク組成物は貯蔵中に沈澱、 離することがない。また、本発明のインク 成物をインクジェット記録に使用した場合 ノズル付近におけるインク組成物の乾燥に る結晶析出は非常に起こりにくく、噴射器( インクヘッド)を閉塞することもない。本発 のインク組成物は連続式インクジェットプ ンターを用い、比較的長い時間間隔におい インクを再循環させて使用する場合におい も、又はオンデマンド式インクジェットプ ンターによる断続的な使用においても、物 的性質の変化を起こさない。

 以下に本発明を実施例により、更に具体的 説明する。尚、特別の記載のない限り、本 中「部」及び「%」とあるのは質量基準であ り、また反応温度は内温である。
 なお合成した各化合物のλmax(最大吸収波長) は、pH7~8の水溶液中での測定値を示した。ま 実施例ではナトリウム塩もしくはアンモニ ム塩の例のみを記載しているが、アルカリ 属塩や有機の陽イオンとの塩なども上記の り適当な方法を用いることにより容易に得 ことが可能であり、本発明は本実施例に限 されるものではない。
 さらに、実施例中で得た化合物の各構造式 おいて、カルボキシ及びスルホ等の酸性官 基は、遊離酸の形で記載した。
 実施例で得られた本化合物の室温における に対する溶解度はいずれも50g/L以上であっ 。

実施例1
 3-アミノ安息香酸13.7部を水酸化ナトリウム pH6に調整しながら水100部に溶解し、次いで こに亜硝酸ナトリウム7.2部を加えた。この 液を0~10℃で、5%塩酸100部中に30分間かけて 下した後、10℃以下で1時間攪拌し、ジアゾ 反応を行い、ジアゾニウム塩を含有する反 液を得た。
 次に、2-(スルホプロポキシ)-5-メチルアニリ ン24.5部を、水酸化ナトリウムでpH7に調整し がら水100部に溶解し、得られた溶液を、先 得たジアゾニウム塩を含有する反応液中に え、0~25℃、pH3~4で5時間攪拌した。析出固体 濾過分離することにより下記式(4)のアゾ化 物120部をウェットケーキとして得た。

 次に、得られた式(4)のアゾ化合物120部のウ ットケーキを水300部に溶解した。この溶液 、界面活性剤(ライオン株式会社製、商品名 レオコール RTM TD50)0.10部を加えて攪拌し、続いて塩化シアヌ ル6.4部を添加して、その後、15%炭酸ナトリウ ム水溶液でpHを5~7.5に維持しながら、25~45℃で 6時間撹拌した。
 次に、得られた反応液にアラニン9.3部を加 、15%炭酸ナトリウム水溶液でpHを7~9に維持 ながら、75~90℃で6時間攪拌した。得られた 応液を20~40℃まで冷却後、この反応液にアセ トン800部を加え、得られた液を20~40℃で1時間 攪拌した。析出固体を濾過分離することによ りウェットケーキ150部を得た。このウェット ケーキを、熱風乾燥機を用いて、80℃で乾燥 ることにより、下記式(5)で表される本発明 水溶性アゾ化合物29.0部をナトリウム塩とし て得た。
式(5)

実施例2
 実施例1のアラニン9.3部を6-アミノヘキサン 13.8部とする以外は実施例1と同様の方法で 下記式(6)で表される本発明の水溶性アゾ化 物30.0部をナトリウム塩として得た。
式(6)

実施例3
 実施例1のアラニン9.3部を12-アミノドデカン 酸22.6部とする以外は実施例1と同様の方法で 下記式(7)で表される本発明の水溶性アゾ化 物31.0部をナトリウム塩として得た。
式(7)

実施例4
 実施例2で得られた前記式(5)で表される本発 明の水溶性アゾ化合物29.0部を水270部に溶解 せ、その水溶液に塩化アンモニウムを45部添 加した。その後、塩酸でpH1~3にし、30分撹拌 ることにより、ナトリウム塩からアンモニ ム塩への塩交換反応を行った後に、析出固 を濾過分離し、ウェットケーキ120部を得た このウェットケーキをメタノール200部で洗 した後、熱風乾燥機を用いて、80℃で乾燥す ることにより、前記式(5)で表される本発明の 水溶性アゾ化合物のアンモニウム塩(λmax 421n m)26.0部を得た。

実施例5
 実施例4の上記式(5)で表される本発明の水溶 性アゾ化合物29.0部を上記式(6)で表される水 性アゾ化合物30.0部とする以外は実施例1と同 様の方法で、上記式(6)で表される本発明の水 溶性アゾ化合物のアンモニウム塩(λmax 391nm)2 7.0部を得た。

実施例6
 実施例4の前記式(5)で表される本発明の水溶 性アゾ化合物29.0部の代わりに、上記式(7)で される水溶性アゾ化合物31.0部を用いる以外 実施例4と同様の方法で、前記式(7)で表され る本発明の水溶性アゾ化合物のアンモニウム 塩(λmax 405nm)28.0部を得た。

実施例7~9
(A)インクの調製
 上記実施例4~6で得られた本発明のアゾ化合 (式(5)~(7)のアンモニウム塩)のそれぞれを、 2に示した組成比で他の成分と混合して、そ れぞれの化合物を含む本発明のインク組成物 を得た。得られたインク組成物を、それぞれ 0.45μmのメンブランフィルターで濾過し、夾 物を除き、本発明の化合物を含有するイン を調製した。尚、水はイオン交換水を使用 、インク組成物のpHがおよそ9.5となるように アンモニア水で調整後、水を加えてインクの 総量を100部に調整した。実施例4の化合物(式( 5)のアンモニウム塩)を使用したインクを実施 例7、実施例5の化合物(式(6)のアンモニウム塩 )を使用したインクを実施例8、実施例6の化合 物(式(7)のアンモニウム塩)を使用したインク 実施例9とする。

表2(インク組成物の組成比)
 実施例4、5又は6で得られたアゾ化合物      3.5部
 グリセリン                   10.0
 2-ピロリドン                 10.0部
 トリメチロールプロパン              5.0部
 Tergitol RTM  15-S-7(注)      1.0部
 アンモニア水+水                70.5 部
    計                   100.0部
 (注)ポリグリコールエーテル系ノニオン界 活性剤、SIGMA-ALDRICH社製

比較例1
 色素として実施例4~6で得られたアゾ化合物 かわりに、特許文献1の例10に記載の色素(ア ンモニウム塩)を用いる以外は、実施例7~9と 様の操作により、表2と同様の組成比を有す 比較用のインクを調製した。用いた化合物 構造式を下記式(8)に示す(アンモニウム塩;λ max 377nm)。

比較例2
 色素として実施例4~6で得られたアゾ化合物 かわりに、特許文献2の実施例1に記載の化 物のアンモニウム塩を用いる以外は、実施 7~9と同様の操作により、表2と同様の組成比 有する比較用のインクを調製した。
用いた化合物の構造式を下記式(9)に示す(ア モニウム塩;λmax 391nm)。

比較例3
 実施例1でアラニン9.3部を使う代わりにタウ リン13.1部を用いて下記式(10)の化合物(ナトリ ウム塩)を得た。実施例4と同様の操作を経て の式(10)の化合物のアンモニウム塩(λmax 421n m)を得た。この化合物は特許文献2の表1(化合 例)に記載の化合物番号10の化合物である。 素として実施例4~6で得られたアゾ化合物の わりに、得られた式(10)の化合物のアンモニ ウム塩を用いる以外は、実施例7~9と同様の操 作により、表2と同様の組成比を有する比較 のインクを調製した。
式(10)

比較例4
 実施例1でアラニン9.3部を使う代わりにグリ シン7.9部を用いて下記式(11)の化合物を得た 実施例4と同様の操作を経てこの式(11)の化合 物のアンモニウム塩(λmax 421nm)を得た。色素 して実施例4~6で得られたアゾ化合物のかわ に、得られた式(11)の化合物のアンモニウム 塩を用いる以外は、実施例7~9と同様の操作に より、表2と同様の組成比を有する比較用の ンクを調製した。この化合物は、前記式(1) 、Rがメチル、nが1、xが3及びyが1である化合 に該当し、yが1であることから、本発明の 囲には含まれない。

(B)インクジェットプリント
 インクジェットプリンター(キヤノン株式会 社製 商品名:PIXUS RTM  ip4100)を用いて、表3に示す4種類の普通紙に ンクジェット記録を行った。インクジェッ 記録は、下記の2つの画像パターンについて 行った。
(i)インクジェット記録の際、チェック柄のパ ターン(濃度100%と0%の1.5mm角正方形を交互に組 み合わせたパターン)を作成し、コントラス の高いイエロー/ホワイトの印字物を得た。 お、ホワイトの部分はインクによって着色 れていない、普通紙の地肌の部分である。
(ii)反射濃度が、数段階の階調が得られるよ に画像パターンを作成し、イエロー色の濃 階調のあるグラデーションの印字物を得た
 耐水性試験の目視判断を行う際には、チェ ク柄の印字物を用いた。
 耐水性試験の色素残存率測定は、グラデー ョンの印字物を用い、試験前の印字物の反 濃度D値が1に最も近い部分について試験前 の反射濃度の測定を行った。また、反射濃 は測色システム(商品名SpectroEye RTM 、GretagMacbeth社製)を用いて測定した。
 記録画像の評価(C)、記録画像の耐水性試験1 ~3、およびその結果を下記表3の後に順次記載 する。

表3
普通紙1
  キヤノン株式会社製
 商品名LBP PAPER LS-500
普通紙2
 Hewlett Packard社製
 商品名Multipurpose Paper
普通紙3
 Hewlett Packard社製
 商品名All-in-One Printing Paper
普通紙4
 セイコーエプソン株式会社製
 両面上質普通紙 KA4250NPD

(C)記録画像の評価
 プリントしたグラデーションの印字物中で イエローの反射濃度Dy値が1.0に最も近い部 について上記測色システムを用いて明度L*値 、a*値、b*値及び彩度C*値、及び色相角h値を 定した。
 L*、C*、h、C*/L*及びDyのそれぞれの値につい 、普通紙1での結果を表4に、普通紙2での結 を表5に、普通紙3での結果を表6に、普通紙4 での結果を表7にそれぞれ記す(a*値、b*値は省 略)。なお色相角hは、90度付近が黄色の色相 ある。また、色素の鮮明性の評価において 、明度L*値を一定として考慮することが好ま しいため、C*値及びL*値を記載すると共に、C* /L*値を併記した。

[規則91に基づく訂正 30.10.2008]
表4
普通紙1
        L*    C*    h    C*/L*   Dy
実施例7   78.6  74.0  89.3  0.94   1.13
実施例8   80.2  72.8  87.9  0.91   1.09
実施例9   80.1  71.3  90.0  0.89   1.07
比較例1   85.2  65.8  98.7  0.77   0.93
比較例2   84.1  67.5  95.1  0.80   0.96
比較例3   79.5  71.8  89.3  0.90   1.07
比較例4   78.7  70.5  89.7  0.90   1.08

[規則91に基づく訂正 30.10.2008]
表5
普通紙2
        L*    C*    h    C*/L*   Dy
実施例7   81.1  67.9  89.7  0.84   1.01
実施例8   80.2  65.0  87.9  0.87   1.04
実施例9   81.4  68.0  89.5  0.83   1.00
比較例1   87.5  65.0  98.2  0.74   0.89
比較例2   86.2  68.0  94.2  0.79   0.95
比較例3   79.5  67.5  89.3  0.85   1.02
比較例4   77.3  66.2  89.6  0.86   1.03

[規則91に基づく訂正 30.10.2008]
表6
普通紙3
        L*    C*    h    C*/L*   Dy
実施例7   82.8  69.9  89.2  0.84   1.01
実施例8   81.7  71.0  87.5  0.87   1.04
実施例9   81.2  69.2  89.7  0.85   1.02
比較例1   87.4  68.6  97.4  0.78   0.94
比較例2   86.8  67.1  94.4  0.77   0.93
比較例3   78.9  63.7  89.1  0.81   0.97
比較例4   80.3  64.2  90.5  0.80   0.96

[規則91に基づく訂正 30.10.2008]
表7
普通紙4
        L*    C*    h    C*/L*   Dy
実施例7   79.6  65.6  90.8  0.82   0.99
実施例8   74.2  65.1  89.9  0.88   1.05
実施例9   79.9  65.3  92.0  0.82   0.98
比較例1   84.7  57.4 100.2  0.68   0.81
比較例2   83.0  64.5  95.2  0.78   0.93
比較例3   74.9  60.3  91.8  0.81   0.97
比較例4   80.7  66.6  91.6  0.83   0.99

(D)耐水性試験1(蒸発乾燥試験)
 印刷後1時間乾燥を行ったチェック柄の印字 物に対して、イオン交換水を1滴滴下し、そ まま自然乾燥した。乾燥後、パターンのに みの程度を目視で評価し、以下の基準で3段 に評価した。
  全く滲みが無い(どこに滴下したのか判別 可能)・・・・○
  ほとんど滲みが無い(滴下した場所は判別 きる)・・・・△
  明らかに滲んでいる・・・・・・・・・ ・・・・・・・・×
結果を表8に示す。

(E)耐水性試験2(浸漬試験1)
 印刷後24時間乾燥を行ったチェック柄の印 物に対して、イオン交換水中に1時間浸漬し 。乾燥後、パターンの着色部分の色落ち具 とホワイト部分の着色具合とを目視で評価 、以下の基準で3段階に評価した。
  色落ちや着色が全く無い・・・・・・・ ・・・・○
  色落ちや着色がやや見られる・・・・・ ・・・・△
  明らかに色落ちや着色が見られる・・・ ・・・・×
結果を表9に示す。

(F)耐水性試験3(浸漬試験2)
 印刷後24時間乾燥を行ったグラデーション 印字物に対して、イオン交換水中に1時間浸 した。試験前の反射濃度の測定において反 濃度Dy値が1に最も近い部分について、浸漬 の反射濃度を前記の測色システムを用いて び測色した。測定後、色素残存率を(試験後 の反射濃度/試験前の反射濃度)×100(%)で計算 て求め、以下の基準で4段階で評価した。
  色素残存率が90%以上・・・・・・・・◎
  色素残存率が80%以上90%未満・・・○
  色素残存率が50%以上80%未満・・・△
  色素残存率が50%未満・・・・・・・・×
結果を表10に示す。

表8 耐水性試験1の結果
     (普通紙1)(普通紙2)(普通紙3)(普通紙4)
 実施例7   ○     ○     ○     △
 実施例8   ○     ○     ○     ○
 実施例9   ○     ○     ○     ○
 比較例1   ○     ○     ○     △
 比較例2   ○     ○     ○     △
 比較例3   ○     ×     ○     ×
 比較例4   ○     ×     ○     ×

表9 耐水性試験2の結果
     (普通紙1)(普通紙2)(普通紙3)(普通紙4)
 実施例7   △     △     △     ○
 実施例8   △     △     △     ○
 実施例9   ○     ○     ○     ○
 比較例1   △     △     △     △
 比較例2   △     △     ×     ×
 比較例3   ×     △     ×     △
 比較例4   ×     ×     ×     △

表10 耐水性試験3の結果
     (普通紙1)(普通紙2)(普通紙3)(普通紙4)
 実施例7   ○     ◎     ◎     ○
 実施例8   ○     ◎     ◎     ○
 実施例9   ◎     ◎     ◎     ◎
 比較例1   △     ◎     ◎     ○
 比較例2   ×     △     ◎     ○
 比較例3   △     △     ◎     △
 比較例4   △     ×     △     △

 表4~7の結果より明らかなように、彩度C*値 び彩度C*を明度L*で割った値C*/L*については 実施例7~9及び比較例1~4何れも普通紙の種類 よるばらつきが見られ、比較例1及び2が全体 に比較的低い値を示す以外は、他のものでは 大きな差は見られない。
 以上の結果より、各普通紙に対する印字物 イエローとしての色評価については、実施 7から9は、比較例3及び4と同程度であり、比 較例1及び2よりは明らかに優れている。

 また、表8の耐水性試験1の評価結果では 普通紙2で差が見られ、比較例3及び4よりも 施例7から9は優れた耐水性を示した。更に、 普通紙4でも差が見られ、実施例8及び実施例9 が高い耐水性を持つことがわかる。また普通 紙4においては、実施例7の耐水性は比較例1及 び2とほぼ同じ程度であり、比較例3及び4より も優れていた。

 表9の耐水性試験2の評価結果では、普通紙1 は実施例9が非常に良好な耐水性を示した。 実施例7及び8は比較例1及び2と同じ程度の耐 性であり、比較例3及び4よりも優れていた。
 普通紙2でも実施例9が非常に良好な耐水性 示し、実施例7及び8は比較例1から3と同じ程 の耐水性を示した。比較例4は非常に耐水性 が不良であった。
 普通紙3でも実施例9が非常に良好な耐水性 示し、実施例7及び8は比較例1と同じ程度の 水性を示した。比較例2から4は耐水性が不良 であった。
 普通紙4では実施例7から9までのいずれもが 常に良好な耐水性を示し、比較例1から4の ずれよりも明らかに優れていた。

 表10の耐水性試験3の評価結果では、普通紙1 では各実施例とも各比較例に対して優れた耐 水性を示した。
 普通紙2でも各実施例は非常に優れた耐水性 を示し、比較例1とは同じ程度の耐水性であ たが、比較例2から4との比較では明らかに優 れていた。
 普通紙3でも各実施例は非常に優れた耐水性 を示し、比較例1から3とは同じ程度の耐水性 あったが、比較例4に対して明らかに優れて いた。
 普通紙4では実施例9が非常に優れた耐水性 示し、実施例7及び8も優れた耐水性を示した 。実施例7及び8は比較例1及び2と同じ程度の 水性であったが、比較例3及び4との比較では 明らかに優れていた。

 表8乃至10の結果より、本発明の実施例7~9は 何れの耐水試験においても、普通紙1~4の何 において、一定以上の耐水性を示し、各種 普通紙に対して安定して耐水性を示すもの あることが判る。一方比較例においては、 較例1の化合物が、本発明の化合物と同程度 の耐水性を示すが、比較例2~4では、少なくと もいずれかの試験の、複数の普通紙で、色素 残存率50%以下(×)を示しており、安定した耐 性が得られていないことが判る。
 また、本発明の色素についてみると、耐水 においては、実施例7<実施例8<実施例9 いう結果であり、前記式(1)で表される本発 のアゾ化合物において、yの値が大きくなる ど耐水性が優れるという結果であった。
 また、前記式(1)においてyが1の場合に該当 る化合物を使用した比較例4は、yが2である 発明の化合物を用いた実施例7と比べると、 れの耐水性試験においても、比較例4は明ら かに劣っており、yが2以上において顕著に耐 性において優れることが判る。
 更に、前記式(1)における、-(CH 2 )yCOOHのカルボキシル基をスルホ基(-SO 3 H)に変えた化合物との比較では、比較例3で使 用する-(CH 2 ) 2 SO 3 Hを有する前記式(10)の化合物に対応する本発 の式(5)の化合物を用いた実施例7は、何れの 耐水試験においても、種々の普通紙で一定以 上の耐水性を示すのに対して、比較例3は、 水性試験1及び2においては、2種の普通紙で 色素残存率50%以下(×)を示しており、耐水性 験3においては、色素残存率50%以下(×)は無 ものの、3種の普通紙での耐水性において、 施例7より劣っており、カルボキシル基を有 する本発明の化合物が顕著に優れていること が判る。

 以上の結果から、本発明の水溶性アゾ化 物はインクジェット記録用のインク組成物 調製するのに適しており、各種の堅牢性、 に従来の色素と比較して、多種類の普通紙 おける耐水性に極めて優れ、また水溶解性 高く、また特に普通紙上での発色性に優れ 彩度が良好で鮮明な色相を持つ。これらの 徴から、本発明のアゾ化合物は各種の記録 インク色素、特にインクジェットインク用 イエロー色の色素として非常に有用な化合 であることが明らかである。