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Patent Searching and Data


Title:
WEST NILE VIRUS VACCINE, AND METHOD FOR PRODUCTION THEREOF
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/060961
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed are: a signal peptide for secreting/producing a virus-like particle (VLP) at a high level, which comprises a modified product of a signal sequence derived from a West Nile virus (WNV); an expression vector for secreting a WNV VLP, which comprises a nucleic acid encoding the signal peptide, a nucleic acid encoding prM protein and a nucleic acid encoding E protein; an animal cell line capable of secreting/producing a WNV VLP at a high level, which has the vector introduced therein; a WNV vaccine comprising, as an active ingredient, a WNV VLP produced by using the cell line; and a WNV DNA vaccine comprising, as an active ingredient, the expression vector for secreting the VLP.

Inventors:
KOJIMA ASATO (JP)
TAKAHASHI HIDEHIRO (JP)
ISHIKAWA TOYOKAZU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/070354
Publication Date:
May 14, 2009
Filing Date:
November 07, 2008
Export Citation:
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Assignee:
JAPAN AS REPRESENTED BY THE DI (JP)
UNIV OSAKA RES FOUND (JP)
KOJIMA ASATO (JP)
TAKAHASHI HIDEHIRO (JP)
ISHIKAWA TOYOKAZU (JP)
International Classes:
C12N15/09; A61K31/711; A61K35/76; A61K39/12; A61P31/12; A61P31/14; C07K14/18; C12N1/15; C12N1/19; C12N1/21; C12N5/10; C12N7/00; C12N7/01; C12N7/04; C12P21/02
Foreign References:
JP2004065118A2004-03-04
JP2004065118A2004-03-04
Other References:
DATABASE GENBANK 19 October 2007 (2007-10-19), BORISEVICH, V. ET AL.: "West Nile virus, complete genome", retrieved from http://www.ncbi. nlm.nih.gov/entrez/viewer.fcgi?15851688 7:NCBI: 19326278 Database accession no. NC_009942
HIDEMUNE TAKAHASHI ET AL.: "West Nile Virus Subunit Vaccine no Kaihatsu", THE JAPANESE SOCIETY OF VIROLOGY GAKUJUTSU SHUKAI PROGRAM SHOROKUSHU, vol. 54TH, 1 November 2006 (2006-11-01), pages 241
BORISEVICH, V. ET AL.: "Biological properties of chimeric West Nile viruses", VIROLOGY, vol. 349, 20 March 2006 (2006-03-20), pages 371 - 381
See also references of EP 2221368A4
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LANCIOTTI, R. S. ET AL., SCIENCE, vol. 286, 1999, pages 2333 - 2337
EBEL, G.D. ET AL., AM. J. TROP. MED. HYG., vol. 71, no. 4, 2004, pages 493 - 500
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ALTSCHUL ET AL., NUCLEIC ACIDS RES., vol. 25, 1997, pages 3389 - 3402
NEEDLEMAN ET AL., J. MOL. BIOL., vol. 48, 1970, pages 444 - 453
MYERS; MILLER, CABIOS, vol. 4, 1988, pages 11 - 17
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A. YASUDA; H. ASANUMA; T. ISHIKAWA; K. YASUI; T. KURATA, J. VIORL, vol. 77, 2003, pages 8745 - 55
Attorney, Agent or Firm:
TAKASHIMA, Hajime (1-1 Fushimimachi 4-chome, Chuo-k, Osaka-shi Osaka 44, JP)
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Claims:
 以下の(a)または(b)のアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列からなるシグナルペプチド。
 (a)配列番号1に示されるアミノ酸配列
 (b)上記(a)のアミノ酸配列の部分アミノ酸配列であって、少なくともアミノ酸番号11~25で示されるアミノ酸配列を含む配列
 請求項1記載のシグナルペプチドをコードする塩基配列から実質的になる、単離された核酸。
 請求項1記載のシグナルペプチド、ウエストナイルウイルス由来のprM蛋白質およびE蛋白質をコードする塩基配列からなる核酸を含む、ウエストナイルウイルス様粒子発現ベクター。
 請求項3記載のベクターで形質転換された形質転換体。
 請求項4記載の形質転換体を培養し、培地に分泌されたウイルス様粒子を回収することを特徴とする、ウエストナイルウイルス様粒子の製造方法。
 請求項5記載の方法により得られるウエストナイルウイルス様粒子。
 請求項6記載のウイルス様粒子を有効成分として含有する、ウエストナイルウイルスのワクチン。
 請求項3記載のベクターを有効成分として含有する、ウエストナイルウイルスのワクチン。
 請求項3記載のベクターの有効量を対象に投与することを含む、ウエストナイル熱の予防方法。
 請求項6記載のウイルス様粒子の有効量を対象に投与することを含む、ウエストナイル熱の予防方法。
Description:
ウエストナイルウイルスワクチ およびその製造方法

 本発明は、ウエストナイルウイルスのウ ルス様粒子の高分泌発現を可能にする人工 シグナルペプチド、該シグナルペプチドを むウエストナイルウイルス由来蛋白質をコ ドする核酸を含む組換え発現ベクター、該 クターが導入された形質転換体、該形質転 体を用いたウエストナイルウイルスのウイ ス様粒子の製造方法、該方法により得られ ウイルス様粒子を含むウエストナイルウイ スワクチン等に関する。

 ウエストナイル熱(西ナイル熱)は、ウエス ナイルウイルス(WNV)感染による全身性の急性 発熱疾患であるが、時にウイルスが中枢神経 系に侵入・増殖して致死的な脳髄膜炎を引き 起こす。WNVの分布は、アフリカ、中東、ヨー ロッパの一部、ロシア、インド、およびイン ドネシアなど広範に亘るが、このウイルスは 、ベクターとしてのイエカ(Culex species)と増 動物としての鳥類(野生及び飼育)との間の感 染環によって維持・伝播されている。その過 程において、ヒト、ウマおよび家畜が偶成宿 主となる。
 1999年の夏、WNVは米国のニューヨークに侵入 ・土着してその後も、継続的に拡大しており 、昨年度(2007年)も9月末時点において、2300人 超える感染者が米国全土で確認され、公衆 生上の重大な問題となっている。現在まで 、ヒト用のWNVワクチンは世界中に存在して ない。

 このような状況の下、日本を含むアジア 国への伝播も危惧されており、一日も早い ト用ワクチンの実用化が望まれている。現 、培養Vero細胞由来ウイルスの不活化ワクチ ンが緊急に開発されつつあるものの、製造工 程においてバイオセイフティーレベル3のウ ルスを使用しない、製造上安全で安価なサ ユニットワクチン開発への社会的ニーズが まっている。

 WNVは、1937年にアフリカのウガンダ、ウエ ストナイル地方において最初に分離された、 フラビウイルス科フラビウイルス属に分類さ れるウイルスである(非特許文献1)。ウイルス 粒子の構造として、一本の(+)鎖RNAのウイルス 遺伝子にカプシド蛋白質(C蛋白質)が結合した 球状の構造物をさらに脂質の二重膜が包む構 造をしており、この脂質膜にはエンベロープ 蛋白質(E蛋白質)およびメンブレン蛋白質(M蛋 質)の二種類の蛋白質が含まれる。M蛋白質 前駆体であるprM蛋白質として産生された後 フリンと呼ばれるプロテアーゼで切断され 、成熟蛋白質となる。

 本発明者らは以前、日本脳炎ウイルス(JEV) prM蛋白質とE蛋白質とをコードするcDNA断片を 含む発現ベクターを動物細胞に導入し、得ら れた形質転換細胞を培養して、培地中に分泌 されたウイルス様粒子(VLP)を回収することに る、JEVのVLPの製造方法を報告した(特許文献 1)。しかしながら、WNVのサブユニットワクチ 製造に関する報告はこれまでになされてい い。

特開2004-65118公報 Agrawal,A.G., L.R.Petersen, J. Infect. Dis., 188: 1-4 (2003)

 本発明の目的は、安全かつ安価なWNVワク ン成分として有用なWNVのVLPの高分泌生産方 を提供し、以ってWNVワクチンの開発・安定 給を可能ならしめることである。また、本 明の別の目的は、前記VLPを動物体内で産生 得るWNVのDNAワクチンを提供することである

 本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭 研究を重ねた結果、WNVのprM蛋白質およびE蛋 白質をコードするDNA断片を含む発現ベクター を動物細胞に導入し、得られた形質転換細胞 を培養することにより、その培地中にVLPを効 率よく分泌させることに成功した。さらに、 本発明者らは、prM蛋白質の上流に位置するシ グナルペプチドを改変することにより、意外 にも、WNVのネイティブな完全長シグナル配列 と比較してVLPの形成・分泌効率を顕著に向上 させ得ることを見出した。
 本発明者らは、これらの知見に基づいてさ に研究を重ねた結果、本発明を完成するに った。

 即ち、本発明は、
[1]以下の(a)または(b)のアミノ酸配列と同一も しくは実質的に同一のアミノ酸配列からなる シグナルペプチド
 (a)配列番号1に示されるアミノ酸配列
 (b)上記(a)のアミノ酸配列の部分アミノ酸配 であって、少なくともアミノ酸番号11~25で されるアミノ酸配列を含む配列;
[2] 上記[1]のシグナルペプチドをコードする 基配列から実質的になる、単離された核酸;
[3] 上記[1]記載のシグナルペプチド、ウエス ナイルウイルス由来のprM蛋白質およびE蛋白 質をコードする塩基配列からなる核酸を含む 、ウエストナイルウイルス様粒子発現ベクタ ー;
[4] 上記[3]記載のベクターで形質転換された 質転換体;
[5] 上記[4]記載の形質転換体を培養し、培地 分泌されたウイルス様粒子を回収すること 特徴とする、ウエストナイルウイルス様粒 の製造方法;
[6] 上記[5]記載の方法により得られるウエス ナイルウイルス様粒子;
[7] 上記[6]記載のウイルス様粒子を有効成分 して含有する、ウエストナイルウイルスの クチン;
[8] 上記[3]記載のベクターを有効成分として 有する、ウエストナイルウイルスのワクチ
等を提供する。

 本発明のシグナルペプチドをWNVのprM蛋白 およびE蛋白質からなるポリプロテインに連 結することにより、宿主細胞におけるVLPの形 成および細胞外への分泌効率を向上させるこ とができる。したがって、該シグナルペプチ ド、prM蛋白質およびE蛋白質をコードする核 を含む分泌発現ベクターはWNVのVLP高分泌生 細胞株の作製に有用であるほか、それ自体 WNVのDNAワクチンとして用いることもできる

組換え発現ベクター(pWPME1~pWPME14)によっ てコードされるポリペプチドの図である。 組換え発現ベクター(pWPME1~pWPME14)を導入 したHEK293T細胞において発現・分泌したWNV E 白質のウエスタンブロットの結果を示す図 ある。左図は細胞を可溶化して得られた蛋 質、右図は培養液中に分泌された蛋白質の エスタンブロットの結果である。左図およ 右図(上)には抗日本脳炎ウイルス(JEV)抗体、 図および右図(下)には抗M蛋白質ポリクロー ル抗体を一次抗体として用いた。図中、E、 prM、MはそれぞれE蛋白質、prM蛋白質、M蛋白質 の位置を示す。 組換え発現ベクター(pWPME1~pWPME14)を導入 したHEK293T細胞から培養液中に分泌されたE蛋 質をサンドイッチELISA法により、定量比較 た結果を示す図である。一次抗体として、40 2モノクローナル抗体を用いている。 組換え発現ベクター(pWPME1、7、9、12、pW PME388A、pWPME406A)を導入したHEK293T細胞において 発現したWNV E蛋白質のウエスタンブロットの 結果を示す図である。一次抗体として抗日本 脳炎ウイルス(JEV)抗体を用いた。図中、E、prM はそれぞれE蛋白質、prM蛋白質の位置を示す 組換え発現ベクター(pWPME1、7、9、12、pW PME388A、pWPME406A)を導入したHEK293T細胞から培養 液中に分泌されたE蛋白質をサンドイッチELISA 法により、定量比較した結果を示す図である 。一次抗体として、402モノクローナル抗体を 用いている。 組換え発現ベクター(pWPME12)を導入したH EK293T細胞から培養液中に分泌された蛋白質を ショ糖密度勾配遠心分離し、各試料画分中の E蛋白質量をサンドイッチELISA法により、定量 した結果を示す図である。 組換え発現ベクター(pWPME12)を導入したH EK293T細胞から培養液中に分泌されたWNV様粒子 の電子顕微鏡像を示す図である。左図は密度 1.16の試料画分に含まれるウイルス様粒子像 右図は密度1.11の試料画分に含まれるウイル 様粒子像を示す。 組換え発現ベクター(pWPME12)を導入したH EK293T細胞から培養液中に分泌された蛋白質を ショ糖密度勾配遠心分離し、各試料画分中の E蛋白質量をサンドイッチELISA法により、定量 した結果を示す図である。Aは、捕獲用抗体 してWNY-11、検出用抗体としてWNY-11を用いた 合の結果である。Bは、捕獲用抗体としてWNY- 11抗体、検出用抗体として402抗体を用いた場 の結果である。Cは、捕獲用抗体として402抗 体、検出用抗体として402抗体を用いた場合の 結果である。Dは、捕獲用抗体として402抗体 検出用抗体としてWNY-11抗体を用いた場合の 果である。Eは、各試料画分の密度を表して る。 WNV様粒子で免疫されたマウスの血清を いて、WNVに対するプラーク減少アッセイを った結果を示した図である。血清は希釈し ものを用い、プラーク数は3ウェルの合計を 示す。 親株であるCHO-K1及び無血清培地に馴化 させた各クローンを培養して、培養液中に分 泌された蛋白質をショ糖密度勾配遠心分離し 、ウエスタンブロットによりWNV様粒子の発現 量を比較した図である。一次抗体として抗日 本脳炎ウイルス(JEV)抗体を用いた。

 本発明はWNVのVLP高分泌生産のためのシグナ ペプチドを提供する。該シグナルペプチド 、
 (a)配列番号1に示されるアミノ酸配列;
 (b)上記(a)のアミノ酸配列の部分アミノ酸配 であって、少なくともアミノ酸番号11~25で されるアミノ酸配列を含む配列;あるいは
 (c)上記(a)または(b)のアミノ酸配列と同一も くは実質的に同一のアミノ酸配列からなる

 ここで「実質的に同一のアミノ酸配列」 は、上記(a)または(b)のアミノ酸配列におい 、1~数(2、3、4もしくは5)個のアミノ酸が置 、欠失、付加もしくは挿入されたアミノ酸 列であって、WNVのネイティブなシグナル配 と比較して、有意に高いWNVのVLPの分泌能力 有するアミノ酸配列を意味する。

 「実質的に同一のアミノ酸配列」がアミ 酸の置換を含む場合、もとのアミノ酸と物 化学的性質において類似したアミノ酸であ ことが望ましい。例えば、芳香族アミノ酸( Phe、Trp、Tyr)、脂肪族アミノ酸(Ala、Leu、Ile、V al)、極性アミノ酸(Gln、Asn)、塩基性アミノ酸( Lys、Arg、His)、酸性アミノ酸(Glu、Asp)、水酸基 を有するアミノ酸(Ser、Thr)、側鎖の小さいア ノ酸(Gly、Ala、Ser、Thr、Met)などの同じグル プに分類されるアミノ酸同士の置換が挙げ れる。このような類似アミノ酸による置換 蛋白質の表現型に変化をもたらさない(即ち 保存的アミノ酸置換である)ことが予測され る。保存的アミノ酸置換の具体例は当該技術 分野で周知であり、種々の文献に記載されて いる(例えば、Bowieら,Science, 247:1306-1310 (1990) 参照)。アミノ酸(配列)が置換、欠失または 入されている場合、その置換、欠失または 入の位置は、もとのシグナルペプチドにお るWNVのVLP分泌能力が実質的に保持される限 、特に限定されない。「実質的に保持され 」とは、少なくともWNVのネイティブなシグ ル配列と比較して、有意に高い分泌能力を 持していることを意味する。

 配列番号1に示されるアミノ酸配列は、ウ エストナイルウイルスNY99-flamingo382-99株(Lanciot ti, R.S.ら, Science, 286: 2333-2337, 1999)(GenBank Ac cession No. AF196835)のポリプロテイン前駆体(Gen Bank Accession No. AAF20092.2)の99位~123位(即ち、pr M蛋白質のN末の直前のアミノ酸から上流25ア ノ酸残基まで)のアミノ酸配列に相当する。W NVにはこれまで多くのバリアントが報告され おり、今後も新たな変異ウイルス株が続々 見出されるだろう。したがって、そのよう 他の変異WNV株における、NY99-flamingo382-99株の 上記特定配列に対応するアミノ酸配列もまた 、本発明のシグナルペプチドにおける「実質 的に同一のアミノ酸配列」に包含される。NY9 9-flamingo382-99株以外の変異WNV株としては、例 ば、Ebel, G.D.ら, Am. J. Trop. Med. Hyg., 71(4): 493-500, 2004の「Table I」に記載のもの等が挙 られ、該表中に示される各Accession No.の配 を入手して、対応する領域を決定すること より、容易に上記「実質的に同一のアミノ 配列」を取得することができる。

 本発明のシグナルペプチドのアミノ酸配列 は、最短で15アミノ酸、最長で25アミノ酸で あることが望ましい。また、20アミノ酸以外 長さであることが好ましい。より好ましく 、該シグナルペプチドのアミノ酸配列長は 15~19または21~25アミノ酸であり、さらに好ま しくは15~18アミノ酸である。
 したがって、「実質的に同一のアミノ酸配 」がアミノ酸の欠失、付加もしくは挿入を む場合、その数は、改変後に上記の好まし 全長を与える範囲内であることが望ましい 尚、アミノ酸を付加もしくは挿入する場合 付加もしくは挿入後の全長が上記の好まし 範囲となる限り、付加もしくは挿入される ミノ酸の種類に特に制限はない。

 本発明のシグナルペプチドは、そのアミノ 配列情報に基づいて、公知のペプチド合成 、例えば、固相合成法や液相合成法によっ 製造することもできるが、WNVのVLPを宿主細 から効率よく分泌させるという該ペプチド 用途に鑑みれば、該ペプチドは、それをコ ドする塩基配列からなる核酸を、目的のVLP 構成するprM蛋白質およびE蛋白質をコードす る核酸に機能的に連結した、ポリプロテイン 前駆体をコードする核酸を含む発現ベクター を導入した形質転換体を培養して、該前駆体 を生成せしめることにより、該前駆体のN末 部分として提供される。
 したがって、本発明はまた、上記本発明の グナルペプチドをコードする塩基配列から 質的になる、単離された核酸を提供する。 こで「から実質的になる」とは、該核酸がW NVのprM蛋白質およびE蛋白質をコードする核酸 に機能的に連結、さらに適当な発現ベクター 中に挿入されて、適当な宿主細胞に導入され た際に、生成するポリプロテイン前駆体のprM 蛋白質およびE蛋白質以外のN末端部分に、本 明のシグナルペプチドのアミノ酸配列以外 アミノ酸(但し、開始メチオニン残基を除く )が含まれないことを意味する。したがって 本発明のシグナルペプチドをコードする塩 配列以外に、該核酸に含まれ得る配列とし は、例えば、開始ATGコドンや、該核酸を発 ベクターのプロモーター配列の下流、ある はWNVのprM蛋白質をコードする核酸の上流に 結することを容易ならしめるための制限酵 認識配列などが挙げられる。
 該核酸は、DNAであってもRNAであってもよく あるいはDNA/RNAキメラであってもよいが、好 ましくはDNAが挙げられる。また、該核酸は二 本鎖であっても、一本鎖であってもよい。二 本鎖の場合は、二本鎖DNA、二本鎖RNAまたはDNA :RNAのハイブリッドでもよい。

 上記本発明のシグナルペプチドをコード る塩基配列としては、翻訳された結果、上 本発明のシグナルペプチドのいずれかのア ノ酸配列を生じるものであれば特に制限は いが、目的とするシグナルペプチドがいず かの入手可能なWNV株のポリプロテイン前駆 配列の一部と完全同一の場合には、該ウイ ス株のゲノムRNAから調製されるcDNAを鋳型と して、該アミノ酸配列をコードする塩基配列 部分を、PCR法などにより取得することができ る。かかる方法は、シグナルペプチドだけで なく、WNVのprM蛋白質およびE蛋白質をコード る塩基配列を一括して取得できる点で有利 ある。プライマー配列の選択によって、ア ノ酸配列長の異なるシグナルペプチドをコ ドする核酸を容易に調製することができる

 一方、宿主細胞での発現効率を考慮すれ 、用いる宿主細胞で使用頻度の高いコドン 選択することが一般的には好ましい。種々 生物種におけるコドン使用頻度のデータは 例えば(財)かずさDNA研究所のホームページ 公開されている遺伝暗号使用頻度データベ ス(http://www.kazusa.or.jp/codon/index.html)から入手 ることができる。宿主細胞のコドン使用頻 に合わせた塩基配列の変換は、シグナルペ チドをコードする核酸の全配列をDNA/RNA自動 成機を用いて化学合成するか、あるいは合 した一部オーバーラップするオリゴDNA短鎖 、PCR法を利用して接続することにより実施 ることができる。

 本発明はまた、上記本発明のシグナルペプ ド、WNV由来のprM蛋白質およびE蛋白質をコー ドする塩基配列からなる核酸を含む、WNVのVLP 発現ベクターを提供する。
 ここで「WNVのprM蛋白質をコードする塩基配 」とは、配列番号3に示されるアミノ酸配列 と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列 を含む蛋白質をコードする塩基配列を意味し 、「WNVのE蛋白質をコードする塩基配列」と 、配列番号5に示されるアミノ酸配列と同一 しくは実質的に同一のアミノ酸配列を含む 白質をコードする塩基配列を意味する。

 「配列番号3(または配列番号5)に示される アミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列 」としては、配列番号3(または配列番号5)に されるアミノ酸配列と約80%以上、好ましく 約90%以上、さらに好ましくは約95%以上、特 好ましくは約97%以上の相同性を有するアミ 酸配列などが挙げられる。ここで「相同性 とは、当該技術分野において公知の数学的 ルゴリズムを用いて2つのアミノ酸配列をア インさせた場合の、最適なアラインメント( 好ましくは、該アルゴリズムは最適なアライ ンメントのために配列の一方もしくは両方へ のギャップの導入を考慮し得るものである) おける、オーバーラップする全アミノ酸残 に対する同一アミノ酸および類似アミノ酸 基の割合(%)を意味する。「類似アミノ酸」 は物理化学的性質において類似したアミノ を意味し、例えば、本発明のシグナルペプ ドについて前記したと同様の分類において もとのアミノ酸と同じグループに分類され アミノ酸が挙げられる。

 本明細書におけるアミノ酸配列の相同性 、相同性計算アルゴリズムNCBI BLAST(National  Center for Biotechnology Information Basic Local Align ment Search Tool)を用い、以下の条件(期待値=10; ギャップを許す;マトリクス=BLOSUM62;フィルタ ング=OFF)にて計算することができる。アミ 酸配列の相同性を決定するための他のアル リズムとしては、例えば、Karlinら, Proc. Natl . Acad. Sci. USA, 90: 5873-5877 (1993)に記載のア ゴリズム[該アルゴリズムはNBLASTおよびXBLAST プログラム(version 2.0)に組み込まれている(Alt schulら, Nucleic Acids Res., 25: 3389-3402 (1997))] Needlemanら, J. Mol. Biol., 48: 444-453 (1970)に記 載のアルゴリズム[該アルゴリズムはGCGソフ ウェアパッケージ中のGAPプログラムに組み まれている]、MyersおよびMiller, CABIOS, 4: 11-1 7 (1988)に記載のアルゴリズム[該アルゴリズ はCGC配列アラインメントソフトウェアパッ ージの一部であるALIGNプログラム(version 2.0) 組み込まれている]、Pearsonら, Proc. Natl. Aca d. Sci. USA, 85: 2444-2448 (1988)に記載のアルゴ ズム[該アルゴリズムはGCGソフトウェアパッ ケージ中のFASTAプログラムに組み込まれてい ]等が挙げられ、それらも同様に好ましく用 いられ得る。

 より好ましくは、配列番号3(または配列 号5)に示されるアミノ酸配列と実質的に同一 のアミノ酸配列とは、配列番号3(または配列 号5)で表されるアミノ酸配列と約80%以上、 ましくは約90%以上、さらに好ましくは約95% 上、特に好ましくは約97%以上の同一性を有 るアミノ酸配列である。

 「配列番号3(または配列番号5)に示されるア ミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を 含む蛋白質」とは、前記の配列番号3(または 列番号5)に示されるアミノ酸配列と実質的 同一のアミノ酸配列を含み、且つ配列番号3( または配列番号5)で表されるアミノ酸配列を む蛋白質と実質的に同質の活性を有する蛋 質を意味する。
 「実質的に同質の活性」とは、prM蛋白質に いては、M蛋白質として成熟した際にE蛋白 のコンフォーメーション変化を引き起こす 性などが挙げられ、E蛋白質については、感 宿主細胞への吸着および赤血球凝集活性な が挙げられる。「実質的に同質」とは、そ らの活性が定性的に同じであることを意味 る。したがって、上記の各活性は同等(例え ば、約0.5~約2倍)であることが好ましいが、こ れらの活性の程度や蛋白質の分子量などの量 的要素は異なっていてもよい。

 また、本発明で用いられるprM蛋白質(E蛋白 )には、例えば、(1)配列番号3(または配列番 5)に示されるアミノ酸配列のうち1または2個 上(好ましくは1~30個程度、より好ましくは1~ 10個程度、いっそう好ましくは1~数(2、3、4も くは5)個)のアミノ酸が欠失したアミノ酸配 、(2) 配列番号3(または配列番号5)に示され アミノ酸配列に1または2個以上(好ましくは1 ~30個程度、より好ましくは1~10個程度、いっ う好ましくは1~数(2、3、4もしくは5)個)のア ノ酸が付加したアミノ酸配列、(3) 配列番号 3(または配列番号5)に示されるアミノ酸配列 1または2個以上(好ましくは1~30個程度、より ましくは1~10個程度、いっそう好ましくは1~ (2、3、4もしくは5)個)のアミノ酸が挿入され たアミノ酸配列、(4) 配列番号3(または配列 号5)に示されるアミノ酸配列のうち1または2 以上(好ましくは1~30個程度、より好ましく 1~10個程度、いっそう好ましくは1~数(2、3、4 しくは5)個)のアミノ酸が他のアミノ酸で置 されたアミノ酸配列、または(5)それらを組 合わせたアミノ酸配列を含有する蛋白質な も含まれる。
 上記のようにアミノ酸配列が挿入、欠失ま は置換されている場合、その挿入、欠失ま は置換の位置は、蛋白質の活性が保持され 限り特に限定されない。

 WNVのprM蛋白質(またはE蛋白質)をコードす DNAは、WNVのウイルスストックより調製したR NAを鋳型として用い、Reverse Transcriptase-Polymera se Chain Reaction(以下、「RT-PCR法」と略称する) によって直接増幅することができる。prM蛋白 質とE蛋白質はWNVゲノム中に連続してコード れており、両者のコード領域をカバーする 基配列を増幅し得るプライマーを設計する とにより、prM蛋白質およびE蛋白質をコード るDNAを一括調製することができる。さらに 該WNVゲノム中の配列を本発明のシグナルペ チドをコードする塩基配列として利用する 合、該シグナルペプチドコード領域はprM蛋 質のコード領域の直前に位置するので、三 を一括調製することも可能である。

 prM蛋白質(またはE蛋白質)をコードするDNAと ては、例えば、配列番号2(または配列番号4) に示される塩基配列を含有するDNA、または配 列番号2(または配列番号4)に示される塩基配 の相補鎖配列とストリンジェントな条件下 ハイブリダイズする塩基配列を含有し、前 したprM蛋白質(またはE蛋白質)と実質的に同 の活性を有する蛋白質をコードするDNAなど 挙げられる。
 配列番号2(または配列番号4)に示される塩基 配列とストリンジェントな条件下でハイブリ ダイズできるDNAとしては、例えば、配列番号 2(または配列番号4)に示される塩基配列と約70 %以上、好ましくは約80%以上、さらに好まし は約90%以上、特に好ましくは約95%以上の相 性を有する塩基配列を含有するDNAなどが用 られる。
 本明細書における塩基配列の相同性は、相 性計算アルゴリズムNCBI BLAST(National Center f or Biotechnology Information Basic Local Alignment Sea rch Tool)を用い、以下の条件(期待値=10;ギャッ プを許す;フィルタリング=ON;マッチスコア=1; スマッチスコア=-3)にて計算することができ る。塩基配列の相同性を決定するための他の アルゴリズムとしては、上記したアミノ酸配 列の相同性計算アルゴリズムが同様に好まし く例示される。

 ハイブリダイゼーションは、自体公知の方 あるいはそれに準じる方法、例えば、モレ ュラー・クローニング(Molecular Cloning)第2版( J. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press,  1989)に記載の方法などに従って行なうことが きる。また、市販のライブラリーを使用す 場合、ハイブリダイゼーションは、添付の 用説明書に記載の方法に従って行なうこと できる。ハイブリダイゼーションは、好ま くは、ストリンジェントな条件に従って行 うことができる。
 ストリンジェントな条件としては、例えば 6×SSC(sodium chloride/sodium citrate)中45℃でのハ ブリダイゼーション反応の後、0.2×SSC/0.1% S DS中65℃での一回以上の洗浄などが挙げられ 。当業者は、ハイブリダイゼーション溶液 塩濃度、ハイブリダゼーション反応の温度 プローブ濃度、プローブの長さ、ミスマッ の数、ハイブリダイゼーション反応の時間 洗浄液の塩濃度、洗浄の温度等を適宜変更 ることにより、所望のストリンジェンシー 容易に調節することができる。

 prM蛋白質およびE蛋白質をコードするDNAは 、上記のようにWNVゲノムより取得することが できるが、化学的にDNA鎖を合成するか、もし くは合成した一部オーバーラップするオリゴ DNA短鎖を、PCR法を利用して接続することによ り、prM蛋白質およびE蛋白質の全長をコード るDNAを構築することも可能である。化学合 もしくはPCR法との組み合わせで全長DNAを構 することの利点は、上述の通り、該遺伝子 導入する宿主に合わせて使用コドンを遺伝 全長にわたり設計できる点にある。

 上記のようにしてクローン化されたDNAは 目的によりそのまま、または所望により制 酵素で消化するか、リンカーを付加した後 、使用することができる。シグナルペプチ をコードするDNA、prM蛋白質をコードするDNA E蛋白質をコードするDNAを、別個にクローン 化した場合には、適当な制限酵素、リンカー 、リガーゼ等を用いて、それらを上記の順序 で連結する。

 次いで、得られた「シグナルペプチド-prM 蛋白質-E蛋白質」ポリプロテイン前駆体をコ ドするDNAは、必要に応じて、その5’末端側 に翻訳開始コドンとしてのATGを、また3’末 側には翻訳終止コドンとしてのTAA、TGAまた TAGをそれぞれ導入し、制限酵素およびDNAリ ーゼを用いて、適当な発現ベクター中のプ モーターの下流に連結される。翻訳開始コ ンや翻訳終止コドンは、適当な合成DNAアダ ターを用いて付加することができる。ある は、予めPCRを利用してシグナルペプチドを ードする塩基配列の5’側、およびE蛋白質を コードする塩基配列の3’側に、それぞれ導 しておいてもよい。

 発現ベクターとしては、大腸菌由来のプラ ミド(例、pBR322,pBR325,pUC12,pUC13);枯草菌由来の プラスミド(例、pUB110,pTP5,pC194);酵母由来プラ ミド(例、pSH19,pSH15);昆虫細胞発現プラスミ (例:pFast-Bac);動物細胞発現プラスミド(例:pCAGG S 、pA1-11、pXT1、pRc/CMV、pRc/RSV、pcDNAI/Neo);λフ ージなどのバクテリオファージ;バキュロウ イルスなどの昆虫ウイルスベクター(例:BmNPV AcNPV);レトロウイルス、ワクシニアウイルス アデノウイルスなどの動物ウイルスベクタ などが用いられる。
 プロモーターとしては、遺伝子の発現に用 る宿主に対応して適切なプロモーターであ ばいかなるものでもよい。
 例えば、宿主が動物細胞である場合、CAGプ モーター、β-アクチンプロモーター、SRαプ ロモーター、SV40プロモーター、LTRプロモー ー、CMV(サイトメガロウイルス)プロモーター 、RSV(ラウス肉腫ウイルス)プロモーター、MoMu LV(モロニーマウス白血病ウイルス)LTR、HSV-TK( 純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ)プロ モーターなどが用いられる。なかでも、CAGプ ロモーターが好ましい。
 宿主がバチルス属菌である場合、SPO1プロモ ーター、SPO2プロモーター、penPプロモーター どが好ましい。
 宿主が酵母である場合、PHO5プロモーター、 PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモ ーターなどが好ましい。
 宿主が昆虫細胞である場合、ポリヘドリン ロモーター、P10プロモーターなどが好まし 。

 発現ベクターとしては、上記の他に、所望 よりエンハンサー、スプライシングシグナ 、ポリA付加シグナル、選択マーカー、SV40 製起点(以下、SV40 oriと略称する場合がある) などを含有しているものを用いることができ る。選択マーカーとしては、例えば、ジヒド ロ葉酸還元酵素遺伝子(以下、dhfrと略称する 合がある、メソトレキセート(MTX)耐性)、ア ピシリン耐性遺伝子(以下、amp r と略称する場合がある)、ネオマイシン耐性 伝子(以下、neo r と略称する場合がある、G418耐性)等が挙げら る。特に、dhfr遺伝子欠損チャイニーズハム スター細胞を用い、dhfr遺伝子を選択マーカ として使用する場合、チミジンを含まない 地によって目的遺伝子を選択することもで る。

 本発明のシグナルペプチド、prM蛋白質およ E蛋白質をコードする塩基配列からなる核酸 を含む発現ベクターで宿主を形質転換し、得 られる形質転換体を培養することによって、 WNVのVLPを製造することができる。
 宿主としては、例えば、バチルス属菌、酵 、昆虫細胞、昆虫、動物細胞、動物などの 泌発現に適したものが用いられる。
 バチルス属菌としては、例えば、バチルス サブチルス(Bacillus subtilis)MI114,バチルス・ ブチルス207-21などが用いられる。
 酵母としては、例えば、サッカロマイセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)AH22,AH22R - ,NA87-11A,DKD-5D,20B-12、シゾサッカロマイセス・ ンベ(Schizosaccharomyces pombe)NCYC1913,NCYC2036、ピ ア・パストリス(Pichia pastoris)KM71などが用い られる。

 昆虫細胞としては、例えば、ウイルスがAcNP Vの場合、夜盗蛾の幼虫由来株化細胞(Spodoptera  frugiperda cell;Sf細胞)、Trichoplusia niの中腸由 のMG1細胞、Trichoplusia niの卵由来のHigh Five TM 細胞、Mamestra brassicae由来の細胞、Estigmena acr ea由来の細胞などが用いられる。ウイルスがB mNPVの場合、昆虫細胞としては、蚕由来株化 胞(Bombyx mori N 細胞;BmN細胞)などが用いられ る。該Sf細胞としては、例えば、Sf9細胞(ATCC  CRL1711)、Sf21細胞などが用いられる。
 昆虫としては、例えば、カイコの幼虫など 用いられる。

 動物細胞としては、例えば、COS-7、Vero、CHO CHO(dhfr - )、CHO-K1、L、AtT-20、GH3、FL、HEK293、NIH3T3、Balb3 T3、FM3A、L929、SP2/0、P3U1、B16、P388などの細胞 用いられる。好ましくは、HEK293またはCHO-K1 どが用いられるが、それらに限定されない
 動物としては、トランスジェニック系の確 した哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウ サギ、ヒツジ、ブタ、ウシ)もしくはニワト などが挙げられる。

 形質転換は、宿主の種類に応じ、公知の方 に従って実施することができる。
 バチルス属菌は、例えば、Molecular & Gene ral Genetics,168巻,111 (1979)などに記載の方法に って形質転換することができる。
 酵母は、例えば、Methods in Enzymology,194巻,182 -187 (1991)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA,75巻,1929 (1 978)などに記載の方法に従って形質転換する とができる。
 昆虫細胞および昆虫は、例えば、Bio/Technolog y, 6巻,47-55 (1988)などに記載の方法に従って 質転換することができる。
 動物細胞は、例えば、細胞工学別冊8 新細 工学実験プロトコール,263-267 (1995)(秀潤社 行)、Virology,52巻,456 (1973)に記載の方法に従 て形質転換することができる。
 動物は、例えば、トランスジェニック動物 開発(シーエムシー出版), (2001) に記載の方 法に従って形質転換することができる。

 形質転換体の培養は、宿主の種類に応じ、 知の方法に従って実施することができる。
 例えば、宿主がバチルス属菌である形質転 体を培養する場合、培養に使用される培地 しては液体培地が好ましい。また、培地は 形質転換体の生育に必要な炭素源、窒素源 無機物などを含有することが好ましい。こ で、炭素源としては、例えば、グルコース デキストリン、可溶性澱粉、ショ糖などが; 窒素源としては、例えば、アンモニウム塩類 、硝酸塩類、コーンスチープ・リカー、ペプ トン、カゼイン、肉エキス、大豆粕、バレイ ショ抽出液などの無機または有機物質が;無 物としては、例えば、塩化カルシウム、リ 酸二水素ナトリウム、塩化マグネシウムな がそれぞれ挙げられる。また、培地には、 母エキス、ビタミン類、生長促進因子など 添加してもよい。培地のpHは、好ましくは約 5~約8である。形質転換体の培養は、通常約30~ 約40℃で、約6~約24時間行なわれる。必要によ り、通気や撹拌を行ってもよい。
 宿主が酵母である形質転換体を培養する場 の培地としては、例えば、バークホールダ (Burkholder)最小培地や0.5%カザミノ酸を含有す るSD培地などが挙げられる。培地のpHは、好 しくは約5~約8である。培養は、通常約20~約35 ℃で、約24~約72時間行なわれる。必要に応じ 、通気や撹拌を行ってもよい。
 宿主が昆虫細胞または昆虫である形質転換 を培養する場合の培地としては、例えばGrac e's Insect Mediumに非働化した10%ウシ血清等の 加物を適宜加えたものなどが用いられる。 地のpHは、好ましくは約6.2~約6.4である。培 は、通常約27℃で、約3~約5日間行なわれる。 必要に応じて通気や撹拌を行ってもよい。
 宿主が動物細胞である形質転換体を培養す 場合の培地としては、例えば、約5~約20%の 児ウシ血清を含む最小必須培地(MEM),ダルベ コ改変イーグル培地(DMEM),RPMI 1640培地,199培 などが用いられる。培地のpHは、好ましくは 約6~約8である。培養は、通常約30~約40℃で、 15~約60時間行なわれる。必要に応じて通気 撹拌を行ってもよい。
 宿主が動物である場合、遺伝子導入した受 卵から、常法に従ってトランスジェニック 物を得、通常の飼育条件下で飼育、哺乳動 の乳やニワトリの卵を採取すればよい。
 以上のようにして、形質転換体の培地もし は細胞外にWNVのVLPを分泌生産せしめること できる。

 また、本発明においては、上記の如く胎 ウシ血清を含む培地で形質転換体を培養し もよいが、胎児ウシ血清に混入して細胞汚 の原因となるウシウイルス性下痢症ウイル (BVDV)等のリスク因子の排除、WNVのVLP精製工 の簡略化を目的とするウシ由来タンパク質 の不純物の排除、及び経済性の観点から、 質転換体を無血清に馴化させて培養する方 も好ましく用いられる。また、後述する実 例にも記載されるように、無血清培地に馴 させることにより、付着性細胞から浮遊細 化することも、形質転換体の維持・継代お び大量培養が容易となるという点で好まし 。

 培地中(細胞外)に分泌されたVLPの精製に いては、自体公知の方法に従って行うこと できる。例えば、回収した培地(細胞外液)を フィルター処理して低分子量蛋白質を除去し た後、ショ糖密度勾配遠心分離することによ ってVLPを調製することができる。

 本発明のWNVのワクチンは、WNVのVLPを有効成 として免疫を奏する量含有する。具体的に 、WNVのワクチンは、例えば以下のようにし 製造することができるが、これに限定され い。
 抗原として精製した本発明のVLPを、等張の 類溶液、緩衝液、組織培養液などの溶媒、 えばPBS(phosphate buffer saline)に浮遊し、ワク ン原液を調製する。必要であれば、ワクチ 抗原を常用の固定化剤で固定することによ 、その立体構造を固定化することもできる 固定化剤としては、例えば、ホルマリン、 ェノール、グルタルジアルデヒド、β‐プ ピオラクトン等があげられる。固定化剤は ワクチン原液を調製する前に抗原に添加す か、またはワクチン原液に添加することが きる。

 次に、ワクチン原液を希釈して、ワクチ 溶液を調製する。ワクチン原液は、例えば PBSを用いて、ワクチン中の抗原量が、抗体 生を誘導して免疫を奏するのに必要な量、 えば蛋白質含量で1~20μg/ml、好ましくは10μg/ mlとなるように希釈する。ワクチン溶液を調 する際に、ワクチンの耐熱性を増強する安 化剤や、免疫原性を高める補助剤としての ジュバントを添加混合してもよい。安定化 としては、糖類やアミノ酸類が挙げられ、 ジュバントとしては、鉱物油、植物油、ミ ウバン、アルミニウム化合物、ベントナイ 、シリカ、ムラミルジペプチド誘導体、サ モシン、インターロイキン等が挙げられる

 ワクチン溶液を適当な容量の容器、例え 約0.5~20ml容のバイアルに分注し、密栓・密 した後に、ワクチンとして使用に供する。 かるワクチンは、液状のみならず、分注後 凍結乾燥を行うことにより、乾燥製剤とし 使用に供することもできる。

 本発明のワクチンは、通常のワクチンと 様に被接種者に接種すればよい。例えば、1 ドーズ約0.2~0.5mlのワクチンを、約1~4週間隔で 1~3回皮下接種すればよい。尚、乾燥製剤は接 種前に滅菌蒸留水などで溶解してもとの体積 に戻して使用する。

 上記した本発明のシグナルペプチド、WNVのp rM蛋白質およびE蛋白質をコードする塩基配列 からなる核酸を含む発現ベクター(非ウイル ベクターおよびウイルスベクター)は、それ 体をヒトに投与することにより、該ヒト体 で効率よくWNVのVLPを分泌させ得るので、い ゆるDNAワクチンとして用いることができる
 これらの非ウイルスベクターおよびウイル ベクターの好ましい調製法、投与法などは 業者に公知であり、例えば、別冊実験医学 遺伝子治療の基礎技術、羊土社、1996;別冊 験医学、遺伝子導入&発現解析実験法、羊 土社、1997;日本遺伝子治療学会編遺伝子治療 発研究ハンドブック、エヌ・ティー・エス 1999などが参考とされる。DNAワクチンに適し た非ウイルスベクターとしては、例えばpcDNA3 .1、pZeoSV、pBK-CMV(Invitrogen社、Stratagene社)やpCAGG S(Gene 108,193-200(1991))などが挙げられるが、そ らに限定されない。ウイルスベクターとし は、組換えアデノウイルス、レトロウイル 等のウイルスベクターが代表的なものであ 。具体的には、例えば、無毒化したレトロ イルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイ ス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイル 、ポックスウイルス、ポリオウイルス、シ ビスウイルス、センダイウイルス、SV40、免 疫不全症ウイルス(HIV)等のDNAウイルスまたはR NAウイルスを挙げることができる。

 本発明のDNAワクチンをヒトへ導入する方 としては、DNAワクチンを直接体内に導入す in vivo法やヒトからある種の細胞を取り出 て体外でDNAワクチンを該細胞に導入しその 胞を体内に戻すex vivo法などがある(日本遺 子治療学会編、遺伝子治療開発研究ハンド ック、エヌ・ティー・エス、1999)。in vivo法 しては、例えば本発明のDNAワクチンを適当 溶剤(PBS等の緩衝液、生理食塩水、滅菌水等 )に溶解した後、必要に応じてフィルター等 濾過滅菌し、次いで無菌的な容器に充填し 注射剤を調製して、ヒトへ注射することに り投与される。注射剤には必要に応じて慣 の担体等を加えてもよい。また、脂質二重 で作られたリポソーム中にDNAワクチンを封 し、さらにこのリポソームと不活化したセ ダイウイルス(Hemagglutinating virus of Japan : H VJ)とを融合させたHVJ-リポソームとして投与 ることもできる(実験医学別冊、遺伝子治療 基礎技術、羊土社、1996;遺伝子導入&発現 解析実験法、羊土社、1994)。本発明のDNAワク ンは、筋肉、皮膚、鼻腔内等に投与するこ ができる。ex vivo法としては、リポフェク ョン法、リン酸-カルシウム共沈法、DEAE-デ ストラン法、微小ガラス管などを用いて細 内へDNAワクチンを直接注入する方法などが げられる。

 本発明のDNAワクチンの投与量は、投与す 対象、投与方法、投与形態等によって異な が、通常成人1人当たり遺伝子として約500μg から約50mgの範囲、好ましくは約500μgから約1m gの範囲である。

 以下に実施例を示して、本発明をより詳 に説明するが、これらは本発明の範囲を限 するものではない。

実施例1 WNV由来変異シグナルペプ チド配列、prM蛋白質およびE蛋白質を発現す 組換え発現ベクターの作製
 WNV(WN-NY99)からポリアデニル化RNAを抽出し、 れを鋳型として15ヌクレオチドポリ(dT)プラ マーを用いて、SuperScript RNase H ‐  reverse transcriptase (Invitrogen Life Technologies, Ca rlsbad, CA)で逆転写反応を行った。得られたWNV cDNAのコード領域を、相補的なプライマーセ ト(配列番号6及び配列番号7に示される塩基 列)を用いてPCRによって増幅した。得られたP CR産物をBglIIおよびXhoIで消化し、pBluescriptプ スミドにサブクローニングした。得られた ラスミドを鋳型として、アミノ末端側から アミノ酸ずつ欠失させたシグナル配列をコ ドするような塩基配列に相補的なプライマ セット(配列番号8~21からなる群から選択され る1つの塩基配列及び配列番号22に示される塩 基配列)を用いて、PCRでDNA断片を増幅した。 幅断片を哺乳類発現ベクター(pCAGGS)にサブク ローニングして、特定の長さのシグナル配列 、prM蛋白質およびE蛋白質を発現するような14 種類の組換え発現ベクターを得た(pWPME1~pWPME14 )。得られたPCR産物にコードされるポリペプ ドの構造を図1に示す。

実施例2 分泌に適した範囲の長さ のシグナルペプチド配列の検討
 実施例1で得られた各種組換え発現ベクター (0.5μg)をFugene 6(Roche Diagnostic, Basel, Switzerland )を用いて、HEK293T細胞(2×10 5 )に導入した。48時間後、細胞をリン酸緩衝生 理食塩水(PBS)で2回洗浄し、50mM Tris-HCl(pH6.8),  100mM ditiothreitol, 2% sodium dodecyl sulfate(SDS), 0 .1% bromophenol blue, 10% glycerolを含む可溶化液 用いて可溶化した。一方、培養液上清を濾 し(0.45μmポアサイズ、Millipore, Bedford, MA)、4 0,000×gで30分間超遠心処理した後、残渣を前 可溶化液で可溶化した。

 上記により得られたWNV様粒子を定法に従 て、SDS-PAGEし、膜転写し、抗体を用いてウ スタンブロットした。具体的には、蛋白質 10%PAGEにより分離し、polyvinyl difluoride(PDVF)メ ブレンフィルター(Millipore)に分離した蛋白 を転写した。一次抗体としてWNVと交叉する 日本脳炎ウイルス(JEV)抗体および抗M蛋白質 リクローナル抗体(IMGENEX, San Diego, CA)を、 次抗体として西洋わさびペルオキシダーゼ コンジュゲートされた抗ウサギIgG(Pierce, Rock ford, IL)を用いた。発光にはECL試薬(Amersham Pha rmacia Biotech, Piscataway, NJ)を用いて、LAS1000イ ージングシステム(Fujifilm, Tokyo, Japan)で発 を検出した。各種組換え発現ベクター間のWN V様粒子の発現を図2に示す。

 また、Kojima,A., A.Yasuda, H.Asanuma, T.Ishikawa, K .Yasui, T.Kurata. J.Viorl 77:8745-55 (2003)に記載の 法に従って、E蛋白質抗原に対するモノクロ ーナル抗体(402)を用いたサンドイッチELISA法 より、上記各組換え発現ベクター間の培養 中に分泌されたE蛋白質抗原を比較した。
 具体的には、402抗体でコートしたマイクロ レート(Corning Incorporated Life Sciences, Acton,  MA)を用いて、E蛋白質抗原を結合させた。結 させたE蛋白質抗原を、基質として西洋わさ ペルオキシダーゼをコンジュゲートした402 体(TMB; DAKO Corp., Carpinteria, CA)を用いて検 した。各種組換え発現ベクター間のWNV様粒 の分泌量の比較を図3に示す。

 また、組換え発現ベクターpWPME1およびpWPM E7において、開始アミノ酸の直後にアラニン 追加されるような組換え発現ベクターを作 し(pWPME388A、pWPME406A)、上記の方法により各 換え発現ベクター間の発現程度の比較を行 た。結果を図4、5に示す。これらの結果から 、シグナル配列の長さがWNV様粒子の発現・分 泌に大きな影響を与えていることが分かった 。

実施例3 電子顕微鏡によるWNV様粒 子観察像
 実施例1で得られた組換え発現ベクターpWPME1 2をHEK293T細胞に導入し、48時間後に培地を回 した。回収した培地をフィルター処理(0.45μm , Millipore)し、精製(Biomax-100 メンブレンフィ ター, Millipore)を行い、分子量100kDa未満の蛋 白質小分子を除去して得られたWNV様粒子を、 10-45%(w/w)のショ糖密度勾配遠心分離した(150,00 0×g, 14時間)。1~17の試料画分の密度およびE蛋 白質抗原量を上記ELISA法に従って測定した。 の結果、密度1.11である試料画分9および密 1.16である試料画分4の2つにE蛋白質抗原のピ クが観察された(図6)。

 上記で得られた2つの試料画分4および9に 有されるE蛋白質抗原からSephadex G-25 カラ (Hiprep; Amersham Pharmacia Bioteck)クロマトグラ ィーにより、低分子量混合物を除去した後 リン酸緩衝生理食塩水に溶出して4℃保存し 。得られた精製抗原を銅ホルムバール被膜 たグリッドを用いて、リンタングステン酸 トリウムでネガティブ染色した。標本はJOEL  1200 Ex 電子顕微鏡(Hitachi, Tokyo, Japan)で観 した。その結果、試料画分9には、直径約30nm の球状構造の粒子が多数確認できた(図7右側) 。一方、試料画分4には、染色溶液に覆われ 一様ではない形状の粒子(直径約25nm)が散見 れた(図7左側)。

実施例4 WNV様粒子の中和抗体誘導 のためのエピトープ解析
 実施例1で得られた組換え発現ベクターpWPME1 2をHEK293T細胞に導入し、得られたE蛋白質抗原 をショ糖密度勾配遠心分離することにより、 1~11の試料画分を得た(図8E)。上記ELISA法に従 て、WNV中和抗体であるWNY-11抗体および非中 抗体である402抗体を捕獲用抗体または検出 抗体に用いて、中和エピトープを有するE蛋 質抗原量の多い試料画分を見出した。その 果、WNY-11抗体を捕獲用抗体および検出用抗 に用いた場合は、試料画分3(密度1.16)と試料 画分5(密度1.11)にピークを確認できた(図8A)。 方、WNY-11抗体および402抗体を捕獲用抗体お び/または検出用抗体に用いた場合は、試料 画分5のE蛋白質抗原量が、WNY-11抗体のみを用 た場合と比較して減少した(図8B-D)。試料画 3におけるWNY-11によって認識される中和エピ トープは試料画分5におけるそれよりも少な ようである。

実施例5 中和抗体の誘導性の検討
 実施例4において調製された試料画分3およ 5を含む複数の画分を用いて、マウスに対し 中和抗体誘導できるか否かを検討した。具 的には、アジュバントをコンジュゲートし WNV様粒子約300ng(ヒトに対する日本脳炎ワク ンの処方量の16分の1)を7日間のインターバ を置いて、BALB/cマウスに二度腹腔内免疫し 。二度目の免疫後3週間で免疫マウスの中和 体価をプラーク減少アッセイで試験した。 の結果、精製WNV様粒子で免疫されたマウス 、高水準の中和抗体を発現した(図9)。

実施例6 形質転換細胞の樹立

(1)付着性形質転換細胞の樹立
 7回継代した単層CHO-K1細胞を、トランスフェ クション前日に、φ60 mmディッシュに1:5, 1:10 , 1:20のスプリットで播き、翌日30~40%コンフ ュエンスとなった細胞に5 μgのpWPME12を導入 た。単層を形成するまで2日間培養した後、 細胞を1:5, 1:10, 1:20にスプリットして、φ100  mmディッシュにブラストサイジンS(BS)10 μg/ml 含む選択培地中で8日間培養した(途中培地 換を1回行った)。選択培地中で増殖してきた コロニーをペニシリンカップ法で24個採取し 24穴プレートに移して選択培地(以降はBSを む選択培地)で更に培養を続けた。以降、24 プレート、6穴プレート及びφ100 mmディッシ へ継代して順次細胞を増殖させ、得られた 胞を凍結保存した。24穴プレート及び6穴プ ート培養時の培地中のWNV E蛋白質量をELISA 測定し、最高の産生量を示したコロニー#22 選択した。その後、定法に従い限界稀釈法 コロニー#22細胞をクローニング・サブクロ ニングし、ELISAで最高のWNV E蛋白質産生値を 示す、クローン#22.6細胞、サブクローン#22.6.6 細胞を選抜した。図10に親細胞及び各クロー 間のEタンパク質抗原の発現・分泌をウエス タンブロットにより比較した結果を示す。

(2)付着性形質転換細胞の無血清培地への馴化
 上記(1)で凍結保存していた付着性クローン# 22.6細胞或いはサブクローン#22.6.6細胞を、10  μg/ml BS、10%FBSを含むF12K培地(GIBCO)に戻し、3~4 代継代して増殖を確認した後、10 μg/ml BS及 10%FBSを含むF12K培地と、10 μg/ml BSを含むCHO- S-SFM II培地とを等量混合した培地(最終的に5%  のFBSを含む)で2代継代することによって無 培地への馴化を開始した。以降、10 μg/ml BS を含むCHO-S-SFM II培地(GIBCO)を等量混合した培 で2代以上継代し、順次FBS濃度及びF12K培地 比率を1/2ずつ低下させていった。
 トリプシン-EDTA液を添加せずとも、PBS(-)に るピペッティングで細胞が培養フラスコか 遊離する状態になった時点で、CHO-S-SFM II培 のみでの継代を継続した。細胞の増殖が良 (1~2 × 10 5 /mlの継代で5~10 × 10 5 /ml程度に増殖し、かつ生細胞が95%以上)で、 地中でのピペッティングにより継代できる 態になったら無血清培地に馴化したと判定 た。更に継代を続け、3回以上連続して1 ×  10 6 /mlの増殖を示した状態を完全馴化(Full-Adapt)細 胞、10回連続して1 × 10 6 /ml以上の増殖を示した状態を最良馴化(Best-Ada pt)細胞として凍結保存した(#22.6S及び#22.6.6S細 胞)。
 また、無血清培地への馴化過程で付着性CHO 胞は浮遊細胞化という大きな性状変化を示 ため、この過程で抗原蛋白質産生量の低下 もたらしている可能性があった。従って、 化浮遊細胞#22.6Sのクローニング・リクロー ングを実施した。クローニングの方法は定 に従ったが、馴化浮遊細胞の増殖は細胞密 依存性が高くなっていたため、1ウェル当り の撒き込み細胞数を3, 10, 30, 100個で行った 増殖してきた各クローンは、撒き込み細胞 の少ないウェルから優先的に選別し、ELISA IFAによりタンパク質産生量を検討したが、 別した複数のクローン・サブクローン間に 著な差を認めなかった。

 本発明によれば、WNVのVLPを効率よく分泌生 することができ、該VLPを有効成分とするWNV サブユニットワクチンを安価かつ安全に、 定供給することが可能となる。また、本発 のWNV VLP分泌発現ベクターは、それ自体、WN VのDNAワクチンとして用いることができる。
 本出願は、日本で出願された特願2007-290169( 願日:平成19年11月7日)を基礎としており、そ の内容はすべて本明細書に包含されるものと する。