Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
WHEEL SUPPORT DEVICE FOR AIRCRAFT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/102791
Kind Code:
A1
Abstract:
A wheel support device for an aircraft, having a suspension mechanism (2) for rotatably supporting a wheel (3) by the lower end of a support member (1) connected to an aircraft body. The suspension mechanism is provided with a crank element (4) and a disc brake. The crank element is constructed from a horizontal support shaft rotatably supported by the lower end of the support member, an axle (42) for ratatably supporting the wheel, and an arm (43) placed normal to the horizontal support shaft and axle and connecting one end of the horizontal support shaft and one end of the axle. The disc brake is installed so as to brake the rotation ofthe crank element about the horizontal support shaft. The suspension mechanism is adapted to produce damping force by causing, while being subjected to braking by the disc brake, a circular stroke motion of the wheel with the radius of the motion being the distance between the horizontal support shaft and the axle.

Inventors:
YOSHIOKA KOJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/052817
Publication Date:
August 28, 2008
Filing Date:
February 20, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
SUS21 AMERICA INC (US)
YOSHIOKA KOJI (JP)
International Classes:
B64C25/58; B60T1/12; B64C25/44; F16D63/00; F16F7/02
Foreign References:
JP2003072693A2003-03-12
JP3488738B22004-01-19
JPH07217681A1995-08-15
JP2006162020A2006-06-22
JP2004352191A2004-12-16
Attorney, Agent or Firm:
TANAKA, Mitsuo et al. (IMP Building3-7, Shiromi 1-chome,Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 01, JP)
Download PDF:
Claims:
 航空機において車輪を支持する支持装置において、
 機体に連結された支持部材の下端部にて車輪を回転自在に支持する懸架機構を、備えており、
 懸架機構が、クランク要素及びディスクブレーキを、備えており、
 クランク要素が、支持部材の下端部にて回転自在に支持された水平支持軸と、車輪を回転自在に支持する車軸と、水平支持軸及び車軸に対して直角に位置して水平支持軸の一端と車軸の一端とを連結するアームと、からなっており、
 ディスクブレーキが、クランク要素の水平支持軸回りの回転を制動するように、設けられており、
 懸架機構が、ディスクブレーキによる制動を受けながら、水平支持軸と車軸との間の距離を半径とする、車輪の円ストローク運動を行うことによって、減衰力を発生するようになっている、ことを特徴とする航空機用車輪支持装置。
 ディスクブレーキが、クランク要素の水平支持軸と一体に回転するように取り付けられたディスクを、有し、ディスクの回転を制動するように設けられている、請求項1記載の航空機用車輪支持装置。
 ディスクブレーキが、クランク要素の車軸と一体に回転するように取り付けられたディスクを、有し、ディスクの回転を制動するように設けられている、請求項1記載の航空機用車輪支持装置。
 ディスクブレーキの制動力を制御する制御システムを、更に、備えており、
 制御システムが、
 航空機の運動状態を検出する検出部と、
 検出された運動状態に基づいて、最適減衰力を算出する、減衰力算出部と、
 最適減衰力と、懸架機構が発生している減衰力と、を比較して、両者の差がゼロとなるようにディスクブレーキの制動力を制御する、制御部と、を備えている、請求項1記載の航空機用車輪支持装置。
 減衰力算出部が、着陸時の最適減衰力を、車輪の円ストローク運動の始動区間では、低く設定し、車輪のスリップ率が小さくなった以降の円ストローク運動の区間では、発生する減衰力の上下方向成分が一定値となるように設定するようになっている、請求項4記載の航空機用車輪支持装置。
 クランク要素が、一体物でできている、請求項1記載の航空機用車輪支持装置。
 ディスクブレーキが、多板式ディスク構造を備えている、請求項1記載の航空機用車輪支持装置。
 ディスクブレーキが、遊星歯車機構又は傘歯車機構を有する、増速機構を、備えている、請求項1記載の航空機用車輪支持装置。
 ディスクブレーキの、ディスクを制動する制動部材が、車輪の円ストローク運動と共に円ストローク運動を行うように、リンク機構を介して、支持部材に連結されている、請求項3記載の航空機用車輪支持装置。
Description:
航空機用車輪支持装置

 本発明は、航空機において車輪を支持す 支持装置に関する。この車輪には、主輪は ちろん、前輪も該当する。

 近年において、航空機における車輪の支持 置は、図15に示されるように、着陸時の降 速度に基づく機体10の運動エネルギーを、例 えばオレオ式緩衝装置やトレーリングリンク 式緩衝装置のような、上下動を緩衝する緩衝 装置11によって、吸収するようになっている これによれば、滑走路12で発生した衝撃力Fg が、Fbに弱められて、機体10に伝えられる。

米国特許第4,561,612公報

米国特許第4,869,444公報

特開昭63-166699号公報

特開昭60-71394号公報

 航空機の着陸時の滑走路への進入角度は、 3度であり、略水平に近く、また、進入速度 は、時速約200km以上である。それ故、車輪は 着陸時において、機体の降下による降下衝 だけでなく、前進による前進衝撃を受ける この降下衝撃を最小にするためには、図1に 示されるように、緩衝装置による力Fが、緩 装置のストロークSに依存することなく、一 のF 0 となり、且つ、この時に吸収されるエネルギ ーE 0 が、着陸時の降下運動エネルギーと等しくな る必要がある。この場合には、緩衝効率は、 100%となる。

 しかしながら、従来の緩衝装置には、次の うな不具合があった。
(A)従来の緩衝装置は、ガスばね及び油圧ダン パーで構成されているので、次のような不具 合がある。
(A-1)図1の特性を実現できない。すなわち、油 圧ダンパーは、速度に依存して力を発生する ので、作動の始めと終りに必ず速度変化を伴 い、それ故、力を一定値F 0 に保持できない。したがって、従来の緩衝装 置では、緩衝効率100%の達成は非常に困難で る。
(A-2)飛行場と上空との間には摂氏100度近い温 の違いがあるため、ガスや油が漏れる恐れ あり、その漏れを防止するのが面倒である
(A-3)ガスばねは、吸収したエネルギーを消散 ない。そのため、機体は、ばねの力で跳ね される。この跳ね返りが生じると、着陸距 が伸びたり、突風によって機体が大きく傾 たりして、事故の危険性が増大する。

(B)従来の緩衝装置は、ピストン・シリンダ機 構であるので、車輪は、上下方向の直線スト ローク運動を行うだけである。それ故、従来 の緩衝装置は、上下方向の緩衝しか達成でき ない。このため、図15に示されるように、着 の瞬間に、車輪13のタイヤから煙14が上がっ て、タイヤ表面が溶けて削られてしまう。溶 けたタイヤ材料15は滑走路12上に付着する。 走路12上に付着したタイヤ材料15は、航空機 航の安全性を低下させる。すなわち、
(B-1)タイヤ材料15は、雨などによって濡れる 、その上を通過する航空機の車輪をスリッ させる原因となる。
(B-2)時々、滑走路12を閉鎖して、タイヤ材料15 の除去作業を行う必要があるため、運航スケ ジュールが過密となる。
(B-3)タイヤ表面が溶けるため、パンクが発生 易くなる。パンクは、航空機運航の安全性 直接的に損なわせる。パンクが発生すると 滑走路が一時閉鎖されることがあり、この からも、運航スケジュールが過密となり、 空機運航の安全性が低下する。
(B-4)着陸するたびにタイヤが削られるので、 イヤ交換作業を頻繁に行う必要があり、大 な維持コストを必要とする。

(C)従来の緩衝装置では、着陸時の前進衝撃を 車輪で受けているため、次のような不具合が ある。
(C-1)着陸時に、車輪を支持する脚が、前後に がる。そのため、脚には、その曲げに耐え ことのできる強度が与えられており、その 果、脚の重量が増大している。
(C-2)車輪が滑走路上の障害物に激突すると、 イヤが破裂する可能性が高い。

 以上述べたように、従来の緩衝装置では 着陸時の降下衝撃に対して緩衝効率100%を達 成するのが非常に困難であり、また、前進衝 撃を殆ど緩和することができない。

 本発明は、着陸時や走行時の衝撃や振動 コンピュータ制御によって適切に緩和する とができる、航空機用車輪支持装置を、提 することを目的とする。

 本発明の航空機用車輪支持装置は、機体 連結された支持部材の下端部にて車輪を回 自在に支持する懸架機構を、備えており、 架機構が、クランク要素及びディスクブレ キを、備えており、クランク要素が、支持 材の下端部にて回転自在に支持された水平 持軸と、車輪を回転自在に支持する車軸と 水平支持軸及び車軸に対して直角に位置し 水平支持軸の一端と車軸の一端とを連結す アームと、からなっており、ディスクブレ キが、クランク要素の水平支持軸回りの回 を制動するように、設けられており、懸架 構が、ディスクブレーキによる制動を受け がら、水平支持軸と車軸との間の距離を半 とする、車輪の円ストローク運動を行うこ によって、減衰力を発生するようになって る、ことを特徴としている。

 本発明においては、着陸時に、クランク 素が水平支持軸回りに回転し、それにより 車輪が、水平支持軸と車軸との間の距離を 径とする円ストローク運動を、行う。そし 、クランク要素がディスクブレーキによる 動を受けることによって、車輪の円ストロ ク運動が、減衰力を発生する。

 着陸の瞬間において、車輪は、スリップ るが、円ストローク運動を行いながら後方 逃げる。したがって、着陸時に、車輪のタ ヤは殆ど発煙しない。この時、着陸の瞬間 車輪が大きくスリップしている間、すなわ 約3/100秒の間に、機体の重量が車輪に直接 わらないようにするために、円ストローク 動の始動区間において発生させる減衰力を く制御するのが、好ましい。それによれば 車輪のタイヤが発煙するのを著しく抑制で る。

 更に、車輪が接地してから機体の降下が止 るまでの間においても、引き続き、車輪の ストローク運動が減衰力を発生する。とこ で、油圧ダンパーの場合には、油圧ダンパ のストローク速度に依存して力が発生する で、減衰力Fは、図1のように一定値F 0 にはならず、右下がりになってしまう。しか るに、本発明では、着陸時のエネルギー吸収 を、油圧ダンパーに替えてディスクブレーキ で行っている。ディスクブレーキは、自動車 の運転で体験できるように、制動力を、瞬時 に且つ大きく変更でき、しかも、緩衝装置の ストローク量やストローク速度とは無関係に 設定できる。それ故、本発明では、図1の減 力Fを、常にF 0 に維持できる。したがって、本発明によれば 、着陸時の衝撃を緩和して、乗客の乗心地を 改善できる。

 また、従来では、着陸時に、車輪に水平 向の大きな衝撃力が加わることによって、 輪を支持する脚が曲がる。すなわちスピン ップ・スプリングバックが起こる。しかし 本発明では、車輪に加わる水平方向の衝撃 を、車輪の円ストローク運動の前後方向成 によって、軽減できる。したがって、スピ ナップ・スプリングバックを防止でき、ま 、脚の材料として炭素繊維強化樹脂を使用 き、それによって、脚の軽量化を実現でき 。

 また、走行中に、車輪が滑走路上の障害 に衝突しても、クランク要素が作動して、 輪が、円ストローク運動を行って後方へ逃 るので、車輪に対する衝撃を緩和でき、そ 結果、衝突した場合におけるタイヤの破裂 防止できる。

 しかも、ディスクブレーキによれば、高 制御が可能になるので、走行時における車 から機体への振動伝達率を、コンピュータ 指示する最適減衰力によって最小値に抑制 ることができる。したがって、走行時にお る乗客の乗心地を向上できる。

減衰力の変動を説明するための図であ 。 本発明の第1実施形態の航空機用車輪支 持装置の概略斜視図である。 第1実施形態の、ディスクを除いた懸架 機構を示す、斜視図である。 図3の懸架機構の分解斜視図である。 第1実施形態の懸架機構のディスクブレ ーキを示す縦断面図である。 図5のVI-VI断面図である。 フィードバック制御システムを説明す ための図である。 着陸時の車輪の作動を示す図である。 着陸時の車輪の円ストローク運動の配 を説明するための図である。 第1実施形態の航空機用車輪支持装置 滑走路の平坦面上を走行する際の作動を説 するための図である。 図10の航空機用車輪支持装置が滑走路 の障害物を乗り越える時の状態を説明する めの図である。 本発明の第2実施形態の航空機用車輪 持装置の縦断面図である。 図12のXIII-XIII断面図である。 図12の航空機用車輪支持装置の水平支 軸が最下点に来た状態を示す縦断面図であ 。 従来の航空機用車輪支持装置の着陸時 の作動を説明するための図である。

符号の説明

 1 支持部材
 2 懸架機構
 3 車輪
 4 クランク要素
 41 水平支持軸
 42 車軸
 43 アーム
 5 ディスクブレーキ
 50 ディスク
 56 リンク
 61 検出部
 62 減衰力算出部
 63 制御部

[第1実施形態]
 図2は、本発明の第1実施形態の航空機用車 支持装置の概略斜視図である。この航空機 車輪支持装置は、機体に連結された支持部 1の下端部に、懸架機構2を備えている。

 支持部材1は、1本のパイプで構成される が好ましい。それによれば、支持部材1を軽 化できる。更に、支持部材1は、炭素繊維強 化樹脂で形成されるのが好ましい。それによ れば、支持部材1を、強度を維持しながら、 量化できる。

 懸架機構2は、支持部材1の下端部にて車 3を回転自在に支持している。そして、懸架 構2は、クランク要素4及びディスクブレー を備えている。図2には、ディスクブレーキ ディスク50が示されている。図3は、ディス 50を除いた懸架機構2を示す斜視図である。 4は、図3の懸架機構2の分解斜視図である。

 クランク要素4は、支持部材1の下端部に 回転自在に支持された水平支持軸41と、車輪 3を回転自在に支持する車軸42と、水平支持軸 41及び車軸42に対して直角に位置して水平支 軸41の一端と車軸42の一端とを連結するアー 43と、からなっている。クランク要素4とし は、内燃機関で使用されているクランク軸 同様のものを使用できる。懸架機構2は、図 8を参照しながら後述するように、クランク 素4によって、水平支持軸41と車軸42との間の 距離を半径とする、車輪3の円ストローク運 を、行うようになっている。

 クランク要素4は、強度を確保するために 、一体物として形成されるのが、好ましい。 更に、クランク要素4は、図4に示されるよう 、支持部材1の下端部の一対の挟持体18、19 よって水平支持軸41を上下から挟むことによ り、支持部材1に支持されるのが、好ましい なお、クランク要素4は、所望の強度を確保 きる場合には、それぞれ別体の、水平支持 41と車軸42とアーム43とを、連結して形成し もよい。また、クランク要素4としては、よ り具体的には、本件発明者による米国特許第 7,051,977で開示されているクランク軸構造体を 使用してもよい。

 ディスク50は、水平支持軸41と一体に回転 するように、水平支持軸41に同軸で設けられ いる。ディスク50は、カーボンディスクが ましい。

 図5は、懸架機構2のディスクブレーキ5を す縦断面図である。図6は、図5のVI-VI断面図 である。ディスクブレーキ5は、対向型ピス ン55に取り付けられているパッド53によって ディスク50の両側面を挟むように、構成さ ている。対向型ピストン55は、キャリパ54に 納されている。キャリパ54は、支持部材1に ルト58で固定されている。

 パッド53がディスク50に押し付けられると 、パッド53とディスク50との間に大きな摩擦 が発生する。これにより、クランク要素4の 平支持軸41に制動力が加わる。したがって ディスクブレーキ5が制動作動すると、水平 持軸41と車軸42との間の距離を半径とする、 車輪3の円ストローク運動が、減衰力を発生 ることとなる。

 従来の振動理論では、油圧を利用した減 力発生機構は、摩擦を利用した減衰力発生 構よりも、優れている、と言われている。 かしながら、本実施形態の懸架機構2は、デ ィスクブレーキという摩擦を利用した減衰力 発生機構ではあるが、コンピュータ制御によ って、発生する減衰力の大きさを自由に変え ることができ、しかも、高速応答を実現でき る、という特徴を、有している。したがって 、本実施形態がディスクブレーキを利用する ことは、「油圧減衰が摩擦減衰より優れてい る」という従来の常識を覆すものである。

 本実施形態は、ディスクブレーキの制動 を制御する制御システムを備えているのが 好ましい。その制御システムとしては、フ ードバック制御システムが好ましい。図7は 、そのフィードバック制御システムを説明す るための図である。この制御システムは、検 出部61と減衰力算出部62と制御部63とを、備え ている。検出部61は、航空機の運動状態を検 する。検出部61が航空機の運動状態を検出 るためには、機体に、上下加速度計を取り けたり、支持部材1に、上下荷重や曲げ荷重 測定するための、ひずみゲージや、車輪の 転を測るための回転計を、取り付けたりす のが、好ましい。検出部61は、これらの計 類による測定情報を、減衰力算出部62に送る 。減衰力算出部62は、検出された運動状態に づいて、最適減衰力を算出する。すなわち 減衰力算出部62は、着陸時においては、緩 効率を100%に近づける最適減衰力を算出し、 行時においては、スカイフック制御理論等 、振動を効果的に抑制するアルゴリズムを 使用して、最適減衰力を算出する。制御部6 3は、算出された最適減衰力と、懸架機構2が 生している減衰力(検出された減衰力)と、 比較して、両者の差がゼロとなるようにデ スクブレーキ5の制動力を制御する。上記制 システムによれば、懸架機構2による最適減 衰力を、リアルタイムで発生させることがで きる。

 図8は、着陸時の車輪3の作動を示してい 。車輪3は、点Eで滑走路12と接触すると、前 抵抗力を受けて、後方へ円ストローク運動( 矢印Y方向への運動)を行う。車輪3は、着陸時 にスリップするが、この時の摩擦仕事量Wは 車輪3のスリップ率Sと車輪3に加わる垂直荷 Mとの積になる。すなわち、W=S×M。しかしな ら、スリップ中の車輪3は、円ストローク運 動を行いながら後方へ逃げるので、車輪3に わる垂直荷重Mは極端に小さくなる。すなわ 、摩擦仕事量Wは、非常に小さくなる。した がって、着陸時に、車輪3のタイヤは殆ど発 しない。

 更に、減衰力算出部62は、着陸時の最適 衰力を、車輪3の円ストローク運動の始動区 (すなわち車輪3のスリップ率が小さくなる での区間)では、低く設定し、車輪3のスリッ プ率が小さくなった以降の円ストローク運動 の区間では、発生する減衰力の上下方向成分 が一定値となるように設定するようになって いるのが、好ましい。この場合における、着 陸時の車輪3の円ストローク運動の配分を、 9を用いて説明する。

 図9において、クランク要素4の半径は、OAで ある。クランク要素4は、着陸時に、点Oを中 として、点Aから点Cまで半回転する。車輪3 接地した瞬間から角θ 0 の点Bまでは、ディスクブレーキ5による制動 は低く保持され、車輪3は後方へ逃げやすく なっている。その後は、懸架機構2において 生する減衰力の上下方向成分が図1の力F 0 となるように、ディスクブレーキ5の制動力 制御される。これによれば、着陸の瞬間の 擦仕事量が大きく減少するので、車輪3のタ ヤの発煙を効果的に防止できる。また、車 3のスリップ率が小さくなった後は、ディス クブレーキ5の制動力が、図1の力F 0 の減衰力を懸架機構2に発生させるように、 御されるので、着陸時の衝撃を確実に緩和 きる。なお、図9の円ストローク運動におい 、車輪3の上下ストロークは、AC間の垂直距 S 0 であり、車輪3の前後ストロークは、水平距 L 0 、すなわち円の半径OAと等しい。

 また、本実施形態の懸架機構2によれば、着 陸時に車輪3に加わる水平方向の衝撃力を、 輪3の円ストローク運動の前後方向成分L 0 によって、軽減できる。したがって、スピン ナップ・スプリングバックを防止でき、また 、支持部材1の材料として炭素繊維強化樹脂 使用でき、それによって、支持部材1の軽量 を実現できる。

 図10及び図11は、上記構成の航空機用車輪 支持装置が滑走路12上を走行する際の作動を 明するための図である。両図では、理解し すくするために、一方の車輪3のみを示して いる。図10では、支持部材1に機体の重量が加 わっているので、クランク要素4は、車軸42が 水平支持軸41の鉛直上方に位置した状態にあ 。この状態では、クランク要素4を振り子と みなし、車軸42を振り子の回転軸とみなすこ ができる。すなわち、この状態の航空機用 輪支持装置は、走行する振り子とみなすこ ができる。

 図11は、上記構成の航空機用車輪支持装 が滑走路12上の障害物16を乗り越える時の状 を示している。この時、車輪3は、矢印で示 すような後方への抵抗力を受ける。そのため 、クランク要素4が、図10の状態から、水平支 持軸41を中心として回転し、これに伴って、 輪3が、円ストローク運動を行って、後方へ 逃げる。これにより、障害物16を乗り越える に車輪3が受けた後方への抵抗力は、車輪3 円ストローク運動で生じた慣性力の大きさ け減少して、支持部材1に伝わる。したがっ 、上記構成の航空機用車輪支持装置によれ 、滑走路12上の障害物16から支持部材1が受 る衝撃を、緩和できる。

 更に、走行時における路面の荒れに起因 た機体の振動を、減衰させるための最適減 力について、説明する。機体は、クランク 素4で支持されているので、クランク要素4 回転による振動を減衰させれば、機体の揺 も止まることになる。クランク要素4の回転 動は、ディスクブレーキ5で制御できるので 、機体の振動もディスクブレーキ5で制御で る。それ故、走行時における車輪3から機体 の振動伝達率を、最適減衰力によって最小 に抑制することができる。したがって、走 時における乗客の乗心地を向上できる。

 ちなみに、従来装置である油圧ダンパー は、伸びている時と縮んでいる時で、発生 る減衰力の方向が逆になる。このため、機 が上に動いている時において、油圧ダンパ が伸びながら減衰力を発生すれば、振動が さくなるが、油圧ダンパーが縮みながら減 力を発生すると、この減衰力が機体を更に へ押し上げるので、振動が大きくなる。す わち、油圧ダンパーには、そのような欠点 ある。しかし、本実施形態の懸架機構2は、 ディスクブレーキ5を採用しているので、そ ような欠点を持たない。

 更に、上述した制御システムには、図7に 示されるように、モニターブロック65を設け のが、好ましい。モニターブロック65は、 出部61、減衰力算出部62、制御部63、及びデ スクブレーキ5の、状態を、常時、監視し、 障が発生すると、警報ランプ66を点灯させ と同時に、補償回路又は補償装置を作動さ て正常な機能を持続させる。

 更に、上述した制御システムには、モニ ーブロック65による故障診断機能に加えて 安全機能を設けるのが、好ましい。この安 機能は、故障が発生する前に性能劣化を予 し、ユ-ザーに警報すると同時に、不具合部 切り離し、制御システムの機能を維持する うに、構成できる。

 なお、本実施形態は、航空機の主輪に好 しく適用できるが、前輪に適用してもよい

[第2実施形態]
 図12は、本発明の第2実施形態の航空機用車 支持装置の縦断面図である。本実施形態で 、ディスクブレーキ5のディスク50が、車軸4 2と一体に回転するように、車軸42に同軸で設 けられている。そして、ディスクブレーキ5 、ディスク50の回転を制動するよう構成され ている。

 図12において、車軸42は、車輪3のハブ31に 、軸受32を介して回転自在に、支持されてい 。本実施形態のディスクブレーキ5も、第1 施形態と同様に、対向型ピストンに取り付 られているパッド53によって、ディスク50の 側面を挟むように、構成されている。そし 、対向型ピストンは、キャリパ54に収納さ ている。しかしながら、本実施形態では、 ャリパ54は、車輪3の円ストローク運動を妨 ないように設けられている。

 すなわち、図12のXIII-XIII断面図である図13 に示されるように、キャリパ54と支持部材1と は、クランク要素4と同じ偏心量を持ったリ ク56を介して連結されている。リンク56の一 は、支持部材1のフランジ101において、軸561 によって、回転可能に支持されており、リン ク56の他端は、キャリパ保持板542から延びた ランジ541において、軸562によって、回転可 に支持されている。また、キャリパ54は、 軸42に回転自在に支持されているキャリパ保 持板542に、固定されている。更に、リンク56 死点を避けるために、2個のリンク56が平行 設けられている。すなわち、キャリパ54と 持部材1とは、平行なダブルリンク56を介し 、連結されている。これにより、車輪3が円 トローク運動を行うと、それに伴って、キ リパ54も、図13の破線で示されるように、円 ストローク運動を行う。したがって、キャリ パ54は、車輪3の円ストローク運動を妨げない 。

 本実施形態において、ディスクブレーキ5 によって、ディスク50の回転が制動されると 車軸42の回転が制動され、その結果、クラ ク要素4の水平支持軸41回りの回転が制動さ る。したがって、本実施形態によっても、 1実施形態と同様に、水平支持軸41と車軸42と の間の距離を半径とする、車輪3の円ストロ ク運動が、減衰力を発生する。

 しかも、本実施形態は、次のような利点 有している。すなわち、飛行機の前輪は、 イヤの半径が小さいので、ディスク50を水 支持軸41に取り付けた場合には、水平支持軸 41が最下点に来た時にディスク50と地面とが 触する恐れがある。しかしながら、本実施 態では、ディスク50を車軸42に取り付けてい ので、図14に示されるように水平支持軸41が 最下点に来た場合でも、ディスク50と地面と 接触する恐れはない。しかも、飛行機の前 にはブレーキが装着されていないのが一般 であるので、本実施形態のディスクブレー 5は、走行停止用に利用されてきたブレーキ 用のスペースを利用して装着することができ る。したがって、本実施形態は、前輪に好ま しく適用できる。もちろん、本実施形態は、 主輪に適用してもよい。

[別の実施形態]
 本発明は、次のような変形構成を採用して よい。

(1)ディスクブレーキとして、航空機におい て最近実用化された電子機械式ディスクブレ ーキを採用する。これによれば、ブレーキ・ バイ・ワイヤを実現できる。

(2)ディスクブレーキによる制動力を増大さ せるために、次のような種々の従来技術を採 用する。

(2-1)多板式ディスク構造を採用する。すな ち、ディスクとフリクションディスクとの 合せを複数個用いる。これによれば、ブレ キトルクを増大できる。

 多板式ディスク構造を採用する場合におい 、そのブレーキトルクTは、次式で与えられ る。
 T=F D ・μ D ・Z・R D ・η(N・m)
 ここで、F D :ディスクへの押付け力(N)、μ D :摩擦係数、Z:摩擦面数、
R D :ディスク摩擦半径(m)、η:ディスク効率、で る。
 この式の右辺の5つのパラメータを大きく設 定することにより、ブレーキトルクTを増大 きる。

(2-2)ブレーキブースターを採用する。これ よれば、油圧を大きくでき、ブレーキトル を増大できる。

(2-3)ディスクを押圧するピストンの面積を きくする。これによれば、ブレーキトルク 増大できる。

(2-4)遊星歯車機構等の増速機構を利用して ディスクの角変位量を増幅させる。

 遊星歯車機構は、入力軸と出力軸とを同一 線状に配置できるという特徴を有している ここでは、ディスクの角変位量を増大する めに、遊星キャリアを入力とし、太陽歯車 出力とし、外輪歯車を固定した。その場合 おいて、太陽歯車の歯数をAとし、外輪歯車 の歯数をBとすると、増速比αは、次式で与え られる。
 α=(A+B)/A
 したがって、太陽歯車の歯数Aを少なくして 、外輪歯車の歯数を大きくすれば、増速比α 増大できる。

(2-5)傘歯車機構等の増速機構を利用して、 ィスクの角変位量を増幅させる。

 傘歯車は、入力軸と出力軸とを直角に配置 きるという特徴を有している。大歯車の歯 をC、小歯車の歯数をDとすると、増速比βは 、次式で与えられる。
 β=C/D
 したがって、大歯車の歯数Cを多くして、小 歯車の歯数Dを小さくすれば、増速比βを増大 できる。

(2-6)乾式又は湿式の雰囲気で、ディスクと、 ッド又はフリクションディスクと 
の、摩擦係数を大きくする。これによれば、 ブレーキトルクを増大できる。

(3)上述した従来技術を組み合わせることに よって、更に、次のような構造を採用できる 。すなわち、クランク要素4の水平支持軸41又 は車軸42の回転を、遊星歯車機構の遊星キャ アに伝達し、太陽歯車の回転として増幅す 。この太陽歯車の回転を、多板式ディスク 造で制動して、車輪3の円ストローク運動に 減衰力を作用させる。このような増速機とブ レーキとの組合せによって、制動できるエネ ルギー量を増大できる。遊星歯車機構を2段 すれば、制動できるエネルギー量を更に増 できる。

(4)ディスクブレーキとして、湿式ディスクブ レーキを採用する。例えば、上述した遊星歯 車機構と多板式ディスク構造とを、ケースに 収納し、ケースを密閉し、ケース内に高い動 粘度の油等を加える。これによれば、摩擦係 数μ D を大きくして、制動できるエネルギー量を増 大でき、また、ディスクの低摩耗化を実現で き、更には、雨、雪、凍結などの、外部環境 の影響を受けにくくすることができる。

(5)ディスクブレーキに、アンチロックシス テムを採用する。アンチロックシステムは、 制動力が強すぎる時にディスクがロックする のを、防止する。

(6)フィードバック制御とフィードフォーワ ード制御とを組み合わせる。これによれば、 性能アップを図ることができる。

(7)本発明を適用した前輪と主輪とに加わる 減衰力を、統一的に制御するための統合制御 システムを構築する。このシステムによれば 、着陸直前に突風に煽られた時に、又は急制 動をかけた時に、又は滑走路から誘導路へ入 る時の高速コーナリング時に、機体の傾きを 抑制できる。

(8)ディスクブレーキの制御システムだけで なく、航空機に搭載されているその他の多数 の制御システムの、情報を、系統的に又は統 一的に、判断するための、中央情報処理シス テムを、構築する。これによれば、航空機運 航に要求される高度な判断が可能となる。

 本発明の航空機用車輪支持装置は、着陸 や走行時の衝撃や振動をコンピュータ制御 よって適切に緩和することができるので、 業上の利用価値が大である。