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Patent Searching and Data


Title:
WIRE GRID POLARIZER AND METHOD FOR MANUFACTURING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/123290
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a wire grid polarizer that exhibits a high degree of polarization, p-polarization transmission, and s-polarization reflectance for light entering from the surface side, and low s-polarization reflectance for light entering from the back side. Also disclosed is a method for manufacturing the wire grid polarizer. The wire grid polarizer (10) has ridges (12) on the surface of a light-transmitting substrate (14) formed with a pitch Pp, and three surfaces of each ridge (12)-the upper surface (16), a first side surface (18), and a second side surface (20)- are covered by thin metallic wires, wherein: (a) the thickness Dm1 of the thin metallic wire covering the first side surface (18) and the thickness Dm2 of the thin metallic wire covering the second side surface (20) are 20nm or below; (b) the thickness Hm of the thin metallic wire (22) covering the upper surface (16) and the height Hp of the ridges (12) satisfy the relation 40nm≤Hm≤0.5xHp; and (c) Dm1, Dm2, Pp and the width Dp of the ridges (12) satisfy the relation Dm1+Dm2≤0.4x(Pp-Dp).

Inventors:
KAIDA YURIKO (JP)
SAKAMOTO HIROSHI (JP)
MIYAGI TAKAHIRA (JP)
SAKURAI HIROMI (JP)
IKEDA YASUHIRO (JP)
SHIDOJI EIJI (JP)
KAWAMOTO MASAKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/056902
Publication Date:
October 08, 2009
Filing Date:
April 02, 2009
Export Citation:
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Assignee:
ASAHI GLASS CO LTD (JP)
KAIDA YURIKO (JP)
SAKAMOTO HIROSHI (JP)
MIYAGI TAKAHIRA (JP)
SAKURAI HIROMI (JP)
IKEDA YASUHIRO (JP)
SHIDOJI EIJI (JP)
KAWAMOTO MASAKO (JP)
International Classes:
G02B5/30; G02F1/1335
Domestic Patent References:
WO2008084856A12008-07-17
WO2006064693A12006-06-22
Foreign References:
JP2002328222A2002-11-15
JPS60230102A1985-11-15
JP2001330728A2001-11-30
JP2006003447A2006-01-05
JP2005070456A2005-03-17
JP2006003447A2006-01-05
Other References:
See also references of EP 2261704A4
Attorney, Agent or Firm:
SENMYO, Kenji et al. (JP)
Spring name Kenji (JP)
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Claims:
 表面に複数の凸条が互いに平行にかつ所定のピッチ(Pp)で形成された光透過性基板と、該光透過性基板の凸条の上面、および該凸条の長さ方向に延びる2つの側面である第1の側面ならびに第2の側面の計3面を被覆する、金属または金属化合物からなる金属細線とを有するワイヤグリッド型偏光子であって、
 下記の条件(a)~(c)を満足する、ワイヤグリッド型偏光子。
 (a)前記凸条の第1の側面を被覆している金属細線の厚さDm1および前記凸条の第2の側面を被覆している金属細線の厚さDm2がそれぞれ、下式(1-1)および下式(1-2)を満足する。
 0nm<Dm1≦20nm ・・・(1-1)。
 0nm<Dm2≦20nm ・・・(1-2)。
 (b)前記凸条の上面を被覆している金属細線の厚さHmおよび前記凸条の高さHpが、下式(2)を満足する。
 40nm≦Hm≦0.5×Hp ・・・(2)。
 (c)前記Dm1、前記Dm2、前記Ppおよび前記凸条の幅Dpが、下式(3)を満足する。
 Dm1+Dm2≦0.4×(Pp-Dp) ・・・(3)。
 さらに下記の条件(d)を満足する、請求項1に記載のワイヤグリッド型偏光子。
 (d)前記凸条の上面を被覆している金属細線の最大幅Dm、前記Ppおよび前記凸条の幅Dpが、下式(4)を満足する。
 Dm-Dp≦0.4×(Pp-Dp) ・・・(4)。
 さらに下記の条件(e)を満足する、請求項1又は2に記載のワイヤグリッド型偏光子。
 (e)前記凸条の第1の側面を被覆している金属細線の幅(凸条の上面から溝への深さ方向の長さ)Hm1、前記凸条の第2の側面を被覆している金属細線の幅(凸条の上面から溝への深さ方向の長さ)Hm2、および前記凸条の高さHpがそれぞれ、下式(5-1)および下式(5-2)を満足する。
 Hm1≧0.5×Hp ・・・(5-1)。
 Hm2≧0.5×Hp ・・・(5-2)。
 可視光領域において、前記金属細線が形成された面側から入射する光に対して、偏光度が99.5%以上、p偏光透過率が70%以上、およびs偏光反射率が80%以上であり、かつ前記金属細線が形成されていない面側から入射する光に対して、s偏光反射率が40%未満である請求項1~3のいずれかに記載のワイヤグリッド型偏光子。
 前記金属細線が、銀、アルミニウム、クロム、マグネシウム、TiN、TaN、またはTiSi 2 からなる請求項1~4のいずれかに記載のワイヤグリッド型偏光子。
 表面に複数の凸条が互いに平行にかつ所定のピッチ(Pp)で形成された光透過性基板と、該光透過性基板の凸条の上面、および該凸条の長さ方向に延びる2つの側面である第1の側面ならびに第2の側面の計3面を被覆する、金属または金属化合物からなる金属細線とを有するワイヤグリッド型偏光子を製造する方法であって、
 前記金属細線を、下記の条件(A)~(F)を満足する蒸着法で形成する、ワイヤグリッド型偏光子の製造方法。
 (A)前記凸条の長さ方向に対して略直交し、かつ前記凸条の高さ方向に対して第1の側面の側に角度θ R をなす方向から前記凸条の上面および第1の側面に金属または金属化合物を蒸着する。
 (B)前記凸条の長さ方向に対して略直交し、かつ前記凸条の高さ方向に対して第2の側面の側に角度θ L をなす方向から前記凸条の上面および第2の側面に金属または金属化合物を蒸着する。
 (C)前記条件(A)による蒸着および前記条件(B)による蒸着を交互に、前記条件(A)による蒸着をm回(ただし、mは1以上)、前記条件(B)による蒸着をn回(ただし、nは1以上)、合計(m+n)で3回以上行う。
 (D)前記条件(A)によるm回の蒸着のうちの1回目の蒸着における角度θ R は、下式(I)を満足し、前記条件(B)によるn回の蒸着のうちの1回目の蒸着における角度θ L は、下式(II)を満足する。
 15゜≦θ R ≦45゜ ・・・(I)、
 15゜≦θ L ≦45゜ ・・・(II)。
 (E)前記mが2以上の場合、m回目のθ R m と(m-1)回目のθ R (m-1) とは、下式(III)を満足し、前記nが2以上の場合、n回目のθ L n と(n-1)回目のθ L (n-1) とは、下式(IV)を満足する。
 θ R m ≦θ R (m-1)  ・・・(III)、
 θ L n ≦θ L (n-1)  ・・・(IV)。
 (F)前記条件(A)によるm回の蒸着のうちの1回目の蒸着および前記条件(B)によるn回の蒸着のうちの1回目の蒸着においては、前記凸条の上面に1回の蒸着で形成される金属細線の厚さHm’を10nm以下とする。
 前記ワイヤグリッド型偏光子が下記の条件(a)~(c)を満足する、請求項6に記載のワイヤグリッド型偏光子の製造方法。
 (a)前記凸条の第1の側面を被覆している金属細線の厚さDm1および前記凸条の第2の側面を被覆している金属細線の厚さDm2がそれぞれ、下式(1-1)および下式(1-2)を満足する。
 0nm<Dm1≦20nm ・・・(1-1)。
 0nm<Dm2≦20nm ・・・(1-2)。
 (b)前記凸条の上面を被覆している金属細線の厚さHmおよび前記凸条の高さHpが、下式(2)を満足する。
 40nm≦Hm≦0.5×Hp ・・・(2)。
 (c)前記Dm1、前記Dm2、前記Ppおよび前記凸条の幅Dpが、下式(3)を満足する。
 Dm1+Dm2≦0.4×(Pp-Dp) ・・・(3)。
Description:
ワイヤグリッド型偏光子および の製造方法

 本発明は、ワイヤグリッド型偏光子およ その製造方法に関する。

 液晶表示装置、リアプロジェクションテレ 、フロントプロジェクター等の画像表示装 に用いられる、可視光領域で偏光分離能を す偏光子(偏光分離素子ともいう。)として 、吸収型偏光子および反射型偏光子がある
 吸収型偏光子は、たとえば、ヨウ素等の二 性色素を樹脂フィルム中に配向させた偏光 である。しかし、吸収型偏光子は、一方の 光を吸収するため、光の利用効率が低い。

 一方、反射型偏光子は、偏光子に入射せず 反射した光を偏光子に再入射させることに り、光の利用効率を上げることができる。 のため、液晶表示装置等の高輝度化を目的 して反射型偏光子のニーズが高まっている
 反射型偏光子としては、複屈折樹脂積層体 らなる直線偏光子、コレステリック液晶か なる円偏光子、ワイヤグリッド型偏光子が る。
 しかし、直線偏光子および円偏光子は、偏 分離能が低い。そのため、高い偏光分離能 示すワイヤグリッド型偏光子が注目されて る。

 ワイヤグリッド型偏光子は、光透過性基 上に複数の金属細線が互いに平行に配列し 構造を有する。金属細線のピッチが入射光 波長よりも充分に短い場合、入射光のうち 金属細線に直交する電場ベクトルを有する 分(すなわちp偏光)は透過し、金属細線と平 な電場ベクトルを有する成分(すなわちs偏 )は反射される。

 可視光領域で偏光分離能を示すワイヤグリ ド型偏光子としては、以下のものが知られ いる。
 (1)光透過性基板上に所定のピッチで金属細 が形成されたワイヤグリッド型偏光子(特許 文献1)。
 (2)光透過性基板の表面に所定のピッチで形 された複数の凸条の上面および側面が、金 または金属化合物からなる材料膜で被覆さ て金属細線をなしているワイヤグリッド型 光子(特許文献2)。

 しかし、(1)、(2)のワイヤグリッド型偏光 においては、金属細線が形成された面側(以 下、表面側と記す。)とは反対側の面側(以下 裏面側と記す。)においてもS偏光の反射が こる。ワイヤグリッド型偏光子の裏面側に 、液晶表示装置であれば、液晶パネルが配 されるため、ワイヤグリッド型偏光子の裏 側で反射したS偏光が液晶パネルに入射する 、液晶パネルで表示される画像のコントラ トが低下する。

特開2005-070456号公報

特開2006-003447号公報

 本発明は、可視光領域において、表面側 ら入射する光に対して高い偏光度、p偏光透 過率およびs偏光反射率を示し、かつ裏面側 ら入射する光に対して低いs偏光反射率を示 ワイヤグリッド型偏光子およびその製造方 を提供する。

 本発明は、以下の要旨を有する。
(1)表面に複数の凸条が互いに平行にかつ所定 のピッチ(Pp)で形成された光透過性基板と、 光透過性基板の凸条の上面、および該凸条 長さ方向に延びる2つの側面である第1の側面 ならびに第2の側面の計3面を被覆する、金属 たは金属化合物からなる金属細線とを有す ワイヤグリッド型偏光子であって、
 下記の条件(a)~(c)を満足する、ワイヤグリッ ド型偏光子。
 (a)前記凸条の第1の側面を被覆している金属 細線の厚さDm1および前記凸条の第2の側面を 覆している金属細線の厚さDm2がそれぞれ、 式(1-1)および下式(1-2)を満足する。
 0nm<Dm1≦20nm ・・・(1-1)。
 0nm<Dm2≦20nm ・・・(1-2)。
 (b)前記凸条の上面を被覆している金属細線 厚さHmおよび前記凸条の高さHpが、下式(2)を 満足する。
 40nm≦Hm≦0.5×Hp ・・・(2)。
 (c)前記Dm1、前記Dm2、前記Ppおよび前記凸条 幅Dpが、下式(3)を満足する。
 Dm1+Dm2≦0.4×(Pp-Dp) ・・・(3)。
(2)さらに下記の条件(d)を満足する、上記(1)に 記載のワイヤグリッド型偏光子。
 (d)前記凸条の上面を被覆している金属細線 最大幅Dm、前記Ppおよび前記凸条の幅Dpが、 式(4)を満足する。
 Dm-Dp≦0.4×(Pp-Dp) ・・・(4)。
(3)さらに下記の条件(e)を満足する、上記(1)又 は(2)に記載のワイヤグリッド型偏光子。
 (e)前記凸条の第1の側面を被覆している金属 細線の幅(凸条の上面から溝への深さ方向の さ)Hm1、前記凸条の第2の側面を被覆している 金属細線の幅(凸条の上面から溝への深さ方 の長さ)Hm2、および前記凸条の高さHpがそれ れ、下式(5-1)および下式(5-2)を満足する。
 Hm1≧0.5×Hp ・・・(5-1)。
 Hm2≧0.5×Hp ・・・(5-2)。
(4)可視光領域において、前記金属細線が形成 された面側から入射する光に対して、偏光度 が99.5%以上、p偏光透過率が70%以上、およびs 光反射率が80%以上であり、かつ前記金属細 が形成されていない面側から入射する光に して、s偏光反射率が40%未満である上記(1)~(3) のいずれかに記載のワイヤグリッド型偏光子 。
(5)前記金属細線が、銀、アルミニウム、クロ ム、マグネシウム、TiN、TaN、またはTiSi 2 からなる上記(1)~(4)のいずれかに記載のワイ グリッド型偏光子。
(6)表面に複数の凸条が互いに平行にかつ所定 のピッチ(Pp)で形成された光透過性基板と、 光透過性基板の凸条の上面、および該凸条 長さ方向に延びる2つの側面である第1の側面 ならびに第2の側面の計3面を被覆する、金属 たは金属化合物からなる金属細線とを有す ワイヤグリッド型偏光子を製造する方法で って、
 前記金属細線を、下記の条件(A)~(F)を満足す る蒸着法で形成する、ワイヤグリッド型偏光 子の製造方法。
 (A)前記凸条の長さ方向に対して略直交し、 つ前記凸条の高さ方向に対して第1の側面の 側に角度θ R をなす方向から前記凸条の上面および第1の 面に金属または金属化合物を蒸着する。
 (B)前記凸条の長さ方向に対して略直交し、 つ前記凸条の高さ方向に対して第2の側面の 側に角度θ L をなす方向から前記凸条の上面および第2の 面に金属または金属化合物を蒸着する。
 (C)前記条件(A)による蒸着および前記条件(B) よる蒸着を交互に、前記条件(A)による蒸着 m回(ただし、mは1以上)、前記条件(B)による 着をn回(ただし、nは1以上)、合計(m+n)で3回以 上行う。
 (D)前記条件(A)によるm回の蒸着のうちの1回 の蒸着における角度θ R は、下式(I)を満足し、前記条件(B)によるn回 蒸着のうちの1回目の蒸着における角度θ L は、下式(II)を満足する。
 15゜≦θ R ≦45゜ ・・・(I)、
 15゜≦θ L ≦45゜ ・・・(II)。
 (E)前記mが2以上の場合、m回目のθ R m と(m-1)回目のθ R (m-1) とは、下式(III)を満足し、前記nが2以上の場 、n回目のθ L n と(n-1)回目のθ L (n-1) とは、下式(IV)を満足する。
 θ R m ≦θ R (m-1)  ・・・(III)、
 θ L n ≦θ L (n-1)  ・・・(IV)。
 (F)前記条件(A)によるm回の蒸着のうちの1回 の蒸着および前記条件(B)によるn回の蒸着の ちの1回目の蒸着においては、前記凸条の上 面に1回の蒸着で形成される金属細線の厚さHm ’を10nm以下とする。
(7)前記ワイヤグリッド型偏光子が下記の条件 (a)~(c)を満足する、上記(6)に記載のワイヤグ ッド型偏光子の製造方法。
 (a)前記凸条の第1の側面を被覆している金属 細線の厚さDm1および前記凸条の第2の側面を 覆している金属細線の厚さDm2がそれぞれ、 式(1-1)および下式(1-2)を満足する。
 0nm<Dm1≦20nm ・・・(1-1)。
 0nm<Dm2≦20nm ・・・(1-2)。
 (b)前記凸条の上面を被覆している金属細線 厚さHmおよび前記凸条の高さHpが、下式(2)を 満足する。
 40nm≦Hm≦0.5×Hp ・・・(2)。
 (c)前記Dm1、前記Dm2、前記Ppおよび前記凸条 幅Dpが、下式(3)を満足する。
 Dm1+Dm2≦0.4×(Pp-Dp) ・・・(3)。

 本発明のワイヤグリッド型偏光子は、可視 領域において、表面側から入射する光に対 て高い偏光度、p偏光透過率およびs偏光反 率を示し、かつ裏面側から入射する光に対 て低いs偏光反射率を示す。
 本発明のワイヤグリッド型偏光子の製造方 によれば、可視光領域において、表面側か 入射する光に対して高い偏光度、p偏光透過 率およびs偏光反射率を示し、かつ裏面側か 入射する光に対して低いs偏光反射率を示す イヤグリッド型偏光子を製造できる。

本発明のワイヤグリッド型偏光子の一 を示す斜視図である。 本発明のワイヤグリッド型偏光子の他 例を示す断面図である。 光透過性基板の一例を示す斜視図であ 。

<ワイヤグリッド型偏光子>
 図1は、本発明のワイヤグリッド型偏光子の 一例を示す斜視図である。ワイヤグリッド型 偏光子10は、表面に複数の凸条12が互いに平 にかつ所定のピッチ(Pp)で形成された光透過 基板14と、光透過性基板14の凸条12の上面16 および凸条12の長さ方向に延びる2つの側面 ある第1の側面18ならびに第2の側面20の計3面 被覆する、金属または金属化合物からなる 属細線22とを有する。

 Ppは、凸条12の幅Dpと、凸条12間に形成され 溝の幅との合計である。Ppは、300nm以下が好 しく、50~200nmがより好ましい。Ppを300nm以下 することにより、ワイヤグリッド型偏光子1 0の表面側から入射する光に対してさらに高 s偏光反射率を示し、かつ400nm程度の短波長 域においてもワイヤグリッド型偏光子10の表 面側から入射する光に対してさらに高い偏光 度を示す。また、回折による着色現象が抑え られる。
 また、Ppは、蒸着によって金属細線22を形成 しやすい点から、100~200nmが特に好ましい。

 DpとPpの比(Dp/Pp)は、0.1~0.55が好ましく、0.25~0 .45がより好ましい。Dp/Ppを0.1以上とすること より、ワイヤグリッド型偏光子10の表面側 ら入射する光に対してさらに高い偏光度を す。Dp/Ppを0.55以下とすることにより、干渉 よる透過光の着色が抑えられる。
 また、Dpは、蒸着によって金属細線22を形成 しやすい点から、30~80nmが特に好ましく、40~70 nmがより好ましい。

 凸条12の高さHpは、50~500nmが好ましく、80~300n mがより好ましい。Hpを50nm以上とすることに り、凸条12の表面への金属細線22の選択的な 成が容易となる。Hpを500nm以下とすることに より、ワイヤグリッド型偏光子10の偏光度の 射角度依存性が小さくなる。
 また、Hpは、蒸着によって金属細線22を形成 しやすい点から、100~270nmが特に好ましい。

(光透過性基板)
 光透過性基板14は、ワイヤグリッド型偏光 10の使用波長範囲において光透過性を有する 基板である。光透過性とは、光を透過するこ とを意味し、使用波長範囲は、具体的には、 400nm~800nmの範囲である。
 光透過性基板14の厚さHsは、0.5~1000μmが好ま く、1~40μmがより好ましい。

 光透過性基板14の材料としては、光硬化樹 、熱可塑性樹脂、ガラス等が挙げられ、後 するインプリント法にて凸条12を形成できる 点から、光硬化樹脂または熱可塑性樹脂が好 ましく、光インプリント法にて凸条12を形成 きる点および耐熱性および耐久性に優れる から、光硬化樹脂が特に好ましい。
 光硬化樹脂としては、生産性の点から、光 化性組成物の光ラジカル重合により形成さ る樹脂が好ましい。

 光硬化性組成物としては、光硬化後の硬 膜の水に対する接触角が90°以上となるもの が好ましい。該硬化膜の水に対する接触角が 90°以上であれば、光インプリント法により 条12を形成する際、モールドとの離型性がよ くなり、精度の高い転写が可能となり、得ら れるワイヤグリッド型偏光子10が目的とする 能を充分に発揮できる。

(金属細線)
 金属細線22は、凸条12の上面16、第1の側面18 よび第2の側面20の計3面に形成され、凸条12 の溝の底面にはほとんど形成されず、金属 線22間は、凸条12間の溝の底面において連続 していない。ただし、第1の側面18または第2 側面20に形成された金属細線22は、溝の底面 接していてもよい。

 金属細線22は、下記の条件(a)~(c)を満足する うに形成する。
 (a)凸条12の第1の側面18を被覆している金属 線22の厚さDm1および凸条12の第2の側面20を被 している金属細線22の厚さDm2がそれぞれ、 式(1-1)および下式(1-2)を満足する。
 0nm<Dm1≦20nm ・・・(1-1)。
 0nm<Dm2≦20nm ・・・(1-2)。
 (b)凸条12の上面16を被覆している金属細線22 厚さHmおよび凸条12の高さHpが、下式(2)を満 する。
 40nm≦Hm≦0.5×Hp ・・・(2)。
 (c)Dm1、Dm2、凸条12のピッチPpおよび凸条12の Dpが、下式(3)を満足する。
 Dm1+Dm2≦0.4×(Pp-Dp) ・・・(3)。

 条件(a):
 Dm1は、凸条12の上面16の高さにおいて凸条12 第1の側面18を被覆している金属細線22の厚 をいう。Dm2は、凸条12の上面16の高さにおい 凸条12の第2の側面20を被覆している金属細 22の厚さをいう。
 Dm1およびDm2がそれぞれ20nm以下であれば、凸 条12間の溝の空間が広くなり、表面側から入 する光に対して高いp偏光透過率を示す。ま た、Dm1およびDm2がそれぞれ20nm以下であれば 第1の側面18を被覆している金属細線22および 第2の側面20を被覆している金属細線22によっ 、ワイヤグリッド型偏光子10の裏面側から 射するs偏光の大部分が吸収されるため、裏 側から入射する光に対して低いs偏光反射率 を示す。Dm1およびDm2はそれぞれ15nm以下が好 しく、10nm以下がより好ましい。

 Dm1およびDm2がそれぞれ0nm超であれば、第1 の側面18を被覆している金属細線22および第2 側面20を被覆している金属細線22によって、 ワイヤグリッド型偏光子10の裏面側から入射 るs偏光が吸収されるため、裏面側から入射 する光に対して低いs偏光反射率を示す。Dm1 よびDm2はそれぞれ3nm以上が好ましく、5nm以 がより好ましい。

 条件(b):
 Hmが40nm以上であれば、ワイヤグリッド型偏 子10の表面側から入射する光に対して高い 光度およびs偏光反射率を示す。HmがHpの半分 以下であれば、光の利用効率が向上する。Hm 50nm以上が好ましい。また、HmはHpの0.4倍以 または150nm以下が好ましく、120nm以下がより ましい。

 条件(c):
 Dm1とDm2の合計の厚さが、(Pp-Dp)すなわち凸条 12間の溝の幅の40%以下であれば、凸条12間の の幅の60%以上の空間が残ることになるため 表面側から入射する光に対して高いp偏光透 率を示す。Dm1とDm2の合計の厚さは、(Pp-Dp)の 35%以下が好ましく、30%以下がより好ましい。

 条件(d):
 金属細線22は、さらに下記の条件(d)を満足 ることが好ましい。
 (d)凸条12の上面16を被覆している金属細線22 最大幅Dm、凸条12のピッチPpおよび凸条12の Dpが、下式(4)を満足する。
 Dm-Dp≦0.4×(Pp-Dp) ・・・(4)。

 Dm-DpがPp-Dp(すなわち凸条12間の溝の幅)の40% 下であれば、凸条12間の溝の幅の60%以上の空 間がDmによって遮蔽されないため、表面側か 入射する光に対してさらに高いp偏光透過率 を示す。
 図2に示すように、蒸着の条件によっては、 上面16を被覆している金属細線22が、第1の側 18を被覆している金属細線22や第2の側面20を 被覆している金属細線22よりも大きく横方向 膨らむことがある。すなわち、Dmが、Dm1とDm 2とDpの合計の厚さよりも大きくなる場合があ る。なお、図1に示すように、Dmが、Dm1とDm2と Dpの合計の厚さと同じであれば、条件(d)は、 件(c)と同じとなる。

 条件(e):
 金属細線22は、さらに下記の条件(e)を満足 ることが好ましい。
 (e)凸条12の第1の側面18を被覆している金属 線22の幅(凸条12の上面16から溝への深さ方向 長さ)Hm1、凸条12の第2の側面20を被覆してい 金属細線22の幅(凸条12の上面16から溝への深 さ方向の長さ)Hm2および凸条12の高さHpがそれ れ、下式(5-1)および下式(5-2)を満足する。
 Hm1≧0.5×Hp ・・・(5-1)。
 Hm2≧0.5×Hp ・・・(5-2)。

 Hm1およびHm2がそれぞれHpの50%以上であれ 、第1の側面18を被覆している金属細線22およ び第2の側面20を被覆している金属細線22の面 が広くなり、ワイヤグリッド型偏光子10の 面側から入射するs偏光が効率よく吸収され ため、裏面側から入射する光に対してさら 低いs偏光反射率を示す。Hm1およびHm2はそれ ぞれHpの60%以上が好ましく、65%以上がより好 しい。また、Hm1およびHm2はそれぞれHpの100% あってもよい。

 なお、本発明における上述の凸条12およ 金属細線22の各寸法は、ワイヤグリッド型偏 光子10の断面の走査型電子顕微鏡像または透 型電子顕微鏡像において5箇所の凸条12およ 金属細線22における各寸法の最大値(ただし Dm1とDm2は、上記で定義した値)を測定し、5 所の該値を平均したものとする。

 金属細線22の材料としては、金属(銀、アル ニウム、クロム、マグネシウム等。)または 金属化合物(TiN、TaN、TiSi 2 等。)が挙げられ、可視光に対する反射率が く、可視光の吸収が少なく、かつ高い導電 を有する点から、銀、アルミニウム、クロ 、マグネシウムが好ましく、アルミニウム 特に好ましい。

(保護層)
 金属細線22の厚さは非常に微細であるため 金属細線22がわずかに傷ついただけでもワイ ヤグリッド型偏光子10の性能に影響する。ま 、錆により金属細線22の導電率が低下し、 イヤグリッド型偏光子10の性能が低下する場 合がある。よって、金属細線22の傷付きおよ 錆を抑えるために、金属細線22を保護層で 覆してもよい。

 保護層としては、樹脂、金属酸化物、ガ ス等が挙げられる。たとえば、金属として ルミニウムを用いた場合、空気中で酸化さ て酸化アルミニウムが表面に形成される。 属酸化膜は、金属細線22の保護層として機 する。本発明において、アルミニウムが空 中で酸化されて酸化アルミニウムに変化し 場合、アルミニウムと酸化アルミニウムの 法の合計を金属細線22の寸法とする。

 光透過性基板14と保護層との界面でのp偏光 反射を低減させるため、保護層の屈折率と 透過性基板の屈折率とを実質的に一致させ ことが好ましい。
 保護層としては、耐熱性、可視光透過性を するものが好ましく、広帯域にわたり高い 光分離能が得られる点から、屈折率の低い のがより好ましい。
 保護層は、ワイヤグリッド型偏光子10の最 面に存在するため、鉛筆硬度H以上の硬さを するものが好ましく、防汚性も有すること 好ましい。
 保護層または光透過性基板14は、光の利用 率を高めるため、表面に反射防止構造を有 てもよい。

 ワイヤグリッド型偏光子10の表面側から入 する光に対するs偏光反射率は、リサイクル の利用効率を向上するためにできるかぎり いことが好ましく、80%以上が好ましく、82% 上がより好ましい。ワイヤグリッド型偏光 10の裏面側から入射する光に対するs偏光反 率は、コントラストを向上させるためにで るだけ低いことが好ましく、40%未満が好ま く、30%未満がより好ましい。
 ワイヤグリッド型偏光子10の表面側から入 する光に対するp偏光透過率は、透過光の利 効率を向上するためにできるかぎり高いこ が好ましく、70%以上が好ましく、80%以上が り好ましい。ワイヤグリッド型偏光子10の 面側から入射する光に対するp偏光透過率は 透過光の利用効率を向上するためにできる ぎり高いことが好ましく、70%以上が好まし 、80%以上がより好ましい。
 また、ワイヤグリッド型偏光子10の表面側 ら入射する光に対する偏光度は、下式から 算した。
 偏光度=((Tp-Ts)/(Tp+Ts))×100
 ただし、Tpは、表面側のp偏光透過率であり Tsは、表面側のs偏光透過率である。表面側 ら入射する光に対する偏光度はコントラス を向上させるため、99.5%以上が好ましく、99 .7%以上がより好ましい。

 以上説明したワイヤグリッド型偏光子10 あっては、表面に複数の凸条12が互いに平行 にかつ所定のピッチ(Pp)で形成された光透過 基板14と、光透過性基板14の凸条12の上面16、 第1の側面18および第2の側面20の計3面を被覆 る、金属または金属化合物からなる金属細 22とを有し、かつ上述の条件(a)~(c)を満足す ため、表面側から入射する光に対して高い 光度、p偏光透過率およびs偏光反射率を示し 、かつ裏面側から入射する光に対して低いs 光反射率を示す。

<ワイヤグリッド型偏光子の製造方法>
 ワイヤグリッド型偏光子10は、表面に複数 凸条12が互いに平行にかつ所定のピッチ(Pp) 形成された光透過性基板14を作製し、該光透 過性基板14の凸条12の上面16、第1の側面18およ び第2の側面20の計3面に金属細線22を形成する ことによって製造される。

(光透過性基板の作製方法)
 光透過性基板14の作製方法としては、イン リント法(光インプリント法、熱インプリン 法。)、リソグラフィ法等が挙げられ、凸条 12を生産性よく形成できる点および光透過性 板14を大面積化できる点から、インプリン 法が好ましく、凸条12をより生産性よく形成 できる点およびモールドの溝を精度よく転写 できる点から、光インプリント法が特に好ま しい。

 光インプリント法は、たとえば、電子線 画とエッチングとの組み合わせにより、複 の溝が互いに平行にかつ所定のピッチ(Pp)で 形成されたモールドを作製し、該モールドの 溝を、任意の基材の表面に塗布された光硬化 性組成物に転写し、同時に該光硬化性組成物 を光硬化させる方法である。

 光インプリント法による光透過性基板14の 製は、具体的には下記の工程(i)~(v)を経て行 れる。
 (i)光硬化性組成物を基材の表面に塗布する 程。
 (ii)複数の溝が互いに平行にかつ所定のピッ チで形成されたモールドを、溝が光硬化性組 成物に接するように、光硬化性組成物に押し つける工程。
 (iii)モールドを光硬化性組成物に押しつけ 状態で放射線(紫外線、電子線等。)を照射し て光硬化性組成物を硬化させて、モールドの 溝に対応する複数の凸条12を有する光透過性 板14を作製する工程。
 (iv)光透過性基板14からモールドを分離する 程。
 (v)光透過性基板14の凸条12の3面に金属細線22 を形成する前または形成した後に、必要に応 じて、光透過性基板14から基材を分離する工 。

 熱インプリント法による光透過性基板14の 製は、具体的には下記の工程(i)~(iv)を経て行 われる。
 (i)基材の表面に熱可塑性樹脂の被転写膜を 成する工程、または熱可塑性樹脂の被転写 ィルムを作製する工程。
 (ii)複数の溝が互いに平行にかつ一定のピッ チで形成されたモールドを、溝が被転写膜ま たは被転写フィルムに接するように、熱可塑 性樹脂のガラス転移温度(Tg)または融点(Tm)以 に加熱した被転写膜または被転写フィルム 押しつけ、モールドの溝に対応する複数の 条12を有する光透過性基板14を作製する工程 。
 (iii)光透過性基板14をTgまたはTmより低い温 に冷却して光透過性基板14からモールドを分 離する工程。
 (iv)光透過性基板14の凸条12の3面に金属細線2 2を形成する前または形成した後に、必要に じて、光透過性基板14から基材を分離する工 程。

(金属細線の形成方法)
 金属細線22は、光透過性基板14の凸条12が形 された面の斜め上方から金属または金属化 物を蒸着させる斜方蒸着法により形成され 。蒸着法としては、真空蒸着法、スパッタ 、イオンプレーティング法等の物理蒸着法 挙げられる。

 金属細線22は、具体的には、下記の条件(A)~( F)を満足する蒸着法で形成される。
 (A)図3に示す凸条12の長さ方向Lに対して略直 交し、かつ凸条12の高さ方向Hに対して第1の 面18の側に角度θ R をなす方向V1から凸条12の上面16および第1の 面18に金属または金属化合物を蒸着する。
 (B)図3に示す凸条12の長さ方向Lに対して略直 交し、かつ凸条12の高さ方向Hに対して第2の 面20の側に角度θ L をなす方向V2から凸条12の上面16および第2の 面20に金属または金属化合物を蒸着する。
 (C)前記条件(A)による蒸着および前記条件(B) よる蒸着を交互に、前記条件(A)による蒸着 m回(ただし、mは1以上)、前記条件(B)による 着をn回(ただし、nは1以上)、合計(m+n)で3回以 上行う。
 (D)前記条件(A)によるm回の蒸着のうちの1回 の蒸着における角度θ R は、下式(I)を満足し、前記条件(B)によるn回 蒸着のうちの1回目の蒸着における角度θ L は、下式(II)を満足する。
 15゜≦θ R ≦45゜ ・・・(I)、
 15゜≦θ L ≦45゜ ・・・(II)。
 (E)前記mが2以上の場合、m回目のθ R m と(m-1)回目のθ R (m-1) とは、下式(III)を満足し、前記nが2以上の場 、n回目のθ L n と(n-1)回目のθ L (n-1) とは、下式(IV)を満足する。
 θ R m ≦θ R (m-1)  ・・・(III)、
 θ L n ≦θ L (n-1)  ・・・(IV)。
 条件(F):
 蒸着法は、さらに下記の条件(F)を満足する とが好ましい。
 (F)前記条件(A)によるm回の蒸着のうちの1回 の蒸着および前記条件(B)によるn回の蒸着の ちの1回目の蒸着においては、前記凸条の上 面に1回の蒸着で形成される金属細線の厚さHm ’を10nm以下とする。

 条件(A)、(B):
 条件(A)、(B)を満足しない場合、光透過性基 14の凸条12の3面に金属細線22を形成できない 。なお、本明細書において、「略直交し」と は、方向Lと方向V1(または方向V2)のなす角度 85~95度の範囲にあることを意味する。

 条件(C):
 条件(C)を満足しない場合、凸条12の上面16を 被覆している金属細線22の厚さHmが薄くなる すなわち、凸条12の長さ方向Lに対して略直 し、かつ凸条12の高さ方向Hに対して第1の側 18の側に角度θ R をなす方向V1(すなわち第1の側面18の側)、お び凸条12の長さ方向Lに対して略直交し、か 凸条12の高さ方向Hに対して第2の側面20の側 角度θ L をなす方向V2(すなわち第2の側面20の側)から それぞれ1回の蒸着で、凸条12の第1の側面18 被覆している金属細線22の厚さDm1および凸条 12の第2の側面20を被覆している金属細線22の さDm2が所望の厚さとなるように蒸着しよう すると、角度θ R および角度θ L を大きくする必要があり、その結果、上面16 蒸着される金属または金属化合物の量が少 くなる。

 また、第1の側面18の側からの蒸着と第2の 側面20の側からの蒸着とを交互に行うことに り、金属または金属化合物が偏って蒸着す ことがなく、凸条12の第1の側面18を被覆し いる金属細線22の厚さDm1および凸条12の第2の 側面20を被覆している金属細線22の厚さDm2が ぼ同じになる。

 条件(D):
 光の波長以下のピッチの凸条12に蒸着を行 場合、蒸着の角度θ R (または角度θ L )に応じて金属細線22の形状が変化するため、 角度θ R (または角度θ L )によっては、適切な形状の金属細線22を形成 できない場合がある。m回の蒸着のうちの1回 の蒸着における角度θ R およびn回の蒸着のうちの1回目の蒸着におけ 角度θ L が15゜未満では、凸条12間の溝の底面にも金 または金属化合物が蒸着し、金属細線22が連 結してしまい、入射する光を透過できなくな る。m回の蒸着のうちの1回目の蒸着における 度θ R およびn回の蒸着のうちの1回目の蒸着におけ 角度θ L が45゜を超えると、金属または金属化合物が って蒸着し、斜めに傾いた金属細線22が形 されてしまう。また、該角度を大きくしす ると、連続膜が形成される場合がある。
 さらに、上記条件(A)によるm回の蒸着のうち の2回目の蒸着における角度θ R は、上式(I)を満足し、上記条件(B)によるn回 蒸着のうちの2回目の蒸着における角度θ L は、上式(II)を満足することが好ましい。

 条件(E):
 条件(E)を満足しない場合、凸条12の第1の側 18を被覆している金属細線22の厚さDm1および 凸条12の第2の側面20を被覆している金属細線2 2の厚さDm2を所定の厚み以下にした場合、凸 12の上面16を被覆している金属細線22の厚さHm が薄くなりすぎる。また、凸条12の上面16を 覆している金属細線22の厚さHmを40nm以上にす る場合、凸条12の第1の側面18を被覆している 属細線22の厚さDm1および凸条12の第2の側面20 を被覆している金属細線22の厚さDm2が厚くな すぎる。

 さらに、前記mが2以上の場合、m回目のθ R m と(m-1)回目のθ R (m-1) とは、下式(V)を満足し、前記nが2以上の場合 n回目のθ L n と(n-1)回目のθ L (n-1) とは、下式(VI)を満足することが好ましい。
 θ R m R (m-1)  ・・・(V)、
 θ L n L (n-1)  ・・・(VI)。

 式(V)、式(VI)を満足することにより、凸条12 上面16を被覆している金属細線22の厚さHmの 加に応じて角度θ R (または角度θ L )をしだいに小さくして蒸着を行うため、Hmの 増加に対してDm1およびDm2が厚くなりすぎるこ とがない。

 条件(F):
 初期の蒸着において、凸条12の上面16を被覆 している金属細線22の厚さHmを厚くしてしま と、凸条12の第1の側面18を被覆している金属 細線22の厚さDm1および凸条12の第2の側面20を 覆している金属細線22の厚さDm2が厚くなりす ぎる場合がある。

 角度θ R および角度θ L は、たとえば、下記の蒸着装置を用いること によって調整できる。
 凸条12の長さ方向Lに対して略直交し、かつ 条12の高さ方向Hに対して第1の側面18の側ま は第2の側面20の側に角度θ R をなす方向V1または角度θ L をなす方向V2の延長線上に蒸着源が位置する うに、蒸着源に対向して配置された光透過 基板14の傾きを変更できる蒸着装置。

 蒸着源としては、金属(銀、アルミニウム、 クロム、マグネシウム等。)または金属化合 (TiN、TaN、TiSi 2 等。)が挙げられ、可視光に対する反射率が く、可視光の吸収が少なく、かつ高い導電 を有する点から、銀、アルミニウム、クロ 、マグネシウムが好ましく、アルミニウム 特に好ましい。

 以上説明したワイヤグリッド型偏光子10 製造方法にあっては、上述の条件(A)~(F)を満 する蒸着法で金属細線22を形成しているた 、上述の条件(a)~(c)を満足する金属細線22を 成でき、その結果、表面側から入射する光 対して高い偏光度、p偏光透過率およびs偏光 反射率を示し、かつ裏面側から入射する光に 対して低いs偏光反射率を示すワイヤグリッ 型偏光子10を得ることができる。

 以下、実施例により本発明をさらに詳しく 明するが、本発明はこれら実施例に限定さ ない。
 例1~7は実施例であり、例8~15は比較例である 。

(金属細線の各寸法)
 金属細線の各寸法は、ワイヤグリッド型偏 子の断面の透過型電子顕微鏡像において5箇 所の金属細線における各寸法の最大値(ただ 、Dm1とDm2は、上記で定義した値)を測定し、5 箇所の該値を平均して求めた。

(透過率)
 ワイヤグリッド型偏光子の表面側(金属細線 が形成された面側)または裏面側(金属細線が 成されていない面側)から波長405nmの固体レ ザー光および波長635nmの半導体レーザー光 、ワイヤグリッド型偏光子の表面または裏 に対して垂直に入射し、p偏光透過率およびs 偏光透過率を測定した。
 表面側のp偏光透過率が、70%以上を○とし、 70%未満を×とした。
 裏面側のp偏光透過率が、70%以上を○とし、 70%未満を×とした。

(反射率)
 ワイヤグリッド型偏光子の表面側または裏 側(金属細線が形成されていない面側)から 長405nmの固体レーザー光および波長635nmの半 体レーザー光を、ワイヤグリッド型偏光子 表面または裏面に対して5°の角度で入射し s偏光反射率を測定した。
 表面側のs偏光反射率が、80%以上を○とし、 80%未満を×とした。
 裏面側のs偏光反射率が、40%未満を○とし、 40%以上を×とした。

(偏光度)
 ワイヤグリッド型偏光子の表面側から入射 る光に対する偏光度は、下式から計算した
 偏光度=((Tp-Ts)/(Tp+Ts))×100
 ただし、Tpは、表面側のp偏光透過率であり Tsは、表面側のs偏光透過率である。
 偏光度が99.5%以上を○とし、99.5%未満を×と た。

(角度依存性)
 凸条の長さ方向Lに対して直交し、かつ凸条 の高さ方向Hに対して第1の側面の側に45゜の 度をなす方向V1からワイヤグリッド型偏光子 の表面側に光を入射した時の偏光度と、凸条 の長さ方向Lに対して直交し、かつ凸条の高 方向Hに対して第2の側面の側に45゜の角度を す方向V2からワイヤグリッド型偏光子の表 側に光を入射した時の偏光度とについて、( い値の偏光度)/(低い値の偏光度)の値が1.5以 下を○とし、1.5超を×とした。

(光硬化性組成物の調製)
 撹拌機および冷却管を装着した1000mLの4つ口 フラスコに、
 単量体1(新中村化学工業社製、NK エステル A-DPH、ジペンタエリスリトールヘキサアクリ レート)の60g、
 単量体2(新中村化学工業社製、NK エステル A-NPG、ネオペンチルグリコールジアクリレー ト)の40g、
 光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカ ルズ社製、IRGACURE907)の4.0g、
 含フッ素界面活性剤(旭硝子社製、フルオロ アクリレート(CH 2 =CHCOO(CH 2 ) 2 (CF 2 ) 8 F)とブチルアクリレートとのコオリゴマー、 ッ素含有量:約30質量%、質量平均分子量:約30 00)の0.1g、
 重合禁止剤(和光純薬社製、Q1301)の1.0g、お び
 シクロヘキサノンの65.0gを入れた。

 フラスコ内を常温および遮光にした状態 、1時間撹拌して均一化した。ついで、フラ スコ内を撹拌しながら、コロイド状シリカの 100g(固形分:30g)をゆっくりと加え、さらにフ スコ内を常温および遮光にした状態で1時間 拌して均一化した。ついで、シクロヘキサ ンの340gを加え、フラスコ内を常温および遮 光にした状態で1時間撹拌して光硬化性組成 1の溶液を得た。

〔例1〕
(光透過性基板の作製)
 厚さ100μmの高透過ポリエチレンテレフタレ ト(PET)フィルム(帝人デュポン社製、帝人テ ロンO3、100mm×100mm)の表面に、光硬化性組成 1をスピンコート法により塗布し、厚さ1μm 光硬化性組成物1の塗膜を形成した。

 複数の溝が互いに平行にかつ所定のピッ で形成された石英製モールド(50mm×50mm、溝 ピッチPp:150nm、溝の幅Dp:50nm、溝の深さHp:200nm 、溝の長さ:50mm、溝の断面形状:矩形。)を、 が光硬化性組成物1の塗膜に接するように、2 5℃にて0.5MPa(ゲージ圧)で光硬化性組成物1の 膜に押しつけた。

 該状態を保持したまま、石英製モールド から高圧水銀灯(周波数:1.5kHz~2.0kHz、主波長 :255nm、315nmおよび365nm、365nmにおける照射エ ルギー:1000mJ)の光を15秒間照射し、光硬化性 組成物1を硬化させて、石英製モールドの溝 対応する複数の凸条を有する光透過性基板( 条のピッチPp:150nm、凸条の幅Dp:50nm、凸条の さHp:200nm。)を作製した。光透過性基板から 英製モールドをゆっくり分離した。

(金属細線の形成)
 蒸着源に対向する光透過性基板の傾きを変 可能な真空蒸着装置(昭和真空社製、SEC-16CM) を用い、光透過性基板の凸条に斜方蒸着法に てアルミニウムを蒸着させ、金属細線を形成 し、裏面にPETフィルムが貼着されたワイヤグ リッド型偏光子を得た。この際、凸条の長さ 方向Lに対して略直交し、かつ凸条の高さ方 Hに対して第1の側面の側に角度θ R をなす方向V1(すなわち第1の側面の側)からの 着と、凸条の長さ方向Lに対して略直交し、 かつ凸条の高さ方向Hに対して第2の側面の側 角度θ L をなす方向V2(すなわち第2の側面の側)からの 着とを交互に行い、かつ各回の蒸着におけ 角度θ R (または角度θ L )および1回の蒸着で形成される金属細線の厚 Hm’を表1に示す角度および厚さとした。な 、Hm’は水晶振動子を膜厚センサーとする 厚モニターにより測定した。

 得られたワイヤグリッド型偏光子について 金属細線の各寸法を測定した。結果を表2に 示す。
 また、得られたワイヤグリッド型偏光子に いて、透過率、反射率、偏光度、角度依存 を測定した。結果を表3に示す。

〔例2〕
(光透過性基板の作製)
 モールドとして、複数の溝が互いに平行に つ所定のピッチで形成されたニッケル製モ ルド(100mm×100mm、溝のピッチPp:120nm、溝の幅D p:40nm、溝の深さHp:120nm、溝の長さ:80mm、溝の 面形状:矩形)を用いた以外は、例1と同様に てニッケル製モールドの溝に対応する複数 凸条を有する光透過性基板(凸条のピッチPp:1 20nm、凸条の幅Dp:40nm、凸条の高さHp:120nm。)を 製した。

(金属細線の形成)
 各回の蒸着における角度θ R (または角度θ L )および1回の蒸着で形成される金属細線の厚 Hm’を表1に示す角度および厚さとした以外 、例1と同様にしてワイヤグリッド型偏光子 を得た。
 得られたワイヤグリッド型偏光子について 金属細線の各寸法を測定した。結果を表2に 示す。
 また、得られたワイヤグリッド型偏光子に いて、透過率、反射率、偏光度、角度依存 を測定した。結果を表3に示す。

〔例3〕
(光透過性基板の作製)
 モールドとして、複数の溝が互いに平行に つ所定のピッチで形成されたニッケル製モ ルド(100mm×100mm、溝のピッチPp:200nm、溝の幅D p:80nm、溝の深さHp:200nm、溝の長さ:50mm、溝の 面形状:矩形)を用いた以外は、例1と同様に てニッケル製モールドの溝に対応する複数 凸条を有する光透過性基板(凸条のピッチPp:2 00nm、凸条の幅Dp:80nm、凸条の高さHp:200nm。)を 製した。

(金属細線の形成)
 各回の蒸着における角度θ R (または角度θ L )および1回の蒸着で形成される金属細線の厚 Hm’を表1に示す角度および厚さとした以外 、例1と同様にしてワイヤグリッド型偏光子 を得た。
 得られたワイヤグリッド型偏光子について 金属細線の各寸法を測定した。結果を表2に 示す。
 また、得られたワイヤグリッド型偏光子に いて、透過率、反射率、偏光度、角度依存 を測定した。結果を表3に示す。

〔例4~14〕
 例1と同様にして光透過性基板を作製した後 、蒸着の回数、各回の蒸着における角度θ R (または角度θ L )および1回の蒸着で形成される金属細線の厚 Hm’を表1に示す角度および厚さとした以外 、例1と同様にしてワイヤグリッド型偏光子 を得た。
 得られたワイヤグリッド型偏光子について 金属細線の各寸法を測定した。結果を表2に 示す。
 また、得られたワイヤグリッド型偏光子に いて、透過率、反射率、偏光度、角度依存 を測定した。結果を表3に示す。

〔例15〕
(光透過性基板の作製)
 モールドとして、複数の溝が互いに平行に つ所定のピッチで形成されたシリコン製モ ルド(20mm×20mm、溝のピッチPp:200nm、溝の幅Dp: 60nm、溝の深さHp:100nm、溝の長さ:10mm、溝の断 形状:矩形)を用いた以外は、例1と同様にし シリコン製モールドの溝に対応する複数の 条を有する光透過性基板(凸条のピッチPp:200 nm、凸条の幅Dp:60nm、凸条の高さHp:100nm。)を作 製した。

(金属細線の形成)
 各回の蒸着における角度θ R (または角度θ L )および1回の蒸着で形成される金属細線の厚 Hm’を表1に示す角度および厚さとした以外 、例1と同様にしてワイヤグリッド型偏光子 を得た。
 得られたワイヤグリッド型偏光子について 金属細線の各寸法を測定した。結果を表2に 示す。
 また、得られたワイヤグリッド型偏光子に いて、透過率、反射率、偏光度、角度依存 を測定した。結果を表3に示す。

 例1~例7は、凸条の3面に条件(a)~(c)を満足 る金属細線が形成されており、表面側から 射する光に対して高い偏光度、p偏光透過率 よびs偏光反射率を示し、かつ裏面側から入 射する光に対して低いs偏光反射率を示した

 例8は、条件(a)、(b)、(c)、(C)および(D)を満 足しない例である。凸条の上面を被覆してい る金属細線の厚さHmが不足していた。蒸着回 が2回だと、凸条の第1の側面を被覆してい 金属細線の厚さDm1および凸条の第2の側面を 覆している金属細線の厚さDm2を厚くするこ なく、Hmを厚くすることができなかった。 のため、表面側から入射する光に対する偏 度およびs偏光反射率が低下し、かつ裏面側 ら入射する光に対して高いs偏光反射率を示 した。

 例9は、条件(D)を満足しない例である。1回 、2回目の蒸着角度が大きく、凸条上面にア ミ二ウムの連続膜が形成されたため、評価 なかった。
 例10は、条件(a)、(b)、(c)および(E)を満足し い例である。3回目の蒸着における角度が1回 目の蒸着における角度より大きかったため、 金属細線の厚さが全体的に厚くなった。その ため、表面側から入射する光に対するp偏光 過率が低下し、かつ裏面側から入射する光 対して高いs偏光反射率を示した。

 例11は、条件(D)および(E)を満足しない例で る。凸条間の溝の底部にもアルミニウムが15 nmの厚さで蒸着され、連続膜が形成された。 のため、表面側から入射するp偏光は透過せ ず、かつ裏面側から入射する光に対して高い s偏光反射率を示した。
 例12は、条件(a)および(D)を満足しない例で る。凸条の上面のみに金属細線が形成され 。そのため、裏面側から入射する光に対し 高いs偏光反射率を示した。

 例13は、条件(a)、(c)および(F)を満足しない である。1、2回目の蒸着における厚さHmが10nm より大きかったため、金属細線の厚さが全体 的に厚くなった。そのため、表面側から入射 する光に対するp偏光透過率が低下し、かつ 面側から入射する光に対して高いs偏光反射 を示した。
 例14は、条件(b)および(C)を満足しない例で る。凸条の上面を被覆している金属細線の さHmが不足した。また、凸条の第2の側面の60 %以上が、金属細線で被覆されていなかった そのため、表面側から入射する光に対する 光度およびs偏光反射率が低下し、角度依存 が大きかった。

 例15は、特許文献2の実施例1に相当する例 であり、条件(a)、(b)、(c)、(C)および(D)を満足 しない例である。凸条の上面を被覆している 金属細線の厚さHmが不足し、一方、凸条の第1 の側面を被覆している金属細線の厚さDm1およ び凸条の第2の側面を被覆している金属細線 厚さDm2が厚くなりすぎた。また、凸条の第2 側面の60%以上が、金属細線で被覆されてい かった。そのため、表面側から入射する光 対する偏光度およびs偏光反射率が低下し、 かつ裏面側から入射する光に対して高いs偏 反射率を示した。また、角度依存性が大き った。

 本発明のワイヤグリッド型偏光子は、液晶 示装置、リアプロジェクションテレビ、フ ントプロジェクター等の画像表示装置の偏 子として有用である。
 なお、2008年4月3日に出願された日本特許出 2008-097405号の明細書、特許請求の範囲、図 及び要約書の全内容をここに引用し、本発 の明細書の開示として、取り入れるもので る。

 10 ワイヤグリッド型偏光子
 12 凸条
 14 光透過性基板
 16 上面
 18 第1の側面
 20 第2の側面
 22 金属細線