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Title:
WIRE SAW APPARATUS
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/060562
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a wire saw apparatus comprising a wire made to run on a plurality of grooved rollers for running reciprocally in an axial direction, a nozzle for feeding slurry, and a work feeding mechanism for feeding a work to the wire while holding it. The wire saw apparatus feeds the work by pushing it onto the reciprocally running wire while feeding the wire with the slurry from the nozzle, thereby to cut the work into a wafer shape. In the wire saw apparatus, a work holding portion of the work feeding mechanism holds the work through an application plate adhered to the work and a work plate, and plate- or block-shaped slurry splash preventing members for preventing the slurry from splashing from the wire cut-in portion of the work are arranged in the direction orthogonal to the wire lines below the work holding portion and on the two wire cut-in and cut-out sides. Thus, the wire saw apparatus can suppress the wok from meandering, as might otherwise be caused by the slurry splashed from the wire cut-in portion of the work, so that the wafer to be cut can be improved in the warp.

Inventors:
KITAGAWA KOJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/002915
Publication Date:
May 14, 2009
Filing Date:
October 15, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SHINETSU HANDOTAI KK (JP)
KITAGAWA KOJI (JP)
International Classes:
B28D5/04; B24B27/06; H01L21/304
Foreign References:
JP2007273711A2007-10-18
JPH09193140A1997-07-29
JPH09262829A1997-10-07
JP2004114249A2004-04-15
Attorney, Agent or Firm:
YOSHIMIYA, Mikio (6-11 Ueno 7-chome,Taito-ku, Tokyo 05, JP)
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Claims:
 少なくとも、複数の溝付きローラに巻掛けされ、軸方向に往復走行するワイヤと、該ワイヤにスラリを供給するノズルと、切断されるワークを保持しつつ押し下げて前記ワイヤへ送るワーク送り機構を具備し、前記ノズルから前記ワイヤにスラリを供給しつつ、前記ワーク送り機構により保持されたワークを、往復走行するワイヤに押し当てて切り込み送りし、ワークをウエーハ状に切断するワイヤソー装置であって、
 前記ワーク送り機構のワーク保持部は、前記切断されるワークに接着されている当て板と該当て板を保持するワークプレートを介してワークを保持するものであり、
 前記ワークのワイヤの切入り部から飛散するスラリを防ぐための板状またはブロック状のスラリ飛散防止部材が、前記ワーク保持部の下方、かつ、前記ワイヤがワークに切入る側と切出す側の両側に、前記溝付きローラに巻掛けされたワイヤのワイヤ列と直行方向に配設されたものであることを特徴とするワイヤソー装置。
 
 前記スラリ飛散防止部材は、下端が、前記ワークプレートよりも下方に位置するものであることを特徴とする請求項1に記載のワイヤソー装置。
 
 前記スラリ飛散防止部材は、下面が外側に向かってテーパを有するものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のワイヤソー装置。
 
 前記スラリ飛散防止部材は、移動可能であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のワイヤソー装置。
 
 前記スラリ飛散防止部材は、水平動または円軌道に沿って平行動されるものであることを特徴とする請求項4に記載のワイヤソー装置。
 
 前記スラリ飛散防止部材は、前記ワーク保持部に固定されたものであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のワイヤソー装置。
Description:
ワイヤソー装置

 本発明は、ワイヤソー装置を用いて、ワー (例えばシリコンインゴット、化合物半導体 のインゴット等)から多数のウエーハを切り すワイヤソー装置に関する。
 

 近年、ウエーハの大型化が望まれており、 の大型化に伴い、ワークの切断には専らワ ヤソー装置が使用されている。
 ワイヤソー装置は、ワイヤ(高張力鋼線)を 速走行させて、ここにスラリを掛けながら ワークを押し当てて切断し、多数のウエー を同時に切り出す装置である(特開平9-262826 公報参照)。

 ここで、図7に、従来の一般的なワイヤソー 装置の一例の概要を示す。
 図7に示すように、ワイヤソー101は、主に、 ワークを切断するためのワイヤ102、ワイヤ102 を巻回した溝付きローラ103、ワイヤ102に張力 を付与するための機構104、切断されるワーク を下方へと送り出す機構105、切断時にスラリ を供給する機構106で構成されている。

 ワイヤ102は、一方のワイヤリール107から り出され、トラバーサ108を介してパウダク ッチ(定トルクモータ109)やダンサローラ(デ ドウェイト)(不図示)等からなる張力付与機 104を経て、溝付きローラ103に入っている。 イヤ102はこの溝付きローラ103に300~400回程度 巻掛けられた後、もう一方の張力付与機構104 ’を経てワイヤリール107’に巻き取られてい る。

 また、溝付きローラ103は鉄鋼製円筒の周 にポリウレタン樹脂を圧入し、その表面に 定のピッチで溝を切ったローラであり、巻 けられたワイヤ102が、駆動用モータ110によ て予め定められた周期で往復方向に駆動で るようになっている。

 なお、ワークの切断時には、図8に示すよう なワーク送り機構105によって、ワークは保持 されつつ押し下げられ、溝付きローラ103に巻 回されたワイヤ102に送り出される。このワー ク送り機構105は、ワークを保持しつつ押し下 げるためのワーク保持部111、LMガイド112を備 ており、コンピュータ制御でLMガイド112に ってワーク保持部111を駆動させることによ 、予めプログラムされた送り速度で保持さ たワークを送り出すことが可能である。
 なお、ワークは当て板114に接着されており また、この当て板114はワークプレート113に り保持されている。そして、これらの当て 114、ワークプレート113を介して、ワーク保 部111によりワークは保持される。

 また、図7に示すように、溝付きローラ103 、巻掛けられたワイヤ102の近傍にはノズル115 が設けられており、切断時にスラリタンク116 からワイヤ102にスラリを供給できるようにな っている。また、スラリタンク116にはスラリ チラー117が接続されており、供給するスラリ の温度を調整できるようになっている。

 このようなワイヤソー装置101を用い、ワ ヤ102にワイヤ張力付与機構104を用いて適当 張力をかけて、駆動用モータ110により、ワ ヤ102を往復方向に走行させながらワークを ライスする。

 しかしながら、上記のような一般的なワイ ソー装置を用いてワークをウエーハ状に切 し、切断されたウエーハの形状を調べてみ と、大きなWarpが生じてしまっていた。Warp 半導体ウエーハの切断における重要品質の つであり、製品の品質要求が高まるにつれ 一層の低減が望まれている。
 

 そこで、本発明者は、切断されたウエー の形状を詳細に調査したところ、特にワー の両端面の付近でWarpが悪化しており、Warp 悪化したウエーハを更に詳細に調査すると 切断後半部でWarpが顕著に悪化していること 発見した。

 このWarpの悪化原因を調査するために、本発 明者は切断中のワークの状態を観察した。
 ワークを切断するとき、ワークの側方に位 するノズルによって、ワイヤ列の上方から ラリを掛けつつワイヤを軸方向に高速で駆 することにより、ワーク切断部へのスラリ 供給が行われる。しかしながら、この際、 イヤに付着してワーク付近まで運ばれたス リは、そのほとんどがワークの側面(ワーク のワイヤの切入り部)に衝突して、ワーク下 へ落下していることが分かった。

 特に半導体シリコンインゴットでは、ワー が円柱形状であるために、ワークの切断開 部からワーク中央部にかけて切断している き、上記のワーク側面に衝突したスラリは イヤの切入り部から速やかに下方へ落下す 。図9にワークの切断開始部から中央部を切 断しているときのスラリの流れを示す。なお 、図において、向かって左側から右側へワイ ヤが走行しているときの例を示している。
 しかしながら、ワークの切り込みがさらに み、ワークの中央部以降を切断するときに 、スラリは円柱形状のワークの側面にあた てワークの上方へ向かって飛散し、その後 ワークへ落下する。図10にワークの中央部 降を切断しているときのスラリの流れを示 。ワークの上方へ向かって飛散したスラリ 、ワーク保持部やワークプレートにまで到 し、ワークの内側へと落下することがわか 。そして、このワークに落下したスラリは 既にワイヤによって切り込まれた箇所に流 込むことが分かった。

 図11に、ワイヤにより切り込まれた箇所に ラリが流れ込んだときの状態を示す。これ 、ワイヤ列に沿った方向からワーク側面を た図である。ワイヤにより切り込まれた箇 に流れ込んだスラリは、切断熱等により移 中に水分が抜け、最初にワイヤに供給され ときよりも粘性が高くなっており、この高 度のスラリが、特にワーク下端付近(切断開 部付近)(図11のP参照)に溜まって、ワークの に切り込まれてウエーハ状となった箇所が いにくっつき合い易くなる。一方で、ワー 中央部付近(図11のQ参照)では、上記のよう ウエーハ状に切り込まれてスラリにより互 にくっついたワーク下端付近と、まだ切り まれていないワーク上端付近を支点にして 切断中に、ワイヤ列と直行する方向に振動 る(蛇腹運動)。この蛇腹運動はワークの端面 側に近いほどその振幅も大きいことが分かっ た。
 そして、本発明者は、このようなワークの 腹運動を原因として、特には切断終了部付 の切断に影響が生じ、ウエーハのWarpが悪化 すると考えた。

 そこで、本発明は、上記問題点を鑑みて されたもので、ワークのワイヤの切入り部 ら飛散するスラリを原因としてワークが蛇 運動するのを抑制し、切断されるウエーハ Warpを改善することが可能なワイヤソー装置 を提供することを目的とする。

 上記目的を達成するために、本発明は、少 くとも、複数の溝付きローラに巻掛けされ 軸方向に往復走行するワイヤと、該ワイヤ スラリを供給するノズルと、切断されるワ クを保持しつつ押し下げて前記ワイヤへ送 ワーク送り機構を具備し、前記ノズルから 記ワイヤにスラリを供給しつつ、前記ワー 送り機構により保持されたワークを、往復 行するワイヤに押し当てて切り込み送りし ワークをウエーハ状に切断するワイヤソー 置であって、
 前記ワーク送り機構のワーク保持部は、前 切断されるワークに接着されている当て板 該当て板を保持するワークプレートを介し ワークを保持するものであり、
 前記ワークのワイヤの切入り部から飛散す スラリを防ぐための板状またはブロック状 スラリ飛散防止部材が、前記ワーク保持部 下方、かつ、前記ワイヤがワークに切入る と切出す側の両側に、前記溝付きローラに 掛けされたワイヤのワイヤ列と直行方向に 設されたものであることを特徴とするワイ ソー装置を提供する。

 このように、本発明のワイヤソー装置は ワークのワイヤの切入り部から飛散するス リを防ぐための板状またはブロック状のス リ飛散防止部材が、ワーク送り機構のワー 保持部の下方、かつ、ワイヤがワークに切 る側と切出す側の両側に、溝付きローラに 掛けされたワイヤのワイヤ列と直行方向に 設されたものであるので、ワーク切断後半 おいて、ワイヤがワークを切入るときに、 イヤに付着したスラリが切入り部にあたっ ワーク上方へと飛散するのを、スラリ飛散 止部材により防止可能なものとなる。

 したがって、ワーク上方に飛散してワー の内側へ流れ落ち、ワイヤによって切り込 れた箇所に流れ込むスラリの量を抑制する とができる。これにより、ウエーハ状に切 込まれたワークの下端が、流れ込んだ粘性 高いスラリによりくっつくことを防止し、 れによってワーク中央部付近での蛇腹運動 抑えられる。このように切断中のワークの 動(ワイヤ列と直交する方向に振動)が抑制 れて、特に切断終了部付近のウエーハのWarp 状を改善することが可能である。

 このとき、前記スラリ飛散防止部材は、下 が、前記ワークプレートよりも下方に位置 るものであるのが好ましい。
 このように、スラリ飛散防止部材の下端が ワークプレートよりも下方に位置するもの あれば、スラリ飛散防止部材がワークのよ 近くに配設されたものとなり、ワークのワ ヤの切入り部から、ワークの上方にスラリ 飛散してワークプレートにまで達するのを らに効果的に抑制することが可能なものと る。その結果、切断されたワーク部にスラ ーが流れ込むのをより効果的に抑制できる

 さらに、前記スラリ飛散防止部材は、下面 外側に向かってテーパを有するものである が好ましい。
 このように、スラリ飛散防止部材の下面が 側に向かってテーパを有するものであれば ワークのワイヤの切入り部からワーク上方 向かって飛散するスラリを、ワークの外側 効率良く跳ね返すことが可能なものとなる

 また、前記スラリ飛散防止部材は移動可能 ものとすることができる。
 このように、スラリ飛散防止部材が移動可 なものであれば、切断中に常にワークのワ ヤの切入り部付近に容易に配設することが 能となり、切断の進捗にかかわりなく切入 部からのスラリの飛散をより効果的に防止 ることができる。

 この場合、前記スラリ飛散防止部材は、水 動または円軌道に沿って平行動されるもの することができる。
 このように、スラリ飛散防止部材が水平動 たは円軌道に沿って平行動されるものであ ば、切断中にワーク送り機構により押し下 られるワークのワイヤの切入り部の位置変 に対応することができる。スラリ飛散防止 材とワーク(ワイヤの切入り部)との距離を 定に制御することも可能になる。

 あるいは、前記スラリ飛散防止部材は、前 ワーク保持部に固定されたものとすること できる。
 このように、スラリ飛散防止部材がワーク 持部に固定されたものであれば、比較的簡 な構造で、ワークのワイヤの切入り部から ークの内側へ向かってスラリが飛散するの 防止できるものとなる。

 本発明のワイヤソー装置であれば、ワーク ワイヤの切入り部から、ワークの上方にス リが飛散し、その後切断されたワークに流 込むのを抑制することが可能であり、それ よって、ワークの蛇腹運動を抑え、切断さ るウエーハのWarpを改善することができる。
 

本発明のワイヤソー装置の一例を示す 略図である。 可動式のスラリ飛散防止部材の一例を す説明図である。図2(A)は切断開始前、(B)は 切断開始部から中央部を切断しているとき、 (C)は中央部から切断終了部を切断していると きの一例を示す。 固定式のスラリ飛散防止部材の一例を す説明図である。 実施例で用いた固定式のスラリ飛散防 部材の斜視図である。 スライスウエーハ全数のWarpの測定結果 を示すグラフである。(A)実施例、(B)比較例。 実施例、比較例のスライスウエーハに いて、切断方向におけるスライスウエーハ Warp断面形状の測定結果を示すグラフである 。 従来のワイヤソー装置の一例を示す概 図である。 ワーク送り機構の一例を示す概略図で る。 従来のワイヤソー装置を用いて、ワー の切断開始部から中央部を切断していると のスラリの流れの様子を示す説明図である 従来のワイヤソー装置を用いて、ワー クの中央部以降を切断しているときのスラリ の流れの様子を示す説明図である。 ワイヤにより切り込まれた箇所にスラ リが流れ込んだ状態を示す説明図である。

 以下では、本発明の実施の形態について説 するが、本発明はこれに限定されるもので ない。
 図1は本発明のワイヤソー装置の一例を示す 概略図である。図1に示すように、本発明の イヤソー装置1はスラリ飛散防止部材20を具 しており、他の機構、例えばワークを切断 るためのワイヤ2、ワイヤ2を巻回した溝付き ローラ3、ワイヤ2に張力を付与するための機 4、切断されるワークを下方へと送り出す機 構5、切断時にスラリを供給する機構6等は特 限定されず、従来と同様のものとすること できる。

 次に、図2に、可動式のスラリ飛散防止部材 20の一例を示す。なお、図2(A)は切断開始前、 (B)は切断開始部から中央部を切断していると き、(C)は中央部から切断終了部を切断してい るときの一例をそれぞれ挙げたものである。
 まず、切断されるワークは当て板14に接着 れており、該当て板14はワークプレート13に り保持されている。当て板14は、例えばエ キシ系樹脂板とすることができ、ワークと ポキシ接着剤により接着されている。また ワークプレート13は、インバー材やステンレ スでできており、当て板14とエポキシ接着剤 より接着されている。

 そして、ワーク送り機構5のワーク保持部11 、クランプにより上記ワークプレート13を 持している。すなわち、このワーク保持部11 は、当て板14、ワークプレート13を介してワ クを保持している。
 そして、このようにワーク送り機構5のワー ク保持部11によって保持されたワークは、切 を行う際、ワーク送り機構5により、下方に 位置するワイヤ2へと送られる。
 一方、溝付きローラ3に巻掛けされ、切断時 に、軸方向に往復走行するワイヤ2の上方に ノズル15が配置されており、ワークの切断を 行うときには、ワイヤ2にスラリを供給する とができるようになっている。

 また、スラリ飛散防止部材20はワーク保持 11の下方に位置し、さらには、特に図1、2(B)( C)に示すように、ワイヤ2がワークに切入る側 と切出す側の両側に、ワイヤ2のワイヤ列と 行する方向に配設されている。これは、ワ ヤを往復走行させるので、切入り側と切出 側は、周期的に逆転するので、ワークの両 に必要だからである。
 スラリ飛散防止部材20の形状は、図2に示す ではブロック状となっているが、このほか 板状のものとすることも可能である。そし 、その下面は、図2に示すように、外側に向 かってテーパを有している。当然、下面が平 坦な形状のものを用いることもできるが、こ のように外側に向かってテーパを有する形状 であると、ワーク切入り部から飛散するスラ リを、外側に向かって跳ね返すことが可能と なり、すなわち、ワークの内側へスラリが飛 散するのを一層効果的に防止することができ るので好ましい。例えば、水平面に対して5 以上の角度で傾斜しているものとすること できる。
 また、大きさや厚さ等は特に限定されず、 ークを切断終了する時点において、ワーク 持部11とワークの間に入り込めるように設 することができる。ただし、そのワーク切 終了時において、スラリ飛散防止部材20の下 端が、ワークプレート13よりも下方に位置す 程度の大きさ、厚さを有するものとするの 好ましい。そのようなものであれば、スラ 飛散防止部材20の下端がワークから離れす ることもなく、ワークの上方にスラリが大 く飛散し、ワーク内側にスラリが流れ込む を効果的に防止することができる。

 さらに、このスラリ飛散防止部材20はコ ピュータ等につなげられており、このコン ュータにより、配設位置を適切に決定する とが可能である。また、スラリ飛散防止部 20がつながったコンピュータは、ワーク送り 機構5ともつなげることができ、例えば、ワ ク送り機構5により下方へ押し下げられるワ クの移動量に応じて、スラリ飛散防止部材2 0の位置を制御することができる。このコン ュータ制御により、ワーク(ワイヤ2の切入り 部)とスラリ飛散防止部材20の距離を常に一定 に制御することも可能である。

 スラリ飛散防止部材20の動かし方は特に限 されないが、例えば水平動のものとするこ ができる。ワークの切断時、ワークはワー 送り機構5により押し下げられるので、円柱 のワークの中央部以降を切断するときなど 、ワークのワイヤの切入り部はワークの内 方向へと移動することになる。スラリ飛散 止部材20が水平方向に移動可能なものであ ば、そのワークの内側方向へと移動する切 り部を容易に追うことが可能であり、切入 部からのスラリの飛散を防ぐことができる
 あるいは、円軌道に沿って平行動させるこ ができるものとし、円柱状のワークの側面 沿って、より細やかにスラリ飛散防止部材2 0を移動させるものとすることができる。
 ワークの形状等に応じて適宜設定すること 可能である。

 ここで、図2により、本発明のワイヤソー装 置1を用い、ワークを切断するときに、ワー のワイヤ2の切入り部から、スラリがワーク 上方に飛散するのを防止する手順について 明する。
 まず、図2(A)に示すように、軸方向に往復走 行するワイヤ2のワイヤ列に向かって、スラ をノズル15から供給するとともに、ワーク保 持部11により保持されたワークを押し下げて く。なお、ここでは、向かって左側から右 へとワイヤが走行している場合について述 る。

 次に、図2(B)に示すように、ワークの切断 開始部から中央部を切断しているとき、ワイ ヤ2に付着したスラリはワークの側面に衝突 、ワークのワイヤ2の切入り部から、ワーク 下方へすみやかに落下する。

 さらに切断が進み、ワークの中央部以降を 断しているとき、ワイヤ2に付着したスラリ はワークの側面に衝突し、ワークのワイヤの 切入り部から、ワイヤの上方へと向かって飛 散しようとする。
 このとき、本発明のワイヤソー装置1では、 可動式のスラリ飛散防止部材20を具備してい ので、ワークのワイヤ2の切入り部の近傍に 移動させ、スラリが切入り部からワークの上 方へと飛散するのを、スラリ飛散防止部材20 よって遮断して防止することができる。
 そして、切断終了部付近に近づくにつれ、 イヤ2の切入り部はワークの内側方向へと移 動するので、スラリ飛散防止部材20もさらに 側へと移動させることにより、スラリがワ クの上方、ワークのより内側へ向かって飛 するのを、切断が終了するまで防止し続け ことができる。

 以上より、ワークのワイヤ2の切入り部か ら、スラリがワークの上方へ向かって飛散す るのをスラリ飛散防止部材20により防止する とができ、それによって、飛散したスラリ ワークへと落下し、既にウエーハ状に切断 れたワーク下端へ高粘度のスラリが流れ込 こともなく、ワークの蛇腹運動を抑制する とができ、切断後半以降のウエーハのWarpが 悪化するのを防止することが可能である。

 また、本発明のワイヤソー装置1は、図2に した可動式のスラリ飛散防止部材20の他、固 定式のスラリ飛散防止部材を採用することも できる。
 図3に、ワーク保持部11に対して固定された ラリ飛散防止部材21の一例を示す。
 図3に示すように、スラリ飛散防止部材21は ーク保持部11の下面に取り付けられており 定されている。固定方法は特に限定されず 接着剤やねじを用いたり、クランプにより うことができる。また、スラリ飛散防止部 21の形状や大きさ、厚さ等は特に限定されず 、可動式のスラリ飛散防止部材20と同様のも とすることができる。切断工程において、 復走行するワイヤ2により切断されてしまわ ない程度に大きさ等を調整したものが好まし い。

 ただし、固定式の場合、図3のように下面が 外側に向かってテーパを有するものが特に望 ましい。これは、可動式のものに比べると、 スラリ飛散防止部材21とワーク(ワークのワイ ヤ2の切入り部)との距離を切断中に常に近接 せておくことは難しいためである。そこで 下面をテーパ形状のものとすることにより 切入り部から飛散するスラリを常に外側に かって跳ね返し、ワークの内側へ向かって 散してふりかかるのを防ぐことが望ましい
 

 以下、本発明を実施例によりさらに詳細に 明するが、本発明はこれに限定されない。
(実施例)
 図3に示す固定式のスラリ飛散防止部材21を えた本発明のワイヤソー装置を用い、直径3 00mm、軸方向長さ300mmのシリコンインゴットを ウエーハ状に切断し、275枚のスライスウエー ハを得る。
 なお、この固定式のスラリ飛散防止部材21 して、塩化ビニル樹脂製のもので、断面が 形のブロック状のものを用意した。このス リ飛散防止部材の全体形状の斜視図を図4に しておく。
 そして、用意したスラリ飛散防止部材を、 3に示すようにワーク保持部にねじを用いて 取り付けて固定した。このとき、スラリ飛散 防止部材の下端はワークプレートよりも下方 に突き出て位置し、スラリ飛散防止部材の下 面は外側に向かってテーパを有する向きでス ラリ飛散防止部材をワーク保持部に固定した 。このようにして本発明のワイヤソー装置を 用意した。

 そして、直径160μmのワイヤを使用し、2.5k gfの張力をかけて、500m/minの平均速度で60s/cの サイクルでワイヤを往復方向に走行させると ともに、ノズルからワイヤに向かってスラリ を供給し、ワーク送り機構によってシリコン インゴットをワイヤ列に押し当てて切断を行 い、スライスウエーハを得た。

 本発明者がこのワークの切断中にワークの 察を行ったところ、ワークの中央部以降を 断しているとき、ノズルからワイヤに供給 れてワイヤに付着したスラリは、ワークの 面に衝突したとき、上方に向かって一旦飛 するものの、下端がワークプレートよりも 方に突き出たスラリ飛散防止部材のテーパ 有する下面により、ワークの外側に跳ね返 れていた。すなわち、従来のワイヤソー装 を用いてワークの切断を行った後述の比較 のように、スラリがワークの上方へと大き 飛散し、そのままワークの内側へ落下して まうのを防ぐことができた。このように、 ラリ飛散防止部材によってワークの内側へ 飛散するスラリの量を大幅に抑制できた。
 そして、ワークの蛇腹運動は抑制され、ワ クの振動(ワイヤ列に直交する方向)はほと どなかった。

 この実施例で切り出したスライスウエーハ 全数について、実際に形状測定を行ってWarp を測定した。図5(A)に実施例でのWarpの測定結 を示す。
 図5(A)に示すように、本発明のワイヤソー装 置を用いてワークの切断を行った実施例では 、Warpを10μm以下に抑制できていることが分か る。後述する比較例では、Warpが20μmにも及ん でいる。本発明のワイヤソー装置を用いるこ とによって、Warpを格段に改善できたことが かる。
 

(比較例)
 従来のワイヤソー装置を用い、スラリ飛散 止部材を備えていないこと以外は実施例と 様の条件で、同様のシリコンインゴットの 断を行った。

 本発明者がワークの切断中にワークの観察 行ったところ、ワークの中央部以降を切断 ているとき、ワークの側面に衝突したスラ は、ワークの内側に向かって大きく飛散し ワークプレートにまで達し、その後、ワー の内側に大量に降り注がれていた。
 そして、ワークの蛇腹運動が顕著に見られ 振幅の大きいワークの振動が観察された。 に、ワークの両方の端面付近で振動が激し った。

 図5(B)に、比較例におけるスライスウエーハ の全数についてのWarpの測定結果を示す。
 このように、従来のワイヤソー装置を用い ワークの切断を行った比較例では、特にワ クの端面側(図5(B)の1-30枚目、246-275枚目あた り)において、Warpが大きくなっていることが かる。これは、切断中に、激しい震動が観 されたワークの箇所と一致している。
 

 また、実施例、比較例で得た新線供給側か 1枚目のスライスウエーハについて、切断方 向におけるスライスウエーハのWarp形状を測 した結果を図6に示す。
 実線が本発明、すなわち実施例の場合であ 、点線が従来法、すなわち比較例の場合で る。ワーク切込み位置が中央部(150mm)以降、 特には250mm以降から分かるように、比較例に べて、実施例は、中央部から切断終了部に けるWarp形状の変化を著しく抑制できている ことが分かる。これは、上述したように、ワ ークの中央部以降を切断しているとき、ワー クの蛇腹運動を抑えることができたためと考 えられる。
 

 以上のように、本発明のワイヤソー装置で れば、ワークのワイヤの切入り部からスラ が飛散してワークの上方に降り注ぐことを 果的に防止することができ、それによって ワークの中央部以降を切断しているときに 生するワークの蛇腹運動を抑制することが 能になり、切断後半におけるWarp形状を改善 することができる。その結果、従来よりも格 段にWarpが良好なスライスウエーハを提供す ことが可能である。
 

 なお、本発明は、上記実施形態に限定さ るものではない。上記実施形態は、例示で り、本発明の特許請求の範囲に記載された 術的思想と実質的に同一な構成を有し、同 な作用効果を奏するものは、いかなるもの あっても本発明の技術的範囲に包含される

 上記例では固定式のスラリ飛散防止部材 備えたワイヤソー装置を用いた場合の例を げて説明したが、これに限定されず、可動 のスラリ飛散防止部材を備えたワイヤソー 置とすることもできる。この場合、ワーク ワイヤの切入り部に対し、スラリ飛散防止 材をより近接して配設することも可能であ 、スラリの飛散を一層効果的に防止し、Warp がさらに良好なスライスウエーハを提供する こともできる。

 また、上記例で、固定式のスラリ飛散防 部材を塩化ビニル樹脂製のものとしたが、 の場合、その下端がワーク切断終了位置よ も下方にまで伸びているサイズのものとし ワークと一緒に切断することが可能なもの することができる。一方、下端がワーク切 終了位置よりも上方にあり、ワークを切断 終わったときにもワイヤと接触することの いサイズのものの場合、ステンレス等の金 材料からなるものとすることも可能である