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Patent Searching and Data


Title:
WOOD CUTTING TOOL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/131159
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a wood cutting tool with improved wear resistance and corrosion resistance. A hard foundation layer (18) comprising chromium nitride (CrN) is coated with a PVD treatment on the cutting face (16) of a base material (12) comprising ultra-hard alloy or tool steel. This hard foundation layer (18) has a five-layer structure, namely a first layer (18a) to a fifth layer (18e), in which the layers are arranged successively from the base material (12) side. Furthermore, a main hard layer (20) comprising chromium oxide (Cr2O3) is coated on the outer surface of the fifth layer (18e) of the hard foundation layer (18). The main hard layer (20) is formed by means of a PVD treatment in the same way as the hard foundation layer (18). Erosion is suppressed and the wear resistance and corrosion resistance of an ultra-hard replacement blade (10) are improved by coating the main hard layer (20) on the hard foundation layer (18).

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Inventors:
MINAMI, Toru (1 Nakaoguchi 1-chome, Oguchi-cho, Niwa-gu, Aichi 92, 48001, JP)
南 徹 (〒92 愛知県丹羽郡大口町中小口1丁目1番地 兼房株式会社内 Aichi, 48001, JP)
Application Number:
JP2009/058021
Publication Date:
October 29, 2009
Filing Date:
April 22, 2009
Export Citation:
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Assignee:
KANEFUSA KABUSHIKI KAISHA (1 Nakaoguchi 1-chome, Oguchi-cho Niwa-gu, Aichi 92, 48001, JP)
兼房株式会社 (〒92 愛知県丹羽郡大口町中小口1丁目1番地 Aichi, 48001, JP)
MINAMI, Toru (1 Nakaoguchi 1-chome, Oguchi-cho, Niwa-gu, Aichi 92, 48001, JP)
International Classes:
B27B33/02; B27G13/08
Attorney, Agent or Firm:
YAMAMOTO, Yoshichika et al. (5F. Rainbow Marunouchi Bldg, 6-11 Marunouchi 3-chome,Naka-ku, Nagoya-shi, Aichi 02, 46000, JP)
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Claims:
 超硬合金、軸受鋼または工具鋼からなる基材(12,32,52,72)の少なくともすくい面(16,34,54,78)または逃げ面(22,40,62,80)に、クロム物質および/または窒化クロム系物質を有する硬質基礎被膜層(18,36,56,74)が直接的または間接的にコーティングされた木材用刃物において、
 前記硬質基礎被膜層(18,36,56,74)に、酸化クロム系物質を有する硬質主被膜層(20,38,58,60,76)が直接的または間接的にコーティングされている
ことを特徴とする木材用刃物。
 前記硬質主被膜層(20,38,58,60,76)の膜厚は、約0.2μm~5.0μmに設定される請求項1記載の木材用刃物。
 前記硬質基礎被膜層(18,36,56,74)の膜厚は、約0.075μm~10.0μmに設定される請求項1または2記載の木材用刃物。
 前記硬質基礎被膜層(74)および硬質主被膜層(76)が交互に複数積層され、全ての被膜層(74,76)の膜厚の合計が約15.0μm以下に設定される請求項1記載の木材用刃物。
Description:
木材用刃物

 この発明は、木材用刃物に関し、更に詳 には、木材や木質系材料の切削・粉砕に供 れ、少なくともすくい面または逃げ面にク ムまたは窒化クロム系の硬質基礎被膜層が 成された木材用刃物に関するものである。

 木材や木質系材料系の複合材料を粉砕す ための粉砕刃や、切削加工するのに使用さ る丸鋸等の回転切削用工具その他プレーナ イフ等の平削り用工具等には、その基材と て軸受鋼や工具鋼、超硬合金等が選択的に 用されている。これら粉砕刃および切削刃 の木材用刃物には、切れ味の改善や切削寿 の持続と向上を目的として、そのすくい面 たは逃げ面に窒化クロム(CrN)等を含有した 質基礎被膜層を施す処理がPVD処理法等によ 広く実施されている。

 例えば、特許文献1には、高速度工具鋼や その他超硬合金等を基材とする木材用刃物に おいて、その逃げ面またはすくい面の何れか 一方の面に窒化クロムの硬質基礎被膜層を形 成して、切刃の経時的な摩耗を抑制する提案 がなされている。

特開平2-252501号公報

 ところが近年では、環境に対する関心の まりから、木材用刃物の更なる耐久性の向 および長寿命化が求められる傾向にあり、 材用刃物の耐摩耗性・耐食性の飛躍的な向 が期待されている。また、従来例の如く、 化クロムの硬質基礎被膜層をコーティング た木材用刃物は、乾燥した木質系材料に対 る優れた効果は発揮するものの、含水率の い被削材に対する効果は期待できなかった すなわち、被削材の含水率が高くなると、 質基礎被膜層におけるクロム成分の溶出が 進されてしまい、浸食による摩耗量(刃先後 退量)が増大する難点があった。

 そこで本発明は、従来の木材用刃物に内 する前記問題に鑑み、これを好適に解決す べく提案されたものであって、木材や木質 料に対し、乾燥状態に拘らず高い耐摩耗性 耐食性を備えた木材用刃物を提供すること 目的とする。

 前記課題を克服し、所期の目的を達成する め、請求項1に係る木材用刃物は、
 超硬合金、軸受鋼または工具鋼からなる基 の少なくともすくい面または逃げ面に、ク ム物質および/または窒化クロム系物質を有 する硬質基礎被膜層が直接的または間接的に コーティングされた木材用刃物において、
 前記硬質基礎被膜層に、酸化クロム系物質 有する硬質主被膜層が直接的または間接的 コーティングされていることを特徴とする

 本発明に係る木材用刃物によれば、木材 木質材料に対し、乾燥状態に拘らず耐摩耗 ・耐食性を向上して、製品寿命を延ばし得 。

実施例1に係る超硬替刃を示す図であっ て、(a)は超硬替刃をすくい面側から見た全体 図を示し、(b)は(a)のA-A線断面図を示す。 実施例2に係る超硬替刃を示す図であっ て、(a)は超硬替刃をすくい面側から見た全体 図を示し、(b)は(a)のB-B線断面図を示す。 実施例3に係るプレーナナイフを示す図 であって、(a)は薄い硬質主被膜層が形成され た超硬替刃の断面図を示し、(b)は厚い硬質主 被膜層が形成されたプレーナナイフの断面図 を示す。 変更例に係る超硬替刃を示す断面図で る。 実験例1の実験結果を示す試料1および2 刃先断面図である。 実験例2の実験結果を示す試料1~3の刃先 断面図である。 実験例3の実験結果を示す試料1~4の刃先 断面図である。 実験例4の実験結果を示す試料1~3の刃先 断面図である。 実験例5の実験結果を示す試料1~6の刃先 断面図である。 実験例6の実験結果を示すグラフであ て、硬質基礎被膜層の膜厚に対する剥離面 を示す。 実験例7の実験結果を示すグラフであ て、硬質基礎被膜層の膜厚に対するチッピ グ幅の割合および刃先後退量を示す。 実験例8の実験結果を示す試料1および2 の刃先断面図である。 実験例9の実験結果を示す試料1および2 の刃先断面図である。 実験例9の切削動力を比較した実験結 を示すグラフであって、(a)は送り速度が2m/mi nの場合を示し、(b)は送り速度が4m/minの場合 示す。

 次に、本発明に係る木材用刃物につき、 適な実施例を挙げて、添付図面を参照して 下説明する。

 図1(a)は、実施例1に係る木材用刃物10をす くい面16側から見た全体図であり、図1(b)は、 木材用刃物10のA-A線断面図である。実施例1で は、木材用刃物として、替刃式ミーリングカ ッターや替刃式ルータービット等に設けられ る超硬替刃10が採用されている。この超硬替 10は、超硬合金を材質とする薄板状の基材12 を本体とし、該基材12の長手方向の両縁部に 刃部14,14が形成され、超硬替刃10を反転する ことで両切刃部14,14を切削に使用し得るよう なっている。超硬替刃10のすくい面16には、 図1(b)に拡大して示すように、PVD処理により 化クロム(CrN)を有する硬質基礎被膜層18がコ ティングされている。前記硬質基礎被膜層1 8は、例えば、前記基材12側を第1層18aとして 第1層18a~第5層18eまでの5層構造をなしている

 この硬質基礎被膜層18の全体の膜厚は、 0.075μm~10.0μmの範囲内に設定されている。硬 基礎被膜層18が0.075μmよりも小さいと、基材 12を適切に保護し得なくなると共に、後述の 験例で示すように、硬質主被膜層20(後述)と の密着性確保が困難となる。また、硬質基礎 被膜層18の膜厚が10.0μmよりも大きいと、切削 時または刃付け(刃研ぎ)時に該硬質基礎被膜 18のチッピングが発生し易くなる。なお、 材12の逃げ面22側は、刃付けの際に硬質基礎 膜層18が研削されて除去されるので、該硬 基礎被膜層18は逃げ面22において断面として 刃部(刃先)に残るものの、被膜としては残 していない。

 前記硬質基礎被膜層18の最外層である第5層1 8eの外面には、酸化クロム系物質(Cr-O)を有す 硬質主被膜層20がコーティングされている この硬質主被膜層20は、薄膜のクロム酸化物 (Cr 2 O 3 )の層で構成されている。実施例1では、硬質 被膜層20は1つの層から構成され、その膜厚 約0.2μm~5.0μmの範囲に設定される。硬質主被 膜層20の膜厚が0.2μmより小さくなると、後述 実験例で示すように、耐摩耗性・耐食性の 上が図り得なくなり、また、硬質主被膜層2 0の膜厚を5.0μmより大きくすれば、硬質主被 層20の切削時や刃付け時のチッピングが発生 し易くなってしまう。このように、硬質基礎 被膜層18上に更に硬質主被膜層20をコーティ グすることで、木材や木質材料に対し、乾 状態に拘らず極めて良好な耐摩耗性・耐食 が発揮される。なお、硬質主被膜層20も、刃 付けの際の研削により基材12の逃げ面22に断 として切刃部に残るものの、被膜としては 存していない。実施例1では、硬質基礎被膜 18を5層構造とし、硬質主被膜層20を1層とし が、この被膜構造に限定される訳ではなく 硬質基礎被膜層18を4層以下または6層以上と したり、硬質主被膜層20を2層以上とすること も可能である。

 次に、木材用刃物の実施例2について、以 下説明する。図2(a)は、実施例2に係る木材用 物30をすくい面34側から見た全体図であり、 図2(b)はB-B線断面図である。実施例2の木材用 物としては、実施例1と同様に、替刃式ミー リングカッターや替刃式ルータービット等に 設けられる超硬替刃30が採用されている。こ 超硬替刃30は、超硬合金からなる基材32を備 え、該基材32のすくい面34に窒化クロムから る硬質基礎被膜層36がコーティングされてい る。この硬質基礎被膜層36は、例えば、2層構 造(基材32側から第1層36a,第2層36b)をなしてい 。

 前記硬質基礎被膜層36の最外層である第2 36bの外面には、酸窒化クロム(CrNO)からなる 質主被膜層38が形成されている。この硬質 被膜層38は、例えば3層構造をなし、前記硬 基礎被膜層36上にコーティングされる第1層38 aは、酸素と窒素のガス雰囲気における酸素 度5%としてPVDコーティングした酸窒化クロム で構成される。また、前記第1層38a上に積層 れる第2層38bおよび最も外側の第3層38cは、何 れも、酸素と窒素のガス雰囲気における酸素 濃度を10%としてPVDコーティングした酸窒化ク ロムで構成される。すなわち、実施例2では 硬質主被膜層38が、酸素濃度の異なる酸窒化 クロムの層を複数積層して構成される。なお 、前記硬質基礎被膜層36の全体の膜厚は、実 例1と同様に、約0.075μm~10.0μmの範囲内に設 され、硬質主被膜層38の全体の膜厚も、約0.2 μm~5.0μmの範囲内に設定される。また、刃付 の際の研削により、基材32の逃げ面40に、硬 基礎被膜層36および硬質主被膜層38が断面と して切刃部に残るものの、被膜としては残存 していない。なお、実施例2では、硬質基礎 膜層36を2層構造とし、硬質主被膜層38を3層 造としたが、この被膜構造は適宜変更して よい。

 次に、実施例3の木材用刃物50,51について説 する。実施例3では、図3(a)および(b)に示す うに、木材用刃物として2種のプレーナナイ 50,51が採用されている。プレーナナイフ50,51 の基材52は、高速度工具鋼で形成され、その くい面54には、窒化クロムからなる硬質基 被膜層56がPVD処理により1層だけコーティン されている。また、両プレーナナイフ50,51の 硬質基礎被膜層56,56には、膜厚の異なる硬質 被膜層58,60が1層だけコーティングされてい 。この硬質主被膜層58,60は、実施例1と同様 クロム酸化物(Cr 2 O 3 )で構成される。

 膜厚の薄い硬質主被膜層58が施されたプ ーナナイフ50(図3(a)参照)では、硬質基礎被膜 層56の膜厚が約2.2μm、硬質主被膜層58の膜厚 約0.4μmに設定されている。一方、厚い硬質 被膜層60が施されたプレーナナイフ51(図3(b) 照)は、硬質基礎被膜層56の膜厚が約2.3μm、 質主被膜層60の膜厚が約0.7μmに設定されてい る。但し、何れの硬質主被膜層58,60について 、膜厚が0.2μm~5.0μmの範囲内であれば変更可 能である。また、硬質基礎被膜層56,56につい も、膜厚が0.075μm~10.0μmの範囲内で変更し得 る。なお、プレーナナイフ50,51は、逃げ面62,6 2を再研磨することで再刃付けをし、再使用 供されるので、該プレーナナイフ50,51の逃げ 面62,62に、硬質基礎被膜層56および硬質主被 層58,60はコーティングされていない。また、 実施例3の各被膜層56,58,60の被膜構造に限定さ れる訳でなく、被膜構造は適宜変更可能であ る。

  (変更例)
 なお、硬質基礎被膜層および硬質主被膜層 被膜構造としては、上記実施例で示したも に限られる訳ではない。例えば、硬質基礎 膜層および硬質主被膜層を交互に複数積層 るようにしてもよい。図4は、変更例に係る 木材用刃物70を示す断面図である。この木材 刃物は、替刃式ミーリングカッターや替刃 ルータービット等に用いられる超硬替刃70 あって、該超硬替刃70は、超硬合金で形成さ れた基材72を本体とする。また、図4に拡大し て示すように、基材72のすくい面78に、硬質 礎被膜層74および硬質主被膜層76が交互に複 積層されて構成される。すなわち、基材72 すくい面78上には、窒化クロム(CrN)で構成さ る硬質基礎被膜層74が第1層として形成され 該硬質基礎被膜層74の上面に、第2層として ロム酸化物(Cr 2 O 3 )で構成される硬質主被膜層76が形成される。 更に、第3層として窒化クロムの硬質基礎被 層74が形成され、該第3層上に、最も外側の 4層としてクロム酸化物の硬質主被膜層76が ーティングされている。

 図4に関する上記の変更例は、硬質基礎被 膜層と硬質主被膜層とを交互に複数積層する ものであるが、各被膜層は何れも単層で構成 されている。しかし、このように各被膜層が 単層であることは要件でなく、各被膜層を多 層のものとしてもよい。また硬質基礎被膜層 と硬質主被膜層の全てが多層である必要はな く、単層と多層とが交互に、または法則性の ないランダムな組合せとなってもよい。

 例えば図示しないが、多層の室化クロム(CrN )で構成される硬質基礎被膜層と、多層のク ム酸化物(Cr 2 O 3 )で構成される硬質主被膜層とを、交互に基 72のすくい面78に複数積層する場合がこれで る。なお前述した如く、全ての硬質基礎被 層と硬質主被膜層との夫々が全ての多層に っている必要はなく、特定の被膜層だけが 層になっていてもよい。

 更に、クロム酸化物(Cr 2 O 3 )の被膜層を多層とする場合、第1層、第2層、 第3層…における酸素濃度が異なっていても い。すなわち、第1層、第2層、第3層…にク ム酸化物をPVDコーティングする際の酸素と ロムのガス雰囲気下における酸素濃度を各 で異ならせて実施してもよい。

 ここで、変更例に係る超硬替刃70では、 ての硬質基礎被膜層74および硬質主被膜層76 おける膜厚の合計は、約15.0μm以下となるよ うに設定されている。膜厚の合計が15.0μmよ 大きくなると、切削時や刃付け時にチッピ グが生じ易くなるからである。このように 硬質基礎被膜層74および硬質主被膜層76を交 に積層することで、切削時や刃付け時に刃 ケが生じたとしても、硬質基礎被膜層74ま は硬質主被膜層76が層単位で剥離するに留ま り、大きな(深い)刃カケが生ずるのを抑制す ことができる。また、変更例に係る被膜構 においても、実施例1~3と同様な優れた耐摩 性・耐食性効果を発揮し得る。なお、基材7 2の逃げ面80には、刃付けの際の研削により、 硬質基礎被膜層74および硬質主被膜層76が断 として切刃部(刃先)に残るものの、被膜とし ては残存していない。

 なお、実施例1~3および変更例では、硬質 礎被膜層18,36,56,74の被膜組成として窒化ク ム(CrN)を採用したが、酸化物を除いたクロム (Cr)および/または窒化クロム系物質を含むも であれば、窒化クロムの他、例えば、CrBN、 CrCN、CrAIN、CrSiN,CrTiN等を硬質基礎被膜層とし 採用することができる。また、実施例1~3お び変更例では、木材用刃物として替刃式ミ リングカッターや替刃式ルータービット等 超硬替刃10,30,70またはプレーナナイフ50,51を 例に説明したが、木材または木質系材料用の 粉砕刃や切削刃であれば、チッパーナイフや チップソー、フィンガージョイントカッター 等、何れの刃物であってもよい。更に、実施 例1~3および変更例では、すくい面16,34,54,78に 質基礎被膜層18,36,56,74および硬質主被膜層20 ,38,58,60,76を形成したが、逃げ面22,40,62,80に被 層を形成したり、すくい面16,34,54,78および げ面22,40,62,80の両面に被膜層を形成してもよ い。特に、粉砕刃の場合には、すくい面およ び逃げ面の両面にコーティングすることが望 ましい。また、基材12,32,52,72の全体に両被膜 をコーティングすることも可能である。

 次に、本発明に係る木材用刃物の切削性能 確認するべく、以下に示すように、各種の 膜構造をなす試料を種々の木材用刃物で作 して切削実験を行なった。試料の作成に際 ては、アーク放電型イオンプレーティング 置(図示せず)によりPVD処理を実施し、超硬 金または高速度工具鋼の基材に単層または 層の硬質基礎被膜層を形成する。そして、 質基礎被膜層を形成した超硬替刃または高 度工具鋼の基材に対し、クロム酸化物(Cr 2 O 3 )または酸窒化クロム(CrNO)の硬質主被膜層を 層または多層構造をなすようコーティング た。実験例1~7では、基材のすくい面にコー ィングをし、実験例8では、基材のすくい面 よび逃げ面にコーティングをし、実験例9で は、基材の逃げ面にコーティングをした。処 理条件は、以下の通りである。
蒸発源     :クロム(Cr)
アーク放電電流値:150A
バイアス電圧  :-40~-100V
チャンバー内圧力:2.66Pa
基板温度    :400℃

  (実験例1)
 実験例1では、クロム酸化物からなる硬質主 被膜層をコーティングした場合の耐摩耗性・ 耐食性効果を確認する実験を行なった。すな わち、硬質基礎被膜層のみをコーティングし た超硬替刃(試料1)と、硬質基礎被膜層および 硬質主被膜層をコーティングした超硬替刃( 料2)とを作成し、夫々切削実験を行なった。 試料1および2の被膜構造を以下に示す。なお 各試料の膜種は、エネルギー分散形X線分析 装置で解析した(以下の実験例でも同様であ )。何れの試料の超硬替刃においても、コー ィングした被膜の合計膜厚は、7.0μm~7.5μmの 範囲内に設定した。また、何れの試料も、基 材の寸法は20mm×12mm×1.5mmである。

 上記試料1および2を用いて、被削材として スギに対する切削実験を行なった。切削条 は以下の通りである。
機械:NCルーター
被削材:スギ(含水率30~80%)
切削工具:ルータービット(切削径45mm)
送り速度:1m/min
回転数:6000RPM
切込み量:20mm
切削材長:77.5m
 上記実験により、以下の結果を得た。
 また、77.5m切削後の各試料の刃先断面形状 図5に示す。なお、すくい面後退量およびす い面摩耗帯幅は、夫々、図5の符号aおよび 号bで示す摩耗量である(以下の実験例1~8にお いても同様である)。

 上記実験結果より、刃先後退量は、硬質 被膜層をコーティングしていない試料1が大 きく、硬質主被膜層をコーティングした試料 2の刃先後退量は小さくなっていることが分 る。また、すくい面摩耗帯幅についても、 料1は大きく、試料2は極めて小さな値を示し ている。また図5より、試料1は、すくい面の 質基礎被膜層が摩耗して、丸みを帯びた断 形状をなしているのに対し、試料2は、すく い面の被膜(硬質基礎被膜層および硬質主被 層)が残存し、シャープな断面形状が保たれ いる。本実験例の結果から明らかなように 硬質主被膜層をコーティングした試料2に係 る超硬替刃は、極めて良好な耐摩耗性および 耐食性を発揮していることが分かる。

  (実験例2)
 次に、実験例1での試料1,2に、膜厚の大きい 硬質主被膜層(クロム酸化物)をコーティング た試料3を加えて切削実験を行なった。試料 2の硬質主被膜層の膜厚は約0.7μmであるのに し、試料3の硬質主被膜層の膜厚は約2.0μmで る。試料1~3の被膜構造を以下に示す。なお 何れの試料も、全体の膜厚は、約7.0~7.5μmの 範囲に設定され、基材の寸法は20mm×12mm×1.5mm ある。

 上記試料1~3を用いて、含水率の高いヒノキ 対する切削実験を行なった。切削条件は、 下の通りである。
機械:NCルーター
被削材:ヒノキ(含水率50~90%)
切削工具:ルータービット(切削径45mm)
送り速度:1m/min
回転数:6000RPM
切込み量:20mm
切削材長:30m
 上記実験により、以下の結果を得た。
 また、30m切削後の各試料の刃先断面形状を 6に示す。

 上記実験結果より、刃先後退量およびす い面摩耗帯幅の何れも、硬質主被膜層を形 した試料2および3が小さくなっていること 分かる。特に、硬質主被膜層の膜厚を大き した試料3が最も小さな値を示している。ま 、図6より、試料1は、すくい面の硬質基礎 膜層が摩耗して、丸みを帯びた断面形状を しているのに対し、試料2および3は、すくい 面の被膜(硬質基礎被膜層および硬質主被膜 )が残存しており、シャープな断面形状が保 れている。実験例2の結果から明らかなよう に、含水率が高い被削材に対しても、クロム 酸化物をコーティングした試料2および3に係 超硬替刃は、極めて良好な耐摩耗性・耐食 を発揮することが分かる。また、硬質主被 層の膜厚が大きい程、耐摩耗性・耐食性効 がより向上するといえる。

  (実験例3)
 実験例3では、硬質主被膜層として酸窒化ク ロム(試料2,3)またはクロム酸化物(試料4)を採 して対比実験を行なった。また、酸窒化ク ムを採用したものについては、硬質主被膜 を形成する際の酸素と窒素のガス雰囲気に ける酸素濃度を相違させた2種類の試料(試 2,3)を用意した。更に、比較のため、硬質基 被膜層のみをコーティングした超硬替刃も 成した(試料1)。本実験例で使用される試料1 ~4の被膜構造を以下に示す。なお、何れの試 も、全体の膜厚は約7.0μm~7.5μmの範囲に設定 し、基材の寸法は20mm×12mm×1.5mmである。

 これら試料1~4を用いて、乾燥したスプルー 集成材に対する切削実験を行なった。切削 件は、以下の通りである。
機械:NCルーター
被削材:スプルース集成材
切削工具:ルータービット(切削径45mm)
送り速度:1m/min
回転数:6000RPM
切込み量:20mm
切削材長:90m
 上記実験により、以下の結果を得た。
 また、90m切削後の各試料の刃先断面形状を 7に示す。

 上記実験結果より、刃先後退量は、硬質 被膜層をコーティングしていない試料1が最 も大きく、試料2~4の刃先後退量は小さいこと が分かる。同じ酸窒化クロムからなる硬質主 被膜層をコーティングした試料2,3では、PVDコ ーティング時のガス雰囲気における酸素濃度 の高い試料3の方が、刃先後退量,すくい面摩 量共に小さくなっている。また、すくい面 耗帯幅については、試料4が最も小さな値を 示している。図7より、何れの試料1~4もシャ プな形状を留めているものの、特に試料3お び4は、非常にシャープな断面形状が残存し ている。この実験例3の結果から分かるよう 、酸窒化クロムまたはクロム酸化物の硬質 被膜層をコーティングした超硬替刃は、乾 材に対して良好な耐摩耗性・耐食性を発揮 ることが分かる。また、酸窒化クロムの硬 主被膜層をコーティングした場合、酸素濃 が高い程、耐摩耗性・耐食性効果が向上す ことが分かる。

 以上の実験例1~3の結果から、クロム酸化 からなる硬質主被膜層をコーティングした 硬替刃は、含水率の高い被削材および乾燥 た被削材の何れにも優れた耐摩耗性・耐食 を発揮することが分かる。一方、酸窒化ク ムからなる硬質主被膜層をコーティングし 超硬替刃では、乾燥した被削材に対して良 な耐摩耗性・耐食性を発揮することが分か 。しかも、酸窒化クロムをコーティングす 場合、酸素濃度に応じて耐摩耗性・耐食性 向上することが確認された。

  (実験例4)
 上記実験例1~3では、超硬合金からなる基材 有する超硬替刃を用いたが、実験例4では、 基材を高速度工具鋼で形成したプレーナナイ フを用いて切削実験を行なった。実験例1~3と 同様に、試料の作成に際しては、アーク放電 型イオンプレーティング装置により、高速度 工具鋼で構成された基材のすくい面に窒化ク ロム(CrN)の硬質基礎被膜層を形成する。そし 、この硬質基礎被膜層に対し、以下の条件 クロム酸化物(Cr 2 O 3 )の硬質主被膜層を膜厚が異なるようコーテ ングし、2種の試料(試料2および3)を作成した 。また、比較用として、硬質基礎被膜層のみ をコーティングした試料(試料1)も作成した。 本実験例で用いられる試料1~3の被膜構造を以 下に示す。

 上記試料1~3を用いて、乾燥させたスプルー に対する切削実験を行なった。切削条件は 下の通りである。
機械:NC横軸切削機械
被削材:スプルース乾燥材
切削工具:カッター(切削径125mm)
送り速度:5m/min
回転数:6000RPM
切込み量:0.5mm
切削材長:1000m
 上記実験により、以下の結果を得た。
 また、切削実験後の各試料の刃先断面形状 図8に示す。

 上記実験結果より、刃先後退量は、硬質 被膜層をコーティングしていない試料1が最 も大きく、試料2、試料3の順で刃先後退量が さくなっているのが分かる。また、すくい 摩耗帯幅についても、試料1が最も大きく、 試料2,試料3の順で小さくなっている。但し、 硬質主被膜層の膜厚が大きい試料3では、試 2に比べ、チッピングが多く発生していたこ が確認された。また、図8より、試料2およ 3は、刃先後退量が非常に小さく、シャープ 断面形状を残している。実験例4の結果から 明らかなように、高速度工具鋼を基材とする プレーナナイフに対しても、硬質主被膜層を コーティングした場合に優れた耐摩耗性・耐 食性効果を発揮することが確認された。また 、本実験例においても、耐摩耗性・耐食性効 果は、硬質主被膜層の膜厚に比例して向上す ることが確認された。

  (実験例5)
 そこで、実験例5では、硬質主被膜層の膜厚 の好適な範囲を確認するため、膜厚を異なら せた複数の試料を作成して切削実験を行なっ た。本実験例で用いられる試料は、超硬合金 を基材とする超硬替刃に単層の硬質基礎被膜 層(窒化クロム)をコーティングし、更に、ク ム酸化物からなる硬質主被膜層を各種の膜 でコーティングした(試料2~6)。また、対比 ため、硬質基礎被膜層のみをコーティング た超硬替刃も作成した(試料1)。試料1~6の被 構造を以下に示す。なお、何れの試料も、 体の膜厚は約7.5μmに設定してある。

 上記試料1~6を用いて、含水率の高いヒノキ 対する切削実験を行なった。切削条件は以 の通りである。
機械:NCルーター
被削材:ヒノキ(含水率50~90%)
切削工具:ルータービット(切削径45mm)
送り速度:1m/min
回転数:6000RPM
切込み量:20mm
切削材長:30m
 上記実験により、以下の結果を得た。
 また、切削実験後の各試料の刃先断面形状 図9に示す。

 上記実験結果より、刃先後退量およびす い面摩耗帯幅は、何れも、硬質主被膜層の 厚が大きくなるに従って小さくなることが かる。特に、図9から明らかなように、試料 5および6については、極めてシャープな断面 状が残存している。一方、試料2のように、 硬質主被膜層が余りに小さいと、刃先後退量 およびすくい面摩耗帯幅が大きくなり、刃先 断面形状も丸みを帯びていることが分かる。 従って、硬質主被膜層はある程度の厚み(少 くとも約0.2μm以上)が必要であると思われる 但し、硬質主被膜層の膜厚を大きくするに い、切削時や刃付け時でのチッピングが発 し易くなることから、好適な硬質主被膜層 膜厚は、約0.2μm~5.0μmの範囲に設定される。

  (実験例6)
 実験例6では、硬質基礎被膜層の膜厚が硬質 主被膜層の密着性に対して及ぼす影響を調べ る実験を行なった。本実験例においても、超 硬替刃に窒化クロムの硬質基礎被膜層をコー ティングし、更に、クロム酸化物からなる硬 質主被膜層をコーティングした。試料として は、硬質主被膜層の膜厚を一定(4.0μm)とする 共に、硬質基礎被膜層の膜厚を異ならせた3 種類の超硬替刃を作成した(試料2~4)。また、 比のため、基材に硬質主被膜層(膜厚4.0μm) みをコーティングした超硬替刃(試料1)も作 した。試料1~4の被膜構造を以下に示す。
 上記試料1~4を用いてロックウェル硬さ試験 で設けた圧痕の観察を行ない、デジタルマ クロスコープにて、各試料の表面の剥離面 を測定した。その測定結果を図10のグラフ 示す。

 図10に示すように、硬質基礎被膜層の膜 が0.0μm~0.075μmまでは、剥離面積が高い値で 移し、余り変化がないことが分かる。一方 膜厚が0.075μmを越えると、剥離面積が大きく 減少を始めることが分かる。従って、硬質基 礎被膜層の膜厚の下限値は、約0.075μm以上で ることが望ましいといえる。

  (実験例7)
 実験例7では、硬質基礎被膜層の膜厚が耐欠 損性(チッピング)に与える影響を調べる実験 行なった。本実験例では、超硬替刃に窒化 ロムの硬質基礎被膜層のみを形成し、該硬 基礎被膜層の膜厚を異ならせた5種類の超硬 替刃を作成した。試料1~5の被膜構造を以下に 示す。

 上記試料1~5を用いて、乾燥したスプルース 成材に対する切削実験を行なった。切削条 は以下の通りである。
機械:NCルーター
被削材:スプルース集成材
切削工具:ルータービット(切削径45mm)
送り速度:1m/min
回転数:6000RPM
切込み量:20mm
切削材長:60m

 上記切削実験後のすくい面の刃先後退量 各試料毎に測定した。また、各試料の切削 長(切削に供された切刃の長さ)に対するチ ピング幅の割合を算出した。その結果を図11 のグラフに示す。図11から分かるように、刃 後退量は硬質基礎被膜層の膜厚に比例して さくなるのに対し、チッピング幅の割合は 膜厚に比例して大きくなっている。特に、 厚が10.0μmを越えると、チッピング幅の割合 が急激に大きくなっているのが分かる。一方 、刃先後退量は膜厚が10.0μmを越えると、そ 減少度合が小さくなっている(傾きが緩やか なっている)。従って、硬質基礎被膜層の膜 厚としては、約10.0μm以下とすることが望ま いといえる。

 以上の実験例5~7の結果から、硬質主被膜 の膜厚としては、約0.2μm~5.0μmの範囲で設定 することが望ましいといえる。一方、硬質基 礎被膜層の膜厚については、約0.075μm~10.0μm 範囲に設定することが望ましいといえる。

  (実験例8)
 これまでの実験例では、硬質主被膜層がム 木材および集成材に対して良好な耐摩耗性 耐食性を発揮することが確認された。そこ 、実験例8では、木質ボード(MDF(Medium Density Fiberboard))に対する切削性能を比較する実験 行なった。すなわち、硬質基礎被膜層のみ コーティングした超硬替刃(試料1)と、硬質 礎被膜層および硬質主被膜層をコーティン した超硬替刃(試料2)とを作成し、夫々につ て木質ボードに対する切削実験を行なった 試料1および2の被膜構造を以下に示す。なお 、何れの試料の超硬替刃においても、コーテ ィングした被膜の合計膜厚が約3.0μmとなるよ うにし、すくい面および逃げ面の両面にコー ティングを行なった。

 上記試料1および2を用いて木質ボードの端 を切削し、各試料の刃先について、木質ボ ドにおける密度の高い表層部(表面)側を切削 した箇所の摩耗量と、木質ボードにおける密 度の低い中央部(内部)側を切削した箇所の摩 量とを測定した。切削条件は以下の通りで る。
機械:NC横軸切削機械
被削材:木質ボード(南洋材)
切削工具:カッター(切削径125mm)
送り速度:4m/min
回転数:6000RPM
切込み量:0.5mm
切削材長:1000m

 上記実験により、以下の結果を得た。
 また、切削実験後の各試料の刃先断面形状 図12に示す。なお、図12の左欄は、木質ボー ドの表層部側(MDF表層部)の結果を示し、図12 右欄は、木質ボードの中心部(MDF中心部)の結 果を示している。

 上記実験結果より、木質ボードの表層部 よび中心部の何れも、試料1は、刃先後退量 およびすくい面摩耗帯幅ともに大きな値を示 していることが分かる。特に、試料1のすく 面摩耗帯幅は、木質ボードの表層部側で大 くなっている。一方、硬質主被膜層をコー ィングした試料2は、試料1に比べて刃先後退 量およびすくい面摩耗帯幅ともに小さな値を 示している。なお、何れの試料も、木質ボー ドの表層部側で摩耗量が大きくなっている。 これは、木質ボードの表層部は密度が高く、 切削時の負荷が大きくなるからであると考え られる。また、図12に示されるように、試料1 の刃先は、丸みを帯びた形状となっているの に対し、試料2の刃先は、シャープな断面形 を残している。実験例8の結果より、硬質主 膜層は、木質ボードに対しても優れた耐摩 性・耐食性を発揮し得ることが確認された

  (実験例9)
 実験例1~7では、すくい面にコーティングを 、実験例8では、すくい面および逃げ面にコ ーティングをして切削実験を行なったが、実 験例9では、コーティングを逃げ面にのみし 場合の切削性能を調べる実験を行なった。 た、今回の実験では、木材用刃物としてチ プソーを採用し、超硬チップの逃げ面にコ ティングを施した。すなわち、超硬チップ 逃げ面に硬質基礎被膜層のみをコーティン した試料1と、超硬チップの逃げ面に硬質基 被膜層および硬質主被膜層をコーティング た試料2とを作成し、夫々切削実験を行なっ た。試料1および2の被膜構造を以下に示す。 お、本実験で使用されるチップソーは、外 180mm、刃厚2.6mm、本体厚1.8mm、穴径25.4mm、歯 24となっており、何れの試料もコーティン の膜厚は約3.0μmとした。

 上記試料1および2を用いて、被削材として ヒノキに対し切削を行なった。切削条件は 下の通りである。
機械:NC横軸切削機械
被削材:ヒノキ(含水率50~90%)
切削工具:チップソー(切削径180mm)
送り速度:2m/min
回転数:6800RPM
切込み量:2.0mm
 上記実験により、以下の結果を得た。
 また、150m、300m、450m切削後の各試料の刃先 面形状を図13に示す。なお、刃先(逃げ面)後 退量および逃げ面摩耗帯幅は、夫々、図13の 号cおよび符号dで示す摩耗量である。

 更に、上記の実験でヒノキを450m切削した試 料1および2に対し、切削動力を比較する実験 行なった。この実験では、被削材としてス ルース乾燥材を採用した。この実験での切 条件は、以下の通りである。
回転数:6800RPM
送り速度:2m/minまたは4m/min
切込み量:2mm
 この結果を図14に示す。なお、図14のグラフ において、実線は試料1を示し、破線は試料2 示している。

 表16の結果より、刃先後退量および逃げ 摩耗帯幅ともに硬質主被膜層をコーティン した試料2が小さいことが分かる。特に、試 2の逃げ面摩耗帯幅は、非常に小さな値とな っている。また、図13から明らかなように、 料1では、刃先が摩耗して丸みを帯びた形状 を呈しているのに対し、試料2では、シャー な刃先断面形状が残存している。更に、図14 の結果から、何れの送り速度の場合でも、試 料2の切削動力は、試料1に比べて10%程度小さ なっている。すなわち、試料1は、摩耗によ り刃先断面形状が丸みを帯びたことで切削動 力が増加したのに対し、試料2では、刃先断 形状がシャープな形状を維持して切削動力 上昇が抑えられたものと考えられる。この うに実験例9では、逃げ面にのみコーティン した場合であっても、硬質主被膜層をコー ィングした試料2に係るチップソーは、極め て良好な耐摩耗性・耐食性を発揮し得ること が確認された。

 なお、上記の実施例および実験例では、 材12,32,52,72として超硬合金または高速度工 鋼を採用した場合を示したが、軸受鋼から る基材を採用することも可能である。また 実施例および実験例では、基材12,32,52,72に対 し硬質基礎被膜層18,36,56,74を直接コーティン し、また、硬質基礎被膜層18,36,56,74に対し も、硬質主被膜層20,38,58,60,76を直接コーティ ングしたものを採用した。しかしながら、密 着性等の向上の観点から、基材12,32,52,72と硬 基礎被膜層18,36,56,74との間や、硬質基礎被 層18,36,56,74と硬質主被膜層20,38,58,60,76との間 、TiN等からなる別の被膜層(中間層)を介在 せてもよい。すなわち、硬質基礎被膜層18,36 ,56,74や硬質主被膜層20,38,58,60,76を、夫々、基 12,32,52,72や硬質基礎被膜層18,36,56,74に対し間 接的にコーティングしてもよい。

 更に、硬質基礎被膜層18,36,56,74や硬質主 膜層20,38,58,60,76を多層とした場合に、夫々の 硬質基礎被膜層18,36,56,74間や硬質主被膜層20,3 8,58,60,76間にTiN等からなる中間層を介在させ もよい。この場合、硬質基礎被膜層18,36,56,74 および該被膜層間に介在する中間層を含めた 全体の膜厚が、前述した約0.075μm~10.0μmの範 内にあることが望ましい。同様に、硬質主 膜層20,38,58,60,76についても、中間層を含めた 全体の膜厚が前述した約0.2μm~5.0μmの範囲内 あることが望ましい。更に、保護力等の向 の観点から、最外層(硬質主被膜層)にTiN等か らなる別の被膜層(保護層)をコーティングす ことも可能である。