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Title:
WOVEN FABRIC FOR AIR BAG
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/072353
Kind Code:
A1
Abstract:
This invention provides a woven fabric for an air bag, which is low in cost, is excellent in storability, and has an air permeability satisfying an initial human body restraining performance. The woven fabric for an air bag comprises a synthetic resin coated on at least one side of a fabric of a synthetic fiber and is characterized in that a synthetic resin is deposited at a coverage of 0.1 to 10 g/m2 onto a fabric of a synthetic fiber having a cover factor of less than 2000 and a value of FR [= mass of fabric (g/m2)/(specific gravity of fiber (g/m3) x thickness of fabric (mm) x 10)] of not less than 55%, and the air permeability of the woven fabric after the deposition of the synthetic resin under a differential pressure of 100 kPa is 0.01 to 1.00 L/cm2/min.

Inventors:
KANO KENICHIRO (JP)
TSURUTA TAKASHI (JP)
ISODA HIDEO (JP)
HAGIWARA HIROAKI (JP)
MARUYAMA GAKU (JP)
HATTORI TAKAHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/068725
Publication Date:
June 11, 2009
Filing Date:
October 16, 2008
Export Citation:
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Assignee:
TOYO BOSEKI (JP)
KANO KENICHIRO (JP)
TSURUTA TAKASHI (JP)
ISODA HIDEO (JP)
HAGIWARA HIROAKI (JP)
MARUYAMA GAKU (JP)
HATTORI TAKAHIRO (JP)
International Classes:
D06M15/693; B60R21/16; D03D1/02
Foreign References:
JP2001089949A2001-04-03
JPS59133224A1984-07-31
JPS55133424A1980-10-17
JP2006249655A2006-09-21
JPH0516753A1993-01-26
JP2001524624A2001-12-04
JPH04281062A1992-10-06
JPH11222776A1999-08-17
Other References:
See also references of EP 2218819A4
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Claims:
 合成繊維製織物に合成樹脂が少なくとも片面に塗布されてなる布帛において、式1で示すカバーファクターが2000未満であり、かつ式2で示すFRが55%以上である合成繊維製織物に、合成樹脂を0.1~10g/m 2 の範囲で付着させ、付着後の布帛の100kPa差圧下での通気度が0.01~1.00L/cm 2 /minであることを特徴とするエアバッグ用布帛。
 カバーファクター
  =[経糸密度(本/2.54cm)×√(経糸繊度(dtex)×0.9)]
  +[緯糸密度(本/2.54cm)×√(緯糸繊度(dtex)×0.9)]
                                 ・・・(式1)
 FR(%)=W/(ρ×T×10)・・・(式2)
 W:織物質量(g/m 2 )、ρ:繊維比重:(g/cm 3 )、T:織物厚み(mm)
 合成樹脂が、少なくとも熱可塑性エラストマーと増粘剤の2種を含み、乾燥後の布帛における合成樹脂の付着量のうち、増粘剤の比率が30質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ用布帛。
 熱可塑性エラストマーがポリアミド系エラストマーであることを特徴とする請求項2に記載のエアバッグ用布帛。
 前記ポリアミド系エラストマーが、ソフトセグメントとハードセグメントから構成される共重合ポリエーテルポリアミドであり、
 ソフトセグメントが、下記一般式(I)で表されるポリエーテルジアミン化合物と下記一般式(II)で表されるジカルボン酸化合物とから構成されるポリエーテルポリアミドからなり、
 ハードセグメントが、下記一般式(III)で表されるアミノカルボン酸化合物、及び/又は下記一般式(IV)で表されるラクタム化合物から構成されるポリアミドからなることを特徴とする請求項3に記載のエアバッグ用布帛。
[但し、Rは炭素数2~3の直鎖または分岐のアルキレン基を、nは13~26の数値を表す]
[但し、R 1 は、炭化水素鎖を含む連結基を表す]
[但し、R 2 は、炭化水素鎖を含む連結基を表す]
[但し、R 3 は、炭化水素鎖を含む連結基を表す]
 増粘剤が、セルロース系誘導体であることを特徴とする請求項2~4のいずれか1項に記載のエアバッグ用布帛。
Description:
エアバッグ用布帛

 本発明は低コストで収納性に優れ、人体 初期拘束性能を満足する通気度を持つエア ッグ用布帛を提供しようとするものである

 近年、自動車安全部品の一つとして急速 装着率が向上しているエアバッグは、自動 の衝突事故の際、衝撃をセンサーが感知し インフレータから高温、高圧のガスを発生 せ、このガスによってエアバッグを急激に 開させて、運転者や同乗者の身体が衝突し 方向へ飛び出した際、特に頭部がハンドル フロントガラス、ドアガラス等に衝突する とを防止し保護するものである。従来、エ バッグにはクロロプレン、クロルスルフォ 化オレフィン、シリコーンなどの合成ゴム 被覆したコーティング織物が、耐熱性、空 遮断性(低通気度)、難燃性が高いという理 により使用されてきており、現在はシリコ ンコーティング織物が主流になっている。

 しかしながら、これらの合成ゴムをコー ィングした織物は織物の質量が増加し、ま 柔軟性が満足できるものではなく製造コス も高いため、エアバッグ用織物として使用 るには不具合な点が多かった。

 織物のコーティング塗布量を変更し、改 することは従来から知られている(例えば、 特許文献1を参照)。しかしながら、特許文献1 には、エアバッグ展開性能などに関しての記 述はない。さらに、通気性に関しては満足で きるレベルになく、改善が求められている。

 また、軽量化、低コスト化等を目的とし 、織物に架橋エラストマーをコーティング る発明も提案されている(例えば、特許文献 2を参照)。しかしながら、特許文献2における 実施形態での付着量は高く、更なる軽量化が 求められている。

 一方、正面衝突用エアバッグでは、軽量 、収納性に優れる、コーティングを施さな 織物を使用したノンコートエアバッグが主 になっている(例えば、特許文献3を参照)。 かしながら、側面衝突用エアバッグのよう 乗員との距離が近いエアバッグでは、より 速な展開性能が必要であり、そのため高い 力のインフレータに耐えられるエアバッグ 織物が求められている。

 現在、ノンコート織物の特性である軽量、 好な収納性を維持できるエアバッグ用織物 して、合成樹脂希釈液での含浸処理が提案 れている(例えば、特許文献4を参照)。しか ながら、この方法で得られるエアバッグ用 物の通気性能は、十分に満足できるもので ない。

特開平5-16753号公報

特表2001-524624号公報

特開平4-281062号公報

特開平11-222776号公報

 本発明の目的は、上記従来技術の現状に み、低コストで収納性に優れ、人体の初期 束性能を満足する通気度を持つエアバッグ 布帛を提供することにある。

 本発明は上記目的を解決するために、次の うな構成を有する。
 (1)合成繊維製織物に合成樹脂が少なくとも 面に塗布されてなる布帛において、式1で示 すカバーファクターが2000未満であり、かつ 2で示すFRが55%以上である合成繊維製織物に 合成樹脂を0.1~10g/m 2 の範囲で付着させ、付着後の布帛の100kPa差圧 下での通気度が1.00L/cm 2 /min以下であることを特徴とするエアバッグ 布帛。
 カバーファクター
  =[経糸密度(本/2.54cm)×√(経糸繊度(dtex)×0.9) ]
  +[緯糸密度(本/2.54cm)×√(緯糸繊度(dtex)×0.9) ]
                                  ・・・(式1)
 FR(%)=W/(ρ×T×10)・・・(式2)
 W:織物質量(g/m 2 )、ρ:繊維比重:(g/cm 3 )、T:織物厚み(mm)
 (2)合成樹脂が、少なくとも熱可塑性エラス マーと増粘剤の2種を含み、乾燥後の布帛に おける合成樹脂の付着量のうち、増粘剤の比 率が30質量%以下であることを特徴とする前記 (1)に記載のエアバッグ用布帛。
 (3)熱可塑性エラストマーがポリアミド系エ ストマーであることを特徴とする前記(2)に 載のエアバッグ用布帛。
 (4)前記ポリアミド系エラストマーが、ソフ セグメントとハードセグメントから構成さ る共重合ポリエーテルポリアミドであり、
 ソフトセグメントが、下記一般式(I)で表さ るポリエーテルジアミン化合物と下記一般 (II)で表されるジカルボン酸化合物とから構 成されるポリエーテルポリアミドからなり、
 ハードセグメントが、下記一般式(III)で表 れるアミノカルボン酸化合物、及び/又は下 一般式(IV)で表されるラクタム化合物から構 成されるポリアミドからなることを特徴とす る前記(3)に記載のエアバッグ用布帛。
[但し、Rは炭素数2~3の直鎖または分岐のアル レン基を、nは13~26の数値を表す]
[但し、R 1 は、炭化水素鎖を含む連結基を表す]
[但し、R 2 は、炭化水素鎖を含む連結基を表す]
[但し、R 3 は、炭化水素鎖を含む連結基を表す]
 (5)増粘剤が、セルロース系誘導体であるこ を特徴とする前記(2)~(4)のいずれか1つに記 のエアバッグ用布帛。

 本発明のエアバッグ布帛は、低カバーフ クターであっても55%以上の式2のFR値を持つ 物を使用することにより、低コストで収納 に優れ、人体の初期拘束性能を満足する通 度を持つことができる。

 以下、本発明を詳細に説明する。
 本発明において使用する合成繊維としては に素材を限定するものではないが、例えば イロン66、ナイロン6、ナイロン46、ナイロ 12等の脂肪族ポリアミド繊維、アラミド繊維 のような芳香族ポリアミド繊維、ポリエチレ ンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフ タレートやポリブチレンテレフタレートなど のポリエステル繊維が使用される。他の例と しては全芳香族ポリエステル繊維、超高分子 量ポリエチレン繊維、ポリパラフェニン・ベ ンゾビス・オキサゾール繊維(PBO繊維)、ポリ ェニレンサルファイド繊維、ポリエーテル トン繊維等が挙げられる。ただし、経済性 勘案するとポリエステル繊維、ポリアミド 維が特に好ましい。

 また、これらの繊維はその一部または全 が再利用された原材料より得られるもので よい。また、これらの合成繊維には原糸製 工程や後加工工程での工程通過性を向上さ るために、各種添加剤を含有していても何 問題はない。添加剤としては、例えば酸化 止剤、熱安定剤、平滑剤、帯電防止剤、増 剤、難燃剤等が挙げられる。また、この合 繊維は原着糸や製糸後染色したものであっ も何ら問題はない。また、合成繊維の単糸 断面は通常の丸断面の他、異形断面であっ も何ら差し支えない。合成繊維は、マルチ ィラメント糸として使用され製織されるこ が破断強度、破断伸度等の観点から好まし 。

 本発明において、織物の製織方法は特に限 するものではないが、織物物性の均一性を 案すると平織りが良い。使用する糸は、経 ・緯糸は単一でなくてもよく、例えば太さ 糸本数、繊維の種類が異なっても何ら差し えはない。織物のカバーファクターは2000未 満、好ましくは1500以上であることが必要で る。より好ましくは、カバーファクターは16 00~1900である。カバーファクターが2000以上に ると布そのものの剛直性が増し収納性が悪 するため好ましくなく、1500より小さくなる と必要通気度を得るための必要樹脂量が増し 、収納性が悪化する。カバーファクターは以 下の式1によって計算することができる。
カバーファクター
 =[経糸密度(本/2.54cm)×√(経糸繊度(dtex)×0.9)]
 +[緯糸密度(本/2.54cm)×√(緯糸繊度(dtex)×0.9)]
                                  ・・・(式1)

 本発明における織物は、公知の方法で製 した合成繊維製織物の少なくとも片面に、 成樹脂を塗布することによって製造される 塗布の方法については特に限定されるもの はなく、公知の方法を用いることができる 、コスト面や塗工後の織物柔軟性を勘案す とナイフコーティングを用いることが好ま い。

 本発明において、織物に塗布する合成樹脂 しては、ポリウレタン系樹脂、アクリル系 脂、ポリエステル系樹脂、およびポリアミ 系樹脂を使用することができるが、この中 も、数平均分子量100~5000のアミノ変性され ポリオールを含むソフトセグメントを有す ポリアミド系樹脂が通気性の面から好まし 。より好ましいポリオールの分子量は300~3000 である。分子量が100より小さいと、引裂強力 が低下するため好ましくなく、分子量が5000 り大きいと、滑脱抵抗力が不足しやすくな ため好ましくない。なお、数平均分子量の 定は以下のようにして行なった。
 ・GPC法
  装置:TOSOH HLCー8220GPC
  カラム:TSKgel SuperHM-H×2+TSKgel SuperH2000(TOSOH)
  溶媒:HFIP/トリフルオロ酢酸ナトリウム 10m M
  流速:0.25ml/min 濃度:0.05%
  温度:40℃、検出器:RI
  標準ポリメチルメタクリレート換算で分 量計算。

 ここでソフトセグメントとしては、ポリ ール全体を指すが、線状ポリアルキレング コールのアミノ変性体が熱可塑性樹脂の性 面から好ましく、より好ましくはポリエチ ングリコール、ポリプロピレングリコール ポリテトラメチレングリコール又はポリブ レングリコールのアミノ変性体である。ソ トセグメントはポリマー中の質量比で10~90 量%であることが好ましい。10質量%未満では 布後の織物の柔軟性が失われるため好まし なく、90質量%を超えるとエラストマーとし の性質が得られず、通気度が上昇するため ましくない。

 本発明において、織物に塗布する合成樹 の融点は、120~180℃の範囲が好ましい。より 好ましくは125~160℃の範囲であり、さらに好 しくは130~145℃の範囲である。該合成樹脂が なくとも片面に塗布されているエアバッグ 織物において、耐熱老化性を向上させるた には、該合成樹脂の融点を120℃以上とする とが好ましい。また、該合成樹脂の水分散 を向上させるためには、融点を180℃以下と ることが好ましく、さらに好ましくは150℃ 下である。

 前記の合成樹脂は、上記一般式(I)のポリ ーテルジアミン化合物、上記一般式(II)のジ カルボン酸化合物、及びポリアミド形成性モ ノマー、即ち、上記一般式(III)のアミノカル ン酸化合物及び/又は上記一般式(IV)のラク ム化合物を重合して得られる共重合ポリエ テルポリアミドが好ましい。

 また、上記の共重合ポリエーテルポリア ドは、樹脂の総量に対するソフトセグメン の割合が70~85質量%の範囲にあることが好ま い。より好ましくは73~83質量%の範囲であり さらに好ましくは77~81質量%の範囲である。

 上記の特定の共重合ポリエーテルポリア ドを使用することにより、同じ量の樹脂が 物に被覆されたコーティング布帛でも、通 度をさらに低くすることができる。

 共重合ポリエーテルポリアミド樹脂にお て、ポリエーテルジアミン化合物、ジカル ン酸化合物、及びポリアミド形成性モノマ に含まれる末端のアミノ基と、末端のカル ン酸又はカルボキシル基とがほぼ等モルに るような割合とすることが好ましい。

 特に、ポリアミド形成性モノマーの一方 末端がアミノ基で、他方の末端がカルボン 又はカルボキシル基の場合、ポリエーテル アミン化合物及びジカルボン酸化合物は、 リエーテルジアミン化合物のアミノ基とジ ルボン酸化合物のカルボキシル基がほぼ等 ルになるような割合とするのが好ましい。

 上記一般式(I)のポリエーテルジアミン化 物としては、ポリオキシエチレン、1,2-ポリ オキシプロピレン、1,3-ポリオキシプロピレ 及びそれらの共重合物のアミノ変性体等が げられる。上記一般式(I)において、Rは複数 のアルキレン基を表すこともある。nは、13~ 26の数値である。

 上記一般式(I)のポリエーテルジアミン化 物としては、下記一般式(V)のポリエーテル アミン化合物が好ましい。下記一般式(V)の リエーテルジアミン化合物の具体例として 、米国HUNTSMAN社製のジェファーミンED900(一 式(V)において、(x+z)がおよそ6.0、yがおよそ12 .5)等を用いることができる。

 上記一般式(V)のポリエーテルジアミン化 物において、yは、9.2~19.4が好ましく、より ましくは11.0~16.7、さらに好ましくは12.5~14.4 ある。また、(x+z)は、3.8~6.0が好ましく、よ 好ましくは5.0~6.0、さらに好ましくは5.5~6.0 ある。

 上記一般式(I)のポリエーテルジアミン化 物の数平均分子量は、700~1200の範囲にある とが好ましい。より好ましくは800~1100の範囲 であり、さらに好ましくは900~1000の範囲であ 。

 上記一般式(II)のジカルボン酸化合物とし ては、脂肪族、脂環族及び芳香族ジカルボン 酸から選ばれる少なくとも一種のジカルボン 酸又はこれらの誘導体を用いることができる 。

 上記一般式(II)のジカルボン酸化合物におい て、R 1 は炭素数1~20の炭化水素の分子鎖又は炭素数1~ 20のアルキレン基であることが好ましく、さ に好ましくは炭素数1~15の炭化水素の分子鎖 又は炭素数1~15のアルキレン基であり、より ましくは炭素数2~12の炭化水素の分子鎖又は 素数2~12のアルキレン基であり、特に好まし くは炭素数4~10の炭化水素の分子鎖又は炭素 4~10のアルキレン基である。

 該ジカルボン酸化合物の具体例としては シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピ 酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン 、セバシン酸、ドデカン二酸などの炭素数2 ~25の直鎖脂肪族ジカルボン酸、又は、トリグ リセリドの分留により得られる不飽和脂肪酸 を二量化した炭素数14~48の二量化脂肪族ジカ ボン酸(ダイマー酸)及びこれらの水素添加 (水添ダイマー酸)などの脂肪族ジカルボン酸 、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸などの脂 族ジカルボン酸、および、テレフタル酸、 ソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸が挙 られる。ダイマー酸及び水添ダイマー酸と ては、ユニケマ社製商品名「プリポール1004 、「プリポール1006」、「プリポール1009」 「プリポール1013」などを用いることができ 。

 次に、上記一般式(III)のアミノカルボン 化合物及び、上記一般式(IV)のラクタム化合 について説明する。

 上記一般式(III)のアミノカルボン酸化合物 おいて、R 2 は炭素数2~20の炭化水素の分子鎖又は炭素数2~ 20のアルキレン基が好ましく、さらに好まし は炭素数3~18の炭化水素の分子鎖または炭素 数3~18のアルキレン基であり、より好ましく 炭素数4~15の炭化水素の分子鎖または炭素数4 ~15のアルキレン基であり、特に好ましくは炭 素数4~10の炭化水素の分子鎖又は炭素数4~10の ルキレン基である。

 上記一般式(IV)のラクタム化合物において、 R 3 は炭素数3~20の炭化水素の分子鎖又は炭素数3~ 20のアルキレン基が好ましく、さらに好まし は炭素数3~18の炭化水素の分子鎖又は炭素数 3~18のアルキレン基であり、さらに好ましく 炭素数4~15の炭化水素の分子鎖又は炭素数4~15 のアルキレン基であり、特に好ましくは炭素 数4~10の炭化水素の分子鎖又は炭素数4~10のア キレン基である。

 該アミノカルボン酸化合物及び、該ラク ム化合物としては、ω-アミノカルボン酸、 クタム、或いはジアミンとジカルボン酸か 合成されるもの及びそれらの塩から選ばれ 少なくとも一種の脂肪族、脂環族及び/又は 芳香族を含むポリアミド形成性モノマーが使 用される。

 ジアミンとジカルボン酸から合成される の及びそれらの塩において、ジアミンとし は、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン及び 香族ジアミン、またはこれらの誘導体から ばれる少なくとも一種のジアミン化合物な を挙げることが出き、ジカルボン酸として 、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン 及び芳香族ジカルボン酸、又はこれらの誘 体から選ばれる少なくとも一種のジカルボ 酸化合物などが挙げられる。

 ジアミンとジカルボン酸とのモル比(ジア ミン/ジカルボン酸)は、0.9~1.1の範囲が好まし く、さらに0.93~1.07の範囲が好ましく、0.95~1.05 の範囲がより好ましく、そして0.97~1.03の範囲 が特に好ましい。この範囲から外れると分子 量を高くしにくくなる場合がある。

 ω-アミノカルボン酸の具体例としては、6 -アミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、8- ミノオクタン酸、10-アミノカプリン酸、11- ミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸な の炭素数5~20の脂肪族ω-アミノカルボン酸な どが挙げられる。

 ラクタムの具体例としては、ε-カプロラ タム、ω-エナントラクタム、ω-ウンデカラ タム、ω-ドデカラクタム、2-ピロリドンな の炭素数5~20の脂肪族ラクタムなどが挙げら る。

 ジアミンとジカルボン酸とから合成され もの及びそれらの塩において、ジアミンの 体例としては、エチレンジアミン、トリメ レンジアミン、テトラメチレンジアミン、 キサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジ ミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチ ンジアミン、デカメチレンジアミン、ウン カメチレンジアミン、ドデカメチレンジア ン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミ 、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン 3-メチルペンタメチレンジアミンなどの炭 数2~20の脂肪族ジアミンなどのジアミン化合 が挙げられる。

 ジカルボン酸の具体例としては、シュウ 、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピ リン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバ ン酸、ドデカン二酸のような炭素数2~20の脂 肪族ジカルボン酸などのジカルボン酸化合物 が挙げられる。

 前記の共重合ポリエーテルポリアミド樹 は、公知の縮合反応により製造することが きる。

 共重合ポリエーテルポリアミド樹脂の製 において、必要に応じて触媒として、リン 、ピロリン酸、ポリリン酸などのリン酸化 物、ジメチルホスフィン酸、フェニルメチ ホスフィン酸、次亜リン酸、次亜リン酸ナ リウム、次亜リン酸エチルなどのホスフィ 酸化合物、フェニル亜ホスホン酸、フェニ 亜ホスホン酸ナトリウム、フェニル亜ホス ン酸エチルなどの亜ホスホン酸化合物、フ ニルホスホン酸、エチルホスホン酸、フェ ルホスホン酸ナトリウム、フェニルホスホ 酸ジエチル、エチルホスホン酸ナトリウム どのホスホン酸化合物、亜リン酸、亜リン 水素ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜 ン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、 ロ亜リン酸などの亜リン酸化合物などを添 することができる。

 また、エアバッグ用織物に付着させる前 の合成樹脂には、各種の機能を付与するた に、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤 増粘剤、着色剤、架橋剤、劣化防止剤、無 フィラー、耐熱剤、帯電防止剤、潤滑剤、 リップ剤、結晶核剤、粘着性付与剤、シー 性改良剤、防曇剤、離型剤、可塑剤、顔料 染料、香料、難燃剤、補強材、金属不活性 剤、中和剤、制酸剤、防菌剤、蛍光増白剤 充填剤、等の添加剤を、本発明の目的とす 性能に影響を及ぼさない範囲で混合しても い。

 酸化防止剤は、熱酸化劣化の主要因であ ペルオキシラジカルおよびヒドロペルオキ ドを捕捉、分解し樹脂の脆弱化を抑制する とができる。さらに、光安定剤と併用すれ 光劣化防止に顕著な働きを示す添加剤であ 。代表的な酸化防止剤としては、ヒンダー フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止 、燐系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤が る。

 ヒンダードフェノール系酸化防止剤とし は、例えば、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ- ルエン、n-オクタデシル-β-(4″-ヒドロキシ-3 ″,5″-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート テトラキス〔メチレン-3-(3″,5″-ジ-t-ブチル -4″-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕 タン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t- チル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、カル ウム(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ベンジル- モノエチル-ホスフェート)、トリエチレング コール-ビス〔3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒド キシフェニル)プロピオネート〕、ペンタエ スリチル-テトラキス〔3-(3,5-ジ-t-ブチルア リノ)-1,3,5-トリアジン、3,9-ビス〔1,1-ジメチ -2-{β-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェ ル)プロピオニルオキシ}エチル〕2,4,8,10-テ ラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、ビス〔3, 3-ビス(4″-ヒドロキシ-3″-t-ブチルフェニル) 酸〕グリコールエステル、トリフェノール 2,2″-エチリデンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェノ ル)、N,N″-ビス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロ シフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン、2,2 ″-オキサミドビス〔エチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル -4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1, 1,3-トリス(3″,5″-ジ-t-ブチル-4″-ヒドロキシ ベンジル)-S-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン 、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジ チルベンジル)イソシアヌレート、3,5-ジ-t-ブ チル-4-ヒドロキシヒドロシンナミックアヒド トリエステルウイズ-1,3,5-トリス(2-ヒドロキ エチル)-S-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)、N,N″-ヘ サメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ -ヒドロシンナマミド)、3,9-ビス〔2-{3-(3-t-ブ ル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオ ルオキシ}-1,1-ジメチルエチル〕-2,4,8,10-テト ラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカンなどが示さ れる。

 硫黄系酸化防止剤としては、例えば、ジ ウリル-3,3″-チオジプロピオン酸エステル ジミリスチル-3,3″-チオジプロピオン酸エス テル、ジステアリル-3,3″-チオジプロピオン エステル、ラウリルステアリル-3,3″-チオ プロピオン酸エステル、ジラウリルチオジ ロピオネート、ジオクタデシルサルファイ 、ペンタエリストリール-テトラ(β-ラウリル -チオプロピオネート)エステルなどが示され 。

 燐系酸化防止剤としては、例えば、トリ (ミックスド、モノ及びジノリルフェニル) ォスファイト、トリス(2,3-ジ-t-ブチルフェニ ル)フォスファイト、4,4″-ブチリデン-ビス(3- メチル-6-t-ブチルフェニル-ジ-トリデシル)フ スファイト、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ジ-トリ デシルホスファイト-5-t-ブチルフェニル)ブタ ン、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフ ァイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタ エリスリトール-ジ-フォスファイト、テトラ ス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4″-ビフェニ ンフォスファナイト、ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4- メチルフェニル)ペンタエリストール-ジ-フォ スファイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェ ル)4,4″-ビフェニレンジホスフォナイト、 リフェニルホスファイト、ジフェニルデシ ホスファイト、トリデシルホスファイト、 リオクチルホスファイト、トリドデシルホ ファイト、トリオクタデシルホスファイト トリノニルフェニルホスファイト、トリド シルトリチオホスファイトなどが示される

 アミン系酸化防止剤としては、例えば、N ,N-ジフェニルエチレンジアミン、N,N-ジフェ ルアセトアミジン、N,N-ジフェニルフルムア ジン、N-フェニルピペリジン、ジベンジル チレンジアミン、トリエタノールアミン、 ェノチアジン、N,N″-ジ-sec-ブチル-p-フェニ ンジアミン、4,4″-テトラメチル-ジアミノジ フェニルメタン、P,P″-ジオクチル-ジフェニ アミン、N,N″-ビス(1,4-ジメチル-ペンチル)-p -フェニレンジアミン、フェニル-α-ナフチル ミン、フェニル-β-ナフチルアミン、4,4″- ス(4-α,α-ジメチル-ベンジル)ジフェニルアミ ンなどのアミン類及びその誘導体やアミンと アルデヒドの反応生成物、アミンとケトンの 反応生成物などが示される。

 光安定剤には、光エネルギーを無害な熱エ ルギーに変換する紫外線吸収剤(UVA)と光酸 で生成するラジカルを捕捉するヒンダード ミン系光安定剤(HALS)がある。
 ヒンダードアミン系光安定剤としては、例 ば、琥珀酸ジメチルと1-(2-ヒドロキシエチ )-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペロジ との重縮合物、ポリ〔〔6-(1,1,3,3-テトラブ ル)イミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル〕ヘキ メチレン〔(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジ )イミル〕〕、2-n-ブチルマロン酸のビス(1,2, 2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)エステル、 トラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)- 1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス( 2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート 、N,N″-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジ )ヘキサメチレンジアミンと1,2-ジブロモエタ ンとの重縮合物、ポリ〔(N,N″-ビス(2,2,6,6-テ ラメチル-4-ピペリジル)ヘキサメチレンジア ミン)-(4-モノホリノ-1,3,5-トリアジン-2,6-ジイ )-ビス(3,3,5,5-テトラミチルピペラジノン)〕 トリス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)- デシル-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレー 、トリス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル )-ドデシル-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレ ト、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジ )セバケート、1,6,11-トリス〔{4,6-ビス(N-ブチ -N-(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル) ミノ-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ}ウンデ ン、1-〔2-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェ ル)プロピオニルオキシ〕-2,2,6,6-テトロメチ ルピペリジン、8-ベンジル-7,7,9,9-テトラメチ -3-オクチル-1,3,8-トリアザスピロ〔4,5〕ウン デカン-2,4-ジオン、4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6 -テトラメチルピペリジン、N,N″-ビス(3-アミ プロピル)エチレンジアミン-2,4-ビス〔N-ブ ル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)ア ノ〕-6-クロロ-1,3,5-トリアジン縮合物などが される。

 紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン 、ベンゾトリアゾール系、トリアゾール系 ニッケル系、サリチル系の紫外線吸収剤が げられる。該紫外線吸収剤としては、例え 、2,2″-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェ ノン、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフ ノン、p-t-ブチルフェニルサリシレート、2,4- ジ-t-ブチルフェニル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロ シベンゾエート、2-(2″-ヒドロキシ-5″-メ ルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2″-ヒ ロキシ-3″,5″-ジ-t-アミル-フェニル)ベンゾ リアゾール、2-〔2″-ヒドロキシ-3″、5″- ス(α,α-ジメチルベンジルフェニル)ベンゾト リアゾール、2-(2″-ヒドロキシ-3″-t-ブチル-5 ″-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾ ル、2-(2″-ヒドロキシ-3″,5″-ジ-t-ブチルフ ェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2,5-ビ -〔5″-t-ブチルベンゾキサゾリル-(2)〕-チオ フェン、ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベ ジル燐酸モノエチルエステル)ニッケル塩、 2-エトキシ-5-t-ブチル-2″-エチルオキサリッ アシッド-ビス-アニリド;85~90%と2-エトキシ-5- t-ブチル-2″-エチル-4″-t-ブチルオキサリッ アシッド-ビス-アニリド;10~15%の混合物、2-〔 2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α-ジメチルベンジル) フェニル〕-2H-ベンゾトリアゾール、2-エトキ シ-2″-エチルオキサザリックアシッドビスア ニリド、2-〔2″-ヒドロキシ-5″-メチル-3″-(3 ",4",5",6"-テトラヒドロフタルイミド-メチル) ェニル〕ベンゾトリアゾール、ビス(5-ベン イル-4-ヒドロキシ-2-メトキシフェニル)メタ 、2-(2″-ヒドロキシ-5″-t-オクチルフェニル )ベンゾトリアゾール、2-ヒドロキシ-4-i-オク キシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-ドデ ルオキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オ クタデシルオキシベンゾフェノン、サリチル 酸フェニルなどが示される。

 また、合成樹脂に水溶性増粘剤を混合す ことが好ましい。増粘剤としては、水溶性 増粘効果があるものであれば特に限定しな が、カルボキシメチルセルロースナトリウ 、キサンタンガム、カラギーナン、セルロ ス、ヒドロキシエチルセルロースなどのセ ロース系誘導体を例示できる。増粘剤の比 は、乾燥後の合成樹脂の付着量の30質量%以 に調整することが好ましい。30質量%を超え と引裂強力の低下や通気度の上昇となるた 好ましくない。

 織物に塗布されるコーティング剤として 、水、合成樹脂、上記水溶性増粘剤を含む 系分散液を用いることが好ましい。この際 水系分散液の粘度を20~500dPa・s(B型粘度計で 定)の範囲になるように、水溶性増粘剤の量 を調整する。水系分散液の粘度は50~300dPa・s あることがより好ましい。

 前記の範囲に粘度を調整した水系分散液を FR(単位空間に占める実繊維体積の比率)が55% 以上である合成繊維製織物の片面にナイフコ ートで塗布することで、カバーファクターが 2000未満の織物に、樹脂を0.1~10g/m 2 という少ない量で付着させても、従来では到 達できなかった低い通気度を得ることができ る。

 この理由としては、織物に塗布される合 樹脂が、織糸部上には存在していない、ま は存在していても極力少量であり、織糸部 の境部(経糸と緯糸が交わる交差線部)に選 的に存在しているためと考えられる。従来 方法では、織糸部の中央断面の単糸上にお ても樹脂が多く存在しているため、必要以 の低通気度は得られるものの、樹脂量の増 によるコスト面でのデメリットや柔軟性の 下があった。

 このような樹脂被膜の存在状態は、従来 知の方法で達成することができるが、例え 以下に述べるように織物のカバーファクタ や塗布されるコーティング剤の粘度、塗布 などを適宜調整することによって達成する とができる。

 水系分散液の粘度が20dPa・sより小さいと 織物中への水系分散液の浸透性が高くなり 上記の特定の樹脂の存在状態が得られなく り、通気度が上昇する。一方、水系分散液 粘度が500dPa・sより大きいと、必要部以外に も樹脂が付着してしまうため好ましくない。 ここで分子量の大きい水溶性増粘剤を使用す ると、構造粘性が大きくなるため、コーティ ング工程でのシェア発生時の粘度低下が多大 に生じ、結果として樹脂が基布内へ浸透して しまうため、分子量の小さい増粘剤が好まし い。増粘剤としては1質量%水溶液で100dPa・s以 下の分子量を持つものが好ましい。コーティ ング時の接圧/テンションは上記の樹脂被膜 在状態が得られるよう適宜設定すれば良い

 本発明において、合成樹脂を塗布してなる 帛の100kPa差圧下での通気度は0.01~1.00L/cm 2 /minであることが必要である。通常のエアバ グの展開時には30~50kPaの力がかかっているが 、更にインフレータの火薬による熱の影響も あるため、織物を標準状態で測定するときに は100kPa差圧下での通気度を議論することが適 当である。好ましくは、通気度は0.80L/cm 2 /min以下であり、最も好ましくは0.50L/cm 2 /min以下である。1.00L/cm 2 /minより大きいと人体の初期拘束性能に劣る め好ましくない。0.01L/cm 2 /minより小さい場合、初期拘束性能は満足す ものの、本範囲の通気度と大きな差異は見 れないことに加えて、通気度を低減させる めに樹脂量が増加することによるコスト面 柔軟性面でのデメリットが生じるため好ま くない。また、JIS L 1096における通気度で 、合成樹脂を塗布してなる合成繊維製織物 、0.1cc/cm 2 /sec未満であることが好ましい。

 本発明のエアバッグ用布帛は、エアバッ として必要である収納性や経済性を追求し かつ必要な通気度を少量の樹脂付着により 成したものである。従来の方法では低通気 と収納性や経済性という、相反する項目を 成するために、基布カバーファクターを上 樹脂付着量を下げるか、基布カバーファク ーを下げ樹脂量を増加させるかのいずれか 方法が行われている。しかし、どちらの方 も低通気性は達成できるが、収納性や経済 での改良が必要である。

 本発明者らは上記の点を鋭意検討の結果 2000未満の低カバーファクターの基布におい て55%以上の式2のFR値を満たす織物を使用する ことによって、樹脂量を低減しても所望の通 気度を達成できることを見出したものである 。式2のFR値は、単位空間に占める実繊維体積 の比率を意味する。FR値は55%以上であること 必要であり、好ましくは57%以上であり、更 好ましくは60%以上である。

 FR値が55%以上であれば、低いカバーファ ターと低樹脂量の組み合わせでも従来不可 であった低通気度を達成することができる 即ち、同一繊維量であっても、単位空間に める実繊維体積の比率を向上することによ て、特に低いカバーファクターにおいてコ ティング前の状態では通気度に大きな差異 見られないが、ごく少量のコーティングを すことで非常に効果的に通気度を減少させ ことができる。

 本発明のエアバッグ用布帛の作製方法は 低いカバーファクターにおいてFR値を満た ことができれば特に限定しない。例えば、 槽中での生機の残留収縮を低減させること 繊維の充填性を向上させる方法、仕上がっ 織物にカレンダー加工を実施し強制的に繊 の充填率を向上させる方法、薬剤等で繊維 膨潤させる方法等が挙げられるが、コスト から湯槽中での加工が好ましい。

 本発明において、合成樹脂の付着量は乾燥 の質量で0.1~10g/m 2 が好ましく、より好ましくは1.0~8.0g/m 2 であり、更に好ましくは1.0~4.0g/m 2 である。乾燥後の質量とは、合成樹脂を塗布 し乾燥した後のエアバッグ用織物の質量をJIS  L1096 8.4.2により測定した値から、塗布前の 物の質量を同じくJIS L1096 8.4.2により測定 た値を減算することにより求めたものであ 。乾燥後の質量が0.1g/m 2 より少ないと、通気度を達成しづらくなり、 10g/m 2 より多いと柔軟性が損なわれ、コストが上昇 する。なお、本発明において塗布前の織物と は、まさに樹脂を塗工する前の段階の樹脂の 塗工以外の工程を終えた織物を意味し、通常 は、熱処理による収縮加工や熱セットなどが 施されているものである場合が多い。

 次に、実施例により本発明をさらに詳し 説明する。なお、実施例中における各種評 は、下記の方法に従って測定した。

(水系分散液の粘度)
 リオン株式会社製の粘度計(ビスコテスター VT-04F)を用いて、水系分散液の粘度を測定し 。

(通気度)
 100kPa圧力下での通気度を高圧通気度測定機( OEMシステム(株)製)を用いて測定した。なお、 合成樹脂付着前のベース布に関しては、通気 度が高いため20kPaにて測定した。

(FR)
 織物厚みT(mm)をJIS L 1096 8.5.1に準拠し、23.5 kPaの加圧下で測定し、織物質量W(g/m 2 )をJIS L 1096 8.4.2に従って測定した。これら 測定値と繊維比重ρ=1.14(g/m 3 )からFR(%)=W/(ρ×T×10)を計算した。

(収納性)
 ASTM D6478に従って測定した。

実施例1
 総繊度が470dtex、72フィラメント、沸水収縮 5.5%のポリアミド66繊維を平織りにてウオー ージェットルームにて製織後、沸水にて収 加工し、110℃で乾燥仕上げをし、経密度46 /2.54cm、緯密度46本/2.54cmの織物を得た。ポリ ミド6とポリエチレングリコール-プロピル ミン付加物(数平均分子量600)とアジピン酸が モル比で2.5:1:1となるように重合したポリマ を用いて、固形分濃度が15質量%の水系樹脂 散液を作製した。次いで、該水系分散液に カルボキシルメチルセルロース(ナカライテ ク製、07326-95)を該水系樹脂に対して3質量% 加し、粘度を230dPa・sに調整した。この樹脂 成物の水系分散液を上記織物にナイフコー にて塗布し、乾燥後の樹脂量を3g/m 2 にした。この織物の特性を評価し、その結果 を表1に示した。

実施例2
 総繊度が350dtex、108フィラメント、沸水収縮 率8.5%のポリアミド66繊維を平織りにてウオー タージェットルームにて製織後、沸水にて収 縮加工し、110℃で乾燥仕上げをし、経密度53 /2.54cm、緯密度53本/2.54cmの織物を得た。ポリ アミド6とポリプロピレングリコール-プロピ アミン付加物(数平均分子量1000)とアジピン がモル比で2.0:1:1となるように重合したポリ マーを用いて、固形分濃度が10質量%の水系樹 脂分散液を作製した。次いで、該水系分散液 に、カルボキシルメチルセルロース(ナカラ テスク製、07326-95)を該水系樹脂に対して2質 %追加し、粘度を120dPa・sに調整した。この 脂組成物の水系分散液を上記織物にナイフ ートにて塗布し、乾燥後の樹脂量を4g/m 2 にした。この織物の特性を評価し、その結果 を表1に示した。

実施例3
 総繊度が470dtex、72フィラメント、沸水収縮 5.5%のポリアミド66繊維を平織りにてウオー ージェットルームにて製織後、沸水にて収 加工し、110℃で乾燥仕上げをし、経密度43 /2.54cm、緯密度43本/2.54cmの織物を得た。ポリ ミド6とアジピン酸、ポリエチレングリコー ル(数平均分子量600)がモル比で1.8:1:1となるよ うに重合したポリマーを用いて、固形分濃度 が6質量%の水系樹脂分散液を作製した。次い 、該水系分散液に、カルボキシルメチルセ ロース(ナカライテスク製、07326-95)を該水系 樹脂に対して2質量%追加し、粘度を105dPa・sに 調整した。この樹脂組成物の水系分散液を上 記織物にナイフコートにて塗布し、乾燥後の 樹脂量を8g/m 2 にした。この織物の特性を評価し、その結果 を表1に示した。

実施例4
 ポリアミド66繊維の沸水収縮率を9.0%にした と以外は実施例1と同様にして樹脂を被覆さ せた織物を作製し、該織物の特性を評価し、 その結果を表1に示した。

実施例5
 総繊度が470dtex、72フィラメント、沸水収縮 6.0%のポリアミド66繊維を平織りにてウオー ージェットルームにて製織後、沸水にて収 加工し、110℃で乾燥仕上げをし、経密度46 /2.54cm、緯密度46本/2.54cmの織物を得た。
 一方、攪拌機、温調計、圧力計、窒素ガス 入口、縮合水排出口及び圧力調整装置を備 た容積約5Lの反応容器に、ポリエーテルジ ミン(HUNTSMAN社製、ジェファーミンED900、全ア ミン:2.16meq/g)1005.45g、アジピン酸(AA)158.68g、ε- カプロラクタム(ε-CL)375.00g、及びリン酸水溶 (63.2g/L)22.5mLを仕込み、容器内を十分窒素置 した後、0.5時間かけて230℃まで昇温し、さ に230℃で4.0時間重合を行った。その後、減 下で1.5時間重合を行い、引き続き、230℃の ま圧力調整装置により1.0時間かけて容器内 減圧し、さらに230℃で0.5時間重合を行い、 リマーを得た。

 得られたポリマーを用いて、固形分濃度が1 5質量%の水系樹脂分散液を作製した。次いで 該水系分散液に、カルボキシルメチルセル ース(ナカライテスク製、07326-95)を該水系樹 脂に対して3質量%追加し、粘度を230dPa・sに調 整した。この樹脂組成物の水系分散液を実施 例1で用いた織物の片面に、ナイフコートに 塗布し、乾燥後の樹脂量を5g/m 2 にした。この織物の特性を評価し、その結果 を表1に示した。

比較例1
 総繊度が350dtex、108フィラメント、沸水収縮 率9.0%のポリアミド66繊維を平織りにてウオー タージェットルームにて製織後、沸水にて収 縮加工し、110℃で乾燥仕上げをし、経密度64 /2.54cm、緯密度61本/2.54cmの織物を得た。ポリ アミド6とポリテトラメチレングリコール-プ ピルアミン付加物(数平均分子量1000)とアジ ン酸がモル比で2.0:1:1となるように重合した ポリマーを用いて、固形分濃度が10質量%の水 系樹脂分散液を作製した。次いで、該水系分 散液に、カルボキシルメチルセルロース(ナ ライテスク製、07326-95)を該水系樹脂に対し 1質量%追加し、粘度を15dPa・sに調整した。こ の樹脂組成物の水系分散液を上記織物にナイ フコートにて塗布し、乾燥後の樹脂量を2g/m 2 にした。この織物の特性を評価し、その結果 を表1に示した。

比較例2
 総繊度が470dtex、72フィラメント、沸水収縮 5.5%のポリアミド66繊維を平織りにてウオー ージェットルームにて製織後、110℃で乾燥 上げをし、経密度46本/2.54cm、緯密度46本/2.54 cmの織物を得た。ポリアミド6とポリエチレン グリコール-プロピルアミン付加物(数平均分 量600)とアジピン酸がモル比で2.5:1:1となる うに重合したポリマーを用いて、固形分濃 が15質量%の水系樹脂分散液を作製した。次 で、該水系分散液に、カルボキシルメチル ルロース(ナカライテスク製、07326-95)を該水 樹脂に対して3質量%追加し、粘度を230dPa・s 調整した。この樹脂組成物の水系分散液を 記織物にナイフコートにて塗布し、乾燥後 樹脂量を3g/m 2 にした。この織物の特性を評価し、その結果 を表1に示した。

 実施例1~5では、2000未満のカバーファクタ ーでFR値を高くすることにより低樹脂量でも 通気度が達成可能である。特に、織物に付 させる樹脂の種類のみが異なる、実施例1と 実施例5を比較した場合、実施例5においては 低カバーファクターの基布を用いているに かかわらず、少量の樹脂の付着量でも、通 度が大幅に低くなっていることが分かる。 方、比較例1では通気度は達成できるものの 、カバーファクターが高いために収納性が悪 化している。また、比較例2では2000未満のカ ーファクターでもFR値が低いため、低樹脂 で低通気性が達成できない。

 実施例1~5、比較例1、2の結果から明らか ように、本発明は従来のものに比べて低コ トで収納性に優れ、人体の初期拘束性能を 足する通気度を持つエアバッグ用織物を提 することができる。

 本発明のエアバッグ用布帛は、低コスト 収納性に優れ、人体の初期拘束性能を満足 る通気度を持つため自動車安全装置の一つ あるエアバッグ用途に利用することができ 産業界に寄与することが大である。