Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
X-RAY GENERATOR AND X-RAY CT SCANNER USING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/011422
Kind Code:
A1
Abstract:
An X-ray generator capable of conducting high-speed switching of X-ray beams between high energy and low energy, and an X-ray CT scanner using the generator and capable of high-speed and high-quality multi-energy imaging. The X-ray generator is constituted of two cathodes (200a, 200b), a rotary anode (204) for radiating X-rays from an X-ray focus by electron beams emitted from filaments of the cathodes, an X-ray tube (9) including two grid electrodes (202a, 202b) for controlling the emission of the electron beams, a tube voltage generating part (9a) and a tube voltage control part (9d1) for controlling X-ray conditions, a filament heating part (9b) and a tube current control part (9d2), a grid voltage generating part (9c) and a grid open/close control part (9d3), and a grid switching part (9e). High-energy X-rays and low-energy X-rays from the X-ray generator are changed over every adjacent projection angles to irradiate a subject, and projection data is collected.

Inventors:
TSUMURAYA YOSHIAKI (JP)
UEKI HIRONORI (JP)
KOYANAGI KEIJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/063015
Publication Date:
January 22, 2009
Filing Date:
July 18, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
HITACHI MEDICAL CORP (JP)
TSUMURAYA YOSHIAKI (JP)
UEKI HIRONORI (JP)
KOYANAGI KEIJI (JP)
International Classes:
A61B6/03; H01J35/06; H01J35/30
Foreign References:
JP2005142160A2005-06-02
JP2007165081A2007-06-28
JP2000079111A2000-03-21
JP2007095689A2007-04-12
JPS6349142A1988-03-01
Download PDF:
Claims:
 X線を放射するX線管と、このX線管の管電流を制御する管電流制御手段及び管電圧を制御する管電圧制御手段による高エネルギーX線と低エネルギーX線の放射を制御するX線制御手段とを備えたX線発生装置において、前記X線管は、それぞれがフィラメントを有する複数の陰極と、前記複数の陰極に対向して設けられた陽極と、陰極から放出される電子ビームの放出を制御するために各陰極毎に個別に設けられたグリッド電極とを備えたX線管であって、前記各グリッド電極に印加する電圧を発生するグリッド電圧発生手段と、このグリッド電圧発生手段で発生したグリッド電圧を前記各グリッド電極に交互に印加して前記電子ビームの放出を制御する電子ビーム放出制御手段とを備えたことを特徴とするX線発生装置。
 前記X線管は、前記複数のフィラメントから複数の電子ビームを放出して前記陽極上の所定の距離だけ離れた位置に複数のX線焦点を形成するX線管であることを特徴とする請求項1に記載のX線発生装置。
 前記X線管は、さらに前記複数のフィラメントから発生する電子ビームの方向を偏向する電子ビーム偏向手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のX線発生装置。
 前記電子ビーム偏向手段は、前記陽極と前記複数の陰極間に設けた偏向コイルと、この偏向コイルに前記電子ビームの方向を偏向するための電流を供給する偏向電流供給手段とを備えたことを特徴とする請求項3に記載のX線発生装置。
 前記管電圧制御手段は、前記高エネルギーX線に対応する高管電圧を制御する第1の管電圧制御手段と、前記低エネルギーX線に対応する低管電圧を制御する第2の管電圧制御手段とを備え、前記管電流制御手段は、高エネルギーX線に対応する管電流を制御する第1の管電流制御手段と、低エネルギーX線に対応する管電流を制御する第2の管電流制御手段とを備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のX線発生装置。
 前記第2の管電流制御手段で制御される管電流は、前記第1の管電流制御手段で制御される管電流よりも大きいことを特徴とする請求項5に記載のX線発生装置。
 被検体にX線を照射するX線管と、前記被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、前記X線管及びX線検出器を搭載して前記被検体の周りを回転するスキャナ回転手段と、前記被検体の同一スライス位置に前記X線管から放射される複数の異なるエネルギーのX線を投影角度毎に切り替えて照射するX線制御手段と、前記X線検出器で検出した投影データを再構成してCT画像を得る画像再構成手段を備えたマルチエネルギー撮影機能を有するX線CT装置であって、前記X線管は、それぞれがフィラメントを有する複数の陰極と、前記複数の陰極に対向して設けられた陽極と、陰極から放出される電子ビームの放出を制御するために各陰極毎に個別に設けられたグリッド電極とを備え、前記X線制御手段は、前記X線管の陰極フィラメントを加熱して陽極と陰極間に流れる管電流を制御する管電流制御手段と、前記陽極と陰極間に印加する管電圧を制御する管電圧制御手段と、前記各グリッド電極に印加する電圧を発生するグリッド電圧発生手段と、このグリッド電圧発生手段で発生したグリッド電圧を前記各グリッド電極に前記投影角度毎に交互に切り替えて印加して前記電子ビームの放出を制御する電子ビーム放出制御手段とを備えたことを特徴とするX線CT装置。
 前記X線管は、前記複数のフィラメントから複数の電子ビームを放出して前記陽極上の所定の距離だけ離れた位置に複数のX線焦点を形成するX線管であることを特徴とする請求項7に記載のX線CT装置。
 前記X線管は、さらに前記複数のフィラメントから発生する電子ビームの方向を偏向する電子ビーム偏向手段を備えたことを特徴とする請求項7又は8に記載のX線CT装置。
 前記電子ビーム偏向手段は、前記陽極と前記複数の陰極間に設けた偏向コイルと、この偏向コイルに前記電子ビームの方向を偏向するための電流を供給する偏向電流供給手段とを備えたことを特徴とする請求項9に記載のX線CT装置。
 前記管電圧制御手段は、前記高エネルギーX線に対応する高管電圧を制御する第1の管電圧制御手段と、前記低エネルギーX線に対応する低管電圧を制御する第2の管電圧制御手段とを備え、前記管電流制御手段は、前記高エネルギーX線に対応する管電流を制御する第1の管電流制御手段と、前記低エネルギーX線に対応する管電流を制御する第2の管電流制御手段とを備えたことを特徴とする請求項7乃至10のいずれか1項に記載のX線発生装置。
 前記第2の管電流制御手段で制御される管電流は、前記第1の管電流制御手段で制御される管電流よりも大きいことを特徴とする請求項11に記載のX線発生装置。
 前記投影データを検出する投影角度数は、通常のCT撮影時よりも多いことを特徴とする請求項7乃至12のいずれか1項に記載のX線CT装置。
Description:
X線発生装置及びこれを用いたX CT装置

 本発明は、X線発生装置に係り、特にマル チエネルギー撮影に好適なX線発生装置及び のX線発生装置を用いてマルチエネルギー撮 を行う機能を備えたX線CT装置に関する。

 X線CT装置には、1回のX線曝射で、一つの 層画像が得られるシングルスライス型X線CT 置と、同時に複数の断層画像が得られるマ チスライス型X線CT装置とがある。

 前記シングルスライス型X線CT装置は、多 のX線検出素子が1列、すなわち一次元方向( ャネル方向)に配列されたX線検出器を用い ファンビーム、すなわち扇形のX線ビームをX 線管から被検体に照射し、前記被検体透過後 のX線を計測して被検体の投影データを得る

 これに対して、マルチスライス型X線CT装 は、コーンビーム、すなわち円錐形もしく 角錐形のX線ビームをX線管から被検体に照 し、多数のX線検出素子が二次元方向(チャネ ル方向と列方向)に配列されたX線検出器によ て被検体透過後のX線を計測して投影データ を得る。

 いずれのX線CT装置においても、対向するX 線管とX線検出器とを被検体の周囲に回転さ て多方向から投影データを収集し、この収 した投影データにぼけ補正のための再構成 ィルタ処理を行った上で逆投影して被検体 断層像を再構成する。

 前記投影データは、X線管から放射される X線ビームの離散的な投影角度(以下、「ビュ 」と呼ぶ)において収集され、この収集され た投影データを「該当ビューにおける投影デ ータ」と呼ぶ。1枚のCT画像を再構成するため に必要な被検体の周囲を回転するX線管とX線 出器の1回転あたりのビュー数は、通常、数 百から1000程度である。また、1ビュー分の投 データは、X線検出器のチャネル数×列数分 データから成る(シングルスライス型X線CT装 置は前記のとおり列数=1の場合である)。

 このようなX線CT装置において、近年、複数 異なるエネルギーのX線ビームを同一断層面 に照射して撮影した撮影像に基づき被検体の 組成を分析する方法が利用されており、マル チエネルギー撮影法と呼ばれている。
 特に異なる2種類のエネルギーを用いて撮影 を行う場合は、デュアルエネルギー撮影法と 呼ばれている。

 前記デュアルエネルギー撮影法を適用して 検体の平均原子番号、及び平均密度の断層 像を計測する方法が非特許文献1に開示され ている。
 また、前記X線管の陽極と陰極間の電圧(以 、管電圧と記す)をX線の投影角度毎に変化さ せながらX線のエネルギースペクトルを変化 せてデュアルエネルギー撮影を行う方法(以 ,管電圧変調法と記す)が特許文献1に開示さ ている。

R.E. Alvarez and A. Macovski, "Energy-selective  Reconstructions in X-ray Computed Tomography," Phys. M ed. Biol., Vol. 21, No. 5, pp.733-744, (1976)

特開平10-73544号公報

 近年、医療用のX線CT装置においては、心 や冠動脈等、動きの速い被検体部位を撮影 るために、X線管とX線検出器の対からなる 影系の回転速度、すなわちスキャン速度の 速化が進み、現在、0.33~0.4[秒/回転]程度のも のが実用化されている。

 このように、スキャン速度が高速化され X線CT装置において、通常のX線CT撮影におけ 前記撮影系の1回転当りのビュー数は1000前 であり、スキャン速度が0.33秒の場合は、0.36 度(=360度/1000)の回転毎に1回の撮影が行われる 。

 このような、従来のX線CT装置に上記特許文 1の技術を用いてデュアルエネルギー撮影を 行うと、以下の問題が発生する。
(1)管電圧の大きさに拘わらずX線管の陽極と 極間に流れる電流(以下、管電流と記す。)は 一定である。
 これは、X線管のフィラメント温度の熱慣性 により、管電流を高速に切り替えることが困 難であるために、高エネルギー(高管電圧)と エネルギー(低管電圧)とで、管電流は一定 なるように制御されており、管電流は切り えていない。

 通常,低管電圧で撮影を行う際には,被検体 で吸収されるX線量が増大するために、X線検 出器で十分な投影データを取得するためには 高管電圧時に比べて管電流を多くする必要が ある。
 また、低管電圧時の管電流が不足すると、 影画像中の量子ノイズが増大して撮影画像 画質が低下する。 
 また、高管電圧時には十分な投影データの 得が可能であるために、被曝低減の点から 電流を低管電圧時よりも少なくする方が望 しい。

 以上の理由から,本来は管電圧の変化(高 電圧・低管電圧)に伴って管電流も変化(低管 電流・高管電流)させることが望ましい。

(2)特許文献1に記載された技術では、特許 献1の段落番号{0058}に記載されているように スキャナが1回転する間に高エネルギーと低 エネルギーのそれぞれについて取得されるビ ュー数が600と少ない。したがって、高エネル ギーと低エネルギーとで得られた各ビューデ ータをそれぞれ画像再構成すると、画像上に 放射状アーチファクトが発生することが懸念 される。

 これは、電源部からX線管に管電圧を供給 する過程で、配線が有する寄生インピーダン ス(寄生インダクタンス及び寄生静電容量)に り遅延が発生するために、管電圧の切替え 高速化に限界があり、これによってビュー が制限されるからである。

 本発明は、上記課題に鑑みてなされたも であって、管電圧変調法を用いたマルチエ ルギー撮影において,高エネルギーと低エネ ルギーのX線ビームを高速に切り替えること できるX線発生装置及びこのX線発生装置を用 いて高速かつ高画質のマルチエネルギー撮影 画像が得られるX線CT装置を提供することを目 的とする。

 上記目的は、複数の陰極から発生する電 ビームによる異なるエネルギーのX線をグリ ッドの開閉により交互に切り替えて発生する X線管及びこのX線管から発生する前記異なる ネルギーのX線を制御するX線制御手段とを えてX線発生装置を構成し、このX線発生装置 により前記異なるエネルギーのX線を隣接す ビュー毎に交互に切り替えて照射して投影 ータを取得し、この投影データから画像を 構成するもので、具体的には以下の手段に って達成される。

 すなわち、本発明によるX線発生装置は、 X線を放射するX線管と、このX線管の管電流を 制御する管電流制御手段及び管電圧を制御す る管電圧制御手段による高エネルギーX線と エネルギーX線を制御するX線制御手段とを備 えたX線発生装置において、前記X線管は、そ ぞれがフィラメントを有する複数の陰極と 前記複数の陰極に対向して設けられた陽極 、陰極から放出される電子ビームの放出を 御するために各陰極毎に個別に設けられた リッド電極とを備えたX線管であって、前記 各グリッド電極に印加する電圧を発生するグ リッド電圧発生手段と、このグリッド電圧発 生手段で発生したグリッド電圧を前記各グリ ッド電極に交互に印加して前記電子ビームの 放出を制御する電子ビーム放出制御手段とを 備えたものである。

 前記X線管は、前記複数のフィラメントか ら複数の電子ビームを放出して前記陽極上の 所定の距離だけ離れた位置に複数のX線焦点 形成するX線管でも良いし、さらに前記陽極 前記複数の陰極間に設けた偏向コイルと、 の偏向コイルに前記電子ビームの方向を偏 するための電流を供給する偏向電流供給手 とを備えた前記複数のフィラメントから発 する電子ビームの方向を偏向する電子ビー 偏向手段を備えたX線管でも良い。

 前記管電圧制御手段は、前記高エネルギ X線に対応する高管電圧を制御する第1の管 圧制御手段と、前記低エネルギーX線に対応 る低管電圧を制御する第2の管電圧制御手段 とを備え、前記管電流制御手段は、高エネル ギーX線に対応する管電流を制御する第1の管 流制御手段と、低エネルギーX線に対応する 管電流を制御する第2の管電流制御手段とを えたものである。

 また、前記第2の管電流制御手段で制御さ れる管電流は、前記第1の管電流制御手段で 御される管電流よりも大きいことを特徴と る。

 上記のX線発生装置を用いたマルチエネル ギー撮影機能を備えた本発明のX線CT装置は、 被検体にX線を照射するX線管と、前記被検体 透過したX線を検出するX線検出器と、前記X 管及びX線検出器を搭載して前記被検体の周 りを回転するスキャナ回転手段と、前記被検 体の同一スライス位置に前記X線管から放射 れる複数の異なるエネルギーのX線を投影角 毎に切り替えて照射するX線制御手段と、前 記X線検出器で検出した投影データを再構成 てCT画像を得る画像再構成手段を備えたマル チエネルギー撮影機能を有するX線CT装置であ って、前記X線管は、それぞれがフィラメン を有する複数の陰極と、該複数の陰極に対 して設けられた陽極と、陰極から放出され 電子ビームの放出を制御するために各陰極 に個別に設けられたグリッド電極とを備え 前記X線制御手段は、前記X線管の陰極フィラ メントを加熱して陽極と陰極間に流れる管電 流を制御する管電流制御手段と、前記陽極と 陰極間に印加する管電圧を制御する管電圧制 御手段と、前記各グリッド電極に印加する電 圧を発生するグリッド電圧発生手段と、この グリッド電圧発生手段で発生したグリッド電 圧を前記各グリッド電極に前記投影角度毎に 交互に切り替えて印加して前記電子ビームの 放出を制御する電子ビーム放出制御手段とを 備えて構成される。

 前記X線CT装置のX線管は、前記複数のフィ ラメントから複数の電子ビームを放出して前 記陽極上の所定の距離だけ離れた位置に複数 のX線焦点を形成するX線管でも良いし、さら 前記陽極と前記複数の陰極間に設けた偏向 イルと、この偏向コイルに前記電子ビーム 方向を偏向するための電流を供給する偏向 流供給手段とを備えた前記複数のフィラメ トから発生する電子ビームの方向を偏向す 電子ビーム偏向手段を備えたX線管でも良い 。

 前記X線CT装置の前記管電圧制御手段は、 記高エネルギーX線に対応する高管電圧を制 御する第1の管電圧制御手段と、前記低エネ ギーX線に対応する低管電圧を制御する第2の 管電圧制御手段とを備え、前記管電流制御手 段は、高エネルギーX線に対応する管電流を 御する第1の管電流制御手段と、低エネルギ X線に対応する管電流を制御する第2の管電 制御手段とを備えたものである。

 また、前記第2の管電流制御手段で制御さ れる管電流は、前記第1の管電流制御手段で 御される管電流よりも大きくして、被曝低 と量子ノイズ低減による高画質化を図るも である。

 前記投影データを検出する投影角度数は 通常のCT撮影時よりも多くして該通常CT画像 の画質を従来と同等にする。

 本発明によれば、複数の陰極と、この複 の陰極のフィラメントから放出される電子 ームによりX線焦点を形成する陽極と、前記 複数の電子ビームの放出を制御する前記複数 の陰極に対応した複数のグリッド電極とを有 するX線管を用い、前記グリッド電極に印加 る電圧を制御して高エネルギーX線と低エネ ギーX線を高速に切替え可能なX線発生装置 提供することができる。

 このX線発生装置により、前記高エネルギ ーX線と低エネルギーX線とを隣接するビュー に交互に切り替えて照射して投影データを 得するので、ビュー数を通常のCT撮影の2倍 することも可能で、放射状のアーチファク が発生しないため、画像の高画質化が達成 き、明確に人体組織を弁別することができ 。

 また、高い管電圧による高エネルギーX線 発生時は、被曝低減の点から管電流を小さく し、低い管電圧による低エネルギーX線発生 は、画像中の量子ノイズが増大しない程度 管電流を大きくしてX線を発生するようにし ので、画像の高画質化と低被曝化が達成さ る。

本発明が適用されるX線CT装置の概観図 本発明が適用されるX線CT装置の全体構 図。 本発明が適用されるX線CT装置のX線検出 器の構成及びX線照射との関係の説明図。 本発明の第1の実施形態に用いるX線管 構成図。 本発明の第1の実施形態に用いるX線管 構造を示す図。 本発明の第1の実施形態に用いるX線管 陰極近傍の拡大図。 本発明の第1の実施形態に用いるX線管 陰極の詳細構造図。 本発明の第1の実施形態に用いるX線管 陽極に実焦点を形成させる場合の電子ビー 軌道の例を示す図。 本発明の第1の実施形態における投影デ ータを収集するスキャナ回転回転板上のX線 点位置とX線検出器との位置関係を示す図。 本発明が適用されるX線CT装置の画像処 理装置の構成図。 本発明によるX線発生装置のX線制御装 の構成図。 本発明によるX線発生装置のX線制御装 における管電圧発生部と管電圧制御部の構 図。 本発明によるX線発生装置のX線制御装 におけるフィラメント加熱部と管電流制御 の構成図。 本発明によるX線発生装置のX線制御装 におけるグリッド電圧発生部とグリッド切 部の構成図。 本発明の第1の実施形態におけるX線CT 置の物質を判別する機能の動作を説明する ロー図。 本発明の第2の実施形態に用いるX線管 構成図。 本発明の第2の実施形態における投影 ータを収集するスキャナ回転板上のX線焦点 置とX線検出器との位置関係を示す図。 本発明の第3の実施形態に用いるX線管 構成図。

符号の説明

 1 スキャナガントリ、4 操作コンソール 5 操作装置、6 表示装置、8 X線制御装置、 9 X線管、9a 管電圧発生部、9b フィラメント 加熱部、9c グリッド電圧発生部、9d 制御部 9d1 管電圧制御部、9d2 管電流制御部、9d3  リッド開閉制御部、9e グリッド切替部、12 X線検出装置、15 データ収集装置、16 スキ ナ回転板、20 システム制御装置、21 画像処 理装置、21a フレームメモリ、21b 投影デー 加算部、21c 画像再構成部、21d データ変換 、21e 物質判別部、200a 第1の陰極、200b 第2 の陰極、201a 第1のグリッド電極、201b 第2の リッド電極、202a 第1の電子ビーム、202b 第 2の電子ビーム、203 X線焦点、204 回転陽極、 300 スキャナ回転板上のX線焦点位置、600 偏 コイル、701 X線管の外囲器、702 フィラメ ト、702a 第1のフィラメント、702b 第2のフィ ラメント、β 陰極と陽極間の距離、θ 陽極 対向する陰極の角度

 以下、本発明に係るX線発生装置及びこれを 用いてマルチエネルギー撮影を行うX線CT装置 の好ましい実施の形態について添付図面を用 いて詳細に説明する。
《第1の実施形態》

 図1は本発明が適用されるX線CT装置の概略 構成を示す図、図2はその全体構成図を示す ロック図である。図1に示すX線CT装置は、被 体にX線を照射して前記被検体の透過X線デ タを収集し、この収集したX線データを再構 演算して断層像を得るもので、スキャナガ トリ1と、被検体を載置する天板2を備えた ーブル3と、操作コンソール4とで構成される 。

 前記スキャナガントリ1の中心部には、被検 体が挿入される開口部7が設けられ、該ガン リ1の前面に、テーブル3が配置されている。
 前記テーブル3の高さは電動で調節できるよ うに構成され、該テーブル3の上面には前記 板2が設けられている。この天板2は被検体を 撮影位置に位置決めするためにガントリ1に して電動でスライドできるように構成され いる。

 前記操作コンソール4上には、キーボード やマウス等の操作装置5と、患者情報、撮影 件等の各種情報と撮影された断層画像を表 する表示装置6が配備されている。この操作 ンソール4の内部には、後述の画像処理装置 やシステム全体を制御するシステム制御装置 (CPU)が収納されている。これらのガントリ1、 テーブル2は前記システム制御装置(CPU)によっ て制御される。

 前記スキャナガントリ1は、図2に示すよ に、X線制御装置8によって制御されてX線を 生するX線管9と、X線管9から放射されたX線を 所定の照射野へ絞るコリメータ11と、X線検出 器12とを有する。X線管9から放射されたX線は リメータ制御装置10によって制御されるコ メータ11により、例えば角錐形のX線ビーム すなわちコーンビームとされ、被検体23に照 射されて該被検体23を透過したX線はX線検出 12に入射する。

 X線制御装置8は、管電圧、管電流が前記 作装置5で設定したスキャン条件に対応する 電圧、管電流になるように制御する。この めに、X線管9の陽極と陰極間に印加される 電圧とX線管9の陽極と陰極間に流れる電流を 検出する管電圧・管電流検出装置13が設けら ている。

 前記X線検出器12は、図3に示すようにチャネ ル方向と列方向に二次元的に配列された複数 のX線検出素子14を有する。
 このX線検出素子14は、例えばシンチレータ フォトダイオードとの組み合わせによって 成され、全体として円筒面状若しくはチャ ル方向に関して折れ線状に湾曲したX線入射 面を構成している。なお、本発明においてシ ングルスライス型のX線検出器が除外される とはない。

 ここで、コーンビームX線のチャネル方向 の広がり角度、すなわちファン角度はαであ 、また列方向の広がり角度、すなわちコー 角度はγである。

 このように構成されたX線検出器12にはデ タ収集装置15が接続され、このデータ収集 置15はX線検出器12を構成するX線検出素子14の 検出データを収集する。

 上記のX線制御装置8からデータ収集装置15 までの構成要素は、スキャナガントリ1の回 板16(スキャナ回転手段)に搭載されている。 の回転板16は回転制御装置17によって制御さ れる回転板駆動装置18からの駆動力が駆動力 達系19により伝達されて被検体23の周囲を回 転する。

 前記被検体テーブル3は、被検体テーブル 制御装置3aと、被検体テーブル上下移動装置3 bと、天板移動装置3cとを備え、被検体テーブ ル制御装置3aによって被検体テーブル上下移 装置3bを制御して適切なテーブル高さにす と共に天板移動装置3cを制御して天板2を前 に移動させて被検体23をスキャナガントリ1 X線照射空間(開口部)7に搬入および搬出する なお、天板位置センサ3dは、体軸方向およ 鉛直方向の天板位置を検知するものであり その情報をもとに被検体テーブル制御装置3a が正しい天板位置になるように天板移動装置 3c及び被検体テーブル上下移動装置3bを制御 る。

 このように構成されたスキャナガントリ1 において、被検体テーブル3の天板2に載置さ た被検体23がスキャナガントリ1の開口部7に 搬入された後、前記コリメータ11の開口幅に りコーン角度γを調整されたコーンビームX が被検体23に照射されると、コーンビームX を照射された被検体23のX線像はX線検出器12 投影され、該X線検出器12によって被検体23 透過したX線が検出される。

 前記操作コンソール4は、本発明によるX CT装置のマルチエネルギー撮影機能を備えた CTシステム全体を制御するシステム制御装置( CPU)20を備え、このシステム制御装置(CPU)20に 、スキャナガントリ1と被検体テーブル3が接 続されている。すなわち、このシステム制御 装置(CPU)20により、スキャナガントリ1内のX線 制御装置8、コリメータ制御装置10、データ収 集装置15、回転制御装置17及び被検体テーブ 3内の被検体テーブル制御装置3aが制御され 。

 前記データ収集装置15で収集された透過X線 出データは、システム制御装置(CPU)20の制御 によって画像処理装置21に取り込まれる。
 この画像処理装置21は、データ収集装置15で 収集した複数ビューの検出データに対して各 種の補正処理を施して投影データを生成し、 この投影データを用いてCT画像再構成を行う

 スキャン条件の設定に必要なスキャノグ ム画像や各種データ、及びX線CT装置の機能 実現するためのプログラム等は、システム 御装置(CPU)20に接続された記憶装置22に格納 れている。なお、前記画像処理装置21で再 成されたCT画像も記憶装置22へ格納される。 た、前記システム制御装置(CPU)20には、操作 装置5と表示装置6とがそれぞれ接続されてい 。

 前記操作装置5は、操作者が各種の指示や情 報並びに画像再構成モード等をシステム制御 装置(CPU)20に入力し、前記表示装置6を使用し 対話的に本X線CT装置を操作するものである
 前記表示装置6は、画像処理装置21から出力 れる再構成画像やシステム制御装置(CPU)20が 取り扱う種々の情報を表示するものである。

 前記システム制御装置(CPU)20は、操作者が 前記操作装置5を操作して入力した操作指令 前記記憶装置22から読み出したスキャノグラ ム画像を用いてスキャン条件をスキャン開始 前に予め決定するものである。すなわち、前 記記憶装置22から読み出されたスキャノグラ 画像が表示装置6に表示され、操作者が表示 された被検体スキャノグラム画像上で操作装 置5を用いてCT画像再構成位置(以下、スライ 位置と記す)の座標を指定することにより、 ライス位置を設定することができる。なお 前記スライス位置はスキャノグラム画像を いないで設定する場合もある。ここで設定 れたスライス位置の情報は記憶装置22に保 されると共にX線条件(管電圧、管電流)等を 定するために用いられる。

 上記のように構成されたスキャナガント 1に搭載された各要素への電力は、図示省略 のスキャナガントリ1の固定部に設けたブラ とスキャナガントリ1の回転部(回転板16)に設 けたスリップリングブラシとからなる電力伝 達手段により商用交流電源から供給され、ま た前記データ収集装置15で収集した透過X線検 出データの画像処理装置21への伝達は、前記 同様のスリップリング桟構又は光学的信号 達手段により行われる。

 このように構成されたX線CT装置を用いて 本発明は、上記X線管9から高エネルギーX線 低エネルギーX線を投影角度(ビュー)毎に交 に切り替えてデュアルエネルギー撮影を行 もので、本発明の第1の実施形態は図4に示 X線管が用いられる。

 図4において、X線管9は、高エネルギーX線 発生用電子ビーム202aを発生する第1の陰極200a 及び低エネルギーX線発生用電子ビーム202bを 生する第2の陰極200bと、前記電子ビーム202a 電子ビーム202bとを交互に切り替えるための 前記第1の陰極200aに対応する第1のグリッド201 a及び前記第2の陰極200bに対応する第2のグリ ド201bと、前記陰極200aと200bより放出される 子ビーム202a及び202bがフォーカスされて同一 の焦点203を形成する回転陽極204とを備えてい る。前記焦点203は陰極200a、200bと回転陽極204 間の距離及び前記陽極204に対向する陰極200a 、200bの角度を調整して同一位置に形成され 。

 このように構成されたX線管9の構造の一 を図5に、該X線管9の陰極200a、200bの近傍を拡 大したものを図6に、該陰極の詳細構造の一 を図7に、前記焦点203の位置に実焦点を形成 せる場合の電子ビーム軌道の一例を図8に示 す。

 図5に示すように、X線管9は、電子ビーム 放射する陰極200a及び200bと,これらに対向し 配置された回転陽極204と,前記陰極200a及び20 0bと回転陽極204を真空気密に封入する外囲器7 01とから成り、前記陰極200aと200bは、図6に示 ように互いに電気的に絶縁されて配置され 前記焦点203は陰極200a、200bと回転陽極204間 距離βと前記陽極204に対向する陰極200a、200b 角度θを調整して同一位置に形成される。

 また、図7に示すように、前記陰極200a及 200bは共に電子ビームを放射するフィラメン 702(後述する第1の陰極200aにおける第1のフィ ラメント702a、第2の陰極200bにおける第2のフ ラメント702b)と、該フィラメント702からの電 子ビーム202a及び202b(図4を参照のこと)を集束 る集束溝部を有する集束体703(後述の陰極200 aの集束体703a、陰極200bの集束体703b)とから成 、前記フィラメント702は集束体703及びグリ ド201(陰極200aに対応するグリッド201a、陰極2 00bに対応するグリッド201b)とは電気的に絶縁 れて配置される。

 前記第1のグリッド201aが開かれた場合は、 記第1のフィラメント702aから電子ビーム202a 放射され、図8(a)に示すように、第1の陰極200 aと回転陽極204間の電位勾配により加速集束 れて焦点位置203に実焦点が形成される。同 に、前記第2のグリッド201bが開かれた場合は 、前記第2のフィラメント702bから電子ビーム2 02bが放射され、図8(b)に示すように、第2の陰 200bと回転陽極204間の電位勾配により加速集 束されて前記焦点位置203に実焦点が形成され る。
 前記第1のグリッド201aと第2のグリッド201bの 開閉は、該グリッドの電極に印加する電圧の 制御により行なわれ、前記グリッドを開く場 合は該グリッドの電極と陰極間の電圧を0と 、前記グリッドを閉じる場合は該グリッド 電極と陰極間に数kVの負の電圧を印加するこ とにより為される。

 図9は、上記図4のX線管9を用いて該X線管9 焦点より高エネルギーX線と低エネルギーX を隣り合う投影角毎に交互に切り替えて照 して投影データを収集する場合の回転板16の 回転に伴う該回転板上のX線焦点位置300とX線 出器12との位置関係を示す図である。

 図9において、投影角度毎の各撮影時にお けるX線焦点203の回転板上の位置を300(1)、300(2 )、300(3)、300(4)、・・・とし、このときのX線 出器3の位置を12(1)、12(2)、・・・とする。 お、Oは回転板16の回転中心である。本例で 、X線焦点203の回転板上の奇数位置300(1)、300( 3)、300(5)、・・・で高エネルギーX線を照射し 、偶数の位置300(2)、300(4)、300(6)、・・・で低 エネルギーX線を照射し、これらのX線照射位 に対応するX線検出器12の位置も奇数と偶数 表し、それぞれ実線と点線で示す。

 このように構成することにより、高エネル ーX線と低エネルギーX線が同時に放射され ことはなく、X線焦点203が回転板16の位置300(1 )にある場合は高エネルギーX線が被検体23に 射され、該被検体を透過したX線は図9の実線 で示す12(1)の位置にあるX線検出器12で検出さ る。
 回転板16が回転してX線焦点203が回転板16の 置300(2)に到達すると、低エネルギーX線が被 体23に照射され、該被検体を透過したX線は 9の破線で示す12(2)の位置にあるX線検出器12 検出される。

 このように、隣り合う投影角度毎に高エ ルギーX線と低エネルギーX線とを照射して 当該投影角度に対応するX線検出器12の位置 前記被検体を透過したX線を検出し、この検 したデータをデータ収集装置15で収集し、 の収集したデータを画像処理装置21に転送し て該画像処理装置21でデュアルエネルギー撮 画像が生成される。

 図10は、前記データ収集装置15で収集され たデータを用いてデュアルエネルギー撮影画 像を生成する部分のブロック構成図である。

 図10において、画像処理装置21は、前記デ ータ収集装置15で収集されたX線検出データを 補正(オフセット補正、ゲイン補正等)するデ タ補正部21aと、このデータ補正部21aで補正 れた投影データを記憶するメモリ21bと、前 メモリ21bに記憶された高エネルギーX線撮影 における投影データと低エネルギーX線撮影 おける投影データとを操作装置5へ操作者に って入力された再構成モード指令に応じて み出すデータ読出部21cと、前記メモリ21bか 読み出された高エネルギーX線撮影の投影デ ータと低エネルギーX線撮影の投影データの 合うビューの組(図3の300(1)と300(2)、300(3)と300 (4)、・・・・)を加算するデータ加算部21eと 前記再構成モード指令に応じてメモリ21bか 読み出された投影データを用いてフィルタ ングおよびバックプロジェクション等の公 の再構成演算を行い、被検体23のCT画像を再 成する画像再構成部21fと、前記メモリ21bに 憶された隣り合うビューにおける高エネル ーX線撮影における投影データと低エネルギ ーX線撮影における投影データとを読み出し 、非特許文献1に開示されている公知の方法 用いて光電効果によるX線減弱像(以下,光電 果像と記す)及びコンプトン散乱によるX線 弱像(以下,コンプトン像と記す)を作成する めのデータに変換するデータ変換部21dと、 のデータ変換部21dで変換して得られたデー を用いて前記再構成部21fで作成された光電 果像及びコンプトン像のCT画像に基づいて、 非特許文献1に開示されている公知の方法を いて被検物の平均原子番号と平均密度を求 、前記平均原子番号と平均密度の情報に基 き前記CT画像中の各画素に対して物質の判別 を行ない、その情報を表示装置6へ出力する 質判別部21gとを備えて構成される。

 図10において、操作装置5へ入力される再構 モードは、
(1)高エネルギーX線撮影の投影データと低エ ルギーX線撮影の投影データとを別個に画像 構成するセパレートモード、
(2)データ加算部21eを動作させて、高エネルギ ーX線撮影の投影データと低エネルギーX線撮 の投影データとを上記の如く加算(又は減算 )したデータを画像再構成する画像加算モー と、
(3)別記物質の判別を行う物質判別モードが選 択可能とされている。
 なお、前記データ加算部21e、画像再構成部2 1f、データ変換部21d、物質判別部21gには専用 ロセッサ、又は公知の汎用プロセッサ等が 用される。

 また、前記高エネルギーX線と低エネルギ ーX線を照射する投影角、すなわちビューは 放射状のアーチファクトを抑制して人体組 を弁別すめたに、通常のCT撮影時よりも多い 方が望ましく、典型的には通常のCT撮影時に ける1024ビューの2倍の2048ビューが好適であ 。

 このように、前記ビュー数を2048にした場 合、前記回転板16が1回転する時間、すなわち 1スキャン時間を0.33秒とすると、前記回転板1 6が0.17[deg]回転する毎に高エネルギーX線と低 ネルギーX線とを交互に被検体23に照射して 影が行なわれることになり、したがって前 高エネルギーX線と低エネルギーX線との切 えを高速に行う必要がある。

 図11は、上記構成のX線管9から高エネルギー X線と低エネルギーX線を交互に高速に切り替 てデュアルエネルギー撮影を行うためのX線 制御装置8(図2)の構成を示すブロック図の一 である。
 このX線制御装置8は、前記陽極204と第1の陰 200a間に印加される高管電圧及び前記陽極204 と第2の陰極200b間に印加される低管電圧とを 生する管電圧発生部9aと、前記高管電圧と 管電圧に対応する管電流になるように前記 1のフィラメント702aと第2のフィラメント702b 加熱するフィラメント加熱部9bと、前記第1 グリッド201aと第2のグリッド201bを開閉する 圧を発生するグリッド電圧発生部9c(クリッ 電圧発生手段)と、前記第1のグリッド201aと 2のグリッド201bを切り替えるグリッド切替 9e(電子ビーム放出制御手段)と、前記管電圧 生部9aとフィラメント加熱部9bとグリッド電 圧発生部9cとグリッド切替部9eとを制御する 御部9dとを備えて構成される。

 前記制御部9dは、前記管電圧発生部9aから 高管電圧と低管電圧とを出力させる制御を行 う管電圧制御部9d1と、前記高管電圧と低管電 圧に対応して設定された管電流になるように フィラメント電流を制御する管電流制御部9d2 と、前記グリッド電圧発生部9cの出力電圧を0 (グリッドを開ける)と-1000V程度の高電圧(グリ ッドを閉じる)に制御するグリッド電圧制御 9d3とにより構成される。

 前記管電圧制御部9d1は、操作コンソール4 の操作装置5から前記高管電圧設定値と低管 圧設定値とが設定されてシステム制御装置(C PU)20に入力すると、これらの設定値に対応す 管電圧設定信号がシステム制御装置(CPU)20の 管電圧・管電流設定信号生成部20aで生成され て、この生成された高管電圧設定信号及び低 管電圧設定信号と前記管電圧・管電流検出装 置13(図2)で検出されたX線管9の実際の高管電 ・低管電圧とが一致するように、制御を行 。

 図12は、前記管電圧発生部9aと管電圧制御部 9d1(管電圧制御手段)の回路構成の一例である
 図12において、管電圧制御部9d1は、3相交流 源25の交流電圧を直流電圧に変換するコン ータ回路9d11と、このコンバータ回路9d11の出 力直流電圧(3相全波整流電圧)を平滑する平滑 コンデンサ9d12と、この平滑コンデンサ9d12の 流電圧を前記3相交流電源周波数よりもはる かに高い周波数(例えば、20kHz以上)の交流電 に変換すると共に高管電圧を制御する第1の ンバータ回路9d13と、前記平滑コンデンサ9d1 2の直流電圧を高い周波数(例えば、20kHz以上) 交流電圧に変換すると共に低管電圧を制御 る第2のインバータ回路9d14と、前記第1のイ バータ回路9d13の高管電圧制御信号及び前記 第2のインバータ回路9d14の低管電圧制御信号 生成する管電圧制御信号生成部9d15とにより 構成され、該管電圧制御信号生成部9d15は、 記システム制御装置(CPU)20の管電圧・管電流 定信号生成部20a(図11参照)で生成された管電 圧設定信号(高管電圧設定信号及び低管電圧 定信号)と前記管電圧・管電流検出装値13で 出された管電圧検出値が一致するように前 第1のインバータ回路9d13及び第2のインバー 回路9d14の動作位相を制御するための高管電 制御信号と低管電圧制御信号を生成する。

 前記管電圧発生部9aは、高管電圧を発生 る高管電圧発生部と低管電圧を発生する低 電圧発生部とから成り、前記高管電圧発生 は、前記第1のインバータ回路9d13の出力電圧 を高管電圧に昇圧する二つの2次巻線を有す 第1の高電圧変圧器9a1と、この第1の高電圧変 圧器9a1の二つの2次巻線電圧を直流電圧に変 する高電圧整流回路9a2及び9a3とを備え、該 電圧整流回路9a2と9a3とは直列に接続され、 の接続点は接地されている。

 一方、前記低管電圧発生部は、前記第2のイ ンバータ回路9d14の出力電圧を昇圧する第2の 電圧変圧器9a4と、この第2の高電圧変圧器9a4 の2次巻線電圧を直流電圧に整流する高電圧 流回路9a5を備え、前記高電圧整流回路9a2の 力電圧と前記高電圧整流回路9a5の出力電圧 により低管電圧が生成される。この場合、 記高電圧整流回路9a5の正の直流出力端は接 されている。
そして、前記高電圧整流回路9a2の正の直流出 力端はX線管9の回転陽極204に接続され、該X線 管9の第1の陰極200aには前記高電圧整流回路9a3 の負の直流出力端が、前記X線管9の第2の陰極 200bには前記高電圧整流回路9a5の負の直流出 端が接続される。

 このように構成された管電圧制御手段(第1 管電圧制御手段、第2の管電圧制御手段)によ り、X線管9の外囲器701が接地されているので 例えば、前記高電圧整流回路9a2の出力電圧 70kV、高電圧整流回路9a3の出力電圧を-70kV、 電圧整流回路9a5の出力電圧を-10kVになるよ に第1のインバー回路9d13及び第2のインバー 回路9d14を制御することにより、X線管9の陽 204と第1の陰極200a間には140kV{=70kV-(-70kV)}の高 電圧が、X線管9の陽極204と第2の陰極200b間に は80kV{=70kV-(-10kV)}の低管電圧が印加されるこ になる。
 この場合、フィラメント加熱部9bで前記高 電圧及び低管電圧に対応した管電流になる うに第1のフィラメント702aと第2のフィラメ ト702bは加熱制御される。

 図13は、前記フィラメント加熱部9bと前記管 電流制御部9d2(管電流制御手段)の回路構成の 例である。
 図13において、フィラメント加熱部9bは、第 1のフィラメント702aを加熱する第1のフィラメ ント加熱部9b1と、第2のフィラメント702bを加 する第2のフィラメント加熱部9b2と、直流電 源9b3とから成る。

 前記第1のフィラメント加熱部9b1は、前記 直流電源9b3の電圧を高い周波数の交流電圧に 変換すると共にX線管9の第1のフィラメント702 aを加熱するためのフィメント電流を可変制 する第1のフィラメント加熱インバータ回路9 b11と、この第1のフィラメント加熱インバー 回路9b11の出力を絶縁して前記第1のフィラメ ント702aに供給する第1のフィラメント加熱変 器9b12とを備えて構成され、同様に前記第2 フィラメント加熱回路9b2は、前記直流電源9b 3の電圧を高い周波数の交流電圧に変換する 共に前記X線管9の第2のフィラメント702bを加 するためのフィメント電流を可変制御する 2のフィラメント加熱インバータ回路9b21と この第2のフィラメント加熱インバータ回路9 b21の出力を絶縁して前記第2のフィラメント70 2bに供給する第2のフィラメント加熱変圧器9b2 2とを備えて構成される。

 前記管電流制御部9d2は、前記システム制 装置(CPU)20の管電圧・管電流設定信号生成部 20aで生成された管電流設定信号(高管電圧に 応する低管電流及び低管電圧に対応する高 電流設定信号)と前記管電圧・管電流検出装 13で検出した管電流検出値が一致するよう 前記第1のフィラメント加熱インバータ回路9 b11及び第2のフィラメント加熱インバータ回 9b21の動作位相を制御するための前記低管電 に対応する第1のフィラメント702aのフィラ ント電流を制御する第1のフィラメント電流 御信号と、前記高管電流に対応する第2のフ ィラメント702bのフィラメント電流を制御す 第2のフィラメント電流制御信号とを生成す 。

 このように構成されたフィラメント加熱 9bと管電流制御部9d2とにより、予め設定し 管電流になるように第1のフィラメント702a及 び第2のフィラメント702bの温度を加熱してお ことにより(第1の管電流制御手段、第2の管 流制御手段)、前記第1のグリッド201a及び201b の開閉と同時に設定した管電流を流すことが でき、従来のフィラメント温度の熱慣性によ る問題が解消されて該管電流を高速に切り替 えることが可能となる。

 図14は、前記グリッド電圧発生部9cと前記グ リッド切替部9eの回路構成の一例である。
 図14において、前記グリッド電圧発生部9cは 、X線管9の第1のグリッド201aを閉じるための10 00V程度の負の高電圧を発生する第1のグリッ 電圧発生部9c1と、第2のグリッド201bを閉じる ための1000V程度の負の高電圧を発生する第2の グリッド電圧発生部9c2とを備えて成り(グリ ド電圧発生手段)、前記グリッド切替部9e(電 ビーム放出制御手段)は、前記第1のグリッ 201aを開閉制御する第1のグリッド開閉スイッ チ9e1と、前記第2のグリッド201bを開閉制御す 第2のグリッド開閉スイッチ9e2とを備えて構 成される。

 前記グリッド切替部9eは、前記システム 御装置(CPU)20のグリッド切替信号生成部20b(図 11参照)で生成されたグリッド切替開閉信号を 前記制御部9dのグリッド開閉制御部9d3を介し 、第1のグリッド201aを開く場合は、前記第1 グリッド開閉スイッチ9e1のaをcに接続して 1のグリッド201aに印加する電圧を0とし、前 第1のグリッド201aを閉じる場合は、前記第1 グリッド開閉スイッチ9e1のaをbに接続して第 1のグリッド201aに1000V程度の負の電圧を印加 る。

 同様に、前記グリッド切替開閉信号によ 、第2のグリッド201bを開く場合は、前記第2 グリッド開閉スイッチ9e2のdをfに接続して 2のグリッド201bに印加する電圧を0とし、前 第2のグリッド201bを閉じる場合は、前記第2 グリッド開閉スイッチ9e2のdをeに接続して第 2のグリッド201bに1000V程度の負の電圧を印加 る。

 前記第1のグリッド開閉スイッチ9e1及び第 2のグリッド開閉スイッチ9e2は、該開閉スイ チを高速に切り替えるようにするために、 えば、「高電圧半導体スイッチによる高速 ルス透視システム(高野・他)、日本放射線技 術学会雑誌第 57 卷、第 10 号、Fig. 2 Struct ure of MOSFET super-cascade high-voltagesemiconductor s witching module.(2001年10月)」に開示されている 導体スイッチや特開2003-317996号の図8~図11に 示されている光信号による切替え制御手段 用いることにより為される。

 このように構成されたグリッド電圧発生 9cとグリッド切替部9eとにより、グリッド切 替信号生成部20bで生成したグリッド切替信号 によって第1のグリッド201aと第2のグリッド201 bを交互に切り替えて、前記第1及び第2のグリ ッドに対応する陰極から発生される電子ビー ムにより高エネルギーX線と低エネルギーX線 を発生することができる。

 次に、上記構成のX線CT装置の動作について 15のフロー図を用いて説明する。
(1)開始(S10)
 撮影(マルチエネルギーCT撮影)を開始するた めに、操作者は操作コンソール4の電源スイ チをオンする。

(2)スキャン条件の設定(S11)
 先ず、操作者はは撮影に先立って操作コン ール4の操作装置5を用いてスキャン条件を 定する。 
 主なスキャン条件としては、X線管9から放 される2種類のX線エネルギー発生用のX線条 AとX線条件B、スキャン速度(回転板16の回転 度),被検体23のスライス位置及びスライス範 等、さらには先に述べた再構成モード等が る。
 前記X線条件は、高管電圧と、この高管電圧 に対応した被検体の被曝線量が極力少ない管 電流とによるX線条件A(高エネルギーX線)と、 管電圧と、この低管電圧に対応した撮影画 中の量子ノイズが増大して撮影画像の画質 低下しない程度の前記X線条件Aの管電流よ も大きな管電流とによるX線条件B(低エネル ーX線)とである。

(3)スキャン(撮影)開始(S12)
 次に、操作者は操作コンソール4の操作装置 5を操作して回転板16の回転を開始させる。こ の回転板16は、回転制御装置17によって制御 れる回転板駆動装置18からの駆動力が駆動力 伝達系19により伝達されて被検体23の周囲を 転する。この回転板16の回転開始と同時にX 管1の回転陽極204と第1の陰極200a及び第2の陰 200bとの間に前記X線条件A及びBに対応する管 電圧を印加する共に前記X線条件A及びBの管電 流に対応するフィラメントの温度になるよう に前記フィラメント702a及び702bを加熱し、こ らのフィラメントから電子ビームが放射し いようにするために前記第1のグリッド201a び第2のグリッド201bを電気的に閉じておく。
 そして、回転板16の回転速度が設定したス ャン速度(例えば、1回転/0.33秒に対応する回 速度)に達した時点から前記第1のグリッド20 1aを開いてX線条件AのX線を被検体23へ照射し 撮影を開始する。

(4)投影データ収集(S13)
 撮影が開始されると、システム制御装置(CPU )20は前記第1のグリッド201aと第2のグリッド201 bとをそれぞれ対応する前記回転板16の投影角 (例えば、ビュー数が2048で1スキャン時間を0.3 3秒に設定した場合は、0.17[deg])毎に交互に開 する。これにより、X線条件AのX線とX線条件 BのX線とが交互に被検体23へ照射される。
 この撮影により被検体23を透過したX線は、X 線検出器12で検出されてデータ収集装置15で 影データとして順次収集され、画像処理装 21に転送される。
 この画像処理装置21に転送されたデータは データ補正部21aで各種の補正処理を施され 後、これらの投影データは順次メモリ21bに 録される。

 システム制御装置(CPU)20は、S11において操 作者により操作コンソール4へ入力設定され 再構成モードに応じて、S21~S24と、S31~S34と、 S41~S45のいずれかの処理と画像再構成並びに 理結果の表示装置6への表示を行う。

(5)セパレートモードが選択された場合
 S11においてセパレートモードが選択されて ると、システム制御装置(CPU)20は以下のS21~S2 4の各ステップを実行する。
(5-1)投影データの分離読出し(S21)
 このモードが選択されているとシステム制 装置(CPU)20は、データ読出部21cに対し、メモ リ21bから高エネルギーX線撮影のビュー300(1) 300(3)、300(5)、・・・の投影データと、低エ ルギーX線撮影のビュー300(2)、300(4)、300(6)、 ・・の投影データをそれぞれ別個の組とし 読み出すように指令を送る。これにより、 モリ21bから高エネルギーX線撮影の投影デー タ(スキャンデータ)と、低エネルギーX線撮影 データの投影データ(スキャンデータ)が順次 像再構成部21fへ送られる。
(5-2)画像再構成(S22、S23)
 画像再構成部21fは、メモリ21bから順次供給 れた高エネルギーX線撮影の投影データにつ いての画像再構成と、低エネルギーX線撮影 投影データについての画像再構成とを順次 行し、二つのCT画像(第1のCT像と第2のCT像)を 成する。これらのCT画像はコンソール装置4 の記憶装置22へ格納される。
(5-3)画像表示(S24)
 再構成された二つのCT像は表示装置6の画面 表示され、医師の画像診断に供される。  像の表示の態様としては、二つの画像の選 的表示や二つの画像を画面へ並列配置する 式を適用可能である。そのような技術は当 術分野では周知であるので、その説明は省 する。
 以上説明したセパレートモードによれば、 検体内の臓器又は組織をX線吸収特性に応じ て画像化することができる。また、得られた 二つのCT像は同時相のものとなるので、運動 器のマルチエネルギーCT像による診断を短 間で、かつ低被爆で行うことができる。

(6)画像加算モードが選択された場合
 S11において画像加算モードが選択されてい と、システム制御部(CPU)20は以下のS31~S34の ステップを実行する。
(6-1)投影データの読出し(S31)
 このモードが選択されていると、システム 御部(CPU)20はデータ読出部21cに対し、メモリ 21bから隣合う高エネルギーX線撮影のビュー 低エネルギーX線撮影のビューとを対として 例えば300(1)と300(2)の対、300(3)と300(4)の対、3 00(5)と300(6)の対・・・のようにデータを順次 み出すように指令を送る。これにより前記 投影データの対がデータ加算部21eへ順次送 れる。
(6-2)合成投影データの作成(S32)
 データ加算部21eは送られてきた投影データ 対をなしているデータ同士を加算処理(単純 加算、加算平均、減算のいずれか)を実行し 合成投影データを作成する。そして合成投 データのビュー数は高エネルギーX線撮影の ュー数と低エネルギーX線撮影のビュー数の 合計の1/2のビュー数とされ、それらが画像再 構成部21fへ送られる。
(6-3)画像策構成(S33)
 画像再構成部21fは、データ加算部21eから送 れて来た合成投影データに基いて再構成演 を実行し、CT画像(第3のCT像)を作成する。そ して作成された第3のCT像はコンソール装置4 の記憶装置22へ格納される。
(6-4)画像表示(S34)
 再構成された第3のCT像は、表示装置6の画面 へ表示され、医師の画像診断に供される。
 以上説明した画像加算モードによれば、高 ネルギーX線撮影又は低エネルギーX線撮影 一方のみで被検体を撮影した場合に不足し いたコントラスト分解能が補償された画像 得られる。
 なお、本画像加算モードは、前述のセパレ トモードで得られた二つのCT像を加算処理 加算平均処理、減算処理することで達成す ことも可能である。

(7)物質判別モードが選択された場合
 S11において、物質判別モードが選択される 、システム制御部(CPU)20は以下のS41~S45の各 テップを実行する。
(7-1)光電効果像及びコンプトン像再構成用デ タの生成(S41)
 このモードが選択されていると、システム 御部(CPU)20は、前記メモリ21bに記録された隣 接する2ビューにおける高エネルギーX線で撮 した投影データと低エネルギーX線で撮影し た投影データとを読み出して、非特許文献1 開示されている公知の方法を用いて、光電 果による光電効果像及びコンプトン散乱に るコンプトン像とを再構成するためのデー をデータ変換部21dで作成する。
(7-2)光電効果像及びコンプトン像の再構成(S42 )
 前記データ変換部21dで生成された光電効果 及びコンプトン像の再構成用データを用い 前記画像再構成部21fで光電効果像及びコン トン像のそれぞれのCT画像を再構成する(第4 のCT像及び第5のCT像)。
(7-3)平均原子番号と平均密度のCT画像再構成(S 43)
 前記光電効果像及びコンプトン像の再構成C T画像に基づいて、非特許文献1に開示されて る公知の方法を用いて被検体23の平均原子 号と平均密度のCT画像(第6のCT像)を前記再構 装置21fで再構成する。
(7-4)物質の判別(S44)
 再構成した平均原子番号と平均密度の第6の CT像に基づいて物質判別部21g(物質判別手段) 各画素に対して公知の方法を用いて物質の 別を行う。
(7-5)判別結果の表示(S45)
 S44にて求められた判別結果は、表示装置6の 画面へ表示される。判別結果の表示態様とし ては、組織毎又は材質毎に異なる色相情報を 付与したウィンドウ情報を表示すると供に、 第6のCT画像中の組織、材質が異なるものへウ ィンドウに対応した色相を付与して表示する ことが考えられる。
 この場合,物質毎に色を変えることにより, 数の判別結果を同時に表示できる。なお、 別される物質の代表例としては,人体の骨組 ,肺組織,筋肉,脂肪,造影剤等が挙げられる。

(8)終了(S50)
 以上、各モードの処理が終了したら、操作 はコンソール装置4の電源スイッチをオフす る。なお、指定された撮影範囲の撮影(スキ ン)が終了すると同時に、システム制御装置( CPU)20は、X線制御装置8と回転板制御装置に撮 終了を指示して、X線管1からのX線の放射を 了させ、回転板16の回転を停止させる。
 また、上記の撮影と,各種処理(画像再構成 理,加算処理,光電効果像及びコンプトン像デ ータ作成処理,物質判別処理)は並行して行わ ,結果は順次表示装置6に表示される。

 以上、第1の実施形態によれば、二つの陰極 と、この二つの陰極のフィラメントから放出 される電子ビームにより一つのX線焦点を形 する陽極と、前記複数の電子ビームの放出 制御する前記二つの陰極に対応した二つの リッド電極とを有するX線管を用いて前記グ ッド電極に印加する電圧を制御して高エネ ギーX線と低エネルギーX線を高速に切り替 るX線発生装置を備え、このX線発生装置によ り前記高エネルギーX線と低エネルギーX線と 隣接するビュー毎に交互に切り替えて照射 て投影データを取得するので、ビュー数を 常のCT撮影の2倍にすることも可能で放射状 アーチファクトが発生しないため、画像の 画質化が達成でき、明確に人体組織を弁別 ることができる。
 この場合、ビュー数を通常のCT撮影時の2倍 したので、CT画像の画質を従来と同等の画 とすることができる。
 また、高い管電圧による高エネルギーX線発 生時は、被曝低減の点から管電流を小さくし 、低い管電圧による低エネルギーX線発生時 、画像中の量子ノイズが増大しない程度に きくしてX線を発生するようにしたので、画 の高画質化と低被爆化が達成できる。

 また、前記第1の管電圧制御手段と第2の管 圧制御手段で高管電圧と低管電圧とをそれ れ独立に制御することができるので、任意 高エネルギーX線と低エネルギーX線との組み 合わせによるデュアルエネルギー撮影が可能 となる。
《第2の実施形態》

 本発明の第2の実施形態は、図16に示すX線 管9´を用いてデュアルエネルギー撮影を行う ものである。

 図16において、X線管9´は、高エネルギーX線 発生用電子ビーム202a´を発生する第1の陰極20 0a´及び低エネルギーX線発生用電子ビーム202b ´を発生する第2の陰極200b´と、前記電子ビー ム202a´と電子ビーム202b´とを交互に切り替え るための前記第1の陰極200a´に対応する第1の リッド201a´及び前記第2の陰極200b´に対応す る第2のグリッド201b´と、前記陰極200a´と200b より放出される電子ビーム202a´及び202b´が ォーカスされて第1のX線焦点203a´及び第2のX 焦点203b´の二つの焦点を形成する回転陽極2 04´とを備えている。前記第1の焦点203a´及び 2の焦点203b´は、陰極200a´及び200b´と回転陽 極204´との間の距離及び前記回転陽極204´に する前記陰極200a´及び200b´の角度を調整し 距離dだけ離れた位置に形成される。
 なお、702a´は電子ビーム202a´を発生させる めの第1のフィラメント、702b´は電子ビーム 202b´を発生させるための第2のフィラメント ある。

 このように構成されたX線管9´は、第1と 2の二つの焦点203a´及び203b´を形成するため 、陰極200a´及び200b´と回転陽極204´との間 距離及び前記回転陽極204´に対する前記陰極 200a´及び200b´の角度が異なるのみで、該X線 9´の構造、該X線管9´の陰極200a´、200b´の近 を拡大した図、該陰極の詳細構造、及び前 焦点203a´及び203b´の位置に実焦点を形成さ る場合の電子軌道は、前記第1の実施形態の 図5、図6、図7、図8とほぼ同様であるので、 の説明は省略する。

 図17は、上記図16のX線管9´を用いて該X線 9´二つのの焦点203a´、203b´より高エネルギ X線と低エネルギーX線を隣り合う投影角毎 交互に切り替えて照射して投影データを収 する場合の回転板16の回転に伴う該回転軌跡 上のX線焦点位置とX線検出器12の位置関係を す図である。

 図17において、投影角度毎の各撮影時にお る第1のX線焦点203a´の回転軌跡上の位置を500 (1)、500(3)、500(5)、・・・とし,このときのX線 出器12の位置を12(1)、12(3)、・・・とする。
 一方、第2のX線焦点203b´の回転軌跡上の位 を500(2)、500(4)、500(6)、・・・とし,このとき X線検出器12の位置を12(2)、12(4)、・・・とす る。なお、図16には、12(1)と12(2)のみを図示し 、これらは実線と点線で示してある。

 本第2の実施形態では、回転軌跡上の奇数 の位置500(1)、500(3)、500(5)、・・・で第1のX線 点203a´から高エネルギーX線を照射し、回転 板16が回転して前記第1のX線焦点203a´から距 dだけ離れた位置にある第2のX線焦点203b´か 前記回転板16上の500(1)+d、500(3)+d、500(5)+d、・ ・・に対応する偶数の位置500(2)、500(4)、500(6) 、・・・で低エネルギーX線を照射して、こ らのX線照射位置に対応するX線検出器12の位 12(1)、12(2)、・・・で被検体23の透過X線を検 出する。

 そして、前記第1の実施形態と同様に、高 エネルギーX線と低エネルギーX線を隣り合う 影角度毎に照射して、当該投影角度に対応 るX線検出器12の位置で前記被検体を透過し X線を検出し、この検出したデータをデータ 収集装置15で収集し、この収集したデータを 像処理装置21に転送して該画像処理装置で ュアルエネルギー撮影画像を生成する。

 このように構成することにより、上記第1の 実施形態と同様の効果が得られ、さらにdだ 離れた位置で確実に第2の焦点203b´からX線を 照射することができるので、前記500(2)、500(4) 、500(6)、・・・における位置とX線焦点位置 の位置ずれに起因して発生することが懸念 れる解像度の低下を防止できる。
《第3の実施形態》

 本発明の第3の実施形態は、図18に示すX線 管9´´を用いてデュアルエネルギー撮影を行 ものである。

 前記第2の実施形態のX線管9´との相違は 陰極から放出される電子ビームの方向を偏 する偏向コイル600及びこのコイルに電流を して磁場を発生させる図示省略の磁場発生 流供給源(偏向電流供給手段)とによる電子ビ ーム偏向手段を備えた点にある。

 図18において、X線管9´´は、高エネルギーX 発生用電子ビーム601aを発生する第1の陰極20 0a´及び低エネルギーX線発生用電子ビーム601b を発生する第2の陰極200b´と、前記電子ビー 601aと電子ビーム601bとを交互に切り替えるた めの前記第1の陰極200a´に対応する第1のグリ ド201a´及び前記第2の陰極200b´に対応する第 2のグリッド201b´と、前記電子ビーム601a、601b の進行方向を変える偏向コイル600と、前記陰 極200a´と200b´より放出される電子ビーム601a び601bがフォーカスされて第1のX線焦点602a及 第2のX線焦点602bの二つの焦点602a、602bを形 する回転陽極204´とを備えて構成される。
 なお、702a´は電子ビーム202a´を発生させる めの第1のフィラメント、702b´は電子ビーム 202b´を発生させるための第2のフィラメント ある。

 前記偏向コイル600は、紙面垂直方向に磁場 発生し、この磁場の強度を制御することに り電子ビーム601a、601bの進行方向を紙面上 方向に調整できる。特に電子ビーム601a及び 子ビーム601bに対して互いに逆向きの磁場を 印加することにより、各電子ビームの進行方 向を反対方向に変化させることができる。す なわち、前記磁場の強度及び印加方向を調整 することによって、前記電子ビーム601a、601b 形成される第1のX線焦点602aと第2のX線焦点60 2bの位置及びこれらの焦点間の距離を任意に 整することができる。
 もちろん,距離dを0として,焦点位置を単一に することも可能である。

 前記焦点間距離dは、スキャン速度に対応し て変えることがより好ましいの
で、このような場合には、例えば、スキャン 速度が速い場合は距離dが大きくなるように 記電子ビーム偏向手段により距離dを可変制 すれば良い。

 そして、前記第1の実施形態と同様に、高 エネルギーX線と低エネルギーX線を隣り合う 影角度毎に照射して、当該投影角度に対応 るX線検出器12の位置で前記被検体を透過し X線を検出し、この検出したデータをデータ 収集装置15で収集し、この収集したデータを 像処理装置21に転送して該画像処理装置で ュアルエネルギー撮影画像を生成する。

 このように構成されたX線管9´´を用いた ュアルエネルギーX線撮影においても、上記 第1の実施形態、第2の実施形態と同様の効果 得られると共に、前記図17に示したように 円弧501上でシフトする必要がある焦点位置 距離dは、1回転当りのプロジェクション数に より変化するが,上記図18に示したX線管9´´を 用いることにより、種々のプロジェクション 数に応じて焦点位置を変化できるという利点 がある。

 以上、高エネルギーX線と低エネルギーX とを高速に切り替えるX線発生装置を用いて 記高エネルギーX線と低エネルギーX線とを り合うビュー毎に交互に切り替えてデュア エネルギー撮影を行う第1~第3の実施形態に いて説明したが、本発明はデュアルエネル ー撮影に限定するものではなく、三つ以上 X線エネルギーによるマルチエネルギーにも 用することが可能である。

 前記マルチエネルギー撮影時には、以下の( 1)、(2)、(3)のX線発生装置が適用される。
(1)三つ以上の複数の陰極からの電子ビームで 一つの焦点を形成する陽極及び前記複数の陰 極からの電子ビームを切り替える前記陰極に 対応した複数のグリッドとを備えたX線管と このX線管から発生する複数のX線エネルギー を制御する複数X線エネルギー制御手段とを えたX線発生装置。
(2)三つ以上の複数の陰極からの電子ビームで 三つ以上のX線焦点を形成する陽極及び前記 数の陰極からの電子ビームを切り替える前 陰極に対応した複数のグリッドとを備えたX 管と、このX線管から発生する複数のX線エ ルギーを制御する複数X線エネルギー制御手 とを備えたX線発生装置。
(3)上記(2)のX線管に電子ビームの方向を偏向 る電子ビーム偏向手段を設け、この電子ビ ム偏向手段で電子ビームの方向を偏向して 数のX線焦点を形成して成るX線管と、このX 管から発生する複数のX線エネルギーを制御 る複数X線エネルギー制御手段とを備えたX 発生装置。

 また、上記実施形態では、1回のスキャン により高エネルギーX線と低エネルギーX線と 隣り合うビュー毎に切り替えてデュアルエ ルギー撮影を行う例について示したが、前 スキャンに引き続いて同一スライス位置を 記スキャンとは異なるX線エネルギーで撮影 するようにしてもよい。

 なお、本発明によるX線発生装置及びこれ を用いたX線CT装置は、人体を対象とした例に ついて説明したが、本発明はこれに限定する ものではなく、例えば荷物の中の爆薬、すな わち爆発物の存在を検知するための荷物スキ ャナにも適用可能である。




 
Previous Patent: SUSPENSION STRUCTURE

Next Patent: NONMAGNETIC TONER