Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
FILM FOR REINFORCING ELECTROLYTE MEMBRANE OF SOLID POLYMER FUEL CELL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/119628
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a biaxially oriented film which is suitable as a reinforcing member for electrolyte membranes of solid polymer fuel cells. The biaxially oriented film exhibits excellent hot water resistance in high-temperature high-humidity environments in which the film is used, and can maintain reinforcing effects for a long time. Specifically disclosed is a biaxially oriented film for reinforcing electrolyte membranes of solid polymer fuel cells, which is characterized in that (i) the film is mainly composed of a syndiotactic polystyrene; and (ii) the Young's modulus of at least one of the lengthwise direction or the widthwise direction is not less than 4500 MPa but not more than 8000 MPa.

Inventors:
MIZUNO NAOMI (JP)
ONO MITSUMASA (JP)
YOSHIDA TETSUO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/055886
Publication Date:
October 01, 2009
Filing Date:
March 25, 2009
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
TEIJIN LTD (JP)
MIZUNO NAOMI (JP)
ONO MITSUMASA (JP)
YOSHIDA TETSUO (JP)
International Classes:
C08J5/18; B29C55/14; H01M8/00; H01M8/02; B29K25/00; B29L7/00; H01M8/10
Domestic Patent References:
WO2007010039A12007-01-25
WO2008123261A12008-10-16
Foreign References:
JP2007335264A2007-12-27
JPH0765847A1995-03-10
JPH10199551A1998-07-31
JP2007103170A2007-04-19
JP2007250249A2007-09-27
JPS62187708A1987-08-17
Other References:
See also references of EP 2264087A4
Attorney, Agent or Firm:
MIHARA, Hideko (JP)
Hideko Mihara (JP)
Download PDF:
Claims:
 固体高分子型燃料電池の電解質膜補強用二軸配向フィルムであって、該フィルムは、
(i)主たる成分がシンジオタクチックポリスチレンであり、
(ii)縦方向または横方向の少なくとも一方のヤング率が4500MPa以上8000MPa以下である
ことを特徴とするフィルム。
 70℃の温度雰囲気下における縦方向または横方向の少なくとも一方のヤング率が3800MPa以上である請求項1に記載のフィルム。
 主配向軸方向において下記式(1)で表される破断強度保持率(R X )が50%以上である請求項1に記載のフィルム。
     R X (%)=(X/X 0 )×100  ・・・(1)
(式(1)中、Xは、121℃、2atm、100%RHの条件で300時間処理後の破断強度(単位:MPa)、X 0 は処理前の初期の破断強度(単位:MPa)、R X は破断強度保持率(%)をそれぞれ表す)
 フィルムを構成するシンジオタクチックポリスチレンの重量平均分子量が1.0×10 5 以上3.0×10 6 以下である請求項1に記載のフィルム。
 フィルムを構成するポリマー重量を基準としてシンジオタクチックポリスチレンの含有量が60重量%以上100重量%以下である請求項1に記載のフィルム。
 シンジオタクチックポリスチレンが共重合成分を0.1モル%以上10モル%以下の範囲で有する共重合シンジオタクチックポリスチレンである請求項1に記載のフィルム。
 フィルム厚みが5μm以上300μm以下である請求項1に記載のフィルム。
 フィルムを構成するポリマー重量を基準としてポリエステル樹脂を0.01重量%以上40重量%以下の範囲で含有する請求項1に記載のフィルム。
 ポリエステル樹脂がポリエチレンナフタレンジカルボキシレートである請求項8に記載のフィルム。
 固体高分子型燃料電池が移動体用である請求項1に記載に記載のフィルム。
 移動体が自動車である請求項10に記載のフィルム。
 請求項1に記載のフィルムを含む固体高分子型燃料電池の電解質膜補強部材。
 電解質膜および少なくとも1枚の二軸配向枠状フィルムを含み、枠状フィルムは、
(i)主たる成分がシンジオタクチックポリスチレンであり、
(ii)縦方向または横方向の少なくとも一方のヤング率が4500MPa以上8000MPa以下である
固体高分子型燃料電池用の補強電解質膜。
 電解質膜、少なくとも1枚の二軸配向枠状フィルムで形成された枠、正極および負極を有し、正極および負極は枠内で電解質膜を挟んで対向し、且つ枠状フィルムは、
(i)主たる成分がシンジオタクチックポリスチレンであり、
(ii)縦方向または横方向の少なくとも一方のヤング率が4500MPa以上8000MPa以下である
固体高分子型燃料電池用の膜・電極接合体。
(i)主たる成分がシンジオタクチックポリスチレンであり、
(ii)縦方向または横方向の少なくとも一方のヤング率が4500MPa以上8000MPa以下である 
二軸配向フィルムの固体高分子型燃料電池電解質膜の補強部材としての使用。
 
 
 
Description:
固体高分子型燃料電池の電解質 補強用フィルム

 本発明は、固体高分子型燃料電池(以下、 PEFCと呼ぶことがある)の電解質膜の補強部材 適した二軸配向フィルムに関する。更に詳 くは、優れた耐熱水性および機械的強度を する、PEFCの電解質膜の補強部材に適した二 軸配向フィルムに関する。

 近年、環境問題の観点から燃料電池の開 が積極的に行われている。使用される電解 の種類により、固体高分子電解質型、リン 型、溶融炭酸塩型、固体酸化物型などの各 の燃料電池が知られている。これらの中で 、固体高分子型燃料電池(PEFC)は、反応温度 比較的低く、また電解質の固定が容易であ ことから、小型の家庭用電源、ポータブル 源、移動体用電源としての用途が開かれつ あり、特に自動車用途に積極的に開発が進 られている。

 PEFCは、分子中にプロトン(水素イオン)交 基を有する高分子樹脂膜を飽和状態にまで 水させた場合に、プロトン導電性電解質と て機能することを利用した燃料電池である PEFCは、高分子イオン交換膜(陽イオン交換 )からなる高分子電解質膜と、この電解質の 側にそれぞれ配置されるアノード側電極お びカソード側電極とを有した膜・電極接合 (燃料電池セル)を、セパレータによって挟 することにより構成されている。アノード 電極に供給された燃料ガス、例えば水素は 触媒電極上で水素イオン化され、適度に加 された高分子電解質膜を介してカソード側 極側へと移動する。その間に生じた電子が 部回路に取り出され、直流の電気エネルギ して利用される。カソード側電極には、酸 剤ガス、例えば酸素ガスあるいは空気が供 されているために、このカソード側電極に いて、前記水素イオン、前記電子および酸 が反応して水が生成される。

 高分子電解質膜として、パーフルオロス ホン酸樹脂膜(例えば「Nafion」(デュポン社 登録商標))が使用されており、高分子電解質 膜の抵抗率を小さくして高い発電効率が得ら れるようにするために、通常50~100℃程度の温 度条件で運転される。この高分子電解質膜に は導電率の向上や低コスト化が求められてお り、極めて薄いフィルム状の素材であること から取扱いが難しい。

 そのため電極との接合時、複数の単電池 積層してスタックとして組み合わせる組み て作業時、その周縁部にしわが発生してし うことがしばしば生じる。また、しわなど 全くない状態であっても、スタックの構成 材の中で最も機械的強度が低いことが問題 なっている。また、例えば、PEFCではガスも れ、構成部品の電気的接触抵抗などを低減す るため、電池全体を恒常的に締め付けている 。この圧力により、特に電解質膜が経時劣化 をうけやすく、電池の耐久性低下につながる ことが指摘されている。

 そこで、特開平7-65847号公報(特許文献1)に は、電解質膜を機械的に補強するとともに、 電解質膜との境界面から燃料ガスや酸化剤ガ スが漏れないようにするための補強枠が提案 されている。補強枠として、動作温度におい ても所要の機械的強度,耐食性等を有するも が好ましく、ポリカーボネート、ポリエチ ンテレフタレート、ガラス繊維強化エポキ 樹脂、チタン、カーボンが開示されている

 また、特開平10-199551号公報(特許文献2)に 、電解質膜の両面に固定された多孔質体の 周端部に、気密性を有する枠部材を用いる とが提案されている。枠部材の材料として ポリカーボネート、エチレンプロピレン共 合体、ポリエステル、変性ポリフェニレン キサイド、ポリフェニレンサルファイド、 クリロニトリルスチレン等が挙げられてい 。

 特開2007-103170号公報(特許文献3)には、電 質膜の補強用フィルムとして、ポリエチレ ナフタレンジカルボキシレートを用いた二 配向ポリエステルフィルム(以下、PENフィル と称することがある)が提案されている。特 許文献3によると、PENフィルムを用いること より、高い機械的強度および加工温度・使 温度域において優れた耐熱寸法安定性を有 、また高湿度の使用環境において優れた加 分解性を有する枠部材が提供される。

 特開2007-250249号公報(特許文献4)には、燃 電池に使用されるシール一体型膜電極接合 において、シール部材の内部にシール部材 りも剛性の高い補強部材を有することが提 されている。補強部材の樹脂として、ポリ チレンナフタレート、ポリエチレンテレフ レート、ポリフェニレンサルファイド、ポ エーテルスルフォン、ポリエーテルエーテ ケトン、ポリイミド、ポリプロピレン、ポ イミドが挙げられている。

 このように、固体高分子型燃料電池の電解 膜補強部材として、主として機械的強度面 ら種々の樹脂が検討されている。
 一方、補強部材に対して長期信頼性も求め れつつあり、従来のような初期の補強強度 けではなく、高温・高湿度の使用環境でも 期に渡り、その機械的強度を維持できる材 が求められている。

特開平7-65847号公報

特開平10-199551号公報

特開2007-103170号公報

特開2007-250249号公報

 本発明の目的は、高温・高湿度の使用環 において優れた耐熱水性を有し、長期に渡 て補強効果を保持できる、固体高分子型燃 電池の電解質膜の補強部材に適した二軸配 フィルムを提供することにある。

 また本発明の目的は、優れた耐熱水性を し、長期補強効果を有するPEFC用の補強電解 質膜を提供することにある。また本発明の目 的は、優れた耐熱水性を有し、長期補強効果 を有するPEFC用の膜・電極接合体(以下、MEAと ぶことがある)を提供することにある。

 本発明のかかる目的は、固体高分子型燃料 池の電解質膜補強用二軸配向フィルムであ て、該フィルムは、
(i)主たる成分がシンジオタクチックポリスチ レンであり、
(ii)縦方向または横方向の少なくとも一方の ング率が4500MPa以上8000MPa以下である
ことを特徴とするフィルムによって達成され る。

 本発明は、その他、以下の態様も包含する
項2. 70℃の温度雰囲気下における縦方向また は横方向の少なくとも一方のヤング率が3800MP a以上である項1に記載のフィルム。
項3. 主配向軸方向において下記式(1)で表さ る破断強度保持率(R X )が50%以上である項1または項2に記載のフィル ム。

     R X (%)=(X/X 0 )×100  ・・・(1)
(式(1)中、Xは、121℃、2atm、100%RHの条件で300時 間処理後の破断強度(単位:MPa)、X 0 は処理前の初期の破断強度(単位:MPa)、R X は破断強度保持率(%)をそれぞれ表す)
項4. フィルムを構成するシンジオタクチッ ポリスチレンの重量平均分子量が1.0×10 5 以上3.0×10 6 以下である項1~3のいずれかに記載のフィルム 。
項5. フィルムを構成するポリマー重量を基 としてシンジオタクチックポリスチレンの 有量が60重量%以上100重量%以下である項1~4の ずれかに記載のフィルム。
項6. シンジオタクチックポリスチレンが共 合成分を0.1モル%以上10モル%以下の範囲で有 る共重合シンジオタクチックポリスチレン ある項1~5のいずれかに記載のフィルム。
項7. フィルム厚みが5μm以上300μm以下である 1~6のいずれかに記載のフィルム。
項8. フィルムを構成するポリマー重量を基 としてポリエステル樹脂を0.01重量%以上40重 %以下の範囲で含有する項1~7のいずれかに記 載のフィルム。
項9. ポリエステル樹脂がポリエチレンナフ レンジカルボキシレートである項8に記載の ィルム。
項10. 固体高分子型燃料電池が移動体用であ 項1~9のいずれかに記載に記載のフィルム。
項11. 移動体が自動車である項10に記載のフ ルム。
項12. 項1~11のいずれかに記載のフィルムを含 む固体高分子型燃料電池の電解質膜補強部材 。
項13. 電解質膜および少なくとも1枚の二軸配 向枠状フィルムを含み、枠状フィルムは、
(i)主たる成分がシンジオタクチックポリスチ レンであり、
(ii)縦方向または横方向の少なくとも一方の ング率が4500MPa以上8000MPa以下である
固体高分子型燃料電池用の補強電解質膜。
項14. 電解質膜、少なくとも1枚の二軸配向枠 状フィルムで形成された枠、正極および負極 を有し、正極および負極は枠内で電解質膜を 挟んで対向し、且つ枠状フィルムは、
(i)主たる成分がシンジオタクチックポリスチ レンであり、
(ii)縦方向または横方向の少なくとも一方の ング率が4500MPa以上8000MPa以下である
固体高分子型燃料電池用の膜・電極接合体。
項15. (i)主たる成分がシンジオタクチックポ スチレンであり、
(ii)縦方向または横方向の少なくとも一方の ング率が4500MPa以上8000MPa以下である 
二軸配向フィルムの固体高分子型燃料電池電 解質膜の補強部材としての使用。

 本発明は、シンジオタクチックポリスチ ンを主たる成分とし、ヤング率が一定以上 二軸配向フィルムを固体高分子型燃料電池 電解質膜の補強部材に用いることによって 耐熱水性が極めて高く、高温・高湿度の使 環境でも長期に渡り、その機械的強度を維 できることを見出し、本発明を完成するに ったものである。

 本発明の二軸配向フィルムは、高温・高 度の使用環境において優れた耐熱水性を有 、長期に渡って補強効果を保持できること ら、長期信頼性の求められる固体高分子電 質膜の補強部材として十分な補強効果を維 することができる。

 以下、本発明を詳しく説明する。

 <シンジオタクチックポリスチレン>
 本発明のフィルムは、主たる成分がシンジ タクチックポリスチレンである。シンジオ クチックポリスチレンは、単に加水分解性 高いだけでなく、耐熱性にも優れており、 定のヤング率を有する場合に、固体高分子 解質膜の補強部材として高温・高湿度の使 環境下で長期に渡ってその補強効果を保持 ることができる。

 シンジオタクチックポリスチレンの含有 は、好ましくはフィルムを構成するポリマ 重量を基準として60重量%以上100重量%以下で あり、より好ましくは90重量%以上100重量%以 、さらに好ましくは95重量%以上100重量%以下 特に好ましくは98重量%以上100重量%以下であ る。シンジオタクチックポリスチレンの含有 量がかかる範囲にあることにより、より優れ た耐熱水性が得られ、シンジオタクチックポ リスチレンの含有量が多いほど耐熱水性特性 は高くなる。

 本発明におけるシンジオタクチックポリ チレンは、立体化学構造がシンジオタクチ ク構造を有するポリスチレンであり、シン オタクチック構造を有するポリスチレン系 合体の総称として使用される。

 一般にタクティシティーは、同位体炭素に る核磁気共鳴法( 13 C-NMR法)により測定され、連続する複数個の構 成単位の存在割合、例えば2個の場合はダイ ッド、3個の場合はトリアッド、5個の場合は ペンタッド等によって示すことができる。本 発明のシンジオタクチックポリスチレンは、 ダイアッドで75%以上、好ましくは85%以上、ペ ンタッドで30%以上、好ましくは50%以上のタク ティシティーを有するポリスチレンである。

 かかるシンジオタクチックポリスチレンと て、シンジオタクチック構造を有するポリ チレン、ポリ(アルキルスチレン)、ポリ(ハ ゲン化スチレン)、ポリ(アルコキシスチレ )、ポリ(フェニルスチレン)、ポリ(ビニルス レン)、ポリ(ビニルナフタレン)あるいはこ らのベンゼン環の一部が水素化された重合 やこれらの混合物、またはこれらの構造単 を含む共重合体が挙げられる。
 ポリ(アルキルスチレン)として、ポリ(メチ スチレン)、ポリ(エチルスチレン)、ポリ(プ ロピルスチレン)、ポリ(ブチルスチレン)が例 示される。
 ポリ(ハロゲン化スチレン)として、ポリ(ク ロスチレン)、ポリ(ブロモスチレン)、ポリ( フルオロスチレン)が例示される。
 またポリ(アルコキシスチレン)として、ポ (メトキシスチレン)、ポリ(エトキシスチレ )が挙げられる。

 これらのうち、シンジオタクチック構造を するポリスチレン、ポリ(p-メチルスチレン) 、ポリ(m-メチルスチレン)またはポリ(p-ター ャリーブチルスチレン)が好ましく例示され 。
 共重合シンジオタクチックポリスチレンの 重合成分は、全繰り返し単位を基準として0 .1モル%以上10モル%以下であることが好ましい 。共重合成分の下限値は、より好ましくは1 ル%、さらに好ましくは3モル%、特に好まし は5モル%である。
 共重合シンジオタクチックポリスチレンの 合、かかる範囲で共重合成分を有すること より、製膜性、得られたフィルムの成形加 性が向上する。

 本発明のシンジオタクチックポリスチレン 重量平均分子量は、1.0×10 4 以上であることが好ましい。シンジオタクチ ックポリスチレンの重量平均分子量は、より 好ましくは1.0×10 5 以上3.0×10 6 以下であり、さらに好ましくは2.0×10 5 以上1.0×10 6 以下、特に好ましくは2.2×10 5 以上5.0×10 5 以下である。

 シンジオタクチックポリスチレンの重量平 分子量が1.0×10 5 未満の場合、フィルムを湾曲させた時の柔軟 性(変形性)が足りず、製膜機の予熱ロールや 送ロールに通した際に割れが発生しやすく また薄肉フィルムの製膜時にはフィルムの たつきや振動により延伸時の破断が発生し すいため、製膜性に乏しいことがある。

 また、かかる範囲内で重量平均分子量が り高い方が、耐熱性や機械特性の向上した ィルムを得ることができる。シンジオタク ックポリスチレンフィルムは、二軸配向に りフィルム厚み方向の強度が下がりやすい そのため重量平均分子量の低いシンジオタ チックポリスチレンフィルムを電解質膜の 強部材として用いた場合、締結圧力がかか とフィルム平面に沿って層状に割れが生じ ことがあり、補強効果やガスシール性が低 する可能性がある。締結圧力による層状の れはシンジオタクチックポリスチレンの重 平均分子量が高くなるほど低減し、またフ ルム厚みが薄いほど低減する。一方、重量 均分子量の上限値を超える場合、製膜性に しくなる場合がある。

 シンジオタクチックポリスチレンは、公 の方法によって製造することができる。例 ば日本特許出願公開昭62(1987)-187708号公報に 示されている方法、すなわち、不活性炭化 素溶媒中または溶媒の不存在下において、 タン化合物および水と有機アルミニウム化 物、特にトリアルキルアルミニウムとの縮 生成物を触媒として、スチレン系単量体を 合することにより製造することができる。

 本発明のシンジオタクチックポリスチレ には、必要に応じて公知の酸化防止剤、帯 防止剤などを適量配合することができる。

 <ポリエステル樹脂>
 本発明のフィルムは、さらにポリエステル 脂を配合することができ、その含有量はフ ルムのポリマー重量を基準として好ましく 0.01重量%以上40重量%以下、より好ましくは0. 1重量%以上10重量%以下、さらに好ましくは0.1 量%以上5重量%以下である。ポリエステル樹 を配合することにより、ヤング率などの機 的強度が向上し、補強効果を高めることが きる。一方、ポリエステル樹脂の配合によ 耐熱水性は低下することがあるため、含有 は極力少ない方がよい。ポリエステル樹脂 含有量が上限値を超えると延伸製膜が難し なったり、また耐熱水性が低下することが る。

 ポリエステル樹脂として、具体的には芳 族ポリエステル樹脂が挙げられ、具体的な カルボン酸成分として、例えばテレフタル 、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸 よび4,4’-ジフェニルジカルボン酸ならびに これらの誘導体が挙げられる。また具体的な ジオール成分として、例えばエチレングリコ ール、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサ ジメタノール、1,6-ヘキサンジオールが挙げ られる。特に耐熱性の観点から、ポリエチレ ンナフタレンジカルボキシレートが好ましい 。

 ポリエチレンナフタレンジカルボキシレ トを構成するナフタレンジカルボン酸とし は、たとえば2,6-ナフタレンジカルボン酸、 2,7-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレン カルボン酸およびこれらの誘導体を挙げる とができ、これらの中で2,6-ナフタレンジカ ルボン酸をジカルボン酸成分として用いたポ リエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレー が特に好ましい。

 ポリエステル樹脂は公知の方法を適用し 製造することができる。例えば、ジカルボ 酸成分、グリコール成分および必要に応じ 共重合成分をエステル化反応させ、次いで られる反応生成物を重縮合反応させる方法 ポリエステルを製造することができる。ま 、これらの原料モノマーの誘導体をエステ 交換反応させ、次いで得られる反応生成物 重縮合反応させる方法が挙げられる。

 <他添加剤>
 本発明の二軸配向フィルムは、フィルムの り扱い性を向上させるため、発明の効果を なわない範囲で不活性粒子などが添加され いても良い。不活性粒子として、例えば、 期律表第IIA、第IIB、第IVA、第IVBの元素を含 する無機粒子(例えば、カオリン、アルミナ 、酸化チタン、炭酸カルシウム、二酸化ケイ 素など)、架橋シリコーン樹脂、架橋ポリス レン、架橋アクリル樹脂粒子等の耐熱性の いポリマー粒子などが挙げられる。不活性 子を含有させる場合、不活性粒子の平均粒 は、0.001μm以上5μm以下の範囲が好ましい。 活性粒子の含有量は、フィルム全重量に対 て0.01重量%以上10重量%以下が好ましい。

 また本発明の二軸配向フィルムは、必要 応じて少量の紫外線吸収剤、酸化防止剤、 電防止剤、光安定剤、熱安定剤を含んでい もよい。

 <ヤング率>
 本発明の二軸配向フィルムは、縦方向また 横方向の少なくとも一方のヤング率が4500MPa 以上8000MPa以下である。本発明のフィルムは かかる弾性率を有することにより、電解質 の補強部材として、動作温度において十分 補強効果を発現することができる。ここで 方向とはフィルム製膜時の連続製膜方向を し、長手方向、MD方向と称することもある。 また横方向とはフィルム連続製膜方向に直交 する方向を指し、幅方向、TD方向と称するこ もある。また、ヤング率が4500MPa以上であっ て、より高いヤング率を有する方向について 、主配向軸と称する。
 かかるヤング率の下限値は、好ましくは4800 MPa、さらに好ましくは5000MPa、特に好ましく 5500MPaである。また縦方向または横方向の少 くとも一方のヤング率の上限値は、好まし は7000MPa、さらに好ましくは6500MPa、特に好 しくは6000MPaである。

 ヤング率が下限に満たない場合、電解質 の補強効果が十分でなく、電解質膜のハン リング性が低下する。また、電解質膜に負 がかかりやすく、電解質膜の破損が生じ、 池の耐久性低下につながる。ヤング率はか る範囲内でより高い方が好ましいが、用い 樹脂の特性上、ヤング率の上限がかかる範 を超えると、フィルム製膜工程でフィルム 断が多発するため、その上限は自ずと制限 れる。

 固体高分子電解質膜の補強部材として用い 場合、その補強効果はフィルム面に対する 衝撃性や耐変形性、耐圧力性であり、少な とも一方向のヤング率がかかる範囲内であ ば、十分に分子配向構造が形成され、それ の特性が発現するものである。
 縦方向または横方向の少なくとも一方のヤ グ率が上述の範囲にある場合において、も 一方のヤング率は特に限定されないが、3500 MPa以上であることが好ましい。
 上述のヤング率は、製膜方法において説明 る延伸倍率の範囲でフィルムを延伸するこ により得ることができる。

 また本発明の二軸配向フィルムは、70℃の 度雰囲気下における縦方向または横方向の なくとも一方のヤング率が3800MPa以上である とが好ましい。該ヤング率は、より好まし は4000MPa以上、さらに好ましくは4500MPa以上 ある。70℃の温度雰囲気下における少なくと も一方のヤング率が下限に満たない場合、本 発明のフィルムが電解質膜の補強部材として 自動車などの移動体に搭載された場合、固体 高分子型燃料電池(PEFC)の動作温度である50~100 ℃において、運転中の振動や衝撃、あるいは ガスや水などの流体の圧力に対して変形が生 じることがある。補強部材に変形が生じると 、電解質膜を十分に保持できず電解質膜に損 傷を与えたり、シール部材との接合状態が低 下するなど、十分な補強効果を発現すること ができないことがある。ヤング率はかかる範 囲内でより高い方が好ましいが、用いる樹脂 の特性上、上限は自ずと制限され、6500MPa以 である。
 70℃の温度雰囲気下における該ヤング率方 は、室温における4500MPa以上のヤング率方向 すなわち主配向軸と一致している。

 70℃の温度雰囲気下におけるヤング率は 室温におけるヤング率と同じく延伸時の延 倍率で調整することができ、3800MPa以上のヤ グ率を達成するためにはかかるヤング率方 における延伸が3.0倍以上であることが好ま い。また、4000MPa以上のヤング率を達成する ためにはかかるヤング率方向における延伸が 3.6倍以上であることが好ましい。さらに4500MP a以上のヤング率を達成するためにはかかる ング率方向における延伸が4.0倍以上である とが好ましい。また、同じ延伸倍率でもポ エステル樹脂をブレンド成分として含有す ことによりさらにヤング率が高くなる。

 <耐熱水性>
 本発明の二軸配向フィルムは、含水状態に る電解質膜表面に接触した状態で、50℃~100 程度の温度域で使用されるため、高温・高 度環境で長期間に渡り、加水分解による強 低下が小さいことが好ましい。そのため本 明のフィルムは、主配向軸方向において下 式(1)で表される破断強度保持率(R x )が50%以上であることが好ましい。

     R X (%)=(X/X 0 )×100  ・・・(1)
 式(1)中、Xは、121℃、2atm、100%RHの条件で300 間処理後の破断強度(単位:MPa)、X 0 は処理前の初期の破断強度(単位:MPa)、R X は破断強度保持率(%)をそれぞれ表す。

 式(1)で表わされる破断強度保持率(R x )は、より好ましくは70%以上、さらに好まし は80%以上である。
 式(1)で表わされる破断強度保持率(R x )が下限に満たない場合、高温・高湿度の使 環境下で長期に渡って補強部材として充分 機械的強度を保てなくなることがある。か る耐熱水性は、シンジオタクチックポリス レンを主たる成分とすることにより達成さ る。また破断強度保持率を80%以上にするた にはシンジオタクチックポリスチレンの含 量が90重量%以上であることにより達成され 。

 <フィルム厚み>
 本発明の二軸配向フィルムのフィルム厚み 、1μm以上300μm以下であることが好ましい。 フィルム厚みは、より好ましくは5μm以上300μ m以下である。またフィルム厚みの下限値は さらに好ましくは10μmである。またフィルム 厚みの上限値は、より好ましくは250μm、さら に好ましくは150μm、特に好ましくは100μmであ る。フィルム厚みが下限値に満たない場合、 電解質膜の補強部材として十分な補強効果が 得られないことがある。一方、シンジオタク チックポリスチレンフィルムで上限値を超え るフィルムの作成は困難である。また厚みが 上限値を超える場合、電池のサイズを小さく することが難しくなる場合がある。

 <製膜方法>
 本発明のフィルムは二軸配向されている必 がある。二軸配向されていることにより、 械的強度などの特性が良好なものとなり、 体高分子電解質膜の補強部材として充分な 能を発現することが可能となる。

 本発明の二軸配向フィルムは、二軸延伸 れるのであれば、公知の製膜方法を用いて 造することができ、例えば十分に乾燥させ シンジオタクチックポリスチレンを融点~( 点+70)℃の温度で溶融押出し、キャスティン ドラム上で急冷して未延伸フィルムとし、 いで該未延伸フィルムを逐次または同時二 延伸し、熱固定する方法で製造することが きる。

 逐次二軸延伸により製膜する場合、縦方向 たは横方向のいずれか一方が4500MPa以上のヤ ング率(主配向軸方向)となるように、3.0倍以 6.0倍以下の範囲で延伸する。主配向軸方向 直交方向は、2.3~5.0倍の範囲で延伸すること が好ましい。
 室温におけるヤング率特性を好ましい範囲 する場合、主配向軸方向の延伸倍率は、よ 好ましくは4.0倍以上4.8倍以下である。また 配向軸の直交方向の延伸倍率は、より好ま くは2.5倍以上4.0倍以下である。

 なお、縦方向の延伸温度は100~140℃、横方 向の延伸温度は110~140℃であることが好まし 。

 また熱固定は、200~260℃、より好ましくは220 ~240℃の温度で、緊張下または制限収縮下で 固定するのが好ましく、熱固定時間は1~1000 が好ましい。
 同時二軸延伸の場合、上記の延伸温度、延 倍率、熱固定温度等を適用することができ 。また、熱固定後に弛緩処理を行ってもよ 。

 フィルム中にポリエステルをブレンド成 として含む場合には、乾燥させた所定量の リエステルチップをシンジオタクチックポ スチレンチップと混ぜた後、ホッパーに投 し、その後は上述の方法に従い、押出機を じて溶融押出し、続いて延伸製膜を施して 軸配向フィルムを得ることができる。

 <用途>
 本発明の二軸配向フィルムは、動作温度が5 0~100℃程度の固体高分子型燃料電池(PEFC)の電 質膜の補強用フィルムであり、電解質膜の 強部材として用いられる。本発明の二軸配 フィルムは、かかる動作温度において、さ に振動や衝撃、締結圧力などが加わっても 薄肉フィルムでありながら補強部材として 分な補強効果を発現することができる。

 PEFCとして、定置用または移動体用の燃料電 池が挙げられる。移動体用の用途の中でも自 動車用のPEFCに好適に使用することができる
 従って本発明は、上記フィルムを有する固 高分子型燃料電池(PEFC)を包含する。

 <電解質補強部材>
 本発明の二軸配向フィルムは、PEFCの電解質 膜の補強部材として使用されることが好まし い。ここで電解質膜の補強部材は、枠状の部 材であることが好ましく、電解質膜の周縁部 に配置される。枠状の補強部材は、本発明の フィルムを用い、電極を積層する中心部が電 極形状に切り取られ、周縁部のみにフィルム が存在する、額縁のような形状に加工して作 成される。電解質膜の補強部材は、本発明の 二軸配向フィルムだけで構成される場合の他 、本発明の二軸配向フィルムの少なくとも片 面に、さらに接着層などの他層が積層される 場合が含まれる。また、電解質膜と本発明の 二軸配向フィルムとの接着性を高めるために 、フィルム表面にコロナ処理、プラズマ処理 などを施してもよい。

 電解質膜の補強部材は、少なくとも1枚の二 軸配向フィルムを電解質膜の周辺部に張り合 わせて使用することができる。
 また、電解質膜の補強部材は、少なくとも2 枚の二軸配向フィルムを重ね合せて用いるこ とが好ましい。具体的には、電解質膜の周縁 部を挟み、電解質膜の両面にそれぞれ1枚ず 二軸配向フィルムを使用する態様が挙げら る。さらに、電解質膜の周縁部を介した両 に、それぞれ2枚以上の二軸配向フィルムを ね合わせて使用してもよい。

 <補強電解質膜>
 本発明は、電解質膜および少なくとも1枚の 二軸配向枠状フィルムを含むPEFC用の補強電 質膜を包含する。
 また、電解質膜および電解質膜を挟んで対 する2枚の二軸配向枠状フィルムを含むPEFC の補強電解質膜であることがさらに好まし 。

 PEFCでは、電解質膜の両側に電極層が配置さ れており、電極層は電解質膜よりも寸法が小 さく、本発明の二軸配向枠状フィルムは、通 常電極層の外縁を囲むように配置される。
 本発明の補強電解質膜において、枠状の補 部材に用いるフィルムは前述の通りである 本発明のフィルムは、電極を積層する中心 が電極形状に切り取られ、周縁部のみにフ ルムが存在する、額縁のような形状を有す ことが好ましい。

 枠状フィルムを1枚用いる場合は、電解質膜 の周縁部を挟み電解質膜の片面から支持する 。
 また枠状フィルムを2枚用いる場合、2枚の 状フィルムは、電解質膜の周縁部を挟み電 質膜を両面から支持することが好ましい。

 本発明の補強電解質膜において、少なくと 2枚の二軸配向フィルムを重ね合わせる方向 は、それぞれのフィルムのヤング率が4500MPa 上である方向(主配向軸方向)を同じ方向に重 ね合せてもよく、またランダムに重ね合せて もよい。特に、少なくとも2枚のフィルムは 主配向軸方向が互いに直交することが好ま い。主配向軸方向を直交方向に重ね合わせ ことにより、面方向に対して補強効果が高 だけでなく、いずれの方向から衝撃が加わ ても高い補強効果を有する補強電解質膜と る。
 本発明の補強電解質膜において、電解質膜 パーフルオロスルホン酸樹脂からなること 好ましい。

 <膜・電極接合体>
 本発明は、本発明のフィルム、電解質膜、 極および負極からなる固体高分子型燃料電 (PEFC)用の膜・電極接合体(MEA)を包含する。

 本発明のMEAは、電解質膜、少なくとも1枚 の二軸配向枠状フィルムで形成された枠、正 極および負極を有し、正極および負極は枠内 で電解質膜を挟んで対向する。

 また、本発明のMEAは、電解質膜、2枚の二 軸配向枠状フィルムで形成された枠、正極お よび負極を有し、2枚の枠状フィルムは電解 膜を挟んで対向し、正極および負極は枠内 電解質膜を挟んで対向することがさらに好 しい。

 本発明のMEAにおいて、枠状フィルムに用 るフィルムは前述の通りである。枠状フィ ムは、電極を積層する中心部が電極形状に り取られ、周縁部のみにフィルムが存在す 、額縁のような形状を有することが好まし 。

 枠状フィルムを1枚用いる場合は、電解質膜 の周縁部を挟み電解質膜の片面から支持する 。
 また枠状フィルムを2枚用いる場合、2枚の 状フィルムは、電解質膜の周縁部を挟み電 質膜を両面から支持することが好ましい。2 の枠状フィルムを重ねる方向は補強電解質 の記載に準じる。

 これらの電極層の外側にはさらに電極層よ も寸法の大きい拡散層が配置され、枠状フ ルムの一方の面は電解質膜の周縁部と、も 一方の面は拡散層の周縁部とそれぞれ接す 。
 本発明のMEAにおいて、電解質膜は、パーフ オロスルホン酸樹脂からなることが好まし 。

 負極(燃料極)は、水素やメタノールなど 燃料をプロトンと電子に分解する電極であ 。負極は、カーボンブラック担体上に白金 媒あるいはルテニウム-白金合金触媒を担持 たものが好ましい。正極(空気極)は、電解 膜から来たプロトンと、導線から来た電子 空気中の酸素と反応させ水を生成する電極 ある。正極(空気極)は、カーボンブラック担 体上に白金触媒を担持したものが好ましい。

 以下、実施例により本発明を詳述するが、 発明はこれらの実施例のみに限定されるも ではない。なお、各特性値は以下の方法で 定した。また、実施例中の部および%は、特 に断らない限り、それぞれ重量部および重量 %を意味する。
(1)ヤング率(室温)
 フィルムを150mm長×10mm幅に切り出した試験 を用い、オリエンテック社製テンシロンUCT-1 00型を用いて、温度20℃、湿度50%に調節され 室内において、チャック間100mmにして引張速 度10mm/分、チャート速度500mm/分で引張り、得 れる荷重―伸び曲線の立ち上り部の接線よ ヤング率を計算する。なお、縦方向のヤン 率とはフィルムの縦方向(MD方向)を測定方向 としたものであり、横方向のヤング率とはフ ィルムの横方向(TD方向)を測定方向としたも である。各ヤング率はそれぞれ10回測定し、 その平均値を用いた。
(2)ヤング率(70℃)
 70℃の温度雰囲気下におけるヤング率は、 津製作所製オートグラフAG-Xを用い、70℃の 度雰囲気に設定されたチャンバー内に試験 及びオートグラフのチャック部分をセット 、1分間静置後、チャック間距離100mm、引張 度10mm/分、チャート速度500mm/分の条件で引っ 張り、得られる荷重-伸び曲線の立ち上がり の接線より求めた。フィルム試験片は、150mm 長×10mm幅のものを用い、試験片の長片がフィ ルムの縦方向である試験片、試験片の長片が フィルムの横方向である試験片について、そ れぞれヤング率を求めた。各ヤング率はそれ ぞれ10回測定し、その平均値を用いた。
(3)耐熱水性
 フィルムの主配向軸方向が測定長となるよ に150mm長×10mm幅に切り出した短冊状の試料 を、121℃・2atm・濡れ飽和モード・100%RHに設 した環境試験機内にステンレス製のクリッ で吊り下げる。300時間処理後に試料片を取 出し、破断強度を測定する。測定は5回行い 、その平均値を求め、下記式(1)で表される300 時間後の破断強度保持率(R X )を求めて耐熱水性を評価した。測定装置と てオリエンテック社製テンシロンUCT-100型を い、室温のヤング率測定と同じ測定条件で った。

     R X (%)=(X/X 0 )×100  ・・・(1)
(式(1)中、Xは、121℃、2atm、100%RHの条件で300時 間処理後の破断強度(単位:MPa)、X 0 は処理前の初期の破断強度(単位:MPa)、R X は破断強度保持率(%)をそれぞれ表す)
(4)重量平均分子量
 シンジオタクチックポリスチレンポリマー 用い、0.10%のo-ジクロロベンゼン溶液を調整 し、140℃で溶解させた。ここで濃度は試料/ 媒の重量比である。
 得られた溶液を孔径が1.0μmの焼結フィルタ でろ過したものを分析試料とした。使用装 装置および測定条件は以下のとおりである
 標準ポリスチレンを用いて較正曲線を作成 、各試料について分子量分布曲線と重量平 分子量を求めた。

 <使用装置および測定条件> 
装置: ゲル浸透クロマトグラフAlliance GPC 200 0型(Waters社製)
分離カラム: TSKgel GMH6-HT×2+TSKgel GMH6-HTL×2(内 径7.5mm×長さ300mm、東ソー社製)
カラム温度: 140℃ 
移動相: o-ジクロロベンゼン 
流速: 1.0mL/min.
検出器: 示差屈折計(RI)
注入量: 400μL
分子量較正: 単分散ポリスチレン(東ソー社 ) 
(5)フィルム厚み
 電子マイクロメータ(アンリツ(株)製の商品 「K-312A型」)を用いて針圧30gにてフィルム厚 みを測定した。
(6)補強部材の補強性能評価(A)
 電解質膜として100mm四方のパーフルオロス ホン酸樹脂(デュポン社製:ナフィオン117)を い、その両面に枠状の二軸配向フィルム(外 100mm×100mm、内周80mm×80mm)を重ねて140℃で熱 レスにより接合した。
 かかる電解質膜及び補強部材の構成体を振 試験機に固定し、90℃の雰囲気下で、振幅0. 75mm(縦方向)、10Hz→55Hz→10Hzを60秒で掃引、こ を1サイクルとして10サイクル行った後の、 解質膜のしわ、破れ、破損などの変化を目 で観察し、以下の基準で評価した。
 ○: 電解質膜の部分にしわ、破れ、破損な の変化が観察されず、補強性能に優れてい
 ×: 電解質膜の部分にしわ、破れ、破損の なくともいずれか1つが観察され、補強性能 十分ではない
(7)補強部材の補強性能評価(B)
 (6)の方法で作成した電解質膜及び補強部材 構成体を121℃・2atm・濡れ飽和モード・100%RH に設定した環境試験機内に設置し、300時間処 理を行った。
 処理後のサンプルを用いて振動試験機に固 し、90℃の雰囲気下で、振幅0.75mm(縦方向)、 10Hz→55Hz→10Hzを60秒で掃引、これを1サイクル として10サイクル行った後の、電解質膜のし 、破れ、破損などの変化を目視で観察し、 下の基準で評価した。
 ○: 電解質膜の部分にしわ、破れ、破損な の変化が観察されず、補強性能に優れてい
 ×: 電解質膜の部分にしわ、破れ、破損の なくともいずれか1つが観察され、補強性能 十分ではない
 [実施例1]
 120℃で4時間乾燥したシンジオタクチックポ リスチレンホモポリマー(重量平均分子量;2.7 10 5 )を押出機に供給し、溶融温度300℃で溶融し ダイスリットより押出した後、表面温度60℃ に設定したキャスティングドラム上で冷却固 化させて未延伸フィルムを作成した。この未 延伸フィルムを120℃にて縦方向(連続製膜方 )に3.2倍延伸し、その後、125℃で横方向(幅方 向)に3.6倍に逐次二軸延伸し、200℃にて熱固 処理し、25μm厚の二軸配向フィルムを得た。 得られた二軸配向フィルムの特性を表1に示 。得られた二軸配向フィルムは、横方向の ング率が4800MPaであり、また耐熱水性評価に いて、300時間後の破断強度保持率は85%と非 に優れており、長時間補強効果を維持して た。

 また、測定方法(6)に準じて作成した補強 解質膜について、補強電解質膜の片面の枠 フィルム内に負極、他方の面の枠状フィル 内に正極をそれぞれ配置し、固体高分子型 料電池に組み込んで電池性能を測定した。 の結果、電解質膜破損も発生せず、通常の 作・電池能力を確認した。

 [実施例2]
 ナフタレン-2,6-ジカルボン酸ジメチルおよ エチレングリコールを酢酸マンガンの存在 、常法によりエステル交換反応を行った後 トリエチルフォスフォノアセテートを添加 た。次いで三酸化アンチモンを添加して、 法により重縮合させてポリエチレン-2,6-ナフ タレンジカルボキシレート樹脂を得た。

 得られたポリエチレン-2,6-ナフタレンジカ ボキシレート樹脂(固有粘度;0.62dl/g)に平均粒 子径0.3μmの球状シリカを0.1重量%添加し、180 で6時間乾燥した後、シンジオタクチックポ スチレンホモポリマー(重量平均分子量;2.7× 10 5 )中にポリマー重量を基準として5重量%ブレン ドしてポリマー原料として用いた以外は、実 施例1と同様の操作を行い、二軸配向フィル を得た。得られた二軸配向フィルムの特性 表1に示す。得られた二軸配向フィルムは、 方向のヤング率が4900MPaであり、また耐熱水 性評価において、300時間後の破断強度保持率 は80%と非常に優れており、長時間補強効果を 維持していた。

 [実施例3]
 実施例1と同様にして作成した未延伸フィル ムを120℃にて縦方向(連続製膜方向)に4.5倍延 し、その後、125℃で横方向(幅方向)に2.5倍 逐次二軸延伸し、200℃で熱固定処理して25μm 厚の二軸配向フィルムを得た。得られた二軸 配向フィルムの特性を表1に示す。得られた 軸配向フィルムは、縦方向のヤング率が5600M Paであり、また耐熱水性評価において、300時 後の破断強度保持率は85%と非常に優れてお 、長時間補強効果を維持していた。

 [実施例4]
 実施例2と同様にして作成した未延伸フィル ムを120℃にて縦方向(連続製膜方向)に2.5倍延 し、その後、125℃で横方向(幅方向)に4.5倍 逐次二軸延伸し、200℃で熱固定処理して25μm 厚の二軸配向フィルムを得た。得られた二軸 配向フィルムの特性を表1に示す。得られた 軸配向フィルムは、横方向のヤング率が5700M Paであり、また耐熱水性評価において、300時 後の破断強度保持率は85%と非常に優れてお 、長時間補強効果を維持していた。

 [実施例5]
 シンジオタクチックポリスチレンホモポリ ーとして、重量平均分子量が異なる種類の の(重量平均分子量;2.3×10 5 )を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行 、二軸配向フィルムを得た。得られた二軸 向フィルムの特性を表1に示す。得られた二 軸配向フィルムは、横方向のヤング率が4600MP aであり、また耐熱水性評価において、300時 後の破断強度保持率は85%と非常に優れてお 、長時間補強効果を維持していた。

 [実施例6]
 共重合系シンジオタクチックポリスチレン( 出光興産株式会社製、グレード;42AE、重量平 分子量;2.3×10 5 )を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行 、二軸配向フィルムを得た。得られた二軸 向フィルムの特性を表1に示す。得られた二 軸配向フィルムは、横方向のヤング率が4700MP aであり、また耐熱水性評価において、300時 後の破断強度保持率は85%と非常に優れてお 、長時間補強効果を維持していた。また、 重合系のシンジオタクチックポリスチレン 用いることにより、フィルム製膜性が向上 た。

 [実施例7]
 共重合系のシンジオタクチックポリスチレ として、重量平均分子量が異なる種類のも (出光興産株式会社製、グレード;142AE、重量 平均分子量;2.0×10 5 )を用いた以外は、実施例6と同様の操作を行 、二軸配向フィルムを得た。得られた二軸 向フィルムの特性を表1に示す。得られた二 軸配向フィルムは、横方向のヤング率が4500MP aであり、また耐熱水性評価において、300時 後の破断強度保持率は85%と非常に優れてお 、長時間補強効果を維持していた。 

 [比較例1]
 実施例1と同様にして作成した未延伸フィル ムを120℃にて縦方向(連続製膜方向)に2.0倍延 し、その後、125℃で横方向(幅方向)に2.0倍 逐次二軸延伸し、200℃にて熱固定処理し、25 μm厚の二軸配向フィルムを得た。得られた二 軸配向フィルムの特性を表1に示す。得られ 二軸配向フィルムは、縦方向、横方向とも ヤング率が3000MPaであり、耐熱水性には優る のの、補強効果が不足していた。

 [比較例2]
 実施例2に記載の方法で得られたポリエチレ ン-2,6-ナフタレンジカルボキシレート樹脂(固 有粘度;0.62dl/g)に平均粒子径0.3μmの球状シリ 粒子を0.1重量%添加し、180℃で6時間乾燥した 後、300℃に加熱された押出機に供給し、表面 温度60℃に設定したキャスティングドラム上 冷却固化させて未延伸フィルムを作成した この未延伸フィルムを150℃にて縦方向(連続 製膜方向)に3.2倍延伸し、その後、145℃で横 向(幅方向)に3.6倍に逐次二軸延伸し、200℃に て熱固定処理して25μm厚の二軸配向フィルム 得た。得られた二軸配向フィルムの特性を 1に示す。得られた二軸配向フィルムは、高 いヤング率を有しており、初期の補強効果に 優れるものの、耐熱水性評価において、300時 間後の破断強度保持率が低く、十分な長時間 補強効果は得られなかった。

 
 

 本発明の二軸配向フィルムは、高温・高 度の使用環境において優れた耐熱水性を有 、長期に渡って補強効果を保持できること ら、固体高分子電解質膜の補強部材として 適に用いられる。




 
Previous Patent: WO/2009/119596

Next Patent: ABSORPTION HEAT PUMP UNIT