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Title:
ACCELERATION CONTROL APPARATUS FOR AUTOMOBILE DUAL-CLUTCH TRANSMISSION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/116418
Kind Code:
A1
Abstract:
The present invention causes smooth acceleration using two gears under ordinary circumstances and rapidly switches to acceleration using a single gear on hills, etc., during acceleration of a freight vehicle equipped with a dual-clutch transmission. During ordinary acceleration of a freight vehicle, the two input axles of a dual-clutch gear mechanism are shifted to first gear and second gear, and second-gear acceleration is performed by increasing the amount of contact of a friction clutch linked to the second-gear gear train. After a certain amount of time has elapsed, the degree of opening of the accelerator, the vehicle speed, and so on are detected to determine whether or not drive power is lacking, and if drive power is not lacking, then rapid acceleration of the vehicle is performed by continuing to accelerate in second gear. If drive power is determined to be lacking, the friction clutch linked to the first-gear gear train is immediately engaged. Since the gear train for the first gear is already shifted to, the transmission shifts down in a short amount of time, avoiding unexpected situations even on hills, such as reversing of the vehicle.

Inventors:
KOGA HIDETAKA (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/054493
Publication Date:
September 24, 2009
Filing Date:
March 10, 2009
Export Citation:
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Assignee:
ISUZU MOTORS LTD (JP)
KOGA HIDETAKA (JP)
International Classes:
F16D48/02; F16H61/02; F16H61/08; F16H59/04; F16H59/14; F16H59/44; F16H59/56; F16H59/70; F16H61/682
Domestic Patent References:
WO2006137591A12006-12-28
Foreign References:
JP2007057042A2007-03-08
JP2005329813A2005-12-02
JP2005121113A2005-05-12
JP2007100891A2007-04-19
JPH08320054A1996-12-03
JP2007170640A2007-07-05
Other References:
See also references of EP 2256359A4
Attorney, Agent or Firm:
ONO, Hisazumi et al. (JP)
Ono Pure in addition (JP)
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Claims:
貨物用車両に搭載されたデュアルクラッチ式変速機を、発進時に制御する発進制御装置であって、
前記デュアルクラッチ式変速機が、それぞれ摩擦クラッチを介してエンジンに結合された2本の入力軸と、前記2本の入力軸のそれぞれに一つおきの変速段を構成するよう設けられた複数の歯車列とを備えており、
前記発進制御装置は、前記貨物用車両の発進時における駆動力が不足か否かを判別する駆動力判定手段を備え、かつ、
前記貨物用車両の停止時に、前記デュアルクラッチ式変速機を1速段と2速段とにシフトした状態に設定し、
前記貨物用車両の発進時には、2速段の歯車列に連なる摩擦クラッチの接続量を増加して発進させ、所定時間の経過後に前記駆動力判定手段により駆動力を判別し、駆動力の不足と判定されたときは、1速段の歯車列に連なる摩擦クラッチの接続量を増加させるとともに、2速段の歯車列に連なる摩擦クラッチの接続量を減少させるよう制御することを特徴とする発進制御装置。
前記貨物用車両の発進時において、前記駆動力判定手段により駆動力が不足ではないと判定されたときは、前記発進制御装置が、前記デュアルクラッチ式変速機を1速段から3速段へ切換える請求項1に記載された発進制御装置。
前記発進制御装置が、前記貨物用車両の発進時に2速段の歯車列に連なる摩擦クラッチの接続状態を検出しており、前記所定時間の経過以前に完接状態となったことを検出したときは、前記駆動力判定手段による駆動力の判別を禁止する請求項1に記載された発進制御装置。
前記発進制御装置が、運転者の操作する1速発進スイッチを備えており、前記貨物用車両の停止時に前記1速発進スイッチが操作されたときは、前記貨物用車両の発進時における制御を禁止する請求項1に記載された発進制御装置。
前記駆動力判定手段が、アクセル開度に対する車速又は車両加速度との関係から駆動力の過不足を判別する請求項1に記載された発進制御装置。
前記駆動力判定手段が、2速段に歯車列に連なる摩擦クラッチの滑り量又はクラッチ吸収エネルギにより駆動力の過不足を判別する請求項1に記載された発進制御装置。
Description:
車両用デュアルクラッチ式変速 の発進制御装置

 本発明は、車両の動力伝達装置における 速機であって、それぞれ摩擦クラッチを介 てエンジンに結合された2本の変速機入力軸 を備え、変速の際に、2個の摩擦クラッチの 続状態を制御しながら変速を実行するデュ ルクラッチ式変速機に関するものである。

 近年、車両の運転の容易化さらには運転 の疲労軽減のために、各種の自動的な車両 動力伝達装置が開発されている。トルクコ バータと遊星歯車機構を組み合わせた自動 速機がその代表的なものであり、いわゆる ートマ車(AT車)の動力伝達装置として広く普 及している。自動変速機以外にも、マニュア ル車(MT車)と同様な平行軸歯車機構式変速機 使用し、これと自動操作クラッチとを組み わせて、電子制御装置等の変速指令により 速段を切換える動力伝達装置が存在する。

 平行軸歯車機構式変速機を使用する自動 な変速装置では、トルクコンバータの介在 伴う伝達損失がなく、自動変速機よりも車 の燃料経済性の面では優れているが、変速 ョックが自動変速機よりも大きい傾向にあ 。平行軸歯車機構式変速機では、変速を行 際は、エンジンと変速機との間の摩擦クラ チを切断して動力伝達用の歯車列を切換え ため、短時間ではあるものの動力の伝達が 断される。これに対し、遊星歯車機構に設 た湿式多板クラッチやブレーキの係合状態 制御して変速を行う自動変速機では、変速 際にも実質的に動力伝達が遮断されず、変 ショックが少ない。

 平行軸歯車機構式変速機において、変速 にも動力伝達を継続させてショックを防止 るため、2個の摩擦クラッチとそれぞれの摩 擦クラッチに連結された2本の変速機入力軸 を備えたデュアルクラッチ式変速機(又はツ ンクラッチ式変速機)と称する変速機が知ら れており、一例として特開平8-320054号公報に 示されている。

 デュアルクラッチ式変速機には、図1に示 すように、2重管構造をなす第1入力軸S1と第2 力軸S2が配置され、第2入力軸S2は、中空の 1入力軸S1を貫通して後方に延長されている 変速機の前方には、内側と外周側とに同心 に配置された第1摩擦クラッチC1及び第2摩擦 ラッチC2が設けられ、それぞれの摩擦クラ チの入力側はエンジン出力軸に接続される これらの摩擦クラッチは、この例では湿式 板クラッチであって、第1摩擦クラッチC1の 力軸は中空の第1入力軸S1と一体的に連結さ 、第2摩擦クラッチC2の出力軸は第2入力軸S2 一体的に連結される。2個の摩擦クラッチを 心状に配置する代わりに軸方向に並列して 置してもよく、湿式多板クラッチに代え乾 単板クラッチを用いてもよい。

 第1入力軸S1及び第2入力軸S2と平行に中間 (カウンタ軸)S3が設置されており、各入力軸 には一つおきの変速段の歯車列が中間軸との 間に配置される。換言すれば、デュアルクラ ッチ式変速機では、1速段と2速段、2速段と3 段というように、隣り合う変速段(ギヤ段)の 歯車列が互いに別の入力軸に配置されている 。図1のデュアルクラッチ式変速機は、前進6 (直結段を含む)と後退段とを備えるもので り、中空の第1入力軸S1には、偶数段である2 段歯車列G2、4速段歯車列G4及び6速段歯車列G 6の固定歯車が配置され、一方、第2入力軸S2 は、奇数段である1速段歯車列G1及び3速段歯 列G3と、後退段歯車列GRVの固定歯車とが配 される。これらの固定歯車は、中間軸S3に遊 嵌された、すなわち回転可能に嵌め込まれた 対応する遊嵌歯車と噛み合い、各遊嵌歯車の 間に、2速段-4速段切換え装置X1、6速段-3速段 換え装置X2及び1速段-後退段切換え装置X3が 置される。

 切換え装置は、平行軸歯車機構式変速機で 般的に用いられる、各遊嵌歯車に一体的に 成されるドグ歯(ギヤスプライン)と噛み合 変速スリーブ、シンクロナイザ機構等を備 た噛合クラッチとして構成されている。中 軸S3の後端には、減速して出力軸S4を駆動す 出力軸駆動歯車列OGが設けられるとともに 第2入力軸S2の後端には、変速機の5速段とし 出力軸S4と直結させる噛合クラッチ式の直 クラッチC3が配置される。図1の変速機では 中間軸S3に遊嵌歯車と噛合クラッチとを配置 しているが、中間軸S3の各歯車を固定歯車と 、第1入力軸S1及び第2入力軸S2の歯車を遊嵌 車として、ここに噛合クラッチ(切換え装置 )を設けることもできる。
 一つの変速段によりエンジンの動力を伝達 るときは、その変速段の遊嵌歯車に切換え 置の変速スリーブを噛み合わせる。以下、 速段の遊嵌歯車に変速スリーブを噛み合わ る操作を「変速段にシフトする」という。

 車両の走行時においては、例えば2速段で 走行している状態では、第1摩擦クラッチC1が 接続され第2摩擦クラッチC2は切断されており 、2速段-4速段切換え装置X1が2速段にシフトさ れる。エンジン動力は、第1摩擦クラッチC1に 結合される第1入力軸S1から2速段歯車列G2を介 して中間軸S3を駆動し、さらに、後端の出力 駆動歯車列OGを介して出力軸S4を駆動する。 2速から3速に変速するときは、第1摩擦クラッ チC1を切断し、6速段-3速段切換え装置X2を3速 にシフトし第2摩擦クラッチC2を接続する。 速が終了すると、エンジン動力は、第2入力 軸S2から3速段歯車列G3を介して中間軸S3に伝 され、出力軸駆動歯車列OGを介して出力軸S4 駆動するようになる。デュアルクラッチ式 速機には変速機制御装置TCUが設置されてお 、摩擦クラッチの断接や変速段のシフトは 車両走行状況等に応じて自動的に制御され 。

 デュアルクラッチ式変速機には、それぞれ 擦クラッチと結合された第1入力軸S1及び第2 入力軸S2が配置してあり、これらの入力軸は いに独立して回転可能である。そのため、2 速段から3速段への変速に際しては、第1摩擦 ラッチC1の切断や2速段-4速段切換え装置X1の 噛み合いの切り離しに先立って、6速段-3速段 切換え装置X2を3速段にシフトすることが可能 となる。このように、6速段-3速段切換え装置 X2を3速の変速段に予めシフトした後、第1摩 クラッチC1を切断しながら第2摩擦クラッチC2 を接続するように両摩擦クラッチの接続状態 を制御すれば、エンジン動力の伝達が実質的 に遮断されることなく変速段が切換えられる こととなり、変速ショックのない切換えが実 現できる。また、切換え装置を3速段にシフ するときにはシンクロナイザ機構を作動さ るが、同期のための時間的余裕が大きいの 、通常の平行軸歯車機構式変速機における ンクロナイザ機構と比較すると、シンクロ イザ機構に作用する摩擦力等の負荷を小さ することができる。
 デュアルクラッチ式変速機では、車両の発 時にも予め2個の変速段にシフトしておくこ とが可能である。特開2007-170640号公報には、 両の発進時において、入力軸の各々を1速段 と2速段とに設定し、発進のための伝達トル を両方の摩擦クラッチに所要比率で分担さ る発進制御方法が開示されている。

特開平8-320054号公報

特開2007-170640号公報

 トラック等の貨物用車両においては、貨 を満載したときと空荷のときとでは車両総 量に2倍以上の相違があり、貨物の積載量に よって走行状況に大きな差が生じる。そのた め、一般に貨物用車両の変速機では、1速段 、貨物を満載した状態で勾配の大きい登坂 であっても発進可能となるよう、駆動力(ト ク)を十分に増大する減速比に設定されてい る。実際には、1速段による発進はごく限ら た車両状況で実行されるものであり、それ 外のいわば通常時には、速度上昇が緩慢な1 走行を回避するため、2速段による発進(2速 進)が行われる。貨物用車両の自動的な変速 機構は、通常の運転モード(Dレンジ)では2速 進を行い、運転者が1速発進スイッチ等を操 すると1速段の発進に切換えられるように構 成されている。

 デュアルクラッチ式変速機を搭載する貨 用車両では、2速発進を実行するため、車両 の発進に先立って、第1摩擦クラッチに連な 2速段の歯車列にシフトするとともに、第2摩 擦クラッチに連なる3速段の歯車列にも予め フトしておく。発進時には、第2摩擦クラッ 及び第1摩擦クラッチを断としておき、アク セルペダルの踏み込みに応じ第2摩擦クラッ を徐々に係合して、2速段による走行を開始 る。第1摩擦クラッチが完全に接続した後3 へのシフトアップの速度に達すると、第1摩 クラッチを切断しながら第2摩擦クラッチを 徐々に接続する。このとき、予め3速段の歯 列へのシフトが終了しているため、発進後 変速は、短時間でスムースに行われる。

 このように、デュアルクラッチ式変速機を2 速段と3速段にシフトして発進すると、通常 にはスムースな発進が可能となる。しかし 貨物を満載した貨物用車両が急な登坂路で 進するときは、2速段では駆動力が不足とな 、1速段にシフトダウンする必要がある。こ のシフトダウンは、例えば第2摩擦クラッチ 過度の滑りが生じたときに自動的に実行さ るが、デュアルクラッチ式変速機を1速段に フトするには、第2摩擦クラッチに連なる3 段の歯車列の噛み合いを外して1速段の歯車 にシフトし、その後、第1摩擦クラッチ切断 するとともに第2摩擦クラッチを接続する。 の間、多くの操作を要するため、1速段への フトダウンには相当の時間がかかることと る。1速段へのシフトダウンは急な登坂路に おいて行われるので、変速に要する時間が長 い場合には、エンジンの負荷が増加してエン ジンが停止したり、車両が後退する虞れがあ る。
 本発明の課題は、貨物用車両のデュアルク ッチ式変速機において、通常時の発進では2 速発進を行わせるとともに、駆動トルクが不 足するときは短時間でシフトダウンが可能な ように変速機を自動的に制御し、上記の問題 点を解決することにある。

 上記の課題に鑑み、本発明は、貨物用車両 停止している状態から発進するときには、 ュアルクラッチ式変速機を1速段と2速段に フトした状態に設定し、2速段の歯車列に連 る摩擦クラッチの接続量を徐々に増加して2 速発進を行わせるとともに、駆動力が不足で あると判断したときは、直ちに1速段に切換 るように制御するものである。すなわち、 発明は、
「貨物用車両に搭載されたデュアルクラッチ 式変速機を、発進時に制御する発進制御装置 であって、
前記デュアルクラッチ式変速機が、それぞれ 摩擦クラッチを介してエンジンに結合された 2本の入力軸と、前記2本の入力軸のそれぞれ 一つおきの変速段を構成するよう設けられ 複数の歯車列とを備えており、
前記発進制御装置は、前記貨物用車両の発進 時における駆動力が不足か否かを判別する駆 動力判定手段を備え、かつ、
前記貨物用車両の停止時に、前記デュアルク ラッチ式変速機を1速段と2速段とにシフトし 状態に設定し、
前記貨物用車両の発進時には、2速段の歯車 に連なる摩擦クラッチの接続量を増加して 進させ、所定時間の経過後に前記駆動力判 手段により駆動力を判別し、駆動力の不足 判定されたときは、1速段の歯車列に連なる 擦クラッチの接続量を増加させるとともに 2速段の歯車列に連なる摩擦クラッチの接続 量を減少させるよう制御する」
ことを特徴とする発進制御装置となっている 。

 請求項2に記載のように、前記貨物用車両 の発進時において、前記駆動力判定手段によ り駆動力が不足ではないと判定されたときは 、前記発進制御装置が、前記デュアルクラッ チ式変速機を1速段から3速段へシフトを切換 ることが好ましい。

 請求項3に記載のように、前記発進制御装 置により、前記貨物用車両の発進時に2速段 歯車列に連なる摩擦クラッチの接続状態を 出し、前記所定時間の経過以前に完接状態 なったときは、前記駆動力判定手段による 動力の判別を禁止することが好ましい。

 また、請求項4に記載のように、前記発進 制御装置に、運転者の操作する1速発進スイ チを設け、前記貨物用車両の停止時に前記1 発進スイッチが操作されたときは、前記貨 用車両の発進時における制御を禁止するこ が好ましい。

 前記駆動力判定手段としては、請求項5に 記載のように、アクセル開度に対する車速又 は車両加速度との関係から駆動力の過不足を 判別する装置を使用することができる。ある いは、請求項6に記載のように、2速段に歯車 に連なる摩擦クラッチの滑り量又はクラッ 吸収エネルギにより駆動力の過不足を判別 る装置を用いてもよい。

 貨物用車両の発進時にデュアルクラッチ 変速機の制御を行う本発明の発進制御装置 は、まず、貨物用車両が停止している状態 、デュアルクラッチ式変速機を1速段と2速 にシフトした状態に設定し、発進するとき 、2速段の歯車列に連なる摩擦クラッチの接 量を徐々に増加して発進させる。つまり、 発明の発進制御装置では、基本的には貨物 車両を2速発進させるように制御する。これ によって、急な登坂路における貨物積載量の 大きな状態での発進のような特殊な状況を除 き、通常時においては2速発進が実行され、 両がスムースに加速するので、発進時のも つき感等運転フィーリングの悪化を招くこ はない。

 そして、本発明の発進制御装置は、駆動 の過不足を判別する駆動力判定手段を備え おり、2速発進の後所定時間が経過したとき に、車両の走行状況等に基づいて駆動力の過 不足を判断する。この結果、駆動力の不足と 判定されたときは、1速段の摩擦クラッチを 続するとともに、2速段の摩擦クラッチを徐 に切断して1速段に切換える。こうした状況 は、勾配の大きい登坂路等で生じるが、デュ アルクラッチ式変速機は既に1速段にシフト れている状態であるため、このときに切換 装置を操作する必要はない。したがって、1 段へのシフトダウンは短時間で変速ショッ を伴うことなく行われ、登坂路であっても エンジンの停止あるいは車両の後退を生じ ことは防止される。また、駆動力判定手段 、具体的には請求項5又は請求項6に記載さ ているように、駆動力の過不足を判別する みの機能を果たすものであって、その構成 簡易である。

 請求項2の発明は、発進時において上記の 駆動力判定手段により駆動力が不足ではない と判定されたときは、デュアルクラッチ式変 速機を1速段から3速段へシフトを切換えるも である。本発明の発進制御装置は、発進前 デュアルクラッチ式変速機を1速段と2速段 セットしているので、2速発進の後3速段にシ フトアップするには、1速段にシフトされて る切換え装置を操作して3速段へシフトしな ればならない。ただし、このシフトアップ 、登坂路での1速段へのシフトダウンほど迅 速性を要する操作ではなく、また、通常時の 2速発進ではある程度の時間2速走行が継続す ので、3速段への切換え操作の時間的余裕は 確保される。特に、請求項2の発明のように 駆動力判定手段により駆動力が十分である 判定された時点で3速段へのシフトを実行す と、1速段へのシフトダウンを要しないこと を確認したうえで、迅速にシフトアップの準 備ができる。

 請求項3の発明のように、発進時に2速段 歯車列に連なる摩擦クラッチが、駆動力判 手段の判断を実行する以前に完接した場合 以降の制御作動を停止するように構成した き、又は、請求項4の発明のように、運転者 操作する1速発進スイッチを設け、これが操 作された場合は発進時における制御作動を停 止するように構成したときは、無用な制御作 動や操作を停止することにより、制御処理時 間を短縮し、かつ、万一の誤操作等に起因す る不具合を回避することができる。

 ちなみに、特許文献2に記載されたデュア ルクラッチ式変速機の発進制御装置において も、車両の発進時に入力軸の各々を1速段と2 段とにシフトしている。しかし、この発進 御装置は、まず1速段の摩擦クラッチを接続 して発進し(2速段の摩擦クラッチの分担比率 0)、その後、伝達トルクを両方の摩擦クラ チに所要比率で分担させるものであって、 願発明のように、貨物用車両を2速発進させ ものではない。また、駆動力判定手段のよ な簡易な装置による制御、1速段から3速段 のシフトの切換えなどを実施してはおらず 上記の本発明の作用効果を奏するものでは い。

デュアルクラッチ式変速機の全体的な 略図である。 デュアルクラッチ式変速機の変速段切 え装置の詳細図である。 本発明の発進制御装置のフローチャー である。 本発明における摩擦クラッチの接続量 変化を示す図である。

符号の説明

  S1 第1入力軸
  S2 第2入力軸
  S3 中間軸
  S4 出力軸
  C1 第1摩擦クラッチ
  C2 第2摩擦クラッチ
  G1、G2、G3、G4、G6 歯車列
  X1、X2、X3 変速段切換え装置
  TCU 変速機制御装置

 以下、図面に基づいて、貨物用車両に搭 された本発明のデュアルクラッチ式変速機 発進制御装置について説明するが、本発明 発進制御装置が適用されるデュアルクラッ 式変速機の構造及び基本的な作動は、背景 術の項で述べた図1に示すデュアルクラッチ 式変速機と変わらない。そして、本発明の発 進制御装置は、図1の変速機制御装置TCUの一 としてその中に組み込まれるものである。

 本発明の発進制御装置では、発進を行う に、変速機制御装置TCUによってデュアルク ッチ式変速機を1速段と2速段にシフトした 態に設定する。ここでは、2速段-4速段切換 装置X1の詳細図である図2により、変速段の 換え装置の具体的な構造について説明する なお、この切換え装置は、平行軸歯車機構 変速機において一般的に使用される噛み合 クラッチ式の切換え装置であり、1速段-後退 段切換え装置X3等も同様な構造を備えている

 中空の第1入力軸S1には、2速段歯車列G2の 定歯車21と4速段歯車列G4の固定歯車41とが一 体加工され、それぞれ2速段の遊嵌歯車22と4 段の遊嵌歯車42とに噛み合っている。両方の 遊嵌歯車は一体的に取り付けられたドグ歯23 43を有しており、それらの間にクラッチハ 24が中間軸S3に固着される。クラッチハブ24 外周には、ドグ歯23、43と噛み合うスプライ 25を備えた変速スリーブ26が軸方向に摺動可 能に嵌め込まれ、ドグ歯23、43と変速スリー 26との間にはシンクロナイザリング27、47が れぞれ配置される。図示は省略するが、変 スリーブ26の外周の溝には、変速スリーブ26 軸方向に摺動する二股状の変速フォークが め込まれる。

 変速フォークによって変速スリーブ26を の左方に摺動すると、変速スリーブ26のスプ ライン25が2速段の遊嵌歯車22のドグ歯23と噛 合い、デュアルクラッチ式変速機の第1入力 S1は、2速段にシフトされた状態となる。こ とき、中間軸S3の回転速度と遊嵌歯車22の回 転速度とが同期するまでは、シンクロナイザ リング27が変速スリーブ26の移動を阻止する 変速スリーブ26を図の右方に摺動すると4速 にシフトされる。本発明では、発進を行う に、デュアルクラッチ式変速機の第1入力軸S 1を2速段にシフトするとともに、第2入力軸S2 1速段-後退段切換え装置X3によって1速段に フトする。

 次いで、図3に示すフローチャートにより、 本発明の発進制御装置の実施例について、そ の構成及び作動を説明する。
 発進制御のフローチャートがスタートする 、まずステップST1においてDレンジ状態で貨 物用車両が停止しているか否か(後退等のた の車両停止ではないか)を判断する。この実 例の発進制御装置には1速発進スイッチが設 けてあり、ステップST1の判断がYESのときは、 ステップST2で1速発進スイッチが操作された 否かを検知し、操作されていれば以降のス ップに移行することなく、1速段による発進 実行する。なお、本発明では、2速発進で駆 動力が不足するときは自動的に1速段にシフ ダウンされるので、運転者が1速発進スイッ の操作を忘れても、摩擦クラッチに滑り損 が生じるようなことはない。

 1速発進スイッチが操作されていないときは ステップST3に進み、ここで、上記のようにデ ュアルクラッチ式変速機を1速段と2速段にシ トした状態とする。さらに、車両の発進操 を監視し(ステップST4)、例えば、運転者が クセルペダルを踏み始めたことを検出した 点でステップST5に進む。ここでは、2速段の 車列に連なる第1摩擦クラッチC1の接続を開 し、同時にタイマーを0にセットして経過時 間の計測を開始する。そして、第1摩擦クラ チC1の接続量を、予め定められた発進時の制 御ロジックに従って増加させる。
 これにより、デュアルクラッチ式変速機が1 速段と2速段にシフトされた状態で、車両は 2速段の歯車列による2速発進を行う。通常の 場合には、発進すると第1摩擦クラッチC1の接 続量は順調に増加し、それに伴って車速も増 加する。この実施例の発進制御装置では、第 1摩擦クラッチC1の接続量を監視しており(ス ップST6)、タイマーで計測される時間が所定 間に達しないうちに、第1摩擦クラッチC1が 接状態となり滑り量が0となったときは、車 両の発進が順調に完了したとしてST10に進み 1速段から3速段へのシフトの切換えを実行す る。

 第1摩擦クラッチC1の接続を開始した後、 テップST7において、タイマーで計測される 間が所定時間に達したと判断された場合は ステップST8に進行し、駆動力が不足してい か否かを判断する。この所定時間は、例え 、第1摩擦クラッチC1に過度の滑りが生じた してもクラッチに損傷が生じることのない 間として設定される。

 ステップST8における駆動力が不足してい か否かを判断は、1速段へのシフトダウンの 要否を判定するものである。この判断のため には、ステップST8の右側の略図に示すとおり 、所定時間が経過した時点でアクセル開度と 車速又は車両加速度とを検出し、車速等がア クセル開度に応じた所定の値を超えているか どうかを判定することにより、駆動力の過不 足を判別することができる。これは、発進時 の初期において、第1摩擦クラッチC1の接続量 が増加しアクセル開度に応じた所定の車速等 が生じている場合には、車両状況に対応した 十分な駆動力が確保されており、正常な発進 が可能となるからである。

 発進時に駆動力が不足していると、当然 第1摩擦クラッチC1の滑り量が過大となるか 、不足か否かの判断は、所定時間が経過し ときのクラッチの滑り量、つまりエンジン 転数と変速機の第1入力軸S1の回転数との差 検出して行うこともできる。滑り量そのも を検出する換わりに、所定時間が経過した きまでに第1摩擦クラッチC1が吸収した吸収 ネルギ、つまり(エンジントルク×クラッチ 滑り量)の積分値を演算し、この積分値が所 定値を越えたときに駆動力が不足していると 判定してもよい。

 通常の車両状況では、2速段でも正常な発 進が行われるので、ステップST8においては駆 動力の不足はないと判断される。このときは 2速発進が継続され、貨物用車両はスムース 加速する。そして、ステップST8で駆動力の 足はないと判断されたときは、ステップST10 進行して、1速段-後退段切換え装置X3の1速 の歯車列との噛合いを解除するとともに、6 段-3速段切換え装置X2を3速段の歯車列と噛 合わせて、第2入力軸S2の1速段から3速段への シフトの切換えを実行する。2速発進で加速 た車両が3速段領域の速度に達すると、変速 制御装置TCUは、第1摩擦クラッチC1を切断し 2摩擦クラッチC2を接続して、3速段へシフト アップする。

 急な登坂路での貨物積載量の大きな状態 発進において、ステップST8で駆動力が不足 ていると判定されたときは、ステップST9に んで、1速段へのシフトダウンを実行する。 このシフトダウンは、本発明の発進制御装置 では、第2入力軸S2が既に1速段の歯車列G1にシ フトされているので、第2摩擦クラッチC2を接 続するとともに第1摩擦クラッチC1を切断する ことによって迅速に行われる。そのため、車 両の変速段は、短時間で変速ショックを伴う ことなく1速段となって十分な駆動力が生じ 登坂路であっても順調に発進することとな 、車両が後退するような不測の事態が回避 れる。

 図4は、本発明の発進制御装置における両 摩擦クラッチの接続量の時間的変化を示すも のである。発進時においては、まず、第1摩 クラッチC1の接続量を増加する制御を開始し て2速発進を行い、制御開始時点t0から所定時 間が経過したt1の時点で、駆動力の不足か否 を判別する。通常状態の発進では駆動力の 足はないと判断され、図4(a)に示すとおり、 2速発進が継続して第1摩擦クラッチC1が完接 態となる。第2摩擦クラッチC2は切断された まであって、この間に第2入力軸S2が1速段か 3速段へとシフトされる。

 一方、急な登坂路での発進等において、 りが大きいため接続量の増加が遅れ、t1の 点で2速発進では駆動力が不足すると判断さ たときは、図4(b)に示すとおり、第2摩擦ク ッチC2が急速に接続されるとともに、第1摩 クラッチC1が切断される。エンジンの動力は 、第2摩擦クラッチC2から既に噛み合わされて いる1速段の歯車列G1を介して変速機の出力軸 S4に伝達され、駆動力(トルク)が迅速に増大 て車両は加速されるようになる。発進後の 両が一定速度に達したときは、変速機制御 置TCUが第2摩擦クラッチC2を切断しながら第1 擦クラッチC1を接続し、2速段へのシフトア プが行われる。

 以上詳述したように、本発明は、デュアル ラッチ式変速機を搭載した貨物用車両の発 制御装置において、デュアルクラッチ式変 機を1速段と2速段にシフトした状態に設定 、2速段の歯車列に連なる摩擦クラッチの接 量を増加して2速発進を行わせるとともに、 駆動力が不足であると判断したときは、直ち に1速段に切換えるように制御するものであ 。したがって、本発明が、トラック等の貨 用車両であってデュアルクラッチ式変速機 搭載する車両を発進させるときの制御装置 して、産業上利用できることはいうまでも い。
 上述の実施例では、2速発進用摩擦クラッチ の接続制御の開始時にタイマーの計時を始め ているが、車両の発進を確認した時点から計 時を始めてもよい。また、摩擦クラッチの完 接後、待ち時間を持たせて1速段から3速段へ フトする等、実施例に対し種々の変更が可 であることは明らかである。