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Patent Searching and Data


Title:
ADHESIVE COMPOSITION AND METHOD FOR MANUFACTURING DISPLAY PANEL USING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/154138
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is an adhesive composition containing an elastomer which is in a liquid state at room temperature, an acrylic and/or methacrylic compound, a photoradical generator and a thermal radical generator.  The adhesive composition has photocurability due to the acrylic and/or methacrylic compound and the photoradical generator, and heat-curability due to the liquid elastomer and the thermal radical generator.  Consequently, the adhesive composition is firstly transformed into a gel state, that is a semi-cured state, through radical polymerization of the acrylic and/or methacrylic compound caused by light irradiation, and then completely cured through crosslinking of the polymer chains of the elastomer which is caused by radicals generated by heating.

Inventors:
NISHII MASAYUKI (JP)
SAKURAI RYO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/060703
Publication Date:
December 23, 2009
Filing Date:
June 11, 2009
Export Citation:
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Assignee:
BRIDGESTONE CORP (JP)
NISHII MASAYUKI (JP)
SAKURAI RYO (JP)
International Classes:
C09J4/06; B32B37/00; C09J4/02; C09J5/06; C09J11/06; C09J109/00; C09J109/06; C09J121/00; G02F1/1339
Domestic Patent References:
WO2009041248A12009-04-02
Foreign References:
JPS5716083A1982-01-27
JP2005247954A2005-09-15
JPS499612B11974-03-05
JP2007270130A2007-10-18
JPH09100450A1997-04-15
JPS56106981A1981-08-25
JP2009057447A2009-03-19
Attorney, Agent or Firm:
SUGIMURA, KENJI (JP)
Kenji Sugimura (JP)
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Claims:
 室温で液状のエラストマーと、アクリル系および/またはメタクリル系化合物と、光ラジカル発生剤と、熱ラジカル発生剤とを含んでなる接着剤組成物。
 前記接着剤組成物が前記アクリル系および/またはメタクリル系化合物及び光ラジカル発生剤による光硬化性と前記液状エラストマー及び熱ラジカル発生剤による熱硬化性を有し、前記アクリル系および/またはメタクリル系化合物の光照射によるラジカル重合により形成されるゲル状態の仮硬化状態を経た後、さらに加熱によってラジカルを発生させることで前記エラストマーの分子鎖の架橋反応により本硬化を行うことを特徴とする請求項1記載の接着剤組成物。
 前記光照射により形成したゲル状態の仮硬化物の25℃における30%歪時の貯蔵弾性率(E’)が1×10 2 Pa~1×10 6 Paの範囲であることを特徴とする請求項1又は2記載の接着剤組成物。
 前記エラストマー分子鎖が架橋反応する本硬化後の硬化物の25℃における30%歪時の貯蔵弾性率(E’)が1×10 6 Pa~1×10 9 Paの範囲であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
 前記室温で液状エラストマーが、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体並びにそれらの誘導体及び水素添加型のものからなる群より選択されることを特徴とする請求項1~4項のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
 前記熱ラジカル発生剤が、パーオキシケタール、ケトンパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド及びジアルキルパーオキサイドからなる群より選択されることを特徴とする請求項1~5項のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
 沸点が150℃以下の物質を含有しないことを特徴とする請求項1~6項のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
 可とう性を要する部分に適用することを特徴とする請求項1~7項のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
 請求項2~7項のいずれか1項に記載の接着剤組成物を用い、フレキシブルな2枚の基板を接着し重ね合わせたパネル構造を含むディスプレイパネルの製造方法であって、
 前記フレキシブルな2枚の基板を空間をもって貼り合わせる際に、前記光照射によるラジカル重合により形成されるゲル状態の仮硬化状態によって仮固定し、その後に前記加熱によってラジカルを発生させることで前記エラストマーの分子鎖の架橋反応により本硬化で本固定する、ことを特徴とするディスプレイパネルの製造方法。
Description:
接着剤組成物、それを用いたデ スプレイパネルの製造方法

 本発明は、可とう性(=フレキシブル性)を する構造体、特にフレキシブルフィルム同 を接着させる接着剤、2枚のフレキシブルフ ィルムを空間をもって重ねたパネル構造体、 さらに好ましくは、フレキシブルな電子デバ イス部材の接着用途に利用することのできる 接着剤組成物に関するものである。また、本 発明はその接着剤組成物を用いたディスプレ イパネルの製造方法に関するものである。

 接着剤は有機低分子/高分子からなる代表 的な材料であり、建築、土木、航空、医療、 電気電子など、多くの分野で利用されている 。接着剤は、接着力が発現される形態への変 化の仕方により、溶剤揮発型、ホットメルト 型、化学反応型などに分類することができる 。特に化学反応型には多くの種類があり、エ ポキシやアクリル、ウレタンなど多くの有機 化合物が接着剤の成分として古くから開発さ れ、利用されてきた。

 化学反応により接着力を発現する接着剤は 一般的には一種類の反応系により構成され いるものが多い。しかし近年、接着剤を用 て、より精密な加工を行ったり、接着力の 上を図ったりするために、2段階反応型が開 発されている(例えば特許文献1~3)。
特に電気電子技術分野において2段階反応型 接着剤が活発に開発されており、例えば特 文献1および2では液晶パネル用シール剤用途 として、アクリレートによる光重合およびエ ポキシ樹脂による熱硬化反応の2段階反応系 着剤が報告されている。そこでは、1段階目 反応で基材の仮固定および材料の形状保持 なされ、2段階目の本硬化により接着力が発 現され液晶パネル基板を固定している。

 これら2段階反応型の接着剤では、1段階 の反応としてほとんどがアクリル系の低分 あるいは高分子の光重合反応が選択されて る。また、2段階目の反応としてはエポキシ の開環反応やイソシアナートの縮合による レタン結合の形成反応、あるいはシリコー の重合反応が挙げられるが、多くはエポキ 系が反応種として選択されている(例えば特 許文献3)。

特開平7-13175号公報

特許第3162179号

特開平5-456号公報

 これまで、報告されてきた2段階硬化型の接 着剤は、本硬化後(2段階目の反応終了後)の硬 化物硬度が一般的に非常に硬い(貯蔵弾性率E が1×10 9 以上)ため、リジッドな(=硬い)構造物の接着 例えばディスプレイパネル用途ならガラス 板同士の接着などには適している。しかし 可とう性(=フレキシブル性)を有する構造物 例えば樹脂フィルム同士の接着には、十分 接着力を示さないことが多い。これは、フ キシブルフィルムが曲げられたときの変形 よって生じるはがれ(ピール)モードの力に対 して、リジッドな接着剤ではそれ自身が変形 できないため、対応できないからである。

 さらに、一般的に2段階目の硬化に多く用 いられているエポキシ系の反応では、硬化剤 として潜在性のエポキシ重合剤が混合されて いることが多いが、この潜在性硬化剤は貯蔵 安定性が十分ではない。

 また、2段階硬化型接着剤が多く用いられ ているディスプレイ用途に関しては、これま でいくつかの光硬化と熱硬化との2段硬化型 アクリル-エポキシ系接着材料が開発され、 販されている。それらは、ガラス基板を重 て得る液晶パネルの接着には当然適してい が、最近活発に開発されているフレキシブ な基板を重ねて得るディスプレイ、例えば 子ペーパーのパネル接着用途には適してい い。1段階目の硬化による仮固定の際にフレ キシブルな基板を固定するには粘着性が弱く 、フレキシブル基板のわずかな変形により仮 固定がずれること、および2段階目の硬化反 となる本硬化後の硬化物が硬すぎて、フレ シブルフィルム基板同士を十分に接着でき いからである。

 本発明では上記課題を達成し、樹脂フィ ムなどの可とう性を有するシートを重ねて るパネル構造体の接着に適した接着材料を るため、室温で液状のエラストマーとアク ル系化合物、光ラジカル発生剤および熱ラ カル発生剤とを含んでなる接着剤組成物を 案し、開発した。

 すなわち、本発明の接着剤組成物は、室 で液状のエラストマーと、アクリル系およ /またはメタクリル系化合物と、光ラジカル 発生剤と、熱ラジカル発生剤とを含んでなり 、前記アクリル系および/またはメタクリル 化合物及び光ラジカル発生剤による光硬化 と前記液状エラストマー及び熱ラジカル発 剤による熱硬化性を有し、前記アクリル系 よび/またはメタクリル系化合物の光照射に るラジカル重合により形成されるゲル状態 仮硬化状態を経た後、さらに加熱によって ジカルを発生させることで前記エラストマ の分子鎖の架橋反応により本硬化を行うこ を特徴とする。

 本発明の新規性は、(1)2段階硬化型接着剤 の2段階目の反応系として、エラストマー分 鎖の架橋反応を用いている点、および(2)1段 目の光硬化反応で下記項目に示すような貯 弾性率の範囲となるゲル状態を示す点であ 。

 本発明の接着剤組成物の好適例において、 記光照射により形成したゲル状態の仮硬化 が25℃において30%歪を与えた時に1×10 2 Pa~1×10 6 Paの範囲の貯蔵弾性率(E’)を有することを特 とする。

 本発明の接着剤組成物の他の好適例におい 、前記液状エラストマー分子鎖が架橋反応 る2段目の本硬化後の硬化物が、25℃におい 5%歪を与えた時に1×10 6 Pa~1×10 9 Paの範囲の貯蔵弾性率(E’)を有することを特 とする。

 本発明の接着剤組成物の他の好適例にお て、前記液状エラストマーが、ポリブタジ ン、ポリイソプレン、スチレン-ブタジエン 共重合体、スチレン-イソプレン共重合体並 にそれらの誘導体及び水素添加型のものか なる群より選択されることを特徴とする。

 本発明の接着剤組成物の他の好適例にお て、前記熱ラジカル発生剤が、パーオキシ タール、ケトンパーオキサイド、ハイドロ ーオキサイド及びジアルキルパーオキサイ からなる群より選択されることを特徴とす 。

 本発明の接着剤組成物の他の好適例にお て、沸点が150℃以下の物質を含有しないこ を特徴とする。

 本発明の接着剤組成物の他の好適例におい 、可とう性を要する部分に適用することを 徴とする。
 本発明のディスプレイパネルの製造方法は 前述した接着剤組成物を用いて仮硬化状態 よる仮固定を経て本硬化によって本固定す パネル基板の貼り合せを行うことを特徴と る。

 本発明によれば、可とう性(=フレキシブ 性)を有する構造体、特にフレキシブルフィ ム同士や2枚のフレキシブルフィルムを空間 をもって重ねたパネル構造体を接着させる接 着剤組成物を提供することができる効果を示 す。

 本発明は、好ましくはフレキシブルな電 デバイス部材の接着用途に適している。例 ば電子ペーパーパネルの作製において、フ キシブルな2枚のフィルム基板を空間をもっ て貼り合わせる際に、適度な硬さと仮固定可 能なだけの粘着性を示し、本硬化後は、硬す ぎず適度な弾性体であるためパネル構造体の 強度を向上させる効果を持つ。

(a)、(b)はそれぞれ本発明の接着剤組成 を用いたディスプレイパネルの例を示す図 ある。 ピール試験を説明するための模式図で る。 実施例におけるパネルの繰り返し曲げ し試験を説明するための模式図である。

 以下、本発明を詳細に説明する。本発明 接着剤組成物は、室温で液状のエラストマ と、アクリル系および/またはメタクリル系 化合物と、光ラジカル発生剤と、熱ラジカル 発生剤とを含んでなり、前記アクリル系およ び/またはメタクリル系化合物及び光ラジカ 発生剤による光硬化性と前記液状エラスト ー及び熱ラジカル発生剤による熱硬化性を し、前記アクリル系および/またはメタクリ 系化合物の光照射によるラジカル重合によ 形成されるゲル状態の仮硬化状態を経た後 さらに加熱によってラジカルを発生させる とで前記エラストマー分子鎖の架橋反応に り本硬化を行うことを特徴とする。

 上述した本発明の接着剤組成物は、2段階の 硬化にあたり、1段階目の反応形態が光ラジ ル発生剤から発生したラジカルによってア リル系および/又はメタクリル系化合物(以下 、単にアクリル系化合物ともいう)を重合さ る光硬化反応であり、2段階目の反応形態が ラジカル発生剤から発生したラジカルによ て液状エラストマーの分子鎖を架橋反応さ る熱硬化反応であり、それぞれの過程で反 を別々に進行させるという特徴を有する。 発明では、上述した1段階目におけるアクリ ル系化合物の光硬化反応によってゲル状態と なる仮硬化状態の形成が重要な点であり、該 光硬化反応によって形成されたゲル状態の硬 化物が25℃において30%歪を与えた時に1×10 2 Pa~1×10 6 Paの範囲内の貯蔵弾性率(E’)であることが好 しい。これによって、(a)粘着性付与に伴う ィルムの仮固定、(b)ラミネートなどの貼り わせ工程における必要な厚さまでの変形、 よび(c)ゲル状態の自立性・形状保持性によ 本硬化前までの長期保存などが可能となる

 また、本発明においては、2段階目の反応、 すなわち液状エラストマーの分子鎖の架橋反 応による硬化反応後の硬化物が、25℃におい 5%歪を与えた時に1×10 6 Pa~1×10 9 Paの範囲の貯蔵弾性率(E’)を有することが好 しい。これによって、フレキシブルパネル 変形に追従することが可能な、硬すぎず適 な弾性体の硬化物が得られる。

 上記アクリル系および/又はメタクリル系 化合物としては、脂肪族アクリレート、芳香 族アクリレート、アミノ基、水酸基、カルボ キシル基、オリゴオキシエチテン部位、ピリ ジル基、グリシジル基などをするアクレート および/またはそれらのメタクリレートが挙 られる。ゲル状態を形成させる、すなわち クリル系化合物硬化物による3次元構造体を 成させるために、アクリル系化合物は単官 化合物と多官能化合物とを2種以上共用する のが適している。そのような単官能化合物と 多官能化合物との具体的な組み合わせとして は、ドデシルメタクリレート/テトラエチレ グリコールジアクリレート/トリメチロール ロパントリアクリレート、ヒドロキシエチ メタクリレート/テトラエチレングリコール ジアクリレート、フェニルアクリレート/ト メチロールプロパントリアクリレートなど 挙げられる。これらの中でも液状エラスト ーとの相溶性の観点から、ドデシルメタク レート/テトラエチレングリコールジアクリ ート/トリメチロールプロパントリアクリレ ートが好ましい。なお、本発明の接着組成物 におけるアクリル系化合物の混合量は特に制 限はないが、適度なゲル状態とするためには 、液状エラストマーに対しアクリル系化合物 を10質量%から100質量%添加するのが好ましい

 上記アクリル系化合物の光硬化に用いる ラジカル発生剤としては、4-ヒドロキシシ ロヘキシルフェニルケトン(チバ・ジャパン Irgacure(登録商標)184)、2,2-ジメトキシ-1,2-ジ ェニルエタン-1-オン(チバ・ジャパン製Irgacur e(登録商標)651)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェ ニルプロパン-1-オン(チバ・ジャパン製Irgacure (登録商標)1173)などが挙げられる。なお、本 明の接着剤組成物における光ラジカル発生 の混合量は、反応性や貯蔵安定性の観点か 、液状エラストマーに対し、0.1質量%から3.0 量%が好ましい。

 上記液状エラストマーとしては、一般的 合成ゴムをベースとし、それらの分子量を 減させ、室温で液状であるものが好ましく ベースの合成ゴムとしては、ポリブタジエ 、ポリイソプレン、スチレン-ブタジエン共 重合体、スチレン-イソプレン共重合体、イ ブチレン-イソプレン共重合体並びにそれら 誘導体及び水素添加型のものが挙げられる 分子量としては、重量平均分子量で20,000~50, 000程度が好ましい。

 液状エラストマーの硬化に用いる熱ラジ ル発生剤としては、ジベンゾイルパーオキ イド、ジ(3-メチルベンゾイル)パーオキサイ ド、ジイソブチルパーオキサイドなどのアシ ルラジカル系ラジカル発生剤、ジ-t-ブチルパ ーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイ 、ジクミルパーオキサイドなどのアルキル ジカル系ラジカル発生剤、1,1-ジ(t-ブチルパ ーオキシ)シクロヘキサン、メチルエチルケ ンパーオキサイドなどのケトンラジカル系 ラジカル発生剤が挙げられる。本発明にお て、液状エラストマーをラジカルにより架 させて固体とするために、ラジカル発生剤 性質としては、発生したラジカルの分子鎖 の水素引き抜き能力が強いことが必要であ 。したがって、上述したラジカル発生剤の でもアルキルラジカル系やケトンラジカル のラジカル発生剤が好ましく、中でも開裂 度が適度に低く、フレキシブルなパネル構 体へのプロセス(低温工程)適用性を満たし、 かつ貯蔵安定性のバランスという観点から、 ケトンラジカル系、特に1,1-ジ(t-ブチルパー キシ)シクロヘキサンが好ましい。なお、本 明の接着剤組成物における熱ラジカル発生 の混合量は反応性や貯蔵安定性の観点から 液状エラストマーに対し、1.0質量%から10.0 量%が好ましい。

 本発明の接着剤組成物には、必要に応じ 、上述したアクリル系化合物、液状エラス マー、光ラジカル発生剤、熱ラジカル発生 の他にも、必要に応じてシランカップリン 剤を添加してもよい。シランカップリング としては、3-メタクロキシプロピルトリメ キシシラン、3-メタクロキシプロピルトリエ トキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキ シラン、3-アミノプロピルトリエトキシシ ンなどが挙げられる。

 また、本発明の接着剤組成物に、必要に じて、シリカ、グラスファイバーなどのフ ラーを添加して、粘度を調節することがで る。

 また、本発明の接着剤組成物は、工程安 化、安全・環境面の観点から、低沸点成分 すなわち沸点が150℃以下の物質を含有しな 形態で用いることが好ましい。

 また、本発明の接着剤組成物は、可とう (=フレキシブル性)を要する部分、例えば2枚 のフレキシブルフィルムを重ねた構造のパネ ル構造体の接着に好適に用いることができる 。特に、フレキシブルパネル構造体としてデ ィスプレイパネル(電子ペーパー)を構成する 材の接着に適している。フレキシブルなパ ル構造体として構成される電子ペーパーの 示方式としては、帯電粒子移動方式、電気 動方式、液晶方式、エレクトロルミネッセ ス(EL)方式等があるが、本発明の接着剤組成 物はいずれにおいても適用できる。フレキシ ブルディスプレイパネルにおいて特にパネル 基板間の空間に配置する接着剤や枠シール剤 、さらに導電微粒子を含有した異方導電性シ ール剤、異方導電性接着剤などへ適用できる 。

 本発明の接着剤組成物が適用可能な電子 ーパーの例として、帯電粒子移動方式の情 表示パネルを示す(図1)。少なくとも光学的 射率および帯電性を有する粒子を含んだ粒 群として構成した表示媒体(ここでは負帯電 性白色粒子3Waを含んだ粒子群として構成した 白色表示媒体3Wと正帯電性黒色粒子3Baを含ん 粒子群として構成した黒色表示媒体3Bの2種 の表示媒体を示す)を、隔壁4で形成された セルにおいて、フレキシブル基板1に設けた 極5(ライン電極)とフレキシブルな透明基板2 に設けた透明電極6(ライン電極)とが対向直交 交差して形成する対電極間に電圧を印加する ことにより発生する電界に応じて、基板1、2 垂直に移動させる。そして、図1(a)に示すよ うに白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白 表示を、あるいは、図1(b)に示すように黒色 表示媒体3Bを観察者に視認させて黒色表示を 黒のドットで行っている。なお、図1(a)、(b) において、手前にある隔壁は省略している。 フレキシブルパネルにおいて基板2としては 透過性がある透明なフレキシブル材料であ 、各種プラスチック材料から適宜選択して いる。基板1としては光透過性がなくてもよ ので、金属や各種プラスチック材料から適 選択して用いる。基板2にはカラーフィルタ ーを配置して、カラーフィルター基板とする こともできる。

 以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳 く説明するが、本発明は下記の実施例に何 限定されるものではない。

 本発明の接着剤組成物の配合と特性評価 果を表1~3に示す。液状エラストマーとして ポリイソプレン([化1]の1、重量平均分子量30 ,000)、ポリスチレン-ポリブタジエン([化1]の2 重量平均分子量30,000)、およびポリイソプレ ンのアリル位を一部無水コハク酸で置換した エラストマー([化1]の3、重量平均分子量25,000 クラレ製LIR430)を用いた。単官能アクリル系 化合物としてドデシルメタクリレート([化1] 4)およびヘキシルメタクリレート([化1]の5)を 、多官能アクリル系化合物としてテトラエチ レングリコールジアクリレート([化1]の6)を、 多官能メタクリル系化合物としてテトラエチ レングリコールジメタクリレート([化1]の7)を 、多官能アクリル系化合物としてトリメチロ ールプロパントリアクリレート([化1]の8)を用 いた。光ラジカル発生剤としては、チバ・ジ ャパン製のIrgacure(登録商標)184([化1]の9)、Irgac ure651([化1]の10)を、熱ラジカル発生剤として 、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン ([化1]の11)およびアセチルアセトンパーオキ イド([化1]の12)を用いた。フィルム基板は、 さ125μmのポリエチレンテレフタレート(PET) ィルムを用いた。

 作製した接着剤組成物の性能評価に関し は、1段階目の光硬化反応終了後の貯蔵弾性 率、2枚のフィルム基板を空間をもって貼り せる場合の適用性、2段階目の熱硬化反応終 後の貯蔵弾性率、さらに熱硬化反応終了後 フィルム基板に対する接着力、およびフレ シブルパネル構造体としたものを曲げたり に戻したりを繰り返した場合の耐久性につ て調べた。

 貯蔵弾性率(E’)および硬化挙動について 、レオメーター(HAKKE製レオストレスR)によ 調べた。測定条件は、温度25℃において歪み 5%の場合と歪み30%の場合とを行った。

 パネル構造体へのシール剤としての適用 判断の評価としては、フレキシブルなポリ チレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ125 m)上に高さ100μm、幅1mmで枠状に接着剤組成物 をディスペンサを用いて塗布した後、紫外光 (UV)照射(照射光量1000mJ/cm2)して1段目の反応に る仮硬化を行った。次に、高さ40μmの隔壁 よび基板間距離確保用部材を配置したもう 枚のPETフィルム(厚さ125μm)のシール剤配置領 域となる基板間距離確保用部材の外側周囲に この仮硬化した接着材組成物が配置されるよ うに重ねた後、ラミネートローラを用いて、 貼り合せ(ラミネートローラ温度100℃)、(a)そ 際基板間距離確保用部材の高さまで仮硬化 がつぶれているかどうか、および(b)2枚のPET フィルムが工程移動の際にずれたりしないか により判断した。

 接着力は、貼り合わせた2枚のPETフィルム に対する180°ピール試験により評価した。ピ ル試験の模式図を図2に示す。試験片は、厚 さ125μmのPETフィルム基板上に接着剤組成物を 塗布した後、接着剤組成物の厚さが40μmにな ようにもう1枚のPETフィルムと加熱・圧着(11 0℃、1時間)して作製した。試験片を幅1cmに裁 断して、オートグラフ((株)島津製作所製)に りPETフィルムの上下端を5cm/minの速度で180° 向に引っ張り、応力の平均値を接着力とし 。

 接着剤組成物のフレキシブルディスプレ 用接着剤としての適合性は、図3に示すよう なパネル構造体の繰り返し曲げ戻し試験で評 価した。試料(接着剤組成物)と2枚のPETフィル ムとで構成したパネル(パネル構造体)を曲げ し試験機にかけ試験を行い、2枚のPETフィル ムがはがれるまでの曲げ戻しの繰り返し回数 を調べた。

 表1中の実施例1では、ポリイソプレン1を100 量部、ドデシルメタクリレート4を20質量部 テトラエチレングリコールジアクリレート6 を20質量部、トリメチロールプロパントリア リレート8を20質量部、Irgacure184 9を1質量部 1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン11 を7質量部で配合系を作製した。これらの化 物は均一に混じり合い、色は白色であった また長期保存による相分離は起こらなかっ 。実施例1の接着剤組成物に紫外線(UV)光を100 0mJ/cm 2 照射したところ、貯蔵弾性率が1×10 4 Paの透明なゲル状の硬化物が得られた。硬化 は強い粘着性を示した。フィルムの貼り合 せに関しては、隔壁を配置したフィルムと ラミネートに際し、基板間距離確保用部材 高さまでつぶれ、かつ2枚のフィルムを十分 に仮固定できた。

 実施例2は、実施例1中のアクリル系化合物 分の量をそれぞれ30質量部に増やした系の結 果である。光照射後の貯蔵弾性率は1×10 5 Paと増加した。フィルムの貼り合わせは実施 1と同様に良好に行うことができた。実施例 3は、液状エラストマーとしてポリスチレン- リブタジエン2を用いた例である。光照射後 の貯蔵弾性率は5×10 4 Paと増加した。フィルムの貼り合わせは実施 1と同様に良好に行うことができた。実施例 4は液状エラストマー3を用いた例であり、実 例1と同等の結果が得られた。実施例5は、 クリル系化合物としてテトラエチレングリ ールジアクリレート6のみを60質量部用いた であり、実施例1と同等の結果が得られた。

 表2における実施例6では、単官能アクリ 系化合物としてヘキシルメタクリレート5を いた。ドデシルメタクリレート4を用いた対 応する実施例4と同等の結果が得られた。ま 、二官能メタクリル化合物としてテトラエ レングリコールジメタクリレート7を用いた 施例7、さらに二官能アクリル化合物と二官 能メタクリル化合物を等量配合した実施例8 おいても同様の結果となった。

 光ラジカル発生剤としてIrgacure651 10を用 た実施例9、および熱ラジカル発生剤として アセチルアセトンパーオキサイド12を用いた 施例10においても同様の結果が得られた。

 これに対し、比較例1として、ポリイソプレ ン1を100質量部、ドデシルメタクリレート4を2 0質量部、Irgacure184を1質量部、1,1-ジ(t-ブチル ーオキシ)シクロヘキサン11を7質量部配合し 、光硬化反応によりゲル状態を誘起するアク リル化合物成分を減らした影響を調べた(表3) 。その結果、光照射後の貯蔵弾性率が1.5×10Pa と非常に低く、ゲル化が不充分であり粘着性 も発現しなかった。フィルムの貼り合わせの 際には、フィルム同士がすべってしまい貼り 合わせを行うことができなかった。比較例2 は逆に、光硬化成分を増やした影響を調べ 。比較例2の配合系は、光照射により貯蔵弾 率が5×10 6 Paの非常に高いゲル状態を形成した。この場 では、2枚のフィルムの貼り合わせにおいて 、フィルムを仮固定することはできたが、基 板間距離確保部材の高さまで仮硬化させた硬 化物が変形しなかった。このように仮硬化さ せた硬化物の変形が不十分な場合、電子ペー パーの表示部となるパネル部の表示性能に支 障が生じる可能性がある。比較例3では、液 パネル用シール剤として市販されている2段 硬化型シール剤(協立化学(株)World Rock798L)を 検討した。光照射後の貯蔵弾性率は1×10 8 Paと非常に硬くなった。表面に粘着性は観察 れず、2枚のフィルムの貼り合わせを行って も仮固定ができなかった。

 次いで2枚のフィルムを仮固定した接着剤を 熱により本硬化を行って作製した試験片を用 いて、ピール接着力を評価した(表1~3、図2)。 実施例1~10においては、どれも300N/m程度の安 した接着力を示した。熱本硬化後の貯蔵弾 率は1×10 6 ~1×10 8 Pa程度であった。これに対し、熱本硬化物の 蔵弾性率が5×10 3 Paとより低い比較例1では、ヒール接着力は30N /mと大きく低減した。また、熱本硬化物の貯 弾性率がさらに高い比較例2(5×10 8 Pa)では、150N/mと若干接着力が低下した。フィ ルムへのピール接着力は硬化物の貯蔵弾性率 の違いにより変化すると考えられ、材料は硬 すぎず適度な値(貯蔵弾性率が1×10 6 ~1×10 8 Paの範囲)に抑えることが重要であると考えら れる。

 本発明の接着剤組成物のフレキシブルパ ル構造体におけるシール剤(あるいは接着剤 や異方導電性シール剤など)への適用性を調 るために、図3に示すような繰り返し曲げ戻 試験を行った。比較例1~3のパネル構造体で 、20~100回程度の曲げ戻しで上下のフィルム はがれてしまったのに対し、本発明の接着 組成物を用いたパネル構造体(実施例1~10)で 、5万回以上の曲げ戻しの繰り返しに対して も全くはがれることなく初期の接着状態が維 持された(表1~3)。

 本発明の接着剤組成物は、2段硬化型であ り、フレキシブルなシートに貼り付ける場合 やフレキシブルフィルムを貼り合わせてフレ キシブルなパネル構造体とする時には、適度 な硬さと仮固定可能なだけの粘着性を示し、 硬化反応終了後は、硬すぎず適度な弾性体で ある接着剤組成物であり、例えば電子ペーパ ー等のフレキシブルなディスプレイパネルの 製造においては、パネル基板用のシール剤お よび接着剤や、導電粒子を含ませ異方導電性 を有するシール剤、および接着剤のほか、フ レキシブルシートに搭載する部品等の接着剤 として好適に利用することができる。




 
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