AKIZAWA HIROMICHI (JP)
KUROKAWA MASAHIRO (JP)
MATSUSHIMA SATOSHI (JP)
HATSUSHIBA KIYONORI (JP)
FUJIFILM RI PHARMA CO LTD (JP)
ARANO YASUSHI (JP)
AKIZAWA HIROMICHI (JP)
KUROKAWA MASAHIRO (JP)
MATSUSHIMA SATOSHI (JP)
HATSUSHIBA KIYONORI (JP)
JPH04504247A | 1992-07-30 | |||
JPS6426586A | 1989-01-27 |
下記式(1)に記載の化合物を有効成分として含有する抗腫瘍薬。 |
下記式(2)に記載の化合物を有効成分として含有する抗腫瘍薬。 |
下記化合物(化合物中のハロゲン原子は放射性ハロゲン原子である)のいずれか1を有効成分として含有する抗腫瘍薬。 1-(4-ヨードベンジル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン 1-(4-ヨードベンジル)-4,7,10-トリメチル-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン 1-(4-ヨードベンジル)-4-メチル-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン 1-(4-ヨードベンジル)-7-メチル-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン 1-(4-ヨードベンジル)-4,7-ジメチル-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン 4-(4-ヨードベンジル)-1,7-ジメチル-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン 1-(4-ブロモベンジル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン 1-(4-ブロモベンジル)-4,7,10-トリメチル-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン 1-(4-クロロベンジル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン 1-(4-クロロベンジル)-4,7,10-トリメチル-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン |
腫瘍集積性溶媒を含む請求項1~3のいずれか1に記載の抗腫瘍薬。 |
前記有効成分を放射能量として6MBq以上6.5GBq以下の範囲で含む、請求項1~3のいずれか1に記載の抗腫瘍薬。 |
前記腫瘍集積性溶媒は、ヨード化ケシ油脂肪酸エチルエステルである請求項4に記載の抗腫瘍薬。 |
肝癌、腎臓癌、肺癌、乳癌、食道癌、胃癌、胆嚢癌、前立腺癌、膀胱癌、卵巣癌、子宮癌、大腸癌及び膵臓癌の少なくともいずれかの疾患の治療に用いられる請求項1~6のいずれか1に記載の抗腫瘍薬。 |
本発明は、抗腫瘍薬に関する。
本出願は、参照によりここに援用されると
ろ、日本特許出願番号2007-050776からの優先
を請求する。
現在、腫瘍、特に悪性腫瘍に対する主た 治療法として切除、動脈塞栓術、穿刺療法 3療法を挙げることができる。切除とは、腫 瘍の局在する部位の組織を局部的に切除する 治療方法である。動脈塞栓術とは、例えばヒ トの大腿部の付け根の部分にある大腿動脈に カテーテルを挿入し、カテーテルの先端を腫 瘍の支配動脈に進め、このカテーテルを通じ てゼラチンスポンジ及び薬剤を注入して治療 する方法である。穿刺療法とは、体の外から 腫瘍に針を刺して化学的又は物理的な作用を 加えて行う治療方法をいい、経皮的エタノー ル注入療法、ラジオ波焼灼療法等に分類する ことができる。経皮的エタノール注入療法と は、超音波診断等で体の外から腫瘍の位置を 正確に把握した上で針を刺し、この針を通じ て例えば100%エタノールを経皮的に注入し、 の化学的作用により腫瘍を死滅させる方法 あり、ラジオ波焼灼療法とは、経皮的エタ ール注入療法と同様、体の外から腫瘍に針 刺し、この針に通電し発熱させることで腫 を死滅させる方法である。これら上記治療 は、腫瘍の状態、臓器の状況等の条件を十 に考慮した上で適宜選択される。
上記主たる治療法は極めて有用である。 なしながら、切除においては、腫瘍の分布 臓器の状態等から切除できる範囲が大きく りすぎる場合等は切除ができないといった 題がある。また穿刺療法は、針を腫瘍とは なる健全な臓器などに誤って針を刺してし う虞があり、特に経皮的エタノール注入療 では適用可能な腫瘍の大きさに制限があり この制限を越えて施術すると臓器不全等の 篤な合併症が起こってしまう虞があり、ま ラジオ波焼灼療法では腫瘍を焼灼する際に 腔内に飛び散ってしまい、播種を起こして まうといった虞がある。なお、動脈塞栓術 、副作用が少なく、行いやすい方法である いった利点があるが、一回の施術で完全に 療できる確率は現状あまり高くなく、繰り し行わなければならないため、患者にとっ 負担が大きくなってしまうという課題があ 。
なお、上記主たる3つの治療法に加え、放 射線療法、化学療法も適宜用いられている。 放射線療法とは、腫瘍に対し放射線を照射し 、その腫瘍を死滅させる治療法をいい、化学 療法とは、いわゆる抗がん剤を投与し、腫瘍 を死滅させる治療法をいう。
腫瘍の治療法に関する公知の技術として 例えば、抗腫瘍効果を示すスマンクス(登録 商標)を腫瘍集積効果を有するリピオドール( 録商標)に懸濁させ、動脈塞栓術を用い、肝 動脈から注入することで腫瘍を死滅させる技 術が例えば下記特許文献1に記載されている なお、本明細書において「腫瘍集積効果」 は、腫瘍に対して特異的に停滞及び集積す 性質をいう。
また、例えば下記非特許文献1には、リピ オドールの分子内に存在する安定ヨウ素を放 射性ヨウ素131(以下「I-131」という。)に置き え、放射線療法に有用な抗腫瘍薬として利 するといった技術が記載されている。
また、例えば下記特許文献2には、抗がん 剤シスプラチンを微粉末化し、ヒトに使用で きるようにした技術が記載されている。
更に、下記非特許文献2には、放射性イッ トリウム90(以下「Y-90」という。)をガラス小 に封入し、肝動脈に注入し、Y-90の放射線照 射により癌を死滅させる技術が記載されてい る。
しかしながら、上記特許文献1に記載の技 術では、腫瘍に対する選択性が低く、これを カバーするためには多量の投与が必要である が、多量に投与すると全身性の副作用が大き な問題となる。
また、上記非特許文献1に記載の技術では 、I-131の発するβ-線の飛程が短いために、大 な腫瘍に対しては十分に放射線の照射を行 ことができないといった課題がある。
また、上記特許文献2に記載の技術におい ても、腫瘍に対する選択性において課題を有 し、腫瘍に蓄積しなかったものは全身に拡散 し、全身性の副作用が大きな問題となる。特 に、重篤な腎障害のある患者には投与できな いといった課題がある。なお上記非特許文献 1に記載の技術は、繰り返し投与を行うため ザーバー設置が必要であるといった課題も る。
また、上記非特許文献2に記載の技術では 、腫瘍集積性を殆ど有しておらず、腫瘍のみ ならず肝臓全体の照射となってしまい、腹水 、放射性肝臓炎等の重篤な副作用を生じさせ てしまうといった課題がある。
そこで、本発明は、上記課題を鑑み、よ 優れた腫瘍集積効果、腫瘍縮小効果の高い 腫瘍薬を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題について鋭意検 を行ったところ、複数のアミンを有する部 と放射性核種を安定に保持する部位との好 な組み合わせを見出すことで本発明を完成 せるに至った。
すなわち、本発明の一手段に係る抗腫瘍薬
、下記式(1)に記載の化合物を有効成分とし
含有する。
なお、本手段において限定されるわけでは
いが、上記有効成分が下記式(2)に記載の化
物であることは好ましい態様である。
なお、本発明のアルキル基は、好ましく 低級アルキル基であり、さらに好ましくは 素数1乃至8のアルキル基であり、具体的に メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプ ロピル基、n-ブチル基、イソブチル基及びtert -ブチル基である。
さらに、本発明の抗腫瘍薬は、下記化合物(
化合物中のハロゲン原子は放射性ハロゲン原
子である)のいずれか1を有効成分として含有
る。
1-(4-ヨードベンジル)-1,4,7,10-テトラアザシク
ロドデカン
1-(4-ヨードベンジル)-4,7,10-トリメチル-1,4,7,1
0-テトラアザシクロドデカン
1-(4-ヨードベンジル)-4-メチル-1,4,7,10-テトラ
アザシクロドデカン
1-(4-ヨードベンジル)-7-メチル-1,4,7,10-テトラ
アザシクロドデカン
1-(4-ヨードベンジル)-4,7-ジメチル-1,4,7,10-テ
ラアザシクロドデカン
4-(4-ヨードベンジル)-1,7-ジメチル-1,4,7,10-テ
ラアザシクロドデカン
1-(4-ブロモベンジル)-1,4,7,10-テトラアザシク
ロドデカン
1-(4-ブロモベンジル)-4,7,10-トリメチル-1,4,7,1
0-テトラアザシクロドデカン
1-(4-クロロベンジル)-1,4,7,10-テトラアザシク
ロドデカン
1-(4-クロロベンジル)-4,7,10-トリメチル-1,4,7,1
0-テトラアザシクロドデカン
なお、本手段において、限定されるわけ はないが、抗腫瘍薬は、腫瘍集積性溶媒を むことが好ましい態様である。ここで腫瘍 積性溶媒とは、腫瘍集積性を有する溶媒を い、限定されるわけではないが例えばヨー 化ケシ油エチルエステルが好ましい態様で る。
また、本手段において、限定されるわけ はないが、上記有効成分は、放射能量とし 6MBq以上6.5GBq以下の範囲で含まれていること が好ましく、より好ましくは13MBq以上2.6GBq以 の範囲である。
以上、本発明により、より優れた腫瘍集 効果、腫瘍縮小効果の高い抗腫瘍薬を提供 ることができる。本発明に係る抗腫瘍薬が 果を示す腫瘍としては、肝癌、腎臓癌、肺 、乳癌、食道癌、胃癌、胆嚢癌、前立腺癌 膀胱癌、卵巣癌、子宮癌、大腸癌及び膵臓 を挙げることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形 について説明するが、本発明は多くの異な 形態による実施が可能であり、以下に示す 施形態、実施例に限定されるものではない
本実施形態に係る抗腫瘍薬は、下記式(1)で
される化合物を有効成分として含有するこ
を特徴の一つとする。
本実施形態に係る抗腫瘍薬は、複数のア ンを有する部位と放射性ハロゲン原子を保 する部分とを有しており、腫瘍集積効果を 揮し、保持する放射性元素による腫瘍縮小 果を十分に発揮することができる。この腫 集積性の理由については明らかでない部分 あるが、固形腫瘍のリンパ管の構造や機能 正常のそれとは大きく異なっていることに づくためと考えられる。すなわち、新生血 等の腫瘍血管の多くは粗雑かつ過密である め、血中の高分子や油がこの血管外腔へ漏 し、かつ蓄積しやすく、しかもこの漏出し 高分子や油を回収し運び去るためのシステ であるリンパ系・網内系機能が見合った程 に機能していないため、本実施形態に係る 合物のアミンを有する部位が腫瘍に特異的 停滞及び集積することができると考えられ 。
上記式(1)における放射性ハロゲン原子と ては、限定されるわけではないが、例えばI -123、I-124、I-125、I-131、Br-76、Br-77、Br-82、Cl-34 、At-211を例示することができるがこれに限定 されない。ただ上記の中でもI-131は、ベータ のエネルギーが606keVと高く、かつ半減期が8 .02日と治療を行うために特に好ましい条件を 有している。
本実施形態に係る抗腫瘍薬の投与対象と る腫瘍としては、限定されるわけではない 悪性腫瘍であることが有用であり、例えば 癌、腎臓癌、肺癌、乳癌、食道癌、胃癌、 嚢癌、前立腺癌、膀胱癌、卵巣癌、子宮癌 大腸癌、膵臓癌を例示することができるが れに限定されない。
また、本実施形態に抗腫瘍薬は、上記式( 1)に記載の化合物を有効成分とするほか、腫 集積性溶媒を含むことが好ましい。このよ にすることで動脈塞栓術に適用することが き、溶媒自体にも腫瘍集積性を有すること なるため極めて有効である。また特に、本 施形態に係る上記式(1)で示される化合物は 数のアミンを有する部位により安定、均一 懸濁可溶化でき、I-131のように短い飛程の 射性元素を用いてもより高い腫瘍縮小効果 発揮できる。なおここで「腫瘍集積性溶媒 とは、腫瘍に対して特異的に停滞及び集積 る性質を有する溶媒をいう。腫瘍集積性溶 としては、限定されるわけではないが認可 剤であるヨード化ケシ油エチルエステルで ることが好ましい。
本抗腫瘍薬の投与は、一般に、腫瘍集積 溶媒を加えた状態で腫瘍の支配動脈内に動 注射することにより行うことができる。具 的には、例えば肝癌の場合は肝動脈に、肺 の場合は気管支動脈に、腎臓癌の場合は腎 脈にそれぞれ注射すればよい。なお腫瘍の 配動脈内に動脈注射する方法としては、限 されるわけではないが、例えばカテーテル 用い、大腿動脈から逆行性に挿入し、各部 動脈へ導き、投与することが好ましい。
本抗腫瘍薬の投与量及び回数は患者の体 、性別、腫瘍の大きさ、投与方法、使用す 放射性元素によって適宜選択することがで るが、例えば標準的体重の成人男性に対し 上記I-131を用いて上記動脈注射を行う場合 腫瘍の大きさが1~200gであれば、13MBq以上2.6GBq 以下の範囲で3~4週間の間投与することが好ま しい。
なお、本実施形態に係る上記式(1)で示され
化合物は、合成によって製造することがで
る。合成の方法は限定されることなく周知
合成法によって製造することができるが、
えば、下記式(1-1)で示される化合物と下記
(1-2)で示される化合物をクロロフォルム中で
反応させ、下記式(1-3)で示される前駆化合物
得、これに放射性ハロゲン原子を有機スズ
の交換反応を用いて置換することで上記式(
1)により示される化合物を得ることができる
なお下記式(1-2)においてX'は非放射性のハロ
ゲンを示し、特に臭素や塩素であることが好
ましい。
以上、本実施形態に係る抗腫瘍薬は、よ 優れた腫瘍集積効果、腫瘍縮小効果の高い 腫瘍薬となる。
以下、上記実施形態に係る抗腫瘍薬につ て実際に製剤化を行い、その効果について 認を行った。以下説明する。
(化合物の作製)
クロロフォルムに1,4,7,10-tetraaza-cyclododecaneを
溶解し、氷冷下でp-bromobenzylbromide(0.66当量)を1
時間かけてゆっくり加えた。そして室温で24
間攪拌後、溶媒を留去し、残渣をクロロフ
ルムに溶解し、4N HClで分液し、水層を12.5N
NaOHでpH14としてクロロフォルムで分液した。
クロロフォルム層を無水硫酸カルシウムで乾
燥した後、溶媒を留去し、残渣をシリカゲル
クロマトグラフィ(クロロフォルム:メタノー
:アンモニア水=30:10:1)で生成することにより
下記(2-1)の化合物を得た(収率60%)。
そして、上記式(2-1)で示す1-(4-Tributylstannyl -benzyl)-1,4,7,10-tetraaza-cyclododecane(以下「Sn-cyclen という。)104μgを1%の酢酸/メタノール溶液200 μLに溶かし、その溶液83μLと0.5mg/mLのN-クロロ コハク酸イミド/メタノール溶液22μL、更にヨ ウ化ナトリウム液(I-131)50μLをガラスバイアル に入れて室温で30分間反応させた。そしてこ に0.72mg/mLの亜硫酸水素ナトリウム水溶液11mL を入れて反応を停止させ、懸濁液を得た。
(HPLCによる精製)
酢酸1mLに水を加えて1Lとし、0.1%酢酸水溶液
調製し、移動相Aとした。一方、酢酸1mLにア
セトニトリルを加えて1Lとし、0.1%酢酸/アセ
ニトリル溶液を調製し、移動相Bとした。そ
て上記の反応により得た懸濁液をHPLC装置(
本分光社製、PU-2080 Plus)に全量打ち込み、移
動相Aと移動相Bを次のようなグラジェント法
変化させて分離した。
なお流速は1mL/分とし、カラムはL-カラムODS4
.6×150mm、粒径5μm(化学物質評価研究機構製)を
使用した。波長は254nmで行い、出現した15分
近のピークを分取し、減圧(1Torr、25℃)下、
媒を留去し、化合物1-(4-[131]Iodo-benzyl)-1,4,7,10-
tetraaza-cyclododecane(以下「[131]I-cyclen」という。
)を得た。
(腫瘍集積性溶媒への混合)
上記にて得た[131]I-cyclenの一部をとり、酢酸
エチル1mL及びリピオドール250μLを加え、減圧
し(1Torr、25℃)、溶媒を留去した。留去後、リ
ピオドールを適量加え、550MBq/mLに調整した。
そしてこれと同様の調製を再度行い、これら
調製後の溶液を併せた後、ろ過滅菌フィルタ
ー(PALL社製、Acrodisk Syringe Filter with Supor Mem
brane、0.2μm、25mmφ)に通液した後、注射液製剤
として投与液1を得た。得られた投与液1をTLC(
Whatman社製、KC18F)にスポットし、メタノール/
(75/25)混液で展開し放射化学的純度を確認し
たところ、93.60%であった。
(ラット肝癌動物モデルの作製)
ラット肝癌細胞N1-S1を培養し、PBSバッファ
で細胞液4×106cells/mLを調製した。一方、Sparag
ue-Dawleyラット14匹(雄、251~276g)を開腹し、肝臓
を露出させた。そして上記細胞液20μLをシリ
ジ充てんし、ゆっくりと肝臓の一つの葉へ
入して移植した。注入後肝臓を元の位置に
し、縫合して閉腹した。なお、ラットは移
10日後試験に供した。
(投与液1、生理食塩液、I-131-リピオドールの
与)
上記作製したラット肝癌動物モデルをエー
ル麻酔下で開腹し、肝動脈、総肝動脈、胃
二指腸動脈を露出させ、30Gステンレス針、
リエチレンチューブPE-10及びマイクロシリ
ジを用いて投与器を作製し、上記投与液1(520
MBq/mL)を充てんした。そして30Gステンレス針
胃十二指腸動脈に挿入し、針先を肝動脈付
に設置し、マイクロシリンジ内の投与液1を2
0μL(10.4MBq)注入した。注入後、針を抜き、止
後縫合して閉腹した。なおこの投与液1は合
4匹のラットに投与した。また、この実験の
コントロールとして、上記投与液1の代わり
生理食塩液を同様の方法で6匹に投与し、上
投与液1の代わりにI-131-リピオドールを同様
の方法で4匹に投与した。投与後のラットは
謝ケージ内で14日間飼育した。
(腫瘍集積効果の確認)
上記14日の飼育後、投与液1、I-131-リピオド
ルを投与した群のラットを頚椎脱臼にて安
死させ、血液を含め腫瘍臓器を試料として
出した。試料は放射能を測定し、各資料の
位湿重量あたりの放射能集積率を%Dose/gとし
て算出した。この結果を下記表1に示す。
この結果、上記表1から明らかなように、 投与液1は投与14日後において腫瘍に顕著に集 積していることが確認できた(23.64%Dose/g)。一 、I-131-リピオドールの腫瘍への集積は4.81%Do se/gと投与液1の1/5程度と低かった。すなわち 本実施例における投与液1は腫瘍において高 い濃度で滞留し、高い腫瘍集積効果を有して いることを確認した。また、本実施例におけ る投与液1の正常な肝臓への集積はI-131-リピ ドールの正常な肝臓への集積に比べ低いこ を確認した。これは肝臓近傍に投与液1を投 してもあまり集積せず、I-131-リピオドール 比べ放射線のダメージが低いという良好な 果を示していると考えられる。なお本実施 における投与液1は投与14日後にはその77.37% 尿から、5.09%が糞から排出された。
(腫瘍縮小効果の確認)
また、上記解剖時に、腫瘍の長径及び短径
測定もノギスで行い、腫瘍体積を長径×(短
の2乗)í2により計算した。また、腫瘍体積
変化を体積変化率(%)とし、(投与14日後の腫
体積)í(投与時の腫瘍体積)×100により計算し
。また、50%以上腫瘍が縮小したラットはそ
投与した液が効を奏したと判断し、奏効率(
%)を(体積変化率が50未満であったラットの数)
í(各群のラットの数)×100により計算した。各
時点の腫瘍体積、体積変化率、奏効率につい
て表2に示す。
この結果、上記表2から明らかなように、 生理食塩液を投与したラットにおける腫瘍の 体積変化率は380%で、投与後14日間で腫瘍体積 が約4倍となったことを表している。一方、 与液1を投与したラットにおける腫瘍の体積 化率は17%と低く、投与液1は明らかに腫瘍を 縮小させていることを確認した。また、投与 液1を投与したラットの奏効率は100%で、全て ラットにおいて腫瘍縮小効果があることを 認した。
以上の通り、本実施例に係る投与液1は、 極めて高い腫瘍集積効果及び腫瘍縮小効果を 示す抗腫瘍薬であることを確認した。
本発明は抗腫瘍薬として産業上の利用可 性がある。