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Title:
BEARING APPARATUS WITH LUBRICANT DIAGNOSIS SENSOR AND LUBRICANT DIAGNOSIS SENSOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/099562
Kind Code:
A1
Abstract:
This invention provides a bearing apparatus with a lubricant diagnosis sensor, which can reliably grasp beforehand an abnormal phenomenon of a lubricant, for example, in a roll bearing without limitation of its attachment position and can prevent the occurrence of trouble such as seizure. A bearing apparatus (20) comprises a lubricant diagnosis sensor (10). The lubricant diagnosis sensor (10) comprises a sensor part and a substrate with the sensor part provided thereon. The sensor part detects hydrocarbons produced upon the deterioration of the lubricant filled into the bearing. The lubricant diagnosis sensor (10) is in a thin film form and is attached to the bearing part. The bearing apparatus (20) further comprises a temperature sensor adjacent to the lubricant diagnosis sensor (10). The output from the lubricant diagnosis sensor (10) undergoes temperature correction by the output from the temperature sensor.

Inventors:
YOKOYAMA KEISUKE (JP)
SASAO KUNIHIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/074036
Publication Date:
August 21, 2008
Filing Date:
December 13, 2007
Export Citation:
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Assignee:
NSK LTD (JP)
YOKOYAMA KEISUKE (JP)
SASAO KUNIHIKO (JP)
International Classes:
F16C41/00; F16C19/52
Foreign References:
JP2003166696A2003-06-13
JPH0942035A1997-02-10
JP2003172494A2003-06-20
JP2006177715A2006-07-06
JPH04248453A1992-09-03
JPH06193629A1994-07-15
JP2006258520A2006-09-28
JPH0348127A1991-03-01
JPH0635666U1994-05-13
JPS61256601A1986-11-14
Attorney, Agent or Firm:
TAMURA, Keijiro et al. (Masumoto Bldg.4-3, Nishi-Shinjuku 7-chom, Shinjuku-ku Tokyo 23, JP)
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Claims:
 潤滑剤診断センサを備える軸受装置であって、
 前記潤滑剤診断センサは、軸受内に充填された潤滑剤の劣化に伴って発生する炭化水素を検知するセンサ部と、前記センサ部が形成される基板と、を備え、薄膜状に形成されて軸受部分に取り付けられたことを特徴とする潤滑剤診断センサ付き軸受装置。
 外輪と内輪との間に複数の転動体が配設されるとともに潤滑剤診断センサを備える転がり軸受装置であって、
 前記潤滑剤診断センサは、軸受内に充填された潤滑剤の劣化に伴って発生する炭化水素を検知するセンサ部と、前記センサ部が形成される基板と、を備え、薄膜状に形成されて軸受部分に取り付けられたことを特徴とする潤滑剤診断センサ付き軸受装置。
 前記潤滑剤診断センサは、固定側の軌道輪の転走面に形成した凹部に取り付けられた請求項2に記載の潤滑剤診断センサ付き軸受装置。
 前記潤滑剤診断センサは、固定側の軌道輪の転走面の近傍に取り付けられた請求項2または3に記載の潤滑剤診断センサ付き軸受装置。
 固定側の軌道輪に取り付けられたシールを備え、前記シールに前記潤滑剤診断センサが取り付けられた請求項2乃至4のいずれか1項に記載の潤滑剤診断センサ付き軸受装置。
 前記シールが芯金部と弾性部とを備え、前記芯金部に前記潤滑剤診断センサが取り付けられた請求項5に記載の潤滑剤診断センサ付き軸受。
 前記センサ部を加熱するためにヒータ部を設けた請求項1乃至6のいずれか1項に記載の潤滑剤診断センサ付き軸受装置。
 前記センサ部を加熱するためにヒータ部を設け、前記基板を省略して前記ヒータ部に前記センサ部を形成した請求項1乃至6のいずれか1項に記載の潤滑剤診断センサ付き軸受装置。
 潤滑剤診断センサを備える軸受装置であって、
 前記潤滑剤診断センサは、軸受内に充填された潤滑剤の劣化に伴って発生する炭化水素を検知するセンサ部と、前記センサ部が形成される基板と、を備え、薄膜状に形成されて軸受部分に取り付けられるとともに、
 前記潤滑剤診断センサの近傍に温度センサを備え、
 前記潤滑剤診断センサからの出力を前記温度センサの出力で温度補正することを特徴とする潤滑剤診断センサ付き軸受装置。
 外輪と内輪との間に複数の転動体が配設されるとともに潤滑剤診断センサを備える転がり軸受装置であって、
 前記潤滑剤診断センサは、軸受内に充填された潤滑剤の劣化に伴って発生する炭化水素を検知するセンサ部と、前記センサ部が形成される基板と、を備え、薄膜状に形成されて軸受部分に取り付けられるとともに、
 前記潤滑剤診断センサの近傍に温度センサを備え、
 前記潤滑剤診断センサからの出力を前記温度センサの出力で温度補正することを特徴とする潤滑剤診断センサ付き軸受装置。
 前記潤滑剤診断センサは、固定側の軌道輪の転走面に形成した凹部に取り付けられた請求項10に記載の潤滑剤診断センサ付き軸受装置。
 前記潤滑剤診断センサは、固定側の軌道輪の転走面の近傍に取り付けられた請求項10または11に記載の潤滑剤診断センサ付き軸受装置。
 固定側の軌道輪に取り付けられたシールを備え、前記シールに前記潤滑剤診断センサが取り付けられた請求項10乃至12のいずれか1項に記載の潤滑剤診断センサ付き軸受装置。
 前記シールが芯金部と弾性部とを備え、前記芯金部に前記潤滑剤診断センサが取り付けられた請求項13に記載の潤滑剤診断センサ付き軸受装置。
 前記温度センサは、耐熱性樹脂からなるフィルム基板と、前記フィルム基板に形成された膜状の温度センサ部と、前記温度センサ部を覆うように設けられた耐熱性樹脂からなるフィルム状のカバーと、前記温度センサ部の一部が前記カバーの表面に露出する配線取付部と、を有する請求項9乃至14のいずれか1項に記載の潤滑剤診断センサ付き軸受装置。
 前記フィルム基板及び前記カバーはポリイミド樹脂からなる請求項15に記載の潤滑剤診断センサ付き軸受装置。
 前記センサ部が形成された基板の反対側面に前記温度センサを設けた請求項9乃至16のいずれか1項に記載の潤滑剤診断センサ付き軸受装置。
 前記センサ部を加熱するためにヒータ部を設けた請求項9乃至17のいずれか1項に記載の潤滑剤診断センサ付き軸受装置。
 前記センサ部を加熱するためにヒータ部を設け、前記基板を省略して前記ヒータ部に前記センサ部を形成した請求項9乃至17のいずれか1項に記載の潤滑剤診断センサ付き軸受装置。
 前記温度センサと前記ヒータ部とを積層して形成した請求項18または19に記載の潤滑剤診断センサ付き軸受装置。
 前記温度センサと前記ヒータ部とを近接して並べて形成した請求項18または19に記載の潤滑剤診断センサ付き軸受装置。
 前記センサ部は酸化物半導体から構成される請求項1乃至21のいずれか1項に記載の潤滑剤診断センサ付き軸受装置。
 前記酸化物半導体の粒子径が5nm以上10μm以下である請求項22に記載の潤滑剤診断センサ付き軸受。
 潤滑剤の劣化に伴って発生する炭化水素を検知するセンサ部と、前記センサ部が形成される基板と、前記センサ部の近傍に配置された温度センサと、を備え、
 前記センサ部からの出力を前記温度センサの出力で温度補正することを特徴とする潤滑剤診断センサ。
 前記センサ部を加熱するためのヒータ部を更に備える請求項24に記載の潤滑剤診断センサ。
Description:
潤滑剤診断センサ付き軸受装置 び潤滑剤診断センサ

 本発明は、軸受内部の潤滑剤の劣化を検 する潤滑剤診断センサ付き軸受装置及び潤 剤診断センサに関する。

 従来、回転部品を支持する一般軸受装置は 一度組み込まれると定期的な検査がないた 、潤滑剤の劣化異常に起因する不具合が発 したときに、初めて内部を検査することが かった。また、鉄道車両や風車等の軸受装 の場合は、一定期間使用した後に、軸受装 やその他の部分について分解し検査が行わ る。このため、潤滑剤の劣化異常に起因す 不具合を事前に予測することが難しかった これに関し、転がり軸受の異常を自動的に 断する異常診断装置として、特許文献1のよ うに軸受から発生する異常音を周波数解析す ることによって診断を行うものがある。また 、特許文献2には、転がり軸受内の潤滑剤の 化状態を常時検出できるようにするために 転がり軸受のシールド板に、潤滑剤劣化検 装置の検出部として潤滑剤の劣化に伴って 生するガス状の炭化水素を検出するガスセ サ等を取り付けた潤滑剤劣化装置が開示さ ている。

特開2000-146762号公報

特開2003-166696号公報

 特許文献1の異常診断装置によれば、転が り軸受の外輪と内輪または軸受と転動体など の形状が不完全な場合に発生する、いわゆる 「びびり音」や、傷の発生による傷音などの 異常音が発生して始めて異常の診断がなされ るため、異常の発生を未然に防ぐには不充分 である。このため、潤滑剤劣化異常に起因す る不具合を異常を未然に防ぐには、定期的に 潤滑剤を採取してその劣化状態を検出する必 要があるが、かかる検出のためには手間と時 間を要してしまう。このように、従来の方法 であると、潤滑剤劣化異常に起因する不具合 が生じるまで異常を検知することが困難であ ったり、手間と時間がかかっていた。

 本発明の目的は、取り付け位置が限定さ ずに転がり軸受等の潤滑剤異常を事前に確 に把握し、焼付等の不具合発生を未然に防 ことができる潤滑剤診断センサ付き軸受装 を提供することである。

 本発明の更なる目的は、取り付け位置が 定されずに転がり軸受等の潤滑剤異常を事 に確実に把握し、焼付等の不具合発生を未 に防ぐことができかつセンサ出力の温度補 が可能な潤滑剤診断センサ付き軸受装置及 潤滑剤診断センサを提供することを目的と る。

 上記目的を達成するために、本実施形態 よる第1の潤滑剤診断センサ付き軸受装置は 、潤滑剤診断センサを備え、前記潤滑剤診断 センサは、軸受内に充填された潤滑剤の劣化 に伴って発生する炭化水素を検知するセンサ 部と、前記センサ部が形成される基板と、を 備え、薄膜状に形成されて軸受部分に取り付 けられたことを特徴とする。

 この潤滑剤診断センサ付き軸受装置によ ば、潤滑剤診断センサが薄膜状であるので 取り付け位置が限定されず、軸受のあらゆ 部分に取り付け可能であり、潤滑剤の劣化 伴って発生する炭化水素を検知することで 軸受の潤滑剤異常を事前に確実に把握でき 焼付等の不具合発生を未然に防ぐことがで る。

 本実施形態による第2の潤滑剤診断センサ 付き軸受装置は、外輪と内輪との間に複数の 転動体が配設されるとともに潤滑剤診断セン サを備える転がり軸受であって、前記潤滑剤 診断センサは、潤滑剤の劣化に伴って発生す る炭化水素を検知するセンサ部と、前記セン サ部が形成される基板と、を備え、薄膜状に 形成されて軸受部分に取り付けられたことを 特徴とする。

 この潤滑剤診断センサ付き軸受装置によ ば、潤滑剤診断センサが薄膜状であるので 取り付け位置が限定されず、転がり軸受の らゆる部分に取り付け可能であり、潤滑剤 劣化に伴って発生する炭化水素を検知する とで、転がり軸受の潤滑剤異常を事前に確 に把握でき、焼付等の不具合発生を未然に ぐことができる。

 上記潤滑剤診断センサ付き軸受装置にお て、前記潤滑剤診断センサは、固定側の軌 輪の転走面に形成した凹部に取り付けるこ ができる。また、前記潤滑剤診断センサは 固定側の軌道輪の転走面の近傍に取り付け こともできる。

 また、固定側の軌道輪に取り付けられた ールを備え、前記シールに前記潤滑剤診断 ンサが取り付けることもできる。この場合 前記シールが芯金部と弾性部とを備え、前 芯金部に前記潤滑剤診断センサが取り付け れてもよい。

 上記各潤滑剤診断センサ付き軸受装置に いて前記センサ部は、酸化錫、酸化亜鉛、 化ジルコニア、酸化インジウム等の酸化物 導体から構成されることが好ましい。この 合、前記酸化物半導体の粒子径が5nm以上10μ m以下であることが好ましい。

 また、前記センサ部を加熱するためにヒ タ部を設けることが好ましい。ヒータ部で ンサ部を加熱することでセンサ感度が上昇 、潤滑剤診断がし易くなり、好ましい。こ 場合、ヒータ部は、例えば、センサ部の形 された基板の反対側の面に直接形成したり 薄膜ヒータを貼り付けたりすることで設け ことができる。

 また、前記センサ部を加熱するためにヒ タ部を設け、前記基板を省略して前記ヒー 部に前記センサ部を形成した構成としても い。ヒータ部でセンサ部を加熱することで ンサ感度が上昇し、潤滑剤診断がし易くな とともに、ヒータ部が基板の機能を兼ねる とで、基板が省略されて簡単な構成となり 更に薄膜化を図ることができる。

 また、上記各潤滑剤診断センサ付き軸受 置において、潤滑剤の劣化原因として、熱 よる分解反応や酸化劣化反応が挙げられ、 れらの反応により潤滑剤の骨格を構成して る炭化水素が切断され、低分子量の炭化水 が発生するが、この炭化水素の発生を潤滑 診断センサで検知することで潤滑剤の診断 行い、劣化した潤滑剤による軸受での不具 発生を未然に防止できる。

 本発明者のさらなる調査・検討によれば 上記センサ部の構成材料によっては、セン 部の温度による抵抗変化が大きくなる場合 あり、このため、センサとして利用するに 温度補償を行う必要があることが判明した

 本実施形態による第3の潤滑剤診断センサ 付き軸受装置は、潤滑剤診断センサを備える 軸受装置であって、前記潤滑剤診断センサは 、軸受内に充填された潤滑剤の劣化に伴って 発生する炭化水素を検知するセンサ部と、前 記センサ部が形成される基板と、を備え、薄 膜状に形成されて軸受部分に取り付けられる とともに、前記潤滑剤診断センサの近傍に温 度センサを備え、前記潤滑剤診断センサから の出力を前記温度センサの出力で温度補正す ることを特徴とする。

 この潤滑剤診断センサ付き軸受装置によ ば、潤滑剤診断センサが薄膜状であるので 取り付け位置が限定されず、軸受のあらゆ 部分に取り付け可能であり、潤滑剤の劣化 伴って発生する炭化水素を検知することで 軸受の潤滑剤異常を事前に確実に把握でき 焼付等の不具合発生を未然に防ぐことがで るとともに、潤滑剤診断センサの近傍に設 た温度センサの出力で潤滑剤診断センサか の出力を温度補正するので、潤滑剤診断セ サ出力が温度補償され、潤滑剤診断センサ 雰囲気温度に関わりなく炭化水素の検知を うことができ、雰囲気温度に依存しない潤 剤の劣化診断が可能となる。

 本実施形態による第4の潤滑剤診断センサ 付き軸受装置は、外輪と内輪との間に複数の 転動体が配設されるとともに潤滑剤診断セン サを備える転がり軸受装置であって、前記潤 滑剤診断センサは、軸受内に充填された潤滑 剤の劣化に伴って発生する炭化水素を検知す るセンサ部と、前記センサ部が形成される基 板と、を備え、薄膜状に形成されて軸受部分 に取り付けられるとともに、前記潤滑剤診断 センサの近傍に温度センサを備え、前記潤滑 剤診断センサからの出力を前記温度センサの 出力で温度補正することを特徴とする。

 この潤滑剤診断センサ付き軸受装置によ ば、潤滑剤診断センサが薄膜状であるので 取り付け位置が限定されず、軸受のあらゆ 部分に取り付け可能であり、潤滑剤の劣化 伴って発生する炭化水素を検知することで 軸受の潤滑剤異常を事前に確実に把握でき 焼付等の不具合発生を未然に防ぐことがで るとともに、潤滑剤診断センサの近傍に設 た温度センサの出力で潤滑剤診断センサか の出力を温度補正するので、潤滑剤診断セ サ出力が温度補償され、潤滑剤診断センサ 雰囲気温度に関わりなく炭化水素の検知を うことができ、雰囲気温度に依存しない潤 剤の劣化診断が可能となる。

 上記潤滑剤診断センサ付き軸受装置にお て、前記潤滑剤診断センサは、固定側の軌 輪の転走面に形成した凹部に取り付けるこ ができる。また、前記潤滑剤診断センサは 固定側の軌道輪の転走面の近傍に取り付け こともできる。

 また、固定側の軌道輪に取り付けられた ールを備え、前記シールに前記潤滑剤診断 ンサが取り付けることもできる。この場合 前記シールが芯金部と弾性部とを備え、前 芯金部に前記潤滑剤診断センサが取り付け れてもよい。

 上記各潤滑剤診断センサ付き軸受装置に いて前記センサ部は、酸化錫、酸化亜鉛、 化ジルコニア、酸化インジウム等の酸化物 導体から構成されることが好ましい。なお 前記酸化物半導体の粒子径は数十nm程度で ることが好ましい。

 また、前記温度センサは、耐熱性樹脂か なるフィルム基板と、前記フィルム基板に 成された膜状の温度センサ部と、前記温度 ンサ部を覆うように設けられた耐熱性樹脂 らなるフィルム状のカバーと、前記温度セ サ部の一部が前記カバーの表面に露出する 線取付部と、を有することが好ましい。

 上記温度センサによれば、フィルム状の 板に形成した膜状の温度センサ部とフィル 状のカバーの表面に露出する配線取付部と ら構成され、従来のチップ型積層サーミス よりも薄く可撓性があり、かつ、小型に構 可能であるので、温度センサの取付位置に 約がなくなる。従って、温度センサを潤滑 診断センサの近傍のいかなる部分にも組み み可能であり、また、潤滑剤診断センサ自 にも組み込み可能であるため、温度検知の スポンスがよく、温度検知性が向上し、潤 剤診断センサ出力の温度補償の確度を向上 きる。また、膜状の温度センサ部をカバー 覆うので、温度センサの劣化のおそれが少 く、また、温度センサ全体が可撓性のある 造なので、割れのおそれもない。このため 耐久性のある温度センサを実現できる。

 また、前記基板及び前記カバーはポリイ ド樹脂からなることが好ましく、耐熱性を 分に得ることができる。

 また、前記センサ部が形成された基板の 対側面に前記温度センサを設けるようにし もよい。これにより、温度センサを潤滑剤 断センサに一体的に設けることができ、温 センサの付いた潤滑剤診断センサをコンパ トに構成できるとともに、潤滑剤診断セン の雰囲気温度を確実に検知できる。

 また、前記センサ部を加熱するためにヒ タ部を設けることが好ましい。ヒータ部で ンサ部を加熱することでセンサ感度が上昇 、潤滑剤診断がし易くなり、好ましい。こ 場合、ヒータ部は、例えば、センサ部の形 された基板の反対側の面に直接形成したり 薄膜ヒータを貼り付けたりすることで設け ことができる。

 また、前記センサ部を加熱するためにヒ タ部を設け、前記基板を省略して前記ヒー 部に前記センサ部を形成した構成としても い。ヒータ部でセンサ部を加熱することで ンサ感度が上昇し、潤滑剤診断がし易くな とともに、ヒータ部が基板の機能を兼ねる とで、基板が省略されて簡単な構成となり 更に薄膜化を図ることができる。

 上述のようにヒータ部を設ける場合、前 温度センサと前記ヒータ部とを積層して形 することが好ましい。これにより、温度セ サの位置とヒータ部の位置が非常に近くな ため温度を正確に測定できるとともに、温 センサとヒータ部が一体になりコンパクト 構成の潤滑剤診断センサを実現できる。

 また、前記温度センサと前記ヒータ部と 近接して並べて形成するようにしてもよい これにより、温度センサの位置とヒータ部 位置が近くなるため温度を正確に測定でき とともに、温度センサとヒータ部が一体に りコンパクトな構成の潤滑剤診断センサを 現できる。

 本実施形態による潤滑剤診断センサは、 述の潤滑剤診断センサ付き軸受装置に用い れることを特徴とする。この潤滑剤診断セ サによれば、薄膜状であるので、取り付け 置が限定されず、軸受のあらゆる部分に取 付け可能であり、潤滑剤の劣化に伴って発 する炭化水素を検知できる。また、潤滑剤 断センサの近傍に一体的に設けた温度セン の出力で潤滑剤診断センサからの出力を温 補正できので、潤滑剤診断センサ出力が温 補償され、潤滑剤診断センサの雰囲気温度 関わりなく炭化水素の検知を行うことがで 、雰囲気温度に依存しない潤滑剤の劣化診 が可能となる。

 本実施形態によるもう1つの潤滑剤診断セ ンサは、潤滑剤の劣化に伴って発生する炭化 水素を検知するセンサ部と、前記センサ部が 形成される基板と、前記センサ部の近傍に配 置された温度センサと、を備え、前記センサ 部からの出力を前記温度センサの出力で温度 補正することを特徴とする。

 この潤滑剤診断センサによれば、軸受等 取り付けられて潤滑剤の劣化に伴って発生 る炭化水素を検知でき、センサ部の近傍に 体的に設けた温度センサの出力で潤滑剤診 センサからの出力を温度補正できので、潤 剤診断センサ出力が温度補償され、潤滑剤 断センサの雰囲気温度に関わりなく炭化水 の検知を行うことができ、雰囲気温度に依 しない潤滑剤の劣化診断が可能となる。

 また、前記センサ部を加熱するためのヒ タ部を更に備えることで、センサ感度が上 する。

 第1及び第2の潤滑剤診断センサ付き軸受 置によれば、取り付け位置が限定されずに がり軸受等の潤滑剤異常を事前に確実に把 でき、焼付等の不具合発生を未然に防ぐこ ができる。

 第3及び第4の潤滑剤診断センサ付き軸受 置及び潤滑剤診断センサによれば、取り付 位置が限定されずに転がり軸受等の潤滑剤 常を事前に確実に把握し、焼付等の不具合 生を未然に防ぐことができるとともに、セ サ出力の温度補償が可能である。このため 潤滑剤診断センサの雰囲気温度に関わりな 炭化水素の検知を行うことができ、炭化水 の検知確度を向上でき、雰囲気温度に依存 ない潤滑剤の劣化診断が可能となる。

第1の実施の形態による潤滑剤診断セン サ付き軸受の要部を示す要部断面図である。 図1の潤滑剤診断センサを示す平面図で ある。 図2の潤滑剤診断センサの側面図である 。 図1の潤滑剤診断センサの配置位置を変 えた潤滑剤診断センサ付き軸受の要部を示す 要部断面図である。 図1の潤滑剤診断センサの配置位置を更 に変えた潤滑剤診断センサ付き軸受の要部を 示す要部断面図である。 図1,図4の配線導出部の位置を変えた変 例を説明するための要部断面図である。 実施例1において図2,図3の潤滑剤診断セ ンサを製造するための工程(a)乃至(j)を説明す るための概略図である。 実施例1において潤滑剤診断センサを量 産する構成を説明するための比較的広めの基 板材料を示す平面図である。 実施例1・比較例1における比抵抗値及 比全酸価の時間変化を示すグラフである。 実施例1・比較例1における比抵抗値と 全酸価との関係を示すグラフである。 図2,図3において基板12を省略した潤滑 診断センサの側面図である。 実施例1において図7の工程(i)の基板に ータ部を形成する工程(j)乃至(n)を説明する めの概略図である。 第2の実施の形態による潤滑剤診断セ サ付き軸受の要部を示す要部断面図である 図13の潤滑剤診断センサを示す平面図 ある。 図14の潤滑剤診断センサの側面図であ 。 図15の温度センサのフィルム基板の上 に形成した温度センサ部を示す平面図である 。 図16Aのフィルム基板の上に設けたフ ルムカバーを示す平面図である。 図16Bの配線取付部に電気配線を電気接 続した温度センサを図16BのIII-III線に沿って 断してみた図である。 図13の潤滑剤診断センサの配置位置を えた潤滑剤診断センサ付き軸受の要部を示 要部断面図である。 図13の潤滑剤診断センサの配置位置を に変えた潤滑剤診断センサ付き軸受の要部 示す要部断面図である。 図14,図15の基板12を省略した潤滑剤診 センサの変形例を示す側面図である。 実施例2において図14,図15の潤滑剤診断 センサを製造するための工程(a)乃至(i)を説明 するための概略図である。 実施例2において図21の工程(i)の基板に ヒータ部を形成する工程(j)乃至(n)を説明する ための概略図である。 実施例2において潤滑剤診断センサを 産する構成を説明するための比較的広めの 板材料を示す平面図である。 実施例2において図16A,図16B,図17の温度 ンサを製造するための工程(a)乃至(i)を説明 るための概略図である。 実施例2において温度センサを量産す 構成を説明するための比較的広めのフィル の平面図である。 実施例2における比抵抗値及び比全酸 の時間変化を示すグラフである。 実施例2における比抵抗値と比全酸価 の関係を示すグラフである。 実施例3の潤滑剤診断センサを製造す ための工程の内、潤滑剤診断センサのセン 部を作製する工程(a)乃至(h)を説明するため 概略図である。 図28の潤滑剤診断センサのセンサ部の 製後に温度センサを作製する工程(a)乃至(h) 説明するための概略図である。 図29の温度センサの作製後に絶縁層を 製する工程(a)乃至(d)を説明するための概略 である。 図30の絶縁層の作製後にヒータ部を作 する工程(a)乃至(h)を説明するための概略図 ある。 実施例4の潤滑剤診断センサを製造す ための工程の内、潤滑剤診断センサのセン 部を作製する工程(a)乃至(h)を説明するため 概略図である。 図32の潤滑剤診断センサのセンサ部の 製後に温度センサ及びヒータ部を作製する 程(a)乃至(h)を説明するための概略図である 第2の実施の形態における潤滑剤診断 ンサ10’のセンサ部13からのセンサ出力と環 温度との関係を示すグラフである。 第2の実施の形態における潤滑剤診断 ンサ10’のセンサ出力の温度補償回路の概略 を説明するためのブロック図である。

符号の説明

 10,10A 潤滑剤診断センサ
 10’,10B 潤滑剤診断センサ
 12 基板
 13 センサ部
 14 ヒータ部
 20,20A,20B 軸受
 20’,20C,20D 軸受
 20a 軸受内部
 21 内輪
 21a 転走面
 22 外輪
 22a 転走面
 30、33 シール
 31 芯金
 32 弾性体
100 温度センサ

 以下、本発明を実施するための最良の形態 ついて図面を用いて説明する。  〈第1の 施の形態〉
図1は第1の実施の形態による潤滑剤診断セン 付き軸受の要部を示す要部断面図である。

 図1に示すように、潤滑剤診断センサを備 えた軸受装置である潤滑剤診断センサ付き軸 受20は、外周面に転走面21aを有する内輪21と 内周面に転走面22aを有する外輪22と、外輪22 内輪21との間に配置された転動体である複 の玉24と、複数の玉24を均等位置に保持する めの保持器23と、潤滑剤の劣化を検出する 滑剤診断センサ10と、を備える。

 軸受20は、内輪回転の場合のシールの付 た転がり軸受であり、両側にシール30,33を備 える。シール30は、外周に鈎部を有するリン 状の芯金31と、その外側に合成ゴムを一体 加硫成形してなる弾性体32と、から構成され 、その機能上から、芯金31の鈎部以外とその 側の弾性体32とからなる円環状の主部34と、 芯金31の鈎部とその外側の弾性体とからなり 輪22内周面の止め溝25に係止される加締部35 、芯金31の内周側の弾性体からなり内輪21の 外周面の受け溝26に接触されるリップ部36と に分けられる。

 シール30は、リップ部36を内輪21の外周面 受け溝26に接触させた状態で、加締部35を弾 性変形させながら外輪22の内周面の止め溝25 押し込むことによって、軸受20の外輪22と内 21との間に配設される。シール33もシール30 同じ構造であり、同様に外輪22と内輪21との 間に配設される。このようなシール30,33の一 的な材料は、芯金としてはSPCCやSECCなどの 板が使用され、リップ等を形成する弾性体 してはニトリルゴム、アクリルゴム、シリ ーンゴム、フッ素ゴム等の合成ゴムが使用 れる。

 なお、シール30,33は、図1のような接触ゴ シールに限らず、非接触ゴムシール、非接 鋼板などであってもよい。また、シール30,3 1により密封された軸受内部20aにグリース等 潤滑剤が充填されている。

 固定側の外輪22には、転走面22aに潤滑剤 断センサ10のための凹部27を設け、外輪22の 周面の凹部27から外輪22の側面へと貫通する 通孔Pを配線導出部として設けている。

 潤滑剤診断センサ10は、固定側の外輪22の 転走面22aに設けた凹部27に取り付けられると もに、潤滑剤診断センサ10から延びる一対 電気配線11が貫通孔Pを通して外輪22の側面か ら外部へと導出される。なお、潤滑剤診断セ ンサ10は凹部27に嵌め込みや耐熱性接着剤で り付けることができる。

 上述の潤滑剤診断センサ10について図2,図 3を参照して説明する。図2は、図1の潤滑剤診 断センサを示す平面図である。図3は、図2の 滑剤診断センサの側面図である。

 図2、図3のように、潤滑剤診断センサ10は、 シリコン(Si)等からなる基板12と、基板12上に 離して配置されたセンサ用の一対の電極15a 15bと、電極15a、15bの間であって基板12上に 成され例えばSnO 2 (酸化錫)からなる膜状のセンサ部13と、基板12 のセンサ部13との反対面側に配置された薄膜 のヒータ部14と、を備え、全体として平面 矩形状で厚さが薄くかつ可撓性のある構成 なっている。

 図2,図3において、基板12は、例えば、1mm× 2mm×0.5mm(厚さ)の寸法であり、膜状のセンサ部 13は、例えば、500μm×1.5mm×300nm(厚さ)の寸法で あるが、これらの寸法は一例であり、必要に 応じて変えることができる。センサ用電極15a 、15bは、Ti/Pt電極であり、図1の一対の電気配 線11が電気接続される。

 潤滑剤の劣化原因としては、熱による分解 応や酸化劣化反応が挙げられる。これらの 応により潤滑剤の骨格を構成している炭化 素が切断され、低分子量の炭化水素が発生 る。潤滑剤診断センサ10のセンサ部13はSnO 2 (酸化錫)等の酸化物半導体から構成されるが 酸化物半導体の表面には酸素が吸着してお 、この酸素は半導体から電子を引き抜き負 荷となって吸着している。このため、セン 部13の酸化物半導体の表面抵抗は高くなっ おり、上述のように潤滑剤の劣化に伴って 生する炭化水素がセンサ部13の酸化物半導体 表面に達すると、表面酸素が反応し電子を放 出するため酸化物半導体の抵抗値が低下する 。この抵抗値を測定することにより潤滑剤の 劣化度を判断できる。

 センサ部13の酸化物半導体の材料として 酸化錫の他に、酸化亜鉛、酸化ジルコニア 酸化インジウム等を使用できる。

 また、酸化物半導体は、その粒子径が5nm 上10μm以下が好ましい。酸化物半導体の粒 径が5nm未満であると粒子全体が常に電子空 層に覆われているため反応性が低く、粒子 が10μmを超えると粒子表面での電子濃度の変 化が粒子全体の電子濃度の変化に与える影響 が少なく結果として反応性が低い。

 また、図3のように、ヒータ部14には、一 の電気配線14a、14bが接続されており、図1の 電気配線11と同様に貫通孔Pを通して外輪22の 面から外部へと導出される。

 電気配線14a、14bを通して電源(図示省略) らヒータ部14に通電することでヒータ部14が 板12の反対側のセンサ部13を加熱し、これに より、センサ部13のセンサ感度が上昇し、上 の潤滑剤の劣化度の診断がし易くなる。ヒ タ部14は、フォトリソグラフィにより基板12 に直接形成され白金等からなる所定パターン を有する薄膜ヒータから構成できる。なお、 ヒータ部14は、市販のセラミックヒータや薄 ヒータを用いて基板12に貼り付けてもよい

 また、潤滑剤診断センサ10は、半導体製 等のための成膜プロセスを利用し、Siやガラ ス、または、PI、PEEKなどに代表される耐熱性 高分子フィルムを基板材料として、厚膜法、 スパッタリング、反応性スパッタリング、真 空蒸着法などを用いて基板12の上に酸化物半 体からなるセンサ部13を形成することで作 できる。基板上に多数のセンサを形成した 、ダイシングやフィルムカッタなどにより 別のセンサに切り出すことで大量生産が可 である。

 なお、潤滑剤診断センサ10に対して高温 ニール等の熱処理を行う場合には、基板材 は融点が1400℃を超えるSiが好ましい。

 図1の一対の電気配線11は測定装置に接続 れ、潤滑剤の劣化に伴って発生する炭化水 の存在で変化するセンサ部13の抵抗値に基 いて潤滑剤の劣化が判断される。

 次に、図1の軸受において潤滑剤診断セン サの配置位置を変えた潤滑剤診断センサ付き 軸受二例について図4,図5を参照して説明する 。図4は図1の潤滑剤診断センサの配置位置を えた潤滑剤診断センサ付き軸受の要部を示 要部断面図である。図5は図1の潤滑剤診断 ンサの配置位置を更に変えた潤滑剤診断セ サ付き軸受の要部を示す要部断面図である

 図4,図5に示す潤滑剤診断センサ付き軸受2 0A,20Bは図1の軸受20と基本構成が同一であるの で、同じ部分には同じ符号を付し、その説明 を省略する。

 図4に示すように、潤滑剤診断センサ付き 軸受20Aは、潤滑剤診断センサ10を固定側の外 22の内周面22bであって転走面22aの近傍に取 付けたものである。外輪22の内周面22bから外 輪22の側面へと貫通する貫通孔Sを配線導出部 として設けている。

 潤滑剤診断センサ10は、外輪22の転走面22a の近傍に取り付けられるとともに、潤滑剤診 断センサ10から延びる一対の電気配線11が貫 孔Sを通して外輪22の側面から外部へと導出 れる。

 図4の潤滑剤診断センサ付き軸受20Aによれ ば、図1の潤滑剤診断センサ付き軸受20と同様 の作用効果を奏し、潤滑剤劣化の検知性を向 上できる。

 図5に示す潤滑剤診断センサ付き軸受20Bは 、潤滑剤診断センサ10をシール33の芯金31の内 面31aに取り付けたものである。シール33には 芯金31と弾性体32を貫通する貫通孔Tを配線 出部として設けている。

 潤滑剤診断センサ10は、シール33の芯金31 内面31aに取り付けられるとともに、潤滑剤 断センサ10から延びる一対の電気配線11がシ ール33の貫通孔Sを通してシール33の主部34へ 導出される。

 図5の潤滑剤診断センサ付き軸受20Bによれ ば、図1の潤滑剤診断センサ付き軸受20と同様 の作用効果を奏し、潤滑剤劣化の検知性を向 上できる。

 次に、図1,図4の配線導出部の位置を変え 変形例について図6を参照して説明する。図 6は、図1,図4の配線導出部の位置を変えた変 例を説明するための要部断面図である。

 図6に示す配線導出部としての貫通孔Rは 図1の外輪22の転走面22aに形成された凹部27か ら図の上方に延びて外輪22の外周面22cへと貫 するものである。図1のように凹部27に潤滑 診断センサ10を取り付けた場合、一対の電 配線11を貫通孔Rを通して外輪22の外周面22cへ と導出できる。

 また、図6のように、貫通孔Rに連結する うに配線導出部として溝Qを外輪22の外周面22 cに外輪22の側面まで延びるように形成しても よい。貫通孔Rから導出された電気配線11を溝 Qを通して外輪22の側面へと導出できる。

 また、図6の配線導出部としての貫通孔U 、図1の外輪22の転走面22aの近傍の内周面22b ら図の上方に延びて外輪22の外周面22cへと貫 通するものである。図4のように外輪22の転走 面22aの近傍の内周面22bに潤滑剤診断センサ10 取り付けた場合、一対の電気配線11を貫通 Uを通して外輪22の外周面22cへと導出できる

 次に、図2,図3の潤滑剤診断センサの変形 について図11を参照して説明する。図11は、 図2,図3において基板12を省略した潤滑剤診断 ンサの側面図である。

 図11に示す潤滑剤診断センサ10Aは、その表 14cが電気絶縁体から構成されたヒータ部14と 、ヒータ部14上に隔離して配置されたセンサ の一対の電極15a、15bと、電極15a、15bの間で ってヒータ部14上に形成され例えばSnO 2 (酸化錫)からなる膜状のセンサ部13と、を備 、全体として平面が矩形状で厚さが薄くか 可撓性のある構成となっている。なお、ヒ タ部14として市販の薄膜ヒータ等を用いるこ とができる。

 潤滑剤診断センサ10Aは、上述の潤滑剤診 センサ付き軸受20,20A,20Bに適用することがで き、図2,図3と同様に電気配線14a、14bを通して 電源からヒータ部14に通電することでヒータ 14がセンサ部13を加熱し、これにより、セン サ部13のセンサ感度が上昇し、上述の潤滑剤 劣化度の診断がし易くなる。また、ヒータ 14に電極15a、15b及びセンサ部13を直接形成し 、基板12を省略したので、潤滑剤診断センサ1 0Aの膜厚をより薄くできる。

 以上のように、図1~図5の潤滑剤診断セン 付き軸受20,20A,20Bによれば、潤滑剤の劣化に 伴う炭化水素の発生を潤滑剤診断センサ10で 出することで潤滑剤診断を行うことができ 劣化した潤滑剤による軸受での不具合発生 未然に防止できる。

 また、潤滑剤診断センサ10は基板12と膜状 のセンサ部13等から構成されるため、また潤 剤診断センサ10Aは基板12を省略できるため いずれも薄く可撓性があり、かつ、小型で るので、潤滑剤診断センサ10,10Aの取付位置 制約がなくなる。従って、潤滑剤診断セン 10,10Aを軸受20のいかなる部分にも組み込み可 能であり、このため、炭化水素発生の検知の レスポンスが速く、潤滑剤劣化の検知性を向 上でき、軸受において潤滑剤劣化に起因する 不具合が生じることを事前に予測できる予測 可能性が向上する。

 また、潤滑剤診断センサは、半導体製造 程等における成膜プロセスを利用すること より一括形成でき容易に量産可能であり、 形で量産性に優れて製造コストを低減でき ため、潤滑剤診断センサ付き軸受を低コス で提供可能となる。

 なお、上述の潤滑剤診断センサ付き軸受 、各種用途の軸受に適用可能であるが、特 、自動車の電装部品、エンジン補機である ルタネータや中間プーリ、カーエアコン用 磁クラッチ、水ポンプ、ハブユニット、ガ ヒートポンプ用電磁クラッチ、コンプレッ 、リニアガイド装置、ボールねじ等の転が 軸受に適用して好ましい。

 〈実施例1〉
次に、本発明を実施例1により更に具体的に 明するが、本発明は本実施例に限定される のではない。

 図2,図3と同様の潤滑剤診断センサを次の 導体製造工程と同様の工程により製造した 図7を参照して説明する。図7は、本実施例 おいて図2,図3の潤滑剤診断センサを製造す ための工程(a)乃至(j)を説明するための概略 である。

 本実施例では、以下のように、基板上にTi/P tで電極をフォトリソグラフィで形成し、セ サ部としてSnO 2 を同様に形成し、更に、基板の反対面にヒー タ部を形成した。電極とセンサ部とヒータ部 はいずれもスパックリング法を用いて形成し た。

 すなわち、図7において、Si基板12を超音 洗浄し(a)、Si基板12の表面12a上にフォトレジ ト(東京応化(株)製OFPR800LB)41をスピンコート より塗布し、べーク処理を行った(b)。

 次に、上記フォトレジスト41に対し図2,図 3の電極15a、15bの形状に対応したパターニン を行ったマスクを用いて露光(ユニオン光学( 株)製EMA-400)し、現像液(東京応化(株)製MND3)を いて現像した(c)。

 次に、Tiのスパッタリングを行い、続い Ptのスパッタリングを行うことで、所定パタ ーンの金属膜44,44を形成する(d)。次に、リフ オフ法としてアセトンによる超音波洗浄を い残留フォトレジスト41を除去し、ヒータ 14上に金属膜44,44を露出させた(e)。

 次に、フォトレジスト(東京応化(株)製OFPR 800LB)42をスピンコートにより塗布し、べーク 理を行った(f)。

 次に、上記フォトレジスト42に対し図2,図 3のセンサ部13の形状に対応したパターニング を行ったマスクを用いて露光(ユニオン光学( )製EMA-400)し、現像液(東京応化(株)製MND3)を いて現像した(g)。

 次に、スパッタリングにより酸化錫(SnO 2 )膜43を厚さ約300nmに形成し(h)、その後、800℃ アニール処理を行った。

 次に、リフトオフ法としてアセトンによる 音波洗浄を行い残留フォトレジスト42を除 し、基板12の表面12a上であって金属膜44,44間 酸化錫(SnO 2 )膜43を露出させた(i)。その後、電極15a、15bに 図1の電気配線11を取り付けた。なお、酸化錫 の粒子径は、X線回折測定法により測定し、30 nmであった。

 図7の工程(i)において、酸化錫膜43が図2, 3のセンサ部13を構成し、金属膜44,44が電極15a 、15bを構成する。なお、基板の寸法は、1mm×2 mm×0.5mm(厚さ)であり、センサ部の寸法は、500 m×1.5mm×300nm(厚さ)であった。

 次に、Si基板12の反対面に、図12のように ータ部を形成した。図12は、本実施例にお て図7の工程(i)の基板にヒータ部を形成する 程(j)乃至(n)を説明するための概略図である

 図12において、表面側に酸化錫膜43及び金 属膜44,44が形成されたSi基板12の裏面12bを超音 波洗浄し(j)、Si基板12の裏面12b上にフォトレ スト(東京応化(株)製OFPR800LB)51をスピンコー により塗布し、べーク処理を行った(k)。

 次に、上記フォトレジスト51に対し図2,図 3のヒータ部14の形状に対応したパターニング を行ったマスクを用いて露光(ユニオン光学( )製EMA-400)し、現像液(東京応化(株)製MND3)を いて現像した(l)。

 次に、Tiのスパッタリングを行い、続い Ptのスパッタリングを行うことで、所定パタ ーンの金属膜52,52を形成する(m)。次に、リフ オフ法としてアセトンによる超音波洗浄を い残留フォトレジスト51を除去し、基板12の 裏面12b上に金属膜52,52を露出させた(n)。

 図12の工程(n)において、金属膜52,52が図2, 3のヒータ部14を構成する。

 なお、金属膜52,52に図3の電気配線14a,14bを 直接取り付けることができるが、別にヒータ 用電極を設け、ヒータ用電極に電気配線14a,14 bを取り付けるようにしてもよい。

 また、図8のように、例えば基板12の材料 しての比較的広めのシリコン板16に、上述 図7の工程(a)~(i)及び図12の工程(j)~(n)のような 製造工程を経て多数の潤滑剤診断センサ10を 成してから、縦横の切断線m,nに沿ってカッ することで、多数の潤滑剤診断センサ10を 単に量産することができ、製造コストを低 できる。

 また、上述のヒータ部14はスパッタリン 法を用いて作製したが、メッキ法を用いて 製してもよい。また、基板12の裏面12bに市販 の電極コードつきの薄膜ヒータを貼り付ける ようにしてヒータ部14を設けてもよい。この 膜ヒータとして、例えば、(株)河合電器製 所のHEATWELLフィルムヒータを用いることがで きる。

 また、潤滑剤診断センサを図11のように 板が省略された構成とした場合は、センサ 13及びセンサ用電極15a、15bと干渉しないよう に、ヒータ部及びヒータ用電極上に高分子薄 膜などの絶縁薄膜を形成することが望ましい 。

 また、本実施例では、基板12にセンサ部13 及びセンサ用電極15a、15bを形成してから、裏 面側にヒータ部14を形成したが、逆に、ヒー 部14を形成した後に、センサ部13及びセンサ 用電極15a、15bを形成するようにしてもよい。

 上述のようにして製造された潤滑剤診断セ サ10を軸受に実装し、図4の軸受20Aと同様の 置Bに接着で取り付け、軸受を使用し、潤滑 剤診断を実施した。また、比較例1の実験と て、所定時間毎に軸受からグリースを採取 て、「ASTM D3242」に示される全酸価試験法に よりグリースの全酸価を測定した。実施条件 は以下の通りである。
軸受:日本精工(株)製の6203(呼び番号)単列深溝 玉軸受
回転数:10,000rpm
回転時間:100時間
グリース(潤滑剤):AV2(リチウム石けん+鉱油)

 上記実施例1・比較例1の結果を図9,図10に す。新品潤滑剤の抵抗値また全酸価を「1」 として「比抵抗値」及び「比全酸価」を算出 し、図9に比抵抗値及び比全酸価の時間変化 示す。図9から分かるように、軸受の回転時 が増えるに従い、グリースが軸受の回転で 化して酸価が大きくなり比全酸価が1から増 加しているが、この比全酸価の増加に対応し て比抵抗値が1から減少した。図10に比抵抗値 と比全酸価との関係を示す。図9,図10から分 るように、本実施例の潤滑剤診断センサは ASTM D3242」に示される全酸価試験法の結果と 同様の結果を示した。

 〈第2の実施の形態〉

 図13は第2の実施の形態による潤滑剤診断 ンサ付き軸受の要部を示す要部断面図であ 。

 図13に示すように、潤滑剤診断センサを えた軸受装置である潤滑剤診断センサ付き 受20’は、外周面に転走面21aを有する内輪21 、内周面に転走面22aを有する外輪22と、外 22と内輪21との間に配置された転動体である 数の玉24と、複数の玉24を均等位置に保持す るための保持器23と、温度センサ100(図15)が設 けられ潤滑剤の劣化を検出する潤滑剤診断セ ンサ10’と、を備える。

 軸受20’は、内輪回転の場合のシールの いた転がり軸受であり、図1の転がり軸受と ぼ同一の構成であるので、同じ部分には同 符号を付し、その説明を省略する。

 潤滑剤診断センサ10’は、固定側の外輪22 の転走面22aに設けた凹部27(位置A)に取り付け れるとともに、潤滑剤診断センサ10’から びる一対の電気配線11が貫通孔Pを通して外 22の側面から外部へと導出される。なお、潤 滑剤診断センサ10’は凹部27に嵌め込みや耐 性接着剤で取り付けることができる。

 上述の潤滑剤診断センサ10’について図14 ,図15を参照して説明する。図14は、図13の潤 剤診断センサを示す平面図である。図15は、 図14の潤滑剤診断センサの側面図である。

 図14、図15のように、潤滑剤診断センサ10’ 、シリコン(Si)等からなる基板12と、基板12 に隔離して配置されたセンサ用の一対の電 15a、15bと、電極15a、15bの間であって基板12上 に形成され例えばSnO 2 (酸化錫)からなる膜状のセンサ部13と、基板12 のセンサ部13との反対面側に配置された薄膜 のヒータ部14と、ヒータ部14上に配置された 薄膜状の温度センサ100と、を備え、全体とし て平面が矩形状で厚さが薄くかつ可撓性のあ る構成となっている。

 図14,図15において、基板12は、例えば、1mm ×2mm×0.5mm(厚さ)の寸法であり、膜状のセンサ 13は、例えば、500μm×1.5mm×300nm(厚さ)の寸法 あるが、これらの寸法は一例であり、必要 応じて変えることができる。センサ用電極1 5a、15bは、Ti/Pt電極であり、図13の一対の電気 配線11が電気接続される。

 潤滑剤の劣化原因としては、熱による分解 応や酸化劣化反応が挙げられる。これらの 応により潤滑剤の骨格を構成している炭化 素が切断され、低分子量の炭化水素が発生 る。潤滑剤診断センサ10’のセンサ部13はSnO 2 (酸化錫)等の酸化物半導体から構成されるが 酸化物半導体の表面には酸素が吸着してお 、この酸素は半導体から電子を引き抜き負 荷となって吸着している。このため、セン 部13の酸化物半導体の表面抵抗は高くなっ おり、上述のように潤滑剤の劣化に伴って 生する炭化水素がセンサ部13の酸化物半導体 表面に達すると、表面酸素が反応し電子を放 出するため酸化物半導体の抵抗値が低下する 。この抵抗値を測定することにより潤滑剤の 劣化度を判断できる。

 センサ部13の酸化物半導体の材料として 酸化錫の他に、酸化亜鉛、酸化ジルコニア 酸化インジウム等を使用できる。

 また、酸化物半導体は、その粒子径が数 nm程度が好ましい。酸化物半導体の粒子径 5nm未満であると粒子全体が常に電子空乏層 覆われているため反応性が低く、粒子径が 十nm程度必要であるとの知見を得たことに基 づくものである。

 図15の潤滑剤診断センサ10’に設けられる 温度センサ100について図16A,図16B,図17を参照 て説明する。図16Aは、温度センサのフィル 基板の上に形成した温度センサ部を示す平 図であり、図16Bはフィルム基板の上に設け フィルムカバーを示す平面図である。図17は 、図16Bの配線取付部に電気配線を電気接続し た温度センサを図16BのIII-III線に沿って切断 てみた図である。

 図16A,図16B、図17のように、温度センサ100 、耐熱性及び可撓性を有するポリイミド樹 (PI)からなるフィルム基板120と、フィルム基 板120上に形成された白金等からなる膜状の温 度センサ部130と、温度センサ部130が形成され たフィルム基板120を覆うように配置された同 種のポリイミド樹脂からなるフィルムカバー 140と、を備え、全体として平面が矩形状で厚 さが薄くかつ可撓性のある構成となっている 。

 膜状の温度センサ部130は、図16Aのように 全体の幅aでかつ幅bの帯状部から構成され 幅bの帯状部は全体の帯状長さを長く確保す ために複数箇所で折り返されている。膜状 温度センサ部130の図の左右端下側に位置す 幅bの帯状部の両端に、一対の配線取付部150 ,150が幅bよりも広幅に設けられている。

 フィルム基板120を覆うフィルムカバー140 は、図16Aの一対の配線取付部150,150に対応す る位置に、図17のように孔160が形成されるこ で、図16Bのように一対の配線取付部150,150が フィルムカバー140の表面に露出している。一 対の配線取付部150,150に一対の電気配線110が 気接続される。

 温度センサ100の各寸法は、例えば、図16A 幅Xが250μm、長さYが250μm、図17の厚さZが75μm 、温度センサ部130の全体幅aが200μm、帯状部 幅bが30μmであるが、この寸法は一例であり 必要に応じて変えることができる。

 上述のように、温度センサ100は、フィル 基板120に形成した膜状の温度センサ部130と ィルムカバー140の表面に露出する配線取付 150とから構成されるため、従来のチップ型 層サーミスタよりも薄く可撓性があり、か 、小型であるので、温度センサ100の取付位 に制約がなくなる。従って、温度センサ100 潤滑剤診断センサ10’の近傍のいかなる部 にも組み込み可能である。

 例えば、図15のように、温度センサ100を 滑剤診断センサ10’の基板12のヒータ部14の 上に配置することができる。このため、温 検知のレスポンスが良好となり、潤滑剤診 センサ10’の温度検知性を向上できる。

 また、図14の破線のように、温度センサ10 0を潤滑剤診断センサ10’の基板12のセンサ部1 3が設けられた側の面上にセンサ部13と並ぶよ うに近接して配置してもよい。

 なお、温度センサ100は、ヒータ部14の面 基板12上の面に接着剤等により貼り付けるこ とができる。

 また、膜状の温度センサ部130をフィルム バー140で覆うので、温度センサ100の劣化の それが少なく、また、温度センサ100全体が 撓性のある構造なので、割れのおそれもな 。このため、耐久性のある温度センサを得 ことができる。

 図15のように、ヒータ部14には一対の電気 配線14a、14bが接続されており、図13の電気配 11と同様に貫通孔Pを通して外輪22の側面か 外部へと導出される。同様に、温度センサ10 0の一対の電気配線110も貫通孔Pを通して外輪2 2の側面から外部へと導出される。

 電気配線14a、14bを通して電源(図示省略) らヒータ部14に通電することでヒータ部14が 板12の反対側のセンサ部13を加熱し、これに より、センサ部13のセンサ感度が上昇し、上 の潤滑剤の劣化度の診断がし易くなる。ヒ タ部14は、フォトリソグラフィにより基板12 に直接形成され白金等からなる所定パターン を有する薄膜ヒータから構成できる。なお、 ヒータ部14は、市販のセラミックヒータや薄 ヒータを用いて基板12に貼り付けてもよい

 また、潤滑剤診断センサ10’は、半導体 造等のための成膜プロセスを利用し、Siやガ ラス、または、PI、PEEKなどに代表される耐熱 性高分子フィルムを基板材料として、厚膜法 、スパッタリング、反応性スパッタリング、 真空蒸着法などを用いて基板12の上に酸化物 導体からなるセンサ部13を形成することで 製できる。基板上に多数のセンサを形成し 後、ダイシングやフィルムカッタなどによ 個別のセンサに切り出すことで大量生産が 能である。

 なお、潤滑剤診断センサ10’に対して高 アニール等の熱処理を行う場合には、基板 料は融点が1400℃を超えるSiが好ましい。

 図13の一対の電気配線11を介して潤滑剤診 断センサ10’は測定装置に接続されてセンサ 13の抵抗値が測定されるが、センサ部13の抵 抗値は潤滑剤の劣化に伴って発生する炭化水 素の存在で変化するので、センサ部13の抵抗 に基づいて潤滑剤の劣化が判断される。一 、温度センサ100が一対の電気配線110を介し 温度測定装置に接続され、温度変化により 化する温度センサ部130の抵抗値に基づいて 度測定を行うことで潤滑剤診断センサ10’ 環境温度を検出する。潤滑剤診断センサ10’ のセンサ部13の抵抗値は、温度によっても変 するので、上述の検出した環境温度に基づ てセンサ部13の抵抗値変動分から温度変動 を差し引くことで温度補正する。このよう して、潤滑剤診断センサ10’のセンサ出力が 温度補償され、潤滑剤診断センサ10’の雰囲 温度に依存せずに炭化水素の検知を行い潤 剤の劣化診断が可能となり、炭化水素の検 確度を向上できる。特に、酸化物半導体か なるセンサ部13は温度による抵抗値変化が きいが、センサ出力が温度補償されるため 温度変動があっても潤滑剤診断センサ10’に よる炭化水素の検知精度を維持できる。

 潤滑剤診断センサ10’のセンサ部13の温度 による抵抗変動値(センサ部13の抵抗値の温度 変動分)を予め実験等により求めておくこと 、上述の温度補正を行うことができるが、 れについて、図34を参照して説明する。図34 潤滑剤診断センサ10’のセンサ部13からのセ ンサ出力と環境温度との関係を示すグラフで ある。

 潤滑剤診断センサ10’のセンサ部13のセンサ 出力が炭化水素ガスの検出されない環境下で 環境温度によって図34のように変動し、環境 度T1のときセンサ部13からセンサ出力S1が出 するとする。潤滑剤診断センサ10’が軸受 部の炭化水素の存在する環境で機能し、温 センサ100により検出した環境温度がT1で、炭 化水素を検出したときのセンサ部13からのセ サ出力がS2であると、温度補正されたセン 出力Sは次式から求めることができる。
S=S2-S1

 潤滑剤診断センサ10’のセンサ出力の温 補償は、例えば図35のような回路で実現する ようにしてもよい。図35は潤滑剤診断センサ1 0’のセンサ出力の温度補償回路の概略を説 するためのブロック図である。

 図35のように、潤滑剤診断センサ10’のセ ンサ出力の温度補償回路200では、センサ部13 らの出力信号(炭化水素検出信号)を増幅部20 1で増幅し、A/D変換部202でアナログ信号から ジタル信号に変換し、また、温度センサ100 らの出力信号(温度検出信号)を増幅部211で増 幅し、A/D変換部212でアナログ信号からデジタ ル信号に変換する。補正部205のメモリ206は、 図34のような炭化水素ガスの検出されない環 下でのセンサ部13のセンサ出力と環境温度 の関係を記憶している。

 図35の補正部205では、A/D変換部212からの 度検出信号に基づいて図34のようにその環境 温度のときのセンサ出力をメモリ206から得て 、そのセンサ出力に基づいてA/D変換部202から のセンサ出力(炭化水素検出信号)を補正する とで、温度補正された炭化水素検出の出力 得ることができる。なお、図35のようなセ サ出力の温度補償回路は一例であって、他 回路構成であってもよいことはもちろんで る。

 次に、図13の軸受において潤滑剤診断セ サの配置位置を変えた潤滑剤診断センサ付 軸受二例について図18,図19を参照して説明す る。図18は図13の潤滑剤診断センサの配置位 を変えた潤滑剤診断センサ付き軸受の要部 示す要部断面図である。図19は図13の潤滑剤 断センサの配置位置を更に変えた潤滑剤診 センサ付き軸受の要部を示す要部断面図で る。

 図18,図19に示す潤滑剤診断センサ付き軸 20C,20Dは図13の軸受20’と基本構成が同一であ るので、同じ部分には同じ符号を付し、その 説明を省略する。

 図18に示すように、潤滑剤診断センサ付 軸受20Cは、潤滑剤診断センサ10’を固定側の 外輪22の内周面22bであって転走面22aの近傍に り付けたものである。外輪22の内周面22bか 外輪22の側面へと貫通する貫通孔Sを配線導 部として設けている。

 潤滑剤診断センサ10’は、外輪22の転走面 22aの近傍に取り付けられるとともに、潤滑剤 診断センサ10’から延びる一対の電気配線11 貫通孔Sを通して外輪22の側面から外部へと 出される。なお、図15のヒータ部14の一対の 気配線14a、14b及び温度センサ100の一対の電 配線110も貫通孔Sを通して外輪22の側面から 部へと導出される。

 図18の潤滑剤診断センサ付き軸受20Cによ ば、図13の潤滑剤診断センサ付き軸受20’と 様の作用効果を奏する。

 図19に示す潤滑剤診断センサ付き軸受20D 、潤滑剤診断センサ10’をシール33の芯金31 内面31aに取り付けたものである。シール33に は、芯金31と弾性体32を貫通する貫通孔Tを配 導出部として設けている。

 潤滑剤診断センサ10’は、シール33の芯金 31の内面31aに取り付けられるとともに、潤滑 診断センサ10’から延びる一対の電気配線11 がシール33の貫通孔Tを通してシール33の主部3 4へと導出される。なお、図15のヒータ部14の 対の電気配線14a、14b及び温度センサ100の一 の電気配線110もシール33の貫通孔Tを通して ール33の主部34へと導出される。

 図19の潤滑剤診断センサ付き軸受20Dによ ば、図13の潤滑剤診断センサ付き軸受20’と 様の作用効果を奏する。

 次に、図13,図18の配線導出部の位置を変 た変形例について上述の図6を参照して説明 る。

 図6に示す配線導出部としての貫通孔Rは 図13の外輪22の転走面22aに形成された凹部27 ら図の上方に延びて外輪22の外周面22cへと貫 通するものである。図13のように凹部27に潤 剤診断センサ10’を取り付けた場合、各電気 配線11,14a、14b,110を貫通孔Rを通して外輪22の 周面22cへと導出できる。

 また、図6のように、貫通孔Rに連結する うに配線導出部として溝Qを外輪22の外周面22 cに外輪22の側面まで延びるように形成しても よい。貫通孔Rから導出された各電気配線11,14 a、14b,110を溝Qを通して外輪22の側面へと導出 きる。

 また、図6の配線導出部としての貫通孔U 、図13の外輪22の転走面22aの近傍の内周面22b ら図の上方に延びて外輪22の外周面22cへと 通するものである。図18のように外輪22の転 面22aの近傍の内周面22bに潤滑剤診断センサ1 0’を取り付けた場合、各電気配線11,14a、14b,1 10を貫通孔Uを通して外輪22の外周面22cへと導 できる。

 次に、図14,図15の潤滑剤診断センサの変 例について図20を参照して説明する。図20は 図14,図15において基板12を省略した潤滑剤診 断センサの側面図である。

 図20に示す潤滑剤診断センサ10Bは、その表 14cが電気絶縁体から構成されたヒータ部14と 、ヒータ部14上に隔離して配置されたセンサ の一対の電極15a、15bと、電極15a、15bの間で ってヒータ部14上に形成され例えばSnO 2 (酸化錫)からなる膜状のセンサ部13と、ヒー 部14のセンサ部13の反対側面上に配置された 膜状の温度センサ100と、を備え、全体とし 平面が矩形状で厚さが薄くかつ可撓性のあ 構成となっている。なお、ヒータ部14とし 市販の薄膜ヒータ等を用いることができる

 潤滑剤診断センサ10Bは、上述の潤滑剤診 センサ付き軸受20’,20C,20Dに適用することが でき、図14,図15と同様に電気配線14a、14bを通 て電源からヒータ部14に通電することでヒ タ部14がセンサ部13を加熱し、これにより、 ンサ部13のセンサ感度が上昇し、上述の潤 剤の劣化度の診断がし易くなる。また、ヒ タ部14に電極15a、15b及びセンサ部13を直接形 し、基板12を省略したので、潤滑剤診断セ サ10Bの膜厚をより薄くできる。また、図14, 15と同様に、温度センサ100により潤滑剤診断 センサ10Bのセンサ出力が温度補償される。

 以上のように、図13~図19の潤滑剤診断セ サ付き軸受20’,20C,20Dによれば、潤滑剤の劣 に伴う炭化水素の発生を潤滑剤診断センサ1 0’,10Bで検出することで潤滑剤診断を行うこ ができ、劣化した潤滑剤による軸受での不 合発生を未然に防止できる。

 また、潤滑剤診断センサ10’は基板12と膜 状のセンサ部13等から構成されるため、また 滑剤診断センサ10Bは基板12を省略できるた 、いずれも薄く可撓性があり、かつ、小型 あるので、潤滑剤診断センサ10’,10Bの取付 置に制約がなくなる。従って、潤滑剤診断 ンサ10’,10Bを軸受20’のいかなる部分にも組 み込み可能であり、このため、炭化水素発生 の検知のレスポンスが速く、潤滑剤劣化の検 知性を向上でき、軸受において潤滑剤劣化に 起因する不具合が生じることを事前に予測で きる予測可能性が向上する。

 また、潤滑剤診断センサ10’,10Bは、温度 償のための温度センサ100を備えるので、潤 剤診断センサ10’のセンサ出力が温度補償 れ、潤滑剤診断センサ10’の雰囲気温度に依 らずに炭化水素の検知を行い潤滑剤の劣化診 断が可能となり、炭化水素の検知確度を向上 できる。

 また、潤滑剤診断センサは、半導体製造 程等における成膜プロセスを利用すること より一括形成でき容易に量産可能であり、 形で量産性に優れて製造コストを低減でき ため、潤滑剤診断センサ付き軸受を低コス で提供可能となる。

 なお、上述の潤滑剤診断センサ付き軸受 、各種用途の軸受に適用可能であるが、特 、自動車の電装部品、エンジン補機である ルタネータや中間プーリ、カーエアコン用 磁クラッチ、水ポンプ、ハブユニット、ガ ヒートポンプ用電磁クラッチ、コンプレッ 、リニアガイド装置、ボールねじ等の転が 軸受に適用して好ましい。

 次に、本発明を実施例2~4により更に具体 に説明するが、本発明は本実施例に限定さ るものではない。

 〈実施例2〉
実施例2は図14,図15と同様の潤滑剤診断センサ を次の半導体製造工程と同様の工程により製 造したものである。図21を参照して説明する 図21は、本実施例において図14,図15の潤滑剤 診断センサを製造するための工程(a)乃至(j)を 説明するための概略図である。

 実施例2では、以下のように、基板上にTi/Pt 電極をフォトリソグラフィで形成し、セン 部としてSnO 2 を同様に形成し、更に、基板の反対面にヒー タ部を形成した。電極とセンサ部とヒータ部 はいずれもスパックリング法を用いて形成し た。

 すなわち、図21において、Si基板12を超音 洗浄し(a)、Si基板12の表面12a上にフォトレジ スト(東京応化(株)製OFPR800LB)41をスピンコート により塗布し、べーク処理を行った(b)。

 次に、上記フォトレジスト41に対し図14, 15の電極15a、15bの形状に対応したパターニン グを行ったマスクを用いて露光(ユニオン光 (株)製EMA-400)し、現像液(東京応化(株)製NMD3) 用いて現像した(c)。

 次に、Tiのスパッタリングを行い、続い Ptのスパッタリングを行うことで金属膜44,44 形成する(d)。次に、リフトオフ法としてア トンによる超音波洗浄を行い残留フォトレ スト41を除去し、ヒータ部14上に所定の電極 パターンの金属膜44,44を露出させた(e)。

 次に、フォトレジスト(東京応化(株)製OFPR 800LB)42をスピンコートにより塗布し、べーク 理を行った(f)。

 次に、上記フォトレジスト42に対し図14, 15のセンサ部13の形状に対応したパターニン を行ったマスクを用いて露光(ユニオン光学 (株)製EMA-400)し、現像液(東京応化(株)製NMD3)を 用いて現像した(g)。

 次に、スパッタリングにより酸化錫(SnO 2 )膜43を厚さ約300nmに形成し(h)、その後、800℃ アニール処理を行った。

 次に、リフトオフ法としてアセトンによる 音波洗浄を行い残留フォトレジスト42を除 し、基板12の表面12a上であって金属膜44,44間 所定パターンの酸化錫(SnO 2 )膜43を露出させた(i)。なお、酸化錫の粒子径 は、X線回折測定法により測定し、30nmであっ 。

 図21の工程(i)において、酸化錫膜43が図14, 図15のセンサ部13を構成し、金属膜44,44が電極 15a、15bを構成する。なお、基板の寸法は、1mm ×2mm×0.5mm(厚さ)であり、センサ部の寸法は、5 00μm×1.5mm×300nm(厚さ)であった。

 次に、Si基板12の反対面に、図22のように ータ部を形成した。図22は、実施例2におい 図21の工程(i)の基板にヒータ部を形成する 程(j)乃至(n)を説明するための概略図である

 図22において、表面側に酸化錫膜43及び金 属膜44,44が形成されたSi基板12の裏面12bを超音 波洗浄し(j)、Si基板12の裏面12b上にフォトレ スト(東京応化(株)製OFPR800LB)51をスピンコー により塗布し、べーク処理を行った(k)。

 次に、上記フォトレジスト51に対し図14, 15のヒータ部14の形状に対応したパターニン を行ったマスクを用いて露光(ユニオン光学 (株)製EMA-400)し、現像液(東京応化(株)製NMD3)を 用いて現像した(l)。

 次に、Tiのスパッタリングを行い、続い Ptのスパッタリングを行うことで金属膜52,52 形成する(m)。次に、リフトオフ法としてア トンによる超音波洗浄を行い残留フォトレ スト51を除去し、基板12の裏面12b上に所定の パターンの金属膜52,52を露出させた(n)。

 図22の工程(n)において、金属膜52,52が図14, 図15のヒータ部14を構成する。

 また、センサ部13の電極15a、15bに図13の電 気配線11を取り付けた。なお、金属膜52,52に 15の電気配線14a,14bを直接取り付けることが きるが、別にヒータ用電極を設け、ヒータ 電極に電気配線14a,14bを取り付けるようにし もよい。

 また、図23のように、例えば基板12の材料 としての比較的広めのシリコン板16に、上述 図21の工程(a)~(i)及び図22の工程(j)~(n)のよう 製造工程を経て多数の潤滑剤診断センサ10 を形成してから、縦横の切断線m,nに沿って ットすることで、多数の潤滑剤診断センサ10 ’を簡単に量産することができ、製造コスト を低減できる。

 また、上述のヒータ部14はスパッタリン 法を用いて作製したが、メッキ法を用いて 製してもよい。また、基板12の裏面12bに市販 の電極コードつきの薄膜ヒータを貼り付ける ようにしてヒータ部14を設けてもよい。この 膜ヒータとして、例えば、(株)河合電器製 所のHEATWELLフィルムヒータを用いることがで きる。

 また、潤滑剤診断センサを図20のように 板が省略された構成とした場合は、センサ 13及びセンサ用電極15a、15bと干渉しないよう に、ヒータ部及びヒータ用電極上に高分子薄 膜などの絶縁薄膜を形成することが望ましい 。

 また、実施例2では、基板12にセンサ部13 びセンサ用電極15a、15bを形成してから、裏 側にヒータ部14を形成したが、逆に、ヒータ 部14を形成した後に、センサ部13及びセンサ 電極15a、15bを形成するようにしてもよい。

 次に、図16A,図16B,図17と同様の温度センサ を別途、次の半導体製造工程と同様の工程に より製造した。図24を参照して説明する。図2 4は、実施例2において図16A,図16B,図17の温度セ ンサを製造するための工程(a)乃至(i)を説明す るための概略図である。

 図24のように、フィルムPI(東レ・デュポ (株)製カプトン)からなるフィルム基板120上 厚さ約2μmのフォトレジスト(東京応化(株)製O FPR800LB)410をスピンコートにより塗布し、90℃ 2分間プレべーク処理を行った(a)。

 その後、図16Aのような温度センサ部130の ターニングを行ったマスク420を用いて方向s から露光(ユニオン光学(株)製EMA-400)した(b)。

 次に、現像液(東京応化(株)製NMD3)を用い 現像し、最後に超純水で60秒間リンスした。 これにより、フォトレジスト410にマスク420の パターンに対応したパターンを形成した(c)。

 その後、スパッタリング法にて厚さ約250n mの白金膜430を形成してから(d)、アセトンに りリフトオフ法を用いてフィルム基板120上 残留フォトレジストを除去した(e)。図24の工 程(e)の白金膜430が図16Aの温度センサ部130を構 成する。

 次に、接着剤フィルム(デュポン(株)製パ ララックス)を用いて同種のPIフィルム140で ィルム基板120に接着してカバーし、このフ ルムカバー140にフォトレジスト440をスピン ートし、プレべークした(f)。

 次に、図17の孔160に対応したパターニン を行ったマスク450を用いて方向nから露光し (g)。次に、現像し、リンスを行うことによ 、フォトレジスト440にマスク450のパターン 対応したパターンを形成した(h)。

 次に、PIフィルム140をエッチング剤(東レ ンジニアリング(株)製TPE3000)を用いてエッチ ングし、その後、アセトンにて残留フォトレ ジストを除去した(i)。これにより、フィルム カバー140に図17の孔160を形成し、図16Bのよう 、温度センサ部130の配線取付部150がフィル カバー140に露出する。

 その後、図17のように、配線取付部150に 気配線110を取り付けてから、個別の温度セ サにカットした。

 例えば、図25のように、比較的広めのPIフ ィルムFに、上述の図24の工程(a)~(i)のような 導体製造工程を経て多数の温度センサ100を 成してから、縦横の切断線m’,n’に沿って ットすることで、多数の温度センサ100を簡 に量産することができ、製造コストを低減 きる。

 上述のようにして製造された温度センサ1 00は、図16Aの温度センサ部130の全体幅a:200μm 帯状部の幅b:30μm、図16Aの温度センサ100の幅X :250μm、長さY:250μm、図17の厚さZ:75μmの寸法で あった。

 上述のようにして製造された温度センサ1 00を図15のように潤滑剤診断センサ10’のヒー タ部14の面上に耐熱性接着剤を用いて貼り付 た。

 上述のようにして製造された潤滑剤診断セ サ10’を軸受に耐熱性接着剤により実装し 図18の軸受20Cと同様の位置Bに接着で取り付 、軸受を使用し、潤滑剤診断を実施した。 た、比較例2の実験として、所定時間毎に軸 からグリースを採取して、「ASTM D3242」に される全酸価試験法によりグリースの全酸 を測定した。実施条件は以下の通りである
軸受:日本精工(株)製の6203(呼び番号)単列深溝 玉軸受
回転数:10,000rpm
回転時間:100時間
グリース(潤滑剤):AV2(リチウム石けん+鉱油)

 上記実施例2・比較例2の結果を図26,図27に 示す。新品潤滑剤の抵抗値また全酸価を「1 として「比抵抗値」及び「比全酸価」を算 し、図26に比抵抗値及び比全酸価の時間変化 を示す。図26から分かるように、軸受の回転 間が増えるに従い、グリースが軸受の回転 劣化して酸価が大きくなり比全酸価が1から 増加しているが、この比全酸価の増加に対応 して比抵抗値が1から減少した。図27に比抵抗 値と比全酸価との関係を示す。図26,図27から かるように、実施例2の潤滑剤診断センサは 「ASTM D3242」に示される全酸価試験法の結果 同様の結果を示した。

 〈実施例3〉
実施例3は温度センサとヒータ部とを一体的 構成した潤滑剤診断センサを次の半導体製 工程と同様の工程により製造したものであ 。図28~図31を参照して説明する。

 図28は、実施例3の潤滑剤診断センサを製 するための工程の内、潤滑剤診断センサの ンサ部を作製する工程(a)乃至(h)を説明する めの概略図である。図29は図28の潤滑剤診断 センサのセンサ部の作製後に温度センサを作 製する工程(a)乃至(h)を説明するための概略図 である。図30は図29の温度センサの作製後に 縁層を作製する工程(a)乃至(d)を説明するた の概略図である。図31は図30の絶縁層の作製 にヒータ部を作製する工程(a)乃至(h)を説明 るための概略図である。

 実施例3の潤滑剤診断センサは、(1)Si基板6 1の表面に潤滑剤診断センサのセンサ部を形 し、(2)Si基板61の反対面の裏面に温度センサ 形成し、(3)温度センサの上に絶縁層を形成 、(4)絶縁層の上にヒータ部を積層して形成 たものである。

 (1)図28の工程(a)~(h)のように潤滑剤診断セ サのセンサ部をSi基板61の表面61aに作製した 。

 まず、Si基板61の表面61a上にフォトレジス ト(東京応化(株)製OFPR800LB)62をスピンコートに より塗布し、べーク処理を行った(a)。次に、 上記フォトレジスト62に対し潤滑剤診断セン のセンサ部の電極形状に対応したパターニ グを行ったマスクを用いて露光(ユニオン光 学(株)製EMA-400)し、現像液(東京応化(株)製NMD3) を用いて現像することでフォトリソグラフィ を行った(b)。

 次に、Ptのスパッタリングを行うことで 属膜63を形成した(c)。次に、リフトオフ法と してアセトンによる超音波洗浄を行い残留フ ォトレジスト62を除去し、Si基板61の表面61a上 に所定の電極パターンの金属膜63,63を露出さ た(d)。

 次に、フォトレジスト(東京応化(株)製OFPR 800LB)64をスピンコートにより塗布し、べーク 理を行った(e)。次に、上記フォトレジスト6 4に対し潤滑剤診断センサのセンサ部の形状 対応したパターニングを行ったマスクを用 て露光(ユニオン光学(株)製EMA-400)し、現像液 (東京応化(株)製NMD3)を用いて現像することで ォトリソグラフィを行った(f)。

 次に、スパッタリングにより酸化錫(SnO 2 )膜65を厚さ約300nmに形成し(g)、その後、800℃ アニール処理を行った。次に、リフトオフ としてアセトンによる超音波洗浄を行い残 フォトレジスト64を除去し、Si基板61の表面6 1a上であって金属膜63,63間に所定のセンサパ ーンの酸化錫(SnO 2 )膜65を露出させた(h)。

 図28の工程(h)において、酸化錫膜65が図14, 図15と同様のセンサ部13を構成し、金属膜63,63 が図14,図15と同様の電極15a、15bを構成する。 お、基板の寸法は、1mm×2mm×0.5mm(厚さ)であ 、センサ部の寸法は、500μm×1.5mm×300nm(厚さ) あった。

 (2)次に、図19の工程(a)~(h)のように、潤滑 診断センサの温度センサをSi基板61の表面61a の反対側の裏面61bに作製した。

 まず、Si基板61の裏面61bを超音波等を用い て洗浄した後、Si基板61の裏面61b上にフォト ジスト(東京応化(株)製OFPR800LB)66をスピンコ トにより塗布し、べーク処理を行った(a)。 に、上記フォトレジスト66に対し温度センサ の電極の形状に対応したパターニングを行っ たマスクを用いて露光(ユニオン光学(株)製EMA -400)し、現像液(東京応化(株)製NMD3)を用いて 像することでフォトリソグラフィを行った(b )。

 次に、Ptのスパッタリングを行うことで 属膜67を形成した(c)。次に、リフトオフ法と してアセトンによる超音波洗浄を行い残留フ ォトレジスト66を除去し、Si基板61の裏面61b上 に所定の電極パターンの金属膜67,67を露出さ た(d)。

 次に、フォトレジスト(東京応化(株)製OFPR 800LB)68をスピンコートにより塗布し、べーク 理を行った(e)。次に、上記フォトレジスト6 8に対し温度センサのセンサ部13の形状に対応 したパターニングを行ったマスクを用いて露 光(ユニオン光学(株)製EMA-400)し、現像液(東京 応化(株)製NMD3)を用いて現像することでフォ リソグラフィを行った(f)。

 次に、Ptのスパッタリングにより白金膜69 を厚さ約250nmに形成した(g)。次に、リフトオ 法としてアセトンによる超音波洗浄を行い 留フォトレジスト68を除去し、Si基板61の裏 61b上であって金属膜67,67間に所定のセンサ ターンの白金膜69を露出させた(h)。

 図19の工程(h)において、白金膜69が図16A, 16B,図17と同様の温度センサのセンサ部を構 し、金属膜67,67が白金膜(センサ部)69に電気 に接続する一対の電極を構成することで温 センサ70が構成される。

 (3)次に、図30の工程(a)~(d)のように、Si基 61の裏面61bに形成した温度センサ70上に絶縁 を形成した。

 まず、Si基板61の裏面61bの温度センサ70上 フォトレジスト(東京応化(株)製OFPR800LB)71を ピンコートにより塗布し、べーク処理を行 た(a)。次に、上記フォトレジスト71に対し 度センサ70の電極(金属膜)67,67に対応したパ ーニングを行ったマスクを用いて露光(ユニ ン光学(株)製EMA-400)し、現像液(東京応化(株) 製NMD3)を用いて現像することでフォトリソグ フィを行った(b)。

 次に、スパッタリングによりSiO 2 からなる絶縁層72を形成した(c)。次に、リフ オフ法としてアセトンによる超音波洗浄を い残留フォトレジスト71を除去し、Si基板61 裏面61bの温度センサ70上に所定パターンの 縁層72を露出させた(d)。

 図30の工程(h)において絶縁層72は温度セン サ70を電極67,67の外縁部を残して覆っており 絶縁膜72は温度センサ70の封止作用も兼ねて る。

 (4)次に、図31の工程(a)~(h)のように潤滑剤 断センサのヒータ部を絶縁層72上に作製し 。

 まず、Si基板61の裏面61b側の絶縁層72上に ォトレジスト(東京応化(株)製OFPR800LB)73をス ンコートにより塗布し、べーク処理を行っ (a)。次に、上記フォトレジスト73に対しヒ タ部の電極の形状に対応したパターニング 行ったマスクを用いて露光(ユニオン光学(株 )製EMA-400)し、現像液(東京応化(株)製NMD3)を用 て現像することでフォトリソグラフィを行 た(b)。

 次に、Ptのスパッタリングを行うことで 属膜74を形成した(c)。次に、リフトオフ法と してアセトンによる超音波洗浄を行い残留フ ォトレジスト73を除去し、絶縁層72上に所定 電極パターンの金属膜74,74を露出させた(d)。

 次に、フォトレジスト(東京応化(株)製OFPR 800LB)75をスピンコートにより塗布し、べーク 理を行った(e)。次に、上記フォトレジスト7 5に対しヒータ部の形状に対応したパターニ グを行ったマスクを用いて露光(ユニオン光 (株)製EMA-400)し、現像液(東京応化(株)製NMD3) 用いて現像することでフォトリソグラフィ 行った(f)。

 次に、スパッタリングによりMoSi 2 膜76を形成した(g)。次に、リフトオフ法とし アセトンによる超音波洗浄を行い残留フォ レジスト75を除去し、絶縁層72上であって金 属膜74,74間にヒータ部として所定パターンのM oSi 2 膜76を露出させた(h)。

 図31の工程(h)において、MoSi 2 膜76が図14,図15と同様のヒータ部14を構成し、 金属膜74,74がヒータ部の電極を構成する。

 以上のようにして、実施例3では、半導体 製造工程と同様の工程により、Si基板61の表 61aに潤滑剤診断センサのセンサ部65と一対の 電極63,63を形成し、Si基板61の反対面の裏面61b に温度センサ70と一対の電極67,67を形成し、 度センサ70の上に絶縁層74を形成し、絶縁層7 4の上にヒータ部76と一対の電極74,74を積層し 形成することで、温度センサとヒータ部と 一体的に構成した潤滑剤診断センサを得た

 実施例3の潤滑剤診断センサによれば、基 板61の表面61aに潤滑剤診断センサのセンサ部6 5を設け、そのセンサ部65の反対面の裏面61b側 に温度センサ70を設け、更にその上にヒータ 76を設け、ヒータ位置と温度センサ位置が 常に近いため、温度の正確な測定が可能で る。したがって、実施例3の潤滑剤診断セン を、各電極に電気配線を取り付け、図13,図1 8,図19のように軸受に裏面61b側からから接着 等で貼り付けて実装することで、軸受の使 中に潤滑剤診断センサからの出力をより正 に温度補正でき、このため炭化水素の検知 度を一層向上できる。

 〈実施例4〉
実施例4は温度センサとヒータ部とを並べて 体的に構成した潤滑剤診断センサを次の半 体製造工程と同様の工程により製造したも である。図32,図33を参照して説明する。

 図32は、実施例4の潤滑剤診断センサを製 するための工程の内、潤滑剤診断センサの ンサ部を作製する工程(a)乃至(h)を説明する めの概略図である。図33は図32の潤滑剤診断 センサのセンサ部の作製後に温度センサ及び ヒータ部を作製する工程(a)乃至(h)を説明する ための概略図である。

 実施例4の潤滑剤診断センサは、(1)Si基板6 1の表面に潤滑剤診断センサのセンサ部を形 し、(2)Si基板61の反対面の裏面に温度センサ びヒータを並べて形成したものである。

 (1)図32の工程(a)~(h)のように潤滑剤診断セ サのセンサ部をSi基板81の表面81aに作製した 。図32の各工程(a)~(h)は実施例3とほぼ同様で る。

 すなわち、Si基板81の表面81a上にフォトレ ジスト82をスピンコートにより塗布し、べー 処理を行い(a)、次に、フォトレジスト82に し潤滑剤診断センサのセンサ部の電極形状 対応したパターニングを行ったマスクを用 てフォトリソグラフィを行った(b)。次に、Pt のスパッタリングを行うことで金属膜83を形 し(c)、リフトオフ法で残留フォトレジスト8 2を除去し、Si基板81の表面81a上に所定の電極 ターンの金属膜83,83を露出させた(d)。

 次に、基板81の表面81a上にフォトレジスト84 を同様に形成し(e)、次に、フォトレジスト84 対し潤滑剤診断センサのセンサ部の形状に 応したパターニングを行ったマスクを用い フォトリソグラフィを行った(f)。次に、ス ッタリングにより酸化錫(SnO 2 )膜85を厚さ約300nmに形成し(g)、その後、800℃ アニール処理を行ってから、リフトオフ法 行い残留フォトレジスト84を除去し、Si基板 81の表面81a上であって金属膜83,83間に所定の ンサパターンの酸化錫(SnO 2 )膜85を露出させた(h)。

 図32の工程(h)において、酸化錫膜85が潤滑 剤診断センサのセンサ部を構成し、金属膜83, 83がセンサ部の電極を構成する。なお、基板 寸法は、1mm×4mm×0.5mm(厚さ)であり、センサ の寸法は、500μm×1.5mm×300nm(厚さ)であった。

 (2)次に、図33の工程(a)~(h)のように、潤滑 診断センサの温度センサ及びヒータ部をSi 板81の表面81aの反対側の裏面81bに作製した。

 まず、Si基板81の裏面81b上にフォトレジス ト86をスピンコートにより塗布し、べーク処 を行い(a)、次に、フォトレジスト86に対し 度センサ及びヒータ部の各電極形状に対応 たパターニングを行ったマスクを用いてフ トリソグラフィを行った(b)。次に、Ptのスパ ッタリングを行うことで金属膜87を形成し(c) リフトオフ法で残留フォトレジスト86を除 し、Si基板81の裏面81b上に温度センサ及びヒ タ部の各電極パターンに対応した金属膜87a, 87a及び87b,87bを露出させた(d)。

 次に、金属膜87a,87a及び87b,87bを覆うよう フォトレジスト88を同様に形成し(e)、次に、 フォトレジスト88に対し温度センサ及びヒー 部の各形状に対応したパターニングを行っ マスクを用いてフォトリソグラフィを行っ (f)。

 次に、Ptスパッタリングにより白金膜89を 厚さ約300nmに形成し(g)、その後、800℃でアニ ル処理を行ってから、リフトオフ法で行い 留フォトレジスト88を除去し、Si基板81の裏 81b上であって、金属膜87a,87a間に所定パター ンの金属膜89a及び金属膜87b,87b間に所定パタ ンの金属膜89bを露出させた(h)。

 図33の工程(h)において、金属膜89aがヒー 部を構成し、金属膜87a,87aがヒータ部の電極 構成するとともに、金属膜89bが温度センサ 構成し、金属膜87b,87bが温度センサの電極を 構成する。

 以上のようにして、実施例4では、半導体 製造工程と同様の工程により、Si基板81の表 81aに潤滑剤診断センサのセンサ部85と一対の 電極83,83を形成し、センサ部85の反対面の裏 81bにヒータ部89aと一対の電極87a,87aを形成し ヒータ部89aの近傍に並んで温度センサ89bと 対の電極87b,87bを形成することで、温度セン サとヒータ部とを近接して並べて一体的に構 成した潤滑剤診断センサを得た。

 実施例4の潤滑剤診断センサによれば、Si 板81の裏面81b側にヒータ部89aと温度センサ89 bとを近接させて並べて設け、ヒータ位置と 度センサ位置が実施例3と比べて離れている 、実施例4の潤滑剤診断センサを、各電極に 電気配線を取り付け、図13,図18,図19のように 受に裏面81b側から接着剤等で貼り付けて実 することで、軸受の使用中に潤滑剤診断セ サからの出力を温度補正でき、このため炭 水素の検知確度を向上できる。

 また、Si基板81の裏面81b側にヒータ部89aと 温度センサ89b及びそれらの電極を同一工程で 形成できるので、プロセスを簡略化できかつ 短時間で行うことができる。なお、実施例4 は、ヒータ部と温度センサが同じ材料から 成されている。

 なお、実施例3,4では、基板としてシリコン( Si)を用いたが、ガラス板等であってもよい。 また、潤滑剤診断センサのセンサ部をZnO 2 等で形成してもよく、電極や絶縁層も他の材 料を用いてもよい。

 以上のように本発明を実施するための最 の形態及び実施例について説明したが、本 明はこれらに限定されるものではなく、本 明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可 である。例えば、図1,図4,図5,図13,図18,図19 は、転がり軸受の内輪を回転側としたが、 輪を回転側としてもよく、この場合は、固 側の内輪に潤滑剤診断センサを同様に取り けることで同様の作用効果を得ることがで る。

 また、図1,図4,図5,図13,図18,図19の転がり 受は単列深溝玉軸受であったが、本発明は れに限定されず、他の種類の転がり軸受で ってもよく、更に、軸受一般に適用できる とは勿論である。

 また、潤滑剤診断センサ10,10A,10’,10Bから の信号を無線で送信する送信部を軸受に設け 、無線でデータを送信することで、潤滑剤診 断のためのデータを取得するようにしてもよ い。

 以上のように、本発明にかかる潤滑剤診 センサ付き軸受装置は、取り付け位置が限 されずに転がり軸受等の潤滑剤異常を事前 確実に把握でき、焼付等の不具合発生を未 に防止可能であるものとして有用である。 た、潤滑剤診断センサ出力の温度補償が可 であるため、潤滑剤診断センサの雰囲気温 に関わりなく炭化水素の検知を行うことが き、炭化水素の検知確度を向上でき、雰囲 温度に依存しない潤滑剤の劣化診断が可能 あるものとして有用である。