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Patent Searching and Data


Title:
CANCER VACCINE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/072555
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided are: a peptide comprising a sequence depicted in SEQ ID NO:1 or 2; a composition comprising the peptide; an antigen-presenting cell such as a dendritic cell, which has an antigen derived from the peptide presented thereon; and a T cell such as a cytotoxic T cell, which is activated with the antigen-presenting cell. Further provided is a method for treating cancer by administering the peptide comprising a sequence depicted in SEQ ID NO:1 or 2, the antigen-presenting cell or the cytotoxic T cell as a vaccine to a cancer patient.

Inventors:
TODA MASAHIRO (JP)
UEDA RYO (JP)
TSUKADA KOZO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/072046
Publication Date:
June 11, 2009
Filing Date:
December 04, 2008
Export Citation:
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Assignee:
UNIV KEIO (JP)
TODA MASAHIRO (JP)
UEDA RYO (JP)
TSUKADA KOZO (JP)
International Classes:
C07K7/06; A61K35/12; A61K35/14; A61K35/17; A61K35/26; A61K39/00; A61P35/00; A61P37/04; C12N5/07; C12N5/0783; C12N5/079; C12N5/09
Domestic Patent References:
WO2006077941A12006-07-27
WO2003018629A12003-03-06
Foreign References:
JP2007246451A2007-09-27
Other References:
RYO UEDA ET AL.: "'Glioma Kogen SOX6 Peptide Vaccine ni yoru Tokuiteki Men'eki Ryoho no Kaihatsu'", SURG.FRONT., vol. 13, no. 2, 2006, pages 49 - 53
UEDA, R. ET AL.: "Identification of a human glioma antigen, SOX6, recognized by patients' sera", ONCOGENE, vol. 23, 2004, pages 1420 - 1427
OARKER, K.C. ET AL.: "Scheme for ranking potential HLA-A2 binding peptides based on independent binding of individual peptide side- chains", J.IMMUNOL., vol. 152, 1994, pages 163 - 175
GOMI, S. ET AL.: "A cyclophilin B gene encodes antigenic epitopes recognized by HLA-A24- restricted and tumor-specific CTLs", J.IMMUNOL., vol. 163, 1999, pages 4994 - 5004
Attorney, Agent or Firm:
ISSHIKI & CO. (12-7 Shinbashi 2-chome,Minato-k, Tokyo 04, JP)
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Claims:
 配列番号1(ALFGDQDTV)または配列番号2(KLGPGVIDL)の配列を有するペプチド。
 配列番号1(ALFGDQDTV)または配列番号2(KLGPGVIDL)の配列を有するペプチドを提示した抗原提示細胞。
 樹状細胞であることを特徴とする請求項2の抗原提示細胞。
 請求項2または3に記載の抗原提示細胞によって誘導され、SOX6を発現する細胞を認識するT細胞。
 細胞障害性T細胞であることを特徴とする請求項4のT細胞。
 SOX6を発現する細胞が腫瘍細胞であることを特徴とする請求項4のT細胞。
 前記腫瘍細胞が、グリオーマ細胞、ニューロブラストーマ細胞、膵臓癌細胞、肝癌細胞、肺癌細胞、膵癌細胞、食道癌細胞、メラノーマ細胞、前立腺癌細胞、乳癌細胞、腎癌細胞、胃癌細胞、大腸癌細胞、または白血病細胞であることを特徴とする請求項6のT細胞。
 配列番号1(ALFGDQDTV)を有するペプチドまたは配列番号2(KLGPGVIDL)を有するペプチドのいずれか又は両方のペプチドを含有する癌ワクチン。
 請求項2または3に記載の抗原提示細胞を含有する癌ワクチン。
 請求項4~7のいずれかに記載のT細胞を含有する癌ワクチン。
 神経膠腫(グリオーマ)、神経芽腫(ニューロブラストーマ)、膵臓癌、肝癌、肺癌、膵癌、食道癌、黒色腫(メラノーマ)、前立腺癌、乳癌、腎癌、胃癌、大腸癌、または白血病に対する癌ワクチンであることを特徴とする請求項7~10のいずれかに記載の癌ワクチン。
 ヒト以外の脊椎動物に対し、請求項11に記載の癌ワクチンを用いた腫瘍の治療方法。
Description:
癌ワクチン

 本発明は、癌ワクチンに関する。

 近年、腫瘍免疫学において、免疫細胞に る腫瘍抗原認識機構がかなり解明されてき 。それによると、まず、抗原提示細胞であ 樹状細胞(dendritic cells または DC)は、細胞 で、腫瘍が発現するタンパク質を分解する に生じた8~10個のアミノ酸からなる抗原ペプ チドを、主要組織適合性抗原複合体(major hist ocompatibility complex または MHC;ヒトでは、human  leukocyte antigen または HLA)と共に細胞表面 提示する。細胞障害性T細胞(cytotoxic T lymphoc yte または CTL)は、樹状細胞表面のHLAクラスI に結合した抗原ペプチドを認識し、活性化・ 増殖し、腫瘍内に侵入し、抗原ペプチドが由 来するタンパク質を有する腫瘍細胞に対し細 胞障害を生じる(Arch.Surg.(1990)126:200-205)。

 この機構を利用して、腫瘍の治療方法と て癌ワクチンが開発されてきた。例えば、 瘍特異的タンパク質由来の抗原ペプチドを 胞表面に提示する樹状細胞をin vitroで作製 、増殖させ、腫瘍患者に投与したり、その 状細胞によって教育された細胞障害性T細胞 を投与したりすることにより、腫瘍患者の体 内で腫瘍免疫を誘導させる。あるいは、腫瘍 特異的タンパク質を腫瘍患者に投与し、患者 の体内で、腫瘍免疫機構の全過程を誘導させ るのである(Science(1991)254:1643-1647;J.Exp.Med.(1996)1 83:1185-1192;J.Immunol.(1999)163:4994-5004;Proc.Natl.Acad.Sc i.USA(1995)92:432-436;Science(1995)269:1281-1284;J.Exp.Med.( 1997)186:785-793)。

 メラノーマ特異的腫瘍抗原については臨 試験における成果が報告されている。例え 、メラノーマ抗原gp100ペプチドをメラノー 患者に皮下投与し、インターロイキン-2を静 脈内投与することにより、42%の患者で腫瘍の 縮小が認められている(Nature Medicine(1998)4:321)

 しかし、腫瘍免疫を効率的に誘導すること できる腫瘍特異的タンパク質は、一部の腫 において、ほんの少数の例が知られている けである。
 そこで、本発明は、腫瘍免疫を効率的に誘 できるペプチド、そのペプチドを含有する 成物、そのペプチドを提示した抗原提示細 、この抗原提示細胞によって刺激されたT細 胞、およびこれらのペプチドや細胞を利用し た癌ワクチン、及びそれらを用いた腫瘍患者 の治療方法を提供することを目的としてなさ れた。

 本発明者らは、転写因子であるSOX6が、様 々な腫瘍で高度に発現していることを既に見 いだしている(Ueda et al., Oncogene 23, 1420-1427,  2004;国際公開番号WO2006/077941明細書)。この知 見に基づき、SOX6の様々な部分ペプチドに対 、HLAクラスI拘束性に細胞障害性T細胞に認識 されるかどうか調べたところ、樹状細胞に添 加したとき、効率よく細胞障害性T細胞によ て認識されるいくつかの部分ペプチドを同 することができ、本発明の完成に至った。

 本発明にかかるペプチドは、配列番号1(AL FGDQDTV)または配列番号2(KLGPGVIDL)の配列を有す 。これらのペプチドを提示した抗原提示細 、及びこの抗原提示細胞によって誘導され SOX6を発現する細胞を認識するT細胞も、本 明の技術的範囲に属する。このT細胞は細胞 害性T細胞であることが好ましく、SOX6を発 する細胞は腫瘍細胞であることが好ましく 例えば、グリオーマ細胞、ニューロブラス ーマ細胞、膵臓癌細胞、肝癌細胞、肺癌細 、食道癌細胞、メラノーマ細胞、前立腺癌 胞、乳癌細胞、腎癌細胞、胃癌細胞、大腸 細胞、または白血病細胞が例示される。

 さらに、本発明にかかる癌ワクチンは、 列番号1(ALFGDQDTV)を有するペプチドまたは配 番号2(KLGPGVIDL)を有するペプチドのいずれか は両方のペプチド、上記抗原提示細胞、上 T細胞のうち、少なくとも一つを含有する。 この癌ワクチンは、神経膠腫(グリオーマ)、 経芽腫(ニューロブラストーマ)、膵臓癌、 癌、肺癌、膵癌、食道癌、黒色腫(メラノー )、前立腺癌、乳癌、腎癌、胃癌、大腸癌、 または白血病に対する癌ワクチンであること が好ましい。

 本発明にかかる腫瘍治療方法は、ヒト及 ヒト以外の脊椎動物に対しこの癌ワクチン 用いることを特徴とする。

ターゲット細胞(CIR-A0201(SOX6)、U87、CIR-A0 201)に対する、各ペプチド(SOX6-252、SOX6-447、SOX 6-521)の刺激によって樹立された細胞障害性T 胞(エフェクター細胞)の細胞傷害活性を調べ た結果を示す図である。

ターゲット細胞(CIR-A0201、CIR-A0201(SOX6)、 Panc-1、U87、Marcus)に対する、ペプチド(SOX6-447) 刺激によって樹立された細胞障害性T細胞( フェクター細胞)の細胞傷害活性を調べた結 を示す図である。

ペプチド(SOX6-447)の刺激によって樹立さ れた細胞障害性T細胞(エフェクター細胞)の、 刺激ペプチドに対する反応特異性を調べた結 果を示す図である。

ペプチド(SOX6-447)の刺激によって樹立さ れた細胞障害性T細胞(エフェクター細胞)が、 ターゲット細胞作製時にパルスするペプチド 濃度に依存して、ターゲット細胞に対する障 害活性を生じることを示す図である。

 実施の形態及び実施例に特に説明がない場 には、J. Sambrook, E. F. Fritsch & T. Maniat is (Ed.), Molecular cloning, a laboratory manual (3rd  edition), Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Har bor, New York (2001); F. M. Ausubel, R. Brent, R.  E. Kingston, D. D. Moore, J.G. Seidman, J. A. Smith , K. Struhl (Ed.), Current Protocols in Molecular Bi ology, John Wiley & Sons Ltd.などの標準的な ロトコール集に記載の方法、あるいはそれ 修飾したり、改変した方法を用いる。また 市販の試薬キットや測定装置を用いる場合 は、特に説明が無い場合、それらに添付の ロトコールを用いる。
 なお、本発明の目的、特徴、利点、及びそ アイデアは、本明細書の記載により、当業 には明らかであり、本明細書の記載から、 業者であれば、容易に本発明を再現できる 以下に記載された発明の実施の形態及び具 的に実施例などは、本発明の好ましい実施 様を示すものであり、例示又は説明のため 示されているのであって、本発明をそれら 限定するものではない。本明細書で開示さ ている本発明の意図並びに範囲内で、本明 書の記載に基づき、様々な改変並びに修飾 できることは、当業者にとって明らかであ 。

==HLAクラスIと結合性が高いペプチドのスクリ ーニング==
 ウエブサイト上のデータベースであるBioInfo rmatics & Molecular Analysis Section (BIMAS) のHL A Peptide Binding predictions Program を用い、SOX6 伝子がコードするアミノ酸配列から、A0201 イプのHLAクラスIと結合性が高い、9アミノ酸 残基のペプチド配列を特定した。表1に、こ スクリーニングによって得られたスコアの いペプチド配列の例(SOX6-252、SOX6-521、SOX6-447) を示す。

 これらのペプチドのうち、実際に合成し 抗原として抗原提示細胞である樹状細胞に 与したとき、HLAクラスI分子に結合すること により細胞表面に提示され、細胞障害性T細 に認識されることで特異的な細胞障害性T細 を誘導できるペプチドを同定するため、樹 細胞と共培養された細胞障害性T細胞のヒト ・グリオーマ細胞または膵臓癌細胞に対する 反応性を調べた。その結果、SOX6-447(配列番号 1)及びSOX6-521(配列番号2)のペプチドを細胞表 に提示する樹状細胞が効率よく細胞障害性T 胞を刺激し、また各ペプチドの刺激により 立された細胞障害性T細胞がSOX6を発現する リオーマ細胞または膵臓癌細胞を効率よく 識することが明らかになった。

 以下の実施例には、これらの実験結果を すことにより、配列番号1または配列番号2 有するペプチドを抗原提示細胞に添加する 、それらのペプチドがHLA上に提示され、共 養したT細胞を刺激することにより抗原特異 なT細胞を誘導すること、そして、この抗原 特異的なT細胞はSOX6を発現する細胞と反応し その細胞に対し細胞障害性を有することを す。

 ここで、T細胞による障害の対象とする細 胞は、SOX6を発現していれば特に限定されな 。例えば、ヒト正常組織においては胎児脳 たは成人精巣しかSOX6の発現が検出されない のの、腫瘍細胞においては、様々な腫瘍や 瘍細胞株で、その発現が検出されている(国 際公開番号WO2006/077941明細書)ので、腫瘍細胞 例えば、グリオーマ細胞、ニューロブラス ーマ細胞、膵臓癌細胞、肝癌細胞、肺癌細 、膵癌細胞、食道癌細胞、メラノーマ細胞 前立腺癌細胞、乳癌細胞、腎癌細胞、胃癌 胞、大腸癌細胞、または白血病細胞をT細胞 による障害の対象とすることができる。従っ て、配列番号1または配列番号2を有するペプ ド、そのペプチドを細胞表面に提示した抗 提示細胞、及びその抗原提示細胞の刺激に って樹立された細胞障害性T細胞は、例えば 、神経膠腫(グリオーマ)、神経芽腫(ニューロ ブラストーマ)、膵臓癌、肝癌、肺癌、膵癌 食道癌、黒色腫(メラノーマ)、前立腺癌、乳 癌、腎癌、胃癌、大腸癌、または白血病に対 する癌ワクチンとして有用である。

==癌ワクチンの投与方法==
 現在、癌ワクチンとして、腫瘍特異的癌抗 、癌抗原提示抗原提示細胞、または癌抗原 応性細胞障害性T細胞を腫瘍患者に投与する 方法が開発されている。本発明においては、 SOX6の部分ペプチドを用いているので、治療( 防も含まれる)対象となる腫瘍は、SOX6が発 している腫瘍であれば何でもよく、例えば 神経膠腫(グリオーマ)、神経芽腫(ニューロ ラストーマ)、膵臓癌、肝癌、肺癌、膵癌、 道癌、黒色腫(メラノーマ)、前立腺癌、乳 、腎癌、胃癌、大腸癌、または白血病も治 対象の一つとなる。主な治療対象は、こう た腫瘍を有するヒト患者であるが、腫瘍を するヒト以外の脊椎動物でもかまわない。

 治療対象となる腫瘍を有する患者に対し 与する癌ワクチンは、腫瘍特異的癌抗原と りうる配列番号1及び配列番号2を有するペ チドを含有してもよい。この場合、あらか め患者のHLAクラスIのタイプを調べ、A0201で る場合に、この癌ワクチンを投与する。投 するペプチドは、一種類であっても複数種 であってもよい。投与部位に関しては、皮 投与、皮下投与、静脈内投与、腹腔内投与 どが考えられ、特に限定されることはない また、投与する際には、免疫誘導能を高め アジュバントなどとともにペプチドを投与 てもよい。また、投与されるペプチドは、 体内で分解されにくくするような修飾が施 れていてもよい。

 また、上記癌ワクチンは配列番号1または 配列番号2を有するペプチドを提示した抗原 示細胞を含有してもよい。ここで、細胞表 に提示されているペプチドは、配列番号1ま は配列番号2を有するペプチドそのものでも よく、糖やリン酸などで修飾されてもよい。 抗原提示細胞としては、樹状細胞の他にマク ロファージ、B細胞等が考えられるが、抗原 示能の高さなどから、樹状細胞が好ましい 以下、樹状細胞の単離方法の例を記述する

 まず、脊椎動物個体の末梢血から単核球 単離する。この単核球は、治療対象となる 体自身から分離することが好ましいが、他 個体から単離してもよい。また、この単核 はCD14陽性であることが好ましい。単離した 単核球を、GM-CSFとIL-4で7 日前後培養すると 未熟な樹状細胞に分化誘導することができ 。このようにして分化誘導された樹状細胞 、抗原提示分子であるMHC分子を高発現して る。この未熟な樹状細胞に、配列番号1また 配列番号2を有するペプチドを添加し結合さ せる。樹状細胞のHLAクラスIタイプがA0201であ る場合に、配列番号1または配列番号2を有す ペプチドを添加する。添加するのは、人工 成ペプチドに限らず、ペプチドを発現させ 細胞の抽出物(extractやlysate)や精製物などで よい。こうして得られた抗原提示樹状細胞 、腫瘍を有する個体に投与する。投与部位 関しては、皮内投与、皮下投与、静脈内投 、リンパ節内投与などが考えられ、特に限 されることはないが、生理的な樹状細胞の 原提示が、樹状細胞投与部位の所属リンパ にて行なわれることを考えると、リンパ節 への直接投与が好ましい。

 また、上記癌ワクチンは、配列番号1また は配列番号2を有するペプチドに由来するペ チドを提示した抗原提示細胞の刺激によっ 樹立されたT細胞を含有してもよい。配列番 1または配列番号2を有するペプチドに由来 るペプチドを提示した抗原提示細胞に対し T細胞を共培養し、抗原提示細胞で刺激する このようにして樹立されたT細胞を腫瘍を有 する個体に投与してもよい。ここでのT細胞 、細胞障害性T細胞が好ましいが、ヘルパーT 細胞等でもよい。投与部位に関しては、皮内 投与、皮下投与、静脈内投与、腫瘍内投与な どが考えられ、特に限定されることはないが 、細胞障害性T細胞の場合、抗原を発現する 胞を直接攻撃できるため、腫瘍内投与が好 しい。

〈実施例1〉抗原刺激によって樹立された細 障害性T細胞の細胞傷害活性の評価
==実験初日==
 HLAクラス1のタイプがA0201の健常人末梢血か 、以下のように単核球を分離した。まず、 パリン5mlで洗浄したシリンジで、末梢血を5 0ml採血した。等量のLymphoprep (Fresenius kabi Nor ge AS, Axis-Shield PoC AS, Oslo, Norway) を転倒混 和し、遠心(20℃、2000rpm、35分間 、ブレーキ し)し、中間層を吸引して採取した。これに PBSを加えて再混濁し、遠心(20℃、2000 rpm、10 間)する操作を3回繰り返して、得られた単 球を洗浄した。
 この単核球を初代細胞培養用培養皿(FALCON M ULTIWELL PRIMARIA 24 well)に5x10 6 個/ウエルの密度で播種し、37℃、5%CO 2 存在下で4時間培養した。培養液はAIM-V(GIBCO) RPMI-1640を1:1に混合したもの(基本培養液)を用 いた。培養皿の底面に接着した細胞を回収し 、4x10 個/ウエルの密度で新しい24ウエルの培養皿に 播種し、GM-CSF(10ng/ml), IL-4(1ng/ml)添加した基本 培養液を用いて、37℃、5%CO 2 存在下で7日間培養し、樹状細胞を分化させ 。

==実験7日目==
 培養7日目に分化した樹状細胞を抗原提示細 胞(antigen presenting cells;APCs)として用いた。得 られた樹状細胞をirradiate (60Gy)したのち、合 ・精製したペプチド(それぞれ配列番号1~3を 有するSOX6由来のペプチドであるSOX6-251、SOX6-4 47、及びSOX6-521)を10μM添加し、37℃、5%CO 2 存在下で2時間培養して細胞に結合させ、PBS 2回洗浄し、刺激細胞(stimulator cells)とした。
 一方、この日(培養7日目当日)、実験15日目 樹状細胞を得るために、初日と同じ操作で 核球を培養した。
 その過程で、単核球を4時間培養後、培養皿 に接着せず、培養上清に浮遊している細胞を 回収し、1x10 個の細胞に対しIMag anti-human CD8 particules -DM (BD Biosciences社)100μlを、4℃、30分間反応させ た。磁石を用いてCD8陽性細胞を吸着・回収し 、応答細胞(responder cells)とした。
 このようにして得られた応答細胞2x10 5 個を、上記刺激細胞のウエルに添加し、共培 養した。なお、培養液として、IL-1α(10 unit/ml ), IL-2(20 unit/ml), IL-4(1 ng/ml), IL-6(125 unit/ml),  IL-12(1 ng/ml)を添加した基本培養液を用いた

==実験15日目==
 培養7日目から培養し、分化させた樹状細胞 を用いて、上記と同様の操作で刺激細胞を調 整した。
 また、培養7日目より刺激細胞と共培養した 応答細胞を回収し、新たに調整した刺激細胞 と、同様に共培養した。ただし、培養液は培 養7日目に用いた上記培養液においてIL-12を含 まない培養液を用いた。
 なお、実験22日目に樹状細胞を得るための 核球の培養を、同様にして、新たに始めて いた。

==実験22日目==
 実験15日目と同様に、刺激細胞と共培養を けている応答細胞を回収し、新たに調整し 刺激細胞と共培養した。
  なお、樹状細胞を得るための単核球の培 を始めたが、96ウエルの培養皿を用い、4x10 4 個/ウエルに調整して播種し、培養した。

==実験28日目==
 この日まで、培養7日目より刺激細胞と共培 養した応答細胞を回収し、エフェクター細胞 として、SOX6由来ペプチドSOX6-251の刺激により 樹立したCTL(CTL-SOX6-251)、SOX6由来ペプチドSOX6-4 47の刺激により樹立したCTL(CTL-SOX6-447)、SOX6由 ペプチドSOX6-521の刺激により樹立したCTL(CTL- SOX6-521)を準備した。
 また、ターゲット細胞として、HLA-A,B欠損ヒ トB細胞株CIRにHLA-A0201のcDNAを導入したCIR-A0201 CIR-A0201株にSOX6遺伝子を導入したCIR-A0201(SOX6) 、HLA-A0201とSOX6が共に発現しておりHLA-A24は発 していないグリオーマ細胞U87、HLA-A2402とSOX6 が共に発現しておりHLA-A0201は発現していない Marcus、HLA-A0201とSOX6が共に発現しておりHLA-A24 発現していない他の癌細胞(膵臓癌由来Panc-1 )を準備した。これらの細胞5X10 6 個に対して500μlのFetal Bovine Serum(FBS)、 51 Cr(1.85MBq/50μl)を50μl添加し、37℃、5%CO2下で60 振蕩培養した。その後洗浄を3回行い、5x10 3 /100μlに調整して96穴プレート(COSTER 3595-96 wel l)の各ウエルに100μlずつ添加した。
 E/T ratio (エフェクター細胞/ターゲット細 の比)は、60:1(エフェクター細胞は3x10 5 /ウエル) 、30:1(エフェクター細胞は1.5x10 5 /ウエル) 、15:1 (エフェクター細胞は7.5X10 4 /ウエル)の3群を設けて、それぞれの数のエフ ェクター細胞を 51 Crでラベルした96穴プレート上のターゲット 胞に添加した。これらを37℃、5%CO 2 下で4時間培養した。
 各ウエルのcpm(cpm experimental release)を計測し 、特異的溶解率(Percentage of specific lysis)を以 下の式から算出した。
特異的溶解率= (cpm-csr)/(cmr-csr) x100
(なお、csr(cpm spontaneous release)はエフェクタ 細胞を含まない培地を添加したウエルのcpm あり、cmr(cpm maximal release)はエフェクター細 胞を含まない0.1% Triton Xを添加したウエルの cpmである。)

==結果==
 健常人(HLAクラスI:A0201/A2402)の末梢血リンパ から樹立したCTL-SOX6-447とCTL-SOX6-521は、HLA-A02 01とSOX6を共に発現しているCIR-A0201-SOX6(図1A)及 びグリオーマ細胞由来のU87(図1B)をE/T ratio依 性に傷害した。一方、CTL-SOX6-252はそれらを 害しなかった(図1A、B)。このCTL-SOX6-447とCTL-S OX6-521はHLA-A0201を発現しているがSOX6を発現し いないCIR-A0201を傷害しなかった(図1C)。
  次に別のタイプのHLAクラスIを有する健常 (HLAクラスI:A0201/ - )の末梢血リンパ球をSOX6 -447によって刺激してCTL-SOX6-447を樹立し、そ ぞれの細胞傷害活性を検証した。CTL-SOX6-447 、HLA-A0201とSOX6を共に発現している細胞であ CIR-A0201-SOX6、グリオーマ細胞由来のU87、膵 癌細胞由来のPanc-1をE/T ratio依存性に傷害し (図2)。一方、HLA-A0201を発現しているがSOX6を 発現していない細胞CIR-A0201を傷害しなかった (図2)。
 このように、SOX6に由来するペプチドSOX6-447 SOX6-521を用いて、それらのペプチドを提示 た抗原提示細胞を作製することができ、さ に、その抗原提示細胞によって刺激するこ により、各ペプチドのみならずSOX6を発現し 細胞を認識する特異的T細胞が誘導される。

〈実施例2〉ペプチド刺激によって樹立され 細胞障害性T細胞(エフェクター細胞)の、刺 ペプチドに対する反応特異性の評価
 本実施例では、SOX6-447の刺激により樹立さ たHLA拘束性SOX6特異的細胞傷害活性を有するC TLは、SOX6-447を提示した抗原提示細胞をペプ ド特異的に傷害するかどうかを検証した。

==実験方法==
 まず、ターゲット細胞として、2種類の細胞 を準備した。まず、HLA-A0201とSOX6を発現して るグリオーマ細胞SF-126を実施例1と同様の手 にて 51 Crでラベルした(Hot target cell)。また、コンペ ティターのターゲット細胞として、HLA-A0201を 発現しているがSOX6を発現していないCIR-A0201 対し、SOX6由来ペプチド(SOX6-447)をパルスした CIR-A0201(SOX6-447)、SOX6と無関係な配列を有する ンフルエンザウィルス(Flu)由来ペプチドFlu-M 1 58-66 (GILGFVFTL:配列番号4)をパルスしたCIR-A0201(Flu-M1) 、ペプチドをパルスしないCIR-A0201(no peptide) 準備し、 51 Crでラベルしないで、96穴プレートに各ウエ 1x10 3 /50μlずつ播種した(Cold target cell)。
 一方、実施例1と同様に、エフェクター細胞 として、SOX6由来ペプチドSOX6-447の刺激により 樹立したCTL-SOX6-447を準備した。
 E/T ratio は80:1(エフェクター細胞は8×10 4 /100μl/ウエル)、40:1(エフェクター細胞は4×10 4 /100μl/ウエル)、20:1(エフェクター細胞は2×10 4 /100μl/ウエル)の3群を設けた。それぞれの数 エフェクター細胞をCIR-A0201 (Cold target cell) に添加し、37℃、5%CO 2 下で1時間培養したのち、1x10 3 個のSF-126 (Hot target cell)を添加し、37℃、5%CO 2 下でさらに4時間培養した。
 培養後、各ウエルのcpmを計測し、実施例1と 同様に特異的溶解率(Percentage of specific lysis) を算出した。

==結果==
 以上のようにして、各種ペプチドをパルス たコンペティターCIR-A0201(Cold target cell)の 在下で、グリオーマ細胞SF-126(Hot target cell) 対するCTL-SOX6-447の細胞傷害活性を調べたと ろ、CTL-SOX6-447は、E/T ratio依存性に 51 CrでラベルしたSF-126に対する細胞傷害活性を し、かつその細胞傷害活性は、ネガティブ ントロールであるCIR-A0201(no peptide)の存在下 の場合と比べ、CIR-A0201(Flu-M1)の存在下では抑 されなかったが、CIR-A0201(SOX6-447)の存在下で 顕著に抑制された(図3)。
 このように、CTL-SOX6-447は、提示されたペプ ド特異的にSOX6-447をパルスしたCIR-A0201を認 し、傷害し得た。

〈実施例3〉ペプチド刺激によって樹立され 細胞障害性T細胞(エフェクター細胞)のター ット細胞に対する障害活性の、ターゲット 胞作製時にパルスするペプチド濃度に対す 濃度依存性
 本実施例では、CTL-SOX6-447は、どの程度の刺 ペプチド濃度でパルスするとそのペプチド 提示した抗原提示細胞を認識して傷害する かを検証した。

==実験方法==
 ターゲット細胞として、SOX6-447ペプチドを 々な濃度(0nM、0.1nM、1nM、10nM、100nM)でパルス たCIR-A0201(SOX6-447)を準備した。これらの細胞 5x10 6 個に対して500μlのFBS、 51 Cr(1.85MBq/50μl)を50μl添加し、37℃、5%CO 2 下で60分振蕩培養後、洗浄を3回行い、5x10 3 /100μlに調整して96穴プレート(COSTER 3595-96 wel l)の各ウエルに100μlずつ添加した。
 エフェクター細胞として、実施例1と同様に 、SOX6由来ペプチドSOX6-447の刺激により樹立し たCTL-SOX6-447を準備した。
 E/T ratio は30:1(エフェクター細胞は1.5x10 5 /100μl)及び15:1(エフェクター細胞は7.5x10 4 /100μl)とし、それぞれの数のエフェクター細 を、96穴プレート上の 51 CrでラベルしたCIR-A0201(SOX6-447)に添加し、37℃ 5%CO 2 下で4時間培養した。
 培養後、各ウエルのcpmを計測し、実施例と 様に特異的溶解率(Percentage of specific lysis) 算出した。

==結果==
 図4に示すように、CTL-SOX6-447は、SOX6-447ペプ ド濃度0.1nM以上でパルスした場合に、ペプ ド濃度依存性にCIR-A0201を傷害した。この結 はE/T ratio=15とE/T ratio=30において同様であっ た。このように、ペプチド濃度0.1nM以上の場 、CTL-SOX6-447はSOX6-447/HLA-A0201複合体を認識し 標的細胞を傷害し得た。

 本発明によって、腫瘍免疫を効率的に誘 できるペプチド、そのペプチドを含有する 成物、そのペプチドを提示した抗原提示細 、この抗原提示細胞によって刺激されたT細 胞、およびこれらのペプチドや細胞を利用し た癌ワクチン、及びそれらを用いた腫瘍患者 の治療方法を提供することが可能になった。