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Title:
COMPOSITE HOLLOW FIBER MEMBRANE AND COMPOSITE HOLLOW FIBER MEMBRANE MANUFACTURING METHOD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2020/175205
Kind Code:
A1
Abstract:
A composite hollow fiber membrane according to one aspect of the present invention is provided with a semipermeable membrane layer, a porous support layer in the form of hollow fibers, and an intermediate layer interposed between the semipermeable membrane layer and the support layer. The semipermeable membrane layer contains a crosslinked polyamide formed of a polyfunctional amine compound and a polyfunctional acid halide compound. The intermediate layer includes a layer portion made of the same material as the support layer, and the crosslinked polyamide impregnating the layer portion.

Inventors:
MIHARA KOTA (JP)
YABUNO YOUHEI (JP)
MIZUMOTO YOSHITO (JP)
KOMATSU KENSAKU (JP)
Application Number:
PCT/JP2020/005990
Publication Date:
September 03, 2020
Filing Date:
February 17, 2020
Export Citation:
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Assignee:
KURARAY CO (JP)
International Classes:
B01D69/08; B01D69/00; B01D69/10; B01D69/12; B01D71/56; B32B1/08; B32B5/18; B32B27/34
Domestic Patent References:
WO2016024573A12016-02-18
Foreign References:
JP2013166131A2013-08-29
JP2015192927A2015-11-05
JP2012040464A2012-03-01
JPH04281830A1992-10-07
JP2012055858A2012-03-22
JP2020015005A2020-01-30
Attorney, Agent or Firm:
KOTANI, Masataka et al. (JP)
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Claims:
\¥0 2020/175205 41 卩(:17 2020 /005990

請求の範囲

[請求項 1 ] 半透膜層と、 中空糸状の多孔質な支持層と、 前記半透膜層及び前記 支持層の間に介在する中間層とを備え、

前記半透膜層は、 多官能アミン化合物と多官能酸ハライ ド化合物と からなる架橋ポリアミ ドを含み、

前記中間層は、 前記支持層と同じ材質からなる層状部分と、 前記層 状部分に浸み込んだ前記架橋ポリアミ ドとを含むことを特徴とする複 合中空糸膜。

[請求項 2] 前記中間層の厚みは、 2 0〜 5 0 0 0 〇!である請求項 1 に記載の 複合中空糸膜。

[請求項 3] 前記複合中空糸膜のヤング率は、 5 0〜 3 0 0 / 2である請 求項 1又は請求項 2に記載の複合中空糸膜。

[請求項 4] 前記中間層が、 前記支持層の外周面に接触し、

前記半透膜層が、 前記中間層の外周面に接触して配置される請求項 1〜 3のいずれか 1項に記載の複合中空糸膜。

[請求項 5] 前記中間層に備えられる前記層状部分の、 前記半透膜層側の表面に おける気孔の平均径が、 0 . 0 1〜 2 である請求項 1〜 4のいず れか 1項に記載の複合中空糸膜。

[請求項 6] 正浸透法に用いられる正浸透膜である請求項 1〜 5のいずれか 1項 に記載の複合中空糸膜。

[請求項 7] 請求項 1〜 6のいずれか 1項に記載の複合中空糸膜の製造方法であ って、

前記多官能アミン化合物及び前記多官能酸ハライ ド化合物のうちの _方を含有する第 1溶液と、 前記多官能アミン化合物及び前記多官能 酸ハライ ド化合物のうちの他方を含有し、 かつ、 前記第 1溶液と接触 させることにより、 前記第 1溶液と界面を形成する第 2溶液とを準備 する工程と、

多孔質な中空糸状部材の少なくとも一方の面側に、 前記第 1溶液を \¥0 2020/175205 42 卩(:171? 2020 /005990

接触させる第 1接触工程と、

前記中空糸状部材を揺動させながら、 前記中空糸状部材の、 前記第 1溶液を接触させた面側に、 前記第 2溶液を接触させる第 2接触工程 とを備えることを特徴とする複合中空糸膜の製造方法。

[請求項 8] 前記第 1溶液及び前記第 2溶液のうちの一方が、 前記多官能アミン 化合物の水溶液であり、

前記第 1溶液及び前記第 2溶液のうちの他方が、 前記多官能酸ハラ イ ド化合物の有機溶媒溶液である請求項 7に記載の複合中空糸膜の製 造方法。

[請求項 9] 前記第 1接触工程の後であって、 前記第 2接触工程の前に、 前記中 空糸状部材の、 前記第 1溶液を接触させた面上に存在する前記第 1溶 液を除去する工程をさらに備える請求項 7又は請求項 8に記載の複合 中空糸膜の製造方法。

[請求項 10] 前記第 2接触工程は、 前記中空糸状部材が前記第 2溶液にのみ接触 する工程である請求項 7〜 9のいずれか 1項に記載の複合中空糸膜の 製造方法。

Description:
明 細 書

発明の名称 : 複合中空糸膜、 及び複合中空糸膜の製造方法 技術分野

[0001] 本発明は、 複合中空糸膜、 及び複合中空糸膜の製造方法に関する。

背景技術

[0002] 液状混合物の分離に関して、 溶媒に溶解した物質を選択的に分離する技術 には、 様々な技術がある。 例えば、 蒸留等の分離技術に比べて、 省エネルギ かつ低コストな分離技術として、 精密ろ過法、 限外ろ過法、 逆浸透法、 及び 正浸透法等の膜分離法が挙げられる。 これらの膜分離法の中でも、 逆浸透法 及び正浸透法と限外ろ過法との間に位置する ナノろ過法という膜分離法の開 発が進んでいる。 このような様々な膜分離法は、 除去対象物等によって適切 な膜分離法を選択することによって、 液状混合物の分離だけではなく、 濃縮 もできる。 このような膜分離法による液状混合物の分離 や濃縮は、 物質の状 態変化を伴わないことから、 様々な分野で利用されている。 具体的には、 食 品分野における、 果汁濃縮やビール酵母の分離、 半導体分野における超純水 製造、 及び飲料水製造分野における、 海水等の鹹水の淡水化等が挙げられる

[0003] 膜分離法の中でも、 例えば、 ナノろ過法、 逆浸透法、 及び正浸透法等は、 半透膜を用いる膜分離法である。 半透膜を用いる膜分離法には、 例えば、 ナ ノフィルトレーシヨン (N a n o F i I t r a t i o n : N F) 膜、 逆浸 透 (R e v e r s e 〇 s mo s i s : R〇) 膜、 及び正浸透 ( F〇 r w a r d O s mo s i s : FO) 膜等の、 半透膜の機能を有する半透膜層を備 える膜が用いられる。 このような半透膜を用いる膜分離法に用いら れる膜と しては、 半透膜層だけではなく、 半透膜層を支持する支持層も備えられる複 合膜等が挙げられる。

[0004] このような複合膜としては、 例えば、 特許文献 1 に記載の正浸透膜、 及び 特許文献 2に記載の製造法により得られる複合中空糸 等が挙げられる。 \¥0 2020/175205 2 卩(:171? 2020 /005990

[0005] 特許文献 1 には、 半透膜の性能を有する薄膜層がポリケトン支 持層に積層 されている正浸透膜が記載されている。 特許文献 1 によれば、 この正浸透膜 を適用することによって、 有機化合物に対し十分な耐久性を持ち、 水の透過 性に優れる正浸透処理システムを提供するこ とができる旨が開示されている

[0006] 特許文献 2には、 多孔質中空糸膜の外表面に重合体薄膜からな る分離活性 層を形成させ複合化するに際し、 相互に反応して該重合体薄膜を形成し得る 少なくとも 1種からなる多官能性化合物八を含む第 1溶液と少なくとも 1種 からなる多官能性化合物巳を含み該第 1溶液と実質的に非混合性の第 2溶液 に順次、 該多孔質中空膜を接触させ、 該多孔質中空糸膜上で該多官能性化合 物八、 巳を相互に界面重合反応させて薄膜を形成し 、 連続した複合中空糸膜 を、 該第 1溶液から続いて該第 2溶液に接触させた後に、 該第 2溶液と実質 的に非混合性の第 3液に少なくとも 1力所接触させる複合中空糸膜の製造法 が記載されている。 特許文献 2によれば、 透過性能、 分離性能に優れた複合 中空糸膜を容易に製造する方法を提供するこ とができる旨が開示されている

[0007] 複合膜は、 半透膜層等の活性層と、 それを支持する支持層とを備えている 。 前記活性層と前記支持層とは、 異なる性能が求められることから、 それぞ れが異なる素材からなる。 また、 複合膜における活性層として半透膜層を用 いた場合、 複合膜を用いた分離法は、 水等の溶媒を溶質より透過させやすい 半透膜層を用いて分離する。 すなわち、 半透膜層と支持層とを備える複合膜 を分離法に用いた際、 その分離に寄与するのは、 主に半透膜層である。 また 、 複合膜の場合、 支持層により、 半透膜層が支持されることから、 透水性等 を高めるためにも、 薄い半透膜層が好まれる。

[0008] 薄い活性層を形成させる技術としては、 例えば、 コート法、 プラズマ重合 法、 及び界面重合法等が挙げられる。 この中でも、 活性層が半透膜層の場合 、 界面重合法で形成することによって、 他の方法で形成するより、 薄い半透 膜層を形成でき、 高い透過性能を発揮できる。 界面重合法は、 水と、 水と接 \¥0 2020/175205 3 卩(:171? 2020 /005990

触することにより界面を形成する有機溶媒 とに、 2種類以上の反応性化合物 を、 それぞれ溶解させ、 その得られた溶液を接触させることにより形 成され る界面で、 前記反応性化合物を重合させる方法である。 具体的には、 特許文 献 1及び特許文献 2に記載のように、 多孔体層等の支持層の一方の表面に、 ポリアミン水溶液を塗布した後、 ポリカルボン酸誘導体、 多官能性酸ハロゲ ン化物、 又は多官能性イソシアネートの有機溶媒溶液 を塗布することで、 前 記多孔体層上に、 活性層を形成させる方法等が挙げられる。

先行技術文献

特許文献

[0009] 特許文献 1 :国際公開第 2 0 1 6 / 0 2 4 5 7 3号

特許文献 2 :特開平 8 - 6 6 6 2 5号公報

発明の概要

[0010] 本発明は、 半透膜層による分離を好適に行うことができ 、 さらに、 耐久性 に優れた複合中空糸膜、 及び前記複合中空糸膜の製造方法を提供する ことを 目的とする。

[001 1] 本発明の一局面は、 半透膜層と、 中空糸状の多孔質な支持層と、 前記半透 膜層及び前記支持層の間に介在する中間層と を備え、 前記半透膜層は、 多官 能アミン化合物と多官能酸ハライ ド化合物とからなる架橋ポリアミ ドを含み 、 前記中間層は、 前記支持層と同じ材質からなる層状部分と、 前記層状部分 に浸み込んだ前記架橋ポリアミ ドとを含むことを特徴とする複合中空糸膜で ある。

図面の簡単な説明

[0012] [図 1]図 1は、 本発明の一実施形態に係る複合中空糸膜を示 す部分斜視図であ る。

[図 2]図 2は、 図 1 に示す複合中空糸膜の層構造の一例を示す概 略図である。 [図 3]図 3は、 図 1 に示す複合中空糸膜の層構造の他の一例を示 す概略図であ る。 \¥0 2020/175205 4 卩(:171? 2020 /005990

[図 4]図 4は、 実施例 1 に係る複合中空糸膜の断面における外周面付 近の走査 型電子顕微鏡写真を示す図である。

[図 5]図 5は、 比較例 1 に係る複合中空糸膜の断面における外周面付 近の走査 型電子顕微鏡写真を示す図である。

発明を実施するための形態

[0013] 半透膜層と支持層とを備える複合膜としては 、 特許文献 1 に記載されてい るように、 平膜の支持層を備えた複合膜と、 中空糸膜の支持層を備えた複合 膜とが考えられる。 複合膜は、 一般的に、 ハウジングと呼ばれる筐体に収納 されたモジュールとして、 水処理に用いられる。 このことから、 本発明者等 は、 複合膜に備えられる支持層としては、 平膜ではなく、 中空糸膜を用いた ほうが、 モジュールあたりの膜の表面積を大きくでき るため、 より省スぺ一 スな水処理システムを提供できることに着目 した。 すなわち、 本発明者等は 、 半透膜層による分離を好適に行うために、 複合膜に備えられる支持層とし ては、 平膜ではなく、 設置面積あたりの膜面積を平膜より大きくで きる中空 糸膜を用いることに着目した。

[0014] しかしながら、 本発明者等の検討によれば、 支持層として、 中空糸膜を単 に用いただけでは、 半透膜層による分離を好適に行うことができ る複合中空 糸膜が得られない場合があった。 また、 半透膜層と支持層との界面で剥離が 発生する等、 耐久性が充分に高い複合中空糸膜が得られな い場合もあった。

[0015] 本発明者等は、 例えば、 支持層である中空糸膜上に半透膜層を形成す るた めの重合中又は重合後等に、 中空糸膜を搬送する口ーラ等に前記中空糸膜 が 接触することにより、 半透膜層が好適に形成できない場合があるこ とに着目 した。 このような場合、 得られた複合中空糸膜は、 半透膜層による分離が好 適に行うことができない。 さらに、 本発明者等の検討によれば、 口ーラ等に 前記中空糸膜が接触しないように、 中空糸膜上に半透膜層を形成しただけで は、 得られた複合中空糸膜の耐久性が不充分な場 合があった。 例えば、 複数 の複合中空糸膜を筐体内に収納したモジュー ルとして、 水処理に用いる場合 、 前記筐体内で、 前記複合中空糸膜同士が接触することによっ て、 前記複合 \¥0 2020/175205 5 卩(:171? 2020 /005990

中空糸膜に備えられる半透膜層が損傷する 場合があった。 また、 前記複合中 空糸膜の揺動及び曲げ等によっても、 前記複合中空糸膜に備えられる半透膜 層が損傷する場合があった。 このように、 得られた複合中空糸膜の耐久性が 不充分な場合があった。 また、 このように半透膜層が損傷した場合、 その後 、 半透膜層による分離が好適に行うことができ ないことになる。 このような 半透膜層の損傷は、 前記支持層と前記半透膜層との界面状態等に 起因してい ると、 本発明者等は推察し、 種々検討した。 これらの検討の結果、 以下の本 発明により、 半透膜層による分離を好適に行うことができ 、 さらに、 耐久性 に優れた複合中空糸膜、 及び前記複合中空糸膜の製造方法を提供する といっ た上記目的が達成されることを見出した。

[0016] 以下、 本発明に係る実施形態について説明するが、 本発明は、 これらに限 定されるものではない。

[0017] [複合中空糸膜]

本発明の実施形態に係る複合中空糸膜 1 1は、 図 1 に示すように、 中空糸 状の膜である。 また、 前記複合中空糸膜 1 1は、 図 2及び図 3に示すように 、 中空糸状の多孔質な支持層 1 2と、 半透膜層 1 3と、 中間層 1 4とを備え る。 前記半透膜層 1 3は、 多官能アミン化合物と多官能酸ハライ ド化合物と からなる架橋ポリアミ ド、 すなわち、 多官能アミン化合物と多官能酸ハライ ド化合物とを重合させてなる架橋ポリアミ ドを含む。 前記中間層 1 4は、 前 記支持層 1 2と同じ材質からなる層状部分と、 前記層状部分に浸み込んだ前 記架橋ポリアミ ドとを含む。

[0018] 前記複合中空糸膜 1 1は、 半透膜層による分離をより好適に行うことが で き、 さらに、 耐久性に優れている。 このことは、 以下のことによると考えら れる。

[0019] まず、 前記複合中空糸膜 1 1は、 多官能アミン化合物と多官能酸ハライ ド 化合物とからなる架橋ポリアミ ドを含む半透膜層 1 3を支持層 1 2上に備え ることから、 半透膜層を用いた分離を好適に行うことがで きると考えられる 。 また、 前記支持層 1 2として、 中空糸状の支持層を用いることによって、 \¥0 2020/175205 6 卩(:171? 2020 /005990

平膜にした場合より膜面積を広くすること ができる。 さらに、 前記複合中空 糸膜 1 1は、 前記半透膜層 1 3と前記支持層 1 2との間に、 前記支持層と同 じ材質からなる層状部分と、 前記層状部分に浸み込んだ前記架橋ポリアミ ド とを含む中間層 1 4を備える。 この中間層 1 4により、 前記半透膜層 1 3が 、 前記支持層 1 2から剥離することを抑制できると考えられ 。 よって、 前 記複合中空糸膜 1 1は、 前記複合中空糸膜 1 1の揺動や曲げ、 及び前記複合 中空糸膜同士の接触等による前記半透膜層の 損傷の発生を抑制できると考え られる。 さらに、 この中間層 1 4は、 前記半透膜層 1 3を構成する架橋ポリ アミ ドを含むので、 半透膜層を用いた分離と同様の分離を行うこ とができる 。 このことから、 仮に前記半透膜層 1 3の一部が損傷しても、 前記中間層 1 4により、 半透膜層を用いた分離と同様の分離を行うこ とができる。

[0020] 以上のことから、 前記複合中空糸膜 1 1は、 半透膜層による分離を好適に 行うことができ、 さらに、 耐久性に優れた複合中空糸膜であると考えら れる

[0021 ] 前記複合中空糸膜は、 例えば、 正浸透法に用いた場合、 溶質濃度の異なる

2つの溶液を、 前記複合中空糸膜を介して接触させることに よって、 溶質濃 度差から生じる浸透圧差を駆動力として、 溶質濃度の低い希薄溶液から、 溶 質濃度の高い濃厚溶液へと水を好適に透過さ せることができる。 前記複合中 空糸膜は、 正浸透法に用いると、 例えば、 優れた脱塩性能を発揮することが できる。

[0022] なお、 図 1は、 本発明の実施形態に係る複合中空糸膜 1 1 を示す部分斜視 図である。 また、 図 2及び図 3は、 図 1 に示す係る複合中空糸膜 1 1の一部 八を拡大して、 複合中空糸膜 1 1の層構造を示す。 なお、 図 2及び図 3は、 層の位置関係を表すものであって、 層の厚みの関係を特に表してはいない概 略図である。

[0023] 前記複合中空糸膜 1 1は、 前記半透膜層 1 3が、 図 2に示すように、 前記 中間層 1 4を介して、 前記支持層 1 2の外周面に接触して設けられていても よいし、 図 3に示すように、 前記中間層 1 4を介して、 前記支持層 1 2の内 \¥0 2020/175205 7 卩(:171? 2020 /005990

周面に接触して設けられていてもよい。 すなわち、 前記複合中空糸膜 1 1は 、 図 2に示すように、 前記中間層 1 4が、 前記支持層 1 2の外周面に接触し 、 前記半透膜層 1 3が、 前記中間層 1 4の外周面に接触して配置されていて もよいし、 図 3に示すように、 前記中間層 1 4が、 前記支持層 1 2の内周面 に接触し、 前記半透膜層 1 3が、 前記中間層 1 4の内周面に接触して配置さ れていてもよい。 この中でも、 前記複合中空糸膜 1 1は、 図 2に示すように 、 前記中間層 1 4が、 前記支持層 1 2の外周面に接触し、 前記半透膜層 1 3 が、 前記中間層 1 4の外周面に接触して配置されていることが ましい。 前 記半透膜層が、 前記中間層を介して、 前記支持層の外周面に接触しているこ とから、 前記半透膜層が、 前記支持層の内周面側に接触している場合よ り、 前記半透膜層の面積を広くすることができる ことから、 前記複合中空糸膜は 、 半透膜層を用いた分離をより好適に行うこと ができると考えられる。 一方 で、 一般的に、 複合中空糸膜において、 半透膜層が、 支持層の外周面側に形 成されていると、 上述したように、 複合中空糸膜同士の接触による半透膜層 の損傷が起こりやすい。 これに対して、 本実施形態に係る複合中空糸膜では 、 上述したように、 前記複合中空糸膜同士の接触等による前記半 透膜層の損 傷の発生を抑制でき、 さらに、 半透膜層を用いた分離と同様の分離を行うこ とができる中間層を備える。 さらに、 前記支持層の外周面側に、 前記半透膜 層及び前記中間層を形成するほうが、 製造しやすい。 これらのことから、 前 記半透膜層が、 前記支持層の外周面側に形成されていても、 耐久性に優れた 複合中空糸膜が得られると考えられる。 これらのことから、 前記半透膜層が 、 前記支持層の外周面側に形成されることが好 ましい。

[0024] (半透膜層)

前記半透膜層 1 3は、 多官能アミン化合物と多官能酸ハライ ド化合物とか らなる架橋ポリアミ ド、 すなわち、 多官能アミン化合物と多官能酸ハライ ド 化合物とを重合させてなる架橋ポリアミ ドを含んで、 半透膜の機能を奏する 層であれば、 特に限定されない。 前記架橋ポリアミ ドは、 多官能アミン化合 物と多官能酸ハライ ド化合物とを重合させてなる架橋ポリアミ ドであって、 \¥0 2020/175205 8 卩(:171? 2020 /005990

多官能アミン化合物と多官能酸ハライ ド化合物との重合の際に生じる、 多官 能アミン化合物及び多官能酸ハライ ド化合物以外の他の成分を含んでいても よい。 前記半透膜層 1 3における前記架橋ポリアミ ドの含有量は、 9 0〜 1 〇〇質量%であることが好ましく、 1 0 0 %であることがより好ましい。 す なわち、 前記半透膜層 1 3は、 前記架橋ポリアミ ドのみからなることが好ま しい。

[0025] 前記多官能アミン化合物は、 アミノ基を分子内に 2つ以上有する化合物で あれば、 特に限定されない。 前記多官能アミン化合物としては、 例えば、 芳 香族多官能アミン化合物、 脂肪族多官能アミン化合物、 及び脂環族多官能ア ミン化合物等が挙げられる。 また、 前記芳香族多官能アミン化合物としては 、 例えば、 01—フエニレンジアミン、 フエニレンジアミン、 及び〇—フ エニレンジアミン等のフエニレンジアミン、 1 , 3 , 5—トリアミノべンゼ ン及び 1 , 3 , 4—トリアミノベンゼン等のトリアミノベン ン、 2 , 4 - ジアミノ トルエン及び 2 , 6—ジアミノ トルエン等のジアミノ トルエン、 3

, 5 -ジアミノ安息香酸、 キシリレンジアミン、 及び 2 , 4 -ジアミノフエ ノールニ塩酸塩 (アミ ドール) 等が挙げられる。 また、 前記脂肪族多官能ア ミン化合物としては、 例えば、 エチレンジアミン、 プロプレンジアミン、 及 びトリス (2 -アミノエチル) アミン等が挙げられる。 前記脂環族多官能ア ミン化合物としては、 例えば、 1 , 3 -ジアミノシクロヘキサン、 1 , 2 - ジアミノシクロヘキサン、 1 , 4—ジアミノシクロヘキサン、 ピぺラジン、 2 , 5 -ジメチルピぺラジン、 及び 4 -アミノメチルピぺラジン等が挙げら れる。 この中でも、 芳香族多官能アミン化合物が好ましく、 フエニレンジア ミンがより好ましい。 また、 前記多官能アミン化合物としては、 上記例示の 化合物を単独で用いてもよいし、 2種以上を組み合わせて用いてもよい。

[0026] 前記多官能酸ハライ ド化合物 (多官能酸ハロゲン化物) は、 カルボン酸等 の酸を分子内に 2つ以上有する多官能有機酸化合物に含まれ 酸からヒドロ キシル基を 2つ以上除去し、 ヒドロキシル基が除去された酸にハロゲンが 結 びついた化合物であれば、 特に限定されない。 前記多官能酸ハライ ド化合物 \¥0 2020/175205 9 卩(:171? 2020 /005990

は、 2価以上であればよく、 3価以上であることが好ましい。 また、 前記多 官能酸ハライ ド化合物としては、 例えば、 多官能酸フッ化物、 多官能酸塩化 物、 多官能酸臭化物、 及び多官能酸ヨウ化物等が挙げられる。 この中でも、 多官能酸塩化物 (多官能酸クロライ ド化合物) が、 最も容易に得られ、 反応 性も高いので好ましく用いられるが、 これに限らない。 また、 以下、 多官能 酸塩化物を例示するが、 多官能酸塩化物以外の多官能酸ハロゲン化物 として は、 下記例示の塩化物を、 他のハロゲン化物に変えたもの等が挙げられ る。

[0027] 前記多官能酸クロライ ド化合物としては、 例えば、 芳香族多官能酸クロラ イ ド化合物、 脂肪族多官能酸クロライ ド化合物、 及び脂環族多官能クロライ ド化合物等が挙げられる。 前記芳香族多官能酸クロライ ド化合物としては、 例えば、 トリメシン酸トリクロライ ド、 テレフタル酸ジクロライ ド、 イソフ タル酸ジクロライ ド、 ビフエニルジカルボン酸ジクロライ ド、 ナフタレンジ カルボン酸ジクロライ ド、 ベンゼントリスルホン酸トリクロライ ド、 及びべ ンゼンジスルホン酸ジクロライ ド等が挙げられる。 また、 前記脂肪族多官能 酸クロライ ド化合物としては、 例えば、 プロパンジカルボン酸ジクロライ ド 、 ブタンジカルボン酸ジクロライ ド、 ペンタンジカルボン酸ジクロライ ド、 プロパントリカルボン酸トリクロライ ド、 ブタントリカルボン酸トリクロラ イ ド、 ペンタントリカルボン酸トリクロライ ド、 グルタリルクロライ ド、 及 びアジボイルクロライ ド等が挙げられる。 また、 脂環族多官能クロライ ド化 合物としては、 例えば、 シクロプロパントリカルボン酸トリクロライ ド、 シ クロブタンテトラカルボン酸テトラクロライ ド、 シクロペンタントリカルボ ン酸トリクロライ ド、 シクロペンタンテトラカルボン酸テトラクロ ライ ド、 シクロヘキサントリカルボン酸トリクロライ ド、 テトラハイ ドロフランテト ラカルボン酸テトラクロライ ド、 シクロペンタンジカルボン酸ジクロライ ド 、 シクロブタンジカルボン酸ジクロライ ド、 シクロへキサンジカルボン酸ジ クロライ ド、 及びテトラハイ ドロフランジカルボン酸ジクロライ ド等が挙げ られる。 この中でも、 芳香族多官能酸クロライ ド化合物が好ましく、 トリメ シン酸トリクロライ ドがより好ましい。 また、 前記多官能酸ハライ ド化合物 \¥02020/175205 10 卩(:171?2020/005990

としては、 上記例示の化合物を単独で用いてもよいし、 2種以上を組み合わ せて用いてもよい。

[0028] (支持層)

前記支持層 1 2は、 上述したように、 中空糸状であって、 多孔質であれば 、 特に限定されない。 また、 前記支持層 1 2は、 多孔質であることから、 支 持層内部には空隙が形成されていることから 、 水を透過させることができる

[0029] 前記支持層 1 2の、 前記半透膜層 1 3が形成される側における気孔の平均 径は、 〇. 0 1〜 2 〇1であることが好ましく、 〇. 1 5〜 2 〇1であるこ とがより好ましい。 前記平均径が大きすぎると、 前記気孔が大きく、 前記支 持層上に、 前記中間層を好適に形成できなかったり、 前記中間層上に前記半 透膜層を好適に形成できない傾向がある。 すなわち、 前記支持層を、 前記半 透膜層で好適に覆うことができず、 半透膜層による分離を好適に行うことが できない傾向がある。 前記複合中空糸膜を、 例えば、 正浸透 ( 〇) 膜とし て用いると、 充分な脱塩性能を得られにくい傾向がある。 一方で、 前記平均 径が小さすぎると、 半透膜層による分離を好適に行うことができ ない傾向が ある。 このことは、 後述する比較例 2からもわかる。 このことは、 以下のこ とによると考えられる。 後述する複合中空糸膜の製造方法における第 1接触 工程において、 第 1溶液が中空糸状部材に充分にしみ込まない 考えられる 。 このため、 第 2接触工程で第 2溶液を接触させても、 第 1溶液及び第 2溶 液のそれぞれに含まれている多官能アミン化 合物と多官能酸ハライ ド化合物 との重合が充分に進行しないと考えられる。 よって、 前記支持層上に、 前記 中間層を好適に形成できなかったり、 前記中間層上に前記半透膜層を好適に 形成できない傾向があると考えられる。 これらのことから、 半透膜層による 分離を好適に行うことができないと考えられ る。 よって、 前記平均径が上記 範囲内であると、 前記中間層及び前記半透膜層を好適に形成で き、 すなわち 、 前記中間層に強固に固定された前記半透膜層 が、 好適に形成できることに よって、 半透膜層による分離と透過性とを両立できる 。 \¥0 2020/175205 1 1 卩(:171? 2020 /005990

[0030] なお、 前記平均径は、 支持層の通過を阻止できる最小粒子の粒子径 のこと をいい、 具体的には、 例えば、 支持層によって透過を阻止する割合 (支持層 による阻止率) が 9 0 %となるときの粒子の径等が挙げられる。 具体的には 、 以下のように測定することができる。

[0031 ] 異なる粒子径を有する少なくとも 2種類の粒子 (日揮触媒化成株式会社製 の、 カタロイ ド 3 丨 一5 5 0、 カタロイ ド 3 丨 _ 4 5 、 カタロイ ド 3 丨 _ 8 0 、 ダウケミカル株式会社製の、 粒径〇. 1 、 〇. 2 、 〇 . 5 のポリスチレンラテックス等) の阻止率を測定し、 その測定値を元にし て、 下記の近似式において、 が 9 0となる 3の値を求め、 これを前記平均 径とした。

[0032] [^ = 1 0 0 / ( 1 — 01 X 6 X 9 (— ^ X I 〇 9 ( 3 ) ) )

上記式中の 3および 01は、 中空糸膜によって定まる定数であって、 2種類以 上の阻止率の測定値をもとに算出される。

[0033] 前記支持層 1 2は、 親水性樹脂を含むことによって、 親水化されていても よい。 前記支持層 1 2に含まれる親水性樹脂は、 架橋されていることが好ま しい。 すなわち、 前記支持層 1 2は、 中空糸状の多孔質な基材に、 架橋され た親水性樹脂を含むことが好ましい。 架橋された親水性樹脂は、 前記支持層 1 2の全体に含まれていても、 前記支持層 1 2の一部に含まれていてもよい が、 その場合、 前記支持層 1 2の前記中間層 1 4側に含まれていることが好 ましく、 前記支持層 1 2の前記中間層側に含まれた上で、 さらにその他の部 分にも含まれていることがより好ましい。

[0034] 前記中空糸状の多孔質な基材は、 中空糸膜を構成することができる素材か らなる基材であれば、 特に限定されない。 前記支持層 1 2に含まれる成分 ( 中空糸状の多孔質な基材を構成する成分) としては、 例えば、 アクリル樹脂 、 ポリアクリロニトリル、 ポリスチレン、 ポリアミ ド、 ポリアセタール、 ポ リカ _ボネ _卜、 ポリフエニレンエーテル、 ポリフエニレンスルフイ ド、 ポ リエチレンテレフタレート、 ポリテトラフルオロエチレン、 ポリフッ化ビニ リデン、 ポリエーテルイミ ド、 ポリアミ ドイミ ド、 ポリクロロエチレン、 ポ \¥02020/175205 12 卩(:171?2020/005990

リェチレン、 ポリプロピレン、 ポリケトン、 結晶性セルロース、 ポリサルホ ン、 ポリフェニルサルホン、 ポリェーテルサルホン、 アクリロニトリルブタ ジェンスチレン (八巳 3) 樹脂、 及びアクリロニトリルスチレン (八3) 樹 脂等が挙げられる。 この中でも、 ポリフッ化ビニリデン、 ポリサルホン、 及 びポリェーテルサルホンが、 耐圧性能に優れる観点から好ましい。 また、 前 記支持層 1 2に含まれる成分 (中空糸状の多孔質な基材を構成する成分) と しては、 上記例示の樹脂を単独で用いてもよいし、 2種以上を組み合わせて 用いてもよい。

[0035] 前記親水性樹脂は、 前記中空糸状の多孔質な基材に含ませること によって 、 前記支持層 1 2を親水化させることができる樹脂であれば 特に限定され ない。 前記親水性樹脂としては、 例えば、 セルロース、 セルロースアセテー 卜及びセルローストリアセテート等の酢酸セ ルロース系ポリマー、 ポリビニ ルアルコール及びポリェチレンビニルアルコ ール等のビニルアルコール系ポ リマー、 ポリェチレングリコール及びポリェチレンオ キサイ ド等のポリェチ レングリコール系ポリマー、 ポリアクリル酸ナトリウム等のアクリル酸系 ポ リマー、 及び、 ポリビニルピロリ ドン等のポリビニルピロリ ドン系ポリマー 等が挙げられる。 この中でも、 ビニルアルコール系ポリマーやポリビニルピ ロリ ドン系ポリマーが好ましく、 ポリビニルアルコールやポリビニルピロリ ドンがより好ましい。 ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリ ドンは、 より架橋させやすく、 また、 半透膜層との接着性をより高めることができ る と考えられる。 すなわち、 前記支持層を親水化させる際に用いる親水性 樹脂 として、 ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリ ドンの少なくとも一方 を用いると、 これらの樹脂は架橋させやすく、 前記支持層に適切な親水性を 付与しやすいと考えられる。 そして、 架橋された親水性樹脂が前記支持層に 含まれることによって、 前記架橋ポリアミ ド重合体を含む半透膜層との接着 性を高めることができると考えられる。 これらのことから、 前記半透膜層を 、 前記支持層の緻密面上に好適に形成させるこ とができ、 形成された前記半 透膜層が、 前記支持層から剥離されることを充分に抑制 できると考えられる \¥0 2020/175205 13 卩(:171? 2020 /005990

。 これらのことから、 これらの樹脂を親水性樹脂として含む支持層 を備える 複合中空糸膜は、 半透膜層による分離をより好適に行うことが でき、 耐久性 により優れた複合中空糸膜を提供することが できる。 また、 前記親水性樹脂 としては、 上記例示の樹脂を単独で用いてもよいし、 2種以上を組み合わせ て用いてもよい。 また、 前記親水性樹脂としては、 グリセリン及びエチレン グリコール等の親水性の単分子を含んでいて もよく、 これらの重合体であっ てもよく、 これらを上記樹脂との共重合成分として含む ものであってもよい

[0036] 前記親水性樹脂の架橋は、 前記親水性樹脂が架橋されて、 前記親水性樹脂 の水に対する溶解性が低下していればよく、 例えば、 水に溶解しないように 不溶化させる架橋等が挙げられる。 前記親水性樹脂の架橋としては、 前記親 水性樹脂としてポリビニルアルコールを用い た場合、 例えば、 ホルムアルデ ヒドを用いたアセタール化反応やグルタルア ルデヒドを用いたアセタール化 反応等が挙げられる。 また、 前記親水性樹脂としてポリビニルピロリ ドンを 用いた場合、 例えば、 過酸化水素水との反応等が挙げられる。 前記親水性樹 脂の架橋は、 その架橋度が高いと、 複合中空糸膜を長期間にわたって使用し ても、 前記複合中空糸膜からの親水性樹脂の溶出を 抑制できると考えられる 。 このため、 前記半透膜層と前記支持層との剥離等を、 長期間にわたって抑 制できると考えられる。

[0037] 前記支持層 1 2は、 前記支持層 1 2の気孔が、 内表面及び外表面の一方か ら他方に向かって漸次的に大きくなる傾斜構 造を有することが好ましい。 そ して、 前記半透膜層 1 3は、 前記支持層 1 2の気孔が小さい側の表面である 緻密面側に形成されることが好ましい。 前記半透膜層 1 3が、 図 2に示すよ うに、 前記支持層 1 2の外周面側に形成される場合は、 前記支持層 1 2は、 前記支持層 1 2の気孔が、 外表面から内周面に向かって漸次的に大きく なる 傾斜構造、 すなわち、 内表面から外表面に向かって漸次的に小さく なる傾斜 構造を有することが好ましい。 前記支持層 1 2の気孔が、 外表面から内周面 に向かって漸次的に大きくなる傾斜構造とは 、 外表面に存在する気孔が、 内 周面に存在する気孔より小さく、 前記支持層 1 2の内部の気孔は、 前記外周 面に存在する気孔と同等以上であって、 前記内周面に存在する気孔と同等以 下である構造である。

[0038] 前記支持層は、 ヤング率が 50〜 300 N/mm 2 であることが好ましい。

前記ヤング率が低すぎると、 前記複合中空糸膜を用いた実用運転において 、 前記複合中空糸膜の耐久性が不充分になる傾 向がある。 前記ヤング率は、 高 いほど好ましいが、 高すぎるヤング率は、 実用上、 不要である場合がある。 なお、 前記ヤング率は、 J I s K 7 1 6 1 - 1 に準拠の方法により測定 することができる。

[0039] なお、 前記支持層 1 2の製造方法は、 上記のような構成の中空糸膜を製造 することができれば、 特に限定されない。 前記中空糸膜の製造方法としては 、 多孔性の中空糸膜を製造する方法等が挙げら れる。 このような多孔性の中 空糸膜の製造方法としては、 相分離を利用する方法が知られている。 この相 分離を利用する中空糸膜の製造方法としては 、 例えば、 非溶剤誘起相分離法 (N o n s o l v e n t I n d u c e d P h a s e S e p a r a t i o n : N I P S法) や、 熱誘起相分離法 (T h e r m a l l y I n d u e e d P h a s e S e p a r a t i o n : T I P S法) 等が挙げられる。

[0040] N I PS法とは、 ポリマーを溶剤に溶解させた均一なポリマー 原液を、 ポ リマーを溶解させない非溶剤と接触させるこ とで、 ポリマー原液と非溶剤と の濃度差を駆動力とした、 ポリマー原液の溶剤と非溶剤との置換により 、 相 分離現象を起こさせる方法である。 N I PS法は、 一般的に、 溶剤交換速度 によって、 形成される細孔の孔径が変化する。 具体的には、 溶剤交換速度が 遅いほど、 細孔が粗大化する傾向がある。 また、 溶剤交換速度は、 中空糸膜 の製造においては、 非溶剤との接触面が最も速く、 膜内部に向かうにしたが って、 遅くなる。 このため、 N I P S法で製造した中空糸膜は、 非溶剤との 接触面付近は緻密であって、 膜内部に向かって、 徐々に細孔を粗大化した非 対称構造を有するものが得られる。

[0041] また、 T 丨 PS法とは、 ポリマーを、 高温下では溶解させることができる \¥0 2020/175205 15 卩(:171? 2020 /005990

が、 温度が低下すると溶解できなくなる貧溶剤に 、 高温下で溶解させ、 その 溶液を冷却することにより、 相分離現象を起こさせる方法である。 熱交換速 度は、 一般的に、 1\1 I 3法における溶剤交換速度より速く、 速度の制御が 困難であるため、 丁 丨 法は、 膜厚方向に対して、 均一な細孔が形成され やすい。

[0042] また、 前記中空糸膜 (前記支持層) の製造方法としては、 前記中空糸膜を 製造することができれば、 特に限定されない。 具体的には、 この製造方法と しては、 以下のような製造方法が挙げられる。 この製造方法としては、 中空 糸膜を構成する樹脂と溶剤とを含む製膜原液 を調製する工程 (調製工程) と 、 前記製膜原液を中空糸状に押し出す工程 (押出工程) と、 押し出された中 空糸状の製膜原液を凝固させて、 中空糸膜を形成する工程 (形成工程) とを 備える方法等が挙げられる。

[0043] (中間層)

前記中間層 1 4は、 上述したように、 前記半透膜層 1 3と前記支持層 1 2 との間に介在する層であって、 前記支持層 1 2と同じ材質からなる層状部分 と、 前記層状部分にしみ込んだ、 前記半透膜層 1 3に含まれている前記架橋 ポリアミ ドとを含む層である。 すなわち、 前記中間層 1 4は、 多孔質な中空 糸状部材上に、 前記半透膜層 1 3を形成する際、 前記半透膜層 1 3を構成す る成分が、 前記中空糸状部材中にも形成された部分であ る。 前記中空糸状部 材は、 その表面に近い部分が前記中間層 1 4となり、 その他の残りの部分が 支持層 1 2となる。 よって、 前記中間層 1 4における前記層状部分は、 前記 支持層 1 2と同じ材質からなる。 また、 前記層状部分にしみ込んだ前記架橋 ポリアミ ドは、 前記半透膜層 1 3に含まれる前記架橋ポリアミ ドと同じ材質 である。 前記中間層は、 前記半透膜層と連続して形成されていること が好ま しい。 このことにより、 前記中間層が存在することにより、 前記半透膜層が 前記支持層から剥離されにくくなる。 また、 前記半透膜層は、 通常、 ひだ状 の構造を有しているが、 このひだの山部分の裾野の部分だけではなく 、 谷部 分でも、 前記中間層と連続で形成されていることが好 ましい。 \¥02020/175205 16 卩(:171?2020/005990

[0044] 前記中間層に備えられる前記層状部分の、 前記半透膜層側の表面における 気孔の平均径は、 前記中間層が非常に薄くて、 前記支持層 1 2の、 前記半透 膜層 1 3が形成される側における気孔の平均径と実 的に同じであり、 〇.

0 1〜 2 であることが好ましく、 〇. 1 5〜 2 であることがより好 ましい。

[0045] (複合中空糸膜)

前記複合中空糸膜の外径 1は、 〇. 1〜 2 であることが好ましく、 〇. 2 ~ 1 . であることがより好ましく、 〇. 3 ~ 1 . 5 01 111である ことがさらに好ましい。 前記外径が小さすぎると、 前記複合中空糸膜の内径 も小さくなりすぎる場合があり、 この場合、 中空部分の通液抵抗が大きくな り、 充分な流量を確保できなくなる傾向がある。 そして、 前記複合中空糸膜 を正浸透膜等として用いた場合は、 充分な流量で駆動溶液を流すことができ なくなる傾向がある。 また、 前記外径が小さすぎると、 外側にかかる圧力に 対する耐圧強度が低下する傾向もある。 さらに、 前記外径が小さすぎると、 前記複合中空糸膜の膜厚が薄くなりすぎる場 合があり、 この場合、 複合中空 糸膜の強度が不充分になる傾向がある。 すなわち、 好適な耐圧強度を実現で きない傾向がある。 また、 前記外径が大きすぎると、 複数の複合中空糸膜を 筐体に収容した中空糸膜モジュールを構成し た際、 筐体に収容する中空糸膜 の本数が少なくなるので、 中空糸膜の膜面積が減少し、 中空糸膜モジュール として、 実用上、 充分な流量を確保することができない傾向が ある。 前記外 径が大きすぎると、 内側からかかる圧力に対する耐圧強度が低下 する傾向が ある。 よって、 前記複合中空糸膜の外径が上記範囲内であれ ば、 複合中空糸 膜が充分な強度を有しつつ、 透過性に優れた、 半透膜による分離を好適に行 うことができる。

[0046] 前記複合中空糸膜の内径 2は、 〇. 0 5 ~ 1 . であることが好ま しく、 〇. であることが好ましく、 〇. であることが さらに好ましい。 前記内径が小さすぎると、 中空部分の通液抵抗が大きくな り、 充分な流量を確保できなくなる傾向がある。 そして、 前記複合中空糸膜 \¥0 2020/175205 17 卩(:171? 2020 /005990

を正浸透膜等として用いた場合は、 充分な流量で駆動溶液を流すことができ なくなる傾向がある。 また、 前記内径が小さすぎると、 前記複合中空糸膜の 外径も小さくなりすぎる場合があり、 この場合、 外側にかかる圧力に対する 耐圧強度が低下する傾向がある。 また、 前記内径が大きすぎると、 前記複合 中空糸膜の外径も大きくなりすぎる場合があ り、 この場合、 複数の複合中空 糸膜を筐体に収容した中空糸膜モジュールを 構成した際、 筐体に収容する中 空糸膜の本数が少なくなくので、 中空糸膜の膜面積が減少し、 中空糸膜モジ ュールとして、 実用上、 充分な流量を確保することができない傾向が ある。 そして、 前記内径が大きすぎと、 前記複合中空糸膜の外径も大きくなりすぎ る場合があり、 この場合、 内側からかかる圧力に対する耐圧強度が低下 する 傾向がある。 また、 前記内径が大きすぎると、 前記複合中空糸膜の膜厚が薄 くなりすぎる場合があり、 この場合、 複合中空糸膜の強度が不充分になる傾 向がある。 すなわち、 好適な耐圧強度を実現できない傾向がある。 よって、 前記複合中空糸膜の内径が上記範囲内であれ ば、 複合中空糸膜が充分な強度 を有しつつ、 透過性に優れた、 半透膜による分離を好適に行うことができる

[0047] また、 前記複合中空糸膜の膜厚丁は、 〇. 0 2〜〇. あることが 好ましく、 〇. 0 5〜〇. 3 であることがより好ましく、 〇. 0 5〜〇 . 2 5 であることがさらに好ましい。 前記膜厚が薄すぎると、 複合中空 糸膜の強度が不充分になる傾向がある。 すなわち、 好適な耐圧強度を実現で きない傾向がある。 また、 前記膜厚が厚すぎると、 透過性が低下する傾向が ある。 また、 前記膜厚が厚すぎると、 支持層における内部濃度分極が起こり やすくなり、 半透膜による分離を阻害する傾向もある。 すなわち、 前記複合 中空糸膜を正浸透膜等として用いた場合は、 駆動溶液と供給溶液との接触抵 抗が増大するため、 透過性が低下する傾向がある。 よって、 前記複合中空糸 膜の膜厚が上記範囲内であれば、 複合中空糸膜が充分な強度を有しつつ、 透 過性に優れ、 半透膜による分離も好適に行うことができる 。

[0048] 前記半透膜層 1 3の膜厚は、 下記界面重合で形成され、 下記中空糸状部材 \¥0 2020/175205 18 卩(:171? 2020 /005990

の表面上に形成される部分の厚みである。 具体的には、 前記半透膜層の膜厚 は、 1〜 1 0 0 0 0门 01であり、 1〜 5 0 0 0门 01であることがより好まし く、 1〜 3 0 0 0 n mであることがさらに好ましい。 前記膜厚が薄すぎると 、 半透膜層による分離を好適に行うことができ ない傾向がある。 前記複合中 空糸膜を正浸透膜等として用いた場合は、 充分な脱塩性能を発揮できず、 塩 逆流速度が上昇する等のように、 半透膜層による分離を好適に行うことがで きない傾向がある。 このことは、 半透膜層が薄すぎて、 半透膜層の機能を充 分に奏することができなかったり、 半透膜層が支持層上を充分に覆うことが できないこと等によると考えられる。 また、 前記膜厚が厚すぎると、 透過性 が低下する傾向がある。 このことは、 半透膜層が厚すぎて、 透水抵抗が大き くなるため、 水が透過しにくくなることによると考えられ る。 なお、 前記半 透膜層の膜厚としては、 前記半透膜層が、 上述したように、 ひだ状であるこ とから、 ひだの山部と前記中間層表層とまでの距離が 挙げられ、 例えば、 複 合中空糸膜の断面の任意の 3点を 3巳 IV!観察し、 ひだの山部の頂点から支持 層表面までの距離を測定した平均値等が挙げ られる。

[0049] 前記中間層 1 4の膜厚は、 下記界面重合で形成され、 下記中空糸状部材の 中に形成される部分の厚み (下記中空糸状部材の表面からの深さ) である。 この厚みは、 2 0〜 5 0 0 0门 であることが好ましく、 5 0〜 1 0 0 0门 であることがより好ましく、 1 0 0〜 1 0 0 0 n であることがさらに好 ましい。 前記中間層が薄すぎると、 前記中間層が奏する効果を充分に発揮で きない傾向がある。 すなわち、 前記半透膜層が、 前記支持層から剥離するこ とを充分に抑制できなくなる傾向がある。 また、 前記中間層が厚すぎると、 透過性が低下する傾向がある。 このことは、 中間層が厚すぎて、 透水抵抗が 大きくなるため、 水が透過しにくくなることによると考えられ る。 よって、 前記中間層の膜厚が上記範囲内であると、 前記半透膜層が、 前記支持層から 剥離することを充分に抑制し、 すなわち、 半透膜層による分離を好適に行う ことができ、 さらに、 透水性に優れたものにすることができる。

[0050] 前記支持層 1 2の膜厚は、 前記複合中空糸膜の膜厚から、 前記半透膜層 1 \¥0 2020/175205 19 卩(:171? 2020 /005990

3の膜厚と前記中間層 1 4の膜厚とを引いた差分であり、 具体的には、 〇. 0 2〜〇. であることがより好ましく

、 〇. 0 5〜〇. 2 であることがさらに好ましい。 なお、 支持層の膜 厚は、 半透膜層や中間層が、 支持層と比較して非常に薄いため、 複合中空糸 膜の膜厚とほぼ同じである。 前記膜厚が薄すぎると、 複合中空糸膜の強度が 不充分になる傾向がある。 すなわち、 好適な耐圧強度を実現できない傾向が ある。 また、 前記膜厚が厚すぎると、 透過性が低下する傾向がある。 また、 前記膜厚が厚すぎると、 支持層における内部濃度分極が起こりやすく なり、 半透膜による分離を阻害する傾向もある。 すなわち、 前記複合中空糸膜を正 浸透膜等として用いた場合は、 駆動溶液と供給溶液との接触抵抗が増大する ため、 透過性が低下する傾向がある。 よって、 前記複合中空糸膜の膜厚が上 記範囲内であれば、 複合中空糸膜が充分な強度を有しつつ、 透過性に優れ、 半透膜による分離も好適に行うことができる 。

[0051] 前記複合中空糸膜は、 半透膜を用いる膜分離技術に適用可能である 。 すな わち、 前記複合中空糸膜は、 例えば、 膜、 [¾〇膜、 及び 〇膜等として 用いることができる。 この中でも、 前記複合中空糸膜は、 〇法に用いられ る 〇膜であることが好ましい。

[0052] [複合中空糸膜の製造方法]

本実施形態に係る複合中空糸膜の製造方法は 、 上述の複合中空糸膜を製造 することができれば、 特に限定されない。 前記製造方法としては、 例えば、 以下のような製造方法が挙げられる。 前記製造方法としては、 前記多官能ア ミン化合物及び前記多官能酸ハライ ド化合物のうちの一方を含有する第 1溶 液と、 前記多官能アミン化合物及び前記多官能酸ハ ライ ド化合物のうちの他 方を含有する第 2溶液とを準備する工程 (準備工程) と、 多孔質な中空糸状 部材の少なくとも一方の面側に、 前記第 1溶液を接触させる工程 (第 1接触 工程) と、 前記中空糸状部材を揺動させながら、 前記中空糸状部材の、 前記 第 1溶液を接触させた面側に、 前記第 2溶液をさらに接触させる工程 (第 2 接触工程) とを備える。 \¥0 2020/175205 20 卩(:171? 2020 /005990

[0053] 前記準備工程は、 前記第 1溶液、 及び前記第 2溶液を準備する。 すなわち 、 前記多官能アミン化合物を含有する溶液及び 前記多官能酸ハライ ド化合物 を含有する溶液を準備する。

[0054] 前記多官能アミン化合物を含有する溶液は、 具体的には、 前記多官能アミ ン化合物の水溶液等が挙げられる。 前記多官能アミン化合物の水溶液は、 前 記多官能アミン化合物の濃度が、 〇. 1〜 1 〇質量%であることが好ましく 、 〇. 1〜 5質量%であることがより好ましい。 前記多官能アミン化合物の 濃度が低すぎると、 形成された半透膜層にピンホールが形成され る等、 好適 な半透膜層が形成されない傾向がある。 このため、 半透膜層による分離が不 充分になる傾向がある。 また、 前記多官能アミン化合物の濃度が高すぎると 、 前記半透膜層が厚くなりすぎる傾向がある。 そして、 前記半透膜層が厚く なりすぎると、 得られた複合中空糸膜の透過性が低下する傾 向がある。 前記 多官能アミン化合物の水溶液は、 前記多官能アミン化合物を水に溶解させた 溶液であり、 必要に応じて、 塩類、 界面活性剤、 及びポリマー等の添加剤を 加えてもよい。

[0055] 前記多官能酸ハライ ド化合物を含有する溶液は、 具体的には、 前記多官能 酸ハライ ド化合物の有機溶媒溶液等が挙げられる。 前記多官能酸ハライ ド化 合物の有機溶媒溶液は、 前記多官能酸ハライ ド化合物の濃度が、 〇. 0 1〜 5質量%であることが好ましく、 〇. 0 1〜 3質量%であることがより好ま しい。 前記多官能酸ハライ ド化合物の濃度が低すぎると、 形成された半透膜 層にピンホールが形成される等、 好適な半透膜層が形成されない傾向がある 。 このため、 半透膜層による分離、 例えば、 脱塩性能が不充分になる傾向が ある。 また、 前記多官能酸ハライ ド化合物の濃度が高すぎると、 前記半透膜 層が厚くなりすぎる傾向がある。 そして、 前記半透膜層が厚くなりすぎると 、 得られた複合中空糸膜の透過性が低下する傾 向がある。

[0056] 前記多官能酸ハライ ド化合物の有機溶媒溶液は、 前記多官能酸ハライ ド化 合物を有機溶媒に溶解させた溶液である。 前記有機溶媒としては、 前記多官 能酸ハライ ド化合物を溶解し、 水に溶解しない溶媒であれば、 特に限定され \¥0 2020/175205 21 卩(:171? 2020 /005990

ない。 前記有機溶媒としては、 例えば、 ヘキサン、 シクロヘキサン、 へ ブタン、 オクタン、 ノナン、 デカン、 及びドデカン等のアルカン系飽和炭化 水素等が挙げられる。 前記有機溶媒としては、 上記例示の溶媒を単独で用い てもよいし、 2種以上を組み合わせて用いてもよい。 前記有機溶媒としては 、 1種単独で用いる場合は、 例えば、 门ーヘキサン等が挙げられ、 2種以上 を組み合わせて用いる場合、 例えば、 ノナン、 デカン、 及びドデカンの混合 溶剤等が挙げられる。 前記有機溶媒には、 必要に応じて、 塩類、 界面活性剤 、 及びポリマー等の添加剤を加えてもよい。

[0057] 前記第 1接触工程は、 多孔質な中空糸状部材の少なくとも一方の面 側に、 前記第 1溶液を接触させる。 前記第 1接触工程は、 具体的には、 前記中空糸 状部材の少なくとも一方の面側に、 前記多官能アミン化合物を含有する溶液 又は前記多官能酸ハライ ド化合物を含有する溶液を接触させる。 前記第 1接 触工程は、 前記中空糸状部材の少なくとも一方の面側に 、 前記多官能アミン 化合物を含有する溶液を接触させることが好 ましい。 そうすることによって 、 前記第 1溶液が、 前記中空糸状部材の一方の面側からしみ込む 。

[0058] 前記第 2接触工程は、 前記中空糸状部材の、 前記第 1溶液を接触させた面 側に、 前記第 2溶液をさらに接触させる。 前記第 2接触工程は、 具体的には 、 前記中空糸状部材の、 前記第 1溶液を接触させた面側に、 前記多官能アミ ン化合物を含有する溶液及び前記多官能酸/ ライ ド化合物を含有する溶液の うち、 第 1接触工程で用いなかったほうの溶液を接触 せる。 前記第 2接触 工程は、 前記第 1溶液として、 前記多官能アミン化合物を含有する溶液を用 いた場合、 前記中空糸状部材の、 前記第 1溶液を接触させた面側に、 前記多 官能酸ハライ ド化合物を含有する溶液を接触させる。 そうすることによって 、 前記第 1接触工程で前記中空糸状部材にしみ込まれ 前記第 1溶液と、 前 記第 2接触工程で前記中空糸状部材にしみ込まれ 前記第 2溶液との界面が 形成される。 そして、 前記界面において、 前記第 1溶液及び前記第 2溶液に 含まれている、 前記多官能アミン化合物と前記多官能酸ハラ イ ド化合物との 反応が進行する。 すなわち、 前記多官能アミン化合物と前記多官能酸ハラ イ \¥0 2020/175205 22 卩(:171? 2020 /005990

ド化合物との界面重合が起こる。 この界面重合によって、 架橋ポリアミ ドが 形成される。

[0059] 前記第 2接触工程は、 前記第 2溶液を前記中空糸状部材に接触させる際、 前記中空糸状部材を揺動させる。 すなわち、 前記第 2接触工程は、 前記中空 糸状部材を揺動させながら、 前記中空糸状部材の、 前記第 1溶液を接触させ た面側に、 前記第 2溶液を接触させる。 このように、 前記中空糸状部材を揺 動させると、 前記中空糸状部材の表面上に前記架橋ポリア ミ ドが形成される だけではなく、 前記中空糸状部材の表面から内部に向かって 、 前記架橋ポリ アミ ドがしみ込まれた状態で前記架橋ポリアミ ドが形成される。 このことは 、 前記界面が、 前記中空糸状部材の表面から内部に入ったと ころに形成され ることによると考えられる。 よって、 前記中空糸状部材の表面上に形成され た前記架橋ポリアミ ドが前記半透膜層となる。 そして、 形成された前記架橋 ポリアミ ドが前記中空糸状部材の表面から内部に向か ってしみ込んだ領域が 、 前記中間層となる。 さらに、 前記中空糸状部材のうち、 前記架橋ポリアミ ドがしみ込んでいない領域が、 前記支持層となる。 なお、 前記中空糸状部材 は、 前記支持層と同じ材質からなる中空糸膜であ る。

[0060] なお、 前記製造方法は、 前記第 1溶液及び前記第 2溶液を接触させた前記 中空糸状部材を乾燥させる工程 (乾燥工程) を備えていてもよい。 前記乾燥 工程は、 前記第 1溶液及び前記第 2溶液を接触させた前記中空糸状部材を乾 燥させる。 前記第 2接触工程において、 上述したように、 前記多官能アミン 化合物を含有する溶液と前記多官能酸/ヽラ ド化合物を含有する溶液との接 触による界面重合により得られた架橋ポリア ミ ドが形成されている。 前記中 空糸状部材を乾燥させることにより、 形成された架橋ポリアミ ドが乾燥され る。

[0061 ] 前記乾燥は、 形成された架橋ポリアミ ドが乾燥されれば、 その温度等は特 に限定されない。 乾燥温度としては、 例えば、 5 0 ~ 1 5 0 ° 〇であることが 好ましく、 8 0〜 1 3 0 ° 〇であることが好ましい。 前記乾燥温度が低すぎる と、 乾燥が不充分になる傾向があるだけではなく 、 乾燥時間が長くなりすぎ \¥0 2020/175205 23 卩(:171? 2020 /005990

、 生産効率が低下する傾向がある。 また、 前記乾燥温度が高すぎると、 形成 された半透膜層が熱劣化し、 半透膜による分離を好適には行いにくくなる 傾 向がある。 例えば、 脱塩性能が低下したり、 透水性が低下する傾向がある。 また、 乾燥時間としては、 例えば、 1〜 3 0分間であることが好ましく、 1 〜 2 0分間であることがより好ましい。 前記乾燥時間が短すぎると、 乾燥が 不充分になる傾向がある。 また、 前記乾燥時間が長すぎると、 生産効率が低 下する傾向がある。 また、 形成された半透膜層が熱劣化し、 半透膜による分 離を好適には行いにくくなる傾向もある。 例えば、 脱塩性能が低下したり、 透水性が低下する傾向がある。

[0062] 上記のような製造方法によれば、 半透膜層による分離を好適に行うことが でき、 さらに、 耐久性に優れた複合中空糸膜を好適に製造す ることができる

[0063] 前記製造方法において、 前記第 1接触工程の後であって、 前記第 2接触エ 程の前に、 前記中空糸状部材の、 前記第 1溶液を接触させた面上に存在する 前記第 1溶液を除去する工程 (除去工程) をさらに備えることが好ましい。

[0064] 前記除去工程は、 前記第 1接触工程の後であって、 前記第 2接触工程の前 に、 前記中空糸状部材にしみ込まずに、 前記中空糸状部材の表面上に残存す る第 1溶液を除去する。 すなわち、 前記第 1接触工程の後であって、 前記第 2接触工程の前に、 液切りをする。 この液切りの方法としては、 特に限定さ れないが、 例えば、 エアナイフのような、 スリッ トやノズルから噴射するエ アブロー等が挙げられる。 この噴射する気体としては、 例えば、 空気、 窒素 、 及び不活性ガス等が挙げられる。

[0065] 前記製造方法において、 前記第 1接触工程の後、 前記中空糸状部材の、 前 記第 1溶液を接触させた面上に存在する前記第 1溶液を除去する工程を行っ た後に、 前記第 2接触工程を行うと、 前記架橋ポリアミ ドが重合される界面 が、 前記中空糸状部材の、 前記第 1溶液を接触させた面から内側により好適 に形成されると考えられる。 このことにより、 前記中間層がより好適に形成 されると考えられる。 よって、 半透膜層による分離を好適に行うことができ \¥0 2020/175205 24 卩(:17 2020 /005990

、 さらに、 耐久性に優れた複合中空糸膜をより好適に製 造することができる と考えられる。 以上のことから、 半透膜層による分離を好適に行うことがで き、 さらに、 耐久性に優れた複合中空糸膜をより好適に製 造することができ る。

[0066] 前記製造方法において、 前記第 2接触工程は、 前記中空糸状部材が前記第

2溶液にのみ接触する工程であることが好ま い。 すなわち、 前記第 2接触 工程において、 前記中空糸状部材が前記第 2溶液以外の、 例えば、 中空糸状 部材を搬送する口ーラや前記第 2溶液を保持する容器等に接触しないことが 好ましい。 前記第 2接触工程において、 前記中空糸状部材が前記第 2溶液以 外の、 例えば、 中空糸状部材を搬送する口ーラや前記第 2溶液を保持する容 器等に接触すると、 前記半透膜層が好適に形成されないおそれが ある。 これ に対して、 前記第 2接触工程において、 前記中空糸状部材が前記第 2溶液に のみ接触することによって、 このようなおそれが発生せず、 半透膜層による 分離を好適に行うことができ、 さらに、 耐久性に優れた複合中空糸膜をより 好適に製造することができる。 前記第 2接触工程における、 前記中空糸状部 材が前記第 2溶液にのみ接触する工程としては、 例えば、 前記第 2溶液を前 記中空糸状部材に吹き付ける方法 (第 1方法) 、 及び前記第 2溶液を保持す る容器等に前記中空糸状部材が接触しないよ うに、 前記容器等に保持された 前記第 2溶液に前記中空糸状部材を接触させる方法 (第 2方法) 等が挙げら れる。 前記第 1方法としては、 例えば、 前記第 2溶液をミスト状にして前記 中空糸状部材に噴霧する方法、 及び前記第 2溶液を前記中空糸状部材の上部 からシャワーを用いて接触させる方法等が挙 げられる。 また、 前記第 2方法 としては、 例えば、 前記容器等に保持された前記第 2溶液の表面張力によっ て形成された前記第 2溶液の盛り上がった部分に前記中空糸状部 を接触さ せる方法、 前記容器等に保持された前記第 2溶液の流動 (例えば、 前記容器 内の下部から上部に向かう流動等) により形成された前記第 2溶液の盛り上 がった部分に前記中空糸状部材を接触させる 方法、 及び前記容器等から溢れ 出た前記第 2溶液に前記中空糸状部材を接触させる方法 が挙げられる。 \¥0 2020/175205 25 卩(:171? 2020 /005990

[0067] 前記製造方法において、 前記複合中空糸膜をバッチ式で製造してもよ いし 、 連続式で製造してもよいが、 量産の観点から、 連続式で製造することが好 ましい。

[0068] 本明細書は、 上述したように、 様々な態様の技術を開示しているが、 その うち主な技術を以下に纏める。

[0069] 本発明の一局面は、 半透膜層と、 中空糸状の多孔質な支持層と、 前記半透 膜層及び前記支持層の間に介在する中間層と を備え、 前記半透膜層は、 多官 能アミン化合物と多官能酸ハライ ド化合物とからなる架橋ポリアミ ドを含み 、 前記中間層は、 前記支持層と同じ材質からなる層状部分と、 前記層状部分 に浸み込んだ前記架橋ポリアミ ドとを含むことを特徴とする複合中空糸膜で ある。

[0070] このような構成によれば、 半透膜層による分離を好適に行うことができ 、 さらに、 耐久性に優れた複合中空糸膜を提供すること ができる。 このことは 、 以下のことによると考えられる。

[0071 ] まず、 前記複合中空糸膜は、 多官能アミン化合物と多官能酸ハライ ド化合 物とからなる架橋ポリアミ ドを含む半透膜層を支持層上に備えることか ら、 半透膜層を用いた分離を好適に行うことがで きると考えられる。 また、 前記 支持層として、 中空糸状の支持層を用いることによって、 平膜にした場合よ り膜面積を広くすることができる。 さらに、 前記複合中空糸膜は、 前記半透 膜層と前記支持層との間に、 前記支持層と同じ材質からなる層状部分と、 前 記層状部分に浸み込んだ前記架橋ポリアミ ドとを含む中間層を備える。 この 中間層により、 前記半透膜層が、 前記支持層から剥離することを抑制できる と考えられる。 すなわち、 この中間層が、 前記半透膜層の、 前記支持層から の剥離を抑制するアンカー効果を奏すると考 えられる。 よって、 前記複合中 空糸膜は、 前記複合中空糸膜の揺動や曲げ、 及び前記複合中空糸膜同士の接 触等による前記半透膜層の損傷の発生を抑制 できると考えられる。 さらに、 この中間層は、 前記半透膜層を構成する架橋ポリアミ ドを含むので、 半透膜 層を用いた分離と同様の分離を行うことがで きる。 このことから、 仮に前記 \¥0 2020/175205 26 卩(:171? 2020 /005990

半透膜層の一部が損傷しても、 前記中間層により、 半透膜層を用いた分離と 同様の分離を行うことができる。

[0072] 以上のことから、 半透膜層による分離を好適に行うことができ 、 さらに、 耐久性に優れた複合中空糸膜が得られると考 えられる。 また、 前記複合中空 糸膜は、 例えば、 正浸透法に用いた場合、 溶質濃度の異なる 2つの溶液を、 前記複合中空糸膜を介して接触させることに よって、 溶質濃度差から生じる 浸透圧差を駆動力として、 溶質濃度の低い希薄溶液から、 溶質濃度の高い濃 厚溶液へと水を好適に透過させることができ る。 前記複合中空糸膜は、 正浸 透法に用いると、 例えば、 優れた脱塩性能を発揮することができる。

[0073] また、 前記複合中空糸膜において、 前記中間層の厚みは、 2 0〜 5 0 0 0

1^ 01であることが好ましい。

[0074] このような構成によれば、 耐久性により優れ、 半透膜層による分離をより 好適に行うことができる複合中空糸膜が得ら れる。

[0075] また、 前記複合中空糸膜において、 前記複合中空糸膜のヤング率は、 5 0

[0076] このような構成によれば、 耐久性により優れ、 半透膜層による分離をより 好適に行うことができる複合中空糸膜が得ら れる。

[0077] また、 前記複合中空糸膜において、 前記中間層が、 前記支持層の外周面に 接触し、 前記半透膜層が、 前記中間層の外周面に接触して配置されるこ とが 好ましい。

[0078] このような構成によれば、 半透膜層による分離をより好適に行うことが で きる複合中空糸膜が得られる。 このことは、 以下のことによると考えられる

[0079] 前記半透膜層が、 前記中間層を介して、 前記支持層の外周面に接触してい ることから、 前記半透膜層が、 前記支持層の内周面側に接触している場合よ り、 前記半透膜層の面積を広くすることができる 。 このことから、 複合中空 糸膜の面積、 特に、 半透膜層の面積を広くすることができる。 よって、 前記 複合中空糸膜は、 半透膜層を用いた分離をより好適に行うこと ができると考 \¥0 2020/175205 27 卩(:171? 2020 /005990

えられる。

[0080] 一方で、 一般的に、 複合中空糸膜において、 半透膜層が、 支持層の外周面 側に形成されていると、 上述したように、 複合中空糸膜同士の接触による半 透膜層の損傷が起こりやすい。 これに対して、 本発明の一局面に係る複合中 空糸膜では、 上述したように、 前記複合中空糸膜同士の接触等による前記半 透膜層の損傷の発生を抑制でき、 さらに、 半透膜層を用いた分離と同様の分 離を行うことができる中間層を備える。 すなわち、 前記複合中空糸膜は、 耐 久性に優れ、 半透膜層による分離を好適に行うことができ る複合中空糸膜で ある。 このことから、 前記半透膜層が、 前記支持層の外周面側に形成されて いても、 耐久性に優れた複合中空糸膜が得られると考 えられる。

[0081 ] 以上のことから、 半透膜層による分離をより好適に行うことが できる複合 中空糸膜が得られると考えられる。

[0082] また、 前記複合中空糸膜において、 前記中間層に備えられる前記層状部分 の、 前記半透膜層側の表面における気孔の平均径 が、 〇. 0 1〜2 であ ることが好ましい。

[0083] このような構成によれば、 前記中間層上に、 前記半透膜層が好適に形成さ れ、 半透膜層による分離をより好適に行うことが できる複合中空糸膜が得ら れる。

[0084] また、 前記複合中空糸膜において、 正浸透法に用いられる正浸透膜である ことが好ましい。

[0085] 前記複合中空糸膜は、 前記半透膜層を用いた分離を好適に行うこと ができ ることから、 前記複合中空糸膜は、 正浸透法に好適に用いることができる。 前記複合中空糸膜は、 正浸透法に用いると、 例えば、 優れた脱塩性能を発揮 することができる。

[0086] また、 本発明の他の一局面は、 前記複合中空糸膜の製造方法であって、 前 記多官能アミン化合物及び前記多官能酸ハラ イ ド化合物のうちの一方を含有 する第 1溶液と、 前記多官能アミン化合物及び前記多官能酸ハ ライ ド化合物 のうちの他方を含有し、 かつ、 前記第 1溶液と接触させることにより、 前記 \¥0 2020/175205 28 卩(:171? 2020 /005990

第 1溶液と界面を形成する第 2溶液とを準備する工程と、 多孔質な中空糸状 部材の少なくとも一方の面側に、 前記第 1溶液を接触させる第 1接触工程と 、 前記中空糸状部材を揺動させながら、 前記中空糸状部材の、 前記第 1溶液 を接触させた面側に、 前記第 2溶液を接触させる第 2接触工程とを備えるこ とを特徴とする複合中空糸膜の製造方法であ る。

[0087] このような構成によれば、 半透膜層による分離を好適に行うことができ 、 さらに、 耐久性に優れた複合中空糸膜を好適に製造す ることができる。 この ことは、 以下のことによると考えられる。

[0088] 本発明の一局面に係る複合中空糸膜において 、 前記中間層の存在が、 半透 膜層による分離を好適に行うことができ、 さらに、 耐久性を向上させるのに 大きく寄与していると考えられる。 多孔質な中空糸状部材の少なくとも一方 の面側に前記第 1溶液を接触させる前記第 1接触工程の後に、 前記中空糸状 部材を揺動させながら、 前記中空糸状部材の、 前記第 1溶液を接触させた面 側に、 前記第 2溶液を接触させる前記第 2接触工程を行う。 そうすると、 前 記中空糸状部材の、 前記第 1溶液を接触させた面の近傍で、 前記第 1溶液と 前記第 2溶液との界面が形成され、 その界面で、 多官能アミン化合物と多官 能酸ハライ ド化合物とからなる架橋ポリアミ ドが重合されると考えられる。 そして、 前記第 2接触工程の際、 前記中空糸状部材を揺動させながら行うこ とにより、 前記架橋ポリアミ ドが重合される界面が、 前記中空糸状部材の、 前記第 1溶液を接触させた面から内側に形成される 考えられる。 このこと により、 前記中空糸状部材の、 前記第 1溶液を接触させた面から、 前記中間 層が形成され、 前記架橋ポリアミ ドが重合されなかった部分が、 前記支持層 になると考えられる。 また、 前記中空糸状部材の、 前記第 1溶液を接触させ た面から外側に形成された前記架橋ポリアミ ドが半透膜層になると考えられ る。 よって、 前記中間層を備える複合中空糸膜、 すなわち、 本発明の一局面 に係る複合中空糸膜が製造されると考えられ る。 よって、 半透膜層による分 離を好適に行うことができ、 さらに、 耐久性に優れた複合中空糸膜を好適に 製造することができると考えられる。 \¥0 2020/175205 29 卩(:171? 2020 /005990

[0089] また、 前記複合中空糸膜の製造方法において、 前記第 1溶液及び前記第 2 溶液のうちの一方が、 前記多官能アミン化合物の水溶液であり、 前記第 1溶 液及び前記第 2溶液のうちの他方が、 前記多官能酸ハライ ド化合物の有機溶 媒溶液であることが好ましい。

[0090] このような構成によれば、 半透膜層による分離を好適に行うことができ 、 さらに、 耐久性に優れた複合中空糸膜をより好適に製 造することができる。 このことは、 前記半透膜層及び前記中間層がより好適に形 成されることによ ると考えられる。

[0091 ] また、 前記複合中空糸膜の製造方法において、 前記第 1接触工程の後であ って、 前記第 2接触工程の前に、 前記中空糸状部材の、 前記第 1溶液を接触 させた面上に存在する前記第 1溶液を除去する工程をさらに備えることが ましい。

[0092] このような構成によれば、 半透膜層による分離を好適に行うことができ 、 さらに、 耐久性に優れた複合中空糸膜をより好適に製 造することができる。 このことは、 以下のことによると考えられる。

[0093] 前記第 1接触工程の後、 前記中空糸状部材の、 前記第 1溶液を接触させた 面上に存在する前記第 1溶液を除去する工程を行った後に、 前記第 2接触エ 程を行うと、 前記架橋ポリアミ ドが重合される界面が、 前記中空糸状部材の 、 前記第 1溶液を接触させた面から内側により好適に 成されると考えられ る。 このことにより、 前記中間層がより好適に形成されると考えら れる。 よ って、 半透膜層による分離を好適に行うことができ 、 さらに、 耐久性に優れ た複合中空糸膜をより好適に製造することが できると考えられる。

[0094] また、 前記複合中空糸膜の製造方法において、 前記第 2接触工程は、 前記 中空糸状部材が前記第 2溶液にのみ接触する工程であることが好ま い。

[0095] このような構成によれば、 半透膜層による分離を好適に行うことができ 、 さらに、 耐久性に優れた複合中空糸膜をより好適に製 造することができる。 このことは、 前記第 2接触工程において、 前記中空糸状部材が前記第 2溶液 以外の、 例えば、 中空糸状部材を搬送する口ーラや前記第 2溶液を保持する \¥0 2020/175205 30 卩(:171? 2020 /005990

容器等に接触すると、 前記半透膜層が好適に形成されないおそれが あること によると考えられる。

[0096] 本発明によれば、 半透膜層による分離を好適に行うことができ 、 さらに、 耐久性に優れた複合中空糸膜、 及び前記複合中空糸膜の製造方法を提供する ことができる。

[0097] 以下に、 実施例により本発明をさらに具体的に説明す るが、 本発明の範囲 はこれらに限定されるものではない。

実施例

[0098] [実施例 1 ]

(中空糸状部材の作製)

複合中空糸膜を製造する際に用いる中空糸状 部材として、 下記の方法によ り得られた中空糸膜を用いた。

[0099] まず、 中空糸膜を構成する樹脂として、 ポリフッ化ビニリデン ( 〇

: アルケマ株式会社製の <ソ 3 「 7 4 1) と、 溶剤として、 アブチロラク トン (〇巳 !_ :三菱ケミカル株式会社製の◦巳 !_) と、 親水性樹脂として、 ポリビニルピロリ ドン ( V : 巳八3 ジャパン株式会社製の 3〇 1< 3 I a n — 9 0 ) と、 添加剤として、 ポリエチレングリコール (三洋化成 工業株式会社製の 巳◦— 6 0 0) とを、 質量比 3 0 : 5 6 : 7 : 7になる ように混合物を調製した。 この混合物を 9 0 ° 〇の恒温下で溶解タンク内にて 溶解させることによって、 製膜原液が得られた。

[0100] 得られた 9 0 ° 〇の製膜原液を、 中空状に押し出した。 このとき、 内部凝固 液として、 アブチロラクトン (◦巳 :三菱ケミカル株式会社製の◦巳 !_) とグリセリン (花王株式会社製の精製グリセリン) とを 6 5 ° 〇の恒温下で質 量比 1 5 : 8 5になるように混合した混合物を、 製膜原液と同時吐出した。

[0101 ] この内部凝固液とともに押し出した製膜原液 を、 5〇〇!の空走距離を経て 、 外部凝固液として、 8 0 ° 〇の水の中に浸潰させた。 そうすることによって 、 製膜原液が固化され、 中空糸膜が得られた。

[0102] 次いで、 得られた中空糸膜を水中で洗浄した。 そうすることによって、 溶 \¥0 2020/175205 31 卩(:171? 2020 /005990

剤と過剰の親水性樹脂とが、 中空糸膜から抽出除去された。

[0103] そして、 この中空糸膜を、 過酸化水素を 3質量%含む水溶液に浸潰させた 。 そうすることによって、 中空糸膜に含まれた親水性樹脂が架橋した。 その 後、 この中空糸膜を水に浸潰させた。 そうすることによって、 架橋が不充分 であった親水性樹脂を中空糸膜から除去した 。 このことから、 中空糸膜に存 在する親水性樹脂は、 架橋によって不溶化された親水性樹脂である ことがわ かる。 このようにして得られた中空糸膜を、 上述したように、 複合中空糸膜 を製造する際に用いる中空糸状部材として用 いた。

[0104] そして、 この中空糸状部材は、 外表面が緻密面であり、 この緻密面から内 表面にむかって漸次的に、 内部の気孔が大きくなる傾斜構造を有してい た。 この傾斜構造を有していることは、 走査型電子顕微鏡 (株式会社日立製作所 製の 3 - 3 0 0 0 1\1) を用いた観察からもわかった。

[0105] (半透膜層の作製)

前記中空糸状部材の外表面側に、 半透膜層を形成した。

[0106] 具体的には、 まず、 前記中空糸状部材に、 エタノール 5 0質量%水溶液へ の浸漬処理を 2 0分間施し、 その後、 流水洗浄処理を 2 0分間行った。 そう することによって、 湿潤状態の中空糸状部材が得られた。

[0107] その後、 リール及び枠に湿潤状態の中空糸状部材を用 意し、 そこから送り 出される中空糸状部材を、 芳香族多官能アミン化合物である 01 _フエニレン ジアミンの 2質量%水溶液に 2分間通過させた。 そうすることによって、 前 記中空糸状部材の外周面側に、 前記芳香族多官能アミン水溶液をしみ込ませ た。 その後、 エアナイフで発生させたエアブロー中を通過 させて、 前記中空 糸状部材にしみ込まなかった余分な芳香族多 官能アミン水溶液を除去させた

[0108] その後、 この中空糸状部材を揺動させながら、 芳香族多官能酸クロライ ド 化合物であるトリメシン酸トリクロライ ドの〇. 2質量%ヘキサン溶液中を 2分間通過させた。 なお、 ヘキサン溶液を通過中は、 前記中空糸状部材が中 空糸状部材を搬送するローラ等の移動手段や 前記第 2溶液を保持する容器等 \¥02020/175205 32 卩(:171? 2020 /005990

に非接触であった。 その後、 前記中空糸状部材を 1 20度の乾燥機を通過さ せ、 乾燥させた。 これらの一連の工程は、 連続的に実施し、 途中で中空糸状 部材が途切れないように行った。 そうすることによって、 01—フエニレンジ アミンとトリメシン酸トリクロライ ドとが重合された架橋ポリアミ ドが、 前 記中空糸状部材の表面上及び内部に形成され た。 このことは、 前記中空糸状 部材の外周面側にしみ込まれた フエニレンジアミン水溶液と、 トリメシ ン酸トリクロライ ドのヘキサン溶液との界面が、 前記中空糸状部材の揺動に より、 前記中空糸状部材の内部に形成されたことに よると考えられる。 そし て、 この前記中空糸状部材の内部に形成された界 面において、 01—フエニレ ンジアミンとトリメシン酸トリクロライ ドとの界面重合が進行し、 架橋ポリ アミ ドが形成されたと考えられる。 前記中空糸状部材の表面上に形成された 前記架橋ポリアミ ドが前記半透膜層となった。 形成された前記架橋ポリアミ ドが前記中空糸状部材の表面から内部に向か ってしみ込んだ領域が、 前記層 状部分と前記架橋ポリアミ ドとを含む前記中間層となった。 さらに、 前記中 空糸状部材のうち、 前記架橋ポリアミ ドがしみ込んでいない領域が、 前記支 持層となった。

[0109] (層状部分の孔径)

前記中間層に備えられる前記層状部分の、 前記半透膜層側の表面における 気孔の平均径は、 以下のように測定した。

[0110] まず、 前記中空糸状部材の分画粒子径を、 以下の方法で測定した。

[0111] 異なる粒子径を有する少なくとも 2種類の粒子 (日揮触媒化成株式会社製 の、 カタロイ ド 3 丨 一550、 カタロイ ド 3 丨 _45 、 カタロイ ド 3 丨 _ 80 、 ダウケミカル株式会社製の、 粒径〇. 1 、 〇. 2 、 〇 . 5 のポリスチレンラテックス等) の阻止率を測定し、 その測定値を元にし て、 下記の近似式において、 が 90となる 3の値を求め、 これを分画粒子 径とした。

[0112] [^= 1 00/ (1 — 01 X 6 X 9 (— ^ X I 〇 9 ( 3 ) ) )

上記式中の 3および 01は、 中空糸膜によって定まる定数であって、 2種類以 \¥0 2020/175205 33 卩(:171? 2020 /005990

上の阻止率の測定値をもとに算出される。

[01 13] 上記測定方法により得られた分画粒子径は、 前記中空糸状部材の緻密な面 (外周面) 側における気孔の平均径を指し、 前記中間層に備えられる前記層 状部分の、 前記半透膜層側の表面における気孔の平均径 (中間層の気孔径) を指す。

[01 14] (複合中空糸膜のヤング率)

複合中空糸膜のヤング率は、 」 丨 3 < 7 1 6 1 - 1 に準拠の方法によ り、 複合中空糸膜の引張特性試験を実施し、 その測定結果から算出した。

[01 15] (中間層の厚み)

中間層の厚みは、 それぞれ、 以下のように測定した。

[01 16] 前記複合中空糸膜の長手方向の任意の 3箇所について、 前記長手方向に垂 直な断面を走査型電子顕微鏡 (株式会社日立製作所製の 3 _ 3 0 0 0 1\1) を 用いて、 5 0 0 0 0倍で写真撮影し、 各断面における任意の 2点の中間層の 厚みを測定した。 中間層の厚みは、 前記中空糸状部材の表面から、 前記架橋 ポリアミ ドがしみ込んでいる深さとした。

[01 17] なお、 図 4は、 実施例 1 に係る複合中空糸膜の断面における外周面付 近の 走査型電子顕微鏡写真を示す図である。 また、 図 5は、 後述する比較例 1 に 係る複合中空糸膜の断面における外周面付近 の走査型電子顕微鏡写真を示す 図である。 この実施例 1 に係る複合中空糸膜を走査型電子顕微鏡で観 察する と、 図 4に示すように、 半透膜層 1 3と、 中間層 1 4と、 支持層 1 2とを備 えることがわかる。 また、 比較例 1 に係る複合中空糸膜を走査型電子顕微鏡 で観察すると、 図 5に示すように、 半透膜層 1 3と、 支持層 1 2とを備える ことがわかるが、 中間層の存在が確認できなかった。 このことから、 比較例 1 に係る中間層の厚みは、 中間層の存在が確認できないことから、 ほぼゼロ であると考えられ、 表 1 において 「一」 と示す。 また、 他の比較例 (比較例 2〜 5) に係る複合中空糸膜も、 比較例 1 と同様、 中間層の存在が確認でき ないことから、 表 1 において 「一」 と示す。

[01 18] (脱塩性能) \¥02020/175205 34 卩(:171? 2020 /005990

得られた複合中空糸膜を、 正浸透 ( 〇) 法に用い、 透水性及び塩逆流速 度を測定した。

[0119] 具体的には、 得られた複合中空糸膜を介して、 模擬駆動溶液 (模擬口 3) としての〇. 51\/1の 1\13(3 1水溶液と、 模擬供給溶液 (模擬 3) としての イオン交換水とを配置して、 ろ過を行った。 そのとき、 複合中空糸膜の半透 膜層側に模擬 を、 複合中空糸膜の支持層側に模擬口 3を流した。 模擬 3から模擬口 3への水の透水量は、 模擬 3と模擬 03とのそれぞれの重量 変化から算出した。 そして、 この算出した透水量から、 単位膜面積、 単位時 間、 及び単位圧力当たりの透水量に換算して、 水の透過速度 : LMH) を得た。 この透過速度を、 透水性として評価した。 また、 模擬 3 の塩濃度の変化を測定した。 この塩濃度の変化から、 塩逆流速度 時: を得た。 そして以下の式より、 脱塩率 (%) を算出した。 なお

、 この脱塩率から脱塩性能を評価できる。

[0120] 1= [1 -」ノ (」 〇〇) ] 1 00

上記式中、 は、 脱塩率 (%) を示し、 は、 塩逆流速度 を 示し、 水の透過速度 (LMH) を示し、 〇〇は、 口 3の塩濃度 (9/ !-) [この場合、 I濃度 (〇. 51\/1) であり、 約29 9 / !-である。 ] を示す。

[0121] (耐久性:複合中空糸膜同士を 1 0回接触させた後の脱塩率)

得られた複合中空糸膜同士を 1 0回こすり合わせた後に、 上記脱塩性能と 同様に、 脱塩率を測定した。 この脱塩率の、 上記脱塩性能を評価した際の脱 塩率 (こすり合わせる前の複合中空糸膜の脱塩率 ) に対する低下の度合いか ら、 複合中空糸膜の耐久性を評価できる。

[0122] これらの結果は、 製造条件等とともに、 表 1 に示す。

[0123] [実施例 2]

中空糸状部材として、 下記中空糸状部材を用いたこと以外、 実施例 1 と同 様に、 複合中空糸膜を製造した。 製造条件や評価結果等は、 表 1 に示す。

[0124] (中空糸状多孔質支持体の作製) 中空糸状部材として、 下記の方法により得られた中空糸膜を用いた 。

[0125] まず、 中空糸膜 (支持層) を構成する樹脂として、 ポリサルホン (PS F

: BAS Fジャパン株式会社製の U I t r a s o n S 301 0) と、 溶剤 として、 ジメチルホルムアミ ド (DMF :三菱ガス化学株式会社製の DM F ) と、 添加剤として、 ポリエチレングリコール (三洋化成工業株式会社製の P EG- 600) と、 親水性樹脂として、 ポリビニルピロリ ドン ( P V P : B AS Fジャパン株式会社製の S o k a l a n K-90 P) と、 を、 質量 比 20 : 48 : 30 : 2になるように混合物を調製した。 この混合物を 25 °Cの恒温下で溶解タンク内にて溶解させるこ とによって、 製膜原液が得られ た。

[0126] 得られた 25 ° Cの製膜原液を、 中空状に押し出した。 このとき、 内部凝固 液として、 25 ° Cの水を、 製膜原液と同時吐出した。

[0127] この内部凝固液とともに押し出した製膜原液 を、 5 c mの空走距離を経て 、 外部凝固液として、 60 ° Cの水の中に浸潰させた。 そうすることによって 、 製膜原液が固化され、 中空糸膜が得られた。

[0128] そして、 この中空糸膜を、 過酸化水素を 3質量%含む水溶液に浸潰させた 。 そうすることによって、 中空糸膜に含まれた親水性樹脂が架橋した。 その 後、 この中空糸膜を水に浸潰させた。 そうすることによって、 架橋が不充分 であった親水性樹脂を中空糸膜から除去した 。 このことから、 中空糸膜に存 在する親水性樹脂は、 架橋によって不溶化された親水性樹脂である ことがわ かった。

[0129] [実施例 3]

中空糸状に押し出す製膜原液の温度を 90°Cから 1 20°Cに変更し、 外部 凝固液の温度を 80°Cから 90°Cに変更したこと以外、 実施例 1 と同様に、 複合中空糸膜を製造した。 製造条件や評価結果等は、 表 1 に示す。

[0130] [実施例 4]

外部凝固液の温度を 80°Cから 70°Cに変更したこと以外、 実施例 1 と同 様に、 複合中空糸膜を製造した。 製造条件や評価結果等は、 表 1 に示す。 \¥0 2020/175205 36 卩(:171? 2020 /005990

[0131 ] [比較例 1 ]

芳香族多官能酸クロライ ド化合物であるトリメシン酸トリクロライ ドの 0 . 2質量%ヘキサン溶液に、 前記中空糸状部材を通過させる際、 前記中空糸 状部材を揺動させないこと以外、 実施例 1 と同様に、 複合中空糸膜を製造し た。 製造条件や評価結果等は、 表 1 に示す。

[0132] [比較例 2 ]

外部凝固液の温度を 8 0 °〇から 6 0 °〇に変更したこと以外、 実施例 1 と同 様に、 複合中空糸膜を製造した。 製造条件や評価結果等は、 表 1 に示す。

[0133] [比較例 3 ]

中空糸状部材として、 下記中空糸状部材を用いたこと以外、 実施例 1 と同 様に、 複合中空糸膜を製造した。 製造条件や評価結果等は、 表 1 に示す。

[0134] (中空糸状多孔質支持体の作製)

フッ化ビニリデン系樹脂としてポリフッ化ビ ニリデン (以下、 V 0 と 略記することがある) (ソルベイ ソレクシス株式会社製、 3〇1_巳 6 0 1 0) と、 溶剤として· ^—ブチロラクトンと、 無機粒子としてシリカ (株式会 社トクヤマ製、 ファインシール乂_ 4 5) と、 凝集剤としてグリセリン (花 王株式会社製、 精製グリセリン) とを、 重量比で 3 6 : 4 7 : 1 8 : 1 9の 割合となるように混合液製膜原液を調製した 。 この混合液製膜原液の組成を 表 1 に示す。 該組成比のァーブチロラクトンとグリセリン の上部臨界溶解温 度は、 4 0 . 6 °〇であった。

[0135] 上記した混合液製膜原液を、 二軸混練押出機中で加熱混練 (温度 1 5 0 ° 〇 ) して、 押出したストランドをペレタイザーに通すこ とでチップ化した。 こ のチップを、 外径 1 . 内径〇. 8〇!〇!の二重環構造のノズルを装着 した押出機 (1 5 0 ° 〇 を用いて押出した。 このときテトラエチレングリコ —ルを押出物の中空部内に注入した。

[0136] 紡口から空気中に押し出した押出成形物を、 3〇〇!の空走距離を経て、 重 量パーセント濃度 2 0 %硫酸ナトリウム水溶液からなる水浴中 (温度 6 0 ° 〇 ) に入れ、 約 1 0 0〇 水浴中を通過させて冷却固化させた。 次いで、 溶剤 \¥0 2020/175205 37 卩(:171? 2020 /005990

、 凝集剤および無機粒子の大部分が中空糸状物 中に残存している状態で、 9 0 °〇の熱水中で繊維方向に原長の約 1 . 5倍長となるよう延伸処理をした後 、 次いで、 得られた中空糸状物を 9 5 ° 〇の流水中で 1 8 0分間熱処理と溶剤 (アーブチロラクトン) 、 凝集剤 (グリセリン) 、 注入液 (テトラエチレン グリコール) の抽出除去を行った。

[0137] このようにして得られた中空糸状物を 4 0 °〇の重量パーセント濃度 5 %水 酸化ナトリウム水溶液中で 1 2 0分浸潰して無機粒子 (シリカ) を抽出除去 した後に、 水洗工程を経て中空糸膜を得た。

[0138] [比較例 4 ]

前記中空糸状部材を、 芳香族多官能アミン化合物である —フエニレンジ アミンの 2質量%水溶液に通過させた後、 エアナイフで発生させたエアブロ 一中を通過させずに、 芳香族多官能酸クロライ ド化合物であるトリメシン酸 トリクロライ ドの〇. 2質量%ヘキサン溶液に通過させたこと以外 実施例 1 と同様に、 複合中空糸膜を製造した。 製造条件や評価結果等は、 表 1 に示 す。

[0139] [比較例 5 ]

芳香族多官能酸クロライ ド化合物であるトリメシン酸トリクロライ ドの 0 . 2質量%ヘキサン溶液に、 前記中空糸状部材を通過させる際、 前記中空糸 状部材が中空糸状部材を搬送する口ーラに接 触すること以外、 実施例 1 と同 様に、 複合中空糸膜を製造した。 製造条件や評価結果等は、 表 1 に示す。

[0140]

\¥0 2020/175205 38 卩(:171? 2020 /005990

[表 1 ]

[0141 ] 表 1からわかるように、 多官能アミン化合物と多官能酸ハライ ド化合物と からなる架橋ポリアミ ドを含む半透膜層と、 中空糸状の多孔質な支持層と、 及び前記半透膜層と前記支持層との間に介在 し、 前記架橋ポリアミ ドが、 前 \¥0 2020/175205 39 卩(:171? 2020 /005990

記支持層と同じ材質の層状部材にしみ込ん だ中間層とを備える複合中空糸膜 (実施例 1〜 4に係る複合中空糸膜) であれば、 前記中間層を有さない場合 (比較例 1〜 5に係る複合中空糸膜) と比較して、 脱塩性能に優れ、 さらに 、 前記複合中空糸膜同士が接触した場合におけ る脱塩性能の低下を抑制でき る等の耐久性に優れたものであった。

[0142] これに対して、 第 2溶液である、 芳香族多官能酸クロライ ド化合物である トリメシン酸トリクロライ ドの〇. 2質量%ヘキサン溶液に、 前記中空糸状 部材を通過させる際、 前記中空糸状部材を揺動させなかった場合 (比較例 1 ) は、 前記中間層が好適に形成されなかった。 この比較例 1 に係る複合中空 糸膜の場合、 脱塩性能には優れていたが、 前記複合中空糸膜同士を 1 〇回接 触させた後の脱塩性能は、 実施例 1〜 4に係る複合中空糸膜に比べて劣って いた。 これらのことから、 比較例 1 に係る複合中空糸膜は、 半透膜層は好適 に形成されるが、 上述したように、 中間層が好適に形成されなかったことが わかる。

[0143] 中空糸状部材の気孔径、 すなわち、 中間層の気孔径が、 小さすぎたり (比 較例 2) 、 大きすぎたり (比較例 3) する場合は、 前記中間層が好適に形成 されなかった。 この比較例 2に係る複合中空糸膜の場合、 脱塩性能も、 前記 複合中空糸膜同士を 1 〇回接触させた後の脱塩性能も、 実施例 1〜 4に係る 複合中空糸膜に比べて劣っていた。 これらのことから、 比較例 1 に係る複合 中空糸膜は、 上述したように、 中間層が好適に形成されなかっただけではな く、 半透膜層は好適に形成されなかったことがわ かる。

[0144] 第 1溶液である、 芳香族多官能アミン化合物である フエニレンジアミ ンの 2質量%水溶液に前記中空糸状部材を通過さ た後、 エアナイフで発生 させたエアブロー中を通過させなかった場合 (比較例 4) は、 前記中間層が 好適に形成されなかった。 この比較例 4に係る複合中空糸膜の場合、 脱塩性 能にはある程度優れていたが、 前記複合中空糸膜同士を 1 〇回接触させた後 の脱塩性能は、 実施例 1〜 4に係る複合中空糸膜に比べて劣っていた。 これ らのことから、 比較例 4に係る複合中空糸膜は、 半透膜層はある程度好適に \¥0 2020/175205 40 卩(:171? 2020 /005990

形成されるが、 上述したように、 中間層が好適に形成されなかったことがわ かる。

[0145] 第 2溶液に、 前記中空糸状部材を通過させる際、 前記中空糸状部材が中空 糸状部材を搬送する口ーラに接触させた場合 (比較例 5) は、 前記中間層が 好適に形成されなかった。 この比較例 5に係る複合中空糸膜の場合、 脱塩性 能も、 前記複合中空糸膜同士を 1 〇回接触させた後の脱塩性能も、 実施例 1 〜 4に係る複合中空糸膜に比べて劣っていた。 これらのことから、 比較例 5 に係る複合中空糸膜は、 上述したように、 中間層が好適に形成されなかった だけではなく、 半透膜層は好適に形成されなかったことがわ かる。

[0146] この出願は、 2 0 1 9年2月 2 8日に出願された日本国特許出願特願 2 0

1 9 - 0 3 6 3 0 4を基礎とするものであり、 その内容は、 本願に含まれる ものである。

[0147] 本発明を表現するために、 上述において実施形態を通して本発明を適切 且 つ十分に説明したが、 当業者であれば上述の実施形態を変更および /または 改良することは容易に為し得ることであると 認識すべきである。 したがって 、 当業者が実施する変更形態または改良形態が 、 請求の範囲に記載された請 求項の権利範囲を離脱するレベルのものでな い限り、 当該変更形態または当 該改良形態は、 当該請求項の権利範囲に包括されると解釈さ れる。

産業上の利用可能性

[0148] 本発明によれば、 半透膜層による分離を好適に行うことができ 、 さらに、 耐久性に優れた複合中空糸膜、 及び前記複合中空糸膜の製造方法が提供され る。