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Patent Searching and Data


Title:
CONTROLLER OF DRIVER FOR VEHICLE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/084683
Kind Code:
A1
Abstract:
When the rotational speed of a power source is raised in an inertia phase, a temporary increase of power source brake to be caused by a negative torque (inertia torque) generated by inertia on the power source side to impose strange feeling to an operator is prevented. In the case of down shift in an engine brake state with an accelerator off, throttle valve opening θTH is open-controlled by an amount of inertial torque offset opening θTHIT to decrease rotational resistance due to pumping loss so that negative torque (inertia torque) generated by inertia of an engine (10), or the like, is reduced in the inertia phase for raising the rotational speed NT of a turbine or the rotational speed NE of an engine. Consequently, temporary increase in engine brake resulting from inertia torque is suppressed and strange feeling due to variation of engine brake is lessened, thus enhancing ride comfort.

Inventors:
MAEDA YASUHIRO (JP)
SUZUKI TOSHINARI (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/074882
Publication Date:
July 17, 2008
Filing Date:
December 25, 2007
Export Citation:
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Assignee:
TOYOTA MOTOR CO LTD (JP)
MAEDA YASUHIRO (JP)
SUZUKI TOSHINARI (JP)
International Classes:
F16H61/08; F02D9/02; F02D41/12; F16H59/24; F16H59/68; F16H61/686
Foreign References:
JPH05229368A1993-09-07
JPH03163265A1991-07-15
Attorney, Agent or Firm:
IKEDA, Haruyuki (Nagoya-Dia. Bldg. No.215-1, Meieki 3-chome, Nakamura-k, Nagoya-shi Aichi 02, JP)
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Claims:
 車輪側からの入力が動力源側からの入力を上回り、該動力源の回転抵抗で制動力を発生する動力源ブレーキ状態で、該動力源の回転速度を引き上げながら自動変速機をダウンシフトさせる車両用駆動装置の制御装置において、
 前記動力源の回転速度を引き上げるイナーシャ相で、該動力源側のイナーシャによって発生する負トルクを低減するように、該負トルクの範囲内で所定の相殺トルクを付与するイナーシャトルク相殺手段を設けた
 ことを特徴とする車両用駆動装置の制御装置。
 解放側摩擦係合装置が解放されるとともに係合側摩擦係合装置が係合させられることによってダウンシフトが行われる自動変速機を有し、
 車輪側からの入力が動力源側からの入力を上回り、該動力源の回転抵抗で制動力を発生する動力源ブレーキ状態で、該動力源の回転速度を引き上げながら前記自動変速機をダウンシフトさせる車両用駆動装置の制御装置において、
 前記ダウンシフト時に、前記解放側摩擦係合装置および前記係合側摩擦係合装置が一時的に重複して係合トルクを持つように変速制御を行うオーバーラップ変速制御手段と、
 前記係合側摩擦係合装置の係合トルクで前記動力源の回転速度を引き上げるイナーシャ相で、該動力源側のイナーシャによって発生する負トルクを低減するように、該負トルクの範囲内で所定の相殺トルクを付与するイナーシャトルク相殺手段と、
 を有することを特徴とする車両用駆動装置の制御装置。
 前記イナーシャトルク相殺手段は、前記動力源の回転抵抗を低下させることにより相対的に前記相殺トルクを付与し、前記負トルクを低減する
 ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用駆動装置の制御装置。
Description:
車両用駆動装置の制御装置

 本発明は車両用駆動装置の制御装置に係 、特に、動力源の回転抵抗で制動力を発生 る動力源ブレーキ状態で、その動力源の回 速度を引き上げながら自動変速機をダウン フトさせる際のトルク変動を抑制する技術 関するものである。

 車輪側からの入力が動力源側からの入力を 回り、その動力源の回転抵抗で制動力を発 する動力源ブレーキ状態で、その動力源の 転速度を引き上げながら自動変速機をダウ シフトさせる車両用駆動装置の制御装置が られている。特許文献1に記載の装置はその 一例で、解放側摩擦係合装置が解放されると ともに係合側摩擦係合装置が係合させられる ことによってダウンシフトが行われる自動変 速機を有し、パワーOFFダウンシフトすなわち 動力源ブレーキ状態でのダウンシフトでは、 係合側摩擦係合装置の係合トルクを速やかに 立ち上げることにより、解放側摩擦係合装置 の係合トルクの低下に伴って動力源の回転速 度を引き上げ、ダウンシフトを速やかに進行 させるようになっている。また、このように 係合側摩擦係合装置の係合トルクを速やかに 立ち上げると、係合側摩擦係合装置および解 放側摩擦係合装置が一時的に重複(オーバー ップ)して係合トルクを持つようになるため 係合側摩擦係合装置および解放側摩擦係合 置が共に解放状態となって動力源ブレーキ 低下するトルク抜けを回避できる。

特開平9-60717号公報

 しかしながら、このようなオーバーラッ 変速制御でトルク抜けを回避できても、そ 後のイナーシャ相で動力源の回転速度を引 上げる際に、動力源側のイナーシャによっ 発生する負トルク(イナーシャトルク)によ 、動力源ブレーキが一時的に大きくなって 転者に違和感を生じさせることがある。こ に対し、イナーシャ相でアクセル操作とは 関係に動力源の出力を増大させることによ 、動力源の回転速度を自力で上昇させてダ ンシフトを速やかに進行させることが考え れるが、その場合には動力源ブレーキが得 れなくなって却って運転者に違和感を生じ せる可能性がある。

 本発明は以上の事情を背景として為され もので、その目的とするところは、イナー ャ相で動力源の回転速度を引き上げる際に その動力源側のイナーシャによって発生す 負トルク(イナーシャトルク)により、動力 ブレーキが一時的に大きくなって運転者に 和感を生じさせることを防止することにあ 。

 かかる目的を達成するために、第1発明は 、車輪側からの入力が動力源側からの入力を 上回り、その動力源の回転抵抗で制動力を発 生する動力源ブレーキ状態で、その動力源の 回転速度を引き上げながら自動変速機をダウ ンシフトさせる車両用駆動装置の制御装置に おいて、前記動力源の回転速度を引き上げる イナーシャ相で、その動力源側のイナーシャ によって発生する負トルクを低減するように 、その負トルクの範囲内で所定の相殺トルク を付与するイナーシャトルク相殺手段を設け たことを特徴とする。

 第2発明は、(a) 解放側摩擦係合装置が解放 れるとともに係合側摩擦係合装置が係合さ られることによってダウンシフトが行われ 自動変速機を有し、(b) 車輪側からの入力 動力源側からの入力を上回り、その動力源 回転抵抗で制動力を発生する動力源ブレー 状態で、その動力源の回転速度を引き上げ がら前記自動変速機をダウンシフトさせ
る車両用駆動装置の制御装置において、(c)  記ダウンシフト時に、前記解放側摩擦係合 置および前記係合側摩擦係合装置が一時的 重複して係合トルクを持つように変速制御 行うオーバーラップ変速制御手段と、(d)  記係合側摩擦係合装置の係合トルクで前記 力源の回転速度を引き上げるイナーシャ相 、その動力源側のイナーシャによって発生 る負トルクを低減するように、その負トル の範囲内で所定の相殺トルクを付与するイ ーシャトルク相殺手段と、を有することを 徴とする。

 第3発明は、第1発明または第2発明の車両 駆動装置の制御装置において、前記イナー ャトルク相殺手段は、前記動力源の回転抵 を低下させることにより相対的に前記相殺 ルクを付与し、前記負トルクを低減するこ を特徴とする。

 このような車両用駆動装置の制御装置に いては、動力源ブレーキ状態におけるダウ シフトに際して、動力源の回転速度を引き げるイナーシャ相で、その動力源側のイナ シャによって発生する負トルク(イナーシャ トルク)を低減するように相殺トルクを付与 るイナーシャトルク相殺手段を有するため そのイナーシャトルクに起因する動力源ブ ーキの一時的な増大が抑制され、動力源ブ ーキの変動による違和感が軽減されて乗り 地が向上する。また、本発明はイナーシャ ルクを低減するように、そのイナーシャト クの範囲内で相殺トルクを付与するため、 力源の出力増大制御によって動力源の回転 度を自力で上昇させる場合のように、動力 ブレーキが低下したり反対に駆動状態にな たりして却って運転者に違和感を生じさせ 恐れがない。

 第2発明は、実質的に第1発明の一実施態 に相当するもので、第1発明と同様の作用効 が得られる。しかも、この第2発明では、解 放側摩擦係合装置および係合側摩擦係合装置 が一時的に重複(オーバーラップ)して係合ト クを持つようにダウンシフトの変速制御が われるため、イナーシャ相が開始する前の ルク相において係合側摩擦係合装置および 放側摩擦係合装置が共に解放状態となって 力源ブレーキが低下するトルク抜けが防止 れ、トルク相からイナーシャ相が終了する での一連の変速過渡時の動力源ブレーキの 動が抑制されて、乗り心地が一層向上する

 第3発明では、動力源の回転抵抗を低下さ せることにより相対的に相殺トルクを付与し 、イナーシャトルクを相殺するため、動力源 とは別に電動モータ等を設けて相殺トルクを 付与する場合に比較して、既存の車両用駆動 装置をそのまま用いて動力源ブレーキの変動 を抑制することが可能で、装置が安価に構成 される。

 本発明は、燃料の燃焼によって動力を発 するガソリンエンジンやディーゼルエンジ 等の内燃機関を走行用の動力源として備え いるエンジン駆動車両や、電動モータを動 源として備えている電気自動車、或いはそ 等の両方を備えているハイブリッド車など 種々の車両用駆動装置に適用され得る。

 自動変速機としては、例えば第2発明のよ うに複数の摩擦係合装置の係合状態に応じて 変速比が異なる複数のギヤ段が成立させられ る遊星歯車式や平行軸式などの有段変速機が 好適に用いられるが、第1発明の実施に際し は、ベルト式無段変速機など他の自動変速 を採用することもできる。

 摩擦係合装置としては油圧式のものが好 に用いられ、例えばソレノイド弁等による 圧制御やアキュムレータの作用などで油圧( 係合力)を所定の変化パターンで変化させた 、所定のタイミングで油圧を変化させたり ることによって変速制御が行われる。これ の摩擦係合装置は、油圧シリンダ等のアク ュエータによって係合させられる単板式或 は多板式のクラッチやブレーキ、ベルト式 ブレーキなどである。

 動力源ブレーキ状態でのダウンシフトは 運転者の手動操作に従ってダウンシフトを うマニュアルダウンシフトでも、アクセルO FFのコースト走行時に予め定められたコース ダウン車速を跨いで車速が低下することに って自動的にダウンシフトを行うコースト ウンシフトでも良く、少なくとも何れか一 で本発明のイナーシャトルク相殺制御が行 れるようになっておれば良い。

 動力源ブレーキ状態でのダウンシフトは 例えばアクセル操作されていないアクセルO FF時のダウンシフトであるが、高速走行時な ではアクセル操作されていても動力源ブレ キ状態となる場合があり、そのようなアク ルON時のダウシンフトに適用することも可 である。

 イナーシャトルク相殺手段は、イナーシ トルクを越えない範囲で相殺トルクを付与 るもので、例えば第3発明のように動力源の 回転抵抗を低下させることにより相対的に相 殺トルクを付与するように構成されるが、動 力源とは別に電動モータ等を設けて自動変速 機の入力側或いは出力側に相殺トルクを付与 するようにしても良いし、ECB(電子制御ブレ キシステム)等によりホイールブレーキの制 トルクを制御する場合は、その制動トルク 低下させることにより相対的に相殺トルク だけ駆動トルクを増大させるようにしても いなど、種々の態様が可能である。

 動力源の回転抵抗を低下させる方法とし は、例えば動力源として内燃機関を有する 合、燃料供給を停止しているフューエルカ ト時にスロットル弁開度を開き制御するこ により、ポンピングロスを低下させて相殺 ルク分だけ回転抵抗を低下させることが可 で、その分だけ入力トルクが増大してイナ シャトルクを相殺することができる。内燃 関がアイドル状態等で作動している場合に 、燃料噴射量を増大させるなどして、イナ シャトルクを越えない範囲で相殺トルク分 け動力源トルクを増大させるようにしても く、動力源ブレーキ状態である限り、回転 抗の低下に相当する。

 動力源としてモータジェネレータを有し アクセルOFF時等にモータジェネレータを回 制御或いは発電制御することにより、回転 抗を発生させて動力源ブレーキ状態とする 両用駆動装置においては、その回生トルク いは発電トルクを相殺トルク分だけ低下さ て回転抵抗を低下させることが可能で、そ 分だけ入力トルクが増大してイナーシャト クを相殺することができる。

 上記イナーシャトルク相殺手段によって 与する相殺トルク、すなわちスロットル弁 度の開き量やモータトルク、回生トルクの 下幅、ECBによる制動トルクの低下幅などは 例えばどのギヤ段からどのギヤ段へのダウ シフトかを表す変速の種類や、自動変速か ニュアル変速か、或いは車速、動力源回転 度、入力軸回転速度等の車両状態、運転状 などをパラメータとして予めマップなどで 定される。必要に応じて逐次学習補正され ようにすることも可能である。また、モー トルクや回生トルクのように高い応答性が られる場合には、動力源回転速度の変化率 入力軸回転速度の変化率を検出してイナー ャトルクを逐次算出し、そのイナーシャト クに応じてリアルタイムで相殺トルクを制 することも可能である。

 第2発明では、解放側摩擦係合装置および 係合側摩擦係合装置が一時的に重複して係合 トルクを持つように変速制御を行うオーバー ラップ変速制御手段を備えており、トルク相 でのトルク抜けが防止されるようになってい るが、第1発明の実施に際しては、必ずしも のようなオーバーラップ制御を行う必要は く、アンダーラップ制御を用いることも可 である。また、必要に応じてECB等によるホ ールブレーキの制動トルク制御で、動力源 レーキのトルク抜けを補完することもでき など、種々の態様が可能である。

本発明が好適に適用される車両用駆動 置を制御系統と共に示す概略構成図である 図1の自動変速機の具体的構成を説明す る図で、(a) は骨子図、(b) は複数のギヤ段 おける摩擦係合装置の作動状態を示す作動 である。 図1の油圧制御回路のうち自動変速機の 変速制御に関連する部分の構成を説明する回 路図である。 図1の電子制御装置が備えている機能の 要部を説明するブロック線図である。 図4のエンジン制御手段によって行われるス ットル制御で用いられるアクセル操作量Acc スロットル弁開度θ TH との関係の一例を示す図である。 図4の変速制御手段によって行われる自 動変速機の変速制御を説明する図で、(a) は 転状態に応じてギヤ段を自動的に切り換え 際に用いられる変速マップの一例で、(b)  複数の変速レンジの変速範囲を示す図であ 。 図4のパワーOFFダウンシフト時オーバー ラップ変速制御手段、およびパワーOFFダウン シフト時イナーシャトルク相殺手段によって 行われる信号処理を具体的に説明するフロー チャートである。 パワーOFFダウンシフト時に図7のフロー チャートに従ってオーバーラップ変速制御、 イナーシャトルク相殺制御が行われた場合の タービン回転速度NTや係合側および解放側の 圧指令値等の変化を示すタイムチャートの 例である。

符号の説明

 8:車両用駆動装置
10:エンジン(動力源)
14:自動変速機
90:電子制御装置
114:パワーOFFダウンシフト時イナーシャトル 相殺手段(イナーシャトルク相殺手段)
122:パワーOFFダウンシフト時オーバーラップ 速制御手段(オーバーラップ変速制御手段)
NT:タービン回転速度(入力軸回転速度)
NE:エンジン回転速度(動力源回転速度)
C1、C2:クラッチ(摩擦係合装置)
B1~B3:ブレーキ(摩擦係合装置)
θ TH IT:イナーシャトルク相殺開度(相殺トルク)

 以下、本発明の実施例を、図面を参照しつ 詳細に説明する。
 図1は、本発明が適用された車両用駆動装置 8の概略構成を制御系統と共に示すブロック 図で、FF(フロントエンジン・フロントドラ ブ)車両用のものであり、ガソリンエンジン ディーゼルエンジン等の内燃機関によって 成されている走行用の動力源としてのエン ン10の出力は、トルクコンバータ12、自動変 速機14、差動歯車装置40、および左右の車軸44 を経て左右の駆動輪46へ伝達される。

 図2の(a) は、上記トルクコンバータ12お び自動変速機14の構成を具体的に説明する骨 子図で、トルクコンバータ12は、エンジン10 出力を流体を介してポンプ翼車からタービ 翼車、更に入力軸(タービン軸)32に伝達する 体式動力伝達装置であるが、ロックアップ ラッチ12cが係合させられることにより、流 を介することなく直接伝達することができ 。また、トルクコンバータ12のポンプ翼車 は、機械式のオイルポンプ18が連結されてお り、エンジン10によって回転駆動されるよう なっている。なお、トルクコンバータ12お び自動変速機14は中心線に対して略対称的に 構成されており、図2の(a) では中心線の下半 分が省略されている。

 自動変速機14は、シングルピニオン型の 1遊星歯車装置20を主体として構成されてい 第1変速部22と、シングルピニオン型の第2遊 歯車装置26およびダブルピニオン型の第3遊 歯車装置28を主体として構成されている第2 速部30とを同軸線上に有し、入力軸32の回転 を変速して出力歯車34から出力する。入力軸3 2は入力部材に相当する。また、出力歯車34は 出力部材に相当するもので、前記差動歯車装 置40に動力を伝達するためにそのデフドリブ ギヤ(大径歯車)42と噛み合うデフドライブギ ヤとして機能している。

 上記第1変速部22を構成している第1遊星歯 車装置20は、サンギヤS1、キャリアCA1、およ リングギヤR1の3つの回転要素を備えており サンギヤS1が入力軸32に連結されて回転駆動 れるとともに、リングギヤR1が第3ブレーキB 3を介して回転不能にケース36に固定されるこ とにより、キャリアCA1が中間出力部材として 入力軸32に対して減速回転させられて出力す 。また、第2変速部30を構成している第2遊星 歯車装置26および第3遊星歯車装置28は、一部 互いに連結されることによって4つの回転要 素RM1~RM4が構成されており、具体的には、第3 星歯車装置28のサンギヤS3によって第1回転 素RM1が構成され、第2遊星歯車装置26のリン ギヤR2および第3遊星歯車装置28のリングギヤ R3が互いに連結されて第2回転要素RM2が構成さ れ、第2遊星歯車装置26のキャリアCA2および第 3遊星歯車装置28のキャリアCA3が互いに連結さ れて第3回転要素RM3が構成され、第2遊星歯車 置26のサンギヤS2によって第4回転要素RM4が 成されている。上記第2遊星歯車装置26およ 第3遊星歯車装置28は、キャリアCA2およびCA3 共通の部材にて構成されているとともに、 ングギヤR2およびR3が共通の部材にて構成さ ており、且つ第2遊星歯車装置26のピニオン ヤが第3遊星歯車装置28の第2ピニオンギヤを 兼ねているラビニヨ型の遊星歯車列とされて いる。

 上記第1回転要素RM1(サンギヤS3)は第1ブレ キB1によって選択的にケース36に連結されて 回転停止させられ、第2回転要素RM2(リングギ R2、R3)は第2ブレーキB2によって選択的にケ ス36に連結されて回転停止させられ、第4回 要素RM4(サンギヤS2)は第1クラッチC1を介して 択的に前記入力軸32に連結され、第2回転要 RM2(リングギヤR2、R3)は第2クラッチC2を介し 選択的に入力軸32に連結され、第1回転要素R M1(サンギヤS3)は中間出力部材である前記第1 星歯車装置20のキャリアCA1に一体的に連結さ れ、第3回転要素RM3(キャリアCA2、CA3)は前記出 力歯車34に一体的に連結されて回転を出力す ようになっている。

 上記クラッチC1、C2およびブレーキB1、B2、B3 (以下、特に区別しない場合は単にクラッチC ブレーキBという)は、多板式のクラッチや ンドブレーキなど油圧アクチュエータによ て係合制御される油圧式摩擦係合装置であ 、油圧制御回路98(図1参照)のリニアソレノイ ド弁SL1~SL5の励磁、非励磁やマニュアルバル 104(図3参照)によって油圧回路が切り換えら ることにより、図2の(b) に示すように係合 解放状態が切り換えられ、シフトレバー72( 1参照)の操作位置(ポジション)に応じて前進6 段、後進1段の各ギヤ段が成立させられる。 2(b) の「1st」~「6th」は前進の第1速ギヤ段~ 6速ギヤ段を意味しており、「Rev」は後進ギ 段であり、それ等の変速比(=入力軸回転速 N IN /出力軸回転速度N OUT  )は、前記第1遊星歯車装置20、第2遊星歯車装 26、および第3遊星歯車装置28の各ギヤ比ρ1 ρ2、ρ3によって適宜定められる。図2(b) の ○」は係合、空欄は解放を意味している。

 図1において、アクセルペダル50の操作量(ア クセル操作量)Accは、アクセル操作量センサ51 により検出されるようになっており、そのア クセル操作量Accを表す信号が電子制御装置90 供給される。アクセルペダル50は、運転者 出力要求量に応じて大きく踏み込み操作さ るもので、アクセル操作部材に相当し、ア セル操作量Accは出力要求量に相当する。ま 、エンジン10の吸気配管には、スロットルア クチュエータ54によってスロットル弁開度θ TH が変化させられる電子スロットル弁56が設け れている。この他、エンジン10の回転速度NE を検出するためのエンジン回転速度センサ58 エンジン10の吸入空気量Qを検出するための 入空気量センサ60、吸入空気の温度T を検出するための吸入空気温度センサ62、上 電子スロットル弁56の全閉状態(アイドル状 )およびその開度θ TH を検出するためのアイドルスイッチ付スロッ トルセンサ64、車速Vに対応する出力歯車34の 転速度(出力軸回転速度に相当)N OUT  を検出するための車速センサ66、エンジン10 冷却水温T を検出するための冷却水温センサ68、常用ブ ーキ用のブレーキペダル52の操作の有無を 出するためのブレーキスイッチ70、シフトレ バー72のレバーポジション(操作位置)P SH を検出するためのレバーポジションセンサ74 タービン回転速度NTを検出するためのター ン回転速度センサ76、油圧制御回路98内の作 油の温度であるAT油温T OIL  を検出するためのAT油温センサ78、アップシ トスイッチ80、ダウンシフトスイッチ82など 設けられており、それらのセンサから、エ ジン回転速度NE、吸入空気量Q、吸入空気温 T 、スロットル弁開度θ TH 、車速V(出力軸回転速度N OUT  )、エンジン冷却水温T 、ブレーキペダル52の踏込み操作(オン)B ON 、シフトレバー72のレバーポジションP SH 、タービン回転速度NT、AT油温T OIL  、変速レンジのアップシフト指令R UP 、変速レンジのダウンシフト指令R DN 、などを表す信号が電子制御装置90に供給さ るようになっている。上記タービン回転速 NTは、入力部材である入力軸32の回転速度( 力軸回転速度N IN )と同じである。

 上記シフトレバー72は、例えば運転席の 傍に配設され、5つのレバーポジション「P」 、「R」、「N」、「D」、または「S」へ手動 作されるようになっている。「P」ポジショ は、自動変速機14内の動力伝達経路を解放 すなわち自動変速機14内の動力伝達が遮断さ れるニュートラル状態(中立状態)とし、且つ カニカルパーキング機構によって機械的に 力歯車34の回転を阻止(ロック)するための駐 車ポジション(位置)であり、「R」ポジション は自動変速機14を前記後進ギヤ段「Rev」とし 後進走行するための後進走行ポジション(位 置)であり、「N」ポジションは自動変速機14 の動力伝達が遮断されるニュートラル状態 するための中立ポジション(位置)であり、「 D」ポジションは自動変速機14の全変速範囲で ある第1速ギヤ段「1st」~第6速ギヤ段「6th」の 総ての前進ギヤ段を用いて変速制御を行う自 動変速モード(Dレンジ)を成立させる前進走行 ポジション(位置)であり、「S」ポジションは 前進ギヤ段の変速範囲を制限した複数種類の 変速レンジを切り換えることにより手動変速 が可能なシーケンシャルモード(以下、Sモー という)を成立させる前進走行ポジション( 置)である。この「S」ポジションには、シフ トレバー72の操作毎に変速レンジをアップ側 シフトさせるためのアップシフト位置「+」 、シフトレバー72の操作毎に変速レンジをダ ン側にシフトさせるためのダウンシフト位 「-」が備えられており、それ等の操作が前 記アップシフトスイッチ80、ダウンシフトス ッチ82によって検出される。アップシフト 置「+」およびダウンシフト位置「-」は何れ も不安定で、シフトレバー72はスプリング等 付勢手段により自動的に「S」ポジションへ 戻されるようになっており、アップシフト位 置「+」またはダウンシフト位置「-」への操 回数或いは保持時間などに応じて変速レン が変更される。上記Sモードは、手動変速モ ードに相当する。

 図3は、油圧制御回路98のうち自動変速機14 変速制御、すなわちクラッチC1、C2、および レーキB1~B3の油圧制御に関する部分を説明 る回路図で、オイルポンプ18から圧送された 作動油は、リリーフ型の第1調圧弁100により 圧されることによって第1ライン圧PL1とされ 。第1調圧弁100は、タービントルクT すなわち自動変速機14の入力トルクT IN 、或いはその代用値であるスロットル弁開度 θ TH に応じて第1ライン圧PL1を調圧するもので、 の第1ライン圧PL1は、シフトレバー72に連動 せられるマニュアルバルブ104に供給される そして、シフトレバー72が「D」ポジション たは「S」ポジションの前進走行ポジション 操作されているときには、このマニュアル ルブ104から第1ライン圧PL1と同じ大きさの前 進ポジション圧P がリニアソレノイド弁SL1~SL5へ供給される。 ニアソレノイド弁SL1~SL5は、それぞれ前記ク ッチC1、C2、ブレーキB1~B3に対応して配設さ ており、電子制御装置90から出力される駆 信号に従ってそれぞれ励磁状態が制御され ことにより、それ等の係合油圧P C1 、P C2 、P B1 、P B2 、P B3 がそれぞれ独立に制御され、これにより第1 ギヤ段「1st」~第6速ギヤ段「6th」の何れかを 択一的に成立させることができる。リニアソ レノイド弁SL1~SL5は何れも大容量型で、出力 圧がそのままクラッチC1、C2、ブレーキB1~B3 供給され、それ等の係合油圧P C1 、P C2 、P B1 、P B2 、P B3 を直接制御する直接圧制御が行われる。

 前記電子制御装置90は、CPU、RAM、ROM、入 力インターフェース等を備えた所謂マイク コンピュータを含んで構成されており、CPU RAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記 されたプログラムに従って信号処理を行う とにより、図4に示すようにエンジン制御手 110および変速制御手段120の各機能を実行す ようになっており、必要に応じてエンジン 御用、変速制御用等に分けて構成される。

 エンジン制御手段110は、エンジン10の出力 御を行うもので、前記スロットルアクチュ ータ54により電子スロットル弁56を開閉制御 る他、燃料噴射量制御のために燃料噴射弁9 2(図1参照)を制御し、点火時期制御のために グナイタ等の点火装置94を制御する。電子ス ロットル弁56の制御は、例えば図5に示す関係 から実際のアクセル操作量Accに基づいてスロ ットルアクチュエータ54を駆動し、アクセル 作量Accが増加するほどスロットル弁開度θ TH を増加させる。このエンジン制御手段110はま た、フューエルカット手段112を備えており、 アクセル操作量Accが0のアクセルOFF時であっ 所定のフューエルカット条件を満足する場 に、燃費向上や排出ガス低減等のために燃 噴射弁92による燃料供給を停止し、エンジン 10の作動を停止させる。

 変速制御手段120は、自動変速機14の変速 御を行うもので、シフトレバー72が「D」ポ ションへ操作されることにより前記自動変 モード(Dレンジ)を成立させ、例えば図6の(a) に示すように車速Vおよびアクセル操作量Acc パラメータとして予め設定された変速マッ に従って、総ての前進ギヤ段「1st」~「6th」 を用いて自動変速を行う。前記図2(b) の作動 表から明らかなように、本実施例の自動変速 機14は、クラッチCおよびブレーキBの何れか1 を解放するとともに他の1つを係合させるク ラッチツークラッチ変速により、連続するギ ヤ段の変速が行われるようになっている。図 6の(a) の変速マップの実線はアップシフト線 で、破線はダウンシフト線であり、車速Vが くなったりアクセル操作量Accが大きくなっ りするに従って、変速比が大きい低速側の ヤ段に切り換えられるようになっている。 た、アクセル操作量Accが0のコースト走行時 ダウンシフトに関しては、前記フューエル ット手段112によるフューエルカットが維持 れるように、各ギヤ段毎にコーストダウン 速が別個に設定されており、そのコースト ウシ車速を跨いで車速Vが低下した場合にダ ウンシフトを行うようになっている。図中の 「1」~「6」は第1速ギヤ段「1st」~第6速ギヤ段 「6th」を意味している。

 また、シフトレバー72が「S」ポジションへ 作されることにより前記Sモードを成立させ 、アップシフト指令R UP やダウンシフト指令R DN に従って図6の(b) に示すように最高速段すな わち変速比が小さい高速側の変速範囲が異な る6つの変速レンジ「D」、「5」、「4」、「3 、「2」、「L」の何れかを電気的に成立さ るとともに、各変速範囲内において前記図6( a) の変速マップに従って自動変速を行う。 たがって、例えば下り坂などでシフトレバ 72をダウンシフト位置「-」へ繰り返し操作 ると、変速レンジが例えば「4」レンジから 「3」レンジ、「2」レンジ、「L」レンジへ り換えられ、第4速ギヤ段「4th」から第3速 ヤ段「3rd」、第2速ギヤ段「2nd」、第1速ギヤ 段「1st」へ順次ダウンシフトされて、エンジ ンンブレーキが増大させられる。

 このような自動または手動による自動変 機14の変速制御は、前記複数のクラッチCお びブレーキBのうちの所定の係合側摩擦係合 装置および解放側摩擦係合装置の油圧を予め 定められた変化パターンに従って変化させた り、所定の変化タイミングで変化させたりす ることによって行われる。すなわち、前記油 圧制御回路98のリニアソレノイド弁SL1~SL5の励 磁、非励磁を切り換えたり、その励磁状態を 連続的に変化させたりするのであるが、この 変化パターンや変化タイミング等の制御態様 は、クラッチCおよびブレーキBの耐久性や変 応答性、変速ショック等を総合的に考慮し 、どのギヤ段からどのギヤ段への変速かを す変速の種類や、前記図6(a) の変速マップ よる自動変速かシフトレバー操作によるマ ュアル変速か、アップシフトかダウンシフ か、アクセルペダル50が踏込み操作された ワーON状態か踏込み操作されていないパワー OFF状態か、或いは先の変速制御が終了する前 に次の変速制御を開始する多重変速か単一変 速か、等の変速の態様に応じて定められる。

 上記変速制御手段120はまた、パワーOFFダウ シフト時オーバーラップ変速制御手段122を えている一方、前記エンジン制御手段110は パワーOFFダウンシフト時イナーシャトルク 殺手段114を備えている。これ等のパワーOFF ウンシフト時オーバーラップ変速制御手段1 22、パワーOFFダウンシフト時イナーシャトル 相殺手段114は、何れもアクセルペダル50が 込み操作されていないアクセル操作量Acc=0の パワーOFF時で、前記フューエルカット手段112 によりエンジン10に対する燃料供給が停止さ られ、駆動輪46側からの入力がエンジン10側 からの入力を上回り、エンジン10のポンピン ロスやフリクションロスによる回転抵抗で 動力を発生するエンジンブレーキ状態にお て、エンジン回転速度NEを引き上げながら 動変速機14をダウンシフトさせる際の変速制 御、エンジン制御に関するもので、図7のフ ーチャートに従って信号処理を行う。図7の テップS2~S4、S6~S9は、パワーOFFダウンシフト 時オーバーラップ変速制御手段122に相当し、 ステップS3、S5、S8
、およびS10は、パワーOFFダウンシフト時イナ ーシャトルク相殺手段114に相当する。

 図8は、このようなパワーOFFダウンシフト時 に、図7のフローチャートに従って変速制御 よびエンジン制御が行われた場合の係合側 擦係合装置および解放側摩擦係合装置の油 指令値の変化を、タービン回転速度NTや、自 動変速機14の入力トルクT IN 、出力トルクT OUT  、スロットル弁開度θ TH と関連付けて示すタイムチャートの一例であ る。この中のタービン回転速度NTの欄の縦軸 「hidoki」は、ダウンシフト前のギヤ段の同 回転速度で、「lodoki」はダウンシフト後の ヤ段の同期回転速度であり、各ギヤ段の変 比γ HI 、γ LO と車速Vに対応する出力軸回転速度N OUT  とを掛け算した値である。そして、タービン 回転速度NTがそれ等の同期回転速度と一致し いる間は各ギヤ段が成立しているが、それ の同期回転速度から外れている間は変速途 (イナーシャ相)であることを意味している また、係合側摩擦係合装置の油圧指令値お び解放側摩擦係合装置の油圧指令値は、何 も前記リニアソレノイド弁SL1~SL6に対する励 電流に対応するもので、実際の油圧は、こ 指令値よりも遅れてなまされた形で変化す 。また、入力トルクT IN は、タービン回転速度NT等が一定の定常状態 もので、回転速度変化によって発生するイ ーシャトルクは含まれていない。

 図7のステップS1では、パワーOFFダウンシ トか否か、すなわちアクセル操作量Accが0の パワーOFF時に、予め定められたコーストダウ ン車速を跨いで車速Vが低下することにより 或いは運転者のシフトレバー操作により、 ウンシフトの変速指令が出力されたか否か 判断し、パワーOFFダウンシフトの場合はス ップS2以下を実行する。この状態では、通常 は前記フューエルカット手段112によりエンジ ン10に対する燃料供給が停止させられ、駆動 46の回転が自動変速機14、トルクコンバータ 12のロックアップクラッチ12c等を介してエン ン10に伝達されることにより、エンジン10が 回転駆動されるとともに、フリクションロス やポンピングロスによる回転抵抗で所定のエ ンジンブレーキが発生させられる。図8の時 t0は、ステップS1の判断がYES(肯定)となり、 テップS2以下の実行が開始された時間である 。

 ステップS2では、予め定められた油圧制御 ターンに従って係合側摩擦係合装置および 放側摩擦係合装置の油圧制御、すなわち前 リニアソレノイド弁SL1~SL5に対する油圧指令 (励磁電流)の制御を開始する。具体的には 係合側摩擦係合装置については、ファース フィルを行った後、時間t0からスウィープ開 始時間timeAが経過した所定のタイミング(時間 t1)で油圧指令値を予め定められた変化率でス ウィープアップさせ、解放側摩擦係合装置に ついては、ファーストドレンを行った後、係 合側と同じタイミング(時間t1)で油圧指令値 予め定められた変化率でスウィープダウン せる。このスウィープアップおよびスウィ プダウンの開始油圧や変化率は、例えばど ギヤ段からどのギヤ段へのダウンシフトか 表す変速の種類や、自動変速かマニュアル 速か、或いはAT油温T OIL  、車速V等をパラメータとして予めマップな で設定されているとともに、必要に応じて 習補正される。そして、このように係合側 擦係合装置および解放側摩擦係合装置の油 指令値をそれぞれスウィープアップ、スウ ープダウンさせることにより、解放側摩擦 合装置および係合側摩擦係合装置が一時的 重複(オーバーラップ)して係合トルクを持つ ようにして変速制御が行われ、解放側摩擦係 合装置の係合トルクが所定値以下になって滑 り始めることにより、係合側摩擦係合装置の 係合トルクによりタービン回転速度NTが引き げられる。

 ステップS3では、上記の油圧制御によりイ ーシャ相が開始したか否か、具体的にはタ ビン回転速度NTがダウンシフト前の同期回転 速度hidokiから変化し始めたか否かを判断する 。そして、イナーシャ相の開始判定が為され たら、ステップS4で解放側摩擦係合装置の油 指令値を0とし、解放側摩擦係合装置を速や かに解放する。これにより、イナーシャ相が 開始する前のトルク相において、係合側摩擦 係合装置および解放側摩擦係合装置が共に解 放状態となってエンジンブレーキが低下する トルク抜けを防止しつつ、係合側摩擦係合装 置の係合トルクでタービン回転速度NTを上昇 せるイナーシャ相へ滑らかに移行すること できる。図8の時間t2は、イナーシャ相の開 判定が為されてステップS3の判断がYES(肯定) となり、解放側摩擦係合装置の油圧指令値が 0とされた時間である。この時、自動変速機14 の出力トルクT OUT  は、入力トルクT IN にダウンシフト後のギヤ段の変速比γ LO を掛け算した値となる。

 ここで、タービン回転速度NTやエンジン回 速度NEが引き上げられるイナーシャ相では、 エンジン10やトルクコンバータ12等の入力軸32 よりもエンジン10側のイナーシャによって負 ルク(イナーシャトルク)が発生し、図8の出 トルクT OUT  の欄に破線で示すように、ダウンシフト後の ギヤ段における出力トルク(γ LO ×T IN )よりもイナーシャトルク分だけ出力トルクT OUT  が一時的に低くなる。すなわち、イナーシャ トルク分だけエンジンブレーキが一時的に大 きくなるのであり、これにより乗り心地が悪 くなったり運転者に違和感を生じさせたりす る。

 これに対し、本実施例では次のステップS5 、イナーシャトルク相殺制御を開始し、上 イナーシャトルクを相殺するように電子ス ットル弁56のスロットル弁開度θ TH を予め定められたイナーシャトルク相殺開度 θ TH ITだけ開き制御する。すなわち、フューエル ット状態でスロットル弁開度θ TH を開き制御すると、ポンピングロスによるエ ンジン10の回転抵抗が低下し、相対的に入力 ルクT IN を所定の相殺トルクだけ増大させることがで きるのであり、これによりイナーシャトルク によるエンジンブレーキの増加が抑制される 。イナーシャトルク相殺開度θ TH ITは相殺トルクに対応するもので、イナーシ 相におけるタービン回転速度NTの変化率δNT に応じて定まるイナーシャトルクと略同じ なるように、どのギヤ段からどのギヤ段へ ダウンシフトかを表す変速の種類や、自動 速かマニュアル変速か、或いはAT油温T OIL  、車速V等をパラメータとして予めマップな で設定されている。なお、イナーシャ相に ける出力トルクT OUT  の変動が所定値以下になるように、イナーシ ャトルク相殺開度θ TH ITを逐次学習補正することも可能である。ま 、イナーシャトルクが大きい場合には、フ ーエルカットを中止して燃料噴射弁92によ 燃料供給を再開し、エンジン10を自力回転さ せるようにしても良い。

 次のステップS6では、タービン回転速度NTの 変化率δNTが予め定められた設定変化率δNT1に 達したか否かを判断し、δNT≧δNT1になったら 、ステップS7で係合側摩擦係合装置の油圧指 値のスウィープアップを終了し、その時の 圧指令値に固定する。これにより、タービ 回転速度NTは設定変化率δNT1と略同じ変化率 で上昇させられる。但し、タービン回転速度 NTが設定変化率δNT1で上昇するように、係合 摩擦係合装置の油圧指令値をフィードバッ 制御することも可能である。この設定変化 δNT1は、前記イナーシャトルク相殺開度θ TH ITと同様に、どのギヤ段からどのギヤ段への ウンシフトかを表す変速の種類や、自動変 かマニュアル変速か、或いはAT油温T OIL  、車速Vなどをパラメータとして予めマップ どで設定されている。図8の時間t3は、δNT≧ NT1になってステップS6の判断がYES(肯定)にな た時間であり、スロットル弁開度θ TH は、応答遅れを考慮してタービン回転速度NT 変化率δNTが設定変化率δNT1に達する少し前 前記イナーシャトルク相殺開度θ TH ITに達するように開き制御される。

 ステップS8では、タービン回転速度NTがダウ ンシフト後のギヤ段の同期回転速度lodoki付近 に達したか否か、具体的には同期回転速度lod okiよりも所定値αだけ低い回転速度(lodoki-α) 達したか否かを判断し、NT≧lodoki-αになった ら(時間t4)、ステップS9で係合側摩擦係合装置 の油圧制御の終了処理を行う。具体的には、 係合側摩擦係合装置の急係合による変速ショ ックを防止するため、一時的に油圧指令値を 低下させてタービン回転速度NTの上昇度合を 和し、同期回転速度lodokiに滑らかに近づけ などした後、変速終了判定(時間t5)に伴って MAX圧(第1ライン圧PL1)まで一気に上昇させて完 全係合させる。また、ステップS10では、イナ ーシャトルク相殺制御の終了処理を行い、ス ロットル弁開度θ TH を滑らかに0まで低下させる。これにより、 ービン回転速度NTの上昇終了に伴うイナーシ ャトルクの減少に合わせて、ポンピングロス による回転抵抗が増大させられ、イナーシャ トルクの変化に伴う出力トルクT OUT  、更には駆動トルク(エンジンブレーキ)の変 が抑制される。

 このように、本実施例の車両用駆動装置の 御装置においては、アクセルOFFのエンジン レーキ状態におけるダウンシフトに際して タービン回転速度NTやエンジン回転速度NEを 引き上げるイナーシャ相で、そのエンジン10 のイナーシャによって発生する負トルク(イ ナーシャトルク)を低減するように、スロッ ル弁開度θ TH をイナーシャトルク相殺開度θ TH ITだけ開き制御してポンピングロスによる回 抵抗を低下させるパワーOFFダウンシフト時 ナーシャトルク相殺手段114を有するため、 のイナーシャトルクに起因するエンジンブ ーキの一時的な増大が抑制され、エンジン レーキの変動による違和感が軽減されて乗 心地が向上する。特に、イナーシャトルク 低減するように、そのイナーシャトルクの 囲内でポンピングロスによる回転抵抗を低 させるため、エンジン10の出力増大制御な でエンジン回転速度NEを自力で上昇させる場 合のように、エンジンブレーキが低下したり 反対に駆動状態になったりして却って運転者 に違和感を生じさせる恐れがない。

 また、本実施例では、パワーOFFダウンシ ト時オーバーラップ変速制御手段122を備え おり、解放側摩擦係合装置および係合側摩 係合装置が一時的に重複(オーバーラップ) て係合トルクを持つようにダウンシフトの 速制御が行われるため、イナーシャ相が開 する前のトルク相において係合側摩擦係合 置および解放側摩擦係合装置が共に解放状 となってエンジンブレーキが低下するトル 抜けが防止され、トルク相からイナーシャ が終了するまでの一連の変速過渡時のエン ンブレーキの変動が抑制されて、乗り心地 一層向上する。

 また、本実施例では、フューエルカット状 におけるエンジン10のスロットル弁開度θ TH を開き制御することにより、ポンピングロス による回転抵抗を低下させて相対的に相殺ト ルクを付与し、イナーシャトルクを低減する ため、エンジン10とは別に電動モータ等を設 て相殺トルクを付与する場合に比較して、 存の車両用駆動装置8をそのまま用いてエン ジンブレーキの変動を抑制することが可能で 、装置が安価に構成される。

 以上、本発明の実施例を図面に基づいて 細に説明したが、これはあくまでも一実施 態であり、本発明は当業者の知識に基づい 種々の変更、改良を加えた態様で実施する とができる。