JP2599196 | [Name of device] Vehicle engine mount |
JP2021095976 | MOUNT DEVICE |
JP2009068619A | 2009-04-02 | |||
JP2011195058A | 2011-10-06 | |||
JPH07156663A | 1995-06-20 | |||
JPH03117137U | 1991-12-04 |
\¥0 2020/175640 23 卩(:17 2020 /008129 請求の範囲 [請求項 1 ] インナ軸部材とアウタ筒部材が本体ゴム弾性体で連結されており、 自動車の駆動用電気モータと支持部材との間に装着されるモータマウ ント用筒型防振装置において、 前記インナ軸部材と前記アウタ筒部材との軸直角方向の対向面が周 方向の全周に亙って連続して前記本体ゴム弾性体で連結されていると 共に、 該本体ゴム弾性体の軸方向の端面には、 該インナ軸部材と該アウタ 筒部材との対向面間の中間部分において軸方向の外方に突出して周方 向に延びる弾性突起が該本体ゴム弾性体と一体成形されているモータ マウント用筒型防振装置。 [請求項 2] 前記弾性突起が、 前記本体ゴム弾性体の周方向で全周に亙って連続 して設けられた環状弾性突起とされている請求項 1 に記載のモータマ ウント用筒型防振装置。 [請求項 3] 前記本体ゴム弾性体が、 前記インナ軸部材側から前記アウタ筒部材 側に向かって次第に軸方向寸法が小さくされて該本体ゴム弾性体の軸 方向両端面がテーパ状傾斜面とされており、 該本体ゴム弾性体の該テ —パ状傾斜面から前記弾性突起が突出している請求項 1又は 2に記載 のモータマウント用筒型防振装置。 [請求項 4] 前記本体ゴム弾性体の表面からの前記弾性突起の突出高さが、 該本 体ゴム弾性体の軸方向長さよりも小さい請求項 1〜 3の何れか一項に 記載のモータマウント用筒型防振装置。 [請求項 5] 前記本体ゴム弾性体の軸直角方向において、 前記弾性突起の厚さ寸 法が該本体ゴム弾性体の厚さ寸法の 1 / 3以下である請求項 1〜 4の 何れか _項に記載のモータマウント用筒型防振装置。 [請求項 6] 前記本体ゴム弾性体の軸直角方向における前記弾性突起の厚さ寸法 が、 該弾性突起の基端側から先端側に向かって小さくなっている請求 項 1〜 5の何れか一項に記載のモータマウント用筒型防振装置。 \¥02020/175640 24 卩(:171?2020/008129 [請求項 7] 前記インナ軸部材と前記アウタ筒部材との間に及ぼされる防振対象 振動の主たる入力方向が軸直角方向の一方向とされており、 前記弾性突起が、 該防振対象振動の主たる入力方向に対して直交す る軸直角方向の両側において少なくとも存在して、 それぞれ周方向に 延びている請求項 1〜 6の何れか _項に記載のモータマウント用筒型 防振装置。 [請求項 8] 電池式電気自動車の駆動用電気モータを防振支持するものであり、 前記本体ゴム弾性体はサージングによる絶対ばね定数のピークを 5 0 0〜 1 0 0 0 1~1 åの周波数域に有しており、 前記弾性突起における二次共振点が、 該本体ゴム弾性体のサージン グによる絶対ばね定数のピークよりも低い周波数域に設定されており \ 該本体ゴム弾性体のサージングによる絶対ばね定数のピークが、 該 弾性突起を設けたことにより、 該本体ゴム弾性体と位相差をもった該 弾性突起の弾性変形作用に基づいて低減されている請求項 1〜 7の何 れか一項に記載のモータマウント用筒型防振装置。 |
明 細 書
発明の名称 : モータマウント用筒型防振装置
技術分野
[0001 ] 本発明は、 電気自動車の駆動用電気モータを支持するモ ータマウントに用 いられる筒型防振装置に関するものである。
背景技術
[0002] 近年、 環境問題に対する関心の高まり等を背景とし て、 駆動源として内燃 機関に代えて電動モータを採用した環境対応 自動車が提案されている。
[0003] ところで、 ほとんどの環境対応自動車では、 特開平 7— 1 5 6 6 6 3号公 報 (特許文献 1) に示されているように、 従来の内燃機関エンジンを含むパ ワーユニッ トを、 電動モータを含む駆動ユニッ トに変更しただけの構造で検 討されている。 それ故、 駆動ユニッ トである駆動用電気モータを車両ボデー 側の支持部材へ防振支持せしめるマウント装 置は、 従来の内燃機関エンジン を含むパワーユニッ トのマウント装置と略同じ構造が採用されて いる。
[0004] しかしながら、 内燃機関と電気モータでは、 その構造だけでなく、 出力特 性等も大きく異なっており、 駆動用電気モータに適切な防振性能を発揮し 得 るマウント装置は未だ実現されていなかった 。
先行技術文献
特許文献
[0005] 特許文献 1 :特開平 7— 1 5 6 6 6 3号公報
発明の概要
発明が解決しようとする課題
[0006] 具体的には、 例えば、 低回転域で大きなトルクを生じる電気モータ と高回 転域でトルクが増大する内燃機関エンジンで は、 トルク反力を受ける防振装 置への要求特性が異なる。 また、 アイ ドリング振動が問題になる内燃機関と アイ ドリングのない電気モータでは、 要求される低周波振動の防振性能が大 きく異なる。 更に、 一般的に出カクランク軸の二回転で一回発生 する爆発に \¥02020/175640 2 卩(:171?2020/008129
よる回転力が及ぼされる内燃機関エンジン と、 磁石やコイルによる磁極数に 応じて出力軸の一回転毎に数回〜数十回の回 転力が出力軸に及ぼされる電気 モータでは、 出力のトルク変動に起因する振動周波数域が 異なり、 高くても 1 〇〇 1 ~ 1 2程度の高周波エンジン振動の防振性能の要 に止まる内燃機関に 対して、 電気モータ用の防振装置では一般的に 1 0 0 0 1 ~ 1 2程度までのトル ク変動による防振性能が要求される。 加えて、 内燃機関を駆動源とする自動 車では、 防振装置へ及ぼされる駆動反力が、 車両の発進時や加速時に生じる のに対して、 電気モータを駆動源とする自動車では、 回生ブレーキの使用に より、 車両の制動時にも大きな駆動反力が及ぼされ ることとなり、 防振装置 に要求される静的なばね特性や支持ばね剛性 にも違いがある。
[0007] 本発明の解決課題は、 駆動用電気モータを備えた車両に用いられる モータ マウントとして、 上述の如き観点から防振特性又は支持特性を 改善すること で、 従来の駆動用内燃機関の防振マウントよりも 優れた防振装置を提供する ことにある。
課題を解決するための手段
[0008] 以下、 本発明を把握するための好ましい態様につい て記載するが、 以下に 記載の各態様は、 例示的に記載したものであって、 適宜に互いに組み合わせ て採用され得るだけでなく、 各態様に記載の複数の構成要素についても、 可 能な限り独立して認識及び採用することがで き、 適宜に別の態様に記載の何 れかの構成要素と組み合わせて採用すること もできる。 それによって、 本発 明では、 以下に記載の態様に限定されることなく、 種々の別態様が実現され 得る。
[0009] 第一の態様は、 インナ軸部材とアウタ筒部材が本体ゴム弾性 体で連結され ており、 自動車の駆動用電気モータと支持部材との間 に装着されるモータマ ウント用筒型防振装置において、 前記インナ軸部材と前記アウタ筒部材との 軸直角方向の対向面が周方向の全周に亙って 連続して前記本体ゴム弾性体で 連結されていると共に、 該本体ゴム弾性体の軸方向の端面には、 該インナ軸 部材と該アウタ筒部材との対向面間の中間部 分において軸方向の外方に突出 \¥02020/175640 3 卩(:171?2020/008129
して周方向に延びる弾性突起が該本体ゴム 弾性体と一体成形されているもの である。
[0010] 本態様では、 周方向の全周で連続した略環状乃至は筒状の 本体ゴム弾性体 から軸方向に突出する弾性突起を設けたこと で、 モータマウント用に好適な 防振装置が実現可能になる。 例えば、 インナ軸部材とアウタ筒部材との軸直 角方向の対向面間を、 周方向の全周に亙って連続して本体ゴム弾性 体で弾性 連結せしめたことで、 駆動トルクと回生ブレーキによって殆どの車 両走行条 件下で及ぼされる軸直角方向の比較的大きな 外力に対して有効な支持ばね剛 性を設定することが容易となる。
[001 1 ] ここにおいて、 周方向の全周で連続した本体ゴム弾性体で支 持ばね剛性を 確保する構成については、 動的な入力振動に対する防振性能の低下が懸 念さ れる。 しかし、 従来の内燃機関用防振装置ではアイ ドリング振動への対応で 低周波数域の低動ばね特性が要求されていた が、 電気自動車の駆動用電気モ —夕にはそもそもアイ ドリング振動がないことから、 モータマウント用の防 振装置では、 低周波数域における防振性能が殆ど問題にな らない。
[0012] しかも、 高周波数域においては、 本体ゴム弾性体から軸方向に突出する弾 性突起を設けたことで、 本体ゴム弾性体の高動ばね化を抑えることが 可能に なる。 それ故、 中乃至高周波の広い周波数領域、 特に従来の内燃機関用防振 装置では問題にならなかった程の高周波数域 にまで亙って著しい高動ばね化 を避けて、 良好な防振性能を実現することが可能になる 。
[0013] また、 本態様では、 弾性突起が、 本体ゴム弾性体の周方向に延びて湾曲し た形状とされていることから、 本体ゴム弾性体の自由表面積を大きく損なう ことなく、 弾性突起のボリュームの確保や、 弾性突起そのものの変形剛性の 確保にも、 有利となる。 その結果、 例えば本体ゴム弾性体の著しい高動ばね 化の回避が一層高周波数域においても容易に 実現可能になると共に、 本体ゴ ム弾性体の支持ばね剛性の確保にも少なから ず寄与し得る。
[0014] 第二の態様は、 前記第一の態様に係るモータマウント用筒型 防振装置にお いて、 前記弾性突起が、 前記本体ゴム弾性体の周方向で全周に亙って 連続し \¥02020/175640 4 卩(:171?2020/008129
て設けられた環状弾性突起とされているも のである。
[0015] 本態様のモータマウント用筒型防振装置では 、 弾性突起を全周に亙って延 びる環状弾性突起としたことで、 弾性突起のボリュームを全体として容易に 確保することが可能になると共に、 弾性突起による上述の如き技術的効果の 更なる向上も図られ得る。
[0016] 第三の態様は、 前記第 _ 又は第二の態様に係るモータマウント用 筒型防振 装置において、 前記本体ゴム弾性体が、 前記インナ軸部材側から前記アウタ 筒部材側に向かって次第に軸方向寸法が小さ くされて該本体ゴム弾性体の軸 方向両端面がテーパ状傾斜面とされており、 該本体ゴム弾性体の該テーパ状 傾斜面から前記弾性突起が突出しているもの である。
[0017] 本態様のモータマウント用筒型防振装置では 、 本体ゴム弾性体における弾 性突起の突設面がテーパ状傾斜面とされてい ることから、 本体ゴム弾性体の 径寸法を大きくせずとも、 弾性突起の本体ゴム弾性体への連結面積を大 きく 設定することが可能になる。 その結果、 弾性突起によって及ぼされる本体ゴ ム弾性体のばね特性への作用の向上が図られ 得る。
[0018] 第四の態様は、 前記第 _ 〜第三の何れか _ つの態様に係るモータマウント 用筒型防振装置において、 前記本体ゴム弾性体の表面からの前記弾性突 起の 突出高さが、 該本体ゴム弾性体の軸方向長さよりも小さい ものである。
[0019] 本態様のモータマウント用筒型防振装置では 、 弾性突起の軸方向への突出 高さが大きくなり過ぎることに起因して生ず るおそれのある悪影響が軽減乃 至は回避される。 例えば、 弾性突起の他部材への干渉や装着スペースの 問題 、 或いは弾性突起の高次の共振などに伴う本体 ゴム弾性体の防振特性への悪 影響の懸念などを軽減乃至は解消することも 可能になる。
[0020] 第五の態様は、 前記第 _ 〜第四の何れか _ つの態様に係るモータマウント 用筒型防振装置であって、 前記本体ゴム弾性体の軸直角方向において、 前記 弾性突起の厚さ寸法が該本体ゴム弾性体の厚 さ寸法の 1 / 3以下であるもの である。
[0021 ] 本態様のモータマウント用筒型防振装置では 、 弾性突起の厚さが大きくな \¥02020/175640 5 卩(:171?2020/008129
り過ぎることに起因して生ずるおそれのあ る悪影響、 例えば本体ゴム弾性体 の自由表面の減少や、 弾性突起による本体ゴム弾性体の過度の拘束 作用など に伴う防振特性への悪影響などを軽減乃至は 解消することも可能になる。
[0022] 第六の態様は、 前記第 _ 〜第五の何れかの態様に係るモータマウ ント用筒 型防振装置において、 前記本体ゴム弾性体の軸直角方向における前 記弾性突 起の厚さ寸法が、 該弾性突起の基端側から先端側に向かって小 さくなってい るものである。
[0023] 本態様のモータマウント用筒型防振装置では 、 弾性突起の突出方向に脱型 時の抜きテーパを設定することができて製造 も容易になると共に、 例えば弾 性突起のボリュームを確保しつつ弾性突起の 低周波域での共振現象を回避す ることで、 本体ゴム弾性体における低〜中周波数域の防 振性能への悪影響な どを避けるようなチューニングも容易となる 。
[0024] 第七の態様は、 前記第 _ 〜第六の何れかの態様に係るモータマウ ント用筒 型防振装置において、 前記インナ軸部材と前記アウタ筒部材との間 に及ぼさ れる防振対象振動の主たる入力方向が軸直角 方向の一方向とされており、 前 記弾性突起が、 該防振対象振動の主たる入力方向に対して直 交する軸直角方 向の両側において少なくとも存在して、 それぞれ周方向に延びているもので ある。
[0025] 本態様のモータマウント用筒型防振装置では 、 防振対象振動の主たる入力 方向における弾性突起について、 圧縮/引張的な変形態様を生ぜしめること ができて、 それにより、 弾性突起の位相差が好適に発生し、 本体ゴム弾性体 の固有振動数へのチューニングが容易となる 。 それ故、 モータマウントで問 題となりやすい 5 0 0〜 1 0 0 0 1 ~ 1 åの高周波領域における筒型防振装置 ( 本体ゴム弾性体) のサージングに起因する絶対ばね定数の著し い増大に対し て、 本体ゴム弾性体と位相差をもって加振される 弾性突起によって発揮され ると考えられる後述の如き抑制効果の更なる 向上も図られ得る。
[0026] 第八の態様は、 前記第 _ 〜第七の何れかの態様に係るモータマウ ント用筒 型防振装置であって、 電池式電気自動車の駆動用電気モータを防振 支持する \¥02020/175640 6 卩(:171?2020/008129
ものであり、 前記本体ゴム弾性体はサージングによる絶対 ばね定数のピーク を 5 0 0〜 1 0 0 0 1 ~ 1 åの周波数域に有しており、 前記弾性突起における二 次共振点が、 該本体ゴム弾性体のサージングによる絶対ば ね定数のピークよ りも低い周波数域に設定されており、 該本体ゴム弾性体のサージングによる 絶対ばね定数のピークが、 該弾性突起を設けたことにより、 該本体ゴム弾性 体と位相差をもった該弾性突起の弾性変形作 用に基づいて低減されているも のである。
[0027] 本態様のモータマウント用筒型防振装置では 、 本体ゴム弾性体のサージン グに起因する高動ばね化のピークを、 一般的な環境対応自動車で問題になり やすい 5 0 0〜 1 0 0 0 1 ~ 1 2の周波数領域において低減することができ 、 電気自動車のモータマウントとして良好な性 能が実現可能となる。 発明の効果
[0028] 本発明によれば、 電気自動車の駆動用電気モータを支持するモ ータマウン 卜用の筒型防振装置として、 従来の駆動用内燃機関の防振マウントよりも 優 れた防振装置を提供することが可能となる。
図面の簡単な説明
[0029] [図 1]本発明の第一の実施形態としてのモータ ウント用筒型防振装置を示す 斜視図
[図 2]図 1 に示されたモータマウント用筒型防振装置の 縦断面斜視図 [図 3]図 1 に示されたモータマウント用筒型防振装置の 縦断面図
[図 4]図 1 に示されたモータマウント用筒型防振装置の 一実施例について位相 および絶対ばね定数の周波数特性のシミュレ ーション結果を示すグラフ [図 5]第二の実施形態としてのモータマウント 筒型防振装置を示す斜視図 [図 6]図 5に示されたモータマウント用筒型防振装置 一実施例について位相 および絶対ばね定数の周波数特性のシミュレ ーション結果を示すグラフ 発明を実施するための形態
[0030] 以下、 本発明を更に具体的に明らかにするために、 本発明の実施形態につ いて、 図面を参照しつつ、 詳細に説明する。 \¥02020/175640 7 卩(:171?2020/008129
[0031 ] 先ず、 図 1〜 3には、 本発明の一実施形態として電池式電気自動車 のモー タマウント用筒型防振装置 1 0が示されている。 本実施形態のモータマウン 卜用筒型防振装置 1 〇は、 例えば電池式電気自動車の駆動用電気モータ と車 両ボデーとを弾性的に連結して、 駆動用電気モータを車両ボデーに対して防 振支持せしめる。 なお、 以下の説明において、 軸方向とは、 モータマウント 用筒型防振装置 1 〇の中心軸方向となる、 図 3中の左右方向をいう。
[0032] より詳細には、 モータマウント用筒型防振装置 1 0は、 インナ軸部材 1 2 とアウタ筒部材 1 4とが本体ゴム弾性体 1 6で連結された構造を有している
[0033] インナ軸部材 1 2は、 軸方向に延びるロッ ド状の部材とされており、 本実 施形態では、 ストレートに延びる略円筒形状とされている 。 インナ軸部材 1 2は、 金属や繊維補強された合成樹脂等で形成され た高剛性の部材とされて いる。
[0034] アウタ筒部材 1 4は、 インナ軸部材 1 2よりも大径で、 軸方向に延びる筒 状の部材とされており、 本実施形態では、 ストレートに延びる略円筒形状と されている。 アウタ筒部材 1 4は、 インナ軸部材 1 2と同様に、 金属や繊維 補強された合成樹脂等で形成された高剛性の 部材とされている。
[0035] そして、 インナ軸部材 1 2がアウタ筒部材 1 4に対して略同一中心軸上で 挿入されて、 インナ軸部材 1 2とアウタ筒部材 1 4とが本体ゴム弾性体 1 6 によって弾性連結されている。 本体ゴム弾性体 1 6は、 略円筒形状を有する ゴム弾性体であって、 内周面がインナ軸部材 1 2の外周面に固着されている と共に、 外周面がアウタ筒部材 1 4の内周面に固着されている。 本実施形態 では、 本体ゴム弾性体 1 6が、 インナ軸部材 1 2とアウタ筒部材 1 4とを備 えた一体加硫成形品として形成されている。
[0036] 尤も、 本体ゴム弾性体 1 6のインナ軸部材 1 2やアウタ筒部材 1 4に対す る加硫接着は必須でなく、 例えば後固着であっても良いし、 固定用のスリー ブ等を介して本体ゴム弾性体 1 6がインナ軸部材 1 2やアウタ筒部材 1 4に 取り付けられていても良く、 非接着の圧入などによって本体ゴム弾性体 1 6 \¥02020/175640 8 卩(:171?2020/008129
がインナ軸部材 1 2やアウタ筒部材 1 4に取り付けられていても良い。 また 、 インナ軸部材 1 2は中実のロッ ドやボルト態様であっても良いし、 アウタ 筒部材 1 4は、 本体ゴム弾性体 1 6が装着される円形の装着孔を備えた異形 状のブラケッ トやサブフレーム等の車両構成部材などであ っても良い。
[0037] 本体ゴム弾性体 1 6は、 周方向の全周に亙って連続する略円形乃至は 円環 のブロック形状とされている。 即ち、 インナ軸部材 1 2とアウタ筒部材 1 4 との軸直角方向の対向面間には、 周方向の全周に亙って連続して本体ゴム弾 性体 1 6が介在されており、 インナ軸部材 1 2とアウタ筒部材 1 4との軸直 角方向の対向面が本体ゴム弾性体 1 6によって連結されている。 特に本実施 形態の本体ゴム弾性体 1 6にあっては、 周方向において部分的に設けられて 軸方向で貫通するすぐり孔も有していない。
[0038] また、 本実施形態においてインナ軸部材 1 2とアウタ筒部材 1 4との径方 向対向面間には、 本体ゴム弾性体 1 6の軸方向両側面上でそれぞれ軸方向外 方に向かって開口する環状の凹所 1 8 , 1 8が形成されている。 即ち、 本体 ゴム弾性体 1 6の軸方向寸法が、 インナ軸部材 1 2側からアウタ筒部材 1 4 側に向かって次第に小さくなっており、 本体ゴム弾性体 1 6の外周側の軸方 向寸法はアウタ筒部材 1 4の軸方向寸法よりも小さくされている。 そして、 本体ゴム弾性体 1 6の軸方向両側 (図 3中の左右方向両側) の端面が、 内周 から外周に向かって次第に軸方向内方に向か って傾斜するテー/ 状傾斜面 2 0 , 2 0とされていることで、 テーパ状傾斜面 2 0 , 2 0を底面として軸方 向外方に開口する環状の凹所 1 8 , 1 8が形成されている。
[0039] なお、 本実施形態では、 本体ゴム弾性体 1 6における内周端の軸方向寸法 がインナ軸部材 1 2より僅かに短くされている一方、 本体ゴム弾性体 1 6に おける外周端の軸方向寸法はアウタ筒部材 1 4よりも短くされている。 尤も 、 本体ゴム弾性体 1 6の外周端には、 アウタ筒部材 1 4の内周面に加硫接着 するための薄肉の筒状ゴム部が一体成形され ている。 これにより、 インナ軸 部材 1 2とアウタ筒部材 1 4との間に入力される外力は、 本体ゴム弾性体 1 6の実質的に全体に及ぼされるようになって る。 \¥02020/175640 9 卩(:171?2020/008129
[0040] さらに、 本体ゴム弾性体 1 6の軸方向両側の面であるテーパ状傾斜面 2 0 , 2 0には、 軸方向外方 (図 3中の左右方向両側) に突出する弾性突起 2 6 , 2 6が設けられている。 これらの弾性突起 2 6 , 2 6は、 所定厚さの板状 に突出した断面形状をもって周方向に延びる 湾曲形状とされており、 本体ゴ ム弾性体 1 6と一体成形されている。
[0041 ] なお、 弾性突起 2 6の具体的な形状や大きさ、 周方向の長さなどは限定さ れるものでなく、 突出方向も軸方向に対して傾斜していても良 いが、 本実施 形態では、 一定の断面形状で周方向の全周に亙って連続 して延びる略円筒形 状乃至は円環形状を有する環状弾性突起 2 6とされている。 また、 軸方向両 側の弾性突起 2 6 , 2 6は、 互いに同一の形状と大きさで形成されている 。
[0042] 本実施形態の環状弾性突起 2 6は、 軸方向に略ストレートに延びており、 特に本実施形態では、 環状弾性突起 2 6の突出先端が、 アウタ筒部材 1 4か ら軸方向外方に突出し、 且つインナ軸部材 1 2の軸方向外方端にまでは至ら ない軸方向位置とされている。
[0043] また、 環状弾性突起 2 6は、 突出基端が本体ゴム弾性体 1 6に対してテー パ状傾斜面 2 0に一体的に設けられることで連続状態で支 されていると共 に、 突出先端が自由端とされて、 片持ち梁のような構造をもって本体ゴム弾 性体 1 6から突出している。
[0044] 環状弾性突起 2 6の厚さ寸法 ( ) は、 本体ゴム弾性体 1 6の径方向寸法 よりも小さくされており、 本体ゴム弾性体 1 6の軸方向端面 (テーパ状傾斜 面) 2 0の径方向の中間部分から、 環状の凹所 1 8内からインナ軸部材 1 2 とアウタ筒部材 1 4との径方向対向面間を軸方向に延びるよう 突設されて いる。
[0045] 特に本実施形態では、 本体ゴム弾性体 1 6の軸方向端面における径方向の 略中央から環状弾性突起 2 6が突設されている。 なお、 図 2 , 3において、 環状弾性突起 2 6 , 2 6の基端面となる本体ゴム弾性体 1 6のテーパ状傾斜 面 2 0 , 2 0を二点鎖線で示す。 図示されているように、 環状弾性突起 2 6 の基端部における本体ゴム弾性体 1 6との接続部分には、 滑らかにつなぐ隅 \¥02020/175640 10 卩(:171?2020/008129
部肉付け (フイレッ トアール) が付されている。
[0046] 上述の如き構造とされた本実施形態のモータ マウント用筒型防振装置 1 0 は、 例えば図 3に示されるように、 適宜にブラケッ ト等を介して、 駆動用電 気モータと車両ボデー等の支持部材との間に 装着されて、 駆動用電気モータ を支持部材に対して防振支持せしめる。 具体例では、 インナ軸部材 1 2が固 定ボルト 2 8によって車両ボデー側の支持部材 3 0に固定的に取り付けられ ると共に、 アウタ筒部材 1 4が駆動用電気モータ 3 2 (又は、 駆動用電気モ —夕 3 2側の部材) に設けられた装着孔へ圧入等されることで固 定的に取り 付けられる。 これにより、 モータマウント用筒型防振装置 1 0は、 電池式電 気自動車の駆動用電気モータ 3 2を、 車両ボデーに対して防振支持せしめる 。 なお、 車両装着状態におけるモータマウント用筒型 防振装置 1 0の向きは 何等限定されるものではないが、 例えば車両前後方向がモータマウント用筒 型防振装置 1 〇の軸方向と平行又は傾斜して略水平方向に 延びるように取り 付けられる。
[0047] そして、 このようなモータマウント用筒型防振装置 1 0には、 装着状態下 において、 駆動用電気モータ 3 2の静的な分担支持荷重の他、 駆動用電気モ —夕 3 2の駆動反力、 回生ブレーキの作用反力、 駆動用電気モータ 3 2の駆 動トルク振動や回生ブレーキ反力振動等によ る振動が、 インナ軸部材 1 2と アウタ筒部材 1 4との間で軸直角方向に入力されることとな 。
[0048] ここにおいて、 かかるモータマウント用筒型防振装置 1 0では、 軸方向に 貫通するスリッ ト孔などが設けられておらず、 インナ軸部材 1 2とアウタ筒 部材 1 4との軸直角方向の対向面間を周方向の全周 亙って連続して弾性連 結する本体ゴム弾性体 1 6を採用したことにより、 軸直角方向の支持ばね剛 性を有利に確保することができる。
[0049] 特に、 モータマウント用防振装置では、 従来の内燃機関用防振装置に要求 されるアイ ドリング振動に対応する低周波数域の低動ば ね特性が要求されな いことから、 軸方向に貫通するスリッ ト孔を採用しないことによるデメリッ 卜が小さく抑えられる。 しかも、 駆動トルクと回生ブレーキの作動反力によ \¥02020/175640 11 卩(:171?2020/008129
って、 内燃機関用防振装置よりもモータマウント用 防振装置で頻繁に及ぼさ れる軸直角方向の比較的大きな略静的な外力 に対して、 スリッ ト孔を備えな い本体ゴム弾性体により有効な支持ばね剛性 を設定することが可能になる。
[0050] さらに、 動的ばね特性に関して、 モータマウント用防振装置では、 従来の 内燃機関用防振装置で防振対象とされる振動 周波数よりも高周波数域にまで 至る領域において低動ばね特性による防振性 能が要求されることとなり、 特 に振動エネルギーの大きい高周波数域の防振 性能が問題になりやすい。 この ような防振性能の要求に関して、 本実施形態のモータマウント用筒型防振装 置 1 0では、 本体ゴム弾性体 1 6から軸方向に突出する環状弾性突起 2 6 ,
2 6を採用したことにより、 本体ゴム弾性体 1 6の高動ばね化を抑えること が可能になる。 そして、 中乃至高周波の広い周波数領域、 特に従来の内燃機 関用防振装置では問題にならなかった程の高 周波数域にまで亙って著しい高 動ばね化を避けて、 良好な防振性能を実現することが可能になる 。
[0051 ] なお、 本発明者が多くの実験やシミュレーションを 行って解析したところ 、 環状弾性突起 2 6 , 2 6によって達成される本体ゴム弾性体 1 6の中〜高 周波数域での高動ばね化を抑制乃至は回避し 得ることによる防振性能の向上 効果が確認されており、 後述するシミュレーション結果からも明らか である 。 尤も、 環状弾性突起 2 6 , 2 6による機序は単純なものではない。 例えば 、 以下の如き作用の少なくとも一つ、 或いは複数が相加的又は相乗的に作用 しているものと考えることもできる。
( I ) 環状弾性突起 2 6 , 2 6の弾性変形が、 _体成形された連続体である 本体ゴム弾性体 1 6に対して、 本体ゴム弾性体 1 6の弾性変形と所定の位相 差をもって及ぼされることで、 本体ゴム弾性体 1 6の変形量乃至は入力に対 して相殺的な低減効果が発揮されること
( \ \ ) 周方向に延びる円弧板状や円筒形状などとさ れることで有利に発揮 される環状弾性突起 2 6 , 2 6の弾性的な剛性が、 本体ゴム弾性体 1 6の弾 性特性に寄与して防振対象の周波数域でのサ ージングによる高動ばね化を抑 制乃至は回避する作用が発揮されること \¥02020/175640 12 卩(:171?2020/008129
( \ \ \) 入力される振動エネルギーが、 環状弾性突起 2 6 , 2 6の振動に よって消費されることで、 本体ゴム弾性体 1 6の振動のエネルギーの低下が 図られること
( I V) 周方向に連続した本体ゴム弾性体 1 6では、 軸直角方向の振動入力 に際しての弾性変形態様が周方向の各部位で 圧縮/引張/剪断と異なること に伴って、 本体ゴム弾性体 1 6の軸方向両端面も振動入力時に歪 (いびつ) な変形を繰り返すこととなり、 かかる歪な変形量が最も大きくなる径方向の 中間部分に位置して且つ周方向に延びて環状 弾性突起 2 6 , 2 6が形成され ていることから、 上述の (丨) 〜 (丨 丨 丨) の如き作用が一層効率的に発揮 されること
[0052] 因みに、 図 4に一つのシミュレーション結果が例示され いる。 即ち、 図 4 (a) に示された寸法条件を有する実施例として、 本実施形態のモータマ ウント用筒型防振装置 1 〇を特定し、 インナ軸部材 1 2に対して径方向一方 向の加振入力を及ぼした場合において、 (環状弾性突起 2 6の先端) , 巳 (環状弾性突起 2 6の付根) , 0 (本体ゴム弾性体 1 6の中央表面) とにお ける入力振動に対する位相 (度) の周波数変化を図 4 (1〇) に示すと共に、 本体ゴム弾性体 1 6の絶対ばね定数の周波数特性を図 4 (〇) に示す。 また 、 比較例として、 環状弾性突起 2 6を備えない本体ゴム弾性体 1 6からなる モータマウント用筒型防振装置についても、 同じ条件下でのシミュレーショ ン結果を、 図 4 (13) , (〇) 中に参考のために併せ示す。
[0053] 図 4 (〇) から、 環状弾性突起 2 6を備えない比較例では、 5 0 0〜 1 0
0 0 1 ~ 1 åの間である略 7 3 0 1 ~ 1 å付近に本体ゴム弾性体 1 6のサージングに よる絶対ばね定数のピークが認められるのに 対して、 環状弾性突起 2 6を設 けた実施例では、 かかるサージングによる絶対ばね定数のピー クが抑えられ ていることがわかる。
[0054] そして、 図 4 (匕) に示された位相から、 環状弾性突起 2 6の一次共振点 を略 3 4 0 1 ~ 1 åにおいて確認できる。 なお、 共振点は、 減衰の程度に拘わら ず加振に対する位相が 9 0度又は一 9 0度となる周波数として把握できる。 \¥02020/175640 13 卩(:171?2020/008129
[0055] このことから、 環状弾性突起 2 6による本体ゴム弾性体 1 6の絶対ばね定 数のピーク抑制効果が、 周知の動的吸振器 (ダイナミックダンパ) の作用に よるものでないことがわかる。 即ち、 動的吸振器では、 制振対象とされる主 振動系である本体ゴム弾性体 1 6のサージング周波数 (略 7 3 0 1 ~ 1 2) に略 一致するように、 副振動系である環状弾性突起 2 6の一次共振周波数がチュ —ニングされることによって成立するものだ からである。
[0056] しかも、 環状弾性突起 2 6の二次以上の多次の共振点として、 図 4 (匕) から、 略 6 6 0 ! ~ 1 2 (二次共振点) 、 略 8 3 0 ! ~ 1 2 (三次共振点) が認めら れるが、 何れも、 本体ゴム弾性体 1 6のサージング周波数 (略 7 3 0 1 ~ 1 2) から離れている。 特に、 本体ゴム弾性体 1 6のサージング周波数は、 環状弾 性突起 2 6において隣り合う二つの共振点の間の略中 に位置しており、 隣 り合う何れの共振点からも 1 / 4 以上、 好適には 1 / 3 以上、 離れてい る。 なお、 は、 本体ゴム弾性体 1 6のサージング周波数を挟んで隣り合う 共振点の離間周波数であり、 図 4 (匕) では、 =略8 3 0 1 ~ 1 2 -略6 6 0 1 ~ 1 å =略 1 7 0 1 ~ 1 åとなる。
[0057] また、 図 4 (匕) から、 環状弾性突起 2 6の二次共振点 (略 6 6 0 ! ~ 1 2) は、 本体ゴム弾性体 (1 6) のサージング周波数 (一次共振点である略 7 3 に対して、 低周波側とされている。 そして、 本体ゴム弾性体 1 6の サージングによって絶対ばね定数が上昇し始 める周波数域に、 環状弾性突起 2 6の二次共振点が設定されている。
[0058] そして、 図 4 (匕) に比較例として示されているように、 本体ゴム弾性体
1 6の位相が、 0度から、 サージング周波数 (略 7 3 0 1 ~ 1 2) での一 9 0度 に近づく際、 環状弾性突起 2 6の位相は、 二次共振点における + 9 0度から 0度に近づくように変化することとなる。 しかし、 両者 (比較例として示さ れた本体ゴム弾性体単品での位相と、 実施例に示された環状弾性突起 2 6の 先端の位相) の間における差 (位相差) は、 略 9 0度以上の大きさを保って おり、 特に本体ゴム弾性体 1 6のサージング周波数 (略 7 3 0 1 ~ 1 2 ) での位 相差は略 1 1 0度となっている。 \¥02020/175640 14 卩(:171?2020/008129
[0059] それ故、 両者の位相は、 周期の略 1 / 2に亙って逆位相とされることとな り、 特に位相差が略 1 1 〇度に達する本体ゴム弾性体 1 6のサージング周波 数の前後領域では周期の過半分において、 環状弾性突起 2 6が、 本体ゴム弾 性体 1 6に対して逆位相で加振変位することとなる その結果、 環状弾性突 起 2 6は、 本体ゴム弾性体 1 6のサージングに対して有効な抵抗力となり その結果、 図 4 (匕) の実施例グラフにおいて 0 (本体) の振動状態が略 0 度の位相角を維持していることが示されてい るように、 本体ゴム弾性体 1 6 のサージングによる位相角の変化が、 環状弾性突起 2 6の作用で抑えられる 。 そして、 本体ゴム弾性体 1 6のサージング自体が回避されることによっ 、 図 4 (〇) に示されるように、 当該サージングに起因する絶対ばね定数の 増大に対して抑制作用が発揮されるものと考 えられる。
[0060] しかも、 環状弾性突起 2 6は、 片持ち梁の如き形態を有しており、 加振点 が本体ゴム弾性体 1 6と一体化された基端側であることから、 環状弾性突起 2 6の先端での上述の周波数での位相は、 基端側よりもある程度遅れている と推定することもできる。 そうすると、 環状弾性突起 2 6が本体ゴム弾性体 1 6に対して相殺的な制振作用を及ぼす環状弾 突起 2 6の基端側では、 図 4 (b) の実施例グラフに表された位相角よりもある 程度プラス側となるこ とから、 本体ゴム弾性体 1 6のサージング領域における本体ゴム弾性体 1 6 (環状弾性突起を有しない比較例) と環状弾性突起 2 6との間の位相差は、
9 0度よりも更に一層大きくなり、 その結果、 環状弾性突起 2 6による本体 ゴム弾性体 1 6のサージングに対する相殺的な制振作用が 層効果的に発揮 され得ると考えることもできる。
[0061 ] さらに、 本体ゴム弾性体 1 6に対してサージングの抑制効果を発揮する 状弾性突起 2 6は、 略共振状態にあって振動倍率も大きいことか ら、 本体ゴ ム弾性体 1 6のサージングに対してより効果的な抵抗力 なり得る。
[0062] 加えて、 本体ゴム弾性体 1 6に対してサージングの抑制効果を発揮する 状弾性突起 2 6の共振状態は、 二次以上の多次の共振点 (本実施例では二次 共振点) とされていることから、 環状弾性突起 2 6の共振点をチューニング \¥02020/175640 15 卩(:171?2020/008129
するに際して比較的大きなマス要素の質量 を確保することが容易となる。 即ち、 モータマウント用筒型防振装置 1 0で問題となる本体ゴム弾性体 1 6 のサージング周波数が比較的に高周波数域で あり、 それに対応するために環 状弾性突起 2 6の共振点チューニングに際して、 突出基端部断面積を過度に 大きく してパネ要素 を大きく したり突出基端部断面積を過度に小さく して マス要素の質量 を制限することで環状弾性突起 2 6の一次共振点を高周波 域に設定する必要もない。 それ故、 環状弾性突起 2 6において、 全体的な大 型化を回避しつつマス要素の質量 を確保することで、 上述の如き本体ゴム 弾性体 1 6の変位に対して逆位相として抑制する作用 を一層効率的に得る ことが可能になる。
[0063] 特に本実施形態の環状弾性突起 2 6は、 周方向に連続した環状体とされて いることから、 例えば円形や矩形などの断面形状をもつた棒 状突起からなる 弾性突起を設けた場合に比して、 比較的に小さな断面積でも環状弾性突起 2 6のパネ要素 (ばね定数) を大きく設定することが可能になる。 蓋し、 棒 状突起では振動に際して剪断変形が支配的に なるのに対して、 周方向に延び る円弧形状や円環形状などの弾性突起では、 振動に際して断面係数も大きく されて圧縮/引張成分も有効に発生するから ある。 特に、 周方向に延びる 環状弾性突起 2 6において、 インナ軸部材 1 2とァウタ筒部材 1 4との間に 及ぼされる防振対象振動の主たる入力方向と される軸直角方向に対して直交 する軸直角方向両側に位置する部分では、 振動入力に際して環状弾性突起 2 6の変形に圧縮/引張成分が大きくなることか 、 少なくともかかる部位を 周方向に延びるように弾性突起を設けること が望ましい。
[0064] なお、 上述の如き考察に関連して、 環状弾性突起 2 6における略 3 4 0 1 ~ 1 åの一次共振の周波数域前後では、 図 4 (〇) に示されているように僅かな 絶対ばね定数の増大が認められるものの、 そもそも本体ゴム弾性体 1 6のサ —ジング周波数から外れていることから、 防振性能への問題となる悪影響は 認められない。
[0065] また、 環状弾性突起 2 6における略 6 6 0 ! ! å前後の二次共振の周波数域 \¥02020/175640 16 卩(:171?2020/008129
のうち、 当該共振点を越えた周波数域では、 上述の如き本体ゴム弾性体 1 6 のサージング状態下での位相差により、 本体ゴム弾性体 1 6と相殺的に絶対 ばね定数の増大が抑えられる。 一方、 当該共振点に至るまでの周波数域では 、 環状弾性突起 2 6の共振作用に起因して絶対ばね定数の増大 認められる が、 図 4 (〇) に示される比較例としての本体ゴム弾性体 1 6のサージング に起因する絶対ばね定数の増大に比して、 大きな問題とならない。
[0066] 更にまた、 環状弾性突起 2 6における三次以上の共振周波数では、 そもそ も本体ゴム弾性体 1 6が、 サージング周波数を越えることで、 本体ゴム弾性 体 1 6自体のサージングが問題とならずに動ばね 数が増大することがない 。 それ故、 本体ゴム弾性体 1 6のサージング周波数より高い周波数域にお て、 環状弾性突起 2 6における多次の共振が問題となることもな 。
[0067] また、 図 4 (匕) に示されているように、 本体ゴム弾性体 1 6のサージン グ周波数 (略 7 3 0 ! ~ 1 2の共振点) を越えると、 環状弾性突起 2 6との位相 差が 9 0度を下回って急に小さくなり、 それに伴って、 図 4 (〇) に示され るように絶対ばね定数の増大も認められる。 しかし、 上述のように、 本体ゴ ム弾性体 1 6のサージング周波数を越えた周波数域では 本体ゴム弾性体 1 6自体のサージングが問題とならないから、 問題となる程に著しい動ばね定 数の増大も認められない。
[0068] なお、 環状弾性突起 2 6の具体的な大きさや形状などは限定される ので ないが、 上述の如き作用などを考慮すると、 例えば以下の如き具体的な態様 が好適に採用され得る。
[0069] 先ず、 環状弾性突起 2 6の突出高さ丁 (図 3参照) は、 本体ゴム弾性体 1
6の軸方向長さ!- (図 3参照) よりも小さくすることが望ましく、 例えば 0 . 1 !_ £丁£ !_の範囲内で好適に設定され得る。 これにより、 環状弾性突起 2 6の作用の実効の確保や他部材への干渉の回 などが実現されると共に、 例えば環状弾性突起 2 6そのものの多次の共振などによる本体ゴム 性体 1 6の弾性特性への悪影響を軽減乃至は回避す ことも容易となる。
[0070] なお、 環状弾性突起 2 6の突出高さ丁は、 環状弾性突起 2 6の実質的な長 \¥02020/175640 17 卩(:171?2020/008129
さであり、 弾性突起としての有効長として把握すること もできる。 図 3では 、 環状弾性突起 2 6の突出高さ丁として、 略平均となる、 径方向の略中央の 突出高さを示している。 また、 本体ゴム弾性体 1 6の軸方向長さ!-は、 本体 ゴム弾性体 1 6における実質的な軸方向長さであり、 弾性体としての有効長 として把握することもできる。 図 3では、 本体ゴム弾性体 1 6の軸方向長さ !_として、 略平均となる、 径方向の略中央の軸方向長さを示している。
[0071 ] 尤も、 環状弾性突起 2 6の変形に伴う他部材への緩衝や打ち当りな を考 慮すると、 環状弾性突起 2 6の軸方向の突出先端位置は、 インナ軸部材 1 2 の軸方向先端位置よりも軸方向内方であるこ とが望ましく、 本体ゴム弾性体 1 6の軸方向先端位置よりも軸方向内方である とがより望ましい。
[0072] また、 環状弾性突起 2 6の厚さ寸法 (図 3参照) は、 本体ゴム弾性体 1
6の厚さ寸法 (図 3参照) よりも小さく設定されることとなり、 例えば 0 . 1 8 の範囲内で好適に設定され得る。 これにより、 環状弾 性突起 2 6の剛性やボリューム等が確保されて作用の 効が図られると共に 、 本体ゴム弾性体 1 6を過度に拘束すること等による悪影響を軽 乃至は回 避することも容易となる。
[0073] なお、 環状弾性突起 2 6は、 本体ゴム弾性体 1 6の厚さ方向 (軸直角方向 ) の中心 (中央) に設ける必要はなく、 本体ゴム弾性体 1 6の厚さ方向の両 端縁を除く中間部分であれば何れの位置であ っても良く、 厚さ方向の一方の 側へ偏倚して設けても良い。 尤も、 本体ゴム弾性体 1 6のサージング (一次 共振) による高動ばね化を効率的に抑制する作用の 観点からは、 本体ゴム弾 性体 1 6の変形変位が大きくなりやすい、 本体ゴム弾性体 1 6の厚さ方向の 略中央に環状弾性突起 2 6を設けることが望ましい。
[0074] また、 本実施形態では、 環状弾性突起 2 6の厚さ寸法 が突出基端から突 出先端に向かって次第に小さくなるように、 脱型用の抜きテーパに相当する 程度に僅かに変化している。 図 3では、 環状弾性突起 2 6の厚さ寸法 とし て、 突出基端の隅部肉付部分を除いた実質的な厚 さ寸法であって、 略平均と なる突出方向中央部分の厚さ寸法を示してい る。 \¥02020/175640 18 卩(:171?2020/008129
[0075] 更に、 環状弾性突起 2 6のゴムボリユーム V ,は、 本体ゴム弾性体 1 6のゴ ムボリユーム \/ 2 よりも小さく設定されることが望ましく 、 例えば〇. 0 0 1 5 2 の範囲内で好適に設定され得る。 これにより、 環状弾性 突起 2 6の質量等が確保されて作用の実効が図られ と共に、 環状弾性突起 2 6を設けることによる本体ゴム弾性体 1 6への悪影響を軽減乃至は回避す ることも容易となる。
[0076] 以上、 本発明の実施形態について説明してきたが、 本発明は上述の実施形 態や解決手段の欄における具体的乃至は限定 的な記載によって制限的に解釈 されるものでなく、 当業者の知識に基づいて種々なる変更、 修正、 改良など を加えた態様で実施可能である。
[0077] 例えば、 本体ゴム弾性体は、 周方向の全周に亙って連続する中実形状とさ れていればよく、 要求される防振特性等に応じて、 軸方向両端面に開口する 有底の肉抜穴が設けられる等して、 軸方向寸法が周方向で部分的に異ならさ れてもよい。
[0078] また、 本体ゴム弾性体の軸方向両側の弾性突起は、 形状や大きさ等が相互 に異なっていてもよい。 また、 弾性突起は、 軸方向に対して傾斜していたり 、 屈曲や湾曲していてもよいし、 突出方向において厚さ寸法などが変化する 態様や、 周方向において突出高さや厚さ寸法などの形 状が変化する態様も採 用可能である。 また、 弾性突起は、 例えば本体ゴム弾性体の周方向で部分的 に一つ又は複数の弾性突起が設けられてもよ い。 弾性突起が周方向で部分的 に設けられる場合には、 弾性突起の周方向の総長が、 例えば 1 / 3周以上と されることが好適であり、 1 / 2周以上とされることがより好適である。 な お、 弾性突起が、 周方向で全周に亙って、 又は部分的に設けられる場合には 、 弾性突起全体の形状は、 前記実施形態の如き円環形状の他、 楕円や長円、 半円、 多角形状等の非円環形状であってもよい。
[0079] 因みに、 図 5に、 前記第一の実施形態とは別態様の弾性突起 4 0を設けた 、 本発明の第二の実施形態としてのモータマウ ント用筒型防振装置 4 2を示 す。 なお、 第一の実施形態と同様な構造とされた部材及 び部位については、 \¥02020/175640 19 卩(:171?2020/008129
第一の実施形態と同一の符合を図 5中に付しておく。
[0080] 本実施形態のモータマウント用筒型防振装置 4 2では、 第一の実施形態と 同様に、 本体ゴム弾性体 1 6の軸方向両端面に弾性突起 4 0が一体形成され ている。 かかる弾性突起 4 0は、 本体ゴム弾性体 1 6の径方向の略中央部分 から軸方向外方に向かって突出しており、 インナ軸部材 1 2の中心軸と略同 じ中心回りで周方向に延びている。
[0081 ] ここにおいて、 第一の実施形態では、 周方向に連続して環状に延びる環状 弾性突起 2 6が採用されていたが、 本実施形態の弾性突起 4 0は、 周方向で 部分的に形成されている。 具体的には、 本体ゴム弾性体 1 6の中心軸を挟ん だ径方向一方向で対向位置するように設けら れた一対の円弧壁状の弾性突起 4 0 3 , 4 0 3によって弾性突起 4 0が構成されている。
[0082] 本実施形態の弾性突起 4 0も、 第一の実施形態の環状弾性突起 2 6と同様 に、 基端部分において本体ゴム弾性体 1 6と一体的に設けられていると共に 、 先端部分において自由端とされている。 そして、 弾性突起 4 0には、 基端 部分において、 本体ゴム弾性体 1 6からの振動が加振力として入力されるよ うになっており、 全体として略片持ち梁のような態様で弾性変 形して加振変 形が生ぜしめられるようになっている。
[0083] 従って、 本実施形態のモータマウント用筒型防振装置 4 2であっても、 第 _の実施形態と同様に、 弾性突起 4 0の共振周波数を、 本体ゴム弾性体 1 6 単体のサージング特性を考慮してチユーニン グすることにより、 本体ゴム弾 性体 1 6と弾性突起 4 0との位相差に基づく相殺的なサージング抑 作用な どにより、 本体ゴム弾性体 1 6のサージングに起因する絶対ばね定数のピ クを抑えることができる。
[0084] なお、 本体ゴム弾性体 1 6は、 インナ軸部材 1 2とアウタ筒部材 1 4との 間において周方向の全周に亙って連続して設 けられていることから、 何れの 軸直角方向の入力振動に際しても、 周方向の何れの部位も弾性変形せしめら れることとなり、 サージング現象も全体として発生するものと 考えられる。 それ故、 弾性突起は、 本体ゴム弾性体 1 6において、 周方向の任意の位置に \¥02020/175640 20 卩(:171?2020/008129
任意の大きさ等をもって設けることが可能 であり、 入力振動に対する相対的 な位置や大きさ、 形状などによって、 弾性突起の共振周波数などをチューニ ングすることができる。
[0085] 因みに、 本実施形態では、 一対の弾性突起 4 0 4 0 3 の対向する径方 向に対して直交する方向となる図 5中の X方向において、 インナ軸部材 1 2 とァウタ筒部材 1 4との間に加振力が及ぼされた場合の絶対ば 特性の周波 数特性を、 シミュレーションによって測定した結果を図 6に示す。 なお、 弾 性突起を有しない本体ゴム弾性体を備えた筒 型防振装置についても同様なシ ミュレーションを行って、 得られた特性を図 6中に比較例として併せ示す。 また、 本実施形態でも、 第一の実施形態と同様に、 一対の弾性突起 4 0 4 0 3の一次共振周波数を、 本体ゴム弾性体のサージング周波数チ 0に対し て、 干 0 X 3 / 4以下となる低い周波数域、 より好適には干 0 X 2 / 3以下 となる充分に低い周波数域に設定されている 。 また、 一対の弾性突起 4 0 3 , 4 0 3の二次共振周波数を、 本体ゴム弾性体のサージング周波数より低周 波数側に設定すると共に、 一対の弾性突起 4 0 4 0 3 の三次共振周波数 を、 本体ゴム弾性体のサージング周波数より高周 波数側に設定している。
[0086] その結果、 図 6から判るように、 本実施形態のモータマウント用筒型防振 装置 4 2においても、 第一の実施形態と同様に、 本体ゴム弾性体 1 6と弾性 突起 4 0との位相差に基づく相殺的なサージング抑 作用などによるものと 考えられる、 本体ゴム弾性体 1 6のサージングに起因する絶対ばね定数のピ —クの抑制効果が発揮されることが認められ る。 尤も、 第一及び第二の実施 形態で示したシミュレーション結果は、 作用効果を確認的に示す例示であっ て、 弾性突起に関して最適なチューニングを行っ たものでない。 それ故、 弾 性突起の大きさや形状、 或いはばね要素やマス要素について更にチュ ーニン グを煮詰めることで、 より優れた絶対ばね定数の周波数特性が実現 可能であ ることが理解されるべきである。
[0087] 更にまた、 弾性突起が複数設けられる場合には、 互いに同じ形状や大きさ 等である必要はなく、 また、 径方向で異なる位置に設けられていても良い 。 \¥02020/175640 21 卩(:171?2020/008129
なお、 弾性突起が周方向で独立して複数設けられる 場合には、 主たる振動入 力方向及び/又はそれに直交する軸直角方向 対向位置するように設けられ ることが望ましい。
[0088] 尤も、 前記実施形態では、 本体ゴム弾性体 1 6の軸方向両側に弾性突起 2
6 , 2 6、 4 0 , 4 0が設けられていたが、 本体ゴム弾性体 1 6の軸方向一 方の側にだけ弾性突起を設けるようにしても 良い。 本発明者は、 本体ゴム弾 性体 1 6の軸方向一方の側にだけ、 第一の実施形態と同様な環状弾性突起 2 6を設けた態様についても、 第一の実施形態と同様にシミュレーションを 行 つた。 その結果、 本体ゴム弾性体 1 6のサージングによる絶対ばね定数の増 大に対して、 軸方向両側に弾性突起を設けた第一の実施形 態に比して効果の 程度は小さいものの、 略同様な抑制効果が発揮され得ることを確認 している
[0089] さらに、 前記実施形態では、 本体ゴム弾性体 1 6の軸方向両端面 (テーパ 状傾斜面 2 0 , 2 0) に、 それぞれ一つの環状弾性突起 2 6 , 2 6が設けら れていたが、 例えば本体ゴム弾性体の軸方向両端面のそれ ぞれにおいて、 軸 直角方向の異なる位置に円環形状及び/又は 円環形状の弾性突起が複数設 けられてもよい。
[0090] また、 前記実施形態のモータマウント用筒型防振装 置 1 0が適用される電 池式電気自動車としては、 電気モータを主たる駆動源として備える電気 自動 車のなかで、 電気モータを駆動するための電力を備える電 池を備えたもので あり、 例えば二次電池式電気自動車や燃料電池式電 気自動車、 発電機 (レン ジエクステンダー) を備えた電気自動車、 ソーラーカーを含み、 特に駆動源 としての内燃機関を電気モータと一体的に防 振支持せしめる態様で設けてい ない電気自動車を対象とするものである。 尤も、 本発明のモータマウント用 筒型防振装置が適用される電気自動車は電池 式である必要はなく、 駆動用の 電気モータを備えていればよい。
[0091 ] なお、 前記実施形態では、 インナ軸部材 1 2が車両ボデー側の支持部材 3
0に固定されると共に、 アウタ筒部材 1 4が駆動用電気モータ 3 2 (又は駆 \¥02020/175640 22 卩(:171?2020/008129
動用電気モータ 3 2側の部材) に固定されていたが、 駆動用電気モータの配 置態様や支持態様が限定されるものではなく 、 本発明は、 例えばサスペンシ ョン機構を介して支持される車軸側に駆動用 電気モータが装着される電気自 動車におけるモータマウント等にも適用可能 である。
符号の説明
[0092] 1 0 :モータマウント用筒型防振装置、 1 2 :インナ軸部材、 1 4 : アウタ 筒部材、 1 6 :本体ゴム弾性体、 2 0 :テーパ状傾斜面、 2 6 :環状弾性突 起 (弾性突起) 、 2 8 :固定ボルト、 3 0 :支持部材、 3 2 :駆動用電気モ —夕、 4 0 :弾性突起、 4 2 :モータマウント用筒型防振装置