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Patent Searching and Data


Title:
ELECTROPHOTOGRAPHIC-PHOTOSENSITIVE ELEMENT AND METHOD FOR MANUFACTURING THE ELEMENT, AND ELECTROPHOTOGRAPHIC DEVICE USING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/104571
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided are an electrophotographic-photosensitive element and an electrophotographic device, which are used in a high speed/resolution color machine of a positively charging type and which are excellent in dot-reproducibility and graduation. Also provided is an electrophotographic-photosensitive element, which can realize the optimum sensitivity characteristics for each device merely by adjusting the film thickness percentage. The electrophotographic-photosensitive element is positively charged into a laminated type by laminating a charge transport layer, which includes a positive hole transport material and a first adhesive resin, and a charge generating layer, which includes a charge generating material, a positive hole transport material and a second adhesive resin, sequentially on a conductive base member. The contents of the charge generating material in the charge generating layer are within a range over 0.7 wt. % and below 3.0 wt. % in the same layer.

Inventors:
KITAGAWA SEIZO (JP)
NAKAMURA YOICHI (JP)
EMORI HIROSHI (JP)
TANAKA YASUSHI (JP)
ICHIYANAGI HIROYUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/052620
Publication Date:
August 27, 2009
Filing Date:
February 17, 2009
Export Citation:
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Assignee:
FUJI ELEC DEVICE TECH CO LTD (JP)
KITAGAWA SEIZO (JP)
NAKAMURA YOICHI (JP)
EMORI HIROSHI (JP)
TANAKA YASUSHI (JP)
ICHIYANAGI HIROYUKI (JP)
International Classes:
G03G5/047; G03G5/05; G03G5/147; G03G9/087
Domestic Patent References:
WO2005119373A12005-12-15
Foreign References:
JP2000122327A2000-04-28
JP2005140947A2005-06-02
JPS6432264A1989-02-02
JP2006047344A2006-02-16
JP2004240056A2004-08-26
JP2000321800A2000-11-24
JPH11288108A1999-10-19
JPH05100453A1993-04-23
JP2000105476A2000-04-11
JPH09281741A1997-10-31
JPH11109664A1999-04-23
JPH08305074A1996-11-22
Attorney, Agent or Firm:
HONDA, ICHIRO (JP)
Ichiro Honda (JP)
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Claims:
 導電性支持体上に、少なくとも正孔輸送材と第1の結着樹脂とからなる電荷輸送層と、少なくとも電荷発生材、正孔輸送材、電子輸送材及び第2の結着樹脂からなる電荷発生層が順次積層されてなる積層型正帯電の電子写真感光体において、前記電荷発生層内の前記電荷発生材の含有率が当該層内中0.7wt%を超え3.0wt%未満の範囲であることを特徴とする電子写真感光体。
 請求項1記載の電子写真感光体において、表面保護層を形成せずに前記電荷発生層が最表面層であることを特徴とする電子写真感光体。
 請求項1記載の電子写真感光体において、前記電荷発生層中の前記第2の結着樹脂の含有率が、40wt%~70wt%であることを特徴とする電子写真感光体。
 請求項2記載の電子写真感光体において、前記電荷発生層中の前記第2の結着樹脂の含有率が、40wt%~70wt%であることを特徴とする電子写真感光体。
 請求項1記載の電子写真感光体において、前記電荷輸送層中の前記第1の結着樹脂の含有率が40wt%~60wt%であることを特徴とする電子写真感光体。
 請求項2記載の電子写真感光体において、前記電荷輸送層中の前記第1の結着樹脂の含有率が40wt%~60wt%であることを特徴とする電子写真感光体。
 請求項1記載の電子写真感光体において、前記第1の結着樹脂がポリスチレンであることを特徴とする電子写真感光体。
 請求項2記載の電子写真感光体において、前記第1の結着樹脂がポリスチレンであることを特徴とする電子写真感光体。
 導電性支持体上に、少なくとも正孔輸送材と第1の結着樹脂とからなる電荷輸送層と、少なくとも電荷発生材、正孔輸送材、電子輸送材及び第2の結着樹脂からなる電荷発生層が順次積層されてなる積層型正帯電の電子写真感光体の製造方法であって、前記電荷発生層内の前記電荷発生材の含有率を当該層内中0.7wt%を超え3.0wt%未満の範囲とし、前記電荷輸送層の膜厚と前記電荷発生層の膜厚との相対比を変えることにより所望の感度に設定することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
 請求項9記載の電子写真感光体の製造方法において、前記電荷輸送層の第1の結着樹脂がポリスチレンであり、前記電荷輸送層上に前記電荷発生層を浸漬塗工方法により製膜することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
 請求項1記載の電子写真感光体を搭載することを特徴とする電子写真装置。
 請求項11記載の電子写真装置において、正極性重合トナー使用の非磁性一成分接触現像クリーナーレスプロセスであることを特徴とする電子写真装置。
Description:
電子写真感光体およびその製造 法、それを使用した電子写真装置

 本発明は、高解像度、高速の正帯電方式 電子写真装置にあって、帯電特性及び孤立 ット再現性に優れ、最適な感度合わせこみ 造が可能であり、かつ最適な画像品質が得 れる電子写真感光体、その製造方法、及び れを用いた電子写真装置に関する。

 従来、プリンタ、ファクシミリ、コピー 等の電子写真方式を利用した画像形成装置 、像担持体である感光体と、この表面を均 に帯電させる帯電装置と、画像に応じた電 的な像(静電潜像)を書き込む露光装置と、 の潜像にトナーを現像することでトナー像 作る現像装置と、このトナー像を転写紙に 写する転写装置をもつ。さらに、この転写 上のトナーを転写紙に融着させるための定 装置を併せもつ。

 このような画像形成装置では、その装置 ンセプトによって用いられる感光体が異な が、現在は、大型機・高速機におけるSeやa- Si等の無機系感光体を除き、その優れた安定 ・コスト・使いやすさから、有機顔料を樹 中に分散させた有機感光体(OPC:Organic Photo C onductor、以下「OPC」と略記する)が広く用いら れている。

 このOPCは、無機系感光体が正帯電型であ ことと対称的に、一般的には負帯電型であ 。その理由は、負帯電OPCに必要な、良好な 孔輸送機能をもつ正孔輸送材が古くから開 されてきたのに対し、正帯電OPCに必要な、 好な電子輸送能をもつ電子輸送材がなかな 開発されなかったことによる。

 この負帯電型OPC用の負帯電プロセスでは 負極性のコロナ放電によるオゾン発生量が 極性に対し約10倍と圧倒的に多く、感光体 の悪影響や、使用環境への悪影響が問題と っている。そのため、ローラー帯電やブラ 帯電のような接触帯電方式を採用すること 、オゾン発生量を抑制しているが、コスト 正極性の非接触帯電方式に比べ不利である 、帯電部材の汚染は避けられず、信頼性面 不十分であることや、感光体の表面電位を 一にしにくい等、高画質化の点でも不利な をもっている。

これらの問題を解決するためには、正帯電 OPCを適用することが有効であり、高性能な正 帯電OPCが求められている。正帯電OPCは、上述 のような正帯電方式特有のメリットの他にも 、ドット再現性(解像性・階調性)が負帯電OPC 対して有利なことが挙げられ、高解像度化 進む各分野で検討されるようになっている かかる正帯電OPCでは、以下のように、大き 分けて4種類の層構成があり、以前から盛ん にこれらのタイプのものが提案されている。

 第1のタイプは、特許文献1、特許文献2に 載されているように、支持体上に電荷輸送 、電荷発生層、を順次積層した2層構成(下 き層有無は考慮しない)の機能分離型感光体 ある。

 第2のタイプは、特許文献3、特許文献4、 許文献5のように、上記2層構成の上に表面 護層を積層した3層構成(下引き層有無は考慮 しない)の機能分離型感光体である。

 第3のタイプは、特許文献6、特許文献7の うに、第1のタイプとは逆に電荷発生層、電 荷(電子)輸送層を順次積層した逆積層の2層構 成(下引き層有無は考慮しない)の機能分離型 光体である。

 第4のタイプは、特許文献8のように、電 発生材、正孔輸送材、電子輸送材を同一層 に分散した単層型感光体である。

 この内、第4のタイプの単層型感光体につ いては、詳細な検討がなされ、唯一実用化が 盛んに進められている。その大きな理由は、 正孔輸送材の正孔輸送機能に対し、輸送能で 劣る電子輸送材の電子輸送機能を、正孔輸送 材が補完する構成をとっているためと考えら れる。分散型であるが故に、膜中内部でもキ ャリア発生は起きるが、表面近傍程キャリア 発生量は大きく、正孔輸送距離に対し電子輸 送距離は小さくてすみ、電子輸送能は正孔輸 送能程必要ないものと考えられる。

 また、膜中内部で発生する場合でも、表 方向に移動する電子に対し、反対方向から 動してくる絶対量の多い正孔に捕獲される め、正孔輸送能に対して電子輸送能は低い ベルで済むと考えられる。これにより、他 三つのタイプに対し、実用上十分な、環境 定性と疲労特性を実現している。

 一方、ドット再現性の観点からは、正帯電O PCと負帯電OPCとの間で以下の違いがある。
 単層型正帯電OPCでは、キャリア発生機能と 送機能を単一の膜に設けた分散型感光体と っている。そのため、露光により発生する ャリアの位置は、比較的表面近傍となり、 に露光ビームの裾野の部分(孤立ドットの端 部)は光エネルギーが小さく表面近傍となる その結果ドットの裾野部分は最も早く表面 電荷を打ち消し、中央程光エネルギーが高 ため、キャリア発生位置が深くなることか 遅く感光体表面に到達する。即ち、孤立ド トの外側から表面の電荷が消失することと り、1ドットのガウス分布に忠実な静電潜像 得易い。

 一方、積層型負帯電OPCでは、キャリア発 位置が支持体近傍の薄い電荷発生層であり 深い位置となる。キャリアが電荷発生層内 ら電荷輸送層へ注入する時に拡散するとと に、電荷輸送層内を移動する際、密度の高 キャリア(露光ビーム中心よりのキャリア) より、外側の密度の低いキャリアが、より 側に拡散させられるものと考えられる。ま 、負帯電OPCでは、キャリア(正孔)の移動度が 正帯電OPCのキャリア(電子)移動度に対し大き 、横方向への移動も起き易いため、1ドット の裾野の部分が広がり易いと考えられる。そ のため、1ドットによる静電潜像の広がりが 露光光のガウス分布に対し大きくなるもの 考えられる。

 従って、原理的に単層型正帯電OPCは、露 光によるキャリア発生から移動メカニズム 点で、ドット再現性に優れた特徴を本来持 ているものと考えられる。

 しかしながら、近年の装置の高速化・高 像度化・カラー化により、孤立ドット再現 、高階調性への要求は益々厳しくなってい 。特に、カラー機では、一色ずつのドット 色重ねにより、中間色を出す必要性があり 一層のドット再現性、高階調性が求められ いる。優れたドット再現性を実現するには 装置毎に異なる現像特性に最適な感度特性 感光体に持たせることが重要となる。

 また、図1に示すように、光減衰曲線にお いて、露光エネルギーの低い領域での感光体 の表面電位を低くすること(Lowγ化)が、1ドッ の潜像に対するトナーの現像効率を上げる めに有効な手段となっている。

 しかしながら、現在実用化されている正 電OPCでは、前述のように、単一膜中に機能 を分散するタイプであることから、最近の 速・高解像・カラー機等の様々な要求感度 対応可能な感度制御には限界がある。以下 その理由を述べる。

 第一に単層正帯電OPCでは、単一膜にキャ ア発生とキャリア輸送の両機能を持たせて ることから、塗布工程の簡素化が可能であ 、高い良品率と工程能力を得易い長所を持 一方で、これと裏腹に感度特性を殆ど制御 きない欠点を持っている。

 しかしながら、最近の高速・高解像・カ ー機等において、優れた解像度・階調性・ ット再現性を実現するためには様々な要求 度に対応する必要がある。これに対応する めに、感光体メーカー側では、特許文献9に 記載されているように、電荷発生材を使い別 けるという、新たな材料開発や塗布液開発を しなければならず、開発資源の消費や塗布液 の増加に伴う生産効率の悪化を招き易い。そ の結果、装置メーカー側で、感光体への合わ せこみが必要となり、設計の余裕度も減少す るという欠点を有していた。

 第二にこれまで述べてきたように、光減 曲線をLowγ化するには、電荷発生材の添加 増加によるキャリア発生量上昇が有効であ が、単一の分散膜では、暗減衰特性や帯電 能の悪化といった副作用を招き易く、コス 面でも不利になる。従って、従来の単層正 電OPCでは、搭載装置への適合最適化点及び 近の高速・高解像・カラー機においては、 画質化への対応力に限界があるという課題 有していた。

 以上のように、正帯電用に唯一実用化が られ、大量生産された単層型OPCにおいても 負帯電用OPCでは比較的容易な感度制御が困 な欠点があることから、他の層構成(積層型 正帯電OPC)も盛んに検討されている。しかし がら、以下のように各種課題を十分には解 できず、実用化に至っていない。

 例えば、第1のタイプの2層積層タイプに いては、先述の特許文献2にあるように、其 の層について、適用する材料についての規 はあるものの、実施例にあるような高濃度 電荷発生材を用いていることをみても、化 的アタックに対する耐久性や傷、摩耗等の 械アタックに対する耐久性が不足している とが問題となる。特許文献2では、電子輸送 材を含む電荷発生層としていることから、実 施例では5μmの電荷発生層を設けているが、 体的に高濃度の電荷発生材を含有させ、感 制御のためには電荷発生層自体の材料と組 比を変更している。したがって、耐久性及 特性上の問題を有し、実用化には至ってい い。

 第2のタイプの3層積層タイプにおいては 上記2層積層タイプの欠点を解消するため、 在も盛んに検討がなされており、表面保護 に導電性微粒子を添加し、電子輸送性を向 した特許文献10や、2つ以上の層を表面保護 として用いる特許文献11等があるが、電荷 生層の調整範囲が広く汎用性の高い構成に きる可能性が高いものの、十分な電子輸送 と化学的・機械的安定性を有す表面保護層 優れた量産安定性で製造できる段階までは らず、環境安定性、繰り返し安定性および 質安定性の面で十分な性能を得られず、実 化には至っていない。

 第3のタイプの逆積層2層タイプについて 、過飽和吸収色素を含む電子受容性物質を 子輸送層に用いる特許文献12や、正孔輸送材 を含む電子輸送層を用いる特許文献13等があ が、電子輸送層の電子輸送機能が、従来の 帯電OPCで用いられる正孔輸送材の正孔輸送 能には及ばず、感度及び光応答性が必ずし 十分ではなく、実用化には至っていない。

 したがって、従来の正帯電OPCは、負帯電 OPCのように感度制御が可能なものが得られ おらず、正帯電OPC本来の高解像性の利点を 分発揮できていないのが現状である。

 OPCの感度調整に関してみると、電荷発生層 膜厚を制御する方法の他、電荷発生材のフ ロシアニンの混合比率を変えることにより 度制御を行なう方法(特許文献14)、電荷発生 層の膜厚や組成を変えることなく別個の感度 調整層を形成しその膜厚を変えることにより 感度調整を行なう方法(特許文献15)、保護層 のシリコンナフタロシアニンの添加量を変 させることにより光量依存性を制御する方 (特許文献16)等々が知られている。

特公平05-30262号公報

特開平04-242259号公報

特公平05-47822号公報

特公平05-12702号公報

特開平04-241359号公報

特開平05-45915号公報

特開平07-160017号公報

特開平03-256050号公報

特開平10-288849号公報

特開2003-21921号公報

特開2005-84623号公報

特開平11-160898号公報

特開2005-121727号公報

特開平05-173345号公報

特開平07-28264号公報

特開平06-123993号公報

 本発明は、以上の問題点に鑑みなされた のであり、その目的とするところは、正帯 方式の高速・高解像・カラー機において、 ット再現性・階調性に優れた電子写真感光 および電子写真装置を得ることにあり、装 毎に最適な感度特性を膜厚比率の調整のみ 実現可能な電子写真感光体を提供すること ある。

 本発明者らは、上記課題を解決するため 鋭意検討した結果、以下の構成によって達 できることを見出し、本発明を完成するに った。

 即ち、本発明の電子写真感光体は、導電 支持体上に、少なくとも正孔輸送材と第1の 結着樹脂とからなる電荷輸送層と、少なくと も電荷発生材、正孔輸送材、電子輸送材及び 第2の結着樹脂からなる電荷発生層が順次積 されてなる積層型正帯電の電子写真感光体 おいて、前記電荷発生層内の前記電荷発生 の含有率が当該層内中0.7wt%を超え3.0wt%未満 範囲である電子写真感光体である。

 また、本発明の電子写真感光体は、表面 護層を形成せずに前記電荷発生層が最表面 である電子写真感光体である。

 また、本発明の電子写真感光体は、前記 荷発生層中の前記第2の結着樹脂の含有率が 、40wt%~70wt%である電子写真感光体である。

 また、本発明の電子写真感光体は、前記 荷輸送層中の前記第1の結着樹脂の含有率が 40wt%~60wt%である。また、前記第1の結着樹脂が ポリスチレンである電子写真感光体である。

 さらに、本発明は、導電性支持体上に、 なくとも正孔輸送材と第1の結着樹脂とから なる電荷輸送層と、少なくとも電荷発生材、 正孔輸送材、電子輸送材及び第2の結着樹脂 らなる電荷発生層が順次積層されてなる積 型正帯電の電子写真感光体の製造方法であ て、前記電荷発生層内の前記電荷発生材の 有率を当該層内中0.7wt%を超え3.0wt%未満の範 とし、前記電荷輸送層の膜厚と前記電荷発 層の膜厚との相対比を変えることにより所 の感度に設定する電子写真感光体の製造方 である。

 さらに、本発明の電子写真感光体の製造 法は、前記電荷輸送層の第1の結着樹脂がポ リスチレンであり、前記電荷輸送層上に前記 電荷発生層を浸漬塗工方法により製膜する電 子写真感光体の製造方法である。

 さらにまた、本発明は、上記の電子写真 光体を搭載する電子写真装置である。

 さらにまた、本発明の電子写真装置は、 極性重合トナー使用の非磁性一成分接触現 クリーナーレスプロセスである電子写真装 である。

 本発明によれば、高解像度の正帯電方式 用いられる正帯電型電子写真感光体におい 、電荷輸送層上に電荷発生層を最適な膜厚 で設けることで、感度特性、光減衰曲線を 御し、ドット再現性・階調性に優れた高画 品質が得られ、装置毎に微妙に要求感度が なる場合でも、同一層構成で膜厚比率を変 ることで最適な画像品質を得ることができ 。

露光エネルギーと表面電位の関係を表 グラフである。 (a)は本発明の一実施の形態に係る積層 正帯電の電子写真感光体(下引き層なし)の 式的断面図であり、(b)は本発明の他の実施 形態に係る積層型正帯電の電子写真感光体( 引き層有り)の模式的断面図である。 実験例における電荷発生層の膜厚と露 部電位との関係を表すグラフである。

符号の説明

1:導電性基体
2:電荷輸送層
3:電荷発生層
4:下引き層

 以下、本発明に係る電子写真用感光体の具 的な実施例について、図面を用いて詳細に 明する。この発明は以下に説明される実施 に限定されるものではない。
 電子写真用感光体は、導電性支持体上に、 なくとも電荷輸送層及び電荷発生層を順次 層する正帯電用の積層型電子写真感光体で る。図2は本発明の一実施例の電子写真用感 光体を示す模式的断面図で、導電性基体1の に、電荷輸送機能を備えた電荷輸送層2及び 荷発生・輸送機能を備えた電荷発生層3が順 次積層されている。

 図2(a)のように下引き層がないものでもよ いが、干渉縞が出やすい場合は、図2(b)のよ に下引き層4を設けてもよい。

 導電性基体1は、感光体の一電極としての 役目と同時に感光体を構成する各層の支持体 となっており、円筒状、板状、フィルム状な どいずれの形状でもよく、材質的には、アル ミニウム、ステンレス鋼、ニッケルなどの金 属類、あるいはガラス、樹脂などの表面に導 電処理を施したものでもよい。

 下引き層4は、本発明において必須ではな いが、必要に応じて設けることも可能である 。樹脂を主成分とする層やアルマイトなどの 金属酸化皮膜からなり、導電性基体と電荷輸 送層の密着性向上の他、感光層への電荷注入 性を制御する目的で必要に応じて設けられる 。下引き層に用いられる樹脂材料としては、 カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリアミ ド、メラミン、セルロースなどの絶縁性高分 子、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリア ニリンなどの導電性高分子が挙げられ、これ らの樹脂は単独、あるいは適宜組み合わせて 混合して用いることができる。また、これら の樹脂に二酸化チタン、酸化亜鉛などの金属 酸化物を含有することができる。

 電荷輸送層2は、主に正孔輸送材と結着樹 脂により構成され、使用される正孔輸送材と しては、各種ヒドラゾン化合物、スチリル化 合物、ジアミン化合物、ブタジエン化合物、 インドール化合物等の単独、あるいは適宜組 合せて混合で用いられ、結着樹脂としては、 ビスフェノールA型、ビスフェノールZ型、ビ フェノールA型-ビフェニル共重合体などの リカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹 、ポリスチレン系樹脂、ポリフェニレン系 脂などがそれぞれ単独、あるいは適宜組み わせで混合して用いられるが、上層である 荷発生層の溶媒に溶解しにくい樹脂を用い ことが望ましい。

 この中で、シールコート法あるいはスプ ーコート法によれば、電荷発生層液の溶媒 影響を受けにくいため、一般に多用されて るポリカーボネートあるいはポリエステル 樹脂でも製膜可能であるが、量産性は低く る。

 鋭意検討を重ねた結果、電荷輸送層の結 樹脂としては一般に不適と思われたポリス レン系樹脂を用いることで、電荷輸送材と 相溶性を確保しつつ、浸漬塗工法において 、電荷輸送層の溶け出しを抑制し、製膜で ることを見出した。

 ポリスチレン系樹脂は、ポリカーボネー 系樹脂やポリエテル系樹脂に比べ、機械強 が低い問題があるが、本発明では、最表面 に用いないため、適用可能となる。

 電荷輸送層における結着樹脂の比率は、2 5wt%~75wt%の範囲で使用される。好適には40wt%~60 wt%の範囲である。結着樹脂が電荷輸送層内の 60wt%より含有量が多くなると、つまり正孔輸 材が電荷輸送層内の40wt%より含有量が少な なると、一般に輸送機能が不足し、残留電 が高くなる他、装置内の露光部電位の環境 存性が大きく画像品質の環境安定性が不足 やすく、使用に適さない。一方、結着樹脂 電荷輸送層内の40wt%より含有量が少なくなる と、ガラス転移点低下による機械的強度が低 下し、特に高温保管時の現像ローラー、転写 ローラーやクリーニングブレード等の接触部 材からの押圧によるクリープ変形が起き易く 実用に耐えない。

 膜厚は、後述する電荷発生層との兼ね合 で決められるが、実用上有効な性能を確保 る観点より、1μm~40μmの範囲が好適であり、 好ましくは3μm~27μmであり、より好ましくは5 m~25μmである。

 電荷発生層3は、前述したように電荷発生 材の粒子を正孔輸送材及び電子輸送材が溶解 した結着樹脂中に分散させた塗布液を塗布す るなどの方法により形成される。光を受容し てキャリアを発生する機能をもつとともに、 発生した電子は感光体表面に運び、正孔は上 記の電荷輸送層に運ぶ機能を果たす。キャリ ア発生効率が高いことと同時に発生した正孔 の電荷輸送層2への注入性が重要で、電場依 性が少なく、低電場でも注入の良いことが ましい。

 電荷発生材としては、X型無金属フタロシ アニン単体もしくは、α型チタニルフタロシ ニン、β型チタニルフタロシアニン、Y型チ ニルフタロシアニン、γ型チタニルフタロ アニン、アモルファス型チタニルフタロシ ニンを単独、または適宜組合せて用いられ 画像形成に使用される露光光源の光波長領 に応じて好適な物質を選ぶことができる。

 正孔輸送材としては、上記電荷輸送層で いられるものを使用できるが、電荷輸送層 正孔を注入する必要から、イオン化ポテン ャルの差異が小さいことが望ましく、好適 はその差が0.5ev以内である。

 電子輸送材としては、高移動度の材料程 ましく、ベンゾキノン、スチルベンキノン ナフトキノン、ジフェノキノン、フェナン レンキノン、アゾキノン等のキノン系材料 好ましい。これらは、単一で用いることが きるが、より高感度化が必要な場合は、2種 以上用いて、析出を抑えつつ、電子輸送材の 含有量を増加させることが望ましい。

 前記各成分を分散させるための電荷発生 用の結着樹脂としては、前記電荷輸送層用 結着樹脂を用いることができる。つまり、 スフェノールA型、ビスフェノールZ型、ビ フェノールA型-ビフェニル共重合体などのポ リカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂 、ポリスチレン系樹脂、ポリフェニレン系樹 脂などがそれぞれ単独、あるいは適宜組み合 わせで混合して用いることができる。この中 で、電荷発生材の分散安定性、正孔輸送材及 び電子輸送材との相溶性及び機械的安定性・ 化学的安定性・熱的安定性の点から、ポリカ ーボネート系樹脂あるいはポリエステル系樹 脂が好適である。

 膜厚は、後述するが、電荷輸送層との兼 合いで決められるが、実用上有効な性能を 保する観点より、1μm~40μmの範囲が好適であ り、好ましくは3μm~27μmであり、より好まし は5μm~25μmである。

 各々の機能材料(電荷発生材、電子輸送材 、および正孔輸送材)の配分量については、 下のように設定される。

 先ず、本発明においては、電荷発生層3内 の電荷発生材の含有率が当該電荷発生層中0.7 wt%を超え3wt%未満、好ましくは1wt%~2.5wt%である ことが肝要である。この含有率が1wt%未満で 感度制御の範囲が限定(狭く)されてしまい、 また干渉縞が発生しやすくなる。一方、含有 率が2.5wt%を超えると、電荷発生層の膜厚制御 により感度調整を行なうことが困難になる。

 次に、電荷発生層中の結着樹脂の比率は 所望の特性を出すため、好適には30wt%~70wt% 範囲で設定される。より好適には40wt%~70wt%の 範囲が望ましい。電荷発生層中の残りの成分 は機能材料(電荷発生材と電子輸送材と正孔 送材)である。

 結着樹脂が電荷発生層の40wt%より少ない 、ガラス転移点の低下によるクリープ強度 不足し、接触部材押圧によるクリープ変形 おき易くなる。また、トナーフィルミング 外部添加材、紙粉によるフィルミングが起 やすくなる他、グリースや皮脂等に対する ルベントクラック耐性が不足することから 用に適さない。一方、結着樹脂が電荷発生 の70wt%より多いと、つまり機能材料が30wt%よ 少ないと膜厚制御によっても、所望の感度 性を出すことが難しくなるおそれがあり、 用に適さない。

 したがって、電荷発生材と電荷輸送材(正 孔輸送材と電子輸送材の和)の比率は、1:11(2.5 wt%:27.5wt%)~1:59(1wt%:59wt%)の範囲に設定される。 荷発生材料の比率が多すぎると、電荷発生 と電荷輸送層の膜厚比で感度、光減衰曲線 制御できなくなり、少なすぎると所望の感 を得ることが困難となる。

 電子輸送材と正孔輸送材との比率は、膜 ・感度により、1:4~4:1に可変可能であるが、 2:3~3:2が好適である。電子輸送材料が少なす ても、多すぎても電子輸送と正孔輸送のバ ンスが崩れ、感度が低下し、メモリー画像 発生を招きやすい。

 本発明の構成によれば、下記の実施例の 果を表す図3に示すように、電荷発生層の膜 厚を変更することにより、任意の露光部電位 (感度特性)を得ることができる。

 また、前述したように、本発明の構成に れば、電荷発生層と電荷輸送層を別個に設 できるため、用いる電荷発生材を低く抑え つまり帯電性能を確保しながら、図1に示す ように単層型OPCに対し、光減衰曲線をLowγ化 ることが可能となり、ドット再現性に優れ 特性を実現できる。

 一方、装置のマイナーチェンジによる高 化においては、設定光量に限界があること ら、感光体への露光照射エネルギーが減少 る結果、同一感光体では、より弱い光エネ ギーで露光後電位を下げる必要があること ら、従来機において、より光減衰曲線の低 度側での傾き(以下γ指数と略す)の大きな感 光体を適用することが画像品質確保の上で重 要になる。しかし、この時、従来の単層型正 帯電OPCでは、新たな感光層の材料・組成を開 発する必要が生じることとなる。

 これに対し本発明の積層型正帯電の電子 真感光体では、このγ指数を電荷発生層と 荷輸送層の膜厚比を調整することにより可 としたことから、装置毎の最適なγ指数つま り最適な光減衰特性を実現可能な汎用性を持 てる特徴がある。

 本発明の電子写真感光体は、電荷輸送層 布液を浸漬塗工した後、乾燥させ電荷輸送 を得る工程と、得られた電荷輸送層上に電 発生層塗布液を浸漬塗工し乾燥させ電荷発 層を形成する工程と、を含む電子写真感光 の製造方法により好適に製造することがで る。この際、電荷輸送層塗布液と、前記電 発生層塗布液を夫々溶剤により粘度調整す とともに引上げ速度を調整することにより 電荷発生層3と電荷輸送層2の膜厚比を調整 ることが可能となる。本発明においては、 光体全層に占める電荷発生層の割合を上げ ことにより搭載装置内での露光電位が下げ れ、その結果、装置ごとの最適なγ指数を実 現することが可能となる。

 本発明の電子写真感光体は、異なる要求 度の各種電子写真装置に好適に搭載するこ ができる。特には、正極性重合トナー使用 非磁性一成分接触現像クリーナーレスプロ スである電子写真装置においてその効果を 分に発揮することができる。

 以下、本発明を実施例について説明する。
(電子写真感光体作製実施例)
〔導電性基体〕
 φ30mm×244.5mm形状の表面粗さ(Rmax)0.2に切削加 されたアルミニウム0.75mm肉厚管を用いた。

〔電荷輸送層塗布液作製〕
 正孔輸送材(以下、HTMと称する) として、下 記に示すスチリル化合物(HTM-A)、と結着樹脂 してポリスチレン「PS-680(PSジャパン株式会 製)」とをそれぞれ100重量部とし、溶剤であ ジクロロメタンに溶解し、電荷輸送層塗布 を作製した。ポリスチレンは一般に鉱油を くむものであるが、OPCの結着樹脂に用いる 合は感度特性を悪化させる傾向がある。本 明で使用するポリスチレンは、これに対し 油を含まないものであり、OPCの結着樹脂と て好適であることを見出したものである。 成される電荷輸送層の膜厚に対応し溶剤で るジクロロメタンを適宜揮発、希釈調整す ことにより、粘度調整を行った。
(HTM-A)

〔電荷発生層塗布液作製〕
 電荷発生材(以下CGMと称する)としてX型無金 フタロシアニンを、HTMとして電荷輸送層で いたものと同じHTM-Aを、電子輸送材(以下ETM 称する)として下記で示すETM-Bを、結着樹脂 してポリカーボネート「TS2050 帝人化成株 会社製」を用いた。
(ETM-B)

 電荷発生層内のHTM25wt%とETM25wt%の添加量と し、可変した(表1で示すように0.7wt%から4wt%)CG M添加量と結着樹脂添加量で50wt%とし、溶剤と してジクロロメタンに溶解し、一括ボールミ ル分散により、電荷発生層塗布液を得た。形 成される電荷輸送層の膜厚に対応し溶剤であ るジクロロメタンを適宜揮発減量、追加希釈 することにより、粘度調整を行った。

 〔感光体作製〕
 上記電荷輸送層塗布液を浸漬塗工した後、 燥炉で130℃、1時間乾燥し、電荷輸送層を得 た。次に上記電荷発生層塗布液を浸漬塗工法 により塗工後更に90℃、1時間乾燥し、感光体 を得た。

(実験例1~7)
 下記の表1に示すように、電荷発生層中の電 荷発生材の添加量を0.7wt%から4wt%に変化させ 各種の積層型正帯電OPCを作製して、それぞ 実験例1~7とした。電荷発生材添加量が1wt%、1 .5wt%、2wt%、2.5wt%添加した積層型正帯電OPCが本 発明の実験例2~5である。各実験例において、 電荷輸送層の膜厚を3μm、5μm、10μm、15μm、20 m、25μm、30μmとし、それぞれ電荷輸送層とあ わせ全膜厚を30μmで一定とした感光体を作製 た。

 これらの感光体を、30ppm(A4換算)の懸濁重 トナー使用の正帯電非磁性一成分現像方式 クリーナーレスプロセスの1200DPI高解像度プ リンタであるブラザー工業社製「HL5240」に搭 載し、露光部電位を測定した。得られた結果 を下記の表1と図3に示す。

 電荷発生材が0.7wt%の実験例1は全体的に露 光部電位が高めで感度不足傾向であるほか、 電荷発生層膜厚5μmのものは干渉縞が発生し く、好適ではない。一方、電荷発生材が3wt% 上の実験例6及び7においては、10μm以上の電 荷発生層の膜厚増加部分で露光部電位がむし ろ上昇する傾向があり、電荷発生層膜厚制御 で感度制御が困難であることが分かる。電荷 発生材の添加量が1wt%~2.5wt%の実験例2~5は、感 レベル全体も感度制御にも好適である。

 電荷発生層の膜厚が5μm以下の領域では、 膜厚1μm減少あたりの露光部電位上昇量は、 荷発生材1wt%時で60V、2.5%時で25Vと大きく、耐 久時の膜減りによる露光部電位変動量が大き く実用に供さない。また、電荷発生層の膜厚 20μm以上は、電荷発生層の膜厚あたりの露光 電位変化量が小さく、特に25μm以上は変化 殆どない。したがって、電荷発生層の膜厚 5~25μmの範囲が、感度制御に好適であること 判る。

 当該装置では、実験例4の電荷輸送層10μm で良好なドット再現性、階調性を示すこと 確認したが、光量の小さい装置や高速の装 では、電荷発生層の膜厚を上げることで対 可能となる。一方、光量が大きい装置や低 の装置においては、より低感度化のため、 荷発生層の膜厚を下げることで対応可能と る。尚、このように、電荷発生層の膜厚を1 0μm以下で使用する場合には、繰り返し使用 よる膜減りが2μm以下と少ない懸濁重合トナ 使用の正帯電非磁性一成分現像方式のクリ ナーレスプロセス装置に用いることが好ま い。本発明によれば、耐久性のある電荷発 層を最表面層として設けられることにより 従来の積層型正帯電OPCのように、特別な表 保護層を設ける必要がなくなる。その結果 良好な環境安定性、繰り返し安定性、耐久 を実現可能な他、装置毎に最適な感度特性 実現可能な正帯電OPCを得ることができる。 帯電OPC本来のドット再現性、階調性に優れ 高解像度の画像を安定して得られるととも 、本発明の同一液で、電荷発生層の膜厚を えることで、装置への適合性を確保できる




 
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