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Title:
ERIOCITRIN-CONTAINING MATERIAL, METHOD FOR PRODUCTION OF THE ERIOCITRIN-CONTAINING MATERIAL, AND FOOD, BEVERAGE, PHARMACEUTICAL PREPARATION AND COSMETIC EACH COMPRISING THE ERIOCITRIN-CONTAINING MATERIAL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/084612
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for producing an eriocitrin-containing material, which comprises the steps of: extracting a citrus extract containing eriocitrin from a citrus fruit with an extraction solvent; and separating eriocitrin from the citrus extract. The step of separating eriocitrin from the citrus extract comprises the sub-steps of: contacting the citrus extract with a porous synthesis adsorption resin comprising a phenol-formaldehyde resin as the main skeleton and having an amino group and a phenolic hydroxy group attached thereto, thereby adsorbing eriocitrin contained in the citrus extract on the porous synthetic absorption resin; and eluting eriocitrin adsorbed on the porous synthetic resin with an elution solvent.

Inventors:
HIRAMITSU MASANORI (JP)
OMORI TOSHIKAZU (JP)
YAMAGUCHI KENJI (JP)
BESSHO HIROAKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/073681
Publication Date:
July 09, 2009
Filing Date:
December 26, 2008
Export Citation:
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Assignee:
POKKA CORP (JP)
HIRAMITSU MASANORI (JP)
OMORI TOSHIKAZU (JP)
YAMAGUCHI KENJI (JP)
BESSHO HIROAKI (JP)
International Classes:
C07H17/07; A61K8/60; A61K31/7048; A61K36/00; A61K36/75; A61P39/06
Foreign References:
JP2007112852A2007-05-10
JP2000217560A2000-08-08
JP2001204425A2001-07-31
JP2002029975A2002-01-29
JP2005225847A2005-08-25
JPH0948969A1997-02-18
JPH10245552A1998-09-14
Other References:
See also references of EP 2223930A1
Attorney, Agent or Firm:
ONDA, Hironori et al. (Ohmiya-cho 2-chome Gifu-sh, Gifu 31, JP)
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Claims:
 柑橘類の果実から抽出溶媒を用いて抽出されるエリオシトリンを含有する柑橘抽出物からエリオシトリンを分離して得られるエリオシトリン含有素材であって、前記柑橘抽出物からのエリオシトリンの分離は、フェノール・ホルムアルデヒド系樹脂を主骨格としてアミノ基及びフェノール性水酸基を有する多孔質合成吸着樹脂に前記柑橘抽出物を接触させて柑橘抽出物中のエリオシトリンを多孔質合成吸着樹脂に吸着させた後、溶出溶媒を用いて前記多孔質合成吸着樹脂に吸着したエリオシトリンを溶出することにより行われることを特徴とするエリオシトリン含有素材。
 前記溶出溶媒は、エタノール濃度が20~90容量%の含水エタノールである請求項1に記載のエリオシトリン含有素材。
 前記多孔質合成吸着樹脂は第1の多孔質合成吸着樹脂であり、前記溶出溶媒は第1の溶出溶媒であり、
 前記柑橘抽出物からのエリオシトリンの分離は、第1の溶出溶媒を用いて第1の多孔質合成吸着樹脂に吸着したエリオシトリンを溶出することにより得られる溶出液を、スチレン系吸着樹脂及びアクリル系吸着樹脂から選ばれる少なくとも一種からなる第2の多孔質合成吸着樹脂に接触させて溶出液中のエリオシトリンを第2の多孔質合成吸着樹脂に吸着させた後、第2の溶出溶媒を用いて、前記第2の多孔質合成吸着樹脂に吸着したエリオシトリンを溶出することをさらに含む請求項1又2に記載のエリオシトリン含有素材。
 前記多孔質合成吸着樹脂は第1の多孔質合成吸着樹脂であり、前記溶出溶媒は第1の溶出溶媒であり、
 前記柑橘抽出物からのエリオシトリンの分離は、スチレン系吸着樹脂及びアクリル系吸着樹脂から選ばれる少なくとも一種からなる第2の多孔質合成吸着樹脂に前記柑橘抽出物を接触させて柑橘抽出物中のエリオシトリンを第2の多孔質合成吸着樹脂に吸着させた後、第2の溶出溶媒を用いて、前記第2の多孔質合成吸着樹脂に吸着したエリオシトリンを溶出することをさらに含み、
 第1の多孔質合成吸着樹脂への前記柑橘抽出物の接触は、第2の溶出溶媒を用いて前記第2の多孔質合成吸着樹脂に吸着したエリオシトリンを溶出することにより得られる溶出液を第1の多孔質合成吸着樹脂に接触させることにより行われる請求項1又は2に記載のエリオシトリン含有素材。
 前記第2の溶出溶媒は、エタノール濃度が20~50容量%の含水エタノールである請求項3又は4に記載のエリオシトリン含有素材。
 請求項1~5のいずれか一項に記載のエリオシトリン含有素材が配合されていることを特徴とする飲食品。
 請求項1~5のいずれか一項に記載のエリオシトリン含有素材が配合されていることを特徴とする医薬品。
 請求項1~5のいずれか一項に記載のエリオシトリン含有素材が配合されていることを特徴とする香粧品。
 抽出溶媒を用いて、柑橘類の果実からエリオシトリンを含有する柑橘抽出物を抽出する工程と、
 前記柑橘抽出物からエリオシトリンを分離する工程とを備え、前記柑橘抽出物からエリオシトリンを分離する工程は、
 フェノール・ホルムアルデヒド系樹脂を主骨格としてアミノ基及びフェノール性水酸基を有する多孔質合成吸着樹脂に前記柑橘抽出物を接触させて柑橘抽出物中のエリオシトリンを多孔質合成吸着樹脂に吸着させる工程と、
 溶出溶媒を用いて、前記多孔質合成吸着樹脂に吸着したエリオシトリンを溶出する工程と
を備えることを特徴とするエリオシトリン含有素材の製造方法。
 前記溶出溶媒は、エタノール濃度が20~90容量%の含水エタノールである請求項9に記載のエリオシトリン含有素材の製造方法。
 前記柑橘抽出物からエリオシトリンを分離する工程において、前記多孔質合成吸着樹脂に前記柑橘抽出物を接触させた後に前記多孔質合成吸着樹脂に吸着したエリオシトリンを溶出する工程が2回以上繰り返される請求項9又は10に記載のエリオシトリン含有素材の製造方法。
 前記多孔質合成吸着樹脂は第1の多孔質合成吸着樹脂であり、前記溶出溶媒は第1の溶出溶媒であり、前記柑橘抽出物からエリオシトリンを分離する工程は、
 第1の溶出溶媒を用いて第1の多孔質合成吸着樹脂に吸着したエリオシトリンを溶出することにより得られる溶出液を、スチレン系吸着樹脂及びアクリル系吸着樹脂から選ばれる少なくとも一種からなる第2の多孔質合成吸着樹脂に接触させて溶出液中のエリオシトリンを第2の多孔質合成吸着樹脂に吸着させる工程と、
 第2の溶出溶媒を用いて、前記第2の多孔質合成吸着樹脂に吸着したエリオシトリンを溶出する工程とを
さらに備える請求項9~11のいずれか一項に記載のエリオシトリン含有素材の製造方法。
 前記多孔質合成吸着樹脂は第1の多孔質合成吸着樹脂であり、前記溶出溶媒は第1の溶出溶媒であり、前記柑橘抽出物からエリオシトリンを分離する工程は、
 スチレン系吸着樹脂及びアクリル系吸着樹脂から選ばれる少なくとも一種からなる第2の多孔質合成吸着樹脂に前記柑橘抽出物を接触させて柑橘抽出物中のエリオシトリンを第2の多孔質合成吸着樹脂に吸着させる工程と、
 第2の溶出溶媒を用いて、前記第2の多孔質合成吸着樹脂に吸着したエリオシトリンを溶出する工程とをさらに備え、
 第1の多孔質合成吸着樹脂に前記柑橘抽出物を接触させる工程は、第2の溶出溶媒を用いて前記第2の多孔質合成吸着樹脂に吸着したエリオシトリンを溶出することにより得られる溶出液を第1の多孔質合成吸着樹脂に接触させることにより行われる請求項9~11のいずれか一項に記載のエリオシトリン含有素材の製造方法。
 前記第2の溶出溶媒は、エタノール濃度が20~50容量%の含水エタノールである請求項12又は13に記載のエリオシトリン含有素材の製造方法。
Description:
エリオシトリン含有素材、その 造方法、並びにエリオシトリン含有素材を 合した飲食品、医薬品及び香粧品

 本発明は、例えば、飲食品、医薬品及び 粧品に好適に利用される柑橘類由来のエリ シトリン含有素材、及びその製造方法に関 る。

 柑橘類の果実にはポリフェノールに属す エリオシトリン、6,8-ジ-C-グルコシルジオス メチン、6-C-グルコシルジオスメチンのよう 抗酸化性物質が多く含まれることが知られ いる。天然素材に由来するこれらの抗酸化 物質は、飲食品、医薬品及び香粧品等の各 工業製品に好ましく利用することができる 従来より、これらの抗酸化性物質を柑橘類 果実から抽出する方法として、特許文献1~3 記載の方法が知られている。

 特許文献1,2は、ポリフェノール含有素材 製造方法に関し、水、有機溶媒又はこれら 混合溶媒を用いて柑橘類原料より得られる 出物を逆相樹脂処理又は液体クロマトグラ ィーを用いて精製することを開示する。

 特許文献3は、エリオシトリンを高濃度に 含有する食品素材を製造する方法を開示する 。特許文献3に開示の方法では、抽出溶媒を いて柑橘系果実の果汁、果皮、及び搾汁粕 少なくとも一つより得られる抽出液を多孔 合成吸着樹脂に供してエリオシトリンをこ に吸着させる。その後、不純物を除去する めに、エリオシトリンを吸着した合成吸着 脂を水で洗浄した後、合成吸着樹脂に吸着 たエリオシトリンを、有機溶媒を用いて分 及び回収する。

 ところが、特許文献1,2に記載の製造方法で 、得られるポリフェノール含有素材中のポ フェノール純度を高めるべく、高速液体ク マトグラフィーによる分取が行われるが、 れが煩雑で時間を要する作業であるがため 、ポリフェノール含有素材の製造コストの 昇を招いている。また、特許文献3に記載の 製造方法では、不純物の除去のために、エリ オシトリンを吸着した合成吸着樹脂を水で洗 浄しているものの、得られたエリオシトリン 含有素材が添加された食品、特に高濃度でこ れが添加された食品にはそれでも苦味や雑味 があり、不快な後味が摂取後の口に残る。ま た、特許文献3に記載の方法で製造されるエ オシトリン含有素材には、抽出、濃縮及び 製の工程で熱が加えられることにより、漢 薬のような独特の臭い(生薬臭)もある。加え て、ポリフェノール含有素材は一般に、経時 変化による異臭の発生や褐変が起こりやすく 、長期間にわたる品質の維持が難しい。

特開平9-48969号公報

特開平10-245552号公報

特開2000-217560号公報

 本発明の目的は、柑橘類由来のエリオシ リン含有素材であって、エリオシトリン含 素材の品質低下の原因となる成分の含有が ないエリオシトリン含有素材を提供するこ 、そのようなエリオシトリン含有素材の製 方法を提供すること、並びにそのようなエ オシトリン含有素材が配合された飲食品、 薬品及び香粧品を提供することにある。

 上記の目的を達成するために、本発明の 1の態様では、柑橘類の果実から抽出溶媒を 用いて抽出されるエリオシトリンを含有する 柑橘抽出物からエリオシトリンを分離して得 られるエリオシトリン含有素材が提供される 。前記柑橘抽出物からのエリオシトリンの分 離は、フェノール・ホルムアルデヒド系樹脂 を主骨格としてアミノ基及びフェノール性水 酸基を有する多孔質合成吸着樹脂に前記柑橘 抽出物を接触させて柑橘抽出物中のエリオシ トリンを多孔質合成吸着樹脂に吸着させた後 、溶出溶媒を用いて前記多孔質合成吸着樹脂 に吸着したエリオシトリンを溶出することに より行われる。

 本発明の第2の態様では、上記第1の態様に るエリオシトリン含有素材が配合されてい 飲食品が提供される。
 本発明の第3の態様では、上記第1の態様に るエリオシトリン含有素材が配合されてい 医薬品が提供される。

 本発明の第4の態様では、上記第1の態様に るエリオシトリン含有素材が配合されてい 香粧品が提供される。
 本発明の第5の態様では、抽出溶媒を用いて 、柑橘類の果実からエリオシトリンを含有す る柑橘抽出物を抽出する工程と、前記柑橘抽 出物からエリオシトリンを分離する工程とを 備えるエリオシトリン含有素材の製造方法が 提供される。前記柑橘抽出物からエリオシト リンを分離する工程は、フェノール・ホルム アルデヒド系樹脂を主骨格としてアミノ基及 びフェノール性水酸基を有する多孔質合成吸 着樹脂に前記柑橘抽出物を接触させて柑橘抽 出物中のエリオシトリンを多孔質合成吸着樹 脂に吸着させる工程と、溶出溶媒を用いて、 前記多孔質合成吸着樹脂に吸着したエリオシ トリンを溶出する工程とを備える。

 以下、本発明の一実施形態を説明する。 実施形態のエリオシトリン含有素材は、優 た抗酸化作用を有するエリオシトリン(erioci trin)を高濃度で含有するものであり、主に飲 品、医薬品及び香粧品などに添加して利用 れる。エリオシトリン含有素材は、柑橘類 果実を原料として用いて製造される。エリ シトリン含有素材は、好ましくはエリオシ リンを主成分とする。エリオシトリンを主 分とするとは、エリオシトリン含有素材中 可溶性固形分のうちエリオシトリンの占め 量が他のどの成分よりも高いことをいい、 溶性固形分中のエリオシトリン含有量は好 しくは20重量%以上、より好ましくは50重量% 上である。

 エリオシトリンは、別名エリオディクティ ール-7-ルチノサイド(eriodictyol-7-rutinoside)で り、フラボノイドの一種であるフラバノン に属するエリオディクティオール(eriodictyol(C 15 H 12 O 6 )、別名3',4',5,7-tetrahydroxyflavanone)にルチノース (L-ラムノシル-D-グルコース)が結合したフラ ノイド配糖体である。

 エリオシトリン含有素材の原料として使 される柑橘類の果実としては、レモン、ラ ム、シークワサー、スダチ、ユズ、ダイダ 、カボスなどの香酸柑橘類の果実のほか、 レープフルーツ、ネーブルオレンジ、バレ シアオレンジ、サワーオレンジ、ハッサク 温州ミカン、イヨカン、ポンカン、あま夏 ブンタンなどの果実が挙げられる。中でも エリオシトリンを特に豊富に含むことから モン及びライムの果実が好ましい。エリオ トリン含有素材は、これらの柑橘類の果実 うちの一種又は二種以上に由来するエリオ トリンを含有する。

 エリオシトリンは、柑橘類の果実のうち 皮に多量に含まれている。なお、柑橘類の 実には、果皮、果汁、じょうのう膜、さの 及び種子が含まれる。柑橘類の果皮には、 リオシトリンに加えて、漢方薬のような独 の臭い(生薬臭)の原因となる臭気成分、不 な苦味や雑味の原因となる呈味成分、濁り 発生や見かけの鮮度低下の原因となる着色 分も含まれている。これら臭気成分、呈味 分及び着色成分は一般に、例えば、水やア コールによってエリオシトリンとともに柑 類の果皮から容易に抽出される。

 本実施形態のエリオシトリン含有素材は 抽出、濃縮及び精製の工程で熱を加えるこ が原因で生じる漢方薬のような独特の臭い び経時変化が原因で生じる異臭が低減され いることから、飲食品、香粧品、及び経口 与又は経鼻投与用の剤形を有する医薬品へ 利用に適している。エリオシトリン含有素 はまた、経口摂取されたときに苦味や雑味 与えにくく、不快な後味が口に残りにくい とから、飲食品又は経口投与用の剤形を有 る医薬品への利用に特に適している。

 エリオシトリン含有素材の製造はまず、 橘類の果実(又はその一部)からエリオシト ンを含有した柑橘抽出物を得ることから始 る。原料として柑橘類の果実の一部を用い 場合には、果皮又は搾汁残渣が好ましい。 の場合、多量のエリオシトリンを含有した 橘抽出物を得ることが容易である。搾汁残 は、柑橘類の果実から果汁を搾った後の残 であり、果皮、じょうのう膜、さのうの一 、種子及び搾りきれなかった極少量の果汁 含む。原料として搾汁残渣を用いる場合に 、外皮(フラベド)は除去されていることが好 ましい。抽出効率を高めるためには、原料は 一般に、例えば、切り刻んだり、粉砕したり 、すりつぶしたりすることにより予め細かく してから用いることが好ましい。原料を細か くするのには、例えばフードプロセッサを使 用してもよい。

 柑橘類の果実から柑橘抽出物を得る際に 、有機溶媒又は水が抽出溶媒として使用さ る。有機溶媒は、例えば、メタノール、エ ノール、ブタノール、プロパノール及びイ プロパノール等のアルコールやグリセリン 氷酢酸等の極性溶媒であってもよいし、ヘ サンや酢酸エチル等の無極性溶媒であって よい。抽出溶媒は、一種類の溶媒が単独で いられてもよいし、二種類以上の溶媒が組 合わせて用いられてもよい。エリオシトリ 含有素材を飲食品、医薬品及び香粧品に添 して使用する場合の適用性、エリオシトリ 含有素材の製造コスト、及びエリオシトリ の抽出効率の観点からは、水又はエタノー が好ましい。抽出温度(抽出溶媒の温度)は に限定されるものでなく、常温、例えば5~45 であってもよい。静置下又は撹拌下のいず で抽出を行ってもよい。抽出時間は、十分 のエリオシトリンの抽出のためには、30分 上であることが好ましい。エリオシトリン 抽出効率を高め、かつ得られる柑橘抽出物 清澄度を上げるべく、抽出溶媒中にペクチ ーゼを添加することにより、エリオシトリ の抽出と同時に、原料中に含まれるペクチ の分解も行うようにしてもよい。

 柑橘類の果実から柑橘抽出物を得た後、 られた柑橘抽出物中に含まれる固形分を除 するために柑橘抽出物の固液分離が行われ 。固液分離は、遠心分離や膜分離などの公 の方法が使用可能であり、簡便であること ら遠心分離が好適である。遠心分離や膜分 による固液分離の前に、メッシュ濾過もし はデカンテーションにより、果皮等の大き 固形物を柑橘抽出物から予め除去してもよ 。固液分離により固形分が除去された後の 橘抽出物(抽出液)は、必要に応じて濃縮又 水希釈される。柑橘抽出物の濃縮は、減圧 縮、膜濃縮、凍結濃縮などの公知の方法が 用可能である。抽出溶媒としてエタノール 使用した場合であって、かつ柑橘抽出物中 エタノール濃度が20容量%を超える場合には 柑橘抽出物中のエタノール濃度が20容量%以 になるように濃縮又は水希釈することが好 しい。

 固液分離により固形分が除去された後の 橘抽出物は、必要に応じて濃縮又は水希釈 れた後、特定の多孔質合成吸着樹脂を用い エリオシトリンの分離に供される。具体的 は、フェノール・ホルムアルデヒド系樹脂 主骨格としてアミノ基及びフェノール性水 基を官能基として有するフェノール・ホル アルデヒド系吸着樹脂(第1の多孔質合成吸 樹脂)に柑橘抽出物を接触させて柑橘抽出物 に含まれるエリオシトリンを同フェノール ホルムアルデヒド系吸着樹脂に吸着させる その後、溶出溶媒を用いて、フェノール・ ルムアルデヒド系吸着樹脂に吸着したエリ シトリンを溶出させることにより、エリオ トリン画分が得られる。エリオシトリンは フェノール・ホルムアルデヒド系吸着樹脂 表面に対して、物理吸着するだけでなく、 性及び中性域では、フェノール・ホルムア デヒド系吸着樹脂の弱塩基性基であるアミ 基及び弱酸性基であるフェノール性水酸基 作用により化学吸着及びイオン交換吸着す 。一般に多孔質合成吸着樹脂は、細孔サイ が数十~数百オングストロームと活性炭の細 孔サイズに比べて大きく、分子サイズの比較 的大きい物質を吸着可能である。フェノール ・ホルムアルデヒド系吸着樹脂として、例え ば、味の素ファインテクノ社製のホクエツHS はホクエツKSを使用することができる。

 フェノール・ホルムアルデヒド系吸着樹 への柑橘抽出物の接触は、カラム内に充填 れたフェノール・ホルムアルデヒド系吸着 脂に柑橘抽出物をアプライすることにより われる。柑橘抽出物に接触させた後、フェ ール・ホルムアルデヒド系吸着樹脂は好ま くは洗浄される。

 フェノール・ホルムアルデヒド系吸着樹 の洗浄は、エリオシトリン以外の夾雑物を ェノール・ホルムアルデヒド系吸着樹脂か 除去することを目的に、柑橘抽出物に接触 せた後のカラム内のフェノール・ホルムア デヒド系吸着樹脂に洗浄溶媒を流すことに り行われる。洗浄溶媒は、フェノール・ホ ムアルデヒド系吸着樹脂に吸着したエリオ トリンを溶出しないことが好ましい。具体 には、洗浄溶媒として水又は有機溶媒を使 することが可能であり、これは抽出溶媒と て使用したものと同じであってもよい。フ ノール・ホルムアルデヒド系吸着樹脂に洗 溶媒を接触させると、一部の夾雑物が洗浄 媒に溶出する一方、エリオシトリンは洗浄 媒に溶出することなくフェノール・ホルム ルデヒド系吸着樹脂に吸着したまま残る。 れは、洗浄溶媒の存在下におけるフェノー ・ホルムアルデヒド系吸着樹脂に対する一 の夾雑物の吸着が、洗浄溶媒の存在下にお るフェノール・ホルムアルデヒド系吸着樹 に対するエリオシトリンの吸着に比べて弱 ためである。洗浄溶媒の温度は特に限定さ るものでなく、常温、例えば5~40℃であって もよい。ただし、夾雑物をより効率的に除去 するためには、洗浄溶媒の温度は40~100℃であ ることが好ましい。また、洗浄溶媒として含 水アルコールを使用する場合、フェノール・ ホルムアルデヒド系吸着樹脂に吸着したエリ オシトリンが洗浄溶媒に溶出するのを少なく するためには、洗浄溶媒中のアルコール濃度 は20容量%以下であることが好ましい。

 フェノール・ホルムアルデヒド系吸着樹 に吸着したエリオシトリンの溶出溶媒を用 ての溶出は、柑橘抽出物に接触させた後の ラム内のフェノール・ホルムアルデヒド系 着樹脂を必要に応じて洗浄した後、同フェ ール・ホルムアルデヒド系吸着樹脂に溶出 媒を流すことにより行われる。これにより エリオシトリン画分、すなわちエリオシト ン溶出液が得られる。フェノール・ホルム ルデヒド系吸着樹脂に吸着したエリオシト ンの溶出に際して使用される溶出溶媒は、 タノール、エタノール、ブタノール、プロ ノール及びイソプロパノール等のアルコー やアセトン、ヘキサン、クロロホルム、グ セリン、氷酢酸などの有機溶媒であっても いし、水であってもよい。溶出溶媒として 、一種類の溶媒が単独で用いられてもよい 、二種類以上の溶媒が組み合わせて用いら てもよい。エリオシトリン含有素材を飲食 、医薬品及び香粧品に添加して使用する場 の適用性、エリオシトリン含有素材の製造 スト、及びエリオシトリンの回収効率の観 からは、エタノール又は水が好ましい。溶 溶媒として含水エタノールを使用する場合 溶出溶媒中のエタノール濃度は20~90容量%で ることが好ましく、より好ましくは40~85容 %、特に好ましくは60~80容量%である。溶出溶 中のエタノール濃度が20容量%以上である場 には、フェノール・ホルムアルデヒド系吸 樹脂に吸着したエリオシトリンが溶出溶媒 特に効率よく溶出する。溶出溶媒中のエタ ール濃度が90容量%以下である場合には、エ オシトリン含有素材の風味が低下する原因 なる成分の溶出溶媒への溶出が特に少なく る。

 こうして得られるエリオシトリン溶出液 、そのままでエリオシトリン含有素材とし 利用することも可能であるし、必要に応じ 濃縮、乾燥又は水希釈してからエリオシト ン含有素材として利用することも可能であ 。エリオシトリン溶出液の濃縮及び乾燥は 減圧濃縮、膜濃縮、凍結濃縮、真空乾燥、 結乾燥などの公知の方法が使用可能である

 必要であれば、フェノール・ホルムアル ヒド系吸着樹脂を用いたエリオシトリンの 離に供される前の柑橘抽出物を、別の多孔 合成吸着樹脂を用いたエリオシトリンの分 に供してもよい。あるいは、フェノール・ ルムアルデヒド系吸着樹脂を用いたエリオ トリンの分離に柑橘抽出物を供することに り得られるエリオシトリン溶出液を、別の 孔質合成吸着樹脂を用いたエリオシトリン 分離に供してもよい。いずれの場合も、エ オシトリン含有素材のさらなる高品質化及 エリオシトリン含有素材中のエリオシトリ 含量のさらなる増大が得られるが、好まし は、フェノール・ホルムアルデヒド系吸着 脂とは別の多孔質合成吸着樹脂を用いたエ オシトリンの分離は、フェノール・ホルム ルデヒド系吸着樹脂を用いたエリオシトリ の分離の前に行われる。フェノール・ホル アルデヒド系吸着樹脂とは別の多孔質合成 着樹脂を用いたエリオシトリンの分離にお ては、スチレン系吸着樹脂及びアクリル系 着樹脂から選ばれる少なくとも一種からな 多孔質合成吸着樹脂(第2の多孔質合成吸着 脂)が使用される。具体的には、柑橘抽出物 はエリオシトリン溶出液を第2の多孔質合成 吸着樹脂に接触させて柑橘抽出物又はエリオ シトリン溶出液中に含まれるエリオシトリン を第2の多孔質合成吸着樹脂に吸着させる。 の後、溶出溶媒を用いて、第2の多孔質合成 着樹脂に吸着したエリオシトリンを溶出さ ることにより、エリオシトリン画分が得ら る。

 第2の多孔質合成吸着樹脂として、例えば 、いずれもローム・アンド・ハース社製のデ ュオライトS-861、ES-865、アンバーライトXAD-4 アンバーライトXAD-7及びアンバーライトXAD-16 のいずれか、あるいは、いずれも三菱化学社 製のダイヤイオンHP20、ダイヤイオンHP2MG、セ パビーズSP207、セパビーズSP700及びセパビー SP825のいずれかを使用することができる。

 第2の多孔質合成吸着樹脂への柑橘抽出物 又はエリオシトリン溶出液の接触は、カラム 内に充填された第2の多孔質合成吸着樹脂に 橘抽出物又はエリオシトリン溶出液をアプ イすることにより行われる。柑橘抽出物又 エリオシトリン溶出液に接触させた後、第2 多孔質合成吸着樹脂は好ましくは洗浄され 。

 第2の多孔質合成吸着樹脂の洗浄は、エリ オシトリン以外の夾雑物を第2の多孔質合成 着樹脂から除去することを目的に、柑橘抽 物又はエリオシトリン溶出液に接触させた のカラム内の第2の多孔質合成吸着樹脂に洗 溶媒を流すことにより行われる。洗浄溶媒 、第2の多孔質合成吸着樹脂に吸着したエリ オシトリンを溶出しないことが好ましい。具 体的には、洗浄溶媒として水又は有機溶媒を 使用することが可能であり、これは抽出溶媒 として使用したものと同じであってもよい。 洗浄溶媒の温度は特に限定されるものでなく 、常温、例えば5~40℃であってもよい。ただ 、夾雑物をより効率的に除去するためには 洗浄溶媒の温度は40~100℃であることが好ま い。また、洗浄溶媒として含水アルコール 使用する場合、第2の多孔質合成吸着樹脂に 着したエリオシトリンが洗浄溶媒に溶出す のを少なくするためには、洗浄溶媒中のア コール濃度は20容量%以下であることが好ま い。

 第2の多孔質合成吸着樹脂に吸着したエリ オシトリンの溶出溶媒を用いての溶出は、柑 橘抽出物又はエリオシトリン溶出液に接触さ せた後のカラム内の第2の多孔質合成吸着樹 を必要に応じて洗浄した後、同第2の多孔質 成吸着樹脂も溶出溶媒を流すことにより行 れる。これにより、エリオシトリン画分、 なわちエリオシトリン溶出液が得られる。 2の多孔質合成吸着樹脂に吸着したエリオシ トリンの溶出に際して使用される溶出溶媒は 、例えば、エタノールなどのアルコールやア セトン、ヘキサン、クロロホルム、グリセリ ン、氷酢酸などの有機溶媒であってもよいし 、水であってもよい。溶出溶媒としては、一 種類の溶媒が単独で用いられてもよいし、二 種類以上の溶媒が組み合わせて用いられても よい。エリオシトリン含有素材を飲食品、医 薬品及び香粧品に添加して使用する場合の適 用性、エリオシトリン含有素材の製造コスト 、及びエリオシトリンの回収効率の観点から は、エタノール又は水が好ましい。溶出溶媒 として含水エタノールを使用する場合、溶出 溶媒中のエタノール濃度は20~50容量%であるこ とが好ましく、30~40容量%がより好ましい。溶 出溶媒中のエタノール濃度が20容量%以上であ る場合には、第2の多孔質合成吸着樹脂に吸 してエリオシトリンが溶出溶媒に特に効率 く溶出する。溶出溶媒中のエタノール濃度 50容量%以下である場合には、エリオシトリ 含有素材の風味が低下する原因となる成分 溶出溶媒への溶出が特に少なくなる。

 第2の多孔質合成吸着樹脂を用いたエリオ シトリンの分離に柑橘抽出物を供することに より得られるエリオシトリン溶出液を引き続 き、フェノール・ホルムアルデヒド系吸着樹 脂を用いたエリオシトリンの分離に供する場 合、フェノール・ホルムアルデヒド系吸着樹 脂を用いたエリオシトリンの分離に供される エリオシトリン溶出液中のエタノール濃度が 20容量%を超えるときには、エリオシトリン溶 出液は、エタノール濃度が20容量%以下になる ように予め希釈又は濃縮することが好ましい 。あるいは、フェノール・ホルムアルデヒド 系吸着樹脂を用いたエリオシトリンの分離に 柑橘抽出物を供することにより得られるエリ オシトリン溶出液を引き続き、第2の多孔質 成吸着樹脂を用いたエリオシトリンの分離 供する場合、第2の多孔質合成吸着樹脂に供 れるエリオシトリン溶出液中のエタノール 度が20容量%を超える場合には、エリオシト ン溶出液は、エタノール濃度が20容量%以下 なるように予め希釈又は濃縮することが好 しい。

 本実施形態のエリオシトリン含有素材は エリオシトリンの有する優れた抗酸化作用 生体において発揮させるべく、飲料、アル ール飲料、食品、健康食品、健康飲料、栄 補助食品等の飲食品、医薬品、医薬部外品 動物用医薬品、飼料、化粧品等に配合して に使用される。

 エリオシトリン含有素材を配合すること できる飲食品としては例えば、紅茶、麦茶 緑茶、烏龍茶、ブレンド茶、野草茶、ハー ティー、コーヒー、果汁飲料、野菜飲料、 コア、豆乳、スポーツドリンク、炭酸飲料 及び乳飲料などの清涼飲料水、キャンディ 、ビスケット、及びスナック菓子などの菓 類、カクテル、酎ハイ、サワー、ビール、 びワインなどのアルコール飲料が挙げられ 。その他、ペクチンやカラギーナン等のゲ 化剤を含有する食品や、各種調味料等にも リオシトリン含有素材を配合することが可 である。エリオシトリン含有素材を配合し 飲食品には、本願発明の効果を損なわない り、ブドウ糖、ショ糖、果糖、乳糖やデキ トリン、食物繊維、多糖類等の糖類、酸味 、香料、ステビア、アスパルテーム、糖ア コール等の甘味料、色素、安定剤、ビタミ 類、アミノ酸類、各種ミネラル、植物性油 及び動物性油脂等の添加剤を適宜配合して よい。

 エリオシトリン含有素材を医薬品として 用する場合、エリオシトリン含有素材の投 の方法は、経口投与だけでなく、血管内投 、経皮投与等のあらゆる方法が可能である 医薬品として使用されるエリオシトリン含 素材の剤形は、特に限定されるものでなく 例えば、散剤、粉剤、顆粒剤、錠剤、カプ ル剤、丸剤、坐剤、液剤、又は注射剤であ てもよい。また、医薬品として使用される リオシトリン含有素材には、賦形剤、基剤 乳化剤、溶剤、安定剤等の添加剤が配合さ てもよい。

 本実施形態によれば、以下のような効果を ることができる。
 本実施形態では、柑橘抽出物からのエリオ トリンの分離は、フェノール・ホルムアル ヒド系樹脂を主骨格としてアミノ基及びフ ノール性水酸基を有するフェノール・ホル アルデヒド系吸着樹脂を用いて行われる。 のため、柑橘類の果皮等に由来する臭気成 、苦み成分及び着色成分といったエリオシ リン含有素材の品質低下の原因となる成分 効率的に除去されてエリオシトリンを高濃 で含有した高品質なエリオシトリン含有素 が得られる。より具体的には、本実施形態 得られるエリオシトリン含有素材は、経時 化が原因で起こる異臭の発生や苦み及び渋 の増加、褐変が少なく、経時安定性に優れ 。

 本実施形態では、フェノール・ホルムア デヒド系吸着樹脂に吸着したエリオシトリ は、エタノール濃度が20~90容量%の含水エタ ールを用いて溶出される。これにより、エ オシトリン含有素材の風味及び見た目が低 する原因となる成分を効率的に除去しなが 、エリオシトリンを効率よく溶出及び回収 ることができる。

 本実施形態では、フェノール・ホルムア デヒド系吸着樹脂を用いたエリオシトリン 分離に先立って、またはそれに引き続いて スチレン系吸着樹脂及びアクリル系吸着樹 から選ばれる少なくとも一種からなる第2の 多孔質合成吸着樹脂を用いたエリオシトリン の分離工程が好ましくは行われる。これによ り、エリオシトリン含有素材の風味及び見た 目が低下する原因となる成分をさらに効率的 に分離及び除去することができ、エリオシト リン含有素材中のエリオシトリン含有量をさ らに高めることができる。

 本実施形態で得られるエリオシトリン含 素材を配合した飲食品、医薬品及び香粧品 、エリオシトリンを高濃度で含有するにも わらず、臭い、呈味及び色調に関して高い 質を有するため、継続的にこれを摂取又は 用することが容易である。

 エリオシトリン含有素材の原料として、 橘類の果実から果汁を搾汁した後の搾汁残 を使用した場合には、極めて容易に大量の リオシトリンを含有した柑橘抽出物を得る とができる。搾汁残渣は、柑橘類果汁を含 飲料品を製造する際に大量に生じるため、 価に入手することができるうえに、これを 利用することは食品リサイクル法の観点か も好ましいことである。

 上記実施形態は以下のように変更してもよ 。
 フェノール・ホルムアルデヒド系吸着樹脂 用いたエリオシトリンの分離は1回のみなら ず、2回以上繰り返して行われてもよい。ス レン系吸着樹脂及びアクリル系吸着樹脂か 選ばれる少なくとも一種からなる多孔質合 吸着樹脂を用いたエリオシトリンの分離も た、1回のみならず、2回以上繰り返して行わ れてもよい。この場合、夾雑物のさらなる除 去が可能である。

 エリオシトリン含有素材の形態は、特に限 されるものでなく、例えば、液状又は粉末 であってもよい。
 次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を らに具体的に説明する。

 <エリオシトリン含有素材の製造>
 実施例1
 レモン搾汁残渣2kgを粉砕し、抽出溶媒とし の10Lの水に浸漬して、常温にて30分間静置 ることによりレモン抽出液を得た。得られ レモン抽出液をメッシュ濾過(メッシュサイ :500μm/32メッシュ)した後、9000rpmで20分間遠 分離した。遠心分離後の上澄み液を分画分 量20000の限外濾過に供することにより、透明 な濾液(粗抽出液)を得た。

 得られた濾液を、フェノール・ホルムア デヒド系吸着樹脂(味の素ファインテクノ社 製のホクエツHS)200mlが充填されたカラムに通 た。その後、洗浄溶媒として水600ml及びエ ノール濃度10容量%の含水エタノール600mlをカ ラムに順に流してフェノール・ホルムアルデ ヒド系吸着樹脂を洗浄した。次いで、溶出溶 媒としてエタノール濃度80容量%の含水エタノ ール1Lをカラムに流してフェノール・ホルム ルデヒド系吸着樹脂に吸着したエリオシト ンを溶出した。こうして得られた溶出液を 圧濃縮して溶出液中のエタノールを除去す ことにより、実施例1のエリオシトリン含有 素材を得た。

 実施例2
 実施例1において得られたエリオシトリン含 有素材に水を加えて2Lにし、これをスチレン 吸着樹脂(ローム・アンド・ハース社製のア ンバーライトXAD-16)200mlが充填されたカラムに 通した。その後、洗浄溶媒として水600ml及び タノール濃度10容量%の含水エタノール600ml カラムに順に流してスチレン系吸着樹脂を 浄した。次いで、溶出溶媒としてエタノー 濃度40容量%の含水エタノール1Lをカラムに流 してスチレン系吸着樹脂に吸着したエリオシ トリンを溶出した。こうして得られた溶出液 を減圧濃縮して溶出液中のエタノールを除去 することにより、実施例2のエリオシトリン 有素材を得た。

 実施例3
 レモン搾汁残渣2kgを粉砕し、抽出溶媒とし の10Lの水に浸漬して、常温にて30分間静置 ることによりレモン抽出液を得た。得られ レモン抽出液をメッシュ濾過(メッシュサイ :500μm/32メッシュ)した後、9000rpmで20分間遠 分離した。遠心分離後の上澄み液を分画分 量20000の限外濾過に供することにより、透明 な濾液(粗抽出液)を得た。

 得られた濾液を、フェノール・ホルムア デヒド系吸着樹脂(味の素ファインテクノ社 製のホクエツHS)200mlが充填されたカラムに通 た。その後、洗浄溶媒として水600ml及びエ ノール濃度10容量%の含水エタノール600mlをカ ラムに順に流してフェノール・ホルムアルデ ヒド系吸着樹脂を洗浄した。次いで、溶出溶 媒としてエタノール濃度40容量%の含水エタノ ール1Lをカラムに流してフェノール・ホルム ルデヒド系吸着樹脂に吸着したエリオシト ンを溶出した。こうして得られる溶出液を 圧濃縮して溶出液中のエタノールを除去す ことにより、実施例3のエリオシトリン含有 素材を得た。

 実施例4
 実施例3において得られたエリオシトリン含 有素材に水を加えて2Lにし、これをスチレン 吸着樹脂(ローム・アンド・ハース社製のア ンバーライトXAD-16)200mlが充填されたカラムに 通した。その後、洗浄溶媒として水600ml及び タノール濃度10容量%の含水エタノール600ml 順にカラムに流してスチレン系吸着樹脂を 浄した。次いで、溶出溶媒としてエタノー 濃度40容量%の含水エタノール1Lをカラムに流 してスチレン系吸着樹脂に吸着したエリオシ トリンを溶出した。こうして得られた溶出液 を減圧濃縮して溶出液中のエタノールを除去 することにより、実施例4のエリオシトリン 有素材を得た。

 比較例1
 フェノール・ホルムアルデヒド系吸着樹脂 代わりに、スチレン系吸着樹脂(ローム・ア ンド・ハース社製のアンバーライトXAD-16)を 用し、エタノール濃度80容量%の含水エタノ ルの代わりに、溶出溶媒としてエタノール 度40容量%の含水エタノールを使用した点を いては、実施例1と同様の手順でエリオシト ン含有素材を得た。

 実施例5
 比較例1で得られたエリオシトリン含有素材 に水を加えて2Lにし、これをフェノール・ホ ムアルデヒド系吸着樹脂(味の素ファインテ クノ社製のホクエツHS)200mlが充填されたカラ に通した。その後、洗浄溶媒として水600ml びエタノール濃度10容量%の含水エタノール60 0mlをカラムに順に流してフェノール・ホルム アルデヒド系吸着樹脂を洗浄した。次いで、 溶出溶媒としてエタノール濃度40容量%の含水 エタノール1Lをカラムに流してフェノール・ ルムアルデヒド系吸着樹脂に吸着したエリ シトリンを溶出した。こうして得られた溶 液を減圧濃縮して溶出液中のエタノールを 去することにより、実施例5のエリオシトリ ン含有素材を得た。

 実施例6
 比較例1で得られたエリオシトリン含有素材 に水を加えて2Lにし、これをフェノール・ホ ムアルデヒド系吸着樹脂(味の素ファインテ クノ社製のホクエツHS)200mlが充填されたカラ に通した。その後、洗浄溶媒として水600ml びエタノール濃度10容量%の含水エタノール60 0mlをカラムに順に流してフェノール・ホルム アルデヒド系吸着樹脂を洗浄した。次いで、 溶出溶媒としてエタノール濃度80容量%の含水 エタノール1Lをカラムに流してフェノール・ ルムアルデヒド系吸着樹脂に吸着したエリ シトリンを溶出した。こうして得られた溶 液を減圧濃縮して溶出液中のエタノールを 去することにより、実施例6のエリオシトリ ン含有素材を得た。

 比較例2
 比較例1において得られたエリオシトリン含 有素材に水を加えて2Lにし、これをスチレン 着樹脂(アンバーライトXAD-16)200mlが充填され たカラムに通した。その後、洗浄溶媒として 水600ml及びエタノール濃度10容量%の含水エタ ール600mlをカラムに順に流してスチレン系 着樹脂を洗浄した、次いで、溶出溶媒とし エタノール濃度40容量%の含水エタノール1Lを カラムに流してスチレン系吸着樹脂に吸着し たエリオシトリンを溶出した。こうして得ら れた溶出液を減圧濃縮して溶出液中のエタノ ールを除去することにより、比較例2のエリ シトリン含有素材を得た。

 比較例3
 実施例1で得られた透明な濾液(粗抽出液)を フェノール・ホルムアルデヒド系吸着樹脂( ローム・アンド・ハース社製のアンバーライ トXAD-761)200mlが充填されたカラムに通した。 の後、溶出溶媒としてエタノール濃度40容量 %の含水エタノール1Lをカラムに流してフェノ ール・ホルムアルデヒド系吸着樹脂に吸着し たエリオシトリンを溶出した。こうして得ら れた溶出液を減圧濃縮して溶出液中のエタノ ールを除去することにより、比較例3のエリ シトリン含有素材を得た。尚、アンバーラ トXAD-761は、フェノール・ホルムアルデヒド 樹脂を主骨格としてフェノール性水酸基及 メチロール基をイオン交換基として有し、6 00オングストロームの平均細孔径を有する。

 <エリオシトリン含有素材の品質評価>
 実施例1~6及び比較例1~3のエリオシトリン含 素材について、高速液体クロマトグラフィ (HPLC)を用いて求められるエリオシトリン濃 を1800ppmに揃えた後、420nmの波長の吸光度、 びに可溶性固形分濃度ブリックス(Brix)値を 定し、さらに風味に関して評価した。吸光 の測定には、日立製のダブルビーム分光光 計U-2000形を使用した。風味に関しては、-、 ±、+、++、+++、++++、+++++の7段階で生薬臭及び 苦味を官能評価した。+の数が多いほど、生 臭又は苦味が強いこと表す。測定及び評価 結果を表1に示す。

 表1に示す結果から次のことが分かった。
 ・フェノール・ホルムアルデヒド系吸着樹 (ホクエツHS)を使用して得られた実施例1の リオシトリン含有素材は、スチレン系吸着 脂(アンバーライトXAD-16)のみを使用して得ら れた比較例1,2のエリオシトリン含有素材に比 べて、風味が改善され、かつ着色も抑えられ ることが認められた。

 ・フェノール・ホルムアルデヒド系吸着 脂の使用に引き続いてスチレン系吸着樹脂( アンバーライトXAD-16)を使用して得られた実 例2のエリオシトリン含有素材は、風味がさ に改善され、かつ着色もさらに抑えられる とが認められた。

 ・実施例2のエリオシトリン含有素材は、エ リオシトリン/Brixの値が大きいことから、夾 物の除去によりエリオシトリン含有率が向 していることが確認された。
 ・フェノール・ホルムアルデヒド系吸着樹 (ホクエツHS)に吸着したエリオシトリンを溶 出させる際にエタノール濃度の比較的低い含 水エタノールを使用して得られた実施例3,4の エリオシトリン含有素材では、エタノール濃 度の比較的高い含水エタノールを使用して得 られる実施例1,2のエリオシトリン含有素材に 比べて、風味が良好であり、着色も少ないう えに、エリオシトリン/Brixの値が大きいこと 確認された。

 ・アミノ基及びフェノール性水酸基を有 るフェノール・ホルムアルデヒド系吸着樹 とは異なるフェノール・ホルムアルデヒド 吸着樹脂(アンバーライトXAD-761)を使用して られた比較例3のエリオシトリン含有素材で は、着色が十分に抑えられないことが確認さ れた。

 ・フェノール・ホルムアルデヒド系吸着 脂の代わりにスチレン系吸着樹脂を使用し 得られた比較例1,2のエリオシトリン含有素 は、風味が良好でなく、着色も十分に抑え れないうえに、エリオシトリン/Brixの値が さい。これに対し、スチレン系吸着樹脂の 用に引き続いてフェノール・ホルムアルデ ド系吸着樹脂(ホクエツHS)を使用して得られ 実施例5,6のエリオシトリン含有素材は、風 が改善され、着色も抑えられているうえに エリオシトリン/Brixの値が高い。

 ・以上から、アミノ基及びフェノール性 酸基を有するフェノール・ホルムアルデヒ 系吸着樹脂を使用することにより、良好な 味及び色味を有する高品質なエリオシトリ 含有素材が得られることは明白である。

 <エリオシトリン含有素材を含むレモン風 飲料の製造>
 実施例7
 透明濃縮レモン果汁(Brix40)20gにショ糖70g及 クエン酸三ナトリウム2gを配合し、実施例2 おいて得られたエリオシトリン含有素材を 終エリオシトリン濃度が600ppmとなるように 加し、水を加えて1Lとした。これを85℃で30 間殺菌した後、瓶内に100mLずつホットパック 充填することにより実施例7のレモン風飲料 得た。得られたレモン風飲料を、加速度的 経時変化させるべく、60℃で3日間静置した その後のレモン風飲料について、420nmの波長 の吸光度を測定し、さらに風味に関して評価 した。風味に関しては、-、±、+、++、+++、+++ +、+++++の7段階で異臭及び苦味を官能評価し 。+の数が多いほど、異臭又は苦味が強いこ 表す。測定及び評価の結果を表2に示す。

 比較例4
 透明濃縮レモン果汁(Brix40)20gにショ糖70g及 クエン酸三ナトリウム2gを配合し、比較例2 おいて得られたエリオシトリン含有素材を 終エリオシトリン濃度が600ppmとなるように 加し、水を加えて1Lとした。これを85℃で30
間殺菌した後、瓶内に100mLずつホットパック 填することにより比較例4のレモン風飲料を 得た。得られたレモン風飲料を、加速度的に 経時変化させるべく、60℃で3日間静置した。 その後のレモン風飲料について、実施例7の モン風飲料と同様にして、吸光度の測定及 風味に関する評価を行った。その結果を表2 示す。

 表2に示されるように、実施例7のレモン風 料は、比較例4のレモン風飲料に比べて、経 変化が原因で起こる着色や風味の低下が少 いことが確認された。
 <溶出溶媒の検討>
 実施例1のエリオシトリン含有素材の製造に 際して、エタノール濃度80容量%の含水エタノ ールを溶出溶媒として使用する代わりに、エ タノール濃度10容量%の含水エタノール、エタ ノール濃度20容量%の含水エタノール、エタノ ール濃度30容量%の含水エタノール、エタノー ル濃度40容量%の含水エタノール、エタノール 濃度60容量%の含水エタノール、エタノール濃 度80容量%の含水エタノール、100%エタノール 順に溶出溶媒のエタノール濃度を高めて、 ェノール・ホルムアルデヒド系吸着樹脂に 着したエリオシトリンを溶出した。エタノ ル濃度が異なる溶出溶媒ごとに得られる各 リオシトリン含有素材について、エリオシ リン濃度を1800ppmに揃えた後、420nmの波長の 光度、並びに可溶性固形分濃度Brix値を測定 、さらに風味に関して評価した。また、フ ノール・ホルムアルデヒド系吸着樹脂(ホク エツHS)が充填されたカラムに通す前の透明な 濾液(粗抽出液)中のエリオシトリン含有量をH PLCを用いて測定し、これに基づいてエリオシ トリン回収率を求めた。風味に関しては、- ±、+、++、+++、++++、+++++の7段階で生薬臭及 苦味を官能評価した。+の数が多いほど、生 臭又は苦味が強いこと表す。測定及び評価 結果を表3に示す。

 表3に示されるように、溶出溶媒中のエタ ノール濃度が低くなるにつれて、得られるエ リオシトリン含有素材の着色が抑えられると ともに風味が改善される傾向が認められた。 また、溶出用溶媒中のエタノール濃度が高く なるにつれて、エリオシトリン回収率が高く なる傾向も認められた。ただし、溶出溶媒中 のエタノール濃度が低すぎたり高すぎたりす ると、エリオシトリン/Brixの値が小さいこと ら、夾雑物が十分に除去されないことも認 られた。したがって、総合的にみると、溶 溶媒中のエタノール濃度は60~80容量%が特に ましいことが分かった。なお、フェノール ホルムアルデヒド系吸着樹脂として、ホク ツHSの代わりに、味の素ファインテクノ社 のホクエツKSを使用した場合も、データは示 さないが、同様の結果が得られた。