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Patent Searching and Data


Title:
FILM FOR DENTAL IMPRESSION AND METHOD OF PRODUCING FILM FOR DENTAL IMPRESSION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/057591
Kind Code:
A1
Abstract:
By focusing attention on the combination of two kinds of dental impression materials made of different substances that are unthinkable in the existing combination impression techniques, a film for dental impression which enables the joining of these materials and a method of producing a film for dental impression are provided. The film for dental impression comprises a polyethylene film (10) and polyethylene-polyester films (20), wherein polyethylene-polyester films (20) capable of adhering respectively to a silicone impression material and to an alginate impression material are laminated on both faces of the polyethylene film (10) via thermal adhesion. Owing to the interposing film for dental impression which is capable of adhering to the individual dental impression materials including the silicone impression material and the alginate impression material, the silicone impression material can be joined with the alginate impression material without a need for matching the hardening timings of the individual impression materials. Thus, a precise impression can be economically obtained with the use of a smaller amount of the silicone impression material.

Inventors:
FUKUHARA YASUHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/069547
Publication Date:
May 07, 2009
Filing Date:
October 28, 2008
Export Citation:
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Assignee:
FUKUHARA YASUHIRO (JP)
International Classes:
A61C9/00; A61K6/90
Domestic Patent References:
WO2000016714A12000-03-30
Foreign References:
JPH03156013A1991-07-04
JPH1080434A1998-03-31
Other References:
See also references of EP 2113222A4
Attorney, Agent or Firm:
SUGITANI, Tsutomu (10-8 Nishitenma 1-chome, Kita-ku, Osaka-sh, Osaka 47, JP)
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Claims:
 材質の異なる2種の歯科用印象材料を重ね合わせる連合印象に用いる歯科印象用フィルムにおいて、前記歯科印象用フィルムの両面に印象採得の際それぞれ硬化した各歯科用印象材料との間で接着能を有する層を積層する又は接着能を有する突起物を取り付け、材質の異なる2種の歯科用印象材料を接合可能とすることを特徴とする歯科印象用フィルム。
 請求項1に記載の歯科印象用フィルムにおいて、前記歯科用印象材料は、シリコーン印象材とアルジネート印象材の組み合わせからなることを特徴とする歯科印象用フィルム。
 請求項1または請求項2に記載の歯科印象用フィルムにおいて、前記歯科印象用フィルムは、ポリエチレンフィルムの両面にシリコーン印象材及びアルジネート印象材との間で接着能を有するポリエチレンとポリエステルからなるフィルムを熱接着により積層したことを特徴とする歯科印象用フィルム。
 請求項1または請求項2に記載の歯科印象用フィルムにおいて、前記歯科印象用フィルムは、シリコーン印象材及びアルジネート印象材との間で接着能を有するフィルムの一方の表面にシリコーン印象材の層を固着したことを特徴とする歯科印象用フィルム。
 請求項1または請求項2に記載の歯科印象用フィルムにおいて、前記歯科印象用フィルムは、シリコーン印象材との間で接着能を有するフィルムのアルジネート印象材と接着させる側の表面にアルジネート印象材が入り込み硬化した際に強固に絡み合って離れないループ状突起物を取り付けたことを特徴とする歯科印象用フィルム。
 樹脂製フィルムの両面にそれぞれ樹脂製不織布を重ね合わせて3層に形成し、最下層に位置する前記樹脂製不織布の下側にバージンパルプを重ねて敷いた後、それらをロールに巻きつけて全体をロール状に形成し、次いで加熱手段により所定温度で加熱して前記樹脂製フィルムの両面に前記樹脂製不織布を熱接着させることを特徴とする歯科印象用フィルムの製造方法。
 請求項6に記載の歯科印象用フィルムの製造方法において、前記樹脂製フィルムがポリエチレンフィルムであり、前記樹脂製不織布がポリエチレン・ポリエステルの2重構造繊維であることを特徴とする歯科印象用フィルムの製造方法。
 請求項6または請求項7に記載の歯科印象用フィルムの製造方法において、前記加熱手段による加熱温度を前記樹脂製フィルムの耐熱温度以上で118~135℃の範囲内に設定したことを特徴とする歯科印象用フィルムの製造方法。
 請求項6ないし請求項8のいずれかに記載の歯科印象用フィルムの製造方法において、前記加熱手段が高圧蒸気滅菌器であることを特徴とする歯科印象用フィルムの製造方法。
 歯科用印象材料を固体に接合させる歯科印象用フィルムにおいて、前記歯科印象用フィルムは、歯科印象材料が浸透する浸透面と、固体に貼り付ける貼り付け面とを有し、前記浸透面は、硬化した歯科用印象材料との間で接着能を有する層を積層する又は接着能を有する突起物を取り付け、前記貼り付け面には、固体に貼り付くことのできるように、粘着材が塗られており、歯科用印象材料と固体とを接合可能とすることを特徴とする歯科印象用フィルム。
Description:
歯科印象用フィルム及び歯科印 用フィルムの製造方法

 本発明は、材質の異なる2種の歯科用印象 材料を重ね合わせる連合印象に用いる歯科印 象用フィルム及び歯科印象用フィルムの製造 方法に関する。

 従来から、歯冠修復物を作製する場合、 性印象材による印象採得する方法が一般的 行われている。通常の印象材料としては、 ルギン酸塩の可溶性塩を主成分とする印象 (アルジネート印象材:例えば、特許文献1参 )、シリコーンゴムを主成分とする精密印象 材(シリコーン印象材)などが知られている。

 これらの印象材の主な特徴を比較すると シリコーン印象材を用いた場合は、アルジ ート印象材を用いた場合よりも精密な印象 得が可能であるといえるが、シリコーン印 材はアルジネート印象材よりも価格が数倍 上するため、経済性の面を考慮するとシリ ーン印象材を多量に使用することは難しい したがって、シリコーン印象材の使用量を きる限り少なくすればコストダウンを図る とができる。

 一方、2種の歯科用印象材料を重ね合わせる 連合印象としては、例えば、寒天・アルジネ ート連合印象が一般的に知れている。その特 徴としては、両者とも多量の水分を含んでい ることである。このため、印象撤去後歯型材 の注入が遅れると、水分の蒸発に伴う収縮に より印象が変形してしまうという問題がある 。また、寒天とアルジネートの両者間の良好 な接着が重要なポイントとなるが、未硬化の 2種の材料を重ね合わせる方法であるため、 者が十分な流動性を有する時期に圧接する とが必要となる。

特開2008-222672号公報

 しかし、2種の歯科用印象材料を使用する 場合において、印象採得する領域が広範囲に なる場合には、各印象材の硬化タイミングを 合わせることは非常に困難であるといえる。 すなわち、歯牙に付着した寒天が固化した後 、アルジネートを寒天に被せると、寒天とア ルジネートが結合せず、両者が乖離してしま う。寒天は、歯牙に付着してから約20秒ほど 流動性を失い、固化してしまうことからす と、硬化のタイミングを合わせることは容 でない。

 そこで、本発明は、従来の連合印象では えられなかった材質の異なる2種の歯科用印 象材料を組合せることに着目し、印象採得の 際に材質の異なる2種の歯科用印象材料を接 可能とし、各印象材の硬化タイミングを合 せる必要性がなく且つ精密な印象を安価に 得することができる歯科印象用フィルム及 歯科印象用フィルムを製造する方法を提供 ることを目的とする。

 本発明に係る歯科印象用フィルムは、材 の異なる2種の歯科用印象材料を重ね合わせ る連合印象に用いる歯科印象用フィルムにお いて、前記歯科印象用フィルムの両面に印象 採得の際それぞれ硬化した各歯科用印象材料 との間で接着能を有する層を積層する又は接 着能を有する突起物を取り付け、材質の異な る2種の歯科用印象材料を接合可能とするこ を特徴とする。

 これにより、各印象材の硬化タイミング 合わせる必要性がなく且つ精密な印象を安 に採得することができる。

 また、前記歯科用印象材料が、シリコー 印象材とアルジネート印象材の組み合わせ らなることを特徴とする。

 また、前記歯科印象用フィルムが、ポリ チレンフィルムの両面にシリコーン印象材 びアルジネート印象材との間で接着能を有 るポリエチレンとポリエステルからなるフ ルムを熱接着により積層したことを特徴と る。

 また、前記歯科印象用フィルムが、シリ ーン印象材及びアルジネート印象材との間 接着能を有するフィルムの一方の表面にシ コーン印象材の層を固着したことを特徴と る。

 また、前記歯科印象用フィルムが、シリ ーン印象材との間で接着能を有するフィル のアルジネート印象材と接着させる側の表 にアルジネート印象材が入り込み硬化した に強固に絡み合って離れないループ状突起 を取り付けたことを特徴とする。

 本発明に係る歯科印象用フィルムの製造 法は、樹脂製フィルムの両面にそれぞれ樹 製不織布を重ね合わせて3層に形成し、最下 層に位置する前記樹脂製不織布の下側にバー ジンパルプを重ねて敷いた後、それらをロー ルに巻きつけて全体をロール状に形成し、次 いで加熱手段により所定温度で加熱して前記 樹脂製フィルムの両面に前記樹脂製不織布を 熱接着させることを特徴とする。

 また、前記樹脂製フィルムがポリエチレ フィルムであり、前記樹脂製不織布がポリ チレン・ポリエステルの2重構造繊維である ことを特徴とする。

 また、前記加熱手段による加熱温度を前 樹脂製フィルムの耐熱温度以上で118~135℃の 範囲内に設定したことを特徴とする。また、 前記加熱手段が高圧蒸気滅菌器であることを 特徴とする。

 また、本発明に係る歯科用印象材料を固 に接合させる歯科印象用フィルムは、歯科 象材料を塗布する浸透面と、固体に貼り付 る貼り付け面とを有し、浸透面は、硬化し 歯科用印象材料との間で接着能を有する層 積層する又は接着能を有する突起物を取り け、貼り付け面には、固体に貼り付くこと できるように、粘着材が塗られており、歯 用印象材料と固体とを接合可能とすること 特徴とする。

 以上のように、本発明に係る歯科印象用 ィルムによれば、歯科印象用フィルムの両 に印象採得の際それぞれ硬化した各歯科用 象材料との間で接着能を有する層を積層す 又は接着能を有する突起物を取り付けるこ により、従来の連合印象では考えられなか た材質の異なる2種の歯科用印象材料を組合 せて接合可能としたので、各歯科用印象材料 のそれぞれの特徴を利用して精密な印象を安 価に採得することを可能にしたのである。ま た、歯科印象用フィルムを介在させることに より、各歯科用印象材の硬化タイミングを合 わせる必要性がなくなるので、印象採得する 領域が広範囲になる場合でも練和から印象完 了するまでの一連の作業がし易くなる。

 また、本発明に係る歯科印象用フィルム 製造方法によれば、樹脂製フィルムの両面 樹脂製不織布をそれが有する不織布の立体 な繊維構造を残しつつ簡単且つ確実に熱接 できるので、量産時においても商品の製造 容易にすることができ、品質が安定した商 を安価に供給することができる。

本件発明にかかる歯科印象用フィルム 実施例1を示す説明図である。 本件発明にかかる歯科印象用フィルム 実施例2を示す説明図である。 本件発明にかかる歯科印象用フィルム 実施例3を示す説明図である。 本件発明にかかる歯科印象用フィルム 実施例4を示す説明図である。 本件発明にかかる歯科印象用フィルム 実施例5を示す説明図である。 本件発明にかかる歯科印象用フィルム 実施例6を示す説明図である。 本件発明にかかる歯科印象用フィルム 実施例6を示す説明図である。 本件発明にかかる歯科印象用フィルム 実施例6を示す説明図である。 本件発明にかかる歯科印象用フィルム 実施例6を示す説明図である。 本件発明にかかる歯科印象用フィルム の実施例6を示す説明図である。 本件発明にかかる歯科印象用フィルム の実施例7を示す説明図である。 本件発明にかかる歯科印象用フィルム の実施例7を示す説明図である。 本件発明にかかる歯科印象用フィルム の実施例7を示す説明図である。

符号の説明

10 ポリエチレンフィルム
13 ミラクルフィット(歯科印象用フィルム)
16 シリコーン(歯科用印象材料)
20 ポリエチレン・ポリエステルフィルム
26 アルジネート(歯科用印象材料)
31 元の有床義歯(固体)

 以下、本件発明にかかる歯科印象用フィ ムの一形態について、図面を参酌しながら 明する。

 本発明の「材質の異なる2種の歯科用印象 材料」については、シリコーン印象材とアル ジネート印象材の組み合わせに限定されるも のではなく、本発明の趣旨に合致する歯科用 印象材料の組み合わせを選択することができ 、例えば、ラバー印象材、寒天印象材等を採 用してもよい。

 図1は、本件発明にかかる歯科印象用フィ ルムの実施例1を示す説明図である。

 本実施例の歯科印象用フィルムは、ポリ チレンフィルム10とポリエチレン・ポリエ テルフィルム20とから構成される。図1に示 ように、ポリエチレンフィルム10の両面には 、シリコーン印象材及びアルジネート印象材 との間で接着能を有するポリエチレン・ポリ エステルフィルム20が熱接着によりそれぞれ 層され、3層からなる積層体が形成されてい る。

 ここで、歯科印象用フィルムの積層体を 成する表面の材質は、上記に限定されるも ではなく、シリコーン印象材及びアルジネ ト印象材との間でそれぞれ接着能を有し、 つ硬化した際に分離し難い構造及び厚さの のを採用することができる。

 歯科印象用フィルムの積層体において、 離し難い構造とは、例えば、シリコーン印 材、およびアルジネート印象材がしみ込む とができる空隙を有する構造であり、繊維 絡まり合った構造である。また、分離し難 厚さとは、例えば、ポリエチレン・ポリエ テルフィルム20一層あたり、0.1mm~0.4mm程度が 望ましく、更に望ましくは、0.15mm~0.25mm程度 好適である。最も望ましくは、0.2mmの厚さが 採用できる。なお、ポリエチレンフィルム10 厚さは、10μmのオーダであるので、実施例1 係る歯科印象用フィルムの厚さは、ポリエ レン・ポリエステルフィルム20の厚さによ て略決定される。

 本実施例の歯科印象用フィルムを用いて リコーン印象材100とアルジネート印象材200 を重ね合わせる連合印象による印象採得す 場合、シリコーン印象材100及びアルジネー 印象材200の各歯科用印象材料との間で接着 を有する歯科印象用フィルムを介在させる とにより(図1参照)、従来ではできなかった リコーン印象材100とアルジネート印象材200 接合が可能になり、少量のシリコーン印象 100を使用して精密な印象を安価に採得する とができる。また、歯科印象用フィルムの 側に貼り付いた状態でシリコーン印象材100 硬化した後、歯科印象用フィルムのもう片 にアルジネート印象材200を塗布することが きる。したがって、シリコーン印象材100と ルジネート印象材200とを別個に独立して硬 させることができるので、印象形成の際に シリコーン印象材100とアルジネート印象材2 00の硬化タイミングを合わせる必要性がなく り、練和から印象完了するまでの一連の作 がし易くなる。

 また、歯科印象用フィルムにおけるポリ チレン・ポリエステルフィルム20に挟まれ ポリエチレンフィルム10は、印象材の透過を 禁止する機能を有し、歯科印象用フィルムの 表面と裏面との間で印象材の浸透を防止する 。例えば、シリコーン印象材100を先に歯科印 象用フィルムの一面に塗布したとしても、シ リコーン印象材100は、ポリエチレンフィルム 10に阻まれて、歯科印象用フィルムの他面ま 到達できない。この状態でアルジネート印 材200を歯科印象用フィルムの他面に塗布す と、アルジネート印象材200が浸透する空隙 ポリエチレンフィルム10に保持されている で、アルジネート印象材200は、容易に歯科 象用フィルムに浸透することができる。

 図2は、本件発明にかかる歯科印象用フィル ムの実施例2を示す説明図である。
 本実施例の歯科印象用フィルムは、シリコ ン印象材層30と接着フィルム40とから構成さ れる。図2に示すように、シリコーン印象材 びアルジネート印象材との間で接着能を有 る接着フィルム40の一方の表面には、シリコ ーン印象材層30が予め固着されている。

 ここで、歯科印象用フィルムの接着フィ ム40を構成する材質は、シリコーン印象材 びアルジネート印象材との間でそれぞれ接 能を有し、且つ硬化した際に分離し難い材 及び厚さのものを採用する。

 この様な構成とすることで、シリコーン 象材30が固着された接着フィルム40の一方の 表面にシリコーン印象材100が塗布されること になる。シリコーン印象材100は、シリコーン 印象材30と結合した状態で硬化し、歯科印象 ィルムに確実に貼りつく。一方、接着フィ ム40は、アルジネート印象材200を接着する 能を有するのであるから、シリコーン印象 100とアルジネート印象材200とは、実施例2に る歯科印象用フィルムを介して確実に結合 れる。

 つまり、本実施例の歯科印象用フィルム 用いてシリコーン印象材100とアルジネート 象材200とを重ね合わせる連合印象による印 採得する場合、シリコーン印象材100は硬化 た際にシリコーン印象材層30に一体的に結 し、アルジネート印象材200は硬化した際に 着フィルム40に接着するため、上記歯科印象 用フィルムを介在させることにより(図2参照) 、実施例1と同様に従来ではできなかったシ コーン印象材100とアルジネート印象材200の 合が可能になり、少量のシリコーン印象材10 0を使用して精密な印象を安価に採得するこ ができる。また、実施例1と同様に、歯科印 用フィルムの片側に貼り付いた状態でシリ ーン印象材100が硬化した後、歯科印象用フ ルムのもう片側にアルジネート印象材200を 布することができる。したがって、シリコ ン印象材100とアルジネート印象材200とを別 に独立して硬化させることができるので、 象形成の際に、シリコーン印象材100とアル ネート印象材200の硬化タイミングを合わせ 必要性がなくなり、練和から印象完了する での一連の作業がし易くなる。

 図3は、本件発明にかかる歯科印象用フィ ルムの実施例3を示す説明図である。

 本実施例の歯科印象用フィルムは、接着 ィルム50とループ状突起物60から構成される 。図3に示すように、シリコーン印象材との で接着能を有する接着フィルム50のアルジネ ート印象材と接着させる側の表面には、アル ジネート印象材が入り込み硬化した際に強固 に絡み合って離れない多数のループ状突起物 60が取り付けられている。このループ状突起 60が取り付けられた接着フィルム50の一面を 取り付け面と呼び、接着フィルム50の他面を 処理面と呼ぶことにする。

 ここで、歯科印象用フィルムの接着フィ ム50を構成する材質は、シリコーン印象材 の間で接着能を有し、且つ硬化した際に分 し難い材質及び厚さのものを採用する。

 本実施例の歯科印象用フィルムを用いて リコーン印象材100とアルジネート印象材200 を重ね合わせる連合印象による印象採得す 場合、図3に示すように、接着フィルム50の り付け面にアルジネート印象材200が塗布さ 、接着フィルム50の未処理面にシリコーン 象材100が塗布されることになる。シリコー 印象材100は硬化する際に未処理面に浸透し 接着フィルム50に接着する。また、アルジネ ート印象材200は硬化する際に、取り付け面に おける多数のループ状突起物60に絡み合って 離しなくなるため、上記歯科印象用フィル を介在させることにより(図3参照)、実施例1 及び実施例2と同様に、歯科印象用フィルム 片側に貼り付いた状態でシリコーン印象材10 0が硬化した後、歯科印象用フィルムのもう 側にアルジネート印象材200を塗布すること できる。したがって、シリコーン印象材100 アルジネート印象材200とを別個に独立して 化させることができるので、印象形成の際 、従来ではできなかったシリコーン印象材10 0とアルジネート印象材200の接合が可能にな 、少量のシリコーン印象材100を使用して精 な印象を安価に採得することができる。ま 、実施例1及び実施例2と同様にシリコーン印 象材100とアルジネート印象材200の硬化タイミ ングを合わせる必要性がなくなり、練和から 印象完了するまでの一連の作業がし易くなる 。

 図4は、本件発明にかかる歯科印象用フィ ルムの実施例4を示す説明図である。

 本実施例の歯科印象用フィルムは、シリ ーン印象材フィルム70とループ状突起物80か ら構成される。図4に示すように、シリコー 印象材フィルム70のアルジネート印象材と接 着させる側の表面には、アルジネート印象材 が入り込み硬化した際に強固に絡み合って離 れない多数のループ状突起物80が取り付けら ている。このループ状突起物60が取り付け れたシリコーン印象材フィルム70の一面を取 り付け面と呼び、シリコーン印象材フィルム 70の他面を未処理面と呼ぶことにする。

 本実施例の歯科印象用フィルムを用いて リコーン印象材100とアルジネート印象材200 を重ね合わせる連合印象による印象採得す 場合、図4に示すように、シリコーン印象材 フィルム70の取り付け面にアルジネート印象 200が塗布され、シリコーン印象材フィルム7 0の未処理面にシリコーン印象材100が塗布さ ることになる。シリコーン印象材100は硬化 た際に未処理面におけるシリコーン印象材 ィルム70に一体的に結合し、アルジネート印 象材200は硬化した際に取り付け面における多 数のループ状突起物80に絡み合って分離しな ため、上記歯科印象用フィルムを介在させ ことにより(図4参照)、実施例3と同様に従来 ではできなかったシリコーン印象材100とアル ジネート印象材200の接合が可能になり、少量 のシリコーン印象材100を使用して精密な印象 を安価に採得することができる。また、実施 例3と同様に、歯科印象用フィルムの片側に り付いた状態でシリコーン印象材100が硬化 た後、歯科印象用フィルムのもう片側にア ジネート印象材200を塗布することができる したがって、シリコーン印象材100とアルジ ート印象材200とを別個に独立して硬化させ ことができるので、印象形成の際に、シリ ーン印象材100とアルジネート印象材200の硬 タイミングを合わせる必要性がなくなり、 和から印象完了するまでの一連の作業がし くなる。

 図5は、本件発明にかかる歯科印象用フィ ルムの実施例5を示す説明図である。

 本実施例の歯科印象用フィルムは、シリ ーン印象材及びアルジネート印象材との間 それぞれ接着能を有し、且つ硬化した際に 離し難い材質及び厚さからなる接着フィル 90から構成される。

 本実施例の歯科印象用フィルムを用いて リコーン印象材100とアルジネート印象材200 を重ね合わせる連合印象による印象採得す 場合、シリコーン印象材100は硬化した際に 着フィルム90aの下半分の領域に接着し、ア ジネート印象材200は硬化した際に接着フィ ム90bの上半分の領域に接着するため、上記 科印象用フィルムを介在させることにより( 図5参照)、実施例1等と同様に、歯科印象用フ ィルムの片側に貼り付いた状態でシリコーン 印象材100が硬化した後、歯科印象用フィルム のもう片側にアルジネート印象材200を塗布す ることができる。したがって、シリコーン印 象材100とアルジネート印象材200とを別個に独 立して硬化させることができるので、印象形 成の際に、従来ではできなかったシリコーン 印象材100とアルジネート印象材200の接合が可 能になり、少量のシリコーン印象材100を使用 して精密な印象を安価に採得することができ る。また、実施例1等と同様にシリコーン印 材100とアルジネート印象材200の硬化タイミ グを合わせる必要性がなくなり、練和から 象完了するまでの一連の作業がし易くなる

 シリコーン印象材には、付加型シリコー 、縮合型シリコーンなどの種類があり、歯 印象用フィルムとの接着が材料の持つ化学 な性質による場合には同型(付加型、縮合型 など)の印象材でないと接着しないため、歯 印象用フィルム(上記実施例2又は実施例4)の 学的接着層の材質のバリエーションをその 類に応じて作製し、その化学的接着特性に わせて実際の印象時の印象材(シリコーンな ど)を選択する必要がある。なお、化学的接 によらない歯科印象用フィルム(上記実施例1 ,実施例3又は実施例5)では、接着特性により 象材を限定されることはない。

 以下、本発明に係る歯科印象用フィルム 製造方法について説明する。

 本発明に係る歯科印象用フィルムの製造 法は、樹脂製フィルムの両面にそれぞれ樹 製不織布を重ね合わせて3層に形成し、最下 層に位置する前記樹脂製不織布の下側にバー ジンパルプを重ねて敷いた後、それらをロー ルに巻きつけて全体をロール状に形成し、次 いで加熱手段により所定温度で加熱して前記 樹脂製フィルムの両面に前記樹脂製不織布を 熱接着させる歯科印象用フィルムの製造方法 である。

 なお、本発明に係る歯科印象用フィルム 製造方法は以下の実施例に限定されるもの はなく、各構成要件の具体的内容について 本発明の趣旨に合致する範囲内で適宜変更 ることができる。

 (製造工程1)
 先ず、樹脂製フィルムの両面にそれぞれ樹 製不織布を重ね合わせて3層に形成する。こ こで、樹脂製フィルムとしてポリエチレンフ ィルム、樹脂製不織布としてポリエチレン・ ポリエステルの2重構造繊維を採用すること 好ましい。

 樹脂製不織布は、2種類の糸を混合して形 成される。混合させる第1糸は、7.8dtの繊度を 有し、第2糸は、3.3dtの繊度を有する。歯科印 象用フィルムとしては、第1糸を70%~50%とし、 2糸を30%~50%として両者を混合したものを樹 製不織布の原料とすることが望ましい。な 、繊度を示すdtは、デシ・テックスの意であ る。

 ポリエチレンフィルムは、例えば日本紙 ック株式会社製のポリエチレンフィルム(商 品名「抗菌ワンラップ(登録商標)220m」、耐熱 温度110℃)を採用する。また、ポリエチレン ポリエステルの2重構造繊維は、例えばシン 株式会社製の不織布(品番「MF-1」)を採用す 。この素材は、ヒートシールが容易で接着 度が強力であるという特長を有している。

 樹脂製フィルムと樹脂製不織布の大きさ ついては、樹脂製不織布の幅を樹脂製フィ ムの幅よりも寸法を短く設定しておく。こ により、両者を重ね合わせた際に樹脂製不 布が樹脂製フィルムの内側に完全に収まり 象材の接着不良を防止することができる。

 (製造工程2)
 次に、最下層に位置する樹脂製不織布の下 にバージンパルプを重ねて敷いた後、それ をロールに巻きつけて全体をロール状に形 する。

 このようにバージンパルプを重ねて敷く とにより、樹脂製不織布の表面を保護する と同時に樹脂製不織布に不純物が付着する を防止すると共に樹脂製不織布同士が接着 るのを防止することができる。また、ロー に巻きつけて全体をロール状に形成するこ により、樹脂製フィルムと樹脂製不織布と 間に不均一な圧力がかかるのを防止するこ ができるので、樹脂製フィルムの両面に樹 製不織布をそれが有する不織布の立体的な 維構造を壊すことなく熱接着することが可 になる。

 また、全体をロール状にした際、紐や止 具などを用いてその状態を保持できるよう しておく。バージンパルプの大きさについ は、バージンパルプの幅を樹脂製フィルム 幅よりも寸法を長く設定しておく。また、 脂製フィルムと樹脂製不織布とバージンパ プについてそれぞれ長尺製品を採用する場 は、ロール状にした後に適当な長さに切断 ておく。

 (製造工程3)
 最後に、加熱手段により所定温度で加熱し 前記樹脂製フィルムの両面に前記樹脂製不 布を熱接着させる。加熱手段による加熱温 については、樹脂製フィルムの耐熱温度以 で118~135℃の範囲内に設定することが好まし い。具体的には、ポリエチレンフィルムとし て日本紙パック株式会社製のポリエチレンフ ィルム(商品名「抗菌ワンラップ(登録商標)220 m」、耐熱温度110℃)を採用し、ポリエチレン ポリエステルの2重構造繊維としてシンワ株 式会社製の不織布(品番「MF-1」)を採用した場 合、加熱温度を118~121℃に設定して5分間程度 熱するのが適切である。

 ここで、加熱手段については、高圧蒸気 菌器を使用することが好ましい。この高圧 気滅菌器とは、大気圧を超える圧力のもと 飽和蒸気滅菌する器具のことをいい、所定 滅菌温度及び滅菌時間を設定することによ 、樹脂製フィルムの両面に樹脂製不織布を 接着させる歯科印象用フィルムの製造に最 な加熱手段となる。また加熱手段は、これ 限定されるものではない。例えば、ハンド イプの加熱器が使用できる。この種の加熱 は、2つのアームを有しており、これらでポ リエチレンフィルム、およびポリエチレン・ ポリエステルをアームで挟み込みながら加熱 すると、両者が熱接着されることになる。

 なお、何重にも太くロール状にしたもの 加熱する場合、加熱時間を長く温度を高目 適宜加減し、加熱手段の載置面に接する下 部分にその物の自重がかかり熱圧着をおこ おそれがあるので、ロールを浮かした状態 保持できるスタンドを使用するとよい。ま 、フィルム内で蒸気が水滴となり接着不良 起こさないようロールを立てた状態で保持 きるスタンドを使用するのが好ましい。

 以下、実施例6として、本発明にかかる歯 科印象用フィルム(以下、登録商標「ミラク フィット」という)を使用した印象法(2回法) フローチャートについて説明する。

 本発明の実施例1~実施例5に係る歯科印象 ィルムの使用方法は、ワックストレーを製 するステップと、印象を採得する印象ステ プを含んでいる。これらの各ステップにつ て作業の順を追って説明する。なお、歯科 象フィルムの使用方法として、クラウン(冠 )を形成する例について説明する。このクラ ンは、今回の補綴物作製において、処置を わない歯牙の間に挟まれる位置に装着され 。

 <事前に準備するワックストレーの作製方 法:ワックストレー製作ステップ>
 ワックストレーの製作には、以下の(1)~(3)の 小工程を行うことでなされる。
 (1)バイトワックス8(歯科用パラフィンワッ ス)を、形成歯及びコンタクト(歯の間の接触 点)を十分カバーできる大きさにカットする 図6(a)参照〕。

 (2)バイトワックス8の辺縁を内側に折り込 みミラクルフィットを固定するための厚さと 強度を確保する。この場合に、バイトワック ス8を2枚重ねて使うか厚めのものを使用する 良い。図6(b)に示す様に、辺縁を内側へ折り 返した方がアルジネートの保持力が強くなる 。また、咬合面部(上部)のワックスに厚みを たせた方が1次印象時のワックストレーの変 形がなく気泡の混入がなくなる。

 (3)バイトワックス8をU字状に折り曲げる に、バイトワックス8をメタルコアの石膏模 9に圧接する〔図6(c)参照〕。その後、今度 、患者の口腔内にて折り曲げられたバイト ックス8を軽く圧接して、形状の微調整を行 。この工程は、メタルコアの石膏模型に代 って、市販のプラスチック(シリコーン)製 顎歯牙模型より印象部位のバイトワックス8 U字状に折り曲げて、患者の口腔内にて圧接 して作製することもできる。

 このときに、一度で患者の口腔内でワッ ストレーを圧接し作製しようとすると患者 痛みを訴えることが多いので、圧接は2回に 分けて作製するのが望ましい。また、(3)で説 明した口腔内へのパラフィンワックス(トレ )の圧接作業は、2枚に重ねたパラフィンワッ クスを歯科用ガストーチやバーナーで温めて 軟化させて行うと患者の痛みも少なく簡単に 作製できる。圧接の完了したワックストレー 表面に歯牙基準点に合わせラインを歯科用イ ンスツルメントなどでマーキングする。この 歯牙基準点は、ワックストレーを患者に挿入 する際の目印である。その後、水道水などで ワックストレーを冷やすと、ワックスが固ま り強固なワックストレーが完成する。その地 域の気温や水道水の水温が異なるため、場合 により冷水を使用するか、融点の高いハード タイプのパラフィンワックスを使用すること ができる。

 このワックストレーの長さについて説明 る。ワックストレーの長さとしては、後述 2次印象時のトレーをカバーする程度が望ま しいが、最低限、形成歯とその必要なコンタ クト(接触点)を含む歯牙分のワックストレー 必要である。すなわち、少なくとも、ワッ ストレーはクラウンからはみ出して、クラ ンに隣接する隣在歯の一部を覆う程度の大 さが必要である。

 <印象法(2回法)のフローチャート:印象ス ップ>
 上述のワックストレーの作製に引き続いて 患者の歯牙の印象を行う。この工程は、以 の(4)~(16)の小工程を行うことでなされる。 の例において、図7(a)の符号11に示すように 者の歯牙の1本が虫歯に侵食されるなどの理 により、歯冠部歯質が欠損したものとし、 の欠損歯質を補綴するクラウンを作製する のとする。なお、図7(a)中の符号21は、処置 行わない歯である。

 (4)図7(b)に示すように、虫歯となった歯11 掘削し、これに代わって、支台装置を歯11 存していた位置に埋め込んで支台歯22を形成 する。この支台歯22は、クラウンを支持する 礎となるものである。

 (5)図7(b)に示すように、強いアンダーカッ ト及び歯間乳頭部の歯肉退縮部の鼓形空隙を 歯科寒天印象材12にてリリーフする(埋める) そして、後述の印象材を硬化後、撤去する ミラクルフィットに強い負荷がかかる部分 寒天印象材にてリリーフする(埋める)。要す るにシリコーン印象材が、鼓形空隙の奥にま で浸透して、シリコーンを離型する際にシリ コーンを変形させるような応力が生じるのを 防止するとともに、シリコーンのちぎれが起 こらないようにする。

 (6)ワックストレー15の内面にミラクルフ ット13を適合させ辺縁部に3~5mmほど余らせて さみ等で切り合わせる。このときに、ワッ ストレーの近遠心(側辺部)にはミラクルフ ット13ははみ出さない方が良い。1次印象時 トレーよりはみだした咬合面部のシリコー が薄くなると、薄くなったシリコーンが2次 象時、または、後述の石膏型の形成時に浮 上がりその部分の精度が損なわれるので、 リコーンが硬化するまでに薄くはみ出した リコーンを取り除く。但し、はみ出した部 のシリコーンが厚ければそんなに精度を損 うことはない。このワックストレー15の長 は、支台歯22を挟む隣在歯21の少なくとも、 部を覆う程度に設定される。つまり、図7(b) における範囲Cの長さがワックストレー15の長 さとなる。また、より忠実な歯型を取得した ければ、ワックストレー15をより長くする必 がある。このときのワックストレー15の長 は、例えば、図7(b)における範囲Dの長さとな っている。この場合、上述の(5)で説明したよ うに、あらかじめ歯科寒天印象材12を処置済 歯21における鼓形空隙にリリーフしておく 要がある。さもなければ、シリコーン印象 が、鼓形空隙の奥にまで浸透してしまう。

 (7)エバンス彫刻刀14にてワックス辺縁に ラクルフィット13の上から頬舌側(頬口蓋側) ヶ所に突き込みミラクルフィット13をワッ ストレー15に固定する。〔図7(c)参照〕。

 次に、ミラクルフィット13を固定したワッ ストレー15ができれば印象に入る。
 (8)シリコーンはインジェクションタイプと ースに応じライトボディ又はノーマルボデ タイプを用意する(各々のシリコーンの操作 時間、口腔内保持時間を合わせるため、メー カーの推奨する組み合わせの印象材を使用し 、印象する形成歯の歯数やそのケースに合わ せてフロー(流動性)、操作時間、口腔内保持 間の適切な印象材を選択しておく)。

 (9)術者と助手がシリコーンの練和を同時 開始する。

 (10)術者が練和したインジェクションタイ プのシリコーンは、シリンジに入れられて、 シリンジからシリコーンを印象マージン部( 密部分)に向けて注入する。その後、その残 のインジェクションシリコーンを支台歯22( よび、その隣在歯)及び他の咬合面部に盛る (専用シリンジが便利である)。

 (11)助手がライトボディ又はノーマルボデ ィタイプのシリコーン16を練和し、図8(a)に示 すように、上述の(3)で作製したワックストレ ーのミラクルフィット13内面に塗り広げる。

 (12)術者がインジェクションシリコーンを 使い終わると同時に、助手よりシリコーンの 入ったワックストレー15を受け取り、そのラ ンマークと歯牙基準点が合うようにワック トレー15を圧接する〔図8(b)参照〕。ライン ークとは、ワックストレーに付けられた目 である。歯牙基準点とは、例えば、他の歯2 1の側辺部である。ワックストレーより薄く み出した歯牙上の(咬合に関与する部分は必 )シリコーン16を取り除く。なお、図8(b)の符 号22は支台歯であり、符号18は舌である。

 (13)そのシリコーン16の硬化特性に合わせ アルジネート26をメーカー指定の標準粉液 で練和し既に試適を済ませた金属トレー19に 盛り付ける〔図9(a)参照〕。ワックストレー 接時より時間を計り、そのシリコーン16の口 腔内保持時間経過時点にアルジネートの盛り つけが完了するように練和時間を調整する。

 (14)口腔内のシリコーン16が硬化したのを 認し、ワックストレー15のみを口腔内から 去し〔図9(b)参照〕、ミラクルフィット13を 出させる。金属トレーへの盛りつけの完了 たアルジネート26を少し指でとり硬化したシ リコーン表面のミラクルフィット13に指でア ジネート26を擦り込む。この時点で、口腔 の断面は、図10(a)の如くとなっている。

 (15)金属トレー19を上から挿入して、患者 歯牙に圧接する〔図10(b)参照〕。

 (16)アルジネート26が硬化後、金属トレー1 9を口腔内から撤去することで、アルジネー 26に埋没したミラクルフィット13,および、患 者の歯の欠損部分における精密な型となって いるシリコーン16を一括に口腔内から撤去す 。

 咬合採得は、はがした後のワックストレ を使い行うことができる。シリコーンアル ネート印象物は通法に従って石膏を注入す 。得られた石膏の型を基に、クラウンが作 される。シリコーン印象に近い精度が得ら る為補綴物完成装着までの歯牙移動を防止 るためテンポラリークラウンを装着すれば り短時間での補綴物装着が可能となる。

 次に、有床義歯の作製に係る実施例7につ いて説明する。有床義歯とは、実施例6にお るクラウンのようないわゆる冠(かぶせ)とは 異なり、人工的な歯茎を伴った入れ歯、部分 入れ歯のことである。このような有床義歯を 作製する場合においても、本発明に係る実施 例1,実施例3,実施例4に係る歯科印象用フィル が利用できる。なお、実施例7においては、 有床義歯を作製したことのある患者を想定し ている。いったん有床義歯を作製しても、歯 茎が痩せるなどして、新しい有床義歯を作製 する必要がある場合、実施例7の構成は有効 ある。有床義歯は、数年で作り変える必要 あることからすれば、本実施例の意義は大 い。

 実施例7に係る有床義歯は、粘着液塗布ス テップS1と、フィルム貼り付けステップS2と 接着剤塗布ステップS3と、シリコーン塗布ス テップS4と、粘膜面印象ステップS5と、歯牙 の印象を行う歯牙面印象ステップS6との各工 程を実行することで作製される。これらの各 ステップの詳細を順を追って説明する。

 <粘着液塗布ステップS1>
 まず、実施例1における歯科印象用フィルム に対して粘着液を塗布する。図1に示すポリ チレン・ポリエステルフィルム20の一面に粘 着液を塗布する。すると、粘着液が塗布され た一面は、粘着性を有するようになる。この 面を貼り付け面と呼ぶことにする。実施例1 おける歯科印象用フィルムについては、両 が同一の素材で構成されるので、粘着液を 布する面は特に限定されない。ただし、実 例3の歯科印象用フィルムを使用する場合は 接着フィルム50の未処理面に、実施例4の歯 印象用フィルムを使用する場合は、シリコ ン印象材フィルム70の未処理面に粘着液を 布することになる。

 <フィルム貼り付けステップS2>
 そして、図11(a)に示すように、元の有床義 31の臼歯の頭頂部などの咬合面を除く歯牙と 床の部分に上述の粘着性を有するミラクルフ ィット13を次々と貼り付ける。このとき、床 全てにミラクルフィット13が貼り付けられ わけではなく、床における患者の歯茎の接 部と、その周縁部は除外される。こうして 後述のアルジネート26に対する有床義歯の接 着が良好となる。これに加えてアルジネート 26に対する有床義歯の分離も良好となる。ミ クルフィット13の露出面は、アルジネート26 が浸透する浸透面となっている。元の有床義 歯は、本発明の固体の一例である。

 なお、元の有床義歯の形状が患者の歯茎 形状と大きくかけ離れている場合は、有床 歯における歯茎の当接面に粘膜調整剤を施 、元の有床義歯の内面の形状をある程度患 の歯茎の形状に合わせる措置を行うことが ましい。

 <接着剤塗布ステップS3,およびシリコーン 塗布ステップS4>
 次に、元の有床義歯31における歯茎の当接 32、およびその周辺部にアクリル系接着剤を 塗布する。この接着剤を塗布する意義につい ては後述する。接着剤の塗布が完了した後、 その上からシリコーン16を塗布する。こうし 、U字形の凹みとなっている歯茎の当接部32 図11(b)に示すように、シリコーン16で埋め戻 される。

 <粘膜面印象ステップS5>
 この時点で、元の有床義歯31を患者の口腔 に嵌める。すると、図12に示すように、患者 の歯茎とシリコーン16とが当接し、やがてシ コーンは固化する。こうして、元の有床義 31の内側には、患者の歯茎の型が印象され いることになる。なお、図12中の符号21は、 者の残存歯を意味している。

 なお、元の有床義歯31を患者の口腔内に めた後、シリコーン16の操作時間内に、患者 に対して、舌運動や、顎運動を行わせる。そ して、シリコーン16の保持時間に入れば、シ コーンが固化する前に患者に対して上下顎 咬み合わせた状態で、静止させる。この様 することで、患者の歯茎の動的印象(機能印 象とも言う)を採得することができ、より使 に適した有床義歯が提供できる。

 <歯牙面印象ステップS6>
 この後、図12に示すように、残存歯21の全て を覆うように、ワックストレー15が患者の口 内にはめ込まれる。これ以降の作業は、実 例6の説明に準じている。すなわち、実施例 6の(8)~(16)の操作が行われる。図12においては ワックストレー15を残存歯21に被せる工程ま でを図示している。なお、ワックストレー15 は、切欠きが設けられているように見える 、これは、ワックストレー15の内部を説明 るためのものであり、実際は、この様な切 きは存在しない。このワックストレー15の長 さは、有床義歯31に再現されたレジン歯に挟 れた残存歯21の全てを覆う程度に設定され 。したがって、ワックストレー15は、有床義 歯に隣接する残存歯21の端からはみ出す構成 なっている。そして、図13においては、ア ジネート26が盛られた金属トレー19を患者の 牙に圧接する工程までを図示している。な 、金属トレー19には、アルジネート26が露出 した切欠きが設けられているように見えるが 、これは、金属トレー19の内部を説明するた のものであり、実際は、この様な切欠きは 在しない。

 実施例7において、実施例6における(16)に 当する工程の様子について説明する。実施 7において、金属トレー19に盛られた固化ア ジネート26は、元の有床義歯31を埋没させた 状態で、患者の口腔内から抜き出される。固 化アルジネート26の印象面には、元の有床義 31における当接部32の表面を覆うシリコーン 16と、ミラクルフィット13の表面を覆うシリ ーン16とが露出している。当接部32の表面を うシリコーン16には、患者の歯茎の型が正 に転写され、ミラクルフィット13の表面を覆 うシリコーン16には、患者の残存歯21の型が 確に転写されている。これを基に、新しい 床義歯を作成することができる。この作成 法は、既存の石膏を用いた方法が利用でき 。

 なお、アルジネート26は、顎全体を覆う で、有床義歯のうちミラクルフィット13に覆 われない部分、つまり有床義歯の咬合部もが 転写されている。この様な部分には、何らシ リコーン16を塗布していないので、金属トレ 19を押し付けた際に、有床義歯の咬合部が にアルジネート26に当接し、アルジネート26 に有床義歯の咬合部が転写されている。こ 様なアルジネート26に当接された有床義歯 咬合部は、義歯の咬合状況を再現する上で 要である。また、有床義歯には、口腔内に けるグラツキを抑制するため、残存歯21に掛 るクラスプ33を備えている〔図11(a)参照〕。 ラスプ33を掛ける歯のことを鉤歯と言う。こ の鉤歯の型はシリコーン16で採られることか 、このクラスプ33を精密に作製することが きる。なお、残存歯に有床義歯を掛ける装 としては、このクラスプ33に限られないが、 実施例7の構成は、クラスプ33以外にも適応で きる。

 以上のように実施例7の構成によれば、高 価なシリコーン16を節約しつつ、患者の歯茎 よび歯牙を忠実に転写することができる。 なわち、患者の歯茎を転写するに当たって 患者の有床義歯を利用する。有床義歯の形 は、患者に合わせて作製されているもので るから、ほとんど患者の歯茎の形状に倣っ いる。この有床義歯をトレー(印象材料の支 持体)に見立てて、これにシリコーン16を盛り 込めば、シリコーン16の使用量を最小限に抑 することができるのである。

 また、金属トレー19を口腔内から撤去す 際、有床義歯の床部を支持した状態で口腔 から取り出せば、ミラクルフィット13に余計 な応力がかからず、より忠実な歯型を得るこ とができる。

 また、フィルム貼り付けステップS2にお て、元の有床義歯にミラクルフィット13が貼 り付けられている。こうすることで、元の有 床義歯を回収することができる。すなわち、 元の有床義歯は、固化アルジネート26に埋没 ている。しかしながら、元の有床義歯と固 アルジネート26との介する位置にミラクル ィット13が配置されている。したがって、元 の有床義歯と固化アルジネート26とは接着せ 、ミラクルフィット13は、簡単に元の有床 歯から剥離させることができるので、実施 7を実施した後でも元の有床義歯を簡単に回 することができる。

 本発明は、上述の構成に限られず、下記 ように変形実施することができる。

 (1)上述した各実施例は、医用について適 したものであったが、本発明は、型の製作 程を有する一般の工業に適応することがで る。

 (2)上述した各実施例において、実施例6は 、クラウンの製作を例としたが、実施例6の 法はクラウンの製作に限られない。実施例6 、クラウンに代わって、例えば、有床義歯 製作に利用できる。

 (3)上述した実施例1を変形実施することが できる。すなわち、ポリエチレンフィルム10 代わって、金属箔を、ポリエチレン・ポリ ステルフィルム20に代わって金属網を用い こともできる。この様な構成とすることで 歯科印象用フィルムは、一定の形状維持能 を有することになる。したがって、実施例6 説明したワックストレー15を必要とせず、 施例6における小工程(1)~(3)を省略することが できる。なお、金属箔、および金属網は、約 2mmの間隔を置いてグリッド状に電気溶接され ている。なお、金属箔の両面にポリエチレン ・ポリエステルフィルム20を熱接着、あるい アクリル系接着剤で貼り付ける構成とする とができる。また、金属箔、および金属網 材質としては、アルミニウムが適応できる 、これを銅に変更することもできる。この 合、銅とポリサルファイドラバー系の印象 とが化学的に接着するため、金属箔の片面 配される金属網を省略することができ、実 例2のように、2層から構成される歯科印象 フィルムとすることができる。具体的には ポリサルファイドラバー系の印象材と、ア ジネート印象材との連合印象が可能となる もちろん、この場合においても、上述のよ に、金属網に代わって、ポリエチレン・ポ エステルフィルム20を採用することもできる 。

 また、金属箔の片面に金属網を配した構 において、金属箔側に塗布する接着剤を選 することで、金属箔を銅以外のものとする とができる。この場合、接着剤として、印 材メーカー指定の接着剤(シリコントレー接 着剤、ラバー系接着剤)などを選択する。こ らの接着剤は、金属箔に対して接着能を有 るのである。

 (4)上述した各実施例におけるポリエチレ フィルム10に代わって、塩化ビニル製のフ ルムを使用することもできる。

 以上のように、本発明に係る歯科印象用 ィルム及び歯科印象用フィルムの製造方法 、医用分野に適している。




 
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