Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
FILTER FOR LIQUIDS, AND METHOD FOR MANUFACTURING FILTER FOR LIQUIDS
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2020/174951
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided are: a filter for liquids, which has a small pressure loss; and a method for manufacturing a filter for liquids. The filter for liquids comprises a non-woven fabric formed from fibers, wherein a water-insoluble polymer and a hydrophilizing agent are contained in the fibers. The non-woven fabric has such properties that the fiber density varies continuously as observed in the filter thickness direction, there is a fiber density difference as observed in the thickness direction and the fiber density is largest in one surface of the non-woven fabric and is smallest in the other surface of the non-woven fabric as observed in the thickness direction.

Inventors:
INOUE KAZUOMI (JP)
NAKAGAWA YOSUKE (JP)
TAKEGAMI RYUTA (JP)
KANEMURA KAZUHIDE (JP)
Application Number:
PCT/JP2020/002237
Publication Date:
September 03, 2020
Filing Date:
January 23, 2020
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
FUJIFILM CORP (JP)
International Classes:
B01D39/16; B01D39/18; D01F1/10; D04H1/728
Foreign References:
US20160136584A12016-05-19
JP2016519222A2016-06-30
JP2018184673A2018-11-22
JP2008531860A2008-08-14
JP2014111850A2014-06-19
JP2015151652A2015-08-24
JPH05220313A1993-08-31
JP2009531554A2009-09-03
JP2015511173A2015-04-16
JP2018079465A2018-05-24
JPH0782649A1995-03-28
JP2011508665A2011-03-17
Attorney, Agent or Firm:
ITOH Hideaki et al. (JP)
Download PDF:
Claims:
\¥0 2020/174951 39 卩(:17 2020 /002237

請求の範囲

[請求項 1 ] 水に不溶の高分子と親水化剤とを含む繊維で形成された不織布によ り構成されるものであり、

前記不織布は、 膜厚方向に対して繊維密度が連続して変化し、 前記 膜厚方向に繊維密度差があり、 前記膜厚方向における一方の面の繊維 密度が最大であり、 前記膜厚方向における他方の面の繊維密度が最小 である、 液体フィルター。

[請求項 2] 前記親水化剤が、 ポリビニルピロリ ドン、 ポリエチレングリコール

、 カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロース のうち、 少なくとも 1つである、 請求項 1 に記載の液体フィルター。

[請求項 3] 前記不織布は、 膜厚が 2 0 0 以上 2 0 0 0 以下である、 請 求項 1 または 2に記載の液体フィルター。

[請求項 4] 前記不織布は、 平均貫通孔径が 2 . 〇 以上 1 〇. 〇 未満で ある、 請求項 1〜 3のいずれか 1項に記載の液体フィルター。

[請求項 5] 前記不織布は、 空隙率が 7 5 %以上 9 8 %以下である、 請求項 1〜

4のいずれか 1項に記載の液体フィルター。

[請求項 6] 前記不織布は、 臨界湿潤表面張力が 7 2 0^ 1X1 / 0!以上である、 請求 項 1〜 5のいずれか 1項に記載の液体フィルター。

[請求項 7] 前記水に不溶の前記高分子が、 ポリエチレン、 ポリプロピレン、 ポ リエステル、 ポリスルホン、 ポリエーテルスルホン、 ポリカーボネー 卜、 ポリスチレン、 セルロース誘導体、 エチレンビニルアルコールポ リマー、 ポリ塩化ビニル、 ポリ乳酸、 ポリウレタン、 ポリフエニレン スルフィ ド、 ポリアミ ド、 ポリイミ ド、 ポリフッ化ビニリデン、 ポリ テトラフルオロエチレン、 およびアクリル樹脂のうち、 いずれか 1つ 、 またはこれらの混合物である、 請求項 1〜 6のいずれか 1項に記載 の液体フィルター。

[請求項 8] 前記水に不溶の前記高分子が、 セルロース誘導体からなる、 請求項

1〜 7のいずれか 1項に記載の液体フィルター。 \¥0 2020/174951 40 卩(:17 2020 /002237

[請求項 9] 前記不織布の繊維全質量に対する前記親水化剤の含有量は 1〜 5〇 質量%である、 請求項 1〜 8のいずれか 1項に記載の液体フィルター

[請求項 10] 請求項 1〜 9のいずれか 1項に記載の液体フィルターの製造方法で あって、 前記液体フィルターをエレクトロスピニング法を用いて製造 する、 液体フィルターの製造方法。

Description:
\¥0 2020/174951 1 卩(:17 2020 /002237 明 細 書

発明の名称 : 液体フィルターおよび液体フィルターの製造 方法 技術分野

[0001 ] 本発明は、 水に不溶の高分子と親水化剤とを含む繊維で 形成された不織布 により構成される液体フィルターおよび液体 フィルターの製造方法に関し、 特に、 圧力損失が小さい液体フィルターおよび液体 フィルターの製造方法に 関する。

背景技術

[0002] 現在、 繊維径が 1 以下のいわゆるナノファイバーにより構成さ れる不 織布は、 各種の用途に用いることができるものとして 期待されている。 ナノ ファイバ _により構成される不織布は、 例えば、 液体をろ過するフィルタ _ に利用されており、 例えば、 特許文献 1〜 3に提案されている。

特許文献 1 には、 数平均繊維径が 5 0 0 n 以下の微細セルロース繊維か ら構成される不織布からなる耐水性セルロ _スシートを含むろ過材が記載さ れている。 耐水性セルロ _スシートは、 微細セルロース繊維の重童比率: 1 質量%以上 9 9質量%以下、 空孔率: 5 0 %以上、 目付 1 0 9 / 2 相当の引 張強度 引張強度の乾湿強度比: 5 0 %以上のすべて を満足する。

[0003] また、 特許文献 2には、 白血球などの血液成分を選択的に除去するも のと して、 セルロースアシレートを含有し、 ガラス転移温度が 1 2 6 ° 〇以上であ り、 平均貫通孔径が〇. 1〜 5 0 であり、 かつ、 比表面積が 1 . 〇〜 1 である、 血液成分選択吸着濾材が記載されている。 血液成分選択 吸着濾材は、 不織布の形態である。

また、 特許文献 3には、 不織布で構成される極細繊維の集合体の平均 動水 半径が〇. 5 ~ 3 . 〇 となるように、 および血液成分の流路径 (口 ) と血液の流路長 (!_) との比 (!_ / 0) が、 〇. 1 5〜 6となるように、 入口と出口とを有する容器に充填されている 、 血漿分離フィルターが記載さ 〇 2020/174951 2 卩(:170? 2020 /002237

れている。 特許文献 3の極細繊維は、 ポリエステル、 ポリプロピレン、 ポリ アミ ド、 またはポリエチレンである。

先行技術文献

特許文献

[0004] 特許文献 1 :特開 2 0 1 2 - 4 6 8 4 3号公報

特許文献 2 :国際公開第 2 0 1 8 / 1 0 1 1 5 6号

特許文献 3 :特開平 9 - 1 4 3 0 8 1号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005] ナノファイバーにより構成される不織布は、 ナノファイバーが形成する網 目構造がある。 不織布を液体のろ材として利用する場合、 網目構造による空 隙を、 液体等のろ過対象物が通過してろ過される。

しかしながら、 上述の特許文献 1〜 3のフィルターでは、 ろ過する際の圧 力損失が大きいという問題点がある。

[0006] 本発明の目的は、 圧力損失が小さい液体フィルターおよび液体 フィルター の製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0007] 上述の目的を達成するために、 本発明は、 水に不溶の高分子と親水化剤と を含む繊維で形成された不織布により構成さ れるものであり、 不織布は、 膜 厚方向に対して繊維密度が連続して変化し、 膜厚方向に繊維密度差があり、 膜厚方向における一方の面の繊維密度が最大 であり、 膜厚方向における他方 の面の繊維密度が最小である、 液体フィルターを提供するものである。

[0008] 親水化剤が、 ポリビニルピロリ ドン、 ポリエチレングリコール、 カルボキ シメチルセルロースおよびヒドロキシプロピ ルセルロースのうち、 少なくと も 1つであることが好ましい。

不織布は、 膜厚が 2 0 0 以上 2 0 0 0 以下であることが好ましい 〇 2020/174951 3 卩(:170? 2020 /002237

不織布は、 平均貫通孔径が 2 . 〇 以上 1 〇. 〇 未満であることが 好ましい。

不織布は、 空隙率が 7 5 %以上 9 8 %以下であることが好ましい。 不織布は、 臨界湿潤表面張力が 7 2 1\1 / 以上であることが好ましい。 [0009] 水に不溶の高分子が、 ポリエチレン、 ポリプロピレン、 ポリエステル、 ポ リスルホン、 ポリエーテルスルホン、 ポリカーボネート、 ポリスチレン、 セ ルロース誘導体、 エチレンビニルアルコールポリマー、 ポリ塩化ビニル、 ポ リ乳酸、 ポリウレタン、 ポリフエニレンスルフィ ド、 ポリアミ ド、 ポリイミ ド、 ポリフッ化ビニリデン、 ポリテトラフルオロエチレン、 およびアクリル 樹脂のうち、 いずれか 1つ、 またはこれらの混合物であることが好ましい 。 水に不溶の高分子が、 セルロース誘導体からなることが好ましい。 不織布の繊維全質量に対する親水化剤の含有 量は 1〜 5 0質量%であるこ とが好ましい。

また、 本発明は、 本発明の液体フィルターをエレクトロスピニ ング法を用 いて製造する、 液体フィルターの製造方法を提供するもので ある。

発明の効果

[0010] 本発明によれば、 圧力損失が小さい液体フィルターを得ること ができる。

また、 圧力損失が小さい液体フィルターを製造する ことができる。

図面の簡単な説明

[001 1] [図 1]本発明の実施形態の液体フィルターの一 を示す模式図である。

[図 2]本発明の実施形態の液体フィルターの一 を示す模式的断面図である。 [図 3]本発明の実施形態の液体フィルターの測 結果の一例を示すグラフであ る。

[図 4]本発明の実施形態の液体フィルターの異 性を示すグラフである。

[図 5]従来の不織布の一例を示す模式的断面図 ある。

[図 6]従来の不織布の測定結果の一例を示すグ フである。

[図 7]本発明の実施形態のろ過装置の第 1の例を示す模式図である。

[図 8]本発明の実施形態のろ過装置の第 2の例を示す模式図である。 〇 2020/174951 4 卩(:170? 2020 /002237

[図 9]本発明の実施形態のろ過装置の第 3の例を示す模式図である。

[図 10]本発明の実施形態のろ過装置の第 4の例を示す模式図である。

[図 1 1]本発明の実施形態のろ過装置を有するろ システムの一例を示す模式 図である。

発明を実施するための形態

[0012] 以下に、 添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、 本発明の液体フィル 夕一および液体フィルターの製造方法を詳細 に説明する。

なお、 以下に説明する図は、 本発明を説明するための例示的なものであり 、 以下に示す図に本発明が限定されるものでは ない。

なお、 以下において数値範囲を示す 「〜」 とは両側に記載された数値を含 む。 例えば、 £が数値《〜数値/ 3とは、 £の範囲は数値《と数値/ 3を含む範 囲であり、 数学記号で示せば である。

「具体的な数値で表された角度」 、 および 「具体的な数値で表された温度 」 は、 特に記載がなければ、 該当する技術分野で一般的に許容される誤差 範 囲を含む。

[0013] (液体フィルター)

図 1は本発明の実施形態の液体フィルターの一 を示す模式図であり、 図 2は本発明の実施形態の液体フィルターの一 を示す模式的断面図である。 図 3は本発明の実施形態の液体フィルターの測 結果の一例を示すグラフで ある。

図 1 に示す液体フィルタ _ 1 〇は、 水に不溶の高分子と親水化剤とを含む 繊維で形成された不織布により構成されるも のであり、 不織布は、 膜厚方向 に対して繊維密度が連続して変化し、 膜厚方向に繊維密度差があり、 膜厚方 向における一方の面の繊維密度が最大であり 、 膜厚方向における他方の面の 繊維密度が最小である。 このことから、 不織布では、 一方の面と他方の面と で繊維密度差がある。 繊維密度が連続して変化することについては 後に詳細 に説明する。

以上の構成により、 液体フィルター 1 0は圧力損失が小さい。 これにより 〇 2020/174951 5 卩(:170? 2020 /002237

、 液体フィルター 1 0ではろ過に要する力を小さくすることがで る。 液体フィルタ _ 1 〇のろ過対象物は、 液体を含むものであれば、 特に限定 されるものではなく、 例えば、 粒子を含有する液体である。 これ以外に、 微 生物を含む液体もろ過対象物に含まれる。 微生物には、 細菌、 原生動物、 酵 母、 ウイルスおよび藻類が含まれる。 液体フィルタ _ 1 0は、 例えば、 飲料 水等からの微粒子、 および微生物等を除去することができる。

なお、 液体フィルタ _ 1 0において、 ろ過対象物、 およびろ過できる大き さ等を合わせて分離特性という。

なお、 液体フィルタ _ 1 0のろ過には、 ろ過の他、 ろ別も含まれる。 液体 フィルター 1 0では、 ろ過対象物に代えて、 ろ別対象物を供給し、 ろ別する こともできる。 液体フィルター 1 0では、 ろ別の際も圧力損失が小さい。 液体フィルター 1 〇は、 具体的には、 図 2に示すように、 膜厚方向口 1:に おいて繊維密度が異なる。 図 2では、 不織布 1 2の裏面 1 2匕側の繊維密度 が小さく、 表面 1 2 3 側の繊維密度が大きく、 膜厚方向口 1に対して繊維密 度が連続して変化している。

[0014] 液体フィルタ _ 1 0を構成する不織布は、 上述のように、 水に不溶の高分 子と親水化剤とを含む繊維で構成されており 、 貫通孔を有する。 不織布 1 2 は、 膜厚 (図 1参照) が 2 0 0 以上 2 0 0 0 以下であることが好 ましい。

また、 不織布 1 2は、 平均貫通孔径が 2 . 〇 以上 1 〇. 〇 未満で あることが好ましく、 空隙率が 7 5 %以上 9 8 %以下であることが好ましい 。 また、 臨界湿潤表面張力が 7 2 1\1 / 以上であることが好ましい。 以下、 液体フィルターについて、 より具体的に説明する。

[0015] <不織布>

液体フィルターは上述のように水に不溶の高 分子と親水化剤とを含む繊維 で形成された不織布により構成される。

不織布としては、 平均繊維径が 1 门 以上 5 以下であり、 かつ、 平均 繊維長が 平均繊維 〇 2020/174951 6 卩(:170? 2020 /002237

径が 1 0 0 〇!以上 1 0 0 0 〇!未満であり、 かつ、 平均繊維長が 1 . 以下であるナノファイバーからなる不織布で あることがより好ま しく、 平均繊維径が 1 〇〇门 以上 8 0 0 n 以下であり、 かつ、 平均繊維 長が 2 . 0〇!〇!以上 1 〇!以下であるナノファイバーからなる不織 であるこ とが更に好ましい。

なお、 平均繊維径および平均繊維長は、 例えば、 不織布を作製する際の溶 液の濃度を調節することで調整することがで きる。

[0016] ここで、 平均繊維径とは、 以下のように測定した値をいう。

繊維からなる不織布の表面の、 透過型電子顕微鏡画像、 または走査型電子 顕微鏡画像を得る。

構成する繊維の大きさに応じて 1 〇 0 0〜 5 0 0 0倍から選択される倍率 で電子顕微鏡画像を得る。 ただし、 試料、 観察条件および倍率は下記の条件 を満たすように調整する。

(1) 電子顕微鏡画像内の任意箇所に一本の直線 Xを引き、 この直線乂に 対し、 2 0本以上の繊維が交差する。

(2) 同じ電子顕微鏡画像内で直線 Xと垂直に交差する直線丫を引き、 直 線丫に対し、 2 0本以上の繊維が交差する。

上述のような電子顕微鏡画像に対して、 直線 Xに交錯する繊維、 直線丫に 交錯する繊維の各々について少なくとも 2 0本 (すなわち、 合計が少なくと も 4 0本) の幅 (繊維の短径) を読み取る。 こうして上述のような電子顕微 鏡画像を少なくとも 3組以上観察し、 少なくとも 4 0本 3組 (すなわち、 少なくとも 1 2 0本) の繊維径を読み取る。

このように読み取つた繊維径を平均して平均 繊維径を求める。

[0017] また、 平均繊維長とは、 以下のように測定した値をいう。

すなわち、 繊維の繊維長は、 上述した平均繊維径を測定する際に使用した 電子顕微鏡画像を解析することにより求める ことができる。

具体的には、 上述のような電子顕微鏡画像に対して、 直線 Xに交錯する繊 維、 直線丫に交錯する繊維の各々について少なく とも 2 0本 (すなわち、 合 \¥0 2020/174951 7 卩(:17 2020 /002237

計が少なくとも 4 0本) の繊維長を読み取る。

こうして上述のような電子顕微鏡画像を少な くとも 3組以上観察し、 少な くとも 4 0本 X 3組 (すなわち、 少なくとも 1 2 0本) の繊維長を読み取る このように読み取った繊維長を平均して平均 繊維長を求める。

[0018] <繊維密度差>

液体フィルターを構成する不織布の構成は上 述の通りである。 不織布は、 膜厚方向に対して繊維密度が連続して変化し 、 膜厚方向に繊維密度差があり 、 膜厚方向における一方の面の繊維密度が最大 であり、 膜厚方向における他 方の面の繊維密度が最小であり、 一方の面と他方の面とで繊維密度差がある 。 繊維密度差は、 後述のように、 最小繊維密度と最大繊維密度との比である 液体フィルターを構成する不織布の膜厚方向 の繊維密度差について、 繊維 密度差が小さいとケークろ過になり、 処理圧が上昇する。 一方、 繊維密度差 が大きいと、 段階ろ過が可能であり、 処理圧を小さくできる。

処理圧とは、 ろ過時の圧力損失のことである。 処理圧が小さいとは、 ろ過 時の圧力損失が小さいことであり、 液体フィルターのろ過時の抵抗が小さい ことである。 圧力損失が小さいと、 ろ過に要する圧力を小さくできる。

圧力損失は、 液体フィルターを挟んで膜厚方向の表面側の 静圧と、 裏面側 の静圧との差である。 このため、 表面側の静圧と裏面側の静圧を測定して、

2つの静圧の差を求めることにより、 圧力損失を得ることができる。 圧力損 失は、 差圧計を用いて測定することができる。

ここで、 繊維密度は、 X線 C T (Computed Tomog raphy) 画像の輝度と相関 関係があり、 繊維密度は輝度により特定することができる 。 例えば、 図 3に 示す結果が得られる。 X線 C T画像の輝度が高いと、 繊維密度が大きい。 図 3では距離の値が大きくなると、 輝度が低くなる傾向を示しており、 繊維密 度が小さくなっている。

[0019] 膜厚方向の繊維密度差は、 膜厚方向の断面 X線 C T画像解析を行いて求め 〇 2020/174951 8 卩(:170? 2020 /002237

る。 まず、 断面 X線 <3丁画像を取得し、 断面 X線(3丁画像において全膜厚を 膜厚方向に 1 〇等分し、 各区間での輝度を積算する。 積算した輝度を、 輝度 が低い方から 1- 1、 !_ 2、 !_ 3、 !_4、 !_ 5、 !_ 6、 !_ 7、 !_ 8、 !_ 9、 !_ 1 0とする。 本発明では、 輝度 !_ 1は、 不織布の表面および裏面の一方の面 の輝度であり、 輝度 1- 1 0は、 不織布の表面および裏面の他方の面の輝度で ある。 不織布 1 2の表面 1 23および裏面 1 213のうち、 いずれかの面の繊 維密度が最大であり、 残りの面の繊維密度が最小である。

膜厚方向に繊維密度差があるとは、 輝度の最小値と輝度の最大値との比、 1_ 1 /1_ 1 0<0. 95であることである。

[0020] 膜厚方向に繊維密度差がある場合、 膜厚方向に対して、 図 4に示すように 、 繊維密度が大きい方からろ過した場合 (圧力曲線 50参照) と、 繊維密度 が小さい方からろ過した場合 (圧力曲線 52参照) とでは、 ろ過に要する圧 力が異なる。 すなわち、 液体フィルター 1 0は、 膜厚方向において異方性を 有する。 ろ過対象物を、 膜厚方向において、 繊維密度が低密度側から高密度 側に通るようにすることにより、 圧力損失を小さくできる。 すなわち、 ろ過 に要する圧力を小さくすることができる。

なお、 図 4は、 同じ液体を用い、 液体フィルター 1 0の向きだけを変えて ろ過を実施した結果を示す。 図 4の圧力および時間はいずれも無次元化して いる。

[0021] ここで、 図 5は従来の不織布の一例を示す模式的断面図 あり、 図 6は従 来の不織布の測定結果の一例を示すグラフで ある。

図 5に示すように、 従来の不織布 1 00は、 繊維が偏在して分布していな い。 また、 図 6に示す X線〇丁画像の輝度からも繊維密度に偏りが られな い。 従来の不織布は、 膜厚方向に繊維密度差がなく、 繊維密度が特定の方向 に対して違っているものではなく、 等方的である。 このため、 ろ過対象物の 供給方向を変えても、 ろ過に要する圧力に大きな違いはない。

[0022] 上述の膜厚方向に対して繊維密度が連続して 変化しているとは、 上述の輝 0. 9<L n/L n + 1 < 1. 05であることをいう。 〇 2020/174951 9 卩(:170? 2020 /002237

ただし、 1^ = 1〜 9である。

膜厚方向に対して繊維密度が連続して変化し ている場合、 繊維密度が膜厚 方向に対して勾配を有するという。

上述の輝度 〇. 9<L n/L n + 1 < 1. 05を満たさ ない場合、 膜厚方向に対して繊維密度が連続して変化し ていない。 すなわち 、 繊維密度が膜厚方向に対して勾配がない。 上述の膜厚方向に対して繊維密 度が連続して変化していないことを不連続と もいう。

膜厚方向に対して繊維密度が連続して変化し ている場合、 繊維密度の急激 な変化はないことが好ましい。 しかしながら、 上述の膜厚方向に 1 〇等分し た 1 0区間のうち、 一部の区間で繊維密度の大小が前後すること は許容され る。 すなわち、 繊維密度は、 1_ 1 /1_ 1 0<0. 95を満たせば、 上述の膜 厚方向に 1 0等分した 1 0区間において、 輝度で表される繊維密度が一方向 に漸次増加または漸次減少することに限定さ れるものではなく、 繊維密度が 同じ区間が隣接してもよい。

[0023] 上述の !_ 1 /!_ 1 0は、 〇. 3£1_ 1 /1_ 1 0<0. 95であることがよ り好ましく、 さらに好ましくは〇. 4£1_ 1 /1_ 1 0<0. 9であり、 最も 好ましくは〇. 5£1_ 1 /1_ 1 0<0. 9である。

膜厚方向に対して繊維密度が連続して変化す ることにより、 圧力損失を小 さくすることができる。 例えば、 ろ過する液体の総量のうち、 処理量が 80 〜 1 00体積%における圧力損失を小さくすること できる。

一方、 膜厚方向に対して繊維密度が連続して変化し ていない場合、 圧力損 失が大きい。

[0024] <平均貫通孔径 >

平均貫通孔径は 2. 〇 以上 1 〇. 〇 未満であることが好ましく、 より好ましくは 2. 〇 以上 8. 〇 未満であり、 さらに好ましくは 3 . 〇 以上 7. 〇 未満であり、 最も好ましくは 3. 〇 以上 5. 0 未満である。

平均貫通孔径は、 ろ過対象物のサイズに対して小さいと、 圧力損失が大き くなる。 すなわち、 処理圧が大きくなる。 平均貫通孔径は、 ろ過対象物のサ イズに対して大きいと、 圧力損失が小さくなる。 すなわち、 処理圧が小さく なる。

[0025] 平均貫通孔径は、 バブルポイント法 (J 丨 S (日本工業規格) K3832、 ASTM

F316-86) /ハーフドライ法 (ASTM E 1294-89) を用いたパームポロメータに より測定することができる。 以下、 平均貫通孔径について詳細に説明する。

「平均貫通孔径」 については、 特開 201 2— 046843号公報の<0 〇 93>段落に記載された方法と同様、 パームポロメータ (西華産業製 C F E- 1 200AEX) を用いた細孔径分布測定試験において、 G A LW I C K (Porous Materials, Inc社製) に完全に濡らしたサンプルに対して空気圧 を 2 c c/m i nで増大させて評価する。 具体的には、 GALW I CK (プ ロピレン, 1 , 1 , 2, 3, 3, 3酸化へキサフッ酸; Porous Materials, I nc社製) に完全に濡らした膜状サンプルに対して、 膜の片側に 2 c c/m i nで空気を一定量送り込み、 その圧力を測りながら、 膜の反対側へ透過して くる空気の流量を測定する。 この方法で、 まず、 GALW I CKに濡れた膜 状サンプルについて、 圧力と透過空気流量とのデータ (以下、 「ウエッ トカ —ブ」 ともいう。 ) を得る。 次いで、 濡れていない、 乾燥状態の膜状サンプ ルでも同様のデータ (以下、 「ドライカーブ」 ともいう。 ) を測定し、 ドラ イカーブの流量の半分に相当する曲線 (ハーフドライカーブ) とウエッ トカ —ブとの交点の圧力を求める。 その後、 GALW I CKの表面張力 (ァ) 、 濾材との接触角 (0) および空気圧 (P) とを下記式 (丨) に導入し、 平均 貫通孔径を算出することができる。

平均貫通孔径 = 4 r C〇 S Q/P ( I)

[0026] 平均貫通孔径の調整方法としては、 例えば、 以下に示す方法が挙げられる

( (繊維径の制御) )

平均貫通孔径の調整方法の 1つである繊維径を制御する方法では、 エレク トロスピニングでの紡糸時に用いる溶媒、 素材の濃度、 または電圧等を変更 〇 2020/174951 1 1 卩(:170? 2020 /002237

することにより繊維径を制御することがで きる。 繊維径と平均貫通孔径との 比例の関係にあるため、 繊維径を制御することにより平均貫通孔径を 調整す ることができる。

( (加熱融着) )

平均貫通孔径の調整方法の 1つである加熱融着を用いた方法では、 繊維同 士を融着させ、 平均貫通孔径を小さくすることができる。 なお、 加熱融着で は、 繊維径の制御とは異なり平均貫通孔径を小さ くすることしかできない。

( (カレンダー処理) )

平均貫通孔径の調整方法の 1つであるカレンダー処理を用いた方法では 口ーラー等で加圧して押しつぶし、 繊維を密着させることにより、 平均貫通 孔径を小さくすることができる、 なお、 カレンダー処理では、 繊維径の制御 とは異なり平均貫通孔径を小さくすることし かできない。

[0027] <空隙率>

空隙率は 7 5 %以上 9 8 %以下であることが好ましく、 より好ましくは、

8 5 %以上 9 8 %以下であり、 さらに好ましくは 9 0 %以上 9 8 %以下であ る。

空隙率は高い程ケークろ過になりにくく、 処理圧が上昇しにくい。 すなわ ち、 圧力損失が上昇しにくい。 このため、 ろ過の際に、 ろ過対象物の供給速 度を速くすることができる。 一方、 空隙率が低いとケークろ過に移行しやす く、 処理圧が上昇する傾向、 すなわち、 圧力損失が大きくなる傾向になる。 なお、 空隙率が 9 8 %を超えるものを作製することは困難である

空隙率は、 以下のようにして算出する。

まず、 空隙率を (%) とし、 不織布 ( ) と、 不織布 1 〇〇 角の質量を (9) とするとき、 「= (1 ~ 1 一 X 6 7 . 1 4) X 1 0 0 / ! ! を用いて算出する。

[0028] <膜厚>

液体フィルターは不織布の膜厚 (図 1参照) が 2 0 0 以上 2 0 0 0 以下であることが好ましく、 より好ましくは 2 0 0 以上 1 〇〇〇 〇 2020/174951 12 卩(:170? 2020 /002237

111以下である。

なお、 不織布の膜厚 II (図 1参照) は、 液体フィルターの膜厚である。 膜厚が、 一定の厚さ以上でないと繊維密度差が生じな い。 膜厚が薄すぎる と、 除去したい成分を除去しきれないため、 フィルター性能の低下につなが る。

また、 膜厚が厚すぎると、 全てのろ過対象物等の分離対象物を透過させ る ために大きな圧力が必要となり、 圧力損失が大きくなる傾向にある。

膜厚は、 走査型電子顕微鏡を用いて、 不織布の断面観察を実施し、 断面画 像を得る。 断面画像を用いて、 不織布の膜厚となる箇所を 1 〇点測定し、 そ の平均値を膜厚とした。

[0029] <臨界湿潤表面張力>

臨界湿潤表面張力 (〇\^/ 3丁) は濡れ性を表すパラメータである。

臨界湿潤表面張力 (〇\^/ 3丁) が 7 2 1\1 / (ミリニュートンパーメー 夕) 以上であり、 臨界湿潤表面張力 (〇\^/ 3丁) は 8 5 1\1 / 以上である ことが好ましい。

臨界湿潤表面張力 (〇\^/ 3丁) が高いと、 ろ過対象物が不織布上で濡れ広 がりやすくなり、 有効面積が大きくなり、 圧力損失が小さくなる傾向になる 臨界湿潤表面張力 (〇\^/ 3丁) が低いと、 有効面積が小さくなり、 圧力損 失が大きくなる傾向になる。 臨界湿潤表面張力 (〇\^/ 3丁) は、 親水化剤量 またはアルカリ処理によって制御することが できる。

[0030] 臨界湿潤表面張力 (〇\^/ 3丁) の定義は以下の通りである。

臨界湿潤表面張力は、 測定する表面に適用する液体の表面張力を 2 1\1 /

〇1〜4 ずつ変えながら、 表面への各液体の吸収または非吸収を観察 することにより求めることができる。

であり、 吸収される液体の表面張力と隣りの吸 収されない液体の表面張力との平均値として 定められる。 例えば、 吸収され る液体の表面張力が 2 7 . 5〇1 1\1 /〇1であり、 吸収されない液体の表面張力 〇 2020/174951 13 卩(:170? 2020 /002237

が 5 2 1\1 / である。 表面張力の間隔が奇数、 例えば、 3であれば、 不織 布は低い値により近いかまたは高い値により 近いかの判断をすることができ 、 これに基づいて、 2 7または 2 8が不織布に割り当てられる。

〇 3丁を測定する上で、 表面張力が約

る一連の試験用標準液体を作る。 少なくとも 2つの引き続く表面張力の標準 液体の各々の 3〜 5 直径の液体を、 不織布に載置して 1 0分間放置し、

1 〇〜 1 1分後に観察する。 “湿潤” であれば、 1 0分間以内に、 1 0個の 液滴のうち、 少なくとも 9個が不織布に吸収、 すなわち、 湿潤することとし て定められる。

[0031 ] 非湿潤は 1 0分間以内に 2個以上の液滴の非湿潤、 すなわち、 非吸収によ り定められる。 連続した高いまたは低い表面張力の液体を用 いて、 表面張力 が最も狭い間隔の一対のうち 1つが湿潤し、 そしてもう 1つが非湿潤である ことが認められるまで試験を続ける。

次いで、 丁はこの範囲内であり、 便宜上、 2つの表面張力の平均を

異なるとき、 試験片がどちらか近いかの判断をし、 整数をそのように割り 当てる。 表面張力の異なる溶液を種々の方法で作るこ とができる。 具体例を 以下に示す。

水酸化ナトリウム水溶液 9 4〜 1 1 5 (〇1 1\1 /〇〇

塩化カルシウム水溶液 9 0〜 9 4 (〇1 1\1 /〇〇

硝酸ナトリウム水溶液 7 5〜 8 7 ( 1\1 / )

純粋な水 7 2 . 4 (〇1 1\1 /〇〇

酢酸水溶液 3 8〜 6 9

エタノール水溶液 2 2〜 3 5 (〇1 1\1 /〇〇

[0032] <水に不溶の高分子>

水に不溶の高分子とは、 純水への溶解度が〇. 1質量%未満である高分子 のことである。

水に不溶の高分子は、 具体的なものとして、 ポリエチレン、 ポリプロピレ 20/174951 14 卩(:170? 2020 /002237

ン、 ポリエステル、 ポリスルホン、 ポリエーテルスルホン、 ポリカーボネー 卜、 ポリスチレン、 セルロース誘導体、 エチレンビニルアルコールポリマー 、 ポリ塩化ビニル、 ポリ乳酸、 ポリウレタン、 ポリフエニレンスルフイ ド、 ポリアミ ド、 ポリイミ ド、 ポリフッ化ビニリデン、 ポリテトラフルオロエチ レン、 およびアクリル樹脂のうち、 いずれか 1つ、 またはこれらの混合物で あることが好ましい。 セルロース誘導体は生体物質吸着が他の素材 に比べて 小さいため、 成分一致率が良好になる。 このため、 水に不溶の高分子は、 セ ルロース誘導体がより好ましい。

なお、 セルロース誘導体とは、 天然高分子であるセルロースが有するヒド ロキシ基の一部に化学修飾を施した変性セル ロースをいう。 ヒドロキシ基の 化学修飾としては、 特に制限されないが、 ヒドロキシ基のアルキルエーテル 化、 ヒドロキシアルキルエーテル化、 および、 エステル化が挙げられる。 セ ルロース誘導体は、 1分子中に少なくとも 1つのヒドロキシ基を有する。 セ ルロース誘導体は、 1種のみを用いてもよいし、 2種以上を併用してもよい セルロース誘導体としては、 メチルセルロース、 エチルセルロース、 プロ ピルセルロース、 プチルセルロース、 ヒドロキシエチルセルロース、 ヒドロ キシプロピルセルロース、 ヒドロキシプロピルメチルセルロース、 ヒドロキ シブチルメチルセルロース、 酢酸セルロース (アセチルセルロース、 ジアセ チルセルロース、 トリアセチルセルロース等) 、 セルロースアセテートプロ ビオネート、 セルロースアセテートプチレート、 および、 二トロセルロース が挙げられる。

また、 不織布を構成する繊維において、 水に不溶の高分子の含有量は、 不 織布の繊維全質量に対して、 5 0〜 9 9質量%が好ましく、 7 0〜 9 3質量 %がより好ましく、 8 5〜 9 3質量%がさらに好ましい。

水に不溶の高分子の含有量が 5 0質量%未満であると、 不織布を形成する 繊維の強度が低下し、 ろ過によって形状変化しやすくなり、 処理圧の上昇を 招く。 一方、 水に不溶の高分子の含有量が 9 9質量%よりも大きいと親水化 〇 2020/174951 15 卩(:170? 2020 /002237

剤の量が減り、 不織布を形成する繊維の親水化効果が小さく なる。 このため 、 水に不溶の高分子の含有量は 5〇〜 9 9質量%であることが好ましい。

[0033] <親水化剤>

親水化剤とは、 純水への溶解度が 1質量%以上である材料のことである。 親水化剤は、 具体的なものとして、 ポリビニルピロリ ドン、 ポリエチレン グリコール、 カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキ シプロピルセルロ —スのうち、 少なくとも 1つであることが好ましく、 親水化剤としては、 ポ リビニルピロリ ドンが最も好ましい。

ポリビニルピロリ ドンはヒドロキシプロピルセルロースに比べ て親水性が 高いため、 不織布の臨界湿潤表面張力 (〇\^/ 3丁) が高くなる。 カルボキシ メチルセルロースは素材自体の親水性はポリ ビニルピロリ ドンと同等である が、 ポリビニルピロリ ドンに比して、 水に不溶の高分子との相溶性に劣るた め、 強度がやや弱く処理圧が上昇する傾向にあり 、 かつ素材の生体分子吸着 が大きいためろ過後の成分一致が劣る。

また、 不織布を構成する繊維において、 親水化剤の含有量は、 不織布の繊 維全質量に対して、 1〜 5 0質量%が好ましく、 5〜 3 0質量%がより好ま しく、 7〜 1 5質量%がさらに好ましい。

親水化剤の含有量が 5 0質量%を超えると、 不織布を形成する繊維の強度 が低下し、 ろ過によって形状変化しやすくなり、 処理圧の上昇を招く。 一方 、 親水化剤の含有量が 1質量%未満では親水化剤の量が少なく、 不織布を形 成する繊維親水化効果が小さくなる。 このため、 親水化剤の含有量は 1〜 5 〇質量%であることが好ましい。

[0034] (液体フィルターの製造方法)

上述のように、 液体フィルターは、 水に不溶の高分子および親水化剤を含 む繊維で形成され、 かつ膜厚方向に対して繊維密度が連続して変 化し、 膜厚 方向に繊維密度差を有する不織布により構成 される。

エレクトロスピニング法とも呼ばれる電界紡 糸法を用いて、 液体フィルタ —が製造される。 これにより、 圧力損失が小さい液体フィルターを製造する 〇 2020/174951 16 卩(:170? 2020 /002237

ことができる。

エレクトロスピニング法を用いた製造方法に ついて説明する。 まず、 例え ば、 上述の水に不溶の高分子および親水化剤が溶 媒に溶解している溶液を、 5 ° 〇以上 4 0 ° 〇以下の範囲内の一定温度としてノズル の先端から出し、 溶液 とコレクタとの間に電圧をかけて、 溶液からコレクタ上に設けた支持体上に ファイバを噴出してナノファイバーを収集す ることにより、 ナノファイバー 層、 すなわち、 不織布を得ることができる。 この場合、 ファイバを噴出して いる際に、 溶液とコレクタとの間に印加する電圧を調整 して、 繊維密度を変 化させ、 膜厚方向に対して繊維密度が連続して変化し 、 膜厚方向に繊維密度 差があり、 膜厚方向における一方の面の繊維密度が最大 であり、 膜厚方向に おける他方の面の繊維密度が最小である不織 布を得ることができる。 また、 溶液の濃度を調整することによっても繊維密 度を変化させ、 膜厚方向に対し て繊維密度が連続して変化し、 膜厚方向に繊維密度差があり、 膜厚方向にお ける一方の面の繊維密度が最大であり、 膜厚方向における他方の面の繊維密 度が最小である不織布を得ることができる。

製造装置としては、 例えば、 特許第 6 1 3 2 8 2 0号公報に示されるナノ ファイバー製造装置等を利用することができ る。 溶液は、 水に不溶の高分子 および親水化剤が溶解したものを含んでおり 、 水に不溶の高分子と親水化剤 とが別々にノズルから射出して紡糸したもの ではない。

[0035] (ろ過装置)

上述の液体フィルターを用いてろ過装置を構 成することができる。 ろ過装 置は、 液体フィルターと同様に圧力損失が小さい。

ろ過装置は、 液体フィルターを有し、 ろ過対象物が、 膜厚方向において、 繊維密度が低密度側から高密度側に通るよう に液体フィルターが配置されて いる。 液体フィルターを、 ろ過対象物が、 膜厚方向において繊維密度が低密 度側から高密度側に通るように配置すること により、 圧力損失を小さくする ことができる。 これにより、 ろ過に要する圧力を小さくできる。

また、 ろ過装置としては、 液体フィルター以外に、 例えば、 平均貫通孔径 〇 2020/174951 17 卩(:170? 2020 /002237

が〇. 2 以上 1 . 5 以下かつ空隙率が 6 0 %以上 9 5 %以下の多孔 質体を有する構成でもよい。 この場合、 液体フィルターと多孔質体とは、 ろ 過対象物が液体フィルターと多孔質体との順 で通過するように配置されてい る。

以下、 ろ過装置について具体的に説明する。

[0036] 図 7は本発明の実施形態のろ過装置の第 1の例を示す模式図であり、 図 8 は本発明の実施形態のろ過装置の第 2の例を示す模式図である。 図 9は本発 明の実施形態のろ過装置の第 3の例を示す模式図であり、 図 1 0は本発明の 実施形態のろ過装置の第 4の例を示す模式図である。

なお、 図 7〜図 1 0のろ過装置において、 図 1 に示す液体フィルター 1 0 と同一構成物には同一符号を付して、 その詳細な説明は省略する。

[0037] 図 7に示すろ過装置 2 0は、 例えば、 円筒状のケース 2 2の内部 2 2 3 に 円盤状の液体フィルタ _ 1 〇が設けられている。 ケース 2 2は、 一方の底部 2 2匕には、 底部 2 2匕の中心に連結管 2 4が設けられている。 連結管 2 4 は回収部 2 6に接続されている。

ケース 2 2は、 底部 2 2 の反対側の端が開口している。 開口している部 分を開口部 2 2〇という。 開口部 2 2〇から、 ろ過対象物が供給されて、 液 体フィルターにより、 ろ過されて、 ケース 2 2の底部 2 2 から連結管 2 4 を経て、 ろ過後のろ過対象物が回収部 2 6に貯留される。

なお、 ろ過装置 2 0では、 ろ過対象物に代えて、 ろ別対象物を供給し、 ろ 別することもできる。 この場合、 開口部 2 2〇から、 ろ別対象物が供給され て、 液体フィルターにより、 ろ別されて、 ケース 2 2の底部 2 2 から連結 管 2 4を経て、 ろ別後のろ別対象物が回収部 2 6に貯留される。

[0038] また、 ろ過装置 2 0は、 図 8に示すように、 加圧部 2 8を有する構成でも よい。 加圧部 2 8は、 ケース 2 2の開口部 2 2〇に設けられる。 加圧部 2 8 は、 開口部 2 2〇に設けられケース 2 2の内部 2 2 3と隙間がなく配置され るガスケッ ト 2 8 3と、 ガスケッ ト 2 8 3を開口部 2 2〇から底部 2 2匕に 向う方向または、 その逆方向に移動させるためのプランジャ _ 2 8 13とを有 〇 2020/174951 18 卩(:170? 2020 /002237

する。 プランジャー2 8 を底部 2 2 13に向かって移動させることにより、 ケース 2 2の内部 2 2 3のろ過対象物を、 液体フィルタ _ 1 0を透過させて ろ過することができる。

なお、 加圧部 2 8を有する場合、 ケース 2 2の外面 2 2 に、 ケース 2 2 の内部 2 2 3 と連通する供給管 2 7を設けてもよい。 供給管 2 7は、 液体フ ィルター 1 0よりも開口部 2 2〇側に設けられる。

また、 加圧部 2 8を有するろ過装置 2 0でも、 ろ過対象物に代えて、 ろ別 対象物を供給し、 ろ別することもできる。

[0039] また、 ろ過装置 2 0は、 図 9に示すように、 液体フィルタ _ 1 0以外に、 フィルター機能を有するものを有する構成で もよい。 フィルター機能を有す るものとしては、 液体フィルター 1 0とは分離特性が異なるものであること が好ましい。 これにより、 液体フィルター 1 0で、 ろ過しきれないものにつ いてもろ過でき、 分離精度を高くできる。

なお、 図 9に示すろ過装置 2 0は、 図 7に示すろ過装置 2 0に比して、 液 体フィルタ _ 1 0のケース 2 2の底部 2 2匕側に多孔質体 1 4が設けられて いる点が異なり、 それ以外の構成は、 図 7に示すろ過装置 2 0と同じである 例えば、 液体フィルタ _ 1 〇を構成する不織布 1 2の裏面 1 2匕に接して 多孔質体 1 4が設けられている。 ろ過対象物は、 液体フィルタ _ 1 0側から 供給される。 図 9に示すろ過装置 2 0において、 液体フィルタ _ 1 0を一次 フィルターといい、 多孔質体 1 4を二次フィルターともいう。

多孔質体 1 4は、 例えば、 平均貫通孔径が〇. 2 以上 1 . 5 以下 かつ空隙率が 6 0 %以上 9 5 %以下であり、 液体フィルタ _ 1 0とは分離特 性が異なる。

多孔質体 1 4は、 例えば、 不織布 1 2と同じもので構成することができ、 不織布 1 2を構成する水に不溶の高分子および親水化 を含む繊維で構成す ることができる。 多孔質体 1 4の平均貫通孔径、 および空隙率の規定は、 液 体フィルタ _ 1 〇と同じであるため、 その詳細な説明は省略する。 〇 2020/174951 19 卩(:170? 2020 /002237

[0040] 図 9に示すろ過装置 2 0では、 液体フィルタ _ 1 0と多孔質体 1 4とを設 けることにより、 液体フィルター 1 0で、 ろ過しきれないものについてもろ 過でき、 分離精度を高くすることができる。

図 9に示すろ過装置 2 0においても、 図 8に示すろ過装置 2 0と同様に加 圧部 2 8を設ける構成とすることができる。 加圧部 2 8は図 8に示すろ過装 置 2 0と同じ構成であるため、 その詳細な説明は省略する。 また、 図 8に示 すろ過装置 2 0と同様に供給管 2 7を設けてもよい。

また、 多孔質体 1 4は、 上述の構成に限定されるものではなく、 液体フィ ルター 1 0の分離特性、 ろ過対象物、 またはろ別対象物に応じたものを適宜 利用することができるが、 上述のように液体フィルタ _ 1 0と分離特性が異 なることが好ましい。

また、 液体フィルタ _ 1 0以外に多孔質体 1 4を 1つ設けたが、 これに限 定されるものではなく、 多孔質体 1 4のようなフィルター機能を有するもの を、 複数設けてもよい。

なお、 液体フィルター 1 0と多孔質体 1 4とは接しても設けることに限定 されるものではなく、 液体フィルタ _ 1 0と多孔質体 1 4とは、 液体フィル 夕一 1 0の膜厚方向において離間して配置してもよ 。

[0041 ] なお、 上述のいずれのろ過装置 2 0においても、 液体フィルター 1 0を 1 つ設ける構成としたが、 これに限定されるものではなく、 複数設けてもよい 。 例えば、 複数の液体フィルタ _ 1 〇を膜厚方向に離間して配置してもよい

[0042] また、 上述のいずれのろ過装置 2 0においても、 液体フィルタ _ 1 0の位 置はケース 2 2の内部 2 2 3であれば、 特に限定されるものではなく、 ケー ス 2 2の底部 2 2 13から離間していても、 ケース 2 2の底部 2 2 に接して いてもよい。 液体フィルタ _ 1 〇は、 ケース 2 2に対して、 不織布を平膜状 にハウジング (図示せず) に設けて、 ケース 2 2内に設置してもよい。 また、 上述のいずれのろ過装置 2 0においても、 回収部 2 6はなくてもよ く、 また、 連結管 2 4と回収部 2 6がなく底部 2 2匕が閉塞した構成でもよ 〇 2020/174951 20 卩(:170? 2020 /002237

い。 底部 2 2 13を閉塞した場合、 底部 2 2 にろ過したものを溜めるように してもよい。

また、 底部 2 2 を閉塞した場合、 ろ過したものを外部に取り出すために 、 底部 2 2 に、 ケース 2 2の内部 2 2 3と連通する開口を設けてもよい。

[0043] (ろ過システム)

なお、 上述のいずれのろ過装置 2 0も単独で使用されることに限定される ものではない。 ここで、 図 1 1は、 本発明の実施形態のろ過装置を有するろ 過システムの一例を示す模式図である。

図 1 1 に示すろ過システム 3 0のように、 複数のろ過装置 2 0を設け、 各 ろ過装置 2 0を自動的に、 ろ過対象物をろ過させる構成でもよい。

図 1 1 において、 図 7に示すろ過装置 2 0と同一構成物には、 同一符号を 付して、 その詳細な説明は省略する。

[0044] 図 1 1 に示すろ過システム 3 0は、 供給部 3 2と、 供給部 3 2に配管 3 4 により接続された複数のろ過装置 2 0と、 供給部 3 2を制御する制御部 3 6 とを有する。

供給部 3 2は、 各ろ過装置 2 0にろ過対象物を供給するものであり、 ろ過 対象物を貯留する貯留部 (図示せず) と、 貯留部から、 ろ過装置 2 0にろ過 対象物を供給するためのポンプ (図示せず) とを有する。 ポンプは、 例えば 、 シリンジポンプが用いられる。 シリンジポンプ等のボンプは制御部 3 6に より制御され、 ポンプにより貯留部からろ過対象物が、 ろ過装置 2 0に供給 されて、 ろ過されて、 回収部 2 6で回収される。

ろ過システム 3 0でも、 ろ過装置 2 0は、 図 8に示すように加圧部 2 8を 有する構成でもよい。 この場合、 加圧部 2 8のプランジャ _ 2 8匕を移動さ せる駆動部 (図示せず) を設ける。 駆動部と、 ポンプとを制御部 3 6に制御 することにより、 上述のようにろ過を自動的に実行することが できる。 液体フィルター 1 0は圧力損失が小さいことから、 ろ過システム 3 0では 、 ろ過に要する圧力を小さくでき、 かつろ過に要する時間を短くすることが できる。 このため、 ろ過システム 3 0では、 消費電力を少なくできる。 〇 2020/174951 21 卩(:170? 2020 /002237

なお、 ろ過システム 3 0でも、 ろ過対象物に代えて、 ろ別対象物を供給し

、 ろ別することもできる。

[0045] 本発明は、 基本的に以上のように構成されるものである 。 以上、 本発明の 液体フィルターおよび液体フィルターの製造 方法について詳細に説明したが 、 本発明は上述の実施形態に限定されず、 本発明の主旨を逸脱しない範囲に おいて、 種々の改良または変更をしてもよいのはもち ろんである。

実施例

[0046] 以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに 具体的に説明する。 以下の実 施例に示す材料、 試薬、 物質量とその割合、 および、 操作等は本発明の趣旨 から逸脱しない限り適宜変更することができ る。 従って、 本発明の範囲は以 下の実施例に限定されるものではない。

本実施例では、 実施例 1〜 1 3と比較例 1〜 5の液体フィルターを作製し た。 各液体フィルターを用いて、 以下に示す粒子ろ過試験を実施し、 初期ろ 過圧および終点ろ過圧を評価した。

[0047] 〔評価〕

粒子ろ過試験は、 アクリルの単分散粒子を含有する粒子分散水 溶液を用い て、 ろ過を実施したものであり、 液体フィルターとしての基礎物性を評価す る試験である。

粒子ろ過試験では、 液体フィルターを直径 2 に打ち抜き、 フィルタ —ホルダー ミリポア社製) に〇リングとともにセッ ト した。

粒子分散水溶液は、 粒径が 1 、 3 |JL rr\ s 5 〇1、 8 |J, rr\ s 1 0 〇1、 および 1 5 の各単分散粒子を、 それぞれ水 5 0 0 !_ (ミリリッ トル) に対して〇. 1質量%含有させて、 粒子分散水溶液を 5 0 0 !_用意した。 なお、 単分散粒子には、 綜研化学株式会社製のアクリル単分散粒子 IV! X _ 8 0 1 ~ 1 3 \«丁 (品番、 粒径 1 ) 、 1\/1乂_ 3 0 0 (品番、 粒径 3 )

、 1\/1乂_ 5 0 0 (品番、 粒径 5 ) 、 1\/1乂_ 8 0 0 (品番、 粒径 8 )

、 および IV! X— 1 0 0 0 (品番、 粒径 1 〇 ) 、 !\/!乂一 1 5 0 0 ! ! (品番 〇 2020/174951 22 卩(:170? 2020 /002237

、 粒径 1 5 〇1) を用いた。

[0048] 液体フィルターの低密度側を一次側、 すなわち、 粒子分散水溶液を供給す る側に配置し、 液体フィルターの表面に対して垂直方向に粒 子分散水溶液 5 0 0 1_を流して、 ろ過した。

ろ過時の圧力損失をリアルタイムで計測し、 粒子分散水溶液の処理量が〇 〜 1 0 0 !_の時の平均圧力損失を初期ろ過圧とし、 粒子分散水溶液の処理 量が 4 0 0〜 5 0 0 !_の時の平均圧力損失を終点ろ過圧とした。 初期ろ過 圧は、 ろ過する液体の総量のうち、 処理量が〇〜 2 0体積%の平均圧力損失 である。 終点ろ過圧は、 ろ過する液体の総量のうち、 処理量が 8 0〜 1 0 0 体積%の平均圧力損失である。

ろ過時の圧力損失は、 以下のようにしてリアルタイムで計測した。 液体フィルターの上流側および下流側のそれ ぞれに圧力計を設置して圧力 を測定し、 圧力計の出力を◦ 八 1 ~ 1丁巳〇株式会社製 ◦ 1_ 8 4 0を用い て 1秒間隔で記録した。 なお、 圧力計に長野計器株式会社製、 小形デジタル 圧力計〇〇3 1 (商品名) を用いた。

初期ろ過圧の評価、 および終点ろ過圧の評価では、 いずれも平均圧力損失

[0049] 〔液体フィルター〕

(平均貫通孔径)

平均貫通孔径は、 バブルポイント法 015 (日本工業規格) 0832、 ド3 16-86) /ハーフドライ法 £1294-89) を用いたパームポロメータによ り測定した。

(空隙率)

空隙率は、 上述のように、 空隙率を 「 (%) とし、 不織布

膜厚を H d ( ) と、 不織布 角の質量を ( 9) とするとき、

[0050] (臨界湿潤表面張力 (0 \^ 3丁) ) 濡れ性を表す臨界湿潤表面張力 (CWST) は、 親水化剤量またはアルカ リ処理によって制御した。 以下に、 臨界湿潤表面張力 (CWST) の測定方 法を示す。

異なる表面張力を有する溶液を調製する。 水平にした液体フィルター上に 溶液 1 O M Lを静かに 1 0滴載せ、 1 0分間放置する。 1 0滴中 9滴以上が 湿潤した場合、 液体フィルターはその表面張力の溶液に湿潤 したと判定する 。 湿潤した場合、 湿潤した溶液よりも高い表面張力を有する溶 液を用いて同 様に滴下し、 1 〇滴中 2滴以上が湿潤しなくなるまで繰り返し行う 1 0滴 中 2滴以上が湿潤しない場合、 液体フィルターはその表面張力の溶液に湿潤 しないと判定し、 湿潤した溶液と湿潤しない溶液の表面張力の 平均値を液体 フィルターの臨界湿潤表面張力 (CWST) とする。

なお、 湿潤した溶液と湿潤しない溶液の表面張力の 差は 2 m N /m以内と し、 測定は温度 23°C、 相対湿度 50 %の標準試験室雰囲気 (J I S (日本 工業規格) K 7 1 00) で行う。 これと異なる温度または湿度での測定では 、 換算表がある場合、 表を用いてぬれ張力を算出する。 また、 滴下した溶液 が湿潤したと判定する基準は、 液体フィルターと溶液の接触角を 90 ° 以下 とする。

なお、 酢酸水溶液 (54〜 70mN/m) 、 水酸化ナトリウム水溶液 ( 7 2〜 1 00mN/m) を臨界湿潤表面張力 (CWST) 測定に使用し、 調製 した溶液の表面張力は臨界湿潤表面張力 (CWST) を測定した環境と同一 条件下で自動表面張力計 (協和界面化学製、 W i I h e I m y平板法) にて 測定を行った。

(膜厚)

膜厚は、 走査型電子顕微鏡を用いて、 不織布の断面観察を実施し、 断面画 像を得る。 断面画像を用いて、 不織布の膜厚となる箇所を 1 〇点測定し、 そ の平均値を膜厚とした。

[0051] (繊維密度差)

繊維密度差は、 液体フィルターの膜厚方向の X線 c T (Computed Tomograp 〇 2020/174951 24 卩(:170? 2020 /002237

) 画像を取得し、 断面 X線 <3丁画像において全膜厚を膜厚方向に 1 0等分 する。 1 〇等分した各区間での輝度を積算した。 積算した輝度を、 輝度が低 い側から 1- 1、 !_ 2、 !_ 3、 !_4、 !_ 5、 !_ 6、 !_ 7、 !_ 8、 !_ 9、 1_ 1 0 とし、 1_ 1 /1_ 1 0の値を求め、 この値を繊維密度差とした。 実施例 1〜 1 3および比較例 1〜 5では、 不織布の表面および裏面のうち、 いずれかの面 の繊維密度が最大であり、 残りの面の繊維密度が最小であるため、 輝度 !- 1 と輝度 1_ 1 0とは、 それぞれ表面の輝度または裏面の輝度である 。

また、 上述の輝度!- について、 0. 9<L n/L n + 1 < 1.

05を満たすか否かを確認した。 〇. 9<L n/L n + 1 < 1. 05を満た す場合、 繊維密度勾配の欄に 「連続」 と記載し、 満たさない場合、 繊維密度 勾配の欄に 「不連続」 と記載した。 実施例 1〜 1 3は、 膜厚方向に対して繊 維密度が連続して変化している。

[0052] なお、 下記表 1および表 2中、 アルファベッ ト表記で示す材質は、 それぞ れ以下に示す通りの材質である。

CAP :セルロースアセテートプロビオネート

:カルボキシメチルセルロース

巳丁 :ポリエチレンテレフタレート

99 :ポリプロピレン

3 II :ポリスルホン

V :ポリビニルピロリ ドン

[0053] 実施例 1〜 1 3および比較例 1〜 5の平均貫通孔径、 空隙率、 臨界湿潤表 面張力 、 膜厚、 繊維密度差、 繊維密度勾配、 材質、 および製造 方法を下記表 1および表 2に示す。

以下、 実施例 1〜 1 3および比較例 1〜 5について説明する。

[0054] 〔実施例 1〕

実施例 1は、 水に不溶の高分子にセルロースアセテートプ ロビオネート ( 〇八 ) 、 親水化剤にポリビニルピロリ ドン ( V ) を用い、 エレクトロ スピニング法により不織布を製造し、 液体フィルターとした。 なお、 セルロ 〇 2020/174951 25 卩(:170? 2020 /002237

—スアセテートプロビオネート (〇八 ) には、 イーストマンケミカルジャ パン株式会社製〇八 一4 8 2 - 2 0 (商品名) を用い、 ポリビニルピロリ ドン ( ) には、 [< - 9 0 株式会社日本触媒製を用いた。

エレクトロスピニング法を用いた不織布につ いては、 特許第 6 1 3 2 8 2 0号公報に記載のナノファイバー製造装置を い、 ノズルから出る紡糸溶液 の温度を 2 0 °〇とし、 ノズルから出る紡糸溶液の流量を

かつ溶液とコレクタとの間に印加する電圧を 1 〇〜 4 0 1< Vの範囲で調整し て、 コレクタ上に配置された、 厚み 2 5 のアルミニウムシートからなる 支持体にナノファイバーを収集させて不織布 を得た。

上述の水に不溶の高分子および親水化剤をジ クロロメタン 8 0質量%、 お よびメタノール 2 0質量%の混合溶媒中に総固形分濃度 1 0質量%となるよ うに溶解し、 紡糸溶液として用いた。 なお、 実施例 1、 ならびに以下に示す 実施例 2〜 1 1および比較例 1〜 5において記載する水に不溶の高分子と親 水化剤の比率は上述の固形分の内訳である。 これは、 水に不溶の高分子と親 水化剤との不織布の繊維全質量に対する比率 と同じことである。

セルロースアセテートプロビオネート (〇八 ) が混合溶媒中に総固形分 のうち、 9 0質量%であることを、 表 1の 「素材」 の欄に 「〇八 / 9 0 % 」 と表す。 ポリビニルピロリ ドン ( ) が混合溶媒中に総固形分のうち 、 1 〇質量%であることを、 表 1の 「親水化剤」 の欄に 0 %」 と表す。

以下の説明では、 単に実施例 1では、 セルロースアセテートプロビオネー 卜 (〇八 ) が 9 0質量%であり、 ポリビニルピロリ ドン ( ) が 1 0 質量%という。 以下、 これ以外の物質についても、 実施例 1 と同様に表す。 実施例 1は、 平均貫通孔径が 5 . 0 であり、 空隙率が 9 7 %であり、 臨界湿潤表面張力が 膜厚が 8 0 0 であり、 繊維密 度差が〇. 7 0であり、 繊維密度勾配が連続である。

[0055] 〔実施例 2〕

実施例 2は、 水に不溶の高分子にセルロースアセテートプ ロビオネート ( 〇 2020/174951 26 卩(:170? 2020 /002237

〇八 ) 、 親水化剤にポリビニルピロリ ドン ( ) を用いた。 なお、 セ ルロースアセテートプロピオネート (〇八 ) には、 イーストマンケミカル ジャパン株式会社製〇八 一4 8 2 - 2 0 (商品名) を用い、 ポリビニルピ ロリ ドン ( ) には、 [<- 9 0 株式会社日本触媒製を用いた。

実施例 2は、 後述する表 1 に示すように平均貫通孔径、 膜厚および繊維密 度差を変更した以外は、 実施例 1 と同様にエレクトロスピニング法により不 織布を製造し、 液体フィルターとした。 なお、 セルロースアセテートプロピ オネート (〇八 ) が 9 0質量%であり、 ポリビニルピロリ ドン ( ) が 1 0質量%である。 実施例 2は、 実施例 1 に比して、 平均貫通孔径が 4 . 9 であり、 膜厚が 4 0 0 0 であり、 繊維密度差が〇. 7 6である。 〔実施例 3〕

実施例 3は、 水に不溶の高分子にセルロースアセテートプ ロビオネート ( 〇八 ) 、 親水化剤にポリビニルピロリ ドン ( ) を用いた。 なお、 セ ルロースアセテートプロピオネート (〇八 ) には、 イーストマンケミカル ジャパン株式会社製〇八 一4 8 2 - 2 0 (商品名) を用い、 ポリビニルピ ロリ ドン ( ) には、 [<- 9 0 株式会社日本触媒製を用いた。

実施例 3は、 後述する表 1 に示すように平均貫通孔径および繊維密度差 を 変更した以外は、 実施例 1 と同様にエレクトロスピニング法により不織 布を 製造し、 液体フィルターとした。 なお、 セルロースアセテートプロビオネー 卜 (〇八 ) が 9 0質量%であり、 ポリビニルピロリ ドン ( ) が 1 0 質量%である。 実施例 3は、 実施例 1 に比して、 平均貫通孔径が 4 . 2 ^ ^ であり、 繊維密度差が〇. 9 4である。

[0056] 〔実施例 4〕

実施例 4は、 水に不溶の高分子にセルロースアセテートプ ロビオネート ( 〇八 ) 、 親水化剤にポリビニルピロリ ドン ( ) を用いた。 なお、 セ ルロースアセテートプロピオネート (〇八 ) には、 イーストマンケミカル ジャパン株式会社製〇八 一4 8 2 - 2 0 (商品名) を用い、 ポリビニルピ ロリ ドン ( ) には、 [<- 9 0 株式会社日本触媒製を用いた。 〇 2020/174951 27 卩(:170? 2020 /002237

実施例 4は、 後述する表 1 に示すように平均貫通孔径、 および臨界湿潤表 面張力を変更した以外は、 実施例 1 と同様にエレクトロスピニング法により 不織布を製造し、 液体フィルターとした。 なお、 セルロースアセテートプロ ビオネート (〇八 ) が 9 7 . 5質量%であり、 ポリビニルピロリ ドン ( V ?) が 2 . 5質量%である。 実施例 4は、 実施例 1 に比して、 ポリビニル ピロリ ドン ( ) の量を少なく して臨界湿潤表面張力を小さく しており 、 臨界湿潤表面張力が 4〇 /〇!であり、 平均貫通孔径が 3 . 9 〇であ る。

[0057] 〔実施例 5〕

実施例 5は、 水に不溶の高分子にポリスルホン ( 3 11) 、 親水化剤にポ リビニルピロリ ドン ( ) を用いた。 なお、 ポリスルホン ( 3 11) に は、 ソルベイ社製ユーデル (登録商標) 一3 5 0 0 1\/1巳を用 い、 ポリビニルピロリ ドン ( V ) には、 [<- 9 0 株式会社日本触媒製 を用いた。

実施例 5は、 後述する表 1 に示すように平均貫通孔径、 空隙率、 臨界湿潤 表面張力および繊維密度差を変更した以外は 、 実施例 1 と同様にエレクトロ スピニング法により不織布を製造し、 液体フィルターとした。 なお、 ポリス ルホン ( 3 II) が 9 0質量%であり、 ポリビニルピロリ ドン ( V ) が 1 〇質量%である。 実施例 5は、 実施例 1 とは水に不溶な高分子が異なる。 実施例 5では、 水に不溶な高分子と親水化剤との組み合わせ により臨界湿潤 表面張力を小さく しており、 臨界湿潤表面張力が 7 2〇! 1\1 /〇!であった。 ま た、 実施例 5は、 実施例 1 に比して、 平均貫通孔径が 3 . 5 であり、 空 隙率が 9 0 %であり、 臨界湿潤表面張力が 7 2 0^ 1X1 / 0!であり、 繊維密度差 が〇. 8 5である。

[0058] 〔実施例 6〕

実施例 6は、 水に不溶の高分子にセルロースアセテートプ ロビオネート ( 〇八 ) 、 親水化剤にカルボキシメチルセルロース (〇1\/1〇) を用いた。 な お、 セルロースアセテートプロピオネート (〇八 ) には、 イーストマンケ 〇 2020/174951 28 卩(:170? 2020 /002237

ミカルジャパン株式会社製 0八 一4 8 2 - 2 0 (商品名) を用い、 カルボ キシメチルセルロース (〇1\/1〇) には、 富士フイルム和光純薬株式会社製 品番 0 3 5 - 0 1 3 3 7を用いた。

実施例 6は、 後述する表 1 に示すように平均貫通孔径、 空隙率、 および繊 維密度差を変更した以外は、 実施例 1 と同様にエレクトロスピニング法によ り不織布を製造し、 液体フィルターとした。 なお、 セルロースアセテートプ ロビオネート (〇八 ) が 9 0質量%であり、 カルボキシメチルセルロース が 1 0質量%である。 実施例 6は、 実施例 1 に比して、 平均貫通 孔径が 3 . 3 であり、 空隙率が 9 4 %であり、 繊維密度差が〇. 9 2で ある。

〔実施例 7〕

実施例 7は、 水に不溶の高分子にセルロースアセテートプ ロビオネート ( 〇八 ) 、 親水化剤にポリビニルピロリ ドン ( ) を用いた。 なお、 セ ルロースアセテートプロピオネート (〇八 ) には、 イーストマンケミカル ジャパン株式会社製〇八 一4 8 2 - 2 0 (商品名) を用い、 ポリビニルピ ロリ ドン ( ) には、 [<- 9 0 株式会社日本触媒製を用いた。

実施例 7は、 後述する表 1 に示すように平均貫通孔径、 空隙率、 および繊 維密度差を変更した以外は、 実施例 1 と同様にエレクトロスピニング法によ り不織布を製造し、 液体フィルターとした。 なお、 セルロースアセテートプ ロビオネート (〇八 ) が 4 5質量%であり、 ポリビニルピロリ ドン ( 9) が 5 5質量%である。 実施例 7は、 実施例 1 に比して、 平均貫通孔径が 3 . 6 であり、 空隙率が 9 5 %であり、 繊維密度差が〇. 9 4である。

[0059] 〔実施例 8〕

実施例 8は、 水に不溶の高分子にセルロースアセテートプ ロビオネート ( 〇八 ) 、 親水化剤にポリビニルピロリ ドン ( ) を用いた。 なお、 セ ルロースアセテートプロピオネート (〇八 ) には、 イーストマンケミカル ジャパン株式会社製〇八 一4 8 2 - 2 0 (商品名) を用い、 ポリビニルピ ロリ ドン ( ) には、 [<- 9 0 株式会社日本触媒製を用いた。 〇 2020/174951 29 卩(:170? 2020 /002237

実施例 8は、 後述する表 1 に示すように平均貫通孔径、 膜厚および繊維密 度差を変更した以外は、 実施例 1 と同様にエレクトロスピニング法により不 織布を製造し、 液体フィルターとした。 なお、 セルロースアセテートプロピ オネート (〇八 ) が 9 0質量%であり、 ポリビニルピロリ ドン ( ) が 1 0質量%である。 実施例 8は、 実施例 1 に比して、 平均貫通孔径が 4 . 9 であり、 膜厚が 9 0 であり、 繊維密度差が〇. 9 4である。

〔実施例 9〕

実施例 9は、 水に不溶の高分子にセルロースアセテートプ ロビオネート ( 〇八 ) 、 親水化剤にポリビニルピロリ ドン ( ) を用いた。 なお、 セ ルロースアセテートプロピオネート (〇八 ) には、 イーストマンケミカル ジャパン株式会社製〇八 一4 8 2 - 2 0 (商品名) を用い、 ポリビニルピ ロリ ドン ( ) には、 [<- 9 0 株式会社日本触媒製を用いた。

実施例 9は、 後述する表 1 に示すように平均貫通孔径および繊維密度差 を 変更した以外は、 実施例 1 と同様にエレクトロスピニング法により不織 布を 製造し、 液体フィルターとした。 なお、 セルロースアセテートプロビオネー 卜 (〇八 ) が 9 0質量%であり、 ポリビニルピロリ ドン ( ) が 1 0 質量%である。 実施例 9は、 実施例 1 に比して、 平均貫通孔径が 1 . 8^ ^ であり、 繊維密度差が〇. 9 0である。

[0060] 〔実施例 1 0〕

実施例 1 〇は、 水に不溶の高分子にセルロースアセテートプ ロビオネート (〇八 ) 、 親水化剤にポリビニルピロリ ドン ( ) を用いた。 なお、 セルロースアセテートプロピオネート (〇八 ) には、 イーストマンケミカ ルジャパン株式会社製〇八 一4 8 2 - 2 0 (商品名) を用い、 ポリビニル ピロリ ドン ( ) には、 [<- 9 0 株式会社日本触媒製を用いた。

実施例 1 〇は、 後述する表 2に示すように平均貫通孔径および繊維密度 を変更した以外は、 実施例 1 と同様にエレクトロスピニング法により不織 布 を製造し、 液体フィルターとした。 なお、 セルロースアセテートプロビオネ —卜 (〇八 ) が 9 0質量%であり、 ポリビニルピロリ ドン ( ) が 1 〇 2020/174951 30 卩(:170? 2020 /002237

〇質量%である。 実施例 1 〇は、 実施例 1 に比して、 平均貫通孔径が 1 2 .

5 であり、 繊維密度差が〇. 9 0である。

〔実施例 1 1〕

実施例 1 1は、 水に不溶の高分子にセルロースアセテートプ ロビオネート (〇八 ) 、 親水化剤にポリビニルピロリ ドン ( ) を用いた。 なお、 セルロースアセテートプロピオネート (〇八 ) には、 イーストマンケミカ ルジャパン株式会社製〇八 一4 8 2 - 2 0 (商品名) を用い、 ポリビニル ピロリ ドン ( ) には、 [<- 9 0 株式会社日本触媒製を用いた。 実施例 1 1は、 後述する表 2に示すように平均貫通孔径、 空隙率および繊 維密度差を変更した以外は、 実施例 1 と同様にエレクトロスピニング法によ り不織布を製造し、 液体フィルターとした。 なお、 セルロースアセテートプ ロビオネート (〇八 ) が 9 0質量%であり、 ポリビニルピロリ ドン ( ) が 1 〇質量%である。 実施例 1 1は、 実施例 1 に比して、 平均貫通孔径 が 6 . 2 であり、 空隙率が 7 2 %であり、 繊維密度差が〇. 9 2である

[0061] 〔実施例 1 2〕

実施例 1 2は、 水に不溶の高分子にセルロースアセテートプ ロビオネート (〇八 ) 、 親水化剤にポリビニルピロリ ドン ( ) を用いた。 なお、 セルロースアセテートプロピオネート (〇八 ) には、 イーストマンケミカ ルジャパン株式会社製〇八 一4 8 2 - 2 0 (商品名) を用い、 ポリビニル ピロリ ドン ( ) には、 [<- 9 0 株式会社日本触媒製を用いた。 実施例 1 2は、 後述する表 2に示すように平均貫通孔径、 膜厚および繊維 密度差を変更した以外は、 実施例 1 と同様にエレクトロスピニング法により 不織布を製造し、 液体フィルターとした。 なお、 セルロースアセテートプロ ビオネート (〇八 ) が 9 0質量%であり、 ポリビニルピロリ ドン ( ) が 1 0質量%である。 実施例 1 2は、 実施例 1 に比して、 平均貫通孔径が 4 . 3 であり、 膜厚が 2 0 0 0 であり、 繊維密度差が〇. 7 2であ る。 〇 2020/174951 31 卩(:170? 2020 /002237

〔実施例 1 3〕

実施例 1 3は、 水に不溶の高分子にセルロースアセテートプ ロビオネート (〇八 ) 、 親水化剤にポリビニルピロリ ドン ( ) を用いた。 なお、 セルロースアセテートプロピオネート (〇八 ) には、 イーストマンケミカ ルジャパン株式会社製〇八 一4 8 2 - 2 0 (商品名) を用い、 ポリビニル ピロリ ドン ( ) には、 [<- 9 0 株式会社日本触媒製を用いた。 実施例 1 3は、 後述する表 2に示すように平均貫通孔径、 膜厚および繊維 密度差を変更した以外は、 実施例 1 と同様にエレクトロスピニング法により 不織布を製造し、 液体フィルターとした。 なお、 セルロースアセテートプロ ビオネート (〇八 ) が 9 0質量%であり、 ポリビニルピロリ ドン ( ) が 1 0質量%である。 実施例 1 3は、 実施例 1 に比して、 平均貫通孔径が 4 . 0 であり、 膜厚が 2 5 0 であり、 繊維密度差が〇. 8 0である

[0062] 〔比較例 1〕

比較例 1は、 ポリプロピレン ( ) を用いて、 スパンボンド法により、 膜厚が 5 0 0 の不織布を製造した。 比較例 1は、 平均貫通孔径が 2 . 9 であり、 空隙率が 8 0 %であり、 臨界湿潤表面張力が 3 0〇! 1\1 /〇!であ り、 膜厚が 5 0 0 であり、 繊維密度差が〇. 9 9であり、 かつ繊維密度 勾配がない。 すなわち、 比較例 1は、 繊維密度の異方性がなく等方的である なお、 ポリプロピレン ( ) には、 日本ポリプロ株式会社製 丨 1\1丁 巳〇 (登録商標) \^/ 3乂0 2を用いた。

〔比較例 2〕

比較例 1は、 ポリエチレンテレフタレート ( 巳丁) を用いて、 メルトブ 口一法により、 膜厚が 3 5〇 の不織布を製造した。 比較例 2は、 平均貫 通孔径が 4 . 5 〇であり、 空隙率が 8 2 %であり、 臨界湿潤表面張力が 6 膜厚が 3 5 0 〇!であり、 繊維密度差が〇. 9 9であり 、 かつ繊維密度勾配がない。 すなわち、 比較例 2は、 繊維密度の異方性がな 〇 2020/174951 32 卩(:170? 2020 /002237

く等方的である。

なお、 ポリエチレンテレフタレート ( 巳丁) には、 ユニチカ株式会社製 3八_ 1 2 0 6を用いた。

[0063] 〔比較例 3〕

比較例 3は、 親水化剤を用いることなく、 セルロースアセテートプロピオ ネート (〇八 ) だけを用いた。 セルロースアセテートプロピオネート (〇 ^ P) には、 イーストマンケミカルジャパン株式会社製〇 八 一4 8 2 - 2 0 (商品名) を用いた。

比較例 3は、 後述する表 2に示すように平均貫通孔径、 空隙率、 臨界湿潤 表面張力、 膜厚および繊維密度差を変更し、 かつ繊維密度勾配がない状態と した以外は、 実施例 1 と同様にエレクトロスピニング法により不織 布を製造 し、 液体フィルターとした。 なお、 比較例 3は、 実施例 1 に比して、 平均貫 通孔径が 4 . 8 〇であり、 空隙率が 9 0 %であり、 臨界湿潤表面張力が 4 膜厚が 2 0 0 〇!であり、 繊維密度差が〇. 9 9であり 、 かつ繊維密度勾配がない。 すなわち、 比較例 3は、 繊維密度の異方性がな く等方的である。

[0064] 〔比較例 4〕

比較例 4は、 水に不溶の高分子にセルロースアセテートプ ロビオネート ( 〇八 ) 、 親水化剤にポリビニルピロリ ドン ( ) を用いた。 なお、 セ ルロースアセテートプロピオネート (〇八 ) には、 イーストマンケミカル ジャパン株式会社製〇八 一4 8 2 - 2 0 (商品名) を用い、 ポリビニルピ ロリ ドン ( ) には、 [<- 9 0 株式会社日本触媒製を用いた。

比較例 4は、 後述する表 2に示すように繊維密度差を変更し、 かつ繊維密 度勾配を不連続にした以外は、 実施例 1 と同様にエレクトロスピニング法に より膜厚が 4 0〇 の不織布を形成した後、 一旦停止し除電器 (IV! 丨 !_丁 丫社製 静電気除去ピストル 6 「〇 3 3 I 3 (商品名) ) にて不織 布の表面を除電した。 続いて、 除電した不織布の表面に同様の条件でエレク トロスピニング法による紡糸を再度行い、 総膜厚が 8 0 0 となるように 〇 2020/174951 33 卩(:170? 2020 /002237

した。 このようにして繊維密度が不連続な不織布を 作製して液体フィルター とした。 なお、 セルロースアセテートプロビオネート (〇八 ) が 9 0質量 %であり、 ポリビニルピロリ ドン ( ) が 1 0質量%である。 比較例 4 は、 実施例 1 に比して、 繊維密度差が〇. 8 8である。

〔比較例 5〕

比較例 5は、 水に不溶の高分子にセルロースアセテートプ ロビオネート ( 〇八 ) 、 親水化剤にポリビニルピロリ ドン ( ) を用いた。 なお、 セ ルロースアセテートプロピオネート (〇八 ) には、 イーストマンケミカル ジャパン株式会社製〇八 一4 8 2 - 2 0 (商品名) を用い、 ポリビニルピ ロリ ドン ( ) には、 [<- 9 0 株式会社日本触媒製を用いた。

比較例 5は、 後述する表 2に示すように平均貫通孔径、 膜厚および繊維密 度差を変更し、 かつ繊維密度勾配を不連続とした以外は、 実施例 1 と同様に エレクトロスピニング法により不織布を 3つ製造し、 3つの不織布を積層し て液体フィルターとした。 なお、 セルロースアセテートプロビオネート (〇 ^ P) が 9 0質量%であり、 ポリビニルピロリ ドン ( V ) が 1 0質量% である。 比較例 4は、 1つの不織布の繊維密度勾配が連続であるが 液体フ ィルターとしては繊維密度が不連続である。 比較例 5は、 実施例 1 に比して 、 平均貫通孔径が 5 . 2 であり、 膜厚が 2 5 0 であり、 繊維密度差 が〇. 9 3である。

[0065]

\¥0 2020/174951 34 卩(:17 2020 /002237

[0066] \¥0 2020/174951 35 卩(:17 2020 /002237

[0067] 表 1および表 2に示すように、 実施例 1〜 1 3は比較例 1〜 5に比して、 〇 2020/174951 36 卩(:170? 2020 /002237

初期ろ過圧、 および終点ろ過圧が優れており、 圧力損失が小さい液体フィル 夕 _であった。

比較例 1は、 液体フィルターの構成および製造方法が異な り、 親水化剤が なく臨界湿潤表面張力 (〇\^/ 3丁) が小さく、 繊維密度差も小さい。 また、 平均貫通孔径および空隙率が小さく、 膜厚も薄く、 圧力損失が大きかった。 比較例 2は、 液体フィルターの構成および製造方法が異な り、 親水化剤が なく臨界湿潤表面張力 (〇\^/ 3丁) が小さく、 繊維密度差も小さい。 また、 平均貫通孔径および空隙率が小さく、 膜厚も薄く、 圧力損失が大きかった。 比較例 3は、 親水化剤がなく臨界湿潤表面張力 (〇\^/ 3丁) が小さく、 繊 維密度差が小さい。 また、 平均貫通孔径および空隙率が小さく、 膜厚も薄く 、 圧力損失が大きかった。

比較例 4は、 繊維密度勾配が不連続であり、 圧力損失が大きかった。 比較例 5は、 3枚積層した構成であり、 液体フィルターとしては繊維密度 勾配が不連続であり、 圧力損失が大きかった。

[0068] 実施例 1、 実施例 2、 実施例 8、 実施例 1 2、 および実施例 1 3から、 膜 および終点ろ過 圧がより優れるため好ましい。

実施例 1 と実施例 3とから、 繊維密度差が大きい方が圧力損失が小さくな るため好ましい。

実施例 1 と実施例 4と実施例 5とから、 臨界湿潤表面張力が大きいと、 特 に臨界湿潤表面張力が 7 2 以上であると、 圧力損失が小さくなるた め好ましい。

[0069] 実施例 1 と実施例 6とから、 親水化剤は初期ろ過圧、 および終点ろ過圧が より優れるポリビニルピロリ ドン ( V ) が好ましい。 ポリビニルピロリ ドン ( ) は、 他の素材に比べて水に不溶の高分子との相溶 性が高く、 親水性も高い。

実施例 1 と実施例 7とから、 親水化剤の含有量は 5 0質量%以下であると 、 初期ろ過圧、 および終点ろ過圧がより優れるため好ましい 。 親水化剤の含 〇 2020/174951 37 卩(:170? 2020 /002237

有量が 50質量%以下では、 不織布を形成する繊維の強度が抑制され、 ろ過 によって形状変化しにくい。

実施例 1 と実施例 9と実施例 1 0とから、 平均貫通孔径は 2. 0 以上 1 0. 〇 未満であると、 初期ろ過圧、 および終点ろ過圧がより優れるた め好ましい。 なお、 平均貫通孔径が大きい場合、 繊維径を大きくする必要が あるが、 エレクトロスピニング法による紡糸時に溶媒 が乾燥するのに時間が かかるため、 作製した不織布の繊維同士が溶着してしまう 。 結果として繊維 密度差および空隙率が小さくなりろ過圧の上 昇につながる。

実施例 1 と実施例 1 1 とから、 空隙率が 75%以上 98%以下であると、 初期ろ過圧、 および終点ろ過圧がより優れるため好ましい 。

符号の説明

[0070] 1 0 液体フィルター

1 2 不織布

1 2〇, 表面

1 2匕 裏面

1 4 多孔質体

20 ろ過装置

22 ヶース

223 内部

22匕 底部

22〇 開口部

2 2 6 外面

24 連結管

26 回収部

27 供給管

28 加圧部

283 ガスケッ ト

28匕 プランジャー \¥02020/174951 38 02231

30 ろ過システム

32 供給部

34 配管

36 制御部

50 圧力曲線

52 圧力曲線

1 00 従来の不織布

〇 I 膜厚方向

膜厚