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Patent Searching and Data


Title:
INKJET INK FOR TEXTILE PRINTING
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/051003
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is an inkjet ink for textile printing, which contains a pigment, a water-dispersible resin, water and a water-soluble organic solvent. A polyol having an SP value of 10-15.5 (cal/cm3)1/2 is contained as the water-soluble organic solvent, and a urethane resin having a glass transition temperature of from -35˚C to 10˚C is contained as the water-dispersible resin.

Inventors:
TSUNODA HAJIME
OGAWA HIROYUKI
HIGASHI KAZUHIRO
Application Number:
PCT/JP2008/067719
Publication Date:
April 23, 2009
Filing Date:
September 30, 2008
Export Citation:
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Assignee:
RISO KAGAKU CORP (JP)
TSUNODA HAJIME
OGAWA HIROYUKI
HIGASHI KAZUHIRO
International Classes:
B41J2/01; B41M5/00; C09D11/00; C09D11/322; C09D11/54; D06P1/44; D06P5/00
Foreign References:
JP2001138629A2001-05-22
JP2001106951A2001-04-17
JP2001140173A2001-05-22
JP2000256974A2000-09-19
Attorney, Agent or Firm:
MIYOSHI, Hidekazu et al. (2-8 Toranomon 1-chome,Minato-k, Tokyo 01, JP)
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Claims:
 顔料、水分散性樹脂、水、および水溶性有機溶媒を含む捺染インクジェット用インクであって、
 前記水溶性有機溶媒として、SP値が10~15.5(cal/cm 3 ) 1/2 のポリオールを含み、かつ、
 前記水分散性樹脂として、ガラス転移点が-35~10℃のウレタン樹脂を含む、捺染インクジェット用インク。
 前記水溶性有機溶媒中の前記ポリオールの割合が60重量%以上であり、かつ、インク中の前記水溶性有機溶媒の配合量が合計で10~40重量%である、請求項1記載の捺染インクジェット用インク。
 前記ウレタン樹脂がアニオン性樹脂である、請求項1記載の捺染インクジェット用インク。
 前記顔料が白色顔料である、請求項1記載の捺染インクジェット用インク。
 前記顔料が白以外の色顔料である、請求項1記載の捺染インクジェット用インク。
 以下の工程を含む、捺染物の製造方法:
(1)布帛上の印刷箇所に、多価金属塩を含有する前処理剤を塗布する工程;および
(2)インクジェット記録法により請求項1記載の捺染インクジェット用インクを印刷する工程。
 前記工程(2)が、インクジェット記録法により請求項4記載の捺染インクジェット用インクを印刷する工程(2-1)と、続いてインクジェット記録法により請求項5記載の捺染インクジェット用インクを印刷する工程(2-2)とを含む、請求項6記載の捺染物の製造方法。
 前記前処理剤が、ゼータ電位(mV)の絶対値が10未満の水分散性樹脂を含む、請求項6記載の捺染物の製造方法。
 多価金属塩を含有する前処理剤と、請求項4記載の捺染インクジェット用インクと、請求項5記載の捺染インクジェット用インクとの組み合わせである、捺染インクジェット用インクセット。
Description:
捺染インクジェット用インク

 本発明は、インクジェット記録法による 染印刷に用いられる捺染インクジェット用 ンク、およびそれを用いた捺染物の製法方 に関する。

 繊布、不繊布などの布帛に、文字、絵、図 などの画像を捺染する方法として、スクリ ン捺染法やローラー捺染法の他に、近年で 、コンピュタで画像処理して実質無版で捺 できる捺染インクジェット方法が注目され いる。
 捺染インクジェット方法には、転写シート 印字したのち布帛に熱転写する転写方式、 定着する樹脂フィルム(アイロンプリントシ ート)に印字後、樹脂フィルムの熱定着を行 アイロンプリント方式、直接布帛に印字す ダイレクト印字方式などの方式が存在する

 なかでも、転写方式の転写紙などのような 資材を必要とせず、アイロンプリント方式 生じるような風合いの低下が生じない、ダ レクト印字方式が注目されている。
 ダイレクト印字方式の場合、インクジェッ 記録用インクは低粘度で浸透しやすい、顔 インクの場合は顔料粒子径が小さい(一般に 300nm以下)ため隠蔽力が小さい、インク塗布量 が少ない、などの理由から捺染物の画像は布 帛の地色の影響を受けてしまい、黒や紺とい った濃色布への印字が困難であった。

 これに対し、印字前に抜染インクを印字 たのち所望の色インク印字をする、抜染方 のダイレクト捺染インクジェット方式が開 されている。しかし、布帛の種類によって 染状態が異なるため、品質の安定化が課題 ある。さらに、布帛の染料を完全に抜くこ は困難であるため、鮮明な発色が得られな という問題がある。

 繊維製品への印刷を行う捺染印刷に固有の の課題として、被服などに用いられる布帛 の画像に対し、高い洗濯堅牢性および摩擦 牢性が求められる点が挙げられる。
 色材として顔料を用いる場合、耐光性が高 、複数の繊維種に対応できる、色材除去工 が不要である、といった利点があり、その 便さが好まれている。この顔料定着のため 、インクにはバインダー成分を添加する必 がある。しかし、インクジェット用インク は、吐出安定性およびヘッド放置後の吐出 、目詰まりの観点から、バインダー成分を 量に使用することができず、したがって洗 および摩擦に対する堅牢性は不十分となっ しまう。

 特開昭61-215787号公報は、記録媒体に、多 金属塩を含む反応液と、顔料と樹脂エマル ョンとを含むインク組成物とを付着させて 字を行う、二液を用いたインクジェット記 方法を開示する。この方法によれば、印字 にじみや印字ムラをおさえ、カラーブリー を有効に防止できることが記載されている しかし、この方法は、濃色布帛への印字に いては隠蔽力が不充分であり、さらに洗濯 牢度および摩擦堅牢度にも改善が必要であ 。

 特開平9-207424号公報は、多価金属塩を含 反応液と、顔料および樹脂エマルジョンを むインク組成物とを、記録媒体である紙に 着させて印字を行なうインクジェット記録 法が記載されている。この方法は、良好な 像の提供を目的とするものであるが、充分 洗濯・摩擦堅牢度を確保することができな との課題がある。

 発明者らの検討によると、一般に、イン 中の樹脂エマルジョンの濃度を高めること より、洗濯・摩擦堅牢度を改善することは きる。しかし一方で、インクの粘度が高く るため、インク吐出量が少なくなり、その 果、インクの隠蔽性に問題が生じるととも 、印刷機を不使用状態で放置した際のヘッ 放置性能(機上放置性能あるいは機上安定性 )も低下する。

 本発明は、洗濯堅牢性および摩擦堅牢性 良好であると共に、濃色布帛に用いた場合 は良好な隠蔽性を実現でき、かつ機上安定 にも優れた捺染インクジェット用インクと それを用いた捺染物の製造方法を提供する とを課題とする。

 本発明の第一の側面によれば、顔料、水分 性樹脂、水、および水溶性有機溶媒を含む 染インクジェット用インクであって、前記 溶性有機溶媒として、SP値が10~15.5(cal/cm 3 ) 1/2 のポリオールを含み、かつ、前記水分散性樹 脂として、ガラス転移点が-35~10℃のウレタン 樹脂を含む、捺染インクジェット用インクが 提供される。
 この本発明に係る捺染インクジェット用イ ク(以下、単に「インク」ともいう。)には 顔料が白色顔料であるもの(以下、「白イン 」ともいう。)、および、顔料が白以外の色 顔料であるもの(以下、「色インク」ともい 。)が存在する。

 本発明の第二の側面によれば、(1)布帛上 印刷箇所に、多価金属塩を含有する前処理 を塗布する工程;および(2)インクジェット記 録法により上記本発明に係る捺染インクジェ ット用インクを印刷する工程、を含む捺染物 の製造方法が提供される。

 本発明の第三の側面によれば、多価金属 を含有する前処理剤と、上記本発明に係る インクと、上記本発明に係る色インクとの み合わせである、捺染インクジェット用イ クセットが提供される。

 インクは、顔料、水分散性樹脂(樹脂エマル ジョン)、水、および水溶性有機溶媒を含む 成である。このインクは、多価金属塩を含 する前処理剤(アンダーコート剤)と組み合わ せて使用される。
 捺染印刷において、インクは布帛上で水分 性樹脂の析出による樹脂皮膜(インク膜)を 成し、その皮膜の特性が隠蔽性や洗濯・摩 堅牢性と密接に関係する。この樹脂の析出 、インク中に分散する樹脂微粒子の、多価 属塩の作用による凝集および融合(融着)によ るものであるところ、本発明者らは、形成さ れる樹脂皮膜の性質に、水溶性有機溶媒の特 性が関与することを見いだした。

 すなわち、水溶性有機溶媒が、水溶性で りながら疎水性の特性を有するほど、樹脂 粒子の凝集の際にこの溶媒が樹脂中に取り まれやすくなり、取り込まれた有機溶媒が 樹脂の凝集体積を大きくし、厚い皮膜を形 できると考えられる。その結果、樹脂皮膜 布帛表面の空隙を埋める効果が得られ、イ ク滴は布帛内部に浸透せずに布帛表面に留 ることができるので、印字のにじみが防止 れ、かつ良好な発色が得られると考えられ 。さらに、布帛表面に留まるインク量が多 ほど、樹脂に伴われて留まる顔料も多くな 、隠蔽性が高まるとともに、布帛表面に留 る樹脂量も多くなるため、皮膜強度が高く り、洗濯・摩擦堅牢度も良好になることが えられる。

 一方、水溶性有機溶媒の疎水性の特性が くなりすぎると、プリンターヘッドにイン を導入して放置した場合にノズルが詰まり すく、ヘッド放置性能(機上安定性)に問題 生じる恐れがある。つまり、インク中の水 蒸発した後のインクの変質(固化・増粘)を抑 制することが必要であるところ、溶媒のSP値 、水蒸発後の水分散性樹脂の分散安定性に 与すると考えられる。

 さらに、沸点の観点からポリオールを用い ことが好ましい。水溶性有機溶媒の沸点は ヘッド放置性能に関係し、沸点が低いとヘ ド放置性能に問題が生じる恐れがある。す わち、SP値が本発明で求められる所定範囲 あっても、モノオール(たとえばメタノール エタノール、1-プロパノール)等の沸点の低 溶媒は揮発しやすく、したがってヘッド放 性能の観点から好ましくないことが判明し 。
 以上の検討に基づき、発色性および堅牢度 ヘッド放置性能との双方を満足させうる水 性有機溶媒として、SP値が10~15.5(cal/cm 3 ) 1/2 であるポリオールを含むことが、本発明の特 徴である。

 このSP値は、溶解性パラメータであり、凝 エネルギーの変化で溶解性を求めようとす ものである。液体の凝集エネルギーは、蒸 エンタルピーと等価であることから、モル 発熱δH v と分子容Vより、溶解パラメータδは次式(1)の ように定義することができる。この式を用い て、1モル体積の液体が蒸発するために必要 蒸発熱から、SP値を計算できる。
〔数1〕
     δ(SP値)={(δH v -RT)/V} 1/2     ・・・(1)
 ここで、δHは蒸発熱を示し、Vは分子容であ る(「溶解性パラメーター適用事例集」(メカ ズムと溶解性の評価・計算例等を踏まえて) 、52~54頁、(株)情報機構、2007年3月15日発行参 )。

 この溶媒のSP値が10(cal/cm 3 ) 1/2 よりも低いと、発色性には優れるが、機上放 置性能が低下する恐れがある。一方、SP値が1 5.5(cal/cm 3 ) 1/2 より高いと、機上放置特性には優れるが、発 色性が乏しくなる恐れがある。
 さらに、このSP値の範囲は10.5~14(cal/cm 3 ) 1/2 であることが一層好ましい。

 こうした溶解特性を満たすポリオールであ て、本発明に好ましく用いられるものとし は、具体的には、次のものが挙げられる(括 弧内は上記式(1)から求めたSP値の計算値)。エ チレングリコール(15.3(cal/cm 3 ) 1/2 )、ジエチレングリコール(11.2(cal/cm 3 ) 1/2 )、トリエチレングリコール(11.1(cal/cm 3 ) 1/2 )、1,2-プロパンジオール(12.9(cal/cm 3 ) 1/2 )、1,3-プロパンジオール(13.5(cal/cm 3 ) 1/2 )、1,4-ブタンジオール(11.8(cal/cm 3 ) 1/2 )、1,5-ペンタンジオール(11.5(cal/cm 3 ) 1/2 )。
 これらのポリオールは、複数種を組み合わ て使用してもよい。

 これに対し、ポリオールであってもSP値が16 .7(cal/cm 3 ) 1/2 であるグリセリンや、SP値が9.8(cal/cm 3 ) 1/2 であるテトラエチレングリコールは、本発明 におけるポリオールに求められる効果をバラ ンスよく発揮することができないため好まし くない。
 ただし、SP値が好ましい範囲から外れるこ らのポリオールも、SP値が好ましい範囲のポ リオール類と併用することにより用いること ができる。

 SP値が10~15.5(cal/cm 3 ) 1/2 のポリオールと併用できる水溶性有機溶媒と しては、室温で液体であり、水に溶解可能な 有機化合物が用いられる。たとえば、上記テ トラエチレングリコールやグリセリン以外に も、メタノール、エタノール、1-プロパノー 、イソプロパノール、1-ブタノール、2-ブタ ノール、イソブタノール、2-メチル-2-プロパ ール等の低級モノアルコール類;アセチン類 (モノアセチン、ジアセチン、トリアセチン); トリエチレングリコールモノメチルエーテル 、トリエチレングリコールモノエチルエーテ ル、トリエチレングリコールモノプロピルエ ーテル、トリエチレングリコールモノブチル エーテル、テトラエチレングリコールモノメ チルエーテル、テトラエチレングリコールモ ノエチルエーテル、テトラエチレングリコー ルジメチルエーテル、テトラエチレングリコ ールジエチルエーテル等のグリコール類の誘 導体;トリエタノールアミン、1-メチル-2-ピロ リドン、β-チオジグリコール、スルホランを 用いることができる。平均分子量200、300、400 、600等の平均分子量が190~630の範囲にあるポ エチレングリコール、平均分子量400等の平 分子量が200~600の範囲にあるジオール型ポリ ロピレングリコール、平均分子量300、700等 平均分子量が250~800の範囲にあるトリオール 型ポリプロピレングリコール、等の低分子量 ポリアルキレングリコールを用いることもで きる。

 SP値が10~15.5(cal/cm 3 ) 1/2 のポリオールは、水溶性有機溶媒の全量に対 し60重量%以上であることが好ましく、80重量% 以上であることがより好ましく、90重量%であ ることがさらに好ましく、100重量%であるこ が一層好ましい。
 インク中の水溶性有機溶媒(SP値が10~15.5(cal/c m 3 ) 1/2 のポリオールも含む)の配合量は、粘度調整 保湿効果の観点から、合計で10~40重量%であ ことが好ましい。

 顔料のバインダーとなる水分散性樹脂とし は、ガラス転移点(Tg)が-35~10℃のウレタン樹 脂が用いられる。
 発明者らの検討によると、上述した水分散 樹脂の凝集体積には、水溶性有機溶媒のSP に加えて、水分散性樹脂のTgも何らかの関与 をしていることが考えられ、具体的には、水 分散性樹脂のTgが機上安定性と発色性に影響 ることが判明している。そして、上述した うに、発色性が良好であることは布帛に留 る樹脂量も多くなっていることとも関連す ため、摩擦・洗濯堅牢度も良好となる。
 すなわち、樹脂のTgが低すぎると機上安定 には優れるが発色性(および堅牢度)に劣り、 Tgが高すぎると発色性(および堅牢度)には優 るが機上安定性が低下してしまうが、Tg範囲 が-35~10℃であると、機上安定性と発色性(お び堅牢度)の要求が共に満たされることから ましい。さらにバインダー樹脂のTgは、-35~5 ℃の範囲であることがより好ましい。

 布帛のような伸縮しやすい基材に対して洗 ・摩擦堅牢度を確保するためには、インク 樹脂皮膜の伸縮のしやすさ、すなわち皮膜 度が重要である。こうした観点から、樹脂 してはウレタン樹脂が好ましい。
 さらに、前処理剤中に含まれる多価金属塩 の接触により樹脂が析出しやすいとの観点 ら、アニオン性樹脂を用いることが好まし 。それにより、隠蔽性や洗濯・摩擦堅牢度 向上させることができる。
 アニオン性樹脂が有するアニオン性基は、 処理剤を使用した際の多価金属塩の作用に る析出のしやすさから、カルボキシ基が好 しい。

 上記のような特性を備えたウレタン樹脂と ては、具体的には、第一工業製薬(株)製の ーパーフレックスシリーズのなかのスーパ フレックス460(Tg:-21℃)、460S(Tg:-25℃)、470(Tg:-3 1℃)、610(Tg:-12℃)、700(Tg:6℃)、170(Tg:0℃)、840(T g:5℃)などが挙げられる。これらは、ウレタ 骨格を有するアニオン性樹脂である。
 これらは単独で用いられる他、複数種を併 することもできる。

 さらに、ウレタン樹脂の皮膜伸度は、皮膜 密着性、伸縮性、洗濯・摩擦堅牢度などの 点から、300~1000%であることが好ましく、400~ 850%であることがより好ましい。
 ウレタン樹脂の抗張力は、皮膜の摩擦堅牢 および風合いの観点から、20N/mm 2 ~50N/mm 2 であることが好ましく、30N/mm 2 以上であることがより好ましく、33~45N/mm 2 であることが一層好ましい。

 さらに、ウレタン樹脂は、ゼータ電位(mV) の絶対値が40以上という特性を有することが ましい。このようなゼータ電位を有するこ により、多価金属塩との接触により樹脂が 出しやすく、隠蔽性や洗濯・摩擦堅牢度を 上させることができる。

 本発明の効果を阻害しない範囲内で、本発 で規定するTg物性を備えたウレタン樹脂以 の水溶性樹脂を併用することができる。こ らを併用する場合、水溶性樹脂中のTg-35~10℃ のウレタン樹脂の割合は、50重量%以上である ことが好ましく、80重量%以上であることがよ り好ましく、100重量%であることが一層好ま い。
 Tg-35~10℃のウレタン樹脂を含む、水溶性樹 全体のインク中における合計含有量は、洗 ・摩擦堅牢度、隠蔽力、および適切なイン 粘度の観点から、重量比で、顔料1に対し0.5~ 2.5の範囲であることが好ましい。

 顔料は、当該技術分野で一般に用いられて るものを任意に使用することができる。白 ンクには白色顔料が、色インクには、白以 の色顔料が使用される。
 具体的には、白色顔料としては、酸化チタ 、亜鉛華、硫化亜鉛、酸化アンチモン、酸 ジルコニウムなどの無機顔料が挙げられる 無機顔料以外に、中空樹脂微粒子や、高分 微粒子を使用することもできる。
 顔料の平均粒径は100~500nmであることが好ま い。顔料の平均粒径が100nm未満の場合は隠 力が不充分となる傾向がみられ、500nmを超え る場合は吐出安定性が不充分となる傾向にあ る。

 なかでも、隠蔽力の観点から、酸化チタ を使用することが好ましい。酸化チタンの 均粒径も、同様に100~500nmであることが好ま い。酸化チタンを使用する場合は、光触媒 用を抑制するために、アルミナやシリカで 面処理されたものを使用することが好まし 。表面処理量は、顔料中に5~20重量%程度で ることが好ましい。

 色顔料としては、たとえば、アゾ系、フ ロシアニン系、染料系、縮合多環系、ニト 系、ニトロソ系等の有機顔料(ブリリアント カーミン6B、レーキレッドC、ウォッチングレ ッド、ジスアゾイエロー、ハンザイエロー、 フタロシアニンブルー、フタロシアニングリ ーン、アルカリブルー、アニリンブラック等 );コバルト、鉄、クロム、銅、亜鉛、鉛、チ ン、バナジウム、マンガン、ニッケル等の 属類、金属酸化物および硫化物、ならびに 土、群青、紺青等の無機顔料、ファーネス ーボンブラック、ランプブラック、アセチ ンブラック、チャンネルブラック等のカー ンブラック類を用いることができる。

 これらの顔料は、いずれか1種が単独で用い られるほか、2種以上が組み合わせて使用さ てもよい。
 顔料の配合量は、使用する顔料の種類によ ても異なるが、必要な発色を確保する等の 点から、インク中に1~30重量%程度含まれて ることが好ましく、1~15重量%であることがよ り好ましい。

 インク中に顔料を安定に分散させるために 高分子分散剤や界面活性剤に代表される公 の顔料分散剤を使用することが好ましい。
 高分子分散剤としては、たとえば市販品と て、日本ルーブリゾール(株)製のソルスパ スシリーズ(ソルスパース20000、27000、41000、4 1090、43000、44000)、ジョンソンポリマー社製の ジョンクリルシリーズ(ジョンクリル57、60、6 2、63、71、501)、第一工業製薬(株)製のポリビ ルピロリドンK-30、K-90等が挙げられる。
 分散剤として好ましく用いられる界面活性 としては、たとえば、花王(株)製デモール リーズ(デモールN、RN、NL、RNL、T-45)などのア ニオン性界面活性剤、花王(株)製エマルゲン リーズ(エマルゲンA-60、A-90、A-500、B-40、L-40 、420)などの非イオン性界面活性剤が挙げら る。
 多価金属塩を含む前処理剤との相互作用を 慮すると、顔料分散剤はアニオン性である とが好ましい。

 これらの顔料分散剤は、複数種を組み合わ て使用することもできる。
 顔料分散剤を使用する場合のインク中の配 量は、その種類によって異なり特に限定は れないが、一般に、有効成分(固形分量)の 量比で顔料1に対し、0.005~0.5の範囲で使用さ ることが好ましい。

 さらに、顔料表面を親水性官能基で修飾し 自己分散顔料を使用することもできる。市 品としては、たとえば、キャボット社製CAB- O-JETシリーズ(CAB-O-JET200、300、250C、260M、270C) オリエント化学(株)製CW-1、CW-2が挙げられる
 顔料を樹脂で被覆したマイクロカプセル化 料を使用してもよい。

 水は、粘度調整の観点から、インク中に 20~80重量%含まれていることが好ましく、30~7 0重量%含まれていることがより好ましい。

 その他、インクには、上記の成分に加え、 意に、湿潤剤(保湿剤)、表面張力調整剤(界 活性剤)、消泡剤、定着剤、pH調整剤、酸化 止剤、防腐剤等を適宜含有させることがで る。
 湿潤剤としては、上記水溶性有機溶媒とし のポリオール以外の多価アルコール類を使 することができる。表面張力調整剤として アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活 剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性 、または高分子系、シリコーン系、フッ素 の界面活性剤を使用できる。

 この界面活性剤を配合することにより、 ンクジェット方式でインクを安定に吐出さ ることができ、かつ、インクの浸透を適切 制御することができるために好ましい。そ 添加量は、界面活性剤の種類によっても異 るが、インク中に0.1~10重量%の範囲であるこ とが好ましい。この範囲を超えて界面活性剤 を多く配合すると、インクの表面張力を低下 させ、その結果布帛上でのインクの浸透が速 くなりすぎて、隠蔽性や発色性を妨げる恐れ がある。

 具体的には、アニオン性界面活性剤として 、花王(株)製エマールシリーズ(エマール0、 10、2F、40、20C)、ネオペレックスシリーズ(ネ ペレックスGS、G-15、G-25、G-65)、ペレックス リーズ(ペレックスOT-P、TR、CS、TA、SS-L、SS-H )、デモールシリーズ(デモールN、NL、RN、MS) 挙げられる。
 カチオン性界面活性剤としては、たとえば 花王(株)製アセタミンシリーズ(アセタミン2 4、86)、コータミンシリーズ(コータミン24P、8 6P、60W、86W)、サニゾールシリーズ(サニゾー C、B-50)が挙げられる。

 非イオン性界面活性剤としては、エアプロ クツ社製サーフィノールシリーズ(サーフィ ノール104E、104H、420、440、465、485)などのアセ チレングリコール系界面活性剤や、花王(株) エマルゲンシリーズ(エマルゲン102KG、103、1 04P、105、106、108、120、147、150、220、350、404、 420、705、707、709、1108、4085、2025G)などのポリ キシエチレンアルキルエーテル系界面活性 が挙げられる。
 両性界面活性剤としては、花王(株)製アン トールシリーズ(アンヒトール20BS、24B、86B、 20YB、20N)などが挙げられる。

 インクの粘度やpHを調整するために、イ クに電解質を配合することもできる。電解 としては、たとえば、硫酸ナトリウム、リ 酸水素カリウム、クエン酸ナトリウム、酒 酸カリウム、ホウ酸ナトリウムが挙げられ 2種以上を併用してもよい。硫酸、硝酸、酢 、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水 化アンモニウム、トリエタノールアミン等 、インクの増粘助剤やpH調整剤として用い ことができる。

 酸化防止剤を配合することにより、イン 成分の酸化を防止し、インクの保存安定性 向上させることができる。酸化防止剤とし は、たとえば、L-アスコルビン酸、L-アスコ ルビン酸ナトリウム、イソアスコルビン酸ナ トリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸ナトリウ ム、チオ硫酸ナトリウム、亜二チオン酸ナト リウム、ピロ亜硫酸ナトリウムを用いること ができる。

 防腐剤を配合することにより、インクの 敗を防止して保存安定性を向上させること できる。防腐剤としては、たとえば、5-ク ロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-メチ ル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-n-オクチル-4- ソチアゾリン-3-オン、1,2-ベンゾイソチアゾ ン-3-オン等のイソチアゾロン系防腐剤;ヘキ サヒドロ-1,3,5-トリス(2-ヒドロキシエチル)-s- リアジン等のトリアジン系防腐剤;2-ピリジ チオールナトリウム-1-オキシド、8-オキシ ノリン等のピリジン・キノリン系防腐剤;ジ チルジチオカルバミン酸ナトリウム等のジ オカルバメート系防腐剤;2,2-ジブロモ-3-ニ リロプロピオンアミド、2-ブロモ-2-ニトロ-1, 3-プロパンジオール、2,2-ジブロモ-2-ニトロエ タノール、1,2-ジブロモ-2,4-ジシアノブタン等 の有機臭素系防腐剤;p-ヒドロキシ安息香酸メ チル、p-ヒドロキシ安息香酸エチル、ソルビ 酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、サ チル酸を用いることができる。

 以上のような必須成分および必要に応じ 任意成分を含むインクの表面張力は、30~50mN /mであることが好ましい。インクの浸透を制 するためには、インクの表面張力を制御し 、布帛への浸透速度を調節する必要がある インクの表面張力が30mN/m未満であると、イ クの浸透速度が速くなり、布帛表面でイン 膜を充分に形成することができない。さら 、低表面張力のインクの場合、布帛はイン を吸収、浸透させやすいため、顔料が布帛 維内部に浸透し、下地の布の色を隠蔽する とができなくなる。一方、インクの表面張 が50mN/mより大きいと、インクジェットノズ からの吐出性が低下するため好ましくない

 インクの粘度は、適宜調節することがで るが、たとえば吐出性の観点から、1~30mPa・ sであることが好ましく、1.5~10mPa・sであるこ がより好ましい。この粘度は、23℃におい 0.1Pa/sの速度で剪断応力を0Paから増加させた きの10Paにおけるインク粘度である。

 次に、本発明に係るインクを用いた捺染 (捺染印刷物)の製造方法について説明する この捺染物の製造方法は、上記本発明に係 インクを使用し、かつ、多価金属塩を含有 る前処理剤と組み合わせることにより、そ 多価金属塩がインク中の顔料を凝集させる ともに水分散性樹脂を析出させる効果が得 れる。そして、布帛上に樹脂を析出させて 維の細かい穴を埋めるとともに、顔料粒子 大きくすることでインクの浸透を抑制し、 料粒子を含む樹脂皮膜を布帛表面に形成さ て、隠蔽性および発色性、ならびに洗濯お び摩擦に対する堅牢性を向上させることが きると考えられる。

 布帛としては、綿、絹、羊毛、麻、ナイロ 、ポリエステル、レーヨン等の任意の天然 合成繊維からなる布帛を用いることができ 。本発明に係るインクは、様々な素材の布 に対し、堅牢度および隠蔽性の高い捺染印 物を提供することができる。
 インクは、多価金属塩を含有する前処理剤 組み合わせて使用され、予め前処理剤で布 を処理してからインクが印刷される。すな ち、捺染物の製造方法は、(1)布帛上の印刷 所に、多価金属塩を含有する前処理剤を塗 する工程;および(2)インクジェット記録法に より本発明に係るインクを印刷する工程を含 む。この製造方法によれば、濃色布帛に対し ても、発色性および隠蔽性の良好な捺染印刷 物を得ることができる。

 前処理剤中の多価金属塩は、インク中の顔 を凝集させるとともに樹脂エマルジョンを 出させて、インク布帛上にインクの膜を形 させる作用を有する。
 多価金属塩は、2価以上の多価金属イオンと アニオンから構成される。2価以上の多価金 イオンとしては、たとえば、Ca 2+ 、Mg 2+ 、Cu 2+ 、Ni 2+ 、Zn 2+ 、Ba 2+ が挙げられる。アニオンとしては、Cl - 、NO 3 - 、CH 3 COO - 、I - 、Br - 、ClO 3 - が例示できる。塩として具体的には、硝酸カ ルシウム、硝酸マグネシウム、硝酸銅、酢酸 カルシウム、酢酸マグネシウムなどが挙げら れる。

 これらの金属塩は、単独で使用しても、複 種を混合して用いてもよい。
 多価金属塩の前処理剤中の濃度は、インク 膜を適切に形成する観点から1~13重量%程度 あることが好ましく、7~13重量%であることが より好ましい。多価金属塩の配合量の増加に 伴い発色性は良好となるが、多量に配合しす ぎると、印刷後の熱処理により布帛が変色す る不具合が発生する場合がある。したがって 、多価金属塩は、発色性が確保できる範囲で 、なるべく少量を配合することが望ましいと ころ、本発明のインクと組み合わせる場合に は、多価金属塩の配合量を従来よりも減らし ても、発色性を確保できることが見いだされ た。

 前処理剤には、堅牢度を向上させ、布帛の 羽立ちを抑制する目的で、水分散性樹脂(樹 脂エマルジョン)を配合することができる。
 この場合の水分散性樹脂は、共存する多価 属塩との安定性の観点から、ゼータ電位(mV) の絶対値が10未満のものであることが好まし 。そのような樹脂としては、たとえばウレ ン樹脂であれば、第一工業製薬(株)製のス パーフレックスシリーズのなかのスーパー レックス500、6E-2000、E-2500、E-4000、R-5000;(株) デカ製アデカボンタイターシリーズのなか アデカボンタイターHUX-822、830が挙げられる 。酢酸ビニル樹脂としては、たとえば日信化 学工業(株)製のビニブラン1245L、2680、2682、268 4が挙げられる。アクリル樹脂としては、た えば大日本インキ(株)製ボンコートAN-402、R-3 310、R-3360が挙げられる。

 上記水分散性樹脂は、それぞれ単独で用い れる他、複数種を併用してもよい。
 前処理剤への水分散性樹脂の添加量は、そ 効果を適切に発揮させるために、1~20重量% あることが好ましい。20重量%を超えて多量 配合すると、非印字部に付着させた前処理 を洗濯によって除去することが困難となり 出来上がりの捺染物の商品性を低下させる れがある。

 前処理剤は、水を含む水性溶液であるが、 度調整と保湿効果の観点から、水溶性有機 媒を添加することができる。前処理剤に使 できる水溶性有機溶媒の種類は、上記イン に配合される水溶性有機溶媒と同様である
 さらに前処理剤には、防腐剤、粘度調製剤 酸化防止剤、界面活性剤などの、一般的に ンクに配合される添加剤を任意で加えても い。

 前処理剤の表面張力は、40~70mN/mであるこ が好ましい。前処理剤の表面張力が40mN/m未 であると、前処理剤中の多価金属塩が布帛 部に速やかに浸透してしまい、インクに対 る作用が不充分となる恐れがある。さらに インクが布帛に付着した際に、インクの表 張力を低下させて、インクの浸透を促進し しまうために好ましくない。

 上記工程(1)の前処理剤を布に塗布する方法 、特に限定されず、スプレー法、浸漬法、 ッド法、コーティング法などの任意の方法 使用でき、インクジェット記録法やスクリ ン印刷法を用いてもよい。
 前処理剤は、布帛上の少なくとも印字箇所 塗布される。印字箇所を含む布帛全面に塗 してもよい。

 工程(1)の前処理後に、インクジェット記 法によりインクを印刷する印刷工程(2)を行 。インクジェットプリンタは、ピエゾ方式 静電方式、サーマル方式など、いずれの方 のものであってもよく、デジタル信号に基 いてインクジェットヘッドからインクの液 を吐出させ、吐出されたインク液滴を、前 理剤が塗布された布帛上に付着させるよう する。

 濃色布帛に対し印刷を行う場合は、この 刷工程として、白インクを用いた工程(2-1) 、続いて色インクを用いた工程(2-2)とを行う ことが好ましい。これにより、一層鮮明な画 像を印刷することができる。

 工程(1)の前処理剤塗布後、および、工程(2) 印刷工程後に、それぞれ、布帛に対し100~180 ℃程度の熱処理を行うことが好ましい。工程 (1)の後の熱処理は、前処理剤中の水分を乾燥 させるものであり、それにより、前処理剤中 の水分が、インクを印刷した際のインクと混 ざって画像を滲ませる恐れを回避するととも に、布表面の毛羽立ちを矯正することもでき る。工程(2)の後の熱処理により、インクを乾 燥させるとともに、水分散性樹脂を成膜させ て強固なインク膜を形成させることができる 。工程(2)が(2-1)と(2-2)に分かれる場合は、(2-2) の後に熱処理を行うだけでよく、(2-1)と(2-2) 間に熱処理を行う必要はない。
 時間は特に限定されないが、たとえば工程( 1)の後の熱処理は、160℃/10秒間程度でよく、 程(2)の後の熱処理は、160℃/60秒間程度程度 足りる。

 本発明に係るインクは、顔料を布に定着さ るバインダーとして、特定の樹脂を含み、 つ水溶性有機溶媒として、特定の溶解度パ メータ(SP値)を有する溶媒を含む。その結果 、インクの放置性能や吐出量を確保しつつ、 良好な発色性および洗濯・摩擦堅牢度を実現 することができる。
 本発明に係る捺染物の製造方法は、上記本 明に係るインクを使用し、かつ、多価金属 を含有する前処理剤と組み合わせることに り、その多価金属塩がインク中の顔料を凝 させるとともに樹脂を析出させる効果を奏 、その結果、布帛上の隠蔽性、洗濯堅牢性 および摩擦堅牢性を向上させることができ 。

 本発明に係る捺染インクジェット用イン セットは、上述の多価金属塩を含有する前 理剤と、白インクと、色インクとを組み合 せたものである。このセットを使用するこ により、濃色布帛に対し、発色性、隠蔽性 よび洗濯・摩擦堅牢性に優れた捺染画像を 供することができる。

 以下に、本発明を実施例により詳しく説明 るが、本発明はこれらに限定されるもので ない。以下、「重量%」を「%」、「重量部 を「部」と記す。
 各物性の測定方法は、以下のとおりである

<前処理剤の調製>
 硝酸カルシウム4水和物10g、日信化学工業( )製「ビニブラン1245L」(ゼータ電位-5.8mV、固 分40%)25g、イオン交換水65gを混合し、孔径20 mの金属メッシュを通過させて異物を除去し 前処理剤を得た。得られた前処理剤の静的 面張力は40.8mN/mであった。
 ビニブラン1245Lのゼータ電位は、固形分濃 が0.1%になるようにイオン交換水で希釈して マルバーン社製ゼータ電位計「ゼータサイ ーNano Z」を用いて測定した。前処理剤およ び後述する白インクの表面張力は、協和界面 化学(株)製プレート式表面張力計「CBVP-Z型」 用いて測定した。

<白顔料分散体の調製>
 白色顔料として酸化チタン「R62N」(堺化学 業(株)製)250g、顔料分散剤として「デモールE P」(花王(株)製)10g(有効成分で2.5g)を用い、イ ン交換水740gと混合し、ビーズミル((株)シン マルエンタープライゼス製、DYNO-MILL KDL A型) を用いて、0.5mmφのジルコニアビーズを充填 80%、滞留時間2分で分散し、白顔料分散体(顔 料分25%)を得た。なお、下記の表1には、水と 料分散剤も含む白顔料分散体としての配合 を示す。

<白インクの調製>
 表1に示した各成分を混合し、5μmのメンブ ンフィルターで粗粒子を除去して、実施例 よび比較例の白インクを作製した。使用し 界面活性剤は、エアプロダクツ社製「サー ィノール465」であり、水溶性有機溶媒は和 純薬工業(株)製試薬を用いた。得られたイン クの粘度は4~8mPa・s(23℃において0.1Pa/sの速度 剪断応力を0Paから増加させたときの10Paにお ける粘度、ハーケ社製応力制御式レオメータ RS75(コーン角度1°、直径60mm)で測定)の範囲で った。得られたインクの表面張力は、30~40mN /mの範囲であった。

 表中、水分散性樹脂は、第一工業製薬(株) の次のものである。(なお、表中の配合量は 形分量ではなく、水も含む各製品の配合量 ある。)
  SF460:スーパーフレックス460(Tg:-21℃)
  SF840:スーパーフレックス840(Tg:5℃)
  SF470:スーパーフレックス470(Tg:-31℃)
  SF150:スーパーフレックス150(Tg:40℃)
  SF300:スーパーフレックス300(Tg:-39℃)

 得られた各インクと前処理剤を使用して、 のように捺染印刷を行った。
 布帛として綿100%の黒色Tシャツを用い、こ に前処理剤を、A3(297mm×420mm)あたり7~8gをエア ブラシで均一に塗布した。塗布後、160℃で10 間熱処理した。
 次に、マスターマインド社製テキスタイル リンタ「MMP813BT」に実施例および比較例の インクを導入し、1440dpi×1440dpi、90mm×90mmのベ タ印刷を行い、160℃で1分乾間の熱処理を行 た。

 得られた捺染物の評価を、次のように行っ 。
<発色性(OD値)>
 マクベス反射濃度計RD920を用いて、印刷表 のOD値を測定した。
 白印刷物評価基準は、以下のとおりであり 評価がBまでであれば、実用上使用可能であ ると判断した。
  A:0.15未満
  B:0.15~0.24
  C:0.25以上

<機上安定性>
 マスターマインド社製テキスタイルプリン 「MMP813BT」に各インクを導入したのち、室 で1か月間放置した。その後、生じたプリン ヘッドのノズル詰まりがノズルクリーニン 動作で回復するかを評価した。
  A:クリーニング動作1回~2回で回復した。
  B:クリーニング動作3回~4回で回復した。
  C:回復までにクリーニング動作5回以上を したか、または回復しなかった。

<洗濯堅牢度>
 三洋電機(株)製全自動洗濯機ASW-45A1型を用い て、各印捺物を10回洗濯し、変退色グレース ールを用いて、退色の度合いを評価した。
  A:5級
  B:4級~4-5級
  C:3-4級~4級
  D:3級以下

<摩擦堅牢度>
 JIS L0849に規定の方法に従い、I型試験機を いて試験を行った。乾摩擦はJIS L0849に規定 れる乾燥試験、湿摩擦はJIS L0849に規定され る湿潤試験に則って試験し、汚染グレースケ ールを用いて評価した。
  A:4-5級~5級
  B:3-4級~4級
  C:2-3級~3級
  D:2級以下

 得られた結果を、表1に併せて示す。
 実施例のインクでは、良好な発色性および 固な洗濯堅牢性と摩擦堅牢性が得られ、さ にインクの機上安定性も良好であった。