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Patent Searching and Data


Title:
LAMINATED PIEZOELECTRIC ELEMENT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/105381
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a laminated piezoelectric element (1), which has a ceramic laminated body (15) wherein a plurality of piezoelectric ceramic layers (11) and a plurality of internal electrode layers (13, 14) are alternately laminated; and a pair of side surface electrodes (17, 18) formed on a side surface of the ceramic laminated body. The internal electrode layers (13, 14) are electrically connected to one of the side electrodes (17, 18). The ceramic laminated body (15) is provided with a stress relaxing section (12), which can more easily change the shape than the piezoelectric ceramic layer (11), in a slit-like region recessed inward from the side surface. The internal electrode layers (13, 14) adjacent to each other with the stress relaxing section (12) in between are electrically connected to the side surface electrode (17) on a positive electrode side.

Inventors:
MURAI ATSUSHI (JP)
SUZUKI SATOSHI (JP)
NAGAYA TOSHIATU (JP)
IWASE AKIO (JP)
FUJII AKIRA (JP)
KADOTANI SHIGE (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/053228
Publication Date:
September 04, 2008
Filing Date:
February 26, 2008
Export Citation:
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Assignee:
DENSO CORP (JP)
MURAI ATSUSHI (JP)
SUZUKI SATOSHI (JP)
NAGAYA TOSHIATU (JP)
IWASE AKIO (JP)
FUJII AKIRA (JP)
KADOTANI SHIGE (JP)
International Classes:
H01L41/083; F02M51/00; F02M51/06; H01L41/187; H01L41/22; H01L41/273; H01L41/39
Domestic Patent References:
WO2006087871A12006-08-24
Foreign References:
JP2006216850A2006-08-17
JP2006351602A2006-12-28
JPH11186625A1999-07-09
Attorney, Agent or Firm:
KIKUCHI, Yasuhiro (Yotsuya Kobyashi Building 6th Floor14, Yotsuya 2-chome, Shinjuku-ku, Tokyo 04, JP)
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Claims:
 複数の圧電セラミック層と複数の内部電極層とを交互に積層してなるセラミック積層体と、該セラミック積層体の側面に形成された一対の側面電極とを有する積層型圧電素子において、
 上記内部電極層は、いずれか一方の上記側面電極に電気的に接続しており、
 上記セラミック積層体は、該セラミック積層体の側面から内方に凹むスリット状の領域に、上記圧電セラミック層よりも形状を容易に変化し得る応力緩和部を有し、
 該応力緩和部を挟んで隣り合う2つの上記内部電極層は、いずれも正極側の上記側面電極に電気的に接続されていることを特徴とする積層型圧電素子。
 請求項1において、上記応力緩和部は、上記セラミック積層体の側面から内方に凹んだスリット状の溝部であることを特徴とする積層型圧電素子。
 請求項1又は2において、上記積層型圧電素子は、複数の上記圧電セラミック層と複数の上記内部電極層とを一体的に焼成してなること特徴とする積層型圧電素子。
 請求項1又は2において、上記積層型圧電素子は、接着剤により複数の上記セラミック積層体を積層方向に接合してなることを特徴とする積層型圧電素子。
 請求項4において、上記応力緩和部は、上記セラミック積層体同士を接着剤を介して接合する際に、上記セラミック積層体の外周部付近に接着剤を塗布しない非接着部を配設することにより形成してあることを特徴とする積層型圧電素子。
 請求項1~4のいずれか一項において、上記応力緩和部は、焼成時に消失する消失材料を用いて形成してあることを特徴とする積層型圧電素子。
 請求項1~4のいずれか一項において、上記応力緩和部は、スリット状の上記領域を上記積層型圧電素子の分極又は駆動時に亀裂が生じる材料によって形成し、上記積層型圧電素子の分極又は駆動時に亀裂を生じさせて形成してあることを特徴とする積層型圧電素子。
 請求項1~7のいずれか一項において、上記積層型圧電素子の積層方向の最も外側に位置する2つの上記内部電極層は、いずれも正極側の上記側面電極に電気的に接続されていることを特徴とする積層型圧電素子。
 請求項1~8のいずれか一項において、上記積層型圧電素子は、燃料噴射弁に用いられることを特徴とする積層型圧電素子。
Description:
積層型圧電素子

 本発明は、複数の圧電セラミック層と複 の内部電極層とを交互に積層してなるセラ ック積層体と、該セラミック積層体の側面 形成された一対の側面電極とを有し、上記 ラミック積層体の側面から内方に凹んだス ット状の領域に応力緩和部が形成された積 型圧電素子に関する。

 従来より、燃料噴射弁の駆動源等には、 層型圧電素子が用いられている。積層型圧 素子は、例えば内部電極と圧電セラミック が交互に多数枚積層されたセラミック積層 に、上記内部電極と交互に電気的に接続さ る一対の外部電極を接合してなる。

 上記積層型圧電素子は、特に燃料噴射弁 の用途においては、過酷な条件の下で長期 に渡って使用される。そのため、例えば、 面の電気的な絶縁性を向上させるため、内 電極層の端部の一部を内方に控えた電極控 部を有するセラミック積層体が広く採用さ ている。

 ところが、絶縁性を向上させるために上 のごとく電極控え部を形成すると、上記セ ミック積層体において、電圧を印加したと に、変形する部分と変形し難い部分とが生 、その境界部分に応力集中が起こって素子 クラックが発生するおそれがあった。

 応力集中によるクラックの発生を回避す ために、セラミック積層体の側面に、積層 向に対して所定の間隔で形成された溝部(応 力緩和部)を有する積層型圧電素子が開発さ ている(特許文献1参照)。

 しかし、応力緩和部を形成した場合にお ても、該応力緩和部に電圧が印加されたと に、応力緩和部の先端からクラックが発生 るおそれがあった。これを回避するために 、応力緩和部(溝部)における積層方向に対 て垂直な方向の深さを内部電極の電極控え の距離よりも大きくする必要があった。と ろが、このような構成にすると、応力緩和 (溝部)に大きな電圧が印加されたときに、溝 部に放電が起こり、ショートしてしまうおそ れがあった。即ち、絶縁性を十分に確保でき ず、積層型圧電素子としての寿命が短くなる という問題があった。

 また、応力緩和部を挟む内部電極を同一 とした積層型圧電素子が開発されている(特 許文献2参照)。かかる従来の積層型圧電素子 おいては、応力緩和部を挟む内部電極を同 極とすることにより、これらに挟まれる圧 セラミック層を圧電不活性層とし、積層型 電素子が伸縮したときに上記圧電不活性層 応力を集中させることができる。その結果 万一クラックが生じることがあっても、応 緩和部に選択的(優先的に)クラックが入り 積層体の圧電活性層にクラックが生じるこ を防止し、耐久性を向上できると考えられ いた。

 上記のように応力緩和部を挟む2つの内部 電極を同一極にすると、応力緩和部に選択的 (優先的に)クラックが入るようになる。よっ 積層型圧電素子の圧電活性層にクラックが じることを確実に防止でき、耐久性を向上 きる。

 しかしながら、実際には、応力緩和部に ラックが生じていない状態であっても、十 な絶縁性を得ることはできず、依然として 縁抵抗が低下してショートが発生してしま という問題があった。

特開昭62-271478号公報

特開2006-216850号公報

本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなさ れたものであって、より確実に絶縁抵抗の低 下を防止し、耐久性に優れた積層型圧電素子 を提供しようとするものである。

 本発明は、複数の圧電セラミック層と複数 内部電極層とを交互に積層してなるセラミ ク積層体と、該セラミック積層体の側面に 成された一対の側面電極とを有する積層型 電素子において、
 上記内部電極層は、いずれか一方の上記側 電極に電気的に接続しており、
 上記セラミック積層体は、該セラミック積 体の側面から内方に凹むスリット状の領域 、上記圧電セラミック層よりも形状を容易 変化し得る応力緩和部を有し、
 該応力緩和部を挟んで隣り合う2つの上記内 部電極層は、いずれも正極側の上記側面電極 に電気的に接続されていることを特徴とする 積層型圧電素子にある(請求項1)。

 本発明において最も注目すべき点は、上 応力緩和部を挟んで隣り合う2つの内部電極 層がいずれも正極側の上記側面電極に電気的 に接続されていることにある。

 即ち、本願発明者らは、積層型圧電素子 溝部等の応力緩和部を形成する際の不具合 関して鋭意研究した結果、上記応力緩和部 隣接する負極層と該負極層に隣接する正極 に挟まれる圧電セラミック層が最も早く絶 抵抗が低下することを発見するに至った。

 この詳細に関して説明するために、まず 一般的な積層型圧電素子の絶縁抵抗低下に いて説明する。

 一般に、積層型圧電素子に高温で高電界 印加し続けると、負極側から低抵抗領域が がっていく現象が現れる。この原因は、例 ば積層型圧電素子を一体焼成により作製し 場合において、この一体焼成時に圧電セラ ック層へ拡散したイオン状態で存在する導 性金属イオンが、負極から放出される電子 より金属化されることによるものである。 記現象により、正極層と負極層との間の積 方向の電界強度分布が均一ではなくなって まう。つまり、低抵抗領域の電界強度が低 し、相対的に低抵抗領域以外の電界強度が 昇する。したがって、この電界強度の上昇 絶縁抵抗の劣化を加速させてしまうことに る。また、上記低抵抗領域の広がりは、水 の存在により加速される。

 具体的には、例えば、一体焼成時に、AgPd 電極等からなる内部電極層からPZT等からなる 圧電セラミック層へ拡散したAg+イオンが駆動 時に負極層から放出される電子により金属化 されることにより低抵抗領域を形成し、さら にこの低抵抗領域が正極層側へ向かって成長 するという現象が起こる(Ag++e-→Ag金属)。

 特に、応力緩和部を有する積層型圧電素 の場合、応力緩和部は水分が存在する外部 通ずる通路となりうるため、応力緩和部に も隣接する負極層は特に低抵抗領域の広が 現象が顕著となる。

 従って、応力緩和部に隣接する負極層と 負極層に隣接する正極層に挟まれる圧電セ ミック層が最も早く絶縁抵抗が低下する。 ち、絶縁抵抗の低下は、上記応力緩和部を んで隣り合う2つの内部電極層のうち少なく とも一方が負極である場合に起こり易い。そ して、該負極側の上記内部電極層と、これに 近隣する正極側の上記内部電極層との間で絶 縁抵抗の低下が起こり、ショート等の不具合 が発生し易くなると考えられる。

 即ち、絶縁抵抗の低下は、上記応力緩和 を挟んで隣り合う2つの内部電極層のうち少 なくとも一方が負極である場合に起こり易い 。そして、該負極側の上記内部電極層と、こ れに近隣の正極側の上記内部電極層との間で 絶縁抵抗の低下が起こり、ショート等の不具 合が発生し易くなると考えられる。

 本発明のように、上記応力緩和部を挟ん 隣り合う2つの内部電極層をいずれも正極と すると、絶縁抵抗の低下の原因となる上記応 力緩和部を挟む負極側の内部電極層が存在し なくなる。そのため、絶縁抵抗の低下をより 確実に防止し、上記積層型圧電素子の耐久性 を向上させることができる。

 なお、上述の正極層及び負極層とは、そ ぞれ正極側及び負極側の上記側面電極に電 的に接続する上記内部電極層のことである

実施例1にかかる、積層型圧電素子の構 造を示す説明図。 実施例1にかかる、積層型圧電素子(セ ミック積層体)の断面図。 実施例1にかかる、第1電極印刷シート 形成する工程を示す説明図。 実施例1にかかる、第2電極印刷シート 形成する工程を示す説明図。 実施例1にかかる、消失スリット印刷シ ートを形成する工程を示す説明図。 実施例1にかかる、電極印刷シート及び 消失スリット印刷シートを積層する工程を示 す説明図。 実施例1にかかる、予備積層体の上面図 。 図5のA-A断面を示す断面図。 実施例1にかかる、中間積層体の断面構 造を示す説明図。 実施例1にかかる、積層型圧電素子(試 E1)の断面構造の概略図。 実施例1にかかる、積層型圧電素子(試 Ca1)の断面構造の概略図。 実施例1にかかる、積層型圧電素子(試 Cb1)の断面構造の概略図。 実施例1にかかる、積層型圧電素子(試 E2)の断面構造の概略図。 実施例1にかかる、積層型圧電素子(試 Ca2)の断面構造の概略図。 実施例1にかかる、積層型圧電素子(試 Cb2)の断面構造の概略図。 実施例1にかかる、積層型圧電素子(試 E3)の断面構造の概略図。 実施例1にかかる、積層型圧電素子(試 Ca3)の断面構造の概略図。 実施例1にかかる、積層型圧電素子(試 Cb3)の断面構造の概略図。 実施例1において作製した9種類の積層 圧電素子の耐久性を示す説明図。 セラミック積層体を接合して積層型圧 電素子を作製する様子を示す説明図。 セラミック積層体を接合してなる積層 型圧電素子の断面構造を示す説明図。 実施例1にかかる、内部電極部とスリ ト層との形成パターンを示すセラミック積 体の展開説明図。 実施例1にかかる、内部電極部とスリ ト層との形成パターンのバリエーション(a)~( c)を示す説明図。

符号の説明

 1 積層型圧電素子
 11 圧電セラミック層
 12 応力緩和部
 13 内部電極層
 14 内部電極層
 15 セラミック積層体
 17 側面電極
 18 側面電極

 次に、本発明の好ましい実施の形態につ て説明する。

 本発明の積層型圧電素子は、上記セラミ ク積層体と、該セラミック積層体の側面に 成された一対の側面電極とを有する。

 上記セラミック積層体は、上記圧電セラ ック層と内部電極層とを交互に複数積層し なる。また、上記セラミック積層体は、該 ラミック積層体の側面から内方に凹むスリ ト状の領域に応力緩和部を有する。

 上記応力緩和部は、上記セラミック積層 において、上記圧電セラミックスを構成す 結晶粒子が積層方向に分離され、上記圧電 ラミック層よりも形状を容易に変化し得る 分である。

 上記応力緩和部は、上記セラミック積層 の積層方向に累積する応力を緩和すること できる。積層数が少ないと上記応力緩和部 よる応力緩和効果が小さくなってしまう。 のため、上記セラミック積層体は、20層以 の内部電極層を有することが好ましい。ま 、同様の理由から、上記応力緩和部を形成 る積層方向の間隔は、内部電極層10層以上50 以下であることが好ましい。上記応力緩和 が内部電極層10層未満の間隔で形成されて る場合、又は内部電極層50層を超える間隔で 形成されている場合には、上記応力緩和部に よる応力緩和効果が十分に得られなくなるお それがある。

 上記応力緩和部は、具体的には、例えば リット状の空間(溝部)、スリット状の空間 上記圧電セラミック層よりもヤング率の低 樹脂等の材料で充填した構造、上記圧電セ ミック層と同一材料をポーラス状に形成し スリット状の脆弱層、上記圧電セラミック とは異なるチタン酸鉛等の材料で形成した リット状の脆弱層、又は分極や作動により 図的に発生させたクラック状のスリット等 形成することができる。

 好ましくは、上記応力緩和部は、上記セ ミック積層体の側面から内方に凹んだスリ ト状の溝部であることがよい(請求項2)。

 この場合には、比較的簡単に上記応力緩 部を形成することができる。

 上記応力緩和部は、上記セラミック積層 の側面に形成される。上記応力緩和部は、 えば上記側面電極が形成される側の側面に 分的に形成することもできる。この場合に 、上記セラミック積層体の側面を挟む一対 応力緩和部を形成することが好ましい。ま 、上記応力緩和部は、上記セラミック積層 の外周面全周に渡って周方向に設けること できる。

 上記積層型圧電素子は、複数の上記圧電 ラミック層と複数の上記内部電極層とを一 的に焼成してなることが好ましい(請求項3)

 この場合には、例えば後述の積層体を接 剤によって接合して作製した積層型圧電素 に比べて、変位量を向上させることができ 。また、より簡単に積層型圧電素子を作製 ることができる。

 また、上記積層型圧電素子は、接着剤に り複数の上記セラミック積層体を積層方向 接合してなることが好ましい(請求項4)。

 この場合には、例えば図20及び図21に示す ごとく、比較的積層数の多い積層型圧電素子 1を、積層数の少ないセラミック積層体15を複 数接合することにより作製することができる 。そのため、作製時に脱脂や焼成を簡単に行 うことができ、変位等の特性にばらつきが少 ない積層型圧電素子を簡単に作製することが できる。

 上記応力緩和部は、上記セラミック積層 同士を接着剤を介して接合する際に、上記 ラミック積層体の外周部付近に接着剤を塗 しない非接着部を配設することにより形成 てあることが好ましい(請求項5)。

 この場合には、簡単に応力緩和部を形成 ることができる。

 即ち、図20及び図21に示すごとく、接着剤 155によって2つ以上のセラミック積層体15を接 合面151で接合して積層型圧電素子1を作製す 場合に、積層体15における接合面151の中央部 分に接着剤155を塗布し、積層体15における接 面151の外周部付近には接着剤を塗布しない 接着部157を配設する。このようにして、セ ミック積層体15を接合すると接着材層155の 囲に、非接着部によりスリット状の溝部(応 緩和部)12を簡単に形成することができる。 して、この場合においても、上記非接着部 らなる上記応力緩和部を挟んで隣り合う2つ の上記内部電極層を、いずれも正極側の上記 側面電極に電気的に接続することにより、絶 縁抵抗の低下を防止し、耐久性に優れるとい う本発明の作用効果を十分に発揮することが できる。

 また、上記応力緩和部は、焼成時に消失 る消失材料を用いて形成してあることが好 しい(請求項6)。

 この場合には、焼成時に上記消失材料を 失させて上記応力緩和部を容易に形成する とができる。

 上記消失材料としては、例えばパウダー のカーボン粒子、樹脂粒子、又は、パウダ 状の有機物粒子等を炭化させてなる炭化有 物粒子を用いることができる。

 特に、上記消失材料として上記カーボン 子を用いた場合には、熱による形状変化が ないという上記カーボン粒子の特性を生か て、形状精度良く上記応力緩和部を形成す ことができる。

 一方、上記消失材料として上記炭化有機 粒子を用いた場合には、上記応力緩和部を 成するためのコストを抑制することができ 。

 なお、上記有機物粒子としては、例えば 大豆や、トウモロコシを粉砕してなる粒子 、樹脂材料を粉砕してなる粒子等がある。

 なお、炭化有機物粒子とは、上記有機物 子が含有する水分の一部を除去することに り、ある程度炭化させて、流動性及び分散 が良好な微粒子の状態となった粒子をいう

 また、上記応力緩和部は、スリット状の 記領域を上記積層型圧電素子の分極又は駆 時に亀裂が生じる材料によって形成し、上 積層型圧電素子の分極又は駆動時に亀裂を じさせて形成してあることが好ましい(請求 項7)。

 この場合にも、比較的簡単に上記応力緩 部を形成することができる。

 上記積層型圧電素子の積層方向の最も外 に位置する2つの内部電極層は、いずれも正 極側の上記側面電極に電気的に接続されてい ることが好ましい(請求項8)。

 この場合には、上記積層型圧電素子の耐 性をさらに向上させることができる。

 上記積層型圧電素子が、一体焼成型の1つ のセラミック積層体を有する場合には、該セ ラミック積層体の最も外側に位置する2つの 部電極層が正極側の側面電極に接続されて ることが好ましい。また、上記積層型圧電 子は、複数のセラミック積層体を接着剤に 接合してなる場合には、接合後のセラミッ 積層体において、最も外側に位置する2つの 部電極層が正極側の側面電極に接続されて ることが好ましい。

 また、上記積層型圧電素子は、燃料噴射 に用いられることが好ましい(請求項9)。

 この場合には、過酷な条件下においても 長期間に渡って絶縁抵抗が低下することな 、安定して作動することができるという本 明の積層型圧電素子の作用効果をより顕著 発揮することができる。

(実施例1)
 次に、本発明の実施例にかかる積層型圧電 子について、図1~図20を用いて説明する。

 図1及び図2に示すごとく、本例の積層型 電素子1は、複数の圧電セラミック層11と複 の内部電極層13、14とを交互に積層してなる ラミック積層体15と、その側面に形成され 一対の側面電極17、18とを有する。内部電極 13、14は、いずれか一方の側面電極17、18に 気的に接続している。

 セラミック積層体15は、その側面から内 に凹むスリット状の領域に、圧電セラミッ 層11よりも形状を容易に変化し得る応力緩和 部12を有する。そして、応力緩和部12を挟ん 隣り合う2つの内部電極層121、122は、いずれ 正極側の側面電極17に電気的に接続されて る。その他の内部電極層13、14は、交互に異 る側面電極17、18に電気的に接続されている 。

 本例において、応力緩和部12は、セラミ ク積層体15の側面から内方に凹んだスリット 状の溝部(空間)であり、セラミック積層体15 外周面全周に渡って周方向に形成されてい 。

 次に、本例の積層型圧電素子の製造方法 つき、図1~図9を用いて説明する。

 本例においては、グリーンシート作製工 、電極印刷工程、消失スリット印刷工程、 着工程、積層体切断工程、及び焼成工程を うことにより、積層型圧電素子を作製する

 以下、製造方法を各工程ごとに説明する

<グリーンシート作製工程>
 まず、圧電材料となるジルコン酸チタン酸 (PZT)等のセラミック原料粉末を準備した。 体的には、出発原料としてPb3O4、SrCO3、ZrO2、 TiO2、Y2O3、及びNb2O5を準備し、これらの出発 料を目的組成PbZrO3-PbTiO3-Pb(Y1/2Nb1/2)O3となるよ うな化学量論比で秤量し、湿式混合し、温度 850℃で5時間仮焼した。次に、仮焼粉をパー ミルにより湿式粉砕した。この仮焼粉粉砕 (粒径(D50値):0.7±0.05μm)を乾燥した後、溶剤、 バインダ、可塑剤、分散剤等を加えてボール ミルにより混合し、得られたスラリーを真空 装置内で撹拌機により撹拌しながら真空脱泡 、粘度調整をした。

 そして、ドクターブレード法により、上 スラリーをキャリアフィルム上に塗布し、 さ80μmの長尺のグリーンシートを成形した このグリーンシートを所定の大きさに切断 て、幅広のグリーンシート110(図3~図5)を作製 した。

 なお、グリーンシートの成形方法として 、本例で用いたドクターブレード法のほか 押出成形法やその他種々の方法を採用する とができる。

<電極印刷工程>
 次に、図3及び図4に示すごとく、グリーン ート110上に内部電極層となる電極材料130、14 0を印刷し、第1電極印刷シート31及び第2電極 刷シート32の2種類のシートを形成した。

 以下に、電極印刷シート31、32の形成につ いてさらに説明する。

 第1電極印刷シート31の形成に当たっては 図3に示すごとく、グリーンシート110上の印 刷領域41において、最終的に内部電極層13と る部分に電極材料130を印刷した。これによ 、第1電極印刷シート31を形成した。

 また、第2電極印刷シート32の形成に当た ては、第1電極印刷シートと同様に、図4に すごとく、グリーンシート110上の印刷領域41 において、内部電極層14となる部分に電極材 140を印刷した。これにより、第2電極印刷シ ート32を形成した。

 第1電極印刷シート31及び第2電極印刷シー ト32においては、グリーンシート110上に形成 れた電極材料130、140がそれぞれ異なる側面 露出している。

 なお、本例では、電極材料130、140として ペースト状のAg/Pd合金を用いた。また、上 以外にも、Ag、Pd、Cu、Ni等の単体、Cu/Ni等の 金を用いることができる。

<消失スリット印刷工程>
 また、本例では、製造しようとする積層型 電素子1のセラミック積層体15の側面にスリ ト部12(図1及び図2参照)を設けるため、図5に 示すごとく、消失スリット印刷シート33を形 する消失スリット印刷工程を行った。

 同図に示すごとく、上記のグリーンシー 110上の印刷領域41において、最終的にスリ ト部12となる部分に焼成によって消失する消 失材料よりなる消失スリット層120を印刷した 。これにより、消失スリット印刷シート33を 成した。

 なお、本例では、消失スリット層120を構 する消失材料として、熱変形が小さく、焼 工程によって形成される溝の形状精度を高 維持し得るカーボン粒子よりなる材料を用 た。また、カーボン粒子以外にも、炭化さ たパウダー状の炭化有機物粒子を用いるこ もできる。この炭化有機物粒子は、パウダ 状の有機物粒子を炭化して得ることができ ほか、炭化させた有機物を粉砕して得るこ もできる。さらに、上記有機物としては、 脂等の高分子材料や、コーン、大豆、小麦 等の穀物を用いることができる。この場合 は、製造コストを抑制することができる。

 また、電極印刷工程及び消失スリット印 工程では、図3~図5に示すごとく、後工程の ニット切断工程において切断される部分を けるように間隙42を空けて、電極材料130、14 0、及び消失スリット層120の印刷を行う。つ り、グリーンシート110上の隣接する印刷領 41の間に間隙42を設けて印刷を行う。

<圧着工程>
 次に、図6に示すごとく、形成した第1電極 刷シート31、第2電極印刷シート32、及び消失 スリット印刷シート33を所定の順序で各印刷 域41を積層方向に揃えて積層した。このと 、第1電極印刷シート31及び第2電極印刷シー 32を交互に積層し、上記スリット部を形成 たい位置に消失スリット印刷シート33を挿入 して積層した。具体的には、本例においては 、第1電極印刷シート31と第2電極印刷シート32 との積層構造11層毎に消失スリット印刷シー 33を積層し、第1電極印刷シート31及び第2電 印刷シート32とが合計で59枚となるように積 層した。

 このとき、第1電極印刷シート31と第2電極 印刷シート32とは電極材料130と電極材料140と 交互に印刷領域の対向する端面に露出する うに積層した。ただし、消失スリット印刷 ート33を挟む2つの電極印刷シートとしては 電極材料の形成パターンが同じ印刷シート( 第1電極印刷シート31)を用いた。すなわち、 6に示すごとく、消失スリット印刷シート33 上下には、後述の切断工程後に印刷形成さ た電極材料130が同じ側面に露出するような きで第1電極印刷シート31を配置した。

 また、積層するシートの上端には、印刷 施していないグリーンシート110を積層した

 そして、このようにして積層したシート 100℃で加熱すると共に積層方向に50MPaで加 し、予備積層体100を形成した。なお、図6に いては、図面作成の便宜のため、実際の積 数を省略した形式で予備積層体100を示して る。

<積層体切断工程>
 次に、図7~図9に示すごとく、形成した予備 層体100を切断位置43に沿って積層方向に切 し、中間積層体10を形成した。

 なお、予備積層体100の切断は、各中間積 体10ごとに切断してもよいし、複数の中間 層体10を含んで切断してもよい。本例におい ては、各中間積層体10ごとに切断し、各電極 料130、140及び消失スリット層120が中間積層 10の側面に露出するように切断を行った。

 なお、図8及び図9においては、図面作成 便宜のため、実際の積層数を省略した形式 予備積層体100及び中間積層体10を示してある 。

<焼成工程>
 次に、中間積層体10のグリーンシート110に 有されているバインダ樹脂を90%以上加熱除 した(脱脂)。加熱は、80時間かけて徐々に500 まで昇温し、5時間保持することにより行っ た。

 次に、脱脂した中間積層体10を焼成した 焼成は、温度1050℃まで12時間かけて徐々に 温させ、2時間保持後、徐々に冷却すること より行った。

 このようにして、図1及び図2に示すごと 、消失スリット層120が消失して形成された リット状の応力緩和部12を有するセラミック 積層体15が作製される。応力緩和部12は、セ ミック積層体15の側面全周に渡ってスリット 状の空間を設けてなる。また、同図に示すご とく、作製されたセラミック積層体10は、グ ーンシート110が焼結してなる圧電セラミッ 層11と電極材料130、140により形成された内 電極層13、14とを交互に積層してなる。

 そして、焼成後、全面研磨を行って縦6mm 横6mm×高さ4.4mmのセラミック積層体15を作製 、さらに、セラミック積層体15の両側面を挟 むように、側面電極17、18を焼き付けた。こ とき、各内部電極層13、14は、それぞれ交互 異なる側面の側面電極17、18に電気的に接続 され、応力緩和部12を挟む2つの内部電極層121 、122は、同じ側の側面電極17に電気的に接続 れる。そして、本例においては、応力緩和 12を挟む2つの内部電極層121、123が接続され いる側の側面電極17を正極とした。

 以上のようにして、図1及び図2に示すご く、複数の圧電セラミック層11と複数の内部 電極層13、14とを交互に積層してなるセラミ ク積層体15と、その側面に形成されたスリッ ト状の応力緩和部12と、セラミック積層体15 側面に形成された一対の側面電極17、18とを する積層型圧電素子1を作製した。

 なお、図1及び図2においては、図面作成 便宜のため、実際の積層数を省略した形式 セラミク積層体15を示してある。さらに図2 おいては、側面電極を省略して積層型圧電 子1を示してある。

 本例においては、上記の製造方法により スリット状の溝部(応力緩和部)12を挟む隣り 合う2つの内部電極層121、122がいずれも正極 の側面電極に電気的に接続され、かつ、積 方向の最も外側にある2つの内部電極層13が ずれも正極側の側面電極に電気的に接続さ た積層型圧電素子1を作製した(図10参照)。こ れを試料E1とする。

 また、試料E1の比較用として、スリット の溝部(応力緩和部)12を挟む隣り合う2つの内 部電極層121、122がいずれも負極側の側面電極 に電気的に接続され、かつ、試料E1と同様に 積層方向の最も外側にある2つの内部電極層 13がいずれも正極側の側面電極に電気的に接 された積層型圧電素子1を作製した(図11参照 )。これを試料Ca1とする。

 また、試料E1の比較用としてスリット状 溝部(応力緩和部)12を挟む隣り合う2つの内部 電極層がそれぞれ異なる側面電極に電気的に 接続され、かつ、試料E1と同様に積層方向の も外側にある2つの内部電極層がいずれも正 極側の側面電極に電気的に接続された積層型 圧電素子を作製した(図12参照)。これを試料Cb 1とする。

 また、本例においは、上記と同様の製造 法により、スリット状の溝部(応力緩和部)12 を挟む隣り合う2つの内部電極層121、122がい れも正極側の側面電極に電気的に接続され かつ、積層方向の最も外側にある2つの内部 極層14がいずれも負極側の側面電極に電気 に接続された積層型圧電素子1を作製した(図 13参照)。これを試料E2とする。

 また、試料E2の比較用として、スリット の溝部(応力緩和部)12を挟む隣り合う2つの内 部電極層121、122がいずれも負極側の側面電極 に電気的に接続され、かつ、試料E2と同様に 積層方向の最も外側にある2つの内部電極層 14がいずれも負極側の側面電極に電気的に接 された積層型圧電素子1を作製した(図14参照 )。これを試料Ca2とする。

 また、試料E2の比較用としてスリット状 溝部(応力緩和部)12を挟む隣り合う2つの内部 電極層121、122がそれぞれ異なる側面電極に電 気的に接続され、かつ、試料E2と同様に積層 向の最も外側にある2つの内部電極層14がい れも負極側の側面電極に電気的に接続され 積層型圧電素子を作製した(図15参照)。これ を試料Cb2とする。

 さらに、本例においは、上記の製造方法 より、スリット状の溝部(応力緩和部)12を挟 む隣り合う2つの内部電極層121、122がいずれ 正極側の側面電極に電気的に接続され、か 、積層方向の最も外側にある2つの内部電極 13、14がそれぞれ異なる側面電極に電気的に 接続された積層型圧電素子1を作製した(図16 照)。これを試料E3とする。

 また、試料E3の比較用として、スリット の溝部(応力緩和部)12を挟む隣り合う2つの内 部電極層121、122がいずれも負極側の側面電極 に電気的に接続され、かつ、試料E3と同様に 積層方向の最も外側にある2つの内部電極層 13、14がそれぞれ異なる側面電極に電気的に 続された積層型圧電素子1を作製した(図17参 )。これを試料Ca3とする。

 また、試料E3の比較用としてスリット状 溝部(応力緩和部)12を挟む隣り合う2つの内部 電極層121、122がそれぞれ異なる側面電極に電 気的に接続され、かつ、試料E3と同様に積層 向の最も外側にある2つの内部電極層13、14 それぞれ異なる側面電極に電気的に接続さ た積層型圧電素子1を作製した(図18参照)。こ れを試料Cb3とする。

 なお、図10~図18においては、図面作成の 宜のため、外部電極及び実際の積層数を省 した形式で積層型圧電素子1を示してある。

 次に、上記のようにして作製した積層型 電素子(試料E1~試料E3、試料Ca1~試料Ca3、及び 試料Cb1~試料Cb3)について下記の耐久性試験を った。

「耐久性試験」
 温度200℃の条件下で、各試料の積層型圧電 子に3.1kV/mmの電界を印加してこれを駆動さ た。次いで、各試料を、既知の抵抗値をと 抵抗Rに直列につないで回路を構築した。そ て、各試料に電界を印加しながら、抵抗Rに かかる電圧(漏れ電流値)をデジタルメータで み取った。算出される素子(試料)の絶縁抵 が10Mωを下回った場合を素子の寿命とし、そ のときの時間を計測した。耐久性試験は、各 試料をそれぞれ5サンプルずつ用いてを行っ 。

 その結果を図19に示す。なお、図19におい ては、横軸に電界を印加してからの経過時間 をとり、絶縁抵抗が10Mωを下回ったときの時 を×印で示してある。

 図19より知られるごとく、応力緩和部12を 挟んで隣り合う2つの内部電極層121、122がい れも正極側の側面電極に接続された試料E1~ 料E3の積層型圧電素子1(図10、図13、図16参照) は、少なくとも600時間を超える優れた耐久性 を示した。

 これらの中でも特に、試料E1のようにセ ミック積層体の積層方向における最も外側 位置する2つの内部電極層13がいずれも正極 の側面電極に接続されている場合(図10参照) は、2000hという非常に長い時間作動させて 絶縁抵抗が10Mωを下回るサンプルは5サンプ 中1つもなかった。

 また、試料E2のようにセラミック積層体 積層方向における最も外側に位置する2つの 部電極層14がいずれも負極側の側面電極に 続されている場合(図13参照)には、少なくと 600hを超える十分に優れた耐久性を示し、110 0hを超える高い耐久性を占めすものもあった

 また、試料E3のようにセラミック積層体 積層方向における最も外側に位置する2つの 部電極層13、14がそれぞれ異なる側面電極に 電気的に接続されている場合(図16参照)にも 少なくとも700hを超える十分に優れた耐久性 示し、約1100hに達する耐久性に非常に優れ ものもあった。

 これに対し、図11、図14、及び図17に示す とく、応力緩和部12を挟んで隣り合う2つの 部電極層121、122がいずれも負極側の側面電 に接続された積層型圧電素子1(試料Ca1~試料C a3)、及び図12、図15、及び図18に示すごとく、 応力緩和部12を挟んで隣り合う2つの内部電極 層121、122がそれぞれ異なる側面電極に接続さ れた積層型圧電素子1(試料Cb1~試料Cb3)におい は、最大でも450h程度の駆動で絶縁抵抗が10M を下回っており、耐久性が不十分であるこ がわかる。

 以上のように、本例によれば、より確実 絶縁抵抗の低下を防止し、耐久性に優れた 層型圧電素子(試料E1~試料E3)を作製すること ができる。

 なお、本例においては、焼成時に消失す 消失材料を用いて上記応力緩和部を形成し が、消失材料の代わりに、分極又は駆動時 亀裂が生じる材料(亀裂材料)等を用いて応 緩和部を形成することもできる。

 また、本発明においては、内部電極部131 141及び控え部135、145と、スリット層12とを 22に示す組み合わせのパターンで形成した。 本発明はこのパターンに限定されるものでは ない。セラミック積層体は、該セラミック積 層体を積層方向に透視した場合に、すべての 内部電極部が重合する領域である重合部と、 少なくとも一部の内部電極部しか重合しない 、あるいは全く重合しない領域である非重合 部とを有するが、応力緩和部は、上記非重合 部19に形成することができる。

 内部電極部131、141とスリット層12との組み わせパターンを図23(a)~(c)に示す。いずれの ターンで形成しても、本発明の効果は十分 発揮される。