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Title:
LAMINATED PIEZOELECTRIC ELEMENT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/105382
Kind Code:
A1
Abstract:
A laminated piezoelectric element (1) is provided with a ceramic laminated body wherein piezoelectric ceramic layers and internal electrode layers are alternately laminated; and a pair of side surface electrodes. The internal electrode layers (13, 14) are provided with internal electrode sections (131, 141) and margin sections (132, 142). The ceramic laminated body (15) is provided with stress relaxing sections (11, 12). Among the margin sections (132, 142) of the internal electrode layers (13, 14) that sandwich the stress relaxing sections (11, 12), margin distances of the margin sections (132, 142) positioned on the same side surface of the stress relaxing sections (11, 12) are longer than the depths of the stress relaxing sections (11, 12).

Inventors:
SUZUKI SATOSHI (JP)
MURAI ATSUSHI (JP)
ASANO HIROAKI (JP)
NODA KOUJI (JP)
NAGAYA TOSHIATU (JP)
IWASE AKIO (JP)
FUJII AKIRA (JP)
KADOTANI SHIGE (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/053229
Publication Date:
September 04, 2008
Filing Date:
February 26, 2008
Export Citation:
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Assignee:
DENSO CORP (JP)
SUZUKI SATOSHI (JP)
MURAI ATSUSHI (JP)
ASANO HIROAKI (JP)
NODA KOUJI (JP)
NAGAYA TOSHIATU (JP)
IWASE AKIO (JP)
FUJII AKIRA (JP)
KADOTANI SHIGE (JP)
International Classes:
H01L41/083; F02M51/00; F02M51/06; H01L41/187; H01L41/22; H01L41/27; H01L41/293; H01L41/297; H01L41/39; H02N2/00
Foreign References:
JP2006179525A2006-07-06
JPH11186625A1999-07-09
JP2005340540A2005-12-08
JP2004288794A2004-10-14
JPS62271478A1987-11-25
JP2006216850A2006-08-17
Other References:
See also references of EP 2141751A4
Attorney, Agent or Firm:
KIKUCHI, Yasuhiro (Yotsuya Kobyashi Building 6th Floor14, Yotsuya 2-chome, Shinjuku-ku, Tokyo 04, JP)
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Claims:
 複数の圧電セラミック層と複数の内部電極層とを交互に積層してなるセラミック積層体と、該セラミック積層体の積層方向と垂直な方向の側面に形成された一対の側面電極とを有する積層型圧電素子において、
 上記内部電極層は、導電性を有する内部電極形成領域と、該内部電極形成領域の外周端部が上記セラミック積層体の外周面から内方に所定の後退距離で後退した内部電極非形成領域とを有し、上記内部電極形成領域においていずれか一方の上記側面電極に交互に電気的に接続しており、
 上記セラミック積層体は、該セラミック積層体の側面から内方に所定の深さで凹むスリット状の応力緩和部を有し、
 上記応力緩和部を挟んで該応力緩和部に隣接する2つの内部電極層における上記内部電極非形成領域の上記後退距離は、上記積層型圧電素子の積層方向の断面において、該内部電極非形成領域と同じ側面に位置し、かつ該内部電極非形成領域に積層方向に隣接する上記応力緩和部の深さよりも大きくなっていることを特徴とする積層型圧電素子。
 請求項1において、上記積層型圧電素子の上記積層方向における断面において、上記応力緩和部を挟む2つの上記内部電極層を除いて、上記応力緩和部と、該応力緩和部の上記積層方向における最も近くに形成された他の上記応力緩和部との間に挟まれる少なくとも1つの上記内部電極層における上記内部電極非形成領域の上記後退距離は、上記応力緩和部の深さよりも小さくなっていることを特徴とする積層型圧電素子。
 請求項1又は2において、上記積層型圧電素子の積層方向における断面において、上記セラミック積層体の同じ側面に露出する全ての応力緩和部の深さの平均値は、該応力緩和部と同じ側面に形成された全ての上記内部電極非形成領域の後退距離の平均値よりも大きくなっていることを特徴とする積層型圧電素子。
 請求項1~3のいずれか一項において、上記積層型圧電素子の積層方向における断面において、上記応力緩和部を挟む2つの内部電極層うち、該応力緩和部と同じ側面に上記内部電極非形成領域を有する側の上記内部電極層を除いて、全ての上記内部電極層における上記内部電極非形成領域の後退距離は、該内部電極非形成領域と同じ側面に形成された応力緩和部のうち、深さが最も小さい応力緩和部の深さよりも小さくなっていることを特徴とする積層型圧電素子。
 請求項1~4のいずれか一項において、上記積層型圧電素子の積層方向における断面において、上記応力緩和部を挟む2つの上記内部電極層における上記内部電極非形成領域のうち、該応力緩和部と同じ側面に位置する上記内部電極非形成領域の上記後退距離は、上記応力緩和部の深さよりも0.04mm以上大きくなっていることを特徴とする積層型圧電素子。
 請求項1~5のいずれか一項において、上記積層型圧電素子の積層方向における断面において、上記応力緩和部を挟む2つの内部電極層における上記内部電極非形成領域のうち、該応力緩和部と同じ側面に位置する上記内部電極非形成領域の上記後退距離は、該内部電極非形成領域と同じ側面に位置する上記応力緩和部の深さよりも平均で0.2mm以上大きくなっていることを特徴とする積層型圧電素子。
 複数の圧電セラミック層と複数の内部電極層とを交互に積層してなるセラミック積層体と、該セラミック積層体の積層方向と垂直な方向の側面に形成された一対の側面電極とを有する積層型圧電素子において、
 上記内部電極層は、導電性を有する内部電極形成領域と、該内部電極形成領域の外周端部が上記セラミック積層体の外周面よりも内方に所定の後退距離で後退した内部電極非形成領域とを有し、上記内部電極形成領域においていずれか一方の上記側面電極に交互に電気的に接続しており、
 上記セラミック積層体は、該セラミック積層体の側面から内方に所定の深さで凹むスリット状の応力緩和部を有し、
 上記積層型圧電素子の積層方向における断面において、負極の上記側面電極側に形成された上記応力緩和部を負極側緩和部とし、該負極側緩和部を挟んで隣接する2つの上記内部電極層のうち負極側の上記側面電極に電気的に接続された上記内部電極層を基準電極層とすると、上記負極側緩和部に対して積層方向に上記基準電極層を挟んで隣接し、正極側の側面電極に接続された内部電極層の上記内部電極非形成領域の上記後退距離は、上記負極側緩和部の深さよりも大きくなっており、
 上記積層型圧電素子の積層方向における断面において、正極の側面電極側に形成された上記応力緩和部を正極側緩和部とし、該正極側緩和部を挟んで隣接する2つの内部電極層のうち負極側の上記側面電極に電気的に接続された上記内部電極層の上記内部電極非形成領域の上記後退距離は、上記正極側緩和部の深さよりも大きくなっていることを特徴とする積層型圧電素子。
 請求項7において、上記積層型圧電素子の積層方向における断面において、上記応力緩和部に対して積層方向に上記基準電極層を挟んで隣接し、正極側の側面電極に接続された内部電極層、及び上記正極側緩和部を挟んで隣接する2つの内部電極層のうち負極側の上記側面電極に電気的に接続された上記内部電極層を除く全ての上記内部電極層における上記内部電極非形成領域の上記後退距離は、該内部電極非形成領域と同じ側面に形成された応力緩和部のうち、深さが最も小さい応力緩和部の深さよりも小さくなっていることを特徴とする積層型圧電素子。
 請求項7又は8において、上記積層型圧電素子の積層方向における断面において、上記セラミック積層体の同じ側面に露出する全ての応力緩和部の深さの平均値は、該応力緩和部と同じ側面に形成された全ての上記内部電極非形成領域の上記後退距離の平均値よりも大きくなっていることを特徴とする積層型圧電素子。
 請求項7~9のいずれか一項において、上記積層型圧電素子の積層方向における断面において、上記正極側緩和部を挟んで隣接する2つの内部電極層のうち負極側の上記側面電極に電気的に接続された上記内部電極層の上記内部電極非形成領域の上記後退距離は、上記正極側緩和部の深さよりも0.04mm以上大きくなっていることを特徴とする積層型圧電素子。
 請求項7~10のいずれか一項において、上記積層型圧電素子の積層方向における断面において、上記正極側緩和部を挟んで隣接する2つの内部電極層のうち負極側の上記側面電極に電気的に接続された上記内部電極層の上記内部電極非形成領域の上記後退距離は、上記正極側緩和部の深さよりも平均で0.2mm以上大きくなっていることを特徴とする積層型圧電素子。
 複数の圧電セラミック層と複数の内部電極層とを交互に積層してなるセラミック積層体と、該セラミック積層体の積層方向と垂直な方向の側面に形成された一対の側面電極とを有する積層型圧電素子において、
 上記内部電極層は、導電性を有する内部電極形成領域と、該内部電極形成領域の外周端部が上記セラミック積層体の外周面よりも内方に所定の後退距離で後退した内部電極非形成領域とを有し、上記内部電極形成領域においていずれか一方の上記側面電極に交互に電気的に接続しており、
 上記セラミック積層体は、該セラミック積層体の側面から内方に所定の深さで凹むスリット状の応力緩和部を有し、
 上記応力緩和部を挟む2つの内部電極層を隣接電極層とすると、上記積層型圧電素子の積層方向における断面において、上記隣接電極層における上記内部電極形成領域の上記外周端部と、該隣接電極層における上記内部電極非形成領域と同じ側面に位置する上記応力緩和部の先端部とが上記積層方向と垂直な方向に離間する離間部を有していることを特徴とする積層型圧電素子。
 請求項12において、上記積層型圧電素子の上記積層方向における断面において、上記隣接電極層を除いて、上記応力緩和部と、該応力緩和部の上記積層方向における最も近くに形成された他の上記応力緩和部との間に挟まれる少なくとも1つの上記内部電極層における上記後退距離は、上記応力緩和部の深さよりも小さくなっていることを特徴とする積層型圧電素子。
 請求項12又は13において、上記積層型圧電素子の積層方向における断面において、上記セラミック積層体の同じ側面に露出する全ての応力緩和部の深さの平均値は、該応力緩和部と同じ側面に形成された全ての上記内部電極非形成領域の後退距離の平均値よりも大きくなっていることを特徴とする積層型圧電素子。
 請求項12~14のいずれか一項において、上記離間部の離間距離は0.04mm以上であることを特徴とする積層型圧電素子。
 請求項12~15のいずれか一項において、上記積層型圧電素子において、上記離間部の離間距離は平均で0.2mm以上であることを特徴とする積層型圧電素子。
 請求項1~16のいずれか一項において、上記圧電セラミック層は、チタン酸ジルコン酸鉛を主成分とし、上記内部電極形成領域は、AgPd合金を主成分とすることを特徴とする積層型圧電素子。
 請求項1~17のいずれか一項において、上記積層型圧電素子は、燃料噴射弁に用いられることを特徴とする積層型圧電素子。
Description:
積層型圧電素子

 本発明は、複数の圧電セラミック層と複 の内部電極層とを交互に積層してなるセラ ック積層体と、該セラミック積層体の側面 形成された一対の側面電極とを有し、上記 ラミック積層体の側面から内方に凹んだス ット状の領域に応力緩和部が形成された積 型圧電素子に関する。

 従来より、燃料噴射弁の駆動源等には、 層型圧電素子が用いられている。積層型圧 素子は、例えば内部電極と圧電セラミック が交互に多数枚積層されたセラミック積層 に、上記内部電極と交互に電気的に接続さ る一対の外部電極を接合してなる。

 上記積層型圧電素子は、特に燃料噴射弁 の用途においては、過酷な条件の下で長期 に渡って使用される。そのため、例えば、 面の電気的な絶縁性を向上させるため、内 電極層の端部の一部が内方に後退した内部 極非形成領域を有するセラミック積層体が く採用されている。

 ところが、絶縁性を向上させるために上記 ごとく内部電極非形成領域を形成すると、
上記セラミック積層体において、電圧を印加 したときに、変形する部分と変形し難い部分 とが生じ、その境界部分に応力集中が起こっ て素子にクラックが発生するおそれがあった 。

 応力集中によるクラックの発生を回避す ために、セラミック積層体の側面に、積層 向に対して所定の間隔で形成された溝部(応 力緩和部)を有する積層型圧電素子が開発さ ている(特許文献1参照)。

 しかし、応力緩和部を形成した場合にお ても、該応力緩和部に電圧が印加されたと に、応力緩和部の先端からクラックが発生 るおそれがあった。これを回避するために 、応力緩和部(溝部)における積層方向に対 て垂直な方向の深さを内部電極非形成領域 距離よりも大きくする必要があった。とこ が、このような構成にすると、応力緩和部( 部)に大きな電圧が印加されたときに、溝部 に放電が起こり、ショートしてしまうおそれ があった。即ち、絶縁性を十分に確保できず 、積層型圧電素子としての寿命が短くなると いう問題があった。

 また、クラックの発生を回避するために 応力緩和部を挟む内部電極を同一極とした 層型圧電素子が開発されている(特許文献2 照)。

 かかる従来の積層型圧電素子においては 応力緩和部を挟む内部電極を同一極とする とにより、これらに挟まれる圧電セラミッ 層を圧電不活性層とし、積層型圧電素子が 縮したときに上記圧電不活性層に応力を集 させることができる。その結果、万一クラ クが生じることがあっても、応力緩和部に 択的(優先的に)クラックが入り、積層体の 電活性層にクラックが生じることを防止し 耐久性を向上できると考えられていた。

 しかしながら、実際には、応力緩和部に ラックが生じていない状態であっても、十 な絶縁性を得ることはできず、依然として 縁抵抗が低下してショートが発生してしま という問題があった。また、同一極の内部 極層に挟まれる応力緩和部を含むセラミッ 層には電界がかからず、ほとんど変位しな 。そのため、積層型圧電素子の変位量が低 してしまうという問題があった。

 上記のように、従来の積層型圧電素子で 、変位量向上のために上記応力緩和部を含 上記圧電セラミック層を駆動層としつつも 十分な寿命を確保するには至らなかった。

特開昭62-271478号公報

特開2006-216850号公報

 本発明はかかる従来の問題点に鑑みてな れたものであって、変位性能をほとんど損 ることなく、より確実に絶縁抵抗の低下を 止し、耐久性に優れた積層型圧電素子を提 しようとするものである。

 第1の発明は、複数の圧電セラミック層と複 数の内部電極層とを交互に積層してなるセラ ミック積層体と、該セラミック積層体の積層 方向と垂直な方向の側面に形成された一対の 側面電極とを有する積層型圧電素子において 、
 上記内部電極層は、導電性を有する内部電 形成領域と、該内部電極形成領域の外周端 が上記セラミック積層体の外周面よりも内 に所定の後退距離で後退した内部電極非形 領域とを有し、上記内部電極形成領域にお ていずれか一方の上記側面電極に交互に電 的に接続しており、
 上記セラミック積層体は、該セラミック積 体の側面から内方に所定の深さで凹むスリ ト状の応力緩和部を有し、
 上記応力緩和部を挟んで該応力緩和部に隣 する2つの内部電極層における上記内部電極 非形成領域の上記後退距離は、上記積層型圧 電素子の積層方向の断面において、該内部電 極非形成領域と同じ側面に位置し、かつ該内 部電極非形成領域に積層方向に隣接する上記 応力緩和部の深さよりも大きくなっているこ とを特徴とする積層型圧電素子にある(請求 1)。

 即ち、本願発明者らは、積層型圧電素子 溝部等の応力緩和部を形成する際の不具合 関して鋭意研究した結果、上記応力緩和部 隣接する負極層と該負極層に隣接する正極 に挟まれる圧電セラミック層が最も早く絶 抵抗が低下することを発見するに至った。

 この詳細に関して説明するために、まず 一般的な積層型圧電素子の絶縁抵抗低下に いて説明する。

 一般に、積層型圧電素子に高温で高電界 印加し続けると、負極側から低抵抗領域が がっていく現象が現れる。この原因は、例 ば積層型圧電素子を一体焼成により作製し 場合において、この一体焼成時に圧電セラ ック層へ拡散したイオン状態で存在する導 性金属イオンが、負極から放出される電子 より金属化されることによるものである。 記現象により、正極層と負極層との間の積 方向の電界強度分布が均一ではなくなって まう。つまり、低抵抗領域の電界強度が低 し、相対的に低抵抗領域以外の電界強度が 昇する。したがって、この電界強度の上昇 絶縁抵抗の劣化を加速させてしまうことに る。また、上記低抵抗領域の広がりは、水 の存在により加速される。

 具体的には、例えば、一体焼成時に、AgPd 電極等からなる内部電極形成領域からPZT等か らなる圧電セラミック層へ拡散したAg+イオン が駆動時に負極層から放出される電子により 金属化されることにより低抵抗領域を形成し 、さらにこの低抵抗領域が正極層側へ向かっ て成長するという現象が起こる(Ag++e-→Ag金属 )。

 特に、応力緩和部を有する積層型圧電素 の場合、応力緩和部は水分が存在する外部 通ずる通路となりうるため、応力緩和部に も隣接する負極層は特に低抵抗領域の広が 現象が顕著となる。

 従って、応力緩和部に隣接する負極層と 負極層に隣接する正極層に挟まれる圧電セ ミック層が最も早く絶縁抵抗が低下する。 に、電界強度と逆圧電効果による発生応力 両方が集中する圧電層駆動領域端部におい はさらに絶縁抵抗の低下が早い。ここでい 圧電駆動領域端部90は、図45に示すごとく、 積層型圧電素子9において、応力緩和部91、92 隣接する負極層の電極端部949(換言すれば、 応力緩和部91、92に隣接し、負極側の側面電 97に電気的に接続する内部電極形成領域941の 外周端部949)、及び応力緩和部91、92に隣接す 負極層(隣接負極層)に積層方向に最も隣接 る正極層の電極端部939からこの負極層(隣接 極層)上に積層方向に降ろした垂線とこの負 極層94(隣接負極層)とが交わる部位960(換言す ば、応力緩和部91、92に隣接し、負極側の側 面電極97に電気的に接続する内部電極形成領 941を有する内部電極層94に積層方向に最も 接する正極側の側面電極98に電気的に接続す る内部電極形成領域931の外周端部939から、応 力緩和部91、92に隣接する負極側の側面電極97 に電気的に接続する内部電極形成領域941に降 ろした垂線とこの内部電極形成領域941とが交 わる部位960)のことである。さらに、応力緩 部に大きな電圧が印加された場合において 、該応力緩和部に放電が起こり、絶縁抵抗 低下が著しくなる。

 本願発明者らは、上記のごとく、応力緩 部を有する積層型圧電素子における絶縁低 機構を解明し、本願発明に至った。

 即ち、上記第1の発明の積層型圧電素子に おいては、上記応力緩和部を挟んで該応力緩 和部に隣接する2つの内部電極層における上 内部電極非形成領域の上記後退距離は、上 積層型圧電素子の積層方向の断面において 該内部電極非形成領域と同じ側面に位置し かつ該内部電極非形成領域に積層方向に隣 する上記応力緩和部の深さよりも大きくな ている。換言すれば、上記積層型圧電素子 上記積層方向における断面において、上記 力緩和部を挟む2つの内部電極層における上 内部電極非形成領域のうち、該応力緩和部 同じ側面に位置する上記内部電極非形成領 の上記後退距離は、上記応力緩和部の深さ りも大きくなっている。

 そのため、上記応力緩和部を含む上記圧 セラミック層を駆動層としつつも、上記応 緩和部に過大な電界がかかることを抑制又 防止することができる。それ故、変位量を とんど損ねることなく、絶縁抵抗の低下を 止することができる。

 なお、上述の正極層及び負極層とは、そ ぞれ正極側及び負極側の側面電極に電気的 接続する上記内部電極形成領域を有する内 電極層のことである。

 第2の発明は、複数の圧電セラミック層と複 数の内部電極層とを交互に積層してなるセラ ミック積層体と、該セラミック積層体の積層 方向と垂直な方向の側面に形成された一対の 側面電極とを有する積層型圧電素子において 、
 上記内部電極層は、導電性を有する内部電 形成領域と、該内部電極形成領域の外周端 が上記セラミック積層体の外周面よりも内 に所定の後退距離で後退した内部電極非形 領域とを有し、上記内部電極形成領域にお ていずれか一方の上記側面電極に交互に電 的に接続しており、
 上記セラミック積層体は、該セラミック積 体の側面から内方に所定の深さで凹むスリ ト状の応力緩和部を有し、
 上記積層型圧電素子の積層方向における断 において、負極の上記側面電極側に形成さ た上記応力緩和部を負極側緩和部とし、該 極側緩和部を挟んで隣接する2つの上記内部 電極層のうち負極側の上記側面電極に電気的 に接続された上記内部電極層を基準電極層と すると、上記負極側緩和部に対して積層方向 に上記基準電極層を挟んで隣接し、正極側の 側面電極に接続された内部電極層の上記内部 電極非形成領域の上記後退距離は、上記負極 側緩和部の深さよりも大きくなっており、
 上記積層型圧電素子の積層方向における断 において、正極の側面電極側に形成された 記応力緩和部を正極側緩和部とし、該正極 緩和部を挟んで隣接する2つの内部電極層の うち負極側の上記側面電極に電気的に接続さ れた上記内部電極層の上記内部電極非形成領 域の後退距離は、上記正極側緩和部の深さよ りも大きくなっていることを特徴とする積層 型圧電素子にある(請求項7)。

 上記第2の発明の積層型圧電素子において は、該積層型圧電素子の積層方向における断 面において、上記負極側緩和部に対して積層 方向に上記基準電極層を挟んで隣接し、正極 側の側面電極に接続された内部電極層の内部 電極非形成領域の後退距離は、上記負極側緩 和部の深さよりも大きくなっている。さらに 、正極側緩和部を挟んで隣接する2つの内部 極層のうち負極側の上記側面電極に電気的 接続された上記内部電極層の上記内部電極 形成領域の後退距離は、上記正極側緩和部 深さよりも大きくなっている。

 上記基準電極層と、上記負極側緩和部に して積層方向に上記基準電極層を挟んで隣 し、正極側の側面電極に接続された内部電 層との間の圧電セラミック層は、上述した も早く絶縁抵抗が低下する圧電セラミック 、即ち応力緩和部に隣接する負極層と該負 層に隣接する正極層に挟まれる圧電セラミ ク層に該当する。

 上記第2の発明においては、最も絶縁抵抗 の低下を加速させる部位、即ち、大きな電圧 が印加される上記応力緩和部と、上述の圧電 層駆動領域端部とが積層方向に重なる部位が 存在しない構成になっている。そのため、上 記応力緩和部を含む上記圧電セラミックス層 を駆動源とすることができ、かつ絶縁抵抗が 低下し易い部位への電界の印加を抑制するこ とができる。そのため、絶縁抵抗の低下をよ り確実に防止し、上記積層型圧電素子は優れ た耐久性を示すことができる。

 第3の発明は、複数の圧電セラミック層と複 数の内部電極層とを交互に積層してなるセラ ミック積層体と、該セラミック積層体の積層 方向と垂直な方向の側面に形成された一対の 側面電極とを有する積層型圧電素子において 、
 上記内部電極層は、導電性を有する内部電 形成領域と、該内部電極形成領域の外周端 が上記セラミック積層体の外周面よりも内 に所定の後退距離で後退した内部電極非形 領域とを有し、上記内部電極形成領域にお ていずれか一方の上記側面電極に交互に電 的に接続しており、
 上記セラミック積層体は、該セラミック積 体の側面から内方に所定の深さで凹むスリ ト状の応力緩和部を有し、
 上記応力緩和部を挟む2つの内部電極層を隣 接電極層とすると、上記積層型圧電素子の積 層方向における断面において、上記隣接電極 層における上記内部電極形成領域の上記外周 端部と、該隣接電極層における上記内部電極 非形成領域と同じ側面に位置する上記応力緩 和部の先端部とが上記積層方向と垂直な方向 に離間する離間部を有していることを特徴と する積層型圧電素子にある(請求項12)。

 上記第3の発明の積層型圧電素子において は、上記積層方向における断面において、上 記隣接電極層における上記内部電極形成領域 の上記外周端部と、該隣接電極層における上 記内部電極非形成領域と同じ側面に位置する 上記応力緩和部の先端部とが上記積層方向と 垂直な方向に離間する離間部を有している。

 そのため、上記応力緩和部を含む上記圧 セラミック層を駆動層としつつも、上記応 緩和部に過大な電界がかかることを抑制又 防止することができる。それ故、変位量を とんど損ねることなく、絶縁抵抗の低下を 止することができる。

実施例1にかかる、積層型圧電素子の構 造を示す説明図。 実施例1にかかる、積層型圧電素子の断 面図。 実施例1にかかる、積層型圧電素子のス リット部分の断面構造を示す説明図。 実施例1にかかる、第1電極印刷シート 形成する工程を示す説明図。 実施例1にかかる、第2電極印刷シート 形成する工程を示す説明図。 実施例1にかかる、消失スリット印刷シ ートを形成する工程を示す説明図。 実施例1にかかる、電極印刷シート及び 消失スリット印刷シートを積層する工程を示 す説明図。 実施例1にかかる、予備積層体の上面図 。 図5のA-A断面を示す断面図。 実施例1にかかる、中間積層体の断面 造を示す説明図。 実施例1にかかる、交互に異なる側面 露出する応力緩和部が異なる層に形成され 積層型圧電素子の構造を示す説明図。 実施例1にかかる、内部電極部とスリ ト層との形成パターンを示すセラミック積 体の展開説明図。 実施例1にかかる、内部電極部とスリ ト層との形成パターンのバリエーション(a)~( c)を示す説明図。 最も小さい応力緩和部の深さよりも控 え距離が小さくなるように構成された積層型 圧電素子の断面構造を示す説明図。 第2の発明にかかる積層型圧電素子の ターンの断面構造を示す説明図。 最も小さい応力緩和部の深さよりも控 え距離が小さくなるように構成された積層型 圧電素子の断面構造を示す説明図。 最も小さい応力緩和部の深さよりも控 え距離が小さくなるように構成された積層型 圧電素子の断面構造を示す説明図。 実施例2にかかる、積層型圧電素子の 造を示す説明図。 実施例2にかかる、積層型圧電素子の 面構造を示す説明図 実施例2にかかる、積層型圧電素子の 力緩和部周辺の断面構造を示す説明図。 実施例2にかかる、第1電極印刷シート 形成する工程を示す説明図。 実施例2にかかる、第2電極印刷シート 形成する工程を示す説明図。 実施例2にかかる、消失スリット印刷 ートを形成する工程を示す説明図。 実施例2にかかる、電極印刷シート及 消失スリット印刷シートを積層する工程を す説明図。 実施例2にかかる、予備積層体の上面 。 図25のB-B断面を示す断面図。 実施例2にかかる、中間積層体の断面 造を示す説明図。 実施例2にかかる、異なる側面に交互 露出する応力緩和部が内部電極層と略同じ に形成された積層型圧電素子の断面構造を す説明図。 応力緩和部以外のスリット状の溝部が 形成された積層型圧電素子の断面構を示す説 明図。 うねり、溝、凹み等が形成された積層 型圧電素子の応力緩和部周辺の断面構造を示 す説明図。 実施例2にかかる、積層型圧電素子の 力緩和部周辺の断面構造を示す説明図。 実施例3にかかる、積層型圧電素子の 造を示す説明図。 実施例3にかかる、積層型圧電素子の 面構造を示すと共に、応力緩和部の深さと 部電極層の控え距離との関係を示す説明図 実施例3にかかる、積層型圧電素子の 面構造を示すと共に、応力緩和部の深さの 均値と内部電極層の控え距離の平均値との 係を示す説明図。 実施例3にかかる、離間部が形成され 積層型圧電素子の応力緩和部周辺の断面構 を示す説明図。 実施例3にかかる、第1電極印刷シート 形成する工程を示す説明図。 実施例3にかかる、第2電極印刷シート 形成する工程を示す説明図。 実施例3にかかる、消失スリット印刷 ートを形成する工程を示す説明図。 実施例3にかかる、電極印刷シート及 消失スリット印刷シートを積層する工程を す説明図。 実施例3にかかる、予備積層体の上面 。 図40のC-C断面を示す断面図。 実施例3にかかる、中間積層体の断面 造を示す説明図。 実施例3にかかる、内部電極部とスリ ト層との形成パターンを示すセラミック積 体の展開説明図。 実施例3にかかる、内部電極部とスリ ト層との形成パターンのバリエーション(a)~( c)を示す説明図。 積層型圧電素子の応力緩和部周辺の断 面構造を示すと共に、積層型圧電素子におい て電界強度と逆圧電効果による発生応力の両 方が集中し易い圧電駆動領域端部を示す説明 図。 実施例1にかかる、所定のパターンで 部電極層、応力緩和部を形成した積層型圧 素子を積層方向に透視した様子を示す説明 。 図46のD-D断面の応力緩和部周辺を示す 面図(a)、E-E断面の応力緩和部周辺を示す断 図(b)、F-F断面の応力緩和部周辺を示す断面 (c)。

符号の説明

 1 積層型圧電素子
 10 圧電セラミック層
 11 応力緩和部
 12 応力緩和部
 13 内部電極層
 131 内部電極部
 132 控え部
 14 内部電極層
 141 内部電極部
 142 控え部
 15 セラミック積層体
 17 側面電極
 18 側面電極

 次に、本発明の好ましい実施の形態につ て説明する。

 なお、本明細書においては、適宜、上記 部電極形成領域を内部電極部という。また 上記内部電極形成領域の外周端部が上記セ ミック積層体の外周面から内方に所定の後 距離で後退した内部電極非形成領域を、適 、上記内部電極部の外周端部が上記セラミ ク積層体の外周面から内方に所定の控え距 で控えた控え部という。

 上記内部電極非形成領域(控え部)は、上 内部電極形成領域(内部電極部)と略同一平明 上にある内部電極が形成されていない領域で ある。上記内部電極非形成領域(控え部)は、 際には、上記内部電極部と同一平面上にあ 圧電セラミックにより形成される。

 後退距離(控え距離)は、内部電極形成領 の端部と上記セラミック積層体の側面との において、上記内部電極非形成領域を跨ぐ 短距離である。

 本発明の積層型圧電素子は、上記セラミ ク積層体と、該セラミック積層体の側面に 成された一対の側面電極とを有する。

 上記内部電極層は、導電性を有する内部 極部と、該内部電極部の外周端部が上記セ ミック積層体の外周面よりも内方に所定の え距離で控えた控え部とを有する。該控え を設けることにより、上記内部電極層は、 記セラミック積層体の一方の側面(上記控え 部側の側面)において確実な絶縁を実現でき 。

 上記セラミック積層体は、上記圧電セラ ック層と上記内部電極層とを交互に複数積 してなる。また、上記セラミック積層体は 該セラミック積層体の側面から内方に所定 深さで凹むスリット状の上記応力緩和部を する。応力緩和部としては、具体的には、 リット状の溝部等である。

 本発明において、上記応力緩和部11、12と は、上記積層型圧電素子1の積層方向の断面 おいて、上記内部電極層13、14における上記 え部132、142の上記控え距離の最小値199より 大きな深さで形成されたものを示す(図29参 )。したがって、上記控え距離の最小値199よ りも小さな深さで形成されたスリット状の溝 部9等は、本発明の上記応力緩和部に該当し い(図29参照)。

 上記応力緩和部は、上記セラミック積層 において、上記圧電セラミックスを構成す 結晶粒子が積層方向に分離され、上記圧電 ラミック層よりも形状を容易に変化し得る 分である。

 上記応力緩和部は、上記セラミック積層 の積層方向に一定の間隔で複数設けられて り、上記セラミック積層体の積層方向に累 する応力を緩和することができる。積層数 少ないと、電圧を印加したときに発生する 積応力の絶対値が小さくなり、そもそもク ックが発生し難くなる。その結果、上記セ ミック積層体にスリットを形成する必要性 体がほとんどなくなってしまうおそれがあ 。さらに、電極を控えることによる電極面 の低下が変位性能の低下を招くおそれがあ 。そのため、上記セラミック積層体は、10 以上の内部電極層を有することが好ましい また、同様の理由から、上記応力緩和部を 成する積層方向の間隔は、内部電極層10層以 上であることが好ましい。上記応力緩和部が 内部電極層10層未満の間隔で形成されている 合、電極を控えることによる電極面積の低 が変位性能の低下を招くおそれがある。ま 、上記応力緩和部を形成する積層方向の間 は、内部電極層50層以下であることが好ま い。50層を超える間隔で形成されている場合 には、上記応力緩和部による応力緩和効果が 十分に得られなくなるおそれがある。

 また、上記セラミック積層体は、該セラ ック積層体を積層方向に透視した場合に、 べての上記内部電極部が重合する領域であ 重合部と、少なくとも一部の上記内部電極 しか重合しない、あるいは全く重合しない 域である非重合部とを有し、上記応力緩和 は、上記非重合部に形成されていることが ましい。

 この場合には、上記応力緩和部による応 緩和効果を顕著に発揮させることできる。

 即ち、上記非重合部は、圧電変位が起こ ず、駆動しない部分である。そのため、上 非重合部には、圧電変位に応じて応力(歪み )が集中的に生じ易くなる。上記のごとく、 記非重合部に上記応力緩和部を形成すこと より、上記非重合部にかかる応力を緩和す ことができる。

 次に、上記内部電極層における上記控え の上記控え距離及び上記応力緩和部の深さ ついて説明する。

 図2及び図19に、積層型圧電素子1の断面図 を示す。図2、図19、及びその他の積層型圧電 素子の断面図(図3、図11、図14~図17、図20、図2 8、図29、図30、及び図31)においては、セラミ ク積層体と共にセラミック積層体を挟む一 の側面電極を積層方向に切断する断面図を す。即ち、一対の側面電極が形成された側 を切断する断面図を示す。

 図2及び図19に示すごとく、積層型圧電素 1において、セラミック積層体15は、圧電セ ミック層10と内部電極層13、14とが交互に複 積層してなる。内部電極層13、14は、導電性 を有する内部電極部131、141と、該内部電極部 131、141の外周端部139、149がセラミック積層体 15の外周面よりも内方に所定の控え距離で控 た控え部132、142とを有している。

 控え部132、142の控え距離は、積層方向と 垂直な方向における控え部の距離133、143で り、セラミック積層体15の断面において、 部電極部131、141の外周端部139、149からセラ ック積層体15の側面152、151までの最短距離133 、143で示すことができる。

 また、図30に示すごとく、上記積層型圧 素子1においては、上記セラミック積層体15 外周が部分的に上記セラミック積層体15の内 方に窪んでうねり91、溝92、及び凹み93等が形 成される場合がある。うねり91、溝92、及び み93等が控え部132、142に形成された場合にお いて、上記控え部132、142の控え距離133、143、 即ち、上記セラミック積層体15の外周面151、1 52よりも内方に所定の距離で控えた控え部132 142の控え距離133、143とは、積層型圧電素子1 の積層方向の断面において、上記内部電極部 131、141の外周端部139、149からうねり91、溝92 及び凹み93等が形成されていない状態の上記 セラミック積層体15の外周面152、151に降ろし 垂線の距離143、133であり、うねり91、溝92、 くぼみ93の深さを含んだ距離のことである。

 また、図2、図3、図19及び図20に示すごと 、セラミック積層体15は、該セラミック積 体15の側面151、152から内方に所定の深さで凹 むスリット状の応力緩和部11、12を有してい 。

 図3及び図20に示すごとく、応力緩和部11 12の深さは、積層方向と略垂直な方向におけ る応力緩和部の距離111、121であり、セラミッ ク積層体15の断面において、セラミック積層 15の側面151、152から応力緩和部11、12の先端 112、122までの最短距離111、121で示すことが きる。

 各内部電極部131、141は、一般的には同じ きさで形成されるが、多少のばらつきをも て形成される場合がある。そのため、控え 132、142の控え距離133、143についてもばらつ が生じるおそれがある。また、応力緩和部1 1、12についても深さに多少のばらつきが生じ るおそれがある。

 図2及び図19に示すごとく、上記積層型圧 素子1の積層方向における断面において、セ ラミック積層体15の同じ側面151(152)に露出す 全ての応力緩和部11(12)の深さの平均値115(125) は、該応力緩和部11(12)と同じ側面に形成され た全ての上記控え部142(132)の控え距離の平均 145(135)よりも大きくなっていることが好ま い(請求項3、請求項9、及び請求項14)。

 この場合には、上記応力緩和部に積層方 に圧縮荷重が加わり、クラックの発生を防 することができ、上記積層型圧電素子は、 れた耐久性を示すことができる。また、こ 場合には、上記内部電極層における上記控 部を小さくして、上記内部電極部の面積を きくすることができるため、上記積層型圧 素子の変位量を向上させることができる。

 上記内部電極部の形成面積を比較的大き することができるため、上記積層型圧電素 の変位量の低下を抑制することができる。

 なお、応力緩和部11(12)の深さの平均値115( 125)、及び控え距離143(133)の平均値145(135)は、 層型圧電素子1の断面において、一方の側面 151(152)に位置するすべての応力緩和部の深さ1 11(121)及び控え距離143(133)の平均値である。

 上記応力緩和部の深さの平均値が上記控 距離の平均値以下の場合には、上記応力緩 部の先端に積層方向に引張応力がはたらき クラックが発生するおそれがある。また、 の場合には、変位量が小さくなるおそれが る。

 また、上記第1の発明においては、図2、 3、図19、図20に示すごとく、上記積層型圧電 素子1の積層方向における断面において、上 応力緩和部11、12を挟む2つの内部電極層13(53) 、14(54)の控え部132(532)、142(542)のうち、該応 緩和部11、12と同じ側面に位置する上記控え 142(542)、132(532)の上記控え距離143、133は、上 記応力緩和部11、12の深さ111、121よりも大き なっている。

 上記特定の位置にある控え部の控え距離 上記特定の応力緩和部の深さ以下の場合に 、上記応力緩和部の先端に過大な電界がか ることにより、上記応力緩和部に放電が起 り絶縁抵抗が低下するおそれがある。

 また、図2、及び図19に示すごとく、上記 層型圧電素子1の積層方向における断面にお いて、上記内部電極層13、14における上記控 部132、142の控え距離の平均値135、145は、該 え部132、142とそれぞれ同じ側面に形成され 応力緩和部12、11のうち、深さが最も小さい 力緩和部の深さよりも小さくなっているこ が好ましい。

 また、上記積層型圧電素子1の積層方向に おける断面において、上記応力緩和部を挟ん で該応力緩和部に隣接する2つの内部電極層 除いた上記内部電極層13、14における上記控 部132、142の控え距離の最大値は、該控え部1 32、142とそれぞれ同じ側面に形成された応力 和部12、11の深さの平均値よりも小さくなっ ていることが好ましい。

 また、上記積層型圧電素子1の積層方向に おける断面において、上記応力緩和部を挟ん で該応力緩和部に隣接する2つの内部電極層 除いた上記内部電極層13、14における上記控 部132、142の控え距離の最大値は、該控え部1 32、142とそれぞれ同じ側面に形成された応力 和部12、11のうち、深さが最も小さい応力緩 和部の深さよりも小さくなっていることが好 ましい。

 また、上記積層型圧電素子1の積層方向に おける断面において、上記応力緩和部を挟ん で該応力緩和部に隣接する2つの内部電極層 除いた上記内部電極層13、14における上記控 部132、142の控え距離の最大値は、該控え部1 32、142とそれぞれ同じ側面に形成された応力 和部12、11のうち、深さが最も小さい応力緩 和部の深さよりも0.05mm以上小さくなっている ことが好ましい。

 また、図19及び図20に示すごとく、上記積 層型圧電素子1の上記積層方向における断面 おいて、上記応力緩和部11、12を挟む2つの上 記内部電極層53、54を除いて、上記応力緩和 11、12と、該応力緩和部11、12の上記積層方向 における最も近くに形成された他の上記応力 緩和部11、12との間に挟まれる少なくとも1つ 上記内部電極層13、14における上記控え部132 、142の控え距離134、144は、上記応力緩和部11 12の深さよりも小さくなっていることが好 しい(請求項2)。

 即ち、応力緩和部11、12と、この応力緩和 部11とは別の層であってこの応力緩和部11、12 の最も近くに形成された他の応力緩和部11、1 2との間に挟まれる複数の内部電極層の内少 くとも1つの内部電極層13、14においては、応 力緩和部11、12を挟む2つの上記内部電極層53 54を除いて、控え部132、142の控え距離134、144 が、応力緩和部11、12の深さ121、111よりも小 くなっていることが好ましい。

 この場合には、上記応力緩和部を挟む2つ の上記内部電極層を除く他の上記内部電極層 における上記控え部を小さくすることができ る。そのため、上記内部電極部の面積が大き くなり、上記積層型圧電素子の変位量を向上 させることができる。

 また、図14に示すごとく、上記積層型圧 素子1の積層方向における断面において、上 応力緩和部11(12)を挟む2つの内部電極層136、 146うち、該応力緩和部11(12)と同じ側面にその 控え部147、137を有する側の上記内部電極層146 、136を除いて、全ての上記内部電極層13、14 おける上記控え部132、142の控え距離は、該 え部132、142とそれぞれ同じ側面に形成され 応力緩和部12、11のうち、深さが最も小さい 力緩和部の深さ129、119よりも小さくなって ることが好ましい(請求項4)。換言すると、 記積層型圧電素子1の積層方向における断面 において、上記応力緩和部11(12)を挟む2つの 部電極層136、146を除く、全ての上記内部電 層13、14における上記控え部132、142の控え距 は、該控え部132、142とそれぞれ同じ側面に 成された応力緩和部12、11のうち、深さが最 も小さい応力緩和部の深さ129、119よりも小さ くなっていることが好ましい。

 この場合には、より確実に絶縁抵抗の低 を防止することができる。

 また、図19及び図20に示すごとく、上記積 層型圧電素子1の積層方向における断面にお て、上記応力緩和部11、12を積層方向に挟む2 つの上記内部電極層53、54における上記控え 532、542のうち、該応力緩和部11、12と同じ側 に位置する上記控え部542、532の上記控え距 143、133は、上記応力緩和部11、12の深さより も0.04mm以上大きくなっていることが好ましい (請求項5)。

 この場合には、さらにより確実に絶縁抵 の低下を防止することができる。

 上記控え距離から上記応力緩和部の深さ 減算した値が0.04mm未満の場合には、例えば 記積層型圧電素子に衝撃が加わった場合や 特に非常に大きな電圧が印加された場合等 、絶縁抵抗が低下するおそれがある。

 また、図19及び図20に示すごとく、上記積 層型圧電素子1の積層方向における断面にお て、上記応力緩和部11、12を挟む2つの内部電 極層54、53における上記控え部542、532のうち 該応力緩和部11、12と同じ側面に位置する上 控え部542、532の上記控え距離143、133は、該 え部542、532と同じ側面に位置する上記応力 和部11、12の深さよりも平均で0.2mm以上大き なっていることが好ましい(請求項6)。

 この場合には、さらにより確実に絶縁抵 の低下を防止することができる。

 上記控え距離から上記応力緩和部の深さ 減算した値が平均で0.2mm未満の場合には、 えば上記積層型圧電素子に衝撃が加わった 合や、特に非常に大きな電圧が印加された 合等に、絶縁抵抗が低下するおそれがある

 また、上記第2の発明においては、図15に すごとく、上記積層型圧電素子1の積層方向 における断面において、負極の上記側面電極 17側に形成された上記応力緩和部を負極側緩 部11とし、該負極側緩和部11を挟んで隣接す る2つの上記内部電極層23、24のうち負極側の 記側面電極17に電気的に接続された上記内 電極層を基準電極層235とすると、上記負極 緩和部11に対して積層方向に上記基準電極層 235を挟んで隣接し、正極側の側面電極18に接 された内部電極層241の控え部242の控え距離 、上記負極側緩和部11の深さよりも大きく っている。即ち、上記基準電極層235の最も くに形成された、正極側の側面電極18に電気 的に接続する内部電極部241を有する内部電極 層の控え部242の控え距離243、換言すれば、上 記基準電極層235を挟んで該基準電極層235に隣 接する、正極側の側面電極18に接続された2つ の内部電極層のうち、積層方向において上記 基準電極層235を介して上記負極側応力緩和部 11とは反対側に位置する内部電極層241の控え 242の控え距離243は、上記基準電極層235に隣 する上記負極側緩和部11の深さ111よりも大 くなっている。

 上記特定の上記控え部の控え距離が上記 極側緩和部の深さ以下の場合には、絶縁抵 が低下し易い部位に電界が印加され、絶縁 抗が低下し易くなるおそれがある。

 また、図15に示すごとく、上記積層型圧 素子1の積層方向における断面において、正 の側面電極18側に形成された上記応力緩和 を正極側緩和部12とし、該正極側緩和部12を んで隣接する2つの内部電極層23、24のうち 極側の上記側面電極17に電気的に接続された 上記内部電極層23の上記控え部232の控え距離2 33は、上記正極側緩和部12の深さ121よりも大 くなっている。即ち、正極側緩和部12を挟ん で隣接する2つの内部電極層23、24のうち負極 の上記側面電極17に電気的に接続された上 内部電極層23の上記控え部232の控え距離233は 、該内部電極層23に隣接する上記正極側緩和 12の深さ121よりも大きくなっている。

 上記特定の上記控え部の控え距離が上記 極側緩和部の深さ以下の場合には、絶縁抵 が低下し易い部位に電界が印加され、絶縁 抗が低下し易くなるおそれがある。

 また、図16及び図17に示すごとく、上記積 層型圧電素子1の積層方向における断面にお て、上記応力緩和部11に対して積層方向に上 記基準電極層235を挟んで隣接し、正極側の側 面電極18に接続された内部電極層241、及び上 正極側緩和部12を挟んで隣接する2つの内部 極層23、24のうち負極側の上記側面電極17に 気的に接続された上記内部電極層23を除く ての上記内部電極層13、14における上記控え 132、142の控え距離は、該控え部132、142と同 側面に形成された応力緩和部12、11のうち、 深さが最も小さい応力緩和部の深さ129、119よ りも小さくなっていることが好ましい(請求 8)。即ち、上記基準電極層235の最も近くに形 成された、正極側の側面電極18に電気的に接 する内部電極部を有する内部電極層241と、 記正極側緩和部12を挟んで隣接する2つの内 電極層23、24のうち負極側の側面電極17に電 的に接続された内部電極層23とを除くすべ の内部電極層13、14における控え部132、142の え距離は、該控え部132、142とそれぞれ同じ 面に形成された応力緩和部12、11のうち、深 さが最も小さい応力緩和部の深さ129、119より も小さくなっていることが好ましい。

 この場合には、より確実に絶縁抵抗の低 を防止することができる。なお、図16及び 17は、内部電極層13、14における控え部132、14 2の控え距離が異なる点を除いては、同じ構 の積層型圧電素子1を示す。

 また、上記第2の発明において、上記積層型 圧電素子の積層方向における断面において、 上記正極側緩和部を挟んで隣接する2つの内 電極層のうち負極側の上記側面電極に電気 に接続された上記内部電極層の上記控え部 上記控え距離は、上記正極側緩和部の深さ りも0.04mm以上大きくなっていることが好ま い(請求項10)。
 また、上記積層型圧電素子の積層方向にお る断面において、上記正極側緩和部を挟ん 隣接する2つの内部電極層のうち負極側の上 記側面電極に電気的に接続された上記内部電 極層の上記控え部の上記控え距離の平均値は 、上記正極側緩和部の深さの平均値よりも0.2 mm以上大きくなっていることが好ましい(請求 項11)。

 これらの場合には、上記第1の発明の場合 と同様に、さらにより確実に絶縁抵抗の低下 を防止することができる。

 上記控え距離から上記正極側緩和部の深 を減算した値が0.04mm未満の場合、上記控え 離の平均値から上記正極側緩和部の深さの 均値を減算した値が0.2mm未満の場合には、 えば上記積層型圧電素子に衝撃が加わった 合や、特に非常に大きな電圧が印加された 合等に、絶縁抵抗が低下するおそれがある

 次に、第3の発明においては、図31に示す とく、上記応力緩和部11、12を挟む2つの内 電極層を隣接電極層53、54とすると、上記積 型圧電素子1の積層方向における断面におい て、上記隣接電極層53、54における内部電極 531、541の上記外周端部539、549と、該隣接電 層53、54における上記控え部532、542と同じ側 に位置する上記応力緩和部12、11の先端部122 、112とが上記積層方向と垂直な方向に離間す る離間部5を有している。

 即ち、積層型圧電素子1の積層方向におけ る断面において、隣接電極層53における内部 極部531の外周端部539と、この隣接電極層53 おける控え部532と同じ側面152に位置する応 緩和部12の先端部122とが積層型圧電素子1の 層方向と垂直な方向に離間して離間部5を形 している。同様に、隣接電極層54における 部電極部541の外周端部549と、この隣接電極 54における控え部542と同じ側面151に位置する 応力緩和部11の先端部112とが積層型圧電素子1 の積層方向と垂直な方向に離間して離間部5 形成している。

 上記離間部がない場合には、上記応力緩 部に過大な電界がかることにより、上記応 緩和部に放電が起こり絶縁抵抗が低下する それがある。

 上記積層型圧電素子の上記積層方向におけ 断面において、上記隣接電極層を除いて、
上記応力緩和部と、該応力緩和部の上記積層 方向における最も近くに形成された他の上記 応力緩和部との間に挟まれる少なくとも1つ 上記内部電極層における上記控え距離は、 記応力緩和部の深さよりも小さくなってい ことが好ましい(請求項13)。

 この場合には、上記応力緩和部を挟む2つ の上記内部電極層を除く他の上記内部電極層 における上記控え部を小さくすることができ る。そのため、上記内部電極部の面積が大き くなり、上記積層型圧電素子の変位量を向上 させることができる。

 上記離間部の離間距離は0.04mm以上である とが好ましい(請求項15)。

 上記積層型圧電素子において、全ての上 離間部の離間距離の平均値は0.2mm以上であ ことが好ましい(請求項16)。

 これらの場合には、上記第1の発明の場合 と同様に、さらにより確実に絶縁抵抗の低下 を防止することができる。

 上記離間距離が0.04mm未満の部分を有する 合、又は上記離間距離の平均値が0.2mm未満 場合には、例えば上記積層型圧電素子に衝 が加わった場合や、特に非常に大きな電圧 印加された場合等に、絶縁抵抗が低下する それがある。

 また、上記第1の発明~上記第3の発明にお て、上記応力緩和部は、具体的には、例え スリット状の空間(溝部)であるが、該スリ ト状の空間に上記圧電セラミック層よりも ング率の低い樹脂等の材料で充填した構造 、上記圧電セラミック層と同一材料をポー ス状に形成したスリット状の脆弱層、上記 電セラミック層とは異なるチタン酸鉛等の 料で形成したスリット状の脆弱層、又は分 や作動により意図的に発生させたクラック のスリット等で形成することもできる。か る応力緩和部は、上記圧電セラミック層よ もその形状を容易に変化させることができ 上記積層型圧電素子の内部に生じる応力集 を緩和させることができる。

 好ましくは、上記応力緩和部は、上記セ ミック積層体の側面から内方に凹んだスリ ト状の溝部であることがよい。

 この場合には、十分に応力を緩和するこ ができる上記応力緩和部を比較的簡単に形 することができる。

 また、上記応力緩和部は、焼成時に消失 る消失材料を用いて形成することができる

これにより、上記応力緩和部を簡単に形成 することができる。

 上記消失材料としては、例えばパウダー のカーボン粒子、樹脂粒子、又は、パウダ 状の有機物粒子等を炭化させてなる炭化有 物粒子を用いることができる。

 特に、上記消失材料として上記カーボン 子を用いた場合には、熱による形状変化が ないという上記カーボン粒子の特性を生か て、形状精度良く上記応力緩和部を形成す ことができる。

 一方、上記消失材料として上記炭化有機 粒子を用いた場合には、上記応力緩和部を 成するためのコストを抑制することができ 。

 なお、上記有機物粒子としては、例えば 大豆や、トウモロコシを粉砕してなる粒子 、樹脂材料を粉砕してなる粒子等がある。

 なお、炭化有機物粒子とは、上記有機物 子が含有する水分の一部を除去することに り、ある程度炭化させて、流動性及び分散 が良好な微粒子の状態となった粒子をいう

 また、上記応力緩和部は、スリット状の 記領域を上記積層型圧電素子の分極又は駆 時に亀裂が生じる材料によって形成し、上 積層型圧電素子の分極又は駆動時に亀裂を じさせて形成することもできる。

 また、上記圧電セラミック層は、チタン ジルコン酸鉛を主成分とし、上記内部電極 は、AgPd合金を主成分とすることが好ましい (請求項17)。

 この場合には、高い変位量の上記積層型 電素子を構成することができる。

 上記積層型圧電素子は、燃料噴射弁に用 られることが好ましい(請求項18)。

 この場合には、過酷な条件下においても 長期間に渡って絶縁抵抗が低下することな 、安定して作動することができるという本 明の積層型圧電素子の作用効果をより顕著 発揮することができる。

 また、上記積層型圧電素子において、上 応力緩和部は、上記内部電極層間の上記圧 セラミック層に形成させることができる。

 また、上記応力緩和部は、上記内部電極 と略同じ層に形成させることもできる。

(実施例1)
 次に、本発明の実施例にかかる積層型圧電 子について、図1~図10を用いて説明する。

 図1~図3に示すごとく、本例の積層型圧電 子1は、複数の圧電セラミック層10と複数の 部電極層13、14とを交互に積層してなるセラ ミック積層体15と、その側面に形成された一 の側面電極17、18とを有する。内部電極層13 14は、導電性を有する内部電極部131、141と その外周端部がセラミック積層体15の外周面 よりも内方に所定の控え距離で控えた控え部 132、142とを有し、内部電極層13、14は、交互 異なる側面電極17、18に電気的に接続されて る。即ち、内部電極層13、14は、内部電極形 成領域である内部電極部131、141と、内部電極 非形成領域である控え部132、142とを有する。

 セラミック積層体15は、その側面から内 に凹むスリット状の領域に、圧電セラミッ 層10よりも形状を容易に変化し得る応力緩和 部11、12を有する。

 本例において、応力緩和部12は、セラミ ク積層体15の側面から内方に凹んだスリット 状の溝部(空間)であり、セラミック積層体15 外周面全周に渡って周方向に形成されてい 。また、応力緩和部12は、内部電極層13、14 の圧電セラミック層10内に形成されており、 内部電極部131、141又は控え部132、142とは接触 しない位置に形成されている。

 図2に示すごとく、積層型圧電素子1の積 方向における断面において、セラミック積 体15の同じ側面151(152)に露出する全ての応力 和部11(12)の深さの平均115(125)は、該応力緩 部11(12)と同じ側面に形成された全ての上記 え部142(132)の控え距離の平均145(135)よりも大 くなっている。

 また、図2及び図3に示すごとく、積層型 電素子1の積層方向における断面において、 記応力緩和部11(12)を挟む2つの内部電極層13 14の控え部132、142のうち、該応力緩和部11(12 )と同じ側面に位置する上記控え部142(132)の上 記控え距離143(133)は、上記応力緩和部11(12)の さ111(121)よりも大きくなっている。

 次に、本例の積層型圧電素子の製造方法 つき、図1~図10を用いて説明する。

 本例においては、グリーンシート作製工 、電極印刷工程、消失スリット印刷工程、 着工程、積層体切断工程、及び焼成工程を うことにより、積層型圧電素子を作製する

 以下、製造方法を各工程ごとに説明する

<グリーンシート作製工程>
 まず、圧電材料となるジルコン酸チタン酸 (PZT)等のセラミック原料粉末を準備した。 体的には、出発原料としてPb3O4、SrCO3、ZrO2、 TiO2、Y2O3、
及びNb2O5を準備し、これらの出発原料を目的 成PbZrO3-PbTiO3-Pb(
Y1/2Nb1/2)O3となるような化学量論比で秤量し、 湿式混合し、温度850℃で5時間仮焼した。次 、仮焼粉をパールミルにより湿式粉砕した この仮焼粉粉砕物(粒径(D50値):0.7±0.05μm)を乾 燥した後、溶剤、バインダ、可塑剤、分散剤 等を加えてボールミルにより混合し、得られ たスラリーを真空装置内で撹拌機により撹拌 しながら真空脱泡、粘度調整をした。

 そして、ドクターブレード法により、上 スラリーをキャリアフィルム上に塗布し、 さ80μmの長尺のグリーンシートを成形した このグリーンシートを所定の大きさに切断 て、幅広のグリーンシート110(図4~図6)を作製 した。

 なお、グリーンシートの成形方法として 、本例で用いたドクターブレード法のほか 押出成形法やその他種々の方法を採用する とができる。

<電極印刷工程>
 次に、図4及び図5に示すごとく、グリーン ート110上に内部電極層となる電極材料130、14 0を印刷し、第1電極印刷シート31及び第2電極 刷シート32の2種類のシートを形成した。

 以下に、電極印刷シート31、32の形成につ いてさらに説明する。

 第1電極印刷シート31の形成に当たっては 図3に示すごとく、グリーンシート110上の印 刷領域41において、最終的に内部電極層13と る部分に電極材料130を印刷して、第1電極印 シート31を形成した。

 また、第2電極印刷シート32の形成に当た ては、第1電極印刷シートと同様に、図4に すごとく、グリーンシート110上の印刷領域41 において、内部電極層14となる部分に電極材 140を印刷した。これにより、第2電極印刷シ ート32を形成した。

 第1電極印刷シート31及び第2電極印刷シー ト32においては、グリーンシート110上に形成 れた電極材料130、140がそれぞれ異なる側面 露出している。

 なお、本例では、電極材料130、140として ペースト状のAg/Pd合金を用いた。また、上 以外にも、Ag、Pd、Cu、Ni等の単体、Cu/Ni等の 金を用いることができる。

<消失スリット印刷工程>
 また、本例では、製造しようとする積層型 電素子1のセラミック積層体15の側面にスリ ト部11、12(図1~図3参照)を設けるため、図6に 示すごとく、消失スリット印刷シート33を形 する消失スリット印刷工程を行った。

 同図に示すごとく、上記のグリーンシー 110上の印刷領域41において、最終的に応力 和部11、12となる部分に焼成によって消失す 消失材料よりなる消失スリット層120を印刷 た。これにより、消失スリット印刷シート3 3を形成した。

 なお、本例では、消失スリット層120を構成 る消失材料として、熱変形が小さく、
焼成工程によって形成される溝の形状精度を 高く維持し得るカーボン粒子よりなる材料を 用いた。また、カーボン粒子以外にも、炭化 させたパウダー状の炭化有機物粒子を用いる こともできる。この炭化有機物粒子は、パウ ダー状の有機物粒子を炭化して得ることがで きるほか、炭化させた有機物を粉砕して得る こともできる。さらに、上記有機物としては 、樹脂等の高分子材料や、コーン、大豆、小 麦粉等の穀物を用いることができる。この場 合には、製造コストを抑制することができる 。

 また、電極印刷工程及び消失スリット印 工程では、控え距離と応力緩和部との深さ の関係が上述の関係を満足するように電極 料及び消失材料を印刷した。また、電極印 工程及び消失スリット印刷工程では、図4~ 6に示すごとく、後工程のユニット切断工程 おいて切断される部分を避けるように間隙4 2を空けて、電極材料130、140、及び消失スリ ト層120の印刷を行う。つまり、グリーンシ ト110上の隣接する印刷領域41の間に間隙42を けて印刷を行う。

<圧着工程>
 次に、図7に示すごとく、形成した第1電極 刷シート31、第2電極印刷シート32、及び消失 スリット印刷シート33を所定の順序で各印刷 域41を積層方向に揃えて積層した。このと 、第1電極印刷シート31及び第2電極印刷シー 32を交互に積層し、上記スリット部を形成 たい位置に消失スリット印刷シート33を挿入 して積層した。

具体的には、本例においては、第1電極印 シート31と第2電極印刷シート32との積層構造 11層毎に消失スリット印刷シート33を積層し 第1電極印刷シート31及び第2電極印刷シート3 2とが合計で59枚となるように積層し、さらに 積層方向の両端に電極材料及び消失層が印刷 されていないグリーンシートを積層した。こ のとき、第1電極印刷シート31と第2電極印刷 ート32とは電極材料130と電極材料140とが交互 に印刷領域の対向する端面に露出するように 積層した。そしてこのようにして積層したシ ートを温度100℃で加熱すると共に、積層方向 に50MPaで加圧し、予備積層体100を作製した。 お、図7においては、図面作成の便宜のため 、実際の積層数を省略した形式で予備積層体 100を示してある。

<積層体切断工程>
 次に、図8~図10に示すごとく、形成した予備 積層体100を切断位置43に沿って積層方向に切 し、中間積層体10を形成した。

 なお、予備積層体100の切断は、各中間積 体10ごとに切断してもよいし、複数の中間 層体10を含んで切断してもよい。本例におい ては、各中間積層体10ごとに切断し、各電極 料130、140及び消失スリット層120が中間積層 10の側面に露出するように切断を行った。

 なお、図9及び図10においては、図面作成 便宜のため、実際の積層数を省略した形式 予備積層体100及び中間積層体10を示してあ 。

<焼成工程>
 次に、中間積層体10のグリーンシート110に 有されているバインダ樹脂を加熱除去した( 脂)。加熱は、80時間かけて徐々に500℃まで 温し、5時間保持することにより行った。

 次に、脱脂した中間積層体10を焼成した 焼成は、温度1050℃まで12時間かけて徐々に 温させ、2時間保持後、徐々に冷却すること より行った。

 このようにして、図1~図3に示すごとく、 失スリット層120が消失して形成されたスリ ト状の応力緩和部11、12を有するセラミック 積層体15が作製される。応力緩和部11、12は、 セラミック積層体15の側面全周に渡ってスリ ト状の空間を設けてなる。また、同図に示 ごとく、作製されたセラミック積層体10は グリーンシート110が焼結してなる圧電セラ ック層10と電極材料130、140により形成された 内部電極層13、14とを交互に積層してなる。

 そして、焼成後、全面研磨を行って縦6mm 横6mm×高さ4.4mmのセラミック積層体15を作製 、さらに、セラミック積層体15の両側面を挟 むように、側面電極17、18を焼き付けた。こ とき、各内部電極層13、14は、それぞれ交互 異なる側面の側面電極17、18に電気的に接続 される。

 以上のようにして、図1~図3に示すごとく 積層型圧電素子1を作製した。

 なお、図1及び図2においては、図面作成 便宜のため、実際の積層数を省略した形式 積層型圧電素子1を示してある。

 本例においては、応力緩和部11(12)を挟む2 つの内部電極層13、14の控え部132、142のうち 該応力緩和部11(12)と同じ側面に位置する上 控え部142(132)の上記控え距離143(133)と、上記 力緩和部11(12)の深さとの差が異なる5種類の 積層型圧電素子(試料E1~試料E3、試料C1、試料C 2)を作製した。

 即ち、試料E1は、上述の「控え距離-応力 和部の深さ」が0.2mmの積層型圧電素子であ 。

 試料E2及び試料E3は、上述の控え距離-応 緩和部の深さ」が、それぞれ0.4mm、及び0.6mm 積層型圧電素子である。

 試料C1及び試料C2は、上述の「控え距離- 力緩和部の深さ」が、それぞれ0mm、及び-0.2m mの積層型圧電素子である。

 各試料について、正極側の側面電極に接 された内部電極層における全ての控え部の え距離を測定した。その平均値と範囲(ばら つき)を後述の表1に示す。同様に、負極側に いても、控え距離を測定し、その平均値と 囲(ばらつき)を後述の表1に示す。

 また、セラミック積層体の同じ側面(正極 の側面電極側の側面)に露出する全ての応力 和部の深さを測定した。その平均値と範囲( らつき)を後述の表1に示す。同様に負極側 ついても、応力緩和部の深さを測定し、そ 平均値と範囲(ばらつき)を後述の表1に示す

 次に、これらの積層型圧電素子の耐久性 調べた。

「耐久性試験」
 温度200℃の条件下で、各試料の積層型圧電 子に3.1kV/mmの電界を印加してこれを駆動さ た。次いで、各試料を、既知の抵抗値をと 抵抗Rに直列につないで回路を構築した。そ て、各試料に電界を印加しながら、抵抗Rに かかる電圧(漏れ電流値)をデジタルメータで み取った。算出される素子(試料)の絶縁抵 が10Mωを下回った場合を素子の寿命とし、そ のときの時間を計測した。その結果を表1に す。

 表1より知られるごとく、試料E1~E3、C1、及 C2いずれの試料においても、正極側及び負極 側ともに、「全ての控え距離の平均値<全 の応力緩和部深さの平均値」という関係が り立っていた。

 また、表1より知られるごとく、本発明の 実施例にかかる試料E1~試料E3は、比較例(試料 C1及び試料C2)に比べて2倍以上の優れた寿命を 示した。

 また、本例においては、応力緩和部をセ ミック積層体の側面全周に渡って形成した 、図11に示すごとく、セラミック積層体15の 側面に交互に露出する応力緩和部を、ことな る層に形成することもできる。この場合にお いても、セラミック積層体15の同じ側面151(152 )に露出する全ての応力緩和部11(12)の深さの 均値115(125)を、該応力緩和部11(12)と同じ側面 151(152)に形成された全ての上記控え部142(141) 控え距離の平均値145(135)よりも大きくし、か つ応力緩和部11(12)を挟む2つの内部電極層13、 14における上記控え部132、142のうち、該応力 和部11(12)と同じ側面に位置する上記控え部1 42(132)の上記控え距離を応力緩和部11(12)の深 よりも大きくすることにより、試料E1~試料E3 と同様に耐久性に優れた素子にすることがで きる。

 また、本例においては、内部電極部131、1 41とスリット層11、12とを図12に示す組み合わ のパターンで形成した。本発明はこのパタ ンに限定されるものではない。セラミック 層体は、該セラミック積層体を積層方向に 視した場合に、すべての内部電極部が重合 る領域である重合部と、少なくとも一部の 部電極部しか重合しない、あるいは全く重 しない領域である非重合部とを有するが、 力緩和部は、上記非重合部19に形成するこ ができる。

 内部電極部131、141とスリット層11、12との 組み合わせパターンを図13(a)~(c)に示す。いず れのパターンで形成しても、本発明の効果は 十分に発揮される。

 本発明において、内部電極部131、141とス ット層11、12との組み合わせパターンが図12 び、図13(b)、(c)の場合、即ち、層間に外周 全周に渡って周方向に応力緩和部を形成し 上記応力緩和部11(12)を挟む2つの内部電極層1 3、14の控え部132、142のうち、積層型圧電素子 の積層方向における断面において応力緩和部 11(12)と同じ側面に位置する上記控え部142(132) 上記控え距離143(133)が上記応力緩和部11(12) 深さ111(121)よりも大きいという関係を有する 積層型圧電素子の場合、実際にはコーナー部 にて応力緩和部に電界が印加される部位が存 在する。

 図12に示すパターンで内部電極層13、14、 力緩和部11(12)を形成した積層型圧電素子1を 上面から積層方向に透視した図を図46に示す 図46においては、内部電極部131、141の外周 置を点線で示してあり、応力緩和部につい はその位置の記載を省略してある。また、 12に示すパターンで内部電極層13、14、応力 和部11(12)を形成した積層型圧電素子のD-D断 図(図46参照)、E-E断面図(図46参照)、及びF-F断 面図(図46参照)を、それぞれ図47(a)、図47(b)、 び図47(c)に示す。なお、図47(a)~(c)において 、積層型圧電素子1の応力緩和部11、12の周辺 部の断面を示す。

 図47(a)及び図47(b)に示すごとく、図12に示 パターンで内部電極層13、14及び応力緩和部 11(12)を形成した積層型圧電素子1のD-D断面(図4 6参照)、E-E断面図(図46参照)においては、応力 緩和部11、12に電界が印加されていないが、 47(c)に示すごとく、コーナー部における断面 (F-F断面(図46参照))においては、従来の約1/2の 電界が印加される部位161が存在しており、こ の部位での劣化に至るおそれがある。しかし 、内部電極とスリットとの間を一層分、より 間隔を空けることができるので、応力緩和部 への電界の印加を弱くすることができる。そ のため、耐久性を向上させることができる。 したがって、上記のごとく、スリットに多少 の電界が印加したとしても、従来構造に比し て小なる電界であれば、本願発明の範疇とす る。

(実施例2)
 次に、本発明の積層型圧電素子の他のバリ ーションについて図18~図27を用いて説明す 。本例の積層型圧電素子は、内部電極層に ける内部電極部及び控え部の形成パターン 実施例1とは若干変えて作製した素子である 、実質的には実施例1とほぼ同じ素子である 。

 図18~図20に示すごとく、本例の積層型圧 素子1は、実施例1と同様に、複数の圧電セラ ミック層10と複数の内部電極層13、14とを交互 に積層してなるセラミック積層体15と、その 面に形成された一対の側面電極17、18とを有 する。内部電極層13、14は、導電性を有する 部電極部131、141と、その外周端部がセラミ ク積層体15の外周面よりも内方に所定の控え 距離で控えた控え部132、142とを有し、内部電 極層13、14は、交互に異なる側面電極17、18に 気的に接続されている。

 セラミック積層体15は、その側面から内 に凹むスリット状の領域に、圧電セラミッ 層10よりも形状を容易に変化し得る応力緩和 部11、12を有する。

 本例において、応力緩和部12は、セラミ ク積層体15の側面から内方に凹んだスリット 状の溝部(空間)であり、セラミック積層体15 外周面全周に渡って周方向に形成されてい 。また、応力緩和部11、12は、内部電極層13 14間の圧電セラミック層10内に形成されてお 、内部電極部131、141又は控え部132、142とは 触しない位置に形成されている。また、応 緩和部11、12は、セラミック積層体15の積層 向に所定の間隔で複数形成されている。

 図19に示すごとく、積層型圧電素子1の積 方向における断面においては、セラミック 層体15における側面電極17、18がそれぞれ形 された側面151、152において、同じ側面151(152 )に露出する全ての応力緩和部11(12)の深さの 均115(125)は、該応力緩和部11(12)と同じ側面に 形成された全ての上記控え部142(132)の控え距 の平均145(135)よりも大きくなっている。

 また、図19及び図20に示すごとく、積層型 圧電素子1の積層方向における断面において 上記応力緩和部11、12を挟む2つの内部電極層 13(53)、14(54)の控え部132(53)、142(54)のうち、該 力緩和部11、12と同じ側面に位置する上記控 え部142(542)、132(532)の上記控え距離143、133は 上記応力緩和部11、12の深さ111、121よりも大 くなっている。

 また、図31に示すごとく、本例の積層型 電素子1は、応力緩和部11、12を挟む2つの内 電極層を隣接電極層53、54とすると、積層型 電素子1の積層方向における断面において、 隣接電極層53、54における内部電極部531、541 外周端部539、549と、この隣接電極層53、54に ける控え部532、542と同じ側面に位置する応 緩和部12、11の先端部122、112とが積層方向と 垂直な方向に離間する離間部5を有している

 また、図19及び図20に示すごとく、積層型 圧電素子1の積層方向における断面において 応力緩和部11、12を挟む2つの内部電極層53、5 4を除いて、応力緩和部11、12と、この応力緩 部11、12の上記積層方向における最も近くに 形成された他の上記応力緩和部11、12との間 挟まれる少なくとも1つの内部電極層13、14に おける控え部132、142の控え距離134、144は、応 力緩和部12、11の深さよりも小さくなってい 。

 次に、本例の積層型圧電素子の製造方法 つき、図18~図27を用いて説明する。

 本例においては、実施例1と同様に、グリ ーンシート作製工程、電極印刷工程、消失ス リット印刷工程、圧着工程、積層体切断工程 、及び焼成工程を行うことにより、積層型圧 電素子を作製する。

 以下、製造方法を各工程ごとに説明する

<グリーンシート作製工程>
 まず、圧電材料となるジルコン酸チタン酸 (PZT)等のセラミック原料粉末を準備した。 体的には、出発原料としてPb3O4、SrCO3、ZrO2、 TiO2、Y2O3、
及びNb2O5を準備し、これらの出発原料を目的 成PbZrO3-PbTiO3-Pb(Y1/2Nb1/2)O3となるような化学 論比で秤量し、湿式混合し、温度850℃で5時 仮焼した。次に、仮焼粉をパールミルによ 湿式粉砕した。この仮焼粉粉砕物(粒径(D50 ):0.7±0.05μm)を乾燥した後、溶剤、バインダ 可塑剤、分散剤等を加えてボールミルによ 混合し、得られたスラリーを真空装置内で 拌機により撹拌しながら真空脱泡、粘度調 をした。

 そして、ドクターブレード法により、上 スラリーをキャリアフィルム上に塗布し、 さ80μmの長尺のグリーンシートを成形した このグリーンシートを所定の大きさに切断 て、幅広のグリーンシート110(図21~図23)を作 した。

 なお、グリーンシートの成形方法として 、本例で用いたドクターブレード法のほか 押出成形法やその他種々の方法を採用する とができる。

<電極印刷工程>
 次に、図21及び図22に示すごとく、グリーン シート110上に内部電極層となる電極材料130、 140を印刷し、第1電極印刷シート31及び第2電 印刷シート32の2種類のシートを形成した。

 以下に、電極印刷シート31、32の形成につ いてさらに説明する。

 第1電極印刷シート31の形成に当たっては 図21に示すごとく、グリーンシート110上の 刷領域41において、最終的に内部電極部131と なる部分に電極材料130を印刷して、第1電極 刷シート31を形成した。

 また、図22に示すごとく、第2電極印刷シ ト32の形成に当たっては、第1電極印刷シー と同様に、グリーンシート110上の印刷領域4 1において、最終的に内部電極部141となる部 に電極材料140を印刷した。これにより、第2 極印刷シート32を形成した。

 第1電極印刷シート31及び第2電極印刷シー ト32においては、グリーンシート110上に形成 れた電極材料130、140がそれぞれ異なる側面 露出している。

 なお、本例では、電極材料130、140として ペースト状のAg/Pd合金を用いた。また、上 以外にも、Ag、Pd、Cu、Ni等の単体、Cu/Ni等の 金を用いることができる。

<消失スリット印刷工程>
 また、本例では、製造しようとする積層型 電素子1のセラミック積層体15の側面にスリ ト部11、12(図18~図20参照)を設けるため、図23 に示すごとく、消失スリット印刷シート33を 成する消失スリット印刷工程を行った。

 同図に示すごとく、上記のグリーンシー 110上の印刷領域41において、最終的に応力 和部11、12となる部分に焼成によって消失す 消失材料よりなる消失スリット層120を印刷 た。これにより、消失スリット印刷シート3 3を形成した。

 なお、本例では、消失スリット層120を構成 る消失材料として、熱変形が小さく、
焼成工程によって形成される溝の形状精度を 高く維持し得るカーボン粒子よりなる材料を 用いた。また、カーボン粒子以外にも、炭化 させたパウダー状の炭化有機物粒子を用いる こともできる。この炭化有機物粒子は、パウ ダー状の有機物粒子を炭化して得ることがで きるほか、炭化させた有機物を粉砕して得る こともできる。さらに、上記有機物としては 、樹脂等の高分子材料や、コーン、大豆、小 麦粉等の穀物を用いることができる。この場 合には、製造コストを抑制することができる 。

 また、電極印刷工程及び消失スリット印 工程では、控え距離と応力緩和部との深さ の関係が上述の関係を満足するように電極 料及び消失材料を印刷した。また、電極印 工程及び消失スリット印刷工程では、図21~ 23に示すごとく、後工程のユニット切断工 において切断される部分を避けるように間 42を空けて、電極材料130、140、及び消失スリ ット層120の印刷を行う。つまり、グリーンシ ート110上の隣接する印刷領域41の間に間隙42 設けて印刷を行う。

<圧着工程>
 次に、図24に示すごとく、形成した第1電極 刷シート31、第2電極印刷シート32、及び消 スリット印刷シート33を所定の順序で各印刷 領域41を積層方向に揃えて積層した。このと 、第1電極印刷シート31及び第2電極印刷シー ト32を交互に積層し、上記スリット部を形成 たい位置に消失スリット印刷シート33を挿 して積層した。具体的には、本例において 、第1電極印刷シート31と第2電極印刷シート3 2との積層構造11層毎に消失スリット印刷シー ト33を積層し、第1電極印刷シート31及び第2電 極印刷シート32とが合計で59枚となるように 層し、さらに積層方向の両端に電極材料及 消失層が印刷されていないグリーンシート 積層した。このとき、第1電極印刷シート31 第2電極印刷シート32とは電極材料130と電極 料140とが交互に印刷領域の対向する端面に 出するように積層した。そしてこのように て積層したシートを温度100℃で加熱すると に、積層方向に50MPaで加圧し、予備積層体100 を作製した。なお、図24においては、図面作 の便宜のため、実際の積層数を省略した形 で予備積層体100を示してある。

<積層体切断工程>
 次に、図25~図27に示すごとく、形成した予 積層体100を切断位置43に沿って積層方向に切 断し、中間積層体101を形成した。

 なお、予備積層体100の切断は、各中間積 体101ごとに切断してもよいし、複数の中間 層体101を含んで切断してもよい。本例にお ては、各中間積層体101ごとに切断し、各電 材料130、140及び消失スリット層120が中間積 体101の側面に露出するように切断を行った

 なお、図26及び図27においては、図面作成 の便宜のため、実際の積層数を省略した形式 で予備積層体100及び中間積層体101を示してあ る。

<焼成工程>
 次に、中間積層体101のグリーンシート110に 有されているバインダ樹脂を加熱除去した( 脱脂)。加熱は、80時間かけて徐々に500℃まで 昇温し、5時間保持することにより行った。

 次に、脱脂した中間積層体10を焼成した 焼成は、温度1050℃まで12時間かけて徐々に 温させ、2時間保持後、徐々に冷却すること より行った。

 このようにして、図18~図20に示すごとく 消失スリット層120が消失して形成されたス ット状の応力緩和部11、12を有するセラミッ 積層体15が作製される。

応力緩和部11、12は、セラミック積層体15の 側面全周に渡ってスリット状の空間を設けて なる。また、同図に示すごとく、作製された セラミック積層体15は、グリーンシート110が 結してなる圧電セラミック層10と電極材料13 0、140により形成された内部電極層13、14とを 互に積層してなる。

 そして、焼成後、全面研磨を行って縦6mm 横6mm×高さ4.4mmのセラミック積層体15を作製 、さらに、セラミック積層体15の両側面を挟 むように、側面電極17、18を焼き付けた。こ とき、各内部電極層13、14は、それぞれ交互 異なる側面の側面電極17、18に電気的に接続 される。

 以上のようにして、図18~図20に示すごと 、積層型圧電素子1を作製した。

 なお、図18及び図19においては、図面作成 の便宜のため、実際の積層数を省略した形式 で積層型圧電素子1を示してある。

 本例においては、応力緩和部11、12、を挟 む2つの内部電極層(隣接電極層)13(53)、14(54)の 控え部132(532)、142(542)のうち、この応力緩和 11、12と同じ側面に位置する控え部142(542)、13 2(532)の控え距離143、133と、応力緩和部11、12 深さとの差、即ち離間部5の離間距離(図31参 )が異なる5種類の積層型圧電素子(試料E4~試 E6、試料C3、試料C4)を作製した。

 即ち、試料E4は、実施例1の上記試料E1と 様に、上述の「控え距離-応力緩和部の深さ 、即ち「隣接電極層の控え部の控え距離」- 「この控え部と同じ側面に位置し、この控え 部の積層方向の最も近くに位置する応力緩和 部の深さ」が平均で0.2mmの積層型圧電素子で る。また、試料E1においては、上述の「控 距離-応力緩和部の深さ」の最小値を調べた ころ0.04mmであった。したがって、試料E1に いては、隣接電極層53、54における控え部532 542のうち、応力緩和部11、12と同じ側面に位 置する控え部542、532の控え距離143、133は、応 力緩和部11、12の深さよりも少なくとも0.04mm 上大きくなっている。

 また、試料E5及び試料E6は、上述の「控え 距離-応力緩和部の深さ」が、平均でそれぞ 0.41mm及び0.62mmであり、最小値でそれぞれ0.25m m及び0.52mmの積層型圧電素子である。

 試料C3及び試料C4は、上述の「控え距離- 力緩和部の深さ」が、平均でそれぞれ0.03mm び-0.22mm、最小値でそれぞれ-0.05mm及び-0.33mm 積層型圧電素子である。

 各試料について、正極側の側面電極に接 された内部電極層における全ての控え部の え距離を測定した。その平均値と範囲(ばら つき)を後述の表2に示す。同様に、負極側に いても、控え距離を測定し、その平均値と 囲(ばらつき)を後述の表2に示す。

 また、セラミック積層体の同じ側面(正極 の側面電極側の側面)に露出する全ての応力 和部の深さを測定した。その平均値と範囲( らつき)を後述の表2に示す。同様に負極側 ついても、応力緩和部の深さを測定し、そ 平均値と範囲(ばらつき)を後述の表2に示す

 次に、これらの積層型圧電素子(試料E4~試 料E6、試料C3及び試料C4)の耐久性を実施例1と 様の耐久性試験により調べた。その結果を 2に示す。

 表2より知られるごとく、試料E4~E6、試料C3 及び試料C4のいずれにおいて
も、正極側及び負極側ともに、「全ての控え 距離の平均値<全ての応力緩和部深さの平 値」という関係が成り立っていた。

 また、表2より知られるごとく、試料E4~E6 おいては、積層型圧電素子の積層方向にお る断面において、任意の位置の応力緩和部1 1、12の深さとこの応力緩和部11、12を挟んで 接する内部電極層13(53)、14(54)の控え部132(532) 、142(542)の控え距離133、143とを比較すると、 力緩和部11、12を挟む2つの内部電極層(隣接 極層)13(53)、14(54)の控え部132(532)、142(542)の ち、この応力緩和部11、12と同じ側面に位置 る控え部142(542)、132(532)の控え距離143、133は 、この応力緩和部11、12の深さ111、121よりも 均で0.2mm以上、最小でも0.04mm以上大きくなっ ている(図19及び図20参照)。また、試料E4~試料 E6は、隣接電極層53、54における内部電極部531 、541の外周端部539、549と、この隣接電極層53 54における控え部532、542と同じ側面に位置 る応力緩和部12、11の先端部122、112とが積層 向と垂直な方向に離間する離間部5を有して いる(図31参照)。そのため、本発明の実施例 かかる試料E4~試料E6は、応力緩和部11、12を む圧電セラミック層10を駆動層としつつも、 応力緩和部11、12に過大な電界がかかること 抑制又は防止することができ、表2より知ら るごとく、比較例(試料C3及び試料C4)に比べ 2倍を越える優れた寿命を示した。

 一方、試料C3においては、表2より知られ ごとく、隣接電極層の控え部の控え距離は 応力緩和部の深さよりも平均では0.03mm大き なっているものの、この控え距離が応力緩 部の深さよりも0.05mm小さくなっている部分 存在していた。

 また、試料C4においては、表2より知られ ごとく、隣接電極層の控え距離は、平均で 、最小でも応力緩和部の深さよりも小さく っていた。

 そのため、試料C3及び試料C4においては、 応力緩和部の少なくとも先端に過大な電界が かかるおそれがあり、表2より知られるごと 、上記試料E4~試料E6に比べて著しく寿命が低 下していた。

 以上のように、本例によれば変位性能を とんど損ねることなく、より確実に絶縁抵 の低下を防止し、耐久性に優れた積層型圧 素子(試料E4~試料E6)を提供することができる 。

 また、本例においては、応力緩和部11、12 を内部電極層13、14の間の圧電セラミック層10 内に形成した(図19参照)が、例えば図28に示す ごとく、内部電極層13、14と略同じ層に形成 ることもできる。この場合には、内部電極 13、14における控え部132、142に応力緩和部11 12を形成するのではなく、内部電極部131、141 と側面電極17、18とが電気的に接続する側の 面に露出する応力緩和部を形成することが きる。

(実施例3)
 次に、本発明の実施例にかかる積層型圧電 子について、図32~図35を用いて説明する。

 図32~34に示すごとく、実施例1と同様に、 例の積層型圧電素子1は、複数の圧電セラミ ック層10と複数の内部電極層23、24とを交互に 積層してなるセラミック積層体15と、その側 に形成された一対の側面電極17、18とを有す る。内部電極層23、24は、導電性を有する内 電極部231、241と、その外周端部がセラミッ 積層体15の外周面152よりも内方に所定の控え 距離で控えた控え部232、242とを有し、内部電 極層23、24は、交互に異なる側面電極17、18に 気的に接続されている。

 セラミック積層体15は、その側面から内 に凹むスリット状の領域に、圧電セラミッ 層10よりも形状を容易に変化し得る応力緩和 部11、12を有する。

 本例において、応力緩和部11(12)は、セラ ック積層体15の側面から内方に凹んだスリ ト状の溝部(空間)であり、セラミック積層体 15の外周面全周に渡って周方向に形成されて る。また、応力緩和部11(12)は、内部電極層2 3と内部電極層24間の圧電セラミック層10内に 成されており、内部電極部231、241又は控え 232、242とは接触しない位置に形成されてい 。

 図34に示すごとく、積層型圧電素子1の積 方向における断面において、セラミック積 体15の同じ側面151(152)に露出する全ての応力 緩和部11(12)の深さの平均115(125)は、該応力緩 部11(12)と同じ側面に形成された全ての上記 え部242(232)の控え距離の平均145(135)よりも大 きくなっている。

 また、図33及び図34に示すごとく、上記積 層型圧電素子1の積層方向における断面にお て、負極の上記側面電極17側に形成された上 記応力緩和部を負極側緩和部11とし、該負極 緩和部11を挟んで隣接する2つの上記内部電 層23、24のうち負極側の上記側面電極17に電 的に接続された上記内部電極層を基準電極 235とすると、上記負極側緩和部11に対して 層方向に上記基準電極層235を挟んで隣接し 正極側の側面電極18に接続された内部電極部 241を有する内部電極層24における控え部242の え距離243は、上記負極側緩和部11の深さよ も大きくなっている。即ち、上記基準電極 235の最も近くに形成された、正極側の側面 極18に電気的に接続する内部電極部241を有す る内部電極層24の控え部242の控え距離243、換 すれば、基準電極層235を挟んで該基準電極 235に隣接する、正極側の側面電極18に接続 れた2つの内部電極層のうち、積層方向にお て上記基準電極層235を介して上記負極側応 緩和部11とは反対側に位置する内部電極層24 の控え部242の控え距離243は、この基準電極層 235に隣接する負極側緩和部11の深さ111よりも きくなっている。

 また、積層型圧電素子1の積層方向におけ る断面において、正極の側面電極18側に形成 れた上記応力緩和部を正極側緩和部12とし 該正極側緩和部12を挟んでこれに隣接する2 の内部電極層23、24のうち負極側の側面電極1 7に電気的に接続された内部電極層23の控え部 232の控え距離233は、正極側緩和部12の深さ121 りも大きくなっている。即ち、正極側緩和 12を挟んで隣接する2つの内部電極層23、24の うち負極側の側面電極17に電気的に接続され 内部電極層23の控え部232の控え距離233は、 の内部電極層23に隣接する正極側緩和部12の さ121よりも大きくなっている。

 次に、本例の積層型圧電素子の製造方法 つき、図36~42を用いて説明する。実施例1及 2と同様に、本例においては、グリーンシー ト作製工程、電極印刷工程、消失スリット印 刷工程、圧着工程、積層体切断工程、及び焼 成工程を行うことにより、積層型圧電素子を 作製する。

 以下、製造方法を工程ごとに説明する。

<グリーンシート作製工程>
 まず、圧電材料となるジルコン酸チタン酸 (PZT)等のセラミック原料粉末を準備した。 体的には、出発原料としてPb3O4、SrCO3、ZrO2、 TiO2、Y2O3、及びNb2O5を準備し、これらの出発 料を目的組成PbZrO3-PbTiO3-Pb(Y1/2Nb1/2)O3となるよ うな化学量論比で秤量し、湿式混合し、温度 850℃で5時間仮焼した。次に、仮焼粉をパー ミルにより湿式粉砕した。この仮焼粉粉砕 (粒径(D50値):0.7±0.05μm)を乾燥した後、溶剤、 バインダ、可塑剤、分散剤等を加えてボール ミルにより混合し、得られたスラリーを真空 装置内で撹拌機により撹拌しながら真空脱泡 、粘度調整をした。

 そして、ドクターブレード法により、上 スラリーをキャリアフィルム上に塗布し、 さ80μmの長尺のグリーンシートを成形した このグリーンシートを所定の大きさに切断 て、幅広のグリーンシート110(図36~図38)を作 した。

 なお、グリーンシートの成形方法として 、本例で用いたドクターブレード法のほか 押出成形法やその他種々の方法を採用する とができる。

<電極印刷工程>
 次に、図36及び図37に示すごとく、グリーン シート110上に内部電極層となる電極材料130、 140を印刷し、第1電極印刷シート31及び第2電 印刷シート32の2種類のシートを形成した。

 以下に、電極印刷シート31、32の形成につ いてさらに説明する。

 第1電極印刷シート31の形成に当たっては 図37に示すごとく、グリーンシート110上の 刷領域41において、最終的に内部電極部231と なる部分に電極材料130を印刷して、第1電極 刷シート31を形成した。

 また、第2電極印刷シート32の形成に当た ては、第1電極印刷シートと同様に、図36に すごとく、グリーンシート110上の印刷領域4 1において、内部電極部241となる部分に電極 料140を印刷した。これにより、第2電極印刷 ート32を形成した。

 第1電極印刷シート31及び第2電極印刷シー ト32においては、グリーンシート110上に形成 れた電極材料130、140がそれぞれ異なる側面 露出している。

 なお、本例では、電極材料130、140として ペースト状のAg/Pd合金を用いた。また、上 以外にも、Ag、Pd、Cu、Ni等の単体、Cu/Ni等の 金を用いることができる。

<消失スリット印刷工程>
 また、本例では、製造しようとする積層型 電素子1のセラミック積層体15の側面にスリ ト部11、12(図32~図35参照)を設けるため、図38 に示すごとく、消失スリット印刷シート33を 成する消失スリット印刷工程を行った。

 同図に示すごとく、上記のグリーンシー 110上の印刷領域41において、最終的に応力 和部11、12となる部分に焼成によって消失す 消失材料よりなる消失スリット層120を印刷 た。これにより、消失スリット印刷シート3 3を形成した。

 なお、本例では、消失スリット層120を構成 る消失材料として、熱変形が小さく、
焼成工程によって形成される溝の形状精度を 高く維持し得るカーボン粒子よりなる材料を 用いた。また、カーボン粒子以外にも、炭化 させたパウダー状の炭化有機物粒子を用いる こともできる。この炭化有機物粒子は、パウ ダー状の有機物粒子を炭化して得ることがで きるほか、炭化させた有機物を粉砕して得る こともできる。さらに、上記有機物としては 、樹脂等の高分子材料や、コーン、大豆、小 麦粉等の穀物を用いることができる。この場 合には、製造コストを抑制することができる 。

 また、電極印刷工程及び消失スリット印 工程では、控え距離と応力緩和部との深さ の関係が上述の関係を満足するように電極 料及び消失材料を印刷した。また、電極印 工程及び消失スリット印刷工程では、図36~ 38に示すごとく、後工程のユニット切断工 において切断される部分を避けるように間 42を空けて、電極材料130、140、及び消失スリ ット層120の印刷を行う。つまり、グリーンシ ート110上の隣接する印刷領域41の間に間隙42 設けて印刷を行う。

<圧着工程>
 次に、図39に示すごとく、形成した第1電極 刷シート31、第2電極印刷シート32、及び消 スリット印刷シート33を所定の順序で各印刷 領域41を積層方向に揃えて積層した。このと 、第1電極印刷シート31及び第2電極印刷シー ト32を交互に積層し、上記スリット部を形成 たい位置に消失スリット印刷シート33を挿 して積層した。具体的には、本例において 、第1電極印刷シート31と第2電極印刷シート3 2との積層構造11層毎に消失スリット印刷シー ト33を積層し、第1電極印刷シート31及び第2電 極印刷シート32とが合計で59枚となるように 層し、さらに積層方向の両端に電極材料及 消失層が印刷されていないグリーンシート 積層した。このとき、第1電極印刷シート31 第2電極印刷シート32とは電極材料130と電極 料140とが交互に印刷領域の対向する端面に 出するように積層した。そしてこのように て積層したシートを温度100℃で加熱すると に、積層方向に50MPaで加圧し、予備積層体100 を作製した。なお、図39においては、図面作 の便宜のため、実際の積層数を省略した形 で予備積層体100を示してある。

<積層体切断工程>
 次に、図40~図43に示すごとく、形成した予 積層体100を切断位置43に沿って積層方向に切 断し、中間積層体10を形成した。

 なお、予備積層体100の切断は、各中間積 体10ごとに切断してもよいし、複数の中間 層体10を含んで切断してもよい。本例におい ては、各中間積層体10ごとに切断し、各電極 料130、140及び消失スリット層120が中間積層 10の側面に露出するように切断を行った。

 なお、図41及び図42においては、図面作成 の便宜のため、実際の積層数を省略した形式 で予備積層体100及び中間積層体10を示してあ 。

<焼成工程>
 次に、中間積層体10のグリーンシート110に 有されているバインダ樹脂を加熱除去した( 脂)。加熱は、80時間かけて徐々に500℃まで 温し、5時間保持することにより行った。

 次に、脱脂した中間積層体10を焼成した 焼成は、温度1050℃まで12時間かけて徐々に 温させ、2時間保持後、徐々に冷却すること より行った。

 このようにして、図32~図34に示すごとく 消失スリット層120が消失して形成されたス ット状の応力緩和部11、12を有するセラミッ 積層体15が作製される。応力緩和部11、12は セラミック積層体15の側面全周に渡ってス ット状の空間を設けてなる。また、同図に すごとく、作製されたセラミック積層体10は 、グリーンシート110が焼結してなる圧電セラ ミック層10と電極材料130、140により形成され 内部電極層23、24とを交互に積層してなる。

 そして、焼成後、全面研磨を行って縦6mm 横6mm×高さ4.4mmのセラミック積層体15を作製 、さらに、セラミック積層体15の両側面を挟 むように、側面電極17、18を焼き付けた。こ とき、各内部電極層13、14は、それぞれ交互 異なる側面の側面電極17、18に電気的に接続 される。

 以上のようにして、図32~図34に示すごと 、積層型圧電素子1を作製した。

 なお、図32~図34においては、図面作成の 宜のため、実際の積層数を省略した形式で 層型圧電素子1を示してある。

 本例においては、負極の側面電極17側に 成された負極側緩和部11に隣接する負極の側 面電極17側に電気的に接続された基準電極層2 35を、負極側緩和部11に対して積層方向に挟 で隣接し、正極側の側面電極18に接続された 内部電極層241の控え部242の控え距離243と上記 負極側緩和部11の深さとの差、及び、正極の 面電極18側に形成された正極側緩和部12に隣 接する、負極側の上記側面電極17に電気的に 続された内部電極層23の上記控え部232の控 距離233の控え距離と正極側応力緩和部12の深 さとの差が異なる5種類の積層型圧電素子(試 F1~試料F3、試料G1、試料G2)を作製した。

 即ち、試料F1は、実施例1の上記試料E1と 様に、上述の「控え距離-応力緩和部の深さ が平均で0.2mmの積層型圧電素子である。ま 、試料F1においては、上述の「控え距離-応 緩和部の深さ」の最小値を調べたところ0.04m mであった。したがって、試料F1においては、 負極側に接続される隣接電極235における控え 部232の控え距離233は、正極側応力緩和部12の さ111よりも少なくとも0.04mm以上大きくなっ いる(図33参照)。また、負極側緩和部11に対 て積層方向にはさんで隣接し、正極側の側 電極18に接続された内部電極層241の控え部24 2の控え距離243は、負極側応力緩和部11の深さ 121よりも少なくとも0.04mm以上大きくなってい る。

 また、試料F2及び試料F3は、上述の「控え 距離-応力緩和部の深さ」が、平均でそれぞ 0.39mm及び0.58mmであり、最小値でそれぞれ0.28m m及び0.49mmの積層型圧電素子である。

 試料G1及び試料G2は、平均でそれぞれ0.05mm 及び-0.20mm、最小値でそれぞれ-0.03mm及び-0.30mm の積層型圧電素子である。

 各試料について、正極側の側面電極に接 された内部電極層における全ての控え部の え距離を測定した。その平均値と範囲(ばら つき)を後述の表3に示す。同様に、負極側に いても、控え距離を測定し、その平均値と 囲(ばらつき)を後述の表3に示す。

 また、セラミック積層体の同じ側面(正極 の側面電極側の側面)に露出する全ての応力 和部の深さを測定した。その平均値と範囲( らつき)を後述の表3に示す。同様に負極側 ついても、応力緩和部の深さを測定し、そ 平均値と範囲(ばらつき)を後述の表3に示す

 次に、これらの積層型圧電素子(試料F1~試 料F3、試料G1及び試料G2)の耐久性を実施例1と 様の耐久性試験により調べた。その結果を 3に示す。

 表3より知られるごとく、試料F1~F3、試料G1 及び試料G2のいずれにおいても、正極側及び 負極側ともに、「全ての控え距離の平均値< ;全ての応力緩和部深さの平均値」という関 が成り立っていた。

 また、表3より知られるごとく、試料F1~F3 おいては、積層型圧電素子の積層方向にお る断面において、負極側に接続される隣接 極235における控え部232の控え距離233は、正 側応力緩和部12の深さ111よりも平均で0.2mm以 上、最小でも0.04mm以上大きく、負極側緩和部 11に対して積層方向にはさんで隣接し、正極 の側面電極18に接続された内部電極層241の え部242の控え距離243は、負極側応力緩和部11 の深さ121よりも平均で0.2mm以上、最小でも0.04 mm以上大きくなっている。(図33参照)。また、 試料F1~試料F3は、基準電極層235および、負極 緩和部11に対して積層方向にはさんで隣接 、正極側の側面電極18に接続された内部電極 層54における内部電極部531、541の外周端部539 549と、電極層53、54における控え部532、542と 同じ側面に位置する応力緩和部12、11の先端 122、112とが積層方向と垂直な方向に離間す 離間部6、7を有している(図35参照)。そのた 、本発明の実施例にかかる試料F1~試料F3は、 応力緩和部11、12を含む圧電セラミック層10を 駆動層としつつも、絶縁抵抗が低下し易い部 位に電界が印加されないことにより、表3よ 知られるごとく、比較例(試料G1及び試料G2) 比べて2倍を越える優れた寿命を示した。

 一方、試料G1においては、表3より知られ ごとく、上述の「控え距離-応力緩和部の深 さ」が平均では0.03mm大きくなっているものの 、この控え距離が応力緩和部の深さよりも0.0 5mm小さくなっている部分が存在していた。

 また、試料G2においては、表2より知られ ごとく、平均でも、最小でも応力緩和部の さよりも小さくなっていた。

 そのため、試料G1及び試料G2においては、 応力緩和部の少なくとも先端に過大な電界が かかるおそれがあり、表2より知られるごと 、上記試料F1~試料F3に比べて著しく寿命が低 下していた。

 以上のように、本例によれば変位性能を とんど損ねることなく、より確実に絶縁抵 の低下を防止し、耐久性に優れた積層型圧 素子(試料F1~試料F3)を提供することができる 。

 また、本例においては、内部電極部231、2 41とスリット層11、12とを図43に示す組み合わ のパターンで形成した。本発明はこのパタ ンに限定されるものではない。セラミック 層体は、該セラミック積層体を積層方向に 視した場合に、すべての内部電極部が重合 る領域である重合部と、少なくとも一部の 部電極部しか重合しない、あるいは全く重 しない領域である非重合部とを有するが、 力緩和部は、非重合部19に形成することが きる。

 内部電極部231、241とスリット層11、12との 組み合わせパターンを図44(a)~(c)に示す。いず れのパターンで形成しても、本発明の効果は 十分に発揮される。