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Patent Searching and Data


Title:
LIGHT EMITTING ELEMENT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/120603
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a light emitting element which includes an anode, a light emitting layer and a cathode by stacking them in this order. The light emitting layer includes nano crystal light emitting fine particles, and the light emitting element is driven by pulse width gradation.

Inventors:
SEKIYA TAKASHI (JP)
KAWAMURA HISAYUKI (JP)
TOKUDA RYUJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/055475
Publication Date:
October 09, 2008
Filing Date:
March 25, 2008
Export Citation:
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Assignee:
IDEMITSU KOSAN CO (JP)
SEKIYA TAKASHI (JP)
KAWAMURA HISAYUKI (JP)
TOKUDA RYUJI (JP)
International Classes:
H05B44/00; C09K11/00; C09K11/08; H05B33/12; H05B33/14
Domestic Patent References:
WO2005106835A12005-11-10
Foreign References:
JP2003217861A2003-07-31
JP2003234181A2003-08-22
JP2003272860A2003-09-26
JP2005522005A2005-07-21
JP2004226673A2004-08-12
Attorney, Agent or Firm:
WATANABE, Kihei (26 Kanda Suda-cho 1-chome, Chiyoda-k, Tokyo 41, JP)
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Claims:
 陽極、発光層及び陰極をこの順に積層して含み、
 前記発光層がナノクリスタル発光微粒子を含んでなり、
 パルス幅階調で駆動する発光素子。
 前記陽極及び前記発光層の間に正孔輸送層を含む請求項1に記載の発光素子
 前記発光層及び前記陰極の間に電子輸送層を含む請求項1に記載の発光素子。
 前記陽極及び前記発光層の間に正孔輸送層を含み、
 前記発光層及び前記陰極の間に電子輸送層を含む請求項1に記載の発光素子。
 陽極及び陰極と、
 前記陽極と前記陰極の間に、ナノクリスタル発光微粒子を含んでなる発光層を少なくとも2つ含み、
 前記発光層の間に少なくとも1つの中間接続層を備え、
 パルス幅階調で駆動する発光素子。
 前記発光層の厚さが、1~100nmである請求項1~5のいずれかに記載の発光素子。
 前記ナノクリスタル発光微粒子が、半導体ナノクリスタルである、請求項1~6のいずれかに記載の発光素子。
 前記半導体ナノクリスタルが、コア・シェル型半導体ナノクリスタルである請求項7に記載の発光素子。
Description:
発光素子

 本発明は、発光素子に関する。より詳し は、有機エレクトロルミネッセンス積層体 ナノクリスタル発光微粒子とを組み合わせ 発光素子に関する。

 有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子は 、有機物薄膜に電界を印加することにより、 陽極より注入された正孔と陰極より注入され た電子が有機物薄膜中で結合し、発光が生じ る原理を利用した自発光素子である。

 イーストマン・コダック社のC.W.Tangらに る積層型素子による低電圧駆動有機EL素子の 報告(非特許文献1)がなされて以来、有機材料 を構成材料とする有機EL素子に関する研究が んに行われている。

 しかしながら、有機EL素子には、発光色 変えるたびに新しい発光材料分子の設計及 開発が必要であり、発光スペクトルが比較 幅広く、色純度を向上させるのが難しいと う課題があった。

 上記課題を解決するため、ナノクリスタ 発光微粒子を利用した有機・無機ハイブリ ド型電界発光素子が検討されている。ナノ リスタル発光微粒子は、その粒径を変える とで発光色を制御することができ、単分散 ナノクリスタル発光微粒子は発光スペクト の半値幅が小さく、発光の色純度がよいと う効果を有する。

 例えば、特許文献1には、対向する電極間 にマトリックス層が挟持されており、マトリ ックス層が半導体ナノクリスタルを含む発光 素子が開示されている。この発光素子は、電 極、正孔輸送層、電子輸送層及び半導体ナノ クリスタルに加え、正孔ブロッキング層又は 電子ブロッキング層を有することができる。

 特許文献2には、発光層が、1種又は複数 の元素を発光中心としてドープした無機蛍 母体ナノ粒子が分散した媒体を含む電流注 型発光素子が開示されている。この電流注 型発光素子は、複数のドーパントによる多 長発光であり、正孔輸送層のイオン化ポテ シャルの絶対値が無機蛍光母体ナノ粒子の オン化ポテンシャルの絶対値より大きく、 び電子輸送層のLUMO準位の絶対値が無機蛍光 体ナノ粒子のLUMO準位の絶対値より大きい。

 特許文献3には、対向する電極間に発光層 が挟持されており、発光層が、半導体超微粒 子が分散した高分子化合物からなる電界発光 素子が開示されている。この電界発光素子は 、陰極と発光層との間に電子輸送層を有し、 発光層と電子輸送層との間に正孔ブロッキン グ層を有し、かつ発光層と正孔輸送層との間 に電子ブロッキング層を有する。

 特許文献4には、半導体結晶及びその表面に 配位した配位子からなる半導体超微粒子を用 いた電界発光素子が開示されている。
 また、特許文献5には、高分子正孔輸送層及 び有機物電子輸送層との間に、高分子正孔輸 送層に接触した独立のナノ結晶発光層を含む EL素子が開示されている。

 上記のほか、様々なナノクリスタル発光 粒子を利用した量子ドット発光素子(QD-LED) 提案されている。例えば、非特許文献2には リフェニルジアミン(TPD)、量子ドット(QD)及 クロロホルムの混合液を窒素雰囲気下でス ンコートし、溶媒を乾燥させて有機物と量 ドットを相分離させ、TPD表面にナノクリス ル発光微粒子のモノレイヤーを形成したQD-L EDが開示されている。

 非特許文献3には、コロイドQDの化学合成及 QD薄膜作製技術を用いたQD-LEDが開示されて る。
 非特許文献4には、発光過程を電荷伝導から 分離するため、QDの単一モノレイヤーを2つの 有機層で挟持し、有機層が電荷キャリアをQD 単一モノレイヤーの近傍に運んで発光を生 させるQD-LEDが開示されている。

 非特許文献5には、ポリフェニレンビニレン (PPV)及びCdSeナノクリスタルからなるヘテロ構 造の薄膜を有するQD-LEDが開示されている。
 非特許文献6には、ポリビニルカルバゾール (PVK)の薄膜(1000Å)及びオキサジアゾール誘導 中に単分散したCdSeナノクリスタルを、酸化 インジウム錫合金(ITO)及びAl電極で挟持したQD -LEDが開示されている。

 非特許文献7には、QD及びTPDの混合溶液をス ンコートし、溶媒を蒸発させて、QDとTPDを 分離して形成し、QDを秩序化した大面積モノ レイヤー(>cm 2 )を有するQD-LEDが開示されている。

 しかし、これら文献に開示されている発光 子において、例えば非特許文献2が開示する 発光素子は、輝度を上昇させようとして印加 電圧を上昇させると、ナノクリスタルの発光 に加え、例えば電子輸送層(Alq3)等が発光し、 所望の発光色が得られない課題があった。こ のことは、電圧を変化させて階調表示を行う 場合に、低電圧の低輝度領域及び高電圧の高 輝度領域で、色が変わってしまうことを意味 する。量子ドットが有する優れた単色性を活 かすためには、ナノクリスタル発光微粒子の みが発光する範囲の電圧で発光素子を駆動さ せる必要があるが、この範囲の電圧では得ら れる輝度に限界があった。

国際公開第2003/084292号パンフレット

特開2005-38634号公報

特開2004-172102号公報

特開2004-315661号公報

特開2005-353595号公報 C.W.Tang, S.A.Vanslyke, Applied Physics Letters,51 巻、913頁、1987年 S.Coe-Sullivan et al, Organic Electronics, 4 (20 03) 123-130頁 V.Bulovic and M.Bawendi, SID 06 Digest 35.1 (20 06) 1368-1371ページ S.Coe et al., Nature, 420 (2002) 800-803頁 H.Mattoussi et al., J.Appl.Phys., 83 (1998) 7965 -7974頁 B.O.Dabbousi and M.G.Bawendi, Appl.Phys.Lett.66 (1 995) 1316-1318頁 S.Coe-Sullivan et al, Adv. Funct. Mater, 15 (20 05) 1117-1124頁

 本発明の目的は、色変化のない階調表示 可能で、実用的な輝度を有する発光素子を 供することである。

 本発明によれば、以下の発光素子が提供さ る。
1.陽極、発光層及び陰極をこの順に積層して み、
 前記発光層がナノクリスタル発光微粒子を んでなり、
 パルス幅階調で駆動する発光素子。
2.前記陽極及び前記発光層の間に正孔輸送層 含む1に記載の発光素子
3.前記発光層及び前記陰極の間に電子輸送層 含む1に記載の発光素子。
4.前記陽極及び前記発光層の間に正孔輸送層 含み、
 前記発光層及び前記陰極の間に電子輸送層 含む1に記載の発光素子。
5.陽極及び陰極と、
 前記陽極と前記陰極の間に、ナノクリスタ 発光微粒子を含んでなる発光層を少なくと 2つ含み、
 前記発光層の間に少なくとも1つの中間接続 層を備え、
 パルス幅階調で駆動する発光素子。
6.前記発光層の厚さが、1~100nmである1~5のいず れかに記載の発光素子。
7.前記ナノクリスタル発光微粒子が、半導体 ノクリスタルである、1~6のいずれかに記載 発光素子。
8.前記半導体ナノクリスタルが、コア・シェ 型半導体ナノクリスタルである7に記載の発 光素子。

 本発明によれば、色変化のない階調表示 可能で、実用的な輝度を有する発光素子を 供することができる。

本発明の発光素子の第1の実施形態を示 す概略断面図である。 本発明の発光素子の第2の実施形態を示 す概略断面図である。 実施例1で製造した発光素子の電圧-輝 特性を示すグラフ図である。 実施例1で製造した発光素子の発光スペ クトルの印加電圧依存性を示すグラフ図であ る。 実施例1で製造した発光素子をパルス幅 階調駆動した場合の色度の輝度依存性を示す 図である。 実施例1で製造した発光素子を電圧階調 駆動した場合の色度の輝度依存性を示す図で ある。 実施例2で製造した発光素子の電圧-輝 特性を示すグラフ図である。 実施例2で製造した発光素子をパルス幅 階調駆動した場合の色度の輝度依存性を示す 図である。

 本発明の発光素子は、陽極、発光層及び陰 をこの順に積層して含み、発光層がナノク スタル発光微粒子を含んでなり、パルス幅 調で駆動する。
 本発明の発光素子は、好ましくは陽極及び 光層の間に正孔輸送層を含み、及び/又は発 光層及び陰極の間に電子輸送層を含む。

 また、本発明の別の態様の発光素子は、 極及び陰極と、陽極及び陰極の間にナノク スタル発光微粒子を含んでなる発光層を少 くとも2つ含み、発光層の間に少なくとも1 の中間接続層を備え、パルス幅階調で駆動 る。

 本発明の素子の一例を図を用いて説明する
 図1は本発明の発光素子の第1の実施形態を す概略断面図である。
 発光素子1では、基板(図示せず)上に陽極10 正孔輸送層20、発光層30、電子輸送層40、電 注入層50及び陰極60がこの順に積層されてお 、陽極10及び陰極60がパルス幅階調制御装置 70を介して電気的に接続されている。
 発光素子1は、正孔輸送層20から供給される 孔と、電子輸送層40から供給される電子と 結合して発光する。

 発光層30はナノクリスタル発光微粒子を んでなる。ナノクリスタル発光微粒子は後 するように無機物であるので、有機物と比 て劣化しにくい利点を有する。

 また、ナノクリスタル発光微粒子が半導 ナノクリスタルの場合、その励起状態は、 重項及び三重項状態が混合された性質を有 る。その寿命は、通常10~40nsと短く、燐光型 有機EL素子に高電流をかけた際に問題となる 起子-励起子対消滅を低減することができる 。また、混合されたスピン励起状態は、近接 のドナーサイトから一重項及び三重項励起子 の両方を捕獲しやすくする性質を有するので 、ナノクリスタル発光微粒子を含む発光素子 は高効率を実現できる。

 本発明の発光素子は、パルス幅階調で駆 する。パルス幅階調での駆動とは、発光ON の印加電圧(又は通電電流)が一定となるよう に制御し、ONとなる時間(パルス幅)を変える 又はON及びOFFの時間の比(デューティー比)を えることにより、時間平均としての輝度を 調する駆動方法を言う。発光素子をパルス 階調で駆動することで、印加電圧を一定と ることができ、輝度によって色度が変化す ことを抑制できる。

 上記パルス幅は、例えば1μs~100msであり、 好ましくは10μs~20msである。パルス幅が1μs未 の場合、発光素子の電気的時定数との関係 、発光素子に十分な電圧が印加されず、十 な発光が得られないおそれがある。パルス が100ms超の場合、表示された画像にちらつ を生じるおそれがある。デューティー比と ては、0から100%までを取ることができる。

 尚、図1において発光層30はナノクリスタ 発光微粒子の粒1層であるが、これに限定さ れない。本発明の効果を損なわない範囲で、 発光層は例えば粒2層以上でもよく、また、 隙があってもよい。また、発光層は、ナノ リスタル発光微粒子のみからなる発光層で よく、ナノクリスタル発光微粒子が分散し いる媒体からなる発光層でもよい。発光層 して、ナノクリスタル発光微粒子が分散し いる媒体からなる発光層を用いる場合、媒 が電荷輸送性を保持することが望ましく、 た、媒体が正孔輸送層、電子輸送層、電子 入層又は中間接続層を兼ねていてもよい。

 本発明の発光素子の構成は、上記実施形態 限定されるものではなく、例えば、以下に す(1)~(10)の構成、又は下記構成の部分構造 有していてもよい。
(1)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(2)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子 送層/陰極
(3)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子 入層/陰極(図1)
(4)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子 送層/電子注入層/陰極
(5)陽極/絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送 /陰極
(6)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/絶縁 /陰極
(7)陽極/絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送 /絶縁層/陰極
(8)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子 送層/絶縁層/陰極
(9)陽極/絶縁層/正孔注入層/正孔輸送層/発光 /電子輸送層/電子注入層/陰極(10)陽極/絶縁層 /正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/ 子注入層/絶縁層/陰極

 上記構成のうち、通常(1)、(2)、(3)、(4)、( 7)、(8)及び(10)の構成が好ましく用いられる。

 図1において、光の取り出し方向について 記載はないが、本発明の発光素子はトップエ ミッションタイプでもボトムエミッションタ イプでもよい。いずれのタイプでも、光を取 り出す側の電極が光透過性となる。

 図2は本発明の発光素子の第2の実施形態を す概略断面図である。
 発光素子2では、陽極10及び陰極60の間に、 極側から正孔輸送層20、発光層30及び電子輸 層40がこの順に積層してなる発光部90,92が積 層しており、陽極10及び陰極60がパルス幅階 制御装置70を介して電子的に接続されている 。また、これら2層の発光部90,92の間に中間接 続層80が挟持されている。

 上記発光素子2において、発光部90は、陽 10から正孔が注入され、中間接続層80から電 子注入されて発光する。また、発光部92は、 子注入層50から電子が注入され、中間接続 80から正孔が注入されて発光する。

 発光層のみが主に発光する範囲(電子輸送層 等の発光が十分小さい範囲)の電圧では、得 れる輝度に限界があるが、正孔輸送層20、発 光層30及び電子輸送層40からなる発光部を複 積層することにより、印加電圧はそれに応 て高くなるが、発光輝度は発光層の積層数 ほぼ比例して増加し、発光素子2は所望の輝 を得ることができる。これにより、各発光 に印加する電圧を、電子輸送層等が発光せ 、ナノクリスタル発光微粒子のみが主に発 する電圧領域に抑えつつ、発光素子が実用 度を得ることができる。
 尚、本実施形態において、2層の発光部90,92 、それぞれ異なっていても、同一でもよい また、この実施形態では、発光素子は2層積 層されているが、発光部間に中間接続層が積 層されていれば、2層以上積層してもよい。2 以上の中間接続層が積層されている場合に いて、これら中間接続層はそれぞれ異なっ いても、同一でもよい。

 尚、上記発光部90,92は正孔輸送層、発光 及び電子輸送層からなるが、本発明の発光 の構成はこれに限定されるものではない。 光部は、例えば、上述した発光素子の構成(1 )~(10)のうち、陽極及び陰極を除いた構成、又 はその部分構成を有してもよい。

 以下、本発明の発光素子の各構成部材及び れに使用する材料について説明する。
[発光層]
 本発明の発光素子の発光層はナノクリスタ 発光微粒子を含んでなる。この発光層は、 ノクリスタル発光微粒子のみからなる発光 でもよく、ナノクリスタル発光微粒子が分 している媒体からなる発光層でもよい。発 層として、ナノクリスタル発光微粒子が分 している媒体からなる発光層を用いる場合 媒体は好ましくは電子輸送性又は正孔輸送 を有する材料であり、後述する正孔輸送層 び電子輸送層に用いる材料を好適に用いる とができる。

 発光層に用いるナノクリスタル発光微粒子 、無機結晶をナノメートルオーダーまで超 粒子化した無機ナノクリスタルから構成さ る。無機ナノクリスタルとしては、可視及 /又は近紫外光を吸収して可視蛍光を発する ものを用いる。透明性が高く、散乱損失が小 さいことから、好ましくは粒径が20nm以下、 り好ましくは10nm以下まで超微粒子化した無 ナノクリスタルを用いる。
 無機ナノクリスタルの表面は相溶化処理さ ていることも好ましい。相溶化処理として 、例えば、長鎖アルキル基、燐酸、樹脂等 表面を修飾又はコーティングする等の処理 挙げられる。

 本発明に用いる無機ナノクリスタルとして 具体的には以下のものが挙げられる。
(1-a)金属酸化物に遷移金属イオンをドープし ナノクリスタル蛍光体
 金属酸化物に遷移金属イオンをドープした ノクリスタル蛍光体としては、Y 2 O 3 、Gd 2 O 3 、ZnO、Y 3 Al 5 O 12 、Zn 2 SiO 4 等の金属酸化物に、Eu 2+ 、Eu 3+ 、Ce 3+ 、Tb 3+ 等の、可視光を吸収する遷移金属イオンをド ープしたものが挙げられる。

(1-b)金属カルコゲナイド物に遷移金属イオン ドープしたナノクリスタル蛍光体
 金属カルコゲナイド物に遷移金属イオンを ープしたナノクリスタル蛍光体としては、Z nS、CdS、CdSe等の金属カルコゲナイド化物に、 Eu 2+ 、Eu 3+ 、Ce 3+ 、Tb 3+ 等の可視光を吸収する遷移金属イオンをドー プしたものが挙げられる。SやSe等が、後述す るマトリクス樹脂の反応成分により引き抜か れることを防止するため、シリカ等の金属酸 化物や有機物等で表面修飾してもよい。

(1-c)半導体のバンドギャップを利用し、可視 を吸収、発光するナノクリスタル蛍光体(半 導体ナノクリスタル)
 半導体ナノクスタルの材料としては、長周 型周期表のIV族元素、IIa族元素-VIb族元素の 合物、IIIa族元素-Vb族元素の化合物、IIIb族 素-Vb族元素の化合物、カルコパライト型化 物からなる結晶を挙げることができる。

 具体的には、Si、Ge、MgS、MgSe、ZnS、ZnSe、ZnTe 、AlP、AlAs、AlSb、GaP、GaAs、GaSb、CdS、CdSe、CdTe 、InP、InAs、InSb、AgAlAs 2 、AgAlSe 2 、AgAlTe 2 、AgGaS 2 、AgGaSe 2 、AgGaTe 2 、AgInS 2 、AgInSe 2 、AgInTe 2 、ZnSiP 2 、ZnSiAs 2 、ZnGeP 2 、ZnGeAs 2 、ZnSnP 2 、ZnSnAs 2 、ZnSnSb 2 、CdSiP 2 、CdSiAs 2 、CdGeP 2 、CdGeAs 2 、CdSnP 2 、CdSnAs 2 等の結晶、及びこれらの元素又は化合物から なる混晶結晶を挙げることができる。

 好ましくは、Si、AlP、AlAs、AlSb、GaP、GaAs、In P、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、CuGaSe 2 、CuGaTe 2 、CuInS 2 、CuInSe 2 、CuInTe 2 であり、直接遷移型半導体であるZnSe、ZnTe、G aAs、CdS、CdSe、CdTe、InP、CuInS 2 、CuInSe 2 が、発光効率が高いという点でより好ましい 。

 上記無機ナノクリスタルの中でも、粒径 よって発光波長を容易に制御でき、青色波 域及び近紫外波長域において大きな吸収を ち、かつ発光域における吸収と発光の重な 度が大きいことから、好ましくは半導体ナ クリスタルを用いる。

 以下、半導体ナノクリスタルの機能につい 説明する。
 特表2002-510866号公報等の文献で知られてい ように、これらの半導体材料は、バルク材 (微粒子化していない材料を意味する)では室 温で0.5~4.0eV程度のバンドギャップを有する。 これらの材料で微粒子を形成し、その粒径を ナノサイズ化することにより、半導体中の電 子がナノクリスタル中に閉じ込められる。そ の結果、ナノクリスタルでのバンドギャップ が大きくなる。

 バンドギャップの大きくなる幅は、理論 には、半導体微粒子の粒径の二乗に反比例 ることが知られている。そこで、半導体微 子の粒径を制御することにより、バンドギ ップを制御することができる。これらの半 体は、バンドギャップに相当する波長より さな波長の光を吸収し、バンドギャップに 当する波長の蛍光を発する。

 バルク半導体のバンドギャップとしては 好ましくは20℃で1.0eV~3.0eVである。1.0eVを下 ると、ナノクリスタル化したときに、粒径 変化に対して蛍光波長が敏感にシフトしす るため、製造管理が難しいという点で好ま くない。また、3.0eVを上回ると、近紫外領 より短い波長の蛍光しか発せず、カラー発 装置として応用しにくいという点で好まし ない。

 半導体ナノクリスタルは、公知の方法、 えば、米国特許6,501,091号公報記載の方法に り製造できる。この公報に記載されている 造例として、トリオクチルフォスフィン(TOP )にセレン化トリオクチルフォスフィンとジ チルカドニウムを混合した前駆体溶液を350 に加熱したトリオクチルフォスフィンオキ イド(TOPO)に投入する方法がある。

 上記半導体ナノクリスタルは、好ましく 半導体ナノクリスタルからなるコア粒子と コア粒子に用いる半導体材料よりもバンド ャップの大きな半導体材料からなる少なく も1層以上のシェル層とからなる、コア・シ ェル型半導体ナノクリスタルである。これは 、例えばCdSe(バンドギャップ:1.74eV)からなる ア微粒子の表面を、ZnS(バンドギャップ:3.8eV) のような、バンドギャップの大きな半導体材 料のシェルで被覆した構造を有する。これに より、コア微粒子内に発生する励起子の閉じ 込め効果を発現しやすくなる。上記の半導体 ナノクリスタルの具体例では、SやSe等が、後 述する透明媒体中の活性成分(未反応のモノ ーや水分等)により引き抜かれ、ナノクリス ルの結晶構造が壊れ、蛍光性が消滅すると う現象がおきやすい。そこで、これを防止 るため、シリカ等の金属酸化物や有機物等 表面修飾してもよい。

 コア・シェル型半導体のナノクリスタル 、公知の方法、例えば、米国特許6,501,091号 報に記載の方法により製造できる。例えば CdSeコア/ZnSシェル構造の場合、TOPにジエチ 亜鉛とトリメチルシリルサルファイドを混 した前駆体溶液を、CdSeコア粒子を分散したT OPO液を140℃に加熱したものに投入することで 製造できる。

 また、励起子を形成するキャリアが、コア シェルの間で分離される、いわゆるTypeII型 ノクリスタル(J.Am.Chem.Soc.,Vol.125,No.38,2003,p1146 6-11467)を用いることもできる。
 さらに、コア上に2層以上の層構造を積層し 、マルチシェル構造とし、安定性や発光効率 、発光波長の調整を改良したナノクリスタル (Angewandte Chemie,Vol.115,2003,p5189-5193)等を用いて よい。

 尚、上記の発光微粒子は、一種単独で使 してもよく、また、二種以上を組み合わせ 使用してもよい。

 本発明の発光素子の発光層の厚さは好ま くは1~100nmである。発光層の厚さが100nmを超 る場合、素子の抵抗が増加及し、これによ て素子の駆動電圧が上昇し、消費電力が増 するおそれがある。一方、厚さが1nm未満の 合、発光層中に存在する発光微粒子の密度 低過ぎて、発光層として機能しないおそれ ある。

 本発明の発光素子の発光層は、例えば、 光微粒子を溶媒に分散させて調製した混合 をキャスティング又はスピンコーティング た後、乾燥させることにより形成すること できる。上記の方法の他、本発明の発光素 の発光層は、正孔輸送材料又は電子輸送材 と発光微粒子を溶媒に溶かして調製した混 液をキャスティング又はスピンコーティン した後、乾燥させることにより形成するこ ができる。上記の発光層の製造方法におい 、さらに相分離を用いることで、発光微粒 のみからなる層(粒1層又は粒2層以上の積層 )を形成することもできる。

[正孔注入・輸送層]
 正孔注入・輸送層は発光層への正孔注入を け、発光領域まで輸送する層であって、正 移動度が大きく、イオン化エネルギーが通 5.5eV以下と小さい。このような正孔注入・ 送層としては、より低い電界強度で正孔を 光媒体層に輸送する材料が好ましく、さら 正孔の移動度が、例えば10 4 ~10 6 V/cmの電界印加時に、少なくとも10 -4 cm 2 /V・秒であれば好ましい。

 正孔注入・輸送層を形成する材料として 、前記の好ましい性質を有するものであれ 特に制限はなく、従来、光導伝材料におい 正孔の電荷輸送材料として慣用されている のや、有機EL素子の正孔注入・輸送層に使 される公知のものの中から任意のものを選 して用いることができる。

 具体例としては、トリアゾール誘導体(米 国特許3,112,197号明細書等参照)、オキサジア ール誘導体(米国特許3,189,447号明細書等参照) 、イミダゾール誘導体(特公昭37-16096号公報等 参照)、ポリアリールアルカン誘導体(米国特 3,615,402号明細書、同第3,820,989号明細書、同 3,542,544号明細書、特公昭45-555号公報、同51-1 0983号公報、特開昭51-93224号公報、同55-17105号 報、同56-4148号公報、同55-108667号公報、同55- 156953号公報、同56-36656号公報等参照)、ピラゾ リン誘導体及びピラゾロン誘導体(米国特許 3,180,729号明細書、同第4,278,746号明細書、特 昭55-88064号公報、同55-88065号公報、同49-105537 公報、同55-51086号公報、同56-80051号公報、同 56-88141号公報、同57-45545号公報、同54-112637号 報、同55-74546号公報等参照)、フェニレンジ ミン誘導体(米国特許第3,615,404号明細書、特 昭51-10105号公報、同46-3712号公報、同47-25336 公報、同54-119925号公報等参照)、アリールア ン誘導体(米国特許第3,567,450号明細書、同第 3,240,597号明細書、同第3,658,520号明細書、同第 4,232,103号明細書、同第4,175,961号明細書、同第 4,012,376号明細書、特公昭49-35702号公報、同39-2 7577号公報、特開昭55-144250号公報、同56-119132 公報、同56-22437号公報、西独特許第1,110,518号 明細書等参照)、アミノ置換カルコン誘導体( 国特許第3,526,501号明細書等参照)、オキサゾ ール誘導体(米国特許第3,257,203号明細書等に 示のもの)、スチリルアントラセン誘導体(特 開昭56-46234号公報等参照)、フルオレノン誘導 体(特開昭54-110837号公報等参照)、ヒドラゾン 導体(米国特許第3,717,462号明細書、特開昭54- 59143号公報、同55-52063号公報、同55-52064号公報 、同55-46760号公報、同57-11350号公報、同57-14874 9号公報、特開平2-311591号公報等参照)、スチ ベン誘導体(特開昭61-210363号公報、同第61-2284 51号公報、同61-14642号公報、同61-72255号公報、 同62-47646号公報、同62-36674号公報、同62-10652号 公報、同62-30255号公報、同60-93455号公報、同60 -94462号公報、同60-174749号公報、同60-175052号公 報等参照)、シラザン誘導体(米国特許第4,950,9 50号明細書)、ポリシラン系(特開平2-204996号公 報)、アニリン系共重合体(特開平2-282263号公 )、導電性高分子オリゴマー(特にチオフェン オリゴマー)等を挙げることができる。

 正孔注入・輸送層の材料としては上記の のを使用することができるが、ポルフィリ 化合物(特開昭63-295695号公報等に開示のもの )、芳香族第三級アミン化合物及びスチリル ミン化合物(米国特許第4,127,412号明細書、特 昭53-27033号公報、同54-58445号公報、同55-79450 公報、同55-144250号公報、同56-119132号公報、 61-295558号公報、同61-98353号公報、同63-295695 公報等参照)、特に芳香族第三級アミン化合 を用いることが好ましい。

 また、米国特許第5,061,569号に記載されて る2個の縮合芳香族環を分子内に有する、例 えば、4,4’-ビス(N-(1-ナフチル)-N-フェニルア ノ)ビフェニル(以下NPDと略記する)、また特 平4-308688号公報に記載されているトリフェ ルアミンユニットが3つスターバースト型に 結された4,4’,4”-トリス(N-(3-メチルフェニ )-N-フェニルアミノ)トリフェニルアミン(以 MTDATAと略記する)等を挙げることができる。

 正孔注入・輸送層の材料としては下記一般 (1)で表される芳香族アミン誘導体が望まし 。
[式中、L 1 は置換もしくは無置換の炭素数5~60のアリー ン基又は複素環基よりなる2価の基であり、A r 7 ~Ar 10 はそれぞれ置換もしくは無置換の核原子数5~5 0の置換基又は下記一般式で表される置換基 ある。Ar 7 とAr 8 、Ar 9 とAr 10 は、直接結合して縮合複素環を形成してもよ い。
(式中、L 2 は置換もしくは無置換の炭素数5~60のアリー ン基又は複素環基よりなる2価の基であり、A r 11 ~Ar 12 はそれぞれ置換もしくは無置換の核原子数5~5 0の置換基である。)]

 L 1 及びL 2 として、ビフェニレン、ターフェニレン、フ ェナントレン又はフルオレニレンを例示でき 、好ましくはビフェニレン、ターフェニレン であり、更に好ましくはビフェニレンである 。

 Ar 7 ~Ar 12 として、ビフェニル基、ターフェニル基、フ ェナントレン基、フルオレニル基、1-ナフチ 基、2-ナフチル基又はフェニル基を例示で 、、好ましくはビフェニル基、ターフェニ 基、1-ナフチル基又はフェニル基である。

 前記一般式(1)で表される化合物は、Ar 7 ~Ar 10 が同一の置換基であることが好ましい。その 際、Ar 7 ~Ar 10 は好ましくはビフェニル基、ターフェニル基 であり、より好ましくはビフェニル基である 。

 また、前記一般式(1)で表される化合物は、A r 7 ~Ar 10 の置換基のうちAr 8 ~Ar 10 が同一の置換基であることが好ましい。その 際、Ar 8 ~Ar 10 は好ましくはビフェニル基、ターフェニル基 であり、より好ましくはビフェニル基であり 、Ar 7 は好ましくはビフェニル基、ターフェニル基 、フェナントレン基、フルオレニル基、1-ナ チル基、2-ナフチル基又はフェニル基であ 、より好ましくはビフェニル基、ターフェ ル基、1-ナフチル基又はフェニル基である。 さらに好ましくはAr 8 ~Ar 10 がビフェニルであり、Ar 7 がターフェニル基、1-ナフチル基である。ま 、Ar 7 ~Ar 10 がベンゼン環であって、Ar 7 とAr 8 、Ar 9 とAr 10 が、直接結合して形成されるカルバゾリル基 も好ましい。

 また、前記一般式(1)で表される化合物は、A r 7 ~Ar 10 の置換基のうち3つ以上が異なる置換基であ ことが好ましい。Ar 7 ~Ar 12 としては好ましくはビフェニル基、ターフェ ニル基、フェナントレン基、フルオレニル基 、1-ナフチル基、2-ナフチル基又はフェニル であり、より好ましくはビフェニル基、タ フェニル基、1-ナフチル基又はフェニル基で ある。さらに好ましくはAr 9 ~Ar 10 がビフェニルであり、Ar 7 がターフェニル基、1-ナフチル基であり、Ar 8 はフェニル基である。

 以下に本発明で用いることができる芳香族 ミン誘導体の具体例を示す。

 また、芳香族アミン誘導体として、ポリビ ルカルバゾール(PVK)も好ましい。
 この他に特許3571977号で開示されている下記 式で表される含窒素複素環誘導体も用いるこ とができる。
(式中、R 121 ~R 126 は、それぞれ置換又は無置換のアルキル基、 置換又は無置換のアリール基、置換又は無置 換のアラルキル基、置換又は無置換の複素環 基のいずれかを示す。但し、R 121 ~R 126 は同じでも異なっていてもよい。また、R 121 とR 122 、R 123 とR 124 、R 125 とR 126 、R 121 とR 126 、R 122 とR 123 、R 124 とR 125 が縮合環を形成していてもよい。)

 さらに、米国公開2004/0113547で記載されてい 下記式の化合物も用いることができる。
(式中、R 131 ~R 136 は置換基であり、好ましくはシアノ基、ニト ロ基、スルホニル基、カルボニル基、トリフ ルオロメチル基、ハロゲン等の電子吸引基で ある。)

 これらの材料に代表されるように、アクセ ター性材料も正孔注入・輸送層の材料とし 用いることができる。これらの具体例は上 した通りである。
 また、発光層の材料として示した前述の芳 族ジメチリディン系化合物の他、p型Si、p型 SiC等の無機化合物も正孔注入層の材料として 使用することができる。

 正孔注入・輸送層は上記の化合物を、例 ば、真空蒸着法、スピンコート法、キャス 法、LB法等の公知の方法により薄膜化する とにより形成することができる。正孔注入 輸送層としての膜厚は特に制限はないが、 常は5nm~5μmである。この正孔注入・輸送層は 、正孔輸送帯域に上記化合物を含有していれ ば、上述した材料の一種又は二種以上からな る一層で構成されてもよく、前記正孔注入・ 輸送層とは別種の化合物からなる正孔注入・ 輸送層を積層したものであってもよい。

[電子注入・輸送層]
 電子注入層・輸送層は、発光層への電子の 入を助け、発光領域まで輸送する層であっ 、電子移動度が大きく、また付着改善層は この電子注入層の中で特に陰極との付着が い材料からなる層である。
 電子輸送層は数nm~数μmの膜厚で適宜選ばれ が、特に膜厚が厚いとき、電圧上昇を避け ために、10 4 ~10 6 V/cmの電界印加時に電子移動度が少なくとも10 -5 cm 2 /Vs以上であることが好ましい。
 電子注入層に用いられる材料としては、8- ドロキシキノリン又はその誘導体の金属錯 やオキサジアゾール誘導体が好適である。 記8-ヒドロキシキノリン又はその誘導体の金 属錯体の具体例としては、オキシン(一般に8- キノリノール又は8-ヒドロキシキノリン)のキ レートを含む金属キレートオキシノイド化合 物、例えばトリス(8-キノリノール)アルミニ ム(Alq3)を電子注入材料として用いることが きる。

 一方、オキサジアゾール誘導体としては 以下の一般式で表される電子伝達化合物が げられる。

(式中、Ar 111 ,Ar 112 ,Ar 113 ,Ar 115 ,Ar 116 ,Ar 119 はそれぞれ置換又は無置換のアリール基を示 し、それぞれ互いに同一であっても異なって いてもよい。またAr 114 ,Ar 117 ,Ar 118 は置換又は無置換のアリーレン基を示し、そ れぞれ同一であっても異なっていてもよい)
 ここでアリール基としてはフェニル基、ビ ェニリル基、アントリル基、ペリレニル基 ピレニル基が挙げられる。また、アリーレ 基としてはフェニレン基、ナフチレン基、 フェニレン基、アントリレン基、ペリレニ ン基、ピレニレン基等が挙げられる。また 置換基としては炭素数1~10のアルキル基、炭 素数1~10のアルコキシ基又はシアノ基等が挙 られる。この電子伝達化合物は薄膜形成性 ものが好ましい。

 上記電子伝達性化合物の具体例としては 記のものを挙げることができる。

 さらに、電子注入層及び電子輸送層に用 られる材料として、下記式(A)~(F)で表される ものも用いることができる。

(式(A)及び(B)中、A 21 ~A 23 は、それぞれ独立に、窒素原子又は炭素原子 である。
 Ar 21 は、置換もしくは無置換の核炭素数6~60のア ール基、又は置換もしくは無置換の核炭素 3~60のヘテロアリール基であり、Ar 22 は、水素原子、置換もしくは無置換の核炭素 数6~60のアリール基、置換もしくは無置換の 炭素数3~60のヘテロアリール基、置換もしく 無置換の炭素数1~20のアルキル基、又は置換 もしくは無置換の炭素数1~20のアルコキシ基 あるいはこれらの2価の基である。ただし、A r 21 及びAr 22 のいずれか一方は、置換もしくは無置換の核 炭素数10~60の縮合環基、又は置換もしくは無 換の核炭素数3~60のモノヘテロ縮合環基、あ るいはこれらの2価の基である。
 Ar 23 は、置換もしくは無置換の炭素数6~60のアリ レン基、又は置換もしくは無置換の炭素数3~ 60のヘテロアリーレン基である。
 L 11 、L 12 及びL 13 は、それぞれ独立に、単結合、置換もしくは 無置換の核炭素数6~60のアリーレン基、置換 しくは無置換の核炭素数3~60のヘテロアリー ン基、又は置換もしくは無置換のフルオレ レン基である。
 R 81 は、水素原子、置換もしくは無置換の核炭素 数6~60のアリール基、置換もしくは無置換の 炭素数3~60のヘテロアリール基、置換もしく 無置換の炭素数1~20のアルキル基、又は置換 もしくは無置換の炭素数1~20のアルコキシ基 あり、nは0~5の整数であり、nが2以上の場合 複数のR 81 は同一でも異なっていてもよく、また、隣接 する複数のR 81 基同士で結合して、炭素環式脂肪族環又は炭 素環式芳香族環を形成していてもよい。
 R 82 は、水素原子、置換もしくは無置換の核炭素 数6~60のアリール基、置換もしくは無置換の 炭素数3~60のヘテロアリール基、置換もしく 無置換の炭素数1~20のアルキル基、又は置換 もしくは無置換の炭素数1~20のアルコキシ基 又は-L 11 -Ar 21 -Ar 22 である。)で表される含窒素複素環誘導体。

     HAr-L 14 -Ar 24 -Ar 25      (C)
(式中、HArは、置換基を有していてもよい炭 数3~40の含窒素複素環であり、L 14 は、単結合、置換基を有していてもよい炭素 数6~60のアリーレン基、置換基を有していて よい炭素数3~60のヘテロアリーレン基又は置 基を有していてもよいフルオレニレン基で り、Ar 24 は、置換基を有していてもよい炭素数6~60の2 の芳香族炭化水素基であり、Ar 25 は、置換基を有していてもよい炭素数6~60の リール基又は置換基を有していてもよい炭 数3~60のヘテロアリール基である。)で表され る含窒素複素環誘導体。

(式中、X 11 及びY 11 は、それぞれ独立に炭素数1~6の飽和若しくは 不飽和の炭化水素基、アルコキシ基、アルケ ニルオキシ基、アルキニルオキシ基、ヒドロ キシ基、置換若しくは無置換のアリール基、 置換若しくは無置換のヘテロ環又はX 11 とY 11 が結合して飽和又は不飽和の環を形成した構 造であり、R 85 ~R 88 は、それぞれ独立に水素、ハロゲン原子、置 換もしくは無置換の炭素数1から6までのアル ル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、 ーフルオロアルキル基、パーフルオロアル キシ基、アミノ基、アルキルカルボニル基 アリールカルボニル基、アルコキシカルボ ル基、アリールオキシカルボニル基、アゾ 、アルキルカルボニルオキシ基、アリール ルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル キシ基、アリールオキシカルボニルオキシ 、スルフィニル基、スルフォニル基、スル ァニル基、シリル基、カルバモイル基、ア ール基、ヘテロ環基、アルケニル基、アル ニル基、ニトロ基、ホルミル基、ニトロソ 、ホルミルオキシ基、イソシアノ基、シア ート基、イソシアネート基、チオシアネー 基、イソチオシアネート基もしくはシアノ 又は隣接した場合には置換若しくは無置換 環が縮合した構造である。)で表されるシラ シクロペンタジエン誘導体。

(式中、R 91 ~R 98 及びZ 2 は、それぞれ独立に、水素原子、飽和もしく は不飽和の炭化水素基、芳香族基、ヘテロ環 基、置換アミノ基、置換ボリル基、アルコキ シ基又はアリールオキシ基を示し、X 12 、Y 12 及びZ 1 は、それぞれ独立に、飽和もしくは不飽和の 炭化水素基、芳香族基、ヘテロ環基、置換ア ミノ基、アルコキシ基又はアリールオキシ基 を示し、Z 1 とZ 2 の置換基は相互に結合して縮合環を形成して もよく、nは1~3の整数を示し、nが2以上の場合 、Z 1 は異なってもよい。但し、nが1、X 12 、Y 12 及びR 92 がメチル基であって、R 98 が、水素原子又は置換ボリル基の場合、及び nが3でZ 1 がメチル基の場合を含まない。)で表される ラン誘導体。

(式中、Q 1 及びQ 2 は、それぞれ独立に、下記式(G)で示される配 位子を表し、L 15 は、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のア ルキル基、置換もしくは無置換のシクロアル キル基、置換もしくは無置換のアリール基、 置換もしくは無置換の複素環基、-OR (R は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキ ル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル 基、置換もしくは無置換のアリール基、置換 もしくは無置換の複素環基である。)又は-O-Ga -Q 3 (Q 4 )(Q 3 及びQ 4 は、Q 1 及びQ 2 と同じ)で示される配位子を表す。)

(式中、環A 24 及びA 25 は、置換基を有してよい互いに縮合した6員 リール環構造である。)

 この金属錯体は、n型半導体としての性質が 強く、電子注入能力が大きい。さらには、錯 体形成時の生成エネルギーも低いために、形 成した金属錯体の金属と配位子との結合性も 強固になり、発光材料としての蛍光量子効率 も大きくなっている。
 式(G)の配位子を形成する環A 24 及びA 25 の置換基の具体的な例を挙げると、塩素、臭 素、ヨウ素、フッ素のハロゲン原子、メチル 基、エチル基、プロピル基、ブチル基、s-ブ ル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル 、ヘプチル基、オクチル基、ステアリル基 トリクロロメチル基等の置換もしくは無置 のアルキル基、フェニル基、ナフチル基、3- メチルフェニル基、3-メトキシフェニル基、3 -フルオロフェニル基、3-トリクロロメチルフ ェニル基、3-トリフルオロメチルフェニル基 3-ニトロフェニル基等の置換もしくは無置 のアリール基、メトキシ基、n-ブトキシ基、 t-ブトキシ基、トリクロロメトキシ基、トリ ルオロエトキシ基、ペンタフルオロプロポ シ基、2,2,3,3-テトラフルオロプロポキシ基 1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロポキシ基、6- (パーフルオロエチル)ヘキシルオキシ基等の 換もしくは無置換のアルコキシ基、フェノ シ基、p-ニトロフェノキシ基、p-t-ブチルフ ノキシ基、3-フルオロフェノキシ基、ペン フルオロフェニル基、3-トリフルオロメチル フェノキシ基等の置換もしくは無置換のアリ ールオキシ基、メチルチオ基、エチルチオ基 、t-ブチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチ チオ基、トリフルオロメチルチオ基等の置 もしくは無置換のアルキルチオ基、フェニ チオ基、p-ニトロフェニルチオ基、p-t-ブチ フェニルチオ基、3-フルオロフェニルチオ 、ペンタフルオロフェニルチオ基、3-トリフ ルオロメチルフェニルチオ基等の置換もしく は無置換のアリールチオ基、シアノ基、ニト ロ基、アミノ基、メチルアミノ基、ジエチル アミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ 基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基 、ジフェニルアミノ基等のモノ又はジ置換ア ミノ基、ビス(アセトキシメチル)アミノ基、 ス(アセトキシエチル)アミノ基、ビスアセ キシプロピル)アミノ基、ビス(アセトキシブ チル)アミノ基等のアシルアミノ基、水酸基 シロキシ基、アシル基、カルバモイル基、 チルカルバモイル基、ジメチルカルバモイ 基、エチルカルバモイル基、ジエチルカル モイル基、プロイピルカルバモイル基、ブ ルカルバモイル基、フェニルカルバモイル 等の置換もしくは無置換のカルバモイル基 カルボン酸基、スルフォン酸基、イミド基 シクロペンタン基、シクロヘキシル基等の クロアルキル基、フェニル基、ナフチル基 ビフェニリル基、アントリル基、フェナン リル基、フルオレニル基、ピレニル基等の リール基、ピリジニル基、ピラジニル基、 リミジニル基、ピリダジニル基、トリアジ ル基、インドリニル基、キノリニル基、ア リジニル基、ピロリジニル基、ジオキサニ 基、ピペリジニル基、モルフォリジニル基 ピペラジニル基、トリアチニル基、カルバ リル基、フラニル基、チオフェニル基、オ サゾリル基、オキサジアゾリル基、ベンゾ キサゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾ ル基、ベンゾチアゾリル基、トリアゾリル 、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基 プラニル基等の複素環基等がある。また、 上の置換基同士が結合してさらなる6員アリ ル環もしくは複素環を形成しても良い。

 本発明の好ましい形態に、電子を輸送す 領域,又は陰極と有機層の界面領域に、還元 性ドーパントを含有する素子がある。ここで 、還元性ドーパントとは、電子輸送性化合物 を還元ができる物質と定義される。従って、 一定の還元性を有するものであれば、様々な ものが用いられ、例えば、アルカリ金属、ア ルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属 の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、ア ルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属 のハロゲン化物、希土類金属の酸化物又は希 土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有 機錯体、アルカリ土類金属の有機錯体、希土 類金属の有機錯体からなる群から選択される 少なくとも一つの物質を好適に使用すること ができる。

 また、より具体的に、好ましい還元性ドー ントとしては、Li(仕事関数:2.9eV)、Na(仕事関 数:2.36eV)、K(仕事関数:2.28eV)、Rb(仕事関数:2.16e V)及びCs(仕事関数:1.95eV)からなる群から選択 れる少なくとも一つのアルカリ金属や、Ca( 事関数:2.9eV)、Sr(仕事関数:2.0~2.5eV)、及びBa( 事関数:2.52eV)からなる群から選択される少な くとも一つのアルカリ土類金属が挙げられる 仕事関数が2.9eV以下のものが特に好ましい。
 これらのうち、より好ましい還元性ドーパ トは、K、Rb及びCsからなる群から選択され 少なくとも一つのアルカリ金属であり、さ に好ましくは、Rb又はCsであり、最も好まし のは、Csである。

 これらのアルカリ金属は、特に還元能力が く、電子注入域への比較的少量の添加によ 、発光素子における発光輝度の向上や長寿 化が図られる。また、仕事関数が2.9eV以下 還元性ドーパントとして、これら2種以上の ルカリ金属の組み合わせも好ましく、特に Csを含んだ組み合わせ、例えば、CsとNa、Cs K、CsとRbあるいはCsとNaとKとの組み合わせで ることが好ましい。
 Csを組み合わせて含むことにより、還元能 を効率的に発揮することができ、電子注入 への添加により、発光素子における発光輝 の向上や長寿命化が図られる。

 本発明においては陰極と有機層の間に絶縁 や半導体で構成される電子注入層をさらに けてもよい。この時、電流のリークを有効 防止して、電子注入性を向上させることが きる。
 このような絶縁体としては、アルカリ金属 ルコゲナイド、アルカリ土類金属カルコゲ イド、アルカリ金属のハロゲン化物及びア カリ土類金属のハロゲン化物からなる群か 選択される少なくとも一つの金属化合物を 用するのが好ましい。電子注入層がこれら アルカリ金属カルコゲナイド等で構成され いれば、電子注入性をさらに向上させるこ ができる点で好ましい。

 具体的に、好ましいアルカリ金属カルコゲ イドとしては、例えば、Li 2 O、LiO、Na 2 S、Na 2 Se及びNaOが挙げられ、好ましいアルカリ土類 属カルコゲナイドとしては、例えば、CaO、B aO、SrO、BeO、BaS、及びCaSeが挙げられる。また 、好ましいアルカリ金属のハロゲン化物とし ては、例えば、LiF、NaF、KF、LiCl、KCl及びNaCl が挙げられる。また、好ましいアルカリ土 金属のハロゲン化物としては、例えば、CaF 2 、BaF 2 、SrF 2 、MgF 2 及びBeF 2 といったフッ化物や、フッ化物以外のハロゲ ン化物が挙げられる。

 また、電子輸送層を構成する半導体として 、Ba、Ca、Sr、Yb、Al、Ga、In、Li、Na、Cd、Mg、 Si、Ta、Sb及びZnの少なくとも一つの元素を含 酸化物、窒化物又は酸化窒化物等の一種単 又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
 また、電子輸送層を構成する無機化合物が 微結晶又は非晶質の絶縁性薄膜であること 好ましい。電子輸送層がこれらの絶縁性薄 で構成されていれば、より均質な薄膜が形 されるために、ダークスポット等の画素欠 を減少させることができる。
 尚、このような無機化合物としては、上述 たアルカリ金属カルコゲナイド、アルカリ 類金属カルコゲナイド、アルカリ金属のハ ゲン化物及びアルカリ土類金属のハロゲン 物等が挙げられる。

[中間接続層]
 中間接続層とは二つの発光部を接続する層 ある。
 中間接続層は例えば、陰極側からアクセプ ー層、ドナー層及び電子輸送材料層をこの に積層した構成を有する。アクセプター層 は、隣接する発光部から電子を引き抜き(電 子をアクセプトする)、ドナー層へ移送する である。また、ドナー層とは、アクセプタ 層から電子を受け取り電子を電子輸送材料 に注入する(電子をドナーする)層である。電 子輸送材料層は、隣接する発光部に電子を注 入する層である。
 尚、例えば第二の実施形態の発光素子のよ に、発光部に電子輸送層を含む場合は、中 接続層の電子輸送材料層を省略することも きる。

 アクセプターは、易還元性の有機化合物で る。
 化合物の還元しやすさは、還元電位で測定 ることができる。この還元電位は、例えば 和カロメル(SCE)電極を参照電極とした還元 位において、好ましくは-0.8V以上、より好ま しくは-0.3V以上であり、特に好ましくはテト シアノキノジメタン(TCNQ)の還元電位(約0V)よ り大きな値を持つ化合物が好ましい。

 アクセプターは、好ましくは、電子吸引性 置換基又は電子欠乏環を有する有機化合物 ある。
 電子吸引性の置換基として、例えば、ハロ ン、CN-、カルボニル基、アリールホウ素基 が挙げられる。
 電子欠乏環として、例えば、2-ピリジル、3- ピリジル、4-ピリジル、2-キノリル、3-キノリ ル、4-キノリル、2-イミダゾール、4-イミダゾ ール、3-ピラゾール、4-ピラゾール、ピリダ ン、ピリミジン、ピラジン、シンノリン、 タラジン、キナゾリン、キノキサリン、3-(1, 2,4-N)-トリアゾリル、5-(1,2,4-N)-トリアゾリル 5-テトラゾリル、4-(1-O,3-N)-オキサゾール、5-( 1-O,3-N)-オキサゾール、4-(1-S,3-N)-チアゾール、 5-(1-S,3-N)-チアゾール、2-ベンゾキサゾール、2 -ベンゾチアゾール、4-(1,2,3-N)-ベンゾトリア ール、及びベンズイミダゾールからなる群 ら選択される化合物等が挙げられるが、必 しもこれらに限定されるわけではない。
 さらに具体的には、例えば、TAZ(3-(4-ビフェ ルイル)-4-フェニル-5-t-ブチルフェニル-1,2,4- トリアゾール)やBCP(2,9-ジメチル-4,7-ジフェニ -フェナントロリン)を好ましく挙げること できる。

 アクセプターは、好ましくはキノイド誘 体、アリールボラン誘導体、チオピランジ キシド誘導体、ナフタルイミド誘導体等の ミド誘導体、ヘキサアザトリフェニレン誘 体等がある。

 キノイド誘導体としては下記に示したよう 化合物が好ましい。
(式中、R 1 ~R 48 は、それぞれ水素、ハロゲン、フルオロアル キル基、シアノ基、アルコキシ基、アルキル 基又はアリール基である。ただし、R 1 ~R 48 が同一分子中で全て、水素又はフッ素である ものは除く。Xは電子吸引基であり、下記式(j )~(p)の構造のいずれかからなる。好ましくは (j)、(k)、(l)の構造である。
(式中、R 49 ~R 52 は、それぞれ水素、フルオロアルキル基、ア ルキル基、アリール基又は複素環基であり、 R 50 とR 51 が環を形成してもよい。)
 Yは、-N=又は-CH=である。)

 キノイド誘導体の具体例としては、以下の 合物が挙げられる。

 アリールボラン誘導体として、下記構造を する化合物が好ましい。
(式中、Ar 101 ~Ar 107 は、それぞれ電子吸引基を有するアリール基 (複素環を含む)である。Ar 108 は、電子吸引基を有するアリーレン基である 。Sは1又は2である。)

 アリールボラン誘導体の具体例としては、 下の化合物が挙げられる。

 特に好ましくは、少なくとも一個のフッ をアリールへの置換基として有する化合物 あり、トリスβ-(ペンタフルオロナフチル) ラン(PNB)等があげられる。

 イミド誘導体として、好ましくは、ナフ レンテトラカルボン酸ジイミド化合物及び ロメリット酸ジイミド化合物である。

 チオピランジオキシド誘導体として、下記 (3a)に示される化合物が、チオキサンテンジ オキシド誘導体として、下記式(3b)に示され 化合物が、それぞれ挙げられる。
 式(3a)及び式(3b)において、R 53 ~R 64 は、それぞれ水素、ハロゲン、フルオロアル キル基、シアノ基、アルキル基又はアリール 基である。好ましくは、水素、シアノ基であ る。
 式(3a)及び式(3b)において、Xは電子吸引基を し式(1a)~(1i)のXと同じである。好ましくは、 (j)、(k)、(l)の構造である。

 R 53 ~R 64 が示すハロゲン、フルオロアルキル基、アル キル基及びアリール基はR 1 ~R 48 と同様である。

 式(3a)に示されるチオピランジオキシド誘導 体、式(3b)に示されるチオキサンテンジオキ ド誘導体の具体例を以下に示す。
(式中、tBuはt-ブチル基である。)

 さらに上記の式(1a)~(1i)、(3a)~(3b)において、 子吸引性基Xは、下記式で表される置換基(x) 又は(y)でもよい。

 式中、Ar 109 及びAr 110 は置換もしくは無置換の複素環、置換もしく は無置換のアリールオキシカルボニル又はア ルデヒドであり、好ましくは、ピリジン、ピ ラジン、キノキサリンである。Ar 109 とAr 110 は互いに連結し5員又は6員の環状構造を形成 てもよい。

 ヘキサアザトリフェニレン誘導体としては 記に挙げられる構造が好ましく、特に好ま くはシアノ基を有する化合物である。
(式中、R 65 は、それぞれ、シアノ基、アリールオキシカ ルボニル基、アルコキシカルボニル基、ジア ルキルカルバモイル基、ジアリールカルバモ イル基、ハロゲン原子、ニトロ基、又はカル ボキシル基である。)

 アクセプターは、好ましくは、薄膜形成性 有する。即ち、蒸着でアクセプター層を形 できる。「薄膜を形成できる」とは基板上 真空蒸着、スピンコート等の一般的な薄膜 成方法にて平坦な薄膜を作成できることで る。ここで平坦とは、薄膜の凹凸が小さい いうことであり、好ましくは、面粗さ(Ra)が 10nm以下であり、より好ましくは、面粗さ(Ra) 1.5nm以下であり、さらに好ましくは、面粗 (Ra)が1nm以下である。尚、面粗さは原子間力 微鏡(AFM)により測定ができる。
 薄膜形成性を有する有機化合物として、好 しくは非晶性の有機化合物であり、より好 しくは、非晶性のキノジメタン誘導体であ 、さらに好ましくは非晶性かつCN-基の数が5 以上のキノジメタン誘導体である。例えば、 上記の(CN) 2 -TCNQが挙げられる。

 アクセプター層に含まれるアクセプターの 有量は、好ましくは層全体に対して1~100モ %であり、より好ましくは50~100モル%である。
 アクセプター層は、アクセプターの他に、 孔輸送性で光透過性のあるものを含有でき が、必ずしもこれに限定されるものではな 。
 アクセプター層の膜厚は、好ましくは、1~10 0nmである。

 ドナー層とは、ドナー性金属、ドナー性 属化合物及びドナー性金属錯体から選ばれ 群のうち少なくとも一種を、ドナーとして 有する層である。

 ドナー性金属とは、仕事関数3.8eV以下の 属をいい、好ましくはアルカリ金属、アル リ土類金属及び希土類金属であり、より好 しくはCs,Li,Na,Sr,K,Mg,Ca,Ba,Yb,Eu及びCeである。

 ドナー性金属化合物とは、上記のドナー性 属を含む化合物であり、好ましくはアルカ 金属、アルカリ土類金属又は希土類金属を む化合物であり、より好ましくはこれらの 属のハロゲン化物、酸化物、炭酸塩、ホウ 塩である。例えば、MO x (Mはドナー性金属、xは0.5~1.5)、MF x (xは1~3)、M(CO 3 ) x (xは0.5~1.5)で表される化合物である。

 ドナー性金属錯体とは、上記のドナー性金 の錯体であり、好ましくはアルカリ金属、 ルカリ土類金属又は希土類金属の有機金属 体である。好ましくは下記式(I)で表される 機金属錯体である。
(式中、Mはドナー性金属であり、Qは配位子で あり、好ましくはカルボン酸誘導体、ジケト ン誘導体、キノリン誘導体であり、nは1~4の 数である。)
 ドナー性金属錯体の具体例としては、特開2 005-72012号公報に記載のタングステン水車([W 2 (hpp) 4 ]:hppは1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロ-2H-ピリミド[1,2-a ]-ピリジンである。)等が挙げられる。さらに 、特開平11-345687号公報に記載された中心金属 がアルカリ金属、アルカリ土類金属であるフ タロシアニン化合物等もドナー性金属錯体と して使用できる。

 上記のドナーは一種単独で使用してもよい 、二種以上を組み合わせて使用してもよい
 ドナー層に含まれるドナーの含有量は、好 しくは、層全体に対して1~100モル%であり、 り好ましくは50~100モル%である。
 ドナー層は、上記のドナーの他に、光透過 のある物質であれば、単一又は複数種類の 質を含有できる。具体的には、アミン化合 、縮合環化合物、含窒素環化合物、金属錯 等の有機物や、金属酸化物、金属窒化物、 属フッ化物、炭酸塩等の無機物を用いるこ ができるが、必ずしもこれに限定されるも ではない。
 ドナー層の膜厚は、好ましくは、1~100nmであ る。

 電子輸送材料層には、例えば非錯体の含窒 複素環構造を含む化合物を用いる。好まし は含窒素5員複素環構造を含む化合物である 。具体的には、下記式(1)で表される化合物が 好ましい。
(式中、R 1 ~R 8 は、水素原子、置換もしくは無置換の核原子 数5~60のアリール基、置換もしくは無置換の 原子数5~60のヘテロアリール基、置換もしく 無置換の炭素数1~50のアルキル基、置換もし くは無置換の炭素数3~50のシクロアルキル基 置換もしくは無置換の核原子数6~50のアラル ル基、置換もしくは無置換の炭素数1~50のア ルコキシ基、置換もしくは無置換の核原子数 5~50のアリールオキシ基、置換もしくは無置 の核原子数5~50のアリールチオ基、置換もし は無置換の炭素数1~50のアルコキシカルボニ ル基、置換もしくは無置換の核原子数5~50の リール基で置換されたアミノ基、ハロゲン 子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基 はカルボキシル基であり、
 R 1 ~R 8 の隣り合う置換基の一組が互いに結合して芳 香環又は複素環を形成していてもよい。)

 また、下記式(2)で表される化合物を使用で る。
(式中、R 9 ~R 20 は、水素原子、置換もしくは無置換の核原子 数5~60のアリール基、置換もしくは無置換の 原子数5~60のヘテロアリール基、置換もしく 無置換の炭素数1~50のアルキル基、置換もし くは無置換の炭素数3~50のシクロアルキル基 置換もしくは無置換の核原子数6~50のアラル ル基、置換もしくは無置換の炭素数1~50のア ルコキシ基、置換もしくは無置換の核原子数 5~50のアリールオキシ基、置換もしくは無置 の核原子数5~50のアリールチオ基、置換もし は無置換の炭素数1~50のアルコキシカルボニ ル基、置換もしくは無置換の核原子数5~50の リール基で置換されたアミノ基、ハロゲン 子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基 はカルボキシル基であり、R 9 ~R 20 の隣り合う基が互いに結合して芳香環を形成 していてもよく、R 9 ~R 20 の少なくとも1つは下記式で示される置換基 ある。
(Lは、置換もしくは無置換の炭素数6~60のアリ ーレン基、置換もしくは無置換の炭素数5~60 ヘテロアリーレン基、又は置換もしくは無 換のフルオレニレン基であり、
 Ar 1 は、置換もしくは無置換の炭素数6~60のアリ レン基、置換もしくは無置換のピリジニレ 基又は置換もしくは無置換のキノリニレン であり、
 Ar 2 は、水素原子、置換もしくは無置換の核原子 数5~60のアリール基、置換もしくは無置換の リジル基、置換もしくは無置換のキノリル 、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキ 基、置換もしくは無置換の炭素数3~50のシク ロアルキル基、置換もしくは無置換の核原子 数6~50のアラルキル基、置換もしくは無置換 炭素数1~50のアルコキシ基、置換もしくは無 換の核原子数5~50のアリールオキシ基、置換 もしくは無置換の核原子数5~50のアリールチ 基、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアル キシカルボニル基、置換もしくは無置換の 原子数5~50のアリール基で置換されたアミノ 基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒ ドロキシル基又はカルボキシル基である。))

 上記式(2)で表される化合物の具体例を以下 例示する。
(式中において、R 1a ~R 5c 、L a ~L c 、Ar 1a ~Ar 2c は、上記式(2)におけるR 9 ~R 20 、L、Ar 1 、Ar 2 とそれぞれ同じである。)

 L a ~L c 及びAr 1a ~Ar 1c は、好ましくは置換もしくは無置換のフェニ レン基、置換もしくは無置換のビフェニレン 基、置換もしくは無置換のナフチレン基又は 置換もしくは無置換のアントラセニレン基、 置換もしくは無置換のピリジレン基である。 より好ましくはフェニレン基、メチル基で置 換されたフェニレン基、ビフェニレン基、ナ フチレン基又はアントラセニレン基である。
 Ar 2a ~Ar 2c は、好ましくは置換もしくは無置換のフェニ ル基、置換もしくは無置換のビフェニル基、 置換もしくは無置換のターフェニル基、置換 もしくは無置換のナフチル基、置換もしくは 無置換の炭素数6~20のアリール基である。よ 好ましくはフェニル基、メチル基で置換さ たフェニル基、ビフェニル基、ターフェニ 基、ナフチル基、ナフチル基で置換された ェニル基である。
 R 1a ,R 1c は、好ましくは置換もしくは無置換の炭素数 1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素 数6~20のアリール基である。より好ましくは チル基、エチル基、プロピル基、ブチル基 フェニル基、メチル基で置換されたフェニ 基、ビフェニル基、ナフチル基である。
 R 2b ,R 2c は、好ましくは水素原子、置換もしくは無置 換の炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無 置換の炭素数6~20のアリール基である。より ましくはメチル基、エチル基、プロピル基 ブチル基、フェニル基、メチル基で置換さ たフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基 ある。
 R 3a ~R 6a ,R 3b ~R 6b ,R 3c ~R 6c は、好ましくは水素原子、置換もしくは無置 換の炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無 置換の炭素数6~20のアリール基、シアノ基で る。より好ましくは水素原子、メチル基、 ェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、シ ノ基、トリフルオロメチル基である。

 電子輸送材料層の膜厚は、好ましくは0.1~ 100nmである。

 尚、上述したように、中間接続層は、アク プター層、ドナー層及び電子輸送材料層の 層体であるが、他の中間接続層は公知の中 接続層であってもよい。そのような中間接 層を構成する材料の例としては、In,Sn,Zn,Ti,Z r,Hf,V,Mo,Cu,Ga,Sr,La,Ru等の金属の酸化物、窒化物 、ヨウ化物、ホウ化物等を挙げることができ る。また、これらの金属の複数種類からなる 多元系金属化合物を挙げることができる。そ の具体例としては、例えば、ITO、IZO、SnO x 、ZnO x 、TiN、ZrN、HfN、TiO x 、VO x 、MoO x 、CuI、InN、GaN、CuAlO 2 、CuGaO 2 、SrCu 2 O 2 、LaB 6 、RuO x の透明導電材料を用いることができる。この 中でも特に、ITO、IZO、SnO x 、ZnO x 、TiO x 、VO x 、MoO x 、RuO x 等の導電性金属酸化物が好適に用いられる。

 発光素子の視野角特性の向上等のため、中 接続層として、低屈折率材料と前記透明導 材料とを含む膜を用いることができる。低 折率材料としては、金属酸化物(SiO x 等)や金属フッ化物(NaF,LiF,CaF 2 ,Na 3 AlF 6 ,AlF 3 ,MgF 2 ,ThF 4 ,LaF 4 ,NdF 3 等)等の金属ハロゲン化物である無機化合物 含フッ素樹脂等の有機化合物を用いること できる。

[基板]
 本発明の発光素子は基板上に作製する。こ でいう基板は発光素子を支持する基板であ 、400~700nmの可視領域の光の透過率が50%以上 、平滑な基板が好ましい。
 具体的には、ガラス板、ポリマー板等が挙 られる。ガラス板としては、特にソーダ石 ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガ ス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホ ケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス 石英等が挙げられる。またポリマー板とし は、ポリカーボネート、アクリル、ポリエ レンテレフタレート、ポリエーテルサルフ イド、ポリサルフォン等を挙げることがで る。
 尚、光取り出し方向の反対側に支持基板が 置する場合には透光性は不要である。

[陽極]
 発光素子の陽極は、正孔を正孔輸送層又は 光層に注入する役割を担うものであり、陽 側に透明性を必要とする場合は、酸化イン ウム錫合金(ITO)、酸化錫(NESA)、酸化インジ ム亜鉛合金(IZO)、金、銀、白金、銅等が適用 できる。また、透明性を必要としない、反射 型電極とする場合には、それらの金属の他に 、アルミ、モリブデン、クロム、ニッケル等 の金属や合金を使用することもできる。
 これら材料は単独で用いることもできるが これら材料同士の合金や、その他の元素を 加した材料も適宜選択して用いることがで る。
 発光層からの発光を陽極から取り出す場合 陽極の発光に対する透過率は10%より大きく ることが好ましい。また陽極のシート抵抗 、数百ω/□以下が好ましい。陽極の膜厚は 料にもよるが、通常10nm~1μm、好ましくは10~2 00nmの範囲で選択される。

[陰極]
 陰極としては仕事関数の小さい(4eV以下)金 、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混 物を電極物質として用いることができる。 のような電極物質の具体例としては、ナト ウム、ナトリウム-カリウム合金、マグネシ ム、リチウム、マグネシウム・銀合金、ア ミニウム/酸化アルミニウム、アルミニウム ・リチウム合金、インジウム、希土類金属等 が挙げられる。
 この陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパ タリング等の方法により薄膜を形成させる とにより、作製することができる。

 ここで発光層からの発光を陰極から取り出 場合、陰極の発光に対する透過率は10%より きくすることが好ましい。
 また陰極としてのシート抵抗は数百ω/□以 が好ましく、膜厚は通常10nm~1μm、好ましく 50~200nmである。

[絶縁層]
 発光素子は超薄膜に電界を印可するために リークやショートによる画素欠陥が生じや い。これを防止するために、一対の電極間 絶縁性の薄膜層を挿入することも好ましい
 絶縁層に用いられる材料としては例えば酸 アルミニウム、弗化リチウム、酸化リチウ 、弗化セシウム、酸化セシウム、酸化マグ シウム、弗化マグネシウム、酸化カルシウ 、弗化カルシウム、弗化セシウム、炭酸セ ウム、窒化アルミニウム、酸化チタン、酸 珪素、酸化ゲルマニウム、窒化珪素、窒化 ウ素、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、 化バナジウム等が挙げられる。
 これらの混合物や積層物を用いてもよい。

 本発明の発光素子において、各層の形成 法としては、特に限定されるものではない 、真空蒸着法、LB法、抵抗加熱蒸着法、電 ビーム法、スパッタリング法、分子積層法 コーティング法(スピンコート法、キャスト 、ディップコート法等)、インクジェット法 、印刷法等の種々の方法を利用することがで きる。

 また、本発明の有機EL素子の各有機層の膜 は特に制限されないが、一般に膜厚が薄す るとピンホール等の欠陥が生じやすく、逆 厚すぎると高い印加電圧が必要となり効率 悪くなるため、通常は数nmから1μmの範囲が ましい。
[実施例]

 次に、実施例を挙げて本発明をさらに具 的に説明するが、本発明はこれらの実施例 限定されるものではない。尚、各実施例で 製した素子について、輝度及び色度は分光 射輝度計(CS-1000、ミノルタ製)を用いて測定 た。また、パルス幅階調制御装置として、 意関数発生機(BIOMATION社製 2202A)を用い、そ 出力をパワーアンプ(NF回路設計ブロック社  NF4005)を用いて増幅し、実施例で作製した 子に印加して特性を求めた。

実施例1
 厚みが0.7mmであるガラス基板にITO(陽極)を120 nmの厚さで成膜し、透明電極付きガラス基板 した。

 CdSe/ZnSコア・シェル型半導体ナノクリス ル(発光ピーク波長:590nm、発光半値幅:30nm)を ロロホルム中に分散させ、長波長側の吸収 極大となる波長(575nm)における半導体ナノク リスタル/クロロホルム分散液の1cm長の吸光 が2.04となるように調整した。尚、吸光度はU V-3100S分光光度計(島津製作所株式会社製)及び 光路長1cmの角型光学セルを用いて測定した。 この分散液2.48gにN,N’-ジフェニル-N,N’-ビス( 3-メチルフェニル)-(1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジ アミン(TPD)0.02gを加え、2.5gの混合液を得た。

 低酸素濃度、低湿度に制御した窒素封入 ローブボックス内で、この混合液を、透明 極付きガラス基板のITO膜が形成されている の面上に、ITO膜を覆うようして、スピンコ ト(1500rpm、30秒)した。なお、スピンコート 、低酸素濃度、低湿度に制御された窒素封 グローブボックス内で実施した。透過型電 顕微鏡を用いて基板の断面を観察すると、TP D膜の表面に、半導体ナノクリスタルが析出 て層を構成しているのが認められた。TPD+QD の厚みは40nmであった。また、半導体ナノク スタルの直径は7nmであった。尚、TPD層は正 注入層として機能し、QD層は発光層として 能する。

 得られた基板を真空蒸着装置内に移動し、 加の製膜を周知の真空蒸着法により繰り返 、下記の素子構造を有する発光素子を製造 た。素子構成:ガラス基板(0.7mm)/ITO(130nm)/TPD+Q D(40nm)/TAZ(10nm)/Alq3(30nm)/LiF(1nm)/Al(150nm)
 上記発光素子において、TAZとは3-(4-ビフェ ルイル)-4-フェニル-5-タート-ブチルフェニル -1,2,4-トリアゾールである。また、上記発光 子において、TAZ及びAlq3はそれぞれ電子輸送 及び電子注入層として機能し、LiF及びAlは 極として機能する。

 この発光素子に電圧を印加し、その特性を 価した。
 図3は、実施例1の発光素子の電圧-輝度特性 示す。実施例1の発光素子は印加電圧25Vにお いて輝度200nitを得た。

 図4は、得られた発光素子の発光スペクトル の印加電圧依存性を示す。この発光素子にお いて、波長590nm付近の発光は、半導体ナノク スタルの発光に帰属し、図4の発光スペクト ルは、このピーク値で規格化されている。波 長520nm付近に観測されるスペクトルの肩は、A lq3の発光に帰属し、印加電圧が増加するにつ れて、半導体ナノクリスタルの発光に対し、 相対的に強度が増していることが確認された 。
 図4から、Alq3の発光を抑制し、半導体ナノ リスタルの発光を効率的に利用するには、 加電圧は22V(輝度で60nit相当)以下であること 望ましいことが分かった。

 得られた発光素子を、電圧振幅を0~22Vと て、周波数100Hzの矩形を用いて駆動し、矩形 波のデューティー比が0~100%における輝度及び 色度変化をそれぞれ測定した。この発光素子 の色度の輝度依存性を図5に示す。パルス幅 調で駆動した実施例1の発光素子は、輝度変 に対して色度変化がほとんどなく、良好な 動結果を得た。

比較例1
 実施例1で製造した発光素子を、直流電圧に より電圧階調駆動した。この発光素子の色度 の輝度依存性を図6に示す。電圧階調駆動し 発光素子は、輝度によって色度が大きく変 するため、ディスプレイ用やバックライト 源用としての利用は難しいことが分かった

実施例2
 厚みが0.7mmであるガラス基板にITO(陽極)を120 nmの厚さで成膜し、透明電極付きガラス基板 した。

 CdSe/ZnSコア・シェル型半導体ナノクリス ルをクロロホルム中に分散させ、長波長側 吸収が極大となる波長(575nm)における半導体 ノクリスタルクロロホルム分散液の1cm長の 光度が2.04となるように調整した。この分散 液1.43gにTPD0.01gを加え、さらにクロロホルム 加えて、3.5gの混合液を得た。

 低酸素濃度、低湿度に制御した窒素封入 ローブボックス内で、この混合液の半分を 透明電極付きガラス基板のITO膜が形成され いる側の面上に、ITO膜を覆うようして、ス ンコート(1500rpm、30秒)した。なお、スピン ートは、低酸素濃度、低湿度に制御された 素封入グローブボックス内で実施した。透 型電子顕微鏡を用いて基板の断面を観察す と、TPD膜の表面に、半導体ナノクリスタル 析出して層を構成しているのが認められた TPD+QD層の厚みは20nmであった。また、半導体 ノクリスタルの直径は7nmであった。尚、TPD は正孔注入層として機能し、QD層は発光層 して機能する。

 得られた基板を真空蒸着装置内に移動し、 知の真空蒸着法を用いて、下記の構造を有 る部分素子を製造した。素子構成:ガラス基 板(0.7mm)/ITO(130nm)/TPD+QD(20nm)/TAZ(10nm)/Alq3(30nm)/MgAg (10nm)/Ac(150nm)
 上記発光素子において、Acとは、2,3,6,7,10,11 キサシアノ-1,4,5,8,9,12ヘキサアザトリフェニ レン(HAT)である。また、上記発光素子におい 、MgAg及びAcは中間接続層として機能する。

 この部分素子を、再び窒素封入グローブボ クス内に移動し、TPD+QD層の積層に用いた混 液の残りをAc層が形成されている側の面上 、Ac層を覆うようして、スピンコート(1500rpm 30秒)した。得られた基板を再び真空蒸着装 内に移動し、周知の真空蒸着法を用いて、 記の構造を有する発光素子を製造した。
素子構成:ガラス基板(0.7mm)/ITO(130nm)/TPD+QD(20nm)/ TAZ(10nm)/Alq3(30nm)/MgAg(10nm)/Ac(150nm)/TPD+QD(20nm)/TAZ(1 0nm)/Alq3(30nm)/LiF(1nm)/Al(150nm)

 この発光素子に電圧を印加し、その特性を 価した。
 図7は、実施例2の発光素子の電圧-輝度特性 示す。
 得られた発光素子を、電圧振幅を0~44Vとし 、周波数100Hzの矩形を用いて駆動し、矩形波 のデューティー比が0~100%における輝度及び色 度変化をそれぞれ測定した。この発光素子の 色度の輝度依存性を図8に示す。パルス幅階 で駆動した実施例2の発光素子は、輝度変化 対し、色度変化がほとんどなく、また、100n itを超える輝度を有し、良好な駆動結果を得 。

 本発明の発光素子は、TV等向けの平面ディ プレイに好適に利用できる。また、平面発 体やディスプレイのバックライト等の光源 携帯電話、PDA、カーナビゲーション、車の ンパネ等の表示部、照明等に好適に使用で る。
 この明細書に記載の文献の内容を全てここ 引用する。