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Patent Searching and Data


Title:
MATERIAL FOR PROCESSING AND MOLDING MEMBER USING MATERIAL FOR PROCESSING
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/131074
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a material for processing, wherein vibration suppressing performance, sound insulation performance, and acoustic absorption performance are greatly enhanced, and weight reduction and mechanical strength of a product are enhanced. Also provided is a molding member using the material for processing. In a metal cover (1a), a thin plate material (6) composing a material (24) for processing is provided with a large number of through holes (22). The material (24) for processing itself is provided with through holes (22). When the material (24) for processing vibrates and air passes through the through hole (22), attenuation of energy takes place due to friction between an end face (32) constituting the through hole (22) of the material (24) for processing and air. Consequently, energy of a sound wave, i.e., vibration of air, is converted into thermal energy and acoustic absorption performance is exhibited. The frequency band where acoustic absorption performance is exhibited is determined based on the dimensional shape, such as equivalent bore diameter (D1) of the through hole (22), aperture ratio, plate thickness, as one factor.

Inventors:
AKIMOTO KAZUYO (JP)
DOUMOTO YOSHINORI (JP)
YAMAGIWA ICHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/057786
Publication Date:
October 29, 2009
Filing Date:
April 17, 2009
Export Citation:
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Assignee:
SANWA PACKING INDUSTRY CO LTD (JP)
KOBE STEEL LTD (JP)
AKIMOTO KAZUYO (JP)
DOUMOTO YOSHINORI (JP)
YAMAGIWA ICHIRO (JP)
MASUDA KYOKO (JP)
HINO MITSUO (JP)
International Classes:
F02B77/13; B21D47/00; F16F15/02; F01N13/14; G10K11/16
Foreign References:
JP2002113525A2002-04-16
JPH021462Y21990-01-16
JPH10266850A1998-10-06
Other References:
See also references of EP 2302185A4
Attorney, Agent or Firm:
TSUTADA, Akiko et al. (JP)
Shoko Tsutada (JP)
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Claims:
 弾性変形可能な単一の薄板材に、谷部と隆起部とが相互に連なって交互に繰り返される第1波形形状が第1方向に沿って形成され、該第1方向と交差する第2方向に沿って、谷部と隆起部とが相互に連なって交互に繰り返される第2波形形状が形成され、
 該第1波形形状において、該隆起部は該谷部から立ち上がる一対の側部と、該側部間に連なる頂部とを含み、一対の側部の基端部の第1方向に沿う開口部長さよりも、頂部の第1方向に沿う頂部長さが長く定められている、
 ことを特徴とする加工用素材。
 前記薄板材は、貫通孔を有する、
 ことを特徴とする請求項1記載の加工用素材。
 前記貫通孔は、少なくとも前記頂部に設けられている
 ことを特徴とする請求項2記載の加工用素材。
 弾性変形可能な単一の薄板材を立体形状に加工して得られる加工用素材を用いる成型部材であって、
 該薄板材に、谷部と隆起部とが相互に連なって交互に繰り返される第1波形形状が第1方向に沿って形成され、該第1方向と交差する第2方向に沿って、谷部と隆起部とが相互に連なって交互に繰り返される第2波形形状が形成され、
 該第1波形形状において、該隆起部は該谷部から立ち上がる一対の側部と、該側部間に連なる頂部とを含み、一対の側部の基端部の第1方向に沿う開口部長さよりも、頂部の第1方向に沿う頂部長さが長く定められて加工用素材が構成され、
 該加工用素材の第1方向及び第2方向のいずれかが該立体形状の稜部と交差する方向に定められている、
 ことを特徴とする成型部材。
 前記成型部材は、振動発生部材に対して装着される成型部材本体と、該成型部材本体よりも振動発生部材側に予め定める距離を隔てて設けられる隔壁部材とを含み、
 該成型部材本体を構成する前記薄板材は貫通孔を有する、
 ことを特徴とする請求項4記載の成型部材。
 前記貫通孔は、少なくとも前記頂部に設けられている
 ことを特徴とする請求項5記載の成型部材。
Description:
加工用素材及びそれを用いる成 部材

 本発明は、一例として振動、騒音を発生 る対象物に対して用いられ、対象物に対し 制振作用、吸音作用を実現する単一の薄板 からなる加工用素材及びそれを用いる成型 材に関するものである。

 このような振動を発生する対象物の一例 して内燃機関が挙げられる。内燃機関本体 、内燃機関に接続されたエキゾーストマニ ールド(以下、「エキマニ」という)などの 気系からは、熱や騒音、振動などが外部に 散されている。このような内燃機関本体や 気系などの振動源から振動が外部に無闇に 散される事態を防止するために、従来から 上記振動源に対してインシュレータなど各 のカバーが用いられている。

 図18は下記特許文献1に記載されている典 的な従来技術のエキゾーストマニホールド ンシュレータ(以下、「インシュレータ」と いう)1の斜視図である。以下、図18を参照し 、インシュレータ1について説明する。

 インシュレータ1は、内燃機関のエキマニ に取り付けられて、エキマニを覆っている。 インシュレータ1は、ほぼ平坦な前面部1aとそ れから折れ曲がって、内燃機関のシリンダヘ ッド側に延びる側壁部1bとを有する。インシ レータ1は、2枚の鋼板1A、1Bの重ね合わせか なり、スリット2の縁の少なくとも1つの適 の位置で、2枚の鋼板の一方が他方の鋼板に して折り返し部で折り返されている。この り返しによって2枚の鋼板1A、1Bの結合の強 がはかられる。

 この従来技術のインシュレータ1は、2枚の 板1A、1Bを重ね合わせた構成により、内部を 分数千回の周波数で脈動する高温の排気ガ が通過するエキマニから発生する前記周波 の振動が、周囲に無闇に放散されないよう 作用している。

特開平10-266850号公報(第8段落~第11段落、 び図1)

 このような従来技術のインシュレータは 前述したように2枚の鋼板1A、1Bが重ね合わ れた構成であり、比較的重量が重いという 題点がある。また、エキマニから伝播され 振動によってインシュレータ1が面振動を生 、振動周波数がインシュレータ1の共振周波 数と一致する場合は、インシュレータ1自身 騒音源になってしまうという問題点がある

 また、近年の内燃機関やエキマニは、軽 化の点から軽合金化、薄肉化が図られてい 。したがって、インシュレータに関しても 軽量化が求められていると共に、一層の制 性能の向上も求められている。

 これらの点に鑑み、本件発明者は、前記 ンシュレータにおける制振作用、遮音作用 び吸音作用を実現するメカニズムを研究し 結果、後述する本件発明に到達したもので る。

 本発明は、上記問題点を解決しようとし 成されたものであり、その目的は、制振性 、遮音性能及び吸音性能が格段に向上され 軽量化と製品の機械的強度を向上すること できる加工用素材及び該加工用素材を用い なる成型部材を提供するものである。

 請求項1記載の発明の加工用素材は、弾性 変形可能な薄板材に、谷部と隆起部とが交互 に繰り返される第1波形形状が第1方向に沿っ 連なって形成され、第1方向と交差する第2 向に沿って、谷部と隆起部とが交互に繰り される第2波形形状が連なって形成され、第1 波形形状において、隆起部は谷部から立ち上 がる一対の側部と、側部間に連なる頂部とを 含み、一対の側部の基端部の第1方向に沿う 口部長さよりも、頂部の第1方向に沿う頂部 さが長く定められていることを特徴とする

 請求項2記載の発明の加工用素材は、請求 項1の発明において、前記薄板材は、貫通孔 有することを特徴とするものである。

 請求項3記載の発明の加工用素材は、請求 項2の発明において、前記貫通孔は、少なく も前記頂部に設けられていることを特徴と るものである。

 請求項4記載の発明の加工用素材は、弾性 変形可能な単一の薄板材を立体形状に加工し て得られる加工用素材を用いる成型部材であ って、薄板材に、谷部と隆起部とが相互に連 なって交互に繰り返される第1波形形状が第1 向に沿って形成され、第1方向と交差する第 2方向に沿って、谷部と隆起部とが相互に連 って交互に繰り返される第2波形形状が形成 れ、第1波形形状において、隆起部は谷部か ら立ち上がる一対の側部と、側部間に連なる 頂部とを含み、一対の側部の基端部の第1方 に沿う開口部長さよりも、頂部の第1方向に う頂部長さが長く定められて加工用素材が 成され、加工用素材の第1方向又は第2方向 いずれかが立体形状の稜部と交差する方向 定められていることを特徴とするものであ 。

 請求項5記載の発明の成型部材は、請求項 4の発明において、前記成型部材は、振動発 部材に対して装着される成型部材本体と、 成型部材本体よりも振動発生部材側に予め める距離を隔てて設けられる隔壁部材とを み、該成型部材本体を構成する前記薄板材 貫通孔を有することを特徴とするものであ 。

 請求項6記載の発明の成型部材は、請求項 5の発明において、前記貫通孔が、少なくと 前記頂部に設けられていることを特徴とす ものである。

 請求項1記載の発明によれば、第1方向及 第2方向に沿って、第1波形形状及び第2波形 状がそれぞれ形成され、第1波形形状におい 、隆起部は谷部から立ち上がる一対の側部 、これら側部間に連なる頂部とを含み、一 の側部の基端部の第1方向に沿う開口部長さ よりも、頂部の第1方向に沿う頂部長さが長 定められている。

 したがって、本発明によれば、このよう 加工用素材をプレス加工するなどして、所 の製品形状に加工する場合、前記波形形状 伸縮することにより、波形形状が形成され 薄板材の加工における前記第1方向に沿う延 び代が、平板形状の薄板材と比較して格段に 大きくなる。これは、第1波形形状において 一対の側部の基端部の第1方向に沿う開口部 さよりも、頂部の第1方向に沿う頂部長さが 長く定められていることにより保証されてい る。

 この頂部長さが開口部長さよりも長くな 場合には、加工用素材をプレス加工する際 延び代が充分に確保できず、製品の加工性 低下して加工時のクラックの発生や製品形 が充分に実現できない場合がある。本発明 よれば、このような不具合の可能性を防止 て、加工用素材の加工性を格段に向上する とができる。

 さらに、本発明の加工用素材において、 記第2方向に沿う加工性に関しても、その程 度が充分に向上されている。これは、薄板材 に、第2方向に沿って第2波形形状が形成され いることにより保証されている。

 また、本発明の加工用素材は、谷部と隆 部とが相互に連なって交互に繰り返されて 1波形形状及び第2波形形状が形成されてい 。即ち、第1波形形状及び第2波形形状におい て、谷部及び隆起部からなる各1周期の形状 に平板部分の存在が除外されている。この 板部分の存在を仮定すると、平板部分が大 な振幅の面振動を発生したり、平板部分で ることを原因とする機械的強度が弱い部位 なったりする不具合の発生が想定される。

 本発明は、このような不具合の発生を防 しているので、加工用素材を用いて製造さ る製品の品質を格段に向上することができ 。

 以上のように本発明の加工用素材は、平 形状の薄板材と比較して加工性が格段に向 される。

 本発明は、薄板材の材料を何ら限定する のではないが、本発明の特徴的な作用効果 、薄板材として、例として鉄やステンレス などの延性、展性が比較的大きい材料より 、比較的延性、展性が小さいアルミニウム 金を用いる場合などに顕著に実現されるこ は明らかである。

 さらに、本発明の加工用素材は、これら 作用効果を単一の薄板材からなる構成で実 することができるので、構成の簡略化と軽 化、及びこれらによる大幅なコストダウン 図ることができる。

 請求項2記載の発明によれば、請求項1の 明において、加工用素材を構成する前記薄 材は貫通孔を有する。これにより、本発明 加工用素材は、請求項1に関して説明された 記作用効果に加え、以下の吸音作用と振動 射音低減作用とを実現するものである。

 本発明の加工用素材は、それ自身に貫通 を設けている。加工用素材が振動した場合 貫通孔を空気が通過する際に、加工用素材 貫通孔を構成する端面と空気との間で摩擦 よるエネルギーの減衰が発生する。このた 空気の振動である音波のエネルギーが熱エ ルギーに変換され吸音性能が発揮される。 音性能が発揮される周波数帯域は、貫通孔 等価孔径、開口率、板厚等の寸法形状を一 として決定される。

 また、本発明は、前記隆起部及び谷部に るリブ補強効果により、薄板材が全面同位 で動きやすい。このとき薄板材に貫通孔が けられていることによって、加工用素材の 動から音へのエネルギー変換効率である音 放射効率が、貫通孔がない場合と比較して 低減することが確認されている。これによ 、本発明の加工用素材が振動している場合 も、加工用素材から放射される音に対して 音作用を実現できる。

 薄板材に貫通孔を設けることによる振動 射音低減効果について、薄板材の面振動が 分的に振幅又は/及び位相が異なる場合、す なわち加工用素材の表面に振動分布が発生す る場合、振動放射音低減作用の効果が小さく なることが知られている。しかし、本発明の ように、加工用素材表面に前記隆起部及び谷 部からなる凹凸が存在し、前述したリブ補強 効果がある場合、振動分布を小さくでき、振 動放射音の低減効果を顕著にすることができ る。したがって、この振動放射音低減効果に より、加工用素材自身が発生する騒音を低減 することができる。

 請求項3記載の発明によれば、請求項2の 明において、前記貫通孔は少なくとも前記 部に設けられているので、本発明の加工用 材は、請求項1に関して説明された上記作用 果に加え、以下の吸音作用と振動放射音低 作用とを実現する。

 本発明の場合、面方向に前記谷部と隆起 とによる凹凸が存在するため、隆起部上面 谷部底面との間の距離で定められる厚さの 気層で音響共鳴機構が構成され、吸音性能 実現される。また、隆起部の頂部に設けら た貫通孔を通過する空気に関する前述した 擦によるエネルギー減衰による吸音性能も 現される。この貫通孔による吸音性能は、 通孔の等価孔径、開口率、板厚などの寸法 形状を一因として定められる音響共鳴周波 帯域付近で発揮される。

 このような相乗的な吸音効果により、加 用素材自身が発生する振動、騒音を、発生 に吸音することにより低減することが出来 。

 請求項4記載の発明によれば、加工用素材 から形成される成型部材に関して、外部から の振動によって成型部材が振動を発生する場 合、このような振動は、前記波形形状におけ る谷部及び隆起部における薄板材の弾性的な 変形に転換される。これにより、外部から加 えられる振動は、薄板材自身の弾性変形によ って相当部分が熱エネルギーに変換される。 これにより、加工用素材が受ける振動による 成型部材の振動が抑制される。

 また、本発明において、加工用素材が振 源に対して用いられ、騒音の抑制を実現す き成型部材として用いられた場合、加工用 材を用いる成型部材は、振動源からの振動 伝達により振動する。成型部材の振動に際 て、製品形状の屈曲部位である稜部を中心 して、その両側の製品の部位がばたつくよ に振動する事態が想定される。このような 動が発生すると、製品の前記稜部付近の部 が繰り返しの屈曲により金属疲労を生じク ックを発生しやすくなる。

 本発明では、製品に加工される加工用素 には、前記第1方向及び第2方向に沿って波 形状がそれぞれ形成されており、一例とし その第1方向が、製品の前記稜部に対して交 する方向に定められているので、波形形状 前記稜部を中心とする振動に対してリブの 用を実現する。これにより、製品の振動を 制することができ、製品のクラックの発生 防止することができ、製品の品質を格段に 上することができる。

 さらに、本発明の加工用素材は、これら 作用効果を単一の薄板材からなる構成で実 することができるので、成型部材の構成の 略化と軽量化、及びこれらによる大幅なコ トダウンを図ることができる。

 本発明の成型部材は、薄板材に波形形状 加工して形成されるので、成型部材が屈曲 状を有する場合、成型部材の一方表面が凸 状の場合、他方表面は凹形状になる。この き、凸形状側では波形形状の隆起部同士の 隔が広がり、他方表面側では、波形形状の 起部同士の間隔が狭まる。

 したがって、本発明の加工用素材の一方 面に細かい凹凸を有する部材、或いは比較 柔軟な表面性状の部材(以下、基材と総称す る)を当接し、加工用素材を基材と共に屈曲 せると、基材側で波形形状の隆起部同士の 隔が狭まる部位において、加工用素材の基 側の隆起部間の間隔が狭まり、加工用素材 基材とが相互に噛み合って相互に固定され ことになる。したがって、加工用素材の基 への装着を、接着剤などの特段の手段を講 る事無く実現することができる。この点に いても、本発明の成型部品の構成の簡略化 小型化とを図ることができる。

 また、本発明において、成型部材の形状 び構造は、加工用素材が成型部材に加工さ た際の形状よって定められている。したが て、本発明において、成型部材に加工され 前段階での加工用素材の形状及び構造は、 発明において任意である。これにより、本 明は、成型部材に加工された際の薄板材の 状及び構造が、請求項3を満たす限り、広範 な種類の加工用素材に関して適用されるもの である。

 請求項5記載の発明によれば、前記成型部 材は、振動発生部材に対して装着される成型 部材本体と、該成型部材本体よりも振動発生 部材側に予め定める距離を隔てて設けられる 隔壁部材とを含み、該成型部材を構成する前 記薄板材は貫通孔を有している。これにより 、本発明の成型部材は、前記請求項4に関し 説明した上記作用効果に加え、以下の効果 含む特有の効果も併せて奏するものである

 本発明によれば、貫通孔が形成された成 部材本体と隔壁部材との間に形成される空 層で第1吸音構造が形成され、吸音作用を発 揮する。成型部材本体に形成された多数の貫 通孔と、成型部材本体と隔壁部材との間の背 後空気層とで音響共鳴機構が形成され、前記 第1吸音構造が構成される。

 このような吸音作用が発揮される第1吸音 周波数帯域は、貫通孔の等価孔径、開口率、 板厚等の寸法形状と、成型部材本体と隔壁部 材との間の距離で定められる前記背後空気層 の厚さなどの要因によって決定される。

 このような吸音作用により、成型部材が 動源に対して、装着された際に想定される 型部材自身が発生する騒音を、発生後に成 部材自身で吸音することにより低減するこ が出来る。

 また、本発明は、前記隆起部及び谷部に るリブ補強効果により、薄板材が全面同位 で動きやすい。このとき薄板材に気体流通 が設けられていることによって、加工用素 の振動から音へのエネルギー変換効率であ 音響放射効率が、気体流通部がない場合と 較して、低減することが確認された。これ より、本発明の加工用素材が振動している 合でも、加工用素材から放射される音の振 を低減できる。

 薄板材に気体流通部を設けることによる 動放射音低減効果について、薄板材の面振 が部分的に振幅又は/及び位相が異なる場合 、すなわち加工用素材の表面に振動分布が発 生する場合、振動放射音低減作用の効果が小 さくなることが知られている。しかし、本発 明のように、加工用素材表面に前記隆起部及 び谷部からなる凹凸が存在し、前述したリブ 補強効果がある場合、振動分布を小さくでき 、振動放射音の低減効果を顕著にすることが できる。したがって、この振動放射音低減効 果により、加工用素材自身が発生する騒音を 低減することができる。

 請求項6記載の発明によれば、請求項5の 明において、前記貫通孔は少なくとも前記 部に設けられているので、本発明の成型部 は、請求項4、5に関して説明された上記作用 効果に加え、以下の吸音作用と振動放射音低 減作用とを実現するものである。

 本発明の成型部材の場合、面方向に、請 項4に定められる隆起部及び谷部による凹凸 が存在するため、前述した第1吸音構造によ 第1吸音周波数帯域での吸音作用に加え、隆 部上面と谷部底面との間の距離で定められ 空気層厚さと、隆起部表面の気体流通部の 価孔径、開口率、板厚などの寸法形状とで 定される第2吸音構造が形成され、上記各寸 法形状などによって定められる第2吸音周波 帯域である音響共鳴周波数帯域付近で吸音 用が発揮される。

 そして、上記第1吸音周波数帯域と第2吸 周波数帯域とは、これら周波数帯域を定め 前述した各部寸法や形状などが相互に異な ため、周波数帯域が相互に異なる。従来の 板と空気層との組み合わせ構造や、緩やか 凹凸形状、すなわち凸部の頂部長さが凹部 開口部長さよりも短い凹凸構造の場合では 単一の周波数帯域前後の吸音特性のみが発 される。これに対し、本発明の場合、前述 たように、単一の成型部材本体であっても 相互に異なる周波数帯域前後で吸音作用が 揮されるため、極めて広帯域な吸音特性を 便な構成により実現することができる。

 このような吸音作用により、成型部材が 動源に対して、装着された際に想定される 型部材自身が発生する騒音を、発生後に成 部材自身で吸音することにより低減するこ が出来る。このような相乗的な吸音効果に り、加工用素材自身が発生する振動、騒音 、発生後に吸音することにより低減するこ が出来る。

本発明の実施例1の金属製カバー1をエ マニ3に装着した状態の正面図である。 図1の切断面線X2-X2から見た断面図であ 。 金属製カバー1の拡大正面図である。 図3の切断面線X4-X4から見た断面図であ 。 図3の切断面線X5-X5から見た断面図であ 。 図3の切断面線X6-X6から見た断面図であ 。 図1の切断面線X7-X7から見た簡略化した 面図である。 本実施例の特徴を説明する斜視図であ 。 金属製カバー1の伸縮作用を説明する断 面図である。 金属製カバー1の制振作用を説明する ラフである。 金属製カバー1の損失係数を示すグラ である。 金属製カバー1の損失係数の温度変化 示すグラフである。 本発明の実施例2の金属板6の斜視図で る。 実施例2のカバー1aの簡略化した断面図 である。 実施例2の吸音特性を説明するグラフ ある。 実施例2に基づく調査装置21の構成を示 す概念図である。 吸音特性に関する調査装置21による調 結果を説明するグラフである。 従来技術の斜視図である。

1、1a 金属製カバー
3 エキマニ
4、5、6 金属板
7、7a 隆起部
8、8a 谷部
9、9a、9b 波形形状
12 平坦部
13 凹部
18 頂部
21 調査装置
22 貫通孔
23 凹部
24 加工用素材
26 空気層
32 端面
45 積層部
46 凹所
A1 第1方向
A2 第2方向
D1 開口径

 本発明は、一例として、内燃機関のエキ ーストマニホールド(以下、「エキマニ」と いう)などにおいて、エキゾーストマニホー ドから振動や騒音などを無闇に外方に放散 ないように装着されるエキゾーストマニホ ルドカバーなどとして実施することができ 。

 本発明の実施例1について図1~図12に基づ て説明する。

 図1は本実施例の金属製カバー1をエキマ 3に装着した状態の正面図であり、図2は図1 切断面線X2-X2から見た断面図であり、図3は 属製カバー1の拡大正面図であり、図4は図3 切断面線X4-X4から見た断面図であり、図5は 3の切断面線X5-X5から見た断面図であり、図6 図3の切断面線X6-X6から見た断面図であり、 7は図1の切断面線X7-X7から見た簡略化した断 面図であり、図8は本実施例の特徴を説明す 図であり、図9は本実施例の作用を説明する 面図であり、図10は本実施例の制振性能を 明するグラフであり、図11は本実施例の及び 既存技術の制振性能を示すグラフであり、図 12は損失係数の温度変化を示すグラフである

 以下、図1及び図2を参照して成型部材で る金属製カバー1の概略について説明する。 動車のエンジン2などの内燃機関のエキマニ 3には、内燃機関の燃焼室から例として600~700 の高温で毎分数千サイクルの周波数で脈動 る燃焼排ガスが通過するため、他の部材で るエキマニ3自身も高温になり高温の熱輻射 を発生する熱源となり、また、エンジン2内 の燃料の爆発音、燃焼排ガスのエキマニ3内 移動などに起因する騒音を外部に放散する 動源となる。

 本実施例では、エキマニ3からのこのよう な振動を可及的に抑制するために、後述され る構成を有する成型部材である金属製カバー 1がエキマニ3を覆う態様に設置されている。 実施例の金属製カバー1は、図2に示される うに、板厚0.3mmの薄板材である比重が2.7程度 のアルミニウム合金からなる金属板4から構 され、図1、図2及び図7に示されるように、 キマニ3の外観形状に沿って、立体形状に形 される。金属製カバー1は、側壁T1と、この 壁T1の端部全周を連結する頂部T2とを備えて いる。側壁T1と頂部T2とは鈍角θをなして連な っている。

 本実施例において、上記金属板4は、弾性 変形が可能な材料ならば、その種類を限定さ れるものではなく、アルミニウム箔或いはア ルミニウム合金箔、さらにはアルミニウムや その合金、さらにはステンレス鋼、エンジニ アリングプラスチックなどの合成樹脂類から なる薄板材を変更例として含むものである。 但し、後述するような金属製カバー1の軽量 の点を考慮すると、アルミニウムやその合 、或いはエンジニアリングプラスチックな の合成樹脂類からなる薄板材が好適である

 本実施例のカバー1に用いられる前記金属 板4は、一例として、1枚のアルミニウム合金 板から形成される。金属板4には、図1~図6に 示されるように、第1方向A1に沿って、隆起部 7と谷部8とが相互に連なって交互に繰り返さ た第1波形形状である複数の波形形状9と、 1方向A1と交差する方向、好適には直交する 向である第2方向A2に沿って隆起部7aと谷部8a が相互に連なり、第2波形形状である同様な 波形形状9aとが形成される。隆起部7は、その 長手方向に沿って、図3~図5に示されるように 、第1起立部10と第2起立部11とが谷部8から立 って交互に配列されている。また、前記谷 8は、図3~図5に示されるように平坦部12と凹 13とが交互に配列されている。

 前記第1起立部10は、谷部8から略台形状に 立上る一対の側壁14、15と、側壁14、15の先端 相互に連結されて形成される比較的平坦な 部18とを含んで1周期形状が構成されている 第1起立部10は内曲しており、第1起立部10の 端部の第1方向A1に沿う開口部長さL10よりも 頂部18の第1方向A1に沿う頂部長さL2が長くな るように定められる。

 一方、前記第2起立部11は、第1起立部10が 略幅方向に所定の程度押し潰されて形成さ 、平坦部12からそれぞれ立上る一対の側壁19 、20と、側壁19、20の先端を相互に連結し、図 5の下方側に凹状の凹部23とを含んで構成され ている。このような各第2起立部11及び凹部13 、複数の波形形状9の延びる方向である前記 第1方向A1と実質的に直交する方向である第2 向A2に沿ってそれぞれ断続的に連なるように 形成される。

 また、第2起立部11は内曲しており、第2起 立部11の基端部の第1方向A1に沿う開口部長さL 11よりも、凹部13の第1方向A1に沿う頂部長さL1 1が長くなるように定められる。また、前記 壁14、15及び側壁19、20付近は、第1方向A1及び 第2方向A2の少なくとも一方の方向に沿う波形 形状9において、金属板4が折り返されて金属 4自身の上に折り重ねられた積層部45を構成 ている。

 本実施例の金属製カバー1において、各部 寸法の一例として、図4及び図5に示されるよ に、第1方向A1に沿う波形形状9の1周期の長 L1、前記第1起立部10の頂部18の長さL2、第2起 部11の凹部23の長さL3が、11mm、7mm、5mmにそれ ぞれ選ばれる。したがって、前記開口部長さ L10は長さ7mmよりも小さく、開口部長さL11は長 さ5mmよりも小さく選ばれる。

 勿論、本発明はこのような寸法例にその 術的範囲を限定されるものではなく、発明 実施される金属製カバー1の要求される仕様 に対応して、その寸法などが適宜選択される 。金属製カバー1は、このような形状を有し 金属板4をエキマニ3の外形形状に沿った立体 形状にプレス加工することにより形成される 。

 以下、図8を参照して、本実施例の金属製 カバー1の特徴の一つについて説明する。本 施例の金属製カバー1は前述したようにエキ ニ3の立体的な外観形状に沿った立体形状に 形成されるので、金属製カバー1には図1に示 れるように金属板4の屈曲部であり稜部であ る一つ或いは複数の稜線相当部位30が形成さ る。本実施例では、波形形状9の長手方向で ある前記第1方向A1が、これら複数の稜線相当 部位30のうちの後述する主要な稜線相当部位3 0に交差する方向となるように、金属板4、5に 対して立体形状へのプレス加工を施す。

 ここで、前記主要な稜線相当部位30とは 金属製カバー1の全体的な形状を特徴付ける 較的大きな曲率が連続する折り曲げ部位で る。即ち、金属製カバー1に形成される大小 種々の折り曲げ部位のうち、金属製カバー1 外観形状を実質的に決定付ける比較的長寸 亘って延びる折り曲げ部位を指す。

 金属製カバー1がエキマニ3に対して装着 れるとき、エキマニ3からの振動の伝達によ 金属製カバー1も振動する。この振動により 金属製カバー1が振動するとき、前記主要な 線相当部位30を中心にしてその両側の金属製 カバー1の部位がばたつくように振動する。 のような振動を放置すると、金属製カバー1 稜線相当部位30付近の部位が繰り返しの屈 により金属疲労を生じクラックを発生しや くなる。

 これに対して、本実施例では、金属製カ ー1に形成されている複数の波形形状9の第1 向A1が前記主要な稜線相当部位30に対して交 差する方向、好適には直交する方向となるよ うに定めるので、波形形状9が前記稜線相当 位30を中心とする振動に対してリブの作用を 実現する。これにより、金属製カバー1の振 を抑制することができ、金属製カバー1のク ックの発生を防止することができ、金属製 バー1の品質を格段に向上することができる 。

 さらに、前述した稜線相当部位30の延び 方向に沿って発生する振動に対しては、前 第2方向A2に沿って断続的に延び、第1方向A1 沿って連なる図4~図6に示される前記第2起立 11が、やはりリブの機能を実現して振動を 制する。

 また、本実施例において、図7に示される ように、金属製カバー1の外周部の少なくと 一部分にフランジ28が形成される。これによ り、金属製カバー1が振動する際にこのフラ ジ28がリブの機能を実現し、金属製カバー1 振動の振幅を減少することができ、金属製 バーに1おけるクラックの発生を抑制するこ ができる。

 以上のように、本実施例によれば、金属 カバー1は金属板4を立体形状をなすように 成して構成され、この金属板4に形成されて る複数の波形形状9は、隆起部7と谷部8とが 1方向A1に沿って連なって形成され、各隆起 7はその長手方向即ち第1方向A1に沿って周期 的に高さが変化されている。さらに、第1方 A1が立体形状を構成する金属製カバー1の主 な稜線相当部位30に対して直交する方向に定 められている。

 したがって、波形形状9が前記主要な稜線 相当部位30の両側部位の振動に対してリブの 用を実現する。これにより、エキマニ3から の振動により、金属製カバー1が前記主要な 線相当部位30を中心にしてその両側の金属製 カバー1の部がばたつくように振動する事態 抑制され、金属製カバー1の稜線相当部位30 近の部が繰り返しの屈曲により金属疲労を じクラックを発生しやすくなる事態が防止 れる。

 これにより、本実施例の金属製カバー1の 振動を抑制することができ、金属製カバー1 クラックの発生を防止することができ、金 製カバー1の品質を格段に向上することがで る。

 また、金属製カバー1は、金属製カバー1 形成されている複数の波形形状の前記第1方 A1が、金属製カバー1の製品形状の屈曲部位3 0に対して交差する方向、好適には直交する 向に定められているので、波形形状が前記 曲部位30を中心とする振動に対してリブの作 用を実現する。これにより、金属製カバー1 振動を抑制することができ、金属製カバー1 クラックの発生を防止することができ、金 製カバー1の品質を格段に向上することがで きる。

 図9は本実施例の金属製カバー1の作用を す簡略化した断面図である。以下、図9を併 て参照して金属製カバー1の作用について説 明する。本実施例の金属製カバー1には、前 したように、波形形状9が実質的に全面に形 された弾性変形可能な材料である金属板4に 前記積層部45が構成されている。

 したがって、金属製カバー1が受けた振動 によって、金属製カバー1が面振動して振動 発生する場合、このような振動は、図9にお て、動作の一例が示されているように、隆 部7が変形していない標準時の隆起部7の凹 46の幅L4に対し、伸長部位では凹所46の幅は 前記幅L4より大きな伸長時幅L5になり、圧縮 位では凹所46の幅は、前記幅L4より小さな圧 縮時幅L6になるような伸縮変形が、金属製カ ー1の全面に亘って各部位において発生する 。

 金属製カバー1において、このように、波 形形状9の各部位の伸縮変形により、外部か 加えられる振動は、金属板4自身の弾性変形 よって相当部分が熱エネルギーに変換され 。これにより、金属製カバー1の振動が抑制 されることができる。

 また、金属製カバー1が受けた振動の比較 的低周波帯域成分によって、金属製カバー1 全体としてばたつくような振動を発生する 合、このような振動は、図9において、動作 一例が示されているように、隆起部7が変形 していない標準時の隆起部7の凹所46の幅L4に し、伸長部位では凹所46の幅は、前記幅L4よ り大きな伸長時幅L5になり、圧縮部位では凹 46の幅は、前記幅L4より小さな圧縮時幅L6に る。

 また、金属製カバー1には前記積層部45が 成されているので、前記各部長さL1、L2、L3 寸法例の場合、本件発明者らは、波形形状9 の屈曲にしたがって波形形状9の一周期の長 (以下、周長という)を計測した。その結果、 周長L0は約17mmになり、前記波形形状9の1周期 長さL1(本例では、11mm)に対して、約55%の伸 代を実現できることになる。

 本実施例で金属板4としてアルミニウム材 を使用しているが、アルミニウム材は、鉄材 やステンレス材と比較して、延性、展性が低 く、プレス加工、特に深絞りなどを行う場合 にクラックなどの問題点が発生することがあ る。これに対し、本実施例では、金属板4が 55%の延性、展性を有しているに等しいので 深絞り加工を含むプレス加工が格段に容易 なる。これにより、金属製カバー1の材料と て、アルミニウムなどの軽金属を用いるこ ができ、金属製カバー1の軽量化を図ること ができる。また、加工性も格段に向上される 。

 このような金属板4をプレス加工するなど して、金属製カバー1の製品形状に加工する 合、積層部45が図9に示されるように伸縮す ことにより、波形形状9が形成された金属板4 の加工における延び代が、平板形状の金属板 と比較して格段に大きくなる。これにより、 加工が平板形状の金属板と比較して格段に容 易になる。この作用効果は、金属板として、 例として鉄やステンレス鋼などよりも、比較 的延性が小さいアルミニウム合金を用いる場 合に顕著に実現される。

 さらに、本実施例において、前述したよ に、金属製カバー1の不所望な変形や割れの 発生が防止されるので、これを達成するため に、金属製カバー1を構成する金属板4の板厚 大きくしたり補強部材を追加したりして、 属製カバー1の剛性を増大させたり、金属製 カバー1のエキマニ2に対する支持個所を増大 せたりする必用が解消される。これにより 金属製カバー1の剛性を増大させたときに想 定される金属製カバー1の重量の増大による 持個所付近での割れの可能性の増大や、金 製カバー1の支持個所を増大させた際に想定 れる熱歪による割れの発生を防止すること できる。これらの点でも金属製カバー1の信 頼性が格段に向上される。

 図10は金属製カバー1の制振作用を説明す グラフである。以下、図10を併せて参照し 、金属製カバー1の制振作用について説明す 。本件発明者は、本実施例の金属製カバー1 の制振作用を確認するために、鋼板、ステン レス鋼板、FRP板、サンドイッチ鋼板、及び本 実施例の金属製カバー1について、振動を加 た場合の振動の減衰係数の計測を行った。 の結果が図10のグラフに示されている。

 この計測によれば、図10において領域Pで される本実施例の金属製カバー1の振動減衰 係数は、鋼板、ステンレス鋼板よりも大きく 、FRP(繊維強化プラスチック)板、サンドイッ 鋼板よりも小さい範囲に属することが確認 れた。したがって、異種材料の積層構造を するサンドイッチ鋼板や、内部に無機繊維 含有するFRPなどよりは減衰係数が小さいも の、内燃機関のカバー類の材料として多く いられている鋼板、ステンレス鋼板よりは きな振動減衰係数を有しており、制振性能 関して従来技術よりも格段に向上されてい ことが確認された。

 図11は本実施例の金属製カバー1の制振性を 認するために、板厚0.5mmの単層アルミメッ 鋼板を用いたサンドイッチ鋼板、板厚0.5mmの 単層アルミ板、金属製カバー1、板厚0.3mmと0.1 25mmの平板アルミ板の積層アルミ板の各損失 数ηを室温で計測した結果を示すグラフであ る。各材料毎の損失係数を下記表1に示す。

 上記表1及び図11から、室温において、本実 例の金属製カバー1の制振性能は、前記サン ドイッチ鋼
板や板厚0.5mmのアルミ板よりも低いものの、 記積層アルミ板よりも高いことが確認され 。

 図12は本実施例の金属製カバー1に関連し 、各種材料の振動に関する損失係数ηの温 変化を計測した結果を示すグラフである。 測温度範囲は室温と約250℃の間であり、金 製カバー1の計測結果を曲線g1で示し、板厚0. 5mmのアルミメッキ鋼板の計測結果を曲線g2で す。

 この計測結果によれば、本実施例の金属 カバー1の損失係数は、約100℃付近より下方 の温度範囲ではアルミメッキ鋼板の損失係数 よりも低いが、約100℃付近を超える温度範囲 では、アルミメッキ鋼板の損失係数よりも格 段に向上することが確認された。

 したがって、金属製カバー1を、例として 自動車のエンジンなどのような熱を発生する 振動源に対して用いる場合、エンジンの稼動 下では良好な制振性を示すことが確認された 。

 本発明は、上記各実施例に権利範囲を限 されるものではなく、本発明の精神逸脱し い範囲で広範な変更例を含むものである。

 特に、上記実施例の金属製カバー1におい て、金属板4、5に形成される波形形状9は、前 記実施例の形状に限定されるものではなく、 任意の波形形状が形成される場合でも、振動 に伴う波形形状の伸縮動作が実現され得るこ とは明らかであり、この伸縮動作による制振 作用を実現することができる。

 以上のように本実施例によれば、下記の 果を奏することができる。本実施例によれ 、第1方向A1及び第2方向A2にそれぞれ沿って 形形状9、9aが連なって形成されている。し がって、金属板4、5から形成される金属製 バー1に関して、外部からの振動によってカ ー1が振動を発生する場合、このような振動 は、前記波形形状9、9aにおける谷部8、8a及び 隆起部7、7aにおける金属板4の弾性的な変形 転換される。これにより、外部から加えら る振動は、金属板4自身の弾性変形によって 当部分が熱エネルギーに変換される。これ より、金属板4が受ける振動によるカバー1 振動が抑制されることができる。

 また、本発明において、加工用素材が振 源に対して用いられた場合、加工用素材か 形成された製品は、振動源からの振動の伝 により振動する。この製品の振動に際して 製品形状の屈曲部位を中心にして、その両 の製品の部位がばたつくように振動する。 のような振動が発生すると、製品の前記屈 部位付近の部位が繰り返しの屈曲により金 疲労を生じクラックを発生しやすくなる。

 本発明では、製品に加工される加工用素 には、前記第1方向及び第2方向に沿って波 形状がそれぞれ形成されており、一例とし その第1方向が、製品の前記屈曲部位に対し 交差する方向、好適には直交する方向に定 られている場合、波形形状が前記屈曲部位 中心とする振動に対してリブの作用を実現 る。これにより、製品の振動を抑制するこ ができ、製品のクラックの発生を防止する とができ、製品の品質を格段に向上するこ ができる。

 また、本実施例によれば、このような金 板4をプレス加工するなどして、所望のカバ ー1形状に加工する場合、前記波形形状9、9a 伸縮することにより、波形形状9、9aが形成 れた金属板4の加工における延び代が、平板 状の金属板4と比較して格段に大きくなる。 これにより、加工性が平板形状の金属板と比 較して格段に向上される。この作用効果は、 金属板4として、例として鉄やステンレス鋼 どの延性、展性が比較的大きい材料よりも 比較的延性、展性が小さいアルミニウム合 を用いる場合など顕著に実現される。

 また、本実施例によれば、カバー1は、金 属板4に波形形状9、9aを加工して形成される で、カバー1が屈曲形状を有する場合、カバ 1の一方表面が凸形状の場合、他方表面は凹 形状になる。このとき、凸形状側では波形形 状9、9aの隆起部7、7a同士の間隔が広がり、他 方表面側では、波形形状9、9aの隆起部7、7a同 士の間隔が狭まることになる。

 したがって、本実施例の金属板4の一方表 面(例として、図4及び図5の下方側表面)に細 い凹凸を有する部材、或いは比較的柔軟な 面性状の部材(以下、基材と総称する、図示 ず)を当接し、金属板4を基材と共に屈曲さ ると、基材側で波形形状9、9aの隆起部7、7a 士の間隔が狭まる部位において、金属板4の 材側の隆起部7、7a間の間隔が狭まり、金属 4と基材とが相互に噛み合って相互に固定さ れることになる。

 したがって、金属板4の基材への装着を、 接着剤などの特段の手段を講じる事無く実現 することができる。この点に於いても、本実 施例のカバー1の構成の簡略化と小型化とを ることができる。

 また、本実施例において、カバー1の形状 及び構造は、金属板4がカバー1に加工された の形状よって定められている。したがって 本実施例において、カバー1に加工される前 段階での金属板4の形状及び構造は任意であ 。これにより、本実施例は、カバー1に加工 れた際の金属板4の形状及び構造が、本実施 例に規定する条件を満足する限り、広範な種 類の加工用素材に関して適用されるものであ る。

 以下に、図13~図17を併せて参照して、本 明の実施例2について説明する。図13は本実 例の金属製カバー1aの素材の金属板6の斜視 であり、図14は本実施例の成型部材である金 属製カバー1aの簡略化した断面図であり、図1 5は本実施例の吸音特性を説明するグラフで り、図16は本実施例に基づく調査装置21の構 を示す概念図であり、図17は吸音特性に関 る調査装置21による調査結果を説明するグラ フである。

 本実施例の金属製カバー1aは、前記第1実 例と類似し、対応する部分には同一の参照 号を付す。本実施例の特徴の一つは、カバ 1aを構成する板厚t0の平板状のアルミニウム 板からなる薄板材である金属板6に対して、 数の貫通孔22を形成した点である。この貫通 孔22は、金属板6を板厚方向(図13上下方向)に 気が移動可能に形成される。貫通孔22は、一 例として図13に示される円筒状の断面形状を するが、これに限定されるものではなく、 形のスリット状や、その他の異形の形状で よい。本実施例では、一例として、板厚t0 0.15mmに選ばれ、貫通孔22に関して、開口径D1= 0.5mm、開口率0.1%に選ばれる。

 本件発明者の調査及び実験によれば、貫 孔22の開口径D1は、金属製カバー1aへ入力さ る音が空気の粗密波として貫通孔22を通過 る際に、貫通孔22の周縁部と空気との摩擦に よる空気の振動エネルギーの熱エネルギーへ の変換作用と、空気流の圧力損失によるエネ ルギーの減衰作用とに多大な影響を及ぼすも のである。

 本件発明者の調査及び実験によれば、貫 穴22を通過する空気に、前記圧力損失によ エネルギー減衰作用を実現することが出来 開口径D1は、3mm以下が望ましいことが判明し た。開口径D1が、3mmよりも大きくなれば、前 空気通過時の圧力損失が大きく低下し、金 板6に対する垂直入射吸音率に関するしきい 値=0.3を大きく下回ることが確認されたから ある。また、貫通孔22の開口径D1が1mm以下で れば、貫通孔22を通過する空気流に、粘性 用を確実に発生させることができることが 認されている。

 本実施例ではこのような貫通孔22が多数 成された金属板6に対し、図3~図6を参照して 明したように、第1方向A1及び第2方向A2に沿 て、前述したようなコルゲート加工をそれ れ施す。このようなコルゲート加工を施し 得られた図14に示される加工用素材24と、加 工用素材24から予め定める距離L21の空気層26 隔てて設けられる隔壁部材である背面板25と を含んで、本実施例の成型部材である金属製 カバー1aが構成される。

 本件発明者は、本実施例の金属製カバー1 aに関して、前記距離L21を変化させた場合の 直入射吸音率の変動を測定した。図15に測定 結果の周波数-垂直入射吸音率のグラフを示 。曲線g10、g11、g12、g13は、距離L21を0mm、2mm 4mm、8mmとした場合の垂直入射吸音率の変化 それぞれ示す。

 このグラフから分かるように、本実施例 垂直入射吸音率は、第1周波数帯域f1(1~2kHz) 及び第2周波数帯域f2(3~4kHz)の2つのピーク周 数帯域を有している。図15において、低い方 のピーク周波数帯域である第1周波数帯域f1は 、隆起部7と背面板25との距離L22により定まる 空気層と、隆起部7部分に形成された前記貫 孔22による共鳴、ならびに、谷部8と背面板25 との距離L21により定まる空気層と、谷部8部 に形成された前記貫通孔22による共鳴に起因 する周波数帯域である。高い方のピーク周波 数帯域である前記第2周波数帯域は、隆起部7 谷部8との距離L23により定まる空気層と、隆 起部7に形成された貫通孔22による共鳴周波数 に起因する周波数帯域である。

 また、本件発明者は、本実施例の金属製 バー1aに関して、前記図13に示した構成の金 属板6を、図16に示す調査装置21で調査した。 査装置21は、加振機33と取付治具34を備える 調査を行うに際して、金属板6を加振機33に 付治具34で取り付け、金属板6に関して加振 33と反対側の近傍に設置されたマイクロフ ンなどの音圧検知手段35で金属製カバー1aか の音の音圧レベルを測定した。測定結果は 図17のグラフに示されている。曲線g15は、 数の貫通孔22を有する本実施例の金属製カバ ー1aの場合であり、曲線g16は、貫通孔22が形 されていない金属製カバー1の場合である。

 図17のグラフから分かるように、 貫通孔 22を有する本実施例の金属製カバー1aが、周 数帯域630Hz前後、1250Hz前後、2500Hz以上の各帯 域において、曲線g16よりも低減されたレベル にあり、貫通孔22による騒音低減効果が見ら ることが確認された。

 このような本実施例の金属製カバー1aは 以下の吸音作用と振動放射音低減作用とを 現することができる。

 以下、本実施例の金属製カバー1aの作用 ついて説明する。本実施例の金属製カバー1a は、それ自身に貫通孔22を設けている。した って、金属製カバー1aが振動した場合、貫 孔22を空気が矢符e1方向に通過する際に、加 用素材24の貫通孔22を構成する端面32と空気 の間で摩擦によるエネルギーの減衰が発生 る。

 このようなエネルギーの減衰による吸音 能は、空気の振動である音波のエネルギー 熱エネルギーに変換されることにより発揮 れる。このような吸音性能に関して、前記 い方のピーク周波数帯域f1における吸音性 は、隆起部7と背面板25との距離L22により定 る空気層及び谷部8と背面板25との距離L21に り定まる空気層による共鳴に起因する。

 さらに、本実施例の場合、面方向に前記 部8と隆起部7とによる凹凸が存在するため 隆起部7上面と谷部8底面との間の厚さL23の空 気層による共鳴に起因する音響共鳴周波数帯 域付近での吸音性能も発揮する。

 このような相乗的な吸音効果により、加 用素材24自身が発生する振動、騒音を、発 後に吸音することにより低減することが出 る。

 また、本実施例は、前記隆起部7及び谷部 8によるリブ補強効果により、金属板6が全面 位相で動きやすい。このとき金属板6に貫通 孔22が設けられていることによって、加工用 材24の振動から音へのエネルギー変換効率 ある音響放射効率が、貫通孔22がない場合と 比較して、低減することが確認された。これ により、本実施例の加工用素材24が振動して る場合でも、加工用素材24から放射される の振幅を低減できる。

 金属板6に貫通孔22を設けることによる振 放射音低減効果について、金属板6の面振動 が部分的に振幅又は/及び位相が異なる場合 すなわち加工用素材24の表面に振動分布が発 生する場合、振動放射音低減作用の効果が小 さくなることが知られている。しかし、本実 施例のように、加工用素材24表面に前記隆起 7及び谷部8からなる凹凸が存在し、前述し リブ補強効果がある場合、振動分布を小さ でき、振動放射音の低減効果を顕著にする とができる。したがって、この振動放射音 減効果により、加工用素材24自身が発生する 騒音を低減することができる。

 また、本実施例において、加工用素材24 ら形成される金属製カバー1aに関して、外部 からの振動によってカバー1aが振動を発生す 場合、このような振動は、前記波形形状9に おける谷部8及び隆起部7における金属板6の弾 性的な変形に転換される。これにより、外部 から加えられる振動は、金属板6自身の弾性 形によって相当部分が熱エネルギーに変換 れる。これにより、加工用素材24が受ける振 動によるカバー1aの振動が抑制されることが きる。

 本実施例は、貫通孔22の開口径D1、開口率 、板厚t0、隆起部7と背後板25又は谷部8との距 離を適切に調整することにより、低減すべき 周波数帯域に合わせた振動放射音低減効果を 得るよう調整することが可能である。

 また、本実施例の金属製カバー1aを構成 る金属板6の材質や、貫通孔22の孔形状につ ては、上記各実施例に限定されるものでは く、他の材料を用いる場合も本発明に含ま る。