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Patent Searching and Data


Title:
METAL OXIDE FINE PARTICLE, METHOD FOR PRODUCING THE SAME, AND RESIN COMPOSITION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/139463
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a metal oxide fine particle having a metal oxide core region, an intermediate region formed around the core region and having a condensate structure of an alkoxyorganosiloxane, and a surface region containing an organic molecular chain, an organosilicon molecular chain or a reactive functional group.

Inventors:
IJI MASATOSHI (JP)
MORISHITA NAOKI (JP)
KAI HIROYUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/059050
Publication Date:
November 19, 2009
Filing Date:
May 15, 2009
Export Citation:
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Assignee:
NEC CORP (JP)
IJI MASATOSHI (JP)
MORISHITA NAOKI (JP)
KAI HIROYUKI (JP)
International Classes:
C08G77/38; C01B33/18; C07F7/18; C08L101/10
Domestic Patent References:
WO2007061847A12007-05-31
WO2006059719A12006-06-08
WO2006107226A12006-10-12
Foreign References:
JPH11148009A1999-06-02
JPH1036675A1998-02-10
JP2004277476A2004-10-07
JP2002121536A2002-04-26
JP2007308867A2007-11-29
JP2008120870A2008-05-29
Attorney, Agent or Firm:
MIYAZAKI, Teruo et al. (JP)
Akio Miyazaki (JP)
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Claims:
 金属酸化物系コア領域と、
 アルコキシオルガノシロキサンの縮合体構造を有し、前記コア領域の外周に形成された中間領域と、
 有機分子鎖もしくは有機シリコン分子鎖または反応性官能基を含む表面領域を有する金属酸化物系微粒子。
 前記表面領域の有機分子鎖もしくは有機シリコン分子鎖または反応性官能基は、前記中間領域の縮合体構造のケイ素原子に連結基を介して結合し、
 前記中間領域の前記縮合体構造のケイ素原子と、前記金属酸化物系コア領域の金属原子とが連結基を介して結合している、請求項1に記載の金属酸化物系微粒子。
 炭素数1から3のアルコキシ基を複数有する金属アルコキシド基を含む第1セクションと、アルコキシオルガノシロキサン構造部を含み、第1セクションに結合している第2セクションと、有機分子鎖もしくは有機シリコン分子鎖または反応性官能基を含み、第2セクションに結合している第3セクションを有する有機金属化合物間の反応により形成された金属酸化物系微粒子であって、
 前記金属酸化物系コア領域は、第1セクションの金属アルコキシド基間の縮合により形成された領域であり、
 前記中間領域は、第2セクションのアルコキシオルガノシロキサン構造部間の縮合により形成された領域であり、
 前記表面領域は、第3セクションの有機分子鎖もしくは有機シリコン分子鎖または反応性官能基を含む領域である、請求項1又は2に記載の金属酸化物系微粒子。
 第1セクションは、式(I):
(R 1 、R 2 及びR 3 はそれぞれ独立に炭素数1から3のアルキル基、Xは連結基を示し、aは2又は3、bは0、1又は2、cは2又は3、dは0又は自然数を示し、但しa-bは1以上であり、aが2の場合は1個のR 1 がR 1 Oの結合するSi原子に直接結合し、cが2の場合は1個のR 2 がR 2 Oの結合するSi原子に直接結合する)
で表され、
 第2セクションのアルコキシオルガノシロキサン構造部は、式(IIa):
(R 4 は炭素数がR 1 、R 2 及びR 3 の炭素数以上のアルキル基を示し、R 5 は炭素数が1から10のアルキル基、炭素数が6から10のアリール基、炭素数2から10のアルケニル基または炭素数が7から10のアラルキル基を示し、R 4 及びR 5 がそれぞれ一分子中に複数ある場合は互いに同一であっても異なっていてもよい)
で表される単位を有し、
 第3セクションは、式(III):
(R 8 は有機分子鎖もしくは有機シリコン分子鎖または反応性官能基を示し、Yは連結基を示す)
で表される、請求項3に記載の金属酸化物系微粒子。
 R 4 は炭素数がR 1 、R 2 及びR 3 の炭素数より1から4個多いアルキル基である、請求項4に記載の金属酸化物系微粒子。
 R 1 、R 2 及びR 3 がメチル基またはエチル基である、請求項4又は5に記載の金属酸化物系微粒子。
 R 1 、R 2 及びR 3 はメチル基またはエチル基であり、R 4 は炭素数がR 1 、R 2 及びR 3 の炭素数と同じアルキル基である、請求項4又は5に記載の金属酸化物系微粒子。
 dが0である、請求項4から7のいずれか一項に記載の金属酸化物系微粒子。
 第1セクションは、式(IV):
(R 9 は炭素数1から3のアルキル基、Xは連結基を示し、nは3以上の整数を示す。)
で表される、請求項4に記載の金属酸化物系微粒子。
 R 4 は炭素数がR 9 の炭素数より1から4個多いアルキル基である、請求項9に記載の金属酸化物系微粒子。
 R 5 がアルキル基である、請求項4から10のいずれか一項に記載の金属酸化物系微粒子。
 式(IIa)で表される単位と式(IIb):
(R 6 及びR 7 はそれぞれ独立に炭素数が1から10のアルキル基、炭素数が6から10のアリール基、炭素数2から10のアルケニル基または炭素数が7から10のアラルキル基を示し、R 6 及びR 7 がそれぞれ一分子中に複数ある場合は互いに同一であっても異なっていてもよい)
で表される他のシロキサン単位のモル比([IIa]/([IIa]+[IIb]))が0.2~1の範囲にある、請求項4から11のいずれか一項に記載の金属酸化物系微粒子。
 第2セクションのアルコキシオルガノシロキサン構造部の重合度が2から30の範囲にある、請求項4から12のいずれか一項に記載の金属酸化物系微粒子。
 第2セクションのアルコキシオルガノシロキサン構造部の重合度が3から15の範囲にある、請求項4から12のいずれか一項に記載の金属酸化物系微粒子。
 請求項1から14のいずれか一項に記載の金属酸化物系微粒子からなる樹脂充填剤。
 請求項1から14のいずれか一項に記載の金属酸化物系微粒子とプラスチックを含む樹脂組成物。
 金属酸化物系コア領域と、アルコキシオルガノシロキサンの縮合体構造を有し、前記コア領域の外周に形成された中間領域と、有機分子鎖もしくは有機シリコン分子鎖または反応性官能基を含む表面領域を有する金属酸化物系微粒子の製造方法であって、
 炭素数1から3のアルコキシ基を複数有する金属アルコキシド基を含む第1セクションと、アルコキシオルガノシロキサン構造部を含み、第1セクションに結合している第2セクションと、有機分子鎖もしくは有機シリコン分子鎖または反応性官能基を含み、第2セクションに結合している第3セクションを有する有機金属化合物を用いて、第1セクションの金属アルコキシド基間の縮合により前記金属酸化物系コア領域を形成する工程と、
 第2セクションのアルコキシオルガノシロキサン構造部間の縮合により前記中間領域を形成するとともに、該中間領域の外周に配置された有機分子鎖もしくは有機シリコン分子鎖または反応性官能基を含む前記表面領域を形成する工程を有する金属酸化物系微粒子の製造方法。
 第1セクションは、式(I):
(R 1 、R 2 及びR 3 はそれぞれ独立に炭素数1から3のアルキル基、Xは連結基を示し、aは2又は3、bは0、1又は2、cは2又は3、dは0又は自然数を示し、但しa-bは1以上であり、aが2の場合は1個のR 1 がR 1 Oの結合するSi原子に直接結合し、cが2の場合は1個のR 2 がR 2 Oの結合するSi原子に直接結合する)
で表され、
 第2セクションのアルコキシオルガノシロキサン構造部は、式(IIa):
(R 4 は炭素数がR 1 、R 2 及びR 3 の炭素数以上のアルキル基を示し、R 5 は炭素数が1から10のアルキル基、炭素数が6から10のアリール基、炭素数2から10のアルケニル基または炭素数が7から10のアラルキル基を示し、R 4 及びR 5 がそれぞれ一分子中に複数ある場合は互いに同一であっても異なっていてもよい)
で表される単位を有し、
 第3セクションは、式(III):
(R 8 は有機分子鎖もしくは有機シリコン分子鎖または反応性官能基を示し、Yは連結基を示す)
で表される、請求項17に記載の金属酸化物系微粒子の製造方法。
Description:
金属酸化物系微粒子およびその 造方法、並びに樹脂組成物

 本発明は、金属酸化物系微粒子およびそ 製造方法、並びに樹脂組成物に関する。

 プラスチックは様々な産業分野で使用さ ているが、特に電子機器や自動車などの耐 製品では、強度の向上が求められている。

 プラスチックの強度を向上するための関 技術として、微粒子状の金属酸化物(シリカ 、アルミナ、チタニア等)を充填剤として配 することが行われている。近年、直径1ミク ン以下、特にナノサイズのシリカ超微粒子 配合による高い補強効果が注目されている

 しかしながら、シリカ微粒子は、表面の 酸基によって凝集しやすいため、プラスチ ク中での分散性が低く、またプラスチック 種類によっては、プラスチック/微粒子界面 での密着性が不十分な場合があり、十分な改 善効果が得られないことが多い。

 そこで、シリカ微粒子の表面を、反応性 機化合物、例えば、有機シリコン化合物や 機アルミニウム化合物、有機チタン化合物 どの有機金属化合物、各種カルボン酸で処 することで、プラスチック中でのシリカ微 子の分散性やプラスチック/微粒子界面の密 着性を改善することが行われている。例えば 特許文献1(特開2004-269773号公報)には、シリカ の酸化化合物を、疎水基を含む改質剤と極 基を含む改質剤を用いて順次表面処理し、 の酸化化合物を熱可塑性樹脂に配合するこ によって、酸化化合物が均一に分散し、熱 塑性樹脂の官能基と強固に結合した樹脂組 物が得られることが記載されている。また 許文献2(特開昭62-236821号公報)には、エポキ 樹脂と、硬化剤と、シリカ等の無機物表面 シリコーンゴム層および樹脂との反応層を 次被覆した無機充填剤との混合物からなる 導体封止用エポキシ樹脂組成物が記載され いる。

 その他の表面処理技術として、シリカ微 子の表面に特定の有機化合物層、例えばポ シロキサン層を設けることによりシリカ微 子表層における応力を緩和するなど、高機 化の検討が行われている。この例として、 許文献3(特開平2002-327030号公報)には、シリ 微粒子をコアとし、その表面に共有結合を してポリオルガノシロキサン及び疎水性重 性モノマーの重合物を含むシェル層を設け コアシェル型微粒子が記載されている。

 一方、近年、アルコキシシラン化合物を ラスチック中に予め混合し、その後、アル キシ基同士を縮合させ、ナノサイズのシリ 微粒子あるいはこれに類似する構造をもつ 粒子(以下これらを総称して「シリカ系微粒 子」という)をプラスチック中で形成させる いわゆる、ゾル-ゲル法ナノコンポジットの 討が行われている。この方法は、プラスチ ク中のシリカ系微粒子の高分散化に有効で り、結果、高い補強効果、特に剛性(弾性率 、ヤング率)の向上を図ることができる。こ 例として、例えば、特許文献4(特開平6-136321 公報)には、ポリウレタンと、加水分解性ア ルコキシシラン(又はその部分縮合物)と、必 に応じて触媒とを低級アルコールに溶解し 得られたアルコールゾル溶液を基材に塗布 、乾燥して、ポリウレタン・シリカハイブ ッド体を製造することが記載されている。 た、特許文献5(特開2006-183021号公報)には、 水性基を有する水分散ポリウレタンと、珪 塩と、酸とを反応させるか、又はこの水分 ポリウレタンと、アルキル珪酸とを中性あ いはアルカリ性下で反応させることによっ 、ポリウレタンとポリケイ酸を同時に析出 せ、ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジッ を得ることが記載されている。

 上記のような、各種有機化合物を用いた 面処理による表面改質微粒子は、プラスチ クと複合化した際の機能向上に有効ではあ が、微粒子への表面処理剤の噴霧や処理剤 液中での微粒子の浸漬などの表面処理工程 必要であり、その処理自体に手間がかかり 製造プロセスが煩雑になる。表面処理工程 は、微粒子が凝集しやすく、特に直径1ミク ロン以下の超微粒子は凝集しやすいため、微 粒子の表面処理を、凝集を防ぎながら行うこ とは困難であり、結果、処理効果が不十分と なったり、製品中の凝集物が増大したりする 問題が生じる。また、微粒子表面に異なる機 能をもつ複数の層を形成する場合は、一層複 雑な工程を要し、多大な手間がかかる。さら に、表面処理剤同士が反応しやすいため、処 理効率が低下したり、残存した処理剤の回収 や再利用が難しい。このため、表面処理によ り高機能化された金属酸化物微粒子の生産性 は、極めて低いという問題がある。

 これに対して、上記のようなゾル-ゲル法 ナノコンポジット技術は、プラスチック中の 微粒子の高分散化に有効である。しかし、こ のようなナノコンポジット技術は、プラスチ ックの剛性の向上には有効であっても、伸び (破断時、または最大応力時)に対しては不十 であった。すなわち、ナノサイズの超微粒 表面の高機能化の取り組みは不十分であり 破断時の最大応力とともに伸びを向上させ 、つまり強靭性の改良は重要な課題である

 本発明の目的は、上述した課題を解決す 、プラスチックの強度向上に有効な金属酸 物系微粒子およびその製造方法、並びに強 が改善された樹脂組成物を提供することに る。

 本発明の態様によれば、以下の金属酸化 系微粒子およびその製造方法、並びに樹脂 成物を提供することができる。

 (1)金属酸化物系コア領域と、
 アルコキシオルガノシロキサンの縮合体構 を有し、前記コア領域の外周に形成された 間領域と、
 有機分子鎖もしくは有機シリコン分子鎖ま は反応性官能基を含む表面領域を有する金 酸化物系微粒子。

 (2)前記表面領域の有機分子鎖もしくは有機 リコン分子鎖または反応性官能基は、前記 間領域の前記縮合体構造のケイ素原子に連 基を介して結合し、
 前記中間領域の縮合体構造のケイ素原子と 前記金属酸化物系コア領域の金属原子とが 結基を介して結合している、上記1項に記載 の金属酸化物系微粒子。

 (3)炭素数1から3のアルコキシ基を複数有す 金属アルコキシド基を含む第1セクションと アルコキシオルガノシロキサン構造部を含 、第1セクションに結合している第2セクシ ンと、有機分子鎖もしくは有機シリコン分 鎖または反応性官能基を含み、第2セクショ に結合している第3セクションを有する有機 金属化合物間の反応により形成された金属酸 化物系微粒子であって、
 前記金属酸化物系コア領域は、第1セクショ ンの金属アルコキシド基間の縮合により形成 された領域であり、
 前記中間領域は、第2セクションのアルコキ シオルガノシロキサン構造部間の縮合により 形成された領域であり、
 前記表面領域は、第3セクションの有機分子 鎖もしくは有機シリコン分子鎖または反応性 官能基を含む領域である、上記1項又は2項に 載の金属酸化物系微粒子。

 (4)第1セクションは、式(I):

(R 1 、R 2 及びR 3 はそれぞれ独立に炭素数1から3のアルキル基 Xは連結基を示し、aは2又は3、bは0、1又は2 cは2又は3、dは0又は自然数を示し、但しa-bは 1以上であり、aが2の場合は1個のR 1 がR 1 Oの結合するSi原子に直接結合し、cが2の場合 1個のR 2 がR 2 Oの結合するSi原子に直接結合する)
で表され、
 第2セクションのアルコキシオルガノシロキ サン構造部は、式(IIa):

(R 4 は炭素数がR 1 、R 2 及びR 3 の炭素数以上のアルキル基を示し、R 5 は炭素数が1から10のアルキル基、炭素数が6 ら10のアリール基、炭素数2から10のアルケニ ル基または炭素数が7から10のアラルキル基を 示し、R 4 及びR 5 がそれぞれ一分子中に複数ある場合は互いに 同一であっても異なっていてもよい)
で表される単位を有し、
 第3セクションは、式(III):

(R 8 は有機分子鎖もしくは有機シリコン分子鎖ま たは反応性官能基を示し、Yは連結基を示す)
で表される、請求項3に記載の金属酸化物系 粒子。

 (5)R 4 は炭素数がR 1 、R 2 及びR 3 の炭素数より1から4個多いアルキル基である 上記4項に記載の金属酸化物系微粒子。

 (6)R 1 、R 2 及びR 3 がメチル基またはエチル基である、上記4項 は5項に記載の金属酸化物系微粒子。

 (7)R 1 、R 2 及びR 3 はメチル基またはエチル基であり、R 4 は炭素数がR 1 、R 2 及びR 3 の炭素数と同じアルキル基である、上記4項 は5項に記載の金属酸化物系微粒子。

 (8)dが0である、上記4項から7項のいずれか 一項に記載の金属酸化物系微粒子。

 (9)第1セクションは、式(IV):

(R 9 は炭素数1から3のアルキル基、Xは連結基を示 し、nは3以上の整数を示す。)
で表される、請求項4に記載の金属酸化物系 粒子。

 (10)R 4 は炭素数がR 9 の炭素数より1から4個多いアルキル基である 上記9項に記載の金属酸化物系微粒子。

 (11)R 5 がアルキル基である、上記4項から10項のいず れか一項に記載の金属酸化物系微粒子。

 (12)式(IIa)で表される単位と式(IIb):

(R 6 及びR 7 はそれぞれ独立に炭素数が1から10のアルキル 基、炭素数が6から10のアリール基、炭素数2 ら10のアルケニル基または炭素数が7から10の アラルキル基を示し、R 6 及びR 7 がそれぞれ一分子中に複数ある場合は互いに 同一であっても異なっていてもよい)
で表される他のシロキサン単位のモル比([IIa] /([IIa]+[IIb]))が0.2~1の範囲にある、上記4項から 11項のいずれか一項に記載の金属酸化物系微 子。

 (13)第2セクションのアルコキシオルガノ ロキサン構造部の重合度が2から30の範囲に る、上記4項から12項のいずれか一項に記載 金属酸化物系微粒子。

 (14)第2セクションのアルコキシオルガノ ロキサン構造部の重合度が3から15の範囲に る、上記4項から12項のいずれか一項に記載 金属酸化物系微粒子。

 (15)上記1項から14項のいずれか一項に記載 の金属酸化物系微粒子からなる樹脂充填剤。

 (16)上記1項から14項のいずれか一項に記載 の金属酸化物系微粒子とプラスチックを含む 樹脂組成物。

 (17)金属酸化物系コア領域と、アルコキシオ ルガノシロキサンの縮合体構造を有し、前記 コア領域の外周に形成された中間領域と、有 機分子鎖もしくは有機シリコン分子鎖または 反応性官能基を含む表面領域を有する金属酸 化物系微粒子の製造方法であって、
 炭素数1から3のアルコキシ基を複数有する 属アルコキシド基を含む第1セクションと、 ルコキシオルガノシロキサン構造部を含み 第1セクションに結合している第2セクショ と、有機分子鎖もしくは有機シリコン分子 または反応性官能基を含み、第2セクション 結合している第3セクションを有する有機金 属化合物を用いて、第1セクションの金属ア コキシド基間の縮合により前記金属酸化物 コア領域を形成する工程と、
 第2セクションのアルコキシオルガノシロキ サン構造部間の縮合により前記中間領域を形 成するとともに、該中間領域の外周に配置さ れた有機分子鎖もしくは有機シリコン分子鎖 または反応性官能基を含む前記表面領域を形 成する工程を有する金属酸化物系微粒子の製 造方法。

 (18) 第1セクションは、式(I):

(R 1 、R 2 及びR 3 はそれぞれ独立に炭素数1から3のアルキル基 Xは連結基を示し、aは2又は3、bは0、1又は2 cは2又は3、dは0又は自然数を示し、但しa-bは 1以上であり、aが2の場合は1個のR 1 がR 1 Oの結合するSi原子に直接結合し、cが2の場合 1個のR 2 がR 2 Oの結合するSi原子に直接結合する)
で表され、
 第2セクションのアルコキシオルガノシロキ サン構造部は、式(IIa):

(R 4 は炭素数がR 1 、R 2 及びR 3 の炭素数以上のアルキル基を示し、R 5 は炭素数が1から10のアルキル基、炭素数が6 ら10のアリール基、炭素数2から10のアルケニ ル基または炭素数が7から10のアラルキル基を 示し、R 4 及びR 5 がそれぞれ一分子中に複数ある場合は互いに 同一であっても異なっていてもよい)
で表される単位を有し、
 第3セクションは、式(III):

(R 8 は有機分子鎖もしくは有機シリコン分子鎖ま たは反応性官能基を示し、Yは連結基を示す)
で表される、上記17項に記載の金属酸化物系 粒子の製造方法。

 本発明によれば、プラスチックの強度向 に有効な金属酸化物系微粒子およびその製 方法、並びに強度が改善された樹脂組成物 提供することができる。

 以下、本発明の好適な実施の形態につい 説明する。

 本実施形態によれば、有機シリコン化合 を用いて、高機能な金属酸化物系微粒子を 成することができ、この金属酸化物系微粒 をプラスチックに配合することにより、強 が改善された樹脂組成物を得ることができ 。

 表面処理剤を用いて既存のシリカ微粒子 処理する前述の関連技術とは異なり、特定 構造を持つ本有機シリコン化合物を用いる とによって、高機能な金属酸化物系微粒子 、直接、効率よく製造することができる。 して、この金属酸化物系微粒子は、有機シ コン化合物の構造に由来する、金属酸化物 コア領域(以下適宜「コア」と表記する)と 間領域(アルコキシオルガノシロキサン縮合 構造を有する領域)と表面領域(有機分子鎖 しくは有機シリコン分子鎖または反応性官 基を含む領域)を持つ層状構造を有し、この 状構造の機能により、この金属酸化物系微 子と混合されるプラスチックの強度、特に 靭性を大幅に向上することができる。ここ 、「金属酸化物系コア」とは、金属酸化物 はこれに近い構造のコアを意味する。

 本実施形態における有機シリコン化合物 して、炭素数1から3のアルコキシ基を複数 する金属アルコキシド基を含む第1セクショ と、アルコキシオルガノシロキサン構造部 含み、第1セクションに結合している第2セ ションと、有機分子鎖もしくは有機シリコ 分子鎖または反応性官能基を含み、第2セク ョンに結合している第3セクションを有する 化合物を用いることができる。

 本有機シリコン化合物は、式(I)で示され アルコキシシラン基を含む部分(第1セクシ ン)と、式(IIa)で示される単位を含む特定の ルコキシオルガノシロキサン部分(第2セクシ ョン)と、式(III)で示される有機分子鎖もしく は有機シリコン分子鎖(以下「樹脂相溶性鎖 )または反応性官能基を含む部分(第3セクシ ン)の三つのセクションを有する化合物であ ことが好ましい。

 金属酸化物系微粒子の形成に際しては、 1セクションのアルコキシシラン基同士が分 子間で反応してコア(金属酸化物系コア領域) 形成され、第2セクションのアルコキシ基同 士が分子間で反応して中間領域(アルコキシ ルガノシロキサン縮合体構造を有する領域) 形成され、そして第3セクションの樹脂相溶 性鎖あるいは反応性官能基が金属酸化物系微 粒子表面に配置される。金属酸化物系微粒子 表面の樹脂相溶性鎖のプラスチックに対する 相溶効果により、あるいは金属酸化物系微粒 子表面の反応性官能基のプラスチックの官能 基との結合により、微粒子/プラスチック界 の密着性が改善される。

 この有機シリコン化合物は、第1セクショ ンのアルコキシシラン基のアルコキシ基同士 の反応速度が、第2セクションのアルコキシ 同士の反応速度より大きい。これを利用し 、第1セクションのアルコキシシラン基同士 反応させ、その後に第2セクションのアルコ キシ基同士を反応させることにより、コア、 中間領域、表面領域を持つ金属酸化物系微粒 子を容易に形成できる。この第1セクション アルコキシ基が第2セクションのアルコキシ より反応速度が大きい理由は、第1セクショ ンの方が、第2セクションよりも、アルコキ 基の炭素数が少なく、さらに、アルコキシ の密度が高く、加えて、分子先端に位置す ためである。第1セクションのアルコキシ基 炭素数が1個か2個の場合、反応性が著しく いため、第2セクションのアルコキシ基と同 炭素数であっても、アルコキシ基の存在密 と分子の先端位置の要因のみで、第1セクシ ョンのアルコキシ基の方が優先的に反応でき るので、目的とする金属酸化物系微粒子を形 成できる。

 本有機シリコン化合物は、溶液中で、極 と反応性が最も高い第1セクションのアルコ キシシラン基の部位を中心にして会合し、そ のアルコキシシラン基のアルコキシ基同士が 分子間で縮合し、高弾性の金属酸化物系コア が形成される。特に、第1セクションが式(IV) 示されるアルコキシシロキサンを有する場 、このアルコキシシロキサン部分は、あら じめ重合されたシロキサン単位の連鎖であ ため、金属酸化物系領域が形成しやすく、 弾性なコアが得られる。その後に、第2セク ションのアルコキシ基同士が縮合し、架橋し て、低弾性、すなわち応力緩和性のある中間 領域(例えばシリコーン領域)がコア上に形成 れる。そして残った第3セクションが表面側 に配置され、すなわち、金属酸化物系微粒子 の表面に所定のプラスチックとの相溶性の高 い樹脂相溶性鎖や、所定のプラスチックの官 能基と結合する反応性官能基が配置される。

 本有機シリコン化合物は、第2セクション のアルコキシ基の反応性が第1セクションの ルコキシシラン基内のアルコキシ基の反応 より低いため、このような2段階の反応によ 、金属酸化物系微粒子を容易に且つ効率的 形成することができる。前述の関連技術の うにシリカ微粒子の煩雑な表面処理工程を 施することなく、高機能な金属酸化物系微 子を製造できるので、その生産性を大幅に 上できる。

 また、本有機シリコン化合物から形成さ た金属酸化物系微粒子は、所定のプラスチ クに対する微粒子表面の高密着性、中間領 による応力緩和性、コアによる高弾性(高剛 性)を併せ持つため、プラスチックの破断時 最大応力と伸び、いわゆる強靭性を大幅に 上できる。さらに、衝撃強度などの他の機 的特性も向上させることができる。

 以下、本実施形態についてさらに詳細に 明する。

 本有機シリコン化合物の第1セクションは 、例えば式(I)で示される構造を有することが できる。この場合、コアとして、シリカ系コ ア領域が形成される。ここで、「シリカ系コ ア」とは、シリカ又はこれに近い構造のコア を意味する。

 本有機シリコン化合物は、第1セクション として、式(I)に示されるように、反応性と極 性が高いアルコキシシラン基を有している。 特に、末端のアルコキシシラン基はアルコキ シ基を2個以上有し、3個有することが好まし 。さらに、反応性および形成されるコアの 性の観点から、末端のアルコキシラン基と 当該末端アルコキシシラン基のケイ素原子 酸素を介して結合するケイ素原子を含むア コキシシラン構造部とを有することができ (式中のbが1又は2の場合に相当)。また、コ の形成し易さやコアの弾性の観点から、ア コキシシロキサン単位を有していてもよい( 中のdが0でない場合に相当)。

 第1セクションのアルコキシ基(OR 1 、OR 2 、OR 3 )は互いに同一であっても、異なっていても い。また、これらのアルコキシ基は、十分 反応性およびコアの弾性を得る観点から、 トキシ基、エトキシ基又はプロポキシ基(す わち、R 1 、R 2 、R 3 がメチル基、エチル基又はプロピル基)であ 、メトキシ基又はエトキシ基が好ましく、 にメトキシ基が好ましい。ここで、「プロ ル」は、「n-プロピル」又は「イソプロピル 」を含む。

 式(I)で示される第1セクションは、例えば、 以下の構造のいずれかを有することができる 。
(1)二つ以上のアルコキシ基を持つ末端ケイ素 原子を含むアルコキシシラン構造(例えばb=d=0 の場合)、
(2)二つのアルコキシ基を持つ末端ケイ素原子 と、該末端ケイ素原子に結合する酸素原子と 、該酸素原子に結合し且つ一つ又は二つのア ルコキシ基を持つケイ素原子とを含むSi-O-Si 造(例えば、bが1又は2、d=0の場合)、及び
(3)上記構造(1)とアルコキシシラン単位とを含 む構造(例えば、式(IV)で示される構造:a=3、b=0 、R 1 =R 3 (=R 9 )且つd≧2の場合、これはa=c=3、b=1、R 1 =R 2 =R 3 (=R 9 )且つd≧1の場合と同じ)。

 式(I)中のXは、第2セクションとの任意の 結基であり、第1セクションのアルコキシシ ン基を第2セクション(アルコキシオルガノ ロキサン部分)へ導入する方法に応じた構造 有することができる。すなわち、後述の第2 セクション形成用のアルコキシオルガノシロ キサンの結合官能基と第1セクションの結合 能基との結合構造に応じた連結部が形成さ る。金属酸化物系微粒子の形成後において 中間領域(シリコーン領域)のケイ素原子とコ アの金属原子とがこの連結部を介して結合し た構造を得ることができる。

 連結基Xは、第1セクションのケイ素原子に 合した炭化水素基R 10 を含んでいてもよく、第1セクションのケイ 原子Siと、第2セクションのケイ素原子Siに接 続する連結基X’との間に介在して、次式:
 Si-R 10 -X’-Si
で表される連結結合を形成してもよい。炭化 水素基R 10 としては、炭素数1から5の直鎖または分岐の ルキレン基が挙げられる。また、連結基Xは 、第1セクションのケイ素原子と第2セクショ のケイ素原子との間に酸素原子が介在して 次式:
 Si-O-Si
で表される連結結合を形成してもよい。

 第1セクションは、式(I)で示される構造に 代えて、下記式に示されるような、ケイ素原 子に代わるチタン原子、ジルコニウム原子、 亜鉛原子、アルミニウム原子を含む種々の構 造とすることができる。なお、アルミニウム 原子を含む場合は、式中のaは1又は2、bは0又 1、cは1又は2を示し、他の場合は式(I)と同じ である。

 また、第1セクションは、式(IV)で示される ルコキシシロキサンを有する構造とするこ ができる。その場合、このアルコキシ基(OR 9 )は、十分な反応性およびコアの弾性を得る 点から、メトキシ基、エトキシ基又はプロ キシ基(すなわち、R 9 がメチル基、エチル基又はプロピル基)であ 、メトキシ基又はエトキシ基が好ましく、 にメトキシ基が好ましい。ここで、「プロ ル」は、「n-プロピル」又は「イソプロピル 」を含む。また、このアルコキシシロキサン 部分の平均重合度はその下限側が3以上であ ことが好ましく、4以上がより好ましく、上 側は特に限定されないが30以下が好ましく 15以下がより好ましく、10以下がさらに好ま い。この平均重合度が低すぎると剛性付与 果等のアルコキシシロキサン部分の導入効 が十分でなくなり、逆に高すぎると、形成 れる金属酸化物系微粒子が大きくなりすぎ 、プラスチック中での分散性や強靭性改良 果が低下する場合がある。

 第1セクションは、式(IV)で示される構造 代えて、下記式に示されるような、ケイ素 子に代わるチタン原子、ジルコニウム原子 亜鉛原子、アルミニウム原子を含む種々の 造とすることができる。

 本有機シリコン化合物の第2セクションのア ルコキシ基(OR 4 )は、第1セクションのアルコキシシラン基の ルコキシ基(OR 1 、OR 2 、OR 3 )より反応性を低くする点から、当該アルコ シ基より炭素数が1から4個多いことが好まし く、より十分な反応性の違いを得る点から炭 素数が2から4個多いことがより好ましく、さ に十分な反応性を確保する点を考慮すると 素数7個以下が好ましく、5個以下がより好 しい。なお、前記の通り、第1セクションの ルコキシ基の炭素数が1個か2個の場合は、 2セクションのアルコキシ基(OR 4 )の炭素数が第1セクションのアルコキシ基の 素数と同じであっても所望の反応性の違い 得ることができる。アルコキシ基(OR 4 )を持つシロキサン単位間でR 4 は互いに同じであっても異なっていてもよい 。このようなアルコキシ基は、エトキシ基、 プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ 基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基か ら選択することができる。すなわち、上記式 中のR 4 は、エチル基、プロピル基(n-プロピル基、イ ソプロピル基)、ブチル基(n-ブチル基、イソ チル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基)、直鎖 は分岐したペンチル基、直鎖又は分岐した キシル基、直鎖又は分岐したヘプチル基か 選択することができる。

 第1セクションのアルコキシ基がメトキシ基 の場合、第2セクションのR 4 は、メチル基にすることができ、また、第1 クションのアルコキシ基と第2セクションの ルコキシ基の反応性差をより大きくする点 ら、炭素数2から5のアルキル基から選択す ことができ、炭素数3から5のアルキル基から 選択することが好ましく、プロピル基又はブ チル基がより好ましく、プロピル基(特にn-プ ロピル基)が最も好ましい。また、第1セクシ ンのアルコキシ基がエトキシ基の場合、第2 セクションのR 4 は、エチル基にすることができ、また、第1 クションのアルコキシ基と第2セクションの ルコキシ基の反応性差をより大きくする点 ら、炭素数3から6のアルキル基から選択す ことができ、炭素数3から5のアルキル基から 選択することが好ましい。

 第2セクションの有機基R 5 は、炭素数1から10のアルキル基、好ましくは 1から5のアルキル基、炭素数6から10のアリー 基、炭素数2から10のアルケニル基、炭素数7 から10のアラルキル基である。R 5 を持つシロキサン単位が分子内に複数ある場 合は、R 5 はシロキサン単位間で互いに同じであっても 異なっていてもよい。炭素数1から10のアルキ ル基としては、メチル基、エチル基、プロピ ル基(n-プロピル基、イソプロピル基)、ブチ 基(n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基 tert-ブチル基)、直鎖または分岐したペンチ 基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル が挙げられる。炭素数6から10のアリール基 しては、フェニル基、トリル基、キシリル 、ナフチル基等が挙げられる。炭素数2から 10のアルケニル基としては、ビニル基、アリ 基、ブテニル基、ヘキセニル基、オクテニ 基等が挙げられる。炭素数7から10のアラル ル基としては、前記アルキル基に前記アリ ル基が置換したものが挙げられる。

 第2セクションの有機基R 6 、R 7 は、それぞれ独立に、炭素数が1から10、好ま しくは1から5のアルキル基、炭素数6から10の リール基、炭素数2から10のアルケニル基、 素数7から10のアラルキル基である。R 6 、R 7 を持つシロキサン単位が分子内に複数ある場 合は、R 6 、R 7 はそれぞれシロキサン単位間で互いに同じで あっても異なっていてもよい。R 6 、R 7 のアルキル基、アリール基、アルケニル基、 アラルキル基としては、R 5 について例示した上記のアルキル基、アリー ル基、アルケニル基、アラルキル基が挙げら れる。

 本有機シリコン化合物の第2セクションの シロキサン部分の平均重合度はその下限側が 2以上であり、3以上が好ましく、4以上がより 好ましく、上限側は特に限定されないが30以 が好ましく、15以下がより好ましく、10以下 がさらに好ましい。この平均重合度が低すぎ ると応力緩和効果が十分でなくなり、逆に高 すぎると、形成される金属酸化物系微粒子が 大きくなりすぎて、プラスチック中での分散 性や強靭性改良効果が低下する場合がある。

 第2セクションのシロキサン部分は、その 末端ケイ素原子に、原料のアルコキシシラン に由来するアルコキシ基および有機基が結合 した構造を有することができる。これらのア ルコキシ基および有機基は、上述の第2セク ョンのシロキサン単位のアルコキシ基およ 有機基と同様なものが挙げられる。この末 ケイ素原子を含む末端シロキサン単位に、 1セクション又は第3セクションが導入されて いてもよい。

 第3セクションのR 8 は、樹脂相溶性鎖または反応性官能基であり 、本有機シリコン化合物から形成される金属 酸化物系微粒子を配合する所定のプラスチッ クと相溶性のある鎖、または所定のプラスチ ックの官能基と結合可能な官能基である。こ の第3セクションは、所定のプラスチックの 類に応じて、相溶性または結合反応性を考 して任意の構造とすることができる。この 脂相溶性鎖は、有機分子鎖または有機シリ ン分子鎖であり、有機シリコン分子鎖とは シロキサン結合鎖(オルガノポリシロキサン) 、または、有機分子がケイ素又はシロキサン に結合したものを意味する。これらは、第1 び第2セクションの縮合反応の際に、反応性 低い、或いは反応しないものが望ましい。

 このような第3セクションは、第2セクシ ンのシロキサン単位へ連結基Yを介して結合 れる。この連結基Yは、第2セクションへの 3セクションの導入方法に応じた構造を有す ことができる。すなわち、後述の第2セクシ ョン形成用のアルコキシオルガノシロキサン の結合官能基と第3セクションの結合官能基 の結合構造に応じた連結部が形成される。 属酸化物系微粒子形成後において、樹脂相 性鎖または反応性官能基と中間領域(例えば リコーン領域)のケイ素原子とがこの連結部 を介して結合した構造を得ることができる。

 本有機シリコン化合物は、第1セクション が他のセクションより高い極性を持つため、 前述のように、溶液中で、第1セクションの ルコキシシラン基を中心にして会合し、そ アルコキシ基同士が分子間で縮合して、高 性のケイ素酸化物系材料からなるコアが形 される。第2セクションのアルコキシ基は、 1セクションのアルコキシシラン基中のアル コキシ基より反応速度が遅く、しかも存在密 度が低いため、これを利用してコア形成の際 に縮合反応を抑えることができ、コアが形成 された後に、縮合して架橋することができる 。このようにしてコアの外周に形成された中 間領域は、第2セクション中のシロキサン単 に由来する低極性の構造を有するため、低 性、すなわち応力緩和性を持つ。そしてこ 中間領域の形成とともに、第3セクション由 の樹脂相溶性鎖あるいは反応性官能基が、 成された金属酸化物系微粒子の最も外側に 置され、プラスチックとの相溶化や結合が 能な表面領域が形成される。

 本有機シリコン化合物の第2セクションの アルコキシオルガノシロキサン部分は、式(II a)の単位の単独連鎖から形成されていてもよ し、式(IIa)の単位と他のシロキサン単位と 連鎖から形成されていてもよい。他のシロ サン単位としては、式(IIb)で表される単位が 好ましい。第2セクションのアルコキシオル ノシロキサン部分における式(IIa)の単位の含 有量は20モル%以上が好ましく、40モル%以上が より好ましい。他のシロキサン単位が式(IIb) 単位である場合は、式(IIa)の単位と式(IIb)の 単位のモル比([IIa]/([IIa]+[IIb]))は、0.2~1の範囲 設定することができ、0.4~1の範囲が好まし 。式(IIa)の単位の含有比率が低すぎると、金 属酸化物系微粒子形成時の反応性が低下して 十分な架橋構造が形成されない場合がある。

 このような有機シリコン化合物から形成さ る金属酸化物系微粒子の中間領域のR/Si比(Si 原子と、シロキサンケイ素原子に直接結合す る有機基Rとのモル比)は、1~1.8の範囲に設定 ることができ、1~1.6の範囲が好ましい。この R/Si比が高すぎると、十分な架橋構造が形成 れていないために、所望の効果が得られな 場合がある。なお、シロキサンケイ素原子 直接結合する有機基Rは、式中のR 5 、R 6 、R 7 を含む。

 本有機シリコン化合物の製造は、第2セク ションに相当するアルコシキオルガノシロキ サンに、第1セクション(アルコキシシラン基 有部)、および第3セクション(樹脂相溶性鎖 たは反応性官能基含有部)を導入することに よって実施できる。

 例えば、第2セクションの構造を有するア ルコキシオルガノポリシロキサン(アルコキ シリコーン)に、第3セクションを含む化合物 (第3セクション導入用化合物)を反応させた後 で、第1セクションを含む化合物(第1セクショ ン導入用化合物)を反応させることができる あるいは、これらの反応の順序を入れ替え もよい。反応性官能基の組み合わせを最適 できれば、これらの化合物を一緒に混合し 反応させることも可能である。

 本有機シリコン化合物の製造において、 1セクション導入用化合物として、アルコキ シオルガノシロキサンと反応できる官能基( 合官能基)と、式(I)で示される構造に対応す 複数個のアルコキシ基を持つアルコキシシ ン基を有する有機シリコン化合物を用いる とができる。

 このような第1セクション導入用化合物と しては、結合官能基を有するアルコキシオル ガノシラン化合物(例えば、結合官能基を有 るトリアルコキシオルガノシラン、結合官 基を有するジアルコキシオルガノシラン)を いることができる。このアルコキシオルガ シラン化合物のアルコキシ基は、メトキシ 、エトキシ基、プロポキシ基である。この ルコキシ基の一部は塩素原子等のハロゲン 子によって置換されていてもよい。このア コキシオルガノシラン化合物が有する結合 能基としては、イソシアネート基、エポキ 基、カルボキシル基、アミノ基、チオール 、ビニル基、メタクリル基、ヒドロキシル 、ヒドロシリル基が挙げられ、アルコキシ ルガノシロキサンのユニット中の官能基と 応できる基であればよい。このような結合 能基を持つアルコキシオルガノシラン化合 の具体例としては、3-イソシアネートプロ ルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプ ロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシ ロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキ プロピルトリエトキシシラン、カルボキシ チルトリメトキシシラン、カルボキシメチ トリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリ メトキシシラン、3-アミノプロピルトリエト シシラン、3-メルカプトプロピルトリメト シシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキ シシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニ ルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプ ピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキ プロピルトリエトキシシラン等がある。

 特に、第1セクション導入用化合物が、式 (IV)で示されるアルコキシシロキサンを有す 場合、結合官能基としては、アルコキシ基 ヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基、 ルボキシル基、イソシアネート基が挙げら る。このヒドロキシル基は、アルコキシ基 反応により形成することができる。アミノ 、エポキシ基、カルボキシル基、イソシア ート基等の官能基は、これらの官能基、及 アルコキシ基(若しくはヒドロキシル基)と反 応する基を持つ化合物を、アルコキシシロキ サン中のアルコキシ基(若しくはヒドロキシ 基)と反応させることにより導入することが きる。このような結合官能基を持つアルコ シシロキサンとしては、メトキシシリコー 、エトキシシリコーン、プロピルオキシシ コーンなどが挙げられる。これらのアルコ シシロキサンは、そのアルコキシ基を結合 能基としてそのまま利用したり、このアル キシ基から変換されたヒドロキシル基を結 官能基として利用することができ、結合官 基を導入するための工程を省略あるいは簡 化できる。

 第2セクション形成用の化合物としては、 第1セクションのアルコキシシラン基中のア コキシ基よりも反応性が低いアルコキシ基 有機基(アルキル基等)を持つシロキサン単位 を有するアルコキシシリコーン等のアルコキ シオルガノシロキサンを用いることができる 。このアルコキシオルガノシロキサンは、第 1セクション導入用化合物の結合官能基と結 させるための官能基と、第3セクション形成 化合物と結合させるための官能基を有する

 第2セクション形成用のアルコキシオルガノ シロキサンのアルコキシ基は、第1セクショ のアルコキシシラン基のアルコキシ基より 素が1から4個多いことが好ましい。また、こ のシロキサン単位中のアルキル基は、炭素数 1から10、好ましくは炭素数1から5であり、こ アルキル基に代えて炭素数6から10のアリー 基、炭素数2から10のアルケニル基、又は炭 数7から10のアラルキル基であってもよい。 に、第1セクションのR 1 、R 2 及びR 3 がメチル基又はエチル基の場合、第2セクシ ンのR 4 は、R 1 、R 2 及びR 3 と同じ炭素数のアルキル基にしてもよい。こ のアルコキシオルガノシロキサン中のシロキ サンケイ素原子に直接結合するアルコキシ基 と有機基(アルキル基、アリール基、アルケ ル基、アラルキル基)の割合は、これらの総 に対してアルコキシ基のモル比を10%以上に 定でき、20%以上が好ましく、また80%以下に 定でき、60%以下が好ましく、50%以下がより ましい。アルコキシ基の割合が低すぎると 金属酸化物系微粒子形成時の反応性が低下 て十分な架橋構造が形成されない場合があ 、この割合が高すぎると、架橋密度が高く りすぎて応力緩和性が不十分になる場合が る。

 第1セクション導入用化合物または第3セ ション導入用化合物と結合させるための、 2セクション形成用のアルコキシオルガノシ キサン中の官能基(結合官能基)としては、 ルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、 ポキシ基、カルボキシル基、イソシアネー 基が挙げられる。このヒドロキシル基は、 ルコキシ基の反応により形成することがで る。アミノ基、エポキシ基、カルボキシル 、イソシアネート基等の官能基は、これら 官能基、及びアルコキシ基(若しくはヒドロ シル基)と反応する基を持つ化合物を、アル コキシオルガノシロキサン中のアルコキシ基 (若しくはヒドロキシル基)と反応させること より導入することができる。このような結 官能基を持つアルコキシオルガノシロキサ としては、プロピルオキシメチルシリコー 、プロピルオキシヒドロキシメチルシリコ ン、プロピルオキシヒドロキシフェニルメ ルシリコーンなどが挙げられる。これらの ルコキシオルガノポリシロキサンは、その ルコキシ基を結合官能基としてそのまま利 したり、このアルコキシ基から変換された ドロキシル基を結合官能基として利用する とができ、結合官能基を導入するための工 を省略あるいは簡略化できる。

 第3セクション形成用の化合物は、本有機 シリコン化合物から形成された金属酸化物系 微粒子を配合する所定のプラスチックと相溶 できる樹脂相溶性鎖、またはこのプラスチッ クと反応できる官能基(反応性官能基)と、第2 セクションと結合できる官能基(結合官能基) を有する、有機化合物あるいは有機シリコ 化合物である。これらの化合物の構造は、 定のプラスチックの分子構造に応じて決定 ることができる。

 第2セクションと結合できる結合官能基と しては、イソシアネート基、エポキシ基、カ ルボキシル基、アミノ基、チオール基、ビニ ル基、メタクリル基、ヒドロキシル基、ヒド ロシリル基が挙げられ、アルコキシオルガノ シロキサンのユニット中の官能基と反応でき る基であればよい。

 樹脂相溶性鎖を有する第3セクション形成 用化合物は、その樹脂相溶性鎖部分が所定の プラスチックの構造と共通する部分を有して いたり、類似する部分を有していたり、例え ば同じ或いは類似の単位の連鎖を有している ことが好ましい。この樹脂相溶性鎖部分の数 平均分子量は、十分な相溶性効果を得る点か ら、所定のプラスチックの平均分子量より小 さいことが好ましく、50%以下であることがよ り好ましく、また所定のプラスチックの数平 均分子量に対して1%以上であることが好まし 、5%以上であることがより好ましい。また この樹脂相溶性部分の数平均分子量は、100 上が好ましく、200以上がより好ましく、ま 10000以下が好ましく、2000以下がより好まし 。この平均分子量が低すぎると十分な相溶 効果が得られない場合があり、この平均分 量が高すぎると、金属酸化物系微粒子の表 が厚くなりすぎて、本金属酸化物系微粒子 凝集しやすくなり、十分な分散性が得られ い場合がある。

 この樹脂相溶性鎖は、所定のプラスチッ との相溶性が十分であれば、所定のプラス ックと共通あるいは類似の構造を有してい くてもよい場合がある。その際は、樹脂相 性鎖の溶解度パラメーター(SP値)が所定のプ ラスチックのSP値と同じか近いことが好まし 、具体的には、そのプラスチックのSP値の70 %以上130%以下の範囲内であることが好ましい

 所定のプラスチックと反応できる反応性 能基としては、例えば、アルコキシ基、ヒ ロキシル基、エポキシ基、アミノ基、カル キシル基、イソシアネート基、チオール基 ビニル基、メタクリル基、ヒドロシリル基 どが挙げられる。

 第3セクション形成用化合物は、所定のプ ラスチックが、ポリエステルの場合は、ポリ エステル誘導体、ポリカプロラクタン、ポリ エチレングルコール、エポキシシリコーン、 ポリオキシアルキレンシリコーンなどが挙げ られ、エポキシ樹脂の場合は、エポキシ樹脂 誘導体、フェノール樹脂誘導体、カルボキシ シリコーン、アミノシリコーン、ヒドロキシ シリコーン、エポキシシリコーン、ポリオキ シアルキレンシリコーン、ポリカプロラクト ンなどが挙げられ、ポリオレフィンの場合は ポリオレフィン誘導体などが挙げられ、ポリ スチレンの場合は、ポリスチレン誘導体、ア クリロニトリル誘導体などが挙げられる。セ ルロース系樹脂、例えば酢酸セルロースの場 合は、ポリカプロラクトンなどが挙げられる 。

 例えば以下のようにして、本有機シリコ 化合物から金属酸化物系微粒子を形成し、 の金属酸化物系微粒子をプラスチックへ配 し、分散させ、樹脂組成物(プラスチック複 合材料)を製造することができる。

 本有機シリコン化合物が溶解または分散 きる溶媒中に本有機シリコン化合物を添加 て混合溶液を作製し、この溶液中で適切な 件下、例えば、加熱、酸触媒または塩基触 、さらに必要に応じて適正量の水を加えて 本有機シリコン化合物から金属酸化物系微 子を形成できる。この後、この溶液に所定 プラスチックを加え、溶解あるいは分散さ 、その後で、溶媒を蒸発させて複合材料を 成できる。あるいは、この溶媒を蒸発させ 後に、プラスチックを加え、加熱溶融して 合することで複合材料を形成できる。さら 、特定の条件下であれば、分散あるいは溶 等による液状化したプラスチック中に本有 シリコン化合物を添加し、プラスチック存 下で金属酸化物系微粒子を形成して、複合 料を製造することもできる。

 上記の溶媒としては、本有機シリコン化 物が、溶解あるいは分散できるものであれ 、特に制限はない。例えば、親水性溶媒の メタノール、エタノール等のアルコール類 アセトン、2-ブタノン等のケトン類、テト ヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ピ ジンなどを使用でき、または、クロロホル 、ジクロロメタンなどの疎水性溶媒も使用 き、さらにこれらの混合溶媒も使用できる

 上記の酸触媒としては、ギ酸、酢酸等の 機酸、塩酸等の無機酸などが挙げられ、塩 触媒としては、アンモニア、トリエチルア ン、ジメチルアミン、エチレンジアミン、 チルアミン等が挙げられる。

 本発明による金属酸化物系微粒子の粒子 は、十分な樹脂強度向上効果を得る点から 1nm~10μmの範囲が好ましく、1nm~1000nmの範囲が より好ましく、5nm~500nmの範囲がさらに好まし く、5~100nmの範囲が特に好ましい。

 本発明による金属酸化物系微粒子を配合 るプラスチックとしては、特に制限はない 、本発明による金属酸化物系微粒子(あるい は有機シリコン化合物自体)と溶液中、ある はプラスチックの分散物あるいは溶融物中 、均一に混合できるものが好ましい。例え 、ポリ乳酸やポリブチレンサクシネート、 リカーボネートなどのポリエステルや、ポ プロピレンやポリエチレンなどのポリオレ ィン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポ スチレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポ イミド、セルロース系樹脂、特に酢酸セル ースなどが挙げられる。

 本発明による金属酸化物系微粒子のプラ チック中の添加量は、十分な添加効果を得 点から、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以 がより好ましく、3質量%以上がさらに好ま い。一方、成形性等のプラスチックの特性 大きく損なわない観点から、70質量%以下が ましく、50質量%以下がより好ましく、10質量 %以下がさらに好ましい。

 本金属酸化物系微粒子を含む樹脂組成物 は、通常使用されている添加剤をさらに配 してもよく、この添加剤としては、例えば 有機物や無機物の繊維状または粒子状の充 剤、難燃剤、可とう性付与剤、可塑剤、耐 剤などが挙げられる。この樹脂組成物への 加剤の混合方法は、特に制限はなく、公知 混合機、例えば、タンブラー、リボンブレ ダー、単軸や二軸の混練機等による混合や 押出機、ロール等による溶融混合が挙げら る。

 本金属酸化物系微粒子を含む樹脂組成物 、圧縮成形法、射出成形法、フィルム成形 、ブロー成形法、発泡成形法等の通常の成 法により、電化製品の筐体などの電気・電 機器用途、建材用途、自動車部品用途、日 品用途、医療用途、農業用途などの成形体 加工できる。

 以下、比較例とともに実施例を挙げて本 明を更に詳しく説明する。

 有機シリコン化合物と金属酸化物系微粒 (シリカ系微粒子)は以下の合成例に従って 造した。

 [合成例1](有機シリコン化合物1の合成)
 本発明による有機シリコン化合物の一例と て、下記化学式(A)で示されるアルコキシオ ガノポリシロキサンに対して、そのプロポ シ基のプロピル基部分に代えて、第1セクシ ョンに対応する下記化学式(B)で示される基、 及び第3セクションに対応する下記化学式(C) 示される基が結合された化合物を合成した 式中のMeはメチル基、Prはプロピル基、Buは チル基を示す。

 有機シリコン化合物1は、第2セクションに 当するアルコキシオルガノポリシロキサン 調製し、このポリシロキサンに樹脂相溶性 を導入し、次いで、アルコキシシラン基を 有する有機基を導入して得た。具体的には 以下の工程順で有機シリコン化合物を合成 た。
(a)プロピルオキシメチルシリコーンを合成、
(b)末端ヒドロキシ変性ポリカプロラクトンを 合成、
(c)プロピルオキシメチルシリコーンと末端ヒ ドロキシ変性ポリカプロラクトンとを結合し てシリコーン結合体を形成、
(d)上記結合体中のプロピルオキシメチルシリ コーンにシラノール基を形成、
(e)上記結合体中のプロピルオキシメチルシリ コーンのシラノール基とイソシアネートプロ ピルトリメトキシシランを結合。

 以下、この工程順に説明する。

 工程(a)
 200mlのナスフラスコに、メチルトリプロポ シシラン(信越化学工業株式会社製、LS-3630)22 .0g(100mmol)、1-プロパノール60g(1mol)及びpHを2.5 調節した塩酸水溶液9.0gを加え、大気中20℃ 3時間攪拌した。その後、0.01Mの水酸化ナト ウム水溶液2.4gを加えて、塩酸を中和し、次 で硫酸マグネシウム(無水)300gを加え、2時間 脱水乾燥した。その後、ろ過により、塩と硫 酸マグネシウムを除去し、次いでロータリー エバポレーターを用いて、1-プロパノールと 反応のメチルトリプロポキシシランを留去 、直鎖状のプロピルオキシメチルシリコー を得た。収率は80%であった。 1 H-NMRからこの数平均分子量は800(平均重合度:6) であることを確認した。

 工程(b)
 下記反応式に示すように、次のようにして 1-ブタノールを開始剤として、ε-カプロラ トン(ダイセル化学工業株式会社製、PLACCE M) を開環重合し、末端ヒドロキシ変性ポリカプ ロラクトンを合成した。

 100mlのナスフラスコに、ε-カプロラクトン22 .8g(200mmol)、1-ブタノール5.0g(67mmol)、触媒とし オクチル酸スズ6.8×10 -3 gを加え、窒素雰囲気下150℃で、10時間攪拌し た。その後、加熱減圧蒸留(150℃、10mmHg(1.33kPa ))により、未反応のε-カプロラクトン、1-ブ ノールを除去した。 1 H-NMRから、数平均分子量が550のオリゴマーで ることを確認した。収率は95%であった。

 工程(c)
 上記のプロピルオキシメチルシリコーンと 端ヒドロキシ変性ポリカプロラクトンとを 次のようにして、プロピルオキシ基とヒド キシル基間での脱アルコール反応により結 させた。

 100mlの三口ナスフラスコに、プロピルオキ メチルシリコーン5.4g、末端ヒドロキシ変性 リカプロラクトン3.3g(6mmol)、触媒としてメ ンスルホン酸6.0×10 -2 g(6mmol)、トルエン20mlを加え、これに減圧蒸留 装置と滴下ロートを備え付け、トルエンを毎 分1mlの速度で滴下し、150mmHg(20kPa)の減圧下60 で、発生する1-プロパノールとトルエンを留 去しながら、5時間攪拌した。その後、ピリ ン4.9×10 -2 g(6mmol)を加えて、メタンスルホン酸を中和し ろ過により、塩を除去後、ロータリーエバ レーターを用いて、残存した1-プロパノー を留去した。 1 H-NMRから、反応率は98%であった。

 工程(d)
 上記結合体のプロピルオキシ基の一部を、 のようにして、加水分解により、シラノー 基へ変換した。

 100mlの三角フラスコに、上記結合体3.8g、pH 2.5に調節した塩酸水溶液1.5g、アセトン30mlを 加え、大気中20℃で1時間攪拌した。その後、 0.01Mの水酸化ナトリウム水溶液0.4gを加えて、 塩酸を中和し、硫酸マグネシウム(無水)50gを え、2時間脱水乾燥した。その後、ろ過によ り、塩と硫酸マグネシウムを除去し、ロータ リーエバポレーターを用いて、アセトンを留 去した。 1 H-NMRから、シラノール基の変換率は13%と算出 れ(平均で1分子中に一つのシラノール基が 成)、シラノール基同士の反応による縮合反 は十分に抑えながらシラノール基を形成で た。

 工程(e)
 シラノール基が導入された上記結合体とイ シアネートプロピルトリメトキシシラン(ア ヅマックス株式会社製、SII6456.0)とを、次の うにして、シラノール基とイソシアネート 間での反応により結合させた。

 20mlのナスフラスコに、上記結合体3.4g、イ シアネートプロピルトリメトキシシラン0.5g( 2.5mmol)、触媒としてオクチル酸スズ1.0×10 -3 gを加え、窒素雰囲気下20℃で、24時間静置し 。 1 H-NMRから、反応率は90%であった。

 得られた有機シリコン化合物の数平均分 量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー、株 式会社 島津製作所製「10A-VP」、カラム:GPC-80 MCを2本及びGPC-8025Cを1本、展開溶媒:クロロホ ム、標準試料:ポリスチレン)によって測定 た結果、1700であった。

 [合成例2](シリカ系微粒子1の製造)
 上記の有機シリコン化合物から、下記2段階 の工程により金属酸化物系微粒子(シリカ系 粒子)を製造した。
(1)第1セクションのメトキシ基のゾルゲル反 (コアの形成)、
(2)第2セクションのプロピルオキシ基のゾル ル反応(中間領域の形成。結果、第3ユニット 由来の表層の形成)。

 以下、この工程順に説明する。

 工程(1)
 50mlのナスフラスコに、上記有機シリコン化 合物を1.9g、純水1.8g(100mmol)、28%アンモニア水1 .6g、アセトン10mlを加え、大気中20℃で、48時 静置した。その後、ロータリーエバポレー ーを用いて、発生したメタノール、水、ア モニア、アセトンを留去した。 1 H-NMRから、メトキシ基の反応率は83%であり、 ロピルオキシ基の反応は、ほとんど進行し いないこと(5%以下)を確認した。

 工程(2)
 200mlのナスフラスコに冷却管を備え付け、 程(1)で得られた縮合体0.5g、クロロホルム100m l、純水5.0×10 -2 g(2.8mmol)、アセトン5mlを加え、大気中70℃でク ロロホルムを沸点還流させ、10時間攪拌した その後、ロータリーエバポレーターを用い 、発生したプロパノール、水、クロロホル の一部を留去し、金属酸化物系微粒子のク ロホルム分散溶液を得た。 1 H-NMRから、シリコン化合物の第2セクションの プロピルオキシ基の反応率は85%であることを 確認した。

 得られた金属酸化物系微粒子のSTEM(走査 過電子顕微鏡、株式会社日立ハイテクノロ ーズ製、HD-2300)による観察から、この金属酸 化物系微粒子の平均粒径は約30nmであった。 のSTEM観察では、ランダムに選んだ10個の微 子の直径を測定し、その平均値を算出し、 均粒径とした。

 [実施例1]
 脂肪族ポリエステル樹脂としてポリ乳酸(ユ ニチカ製、TE-4000、数平均分子量9.1×10 5 )100gを、上記金属酸化物系微粒子5gを含むク ロホルム500ml中に、添加・混合した。その後 、50℃で加熱しながら、アスピレータで減圧 て溶剤を除去して、金属酸化物系微粒子を5 質量%含むポリ乳酸樹脂組成物を得た。

 この樹脂組成物を180℃のホットプレート で加熱溶融して、型に流しこみ、厚さ2mm、 さ40mm、幅25mmの試験片を作製した。そして の試験片を、JIS K7171規格で規定された方法 、曲げ強度と伸び(曲げひずみ)を測定した 最大応力の時点で破断しないサンプルに対 ては、伸びが10%になるまで測定を継続した そして試験片5本の測定値の平均を求め、小 点以下の数値は四捨五入した。評価結果を 1に示す。

 [合成例3](有機シリコン化合物2の合成)
 本発明による有機シリコン化合物の一例と て、下記化学式(D)で示されるアルコキシオ ガノポリシロキサンに対して、そのエトキ 基のエチル基部分に代えて、第1セクション に対応する下記化学式(E)で示される基、及び 第3セクションに対応する下記化学式(C)で示 れる基が結合された化合物を合成した。式 のMeはメチル基、Etはエチル基、Buはブチル を示す。

 有機シリコン化合物2は、第2セクションに 当するアルコキシオルガノポリシロキサン 調製し、このポリシロキサンに樹脂相溶性 を導入し、次いで、アルコキシシラン基を 有する有機基を導入して得た。具体的には 以下の工程順で有機シリコン化合物を合成 た。
(a)エトキシメチルシリコーンを合成、
(b)末端ヒドロキシ変性ポリカプロラクトンを 合成、
(c)エトキシメチルシリコーンと末端ヒドロキ シ変性ポリカプロラクトンとを結合してシリ コーン結合体を形成、
(d)上記結合体中のエトキシメチルシリコーン にシラノール基を形成、
(e)上記結合体中のエトキシメチルシリコーン のシラノール基とイソシアネートプロピルト リエトキシシランを結合。

 以下、この工程順に説明する。

 工程(a)
 200mlのナスフラスコに、メチルトリエトキ シラン(信越化学工業株式会社製、LS-1890)18g(1 00mmol)、エタノール46g(1mol)、pHを2.5に調節した 塩酸水溶液3.0gを加え、大気中20℃で3時間攪 した。その後、0.01Mの水酸化ナトリウム水溶 液0.8gを加えて、塩酸を中和し、次いで硫酸 グネシウム(無水)300gを加え、2時間脱水乾燥 た。その後、ろ過により、塩と硫酸マグネ ウムを除去し、次いでロータリーエバポレ ターを用いて、エタノールと未反応のメチ トリエトキシシランを留去し、直鎖状のエ キシメチルシリコーンを得た。収率は80%で った。 1 H-NMRからこの数平均分子量は700(平均重合度:6) であることを確認した。

 工程(b)
 合成例1と同様にして、末端ヒドロキシ変性 ポリカプロラクトンを調製した。

 工程(c)
 上記のエトキシメチルシリコーンと末端ヒ ロキシ変性ポリカプロラクトンとを、次の うにして、エトキシ基とヒドロキシル基間 の脱アルコール反応により結合させた。

 100mlの三口ナスフラスコに、エトキシメチ シリコーン8.4g、末端ヒドロキシ変性ポリカ ロラクトン6.6g(12mmol)、触媒としてメタンス ホン酸1.2×10 -1 g(12mmol)、トルエン20mlを加え、これに減圧蒸 装置と滴下ロートを備え付け、トルエンを 分1mlの速度で滴下し、150mmHg(20kPa)の減圧下60 で、発生するエタノールとトルエンを留去 ながら、5時間攪拌した。その後、ピリジン 9.5×10 -2 g(12mmol)を加えて、メタンスルホン酸を中和し 、ろ過により、塩を除去後、ロータリーエバ ポレーターを用いて、残存したエタノールと トルエンを留去した。 1 H-NMRから、反応率は98%であった。

 工程(d)
 上記結合体のエトキシ基の一部を、次のよ にして、加水分解により、シラノール基へ 換した。

 200mlの三角フラスコに、上記結合体13g、pHを 2.5に調節した塩酸水溶液2.0g、アセトン120mlを 加え、大気中20℃で1時間攪拌した。その後、 0.01Mの水酸化ナトリウム水溶液0.4gを加えて、 塩酸を中和し、硫酸マグネシウム(無水)50gを え、2時間脱水乾燥した。その後、ろ過によ り、塩と硫酸マグネシウムを除去し、ロータ リーエバポレーターを用いて、アセトンを留 去した。 1 H-NMRから、シラノール基の変換率は13%と算出 れ(平均で1分子中に一つのシラノール基が 成)、シラノール基同士の反応による縮合反 は十分に抑えながらシラノール基を形成で た。

 工程(e)
 シラノール基が形成された上記結合体とイ シアネートプロピルトリエトキシシラン(信 越化学工業株式会社製、LS-3415)とを、次のよ にして、シラノール基とイソシアネート基 での反応により結合させた。

 50mlのナスフラスコに、上記結合体9.0g、イ シアネートプロピルトリエトキシシラン1.8g( 7.5mmol)、触媒としてオクチル酸スズ2.7×10 -3 gを加え、窒素雰囲気下20℃で、24時間攪拌し 。 1 H-NMRから、反応率は90%であった。

 得られた有機シリコン化合物の数平均分 量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー、株 式会社 島津製作所製「10A-VP」、カラム:GPC-80 MCを2本及びGPC-8025Cを1本、展開溶媒:クロロホ ム、標準試料:ポリスチレン)によって測定 た結果、1600であった。

 [合成例4](シリカ系微粒子2の製造)
 上記合成例3の有機シリコン化合物2から、 記2段階の工程によりシリカ系微粒子2を製造 した。
(1)第1セクションのエトキシ基のゾルゲル反 (コアの形成)、
(2)第2セクションのエトキシ基のゾルゲル反 (中間領域の形成。結果、第3セクション由来 の表層の形成)。

 以下、この工程順に説明する。

 工程(1)
 200mlのナスフラスコに、上記有機シリコン 合物を9.5g、純水9.0g(0.5mol)、29%アンモニア水1 6g、アセトン30mlを加え、大気中20℃で、12時 攪拌した。

 工程(2)
 工程(1)で得られた溶液に、29%アンモニア水1 6g、アセトン200mlを加え、大気中20℃で24時間 拌した。その後、ロータリーエバポレータ を用いて、発生したエタノール、アンモニ 水、アセトンを留去した。 1 H-NMRから、シリコン化合物のエトキシ基の反 率は85%であることを確認した。

 得られたシリカ系微粒子のSTEM(走査透過 子顕微鏡、株式会社日立ハイテクノロジー 製、HD-2300)による観察から、このシリカ系微 粒子の平均粒径は約25nmであった。このSTEM観 では、ランダムに選んだ10個の微粒子の直 を測定し、その平均値を算出し、平均粒径 した。

 [実施例2]
 上記合成例4のシリカ系微粒子2を、実施例1 同じ条件で、同じポリ乳酸と混合し組成物 得た。実施例1と同様にして、この組成物を 成形し、曲げ強度と伸び(曲げひずみ)を測定 た。評価結果を表1に示す。

 [合成例5](有機シリコン化合物3の合成)
 本発明による有機シリコン化合物の一例と て、下記化学式(A)で示されるアルコキシオ ガノポリシロキサンに対して、そのプロポ シ基のプロピル基部分に代えて、第1セクシ ョンに対応する下記化学式(B)で示される基、 及び第3セクションに対応する下記化学式(F) 示される基が結合された化合物を合成した 式中のMeはメチル基、Prはプロピル基、Buは チル基を示す。

 有機シリコン化合物3は、第2セクションに 当するアルコキシオルガノポリシロキサン 調製し、このポリシロキサンに樹脂相溶性 を導入し、次いで、アルコキシシラン基を 有する有機基を導入して得た。具体的には 以下の工程順で有機シリコン化合物を合成 た。
(a)プロピルオキシメチルシリコーンを合成、
(b)末端ヒドロキシ変性ポリカプロラクトンを 合成、
(c)プロピルオキシメチルシリコーンと末端ヒ ドロキシ変性ポリカプロラクトンとを結合し てシリコーン結合体を形成、
(d)上記結合体中のプロピルオキシメチルシリ コーンにシラノール基を形成、
(e)上記結合体中のプロピルオキシメチルシリ コーンのシラノール基とイソシアネートプロ ピルトリメトキシシランを結合。

 以下、この工程順に説明する。

 工程(a)
 合成例1と同様にして、直鎖状のプロピルオ キシメチルシリコーンを調製した。

 工程(b)
 下記反応式に示すように、次のようにして 1-ブタノールを開始剤として、ε-カプロラ トン(ダイセル化学工業株式会社製、PLACCE M) を開環重合し、末端ヒドロキシ変性ポリカプ ロラクトンを合成した。

 200mlのナスフラスコに、ε-カプロラクトン69 g(600mmol)、1-ブタノール5.7g(76mmol)、触媒として オクチル酸スズ2.1×10 -3 gを加え、窒素雰囲気下150℃で、15時間攪拌し た。その後、加熱減圧蒸留(150℃、10mmHg(1.33kPa ))により、未反応のε-カプロラクトン、1-ブ ノールを除去した。 1 H-NMRから、数平均分子量が1000のオリゴマーで あることを確認した。収率は95%であった。

 工程(c)
 上記のプロピルオキシメチルシリコーンと 端ヒドロキシ変性ポリカプロラクトンとを 次のようにして、プロピルオキシ基とヒド キシル基間での脱アルコール反応により結 させた。

 100mlの三口ナスフラスコに、プロピルオキ メチルシリコーン5.6g、末端ヒドロキシ変性 リカプロラクトン7.0g(7mmol)、触媒としてメ ンスルホン酸6.7×10 -2 g(7mmol)、トルエン20mlを加え、これに減圧蒸留 装置と滴下ロートを備え付け、トルエンを毎 分1mlの速度で滴下し、150mmHg(20kPa)の減圧下60 で、発生する1-プロパノールとトルエンを留 去しながら、5時間攪拌した。その後、ピリ ン5.5×10 -2 g(7mmol)を加えて、メタンスルホン酸を中和し ろ過により、塩を除去後、ロータリーエバ レーターを用いて、残存した1-プロパノー とトルエンを留去した。 1 H-NMRから、反応率は98%であった。

 工程(d)
 上記結合体のプロピルオキシ基の一部を、 のようにして、加水分解により、シラノー 基へ変換した。

 200mlの三角フラスコに、上記結合体9.8g、pH 2.5に調節した塩酸水溶液1.8g、アセトン60mlを 加え、大気中20℃で150分攪拌した。その後、0 .01Mの水酸化ナトリウム水溶液0.6gを加えて、 酸を中和し、硫酸マグネシウム(無水)50gを え、2時間脱水乾燥した。その後、ろ過によ 、塩と硫酸マグネシウムを除去し、ロータ ーエバポレーターを用いて、アセトンを留 した。 1 H-NMRから、シラノール基の変換率は15%と算出 れ(平均で1分子中に一つのシラノール基が 成)、シラノール基同士の反応による縮合反 は十分に抑えながらシラノール基を形成で た。

 工程(e)
 シラノール基が形成された上記結合体とイ シアネートプロピルトリメトキシシラン(ア ヅマックス株式会社製、SII6456.0)とを、次の うにして、シラノール基とイソシアネート 間での反応により結合させた。

 50mlのナスフラスコに、上記結合体8.2g、イ シアネートプロピルトリメトキシシラン1.0g( 5.0mmol)、触媒としてオクチル酸スズ2.5×10 -3 gを加え、窒素雰囲気下20℃で、48時間攪拌し 。 1 H-NMRから、反応率は86%であった。

 得られた有機シリコン化合物の数平均分 量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー、株 式会社 島津製作所製「10A-VP」、カラム:GPC-80 MCを2本及びGPC-8025Cを1本、展開溶媒:クロロホ ム、標準試料:ポリスチレン)によって測定 た結果、2300であった。

 [合成例6](シリカ系微粒子3の製造)
 上記の有機シリコン化合物3から、下記2段 の工程によりシリカ系微粒子を製造した。
(1)第1セクションのメトキシ基のゾルゲル反 (コアの形成)、
(2)第2セクションのプロピルオキシ基のゾル ル反応(中間領域の形成。結果、第3セクショ ン由来の表層の形成)。

 以下、この工程順に説明する。

 工程(1)
 200mlのナスフラスコに、上記有機シリコン 合物3を8.7g、29%アンモニア水16g、アセトン100 mlを加え、大気中20℃で、24時間攪拌した。そ の後、ロータリーエバポレーターを用いて、 発生したメタノール、水、アンモニア、アセ トンを留去した。 1 H-NMRから、メトキシ基の反応率は85%であり、 ロピルオキシ基の反応は、ほとんど進行し いないこと(5%以下)を確認した。

 工程(2)
 1Lの三角フラスコに、工程(1)で得られた縮 体6.0g、29%アンモニア水80g、アセトン500mlを え、大気中20℃で、36時間攪拌した。その後 ロータリーエバポレーターを用いて、発生 た1-プロパノール、アンモニア水、アセト を留去した。 1 H-NMRから、プロピルオキシ基の反応率は82%で った。

 得られたシリカ系微粒子のSTEM(走査透過 子顕微鏡、株式会社日立ハイテクノロジー 製、HD-2300)による観察から、このシリカ系微 粒子の平均粒径は約30nmであった。このSTEM観 では、ランダムに選んだ10個の微粒子の直 を測定し、その平均値を算出し、平均粒径 した。

 [実施例3]
 上記合成例6のシリカ系微粒子3を、実施例1 同じ条件で、同じポリ乳酸と混合し組成物 得た。実施例1と同様にして、この組成物を 成形し、曲げ強度と伸び(曲げひずみ)を測定 た。評価結果を表1に示す。

 [合成例7](有機シリコン化合物4の合成)
 本発明による有機シリコン化合物の一例と て、下記化学式(A)で示されるアルコキシオ ガノポリシロキサンに対して、そのプロポ シ基のプロピル基部分に代えて、第1セクシ ョンに対応する下記化学式(G)で示される基、 及び第3セクションに対応する下記化学式(C) 示される基が結合された化合物を合成した 式中のMeはメチル基、Prはプロピル基、Buは チル基を示す。

 有機シリコン化合物4は、第2セクションに 当するアルコキシオルガノポリシロキサン 調製し、このポリシロキサンに樹脂相溶性 を導入し、次いで、2種のアルコキシ基を有 るアルコキシシラン化合物を導入して得た 具体的には、以下の工程順で有機シリコン 合物を合成した。
(a)プロピルオキシシメチルシリコーンを合成 、
(b)末端ヒドロキシ変性ポリカプロラクトンを 合成、
(c)プロピルオキシメチルシリコーンと末端ヒ ドロキシ変性ポリカプロラクトンとを結合し てシリコーン結合体を形成、
(d)上記結合体中のプロピルオキシメチルシリ コーンにシラノール基を形成、
(e)イソシアネートプロピルトリエトキシシラ ンとテトラメトキシシシランとを結合してシ ラン結合体を形成。
(f)上記シリコーン結合体中の工程(d)で形成さ れたシラノール基と、工程(e)で合成されたシ ラン結合体のイソシアネート基との反応。

 以下、この工程順に説明する。

 工程(a)から(d)
 合成例1と同様にして、工程(a)から(d)を実施 した。

 工程(e)
 イソシアネートプロピルトリエトキシシラ の一部を加水分解させたものと、テトラメ キシシラン(信越化学工業株式会社製、LS-540 )とを、次のようにして、シラノール基とメ キシ基間での反応により結合させ、シラン 合体を得た。

 イソシアネートプロピルトリエトキシシラ の部分加水分解反応は次のようにして行っ 。50mlのナスフラスコに、イソシアネートプ ロピルトリエトキシシラン4.9g(20mmol)、pH1.7に 整した塩酸水溶液0.4g、テトラヒドロフラン 3mlを加え、大気中20℃で、30分攪拌した。そ 後、0.01Mの水酸化ナトリウム水溶液0.2gを加 て、塩酸を中和し、硫酸マグネシウム(無水) 50gを加え、2時間脱水乾燥した。その後、ろ により、塩と硫酸マグネシウムを除去し、 ータリーエバポレーターを用いて、発生し エタノール、テトラヒドロフランを留去し 。 1 H-NMRから、エトキシ基からシラノール基への 換率は30%と算出され(平均で1分子中に一つ シラノール基が形成)、シラノール基同士の 応による縮合反応は十分に抑えながらシラ ール基を形成できた。

 次に、50mlナスフラスコに、上記の部分加水 分解された化合物2.4gと、テトラメトシキシ ン1.5g(10mmol)、メタンスルホン酸9.6×10 -2 g(10mmol)を加え、窒素雰囲気下60℃で3時間攪拌 した。その後、ピリジン7.9×10 -2 g(10mmol)を加えて、ろ過により塩を除去し、ロ ータリーエバポレーターを用いて、未反応の テトラメトキシシランを留去した。 1 H-NMRから、反応率は88%であった。

 工程(f)
 工程Eで得られたシラン結合体と工程(c)、(d) で得られたシリコーン結合体とを、次のよう にして、シラン結合体のイソシアネート基と シリコーン結合体のシラノール基との間での 反応により結合させた。

 50mlのナスフラスコに、工程(e)で得られたシ ラン結合体2.0g、工程(c)、(d)で得られたシリ ーン結合体7.8g、触媒としてオクチル酸スズ2 .3×10 -3 gを加え、窒素雰囲気下20℃で、24時間攪拌し 。 1 H-NMRから、反応率は80%であった。

 得られた有機シリコン化合物の数平均分 量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー、株 式会社 島津製作所製「10A-VP」、カラム:GPC-80 MCを2本及びGPC-8025Cを1本、展開溶媒:クロロホ ム、標準試料:ポリスチレン)によって測定 た結果、2000であった。

 [合成例8](シリカ系微粒子4の製造)
 上記の有機シリコン化合物4から、下記2段 の工程によりシリカ系微粒子を製造した。
(1)第1セクションのメトキシ基及びエトキシ のゾルゲル反応(コアの形成)、
(2)第2セクションのプロピルオキシ基のゾル ル反応(中間領域の形成。結果、第3セクショ ン由来の表層の形成)。

 以下、この工程順に説明する。

 工程(1)
 500mlのナスフラスコに、上記有機シリコン 合物を19g、純水18g(1mol)、29%アンモニア水32g アセトン60mlを加え、大気中20℃で、12時間攪 拌した。その後、ロータリーエバポレーター を用いて、発生したメタノールとエタノール 、水、アンモニア、アセトンを留去した。 1 H-NMRから、メトキシ基とエトキシ基の反応率 85%であり、プロピルオキシ基の反応は、ほ んど進行していないこと(5%以下)を確認した 。

 工程(2)
 1Lのナスフラスコに、工程(1)で得られた縮 体6.0g、29%アンモニア水80g、アセトン500mlを え、大気中20℃で24時間攪拌した。その後、 ータリーエバポレーターを用いて、発生し 1-プロパノール、アンモニア水、アセトン 留去した。 1 H-NMRから、シリコン化合物の第2セクションの プロピルオキシ基の反応率は82%であることを 確認した。

 得られたシリカ系微粒子のSTEM(走査透過電 顕微鏡、株式会社日立ハイテクノロジーズ 、HD-2300)による観察から、このシリカ系微粒 子の平均粒径は約30nmであった。このSTEM観察 は、ランダムに選んだ10個の微粒子の直径 測定し、その平均値を算出し、平均粒径と た。
[実施例4]
 上記合成例6のシリカ系微粒子4を、実施例1 同じ条件で、同じポリ乳酸と混合し組成物 得た。実施例1と同様にして、この組成物を 成形し、曲げ強度と伸び(曲げひずみ)を測定 た。評価結果を表1に示す。

 [合成例9](有機シリコン化合物5の合成)
 本発明による有機シリコン化合物の一例と て、下記化学式(A)で示されるアルコキシオ ガノポリシロキサンに対して、そのプロポ シ基のプロピル基部分に代えて、第1セクシ ョンに対応する下記化学式(H)で示される基、 及び第3セクションに対応する下記化学式(F) 示される基が結合された化合物を合成した 式中のMeはメチル基、Prはプロピル基、Buは チル基を示す。

 有機シリコン化合物5は、第2セクションに 当するアルコキシオルガノポリシロキサン 調製し、このポリシロキサンに樹脂相溶性 を導入し、次いで、第1セクションに相当す メトキシシリコーンを導入して得た。具体 には、以下の工程順で有機シリコン化合物 合成した。
(a)プロピルオキシメチルシリコーンを合成、
(b)末端ヒドロキシ変性ポリカプロラクトンを 合成、
(c)プロピルオキシメチルシリコーンと末端ヒ ドロキシ変性ポリカプロラクトンとを結合し てシリコーン結合体を形成、
(d)上記結合体中のプロピルオキシメチルシリ コーンにシラノール基を形成、
(e)上記結合体中のプロピルオキシメチルシリ コーンのシラノール基とメトキシシリコーン を結合。

 以下、この工程順に説明する。

 工程(a)
 合成例1と同様にして、直鎖状のプロピルオ キシメチルシリコーンを調製した。

 工程(b)
 合成例5と同様にして、末端ヒドロキシ変性 ポリカプロラクトンを調製した。

 工程(c)
 上記のプロピルオキシメチルシリコーンと 端ヒドロキシ変性ポリカプロラクトンとを 次のようにして、プロピルオキシ基とヒド キシル基間での脱アルコール反応により結 させた。

 100mlの三口ナスフラスコに、プロピルオキ メチルシリコーン5.6g、末端ヒドロキシ変性 リカプロラクトン7.0g(7mmol)、触媒としてメ ンスルホン酸6.7×10 -2 g(7mmol)、トルエン20mlを加え、これに減圧蒸留 装置と滴下ロートを備え付け、トルエンを毎 分1mlの速度で滴下し、150mmHg(20kPa)の減圧下60 で、発生する1-プロパノールとトルエンを留 去しながら、5時間攪拌した。その後、ピリ ン5.5×10 -2 g(7mmol)を加えて、メタンスルホン酸を中和し ろ過により、塩を除去後、ロータリーエバ レーターを用いて、残存した1-プロパノー とトルエンを留去した。 1 H-NMRから、反応率は98%であった。

 工程(d)
 上記結合体のプロピルオキシ基の一部を、 のようにして、加水分解により、シラノー 基へ変換した。

 200mlの三角フラスコに、上記結合体9.8g、pH 2.5に調節した塩酸水溶液1.8g、アセトン60mlを 加え、大気中20℃で150分攪拌した。その後、0 .01Mの水酸化ナトリウム水溶液0.6gを加えて、 酸を中和し、硫酸マグネシウム(無水)50gを え、2時間脱水乾燥した。その後、ろ過によ 、塩と硫酸マグネシウムを除去し、ロータ ーエバポレーターを用いて、アセトンを留 した。 1 H-NMRから、シラノール基の変換率は15%と算出 れ(平均で1分子中に一つのシラノール基が 成)、シラノール基同士の反応による縮合反 は十分に抑えながらシラノール基を形成で た。

 工程(e)
 シラノール基が形成された上記結合体とメ キシシリコーン(信越化学工業株式会社製、 X-40-2308)とを、次のようにして、シラノール とメトキシ基間での脱アルコール反応によ 結合させた。

 100mlの三口ナスフラスコに、上記結合体8.2g メトキシシリコーン2.8g、触媒としてメタン スルホン酸5.4×10 -1 g(56mmol)、テトラヒドロフラン20mlを加え、テ ラヒドロフランを毎分1mlの速度で滴下し、 素下70℃で、発生するメタノールとテトラヒ ドロフランを留去しながら、3時間攪拌した その後、ピリジン4.4×10 -1 g(56mmol)を加えて、メタンスルホン酸を中和し 、ろ過により、塩を除去後、ロータリーエバ ポレーターを用いて、残存したメタノールと テトラヒドロフランを留去した。 1 H-NMRから、反応率は98%であった。

 得られた有機シリコン化合物の数平均分 量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー、株 式会社 島津製作所製「10A-VP」、カラム:GPC-80 MCを2本及びGPC-8025Cを1本、展開溶媒:クロロホ ム、標準試料:ポリスチレン)によって測定 た結果、2500であった。

 [合成例10](シリカ系微粒子5の製造)
 上記の有機シリコン化合物5から、下記2段 の工程によりシリカ系微粒子を製造した。
(1)第1セクションのメトキシ基のゾルゲル反 (コアの形成)、
(2)第2セクションのプロピルオキシ基のゾル ル反応(中間領域の形成。結果、第3ユニット 由来の表層の形成)。

 以下、この工程順に説明する。

 工程(1)
 200mlのナスフラスコに、上記有機シリコン 合物5を8.7g、29%アンモニア水16g、アセトン100 mlを加え、大気中20℃で、24時間攪拌した。そ の後、ロータリーエバポレーターを用いて、 発生したメタノール、水、アンモニア、アセ トンを留去した。 1 H-NMRから、メトキシ基の反応率は85%であり、 ロピルオキシ基の反応は、ほとんど進行し いないこと(5%以下)を確認した。

 工程(2)
 1Lの三角フラスコに、工程(1)で得られた縮 体6.0g、29%アンモニア水80g、アセトン500mlを え、大気中20℃で、36時間攪拌した。その後 ロータリーエバポレーターを用いて、発生 た1-プロパノール、アンモニア水、アセト を留去した。 1 H-NMRから、プロピルオキシ基の反応率は78%で った。

 得られたシリカ系微粒子のSTEM(走査透過 子顕微鏡、株式会社日立ハイテクノロジー 製、HD-2300)による観察から、このシリカ系微 粒子の平均粒径は約20nmであった。このSTEM観 では、ランダムに選んだ10個の微粒子の直 を測定し、その平均値を算出し、平均粒径 した。

 [実施例5]
 上記合成例10のシリカ系微粒子5を、実施例1 と同じ条件で、同じポリ乳酸と混合し組成物 を得た。実施例1と同様にして、この組成物 成形し、曲げ強度と伸び(曲げひずみ)を測定 した。評価結果を表1に示す。

 [合成例11](有機シリコン化合物6の合成)
 本発明による有機シリコン化合物の一例と て、下記化学式(A)で示されるアルコキシオ ガノポリシロキサンに対して、そのプロピ オキシ基のプロピル基部分に代えて、第1セ クションに対応する下記化学式(E)で示される 基、及び第3セクションに対応する下記化学 (J)で示される基が結合された化合物を合成 た。式中のMeはメチル基、Etはエチル基を示 。

 有機シリコン化合物6は、第2セクションに 当するアルコキシオルガノポリシロキサン 調製し、このポリシロキサンにアルコキシ ラン基を含有する有機基を導入し、次いで 反応性官能基を含有する有機基を導入して た。具体的には、以下の工程順で有機シリ ン化合物を合成した。
(a)プロピルオキシシメチルシリコーンを合成 、
(b)プロピルオキシメチルシリコーンにシラノ ール基を形成(平均で1分子中に二つのシラノ ル基を形成)、
(c)プロピルオキシメチルシリコーンのシラノ ール基の一部とイソシアネートプロピルトリ エトキシシランを結合してシリコーン-トリ トキシシラン結合体を形成、
(d)上記シリコーン-トリエトキシシラン結合 中のプロピルオキシメチルシリコーンのシ ノール基とビスフェノールA型エポキシ化合 を結合。

 以下、この工程順に説明する。

 工程(a)
 合成例1と同様にして、直鎖状のプロピルオ キシメチルシリコーンを調整した。

 工程(b)
 プロピルオキシメチルシリコーンのプロピ オキシ基の一部を、次のようにして、加水 解により、シラノール基へ変換し、シラノ ル変性プロピルオキシメチルシリコーンを 整した。

 200mlの三角フラスコに、プロピルオキシメ ルシリコーン14g、pHを2.5に調節した塩酸水溶 液6.0g、アセトン120mlを加え、大気中20℃で1時 間攪拌した。その後、0.01Mの水酸化ナトリウ 水溶液1.6gを加えて、塩酸を中和し、硫酸マ グネシウム(無水)50gを加え、2時間脱水乾燥し た。その後、ろ過により、塩と硫酸マグネシ ウムを除去し、ロータリーエバポレーターを 用いて、アセトンを留去した。 1 H-NMRから、シラノール基の変換率は28%と算出 れ(平均で1分子中に二つのシラノール基が 成)、シラノール基同士の反応による縮合反 は十分に抑えながらシラノール基を形成で た。

 工程(c)
 上記工程(b)で得られたシラノール変性プロ ルオキシメチルシリコーンとイソシアネー プロピルトリエトキシシラン(信越化学工業 株式会社製、LS-3415)とを、次のようにして、 成されたシラノール基の一部とイソシアネ ト基間での反応により結合させた(シラノー ル基に対してイソシアネート基は1/2当量)。

 50mlのナスフラスコに、シラノール変性プロ ピルオキシメチルシリコーン11g、イソシアネ ートプロピルトリエトキシシラン1.9g(7.5mmol) 触媒としてオクチル酸スズ3.3×10 -3 gを加え、窒素雰囲気下20℃で、48時間攪拌し 。 1 H-NMRから、イソシアネート基の反応率は95%で った。

 工程(d)
 上記工程(c)で得られたシリコーン-トリエト キシシラン結合体と化学式(J)で示されるビス フェノールA型ジグリシジルエーテル(aldrich製  D3415)とを、次のようにして、残ったシラノ ル基とエポキシ基間での反応により結合さ た(シラノール基に対してエポキシ基は2当 )。

 200mlのナスフラスコに、上記結合体10g、ビ フェノールA型ジグリシジルエーテル9g、ト エン100mlを加え、反応時に発生する水をソッ クスレーにより抽出しながら、窒素雰囲気下 100℃で3時間攪拌した。 1 H-NMRから、エポキシ基の反応率は45%であり、 ラノール基の消失を確認した。

 得られた有機シリコン化合物の数平均分 量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー、株 式会社 島津製作所製「10A-VP」、カラム:GPC-80 MCを2本及びGPC-8025Cを1本、展開溶媒:クロロホ ム、標準試料:ポリスチレン)によって測定 た結果、2000であった。

 [合成例12](シリカ系微粒子6の製造)
 上記合成例11の有機シリコン化合物6から、 記2段階の工程によりシリカ系微粒子6を製 した。
(1)第1セクションのエトキシ基のゾルゲル反 (コアの形成)、
(2)第2セクションのプロピルオキシ基のゾル ル反応(中間領域の形成。結果、第3ユニット 由来の表層の形成)。

 以下、この工程順に説明する。

 工程(1)
 200mlのナスフラスコに、上記有機シリコン 合物6を10g、純水9.0g(0.5mol)、アセトン30mlを加 え、大気中20℃で、48時間攪拌した。その後 ロータリーエバポレーターを用いて、発生 たエタノール、水、アセトンを留去した。 1 H-NMRから、エトキシ基の反応率は87%であり、 ロピルオキシ基およびエポキシ基の反応は ほとんど進行していない(5%以下)ことを確認 した。

 工程(2)
 1Lの三角フラスコに、工程(1)で得られた縮 体6.0g、純水27g(1.5mol)、アセトン500mlを加え、 大気中20℃で、48時間攪拌した。その後、ロ タリーエバポレーターを用いて、発生した1- プロパノール、水、アセトンを留去した。 1 H-NMRから、プロピルオキシ基の反応率は83%で った。

 得られたシリカ系微粒子のSTEM(走査透過 子顕微鏡、株式会社日立ハイテクノロジー 製、HD-2300)による観察から、このシリカ系微 粒子の平均粒径は約35nmであった。このSTEM観 では、ランダムに選んだ10個の微粒子の直 を測定し、その平均値を算出し、平均粒径 した。

 [実施例6]
 ビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭化成エ キシ社製 AER260)100gを、上記合成例12のシリ 系微粒子6を5.0g含むアセトン500ml中に、添加 混合した。その後、50℃で加熱しながら、 スピレータで減圧して溶剤を除去した。さ に、硬化剤としてジエチレントリアミン11g 添加・混合して、シリカ系微粒子を5質量%含 むエポキシ樹脂組成物を得た。

 この樹脂組成物をホットプレート上で型 流しこみ、室温で48時間放置し、120℃で3時 、さらに150℃で3時間加熱して硬化させ、厚 さ2mm、長さ40mm、幅25mmの試験片を作製した。 してこの試験片を、実施例1と同様の方法で 曲げ強度と伸び(曲げひずみ)を測定した。評 結果を表1に示す。

 [合成例13](有機シリコン化合物7の合成)
 本発明による有機シリコン化合物の一例と て、下記化学式(D)で示されるアルコキシオ ガノポリシロキサンに対して、そのエトキ 基のエチル基部分に代えて、第1セクション に対応する下記化学式(E)で示される基、及び 第3セクションに対応する下記化学式(J)で示 れる基が結合された化合物を合成した。式 のMeはメチル基、Etはエチル基を示す。

 有機シリコン化合物7は、第2セクションに 当するアルコキシオルガノポリシロキサン 調製し、このポリシロキサンにアルコキシ ラン基を含有する有機基を導入し、次いで 反応性官能基を含有する有機基を導入して た。具体的には、以下の工程順で有機シリ ン化合物を合成した。
(a)エトキシメチルシリコーンを合成、
(b)エトキシメチルシリコーンにシラノール基 を形成(平均で1分子中に二つのシラノール基 形成)、
(c)エトキシメチルシリコーンのシラノール基 の一部とイソシアネートプロピルトリエトキ シシランとを結合してシリコーン-トリエト シシラン結合体を形成、
(d)上記シリコーン-トリエトキシシラン結合 中のエトキシメチルシリコーンのシラノー 基とビスフェノールA型エポキシ化合物を結 。

 以下、この工程順に説明する。

 工程(a)
 合成例3と同様にして、直鎖状のエトキシメ チルシリコーンを調製した。

 工程(b)
 エトキシメチルシリコーンのエトキシ基の 部を、次のようにして、加水分解により、 ラノール基へ変換し、シラノール変性エト シメチルシリコーンを調製した。

 200mlの三角フラスコに、エトキシメチルシ コーン14g、pHを2.5に調節した塩酸水溶液4.0g アセトン100mlを加え、大気中20℃で1時間攪拌 した。その後、0.01Mの水酸化ナトリウム水溶 0.8gを加えて、塩酸を中和し、硫酸マグネシ ウム(無水)50gを加え、2時間脱水乾燥した。そ の後、ろ過により、塩と硫酸マグネシウムを 除去し、ロータリーエバポレーターを用いて 、アセトンを留去した。 1 H-NMRから、シラノール基の変換率は28%と算出 れ(平均で1分子中に二つのシラノール基が 成)、シラノール基同士の反応による縮合反 は十分に抑えながらシラノール基を形成で た。

 工程(c)
 上記工程(b)で得られたシラノール変性エト シメチルシリコーンとイソシアネートプロ ルトリエトキシシラン(信越化学工業株式会 社製、LS-3415)とを、次のようにして、形成さ たシラノール基の一部とイソシアネート基 での反応により結合させた(シラノール基に 対してイソシアネート基は1/2当量)。

 50mlのナスフラスコに、シラノール変性エト キシメチルシリコーン12g、イソシアネートプ ロピルトリエトキシシラン1.9g(7.5mmol)、触媒 してオクチル酸スズ3.6×10 -3 gを加え、窒素雰囲気下20℃で、48時間攪拌し 。 1 H-NMRから、反応率は85%であった。

 工程(d)
 上記工程(c)で得られたシリコーン-トリエト キシシラン結合体と化学式(J)で示されるビス フェノールA型ジグリシジルエーテル(aldrich製  D3415)とを、次のようにして、残ったシラノ ル基とエポキシ基間での反応により結合さ た(シラノール基に対してエポキシ基は2当 )。

 200mlのナスフラスコに、上記結合体10g、ビ フェノールA型ジグリシジルエーテル9g、ト エン100mlを加え、反応時に発生する水をソッ クスレーにより抽出しながら、窒素雰囲気下 100℃で3時間攪拌した。 1 H-NMRから、エポキシ基の反応率は45%であり、 ラノール基の消失を確認した。

 得られた有機シリコン化合物の数平均分 量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー、株 式会社 島津製作所製「10A-VP」、カラム:GPC-80 MCを2本及びGPC-8025Cを1本、展開溶媒:クロロホ ム、標準試料:ポリスチレン)によって測定 た結果、2000であった。

 [合成例14](シリカ系微粒子7の製造)
 上記合成例13の有機シリコン化合物7から、 記2段階の工程によりシリカ系微粒子7を製 した。
(1)第1セクションのエトキシ基のゾルゲル反 (コアの形成)、
(2)第2セクションのエトキシ基のゾルゲル反 (中間領域の形成。結果、第3ユニット由来の 表層の形成)。

 以下、この工程順に説明する。

 工程(1)
 200mlのナスフラスコに、上記有機シリコン 合物を10g、純水9.0g(0.5mol)、アセトン50mlを加 、大気中20℃で、24時間攪拌した。

 工程(2)
 工程(1)で得られた溶液に、29%アンモニア水1 .0g、アセトン200mlを加え、大気中20℃で24時間 攪拌した。その後、ロータリーエバポレータ ーを用いて、発生したエタノール、アンモニ ア水、アセトンを留去した。 1 H-NMRから、シリコン化合物のエトキシ基の反 率は83%であることを確認した。

 得られたシリカ系微粒子のSTEM(走査透過 子顕微鏡、株式会社日立ハイテクノロジー 製、HD-2300)による観察から、このシリカ系微 粒子の平均粒径は約40nmであった。このSTEM観 では、ランダムに選んだ10個の微粒子の直 を測定し、その平均値を算出し、平均粒径 した。

 [実施例7]
 ビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭化成エ キシ社製 AER260)100gを、上記合成例14のシリ 系微粒子7を5.0gを含むアセトン500ml中に、添 ・混合した。その後、50℃で加熱しながら アスピレータで減圧して溶剤を除去した。 らにこれを80℃に加熱後、硬化剤としてジエ チレントリアミン11gを添加・混合して、シリ カ系微粒子を5質量%含むエポキシ樹脂組成物 得た。

 この樹脂組成物をホットプレート上で型 流しこみ、85℃で2時間加熱後、150℃で2時間 硬化させ、厚さ2mm、長さ40mm、幅25mmの試験片 作製した。そしてこの試験片を、実施例1と 同様の方法で曲げ強度と伸び(曲げひずみ)を 定した。評価結果を表1に示す。

 [実施例8]
 合成例2のシリカ系微粒子1を、実施例6と同 条件で、同じエポキシ樹脂および硬化剤と 合し組成物を得た。実施例6と同様にして、 この組成物を成形し、曲げ強度と伸び(曲げ ずみ)を測定した。評価結果を表1に示す。

 [実施例9]
 セルロース系樹脂として酢酸セルロース(ダ イセル製、L-40、数平均分子量4.4×10 4 )100gを、合成例2のシリカ系微粒子1を6.5g含む ロロホルム500ml中に、添加・混合し、50℃で 加熱しながら、アスピレータで減圧して溶剤 を除去した。その後、可塑剤としてクエン酸 トリエチル(モルフレックス製、CITROFLEX2)を30g 添加し、シリカ系微粒子を5質量%含む酢酸セ ロース樹脂組成物を得た。

 この樹脂組成物を220℃のホットプレート で加熱溶融して、型に流しこみ、厚さ2mm、 さ40mm、幅25mmの試験片を作製した。そして の試験片を、実施例1と同様の方法で曲げ強 と伸び(曲げひずみ)を測定した。評価結果 表1に示す。

 [実施例10]
 合成例6のシリカ系微粒子3を、実施例9と同 条件で、さらに同じ酢酸セルロースと可塑 に混合し組成物を得た。実施例9と同様にし て、この組成物を成形し、曲げ強度と伸び( げひずみ)を測定した。評価結果を表1に示す 。

 [比較例1]
 実施例1で用いたポリ乳酸を単独で実施例1 同様にして評価した。評価結果を表1に示す

 [比較例2]
 ナノサイズの直径(平均粒径12nm)を持つシリ 微粒子(日本アエロジル株式会社製、AEROJIL (R) 200)5gを、クロロホルム500mlに分散させ、それ ポリ乳酸100gを添加混合し、その後、実施例 と同様に50℃で加熱しながら、アスピレータ 減圧して溶剤を除去し、シリカ微粒子を5質 量%含む樹脂組成物を得た。この樹脂組成物 、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1 に示す。

 [比較例3]
 合成例1と同様にして調製した、プロピルオ キシメチルシリコーンと末端ヒドロキシ変性 ポリカプロラクトンとの結合体を、次のよう にしてゾルゲル反応でプロピルオキシ基を縮 合させ微粒子を得た。

 300mlのナスフラスコに、上記結合体6.0g、29% ンモニア水40g、アセトン100mlを加え、大気 20℃で24時間攪拌した。その後、ロータリー バポレーターを用いて、発生した1-プロパ ール、アンモニア水、アセトンを留去した 1 H-NMRから、プロピルオキシ基の反応率は75%で ることを確認した。

 得られた微粒子のSTEM(走査透過電子顕微 、株式会社日立ハイテクノロジーズ製、HD-23 00)による観察から、この微粒子の平均粒径は 約500nmであった。このSTEM観察では、ランダム に選んだ10個の微粒子の直径を測定し、その 均値を算出し、平均粒径とした。

 この微粒子5gをクロロホルム500mlに分散さ せ、それにポリ乳酸100gを添加・混合した。 の後、50℃で加熱しながら、アスピレータで 減圧して溶剤を除去して、上記微粒子を5質 %含む樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を 実施例1と同様に評価した。評価結果を表2 示す。

 [比較例4]
 合成例1と同様にして調製したプロピルオキ シメチルシリコーンとイソシアネートプロピ ルトリメトキシシランとを反応させ、これら の結合体を作製し、この結合体を用いて、ゾ ルゲル反応でプロピルオキシ基を縮合させ、 微粒子を得た。

 上記の製造プロセスにおいて、上記プロ ルオキシメチルシリコーンのプロピルオキ 基の一部を、次のようにして、加水分解に り、シラノール基へ変換し、これとイソシ ネートプロピルトリメトキシシラン中のイ シアネート基と反応させ、結合体を得た。

 300mlの三角フラスコに、プロピルオキシメ ルシリコーン23g、pHを2.5に調節した塩酸水溶 液5.4g、アセトン180mlを加え、大気中20℃で150 攪拌した。その後、0.01Mの水酸化ナトリウ 水溶液1.8gを加えて、塩酸を中和し、硫酸マ ネシウム(無水)50gを加え、2時間脱水乾燥し 。その後、ろ過により、塩と硫酸マグネシ ムを除去し、ロータリーエバポレーターを いて、アセトンを留去した。 1 H-NMRから、シラノール基の変換率は15%と算出 れた(平均で1分子中に一つのシラノール基 形成)。

 次に、20mlのナスフラスコに、上記のシラノ ールが形成されたプロピルオキシメチルシリ コーン15g、イソシアネートプロピルトリメト キシシラン4.0g(20mmol)、触媒としてオクチル酸 スズ4.5×10 -3 gを加え、窒素雰囲気下20℃で、16時間攪拌し 。 1 H-NMRから、反応率は90%であった。

 以上のようにして得られた結合体を用い 、次のようにして微粒子を形成した。

 500mlのナスフラスコに、上記結合体を10g、 水9g(0.5mol)、29%アンモニア水16g、アセトン100m lを加え、大気中20℃で、12時間攪拌した。そ 後、ロータリーエバポレーターを用いて、 生したメタノール、水、アンモニア、アセ ンを留去した。 1 H-NMRから、メトキシ基の反応率は78%であり、 ロピルオキシ基の反応は、ほとんど進行し いないことを確認した。

 次に、500mlのナスフラスコに、上記の工程 得られた縮合体8.0g、29%アンモニア水60g、ア トン600mlを加え、大気中20℃で24時間攪拌し 。その後、ロータリーエバポレーターを用 て、発生した1-プロパノール、アンモニア 、アセトンを留去した。 1 H-NMRから、縮合体のプロピルオキシ基の反応 は89%であることを確認した。

 得られた微粒子のSTEM(走査透過電子顕微 、株式会社日立ハイテクノロジーズ製、HD-23 00)による観察から、この微粒子の平均粒径は 約15nmであった。このSTEM観察では、ランダム 選んだ10個の微粒子の直径を測定し、その 均値を算出し、平均粒径とした。

 この微粒子5gをクロロホルム500mlに分散さ せ、それにポリ乳酸100gを添加・混合した。 の後、50℃で加熱しながら、アスピレータで 減圧して溶剤を除去して、上記微粒子を5質 %含む樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を 実施例1と同様に評価した。評価結果を表2 示す。

 [比較例5]
 合成例1と同様にして調製した末端ヒドロキ シ変性ポリカプロラクトンとイソシアネート プロピルトリメトキシシランとを反応させ、 これらの結合体を作製し、この結合体を用い て、ゾルゲル反応でメトキシ基を縮合させ、 微粒子を得た。具体的には次のように行った 。

 20mlのナスフラスコに、末端ヒドロキシ変性 ポリカプロラクトン5.5g(10mmol)、イソシアネー トプロピルトリメトキシシラン2.0g(10mmol)、触 媒としてオクチル酸スズ1.8×10 -3 gを加え、窒素雰囲気下20℃で、24時間攪拌し 。 1 H-NMRから、反応率は90%であった。

 次に、500mlのナスフラスコに、上記工程に り得られた化合物を6.0g、純水5.4g(0.3mol)、29% ンモニア水16g、アセトン50mlを加え、大気中 20℃で、24時間攪拌した。その後、ロータリ エバポレーターを用いて、発生したメタノ ル、水、アンモニア、アセトンを留去した 1 H-NMRから、メトキシ基の反応率は85%であった

 得られた微粒子のSTEM(走査透過電子顕微 、株式会社日立ハイテクノロジーズ製、HD-23 00)による観察から、この微粒子の平均粒径は 約10nmであった。このSTEM観察では、ランダム 選んだ10個の微粒子の直径を測定し、その 均値を算出し、平均粒径とした。

 この微粒子5gをクロロホルム500mlに分散さ せ、それにポリ乳酸100gを添加・混合した。 の後、50℃で加熱しながら、アスピレータで 減圧して溶剤を除去して、上記微粒子を5質 %含む樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を 実施例1と同様に評価した。評価結果を表2 示す。

 [比較例6]
 実施例6で用いたエポキシ樹脂100gに、硬化 としてジエチレントリアミン11gを添加・混 して樹脂組成物を得た。この樹脂組成物に いて、実施例6と同様にして評価した。評価 果を表2に示す。

 [比較例7]
 実施例9で用いた酢酸セルロース100gに、可 剤としてクエン酸トリエチル30gを添加・混 して樹脂組成物を得た。この樹脂組成物に いて、実施例9と同様にして評価した。評価 果を表2に示す。

 以上に説明した通り、本発明による有機シ コン化合物から、ナノサイズの金属酸化物 微粒子を容易かつ効率的に得ることができ 。

 さらに、表1と表2の結果から明らかなよ に、本発明による有機シリコン化合物から られた金属酸化物系微粒子を樹脂に添加す と、金属酸化物系微粒子無添加の樹脂や、 述の関連技術によるシリカ微粒子を含む樹 組成物や、本有機シリコン化合物の必須構 成分を持たないシリコン化合物で作製され 微粒子を含む樹脂組成物に比べて、曲げ強 や伸びが大幅に向上し、高い強靭性改良効 が得られることが分かる。

 以上、実施例を参照して本発明を説明し が、本発明は上記実施例に限定されるもの はない。本発明の構成や詳細には、本発明 範囲内で当業者が理解し得る様々な変更を ることができる。

 この出願は、2008年5月16日に出願された日 本出願特願2008-129585及び2009年2月6日に出願さ た日本出願特願2009-26361を基礎とする優先権 を主張し、その開示の全てをここに取り込む 。