Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
METHOD OF HYDROPHILIZING CELLULOSE FIBER, HYDROPHILIZED CELLULOSE FIBER, HYDROPHILIZING AGENT AND FIBER PRODUCT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/107637
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a method of hydrophilizing a cellulose fiber while preventing coloration and lowering in strength of the same. A hydrophilization method characterized by comprising oxidizing a starting cellulose fiber in a neutral or acidic liquid reaction mixture which contains an N-oxyl compound and an oxidizing agent oxidizing aldehyde group.

Inventors:
ISOGAI AKIRA (JP)
SAITO TSUGUYUKI (JP)
HIRANO SHOICHI (JP)
YUI YOSHINARI (JP)
TANAKA CHIAKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/053368
Publication Date:
September 03, 2009
Filing Date:
February 25, 2009
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
UNIV TOKYO (JP)
GUNZE KK (JP)
ISOGAI AKIRA (JP)
SAITO TSUGUYUKI (JP)
HIRANO SHOICHI (JP)
YUI YOSHINARI (JP)
TANAKA CHIAKI (JP)
International Classes:
D06M13/355; D06M11/11; D06M11/50; D06M16/00; D06M101/06
Foreign References:
JP2003183302A2003-07-03
JP2003026701A2003-01-29
JP2002537503A2002-11-05
JPH1077570A1998-03-24
Attorney, Agent or Firm:
SHIGA, Masatake et al. (JP)
Masatake Shiga (JP)
Download PDF:
Claims:
 N-オキシル化合物と、アルデヒド基を酸化する酸化剤とを含む中性又は酸性の反応溶液中で、原料セルロース繊維を酸化させる酸化工程を含むことを特徴とするセルロース繊維の親水性化処理方法。
 前記反応溶液に緩衝液を添加することを特徴とする請求項1に記載のセルロース繊維の親水性化処理方法。
 前記酸化剤として亜塩素酸又はその塩を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載のセルロース繊維の親水性化処理方法。
 前記酸化剤として、過酸化水素と酸化酵素の混合物、又は過酸を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載のセルロース繊維の親水性化処理方法。
 前記反応溶液のpHを2以上7以下とすることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のセルロース繊維の親水性化処理方法。
 前記反応溶液に次亜塩素酸又はその塩を添加することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のセルロース繊維の親水性化処理方法。
 前記N-オキシル化合物が、2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジン-N-オキシル(TEMPO)であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のセルロース繊維の親水性化処理方法。
 前記N-オキシル化合物が、4-アセトアミド-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジン-N-オキシル(4-アセトアミドTEMPO)であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のセルロース繊維の親水性化処理方法。
 前記セルロース繊維の親水性化処理方法は更に、前記酸化工程で処理された前記原料セルロース繊維を過酸化水素溶液で処理する脱塩素処理工程を含む前記請求項1から8のいずれか1項に記載のセルロース繊維の親水性化処理方法。
 前記セルロース繊維の親水性化処理方法は更に、前記酸化工程で処理された前記原料セルロース繊維を酸溶液で処理する酸処理工程、又は上記酸処理工程後さらに金属イオン溶液で処理する金属イオン変換工程を含む前記請求項1から8のいずれか1項に記載のセルロース繊維の親水性化処理方法。
 前記セルロース繊維の親水性化処理方法は更に、前記酸化工程で処理された前記原料セルロース繊維を少なくとも1つ水酸基を含む化合物を含む溶液で処理するアルコール処理工程を含む前記請求項1から8のいずれか1項に記載のセルロース繊維の親水性化処理方法。
 前記セルロース繊維の親水性化処理方法は更に、前記酸化工程で処理された前記原料セルロース繊維をアルデヒド基を酸化する酸化剤で処理するアルデヒド酸化工程を含む前記請求項1から8のいずれか1項に記載のセルロース繊維の親水性化処理方法。
 セルロースのミクロフィブリル表面に位置する水酸基の少なくとも一部が、カルボキシル基のみに酸化されていることを特徴とする親水性セルロース繊維。
 アルデヒド基の含有量が、0.05mmol/g未満であることを特徴とする親水性セルロース繊維。
 原料セルロース繊維を浸漬することでセルロース繊維を親水性化する処理に適用できる処理剤であって、
 N-オキシル化合物と、アルデヒド基を酸化する酸化剤とを含むことを特徴とする処理剤。
 前記処理剤が更に次亜塩素酸又はその塩を含むことを特徴とする請求項15に記載の処理剤。
 前記酸化剤が亜塩素酸又はその塩であることを特徴とする請求項15又は16に記載の処理剤。
 前記N-オキシル化合物が、2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジン-N-オキシル(TEMPO)であることを特徴とする請求項15から17のいずれか1項に記載の処理剤。
 前記N-オキシル化合物が、4-アセトアミド-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジン-N-オキシル(4-アセトアミドTEMPO)であることを特徴とする請求項15から17のいずれか1項に記載の処理剤。
 請求項13又は14に記載の親水性セルロース繊維を用いた繊維製品。
Description:
セルロース繊維の親水性化処理 法、親水性セルロース繊維、処理剤、及び 維製品

 本発明は、セルロース繊維の親水性化処理 法、セルロース繊維、処理剤、及び繊維製 に関するものである。
 本願は、2008年2月25日に、日本に出願された 特願2008-042406号に基づき優先権を主張し、そ 内容をここに援用する。

 従来から、肌着等の綿衣料製品(セルロース 繊維製品)では、高い吸湿性と放湿性とが求 られており、同分野の製品における差別化 素となっている。セルロース繊維の親水性 処理方法としては、種々のものが知られて り、代表的な例としては、セルロースの水 基をカルボキシル基に酸化する方法がある
 例えば特許文献1,2に記載の処理方法は、主 化剤として次亜塩素酸ナトリウムを用いて -グルコースの1級水酸基をカルボキシル基に 酸化するものである。この処理方法によれば 、アルカリとモノクロロ酢酸を用いる部分カ ルボキシメチル化や、クロロホルム中にN 2 O 4 を添加するカルボキシル化のように毒物や劇 物を使用しないため、安全で効率的にカルボ キシル基を導入することができる。

特開平10-251302号公報

特開2001-49591号公報

 上記従来の処理方法では、触媒量のNaBrとTEM POを含むセルロース繊維の水分散液に、次亜 素酸ナトリウム(NaClO)水溶液を主酸化剤とし て加えて酸化反応(TEMPO触媒酸化反応)を進め 。この処理方法では、反応中にカルボキシ 基の生成によってpHが低下するため、希水酸 化ナトリウム水溶液(通常、0.5M程度のNaOH)を に添加して反応系のpHを8~11に維持する。
 図18、19に、次亜塩素酸ナトリウムを主酸化 剤とし、臭化ナトリウム(NaBr)とTEMPOを触媒量 えることによって、セルロースの1級水酸基 をアルデヒド基を経てカルボキシル基に酸化 する機構を示す。

 天然セルロースは、図20に示すように、 晶性のミクロフィブリル(結晶化度は65~95%、 ルロース分子30~100本より成る)を構成単位と している。上記の方法では、この高結晶性の セルロースミクロフィブリルの構造を維持し ながら、天然セルロースのミクロフィブリル の表面に位置するC6位の1級水酸基のみを、選 択的にカルボキシル基あるいはアルデヒド基 に酸化する。これにより、セルロース繊維を 親水性化することができる。

 しかし、本発明者らがさらに研究を重ね ところ、上記従来の処理方法及びこれによ 得られるセルロース繊維における課題も明 かになってきた。以下、かかる課題につい 詳細に説明する。

 (1)まず、従来の処理方法により得られる親 性セルロース繊維では、処理前よりも大き 強度が低下してしまうことが判明した。
 そこで本発明は、強度を保持しつつセルロ ス繊維を親水性化する処理方法を提供する とを目的の一つとする。

 (2)また、従来の処理方法により得られる親 性セルロース繊維では、加熱により着色が 生することが判明した。このような着色は 白色性が要求される衣料等の用途では品質 の問題となりうる。
 そこで本発明は、加熱処理を施しても着色 生じない親水性セルロース繊維が得られる 水性化処理方法を提供することを目的の一 とする。

 (3)また、従来の処理方法では、TEMPO触媒酸 反応中に、反応液のpHを常に一定にする必要 がある。そのために、反応溶液にpHメーター 設置し、希NaOH水溶液を滴下し続けるオープ ン型の反応系を構成しなければならず、反応 容器を密閉できないことで、反応により生じ るガスの処理や、反応効率の点でも不利であ る。
 そこで本発明は、反応系の改善によりpH管 を容易にするとともに反応容器の密閉を可 にしたセルロース繊維の親水性化処理方法 提供することを目的の一つとする。

 本発明のセルロース繊維の親水性化処理 法は、上記課題を解決するために、N-オキ ル化合物と、アルデヒド基を酸化する酸化 とを含む中性又は酸性の反応溶液中で、原 セルロース繊維を酸化させる酸化工程を含 ことを特徴とする。

 本発明の親水性化処理方法では、N-オキ ル化合物の存在下、アルデヒド基を酸化す 酸化剤を用いて原料セルロース繊維の酸化 理を行うので、セルロースのミクロフィブ ル表面の水酸基をカルボキシル基にまで酸 することができ、C6位のアルデヒド基が生成 するのを防ぐことができる。

 ここで、従来の処理方法では、pH8~11の弱 ルカリ性条件でTEMPO触媒酸化を行うため、 21中央に示すように、C6位にアルデヒド基(CHO 基)が中間体として生成する。そして、この ルデヒド基には、pH8~11の条件で極めて容易 ベータ脱離反応が起こるため、図21右側に示 すように、セルロースの分子鎖が切断され、 得られるセルロース繊維の強度が低下すると 考えられる。

 これに対して本発明の親水性化処理方法 は、上述したようにアルデヒド基が生成す のを防ぐことができ、仮にアルデヒド基が 時間存在したとしても、反応溶液のpHが中 又は酸性であるため、弱アルカリ~強アルカ 性で起きるベータ脱離反応が生じることは い。したがって本発明によれば、アルデヒ 基の反応によるセルロース分子鎖の切断を ぐことができ、優れた強度を発現する親水 セルロース繊維を得ることができる。

 また、従来の処理方法では、セルロースの クロフィブリルの表面に生成するアルデヒ 基は、0.5mmol/g以下(通常0.3mmol/g以下)とカル キシル基に比べて少量であるが、洗浄後の ルロース繊維の表面にも残存している。そ ために、アルデヒド基を有する還元糖にお るキャラメル化と同様の反応により着色が じると考えられる。
 これに対して本発明の親水性化処理方法で 、酸化剤にアルデヒド基を酸化するものを いているため、仮に、酸化処理においてC6 のアルデヒド基が残存していたとしても、 ずれ酸化されてカルボキシル基に変換され 。したがって、本発明の親水性化処理方法 より得られる親水性セルロース繊維はアル ヒド基を含まないものとなり、これを加熱 理や加熱乾燥処理に供しても着色を生じる とはない。よって本発明によれば、高い白 を有する親水性セルロース繊維を得ること できる。

 以上詳細に説明したように、本発明によ ば、従来の処理方法における課題(1)(2)を解 することができる。

 また本発明では、前記反応溶液に緩衝液を 加することが好ましい。このような親水性 処理方法とすることで、pH維持のために酸 アルカリを添加する必要が無くなり、pHメー ターも不要になる。したがって、本処理方法 では反応容器を密閉することができ、課題(3) についても解決することができる。
 前記緩衝液はリン酸とリン酸ナトリウムな のリン酸緩衝液、又は、酢酸と酢酸ナトリ ムなどの酢酸緩衝液を用いることができる
 そして、反応容器を密閉すれば、反応系に する加温や加圧が可能である。また反応溶 から発生するガスが系外に放出されること ないため安全面でも優れた親水性化処理方 となる。また酸化剤の分解によって生じる スが大気に放散されることがないため、酸 剤の使用量を少なくすることができるとい 利点もある。

 前記酸化剤としては、亜塩素酸又はその塩 用いることが好ましい。また前記酸化剤と て、過酸化水素と酸化酵素の混合物、又は 酸を用いることもできる。
 これらの酸化剤を用いることで、1級水酸基 をカルボキシル基に酸化することができ、C6 のアルデヒド基の生成を効果的に防ぐこと でき、上述した作用効果を確実に得ること できる。

 前記反応溶液のpHを2以上7以下とすること が好ましい。このような範囲とすることで、 効率よく酸化剤を原料セルロース繊維に作用 させることができ、セルロース繊維を短時間 で効率よく親水性化処理することができる。

 前記反応溶液に次亜塩素酸又はその塩を 加することも好ましい。このような処理方 とすることで、反応速度を著しく向上させ ことができ、処理効率を大きく高めること できる。

 前記N-オキシル化合物が、2,2,6,6-テトラメ チル-1-ピペリジン-N-オキシル(TEMPO)、又は4-ア セトアミドTEMPOであることが好ましい。以後 TEMPO又は4-アセトアミドTEMPOを用いる前記酸 工程は、いずれも、TEMPO酸化工程を言う。

 前記セルロース繊維の親水性化処理方法 更に、前記酸化工程で処理された前記原料 ルロース繊維を過酸化水素溶液で処理する 塩素処理工程を含むことができる。

 前記セルロース繊維の親水性化処理方法は に、前記酸化工程で処理された前記原料セ ロース繊維を酸溶液で処理する酸処理工程 又は上記酸処理工程後さらに金属イオン溶 で処理する金属イオン変換工程を含むこと できる。
 前記酸としては、塩酸などの無機酸、又は 機酸を用いることができる。塩酸を用いる とが好ましい。
 また前記金属イオン溶液としては、NaOHなど の金属アルカリ溶液又はCaCl 2 などの金属塩溶液を用いることができる。NaO H又はCaCl 2 を用いることが好ましい。
 又、前記脱塩素処理工程と合わせて金属イ ン変換工程を含むことができる。

 前記セルロース繊維の親水性化処理方法は に、前記酸化工程で処理された前記原料セ ロース繊維を少なくとも1つ水酸基を含む化 合物を含む溶液で処理するアルコール処理工 程を含むことができる。
 前記少なくとも1つ水酸基を含む化合物とし ては、エタノール、プロパノールなどの第1 アルコール;イソプロパノール(IPA)、ポリビ ルアルコール(PVA)などの第2級アルコール;エ レングリコール、α-シクロデキストリン、 リセリンなどの多水酸基化合物、又は、グ コース、スクロース、グルコン酸、グルク ン酸などのセルロース構造に類似する化合 を用いることができる。グリセリン又はグ クロン酸が好ましい。

 前記セルロース繊維の親水性化処理方法は に、前記酸化工程で処理された前記原料セ ロース繊維をアルデヒド基を酸化する酸化 で処理するアルデヒド酸化工程を含むこと できる。
  前記アルデヒド基を酸化する酸化剤とし は、亜塩素酸又はその塩を用いることが好 しい。また前記酸化剤として、過酸化水素 酸化酵素の混合物、又は過酸を用いること できる。亜塩素酸又はその塩を用いること 好ましい。 

 次に、本発明の親水性セルロース繊維は、 ルロースのミクロフィブリル表面に位置す 水酸基の少なくとも一部が、カルボキシル のみに酸化されていることを特徴とする。
 また本発明の親水性セルロース繊維は、ア デヒド基の含有量が、0.05mmol/g未満であるこ とを特徴とする。
 本発明に係る親水性化処理方法によって得 れる親水性セルロース繊維は、上記した特 によって特定することができる。いずれの 水性セルロース繊維も、親水性化処理を施 ない場合と同等の強度及び白度を得られ、 つ吸湿性は大きく向上したセルロース繊維 ある。

 次に、本発明の処理剤は、原料セルロース 維を浸漬することでセルロース繊維を親水 化する処理に適用できる処理剤であって、N -オキシル化合物と、アルデヒド基を酸化す 酸化剤とを含むことを特徴とする。
 また、前記処理剤は更に次亜塩素酸又はそ 塩を含むことができる。
 この処理剤によれば、原料セルロース繊維 強度及び白度を維持しつつ、効率よく安全 親水性化処理を実施することができる。

 具体的な構成としては、前記酸化剤が亜塩 酸又はその塩であることが好ましい。
 さらに前記N-オキシル化合物が、2,2,6,6-テト ラメチル-1-ピペリジン-N-オキシル(TEMPO)、又 4-アセトアミドTEMPOであることが好ましい。

 また本発明は、先に記載の本発明の親水 セルロース繊維を用いた繊維製品を提供す 。本発明によれば、強度及び白度を維持し つ吸湿性を向上させた衣料用品、雑貨用品 インテリア用品、寝具用品、産業用資材等 繊維製品を提供することができる。

 本発明のセルロース繊維の親水性化処理方 によれば、セルロース繊維のミクロフィブ ル表面に位置する1級水酸基をカルボキシル 基のみに酸化することができるので、強度の 低下を抑えつつ、加熱しても着色の生じない セルロース繊維を得ることができる。
 また本発明の親水性セルロース繊維は、カ ボキシル基のみに酸化されていることで、 度に優れ、加熱しても着色することがなく 白色性に優れた繊維製品を製造できる繊維 材である。
 また本発明の繊維処理剤は、セルロースの クロフィブリルを切断しないので、強度の 下を抑えつつ原料セルロース繊維を親水性 処理できるものである。
 また本発明によれば、強度を維持したまま 水性を向上させた綿や麻などの衣料用品、 貨用品、インテリア用品、及び寝具用品、 るいは、産業用資材等の繊維製品を得るこ ができる。

本発明に係る親水性化処理方法におけ カルボキシル基の生成機構を示す図。 本発明に係る親水性化処理方法及び従 処理方法で使用される装置を示す図。 実施例に係る実験装置を示す図。 本発明実施例1に係る処理後のサンプル 生地の機能評価結果を示すグラフ。 本発明実施例2~4に係る処理後のサンプ 生地の機能評価結果を示すグラフ。 本発明実施例2~4に処理後のサンプル生 の機能評価結果を示すグラフ。 本発明実施例2~4に処理後のサンプル生 の機能評価結果を示すグラフ。 本発明実施例5に係る処理後のサンプル 生地の機能評価結果を示すグラフ。 本発明実施例5に係る処理後のサンプル 生地の機能評価結果を示すグラフ。 本発明実施例5に係る処理後のサンプ 生地の機能評価結果を示すグラフ。 本発明実施例7に係る処理後のサンプ 生地の機能評価結果を示すグラフ。 本発明実施例7に係る処理後のサンプ 生地の機能評価結果を示すグラフ。 本発明実施例8に係る処理後のサンプ 生地の機能評価結果を示すグラフ。 本発明実施例11に係る処理後のサンプ 生地の機能評価結果を示すグラフ。 本発明実施例12に係る処理後のサンプ 生地の機能評価結果を示すグラフ。 本発明実施例12に係る処理後のサンプ 生地の機能評価結果を示すグラフ。 本発明実施例13に係る処理後のサンプ 生地の機能評価結果を示すグラフ。 従来の処理方法におけるセルロースの 酸化機構を示す図。 従来の処理方法におけるセルロースの 酸化機構を示す図。 セルロースのミクロフィブリルの構造 モデルを示す図。 ベータ脱離反応による分子鎖の切断を 説明する図。

符号の説明

 100 反応容器、100A ビニールバッグ、101  キャップ、110 反応溶液、115 原料セルロー 繊維(サンプル生地)、118 ステンレスポット 120 温浴槽(加熱装置)、120A 油浴(加熱装置) 121 ビーカー、122 ウォーターバス、123 攪 子

 以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形 について説明する。
 本発明のセルロース繊維の親水性化処理方 は、N-オキシル化合物と、アルデヒド基を 化する酸化剤とを含む中性又は酸性の反応 液中で、原料セルロース繊維を酸化させる とを特徴としている。

 原料セルロース繊維としては、植物、動物 バクテリア産生ゲル等の天然セルロース繊 のほか、再生セルロース繊維であってもよ 。具体的には、綿、麻、パルプ、バクテリ セルロースなどの天然セルロース繊維や、 ーヨンやキュプラなどの再生セルロース繊 を用いることができる。
 なお、原料セルロース繊維の形態としては 織編物や不織布等の布帛に限らず、フィラ ント、ステープル、紐などの糸状物であっ もよい。また、繊維の構造組織としては、 繊、混紡、混織、交織、交編したものであ てもよい。

 反応溶液における溶媒は、典型的には水で る。反応溶液に添加される触媒としては、N -オキシル化合物が用いられている。N-オキシ ル化合物としては、TEMPO(2,2,6,6-テトラメチル ペリジンーN-オキシル)及びC4位に各種の官 基を有するTEMPO誘導体を用いることができる 。特に、TEMPO及び4-アセトアミドTEMPOは、反応 速度において好ましい結果が得られている。
 N-オキシル化合物の添加は触媒量で十分で り、具体的には、反応溶液に対して0.1~20mmol/ lの範囲で添加すればよい。好ましくは、1~4mm ol/lの添加量範囲である。

 酸化剤としては、水酸基の酸化によって 成するアルデヒド基も酸化することができ 酸化剤が用いられる。このような酸化剤と ては、亜塩素酸又はその塩(亜塩素酸ナトリ ウムなど)、過酸化水素と酸化酵素(ラッカー )の混合物、過酸などを例示することができ る。なお、過酸としては、過硫酸(過硫酸水 カリウムなど)、過酢酸、過安息香酸など、 々のものを用いることができる。酸化剤の 有量は、原料セルロース繊維に対して0.01~50 mmol/gの範囲とすることが好ましい。

 このようにアルデヒド基をカルボキシル に酸化することができる酸化剤を用いるこ で、C6位のアルデヒド基の生成を防ぐこと できる。図1は、本発明におけるカルボキシ 基の生成機構を示す図である。図1に示すよ うに、N-オキシル化合物を触媒とした酸化反 では、グルコース成分の1級水酸基が選択的 に酸化されてアルデヒド基を含む中間体が生 成する可能性がある。しかし本発明では、ア ルデヒド基を酸化する酸化剤を含むため、こ の中間体のアルデヒド基は速やかに酸化され 、カルボキシル基に変換される。これにより 、アルデヒド基を含まない親水性セルロース 繊維を得ることができる。

 本発明の場合には、セルロース繊維の親 性化が目的であるから、酸化剤が過剰にな ないよう上述した範囲に調整する。すなわ 、図20に示すように、酸化剤を過剰に使用 ると、セルロースのミクロフィブリル表面 位置する水酸基がほとんどカルボキシル基 置換される。このような状態では、カルボ シル基同士の反発力によってミクロフィブ ルが分離しやすく、軽微な解繊処理で容易 ナノファイバー化されてしまう。したがっ 、セルロース繊維の分離が生じない程度の 化となるように、軽微なTEMPO酸化処理を行う こととする。

 また、上述したアルデヒド基を酸化する 化剤を主酸化剤として用いるのを前提とし 、次亜塩素酸又はその塩を添加してもよい 例えば、少量の次亜塩素酸ナトリウムを添 することで、反応速度を大きく向上させる とができる。次亜塩素酸塩等の添加量を多 しすぎると、これらが主酸化剤として機能 るためにアルデヒド基が生成し、強度の低 などが生じて所望の親水性セルロース繊維 得られなくなるおそれがある。そこで、次 塩素酸塩等の添加量は、原料セルロース繊 に対して2mmol/g程度以下とすることが好まし く、より好ましくは0.5mmol/g以下である。

 反応溶液のpHは、中性から酸性の範囲を維 することが好ましい。より具体的には、2以 7以下のpH範囲とすることが好ましい。また 反応溶液をほぼ中性(pH6以上7以下)とするこ で、高い反応効率が得られ、処理時間を短 することができる。
 さらに、反応溶液に緩衝液を添加すること 好ましい。緩衝液としては、リン酸緩衝液 酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、ホウ酸緩衝 、酒石酸緩衝液、トリス緩衝液等、種々の 衝液を用いることができる。リン酸緩衝液 たは酢酸緩衝液を用いることが好ましい。 衝液を用いて反応中のpH変化を抑えるよう することで、pHを維持するための酸やアルカ リの連続的な添加が不要になり、またpHメー ーの設置も不要になる。そして、酸やアル リの添加が不要であることから、反応容器 密閉することができる。

 ここで、図2(a)は、本発明の親水性化処理方 法を実施するための装置の一例を示す図であ る。図2(b)は、従来の処理方法を実施するた の装置を示す図である。
 図2(a)に示すように、本発明の親水性化処理 方法では、反応容器100に原料セルロース繊維 115と、触媒、酸化剤、緩衝液等を含む反応溶 液110とが収容されており、さらにキャップ101 により反応容器100は密閉されている。また、 温浴槽120のような加熱装置を用いて、反応容 器100を加熱することができ、反応温度を上昇 させるとともに維持することができる。また 場合によっては、反応容器100に内部を加圧す る加圧装置を併設してもよい。

 一方、図2(b)に示す従来の処理方法では、 反応溶液210を収容した反応容器200の上部は開 口しており、この開口部を介して、併設され たpH調整装置250のpH電極251や、pH調整用の希NaO H溶液を供給するノズル252が反応溶液210内に 置されている。このように従来の処理方法 は、反応容器210をオーブン型にせざるを得 いため、共酸化剤である次亜塩素酸ナトリ ムの分解により発生した塩素ガスが大気中 一部放出されてしまう。そうすると、放出 れた塩素ガスを処理する装置が必要になっ り、酸化剤の損失により次亜塩素酸ナトリ ムを必要以上に添加しなければならなくな 。

 このように、本発明に係る親水性化処理 法では、反応容器100を密閉することができ ので、反応溶液110の温度を上昇させて反応 率を高め、反応効率を高めることができる したがって本発明によれば、セルロース繊 を効率よく短時間で親水性化処理すること できる。なお、従来の処理方法でも反応溶 210の温度を上昇させることは可能であるが 塩素ガスの放出量が増えるため、排ガス処 や酸化剤の使用量の点で好ましくない。

 なお、本発明の親水性化処理方法におい 、反応溶液の温度や浸漬時間は、原料セル ース繊維の態様や目標とする親水性の程度 に応じて適宜設定することができる。この うな条件設定についても、本発明の親水性 処理方法では反応系を密閉できるため、反 溶液の温度設定範囲が広く、また浸漬時間 長短によらず安定した系で処理を実行でき 。

 また、脱塩素処理工程に用いられる過酸 水素溶液としては、例えば、浴比1:   20の 蒸留水に、35%の過酸化水素を添加して調整し た溶液を用いることができる。液濃度として は、0.1~100g/Lを用いることができる。好まし は1~50g/Lであり、より好ましくは5~20g/Lである 。溶液のpHは8~11であることが好ましく、pHは9 .5~10.7であることがより好ましい。

 前記酸処理工程に用いられる酸は塩酸など 無機酸が好ましく、塩酸を用いることがさ に好ましい。その塩酸水溶液の濃度として 、0.05~1mol/Lが好ましく、0.1~0.5mol/Lがもっと ましい。
 前記金属イオン変換工程に用いられる金属 オン溶液としては、NaOH水溶液などの金属ア ルカリ溶液,CaCl 2 水溶液などの金属塩溶液を用いることができ る。NaOH又はCaCl 2 を用いることが好ましい。NaOHを用いること もっと好ましい。その水溶液の濃度として 、例えばNaOHを用いる場合には、0.2~5g/Lは好 しく、0.5~4g/Lがより好ましく、1~3g/Lがもっと 好ましい。

 前記アルコール処理工程に用いられる1つ水 酸基を含む化合物としては、メタノール、エ タノール、プロパノールなどの第1級アルコ ル;イソプロパノール(IPA)、ポリビニルアル ール(PVA)などの第2級アルコール;エチレング コール、α-シクロデキストリン、グリセリ などの多水酸基化合物、又は、グルコース スクロース、グルコン酸、グルクロン酸な のセルロース構造に類似する化合物を用い ことができる。エタノール又はIPAを用いる とができる。グリセリン又はグルクロン酸 好ましい。
 前記アルコール処理工程としては、前工程 処理された原料セルロース繊維を前記1つ水 酸基を含む化合物の溶液に一定時間において 浸して処理することができる。処理時間は、 10秒~30分が好ましく、30秒~10分がより好まし 、2分~5分がもっと好ましい。
 また、前記アルコール処理工程としては、 工程で処理された前記原料セルロース繊維 含む前工程の反応溶液に、1つ水酸基を含む 化合物を添加して一定時間で反応させること ができる。添加量としては、処理対象の前記 原料セルロース繊維の重量が1の場合には、0. 0005~5(0.05%~500%owf)を用いることが好ましく、0.0 01~2(0.1%~200%owf)がより好ましく、0.01~1.0(1%~100%ow f)がもっと好ましい。処理時間として、1分~5 間が好ましく、5分~2時間がより好ましく、1 5分~45分がもっと好ましい。

 前記アルデヒドを酸化工程に用いられる ルデヒドを酸化する酸化剤としては、亜塩 酸又はその塩を用いることが好ましい。ま 前記酸化剤として、過酸化水素と酸化酵素 混合物、又は過酸を用いることもできる。 塩素酸を用いることが好ましい。

 次に、以上に説明した本発明の親水性化 理方法により得られる親水性セルロース繊 は、セルロースのミクロフィブリル表面に 置する水酸基の少なくとも一部が、カルボ シル基のみに酸化されているものである。 るいは、アルデヒド基の含有量が、0.05mmol/g 未満であるセルロース繊維として特定するこ とができる。

 すなわち、本発明の親水性セルロース繊維 、セルロースのミクロフィブリル表面にお るC6位のアルデヒド基が全く無い、あるい 全く無いとみなせるものである。なお、ア デヒド基が全く無いとみなせる場合という は、アルデヒド基の含有量が0.05mmol/g未満で ることに対応する。このような範囲とする とで、アルデヒド基に起因する繊維強度(破 裂強度)の低下や加熱時の着色を抑える効果 得ることができる。アルデヒド基の量は、 り好ましくは0.01mmol/g以下であり、さらに好 しくは、0.001mmol/g以下である。
 なお、現在知られている測定方法における ルデヒド基の検出限界が0.001mmol/g程度であ から、望ましい態様としては、測定を行っ もアルデヒド基が検出されない親水性セル ース繊維である。
 また、従来の処理方法では、TEMPO触媒酸化 おいて、必ずカルボキシル基とアルデヒド の双方が生成する。したがって本発明の親 性セルロース繊維は、上記の特徴によって 来の処理方法で得られるセルロース繊維と 明確に異なるものとして特定することがで る。

 アルデヒド基の量は、例えば以下の手順に り測定することができる。
 まず、乾燥重量を精秤した親水性セルロー 繊維の試料を水に入れ、0.1Mの塩酸水溶液に よってpHを約2.5とした後、0.05Mの水酸化ナト ウム水溶液を滴下して電気伝導度を測定す 。測定はpHが11になるまで続ける。そして、 気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階 おいて消費された水酸化ナトリウム量(V)か 、下式を用いて官能基量を決定する。この 能基量がカルボキシル基の量である。

 (式) 官能基量(mmol/g)=V(ml)×0.05/セルロース の質量(g)

 その後、カルボキシル基量の測定に供し 親水性セルロース繊維の試料を、酢酸でpH4~ 5に調整した2%亜塩素酸ナトリウム水溶液中で さらに48時間常温で酸化し、上記手法によっ 再び官能基量を測定する。測定された官能 量から上記カルボキシル基の量を引いた量 アルデヒド基の量である。

 本発明の親水性セルロース繊維は、C6位の ルデヒド基を含まないものであるから、加 処理を施しても、アルデヒド基由来の着色 分は生成しない。したがって、本発明の親 性セルロース繊維は、高い白度を要求され 肌着等の衣料用途に好適な素材である。
また、熱による品質低下が生じないことから 、加工に際しての制限が無く、取り扱いが容 易な素材である。
 さらに、本発明の親水性セルロース繊維は その親水性化処理過程において、アルデヒ 基によるセルロースミクロフィブリルの切 が生じないため、原料セルロース繊維の強 をほとんど損なわずに吸湿性を高めたもの なっている。

 このようにセルロースミクロフィブリルの1 級水酸基がカルボキシル基に酸化されている 親水性セルロース繊維は、その高い吸湿性に より高い放熱効果や発熱効果を得られるもの であり、種々の繊維製品に好適に用いること ができる。
 かかる繊維製品としては、例えば、衣料用 、雑貨用品、インテリア用品、寝具用品、 業用資材等が挙げられる。
 上記衣料用品としては、外出着衣料、スポ ツウェア、ホームウェア、リラックスウェ 、パジャマ、寝間着、肌着、オフィスウェ 、作業服、食品白衣、看護白衣、患者衣、 護衣、学生服、厨房衣等が挙げられ、肌着 しては、例えばシャツ、ブリーフ、ショー 、ガードル、パンティストッキング、タイ 、ソックス、レギンス、腹巻き、ステテコ パッチ、ペチコート等が挙げられる。
 上記雑貨用品としては、エプロン、タオル 手袋、マフラー、帽子、靴、サンダル、か ん、傘等が挙げられる。
 上記インテリア用品としては、カーテン、 ゅうたん、マット、こたつカバー、ソファ カバー、クッションカバー、ソファー用側 、便座カバー、便座マット、テーブルクロ 等が挙げられる。
 上記寝具用品としては、布団用側地、布団 詰めわた、毛布、毛布用側地、枕の充填材 シーツ、防水シーツ、布団カバー、枕カバ 等が挙げられる。
 上記産業用資材としては、フィルター等が げられる。

 以下、実施例により本発明をさらに詳細 説明する。ただし、本発明は以下の実施例 限定されるものではない。

<実施例1>
 本実施例では、本発明に係る親水性化処理 法を用いたメリヤス生地(セルロース繊維) 親水性化処理と、得られた生地の機能評価 行った。
 具体的には、反応温度40℃、60℃、80℃にお る反応時間15分、30分、1時間、2時間での経 変化をとり、それぞれの条件で得られた処 後のサンプル生地について吸湿率、白度、 裂強度を測定した。

 図3(a)~(c)は、本実施例で用いた実験装置の 略を示す図である。図3(a)に示すように、サ プル生地(原料セルロース繊維)115を反応溶 110とともにチャック付のビニールバッグ100A 入れて密閉した。
 ビニールバッグ100Aに封入した内容物は、以 下の手順で作製した。
 まず、0.1Mリン酸塩緩衝液(pH6.8)を調製し、 れにTEMPO触媒を溶解させた。さらにこのTEMPO 媒-リン酸塩緩衝液に亜塩素酸ナトリウムを 添加して攪拌した後、サンプル生地(40g)を投 して十分に攪拌した。次いで、反応溶液に 亜塩素酸ナトリウムを添加して攪拌した後 ビニールバッグ100Aに移し替えてチャックで 密閉した。

 次に、ビニールバッグ100Aを、内側をフッ 素樹脂コーティングされた3l用ステンレスポ ト118に入れて密閉した。そして、サンプル 地115を封入したステンレスポット118を油浴1 20Aに入れ、ステンレスポット118を回転させる ことで、温度、時間を制御しながら内容物を 攪拌してTEMPO酸化反応を行った。

 TEMPO酸化処理後のサンプル生地115をビニ ルバッグ100Aから取り出し、水洗い(5分間×1 )、湯洗い(60℃、10分間×1回)、水洗い(5分間× 2回)を行った。その後、サンプル生地を40℃ 乾燥室で乾燥させた。

 表1(a)は、本実施例における反応温度40℃の 合の反応溶液組成や反応時間を示す表であ 。表1(b)は、本実施例で用いたリン酸塩緩衝 液の組成を示す表である。
 なお、反応温度60℃、80℃の条件においても 、反応温度以外の条件は表1と同様とした。

 表2は、上記の親水性化処理を施したサン プル生地の機能評価結果を示す表である。図 4(a)~(c)は、それぞれ、表2(a)~(c)に対応するグ フである。

 [吸湿率]
 表2(a)及び図4(a)に示すように、反応温度40℃ 、60℃、80℃の各サンプル生地において、反 時間の長さに応じた吸湿率の上昇が確認さ た。本実施例では、反応温度が60℃及び80℃ 条件において、反応開始後15分で20%以上(親 性化処理を施さないサンプル生地に対して) の吸湿率上昇が確認された。

 [白度]
 白度の測定は、CIELAB表色系より、L*-3b*とし 算出(Kollmorgen Instruments Corporation製 Macbeth W HITE-EYE3000微小面積にて測色)した。表2(b)及び 4(b)に示すように、本実施例では、いずれの 条件においても処理前のサンプル生地よりも 白度が若干低下する傾向にあったが、条件に よっては白度がほとんど変化しないものが得 られた(40℃/15分、40℃/120分、60℃/120分、80℃/ 120分の条件など)。なお、以下に示す各試験 については、蛍光染料の汚染により、白度 低下した可能性がある。
 40℃/15分、40℃/30分、40℃/60分
 60℃/15分、60℃/30分、60℃/60分
 80℃/15分、80℃/30分、80℃/60分

 [破裂強度]
 破裂強度は、「JIS L-1018 8.17A法」に基づい 測定を実施した。
 表2(c)及び図4(c)に示すように、反応時間を く、反応温度を高くするほど破裂強度が低 する傾向にあった。反応温度40℃、反応時間 15分の条件では、5kgf/cm 2 程度の高い破裂強度が得られ、反応温度が60 以下であれば4kgf/cm 2 以上の破裂強度を保持できることが確認され た。

 ここで、同程度の吸湿率向上(20%)が得ら たサンプル生地における破裂強度を表3に示 。表3において、上段の3つのサンプルが本 明の親水性化処理方法を適用したサンプル 地の評価結果であり、下段の3つのサンプル 従来の処理方法を適用したサンプル生地の 価結果である。

 従来の処理方法は、触媒量のNaBrとTEMPOを む反応溶液にサンプル生地(メリヤス生地40g )を浸漬し、この溶液に次亜塩素酸ナトリウ 水溶液を主酸化剤として加えて酸化反応を めることでサンプル生地を親水性化処理し ものである。なお、処理中に反応溶液のpHが 低下するため、希水酸化ナトリウム(0.5M程度) を滴下してpHを8~11に維持した。

 表3に示すように、本発明の親水性化処理 方法によれば、従来の処理方法と同程度の吸 湿率向上効果が得られたサンプル生地におい て、従来の処理方法を適用したサンプル生地 よりも高い破裂強度が得られた。したがって 本発明によれば、セルロース繊維の強度低下 を効果的に抑制しつつ、優れた吸湿率向上効 果を得ることができる。

<実施例2> 
 本実施例では、本発明に係る親水性化処理 法を用いたメリヤス生地(セルロース繊維) 親水性化処理と、得られた生地の機能評価 行った。
 具体的には、反応温度40℃、60℃、80℃にお る反応時間15分、30分、1時間、2時間での経 変化をとり、それぞれの条件で得られた処 後のサンプル生地について吸湿率、白度、 裂強度を測定した。

 図3(a)~(c)は、本実施例で用いた実験装置の 略を示す図である。図3(a)に示すように、サ プル生地(原料セルロース繊維)115を反応溶 110とともにチャック付のビニールバッグ100A 入れて密閉した。
 ビニールバッグ100Aに封入した内容物は、以 下の手順で作製した。
 まず、リン酸調整液(pH3.8)を作製し、これに TEMPO触媒を溶解させた。さらにこのTEMPO触媒- ン酸調整液に亜塩素酸ナトリウムおよびネ クリスタルCG1000(日華化学社製亜塩素漂白用 キレート剤)を添加して攪拌した後、サンプ 生地(40g)を投入して十分に攪拌した。次いで 、反応溶液に次亜塩素酸ナトリウムを添加し て攪拌した後、ビニールバッグ100Aに移し替 てチャックで密閉した。

 次に、ビニールバッグ100Aを、内側をフッ 素樹脂コーティングされた3l用ステンレスポ ト118に入れて密閉した。そして、サンプル 地115を封入したステンレスポット118を油浴1 20Aに入れ、ステンレスポット118を回転させる ことで、温度、時間を制御しながら内容物を 攪拌してTEMPO酸化反応を行った。

 TEMPO酸化処理後のサンプル生地115をビニー バッグ100Aから取り出し、水洗い(5分間×1回) 湯洗い(60℃、10分間×1回)、水洗い(5分間×2 )を行った。
 TEMPO酸化後、洗浄したサンプルを脱水させ 。浴比1:20の蒸留水に、所定量の35% H 2 O 2 、ネオレートPLC7000(日華化学社製ポリカルボ 酸系キレート剤)を添加して攪拌し、1.0MNaOH 液に用いてpH=10に調整した後、サンプル生 を投入した。さらにpH=10に調整した後、50℃ おいて、15分攪拌しながら処理した。脱塩 処理後、水洗い(5分間×1回)、湯洗い(60℃、10 分間×1回)、水洗い(5分間×2回)を行った。洗 後の生地サンプルを、40℃の乾燥室で乾燥さ せた。

<実施例3> 
 本実施例では、4-アセトアミドTEMPO触媒を用 いている以外に、実施例2と同じ親水性化処 を行い、得られた生地の機能評価を行った

<実施例4>
 本実施例では、4-アセトアミドTEMPO触媒およ びpH6.8のリン酸塩緩衝液を用いている以外に 実施例2と同じ親水性化処理を行い、得られ た生地の機能評価を行った。

 表4は、実施例2におけるTEMPO触媒を用い、 pH=3.8、反応温度40℃の場合の反応溶液組成や 応時間を示す表、および脱塩素処理用液の 成を示す表である。

 表5は、実施例3における4-アセトアミドTEM PO触媒を用い、pH=3.8、反応温度40℃の場合の 応溶液組成や反応時間を示す表、および脱 素処理用液の組成を示す表である。

 表6は、実施例4における4-アセトアミドTEM PO触媒を用い、pH=6.8、反応温度40℃の場合の 応溶液組成や反応時間を示す表、本実施例 用いたリン酸塩緩衝液の組成を示す表、お び脱塩素処理用液の組成を示す表である

 なお、反応温度60℃、80℃の条件において も、反応温度以外の条件は表4~6と同様とした 。

 表7と表8は、上記の親水性化処理を施し サンプル生地の機能評価結果を示す表であ 。図5~図7は、それぞれ、実施例2~4の評価結 に対応するグラフである。

 [吸湿率]
 4-アセトアミドTEMPO触媒を用いた酸化反応で は、酸性側でも加工がゆるやかに進行する。 また、pH=3.8で親水性処理を行う場合、TEMPO  媒より4-アセトアミドTEMPO触媒を用いる方が 率的に反応できる。4-アセトアミドTEMPO触媒 を用いた酸化反応では、pH=3.8においては、反 応温度が80℃、反応時間が2時間で最大吸湿率 8.86%の結果が得られた。
 また、pH=6.8での反応は、反応開始後初期の 階で反応が進行し、pH=3.8での反応は、反応 始後徐々に反応が進行している。

 [白度]
 白度は、加工度が上がるにつれて低下した

 [破裂強度]
 吸湿率が高くなるにつれて、強度が低下し いる。
 表7と表8に示すように、本発明の親水性化 理方法によれば、従来の処理方法と同程度 吸湿率向上効果が得られたサンプル生地に いて、従来の処理方法を適用したサンプル 地よりも高い破裂強度が得られた。したが て本発明によれば、セルロース繊維の強度 下を効果的に抑制しつつ、優れた吸湿率向 効果を得ることができる。

 <実施例5> 
 本実施例では、PH=3.8又はpH=6.8の条件におい 、実施例3又は4と同じ親水性化処理を行い 洗浄後の生地サンプルを、40℃の乾燥室にて 乾燥させて得られた生地をそれぞれ酸処理の み、又は酸処理後Ca処理若しくはNa処理を行 、得られた生地の機能性評価を行った。

 <酸処理>
 0.3mol/L HCl溶液を作製し、サンプル生地を投 入した後、20分攪拌した(使用用水:蒸留水; HC l:0.3mol/L; 浴比:1:30)。処理後のサンプルを蒸 水で3回洗浄した。洗浄後のサンプル生地を4 0℃乾燥室で乾燥させた。

 <Ca処理>
 3g/LCaCl 2 溶液を作製した。1Lステンレスポットにサン ル生地をセットした後、作製したCaCl 2 溶液をポットに注ぎ、ポットを密閉した(使 用水:蒸留水;CaCl 2 ・2H 2 O:3g/L;浴比:1:15)。反応温度40℃において、20分 ットを回転させながら反応させた後、以下 洗浄を行う。
 浴比が1:30になるようにイオン交換水を計量 し、上記の処理サンプルを1Lステンレスポッ にセットした後、イオン交換水を注ぎ、ポ トを密閉する。反応温度40℃において、10分 攪拌した後、サンプル生地を取り出し、30秒 水した。その後、サンプル生地を40℃乾燥 で乾燥させた。

 <Na処理>
 3g/LNaOH溶液を作製した。1Lステンレスポット にサンプル生地をセットした後、作製したNaO H溶液をポットに注ぎ、ポットを密閉した(使 用水:蒸留水;NaOH:3g/L;浴比:1:15)。反応温度40 において、20分ポットを回転させながら反応 させた後、以下の洗浄を行う。
 浴比が1:30になるようにイオン交換水を計量 し、上記の処理サンプルを1Lステンレスポッ にセットした後、イオン交換水を注ぎ、ポ トを密閉する。反応温度40℃において、10分 攪拌した後、サンプル生地を取り出し、30秒 水した。その後、サンプル生地を40℃乾燥 で乾燥させた。

 表9は、上記の親水性化処理を施したサン プル生地の機能評価結果を示す表である。図 8と9は、上記の親水性化処理を施したサンプ 生地の機能評価結果を示すグラフである。 10は、4-アセトアミドTEMPO酸化後、蛍光X線の 測定を行い、得られたサンプル生地の金属量 と吸湿率の相関図である。Na量と吸湿率又はC a量と吸湿率の相関が見られる。蛍光X線測定 、(株)リガク製蛍光X線分析装置RIX2000を用い て金属成分量の測定を行った。

<実施例6>  
 本実施例では、表10に示す反応条件におい 、実施例3又は4と同じ親水性化処理を行い、 洗浄後の生地サンプルを、40℃の乾燥室にて 燥させて得られた生地に対して、実施例5と 同様の方法で、3種類の1,2,3g/L NaOH溶液をそれ ぞれ用い、酸処理後Na処理を行い、得られた 地の吸湿率と白度の評価を行った。表11は の結果を示した。絶乾後白度は、「JIS L-0105  4.3」に基づいて絶乾重量を測定した後の白 である。

<実施例7>  
 本実施例では、表12(a)に示した反応条件で 実施例2または3と同様に、TEMPO酸化反応を行 た。

 TEMPO酸化処理後のサンプル生地115を取り出 、エタノール水に浸して3分程度攪拌を行っ 。
 エタノール水で処理後のサンプル生地115を ニールバッグ100Aから取り出し、水洗い(5分 ×1回)、湯洗い(60℃、10分間×1回)、水洗い(5 間×2回)を行った。

 前記洗浄したサンプルを脱水させた。浴比1 :20の蒸留水に、所定量の35% H 2 O 2 、ネオレートPLC7000(日華化学社製ポリカルボ 酸系キレート剤)を添加して攪拌した後、1.0 M NaOH溶液にて表12(b)に示した所定pHに調整し 後、サンプルをステンレス製ポットにセッ し、そこに所定pH調整した薬剤を投入して 閉する。サンプル生地を投入した。表12(b)に 示した所定温度、所定時間にて回転させなが ら脱塩素処理した。脱塩素処理後、水洗い(5 間×1回)、湯洗い(60℃、10分間×1回)、水洗い (5分間×2回)を行った。洗浄後の生地サンプル を、40℃の乾燥室にて乾燥させた。
 それぞれの条件で得られた処理後のサンプ 生地について吸湿率、白度、破裂強度を測 した。

 表12(a)は、実施例7における4-アセトアミドTE MPO触媒を用い、pH=6.8と3.8、反応温度80℃の場 の反応溶液組成や反応時間を示す表である 表12(b)は、実施例5における H 2 O 2 処理の条件を示す表である。

 表13は、上記の親水性化処理を施したサ プル生地の機能評価結果を示す表である。 11と12は実施例7に係る吸湿率、白度および破 裂強度と各処理条件の関係を示すグラフであ る。

 上記結果から、エタノールを添加すると 吸湿率、白度が若干低下し、破裂強度はわ かに大きくなったことがわかった。 また TEMPO触媒の活性を止めることで、重合度の低 下を止めることができると考えられる。

<実施例8> 
 本実施例では、本発明に係る親水性化処理 法を用いたメリヤス生地(セルロース繊維) 親水性化処理と、得られた生地の機能評価 行った。

 図3(d)は、本実施例で用いた実験装置の概 略を示す図である。図3(d)に示すように、サ プル生地(原料セルロース繊維)115を反応溶液 110とともに攪拌子を備えるビーカー121に入れ 、それを温度制御できるウォーターバス122に 入れた。

 反応溶液110は、以下の手順で作製した。
 まず、0.1Mリン酸塩緩衝液を調製し、これに 4-アセトアミドTEMPO触媒を溶解させた。さら この4-アセトアミドTEMPO触媒-リン酸塩緩衝液 に亜塩素酸ナトリウムおよびネオクリスタル CG1000(日華化学社製亜塩素漂白用キレート剤) 添加して攪拌した後、サンプル生地(40g)を 入して十分に攪拌した。次いで、反応溶液 次亜塩素酸ナトリウムを添加して攪拌した に、80℃まで昇温し、2時間反応させた。反 後、反応溶液にエタノールを添加し、さら 30分攪拌を行った。
 処理後のサンプル生地115をビーカー121から り出し、水洗い(5分間×1回)、湯洗い(60℃、1 0分間×1回)、水洗い(5分間×2回)を行った。洗 後の生地サンプルを、40℃の乾燥室にて乾 させた。
 それぞれの条件で得られた処理後のサンプ 生地について吸湿率、白度、破裂強度を測 した。

 表14は、実施例8における4-アセトアミドTE MPO触媒を用い、pH=6.8と3.8、反応温度80℃、反 時間は2時間の場合の反応溶液組成を示す表 である。

 表15は、上記の親水性化処理を施したサ プル生地の機能評価結果を示す表である。 13は表15に対応するグラフである。

 実施例8の実験条件においては、エタノー ルによってコットンワックスが失われ、風合 いが損なわれる可能性があることが観測され たが、エタノールの添加量、或いは他の薬剤 を用いる場合には、改善できる。

 <実施例9> 
 本実施例では、本発明に係る親水性化処理 法を用いてメリヤス生地(セルロース繊維) 親水性化処理し、得られた生地の機能評価 行った。
 それぞれの条件で得られた処理後のサンプ 生地について吸湿率、白度、破裂強度を測 した。

 図3(a)~(c)は、本実施例で用いた実験装置 概略を示す図である。図3(a)に示すように、 ンプル生地(原料セルロース繊維)115を反応 液110とともにチャック付のビニールバッグ10 0Aに入れて密閉した。

 ビニールバッグ100Aに封入した内容物は、以 下の手順で作製した。
 まず、用意した蒸留水に4-アセトアミドTEMPO 触媒を溶解させた。そしてこの4-アセトアミ TEMPO触媒水溶液にネオクリスタルCG1000(日華 学社製亜塩素漂白用キレート剤)、シントー ルG29(高松油脂製浸透剤)、NaClO2を2Lメスシリ ダーにて計量、調整しながら所定量で添加 た。サンプル生地を投入し、十分に薬剤を 透させる。次いで、溶液に次亜塩素酸ナト ウムを添加して、ウルトラMT-F(ミテジマ化学 製リン酸系のpH調整剤)にて所定pHを調整した 、ビニールバッグ100Aに移し替えてチャック で密閉した。

 次に、ビニールバッグ100Aを、内側をフッ 素樹脂コーティングされた0.5L用ステンレス ット118に入れて密閉した。そして、サンプ 生地115を封入したステンレスポット118を油 120Aに入れ、ステンレスポット118を回転させ ことで、80℃まで昇温させ、ミニカラーに 40分攪拌し、反応を80℃、2時間で行った。

 ステンレスポット118を取り出し、2サンプル をイオン交換水(1.8L)へ入れる。残りの2サン ルが入った反応溶液にエタノールを直接添 した。再びミニカラーにて、30分攪拌した。 サンプル生地115をビニールバッグ100Aから取 出し、湯洗い、水洗い2回を行った。洗浄後 生地サンプルを、40℃の乾燥室にて乾燥さ て、実施例9のサンプルNo.1を得た。
 エタノール処理をしないことを除いて、サ プルNo.1と同様に処理し、
実施例9のサンプルNo.2を得た。
 4-アセトアミドTEMPO触媒を添加しないことを 除いて、サンプルNo.1と同様に処理し、実施 9のサンプルNo.3を得た。
 4-アセトアミドTEMPO触媒を添加しないことお よびエタノール処理をしないことを除いて、 サンプルNo.1と同様に処理し、実施例9のサン ルNo.4を得た。
 それらのサンプルの処理条件を表16に示し 。

 表17は、上記の親水性化処理を施したサ プル生地の機能評価結果を示す表である。

 4-アセトアミドTEMPO触媒を用いると、pH=3.8か らでも反応が進行することが分かった。4-ア トアミドTEMPO酸化後の白度は、良い結果を ることがわかった。また、絶乾測定後には きな白度低下が見られたが、これは、NaClO 2 漂白後に脱塩素処理(H 2 O 2 処理)を行っており、残留塩素の影響があっ と考えられる。
 エタノールを添加しない場合では、強度低 を1.0kgf/cm 2 に抑えることができたが、エタノールを添加 することにより大きな強度低下が見られた。 また、実施例9のNo.4のサンプルでは、触媒を 加しなくても強度が大きく低下しているこ から、塩素による生地脆化が大きいと推測 れる。

<実施例10>  
 本実施例では、表19の条件において、表18に 示した添加薬品を添加した以外に、TEMPO酸化 応を行い、添加薬品の処理を行った。
 それぞれの条件で得られた処理後のサンプ 生地について吸湿率、白度、破裂強度およ 剛軟度を測定した。剛軟度測定は、「JIS L- 1018 8.22E法」に基づいて測定を実施した。

 表20はそれぞれの条件で得られた処理後 サンプル生地について吸湿率、TEMPO後・テン ター後・絶乾燥後の白度、破裂強度および剛 軟度を示す表である。

 以上の結果からわかるように、50%グルコ 酸を用いた場合がもっとも白かった。また 剛軟度、破裂強度の点から総合的にグリセ ンを用いた場合には効果が見られた。

<実施例11> 
 本実施例では、表21の反応条件に示したよ に、リン酸緩衝液の代わりに、酢酸緩衝液 は酢酸を用いて反応溶液をpH=3.8に調整した 外に、実施例8同様に、TEMPO酸化反応を行い エタノール処理を行った。
 それぞれの条件で得られた処理後のサンプ 生地について吸湿率、白度を測定した。

表21は、実施例11における4-アセトアミドTEMPO 媒を用い、酢酸緩衝液(pH=3.8)又は酢酸を用 た反応溶液組成を示す表である。表22は、酢 酸緩衝液(pH=3.8)の組成を示す表である。
 表23はそれぞれの条件で得られた処理後の ンプル生地について吸湿率、反応後・絶乾 の白度を示す表である。図14は表23に対応す 図である。

<実施例12> 
 本実施例では、表24の反応条件において、0. 1M又は0.05Mのリン酸塩緩衝液を用いて反応液 pH=6.8に調整し、0.1M又は0.05Mの酢酸緩衝液を いて反応液をpH=3.8、pH=5.0に調整し、実施例8 同様に、TEMPO酸化反応を行った。
 一部の洗浄後の生地サンプルを脱水し、40 の乾燥室で乾燥させた。

 また、一部の洗浄後のサンプル生地を脱水 、NaClO 2 を含む反応液を用いてアルデヒト酸化工程を 行った。処理後のサンプル生地を洗浄し、洗 浄後の生地サンプルを脱水し、40℃の乾燥室 乾燥させた。
 それぞれの条件で得られた処理後のサンプ 生地について翌日に吸湿率、絶乾白度を測 した。

 表24は、実施例12における4-アセトアミドT EMPO触媒を用い、pH=6.8反応温度80℃、反応時間 は2時間の場合の反応溶液組成を示す表であ 。同条件において、pH=3.8、pH=5については酢 緩衝液を用いて試験を行った。

 表25はそれぞれの条件で得られた処理後 サンプル生地について吸湿率、TEMPO後・絶乾 後の白度を示す表である。図15は吸湿率と絶 後白度の相関を示す図である。図16は表25に 対応するグラフである。

<実施例13>  
 本実施例では、表26の条件において、初期pH の調整はHClを用い、反応途中のpH制御は、pH=6 .8については1.0N NaOHを用い、pH=5.0については 1.0N HClを用い、pH=3.8については1.0N HClを用い てビュレットから滴加して制御した。実施例 12と同様に、TEMPO酸化反応とアルデヒド酸化 程を行った。
 それぞれの条件で得られた処理後のサンプ 生地について翌日に吸湿率、TEMPO後・絶乾 の白度、破裂強度を測定した。

 表27はそれぞれの条件で得られた処理後 サンプル生地について吸湿率、TEMPO後・絶乾 後の白度を示す表である。図17は表27に対応 るグラフである。

 その結果からわかるように、pHを反応中に 御すると、pH=3.8では吸湿率が著しく低下し 。緩衝液を用いた試験では、pHが高くなって いたので、吸湿率が増加していた。また、pH 高いほど吸湿率が増加した。