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Title:
MOLD FOR NANOIMPRINTING, PROCESS FOR PRODUCING THE SAME, AND PROCESSES FOR PRODUCING MOLDED RESIN HAVING FINE RUGGED STRUCTURE ON SURFACE AND FOR PRODUCING WIRE-GRID POLARIZER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/148138
Kind Code:
A1
Abstract:
A mold for nanoimprinting is provided with which a fine rugged structure can be transferred with satisfactory precision and which is inexpensive and has high durability.  Also provided are: a process for producing the mold; and processes in which a molded resin and a wire-grid polarizer can be produced with satisfactory productivity, the molded resin having, in a surface thereof, a fine rugged structure formed by transferring the fine rugged structure of the mold with satisfactory precision. The mold for nanoimprinting (10) has, in the molding surface, a fine rugged structure including grooves (14) arranged parallel and formed at a certain pitch.  The mold comprises: a resinous mold base (12) having, in a surface thereof, a fine rugged structure serving as the base of that fine rugged structure; a metal oxide layer (16) with which that surface of the mold base (12) which has the fine rugged structure has been coated; and a release layer (18) with which the surface of the metal oxide layer (16) has been coated.

Inventors:
KAIDA YURIKO (JP)
SAKAMOTO HIROSHI (JP)
MIYAGI TAKAHIRA (JP)
TAKAYAMA KOSUKE (JP)
SHIDOJI EIJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/060289
Publication Date:
December 10, 2009
Filing Date:
June 04, 2009
Export Citation:
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Assignee:
ASAHI GLASS CO LTD (JP)
KAIDA YURIKO (JP)
SAKAMOTO HIROSHI (JP)
MIYAGI TAKAHIRA (JP)
TAKAYAMA KOSUKE (JP)
SHIDOJI EIJI (JP)
International Classes:
B29C59/02; B29C33/40; B29C33/42; H01L21/027; B29L11/00
Domestic Patent References:
WO2007116972A12007-10-18
WO2008149544A12008-12-11
Foreign References:
JP2008068612A2008-03-27
JP2008074043A2008-04-03
JP2002283354A2002-10-03
JP2002283354A2002-10-03
JP2004288783A2004-10-14
JP2007165812A2007-06-28
JP2008148025A2008-06-26
Other References:
See also references of EP 2286980A4
Attorney, Agent or Firm:
SENMYO, Kenji et al. (JP)
Spring name Kenji (JP)
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Claims:
 モールド面に微細凹凸構造を有するナノインプリント用モールドであって、
 前記微細凹凸構造のベースとなる微細凹凸構造を表面に有する樹脂製のモールドベースと、
 前記モールドベースの微細凹凸構造を有する表面を被覆した金属酸化物層と、
 前記金属酸化物層の表面を被覆した離型層と
 を有することを特徴とする、ナノインプリント用モールド。
 前記モールド面の微細凹凸構造が、凸条または溝を有する構造である、請求項1に記載のナノインプリント用モールド。
 前記凸条の幅または溝の幅が、平均で10nm~50μmである、請求項2に記載のナノインプリント用モールド。
 前記金属酸化物層と前記離型層の厚さがそれぞれ1nm以上であり、両者合計の厚さが溝の幅の0.4以下である、請求項2または3に記載のナノインプリント用モールド。
 前記モールド面の微細凹凸構造が、互いに平行にかつ一定のピッチで形成された複数の溝であり、該溝のピッチが30~300nmである、請求項1~4のいずれかに記載のナノインプリント用モールド。
 前記金属酸化物層が、Si、AlおよびZrからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を含む層である、請求項1~5のいずれかに記載のナノインプリント用モールド。
 前記離型層が、フルオロアルキル基(エーテル性酸素原子を有していてもよい。)を有する化合物から形成された離型層である、請求項1~6のいずれかに記載のナノインプリント用モールド。
 前記モールドベースが、光硬化性樹脂組成物の硬化物からなる、請求項1~7のいずれかに記載のナノインプリント用モールド。
 支持基板の表面に光硬化性樹脂組成物の層を形成する工程と、
 モールド面に微細凹凸構造を有するマスターモールドと前記支持基板を重ねて、前記マスターモールドのモールド面と前記支持基板の表面との間に前記光硬化性樹脂組成物を挟持する工程と、
 前記光硬化性樹脂組成物が挟持された状態で該光硬化性樹脂組成物を硬化させて、前記モールド面の微細凹凸構造が反転した微細凹凸構造を表面に有するモールドベースを形成する工程と、
 前記モールドベースと前記マスターモールドとを分離する工程と、
 前記モールドベースの微細凹凸構造を有する表面に金属酸化物層を形成する工程と、
 前記金属酸化物層の表面に離型層を形成する工程と
 を有することを特徴とする、ナノインプリント用モールドの製造方法。
 前記金属酸化物層を形成する方法が、スパッタ法である、請求項9に記載のナノインプリント用モールドの製造方法。
 前記離型層を形成する方法が、離型剤を含む溶液を金属酸化物層表面に接触させ、その後金属酸化物層表面を洗浄液で洗浄して乾燥する方法である、請求項9または10に記載のナノインプリント用モールドの製造方法。
 支持基板の表面に光硬化性樹脂組成物の層を形成する工程と、
 請求項1~8のいずれかに記載のナノインプリント用モールドと前記支持基板を重ねて、前記微細凹凸構造を有するモールド面と前記支持基板の表面との間に前記光硬化性樹脂組成物を挟持する工程と、
 前記光硬化性樹脂組成物が挟持された状態で該光硬化性樹脂組成物を硬化させて、前記モールド面の微細凹凸構造が反転した微細凹凸構造を表面に有する樹脂成形体を形成する工程と、
 前記樹脂成形体と前記モールドとを分離する工程と、
 を有することを特徴とする、表面に微細凹凸構造を有する樹脂成形体の製造方法。
 支持基板の表面に光硬化性樹脂組成物の層を形成する工程と、
 請求項5に記載のナノインプリント用モールドと前記支持基板を重ねて、前記溝を有するモールド面と前記支持基板の表面との間に前記光硬化性樹脂組成物を挟持する工程と、 前記光硬化性樹脂組成物が挟持された状態で該光硬化性樹脂組成物を硬化させて、前記モールド面の溝に対応する複数の凸条を有する光透過性基板を形成する工程と、
 前記光透過性基板と前記モールドとを分離する工程と、
 前記光透過性基板の凸条上に金属層を形成する工程と
 を有することを特徴とする、ワイヤグリッド型偏光子の製造方法。
Description:
ナノインプリント用モールド、 の製造方法および表面に微細凹凸構造を有 る樹脂成形体ならびにワイヤグリッド型偏 子の製造方法

 本発明は、ナノインプリント用モールド その製造方法および該ナノインプリント用 ールドを用いた表面に微細凹凸構造を有す 樹脂成形体ならびにワイヤグリッド型偏光 の製造方法に関する。

 ナノメートルのオーダーの微細凹凸構造 表面に形成されたモールドを用いて、該微 凹凸構造をレジストや樹脂に転写するナノ ンプリント法が知られている。ナノインプ ント法は、電子ビーム法に比べて加工時間 短く、微細凹凸構造の転写に必要な装置コ トや材料コストが少なくて済み、生産性に 優れるため、現在注目を集めている。

 ナノインプリント用モールドとしては、下 のものが提案されている。
 (1)金型の材料と化学的に反応する官能基を するパーフルオロポリエーテルで被覆して るインプリント加工用金型(特許文献1参照)
 また、モールドの微細凹凸構造を転写する 置としては、下記のものが提案されている
 (2)基板上に微細凹凸構造を形成するために 基板と、表面に微細な凹凸が形成されたス ンパを、加熱・加圧するナノプリント装置 おいて、前記スタンパ凸部のみに剥離材を 成する機構を有するナノプリント装置(特許 文献2参照)。

 (1)の金型(モールド)の材料としては、金 、樹脂、半導体(シリコンウエハ)、絶縁体等 が挙げられている。また、(2)のスタンパ(モ ルド)の材料としては、シリコンウエハ、金 、ガラス、セラミック、プラスチック等が げられている。これらのうち、ナノメート のオーダーの微細凹凸構造を精度よく転写 るためには、モールドの材料としてシリコ ウエハを用いざるを得ない。しかし、シリ ンウエハは、強度、および耐久性が低いた 、数十回しか用いることができず、かつ非 に高価である。

 そこで、表面に微細凹凸構造が形成され シリコンウエハをマスターモールドとし、 マスターモールドの微細凹凸構造を樹脂に 写したモールドを用いる方法が考えられて る。たとえば、特許文献3には、母型の微細 凹凸構造を光硬化性樹脂に転写した中間スタ ンパが記載されている。しかし、該中間スタ ンパは1回限りの使い捨てであり、コスト、 らには環境面での負荷が大きいことが懸念 れる。

特開2002-283354号公報

特開2004-288783号公報

特開2007-165812号公報

 本発明は、微細凹凸構造を精度よく転写 き、安価で、かつ耐久性の高いナノインプ ント用モールド、その製造方法、および該 ノインプリント用モールドの微細凹凸構造 精度よく転写された表面に微細凹凸構造を する樹脂成形体ならびにワイヤグリッド型 光子を生産性よく製造できる方法を提供す 。

 本発明のナノインプリント用モールドは モールド面に微細凹凸構造を有するナノイ プリント用モールドであって、前記微細凹 構造のベースとなる微細凹凸構造を表面に する樹脂製のモールドベースと、前記モー ドベースの微細凹凸構造を有する表面を被 した金属酸化物層と、前記金属酸化物層の 面を被覆した離型層とを有することを特徴 する。

 前記モールド面の微細凹凸構造は、凸条ま は溝を有する構造であることが好ましい。
 前記凸条の幅または溝の幅は、平均で10nm~50 μmであることが好ましい。
 前記金属酸化物層と前記離型層の厚さはそ ぞれ1nm以上であり、両者合計の厚さは溝の の0.4以下であることが好ましい。
 前記モールド面の微細凹凸構造は、互いに 行にかつ一定のピッチで形成された複数の であり、該溝のピッチが30~300nmであること 好ましい。
 前記金属酸化物層は、Si、AlおよびZrからな 群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化 物を含む層であることが好ましい。
 前記離型層は、フルオロアルキル基(エーテ ル性酸素原子を有していてもよい。)を有す 化合物から形成された離型層であることが ましい。
 前記モールドベースは、光硬化性樹脂組成 の硬化物からなることが好ましい。

 本発明のナノインプリント用モールドの製 方法は、支持基板の表面に光硬化性樹脂組 物の層を形成する工程と、モールド面に微 凹凸構造を有するマスターモールドと前記 持基板を重ねて、前記マスターモールドの ールド面と前記支持基板の表面との間に前 光硬化性樹脂組成物を挟持する工程と、前 光硬化性樹脂組成物が挟持された状態で該 硬化性樹脂組成物を硬化させて、前記モー ド面の微細凹凸構造が反転した微細凹凸構 を表面に有するモールドベースを形成する 程と、前記モールドベースと前記マスター ールドとを分離する工程と、前記モールド ースの微細凹凸構造を有する表面に金属酸 物層を形成する工程と、前記金属酸化物層 表面に離型層を形成する工程とを有するこ を特徴とする。
 前記金属酸化物層を形成する方法は、スパ タ法であることが好ましい。
 前記離型層を形成する方法は、離型剤を含 溶液を金属酸化物層表面に接触させ、その 金属酸化物層表面を洗浄液で洗浄して乾燥 る方法であることが好ましい。

 本発明の表面に微細凹凸構造を有する樹 成形体の製造方法は、支持基板の表面に光 化性樹脂組成物の層を形成する工程と、本 明のナノインプリント用モールドと前記支 基板を重ねて、前記微細凹凸構造を有する ールド面と前記支持基板の表面との間に前 光硬化性樹脂組成物を挟持する工程と、前 光硬化性樹脂組成物が挟持された状態で該 硬化性樹脂組成物を硬化させて、前記モー ド面の微細凹凸構造が反転した微細凹凸構 を表面に有する樹脂成形体を形成する工程 、前記樹脂成形体と前記モールドとを分離 る工程とを有することを特徴とする。

 本発明のワイヤグリッド型偏光子の製造 法は、支持基板の表面に光硬化性樹脂組成 の層を形成する工程と、モールド面に、互 に平行にかつ一定のピッチで形成された複 の溝からなる微細凹凸構造が形成された本 明のナノインプリント用モールドと前記支 基板を重ねて、前記溝を有するモールド面 前記支持基板の表面との間に前記光硬化性 脂組成物を挟持する工程と、前記光硬化性 脂組成物が挟持された状態で該光硬化性樹 組成物を硬化させて、前記モールド面の溝 対応する複数の凸条を有する光透過性基板 形成する工程と、前記光透過性基板と前記 ールドとを分離する工程と、前記光透過性 板の凸条上に金属層を形成する工程とを有 ることを特徴とする。

 本発明のナノインプリント用モールドは、 細凹凸構造を精度よく転写でき、安価で、 つ耐久性が高い。
 本発明のナノインプリント用モールドの製 方法によれば、微細凹凸構造を精度よく転 でき、安価で、かつ耐久性が高いナノイン リント用モールドを生産性よく製造できる
 本発明の表面に微細凹凸構造を有する樹脂 形体の製造方法、およびワイヤグリッド型 光子の製造方法によれば、モールドの微細 凸構造が精度よく転写された樹脂成形体、 らにはワイヤグリッド型偏光子を低コスト 、かつ生産性よく製造できる。

本発明のナノインプリント用モールド 一例を示す断面図である。 本発明のナノインプリント用モールド 製造方法における一工程を示す断面図であ 。 本発明のナノインプリント用モールド 製造方法における一工程を示す断面図であ 。 本発明のナノインプリント用モールド 製造方法における一工程を示す断面図であ 。 本発明のナノインプリント用モールド 製造方法における一工程を示す断面図であ 。 本発明のナノインプリント用モールド 製造方法における一工程を示す断面図であ 。 本発明の製造方法で得られるワイヤグ ッド型偏光子の一例を示す断面図である。 本発明のワイヤグリッド型偏光子の製 方法における一工程を示す断面図である。 本発明のワイヤグリッド型偏光子の製 方法における一工程を示す断面図である。 本発明のワイヤグリッド型偏光子の製 造方法における一工程を示す断面図である。 本発明のワイヤグリッド型偏光子の製 造方法における一工程を示す断面図である。 本発明のワイヤグリッド型偏光子の製 造方法における一工程を示す断面図である。

<ナノインプリント用モールド>
 図1は、本発明のナノインプリント用モール ドの一例を示す断面図である。ナノインプリ ント用モールド10は、モールド面に微細凹凸 造を有するナノインプリント用モールドで って、後述する表面に微細凹凸構造を有す 樹脂成形体ならびにワイヤグリッド型偏光 の製造に用いられるモールドである。ナノ ンプリント用モールド10は、前記モールド の微細凹凸構造のベースとなる微細凹凸構 を表面に有する樹脂製のモールドベース12と 、モールドベース12の微細凹凸構造を有する 面を微細凹凸構造の形状に沿って被覆した 属酸化物層16と、金属酸化物層16の表面を被 覆した離型層18と、モールドベース12の微細 凸構造が形成された面とは反対側の面に設 られた支持基板20とを有する。

(微細凹凸構造)
 本発明における微細凹凸構造とは、材料(各 種モールド、成形体等。)の表面に形成され 微細な凸部および/または凹部を意味する。
 凸部としては、材料の表面に延在する長尺 凸条、表面に点在する突起等が挙げられる
 凹部としては、材料の表面に延在する長尺 溝、表面に点在する孔等が挙げられる。

 凸条または溝の形状としては、直線、曲線 折れ曲がり形状等が挙げられる。凸条また 溝は、複数が平行に存在して縞状をなして てもよい。
 凸条または溝の、長手方向に直交する方向 断面形状としては、長方形、台形、三角形 半円形等が挙げられる。
 突起または孔の形状としては、三角柱、四 柱、六角柱、円柱、三角錐、四角錐、六角 、円錐半球、多面体等が挙げられる。

 本発明のナノインプリント用モールドのモ ルド面の微細凹凸構造は、モールドベース 微細凹凸構造を有する表面を、金属酸化物 、離型層で順に被覆して形成される微細凹 構造である。
 したがって、本発明のナノインプリント用 ールドのモールド面の微細凹凸構造の寸法 、モールドベースの微細凹凸構造の寸法と 、金属酸化物層および離型層の厚さの分だ 異なる。すなわち、本発明のナノインプリ ト用モールドのモールド面の微細凹凸構造 各寸法は、金属酸化物層と離型層とを形成 た後の寸法である。

 以下の各寸法は、本発明のナノインプリン 用モールドのモールド面の微細凹凸構造の 法である。
 凸条または溝の幅は、平均で10nm~50μmが好ま しく、15nm~30μmがより好ましく、20nm~1μmがさ に好ましく、40nm~500nmが特に好ましい。凸条 幅とは、長手方向に直交する方向の断面に ける底辺の長さを意味する。溝の幅とは、 手方向に直交する方向の断面における上辺 長さを意味する。
 突起または孔の幅は、平均で10nm~50μmが好ま しく、15nm~30μmがより好ましく、20nm~1μmがさ に好ましく、40nm~500nmが特に好ましい。突起 幅とは、底面が細長い場合、長手方向に直 する方向の断面における底辺の長さを意味 、その他の場合は、突起の底面における最 長さを意味する。孔の幅とは、開口部が細 い場合、長手方向に直交する方向の断面に ける上辺の長さを意味し、その他の場合は 孔の開口部における最大長さを意味する。

 凸部の高さは、平均で5nm~5μmが好ましく、10 nm~1μmがより好ましく、30~500nmが特に好ましい 。
 凹部の深さは、平均で5nm~5μmが好ましく、10 nm~1μmがより好ましく、30~500nmが特に好ましい 。

 微細凹凸構造が密集している領域におい 、隣接する凸部(または凹部)間の間隔は、 均で10nm~10μmが好ましく、15nm~2μmがより好ま く、20~500nmが特に好ましい。隣接する凸部 の間隔とは、凸部の断面の底辺の終端から 隣接する凸部の断面の底辺の始端までの距 を意味する。隣接する凹部間の間隔とは、 部の断面の上辺の終端から、隣接する凹部 断面の上辺の始端までの距離を意味する。

 凸部の最小寸法は、5nm~1μmが好ましく、20~50 0nmがより好ましい。最小寸法とは、凸部の幅 、長さおよび高さのうち最小の寸法を意味す る。
 凹部の最小寸法は、5nm~1μmが好ましく、20~50 0nmがより好ましい。最小寸法とは、凹部の幅 、長さおよび深さのうち最小の寸法を意味す る。

 図1における微細凹凸構造は、後述するワイ ヤグリッド型偏光子の凸条に対応する、互い に平行にかつ一定のピッチで形成された複数 の溝14からなるものである。
 溝14のピッチPpは、溝14の幅Dpと、溝14の間に 形成される凸条の幅との合計である。溝14の ッチPpは、30~300nmが好ましく、40~200nmがより ましい。ピッチPpが300nm以下であれば、ナノ インプリント用モールドを用いて製造される ワイヤグリッド型偏光子が充分に高い反射率 、および、400nm程度の短波長領域においても い偏光分離能を示す。また、回折による着 現象が抑えられる。ピッチPpが30nm以上であ ば、ナノインプリント用モールドの微細凹 構造が充分な強度を示すため、生産性、お び転写精度が良好となる。

 溝14の幅DpとピッチPpの比(Dp/Pp)は、0.1~0.6 好ましく、0.4~0.55がより好ましい。Dp/Ppが0.1 上であれば、ナノインプリント用モールド 用いて製造されるワイヤグリッド型偏光子 偏光分離能が充分に高くなる。Dp/Ppが0.6以 であれば、干渉による透過光の着色が抑え れる。

 溝14の深さHpは、50~500nmが好ましく、100~300 nmがより好ましい。Hpが50nm以上であれば、ナ インプリント用モールドを用いて製造され ワイヤグリッド型偏光子の凸条上への金属 線の選択的な形成が容易となる。Hpが500nm以 下であれば、ナノインプリント用モールドを 用いて製造されるワイヤグリッド型偏光子の 偏光度の入射角度依存性が小さくなる。

 支持基板20を除くナノインプリント用モ ルド10の最小厚さHは、0.5~1000μmが好ましく、 1~40μmがより好ましい。Hが0.5μm以上であれば モールドベース12を構成する樹脂の強度が 型時の剥離強度に対して大きくなるため転 耐久性が充分となる。Hが1000μm以下であれば 、離型時のモールド変形に由来するクラック 発生が抑制されるため転写耐久性が充分とな る。最小厚さHとは、溝14が形成された部分に おける支持基板20を除くナノインプリント用 ールド10の厚さである。

(モールドベース)
 モールドベースを構成する樹脂としては、 透過性樹脂が好ましい。光透過性とは、光 透過することを意味する。
 モールドベースを構成する樹脂としては、 硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂 成物などの硬化物が挙げられ、生産性およ 転写精度の点から、光硬化性樹脂組成物の 化物が好ましい。
 熱硬化性樹脂としては、ポリイミド(PI)、エ ポキシ樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。
 熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン(PP) 、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタ ート(PET)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、 シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレ ィンコポリマー(COC)、透明フッ素樹脂等が げられる。

 光硬化性樹脂組成物の硬化物としては、生 性の点から、光硬化性樹脂組成物の光重合 より硬化したものが好ましい。
 光硬化性樹脂組成物の硬化物としては、厚 200μmにおける波長360nmの紫外線透過率が92% 上のものが好ましく、92.5%以上のものがより 好ましい。該紫外線透過率が92%以上であれば 、モールドとして用いた場合に生産性が向上 する。
 紫外線透過率は、積分式光線透過率測定器 用い、360nmの全光量T1とサンプル透過光T2と 比(T2×100/T1)により求める。

 光硬化性樹脂組成物の硬化物の引張強度は3 0Pa以上が好ましく、35Pa以上がより好ましい 引張強度が30Pa以上であれば、機械的強度が くなり、転写の耐久性が充分となる。
 引張強度は、JIS K7113に準拠して求める。

 光硬化性樹脂組成物の硬化物の水に対する 触角は、80゜以下が好ましく、75゜以下がよ り好ましい。該接触角が80゜以下であれば、 ールドベース12と金属酸化物層16との密着性 が良好となる。
 光硬化性樹脂組成物の硬化物の水に対する 触角は、JIS K6768に準拠し、接触角測定装置 を用いて、モールドベース12の微細凹凸構造 形成されていない部分にて測定する。

 前記特性を満たす光硬化性樹脂組成物の硬 物としては、下記の光硬化性樹脂組成物(A) 光重合により硬化したものが挙げられる。
 光硬化性樹脂組成物(A):光重合可能なモノマ ーの99~90質量%および光重合開始剤の1~10質量% 含み、かつ実質的に溶剤を含まず、25℃に ける粘度が1~2000mPa・sである光硬化性樹脂組 物。

 光重合可能なモノマーとしては、重合性基 有するモノマーが挙げられ、アクリロイル またはメタクリロイル基を有するモノマー ビニル基を有するモノマー、アリル基を有 るモノマー、環状エーテル基を有するモノ ー、メルカプト基を有するモノマーなどが ましく、アクリロイル基またはメタクリロ ル基を有するモノマーがより好ましい。
 光重合可能なモノマーにおける重合性基の は、1~6個が好ましく、2または3個がより好 しく、2個が特に好ましい。重合性基が2個で あれば、重合収縮がそれほど大きくないため マスターモールドの微細凹凸構造の転写精度 が良好であり、また、光硬化性樹脂組成物の 硬化物は充分な強度を発現できる。

 光重合可能なモノマーとしては、(メタ) クリル酸、(メタ)アクリレート、(メタ)アク ルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステ 、アリルエーテル、アリルエステル、スチ ン系化合物が好ましく、(メタ)アクリレー が特に好ましい。ここで、(メタ)アクリル酸 は、アクリル酸およびメタクリル酸の総称で あり、(メタ)アクリレートは、アクリレート よびメタクリレートの総称であり、(メタ) クリルアミドは、アクリルアミドおよびメ クリルアミドの総称である。

 (メタ)アクリレートの具体例としては、下 の化合物が挙げられる。
 モノ(メタ)アクリレート:フェノキシエチル( メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレ ート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウ ル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル( タ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)ア リレート、メトキシエチル(メタ)アクリレー ト、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラ ドロフルフリール(メタ)アクリレート、ア ル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル( メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル( タ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル (メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチ ル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチ (メタ)アクリレート、メチルアダマンチル( タ)アクリレート、エチルアダマンチル(メ )アクリレート、ヒドロキシアダマンチル(メ タ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリ レート、イソボルニル(メタ)アクリレート等
 ジ(メタ)アクリレート:1,3-ブタンジオールジ (メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ( タ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ( タ)アクリレート、ジエチレングリコールジ( メタ)アクリレート、トリエチレングリコー ジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリ コールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチル リコールジ(メタ)アクリレート、ポリオキ エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、 トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレ ト等。
 トリ(メタ)アクリレート:トリメチロールプ パントリ(メタ)アクリレート、ペンタアエ スリトールトリ(メタ)アクリレート等。
 重合性基を4個以上有する(メタ)アクリレー :ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アク レート等。

 ビニルエーテルの具体例としては、アルキ ビニルエーテル(エチルビニルエーテル、プ ロピルビニルエーテル、イソブチルビニルエ ーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、 クロヘキシルビニルエーテル等。)、(ヒド キシアルキル)ビニル(4-ヒドロキシブチルビ ルエーテル等。)等が挙げられる。
 ビニルエステルの具体例としては、酢酸ビ ル、プロピオン酸ビニル、(イソ)酪酸ビニ 、吉草酸ビニル、シクロヘキサンカルボン ビニル、安息香酸ビニル等が挙げられる。

 アリルエーテルの具体例としては、アルキ アリルエーテル(エチルアリルエーテル、プ ロピルアリルエーテル、(イソ)ブチルアリル ーテル、シクロヘキシルアリルエーテル等 )等が挙げられる。
 アリルエステルの具体例としては、アルキ アリルエステル(エチルアリルエステル、プ ロピルアリルエステル、イソブチルアリルエ ステル等。)等が挙げられる。
 環状エーテル基を有するモノマーとしては グリシジル基、オキセタニル基、オキシラ ル基、スピロオルトエーテル基を有するモ マーが挙げられる。

 メルカプト基を有するモノマーの具体例 しては、トリス-[(3-メルカプトプロピオニ オキシ)-エチル]-イソシアヌレート、トリメ ロールプロパントリス(3-メルカプトプロピ ネート)、ペンタエリスリトール テトラキ (3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエ リスリトールヘキサ(3-メルカプトプロピオネ ート)等が挙げられる。

 光重合可能なモノマーの数平均分子量は、1 00~800が好ましく、200~600がより好ましい。
 光重合可能なモノマーは、1種を単独で用い てもよく、2種以上を併用してもよい。
 光重合可能なモノマーは、光硬化性樹脂組 物(A)の硬化物が高い引張強度を発現する点 ら、重合性基を2個以上有する(メタ)アクリ ートを含むことが好ましい。具体的には、1 ,3-ブタンジオールジアクリレート、1,4-ブタ ジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオ ルジアクリレート、トリメチロールプロパ トリアクリレート、ペンタエリスリトール リアクリレート、ジペンタエリスリトール キサアクリレート、ジエチレングリコール アクリレート、ネオペンチルグリコールジ クリレート、ポリオキシエチレングリコー ジアクリレート、トリプロピレングリコー ジアクリレート等が挙げられる。中でも、 ペンタエリスリトールヘキサアクリレート ネオペンチルグリコールジアクリレート、1 ,6-ヘキサンジオールジアクリレートが好まし い。

 光重合可能なモノマーの割合は、光硬化 樹脂組成物(A)(100質量%)のうち、99~90質量%で り、98~91質量%が好ましく、97~92質量%が特に ましい。光重合可能なモノマーの割合が99 量%以下であれば、光硬化性樹脂組成物(A)に ける光重合可能なモノマーを容易に重合し 硬化物を形成でき、加熱等の操作を行う必 はない。光重合可能なモノマーの割合が90 量%以上であれば、光重合開始剤の残渣が少 くなり、硬化物の物性を阻害しにくい。

 光重合開始剤は、光によりラジカル反応ま はイオン反応を引き起こす化合物である。
 光重合開始剤としては、下記の光重合開始 が挙げられる。
 アセトフェノン系光重合開始剤:アセトフェ ノン、p-(tert-ブチル)-1’,1’,1’-トリクロロ セトフェノン、クロロアセトフェノン、2’, 2’-ジエトキシアセトフェノン、ヒドロキシ セトフェノン、2,2-ジメトキシ-2’-フェニル アセトフェノン、2-アミノアセトフェノン、 アルキルアミノアセトフェノン等。
 ベンゾイン系光重合開始剤:ベンジル、ベン ゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾ インエチルエーテル、ベンゾインイソプロピ ルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル 、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケト 、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-2-メチ プロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル )-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、ベ ジルジメチルケタール等。
 ベンゾフェノン系光重合開始剤:ベンゾフェ ノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息 香酸メチル、メチル-o-ベンゾイルベンゾエー ト、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシ ンゾフェノン、ヒドロキシプロピルベンゾ ェノン、アクリルベンゾフェノン、4,4’-ビ ス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン等。
 チオキサントン系光重合開始剤:チオキサン トン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチ キサントン、ジエチルチオキサントン、ジ チルチオキサントン等。
 フッ素原子を含有する光重合開始剤:ペルフ ルオロ(tert-ブチルペルオキシド)、ペルフル ロベンゾイルペルオキシド等。
 その他の光重合開始剤:α-アシルオキシムエ ステル、ベンジル-(O-エトキシカルボニル)-α- モノオキシム、アシルホスフィンオキシド、 グリオキシエステル、3-ケトクマリン、2-エ ルアンスラキノン、カンファーキノン、テ ラメチルチウラムスルフィド、アゾビスイ ブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシド ジアルキルペルオキシド、tert-ブチルペルオ キシピバレート、ホウ素系ヨードニウム塩、 リン系ヨードニウム塩、ホウ素系オニウム塩 、リン系オニウム塩等。
 中でも、アセトフェノン系、ベンゾフェノ 系、ホウ素系オニウム塩が光重合開始剤と て好ましい。

 光重合開始剤の割合は、光硬化性樹脂組 物(A)(100質量%)のうち、1~10質量%であり、2~9 量%が好ましく、3~8質量%が特に好ましい。光 重合開始剤の割合が1質量%以上であれば、光 化性樹脂組成物(A)における光重合可能なモ マーを容易に重合して硬化物を形成でき、 熱等の操作を行う必要はない。光重合開始 の割合が10質量%以下であれば、光重合開始 の残渣が少なくなり、硬化物の物性を阻害 にくい。

 光硬化性樹脂組成物(A)は、実質的に溶剤 含まない。溶剤を含まないため、その使用 際しては他工程(溶剤の留去工程等。)を行 ことなく、硬化できる。また、硬化におけ 光硬化性樹脂組成物(A)の体積収縮が小さい 実質的に溶剤を含まないとは、溶剤を含ま いか、光硬化性樹脂組成物(A)の調製におい 用いた溶剤が極力除去されていることをい 。

 光硬化性樹脂組成物(A)は、モノマー、光 合開始剤以外の成分(以下、他の成分と記す 。)を含んでいてもよい。他の成分としては 界面活性剤、光増感剤、無機材料、炭素材 等が挙げられる。

 界面活性剤としては、アニオン性界面活性 、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤 ノニオン性界面活性剤が挙げられる。
 アニオン性界面活性剤としては、石鹸(脂肪 酸ナトリウム、RCOO - Na + )、モノアルキル硫酸塩(ROSO 3 - M + )、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩(RO(CH 2 CH 2 O) m SO 3 - M + )、アルキルベンゼンスルホン酸塩(RR’CH 2 CHC 6 H 4 SO 3 - M + )、モノアルキルリン酸塩(ROPO(OH)O - M + )等が挙げられる。
 カチオン性界面活性剤としては、アルキル リメチルアンモニウム塩(RN + (CH 3 ) 3 X - )、ジアルキルジメチルアンモニウム塩(RR’N + (CH 3 ) 2 X - )、アルキルベンジルジメチルアンモニウム (RN + (CH 2 Ph)(CH 3 ) 2 X - )等が挙げられる。
 両性界面活性剤としては、アルキルジメチ アミンオキシド(R(CH 3 ) 2 NO)、アルキルカルボキシベタイン(R(CH 3 ) 2 N + CH 2 COO - )等が挙げられる。
 ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキ エチレンアルキルエーテル(RO(CH 2 CH 2 O) m H)、脂肪酸ソルビタンエステル、アルキルポ グルコシド、脂肪酸ジエタノールアミド(RCO N(CH 2 CH 2 OH) 2 )、アルキルモノグリセリルエーテル(ROCH 2 CH(OH)CH 2 OH)等が挙げられる。
 ただし、各式中のRは、炭素数1~22の直鎖ま は分岐アルキル基であり、R’は、炭素数1~22 の直鎖または分岐アルキル基であり、M + は、アルカリ金属原子の1価の陽イオンであ 、X - は、ハロゲン原子の1価の陰イオンであり、Ph は、フェニル基であり、mは、1~20の整数であ 。

 光増感剤の具体例としては、n-ブチルア ン、ジ-n-ブチルアミン、トリ-n-ブチルホス ィン、アリルチオ尿素、s-ベンジルイソチウ ロニウム-p-トルエンスルフィネート、トリエ チルアミン、ジエチルアミノエチルメタクリ レート、トリエチレンテトラミン、4,4’-ビ (ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げ られる。

 無機材料の具体例としては、ケイ素化合 (ケイ素、炭化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化 ケイ素、シリコンゲルマニウム、鉄シリサイ ド等。)、金属(白金、金、ロジウム、ニッケ 、銀、チタン、ランタノイド系元素、銅、 、亜鉛等。)、金属酸化物(酸化チタン、ア ミナ、酸化亜鉛、ITO、酸化鉄、酸化銅、酸 ビスマス、酸化マンガン、酸化ホフニウム 酸化イットリウム、酸化スズ、酸化コバル 、酸化セリウム、酸化銀等。)、無機化合物 (チタン酸バリウム等の強誘電体材料、チタ ン酸ジルコン酸鉛等の圧電材料、リチウム塩 等の電池材料等。)、金属合金(フェライト系 石、ネオジウム系磁石等の磁性体、ビスマ /テルル合金、ガリウム/砒素合金等の半導 、窒化ガリウム等の蛍光材料等。)等が挙げ れる。

 炭素材料の具体例としては、フラーレン、 ーボンナノチューブ、カーボンナノホーン グラファイト、ダイヤモンド、活性炭等が げられる。
 他の成分の割合は、光重合可能なモノマー 対して0~70質量%が好ましく、0~50質量%がより 好ましい。

 光硬化性樹脂組成物(A)の25℃における粘度 、1~2000mPa・sが好ましく、5~1000mPa・sが特に好 ましい。粘度がこの範囲にあれば、スピンコ ート等の手法により平滑な塗膜を容易に製膜 できる。
 粘度は、回転式粘度計を用い、温度25℃に 測定する。

(金属酸化物層)
 金属酸化物層は、光透過性であることが好 しい。
 金属酸化物としては、光、酸素、または熱 対して安定な化合物が好ましく、ZnO、SiO 2 、Al 2 O 3 、ZrO 2 、SnO 2 、CaOが好ましく、転写の耐久性の点から、Si AlおよびZrからなる群から選ばれる少なくと も1種の金属の酸化物がより好ましく、SiO 2 、Al 2 O 3 、ZrO 2 が特に好ましい。

 金属酸化物層の厚さは、平均で1~10nmが好ま く、2~8nmが特に好ましい。金属酸化物層の さが1nm以上であれば、金属酸化物層が緻密 なり、モールドとして用いた際に、転写材 ある光硬化性樹脂組成物がモールドベース 侵食することがないため、転写の耐久性が 上する。金属酸化物層の厚さが10nm以下であ ば、金属酸化物層とモールドベースとの密 性が向上し、転写の耐久性が向上する。
 金属酸化物層の厚さは、モールドベースの の間に形成される凸条の上に形成された金 酸化物層の高さの最大値とする。

(離型層)
 離型層は離型剤から形成される。離型剤は 金属酸化物層の金属酸化物と化学結合しう 基を有する化合物を含むことが好ましい。 学結合としては、共有結合、イオン結合、 位結合のいずれであってもよく、共有結合 好ましい。金属酸化物と化学結合しうる基 しては、ケイ素原子、チタン原子もしくは ルミニウム原子を含む加水分解性基;カルボ キシル基、アシル基、水酸基、リン酸基、ホ スホノ基、ホスフィノ基、アミノ基またはメ ルカプト基が挙げられ、下式(1)で表される基 が特に好ましい。
 -Si(R 1 ) t (R 2 ) 3-t  ・・・(1)。
 ただし、R 1 は、水酸基または加水分解可能な置換基であ り、R 2 は、水素原子または1価の炭化水素基であり tは、1~3の整数である。

 R 1 における加水分解可能な置換基としては、ハ ロゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ基等 が挙げられる。ハロゲン原子としては、塩素 原子が好ましい。アルコキシ基としては、メ トキシ基またはエトキシ基が好ましく、メト キシ基がより好ましい。
 R 2 における1価の炭化水素基としては、アルキ 基、1以上のアリール基で置換されたアルキ 基、アルケニル基、アルキニル基、シクロ ルキル基、アリール基等が挙げられ、アル ル基またはアルケニル基が好ましい。R 2 がアルキル基である場合、炭素数1~4のアルキ ル基が好ましく、メチル基またはエチル基が より好ましい。R 2 がアルケニル基である場合、炭素数2~4のアル ケニル基が好ましく、ビニル基またはアリル 基がより好ましい。

 離型剤は、フルオロアルキル基(エーテル 性酸素原子を有していてもよい。)、シリコ ン鎖、または炭素数4~24の長鎖アルキル基を する化合物を含むことが好ましく、フルオ アルキル基を有する化合物を含むことが特 好ましい。

 フルオロアルキル基としては、パーフルオ アルキル基、ポリフルオロアルキル基、パ フルオロポリエーテル基等が挙げられる。
 シリコーン鎖としては、ジメチルシリコー 、メチルフェニルシリコーン等が挙げられ 。
 炭素数4~24の長鎖アルキル基としては、n-ヘ シル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノ ル基、n-デシル基、n-ドデシル基、ラウリル 基、オクタデシル基等が挙げられる。これら の基は直鎖状であっても分岐状であってもよ い。

 離型剤としては、下式(2)で表される化合 が好ましい。

 ただし、Rfは、パーフルオロアルキル基で り、Zは、フッ素原子またはトリフルオロメ ル基であり、a、b、c、d、およびeは、それ れ0以上の整数であり、a+b+c+d+eは、1以上であ り、a、b、c、d、およびeでくくられた各繰り し単位の存在順序は、式中において限定さ ず、Xは、金属酸化物と化学結合しうる基で ある。
 Xとしては、下式(3)で表される基が好ましい 。

 ただし、Yは、水素原子または炭素数1~4のア ルキル基であり、X’は、水素原子、臭素原 またはヨウ素原子であり、R 1 は、水酸基または加水分解可能な置換基であ り、R 2 は、水素原子または1価の炭化水素基であり kは、0~2の整数であり、mは、1~3の整数であり 、nは、1以上の整数である。

 離型剤としては、下式(4)で表される化合 が特に好ましい。

 ただし、pは、1以上の整数であり、Y、X’、 R 1 、R 2 、k、m、およびnは、それぞれ上式(3)と同義で ある。

 離型剤の市販品としては、下記のものが挙 られる
 フッ素系の離型剤:ゾニールTCコート(デュポ ン社製)、オプツールDSX、オプツールHD2100(ダ キン工業社製)、デュラサーフHD-2101Z(ダイキ ン工業社製)、サイトップCTL-107M(旭硝子社製) サイトップCTL-107A(旭硝子社製)、ノベックEGC -1720(3M社製)等。
 有機物系離型剤:シリコーン系樹脂(ジメチ シリコーン系オイルKF96(信越シリコーン社製 )等)、アルカン系樹脂(アルキル系単分子膜を 形成するSAMLAY(日本曹達社製)等。)等。

 離型層の厚さは、平均で1~10nmが好ましく、2 ~8nmが特に好ましい。離型層の厚さが1nm以上 あれば、金属酸化物層が離型層によって充 に被覆され、離型性が向上する。離型層の さが10nm以下であれば、微細凹凸構造を精度 く転写できる。離型層は、離型剤の単分子 も含む。
 離型層の厚さは、モールドベースの溝の間 形成される凸条の上に形成された金属酸化 層の、さらにその上に形成された離型層の さの最大値とする。

 金属酸化物層と離型層の厚さは、それぞ 1nm以上であり、両者合計の厚さが溝の幅の0 .4以下であることが好ましい。金属酸化物層 離型層の厚さはそれぞれ1nm以上であり、両 合計の厚さが溝の幅の0.3以下であることが り好ましい。金属酸化物層と離型層の厚さ これらの条件を満足することによって、転 可能な幅が溝として存在するため、モール として機能する。

 離型層の水に対する接触角は、90゜以上が ましく、95°以上がより好ましい。該接触角 90゜以上であれば、離型性が良好となる。
 離型層の水に対する接触角は、JIS K6768に準 拠し、接触角測定装置を用いて、モールドベ ース12の微細凹凸構造が形成されていない部 にて25℃で測定する。

(支持基板)
 支持基板は、必要に応じてモールドベース 微細凹凸構造が形成された面とは反対側の に設けられる。
 支持基板は、光透過性であることが好まし 。
 支持基板の材料としては、PET、ポリカーボ ート(PC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、PMMA、COP、透 明フッ素樹脂等が好ましい。

 以上説明した本発明のナノインプリント モールドにあっては、モールドベースと離 層との間に金属酸化物層を有しているため 耐久性が高い。また、離型層が金属酸化物 の表面に形成されているため、モールドベ スが樹脂であっても微細凹凸構造を精度よ 転写できる。また、モールドベースが樹脂 あるため、安価である。

<ナノインプリント用モールドの製造方法&g t;
 本発明のナノインプリント用モールドの製 方法は、下記の工程(i)~(vii)を有する。
 (i)支持基板の表面に光硬化性樹脂組成物の を形成する工程。
 (ii)モールド面に微細凹凸構造を有するマス ターモールドと支持基板を重ねて、マスター モールドのモールド面と支持基板の表面との 間に光硬化性樹脂組成物を挟持する工程。
 (iii)光硬化性樹脂組成物が挟持された状態 光硬化性樹脂組成物を硬化させて、モール 面の微細凹凸構造が反転した微細凹凸構造 表面に有するモールドベースを形成する工 。
 (iv)モールドベースとマスターモールドとを 分離する工程。
 (v)モールドベースの微細凹凸構造を有する 面に金属酸化物層を形成する工程。
 (vi)金属酸化物層の表面に離型層を形成する 工程。
 (vii)必要に応じて、モールドベースから支 基板を分離する工程。

 以下、工程(i)~(vii)を、ナノインプリント モールド10を例にとり、図2~図6を参照しな ら説明する。

(工程(i))
 図2に示すように、光硬化性樹脂組成物30を 持基板20上に塗布し、支持基板20の表面に光 硬化性樹脂組成物30の層を形成する。
 塗布法としては、ポッティング法、スピン ート法、ロールコート法、ダイコート法、 プレーコート法、キャスト法、ディップコ ト法、スクリーン印刷、転写法等が挙げら る。中でも、スピンコート法、ダイコート 、ロールコート法が塗布法として好ましい
 光硬化性樹脂組成物30の塗膜の厚さは、0.5~1 000μmが好ましく、1~40μmがより好ましい。

(工程(ii))
 図3に示すように、複数の凸条42からなる微 凹凸構造を表面に有するマスターモールド4 0を、微細凹凸構造が光硬化性樹脂組成物30に 接するように、光硬化性樹脂組成物30に押し け、マスターモールド40と支持基板20を重ね て、マスターモールド40のモールド面と支持 板20の表面との間に光硬化性樹脂組成物30を 挟持する。
 マスターモールド40の材料としては、石英 シリコン、ニッケル等が好ましい。支持基 20が光透過性ではない場合、マスターモール ド40の材料としては、石英等の光透過性のも が好ましい。
 マスターモールド40を光硬化性樹脂組成物30 に押しつける際のプレス圧力(ゲージ圧)は、0 超10MPa(ゲージ圧)以下が好ましく、0.2~9MPaがよ り好ましい。

(工程(iii))
 図4に示すように、マスターモールド40のモ ルド面と支持基板20の表面との間に光硬化 樹脂組成物30が挟持された状態で光硬化性樹 脂組成物30に光(紫外線等。)を照射し、光硬 性樹脂組成物30を硬化させて、マスターモー ルド40の微細凹凸構造(凸条42)が反転した微細 凹凸構造(溝14)を表面に有するモールドベー 12を形成する。
 光の照射は、支持基板20およびマスターモ ルド40が光透過性の場合は、支持基板20側か 行ってもよく、マスターモールド40側から ってもよい。支持基板20およびマスターモー ルド40の一方が光透過性であり、他方が光透 性でない場合は、光透過性の側から行う。
 光の照射による硬化と加熱による硬化とを 用してもよい。
 光照射の光源としては、高圧水銀灯等が用 られる。
 深部硬化性、表面硬化性ともに良好で、有 材料を劣化させないことから、365nmの波長 光を250~1200mJ照射するのが好ましい。

(工程(iv))
 図5に示すように、モールドベース12とマス ーモールド40とを分離する。

(工程(v))
 図6に示すように、モールドベース12の微細 凸構造を有する表面に金属酸化物層16を形 する。
 金属酸化物層16の形成方法としては、蒸着 、スパッタ法、めっき法等が挙げられ、金 酸化物層16を均一に形成できる点から、スパ ッタ法が好ましい。
 また、スパッタ法によれば、粒子の平均自 工程が蒸着に比べ短いため、複雑な微細凹 構造の全てを平均的に被覆できる。また、 パッタ法によれば、粒子の衝突エネルギー 大きいため、金属酸化物層16の膜質が緻密 なり、また、金属酸化物層16とモールドベー ス12との密着性が向上し、結果として、転写 耐久性が向上する。
 スパッタ法としては、金属酸化物をターゲ トに用いる方法;または、金属をターゲット に用い、堆積した金属層を酸素イオン照射に より酸化して金属酸化物層とする方法(反応 スパッタ法)が挙げられる。

(工程(vi))
 金属酸化物層16の表面を離型剤で処理して 金属酸化物層16の表面に離型層18を形成し、 1に示すナノインプリント用モールド10を得 。
 離型剤で処理する方法としては、ウエット ート法またはドライコート法が挙げられる ウエットコート法としては、スピンコート 、ディップコート法、スプレーコート法等 挙げられ、離型層18の均一性の点から、デ ップコート法が好ましい。
 ドライコート法としては、CVD法または蒸着 が好ましい。
 ウエットコート法においては、離型剤を溶 に溶解または分散させることが好ましい。 媒としては、フッ素系溶媒が好ましく、CT-S olv.100、CT-Solv.180(旭硝子社製);HFE-700(ダイキン 製);ノベック-HFE(3M社製)が挙げられる。
 溶媒中の離型剤の濃度は、0.001~10質量%が好 しく、0.01~1質量%がより好ましい。濃度が低 すぎると緻密な離型層が形成されず、離型能 が低下するおそれがある。濃度が高すぎると 離型層が単分子層にならず厚くなりすぎ、転 写精度が低下する。

 ウエットコート法またはドライコート法で 理した後の処理は、モールド表面の金属酸 膜と離型剤の官能基とが反応して化学結合 形成する条件であれば特に制約を受けない 60℃以上に加熱することにより反応を促進 せることができる。また、高湿度下で処理 ることにより、より反応を加速させること できる。
 離型層18を形成する方法としては、離型剤 含む溶液を金属酸化物層の表面に接触させ その後、金属酸化物層の表面を洗浄液で洗 して乾燥する方法が好ましい。

(工程(vii))
 支持基板20を除くナノインプリント用モー ド10の最小厚さHが充分に厚い場合は、モー ドベース12から支持基板20を分離して、支持 板20のないナノインプリント用モールドと てもよい。

 以上説明した本発明のナノインプリント モールドの製造方法にあっては、前記工程( i)~(vi)を有する方法、すなわち光インプリン 法でモールドベースを形成し、その後、金 酸化物層および離型層を順に形成する方法 あるため、微細凹凸構造を精度よく転写で 、安価で、かつ耐久性が高いナノインプリ ト用モールドを生産性よく製造できる。

<表面に微細凹凸構造を有する樹脂成形体 製造方法>
 本発明の表面に微細凹凸構造を有する樹脂 形体(以下、単に「樹脂成形体」とも記す。 )の製造方法は、下記の工程(a)~(d)を有する。
 (a)支持基板の表面に光硬化性樹脂組成物の を形成する工程。
 (b)本発明のナノインプリント用モールドと 持基板を重ねて、微細凹凸構造を有するモ ルド面と支持基板の表面との間に光硬化性 脂組成物を挟持する工程。
 (c)光硬化性樹脂組成物が挟持された状態で 硬化性樹脂組成物を硬化させて、モールド の微細凹凸構造が反転した微細凹凸構造を 面に有する樹脂成形体を形成する工程。
 (d)樹脂成形体とモールドとを分離する工程

 樹脂成形体としては、ワイヤグリッド型偏 子の光透過性基板、プリズム、導光板、モ アイ等の光学部材用の光透過性基板、バイ センサー用支持基板、細胞培養シート用パ ーニング基板、半導体用途部材作製のため プロセス部材、磁気ディスク用途部材作製 ためのプロセス部材等が挙げられる。
 以下、ワイヤグリッド型偏光子を例にとり 本発明の樹脂成形体の製造方法を詳細に説 する。

<ワイヤグリッド型偏光子>
 図7は、本発明の製造方法で得られるワイヤ グリッド型偏光子の一例を示す断面図である 。ワイヤグリッド型偏光子50は、複数の凸条5 2が互いに平行にかつ一定のピッチPpで表面に 形成された、光硬化性樹脂組成物の硬化物か らなる光透過性基板54と、光透過性基板54の 条52上に形成された金属細線56とを有する。

(光透過性基板)
 凸条52のピッチPpは、凸条52の幅Dpと、凸条52 間に形成される溝の幅との合計である。凸条 52のピッチPpは、300nm以下が好ましく、40~200nm より好ましい。ピッチPpを300nm以下とするこ とにより、ワイヤグリッド型偏光子50が充分 高い反射率、および、400nm程度の短波長領 においても高い偏光分離能を示す。また、 折による着色現象が抑えられる。

 凸条52の幅DpとピッチPpの比(Dp/Pp)は、0.1~0. 6が好ましく、0.4~0.55がより好ましい。Dp/Ppを0 .1以上とすることにより、ワイヤグリッド型 光子50の偏光分離能が充分に高くなる。Dp/Pp を0.6以下とすることにより、干渉による透過 光の着色が抑えられる。

 凸条52の高さHpは、50~500nmが好ましく、100~ 300nmがより好ましい。高さHpを50nm以上とする とにより、凸条52上への金属細線56の選択的 な形成が容易となる。高さHpを500nm以下とす ことにより、ワイヤグリッド型偏光子50の偏 光度の入射角度依存性が小さくなる。

 光透過性基板は、光硬化性樹脂組成物の硬 物からなる基板である。
 光硬化樹脂性組成物としては、生産性の点 ら、光重合可能なモノマーを含む組成物が ましい。

 光硬化性樹脂組成物の硬化物の水に対す 接触角は、90°以上が好ましく、95°以上が り好ましい。該接触角が90°以上であれば、 インプリント法により凸条52を形成する際 モールドとの離型性がよくなり、精度の高 転写が可能となり、得られるワイヤグリッ 型偏光子50が目的とする性能を充分に発揮で きる。

(金属細線)
 金属細線56の高さHmは、30~300nmが好ましく、1 00~150nmがより好ましい。高さHmを30nm以上とす ことにより、ワイヤグリッド型偏光子50が 分に高い反射率および偏光分離能を示す。 さHmを300nm以下とすることにより、光の利用 率が上がる。

 金属細線56の幅Dmと凸条52の幅Dpとの比(Dm/Dp) 、1.0~3.0が好ましく、1.1~2.0がより好ましい Dm/Dpを1.0以上とすることにより、s偏光の透 率を低くすることができ、偏光分離能が向 する。Dp/Ppを2.0以下とすることにより、p偏 が高い透過率を示す。
 金属細線56の幅Dmは、凸条52の幅Dpよりも大 くなる場合が多い。よって、金属細線56の幅 Dmは、凸条52の上に形成された金属細線56の幅 の最大値とする。

 金属細線の材料としては、可視光に対する 射率が高く、可視光の吸収が少なく、かつ い導電率を有する点から、銀、アルミニウ 、クロム、マグネシウムが好ましく、アル ニウムが特に好ましい。
 金属細線の断面形状としては、正方形、長 形、台形、円形、楕円形、その他様々な形 が挙げられる。

<ワイヤグリッド型偏光子の製造方法>
 本発明のワイヤグリッド型偏光子の製造方 は、下記の工程(a)~(f)を有する。
 (a)支持基板の表面に光硬化性樹脂組成物の を形成する工程。
 (b)モールド面に、互いに平行にかつ一定の ッチで形成された複数の溝からなる微細凹 構造が形成された本発明のナノインプリン 用モールドと支持基板を重ねて、溝を有す モールド面と支持基板の表面との間に光硬 性樹脂組成物を挟持する工程。
 (c)光硬化性樹脂組成物が挟持された状態で 光硬化性樹脂組成物を硬化させて、モール 面の溝に対応する複数の凸条を有する光透 性基板を形成する工程。
 (d)光透過性基板と本発明のナノインプリン 用モールドとを分離する工程。
 (e)光透過性基板の凸条上に金属層を形成す 工程。
 (f)必要に応じて、光透過性基板から支持基 を分離する工程。

 以下、工程(a)~(f)を、ワイヤグリッド型偏 光子50を例にとり、図8~図12を参照しながら説 明する。

(工程(a))
 図8に示すように、光硬化性樹脂組成物60を 持基板58上に塗布し、支持基板58の表面に光 硬化性樹脂組成物60の層を形成する。
 支持基板58の材料としては、無機材料(石英 ガラス、金属等。)、樹脂(ポリジメチルシ キサン、透明フッ素樹脂等。)等が挙げられ 。
 塗布法としては、ポッティング法、スピン ート法、ロールコート法、ダイコート法、 プレーコート法、キャスト法、ディップコ ト法、スクリーン印刷、転写法等が挙げら る。中でも、スピンコート法、ダイコート 、ロールコート法が塗布法として好ましい
 光硬化性樹脂組成物60の塗膜の厚さは、0.5~1 000μmが好ましく、1~40μmがより好ましい。

(工程(b))
 図9に示すように、表面に、互いに平行にか つ一定のピッチで形成された複数の溝14から る微細凹凸構造が形成されたナノインプリ ト用モールド10を、溝14を有するモールド面 が光硬化性樹脂組成物60に接するように、光 化性樹脂組成物60に押しつけ、ナノインプ ント用モールド10と支持基板58を重ねて、溝1 4を有するモールド面と支持基板58の表面との 間に光硬化性樹脂組成物60を挟持する。
 ナノインプリント用モールド10を光硬化性 脂組成物60に押しつける際のプレス圧力(ゲ ジ圧)は、0超10MPa以下が好ましく、0.2~5MPaが り好ましい。

 なお、ナノインプリント用モールドをロ ル状とすることにより、ロールを回転させ がらモールドを光硬化性樹脂組成物に押し け、光硬化性樹脂組成物を硬化でき、連続 に溝に対応する凸条を転写できるため、ワ ヤグリッド型偏光子を大面積化できる。

(工程(c))
 図10に示すように、溝14を有するモールド面 と支持基板58の表面との間に光硬化性樹脂組 物60が挟持された状態で光硬化性樹脂組成 60に光(紫外線等。)を照射し、光硬化性樹脂 成物60を硬化させて、モールド面の溝14に対 応する複数の凸条52を有する光透過性基板54 形成する。
 光の照射は、支持基板58およびナノインプ ント用モールド10が光透過性の場合は、支持 基板58側から行ってもよく、ナノインプリン 用モールド10側から行ってもよい。支持基 58およびナノインプリント用モールド10の一 が光透過性であり、他方が光透過性でない 合は、光透過性の側から行う。
 深部硬化性、表面硬化性ともに良好で、有 材料を劣化させないことから、365nmの波長 光を250~1200mJ照射するのが好ましい。

(工程(d))
 図11に示すように、光透過性基板54とナノイ ンプリント用モールド10とを分離する。なお 工程(d)の前に、工程(f)を行ってもよい。

(工程(e))
 図12に示すように、光透過性基板54の凸条52 に金属細線56を形成する。なお、工程(e)の に、工程(f)を行ってもよい。
 金属細線56の形成方法としては、蒸着法、 パッタ法、めっき法等が挙げられ、凸条52上 に金属細線56を選択的に形成する点から、斜 蒸着法が好ましい。本発明のようにピッチP pが狭く、かつ凸条52が高い場合、斜方蒸着を 充分低い角度から行うことにより、凸条52上 選択的に金属の層を形成することができる また、薄い金属の層を斜方蒸着法により形 し、その後めっき法で他の金属の層をその に重ねて、所望の厚さの金属細線を形成す こともできる。

(工程(f))
 光透過性基板54から支持基板58を分離し、図 7に示すワイヤグリッド型偏光子50を得る。
 なお、支持基板58が透光材料からなる場合 支持基板58を分離することなく、光透過性基 板54と支持基板58とを一体化させたものを、 イヤグリッド型偏光子として用いてもよい

 以上説明した本発明のワイヤグリッド型 光子の製造方法にあっては、前記工程(a)~(f) を有する方法、すなわち光インプリント法で あるため、ワイヤグリッド型偏光子を生産性 よく製造できる。また、微細凹凸構造を精度 よく転写できる本発明のナノインプリント用 モールドを用いているため、モールドの微細 凹凸構造が精度よく転写されたワイヤグリッ ド型偏光子を製造できる。また、耐久性が高 い本発明のナノインプリント用モールドを用 いているため、モールドを繰り返し用いるこ とができ、その結果、低コストでワイヤグリ ッド型偏光子を製造できる。

 以下、実施例により本発明をさらに詳しく 明するが、本発明はこれら実施例に限定し 解釈されない。
 例1~6、および9~11は実施例であり、例7、お び8は比較例である。

(紫外線透過率)
 光硬化性樹脂組成物を硬化させて厚さ200μm 硬化物を得た。該硬化物について、紫外可 分光光度計(島津製作所社製、Solid-spec3700)を 用い、360nmの全光量T1とサンプル透過光T2とを 測定し、これらの比(T2×100/T1)により求めた。

(引張強度)
 光硬化性樹脂組成物を硬化させて10mm×50mm× さ100μmの硬化物を得た。該硬化物の引張強 を、引張試験装置(オリエンテック社製、RTC -1210)を用い、JIS K7113に準拠して測定した。

(接触角)
 水に対する接触角は、JIS K6768に準拠し、自 動接触角測定装置(協和界面科学社製、DM500) 用いて、微細凹凸構造が形成されていない 分にて25℃で測定した。

(微細凹凸構造の寸法)
 溝および凸条の寸法は、走査型電子顕微鏡( 日立製作所社製、S-900)および透過型電子顕微 鏡(日立製作所社製、H-9000)により測長して見 もった。

(厚さ)
 金属酸化物層の厚さは、水晶振動子を膜厚 ンサーとする膜厚モニターにより測定した
 離型層の厚さは、透過型電子顕微鏡およびE SCA(PERKIN ELEMER-PHI社製、Model 5500)により測定 た。

(耐久性I)
 厚さ100μmの高透過ポリエチレンテレフタレ ト(PET)フィルム(帝人デュポン社製、帝人テ ロンO3、100mm×100mm)の表面に、光硬化性樹脂 成物7をスピンコート法により塗布し、厚さ 1μmの光硬化性樹脂組成物7の塗膜を形成した
 ナノインプリント用モールドを、溝が光硬 性樹脂組成物7の塗膜に接するように、25℃ て0.5MPa(ゲージ圧)で光硬化性組樹脂成物7の 膜に押しつけた。
 該状態を保持したまま、PETフィルム側から 圧水銀灯(周波数:1.5kHz~2.0kHz、主波長光:255nm 315nmおよび365nm、365nmにおける照射エネルギ :1000mJ。)の光を15秒間照射し、光硬化性樹脂 組成物7を硬化させて、ナノインプリント用 ールドの溝に対応する複数の凸条を有する 透過性基板(凸条のピッチPp:150nm、凸条の幅Dp :40nm、凸条の高さHp:200nm。)を作製した。光透 性基板からナノインプリント用モールドを っくり分離した。
 以上の操作を1回とし、該操作を繰り返し行 い、光透過性基板からナノインプリント用モ ールドを分離できなくなった回数を耐久性の 指標とした。
(耐久性II)
 耐久性Iにおいて光硬化性組樹脂成物7の代 りに、光硬化性組樹脂成物8を用いた他は、 久性Iと同様の操作を行い、光透過性基板か らナノインプリント用モールドを分離できな くなった回数を耐久性の指標とした。

(透過率)
 ワイヤグリッド型偏光子の金属細線側から 長405nmの固体レーザー光および波長635nmの半 導体レーザー光を、ワイヤグリッド型偏光子 に対して垂直に入射し、p偏光およびs偏光の 過率を測定した。
 透過率が70%以上を○と評価し、70%未満を× 評価した。

(反射率)
 ワイヤグリッド型偏光子の表面側から波長4 05nmの固体レーザー光および波長635nmの半導体 レーザー光を、ワイヤグリッド型偏光子の表 面に対して5°の角度で入射し、s偏光反射率 測定した。
 波長400nmまたは700nmのs偏光反射率が、80%以 を○とし、80%未満を×とした。

(偏光度)
 偏光度は、下式から計算した。
 偏光度=((Tp-Ts)/(Tp+Ts)) 0.5
 ただし、Tpは、p偏光透過率であり、Tsは、s 光透過率である。
 波長400nmまたは700nmの偏光度が99.5%以上を○ し、99.5%未満を×とした。

(光硬化性樹脂組成物1(モールド作製用)の調 )
 撹拌機および冷却管を装着した300mLの4つ口 ラスコに、
 単量体1(新中村化学工業社製、NK エステル A-DPH、ジペンタエリスリトールヘキサアクリ レート)の60g、
 単量体2(新中村化学工業社製、NK エステル A-NPG、ネオペンチルグリコールジアクリレー ト)の40g、
 光重合開始剤1(チバスペシャリティーケミ ルズ社製、IRGACURE907)の4.0g、および重合禁止 1(和光純薬社製、Q1301)の1.0gを入れた。

 フラスコ内を常温および遮光にした状態で 1時間撹拌して均一化して、粘度が100mPa・s ある光硬化性樹脂組成物1を得た。
 光硬化性樹脂組成物1の硬化物について、紫 外線透過率および引張強度を測定した。結果 を表1に示す。

(光硬化性樹脂組成物2(モールド作製用)の調 )
 撹拌機および冷却管を装着した300mLの4つ口 ラスコに、
 単量体3(新中村化学工業社製、NK オリゴ EA -1020、ビスフェノールA型エポキシアクリレー ト)の65g、
 単量体4(新中村化学工業社製、NK エステル 1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ヘキ ンジアクリレート)の35g、
 前記光重合開始剤1の4.0g、および前記重合 止剤1の1.0gを入れた。

 フラスコ内を常温および遮光にした状態で 1時間撹拌して均一化して、粘度が1000mPa・s ある光硬化性樹脂組成物2を得た。
 光硬化性樹脂組成物2の硬化物について、紫 外線透過率および引張強度を測定した。結果 を表1に示す。

(光硬化性樹脂組成物3(モールド作製用)の調 )
 撹拌機および冷却管を装着した300mLの4つ口 ラスコに、
 単量体5(新中村化学工業社製、NK エステル A-DCP、トリシクロデカンジメタノールジアク リレート)の70g、
 前記単量体2の30g、
 光重合開始剤2(チバスペシャリティーケミ ルズ社製、IRGACURE184)の4.0g、および前記重合 止剤1の1.0gを入れた。

 フラスコ内を常温および遮光にした状態で 1時間撹拌して均一化して、粘度が50mPa・sで ある光硬化性樹脂組成物3の溶液を得た。
 光硬化性樹脂組成物3の硬化物について、紫 外線透過率および引張強度を測定した。結果 を表1に示す。

(光硬化性樹脂組成物4(モールド作製用)の調 )
 撹拌機および冷却管を装着した1000mLの4つ口 フラスコに、
 前記単量体1の60g、前記単量体2の40g、前記 重合開始剤1の4.0g、前記重合禁止剤1の1.0g、 よびシクロヘキサノンの65.0gを入れた。

 フラスコ内を常温および遮光にした状態で 1時間撹拌して均一化した。ついで、フラス コ内を撹拌しながら、コロイド状シリカの100 g(固形分:30g)をゆっくりと加え、さらにフラ コ内を常温および遮光にした状態で1時間撹 して均一化した。ついで、シクロヘキサノ の340gを加え、フラスコ内を常温および遮光 にした状態で1時間撹拌して、粘度が250mPa・s ある光硬化性樹脂組成物4の溶液を得た。
 光硬化性樹脂組成物4の硬化物について、紫 外線透過率および引張強度を測定した。結果 を表1に示す。

(光硬化性樹脂組成物5(モールド作製用)の調 )
 撹拌機および冷却管を装着した1000mLの4つ口 フラスコに、
 単量体6(東亜合成社製、OXT-121、キシリレン スオキセタン)の60g、
 単量体7(ジャパンエポキシレジン社製、EP-80 1、モノエポキシブレンドビスフェノールA型 ポキシ樹脂)の40g、
 および光重合開始剤3(和光純薬社製、WPI113) 5.0gを入れた。

 フラスコ内を常温および遮光にした状態で 1時間撹拌して均一化して、粘度が300mPa・s ある光硬化性樹脂組成物5を得た。
 光硬化性樹脂組成物5の硬化物について、紫 外線透過率および引張強度を測定した。結果 を表1に示す。

(光硬化性樹脂組成物6(モールド作製用)の調 )
 撹拌機および冷却管を装着した1000mLの4つ口 フラスコに、
 単量体8(堺化学社製、TMMP、トリメチロール ロパントリス(3-メルカプトプロピオネート) )の58g、
 前記単量体1の42g、前記光重合開始剤1の2.0g および前記重合禁止剤1の1.0gを入れた。

 フラスコ内を常温および遮光にした状態で 1時間撹拌して均一化して、粘度が300mPa・s ある光硬化性樹脂組成物6を得た。
 光硬化性樹脂組成物6の硬化物について、紫 外線透過率および引張強度を測定した。結果 を表1に示す。

(光硬化性樹脂組成物7(耐久性試験I用)の調製)
 撹拌機および冷却管を装着した1000mLの4つ口 フラスコに、
 前記単量体1の60g、前記単量体2の40g、前記 重合開始剤1の4.0g、
 含フッ素界面活性剤1(旭硝子社製、フルオ アクリレート(CH 2 =CHCOO(CH 2 ) 2 (CF 2 ) 8 F)とブチルアクリレートとのコオリゴマー、 ッ素含有量:約30質量%、質量平均分子量:約30 00)の0.1g、
 および前記重合禁止剤1の1.0gを入れた。

 フラスコ内を常温および遮光にした状態 、1時間撹拌して均一化して、粘度が100mPa・ sである光硬化性樹脂組成物7の溶液を得た。

(光硬化性樹脂組成物8(耐久性試験II用)の調製 )
 撹拌機および冷却管を装着した1000mLの4つ口 フラスコに、
 前記単量体1の60g、前記単量体2の40g、前記 重合開始剤1の4.0g、および前記重合禁止剤1 1.0gを入れた。

 フラスコ内を常温および遮光にした状態 、1時間撹拌して均一化して、粘度が100mPa・ sである光硬化性樹脂組成物8の溶液を得た。

(光硬化性樹脂組成物9(ワイヤグリッド型偏光 子作製用)の調製)
 撹拌機および冷却管を装着した1000mLの4つ口 フラスコに、
 前記単量体1の60g、前記単量体2の40g、前記 重合開始剤1の4.0g、前記含フッ素界面活性剤 1の0.1g、前記重合禁止剤1の1.0g、およびシク ヘキサノンの65.0gを入れた。

 フラスコ内を常温および遮光にした状態 、1時間撹拌して均一化した。ついで、フラ スコ内を撹拌しながら、コロイド状シリカの 100g(固形分:30g)をゆっくりと加え、さらにフ スコ内を常温および遮光にした状態で1時間 拌して均一化した。ついで、シクロヘキサ ンの340gを加え、フラスコ内を常温および遮 光にした状態で1時間撹拌して、粘度が250mPa sである光硬化性樹脂組成物9の溶液を得た。

(マスターモールドの離型剤処理)
 マスターモールドとして、複数の凸条が互 に平行にかつ所定のピッチで形成されたシ コン製モールド(100mm×100mm、凸条のピッチPp: 150nm、凸条の幅Dp:50nm、凸条の高さHp:200nm、凸 の長さ:50mm、凸条の断面形状:矩形。)を用意 した。

 金属酸化物と化学結合しうる基を有する 合物からなるフッ素系離型剤(ダイキン工業 社製、オプツールDSX)をフッ素系溶媒(旭硝子 製、CT-Solv.100)に溶解させて、離型剤溶液1( ッ素系化合物の濃度:0.1質量%)を調製した。

 シリコン製モールドを離型剤溶液1の100mL ディップし、引き上げた後、直ちにフッ素 溶媒(旭硝子社製、CT-Solv.100)でリンスし、60 、90%RHの恒温高湿槽中にて1時間キュアし、 リコン製モールドの表面を離型剤で処理し 。

〔例1〕
モールドベースの作製:
 厚さ188μmの高透過ポリエチレンテレフタレ ト(PET)フィルム(帝人デュポン社製、帝人テ ロンO3、100mm×100mm)の表面に、光硬化性樹脂 成物1をスピンコート法により塗布し、厚さ 1μmの光硬化性樹脂組成物1の塗膜を形成した
 離型剤処理されたシリコン製モールドを、 条が光硬化性樹脂組成物1の塗膜に接するよ うに、25℃にて0.5MPa(ゲージ圧)で光硬化性樹 組成物1の塗膜に押しつけた。
 該状態を保持したまま、PETフィルム側から 圧水銀灯(周波数:1.5kHz~2.0kHz、主波長光:255nm 315nmおよび365nm、365nmにおける照射エネルギ :1000mJ。)の光を15秒間照射し、光硬化性樹脂 組成物1を硬化させて、シリコン製モールド 凸条に対応する複数の溝を有するモールド ース(溝のピッチPp:150nm、溝の幅Dp:50nm、溝の さHp:200nm。)を作製した。モールドベースか シリコン製モールドをゆっくり分離した。
 モールドベースについて、水に対する接触 を測定した。結果を表1に示す。

金属酸化層の形成:
 ロードロック機構を備えたインライン型ス ッタ装置(日真精機社製)に、ターゲットと てSiO 2 を取り付けた。スパッタ装置内にモールドベ ースをセットし、モールドベースの溝が形成 されている面に対して垂直方向からSiO 2 を着膜させ、厚さ5nmのSiO 2 層を形成し、モールドベースの裏面にPETフィ ルムが貼着され、表面にSiO 2 層が形成された中間体を得た。

離型層の形成:
 中間体を離型剤溶液1の100mLにディップし、 き上げた後、直ちにフッ素系溶媒(旭硝子社 製、CT-Solv.100)でリンスし、60℃、90%RHの恒温 湿槽中にて1時間キュアし、SiO 2 層の表面に厚さ2nmの離型層を形成し、ナノイ ンプリント用モールド1を得た。ナノインプ ント用モールド1の離型層の表面の水の接触 を測定した。結果を表1に示す。

 ナノインプリント用モールド1について耐久 性Iを評価した。耐久性の評価の操作を100回 り返しても、光硬化性樹脂組成物7の硬化物 らなる光透過性基板の表面の微細凹凸構造 変化はみられなかった。また、1回目の操作 の後、ナノインプリント用モールド1の離型 の表面の水の接触角を測定したところ93°で った。
 また、耐久性IIを評価した。耐久性の評価 操作を100回繰り返しても、光硬化性樹脂組 物8の硬化物からなる光透過性基板の表面の 細凹凸構造に変化はみられなかった。また 1回目の操作の後、ナノインプリント用モー ルド1の離型層の表面の水の接触角を測定し ところ93°であった。結果を表1に示す。

〔例2〕
 光硬化性樹脂組成物1の代わりに光硬化性樹 脂組成物2を用いた以外は、例1と同様にして ノインプリント用モールド2を作製した。SiO 2 層の厚さは5nmであり、離型層の厚さは2nmであ った。ナノインプリント用モールド2の離型 の表面の水の接触角を測定した。結果を表1 示す。

 ナノインプリント用モールド2について耐久 性Iを評価した。耐久性の評価の操作を100回 り返しても、光硬化性樹脂組成物7の硬化物 らなる光透過性基板の表面の微細凹凸構造 変化はみられなかった。
 また、耐久性IIを評価した。耐久性の評価 操作を100回繰り返しても、光硬化性樹脂組 物8の硬化物からなる光透過性基板の表面の 細凹凸構造に変化はみられなかった。結果 表1に示す。

〔例3〕
金属酸化層の形成:
 スパッタのターゲットとしてAl 2 O 3 を用いた以外は、例1と同様にして厚さ5nmのAl 2 O 3 層を形成し、モールドベースの裏面にPETフィ ルムが貼着され、表面にAl 2 O 3 層が形成された中間体を得た。

離型層の形成:
 金属酸化物と化学結合しうる基を有する化 物からなるフッ素系離型剤(ダイキン工業社 製、オプツールHD2100)をフッ素系溶媒(旭硝子 製、CT-Solv.100)に溶解させて、離型剤溶液2( ッ素系化合物の濃度:1質量%)を調製した。

 中間体を離型剤溶液2の100mLにディップし、 き上げた後、直ちにフッ素系溶媒(旭硝子社 製、CT-Solv.100)でリンスし、60℃、90%RHの恒温 湿槽中にて1時間キュアし、Al 2 O 3 層の表面に厚さ2nmの離型層を形成し、ナノイ ンプリント用モールド3を得た。ナノインプ ント用モールド3の離型層の表面の水の接触 を測定した。結果を表1に示す。

 ナノインプリント用モールド3について耐久 性Iを評価した。耐久性の評価の操作を100回 り返しても、光硬化性樹脂組成物7の硬化物 らなる光透過性基板の表面の微細凹凸構造 変化はみられなかった。
 また、耐久性IIを評価した。耐久性の評価 操作を100回繰り返しても、光硬化性樹脂組 物8の硬化物からなる光透過性基板の表面の 細凹凸構造に変化はみられなかった。結果 表1に示す。

〔例4〕
 光硬化性樹脂組成物1の代わりに光硬化性樹 脂組成物3を用いた以外は、例1と同様にして ノインプリント用モールド4を作製した。SiO 2 層の厚さは5nmであり、離型層の厚さは2nmであ った。ナノインプリント用モールド4の離型 の表面の水の接触角を測定した。結果を表1 示す。

 ナノインプリント用モールド4について耐久 性Iを評価した。耐久性の評価の操作を100回 り返しても、光硬化性樹脂組成物7の硬化物 らなる光透過性基板の表面の微細凹凸構造 変化はみられなかった。
 また、耐久性IIを評価した。耐久性の評価 操作を100回繰り返しても、光硬化性樹脂組 物8の硬化物からなる光透過性基板の表面の 細凹凸構造に変化はみられなかった。結果 表1に示す。

〔例5〕
金属酸化層の形成:
 光硬化性樹脂組成物1の代わりに光硬化性樹 脂組成物4を用いた以外は、例1と同様にして 間体を作製した。SiO 2 層の厚さは5nmであった。

離型層の形成:
 金属酸化物と化学結合しうる基を有する化 物からなるフッ素系離型剤(ダイキン工業社 製、オプツールDSX)をフッ素系溶媒(旭硝子社 、CT-Solv.100)に溶解させて、離型剤溶液3(フ 素系化合物の濃度:2質量%)を調製した。

 蒸着源として離型剤溶液3を用い、真空蒸着 装置(昭和真空社製、SEC-16CM)にて、中間体の 面に離型剤を蒸着させた。フッ素系溶媒(旭 子社製、CT-Solv.100)でリンスし、SiO 2 の表面に厚さ1nmの離型層を形成し、ナノイン プリント用モールド5を得た。ナノインプリ ト用モールド5の離型層の表面の水の接触角 測定した。結果を表1に示す。

 ナノインプリント用モールド5について耐久 性Iを評価した。耐久性の評価の操作を100回 り返しても、光硬化性樹脂組成物7の硬化物 らなる光透過性基板の表面の微細凹凸構造 変化はみられなかった。
 また、耐久性IIを評価した。耐久性の評価 操作を100回繰り返しても、光硬化性樹脂組 物8の硬化物からなる光透過性基板の表面の 細凹凸構造に変化はみられなかった。結果 表1に示す。

〔例6〕
 スパッタのターゲットとしてZrO 2 を用いた以外は、例1と同様にして厚さ5nmのZr O 2 層を形成し、モールドベースの裏面にPETフィ ルムが貼着され、表面にZrO 2 層が形成され、その上にさらに離型層の形成 されたナノインプリント用モールド6を得た ナノインプリント用モールド6の離型層の表 の水の接触角を測定した。結果を表1に示す 。

 ナノインプリント用モールド6について耐久 性Iを評価した。耐久性の評価の操作を100回 り返しても、光硬化性樹脂組成物7の硬化物 らなる光透過性基板の表面の微細凹凸構造 変化はみられなかった。
 また、耐久性IIを評価した。耐久性の評価 操作を100回繰り返しても、光硬化性樹脂組 物8の硬化物からなる光透過性基板の表面の 細凹凸構造に変化はみられなかった。結果 表1に示す。

〔例7〕
 例1と同様にして、モールドベースの裏面に PETフィルムが貼着され、表面に厚さ5nmのSiO 2 層が形成された中間体を得た。該中間体をナ ノインプリント用モールド7とした。ナノイ プリント用モールド7のSiO 2 層の表面の水の接触角を測定した。結果を表 1に示す。

 ナノインプリント用モールド7について耐久 性Iを評価した。耐久性の評価の操作の1回目 ら、光硬化性樹脂組成物7の硬化物からなる 光透過性基板からナノインプリント用モール ド7を分離できなかった。
 また、耐久性IIを評価した。耐久性の評価 操作の1回目から、光硬化性樹脂組成物8の硬 化物からなる光透過性基板からナノインプリ ント用モールド7を分離できなかった。結果 表1に示す。

〔例8〕
 例1と同様にして、PETフィルム付きモールド ベースを作製した。該モールドベースに、例 1と同様にして厚さ2nmの離型層を形成し、ナ インプリント用モールド8を得た。ナノイン リント用モールド8の離型層の表面の水の接 触角を測定した。結果を表1に示す。

 ナノインプリント用モールド8について耐久 性Iを評価した。耐久性の評価の操作の5回目 、光硬化性樹脂組成物7の硬化物からなる光 透過性基板からナノインプリント用モールド 8を分離できなくなった。
 また、耐久性IIを評価した。耐久性の評価 操作の1回目から、光硬化性樹脂組成物8の硬 化物からなる光透過性基板からナノインプリ ント用モールド8を分離できなかった。結果 表1に示す。

〔例9〕
 光硬化性樹脂組成物1の代わりに光硬化性樹 脂組成物5を用いた以外は、例1と同様にして ノインプリント用モールド9を作製した。SiO 2 層の厚さは5nmであり、離型層の厚さは2nmであ った。ナノインプリント用モールド7の離型 の表面の水の接触角を測定した。結果を表1 示す。

 ナノインプリント用モールド9について耐久 性Iを評価した。耐久性の評価の操作を100回 り返しても、光硬化性樹脂組成物7の硬化物 らなる光透過性基板の表面の微細凹凸構造 変化はみられなかった。
 また、耐久性IIを評価した。耐久性の評価 操作を100回繰り返しても、光硬化性樹脂組 物8の硬化物からなる光透過性基板の表面の 細凹凸構造に変化はみられなかった。結果 表1に示す。

〔例10〕
 光硬化性樹脂組成物1の代わりに光硬化性樹 脂組成物6を用いた以外は、例1と同様にして ノインプリント用モールド10を作製した。Si O 2 層の厚さは5nmであり、離型層の厚さは2nmであ った。ナノインプリント用モールド10の離型 の表面の水の接触角を測定した。結果を表1 に示す。

 ナノインプリント用モールド10について耐 性を評価した。耐久性の評価の操作を100回 り返しても、光硬化性樹脂組成物7の硬化物 らなる光透過性基板の表面の微細凹凸構造 変化はみられなかった。
 また、耐久性IIを評価した。耐久性の評価 操作を100回繰り返しても、光硬化性樹脂組 物8の硬化物からなる光透過性基板の表面の 細凹凸構造に変化はみられなかった。結果 表1に示す。

〔例11〕
光透過性基板の作製:
 厚さ100μmの高透過ポリエチレンテレフタレ ト(PET)フィルム(帝人デュポン社製、帝人テ ロンO3、100mm×100mm)の表面に、光硬化性樹脂 成物9をスピンコート法により塗布し、厚さ 1μmの光硬化性樹脂組成物9の塗膜を形成した
 ナノインプリント用モールド1(100mm×100mm、 のピッチPp:150nm、溝の幅Dp:40nm、溝の深さHp:20 0nm、溝の長さ:50mm、溝の断面形状:矩形。)を 溝が光硬化性樹脂組成物9の塗膜に接するよ に、25℃にて0.5MPa(ゲージ圧)で光硬化性樹脂 組成物9の塗膜に押しつけた。
 該状態を保持したまま、ナノインプリント モールド1側から高圧水銀灯(周波数:1.5kHz~2.0 kHz、主波長光:255nm、315nmおよび365nm、365nmにお ける照射エネルギー:1000mJ。)の光を15秒間照 し、光硬化性樹脂組成物9を硬化させて、複 の凸条を有する光透過性基板を作製した。 透過性基板からナノインプリント用モール 1をゆっくり分離した。

 以上の操作を3回繰り返し、同一のナノイ ンプリント用モールド1から3枚の光透過性基 を得た。各光透過性基板の凸条の寸法(凸条 のピッチPp、凸条の幅Dp、凸条の高さHp)を表2 示す。また、光透過性基板の表面の水の接 角を測定した。結果を表2に示す。

金属細線の形成:
 3枚の光透過性基板に対して、下記の方法で 光透過性基板の凸条上に金属細線を形成した 。
 蒸着源に対向する光透過性基板の傾きを変 可能な真空蒸着装置(昭和真空社製、SEC-16CM) を用い、光透過性基板の凸条に斜方蒸着法に てアルミニウムを蒸着させ、光透過性基板の 凸条上に金属細線(厚さHm:50nm)を形成し、裏面 にPETフィルムが貼着されたワイヤグリッド型 偏光子を得た。なお、アルミニウムの高さは 水晶振動子を膜厚センサーとする膜厚モニタ ーにより測定した。得られた各ワイヤグリッ ド型偏光子について、金属細線の幅(Dm)、透 率、反射率、および偏光度を測定した。結 を表2に示す。

 本発明のナノインプリント用モールドは、 くの用途に使用できる。具体的にはプリズ 、導光板、モスアイ等の光学部材、バイオ ンサー等のセンシング素子用基板、細胞培 シート等のバイオ用途基材、半導体用途部 、磁気ディスク用途部材の製造に有用であ 。また、本発明のナノインプリント用モー ドは、液晶表示装置、リアプロジェクショ テレビ、フロントプロジェクター等の画像 示装置の偏光子として用いられるワイヤグ ッド型偏光子の製造にも有用である。
 なお、2008年6月5日に出願された日本特許出 2008-148025号の明細書、特許請求の範囲、図 及び要約書の全内容をここに引用し、本発 の明細書の開示として、取り入れるもので る。

 10 ナノインプリント用モールド
 12 モールドベース
 14 溝
 16 金属酸化物層
 18 離型層
 20 支持基板
 30 光硬化性樹脂組成物
 40 マスターモールド
 42 凸条
 50 ワイヤグリッド型偏光子
 52 凸条
 54 光透過性基板
 56 金属細線
 58 支持基板
 60 光硬化性樹脂組成物