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Title:
OPTICAL FILM, POLARIZING PLATE, AND METHOD FOR MANUFACTURING OPTICAL FILM
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2020/175586
Kind Code:
A1
Abstract:
This optical film includes a thermoplastic resin and a tension regulating agent. The tension regulating agent is a nitrogen-containing heterocyclic compound or a metal ion. The viscosity at 23°C of a solution obtained by dissolving the optical film to give a concentration of 13.5 mass% in an ethanol/methylene chloride solvent is 5000-50000 mPa∙s, and the elongation percentage of a film having a dry thickness of 40 µm obtained by drying a coating of said solution at 25°C until the residual solvent content is 5 mass% is no greater than 5%.

Inventors:
FUJIEDA NANAE
NANJO TAKASHI
Application Number:
PCT/JP2020/007865
Publication Date:
September 03, 2020
Filing Date:
February 26, 2020
Export Citation:
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Assignee:
KONICA MINOLTA INC (JP)
International Classes:
G02B5/30; B29C41/24; B29C41/36; B29C41/52; C08J5/18; B29L7/00; B29L11/00
Domestic Patent References:
WO2015111519A12015-07-30
WO2018062784A12018-04-05
Foreign References:
JP2006341394A2006-12-21
JP2017067796A2017-04-06
Attorney, Agent or Firm:
WASHIDA & ASSOCIATES (JP)
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Claims:
\¥0 2020/175586 47 卩(:17 2020 /007865 請求の範囲

[請求項 1 ] (メタ) アクリル系樹脂、 および極性基を有するシクロオレフィン 系樹脂からなる群より選ばれる熱可塑性樹脂と、

張力調整剤とを含む光学フィルムであって、

前記張力調整剤は、 含窒素へテロ環化合物、 または前記熱可塑性樹 脂とともにアイオノマーを形成する金属イオンであり、 前記光学フィルムを、 エタノール/メチレンクロライ ド (8 / 9 2 質量比) 混合溶媒に 1 3 . 5質量%の濃度となるように溶解させた溶 液の、 2 3 °〇において巳型粘度計により測定される粘度が 5 0 0 0〜

前記溶液の塗膜を、 残留溶媒量が 5質量%となるまで 2 3 °〇で乾燥 させて、 乾燥厚み 4 0 〇!のフィルムとしたときの、 」 丨 3 < 7 1 1 5 : 1 9 9 9に準拠して下記条件で測定される伸び率が 5 %以下で ある、

光学フィルム。

(測定条件)

測定温度: (丁 9 _ 1 0) °〇 (丁 9は、 前記熱可塑性樹脂のガラス 転移温度を示す)

引張荷重: 〇. 7 5

引張時間: 1 5分

[請求項 2] 前記張力調整剤は、 前記含窒素へテロ環化合物であり、

前記含窒素へテロ環化合物は、

下記式 (丨) で表される構造を含み、

前記式 (丨) で表される構造における、 窒素原子を含む環の構成原 子数は、 5または 6である、

請求項 1 に記載の光学フィルム。 \¥0 2020/175586 48 卩(:170? 2020 /007865

[化 1 ]

(式 (丨) において、

8は、 水素原子、 脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基であり 门は、 0または 1である)

[請求項 3] 前記窒素原子を含む環は、 芳香族へテロ環である、

請求項 2に記載の光学フィルム。

[請求項 4] 前記窒素原子を含む環は、 芳香族炭化水素環または芳香族へテロ環 と縮環している、

請求項 2または 3に記載の光学フィルム。

[請求項 5] 前記 1·!は、 1であり、 かつ

前記 は、 水素原子である、

請求項 2〜 4のいずれか一項に記載の光学フィルム。

[請求項 6] 前記含窒素へテロ環化合物の分子量は、 2 5 0以下である、

請求項 1〜 5のいずれか一項に記載の光学フィルム。

[請求項· 7] 前記含窒素へテロ環化合物は、 ヒドロキシ基を有さない、

請求項 1〜 6のいずれか一項に記載の光学フィルム。

[請求項 8] 前記張力調整剤は、 前記金属イオンであり、

前記金属イオンは、 3価の金属イオンである、 請求項 1 に記載の光学フィルム。

[請求項 9] 前記張力調整剤の含有量は、 前記熱可塑性樹脂に対して 3〜 1 5質 量%である、

請求項 1〜 8のいずれか一項に記載の光学フィルム。

[請求項 10] 前記熱可塑性樹脂は、 (メタ) アクリル系樹脂である、 \¥0 2020/175586 49 卩(:170? 2020 /007865

請求項 1〜 9のいずれか一項に記載の光学フィルム。

[請求項 1 1 ] 前記 (メタ) アクリル系樹脂は、 メタクリル酸メチルに由来する構 造単位と、 それと共重合可能な前記メタクリル酸メチル以外の共重合 モノマーに由来する構造単位とを含み、

前記共重合モノマーに由来する構造単位は、 芳香環を有するモノマ 一に由来する構造単位またはイミ ド環を有するモノマーに由来する構 造単位を含む、

請求項 1 〇に記載の光学フィルム。

[請求項 12] 前記 (メタ) アクリル系樹脂の重量平均分子量は、 6 0〜 3 0 0万 である、

請求項 1 0または 1 1 に記載の光学フィルム。

[請求項 13] 偏光子と、

前記偏光子の少なくとも一方の面に配置された、 請求項 1〜 1 2の いずれか一項に記載の光学フィルムと、 を含む、

偏光板。

[請求項 14] (メタ) アクリル系樹脂、 および極性基を有するシクロオレフィン 系樹脂からなる群より選ばれる熱可塑性樹脂と、

含窒素へテロ環化合物、 または前記熱可塑性樹脂とともにアイオノ マーを形成する金属イオンである張力調整剤と、

溶媒とを含み、

2 3 °〇において巳型粘度計により測定される粘度が 5 0 0 0〜 5 0 3であるドープを得る工程と、

前記ドープを支持体上に流延した後、 剥離して膜状物を得る工程と 前記膜状物を乾燥させる工程とを含む、

光学フィルムの製造方法。

[請求項 15] 前記熱可塑性樹脂は、 (メタ) アクリル系樹脂である、

請求項 1 4に記載の光学フィルムの製造方法。 \¥0 2020/175586 50 卩(:170? 2020 /007865

[請求項 16] 前記張力調整剤は、 前記含窒素へテロ環化合物であり、

前記含窒素へテロ環化合物は、

下記式 (丨) で表される構造を含み、

前記式 (丨) で表される構造における、 窒素原子を含む環の構成原 子数は、 5または 6である、

請求項 1 4または 1 5に記載の光学フイルムの製造方法。

[化 2]

(式 (丨) において、

8は、 水素原子、 脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基であり

门は、 0または 1である)

[請求項 17] 前記窒素原子を含む環は、 芳香族へテロ環である、

請求項 1 6に記載の光学フィルムの製造方法。

[請求項 18] 前記窒素原子を含む環は、 芳香族炭化水素環または芳香族へテロ環 と縮環している、

請求項 1 6または 1 7に記載の光学フィルムの製造方法。

[請求項 19] 前記 は、 1であり、 かつ

前記 は、 水素原子である、

請求項 1 6〜 1 8のいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法

[請求項 20] 前記含窒素へテロ環化合物の分子量は、 2 5 0以下である、

請求項 1 6〜 1 9のいずれか一項に記載の光学フイルムの製造方法

[請求項 21 ] 前記張力調整剤は、 前記金属イオンであり、 \¥0 2020/175586 51 卩(:17 2020 /007865

前記金属イオンは、 3価の金属イオンである、 請求項 1 4に記載の光学フィルムの製造方法。

Description:
\¥0 2020/175586 1 卩(:17 2020 /007865 明 細 書

発明の名称 : 光学フィルム、 偏光板、 光学フィルムの製造方法 技術分野

[0001 ] 本発明は、 光学フィルム、 偏光板、 光学フィルムの製造方法に関する。

背景技術

[0002] 液晶表示装置や有機日 !_表示装置などの表示装置は、 偏光板保護フィルム などの光学部材を有する。 そのような光学部材に用いられる光学フィル ムと しては、 優れた透明性や寸法安定性、 低吸湿性を有することから、 シクロオ レフィン系樹脂フィルムや、 (メタ) アクリル系樹脂フィルム (例えば特許 文献 1や 2を参照) などが用いられることがある。

[0003] これらのフィルムは、 溶融製膜法 (メルト法) や溶液製膜法 (キャスト法 ) などの任意の方法で製造されうる。 中でも、 高分子量の樹脂を用いること ができることから、 溶液製膜法で製造されることがある。 溶液製膜法では、 樹脂を溶媒に溶解させたドープを得る工程と 、 当該ドープを支持体上に流延 した後、 剥離して膜状物を得る工程と、 得られた膜状物を乾燥させる工程と を経て、 フィルムを得る。

先行技術文献

特許文献

[0004] 特許文献 1 :特開 2 0 1 7 - 5 2 9 2 0号公報

特許文献 2 :国際公開第 2 0 1 2 / 1 1 4 7 1 8号

特許文献 3 :特開 2 0 1 4 _ 3 8 1 8 0号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005] しかしながら、 シクロオレフィン系樹脂や (メタ) アクリル系樹脂などの 疎水性を示す樹脂は、 (疎水性を示す) 溶媒との親和性が高いため、 溶液製 膜法で製膜する際の乾燥性が低いという問題 があった。 また、 シクロオレフ ィン系樹脂や (メタ) アクリル系樹脂は、 一般的にガラス転移温度 (丁 9) \¥0 2020/175586 2 卩(:170? 2020 /007865

がそれほど高くはないため、 これらの膜状物を高温で乾燥させると、 搬送張 力によって膜状物が不均一に伸びやすく、 例えばトタン状のような変形を生 じやすい。 それにより、 膜厚ムラを生じやすいという問題もあった。

[0006] これに対し、 特許文献 3では、 メタクリル酸メチルと、 嵩高さ指数が一定 以上の環状の部分構造を有するモノマーとの 共重合体を用いることで、 乾燥 性を高めることができる。 しかしながら、 乾燥性のさらなる向上が望まれて いる。

[0007] 乾燥性をさらに高くするためには、 乾燥温度を高くすることが有効であり

;乾燥温度を高くするためには、 (メタ) アクリル系樹脂のガラス転移温度 (丁 9) を高くすることが有効である。 例えば、 前述のような環構造を有す るモノマーに由来する構造単位を含む (メタ) アクリル系樹脂は、 高いガラ ス転移温度を有するものの;当該構造単位の 含有量が多すぎると、 得られる フィルムが脆くなりやすい。 したがって、 得られるフィルムを脆くすること なく (すなわち、 靱性を損なうことなく) 、 高い乾燥温度で乾燥させても変 形しにくいこと、 当該変形に起因する膜厚ムラを抑制できるこ とが望まれて いる。

[0008] 本発明は、 上記事情に鑑みてなされたものであり、 高い乾燥効率で得られ 、 かつ乾燥時の変形に起因する膜厚ムラが抑制 され、 十分な靱性を有する光 学フィルム、 偏光板、 および光学フィルムの製造方法を提供するこ とを目的 とする。

課題を解決するための手段

[0009] 上記課題は、 以下の構成によって解決することができる。

[0010] 本発明の光学フィルムは、 (メタ) アクリル系樹脂、 および極性基を有す るシクロオレフィン系樹脂からなる群より選 ばれる熱可塑性樹脂と、 張力調 整剤とを含む光学フィルムであって、 前記張力調整剤は、 含窒素へテロ環化 合物、 または前記熱可塑性樹脂とともにアイオノマ ーを形成する金属イオン であり、 前記光学フィルムを、 エタノール/メチレンクロライ ド (8 / 9 2 質量比) 混合溶媒に 1 3 . 5質量%の濃度となるように溶解させた溶液 、 \¥02020/175586 3 卩(:170? 2020 /007865

23°〇における巳型粘度計における粘度が 5000〜 50000〇1 3 3 であり、 かつ前記溶液の塗膜を、 残留溶媒量が 5質量%となるまで 23 ° 〇で 乾燥させて、 乾燥厚み 4〇 のフィルムとしたときの、 」 丨 7 1 1 5 : 1 999に準拠して下記条件で測定される伸び率が 5%以下である。

(測定条件)

測定温度: (丁 9 _ 1 0) ° 〇 (丁 9は、 前記熱可塑性樹脂のガラス転移温 度を示す)

引張荷重: 〇. 75

引張時間: 1 5分

[0011] 本発明の偏光板は、 偏光子と、 その少なくとも一方の面に配置された本発 明の光学フィルムとを含む。

[0012] 本発明の光学フィルムの製造方法は、 (メタ) アクリル系樹脂、 および極 性基を有するシクロオレフィン系樹脂からな る群より選ばれる熱可塑性樹脂 と、 含窒素へテロ環化合物、 または前記熱可塑性樹脂とともにアイオノマ ー を形成する金属イオンである張力調整剤と、 溶媒とを含み、 23 ° 〇において 巳型粘度計により測定される粘度が 5000〜 50000 3である ドープを得る工程と、 前記ドープを支持体上に流延した後、 剥離して膜状物 を得る工程と、 前記膜状物を乾燥させる工程とを含む。

発明の効果

[0013] 本発明によれば、 高い乾燥効率で得られ、 かつ乾燥時の変形に起因する膜 厚ムラが抑制され、 十分な靱性を有する光学フィルム、 偏光板、 光学フィル ムの製造方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0014] [図 1]図 1は、 ウエッ ト状態の膜状物の強度と、 ドープの粘度との関係を示す 説明図である。

発明を実施するための形態

[0015] 本発明者らは、 乾燥時の膜状物の変形 (伸び) は、 膜状物の強度が低い場 合に生じやすいこと ;膜状物の強度は、 ドープの粘度と相関関係があること \¥0 2020/175586 4 卩(:170? 2020 /007865

に着目した。

[0016] 図 1は、 ウエッ ト状態の膜状物の強度 (伸びにくさ) と、 ドープの粘度と の関係を示す説明図である。 図 1 に示されるように、 樹脂を溶媒に溶解させ たドープの粘度が低く、 取り扱いやすい範囲である場合 (図 1の点線 1、 状 態 3) 、 当該ドープから得られるウエッ ト状態の膜状物を高温下で口ール搬 送すると、 膜状物の強度 (引張強度) が低いため、 搬送方向に伸びやすい ( 図 1の点線 1、 状態匕) 。 一方で、 樹脂の分子量を大きく し、 膜状物の強度 を高く して伸びにくくすると (図 1の点線 2の状態〇) 、 ドープの粘度が高 くなり、 取り扱える範囲を超えてしまい、 製膜性が損なわれる (図 1の点線 2の状態 ¢0 。 このように、 ドープの粘度を、 取り扱いやすい範囲に低く維 持しつつ、 膜状物の強度を高めて搬送張力によって伸び にくくすることは困 難であった。

[0017] これに対して、 本発明者らは、 カルボニル基などの極性基を有する熱可塑 性樹脂に、 張力調整剤として特定の含窒素へテロ環化合 物または特定の金属 イオンを添加することで、 ドープの粘度 (溶液粘度) を低く維持しつつ (図 1の実線の状態 3) 、 得られる膜状物の強度を高めて伸びにくく しうること (図 1の実線の状態〇) を見出した。 つまり、 良好な製膜性と、 (乾燥時の 変形に起因する) 膜厚ムラの抑制と、 を高度に両立できることを見出した。

[0018] この理由は明らかではないが、 以下のように推測される。 熱可塑性樹脂が 有するカルボニル基などの極性基と、 張力調整剤である含窒素へテロ環化合 物の窒素原子または金属イオンとが相互作用 しやすいため、 カルボニル基な どの極性基を有する熱可塑性樹脂の分子同士 が、 含窒素へテロ環化合物また は金属イオンを介して擬似架橋、 具体的には、 擬似的な三次元ネッ トワーク 構造を形成しやすい。 その結果、 熱可塑性樹脂の分子量を高く しなくても、 すなわち、 ドープの粘度を増大させなくても、 膜状物の強度が高められ、 伸 びにくくなる。 一方、 ドープの状態では、 溶媒によって濃度が薄まるため、 熱可塑性樹脂の極性基と、 張力調整剤である含窒素へテロ環化合物の窒 素原 子や金属イオンとの相互作用は切断されやす く、 粘度の過剰な上昇も生じに \¥0 2020/175586 5 卩(:170? 2020 /007865

くい。 本発明は、 このような知見に基づいてなされたものであ る。

[0019] 1 . 光学フィルム

本発明の光学フィルムは、 熱可塑性樹脂と、 張力調整剤とを含む。

[0020] 1 - 1 . 熱可塑性樹脂

熱可塑性樹脂は、 溶液製膜法で製膜でき、 かつ良好な透明性と、 低い吸湿 性とを有する光学フィルムが得られやすい観 点などから、 (メタ) アクリル 系樹脂、 または極性基を有するシクロオレフィン系樹 脂であることが好まし い。

[0021 ] ( (メタ) アクリル系樹脂)

(メタ) アクリル系樹脂は、 (メタ) アクリル酸エステルの単独重合体、 または (メタ) アクリル酸エステルとそれと共重合可能な共 重合モノマーと の共重合体である。 なお、 (メタ) アクリルとは、 アクリルまたはメタクリ ルを意味する。 (メタ) アクリル酸エステルは、 メタクリル酸メチルである ことが好ましい。

[0022] すなわち、 (メタ) アクリル系樹脂は、 メタクリル酸メチルに由来する構 造単位を含み、 それと共重合可能なメタクリル酸メチル以外 の共重合モノマ - (以下、 単に 「共重合モノマー」 という) に由来する構造単位をさらに含 みうる。

[0023] 共重合モノマーは、 特に制限されないが、 溶液製膜時の乾燥性を高めやす くする観点では、 環構造を有する共重合モノマーを含むことが 好ましい。 環 構造の例には、 脂環、 芳香環およびイミ ド環が含まれる。 そのような環構造 を有する共重合モノマーは、 分子の自由体積が大きいことから、 溶液製膜エ 程において、 膜状物の樹脂マトリクス中で、 溶媒分子を移動させるための隙 間 (空間) を形成しやすい。 それにより、 溶媒の除去性、 すなわち、 乾燥性 を高めることができる。

[0024] 環構造を有する共重合モノマーの例には、

(メタ) アクリル酸ジシクロペンタニル、 (メタ) アクリル酸イソボルニ ル、 (メタ) アクリル酸アダマンチル、 (メタ) アクリル酸シクロヘキシル \¥0 2020/175586 6 卩(:170? 2020 /007865

、 六員環ラクトン (メタ) アクリル酸エステルなどの脂環を有する (メタ) アクリル酸エステル;

ビニルシクロヘキサンなどの脂環を有するビ ニル類;

スチレン、 〇—メチルスチレン、 01—メチルスチレン、 _メチルスチレ ン、 《—メチルスチレンなどの芳香環を有するビ ニル類;および

1\1—フエニルマレイミ ド、 1\1—エチルマレイミ ド、 1\1—プロピルマレイミ ド、 1\1—シクロヘキシルマレイミ ド、 1\1—〇—クロロフエニルマレイミ ドな どのマレイミ ド類 (イミ ド環を有する化合物) が含まれる。

[0025] 中でも、 環構造を有する共重合モノマーは、 芳香環を有する共重合モノマ - (例えば芳香環を有するビニル類) 、 またはイミ ド環を有する共重合モノ マー (例えばマレイミ ド類) であることが好ましい。 これらのモノマーは、 (メタ) アクリル系樹脂のガラス転移温度を高めやす いだけでなく、 張力調 整剤と相互作用して、 擬似架橋を形成しやすい。

[0026] 共重合モノマーに由来する構造単位は、 環構造を有する共重合モノマーに 由来する構造単位以外の他の共重合モノマー に由来する構造単位をさらに含 んでもよい。

[0027] 他の共重合モノマーの例には、 環構造を有しない共重合モノマー、 すなわ ち、

(メタ) アクリル酸エチル、 (メタ) アクリル酸プロピル、 (メタ) アク リル酸プチル、 (メタ) アクリル酸 2 -ヒドロキシエチル、 (メタ) アクリ ル酸ヘキシル、 (メタ) アクリル酸 2 -エチルヘキシル、 (メタ) アクリル 酸门ーオクチルなどの炭素原子数 2〜 2 0の (メタ) アクリル酸アルキルエ ステル;

(メタ) アクリロニトリルなどの不飽和二トリル類;

(メタ) アクリル酸、 クロトン酸、 (メタ) アクリル酸などの不飽和カル ボン酸類;

酢酸ビニル、 エチレンやプロピレンなどのオレフィン類;

塩化ビニル、 塩化ビニリデン、 フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル \¥0 2020/175586 7 卩(:170? 2020 /007865

類;

(メタ) アクリルアミ ド、 メチル (メタ) アクリルアミ ド、 エチル (メタ ) アクリルアミ ド、 プロピル (メタ) アクリルアミ ドなどの (メタ) アクリ ルアミ ド類が含まれる。 これらは、 単独で用いてもよいし、 2種以上を併用 してもよい。

[0028] 共重合モノマーに由来する構造単位の総量は 、 求められる性能に応じて適 宜調整されうるが、 (メタ) アクリル系樹脂を構成する全構造単位 1 〇〇質 量%に対して、 例えば〇〜 5 0質量%であり、 1 0〜 4 0質量%であること が好ましく、 1 0〜 3 0質量%であることがより好ましい。 また、 当該共重 合モノマーに由来する構造単位の総量に対す る、 環構造を有する共重合モノ マーに由来する構造単位の含有量は、 例えばフィルムの耐熱性や乾燥温度を 高めやすくする観点では、 5 0質量%以上であることが好ましく、 1 0 0質 量%であることがより好ましい。

[0029] すなわち、 (メタ) アクリル系樹脂が、 環構造を有する共重合モノマーに 由来する構造単位を含む場合、 その含有量は、 (メタ) アクリル系樹脂を構 成する全構造単位に対して 1 〇〜 4 0質量%であることが好ましく、 1 〇〜

3 0質量%であることがより好ましい。 環構造を有する共重合モノマーに由 来する構造単位の含有量が 1 〇質量%以上であると、 (メタ) アクリル系樹 脂のガラス転移温度を高めやすいため、 溶液製膜時の乾燥温度を高めやすい だけでなく、 膜状物中に環構造に由来して、 溶媒が移動できる空間を形成し やすいため、 乾燥性も高めやすい。 また、 環構造を有する共重合モノマーに 由来する構造単位の含有量が 4 0質量%以下であると、 (メタ) アクリル系 樹脂を含む膜状物が脆くなりすぎない。

[0030] (メタ) アクリル系樹脂のモノマーの種類や組成は、 により特 定することができる。

[0031 ] (メタ) アクリル系樹脂のガラス転移温度 (丁 9) は、 9 0 °〇以上である ことが好ましい。 (メタ) アクリル系樹脂の丁 9が 9 0 °〇以上であると、 光 学フィルムの耐熱性を高めうるだけでなく、 溶液製膜時の乾燥温度を高める ことができるため、 乾燥性を高めやすい。 溶液製膜時の乾燥温度をより高め やすく し、 かつ光学フィルムの靱性を損ないにくくする 観点では、 (メタ) アクリル系樹脂の T gは、 1 00〜 1 50°Cであることがより好ましい。

[0032] (メタ) アクリル系樹脂のガラス転移温度 (T g) は、 DSC (D i f f e r e n t i a l S c a n n i n g Co l o r i me t r y : 差走査熱 量法) を用いて、 J I S K 7 1 2 1 -201 2または A S TM D 34 1 8-82に準拠して測定することができる。

[0033] (メタ) アクリル系樹脂のガラス転移温度 (T g) は、 モノマー組成によ つて調整することができる。 (メタ) アクリル系樹脂のガラス転移温度 (T g) を高めるためには、 例えば環構造を有する共重合モノマーに由来 する構 造単位の含有量を多くすることが好ましい。

[0034] (メタ) アクリル系樹脂の重量平均分子量 (Mw) は、 60〜 300万で あることが好ましい。 メタクリル系樹脂の重量平均分子量が上記範 囲である と、 フィルムに十分な機械的強度 (靱性) を付与しつつ、 製膜性や乾燥性も 損なわれにくい。 (メタ) アクリル系樹脂の重量平均分子量 (Mw) は、 上 記観点から、 1 〇〇万〜 200万であることがより好ましい。

[0035] (メタ) アクリル系樹脂の重量平均分子量 (Mw) は、 ゲルパーミエーシ ヨンクロマトグラフィー (G PC) によりポリスチレン換算にて測定するこ とができる。 具体的には、 東ソー社製 H LC 8220 G PC) 、 カラム (東 ソー社製 TS K-GE L G 6000 HXL-G 5000 HXL-G 500 0 HXL— G 4000 HXL— G 3000 HXL 直列) を用いて測定するこ とができる。 測定条件は、 後述する実施例と同様としうる。

[0036] (極性基を有するシクロオレフィン系樹脂)

極性基を有するシクロオレフィン系樹脂は、 特に制限されないが、 極性基 を有するノルボルネン骨格含有モノマーに由 来する構造単位を含む重合体で あることが好ましい。

[0037] 極性基を有するノルボルネン骨格含有モノマ ーは、 式 (A— 1) または ( A- 2) で表されるモノマーであることが好ましく、 樹脂が有する極性基を \¥0 2020/175586 9 卩(:170? 2020 /007865

フイルム表面に局在化させやすくする観点 では、 式 (八一 2) で表されるモ ノマーであることがより好ましい。

[0038] [化 1 ]

[0039] 式 ( 一 ·!) 中、 それぞれ独立に水素原子、 炭素原子数 1〜

3 0の炭化水素基、 または極性基を表す。 ただし、 の少なくとも一 つは極性基である。 また、 および が水素原子であり、 かつ および 4が水素原子以外の基である場合を除く。

[0040] 極性基は、 酸素原子、 硫黄原子および窒素原子などの電気陰性度の 高い原 子によって分極が生じている官能基をいう。 そのような極性基の例には、 力 ルボキシ基、 ヒドロキシ基、 アルコキシカルボニル基、 アリールオキシカル ボニル基、 アミノ基、 アミ ド基、 シアノ基、 およびこれらの基がアルキレン 基などの連結基を介して結合した基などが含 まれる。 中でも、 カルボキシ基 、 ヒドロキシ基、 アルコキシカルボニル基またはアリールオキ シカルボニル 基が好ましく、 溶液製膜時の溶解性を確保する観点では、 アルコキシカルボ ニル基およびアリールオキシカルボニル基が より好ましい。

[0041 ] は、 〇〜 2の整数を表す。

[0042] [化 2]

[0043] 式 (八_ 2) 中、 水素原子、 炭素原子数 1〜 5の炭化水素基、 また は炭素原子数 1〜 5のアルキル基を有するアルキルシリル基を す。 中でも 、 炭素原子数 1〜 3の炭化水素基が好ましい。 \¥0 2020/175586 10 卩(:170? 2020 /007865

[0044] は、 極性基を示す。 極性基の例には、 前述と同様のものが含まれる。 中 でも、 カルボキシ基、 ヒドロキシ基、 アルコキシカルボニル基、 アリールオ キシカルボニル基、 アミノ基、 アミ ド基、 またはシアノ基が好ましく、 カル ボキシ基、 ヒドロキシ基、 アルコキシカルボニル基およびアリールオキ シカ ルボニル基がより好ましく、 溶液製膜時の溶解性を確保する観点では、 アル コキシカルボニル基またはアリールオキシカ ルボニル基がさらに好ましい。

[0045] は、 〇〜 2の整数を表す。

[0046] 式 (八一 1) または (八一 2) で表されるモノマーの例には、 以下のもの が含まれる。

[化 3]

[0047] 極性基を有するシクロオレフィン系樹脂は、 必要に応じて上記極性基を有 \¥0 2020/175586 1 1 卩(:170? 2020 /007865

するノルボルネン骨格含有モノマーと共重 合可能な共重合モノマー (以下、 「共重合モノマー」 という) に由来する構造単位をさらに含んでもよい。

[0048] 共重合モノマーの例には、 極性基を有しないノルボルネン骨格含有モノ マ - :極性基を有するノルボルネン骨格含有モノ ーと開環共重合可能な共重 合モノマー;および極性基を有するノルボル ネン骨格含有モノマーと付加共 重合可能な共重合モノマーが含まれる。

[0049] 開環共重合可能な共重合モノマーの例には、 シクロブテン、 シクロペンテ ン、 シクロヘプテン、 シクロオクテン、 ジシクロペンタジェンなどの、 ノル ボルネン骨格を有しないシクロオレフィンが 含まれる。

[0050] 付加共重合可能な共重合モノマーの例には、 不飽和二重結合含有化合物、 ビニル系環状炭化水素単量体、 (メタ) アクリル酸ェステルが含まれる。 不 飽和二重結合含有化合物の例には、 炭素原子数 2〜 1 2 (好ましくは 2〜 8 ) のオレフィン系化合物であり、 その例には、 ェチレン、 プロピレン、 ブテ ンが含まれる。 ビニル系環状炭化水素単量体の例には、 4—ビニルシクロべ ンテン、 2—メチルー 4—イソプロべニルシクロペンテン等のビニ シクロ ペンテン系単量体が含まれる。 (メタ) アクリル酸ェステルの例には、 (メ 夕) アクリル酸メチル、 (メタ) アクリル酸 2 -ェチルヘキシル、 (メタ) アクリル酸シクロヘキシルなどの炭素原子数 1〜 2 0の (メタ) アクリル酸 アルキルェステルが含まれる。

[0051 ] 中でも、 極性基を有するシクロオレフィン系樹脂は、 式 (八一 1) または (八 _ 2) で表されるモノマーの単独重合体または共重 合体であることが好 ましく、 例えば以下のものが挙げられる。

(1) 極性基を有するノルボルネン骨格含有モノマ ーの開環重合体

(2) 極性基を有するノルボルネン骨格含有モノマ ーと共重合性単量体と の開環共重合体

(3) 上記 (1) または (2) の開環 (共) 重合体の水素添加 (共) 重合 体

(4) 上記 (1) または (2) の開環 (共) 重合体をフリーデル · クラフ \¥0 2020/175586 12 卩(:170? 2020 /007865

ツ反応により環化した後、 水素添加した (共) 重合体

(5) 極性基を有するノルボルネン骨格含有モノマ ーと不飽和二重結合含 有化合物との飽和重合体

(6) 極性基を有するノルボルネン骨格含有モノマ ーの付加型 (共) 重合 体及びその水素添加 (共) 重合体

( 7) 極性基を有するノルボルネン骨格含有モノマ ーとメタクリレート、 又はアクリレートとの交互共重合体

[0052] 中でも、 (1) 〜 (3) が好ましく、 (3) がより好ましい。 すなわち、 シクロオレフィン系樹脂は、 式 (巳一 1) で表される構造単位または式 (巳 - 2) で表される構造単位を含む重合体であること が好ましい。 式 (巳_ 1 ) で表される構造単位は、 前述の式 (八_ 1) で表されるモノマーに由来し ;式 (巳_ 2) で表される構造単位は、 前述の式 (八_ 2) で表されるモノ マーに由来する。 このようなシクロオレフィン系樹脂は、 式 (巳一 2) で表 される構造単位を含む重合体、 または式 (巳_ 1) で表される構造単位と式 (6 - 2) で表される構造単位の両方を含む重合体であ ることが好ましい。 シクロオレフィン系樹脂のガラス転移温度が 高く、 かつ透明性の高い優れた ものとなるからである。

[0053] [化 4]

[0054] 式 (巳一 1) 中の Xは、 一〇1 ~ 1 =〇1 _ 1—または一〇1 ~ 1 2 〇1 _ 1 2 —を表す。 式 (巳一 1) および は、 式 (八一 1) および と それぞれ同義である。

[0055] \¥0 2020/175586 13 卩(:170? 2020 /007865

[化 5]

[0056] 式 (巳一 2) 中の Xは、 一〇 1 ~ 1 =〇 1 ~ 1—または一〇 1 ~ 1 2 〇 1 ~ 1 2 —を表す。 式 (巳一 2) 中の [^ 、 および〇は、 式 (八一 2) および〇と それぞれ同義である。

[0057] 極性基を有するノルボルネン骨格含有モノマ ーに由来する構造単位の含有 童 (好ましくは式 (巳 _ 1) で表される構造単位と式 (巳 _ 2) で表される 構造単位の総量) は、 シクロオレフィン系樹脂を構成する全構造単 位に対し て 5 0〜 1 0 0質量%としうる。

[0058] 極性基を有するシクロオレフィン系樹脂の重 量平均分子量 は、 2 万〜 3 0万であることが好ましい。 極性基を有するシクロオレフィン系樹脂 の重量平均分子量 (IV! \«) が上記範囲内であると、 フィルムに十分な機械的 強度を付与しつつ、 製膜性が損なわれにくい。 極性基を有するシクロオレフ ィン系樹脂の重量平均分子量 (1\/1 ) は、 上記観点から、 4万〜 2 0万であ ることがより好ましい。 重量平均分子量 (1\/1 ) は、 前述と同様の方法で測 定することができる。

[0059] 極性基を有するシクロオレフィン系樹脂のガ ラス転移温度 (丁 9) は、 通 常 1 1 0 °〇以上であり、 1 1 〇〜 3 5 0 °〇であることが好ましく、 1 2 0〜 2 5 0 °〇であることがより好ましく、 1 2 0〜 2 2 0 °〇であることが特に好 ましい。 ガラス転移温度 (丁 9) が 1 1 0 ° 〇以上であると、 高温条件下での 使用や、 コーティング、 印刷などの二次加工による変形が抑制される ため好 ましい。 また、 ガラス転移温度 (丁 9) が 3 5 0 ° 〇以下であると、 成形加工 や成形加工時の熱による樹脂劣化が抑制され るため好ましい。

[0060] 熱可塑性樹脂の含有量は、 光学フィルムに対して 6 0質量%以上であるこ とが好ましく、 7 0質量%以上であることがより好ましく、 8 0質量%以上 \¥0 2020/175586 14 卩(:170? 2020 /007865

であることがさらに好ましい。

[0061 ] 1 - 2 . 張力調整剤

張力調整剤は、 熱可塑性樹脂が有するカルボニル基などの極 性基と相互作 用して (擬似架橋して) 、 フィルムの伸び率を低くする。 張力調整剤は、 特 に制限されないが、 上記機能を発現しやすい観点から、 含窒素へテロ環化合 物、 または、 極性基を有する熱可塑性樹脂とアイオノマー を形成する金属イ オンであることが好ましい。

[0062] (含窒素へテロ環化合物)

含窒素へテロ環化合物は、 下記式 (丨) で表される構造を含むことが好ま しい。

[化 6]

[0063] 式 ( I) 中、 は、 水素原子、 脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基 を表す。 脂肪族炭化水素基の例には、 メチル基、 エチル基などの炭素原子数 1〜 3のアルキル基が含まれる。 芳香族炭化水素基の例には、 フヱニル基な どの炭素原子数 6〜 1 4のアリール基が含まれる。 中でも、 立体障害が少な く、 熱可塑性樹脂との相互作用を生じやすくする 観点から、 は、 水素原子 または脂肪族炭化水素基であることが好まし く、 水素原子であることがより 好ましい。

[0064] nは、 0または 1である。

[0065] 中でも、 nが 1であるとき、 水素原子であることが好ましい。 すな わち、 式 (丨) で表される構造における、 窒素原子を含む環 (含窒素へテロ 環、 式 (丨) の*の部分) が、 1^(·!基を有することで、 例えば (メタ) アク リル系樹脂などの熱可塑性樹脂との間で適度 な強さの水素結合を形成しやす い。 それにより、 溶液製膜時のドープの粘度を増大させること なく、 フィル \¥0 2020/175586 15 卩(:170? 2020 /007865 ムの伸び率を低く しやすい。

[0066] 式 ( I) で表される構造における含窒素へテロ環の構 成原子数 (環構成原 子数) は、 5または 6である。 当該含窒素へテロ環の構成原子は、 窒素原子 と、 炭素原子とを含み、 必要に応じて酸素原子または硫黄原子をさら に含ん でもよい。 また、 当該含窒素へテロ環を構成する窒素原子は、 1つであって もよいし、 2以上あってもよい。 当該含窒素へテロ環は、 脂肪族へテロ環 ( 飽和環) であってもよいし、 芳香族へテロ環 (不飽和環) であってもよい。

[0067] すなわち、 式 (丨) で表される構造における含窒素へテロ環の例 には、 ピ ロリジン、 ピぺリジン、 モルホリン環などの脂肪族へテロ環 (飽和環) や; ピロール環、 イミダゾール環、 ピラゾール環、 オキサゾール環、 チアゾール 環、 イミダゾリン環、 トリアゾール環、 テトラゾール環、 ピリジン環、 チア ジン環、 ピリダジン環、 ピリミジン環、 ピラジン環などの芳香族へテロ環 ( 不飽和環) が含まれる。

[0068] また、 式 (丨) で表される構造における含窒素へテロ環は、 他の環と縮環 していてもよい。 他の環との縮環した、 式 (丨) で表される構造における含 窒素へテロ環は、 さらに水素添加されていてもよい。

[0069] また、 芳香族環に由来する構造単位を含む (メタ) アクリル系樹脂と 相互作用を形成しやすく、 光学フィルムの伸び率をより低減しやすくす る 観点では、 含窒素へテロ環化合物は、 芳香環を含むことが好ましい。 すなわ ち、 式 (丨) で表される構造における含窒素へテロ環が、 芳香族へテロ環で あるか; または、 当該含窒素へテロ環が、 芳香族へテロ環もしくは芳香族炭 化水素環と縮環していることが好ましい。

[0070] 式 ( I) で表される構造を有する含窒素へテロ環化合 物の例には、 以下の ものが含まれる。 \¥0 2020/175586 16 卩(:17 2020 /007865

[化 7]

[0071 ] 中でも、 式 (丨) で表される構造における含窒素へテロ環は、 基を有 \¥0 2020/175586 17 卩(:170? 2020 /007865

する芳香族へテロ環であるか; または、 式 (丨) で表される構造における含 窒素へテロ環が 1 ~ 1基を有し、 かつ芳香族へテロ環もしくは芳香族炭化水素 環と縮環していることがより好ましい。

[0072] また、 含窒素へテロ環化合物は、 ヒドロキシ基を有しないことが好ましい 。 含窒素へテロ環化合物の立体障害の程度にも よるが、 ヒドロキシ基を有し ないほうが、 熱可塑性樹脂が有する極性基との相互作用が 強くなりすぎず、 溶液製膜時のドープの粘度が増大しすぎない からである。

[0073] 含窒素へテロ環化合物の分子量は、 2 5 0以下であることが好ましい。 分 子量が 2 5 0以下である含窒素へテロ環化合物は、 立体障害を生じるような 嵩高い構造を有しないため、 熱可塑性樹脂が有する極性基と相互作用しや す く、 擬似架橋を形成しやすい。 当該含窒素へテロ環化合物の分子量は、 上記 観点から、 8 0〜 1 8 0であることがより好ましい。 含窒素へテロ環化合物 の分子童は、 式童から算出することができる。

[0074] (金属イオン)

金属イオンは、 熱可塑性樹脂が有するカルボニル基などの極 性基と相互作 用して、 擬似架橋を形成しうるものであればよく、 特に制限されない。 すな わち、 金属イオンは、 熱可塑性樹脂の極性基などと相互作用して、 アイオノ マーを形成しうる。

[0075] 金属イオンの例には、 ナトリウムイオン、 カリウムイオン、 リチウムイオ ン、 銀イオンなどの 1価の金属イオン;亜鉛イオン、 マグネシウムイオン、 カルシウムイオン、 鉄イオン、 銅イオン、 バリウムイオンなどの 2価の金属 イオン; アルミニウムイオンなどの 3価の金属イオンが含まれる。 中でも、 安定性が高く、 かつ架橋部位を多く しうる観点から、 マグネシウムイオンな どの 2価のイオン、 およびアルミニウムイオンなどの 3価のイオンが好まし く、 アルミニウムイオンがより好ましい。

[0076] 熱可塑性樹脂が金属イオンを介して擬似架橋 されたアイオノマーは、 例え ば熱可塑性樹脂が有するカルボニル基などの 極性基を、 (前述の金属イオン を含む) 金属塩で中和させて得ることができる。 中和に用いられる金属塩は \¥0 2020/175586 18 卩(:170? 2020 /007865

、 金属酸化物、 金属水酸化物、 または金属炭酸塩などであり、 好ましくは酸 化マグネシウム、 酸化アルミニウムなどの金属酸化物である。

[0077] 張力調整剤の含有量は、 熱可塑性樹脂に対して 1〜 2 0質量%であること が好ましい。 張力調整剤の含有量が 1質量%以上であると、 光学フィルムの 伸び率を十分に低く しやすく、 2 0質量%以下であると、 ドープの粘度が増 大しすぎないため、 製膜性が損なわれにくい。 張力調整剤の含有量は、 上記 観点から、 熱可塑性樹脂に対して 3〜 1 5質量%であることがより好ましい

[0078] 1 - 3 . 他の成分

光学フィルムは、 本発明の効果を損なわない範囲で、 上記以外の他の成分 をさらに含んでいてもよい。 他の成分の例には、 ゴム粒子、 ゴム粒子以外の 微粒子、 残留溶媒、 紫外線吸収剤、 酸化防止剤などが含まれる。

[0079] 1 - 3 - 1 . ゴム粒子

ゴム粒子は、 光学フィルムに柔軟性や靱性を付与しつつ、 光学フィルムの 表面に凹凸を形成して滑り性を付与しうる。

[0080] ゴム粒子は、 ゴム状重合体 (架橋重合体) を含むグラフト共重合体、 すな わち、 ゴム状重合体 (架橋重合体) からなるコア部と、 それを覆うシェル部 とを有するコアシェル型のゴム粒子であるこ とが好ましい。

[0081 ] ゴム粒子のガラス転移温度 (丁 9) は、 一 1 0 °〇以下であることが好まし い。 ゴム粒子のガラス転移温度 (丁 9) が一 1 0 °〇以下であると、 フィルム に十分な靱性を付与しやすい。 ゴム粒子のガラス転移温度 (丁 9) は、 一 1 5 °〇以下であることがより好ましく、 一2 0 °〇以下であることがさらに好ま しい。 ゴム粒子のガラス転移温度 (丁 9) は、 前述と同様の方法で測定され る。

[0082] ゴム粒子のガラス転移温度 (丁 9) は、 例えばコア部やシェル部を構成す るモノマー組成、 コア部とシェル部の質量比 (グラフト率) 、 および後述す るような軟質層と硬質層の質量比などによつ て調整することができる。 ゴム 粒子のガラス転移温度 (丁 9) を低くするためには、 後述するように、 例え \¥0 2020/175586 19 卩(:170? 2020 /007865

ばコア部のアクリル系ゴム状重合体 (3) を構成するモノマー混合物 (3’

) における、 アルキル基の炭素原子数が 4以上のアクリル酸エステル/共重 合可能なモノマーの合計の質量比を多くする (例えば 3以上、 好ましくは 4 以上 1 0以下とする) ことが好ましい。

[0083] ゴム状重合体の例には、 ブタジエン系架橋重合体、 (メタ) アクリル系架 橋重合体、 およびオルガノシロキサン系架橋重合体が含 まれる。 中でも、 メ タクリル系樹脂との屈折率差が小さく、 光学フィルムの透明性が損なわれに くい観点では、 (メタ) アクリル系架橋重合体が好ましく、 アクリル系架橋 重合体 (アクリル系ゴム状重合体) がより好ましい。

[0084] すなわち、 ゴム粒子は、 アクリル系ゴム状重合体 (3) を含むアクリル系 グラフト共重合体であることが好ましい。 アクリル系ゴム状重合体 (8) を 含むアクリル系グラフト共重合体は、 アクリル系ゴム状重合体 (3) を含む コア部と、 それを覆うシェル部とを有するコアシェル型 の粒子であることが 好ましい。 そのようなコアシェル型の粒子は、 アクリル系ゴム状重合体 (3 ) の存在下で、 メタクリル酸エステルを主成分とするモノマ ー混合物 (匕) を少なくとも 1段以上重合して得られる多段重合体である 重合は、 乳化重 合法で行うことができる。

[0085] (コア部について)

コア部を構成するアクリル系ゴム状重合体 (3) は、 アクリル酸エステル を主成分とする架橋重合体である。 アクリル系ゴム状重合体 (3) は、 アク リル酸エステルと、 それと共重合可能な任意のモノマーとを含む モノマー混 合物 (3’ ) 、 および、 1分子あたり 2以上の非共役な反応性二重結合 (ラ ジカル重合性基) を有する多官能性モノマーを重合させて得ら れる架橋重合 体である。 アクリル系ゴム状重合体 (3) は、 これらのモノマーを全部混合 して重合させて得てもよいし、 モノマー組成を変化させて 2回以上で重合さ せて得てもよい。

[0086] アクリル酸エステルは、 アクリル酸メチル、 アクリル酸プチルなどのアル キル基の炭素数 1〜 1 2のアクリル酸アルキルエステルであること 好まし \¥0 2020/175586 20 卩(:170? 2020 /007865

い。 アクリル酸エステルは、 1種類であってもよいし、 2種類以上であって もよい。 ゴム粒子のガラス転移温度 (丁 9) を一 1 5 °〇以下にする観点では 、 アクリル酸エステルは、 少なくとも、 炭素数 4〜 1 0のアクリル酸アルキ ルエステルを含むことが好ましい。

[0087] アクリル酸エステルの含有量は、 モノマー混合物 (3’ ) 1 0 0質量%に 対して 5 0〜 1 0 0質量%であることが好ましく、 6 0〜 9 9質量%である ことがより好ましく、 7 0〜 9 9質量%であることがさらに好ましい。 アク リル酸エステルの含有量が 5 0重量%以上であると、 フィルムに十分な靱性 を付与しやすい。

[0088] また、 ゴム粒子のガラス転移温度 (丁 9) を一 1 0 °〇以下にしやすくする 観点では、 モノマー混合物 (3’ ) における、 アルキル基の炭素数が 4以上 のアクリル酸アルキルエステル/それ以外の 重合可能なモノマーの合計の 質量比は、 3以上であることが好ましく、 4以上 1 0以下であることがより 好ましい。

[0089] 共重合可能なモノマーの例には、 メタクリル酸メチルなどのメタクリル酸 エステル;スチレン、 メチルスチレンなどのスチレン類; アクリロニトリル 、 メタクリロニトリルなどの不飽和二トリル類 などが含まれる。

[0090] 多官能性モノマーの例には、 アリル (メタ) アクリレート、 トリアリルシ アヌレート、 トリアリルイソシアヌレート、 ジアリルフタレート、 ジアリル マレート、 ジビニルアジべ一卜、 ジビニルベンゼン、 エチレングリコールジ (メタ) アクリレート、 ジエチレングリコール (メタ) アクリレート、 トリ エチレングリコールジ (メタ) アクリレート、 トリメチルロールプロパント リ (メタ) アクリレート、 テトロメチロールメタンテトラ (メタ) アクリレ —卜、 ジプロピレングリコールジ (メタ) アクリレート、 ポリエチレングリ コールジ (メタ) アクリレートが含まれる。

[0091 ] 多官能性モノマーの含有量は、 モノマー混合物 (3’ ) の合計 1 0 0質量 %に対して〇. 0 5〜 1 0質量%であることが好ましく、 〇. 1〜 5質量% であることがより好ましい。 多官能性モノマーの含有量が〇. 0 5質量%以 \¥0 2020/175586 21 卩(:170? 2020 /007865

上であると、 得られるアクリル系ゴム状重合体 (3) の架橋度を高めやすい ため、 得られるフィルムの硬度、 剛性が損なわれすぎず、 1 0質量%以下で あると、 フィルムの靱性が損なわれにくい。

[0092] (シェル部について)

シェル部を構成するモノマー混合物 (1〇) の重合体は、 アクリル系ゴム状 重合体 (3) に対するグラフト成分である。 モノマー混合物 (匕) は、 メタ アクリル酸エステルを主成分として含む。

[0093] メタクリル酸エステルは、 メタクリル酸メチルなどのアルキル基の炭素 数

1〜 1 2のメタクリル酸アルキルエステルであるこ が好ましい。 メタクリ ル酸エステルは、 1種類であってもよいし、 2種類以上であってもよい。

[0094] メタクリル酸エステルの含有量は、 モノマー混合物 (匕) 1 0 0質量%に 対して 5 0質量%以上であることが好ましい。 メタクリル酸エステルの含有 量が 5 0質量%以上であると、 得られるフィルムの硬度、 剛性を低下させに くく しうる。 また、 メチレンクロライ ドなどの溶媒との親和性を高める観点 では、 メタクリル酸エステルの含有量は、 モノマー混合物 (匕) 1 0 0質量 %に対して 7 0質量%以上であることがより好ましく、 8 0質量%以上であ ることがさらに好ましい。

[0095] モノマー混合物 (匕) は、 必要に応じて他のモノマーをさらに含んでも よ い。 他のモノマーの例には、 アクリル酸メチル、 アクリル酸エチル、 アクリ ル酸门ーブチルなどのアクリル酸エステル; (メタ) アクリル酸ベンジル、 (メタ) アクリル酸ジシクロペンタニル、 (メタ) アクリル酸フェノキシエ チルなどの脂環式構造、 複素環式構造または芳香族基を有する (メタ) アク リル系モノマー類 (環構造含有 (メタ) アクリル系モノマー) が含まれる。

[0096] (ゴム粒子 (アクリル系グラフト共重合体) について)

アクリル系グラフト共重合体の例には、 アクリル系ゴム状重合体 (3) 5 〜 7 5質量部の存在下で、 メタクリル酸エステルを主成分とするモノマ ー混 合物 (匕) 9 5〜 2 5質量部を少なくとも 1段階で重合させた重合体が含ま れる。 \¥0 2020/175586 22 卩(:170? 2020 /007865

[0097] アクリル系グラフト共重合体は、 必要に応じて、 アクリル系ゴム状重合体 (3) の内側に硬質重合体をさらに含んでもよい。 そのようなアクリル系グ ラフト共重合体は、 以下の (丨) 〜 (丨 丨 丨) の重合工程を経て得ることが できる。

( I) メタクリル酸エステル 4 0〜 1 0 0質量%と、 これと共重合可能な 他のモノマー 6 0〜〇質量%からなるモノマー混合物 (〇 1) 、 および多官 能性モノマー〇. 0 1〜 1 0質量部 (モノマー混合物 (〇 1) の合計 1 0 0 質量部に対して) を重合して硬質重合体を得る工程

( I I) アクリル酸エステル 6 0〜 1 0 0質量%と、 これと共重合可能な 他のモノマー〇〜 4 0質量%からなるモノマー混合物 (3 1) 、 および多官 能性モノマー〇. 1〜 5質量部 (モノマー混合物 ( 3 1) の合計 1 0 0質量 部に対して) を重合して軟質重合体を得る工程

( I I I ) メタクリル酸エステル 6 0〜 1 0 0質量%と、 これと共重合可 能な他のモノマー 4 0〜〇質量%からなるモノマー混合物 (1〇 1 ) 、 および 多官能性モノマー〇〜 1 〇質量部 (モノマー混合物 (匕 1) の合計 1 0 0質 量部に対して) を重合して硬質重合体を得る工程

[0098] (丨) 〜 (丨 丨 丨) の各重合工程の間に、 他の重合工程がさらに含まれて もよい。

[0099] アクリル系グラフト共重合体は、 さらに (丨 V) の重合工程を経て得られ てもよい。

( I V) メタクリル酸エステル 4 0〜 1 0 0質量%、 アクリル酸エステル 〇〜 6 0質量%、 および共重合可能な他のモノマー〇〜 5質量%からなるモ ノマー混合物 (匕 2) 、 ならびに多官能性モノマー〇〜 1 0質量部 (モノマ —混合物 (匕 2) 1 0 0質量部に対して) を重合して硬質重合体を得る。

[0100] 各工程で用いられるメタクリル酸エステル、 アクリル酸エステル、 共重合 可能な他のモノマー、 および多官能性モノマーは、 前述と同様のものを用い ることができる。

[0101 ] 軟質層は、 光学フィルムに衝撃吸収性を付与しうる。 軟質層の例には、 ア \¥0 2020/175586 23 卩(:170? 2020 /007865

クリル酸エステルを主成分とするアクリル 系ゴム状重合体 (3) からなる層 が含まれる。 硬質層は、 光学フィルムの靱性を損ないにくく し、 かつゴム粒 子の製造時に、 粒子の粗大化や塊状化を抑制しうる。 硬質層の例には、 メタ クリル酸エステルを主成分とする重合体から なる層が含まれる。

[0102] アクリル系グラフト共重合体におけるグラフ ト率 (アクリル系ゴム状重合 体 (3) に対するグラフト成分の質量比) は、 1 〇〜 2 5 0 %であることが 好ましく、 2 5〜 2 0 0 %であることがより好ましく、 4 0〜 2 0 0 %であ ることがより好ましく、 6 0〜 1 5 0 %であることがさらに好ましい。 グラ フト率が 1 0 %以上であると、 シェル部の割合が少なくなりすぎないため、 フィルムの硬度や剛性が損なわれにくい。 アクリル系グラフト共重合体のグ ラフト率が 2 5 0 %以下であると、 アクリル系ゴム状重合体 (3) の割合が 少なくなりすぎないため、 フィルムの靱性や脆性改善効果が損なわれに くい

[0103] アクリル系グラフト共重合体のグラフト率は 、 以下の方法で測定される。

1) アクリル系グラフト共重合体 2 9を、 メチルエチルケトン 5 0 丨 に 溶解させ、 遠心分離機 (日立エ機 (株) 製、 〇 6 0巳) を用い、 回転数 3 0 0 0 0 「 01、 温度 1 2 ° 〇にて 1時間遠心し、 不溶分と可溶分とに分離す る (遠心分離作業を合計 3回セッ ト) 。

2) 得られた不溶分の重量を下記式に当てはめて 、 グラフト率を算出する グラフト率 (%) = [ { (メチルエチルケトン不溶分の重量) 一 (アクリ ル系ゴム状重合体 (3) の重量) } / (アクリル系ゴム状重合体 (3) の重 量) ] X 1 0 0

[0104] ゴム粒子の平均粒子径は、 1 0 0〜 4 0 0 n であることが好ましく、 1 であることがより好ましい。 平均粒子径が 1 0 0 n 以上 であると、 フィルムに十分な靱性を付与しやすく、 4 0 0 n 以下であると 、 フィルムの透明性が低下しにくい。

[0105] ゴム粒子の平均粒子径は、 フィルム表面および切片の 3巳!\/1撮影または丁 \¥0 2020/175586 24 卩(:170? 2020 /007865

巳 IV!撮影によって得た粒子 1 0 0個の円相当径の平均値として特定される。 円相当径は、 撮影によって得られた粒子の投影面積を、 同じ面積を持つ円の 直径に換算することによって求めることがで きる。 この際、 倍率 5 0 0 0倍 の 3巳 IV!観察および/または丁巳 IV!観察によって観察されるゴム粒子 (アク リル系グラフト共重合体) を、 平均粒子径の算出に使用する。 なお、 分散液 でのゴム粒子 (アクリル系グラフト共重合体) の平均粒子径は、 ゼータ電位 -粒径測定システム (大塚電子株式会社製 巳 !_ 3 一 2 0 0 0 3) で測 定することができる。

[0106] ゴム粒子の含有量は、 熱可塑性樹脂に対して〇〜 3 0質量%であることが 好ましく、 2〜 2 0質量%であることがより好ましい。 ゴム粒子の含有量が 2質量%以上であると、 得られるフィルムに十分な靱性を付与しやす く、 3 0質量%以下であると、 ヘイズが上昇しすぎない。

[0107] 1 - 3 - 2 . 微粒子

光学フィルムは、 滑り性をさらに高める観点などから、 マツ ト剤として、 無機微粒子またはゴム粒子以外の有機微粒子 をさらに含んでもよい。

[0108] 無機微粒子を構成する無機材料の例には、 二酸化珪素 (3 丨 〇 2 ) 、 二酸化 チタン、 酸化アルミニウム、 酸化ジルコニウム、 炭酸カルシウム、 炭酸カル シウム、 タルク、 クレイ、 焼成カオリン、 焼成ケイ酸カルシウム、 水和ケイ 酸カルシウム、 ケイ酸アルミニウム、 ケイ酸マグネシウム、 およびリン酸力 ルシウムが含まれ、 ヘイズの増大を少なくする観点では、 好ましくは二酸化 ケイ素である。 有機微粒子は、 ガラス転移温度 (丁 9) が、 好ましくは 8 0 °〇以上の樹脂粒子である。 中でも、 フィルムの靱性を高めやすい観点から、 有機微粒子が好ましい。

[0109] 1 - 3 - 3 . 残留溶媒

光学フィルムは、 後述するように溶液製膜法により製造される ことから、 溶液製膜法で用いられるドープの溶媒に由来 する残留溶媒を含んでいてもよ い。

[01 10] 残留溶媒量は、 光学フィルムに対して 7 0 0 以下であることが好ま \¥02020/175586 25 卩(:170? 2020 /007865

しく、 30〜 700 であることがより好ましい。 残留溶媒の含有量は 、 後述する光学フィルムの製造工程における、 支持体上に流延させたドープ の乾燥条件によって調整されうる。

[0111] 光学フィルムの残留溶媒量は、 ヘッ ドスぺースガスクロマトグラフィーに より測定することができる。 へッ ドスペースガスクロマトグラフィー法では 、 試料を容器に封入し、 加熱し、 容器中に揮発成分が充満した状態で速やか に容器中のガスをガスクロマトグラフに注入 し、 質量分析を行って化合物の 同定を行いながら揮発成分を定量するもので ある。 へッ ドスべース法では、 ガスクロマトグラフにより、 揮発成分の全ピークを観測することを可能に す るとともに、 電磁気的相互作用を利用した分析法を用いる ことによって、 高 精度で揮発性物質やモノマーなどの定量も併 せて行うことができる。

[0112] 1 -4. 光学フィルムの物性

(溶液粘度)

光学フィルムを、 エタノール/メチレンクロライ ド (8/92質量比) 混 合溶媒に 1 3. 5質量%の濃度となるように溶解させた溶液 、 23°〇にお ける巳型粘度計における粘度は、 5000〜 50000 3であるこ とが好ましい。 当該溶液粘度の範囲は、 光学フィルムの製造工程におけるド —プの粘度の範囲にほぼ対応している。 そのため、 当該溶液の粘度が 500 0 X)9 a 3以上であると、 得られるフィルムの伸び率を低くすることが で き ; 50000 3以下であると、 溶液製膜時のドープの粘度が高す ぎないため、 製膜性が損なわれない。 光学フィルムの溶液粘度は、 上記観点 から、 3であることがより好ましく、 20

000〜 35000〇1 3 3であることがさらに好ましい。

[0113] 光学フィルムの溶液粘度は、 熱可塑性樹脂の分子量や、 張力調整剤の種類 および含有量などによって調整することがで きる。 光学フィルムの溶液粘度 を低くするためには、 例えば熱可塑性樹脂の分子量を低く したり、 張力調整 剤の含有量を一定以下としたりすることが好 ましい。

[0114] (伸び率) \¥0 2020/175586 26 卩(:170? 2020 /007865

光学フィルムの伸び率は、 5 %以下であることが好ましい。 伸び率が 5 % 以下であると、 溶液製膜工程の延伸後の乾燥時などにおいて 、 高温で乾燥さ れても、 膜状物が伸びにくい。 そのため、 トタン状の変形を抑制することが でき、 当該変形に起因する膜厚ムラを低減できる。 光学フィルムの上記伸び 率は、 上記観点から、 3 %以下であることがより好ましく、 〇. 1〜 2 %で あることがさらに好ましい。

[01 15] 光学フィルムの伸び率は、 以下の手順で測定することができる。

1) まず、 上記溶液粘度の測定用に調製した溶液を、 ガラス板上にアプリ ケータにより塗布し、 当該塗膜を、 残留溶媒量が 5質量%程度となるまで 2 3 °〇で乾燥させた後、 ガラス板から剥がして、 乾燥厚み 4 0 のフィルム を複数枚準備する。

フィルムの残留溶媒量は、 以下の方法で測定することができる。 フィルムの残留溶媒量 (質量%) = (フィルムの加熱処理前質量ーフィル ムの加熱処理後質量) /フィルムの加熱処理後質量 X 1 〇〇

なお、 加熱処理とは、 1 4 0 ° 〇 1 5分の加熱処理をいう。

2) 次いで、 上記 1) で得られた、 残留溶媒量が 5質量%以下のフィルム と 5質量%超 1 0質量%未満のフィルム (それぞれ 2点ずつ) の伸び率を、 」 丨 3 < 7 1 1 5 : 1 9 9 9 (引張クリープ試験) に準拠して、 下記条件 でそれぞれ測定する。 すなわち、 伸び率は、 所定時間、 所定の荷重を付与し たことにより生じた伸び (標線間距離の変化量) -の、 初期の標線間距離 !-〇に対する割合 (△!_ / !_ 1 0 0) (%) として表される。 測定装置とし ては、 オリエンテック社製テンシロン[¾丁〇_ 1 2 2 5八を用いることがで きる。

(測定条件)

測定温度: (丁 9 _ 1 0) °

引張荷重: 〇. 7 5

引張時間: 1 5分

3) 上記 2) で得られた測定結果から、 横軸:残留溶媒量 (質量%) 、 縦 \¥02020/175586 27 卩(:170? 2020 /007865

軸 :伸び率 (%) のプロッ トを作成し、 残留溶媒量が 5質量%であるときの 伸び率を内揷により求める。 なお、 内挿は、 一次関数により行う。

[0116] 光学フィルムの伸び率は、 例えば張力調整剤の種類や含有量によって調 整 することができる。 光学フィルムの伸び率を低くするためには、 例えば張力 調整剤の含有量を適度に (溶液粘度が増大しすぎない程度に) 多くすること が好ましい。 すなわち、 光学フィルムの溶液粘度を低く維持しつつ、 伸び率 を低くするためには、 例えば熱可塑性樹脂の分子量を高くするので はなく、 張力調整剤の含有量を (溶液粘度が増大しすぎない程度に) 一定以上とする ことが好ましい。

[0117] (ヘィズ)

光学フィルムは、 透明性が高いことが好ましい。 光学フィルムのヘイズは 、 4. 0%以下であることが好ましく、 2. 0%以下であることがより好ま しく、 1 . 0%以下であることがさらに好ましい。 ヘイズは、 試料 40

試験機) で、 」 に従って測定することができる。

[0118] (位相差 [¾〇および [¾ 1:)

光学フィルムは、 例えば丨 3モード用の位相差フィルムとして用いる観 点では、 測定波長 550 n m、 23°C55%R Hの環境下で測定される面内 方向の位相差 8〇は、 〇〜 1 01·!〇!であることが好ましく、 〇〜 5 〇!であ ることがより好ましい。 光学フィルムの厚み方向の位相差 1:は、 一 20〜 20 n であることが好ましく、 一 1 0〜 1 0 n であることがより好まし い。

[0119] [¾〇および は、 それぞれ下記式で定義される。

式 (28) : [¾〇= (1^父— 11 7) X 01

式 (21〇) : [¾ = ( (1^父十 1·^) / 2— 1^ 2.) X ¢1

(式中、

父は、 フィルムの面内遅相軸方向 (屈折率が最大となる方向) の屈折率 を表し、 n yは、 フィルムの面内遅相軸に直交する方向の屈折 率を表し、 n zは、 フィルムの厚み方向の屈折率を表し、

dは、 フィルムの厚み (n m) を表す。 )

[0120] 光学フィルムの面内遅相軸とは、 フィルム面において屈折率が最大となる 軸をいう。 光学フィルムの面内遅相軸は、 自動複屈折率計アクソスキャン ( A X〇 S c a n Mu e l l e r Ma t r i x P o l a r i me t e r : アクソメ トリックス社製) により確認することができる。

[0121] R oおよび R tは、 以下の方法で測定することができる。

1) 光学フィルムを 23 °C 55 %R Hの環境下で 24時間調湿する。 この フィルムの平均屈折率をアッベ屈折計で測定 し、 厚み dを市販のマイクロメ —ターを用いて測定する。

2) 調湿後のフィルムの、 測定波長 550 n mにおけるリターデーシヨン [¾〇および[¾ 1:を、 それぞれ自動複屈折率計アクソスキャン (Ax o S e a n Mu e l l e r Ma t r i x P o l a r i me t e r : アクソメ トリッ クス社製) を用いて、 23 ° C55%R Hの環境下で測定する。

[0122] 光学フィルムの位相差 R〇および R tは、 例えば熱可塑性樹脂の種類や延 伸条件によって調整することができる。 光学フィルムの位相差 R〇および R tを低くするためには、 例えば延伸によって位相差が出にくい熱可塑 性樹脂 を選択する (例えば負の複屈折を有するモノマー由来の 構造単位と、 正の複 屈折を有するモノマー由来の構造単位とで位 相差を相殺できるようなモノマ —比率を有する樹脂を選択する) ことが好ましい。

[0123] (厚み)

光学フィルムの厚みは、 例えば 5〜 1 O O^m、 好ましくは

としうる。

[0124] 2. 光学フィルムの製造方法

本発明の光学フィルムの製造方法は、 特に制限されないが、 比較的分子量 が高い樹脂を用いることができるなど、 使用できる材料の制限が少ない観点 から、 溶液製膜法 (キャスト法) が好ましい。 \¥0 2020/175586 29 卩(:170? 2020 /007865

[0125] すなわち、 本発明の光学フィルムは、 1) 少なくとも熱可塑性樹脂と、 張 力調整剤と、 溶媒とを含むドープを得る工程と、 2) 得られたドープを支持 体上に流延し、 乾燥および剥離して膜状物を得る工程と、 3) 得られた膜状 物をさらに乾燥させる工程とを経て製造され うる。

[0126] 1) の工程について

本工程では、 例えば熱可塑性樹脂と、 張力調整剤とを、 溶媒に溶解または 分散させて、 ドープを得ることができる。

[0127] 用いられる熱可塑性樹脂および張力調整剤は 、 それぞれ前述のものである 。 なお、 張力調整剤が金属イオンである場合、 金属イオンは、 金属塩として 添加されうる。

[0128] 用いられる溶媒は、 少なくとも熱可塑性樹脂を溶解させうる有機 溶媒 (良 溶媒) を含む。 良溶媒の例には、 メチレンクロライ ドなどの塩素系有機溶媒 や;酢酸メチル、 酢酸エチル、 アセトン、 テトラヒドロフランなどの非塩素 系有機溶媒が含まれる。 中でも、 メチレンクロライ ドが好ましい。

[0129] 用いられる溶媒は、 貧溶媒をさらに含んでいてもよい。 貧溶媒の例には、 炭素原子数 1〜 4の直鎖または分岐状の脂肪族アルコールが まれる。 ドー プ中のアルコールの比率が高くなると、 膜状物がゲル化しやすく、 金属支持 体からの剥離が容易になりやすい。 炭素原子数 1〜 4の直鎖または分岐状の 脂肪族アルコ _ルとしては、 メタノ _ル、 エタノール、 プロパノール、

I 3 0—プロパノール、 ブタノール、 3 6 0—ブタノール、 ㊀ 「 1: _ ブタノールを挙げることができる。 これらのうちドープの安定性、 沸点も比 較的低く、 乾燥性もよいことなどからエタノールが好ま しい。

[0130] ドープの粘度は、 特に制限されないが、 製膜性を高める点では低いほうが 好ましく、 得られるフィルムの伸び率を低くする点では 高いほうが好ましい 。 具体的には、 2 3 °〇において巳型粘度計で測定されるドープ 粘度は、 5

3であることが好ましい。 ドープの粘度が 5 0 、 製膜性を損なわない程度に、 得られるフィル ムの伸び率を低くすることができ ; 5 0 0 0 0〇1 3 3以下であると、 得 \¥0 2020/175586 30 卩(:170? 2020 /007865

られるフィルムの伸び率を低く しつつ、 ドープの粘度も高すぎないため、 製 膜性が損なわれない。 ドープの粘度は、 上記観点から、 1 0 0 0 0〜 4 0 0 0 0〇1 3 - 3であることがより好ましく、 2 0 0 0 0〜 3 5 0 0 0〇1 3 - 3であることがさらに好ましい。

[0131 ] ドープの粘度は、 熱可塑性樹脂の含有量や分子量、 張力調整剤の含有量な どによって調整されうる。 ドープの粘度を低くするためには、 熱可塑性樹脂 の含有量や分子量、 張力調整剤の含有量は、 いずれも低くすることが好まし い。

[0132] ドープの調製は、 溶媒に、 熱可塑性樹脂と、 張力調整剤とをそれぞれ直接 添加し、 混合して調製してもよいし;極性基を有する 熱可塑性樹脂中に張力 調整剤を均一に分散させやすくする観点から 、 溶媒に熱可塑性樹脂を溶解さ せた樹脂溶液と、 溶媒に張力調整剤と、 必要に応じてさらに少量の熱可塑性 樹脂とを分散させた添加剤分散液とをそれぞ れ調製しておき、 それらを混合 して調製してもよい。

[0133] 2) の工程について

本工程では、 得られたドープを、 支持体上に流延する。 ドープの流延は、 流延ダイから吐出させて行うことができる。

[0134] 次いで、 支持体上に流延されたドープ中の溶媒を適度 に蒸発させた後 (乾 燥させた後) 、 支持体から剥離して、 膜状物を得る。

[0135] 支持体から剥離する際のドープの残留溶媒量 (剥離時の膜状物の残留溶媒 量) は、 例えば 2 5質量%以上であることが好ましく、 3 0〜 3 7質量%で あることがより好ましく、 3 0〜 3 5質量%であることがさらに好ましい。 剥離時の残留溶媒量が 2 5質量%以上であると、 剥離後の膜状物から溶媒を 一気に揮発させやすい。 また、 剥離時の残留溶媒量が 3 7質量%以下である と、 剥離による膜状物が伸びすぎるのを抑制でき る。

[0136] 剥離時のドープの残留溶媒量は、 下記式で定義される。 以下においても同 様である。

ドープの残留溶媒量 (質量%) = (ドープの加熱処理前質量ードープの加 \¥0 2020/175586 31 卩(:170? 2020 /007865

熱処理後質量) /ドープの加熱処理後質量 X 1 〇〇

なお、 残留溶媒量を測定する際の加熱処理とは、 1 4 0 ° 〇 1 5分の加熱処 理をいう。

[0137] 剥離時の残留溶媒量は、 支持体上でのドープの乾燥温度や乾燥時間、 支持 体の温度などによって調整することができる 。

[0138] 3) の工程について

本工程では、 得られた膜状物を乾燥させる。

[0139] 乾燥は、 一段階で行ってもよいし、 多段階で行ってもよい。 また、 乾燥は 、 必要に応じて延伸しながら行ってもよい。

[0140] 延伸は、 求められる光学特性に応じて行えばよく、 少なくとも一方の方向 に延伸することが好ましく、 互いに直交する二方向に延伸 (例えば、 膜状物 の幅方向 (丁 0方向) と、 それと直交する搬送方向 (IV! 0方向) の二軸延伸 ) してもよい。

[0141 ] 延伸倍率は、 光学フィルムを、 例えば I 3用の位相差フィルムとして用 いる観点では、 1 . 〇 1〜 2倍とすることができる。 延伸倍率は、 (延伸後 のフィルムの延伸方向大きさ) / (延伸前のフィルムの延伸方向大きさ) と して定義される。 なお、 二軸延伸を行う場合は、 丁 0方向と IV! 0方向のそれ それについて、 上記延伸倍率とすることが好ましい。

[0142] なお、 光学フィルムの面内遅相軸方向 (面内において屈折率が最大となる 方向) は、 通常、 延伸倍率が最大となる方向である。

[0143] 延伸時の乾燥温度 (延伸温度) は、 熱可塑性樹脂のガラス転移温度を丁 9 としたとき、 (丁 9 - 6 5) °〇~ (丁 9 + 6 0) °〇であることが好ましく、 (丁 9 - 5 0) °〇~ (丁 9 + 5 0) °〇であることがより好ましく、 (丁 9 - 3 0) °〇~ (丁 9 + 5 0) °〇であることがさらに好ましい。 延伸温度が (丁 9 - 6 5) ° 〇以上であると、 溶媒を適度に揮発させやすいため、 延伸張力を 適切な範囲に調整しやすく、 (丁 9 + 6 0) ° 〇以下であると、 溶媒が揮発し すぎないため、 延伸性が損なわれにくい。 熱可塑性樹脂が (メタ) アクリル 系樹脂である場合、 延伸温度は、 例えば 9 0 ° 〇以上としうる。 \¥0 2020/175586 32 卩(:170? 2020 /007865

[0144] 延伸温度は、 (3) テンター延伸機などのように非接触加熱型で 乾燥させ る場合は、 延伸機内温度または熱風温度などの雰囲気温 度、 (13) 熱口ーラ —などの接触加熱型で乾燥させる場合は、 接触加熱部の温度、 あるいは (〇 ) 膜状物 (被乾燥面) の表面温度のいずれかの温度として測定する ことがで きる。 中でも、 (3) 延伸機内温度または熱風温度などの雰囲気温 度を測定 することが好ましい。

[0145] 延伸開始時の膜状物中の残留溶媒量は、 剥離時の膜状物中の残留溶媒量と 同程度であることが好ましく、 例えば 2 0〜 3 0質量%であることが好まし く、 2 5〜 3 0質量%であることがより好ましい。

[0146] 膜状物の丁 0方向 (幅方向) の延伸は、 例えば膜状物の両端をクリップや ピンで固定し、 クリップやピンの間隔を進行方向に広げる方 法 (テンター法 ) で行うことができる。 膜状物の 方向の延伸は、 例えば複数の口ールに 周速差をつけ、 その間で口ール周速差を利用する方法 (口ール法) で行うこ とができる。

[0147] 残留溶媒量をより低減させる観点から、 延伸後に得られた膜状物をさらに 乾燥 (後乾燥) させることが好ましい。 例えば、 延伸後に得られた膜状物を 、 口ールなどで (一定の張力を付与した状態で) 搬送しながらさらに乾燥さ せることが好ましい。

[0148] このときの乾燥温度 (延伸しない場合の乾燥温度または延伸後の 乾燥温度 ) は、 熱可塑性樹脂のガラス転移温度を丁 9としたとき、 (丁 9— 3 0) 〜 (丁 9 + 3 0) °〇であることが好ましく、 (丁 9— 2 0) ~丁 9 ° 〇であるこ とがより好ましい。 乾燥温度が (丁 9 _ 3 0) ° 〇以上、 好ましくは (丁 9 — 2 0) ° 〇以上であると、 延伸後の膜状物から溶媒の揮発速度を高めや すいた め、 乾燥効率を高めやすい。 乾燥温度が (丁 9 + 3 0) °〇以下、 好ましくは 丁 9 ° 〇以下であると、 膜状物が伸びることによるトタン状の変形な どを高度 に抑制しうる。 乾燥温度は、 前述と同様に、 (3) 延伸機内温度または熱風 温度などの雰囲気温度を測定することが好ま しい。

[0149] 本発明では、 膜状物が、 上記張力調整剤を含む。 そのような膜状物は、 極 \¥0 2020/175586 33 卩(:170? 2020 /007865

性基を有する熱可塑性樹脂と張力調整剤と が相互作用し、 擬似架橋を形成し うるため、 伸びにくい。 それにより、 高温下で搬送しながら乾燥させる際に 、 膜状物が搬送張力によって伸びにくく しうる。 その結果、 トタン状の変形 を抑制でき、 当該変形に起因する膜厚ムラを抑制できる。

[0150] 本発明の光学フィルムは、 液晶表示装置や有機巳 !_表示装置などの表示装 置における光学部材として用いられる。 光学部材の例には、 偏光板保護フィ ルム (位相差フィルムや輝度向上フィルムなどを 含む) 、 透明基板、 光拡散 フィルムが含まれる。 中でも、 本発明の光学フィルムは、 偏光板保護フィル ムとして用いられることが好ましい。

[0151 ] 3 . 偏光板

本発明の偏光板は、 偏光子と、 本発明の光学フィルムと、 それらの間に配 置された接着層とを有する。

[0152] 3 - 1 . 偏光子

偏光子は、 一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり 、 ポリビニルアル コール系偏光フィルムである。 ポリビニルアルコール系偏光フィルムには、 ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を 染色させたものと、 二色性染料 を染色させたものとがある。

[0153] ポリビニルアルコール系偏光フィルムは、 ポリビニルアルコール系フィル ムを一軸延伸した後、 ヨウ素または二色性染料で染色したフィルム (好まし くはさらにホウ素化合物で耐久性処理を施し たフィルム) であってもよいし ;ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素 たは二色性染料で染色した後 、 一軸延伸したフィルム (好ましくは、 さらにホウ素化合物で耐久性処理を 施したフィルム) であってもよい。 偏光子の吸収軸は、 通常、 最大延伸方向 と平行である。

[0154] 例えば、 特開 2 0 0 3— 2 4 8 1 2 3号公報、 特開 2 0 0 3— 3 4 2 3 2

2号公報等に記載のエチレン単位の含有量 1〜 4モル%、 重合度 2 0 0 0〜 4 0 0 0、 けん化度 9 9 . 〇〜 9 9 . 9 9モル%のエチレン変性ポリビニル アルコールが用いられる。 \¥02020/175586 34 卩(:170? 2020 /007865

[0155] 偏光子の厚みは、 5〜 3〇 であることが好ましく、 偏光板を薄型化す るため等から、 5〜 2〇 であることがより好ましい。

[0156] 3-2. 光学フィルム

本発明の光学フィルムは、 偏光子の少なくとも一方の面 (少なくとも液晶 セルと対向する面) に配置されている。 光学フィルムは、 偏光板保護フィル ムとして機能しうる。

[0157] 本発明の光学フィルムが偏光子の一方の面の みに配置されている場合、 偏 光子の他方の面には、 他の光学フィルムが配置されうる。 他の光学フィルム の例には、 市販のセルロースエステルフィルム (例えば、 コニカミノルタタ ック<〇811乂、 <〇511乂、 [<〇411乂、

[<〇4巳[¾、

丫、 <〇611丫、 [<〇411丫、 <〇411巳、 [<〇811巳、 <〇811丫一1 ~ 1八 、 [<〇211八、 [<〇411八、 [<〇611八、 [<〇811八、 <〇21)八1 ~ 1、 411八1 ~ 1、 <〇61)八1 ~ 1、 以上コニカミノルタ (株) 製、 フジタック丁40 II 、 フジタック丁 60 II 、 フジタック丁 80 II 、 フジタック丁 080 111_、 フジタック丁060111_、 フジタック丁040111_、 フジタック[¾0 2、 フジタック 06、 以上富士フィルム (株) 製) などが含まれる。

[0158] 他の光学フィルムの厚みは、 例えば 5〜 1 〇〇 、 好ましくは 40〜 8

0 でありうる。

[0159] 3-3. 接着層

接着層は、 光学フィルム (または他の光学フィルム) と偏光子との間に配 置されている。 接着層の厚みは、 例えば〇. 01 ~ 1 〇 、 好ましくは 0 . 〇 3〜 5 程度でありうる。

[0160] 3-4. 偏光板の製造方法

本発明の偏光板は、 偏光子と本発明の光学フィルムを、 接着剤を介して貼 り合わせて得ることができる。 接着剤は、 完全ケン化型ポリビニルアルコー ル水溶液 (水糊) 、 または活性エネルギー線硬化性接着剤であり うる。 活性 エネルギー線硬化性接着剤は、 光ラジカル重合を利用した光ラジカル重合型 組成物、 光カチオン重合を利用した光カチオン重合型 組成物、 またはそれら の併用物のいずれであってもよい。

[0161] 4. 液晶表 / 」、装置

本発明の液晶表示装置は、 液晶セルと、 液晶セルの一方の面に配置された 第 1偏光板と、 液晶セルの他方の面に配置された第 2偏光板とを含む。

[0162] 液晶セルの表示モードは、 例えば STN (Super-Twisted Nematic) 、 T N

(Twisted Nematic) 、 0 C B (Optically Compensated Bend) 、 HAN (Hy bridaligned Nematic) 、 V A (Vertical Alignment) 、 MV A (Mult i-doma in Vertical Alignment) % P V A (Patterned Vertical Alignment) % I P S (In-Plane-Switching) などでありうる。 中でも、 V A (MV A, P V A ) モードおよび丨 PSモードが好ましい。

[0163] 第 1および第 2偏光板のうち一方または両方が、 本発明の偏光板である。

本発明の偏光板は、 本発明の光学フィルムが液晶セル側となるよ うに配置さ れることが好ましい。

実施例

[0164] 以下、 実施例により本発明を具体的に説明するが、 本発明はこれらに限定 されるものではない。

[0165] 1. 光学フィルムの材料

( 1 ) 熱可塑性樹脂

樹脂 A :ポリメチルメタクリレート (PMMA) 、 重量平均分子量 1 1 8 万、 ガラス転移温度 1 05 ° C

樹脂 B : メタクリル酸メチル/ N—フエニルマレイミ ド共重合体 (MMA /N_P hM=70/30質量比) 、 重量平均分子量 200万、 ガラス転移 温度 1 30 ° C

樹脂 C :式 (B-2) で表される構造単位を含むシクロオレフィン 樹脂 ( CO P) , 重量平均分子量 1 4万、 ガラス転移温度 1 70 ° C

樹脂 D : メタクリル酸メチル/メタクリル酸共重合体 (MMA/MAA =

70/30質量比) 、 重量平均分子量 1 50万、 ガラス転移温度 1 1 3°C [0166] 樹脂 A〜 Dのガラス転移温度 (T g) および重量平均分子量 (Mw) は、 以下の方法でそれぞれ測定した。

[0167] 〔ガラス転移温度 (T g) 〕

樹脂のガラス転移温度を、 DSC (D i f f e r e n t i a l S c a n n i n g Co l o r i me t r y :示差走査熱量法) を用いて、 J I S K 7 1 2 1 -201 2に準拠して測定した。

[0168] 〔重量平均分子量 (Mw) 〕

樹脂の重量平均分子量 (Mw) を、 ゲル浸透クロマトグラフィー (東ソー 社製 H LC 8220 G PC) 、 カラム (東ソー社製 TS K-GE L G 6 000 HXL-G 5000 HXL-G 5000 HXL-G 4000 HXL- G 3000 HXL 直列) を用いて測定した。 試料 20±0. 5 m gをテト ラヒドロフラン 1 0 m I に溶解し、 0. 45 mmのフイルターで濾過した。 この溶液をカラム (温度 40 ° C) に 1 00m 丨注入し、 検出器 R 丨温度 40 °Cで測定し、 スチレン換算して、 重量平均分子量を求めた。

[0169] (2) 添加剤

(添加剤 1)

東京化成工業社製、 CAS : 23 1 4- 78-5 (含窒素へテロ環化合物 、 分子量 = 1 27. 1 4、 下記構造参照)

[化 10]

(添加剤 2)

和光純薬社製、 (含窒素へテロ環化合物、 分子 量: 1 1 4. 1、 下記構造参照)

[化 11] \¥02020/175586 37 卩(:170? 2020 /007865

(添加剤 3)

東京化成工業社製、 〇 3 : 253_82_7 (含窒素へテロ環化合物、 分子量: 1 3〇. 1 5、 下記構造参照)

[化 12]

(添加剤 4)

東京化成工業社製、 〇 3 : 27 1 —73— 8 (含窒素へテロ環化合物、 分子量 = 1 1 9. 1 3、 下記構造参照)

[化 13]

(添加剤 5)

和光純薬社製、 (含窒素へテロ環化合物、 分 子量: 1 65. 2 1、 下記構造参照)

[化 14]

(添加剤 6)

酸化マグネシウム (金属酸化物)

(添加剤 7)

酸化アルミニウム (金属酸化物)

[0170] (添加剤 8)

東京化成工業社製、 : 1 06-5 1 -4 (比較化合物、 分子量: 1 08. 1、 下記構造参照) \¥02020/175586 38 卩(:170? 2020 /007865

[化 15]

(添加剤 9)

東京化成工業社製、 ◦ 3 : 77 1 —97— 1 (比較化合物、 分子量: 1 58. 2、 下記構造参照)

[化 16]

[0171] (3) ゴム粒子

アクリル系ゴム粒子 1 0 (コア部:多層構造のアクリル系ゴム状重 合体、 シェル部: メタアクリル酸メチルを主成分とするメタク リル酸エステ ル系重合体、 のコアシェル型のゴム粒子、 丁 9 :約一 1 0°〇、 平均粒子径: 220 n m)

[0172] 2. 光学フィルムの作製および評価

<実施例 1 >

(ドープの調製)

下記組成のドープを調製した。 まず、 加圧溶解タンクにメチレンクロライ ド、 およびエタノールを添加した。 次いで、 加圧溶解タンクに、 樹脂八 (熱 可塑性樹脂) を撹拌しながら投入した。 次いで、 添加剤 1 (張力調整剤) を 投入し、 これを 60 ° 〇に加熱し、 撹拌しながら、 完全に溶解した。 加熱温度 は、 室温から 5°〇/ 丨 nで昇温し、 30分間で溶解した後、 3°0/〇! I n で降温した。 得られた溶液を濾過した後、 ドープを得た。

樹脂 (熱可塑性樹脂) : 1 〇〇質量部

添加剤 1 (張力調整剤) : 3質量部

メチレンクロライ ド: 581. 3質量部

ェタノール: 50. 4質量部

[0173] (製膜) \¥0 2020/175586 39 卩(:17 2020 /007865

次いで、 無端ベルト流延装置を用い、 ドープを温度 3 1 、 1 8 0 0 幅でステンレスベルト支持体上に均一に流延 した。 ステンレスベルトの温度 は 2 8 °0に制御した。 ステンレスベルトの搬送速度は 2 0〇1 / 丨 门とした ステンレスベルト支持体上で、 流延 (キャスト) したフィルム中の残留溶 媒量が 3 0質量%になるまで溶剤を蒸発させた。 次いで、 剥離張力 1 2 8 /〇!で、 ステンレスベルト支持体上から剥離した。 剥離したフィルムを多数 の口ールで搬送させながら、 得られた膜状物を、 テンターにて (丁 9 _ 1 5 ) °〇 (丁 9は、 樹脂八の丁 9を示す) の条件下で幅方向に 1 . 2倍延伸した 次いで、 得られた膜状物を、 下記搬送条件にて口ールで搬送しながら、 ( 丁 9 - 1 0) °〇 (丁 9は、 樹脂八の丁 9を示す) で、 前述のへッ ドスべース ガスクロマトグラフィーにより測定される残 留溶媒量が 3 0〜 6 0 0質量 01の範囲内となるまでさらに乾燥させた後、 テンタークリップで挟んだ端 部をレーザーカッターでスリッ トして巻き取り、 膜厚 4〇 の光学フィル ムを得た。

(搬送条件)

搬送速度: 4 0 /〇! 丨

搬送張力

[0174] <実施例 2〜 4、 比較例 2および 3 >

添加剤の種類を表 1 に示されるように変更した以外は実施例 1の光学フィ ルムと同様にして、 光学フィルムを作製した。

[0175] <実施例 9〜 1 1 >

(添加剤分散液の調製)

3質量部の表 1の添加剤と、 2 7質量部のメチレンクロライ ドとを、 ディ ゾルバーで 5 0分間撹拌混合した後、 マイルダー分散機マイルダー分散機 ( 大平洋機エ株式会社製) を用いて 1 5 0 0 「 条件下で分散し、 添加剤分 散液を得た。 \¥0 2020/175586 40 卩(:170? 2020 /007865

[0176] (ドープの調製および製膜)

次いで、 ドープの組成を下記のように変更した以外は 実施例 1 と同様にし てドープの調製および製膜を行い、 光学フィルムを得た。

表 1 に示される樹脂 (熱可塑性樹脂) : 1 0 0質量部

メチレンクロライ ド: 5 5 4 . 3質量部

エタノール: 5 0 . 4質量部

添加剤分散液: 3 0質量部

[0177] <実施例 5および 6 >

添加剤の含有量を表 1 に示されるように変更した以外は実施例 4の光学フ ィルムと同様にして、 光学フィルムを作製した。

[0178] <実施例 7および 1 2 >

樹脂の種類を表 1 に示されるように変更した以外は実施例 3の光学フィル ムと同様にして、 光学フィルムを作製した。

[0179] <実施例 8 >

添加剤の種類を表 1 に示されるように変更した以外は実施例 7の光学フィ ルムと同様にして、 光学フィルムを作製した。

[0180] <実施例 1 3 >

(ゴム粒子分散液の調製)

2 0質量部の上記ゴム粒子と、 3 8 0質量部のメチレンクロライ ドとを、 ディゾルバーで 5 0分間撹拌混合した後、 マイルダー分散機 (太平洋機エ株 式会社製) を用いて 1 5 0 0 「 条件下で分散し、 ゴム粒子分散液を得た

[0181 ] (ドープの調製および製膜)

次いで、 ドープの組成を下記のように変更した以外は 実施例 4と同様にし てドープの調製および製膜を行い、 光学フィルムを得た。

樹脂 (熱可塑性樹脂) : 1 0 0質量部

添加剤 4 (張力調整剤) : 3質量部

メチレンクロライ ド: 2 9 6 . 3質量部 \¥0 2020/175586 41 卩(:170? 2020 /007865

エタノール: 5 0 . 4質量部

ゴム粒子分散液: 3 0 0質量部

[0182] <比較例 1 >

添加剤を添加しなかった以外は実施例 1 と同様にして、 光学フィルムを作 製した。

[0183] 得られた光学フィルムの溶液粘度、 伸び率、 膜厚ムラおよび IV! I 丁屈曲性 を、 それぞれ以下の方法で評価した。

[0184] 〔溶液粘度〕

得られた光学フィルムを、 エタノール/メチレンクロライ ド (8 / 9 2質 量比) 混合溶媒に 1 3 . 5質量%の濃度となるように溶解させた。 そして、 得られた溶液の 2 3 °〇における粘度を、 巳型粘度計 型式 3 _ 1 (芝浦 システム株式会社) で、 回転数 3 0 「 の条件で測定した。

[0185] 〔伸び率〕

1) まず、 上記溶液粘度の測定用に調製した溶液を、 ガラス板上にアプリ ケータにより、 塗布した後、 当該塗膜を、 残留溶媒量が 5質量%程度となる まで 2 3 °〇で乾燥させて、 乾燥厚み 4 0 のフィルムを複数枚準備した。 フィルムの残留溶媒量は、 以下の方法で測定した。

フィルムの残留溶媒量 (質量%) = (フィルムの加熱処理前質量ーフィル ムの加熱処理後質量) /フィルムの加熱処理後質量 X 1 〇〇

なお、 加熱処理は、 1 4 0 ° 〇 1 5分とした。

2) 次いで、 上記 1) で得られたフィルムのうち、 残留溶媒量が 5質量% 以下のフィルムと 5質量%超 1 0質量%未満のフィルム (それぞれ 2点ずつ ) の伸び率を、 」 丨 3 < 7 1 1 5 : 1 9 9 9に準拠して、 下記条件でそれ ぞれ測定した。 測定装置としては、 オリエンテック社製テンシロン 丁〇一 1 2 2 5八を用いた。

(測定条件)

測定温度: (丁 9 - 1 0) °〇 (丁 9 :樹脂の丁 9)

引張荷重: 〇. 7 5 \¥02020/175586 42 卩(:170? 2020 /007865

引張時間: 1 5分

3) 上記 2) で得られた測定結果から、 横軸:残留溶媒量 (質量%) 、 縦 軸:伸び率 (%) のプロッ トを作成し、 残留溶媒量が 5質量%であるときの 伸び率を内揷により求めた。 なお、 内挿は、 一次関数により行った。

[0186] 〔膜厚ムラ〕

得られた光学フィルム (上記搬送条件で口ール搬送しながら乾燥さ せた光 学フィルム) を、 全幅にわたって となるように切 り出して、 丁 0サンプルとした。 一方、 光学フィルムの幅方向中央部を、 3 うに切り出して、 IV! 0サンプルと サンプルを、 連続厚み計 ( 丨 1_1\/1丁1 ~ 1 丨 〇^巳33 丁巳3丁巳 [^〇601 八、 八 丨 丁311 (ァ ンリツ電気 (株) ) 製) で測定し、 (最大値一平均値) と (平均値一最小値 ) を算出し、 それらの平均値を 「膜厚ムラ」 とした。 そして、 以下の基準に 基づいて評価した。

© :膜厚ムラが 1 以下

〇:膜厚ムラが 1 01超 3 01以下

△ :膜厚ムラが 3 〇!超 5 〇!以下

X :膜厚ムラが 5 〇!超

膜厚ムラが小さいほど、 フィルムの品質に優れることを表す。

△以上であれば、 実用上問題となるようなフィルムの伸びは発 生せず、 良 好であると判断した。

[0187] 〔1\/1 I 丁屈曲性〕

得られた光学フィルムを、 (長さ方向が IV! 0 方向) にカッ トし、 試験片とした。 この試験片を、 温度 25 ° 〇、 相対湿度 6 の状態で 1時間以上静置させた。 その後、 耐折度試験機 (テスター 産業株式会社製、 IV! 丨 丁、 巳巳_201型、 折り曲げ曲率半径〇. 38 ) を用いて、 」 1 3 81 1 5 : 2001 に準拠して、 荷重 500 9 の条 件で折り目の方向が丁 0方向となるように折り曲げて、 試験片が破断するま \¥02020/175586 43 卩(:170? 2020 /007865

での折り曲げ回数を測定した。 そして、 光学フィルムの IV! I 丁屈曲性を、 以 下の基準で評価した。

© : 20000回以上

〇 : 1 5000回〜 1 9999回

△ : 5000回〜 1 4999回

X : 4999回以下

破断するまでの折り曲げ回数が多いほど、 屈曲性に優れており、 繰り返し の折り曲げ耐性に優れていることを示す。

△以上であれば良好と判断した。

[0188] 実施例 1〜 1 3および比較例 1〜 3の光学フイルムの評価結果を、 表 1 に 示す。

[0189]

※丄 : 熱可塑性樹脂 1 0 0質量部に対する含有量 (質量部)

※ : 長さ方向が丁〇方向となるよ うにカッ ト した試験片を用いて、 折り 目が IV!〇方向となるよ うに折り 曲げたときの屈曲性

\¥0 2020/175586 45 卩(:170? 2020 /007865

[0190] 表 1 に示されるように、 張力調整剤を含む実施例 1〜 1 3の光学フィルム は、 いずれも溶液に溶解させたときの粘度 (ドープの粘度) を低く維持しつ つ、 低い伸び率を有し、 膜厚ムラを低減できることがわかる。 また、 これら の光学フィルムは、 良好な屈曲性を有することもわかる。

[0191 ] 特に、 張力調整剤としての含窒素へテロ環化合物が _ 1\1 1 ~ 1基を有するほう が、 _ |\1 1 ~ 1基を有しないものよりも、 伸び率をより低くすることができ、 膜 厚ムラをより生じにくいことがわかる (実施例 1 と 2の対比、 実施例 3と 4 の対比など) 。

[0192] また、 張力調整剤としての含窒素へテロ環化合物が 芳香環を含むほうが、 伸び率をより低くすることができ、 膜厚ムラをより生じにくいことがわかる (実施例 2と 4の対比) 。 これは、 樹脂と張力調整剤との間の相互作用が強 まるからであると考えられる。 また、 樹脂がさらに芳香環を含むことで、 得 られるフィルムの伸び率をさらに低く しうることがわかる (実施例 3と 7の 対比) 。 これは、 樹脂中の芳香環と、 張力調整剤中の芳香環との間の 相互作用が生じることにより、 両者の相互作用がさらに強まるためであると 考えられる。

[0193] また、 張力調整剤の含有量を多くすることで、 フィルムの伸び率をより低 くすることができ、 膜厚ムラをより生じにくく しうることがわかる (実施例 4と 6の対比) 。

[0194] これに対して、 比較例 1および 2では、 得られるフィルムの伸び率が高く 、 膜厚ムラを生じることがわかる。 また、 比較例 3では、 ドープの粘度が高 く、 得られるフィルムの屈曲性が低いことがわか る。

[0195] 本出願は、 2 0 1 9年2月 2 8日出願の特願 2 0 1 9— 3 6 1 8 9に基づ く優先権を主張する。 当該出願明細書に記載された内容は、 すべて本願明細 書に援用される。

産業上の利用可能性

[0196] 本発明によれば、 高い乾燥効率で得られ、 かつ乾燥時の変形に起因する膜 厚ムラが抑制され、 十分な靱性を有する光学フィルムを提供する ことができ \¥0 2020/175586 46 卩(:17 2020 /007865

る。