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Patent Searching and Data


Title:
PIGMENT COMPOSITION FOR RED COLOR FILTER, METHOD FOR PRODUCING THE SAME, COLOR COMPOSITION USING THE SAME, AND COLOR FILTER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/081930
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a fine diketopyrrolopyrrole pigment composition which enables achievement of a good contrast ratio. Generation of undesired matter during a heating step of a red color film containing the pigment composition is remarkably reduced when compared with the conventional ones. Also disclosed are a color composition using the diketopyrrolopyrrole pigment composition, a red color film and a color filter. Specifically disclosed is a diketopyrrolopyrrole pigment composition obtained by reacting 1 mole of a succinic acid diester with 2 moles in total of mixed nitriles having specific structural formulae. Also specifically disclosed are a color composition using the diketopyrrolopyrrole pigment composition, a red color film and a color filter.

Inventors:
MUROHOSHI TARO (JP)
OMURA TORU (JP)
TSURUTANI SHINSUKE (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/073403
Publication Date:
July 02, 2009
Filing Date:
December 24, 2008
Export Citation:
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Assignee:
TOYO INK MFG CO (JP)
TOYO INK EUROP SPECIALTY CHEMI (FR)
MUROHOSHI TARO (JP)
OMURA TORU (JP)
TSURUTANI SHINSUKE (JP)
International Classes:
C09B67/20; C09B57/00; C09B67/04; G02B5/20
Foreign References:
JP2007514798A2007-06-07
JP2007224177A2007-09-06
JP2007293061A2007-11-08
JP2004211095A2004-07-29
JP2006301122A2006-11-02
JP2006519167A2006-08-24
JPH09132728A1997-05-20
JPH0790189A1995-04-04
JPS61120861A1986-06-07
JPS6348279A1988-02-29
JPH08199085A1996-08-06
JP2001220520A2001-08-14
JPS58210084A1983-12-07
JPH0790189A1995-04-04
JPS61120861A1986-06-07
JPH08199085A1996-08-06
Other References:
SYNTH. COMMUN., vol. 18, 1988, pages 1213
TETRAHEDRON, vol. 58, 2002, pages 5547 - 5565
Attorney, Agent or Firm:
KOBAYASHI, Hiroshi et al. (Fukuoka Bldg. 9th Fl.8-7, Yaesu 2-chom, Chuo-ku Tokyo 28, JP)
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Claims:
 少なくとも下記一般式(I)及び(II)で表されるジケトピロロピロール化合物を含有するジケトピロロピロール系顔料組成物。
(式(I)及び(II)中、Aは4-クロロフェニル基であり、Bは下記式(B-1)、(B-2)又は(B-3)で表される基であり、
 式(B-1)及び(B-2)中、R 1 及びR 2 は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数1~6のアルキル、炭素数1~18のアルコキシ、炭素数2~19のアルコキシカルボニル、炭素数2~19のアルキルカルバモイル、炭素数1~18のアルキルメルカプト、炭素数1~18のアルキルアミノ又は炭素数5~6のシクロアルキルであり、
 式(B-3)中、R 3 及びR 4 は、それぞれ独立して、水素又は炭素数1~6のアルキルであるが、R 3 及びR 4 が同時に水素になることはない。)
 下記式(II-1)又は(II-2)で表されるジケトピロロピロール化合物の少なくとも1つを含有する、請求項1記載のジケトピロロピロール系顔料組成物。
 下記式(II-3)又は(II-4)で表されるジケトピロロピロール化合物の少なくとも1つを含有する、請求項1記載のジケトピロロピロール系顔料組成物。
 下記式(II-5)又は(II-6)で表されるジケトピロロピロール化合物の少なくとも1つを含有する、請求項1記載のジケトピロロピロール系顔料組成物。
 コハク酸ジエステル1モルに対して、式「A-CN」で表されるベンゾニトリル化合物60モル%~99.8モル%及び式「B-CN」で表されるベンゾニトリル化合物0.2モル%~40モル%からなる合計2モルの混合物を反応させる工程を含んで得られる、請求項1~4いずれか1項に記載のジケトピロロピロール系顔料組成物。
(式「A-CN」中のAは4-クロロフェニル基であり、式「B-CN」中のBは上記式(B-1)、(B-2)又は(B-3)で表される基である。)
 コハク酸ジエステルと、式「A-CN」及び式「B-CN」で表されるベンゾニトリル化合物の混合物とを反応させて、ジケトピロロピロール系顔料のアルカリ金属塩を得、これをプロトン化する工程と、前記プロトン化の前に、上記式(II)で表されるジケトピロロピロール化合物をさらに添加する工程とを含む方法により得られる、
 請求項1~5いずれか1項に記載のジケトピロロピロール系顔料組成物。
 コハク酸ジエステルと、式「A-CN」及び式「B-CN」で表されるベンゾニトリル化合物の混合物とを反応させて、ジケトピロロピロール系顔料のアルカリ金属塩を得、これを酸性条件下又はアルカリ条件下でプロトン化する工程とを含む方法により得られる、
 請求項1~5いずれか1項に記載のジケトピロロピロール系顔料組成物。
 湿式粉砕混合法により調製した、請求項1~4いずれか1項に記載のジケトピロロピロール系顔料組成物。
 乾式粉砕混合法により調製した、請求項1~4いずれか1項に記載のジケトピロロピロール系顔料組成物。
 一般式「Q-X」で表される色素誘導体を含有する、請求項1~9いずれか1項に記載のジケトピロロピロール系顔料組成物。
(一般式「Q-X」中、
 Qは、キナクリドン残基、ジケトピロロピロール残基、ベンゾイソインドール残基、アントラキノン残基、ジアントラキノン残基、チアジンインジゴ残基、アゾ色素残基又はキノフタロン残基であり、
 Xは、それぞれ独立して、-OH、-SO 3 H、-COOH、これらの酸性基の1価~3価の金属塩、アルキルアミン塩、ピペラジニル塩、モルホニル塩;フタルイミドメチル基;3級アミノ基を有する塩基性基が導入されたトリアジン環が-NH-の一端に結合した基;下記式(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)又は(h)で表される基であり、
 T 1 は、それぞれ独立して、-SO 2 NH-、-CONH-、-CH 2 NHCOCH 2 -、-S-又は-NH-であり、T 2 は、それぞれ独立して、炭素数1~4のアルキレン基であり、
 R 1 及びR 2 は、それぞれ独立して、炭素数1~4のアルキル基であり、R 3 は、-H、-NH 2 、-NHCOCH 3 又は-NHR 4 であり、ここでR 4 は、炭素数1~4のアルキル基又は3級アミノ基を有する塩基性基を導入したトリアジン環である。)
 平均一次粒子径が40nm以下である、請求項1~10いずれか1項に記載のジケトピロロピロール系顔料組成物。
 請求項1~11いずれか1項に記載のジケトピロロピロール系顔料組成物によって着色された高分子有機材料。
 請求項1~11いずれか1項に記載のジケトピロロピロール系顔料組成物を透明樹脂に分散して得られたカラーフィルター用着色組成物。
 請求項1~11いずれか1項に記載のジケトピロロピロール系顔料組成物と顔料担体とを含有する赤色着色膜。
Description:
赤色カラーフィルター用顔料組 物、その製造方法、及びそれを用いた着色 成物、及びカラーフィルター

 本発明は、カラー液晶ディスプレイ、デ タルカメラ、ビデオカメラ、コピー機又は キャナーなどの撮像管素子に装着されるカ ーフィルターの製造に用いられるカラーフ ルター用顔料組成物、及びその製造方法に する。また、当該顔料組成物を用いたカラ フィルター用着色組成物ならびにカラーフ ルターに関する。更に詳細には、本発明は 微細なジケトピロロピロール顔料であって 該顔料を含有する赤色着色膜の加熱工程に ける異物の発生が従来に比べて飛躍的に少 く、かつカラーフィルターに適用した際に 好なコントラスト比が得られるジケトピロ ピロール顔料、それを用いた着色組成物、 色着色膜、カラーフィルターに関する。

 カラーフィルターは、ガラス等の透明な 板の表面に2種以上の異なる色相の微細な帯 (ストライプ)を平行又は交差して配置したも 、あるいは微細な画素を縦横一定の配列で 置したものからなっている。画素は、数10 ら数100ミクロンと微細であり、しかも色相 に所定の配列で整然と配置されている。カ ーフィルターは、カラー液晶表示装置に用 られており、カラーフィルターの上には、 般に液晶を駆動させるための透明電極が蒸 あるいはスパッタリングにより形成され、 らにその上に液晶を一定方向に配向させる めの配向膜が形成されている。

 これらの透明電極及び配向膜の性能を充 に得るには、その形成工程を一般に200℃以 好ましくは230℃以上の高温で行う必要があ 。このため、現在、カラーフィルターの製 方法としては、耐光性、耐熱性に優れる顔 を着色剤として用いる顔料分散法と呼ばれ 方法が主流となっており、主に下記の2通り の方法でカラーフィルターが製造されている 。

 第1の方法では、感光性透明樹脂溶液中に 顔料を分散したものをガラス等の透明基板に 塗布し、乾燥により溶剤を除去した後、一つ のフィルター色のパターン露光を行い、次い で未露光部を現像工程で除去して1色目のパ ーンを形成、必要により加熱等の処理を加 た後、同様の操作を全フィルター色につい 順次繰り返すことによりカラーフィルター 製造することができる。

 第2の方法では、透明樹脂溶液中に顔料を 分散したものをガラス等の透明基板に塗布し 、乾燥により溶剤を除去した後、その塗膜上 にポジ型レジスト等のレジストを塗布し、一 つのフィルター色のパターン露光を行い、現 像してレジストパターンを形成し、これをエ ッチングレジストとして、レジストパターン の付いていない顔料分散塗膜をエッチング液 で除去し、レジスト塗膜を剥離して1色目の ターンを形成、必要により加熱等の処理を えた後、同様の操作を全フィルター色につ て順次繰り返すことによりカラーフィルタ を製造することができる。なお、レジスト 現像と顔料分散塗膜のエッチングを同時に うこともできる。

 液晶ディスプレイは液晶セルが2枚の偏光 板で挟まれた構成になっており、1枚目の偏 板で偏光された光が、画像信号に対応して 晶層で偏光面が回転され、2枚目の偏光板を 過する個々の画素の光量が調節されて画像 示を行っている。従って、1枚目の偏光板を 透過した光は、液晶以外のもので偏光面が乱 されると、ディスプレイの表示性能が低下す る。具体的には、ブラックの表示モードで光 が漏れたり、ホワイトのモードで透過光が減 少したりしてディスプレイのコントラスト比 が低下する。

 カラーフィルターは、2枚の偏光板で挟ま れた液晶セルと偏光板の間に具備される。そ のため、カラーフィルターの表示特性は非常 に重要である。このようなカラーフィルター の表示特性は、コントラスト比という特性値 で表され、液晶ディスプレイの明暗をどれだ けはっきりさせることができるかの指標とし て非常に重要である。コントラスト比とは、 カラーフィルターを2枚の偏光板で挟み、2枚 偏光板をパラレルにおいた明状態の輝度を ロスにおいた暗状態の輝度で除した値で表 れる。

 顔料は通常粉体として市販されているが これは一次粒子と呼ばれる粒子の最小単位 多数凝集して形成する粉体粒子(二次粒子) 集まりである。通常、分散と呼ばれる工程 、顔料をビヒクル中にできるだけ一次粒子 まで微細に分散した後、インキや塗料の形 着色剤として用いられる。

 カラーフィルター用着色組成物(粉体顔料 を分散した分散体組成物)として、カラーフ ルターのコントラスト比に与える影響を顔 の一次粒子と二次粒子の点で考察すると、 色組成物における平均粒子径を小さくする めに分散度を高めていく(分散体の平均粒子 を小さくする)とコントラスト比は徐々に上 昇するが、通常の分散方法により平均分散粒 子径を一次粒子径より小さくすることは困難 であるため、分散度を高めても到達するコン トラスト比には限界がある。従って、より高 いコントラスト比を得るには、顔料の一次粒 子径を小さくすることが必要である。

 また、コントラスト比を低下させる原因 ひとつは、1枚目の偏光板で偏光された光が 、カラーフィルター層を通過する際に、大き な粒径の顔料表面で反射するときに偏光面が 回転し偏光が崩される(消偏性)ためと考えら ている。従って、コントラスト比を高くす には、カラーフィルター中の顔料の大粒径 子の存在をなくすという観点に関しての、 造方法からのアプローチが必要である。

 また、一次粒子の粒度分布幅を小さくす こと、一次粒子の形状を球状に近づけるこ は、凝集の強さを緩和させることができる で、分散性を良好にして二次粒子を一次粒 にまで微分散させやすくすることができ、 ラーフィルター用顔料の設計にとって重要 ある。

 上記方法において、赤色フィルターの製 には、従来、ジアントラキノン顔料、ペリ ン系顔料又はジケトピロロピロール系顔料 の耐光性及び耐熱性に優れる顔料が用いら ていた。なかでも、ジケトピロロピロール 顔料は、赤~橙色の顔料で、優れた耐光性及 び耐熱性を有し、赤色カラーフィルター用と して適する分光スペクトルを有し、かつ、透 明性も高いことから、カラーフィルター用顔 料として好ましい顔料である。

 ジケトピロロピロール系顔料の具体例を ラーインデックスナンバーで示すと、C.I.Pig ment Red 254、255、264及びC.I.Pigment Orange 71が げられる。このなかで、特に、C.I.Pigment Red 254(ピロロピロール環のパラ位に塩素基を有 るジケトピロロピロール顔料)は、赤色カラ ーフィルター用として特に適する分光スペク トルを有し、分散性も優れ、非常に高い明度 (=Y値)が得られるため、赤色カラーフィルタ 用顔料として非常に多く用いられている。 い明度は、液晶ディスプレイにおいて、色 鮮やかさと消費電力の低さを実現するため 、非常に重要な品質項目である。

 カラーフィルター用途に市販されているC .I.Pigment Red 254顔料として、イルガフォアレ ドBCF、イルガフォアレッドBT-CF(共に、チバ ペシャルティケミカルズ社製)がある。この 顔料は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察によれば1 次粒子径の大きさ40~80nmの比較的球状の粒子 ある。

 カラーフィルター用ジケトピロロピロー 顔料を製造する方法として、特開2001-220520 公報(特許文献1)には、ジケトピロロピロー 系顔料(A)、色素誘導体(B)、水溶性無機塩(C) 及び水溶性無機塩(C)を実質的に溶解しない 溶性有機溶剤(D)を含む混合物をニーダー等 混練した後(以下、顔料、水溶性の無機塩及 水溶性の有機溶剤を含む混合物を混練する とをソルトミリングと呼ぶ)、水溶性無機塩 (C)及び水溶性有機溶剤(D)を除去することで得 られる、カラーフィルター用ジケトピロロピ ロール顔料が開示されている。

 このソルトミリングと呼ばれる処理方法 、顔料の一次粒子の粉砕及び結晶成長が並 して起こるため、一次粒子径を小さく制御 きるばかりでなく、粗大粒子の存在をなく とともに、一次粒子径の粒度分布幅が狭い 料を得ることができ、カラーフィルター用 には非常に適した微細化方法である。

 一次粒子の小さなジケトピロロピロール 料を、顔料の合成時に直接的に得ようとす 方法は、特開昭58-210084号公報(特許文献2)、 び特開平07-90189号公報(特許文献3)に開示さ る製法(以下、コハク酸エステル合成法と呼 )において、プロトン化の条件を限定するこ とによりなされる。

 この合成法は、コハク酸ジエステルの1モ ルに対して芳香族ニトリル化合物の2モルを tert-アミルアルコール等の不活性有機溶剤中 で、強塩基化合物としてのアルカリ金属又は アルカリ金属アルコキシドの存在下において 、80~110℃の高温で縮合反応させ、ジケトピロ ロピロール化合物のアルカリ金属塩を生成さ せ、続いて、このジケトピロロピロール化合 物のアルカリ金属塩に対して、水、アルコー ル、酸等を用いてプロトン化を行うことによ り、ジケトピロロピロール化合物の結晶を析 出させる方法である。プロトン化における温 度、水、アルコール又は酸の種類、比率や量 により、得られる一次粒子径の大きさを制御 することができる。

 コハク酸エステル合成法において、複数 ニトリル化合物を用いて複数のジケトピロ ピロール化合物の混合物を得る方法は、特 昭61-120861号公報(特許文献4)に開示されてい 。しかし、当該文献にはカラーフィルター 途への適性については一切記載されておら 、粒子の大きさに関する情報も記載されて ない。

 液晶ディスプレイが家庭用テレビとして 及するにつれ、液晶ディスプレイの品質が 度化し、延いては、カラーフィルターを構 する主な素材である顔料への要求品質にお ても、非常に高度化、多様化している。例 ば、広範囲の色再現を実現するための高い ントラスト比、いかなる角度から見ても色 が変わらない視認性、大型化に伴い消費電 を下げるための高い明度、及び非常に狭い 囲で安定した色相等が要求されており、品 面での改善要求は非常に厳しくなっている

 近年、カラーフィルターの品位における 劣は、コントラスト比を中心に議論され、 造メーカーは、高コントラスト化を目標に 発競争してきた。また、高コントラスト化 の要求に応えるため、顔料メーカーとして 、1次粒子を非常に小さく、かつ1次粒子の 度分布幅を小さくするための製造技術の開 に注力してきた。

 しかし、今まで以上に一次粒子径を小さ したときに、高いコントラスト比が得られ 一方で、カラーフィルター製造工程に対す 加工耐性が劣ることが多く、具体的には、 色カラーフィルターに加工する際に、微細 C.I.Pigment Red 254を含む感放射線顔料組成物 使用すると、画素上に異物が発生して製造 留まりが低下するという問題があった。つ り、微細な一次粒子による高コントラスト と異物発生抑制はトレードオフの関係であ た。

 このような状況下で、高いコントラスト を満たし、かつ画素上の異物発生が十分少 い赤色画素を形成できるカラーフィルター 顔料組成物の開発が強く求められている。

特開2001-220520号公報

特開昭58-210084号公報

特開平07-90189号公報

特開昭61-120861号公報

 カラーフィルターに適用した際に、高い ントラスト比を有し、かつ加熱工程におけ 異物の発生を抑制して欠陥をなくすことが きる、微細な赤色顔料組成物、それを用い 赤色着色組成物、赤色着色膜及びその顔料 成物の製造方法を提供する。

 本発明は、ジケトピロロピロール系顔料 成物に関する。本発明者らは、上記課題を 決すべく検討を続けた結果、ベンゾニトリ 化合物を少なくとも2種類以上使用し、適切 なコンディショニングを行うことで微細な一 次粒子を有するジケトピロロピロール系顔料 組成物が得られることを見出した。

 また、本発明者らは、この顔料組成物を ラーフィルターに適用した際に、高いコン ラスト比を有し、同時に加熱工程における 物発生が抑制されたことを見出した。特に カラーフィルター用に多く用いられているC .I.Pigment Red 254顔料の原料である4-クロロベ ゾニトリルとシアノビフェニル及び/又はナ トニトリルとの組み合わせは非常に効果が く、C.I.Pigment Red 254顔料の優れた色調を失 ことがないまま、非常に高いコントラスト と異物の発生が抑制されたカラーフィルタ が得られることを見出した。

[1] 少なくとも下記一般式(I)及び(II)で表され るジケトピロロピロール化合物を含有するジ ケトピロロピロール系顔料組成物。
(式(I)及び(II)中、Aは4-クロロフェニル基であ 、Bは下記式(B-1)、(B-2)又は(B-3)で表される基 であり、
 式(B-1)及び(B-2)中、R 1 及びR 2 は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭 素数1~6のアルキル、炭素数1~18のアルコキシ 炭素数2~19のアルコキシカルボニル、炭素数2 ~19のアルキルカルバモイル、炭素数1~18のア キルメルカプト、炭素数1~18のアルキルアミ 又は炭素数5~6のシクロアルキルであり、
 式(B-3)中、R 3 及びR 4 は、それぞれ独立して、水素又は炭素数1~6の アルキルであるが、R 3 及びR 4 が同時に水素になることはない。)

[2] 下記式(II-1)又は(II-2)で表されるジケトピ ロピロール化合物の少なくとも1つを含有す る、上記[1]記載のジケトピロロピロール系顔 料組成物。

[3] 下記式(II-3)又は(II-4)で表されるジケトピ ロピロール化合物の少なくとも1つを含有す る、上記[1]記載のジケトピロロピロール系顔 料組成物。

[4] 下記式(II-5)又は(II-6)で表されるジケトピ ロピロール化合物の少なくとも1つを含有す る、上記[1]記載のジケトピロロピロール系顔 料組成物。

[5] コハク酸ジエステル1モルに対して、式「 A-CN」で表されるベンゾニトリル化合物60モル %~99.8モル%及び式「B-CN」で表されるベンゾニ リル化合物0.2モル%~40モル%からなる合計2モ の混合物を反応させる工程を含んで得られ 、上記[1]~[4]いずれか1項に記載のジケトピ ロピロール系顔料組成物。
(式「A-CN」中のAは4-クロロフェニル基であり 式「B-CN」中のBは上記式(B-1)、(B-2)又は(B-3) 表される基である。)

[6] コハク酸ジエステルと、式「A-CN」及び式 「B-CN」で表されるベンゾニトリル化合物の 合物とを反応させて、ジケトピロロピロー 系顔料のアルカリ金属塩を得、これをプロ ン化する工程と、前記プロトン化の前に、 記式(II)で表されるジケトピロロピロール化 物をさらに添加する工程とを含む方法によ 得られる、
 上記[1]~[5]いずれか1項に記載のジケトピロ ピロール系顔料組成物。

[7] コハク酸ジエステルと、式「A-CN」及び式 「B-CN」で表されるベンゾニトリル化合物の 合物とを反応させて、ジケトピロロピロー 系顔料のアルカリ金属塩を得、これを酸性 件下又はアルカリ条件下でプロトン化する 程とを含む方法により得られる、
 上記[1]~[5]いずれか1項に記載のジケトピロ ピロール系顔料組成物。

[8] 湿式粉砕混合法により調製した、上記[ 1]~[4]いずれか1項に記載のジケトピロロピロ ル系顔料組成物。

[9] 乾式粉砕混合法により調製した、上記[ 1]~[4]いずれか1項に記載のジケトピロロピロ ル系顔料組成物。

[10] 一般式「Q-X」で表される色素誘導体を含 有する、上記[1]~[9]いずれか1項に記載のジケ ピロロピロール系顔料組成物。
(一般式「Q-X」中、
 Qは、キナクリドン残基、ジケトピロロピロ ール残基、ベンゾイソインドール残基、アン トラキノン残基、ジアントラキノン残基、チ アジンインジゴ残基、アゾ色素残基又はキノ フタロン残基であり、
 Xは、それぞれ独立して、-OH、-SO 3 H、-COOH、これらの酸性基の1価~3価の金属塩、 アルキルアミン塩、ピペラジニル塩、モルホ ニル塩;フタルイミドメチル基;3級アミノ基を 有する塩基性基が導入されたトリアジン環が -NH-の一端に結合した基;下記式(a)、(b)、(c)、( d)、(e)、(f)、(g)又は(h)で表される基であり、
 T 1 は、それぞれ独立して、-SO 2 NH-、-CONH-、-CH 2 NHCOCH 2 -、-S-又は-NH-であり、T 2 は、それぞれ独立して、炭素数1~4のアルキレ ン基であり、
 R 1 及びR 2 は、それぞれ独立して、炭素数1~4のアルキル 基であり、R 3 は、-H、-NH 2 、-NHCOCH 3 又は-NHR 4 であり、ここでR 4 は、炭素数1~4のアルキル基又は3級アミノ基 有する塩基性基を導入したトリアジン環で る。)

[11] 平均一次粒子径が40nm以下である、上 [1]~[10]いずれか1項に記載のジケトピロロピ ール系顔料組成物。

[12] 上記[1]~[11]いずれか1項に記載のジケト ピロロピロール系顔料組成物によって着色さ れた高分子有機材料。

[13] 上記[1]~[11]いずれか1項に記載のジケト ピロロピロール系顔料組成物を透明樹脂に分 散して得られたカラーフィルター用着色組成 物。

[14] 上記[1]~[11]いずれか1項に記載のジケト ピロロピロール系顔料組成物と顔料担体とを 含有する赤色着色膜。

 加熱工程における異物の発生がなく、高 コントラスト比を有する赤色カラーフィル ーが得られた。

ヘテロDPPの生成量と4-シアノビフェニ の添加量との関係

 本発明者らは、種々検討した結果、少な とも2種類以上のベンゾニトリル化合物とコ ハク酸ジエステルとを環化反応させて生じた ジケトピロロピロール系顔料組成物が、カラ ーフィルターに適用した際に、高いコントラ スト比を有しつつ、加熱工程における異物の 発生を驚くべきほどに抑制することを見いだ した。したがって、高いコントラスト比を有 し、微細でありながら、加熱工程における異 物の発生を抑制し欠陥をなくしたカラーフィ ルターを製造することができる赤色顔料組成 物、それを用いた赤色着色組成物、赤色着色 膜及びその顔料組成物の製造方法を提供する ことができる。

 本発明のジケトピロロピロール系顔料組 物は、例えば、微細で均一な一次粒子のジ トピロロピロール顔料の粗結晶を合成する 程(第1工程と称する)と、ジケトピロロピロ ル顔料の粗結晶の成長を抑制しながら結晶 を制御する工程(第2工程と称する)との2つの 工程により製造することができる。なお、第 1工程で使用する「粗結晶」との用語は、一 粒子の粒子径やその粒度分布幅が粗い結晶 いう意味ではなく、第2工程を未だ経ておら 結晶型が制御されていない結晶という意味 ある。

 具体的には、第1工程において、微細で均 一な一次粒子のジケトピロロピロール顔料の 粗結晶は、コハク酸ジエステルとベンゾニト リル化合物とを、例えば、不活性有機溶剤中 で、強塩基化合物の存在下、高温で反応させ てジケトピロロピロール顔料のアルカリ金属 塩を生成し、続いて、得られたジケトピロロ ピロール顔料のアルカリ金属塩を攪拌した状 態のプロトン化媒体(該アルカリ金属塩をプ トン化する媒体)へ添加することにより、製 することができる。

 また、第2工程において、ジケトピロロピ ロール顔料の結晶型の制御は、第1工程で得 れたジケトピロロピロール顔料の粗結晶を 例えば、アルコール80~100重量%及び水20~0重量 %を含有する媒体中で、低温で混合攪拌処理 ることにより行うことができる。以下、第1 程並びに第2工程についてさらに詳細に説明 する。

(第1工程)
 第1工程は、前記したとおり、微細で均一な 一次粒子のジケトピロロピロール顔料の粗結 晶を合成する工程である。第1工程は、特開 58-210084号公報(上記特許文献2)に記載されて るコハク酸エステル製造法に準じて行われ 。特にジケトピロロピロール顔料のアルカ 金属塩をプロトン化する条件が重要であり このプロトン化の条件としては、プロトン を行う媒体の組成、プロトン化を行う際の ケトピロロピロール顔料のアルカリ金属塩 液とプロトン化媒体との混合方法、該アル リ金属塩溶液の添加形式、媒体の温度、攪 の条件又は攪拌状態などが挙げられる。こ プロトン化条件については、後ほど詳細に 明する。

 第1工程のコハク酸エステル製造法に準じ たジケトピロロピロール顔料の粗結晶の合成 工程は、まず、コハク酸ジエステル1モルに して、所定のベンゾニトリル化合物2モルを 不活性有機溶剤中で、強塩基化合物(例えば 、アルカリ金属アルコキシド)の存在下、高 で反応させてジケトピロロピロール顔料の ルカリ金属塩を生成させる。続いて、得ら たジケトピロロピロール顔料のアルカリ金 塩の溶液を70~100℃に保ちながら、該アルカ 金属塩が添加時に瞬時に分散されるように 拌されているプロトン化媒体(例えば炭素数1 ~3のアルコール、水、酸又はこれらの混合物) 中へ、アルカリ金属塩溶液とプロトン化媒体 との混合物の温度が10℃以下に保持されるよ に該アルカリ金属塩溶液を少量ずつ添加す ことにより、ジケトピロロピロール顔料の ルカリ金属塩のプロトン化を行い、ジケト ロロピロール顔料の粗結晶を折出させる。

 コハク酸ジエステルとベンゾニトリル化 物との反応比率は、コハク酸ジエステル1モ ルに対して、ベンゾニトリル化合物2モルが 本となるが、片方の原料を10~20モル%程度過 に用いることは、収率の向上に有効である

(コハク酸ジエステル)
 第1工程において原料化合物として用いられ るコハク酸ジエステルとしては、コハク酸ジ アルキルエステル、コハク酸ジアリールエス テル、又はコハク酸モノアルキルモノアリー ルエステルなどが挙げられる。このようなコ ハク酸エステルとしては、例えばジメチルス クシナート、ジエチルスクシナート、ジプロ ピルスクシナート、ジイソプロピルスクシナ ート、ジイソブチルスクシナート、ジtert-ブ ルスクシナート、ジペンチルスクシナート ジtert-アミルスクシナート、ジフェニルス シナート、又はジ-4-クロロフェニルスクシ ート等が代表的なものとして挙げられる。 対称ジエステルよりも対称型ジエステルが ましく、アルキル基においては分枝状のア キルが好ましい。好ましい分枝状アルキル 、イソプロピル、イソブチル、tert-ブチル、 又はtert-アミル等の炭素数3~5の分枝状アルキ 基である。

(共合成、ベンゾニトリル化合物種)
 本発明の顔料組成物において、原料化合物 して用いられるベンゾニトリル化合物は、 記式「A-CN」で表されるベンゾニトリル化合 物(すなわち、4-クロロベンゾニトリル)及び 記式「B-CN」で表されるベンゾニトリル化合 である。上記式「B-CN」で表されるベンゾニ トリル化合物のB基としては、上記式(B-1)、(B- 2)又は(B-3)で表される基が挙げられる。

 本発明の顔料組成物において、上記式「B -CN」で表されるベンゾニトリル化合物として 好ましくは、置換基を有していてもよい、シ アノビフェニル、ナフトニトリル又はベンゾ ニトリルである。置換基を有しているベンゾ ニトリル化合物としては、例えば、メチルベ ンゾニトリル、エチルベンゾニトリル、プロ ピルベンゾニトリル、n-ブチルベンゾニトリ 、イソブチルベンゾニトリル、tert-ブチル ンゾニトリル、ペンチルベンゾニトリル、te rt-アミルベンゾニトリル、ヘキシルベンゾニ トリル、tert-ヘキシルベンゾニトリル、2-シ ノビフェニル、3-シアノビフェニル、4-シア ビフェニル、4-シアノ-4’-メチルビフェニ 、1-ナフトニトリル又は2-ナフトニトリルな が挙げられる。これらの化合物中における アノ基の置換位置は限定されない。上記式 B-CN」で表されるベンゾニトリル化合物とし て特に好ましくは、4-シアノビフェニル、1- フトニトリル、4-メチルベンゾニトリル又は 4-tert-ブチルベンゾニトリルである。このと 、赤色カラーフィルターとして優れた色相 異物発生抑制効果が得られ、カラーフィル ー用顔料として非常に好ましい。

 本発明の顔料組成物は、コハク酸エステ 合成法において、コハク酸ジエステル1モル に対して、上記式「A-CN」で表される4-クロロ ベンゾニトリル50~99.8モル%及び上記式「B-CN」 で表されるベンゾニトリル化合物0.2~50モル% らなる合計2モルの混合物を反応させること より製造することができる。より好ましく 、コハク酸ジエステル1モルに対して、上記 式「A-CN」で表される4-クロロベンゾニトリル 55~99.8モル%及び上記式「B-CN」で表されるベン ゾニトリル化合物0.2~45モル%からなる合計2モ の混合物を反応させることにより製造する さらに好ましくは、コハク酸ジエステル1モ ルに対して、上記式「A-CN」で表される4-クロ ロベンゾニトリル60~99.8モル%及び上記式「B-CN 」で表されるベンゾニトリル化合物0.2~40モル %からなる合計2モルの混合物を反応させるこ により製造する。

 混合物中の式「B-CN」で表されるベンゾニ トリル化合物の比率は、式(I)で表されるジケ トピロロピロール顔料の優れた色調を損なう ことなく、かつ、異物抑制効果も低下させな い範囲である、1~30モル%が特に好ましい。

 混合物中の式「B-CN」で表されるベンゾニト リル化合物の比率が50モル%を超えると、異物 抑制効果が得られない場合が多くなると共に 、顔料組成物全体の色相が上記一般式(I)で表 されるジケトピロロピロール顔料とは違った 色相、違った顔料特性になってしまう。一方 、混合物中の式「B-CN」で表されるベンゾニ リル化合物の比率が0.2モル%未満では、これ 含有させることによる効果が十分でない。
 ただし、混合物中の式「B-CN」で表されるベ ンゾニトリル化合物の比率が高濃度の場合( えば50モル%を超えるような場合)であっても 例えば実施例28から明らかなように、後に 記式(I)で表される化合物を添加して、式「B- CN」で表されるベンゾニトリル化合物から得 れる式(II)で表される化合物の含有量を低く することで、所望の効果を得ることができる ようになる。

 上記式(II)で表される化合物は、式「B-CN で表されるベンゾニトリル化合物の添加量 ほぼ比例する。例えば、式「B-CN」で表され ベンゾニトリル化合物として4-シアノビフ ニルを使用した場合は、式(II)で表される化 物として、3-(4-ビフェニリル)-6-(4-クロロフ ニル)-ピロロ[3,4-c]ピロール-1,4(2H,5H)-ジオン 生成し、この生成量と4-シアノビフェニル 添加量と関係は図1のとおりである。したが て、5モル%の4-シアノビフェニルを添加した 場合は、約5重量%の3-(4-ビフェニリル)-6-(4-ク ロフェニル)-ピロロ[3,4-c]ピロール-1,4(2H,5H)- オンが生成する。

 本発明の顔料組成物又は着色組成物にお る、上記一般式(I)及び式(II)で表されるジケ トピロロピロール化合物の比率は、顔料分を 取り出し、そのまま、TOFF-MASS、FD-MASS又は固 NMRを用いて、分析することができる。ある は、特開平08-199085号公報に開示されている うに、ジケトピロロピロール顔料を、テト ヒドロフラン中で、ジ-tert-ブチルジカーボ ート及び4-ジメチルアミノピリジンと室温攪 拌して得られる可溶性のジケトピロロピロー ル化合物に変換した後に、NMR、MASS又はLC-MASS を用いた分析を行ってもよい。あるいは、 ロロピロール環のNH基の水素を、ハロゲン アルキル等を用いてアルキル基に置換し、 溶性のジケトピロロピロールに変換した後 、上記分析を行ってもよい。

 本発明の顔料組成物には、上記式「B-CN」 で表されるベンゾニトリル化合物が、コハク 酸ジエステル1モルに対し2モル反応したジケ ピロロピロール化合物(すなわちピロロピロ ール環に2つのB基が置換した化合物)を含有す ることがある。

 上記式「B-CN」で表されるベンゾニトリル 化合物及び上記式「A-CN」で表されるベンゾ トリル化合物(4-クロロベンゾニトリル)は、 ハク酸エステル合成法において、あらかじ 混合された混合物として、縮合反応に用い もよいし、まず、4-クロロベンゾニトリル 添加して縮合反応を行い、次いで式「B-CN」 表されるベンゾニトリル化合物を添加して 合反応を行うように、2段階で添加する方法 として用いてもよい。好ましくは、上記式(II )で表わされるジケトピロロピロール化合物 より効率よく生成させるために、あらかじ 2種の化合物の混合物を準備して縮合反応に いる。

(不活性有機溶剤)
 第1工程のジケトピロロピロール顔料の粗結 晶を合成する環化反応は、不活性有機溶剤中 において行われる。適当な不活性有機溶剤は 、炭素数1~10の第一級~第三級アルコール類、 リコール類、エーテル類、グリコールエー ル類、非プロトン性極性溶剤、脂肪族又は 香族炭化水素、又は芳香族性複素環化合物 である。好ましくは、第二級又は第三級ア コールであり、イソブタノール、tert-ブタ ール又はtert-アミルアルコール等が最も好ま しい。また、これらのアルコールとトルエン 等の芳香族炭化水素の混合物を用いてもよい 。

 用いる不活性有機溶剤の量は、環化反応 用いる原料を溶解し、均一な攪拌状態が得 れる量であればよく、ベンゾニトリル化合 に対して2~15重量倍の不活性有機溶剤を用い ることが好ましい。不活性有機溶剤の使用量 が2重量倍未満では、原料が完全に溶解せず 反応が十分に進行しない。一方、10重量倍を 超えると、原料濃度が低くなることにより、 コハク酸ジエステルとベンゾニトリル化合物 との接触機会が減少し、結果として収率が低 くなる傾向がある。

 不活性有機溶剤としてアルコールを用い 場合は、このアルコールと同じアルキル鎖 有する、コハク酸ジエステル及びアルカリ 属アルコキシド(強塩基化合物)を用いるこ が、収率向上、有機溶剤回収性の点で好ま い。特に好ましくは、tert-アミルを有する、 コハク酸ジtert-アミル、ナトリウム-tert-アミ ート及びtert-アミルアルコールの組み合わ である。

(強塩基化合物)
 強塩基化合物としては、アルカリ金属自体 アルカリ金属アミド、アルカリ金属水酸化 、アルカリ金属又はアルカリ土類金属アル キシド(アルコラート)などが挙げられるが アルカリ金属アルコキシドが好ましい。強 基化合物として用いられるアルカリ金属ア コキシドは、in situで合成されたものであっ ても、市販品であってもよい。アルカリ金属 アルコキシドとしては、ナトリウム又はカリ ウムの第二級又は第三級アルコールから誘導 されるアルコキシドが好ましい。第一級アル コールから誘導されるアルコキシドは、塩基 性が強く、副反応を起こしやすいため、好ま しくない。特に好ましいアルカリ金属アルコ キシドは、ナトリウム-イソプロピラート、 トリウム-イソブチラート、ナトリウム-tert- チラート又はナトリウム-tert-アミラートで る。

 in situで合成する場合は、ナトリウム等 アルカリ金属を、ナトリウムの10~20重量倍の アルコール中で、100℃以上に加熱し溶融させ た上で、強攪拌を長時間行い、ナトリウムを 完全に溶解させることで合成される。アルカ リ金属アルコキシドは、コハク酸ジエステル に対して、1~4モル倍、好ましくは1.5~2モル倍 量で用いられる。

(環化反応の条件)
 第1工程のジケトピロロピロール顔料の粗結 晶を合成する環化反応は、不活性有機溶剤に 、コハク酸ジエステル、ベンゾニトリル化合 物、及び強塩基化合物(例えばアルカリ金属 ルコキシド)を溶解し、常圧又は若干の加圧 (<0.2MPa)、高温である70~120℃、好ましくは8 0~105℃において、数時間、加熱攪拌すること 行われる。

 この際、原料の添加方法としては、コハ 酸ジエステル及びベンゾニトリル化合物を 活性有機溶剤中に加熱溶解した混合物を、 ルカリ金属アルコキシドを加熱溶解した不 性有機溶剤中に、少量ずつ滴下する方法が ましい。加熱溶解の温度は、どちらの溶液 80~105℃の範囲であることが好ましい。不活 有機溶剤にアルカリ金属アルコキシドを加 溶解した溶液に対し、不活性有機溶剤にコ ク酸ジエステル及びベンゾニトリル化合物 加熱溶解した加熱溶解混合物を滴下するが 滴下は1時間~2時間にわたりゆっくりと一定 速度で行うことが好ましく、また、副反応 避けるため、強く攪拌しながら滴下するこ が好ましい。滴下終了後、更に例えば80~100 にて、1~5時間、加熱攪拌を続け、環化反応 熟成させる。

 また、ベンゾニトリル化合物及び金属ア コキシドを有機溶剤中に加熱溶解した中に コハク酸ジエステルのみを滴下することも 効である。この場合も、滴下は1時間~2時間 わたりゆっくりと行うことが好ましく、滴 終了後、1~5時間、加熱攪拌を行う。

 反応に用いられる不活性有機溶剤、コハ 酸ジエステル、ベンゾニトリル化合物、及 強塩基化合物(例えばアルカリ金属アルコキ シド)は、水分を極力含まないことが重要で る。水分が0.2重量%以上含まれる場合は、生 した水酸化ナトリウム等の強塩基化合物に り、ベンゾニトリル化合物や生成したジケ ピロロピロール顔料の分解が誘発され、ジ トピロロピロール顔料の収率が低下する。

(プロトリシス、及び粗結晶の取出し)
 環化反応により、コハク酸ジエステル1モル に対してベンゾニトリル化合物2モルが反応 たジケトピロロピロール顔料のアルカリ金 塩が生成する。ジケトピロロピロール顔料 アルカリ金属塩は、環化反応後の70~100℃に いて、溶解状態又は析出物を有する懸濁状 にある。安定した溶解又は懸濁状態にある70 ℃~100℃のジケトピロロピロール顔料のアル リ金属塩を、水、アルコール又は酸等のプ トンを有する媒体と接触させることにより 該アルカリ金属塩のプロトン化がなされ、 ケトピロロピロール顔料の結晶が析出する

 プロトンを有する媒体と接する際のジケ ピロロピロール顔料のアルカリ金属塩の温 は、低い温度の方が生成物の分解を抑制す ことができ、また、プロトンを有する媒体 接触した後の温度をより低く保つ(10℃以下 保持することが好ましい)ことができるため に、70~80℃が好ましい。60℃より低くなると 生成物やアルカリ金属塩が析出して固体状 になりやすく、生成物の取り出しが難しく るばかりでなく、固体状態となった後にプ トンを有する媒体と接触させても、均一で 細な粒子を得ることはできない。

 このプロトン化の工程は、プロトリシス 称されている。通常、強い攪拌状態におい 、ジケトピロロピロール顔料のアルカリ金 塩と、水、アルコール又は酸等のプロトン 媒体を十分に混合することにより、プロト 化が行われる。

 本発明の第1工程は、微細で均一な一次粒 子を有するジケトピロロピロール顔料の粗結 晶を合成することを目的としている。第1工 では、結晶型は特に限定されず、1次粒子の きさ及び均一性が重要である。1次粒子の大 きさ及び均一性に対しては、ジケトピロロピ ロール顔料のアルカリ金属塩をプロトン化す る際の条件が、非常に大きな影響を与えるた め、プロトン化条件、すなわちプロトン化を 行う媒体の組成、ジケトピロロピロール顔料 のアルカリ金属塩溶液をプロトン化媒体へ添 加する方法、媒体の温度又は攪拌の状態など について、詳細に規定する。

 プロトン化媒体には、炭素数1~3のアルコ ル及び/又は水及び/又は酸が用いられる。 素数1~3のアルコールとは、メタノール、エ ノール、n-プロパノール又はイソプロパノー ルであり、環化反応に用いる不活性有機溶剤 と水を相溶させる相溶化剤の役割を果たす。 アルコール及び水は、アルコール:水の重量 が50:50~0:100の範囲で用いられる。アルコール は結晶成長を促進することから少ない方が好 ましい。

 また前記酸とは、酸性物質をも含む広い 味で用いられるもので、具体的には、塩酸 硫酸、酢酸、蟻酸、リン酸もしくは硝酸等 酸、亜硫酸水素ナトリウムもしくは亜硫酸 素カリウム等の酸性塩、又は、塩化アンモ ウム、硫酸アルミニウムもしくは硫酸アン ニウム等の酸性を呈する正塩等の酸性物質 挙げられ、プロトン化の速度を速める働き する。

 酸の量は、反応に用いたアルカリ金属ア コキシド等の強塩基化合物を完全中和する より多い量が好ましい。通常、アルカリ金 アルコキシド1モルに対して、1.2倍モル~5倍 ルに相当する酸が用いられる。プロトン化 終始にわたりpHを10以下に制御することが好 ましく、より好ましくは1<pH<7の酸性域に 保持することが好ましい。

 アルコール、水、及び酸の混合物などか なるプロトン化媒体の量は、ジケトピロロ ロール顔料が析出する懸濁液を強く攪拌で る程に低い粘度が維持できる量が必要であ 、環化反応に用いる不活性有機溶剤に対し 3~10倍の重量が用いられる。

 ジケトピロロピロール顔料のアルカリ金 塩のプロトン化は、ジケトピロロピロール 料のアルカリ金属塩の溶液を、プロトン化 体中に添加する方法により行われる。反対 、プロトン化媒体を、ジケトピロロピロー 顔料のアルカリ金属塩の反応溶液中に添加 る方法では、滴下に応じてジケトピロロピ ール顔料が局部的に析出し、滴下の間に結 成長が起こるため、大きさの点で不均一に りやすく、カラーフィルター用としては品 に優れない。また、ジケトピロロピロール 料の局部的な析出により、懸濁液の粘度が 常に高くなり、攪拌状態が悪くなりやすく 得られる粒子は大きく不均一になりやすい そのため、プロトン化媒体に対してジケト ロロピロール顔料のアルカリ金属塩を添加 る方が、微細、かつ、均一な大きさの粒子 得られ好ましい。

 ジケトピロロピロール顔料のアルカリ金 塩をプロトン化媒体へ添加する速度は、少 ずつが基本である。添加速度を調整しなが 、プロトン化の温度を低く、かつ一定範囲 保つことが望ましい。添加時間としての目 は、15分~4時間である。速く添加すると、瞬 間的な分散力に劣るため、大きな一次粒子に なりやすい。また、70℃以上の加熱溶解状態 あるジケトピロロピロール顔料のアルカリ 属塩を添加するため、プロトン化を行う懸 液(プロトン化媒体)の温度が上昇しやすく 懸濁液を低く一定の温度に保持するために 、少量ずつ添加することが好ましい。一方 、添加時間が非常に長いと、先に析出した ケトピロロピロール顔料の粗結晶は低温に いても徐々に結晶成長するため、一次粒子 均一性の点で好ましくない。最も好ましい 加時間は、攪拌状態、冷却能力に依存する 、30分~2時間の範囲である。

 ジケトピロロピロール顔料のアルカリ金 塩を、プロトン化媒体に添加する際のプロ ン化媒体の温度は、プロトン化の終始にわ り、10℃以下に保持することが好ましく、5 以下に保持することがより好ましい。10℃ 越える温度でプロトン化を行うと、一次粒 が大きくなりやすく、カラーフィルターへ 用した際のコントラスト比が低下する。プ トン化媒体の温度は、好ましくは、0℃以下 保持する。70~100℃の高温のジケトピロロピ ール顔料のアルカリ金属塩をプロトン化媒 に添加するので、温度は上昇しやすいが、 分な冷却能力を備え、低い温度で保持する とが必要である。多量の氷を用いることは 低い温度を保つと同時に、一定範囲の温度 保持するのに有効である。

 また、ジケトピロロピロール顔料のアル リ金属塩をプロトン化媒体に添加する際に 、プロトン化媒体を攪拌した状態でジケト ロロピロール顔料のアルカリ金属塩を添加 る。プロトン化媒体を攪拌した状態とは、 ケトピロロピロール顔料のアルカリ金属塩 瞬時に分散されるような強い攪拌、すなわ 、添加されたジケトピロロピロール顔料の ルカリ金属塩が数秒で均一に分散されるよ な強い攪拌状態を意味し、高い剪断力を有 る攪拌状態が好ましい。具体的には、攪拌 度を周速で表せば、少なくとも2m/秒以上、 ましくは5~50m/秒、特に好ましくは10m~50m/秒 ある。

 攪拌速度は、攪拌翼の大きさにもよるが 100rpm以上が好ましい。攪拌には、シャフト 、イカリ型、プロペラ型、板状又は2段タイ プ等多種多様な攪拌翼を用いることができる 。また、攪拌効率に優れるマックスブレンド 翼も有効である。攪拌装置は、一般的な化学 反応に用いられる0~300rpm程度の攪拌速度を有 る攪拌機、又はティゾルバー、ハイスピー ミキサーもしくはホモミキサーのような数 rpmまで高速攪拌可能な攪拌機が挙げられる また、100~300rpmを有する攪拌機及び高速攪拌 可能なディゾルバータイプの攪拌を併用し、 全体を攪拌しながら、ジケトピロロピロール 顔料のアルカリ金属塩が添加される箇所を局 所的に高速攪拌することも非常に有効である 。

 第1工程のジケトピロロピロール顔料のア ルカリ金属塩をプロトン化する際には、水流 式アスピレーター又は水流式イジェクターを 用いてプロトン化媒体を循環させて攪拌状態 としてもよい。水流式アスピレーター又は水 流式イジェクターを用いることにより、より 微細で均一な大きさのジケトピロロピロール 顔料の粗結晶を得ることが可能となり、後述 する第2工程の溶剤処理工程を経て、高品位 カラーフィルター用顔料を得ることができ 。

 水流式アスピレーター又は水流式イジェ ターを用いてプロトン化媒体を循環させる 合には、タンクにこれらのプロトン化媒体 あらかじめ調製し、仕込んでおき、強力な ンプで水流式アスピレーター又は水流式イ ェクターに送り込むことにより、高速のプ トン化媒体の流れを発生させ、ジケトピロ ピロール顔料のアルカリ金属塩がプロトン 媒体と接触する瞬間に、高い剪断力を与え ことができる。

 水洗式アスピレーター又は水流式イジェ ターを用いると、0.05~0.6MPaの圧力で管やチ ーブを流れる高速のプロトン化媒体の中に 細い管を通じて、ジケトピロロピロール顔 のアルカリ金属塩を少量ずつ添加すること でき、アルコール、水及び/又は酸等のプロ ン化媒体と接触する瞬間に、水流による高 剪断力が働くことにより、非常に微細なジ トピロロピロール顔料の粗結晶を得ること できる。また、終始にわたり、一定の温度 び一定の圧力でプロトン化できるため、均 な大きさのジケトピロロピロール顔料の粗 晶を得ることができる。

 水流式イジェクターは、旭製作所(株)か 、ガラス製のイジェクターが市販されてい 。イジェクターは、アスピレーターと類似 構造で水流により減圧を生じるものである 、やや太い径を有するものである。ポンプ 強制的にプロトン化媒体を高速に循環しな ら、高速に流れる媒体の中に、イジェクタ を通して少量ずつジケトピロロピロール顔 のアルカリ金属塩を添加することができ、 流式アスピレーターと同様に高い剪断力が 定して働くことにより、微細で均一な大き の粗結晶を得ることができる。

 水流式アスピレーター又は水流式イジェ ターを用いてプロトン化を行う場合は、酸 は酸性物質を特には必要としない。酸又は 性物質を用いなくても、微細で均一な一次 子のジケトピロロピロール顔料の粗結晶を ることができる。しかし、酸又は酸性物質 効果によって、より微細な一次粒子のジケ ピロロピロール顔料の粗結晶を得ることが きることから、水流式アスピレーター又は 洗式イジェクターを用いてプロトン化を行 場合においても、酸又は酸性物質を添加す ことはより好ましい。

 酸又は酸性物質の添加により、プロトン の終始にわたりpHを10以下に制御することが 好ましく、より好ましくは1<pH<7の酸性域 に保持することが好ましい。水洗式アスピレ ーター又は水洗式イジェクターを用いてプロ トン化を行う際の温度は、微細で均一な一次 粒子のジケトピロロピロール顔料の粗結晶を 得ることができることから、5℃以下である とが好ましく、より好ましくは0℃以下であ 。

 ジケトピロロピロール顔料のアルカリ金 塩のプロトン化を行った後は、ジケトピロ ピロール顔料を含有する赤い懸濁液が生成 る。本発明の第2工程では、結晶転移性を有 する有機溶剤中で加熱攪拌処理を行うため、 第1工程で使用したプロトン化媒体のほとん を除去することが必要となる。

 第1工程で使用したプロトン化媒体を取り 除くために、フィルタープレス、葉状濾過機 、ヌッチェ、水平濾板濾過機、連続式遠心分 離機等の濾過機、分離装置を用いて、濾別が 行われる。濾別は、加圧、減圧又は遠心力等 の作用を利用すると効果的に実施できる。母 液を濾別した後、得られたジケトピロロピロ ール顔料はアルコール等の有機溶剤や水で洗 浄することにより、不純物が除去される。濾 別した後、最終的には、ジケトピロロピロー ル顔料は、当該顔料を10~40重量%程度含有する 水や有機溶剤のペーストとして単離される。

 本発明の製造方法において、プロトン化 酸性条件下(アシッドペースティング法)又 アルカリ条件下(ベースペースティング法)で 行うことができ、それぞれジケトピロロピロ ール系顔料組成物を沈殿物として得ることが できる。アルカリ条件下におけるプロトン化 が好ましい。アシッドペースティング法の場 合、ジケトピロロピロール系顔料組成物を溶 解させるために用いる酸については、特に制 限はないが、硫酸又はリン酸などが好ましく 用いられる。また、ベースペースティング法 の場合、ジケトピロロピロール系顔料組成物 を溶解させるために用いるアルカリについて は、特に制限はないが、金属ナトリウム、水 素化ナトリウム又はアルコラートなどが好ま しく用いられる。

 アシッドペースティング法又はベースペ スティング法における沈殿物の析出時にお ては、高速攪拌装置又は水流イジェクター 使用してもよい。また、両方法を行うため 用いる析出溶剤は、特に制限はないが、ア ッドペースティング法の場合は十分な量の 、メタノール水溶液又はアルカリであり、 ースペースティング法の場合は十分な量の 、メタノール水溶液、酢酸、塩酸又は硫酸 どが好ましく用いられる。

 第2工程の溶剤処理を実施するに当たって は、第1工程で得られたジケトピロロピロー 顔料のペーストをそのまま用いてもよいし 得られたペーストを乾燥及び粉砕して粉末 に加工して用いてもよい。ペーストの乾燥 、箱型乾燥機、パドルドライヤー又は減圧 燥機等の乾燥機にて、通常50~90℃の温度で行 われる。粉砕は、ハンマーミル、カッターミ ル又はアトマイザー等の粉砕機を用いて行わ れる。乾燥と粉砕を兼ね備えたミクロンドラ イヤー又はスピンフラッシュドライヤー等を 用いてもよい。またフリーズドライのような 凍結乾燥を用いると、乾燥による凝集が小さ く分散性のよい粉体を得ることができる。生 産性やコストの点から見れば、乾燥及び粉砕 を経由するよりもペーストをそのまま用いる ことが有利である。なお、ハンマーミル、カ ッターミル又はアトマイザー等の粉砕機を用 いた粉砕は、乾燥時に凝集した顔料を機械的 に粉砕して粉末状にするものであり、顔料の 一次粒子を微細化させるものではない。

 また、第1工程で形成される、プロトン化 媒体中にジケトピロロピロール顔料の粗結晶 を含んだ懸濁液から、例えば限外濾過装置を 用いて、プロトン化媒体を除去、濃縮しなが ら、第2工程の溶剤処理で用いられる新しい 剤を除去された等量分加えることにより、 々に第2工程の溶剤処理の組成に置換してい 、最終的に、結晶転移が進行可能な第2工程 の溶剤組成に達した後に、第2工程の溶剤処 を行うことも可能である。この方法によれ 、濾過工程及び乾燥工程を経ることなく、 1工程及び第2工程を連続的に行うことが可能 で、生産効率の良好な製造方法を提供するこ とができる。

 第1工程で得られたジケトピロロピロール 顔料の粗結晶を濾別し、乾燥及び粉砕後に、 溶剤処理に供する場合には、乾燥による凝集 を緩和するために、ジケトピロロピロール顔 料の粗結晶を含有する懸濁液は、乾燥前に樹 脂や界面活性剤による処理が施されてもよい 。

 樹脂による処理とは、ロジン、アクリル 脂又はスチレンアクリル樹脂等による処理 あり、樹脂による処理は、ジケトピロロピ ール顔料の粗結晶を含有する懸濁液中に、 れら樹脂を溶解したり、又はエマルション 添加したりすることにより行われる。

 界面活性剤による処理は、樹脂処理同様 、ジケトピロロピロール顔料の粗結晶を含 する懸濁液中に、界面活性剤の溶液又はエ ルションを添加することで行われる。界面 性剤としては、カチオン系活性剤、アニオ 系活性剤及びノニオン系活性剤のいずれも いることができる。

 第1工程で得られたジケトピロロピロール 顔料の粗結晶の結晶型は特に限定されない。 ジケトピロロピロール顔料がC.I.Pigment Red 254 の場合、第1工程で得られる粗結晶の結晶型 、β型であることが多い。しかし、第1工程 得られる粗結晶の結晶型がどのような結晶 であるかということよりも(C.I.Pigment Red 254 場合、α型、β型、又はα型とβ型との混晶 いずれであるかということよりも)、1次粒子 の大きさ及び均一性がより重要である。

 制御されたプロトン化処理工程を含む第1 工程で得られるジケトピロロピロール顔料の 粗結晶は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察によれ 、直径10~60nmの微細な一次粒子である。特に 、ジケトピロロピロール顔料がC.I.Pigment Red  254の場合では、第1工程で得られたジケトピ ロピロール粗結晶の一次粒子の大きさは非 に微細であり、直径10~40nmの大きさである。 流式アスピレーター又は水流式イジェクタ を用いると、直径10~30mmの大きさの粗結晶を 得ることができる。

(第2工程)
 第2工程は、第1工経で得られたジケトピロ ピロール顔料の粗結晶を、結晶転移性を有 る有機溶剤中で混合攪拌処理し、該粗結晶 成長を抑制しながら結晶型を制御する工程 ある。第2工程における結晶転移性を有する 機溶剤中の混合攪拌処理は、第1工程で得ら れたジケトピロロピロール顔料の粗結晶の粉 末、又は水もしくは有機溶剤のペーストを、 結晶転移性を有する有機溶剤に分散し、例え ば、-15~100℃の温度で、10分~数十時間の間、 拌処理することで行われる。攪拌は、特に 速の攪拌を必要としないが、懸濁液全体が に動いている状態であることが好ましい。 常、100~300rpm程度の攪拌速度で攪拌が行われ 。

(結晶転移性を有する有機溶剤)
 第2工程で用いられる有機溶剤は、ジケトピ ロロピロール顔料の結晶転移を進行させるこ とのできる有機溶剤である。本発明において は、炭素数1~4個のアルコールが用いられる。 具体的には、メタノール、エタノール、n-プ パノールもしくはn-ブタノールの直鎖アル ール、又はイソプロピルアルコール、2-ブタ ノールもしくはtert-ブタノール等の分枝状ア コール、又はエチレングリコールもしくは エチレングリコール等が用いられる。これ のアルコールは、毒性が少なく好んで用い れる。

 第2工程においては、上記アルコール80~100 重量%及び水20~0重量%を含有する媒体中で、第 1工程で得られたジケトピロロピロール顔料 粗結晶を混合攪拌処理する。媒体中のアル ールが80重量%より少ない場合、結晶転移が く進行しないか、結晶転移の速度が遅くな 等の現象が見られるため、好ましくない。 た、上記アルコールを複数種類含んでもよ が、溶剤リサイクルの点から、種類は少な 方が好ましい。

 結晶転移を進行させる温度は、用いるア コールの種類によるが、メタノール又はエ ノールを用いる場合は、結晶転移が速く進 、同時に粒子の大きさも成長しやすいので -10~5℃の範囲に温度を維持することが好ま い。一方、イソブチルアルコール又はtert-ブ チルアルコール等の炭素数3、4個のアルコー 中では、結晶転移の速度が遅いので、10~20 の範囲に温度を維持することが好ましい。 2工程において、用いる有機溶剤の使用量は 特に限定されないが、ジケトピロロピロー 顔料に対して、10~40重量倍が望ましい。

(攪拌処理)
 粒子整粒及び結晶型の調整を有する有機溶 中の攪拌処理は、サンドミル又はアイガー ル等のビーズミルを併用して、練肉分散し がら行うことも有効である。この場合、機 的な衝撃により、結晶転移を促進させるこ ができる。

 ビーズミルに用いられるビーズとしては 顔料分散において一般に用いられる、直径0 .3~2mmを有するガラスビーズ、スチールビーズ 、ジルコニアビーズ又はアルミナビーズ等の 微細なビーズを用いることができる。ビーズ ミルを併用した場合は、攪拌のみによる処理 と比較して、透明性、粘度安定性、分散安定 性及びへイズ等の物性に優れるが、濾別の際 に単離しにくくなる。

(塩基性物質又は安定型顔料による結晶転移 促進)
 第2工程の有機溶剤中の混合攪拌処理におい ては、少量の塩基性物質を添加することによ り結晶転移を促進させることができる。しか し、ジケトピロロピロール顔料は、アルカリ 性条件下で加熱攪拌処理すると、著しい結晶 成長を起こすため、使用量、使い方が難しい 。

 有機溶剤の混合攪拌処理に添加すること できる塩基性物質は、上記の結晶転移性を する有機溶剤に溶解するものであれば特に 定されない。例えば、水酸化ナトリウム、 酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化 リウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリ ムもしくは炭酸アンモニウム等の無機塩基 物質、又はナトリウムメチラート、ナトリ ムエチラート、ナトリウムtert-ブチラート しくはカリウムtert-ブチラート等のアルコキ シド類、又はアンモニア、メチルアミンもし くはジメチルアミノプロピルアミン等のアミ ン類を用いることができる。

 また、塩基性物質の添加量は、ジケトピ ロピロール顔料に対して25モル%以下が望ま い。塩基性物質の添加量が多いほど、結晶 移を促進する効果が大きいが、結晶成長も くなり、粒子の大きさを制御することが困 になる。

 塩基性物質を添加した場合は、結晶転移 完了した時点で、塩酸、硫酸又は酢酸等の を添加し、pH7以下に調整することが望まし 。塩基性物質を添加したアルカリ性のまま 放置したり、次の濾過、精製工程に移行し りすると、その工程の間に結晶成長が進行 ることがあり、結果的に品位の劣る顔料が 成されるおそれがある。また、酸性に戻し 後、有機溶剤中の混合攪拌処理を継続して うことは、晶質の低下を防ぐため有効な方 である。

 また、第2工程の加熱攪拌処理において、 安定型の顔料を新たに添加することによって も結晶転移を促進させることができる。この 方法は、目的とする結晶型を有する結晶を添 加することによって鋳型効果を与え、目的の 結晶型に結晶転移させようとする操作である 。ジケトピロロピロール顔料がC.I.Pigment Red  254の場合には、α型の顔料を添加することに り、鋳型としての効果が働き、β型からα型 への結晶転移速度を速めることができる。粗 結晶に対するα型顔料の添加量は、5~20重量% 好ましい。この範囲より少ないと結晶転移 促進する効果が弱く、多いとコスト及び生 性に不利になる。

(色素誘導体による結晶成長の抑制)
 第2工程においても、粒子の成長や均一性が 重要である。また、結果的に得られるジケト ピロロピロール顔料の結晶型の比率(複数種 の結晶型を含む場合の各結晶型の比率)は特 限定されない。第2工程では、キナクリドン 誘導体、ジケトピロロピロール誘導体、ベン ゾイソインドール誘導体、アントラキノン誘 導体、ジアントラキノン誘導体、チアジンイ ンジゴ誘導体、アゾ色素誘導体及びキノフタ ロン誘導体からなる群から選ばれる少なくと も1種の色素誘導体の存在下において、有機 剤中の攪拌処理を行うことが好ましい。

 溶剤処理時に、キナクリドン誘導体、ジ トピロロピロール誘導体、ベンゾイソイン ール誘導体、アントラキノン誘導体、ジア トラキノン誘導体、チアジンインジゴ誘導 、アゾ色素誘導体及びキノフタロン誘導体 らなる群から選ばれる少なくとも1種の色素 誘導体、すなわち、結晶成長抑制剤を添加す ることにより、結晶成長を抑制することがで きる。結晶成長抑制剤は、結晶転移も抑制す ることが多く、色素誘導体の種類や添加量、 添加するタイミングには注意が必要である。

 本発明に用いられるキナクリドン誘導体 ジケトピロロピロール誘導体、ベンゾイソ ンドール誘導体、アントラキノン誘導体、 アントラキノン誘導体、チアジンインジゴ 導体、アゾ色素誘導体又はキノフタロン誘 体は、それぞれ、キナクリドン、ジケトピ ロピロール、ベンゾイソインドール、アン ラキノン、ジアントラキノン、チアジンイ ジゴ、アゾ色素及びキノフタロンに置換基 導入した化合物である。

 色素誘導体の構造として、例えば、上記一 式「Q-X」で表される色素誘導体が挙げられ が、これらに限定されるものではない。こ で、式「Q-X」中、Qは、例えば、キナクリド ン残基、ジケトピロロピロール残基、ベンゾ イソインドール残基、アントラキノン残基、 ジアントラキノン残基、チアジンインジゴ残 基、アゾ色素残基又はキノフタロン残基であ り、Xは、例えば、それぞれ独立して、-OH、-S O 3 H、-COOH、これらの酸性基の1価~3価の金属塩、 アルキルアミン塩、ピペラジニル塩、モルホ ニル塩;フタルイミドメチル基;3級アミノ基を 有する塩基性基が導入されたトリアジン環が -NH-の一端に結合した基;上記式(a)、(b)、(c)、( d)、(e)、(f)、(g)又は(h)で表される基であり、T 1 は、例えば、それぞれ独立して、-SO 2 NH-、-CONH-、-CH 2 NHCOCH 2 -、-S-又は-NH-であり、T 2 は、例えば、それぞれ独立して、炭素数1~4の アルキレン基であり、R 1 及びR 2 は、例えば、それぞれ独立して、炭素数1~4の アルキル基であり、R 3 は、例えば、-H、-NH 2 、-NHCOCH 3 又は-NHR 4 であり、ここでR 4 は、例えば、炭素数1~4のアルキル基又は3級 ミノ基を有する塩基性基を導入したトリア ン環であるが、これらに限定されるもので ない。

 1価~3価の金属としては、ナトリウム、カ ウム、マグネシウム、カルシウム、鉄又は ルミニウム等が挙げられる。また、アルキ アミン塩としては、オクチルアミン、ラウ ルアミン、もしくはステアリルアミン等の 鎖モノアルキルアミンの4級アンモニウム塩 、又はパルミチルトリメチルアンモニウム、 ジラウリルジメチルアンモニウム、もしくは ジステアリルジメチルアンモニウム等の4級 ンモニウム塩が挙げられる。

 色素誘導体は、硫酸もしくは発煙硫酸中 加熱することによるスルホン化反応、硫酸 、N-ヒドロキシメチルフタルイミドと脱水 合させるフタルイミドメチル化反応、又は ロルスルホン酸と塩化チオニルを用いてク ルスルホン化した後、ジメチルアミノプロ ルアミン等のアミンを反応させるスルホン ミド化反応等の公知の製法により合成され 。色素誘導体において、上記の置換基は、 ナクリドン、ジケトピロロピロール、ベン イソインドール、アントラキノン、ジアン ラキノン、チアジンインジゴ、アゾ色素又 キノフタロンのそれぞれ1分子当たり、1~3個 入されることが好ましく、1~2個導入される とが最も好ましい。

 用いる色素誘導体の量は特に限定はされ いが、ジケトピロロピロール顔料の粗結晶 対して0.5~20重量%、特に2~10%重量%が好ましい 。色素誘導体の量が0.5重量%未満では結晶成 を抑制する効果が発現せず、20重量%を超え 用いると、色素誘導体の色相、耐熱性、耐 性、耐水性又は昇華性等に影響が現れ、顔 としての物性を損ねることがある。

 前記色素誘導体は、ジケトピロロピロー 顔料の結晶の成長を抑制する効果を発現す が、結晶成長を抑制する効果を発揮するた には、色素誘導体がジケトピロロピロール 料の表面に効率よく吸着し、簡単に脱着し いことが求められる。このため、色素誘導 の構造は、用いる顔料と同じ化学構造を部 的に有するものとされる場合が多い。この うな理由から、ジケトピロロピロール顔料 製造する場合には、一般的には、ジケトピ ロピロール構造、キナクリドン構造、チア ンインジゴ構造、又はベンゾイソインドー 構造を有する色素誘導体が効果的である。 た、上記の色素誘導体の中では、フタルイ ドメチル基を有する色素誘導体が最も高い 晶成長抑制効果を発現する。

(色素誘導体による色相の改善)
 また、色相などを改善するには、黄色、橙 を呈するジケトピロロピロール構造、ベン イソインドール構造、チアジンインジゴ構 、アゾ色素構造又はキノフタロン構造の色 誘導体の使用が好ましい。

(キナクリドン誘導体の具体例)
 キナクリドン誘導体としては、具体的には 以下の式(1)で表される化合物を用いること できるが、これらに限定されるものではな 。

(ジケトピロロピロール誘導体の具体例)
 また、ジケトピロロピロール誘導体として 、具体的には、以下の式(2)又は(3)で表され 化合物を用いることができるが、これらに 定されるものではない。

(ベンゾイソインドール誘導体の具体例)
 また、ベンゾイソインドール誘導体として 、具体的には、式(4)で表される以下の化合 を用いることができるが、これらに限定さ るものではない。

(アントラキノン誘導体の具体例)
 また、アントラキノン誘導体としては、具 的には、以下の式(5)で表される化合物を用 ることができるが、これらに限定されるも ではない。

(ジアントラキノン誘導体の具体例)
 また、ジアントラキノン誘導体としては、 体的には、以下の式(6)で表される化合物を いることができるが、これらに限定される のではない。

(チアジンインジゴ誘導体の具体例)
 また、チアジンインジゴ誘導体としては、 体的には、以下の式(7)で表される化合物を いることができるが、これらに限定される のではない。

(アゾ色素誘導体の具体例)
 アゾ色素誘導体としては、具体的には、以 の式(8)、(9)又は(10)で表される化合物を用い ることができるが、これらに限定されるもの ではない。

(キノフタロン誘導体の具体例)
 キノフタロン誘導体としては、具体的には 以下の式(11-1)~式(11-17)で表される化合物を いることができるが、これらに限定される のではない。

(結晶型が制御されたジケトピロロピロール 料の取出し)
 前記の方法により得られた結晶型が制御さ たジケトピロロピロール顔料は、フィルタ プレス、葉状濾過機、ヌッチェ、水平濾板 過器又は連続式遠心分離機等の濾過機、あ いは分離装置を用いて有機溶剤を取り除き 水による洗浄又は水への再分散、及び濾過 経て、有機浴剤が水に置換された水ペース として単離される。得られた水ペーストは 続いて、乾燥及び粉砕を経て、粉末状の顔 として最終形態をなす。

 乾燥は、箱型乾燥機、パドルドライヤー は減圧乾燥機等の乾燥機にて、通常、50~90 にて行われる。粉砕は、ハンマーミル、カ ターミル又はアトマイザー等の粉砕機を用 て行われる。乾燥と粉砕を兼ね備えたミク ンドライヤー又はスピンフラッシュドライ ー等も用いられる。フリーズドライのよう 低温真空乾燥を用いると、乾燥による凝集 小さく、分散性のよい粉体を得ることがで る。なお、ハンマーミル、カッターミル又 アトマイザー等の粉砕機を用いた粉砕は、 燥時に凝集した顔料を機械的に粉砕して粉 状にするものであるが、顔料の一次粒子を 細化させるものではない。

 得られたジケトピロロピロール顔料には 乾燥による凝集を緩和するために、樹脂又 界面活性剤による処理が施されてもよい。 脂による処理とは、ロジン、アクリル樹脂 はスチレンアクリル樹脂等による処理であ 、ジケトピロロピロール顔料を含有する懸 液中に、これら樹脂の溶液又はエマルショ を添加することにより行われる。界面活性 による処理は、樹脂処理同様に、ジケトピ ロピロール顔料の粗結晶を含有する懸濁液 に、界面活性剤の溶液又はエマルションを 加することで行われる。界面活性剤として カチオン系活性剤、アニオン系活性剤及び ニオン系活性剤のいずれも用いることがで る。

(式(II)で表されるジケトピロロピロール化合 の追加的な添加)
 本発明に係るジケトピロロピロール系顔料 成物が得られる上記コハク酸エステル法に いて、上記式(II)で表されるジケトピロロピ ロール化合物を追加的に添加してもよく、こ の添加のタイミングは、ジケトピロロピロー ル系顔料組成物の合成段階から感光性着色組 成物の調製段階まで幅広いタイミングで可能 である。好ましくは、顔料アルカリ金属塩の プロトリシスの前に実施されるか、又は、所 定の不活性有機溶剤と強塩基化合物とに、所 定のコハク酸ジエステルとベンゾニトリル化 合物とが添加される前である合成初期の段階 に行われる。
 また、追加的に添加する上記式(II)で表され るジケトピロロピロール化合物は、純粋でな くてもよく、例えば上記式(II)で表されるジ トピロロピロール化合物を高濃度で含む顔 組成物(例えば、式(I)、(II)で表される化合物 およびその他を含む混合物)であってもよい 式(II)で表される化合物の追加的な添加によ 効果を得るためには、本発明の顔料組成物 に含まれる式(II)で表される化合物の最終的 な量が少しでも(例えば、式(II)で表される化 物が0.2%以上)あれば効果がある。

(コハク酸エステル法以外の製造方法)
 本発明に係る顔料組成物を調製する方法と ては、先に挙げたコハク酸エステル法以外 も、上記式(I)で表されるジケトピロロピロ ル顔料と上記式(II)で表されるジケトピロロ ピロール顔料とを別々に用意した後に、これ ら2種の顔料を湿式で粉砕混合する方法、乾 で粉砕混合する方法又はこれら2種の顔料の 細粒子粉末同士を混合する方法などが挙げ れる。

 上記式(I)で表されるジケトピロロピロー 顔料は、例えば上述した方法を用いて合成 行うことができ、他には市販品として入手 ることができる。また上記式(II)で表される ジケトピロロピロール顔料は、例えば文献Syn th.Commun.1988,18,1213及びTetrahedron 58(2002)5547-5565 記載された方法を用いて合成を行うことが きる。しかしながら、これにより本発明に るジケトピロロピロール顔料の製造方法が 定されるものではない。

(湿式粉砕混合法(ニーダー法))
 本発明のジケトピロロピロール系顔料組成 を製造することができる湿式粉砕混合法は 上記式(I)で表されるジケトピロロピロール 料と上記式(II)で表されるジケトピロロピロ ール顔料とを以上のようにして別々に用意し た後に、これら2種の顔料を別々に、又は共 、磨砕材(例えば水溶性無機塩類)と湿潤剤( えば有機溶剤)と共に粉砕する方法である。

 本発明において磨砕材として用いられる 溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、塩 カリウム、塩化カルシウム、塩化バリウム は硫酸ナトリウム等が挙げられる。これら に対する溶解度から1~20倍重量であることが より好ましい。磨砕材がジケトピロロピロー ル顔料に対し1重量部より少ないと、ドウ(混 物、塊)ができにくく、十分な微細化効果を 得られない。また、磨砕材がジケトピロロピ ロール顔料に対し20重量部より多いと、湿潤 の量も多くしなければならず、精製のスケ ルが大きくなり不経済である。さらに、水 性無機塩に含まれる水分は1%以下であるこ が好ましい。粉砕メディアである磨砕材は 粉砕粒度が5~50μmで、粒子径の分布がシャー で、かつ球形であることが好ましい。

 湿式粉砕混合方法において用いられる湿 剤は、前記ジケトピロロピロール顔料と接 させることで顔料が湿潤して粉砕効果が増 し、顔料の微細化を促進することができる のであれば特に制限はないが、水溶性有機 剤が好ましいものとして挙げられる。水溶 有機溶剤としては、メタノール、エタノー 、イソプロパノール、n-プロパノール、イ ブタノール、n-ブタノール、エチレングリコ ール、ジエチレングリコール、ジエチレング リコールモノメチルエーテール、ジエチレン グリコールモノエチルエーテール、ジエチレ ングリコールモノブチルエーテール、プロピ レングリコール、プロピレングリコールモノ メチルエーテルアセテート、アセトン、ジメ チルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、 又はN-メチルピロリドン等を挙げることがで る。これらは、必要に応じて2種類以上用い ることがより好ましい。

 湿式粉砕混合方法において粗製ジケトピ ロピロール顔料を湿式粉砕するために用い 湿式粉砕装置については特に制限はないが トリミックス(井上製作所製)、スーパミッ ス(新栄機械製)又は粉砕効果が高いニーダー (井上製作所製)等の装置を用いることができ 。本発明における湿式粉砕装置の運転条件 ついても特に制限はないが、装置の内温は2 0~150℃で運転が可能である。例えば、装置が ーダーの場合、粉砕メディアによる粉砕を 果的に進行させるため、以下の運転条件が ましい。すなわち、装置内のブレードの回 数は10~200rpmが好ましく、2軸の回転比が相対 的に大きいほうが、粉砕効果が大きく好まし い。また、運転時間は生産性及び経済性の点 から1~24時間が好ましく、装置の内温は微細 つ整粒化された粒子を得るためには20~80℃が 好ましい。

 本発明においては、湿式粉砕の混練効率 促進させるために色素誘導体を使用しても く、ジケトピロロピロール顔料のさらなる 細化及び整粒化に非常に有効である。色素 導体は、上記一般式「Q-X」で表される化合 が好ましいが、これらに限定されるもので ない。

 本発明においては、湿式粉砕時に必要に じて色素誘導体の他に、顔料の分散性を向 させるために、樹脂、界面活性剤、又は高 脂肪酸を添加してもよい。

(乾式粉砕混合法)
 本発明のジケトピロロピロール系顔料組成 を製造することができる乾式粉砕方法は、 記式(I)で表されるジケトピロロピロール顔 と上記式(II)で表されるジケトピロロピロー ル顔料とを以上のようにして別々に用意した 後に、これら2種の顔料を別々に、又は共に 磨砕材と共に粉砕する方法である。

 磨砕材100~200重量部に対して、例えば1~50 量部の顔料を使用する。この場合、磨砕材 少量の溶剤(例えばキシレン又はテトラクロ エチレンのごとき溶剤)及び/又は界面活性 (例えば、ドゼシルベンゼンスルホン酸ナト ウム)を添加すると有利でありうる。磨砕及 び混練は5~90℃の温度において実施するのが 当であり、好ましくは15~60℃である。

 磨砕材としては金属玉、ガラス玉、セラミ ク玉、ジルコニアビーズ、プラスチック顆 、砂粒、食塩、CaCl 2 、Na 2 SO 4 、結晶水を含む硫酸アルミニウム又は結晶水 を含まない硫酸アルミニウムなどである。

 乾式粉砕方法における仕上げ操作はそれ 体公知の方法で実施する。すなわち、顔料/ 塩混合物を磨砕材から分離し、ついで水に投 入し、そして得られた顔料懸濁物を分離濾過 する。

(ジケトピロロピロール顔料系組成物の物性)
 上記方法で製造された本発明のジケトピロ ピロール系顔料組成物の結晶型は特に限定 れない。本発明のジケトピロロピロール系 料組成物には、本発明の効果を損ねない範 でβ型が混晶又は混合物の形で存在してい も構わない。本発明のジケトピロロピロー 系顔料組成物は、平均一次粒子径が40nm以下 あることが好ましく、10nm以上35nm以下であ ことがより好ましい。ここで平均一次粒子 とは、最小単位の顔料粒子の直径をいう。 均一次粒子径は、例えば、得られた粉末顔 に有機溶剤を加えて簡便に凝集をほぐした 、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察を行い、得ら れた像を解析して平均値を算出することがで きる。平均一次粒子径が40nmを越えるジケト ロロピロール系顔料組成物は、光の散乱が く、該顔料組成物を含有する赤色着色膜に いて高いコントラスト比を得ることが困難 なる。また、本発明のジケトピロロピロー 系顔料組成物は、TEM(透過型電子顕微鏡)によ る粒子観察では、球状、立方体、又は直方体 に近い形状を有している。

(着色された高分子有機材料、カラーフィル ー用着色組成物などの着色組成物)
 次に、本発明の着色組成物(着色された高分 子有機材料及びカラーフィルター用着色組成 物を含む)について説明する。本発明の着色 成物は、本発明のジケトピロロピロール系 料組成物と顔料担体とを含有する。この顔 担体が高分子有機材料の場合、着色された 分子有機材料になる。

(顔料担体)
 顔料担体は、通常、樹脂、その前駆体、又 それらの混合物から構成され、ジケトピロ ピロール系顔料組成物の分散性及び分散安 性に効果のあるものを選択することが好ま い。樹脂には、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹 又は活性エネルギー線硬化性樹脂があり、 脂の前駆体には、活性エネルギー線照射に り硬化して樹脂と同様の膜を形成するモノ ー、ダイマー、トリマー又はオリゴマーな がある。これらは、単独で、又は2種以上を 混合して用いることができる。顔料担体は、 ジケトピロロピロール系顔料組成物100重量部 に対して、好ましくは50~700重量部、より好ま しくは100~400重量部の量で用いることができ 。

 着色組成物を用いてカラーフィルターを 造する場合には、樹脂は、可視光領域の400~ 700nmの全波長領域において透過率が80%以上、 ましくは95%以上の透明樹脂であることが好 しい。また、カラーフィルターの製造にお る後の工程、例えば透明電極及び配向膜の 成工程において高温加熱の処理が行われる め、耐熱性のよい樹脂を用いる必要がある

 熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラ ル樹脂、スチレン-マレイン酸共重合体、塩 素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、 ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共 合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹 、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、ア キッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミ 樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セル ース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタ エン又はポリイミド樹脂等が挙げられる。 た、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポ シ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変 マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂 メラミン樹脂、尿素樹脂又はフェノール樹 等が挙げられる。

 一方、活性エネルギー線硬化性樹脂とし は、水酸基、カルボキシル基又はアミノ基 の反応性の置換基を有する高分子に、例え イソシアネート基、アルデヒド基又はエポ シ基等を介して、(メタ)アクリル化合物又 桂皮酸等の光架橋性基を導入した樹脂が用 られる。また、スチレン-無水マレイン酸共 合物やα-オレフィン-無水マレイン酸共重合 物等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキ シアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を する(メタ)アクリル化合物によりハーフエ テル化した重合物も用いられる。

 また、樹脂の前駆体であるモノマー、オ ゴマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエ ル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピ (メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ) アクリレート、ポリエチレングリコールジ( タ)アクリレート、ペンタエリスリトールト (メタ)アクリレート、ジペンタエリスリト ルへキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデ カニル(メタ)アクリレート、もしくはジペン エリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート カプロラクトン付加物等の各種アクリル酸 ステル又はメタクリル酸エステル、アクリ 酸、メタクリル酸、(メタ)アクリルアミド、 N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、 チレン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、 ラミン(メタ)アクリレートもしくはエポキシ (メタ)アクリレートプレポリマー等が挙げら る。

(光重合開始剤)
 着色組成物には、該組成物が紫外線照射に り硬化されるものであるときには、光重合 始剤等が添加される。光重合開始剤として 、従来用いられている光重合開始剤のいず をも用いることができる。光重合開始剤を 体的に例示すると、例えば、4-フェノキシ クロロアセトフェノン、4-ブチル-ジクロロ セトフェノン、ジエトキシアセトフェノン 1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2- チルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘ キシルフェニルケトン、2-ベンジル-2-ジメチ アミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1 -オン、又は2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニ ]-2-モルフォリノプロパン-1-オン等のアセト フェノン系光重合開始剤;ベンゾイン、ベン インメチルエーテル、ベンゾインエチルエ テル、ベンゾインイソプロピルエーテル、 はベンジルジメチルケタール等のベンゾイ 系光重合開始剤;ベンゾフェノン、ベンゾイ 安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4- ェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾ ェノン、アクリル化ベンゾフェノン、又は4- ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイ ド等のベンゾフェノン系光重合開始剤;チオ サンソン、2-クロルチオキサンソン、2-メチ チオキサンソン、イソプロピルチオキサン ン、又は2,4-ジイソプロピルチオキサンソン 等のチオキサンソン系光重合開始剤;2,4,6-ト クロロ-S-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(ト リクロロメチル)-S-トリアジン、2-(p-メトキシ フェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-S-トリ ジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチ )-S-トリアジン、2-ピペロニル-4,6-ビス(トリ ロロメチル)-S-トリアジン、2-(ナフト)-4,6-ビ ス(トリクロロメチル)-S-トリアジン、2-(4-メ キシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチ ル)-S-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル )-(ピペロニル)-6-トリアジン、又は2,4-ビス(ト リクロロメチル)-(4’-メトキシスチリル)-6-ト リアジン等のトリアジン系光重合開始剤;ボ ート系光重合開始剤;カルバゾール系光重合 始剤;イミダゾール系光重合開始剤等が挙げ られる。光重合開始剤は、ジケトピロロピロ ール系顔料組成物100重量部に対して、5~150重 部の量で用いることが好ましい。上記光重 開始剤は、単独で、あるいは2種以上混合し て用いることができる。

(増感剤)
 また、増感剤として、α-アシロキシエステ 、アシルフォスフィンオキサイド、メチル ェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10- ェナンスレンキノン、カンファーキノン、 チルアンスラキノン、4,4’-ジエチルイソフ ロフェノン、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパ オキシカルボニル)ベンゾフェノン、又は4,1 -ジエチルアミノベンゾフェノン等の化合物 を併用することができる。増感剤は、光重合 開始剤100重量部に対して、0.1~150重量部の量 用いることが好ましい。

(溶剤)
 着色組成物には、ジケトピロロピロール系 料組成物を顔料担体中に充分に分散させ、 材に均一に塗布するために、溶剤を用いる とができる。溶剤としては、例えばシクロ キサノン、エチルセロソルブアセテート、 チルセロソルブアセテート、1-メトキシ-2- ロピルアセテート、ジエチレングリコール メチルエーテル、エチルベンゼン、エチレ グリコールジエチルエーテル、キシレン、 チルセロソルブ、メチル-n-アミルケトン、 ロピレングリコールモノメチルエーテル、 ルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル メタノール、エタノール、イソプロピルア コール、ブタノール、イソブチルケトン、 は石油系溶剤等が挙げられる。これらは単 で、もしくは混合して用いることができる 溶剤は、ジケトピロロピロール系顔料組成 100重量部に対して、500~4,000重量部の量で用 ることが好ましい。

(着色組成物の調製)
 本発明のジケトピロロピロール系顔料組成 の顔料担体中への分散には、三本ロールミ 、二本ロールミル、サンドミル、又はニー ー等の各種分散手段を使用できる。また、 れらの分散を良好とするために適宜、各種 面活性剤又は色素誘導体等の分散助剤を添 できる。分散助剤を用いることにより、顔 の分散に優れ、分散後の顔料の再凝集が防 された着色組成物を調製することができる

 本発明の着色組成物には、必要に応じて 発明のジケトピロロピロール顔料以外の赤 顔料、黄色顔料、染料、酸化防止剤、重合 止剤、レベリング剤、保湿剤、粘度調整剤 防腐剤、抗菌剤、界面活性剤、アンチブロ キング剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、 ィラー又は導電性材料など様々な添加剤を 加することができる。

 印刷インキ又は着色レジスト剤等の着色 成物を得る際には、遠心分離、焼結フィル ー又はメンブレンフィルター等の手段にて 5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の 大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大 子、及び混入した塵を除去することが好ま い。

(赤色着色膜)
 次に、本発明の赤色着色膜について説明す 。本発明の赤色着色膜は、本発明のジケト ロロピロール系顔料組成物と顔料担体とを 有するものであり、本発明の着色組成物を 板に塗布する方法、基板を本発明の着色組 物中に浸漬する方法、本発明の着色組成物 基板に噴霧する方法、又はインクジェット 等により基板上に形成することができる。 発明の着色組成物の塗布は、例えば、スピ コーター、バーコーター、ブレードコータ 、ロールコーター、ダイコーター又はスク ーン印刷機などを用いて行うことができる 本発明の着色組成物が溶剤を含む場合には 風乾、濁流乾燥又は真空乾燥などにより塗 中の溶剤を除去し、造膜することができる また、赤色着色膜を形成した後で、焼き付 (ポストベーク)及び/又は活性エネルギー線 照射などによりさらに硬化を行うこともで る。焼き付けにより硬化させる場合、本発 の着色組成物中には熱で硬化する公知の材 を含むことができ、焼き付け温度はその材 にあわせて設定することができる。また、 性エネルギー線の照射により硬化させる場 は、本発明の着色組成物中には活性エネル ー線にて硬化する公知の材料を含むことが き、照射条件はその材料にあわせて設定す ことができる。

(赤色着色膜のカラーフィルターへの適用)
 本発明の赤色着色膜は、カラーフィルター 構成する赤色フィルターセグメントとして 適である。一般的なカラーフィルターは、 明基板上に、少なくとも1つの赤色フィルタ ーセグメント、少なくとも1つの緑色フィル ーセグメント、及び少なくとも1つの青色フ ルターセグメントを設けたものであり、各 フィルターセグメントはブラックマトリッ スで区分けされていることが好ましい。

 本発明の着色組成物が塗布される基板と ては、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪 ガラスもしくは無アルカリアルミノ硼珪酸 ラスなどのガラス板、又はポリカーボネー 、ポリメタクリル酸メチルもしくはポリエ レンテレフタレートなどの樹脂板など、透 基板が好ましい。ガラス板や樹脂板などの 板表面には、パネル化後の液晶駆動のため 、酸化インジウム又は酸化錫などからなる 明電極が形成されていていてもよい。各色 ィルターセグメント及びブラックマトリッ スの乾燥膜厚は、0.2~4μmであることが好ま い。

 各色フィルターセグメントの形成方法と ては、フォトリソグラフィー法、印刷法又 インクジェット法などがある。特に、フォ リソグラフィー法やインクジェット法が好 しい。フォトリソグラフィー法による各色 ィルターセグメントの形成は、下記の方法 行うことができる。すなわち、溶剤現像型 はアルカリ現像型着色レジスト材として調 した着色組成物を、透明基板上に、スプレ コート、スピンコート、スリットコート又 ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜 が0.2~4μmとなるように塗布する。必要によ 、乾燥された膜には、この膜と接触あるい 非接触状態で設けられた所定のパターンを するマスクを通して紫外線露光を行う。そ 後、溶剤又はアルカリ現像液に浸漬するか もしくはスプレーなどにより現像液を噴霧 て未硬化部を除去し所望のパターンを形成 て各色フィルターセグメントを形成するこ ができる。さらに、着色レジスト材の重合 促進するため、必要に応じて加熱を施すこ もできる。

 現像に際しては、アルカリ現像液として 酸ナトリウム又は水酸化ナトリウム等の無 アルカリ水溶液が使用され、ジメチルベン ルアミン、トリエタノールアミン、水酸化 トラメチルアンモニウム又はコリン等の有 アルカリ水溶液を用いることもできる。ま 、現像夜には、消泡剤や界面活性剤を添加 ることもできる。現像処理方法としては、 ャワー現像法、スプレー現像法、ディップ( 浸漬)現像法又はパドル(液盛り)現像法等を適 用することができる。

 なお、紫外線露光感度を上げるために、 記着色レジスト材を塗布乾燥後、水溶性又 アルカリ可溶性樹脂、例えばポリビニルア コール又は水溶性アクリル樹脂等を塗布乾 し、酸素による重合阻害を防止する膜を形 した後、紫外線露光を行うこともできる。

 また、インクジェット法によるフィルタ セグメントの形成は、ブラックマトリック が形成された基板のブラックマトリックス 区分けされた領域内に、インクジェット吐 装置によりインクジェットインクとして調 した着色組成物を吐出することにより行わ る。なお、ブラックマトリックスは、例え 、ラジカル重合型のブラックレジストを塗 し、露光後、現像してパターニングするフ トリソグラフィー法、黒色インクを印刷す 印刷法、又は金属を蒸着したのちエッチン する蒸着法等により基板上に形成すること できる。

 以下、本発明を実施例に基づいて更に具体 に説明する。なお、実施例及び比較例中、 とは重量部を、%とは重量%をそれぞれ示す また、顔料の一次粒子径は、透過型電子顕 鏡(TEM)により観察した目視による粒子径(nm) 表す。
 なお、実施例及び比較例では色素誘導体と て、上記(4-1)で表されるベンゾイソインド ル誘導体の色素誘導体が用いられた。

[実施例1]
(第1工程)
 還流管を付けたステンレス製反応容器に、 素雰囲気下、モレキュラシーブで脱水したt ert-アミルアルコール200g、及びナトリウム-ter t-アミルアルコキシド140gを加え、攪拌しなが ら100℃に加熱し、アルコラート溶液を調製し た。

 一方で、500mlのガラス製フラスコに、コ ク酸ジイソプロピル88g、4-クロロベンゾニト リル97.0g、及び4-シアノビフェニル3.9gを加え 攪拌しながら90℃に加熱して溶解させ、こ らの混合物の溶液を調製した。この混合物 加熱溶液を、100℃に加熱した上記アルコラ ト溶液中に、激しく攪拌しながら、2時間か て一定の速度でゆっくり滴下した。滴下終 後、90℃にて2時間、加熱攪拌を継続し、ジ トピロロピロール系顔料組成物のアルカリ 属塩を得た。

 さらに、3Lのガラス製ジャケット付き反 容器に、メタノール600g、水600g、及び酢酸304 gを加え、-10℃に冷却した。この冷却した混 物を、高速攪拌ディスパーサーを用いて、 径8cmのシェアディスクを4000rpmで回転させな ら、この中に、75℃まで冷却した先に得ら たジケトピロロピロール系顔料組成物のア カリ金属塩溶液を、少量ずつ添加した。こ 際、メタノール、酢酸、及び水からなる混 物の温度が常に-5℃以下の温度を保つように 、冷媒を用いて冷却しながら、かつ、75℃の ケトピロロピロール系顔料組成物のアルカ 金属塩の添加する速度を調整しながら、お そ120分にわたって少量ずつ添加した。アル リ金属塩添加後、濃赤色の結晶が析出し、 赤色の懸濁液が生成した。懸濁液のpHは4.8 あった。

(第2工程)
 上記で得られた濃赤色の懸濁液を5℃にて限 外濾過装置で洗浄後、濾別した。得られた赤 色ペーストの固形分は19.7%であった。このペ ストを0℃に冷却したメタノール3550gにて再 散し、メタノール濃度約90%の懸濁液とした この懸濁液を、5℃にて3時間攪拌し、結晶 移を伴う粒子整粒を行った。続いて、限外 過機で洗浄後、濾別した。このスラリーを 量とり、濾別、乾燥してX線回析、及びTEMを 定したところ、大きさは20~40nmの丸い形状の 粒子であった。更に得られた赤色ペーストを 水3000mlに再分散した後、攪拌下に、上記(4-1) 表されるベンゾイソインドール誘導体の色 誘導体5.5g、及び水100gで調製した色素誘導 スラリーを添加し、10℃以下で1時間攪拌し 後、濾別洗浄し、微細なジケトピロロピロ ル系顔料組成物の水ペーストを得た。この 細ジケトピロロピロール系顔料組成物の水 ーストを、箱型乾燥機を用いて、80℃にて24 間乾燥させ、次いで、ハンマーミルを用い 粉砕し、粉末状に加工し、微細ジケトピロ ピロール系顔料組成物を得た。

 得られた微細ジケトピロロピロール系顔 組成物は、TEM観察により、1次粒子の大きさ は直径20~40nmの丸い形状の粒子であった。収 は80.0gであった。

[実施例2]
 実施例1の4-クロロベンゾニトリル97.0g及び4- シアノビフェニル3.9gを、4-クロロベンゾニト リル95.0g及び4-シアノビフェニル6.5gに変更し 以外は、実施例1の第1工程及び第2工程と同 に行い、微細ジケトピロロピロール系顔料 成物を得た。

 得られた微細ジケトピロロピロール系顔 組成物は、TEM観察により、1次粒子の大きさ は直径20~40nmの丸い形状の粒子であった。収 は77.1gであった。

[実施例3]
 実施例1の4-クロロベンゾニトリル97.0g及び4- シアノビフェニル3.9gを、4-クロロベンゾニト リル90.0g及び4-シアノビフェニル13.0gに変更し た以外は、実施例1の第1工程及び第2工程と同 様に行い、微細ジケトピロロピロール系顔料 組成物を得た。

 得られた微細ジケトピロロピロール系顔 組成物は、TEM観察により、1次粒子の大きさ は直径20~40nmの丸い形状の粒子であった。収 は78.4gであった。

[実施例4]
 実施例2の第2工程における、メタノール濃 約90%の懸濁液を5℃にて3時間攪拌したことを 、6時間の攪拌に変更した以外は、実施例2の 1工程及び第2工程と同様に行い、微細ジケ ピロロピロール系顔料組成物を得た。

 得られた微細ジケトピロロピロール系顔 は、TEM観察により、1次粒子の大きさは直径 20~40nmの丸い形状の粒子であった。収量は78.9g であった。

[実施例5]
 実施例1の4-クロロベンゾニトリル97.0g及び4- シアノビフェニル3.9gを、4-クロロベンゾニト リル74.8g及び1-ナフトニトリル27.7gに変更した 以外は、実施例1の第1工程及び第2工程と同様 に行い、微細ジケトピロロピロール系顔料組 成物を得た。

 得られた微細ジケトピロロピロール系顔 組成物は、TEM観察により、1次粒子の大きさ は直径20~40nmの丸い形状の粒子であった。収 は61.7gであった。

[実施例6]
(3-(4-ビフェニリル)-6-(4-クロロフェニル)-ピロ ロ[3,4-c]ピロール-1,4(2H,5H)-ジオンの合成)
 還流管を付けた反応容器に、窒素雰囲気下 4-クロロベンゾイル酢酸エチル110g、炭酸カ ウム100g、及びヨウ化ナトリウム20gを加え攪 拌しながら氷水浴で冷却した。この溶液に、 ブロモ酢酸エチルを100g滴下し、80℃にて2時 攪拌した。別の容器に水1kgを入れ、このな に先ほどの反応溶液を入れて攪拌後、酢酸 チルで目的物を分液抽出して、有機層を無 硫酸マグネシウムで乾燥させた後、減圧乾 を行い、目的物93.8gを得た。

 次いで、得られた化合物90gを酢酸360g、及 び酢酸アンモニウム250gと混合し、モレキュ シーブを詰めたソックスレー抽出機を具備 た反応容器内で6時間加熱還流させた。この 応溶液を、水2000gが入った別容器に入れ、 出させた。続いて2-プロパノールで再結晶を 行い、ピロリンカルボン酸エステル62.2gを得 。

 続いて、反応容器1にtert-アミルアルコー 110gを入れて水浴冷却させながら、60%NaH16gを 加えて、90℃にて加熱攪拌させた。次いで、 応容器2にtert-アミルアルコール50g、先程得 れたピロリンカルボン酸エステル44.6g、及 4-シアノビフェニル30.1gを加熱溶解させ、こ を反応容器1に1時間かけて滴下した。120℃ 6時間反応させた後、60℃まで冷却させ、メ ノール200g、及び酢酸25gを加えてから、濾別 びメタノール洗浄を行い、3-(4-ビフェニリ )-6-(4-クロロフェニル)-ピロロ[3,4-c]ピロール- 1,4(2H,5H)-ジオン33.4gを得た。

 後述する比較例1の第1工程で得られたジ トピロロピロール系顔料76部、3-(4-ビフェニ ル)-6-(4-クロロフェニル)-ピロロ[3,4-c]ピロー ル-1,4(2H,5H)-ジオン10部、上記(4-1)で表される ンゾイソインドール誘導体の色素誘導体9部 食塩900部、及びジエチレングリコール110部 、混練機(株式会社井上製作所製「1ガロン ーダー」)中に仕込み、15時間混練した。次 、混練した混合物を温水に投入し、約80℃に 加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし 、濾過及び水洗をして食塩及びジエチレン リコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥後、 粉砕し、微細ジケトピロロピロール系顔料組 成物86.0部を得た。得られた微細ジケトピロ ピロール系顔料組成物は、TEM観察により、1 粒子の大きさは直径20~40nmの丸い形状の粒子 であった。

 [実施例7]
(第1工程)
 還流管を付けたステンレス製反応容器に、 素雰囲気下、モレキュラシーブで脱水したt ert-アミルアルコール200g、及びナトリウム-ter t-アミルアルコキシド140gを加え、攪拌しなが ら100℃に加熱し、アルコラート溶液を調製し た。

 一方で、500mlのガラス製フラスコに、コ ク酸ジイソプロピル88g、及び4-クロロベンゾ ニトリル100.0gを加え、攪拌しながら90℃に加 して溶解させ、これらの混合物の溶液を調 した。この混合物の加熱溶液を、100℃に加 した上記アルコラート溶液中に、激しく攪 しながら、2時間かけて一定の速度でゆっく り滴下した。滴下終了後、90℃にて2時間、加 熱攪拌を継続し、ジケトピロロピロール顔料 にアルカリ金属塩を得た。得られたアルカリ 金属塩に対し、先の実施例(実施例6)で合成し た3-(4-ビフェニリル)-6-(4-クロロフェニル)-ピ ロ[3,4-c]ピロール-1,4(2H,5H)-ジオンを10g加え、 1時間攪拌した。

 3Lのガラス製ジャケット付き反応容器に メタノール600g、水600g、及び酢酸304gを加え -10℃に冷却した。この冷却した混合物を、 速攪拌ディスパーサーを用いて、直径8cmの ェアディスクを4000rpmで回転させながら、こ なかに、75℃まで冷却した先に得られたジ トピロロピロール顔料のアルカリ金属塩溶 を、少量ずつ添加した。この際、メタノー 、酢酸、及び水からなる混合物の温度が常 -5℃以下の温度を保つように、冷媒を用いて 冷却しながら、かつ、75℃のジケトピロロピ ール顔料のアルカリ金属塩の添加する速度 調整しながら、およそ120分にわたって少量 つ添加した。アルカリ金属塩添加後、濃赤 の結晶が析出し、濃赤色の懸濁液が生成し 。

(第2工程)
 第2工程は、実施例1と同様に行った。得ら た微細ジケトピロロピロール顔料はTEM観察 より、1次粒子の大きさは直径20~40nmの丸い形 状の粒子であった。収量は91.0gであった。

[実施例8]
(第1工程)
 還流管を付けたステンレス製反応容器に、 素雰囲気下、モレキュラシーブで脱水したt ert-アミルアルコール200g、及びナトリウム-ter t-アミルアルコキシド140gを加え、攪拌しなが ら100℃に加熱し、アルコラート溶液を調製し た。このアルコラート溶液に、後述する比較 例1の第1工程で得られたジケトピロロピロー 系顔料38g、及び実施例6で得られた3-(4-ビフ ニリル)-6-(4-クロロフェニル)-ピロロ[3,4-c]ピ ロール-1,4(2H,5H)-ジオン5gを加え100℃で2時間攪 拌した。

 3Lのガラス製ジャケット付き反応容器に メタノール600g、水600g、及び酢酸304gを加え -10℃に冷却した。この冷却した混合物を、 速攪拌ディスパーサーを用いて、直径8cmの ェアディスクを4000rpmで回転させながら、こ なかに、75℃まで冷却した先に得られたジ トピロロピロール系顔料組成物のアルカリ 属塩溶液を、少量ずつ添加した。この際、 タノール、酢酸、及び水からなる混合物の 度が常に-5℃以下の温度を保つように、冷媒 を用いて冷却しながら、かつ、75℃のジケト ロロピロール系顔料組成物のアルカリ金属 の添加する速度を調整しながら、およそ120 にわたって少量ずつ添加した。アルカリ金 塩添加後、濃赤色の結晶が析出し、濃赤色 懸濁液が生成した。

(第2工程)
 第2工程は、実施例1の第2工程における上記( 4-1)で表されるベンゾイソインドール誘導体 色素誘導体5.5g、及び水100gで調製した色素誘 導体スラリーを、上記(4-1)で表されるベンゾ ソインドール誘導体の色素誘導体2.75g、及 水50gで調製した色素誘導体スラリーに変え 以外は、実施例1の第2工程と同様に行った。 得られた微細ジケトピロロピロール系顔料組 成物は、TEM観察により、1次粒子の大きさは 径20~40nmの丸い形状の粒子であった。収量は4 4.1gであった。

[実施例9]
 後述する比較例1の第1工程で得られたジケ ピロロピロール系顔料7.6g、実施例6で得られ た3-(4-ビフェニリル)-6-(4-クロロフェニル)-ピ ロ[3,4-c]ピロール-1,4(2H,5H)-ジオン1g、上記(4-1 )で表されるベンゾイソインドール誘導体の 素誘導体0.9g、磨砕材として鋼球(直径1.2cm)1.5 Kgと釘(長さ3cm)150gと硫酸アルミニウム水和物2 0gとを約1リットル容量のボールミルに充填し た。よく密封したこのミルを回転台にのせて 室温において6時間回転させた後、磨砕材を 砕内容物から取出したのち、その内容物を 300mlで攪拌した。この懸濁物を70℃まで加熱 、そしてこの温度において1時間半攪拌した 。生成物を濾過分離し、その濾過ケーキを中 性かつ塩類がなくなるまで熱水で洗浄し、乾 燥粉砕を行った。得られた微細ジケトピロロ ピロール系顔料組成物は、TEM観察により、1 粒子の大きさは直径20~40nmの丸い形状の粒子 あった。収量は9.0gであった。

(比較例1)
 実施例1の4-クロロベンゾニトリル97.0g及び4- シアノビフェニル3.9gを、4-クロロベンゾニト リル100gのみに変更した以外は、実施例1の第1 工程及び第2工程と同様に行い、微細ジケト ロロピロール顔料を得た。

 得られた微細ジケトピロロピロール顔料 、TEM観察により、1次粒子の大きさは直径20~ 40nmの丸い形状の粒子であった。収量は79.8gで あった。

(比較例2)
 実施例1の4-クロロベンゾニトリル97.0g及び4- シアノビフェニル3.9gを、4-クロロベンゾニト リル70.0g及びシアノベンゼン22.5gに変更した 外は、実施例1の第1工程及び第2工程と同様 行い、微細ジケトピロロピロール系顔料組 物を得た。

 得られた微細ジケトピロロピロール系顔 組成物は、TEM観察により、1次粒子の大きさ は直径20~40nmの丸い形状の粒子であった。収 は68.3gであった。

(比較例3)
 実施例1の4-クロロベンゾニトリル97.0g及び4- シアノビフェニル3.9gを、4-クロロベンゾニト リル70.0g、2,4-ジクロロベンゾニトリル37.7gに 更した以外は、実施例1の第1工程及び第2工 と同様に行い、微細ジケトピロロピロール 顔料組成物を得た。

 得られた微細ジケトピロロピロール系顔 組成物は、TEM観察により、1次粒子の大きさ は直径20~40nmの丸い形状の粒子であった。収 は65.8gであった。

(比較例4)
 市販のジケトピロロピロール顔料(C.I.Pigment Red 254、チバスペシャルティケミカルズ社製 「イルガフォアレッドB-CF」)86部、上記(4-1)で 表されるベンゾイソインドール誘導体の色素 誘導体4部、食塩900部、及びジエチレングリ ール110部を、混練機(株式会社井上製作所製 1ガロンニーダー」)中に仕込み、15時間混練 した。次に、混練した混合物を温水に投入し 、約80℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリ ー状として、濾過及び水洗をして食塩及びジ エチレングリコールを除いた後、80℃で一昼 乾燥後、粉砕し、微細ジケトピロロピロー 顔料86.0部を得た。得られた微細ジケトピロ ロピロール顔料は、TEM観察により、1次粒子 大きさは直径20~40nmの丸い形状の粒子であっ 。

(比較例5)
 市販のジケトピロロピロール顔料(チバスペ シャルティケミカルズ社製「イルガフォアレ ッドB-CF」)である。1次粒子の大きさは直径50~ 70nmの丸い形状の粒子である。

 以上の実施例1~9で得られたジケトピロロ ロール系顔料組成物及び比較例1~5で得られ ジケトピロロピロール顔料を含有する着色 成物を、以下の顔料分散ペーストの調製法 したがって調製した。

(チップ製造方法)
 下記配合にて、ジケトピロロピロール顔料( 又は顔料組成物)、上記(4-1)で表されるベンゾ イソインドール誘導体の色素誘導体、及びア クリル樹脂溶液を予め十分混合した後、2本 ールミルにて練肉し、シート状物とした。 のシート代物を数枚に折り畳み、再度2本ロ ルミルに通した。この工程を10~40回繰り返 行った後、粉砕機で粉砕することで赤色共 ップを作製した。
  ジケトピロロピロール顔料(又は顔料組成 )  97.0g
  上記(4-1)で表される色素誘導体      11. 0g
  アクリル樹脂溶液(固形分20%)      360.0g
 上記顔料分散ペーストの調製に使用された クリル樹脂溶液は、次の方法により調製さ た。

(アクリル樹脂溶液の調製法)
 反応容器にシクロヘキサノン370gを入れ、容 器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して 同温度でメタクリル酸20.0g、メチルメタク レート10.0g、n-ブチルメタクリレート35.0g、2- ヒドロキシエチルメタクリレート15.0g、2,2’- アゾビスイソブチロニトリル4.0g及びパラク ルフェノールエチレンオキサイド変性アク レート(東亜合成株式会社製「アロニックスM 110」120.0gの混合物を1時間かけて滴下して、 合反応を行った。滴下後さらに80℃で3時間 応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1. 0gをシクロヘキサノン50gに溶解させたものを 加し、さらに80℃で1時間反応を続けて樹脂 液を合成した。室温まで冷却した後、樹脂 液約2gをサンプリングして180℃で、20分加熱 乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹 脂溶液に不揮発分が20%となるようにシクロヘ キサノンを添加してアクリル樹脂溶液を調製 した。

(顔料分散ペーストの調製法)
 下記組成の混合物を均一に攪拌混合した後 遊星型ボールミル(フリッチュジャパン遊星 型ボールミルP-5)にて、直径0.5mmのジルコニア ビーズ290gを用いて、320rpm、4時間分散し、顔 分散ペーストを調製した。
  先に調製した赤色共チップ        25.2 g
  シクロヘキサノン            23.0g
  プロピレングリコールモノメチルエーテ  91.8g

(感光性着色組成物の調製)
 顔料分散ペーストを、以下に示すように配 し、均一に攪拌混合した後、1μmのフィルタ ーで濾過してアルカリ現像型感光性着色組成 物を調製した。
  顔料分散ペースト               36 .4g
  アクリル樹脂溶液               15 .6g
  トリメチロールプロパントリアクリレー
  (新中村化学社製「NKエステルATMPT」)  5.4g
  光開始剤(チバスペシャルティケミカルズ 製)
  「イルガキュア-907」            0.3g
  増感剤(保土ヶ谷化学社製EAB-F)      0.2g
  シクロヘキサノン               52 .1g

(感光性着色組成物の塗布、及び測定用塗布 板の作製)
 得られた感光性着色組成物を、スピンコ一 ーを用いて、100mmx100mm、1.1mm厚のガラス基版 上に塗布し、4種の着色膜の膜厚が異なる塗 基板を得た。次に、70℃で20分乾燥後、超高 水銀ランプを用いて、積算光量150mJで紫外 露光を行った。露光後230℃で1時間加熱して 冷後、測定用の塗布基板とした。

(コントラスト比の測定方法)
 測定用塗布基板を一対の偏光板で挟持し、 式会社トプコン社製「色彩頻度計BM-5A」を いて、偏光板が平行時の輝度及び直行時の 度を測定した。偏光板は、サンリツ社製「 光フイルムLLC2-92-18」を用いた。なお、輝度 測定に際しては、不要光を遮断するために 測定部分に1cm角の孔を空けた黒色のマスク 当てた。測定した平行時の輝度及び直行時 輝度の値から、下記式でコントラスト比を 出した。
  コントラスト比=平行時の輝度/直行時の輝 度
 4種の膜厚の異なる塗布基板の色相x値とコ トラスト比の関係から、色相x=0.64のときの ントラスト比を算出した。

(加熱工程による異物発生の観察)
 得られた4種の膜厚の異なる塗布基板を、250 ℃で1時間再加熱を行い、電子顕微鏡を用い 倍率500倍で観察した。表に示した観察結果 、色相x=0.64となるときの膜厚のものである

 以上の実施例及び比較例で得られたジケ ピロロピロール顔料(又は顔料組成物)につ て、ベンゾニトリル化合物の種類、TEM観察 よる1次粒子径、収量、コントラスト比及び 物発生の結果を表1~4に示す。

[実施例10]
 実施例1の4-クロロベンゾニトリル97.0g及び4- シアノビフェニル3.9gを、4-クロロベンゾニト リル99.5g及び4-シアノビフェニル0.7gに変更し 以外は、実施例1の第1工程及び第2工程と同 に行い、微細ジケトピロロピロール系顔料 成物を得た。得られた微細ジケトピロロピ ール系顔料組成物は、TEM観察により、1次粒 子の大きさは直径20~40nmの丸い形状の粒子で った。収量は81.8gであった。

[実施例11]
 実施例1の4-クロロベンゾニトリル97.0g及び4- シアノビフェニル3.9gを、4-クロロベンゾニト リル55.0g及び4-シアノビフェニル58.6gに変更し た以外は、実施例1の第1工程及び第2工程と同 様に行い、微細ジケトピロロピロール系顔料 組成物を得た。得られた微細ジケトピロロピ ロール系顔料組成物は、TEM観察により、1次 子の大きさは直径20~40nmの丸い形状の粒子で った。収量は72.8gであった。

[実施例12]
 実施例1の4-クロロベンゾニトリル97.0g及び4- シアノビフェニル3.9gを、4-クロロベンゾニト リル69.8g及び1-ナフトニトリル49.9gに変更した 以外は、実施例1の第1工程及び第2工程と同様 に行い、微細ジケトピロロピロール系顔料組 成物を得た。得られた微細ジケトピロロピロ ール系顔料組成物は、TEM観察により、1次粒 の大きさは直径20~40nmの丸い形状の粒子であ た。収量は60.0gであった。

[実施例13]
 実施例1の4-クロロベンゾニトリル97.0g及び4- シアノビフェニル3.9gを、4-クロロベンゾニト リル95.0g及び4-tert-ブチルベンゾニトリル5.8g 変更した以外は、実施例1の第1工程及び第2 程と同様に行い、微細ジケトピロロピロー 系顔料組成物を得た。得られた微細ジケト ロロピロール系顔料組成物は、TEM観察によ 、1次粒子の大きさは直径20~40nmの丸い形状の 粒子であった。収量は82.5gであった。

[実施例14]
 実施例1の4-クロロベンゾニトリル97.0g及び4- シアノビフェニル3.9gを、4-クロロベンゾニト リル90.0g及び4-tert-ブチルベンゾニトリル11.5g 変更した以外は、実施例1の第1工程及び第2 程と同様に行い、微細ジケトピロロピロー 系顔料組成物を得た。得られた微細ジケト ロロピロール系顔料組成物は、TEM観察によ 、1次粒子の大きさは直径20~40nmの丸い形状 粒子であった。収量は82.7gであった。

[実施例15]
 実施例1の4-クロロベンゾニトリル97.0g及び4- シアノビフェニル3.9gを、4-クロロベンゾニト リル95.0g及び4-メチルベンゾニトリル4.2gに変 した以外は、実施例1の第1工程及び第2工程 同様に行い、微細ジケトピロロピロール系 料組成物を得た。得られた微細ジケトピロ ピロール系顔料組成物は、TEM観察により、1 次粒子の大きさは直径20~40nmの丸い形状の粒 であった。収量は82.6gであった。

[比較例6]
 実施例1の4-クロロベンゾニトリル97.0g及び4- シアノビフェニル3.9gを、4-クロロベンゾニト リル95.0g及び4-シアノベンゾニトリル4.6gに変 した以外は、実施例1の第1工程及び第2工程 同様に行い、微細ジケトピロロピロール系 料組成物を得た。得られた微細ジケトピロ ピロール系顔料組成物は、TEM観察により、1 次粒子の大きさは直径20~40nmの丸い形状の粒 であった。収量は80.3gであった。

[実施例16]
 実施例2で得られたジケトピロロピロール系 顔料組成物90部、食塩900部、及びジエチレン リコール110部を、混練機(株式会社井上製作 所製「1ガロンニーダー」)中に仕込み、15時 混練した。次に、混練した混合物を温水に 入し、約80℃に加熱しながら1時間撹拌して ラリー状として、濾過及び水洗をして食塩 びジエチレングリコールを除いた後、80℃で 一昼夜乾燥後、粉砕し、微細ジケトピロロピ ロール系顔料組成物85.7部を得た。得られた 細ジケトピロロピロール系顔料組成物は、TE M観察により、1次粒子の大きさは直径10~30nmの 丸い形状の粒子であった。

[実施例17]
 実施例2において色素誘導体処理をせずに得 られたジケトピロロピロール系顔料組成物90 、食塩900部、及びジエチレングリコール110 を、混練機(株式会社井上製作所製「1ガロ ニーダー」)中に仕込み、15時間混練した。 に、混練した混合物を温水に投入し、約80℃ に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状と て、濾過及び水洗をして食塩及びジエチレ グリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥後 、粉砕し、微細ジケトピロロピロール系顔料 組成物86.0部を得た。得られた微細ジケトピ ロピロール系顔料組成物は、TEM観察により 1次粒子の大きさは直径10~30nmの丸い形状の粒 子であった。

[実施例18]
 実施例2の第2工程において、上記(4-1)で表さ れるベンゾイソインドール誘導体の色素誘導 体を、上記式(1-9)で表されるキナクリドン色 誘導体に変えた以外は同様に行い、微細ジ トピロロピロール系顔料組成物を得た。得 れた微細ジケトピロロピロール系顔料組成 は、TEM観察により、1次粒子の大きさは直径 20~40nmの丸い形状の粒子であった。収量は81.4g であった。

[実施例19]
 実施例2の第2工程において、上記(4-1)で表さ れるベンゾイソインドール誘導体の色素誘導 体を、上記式(3-6)で表されるジケトピロロピ ール色素誘導体に変えた以外は同様に行い 微細ジケトピロロピロール系顔料組成物を た。得られた微細ジケトピロロピロール系 料組成物は、TEM観察により、1次粒子の大き さは直径20~40nmの丸い形状の粒子であった。 量は81.0gであった。

[実施例20]
 実施例2の第2工程において、上記(4-1)で表さ れるベンゾイソインドール誘導体の色素誘導 体を、上記式(5-5)で表されるアントラキノン 素誘導体に変えた以外は同様に行い、微細 ケトピロロピロール系顔料組成物を得た。 られた微細ジケトピロロピロール系顔料組 物は、TEM観察により、1次粒子の大きさは直 径20~40nmの丸い形状の粒子であった。収量は80 .0gであった。

[実施例21]
 実施例2の第2工程において、上記(4-1)で表さ れるベンゾイソインドール誘導体の色素誘導 体を、上記式(6-5)で表されるジアントラキノ 色素誘導体に変えた以外は同様に行い、微 ジケトピロロピロール系顔料組成物を得た 得られた微細ジケトピロロピロール系顔料 成物は、TEM観察により、1次粒子の大きさは 直径20~40nmの丸い形状の粒子であった。収量 82.1gであった。

[実施例22]
 実施例2の第2工程において、上記(4-1)で表さ れるベンゾイソインドール誘導体の色素誘導 体を、上記式(7-4)で表わされるチアジンイン ゴ色素誘導体に変えた以外は同様に行い、 細ジケトピロロピロール系顔料組成物を得 。得られた微細ジケトピロロピロール系顔 組成物は、TEM観察により、1次粒子の大きさ は直径20~40nmの丸い形状の粒子であった。収 は81.7gであった。

[実施例23]
 実施例2の第2工程において、上記(4-1)で表さ れるベンゾイソインドール誘導体の色素誘導 体を、上記式(8-10)で表されるアゾ色素誘導体 に変えた以外は同様に行い、微細ジケトピロ ロピロール系顔料組成物を得た。得られた微 細ジケトピロロピロール系顔料組成物は、TEM 観察により、1次粒子の大きさは直径20~40nmの から米粒状の粒子であった。収量は81.9gで った。

[実施例24]
 実施例2の第2工程において、上記(4-1)で表さ れるベンゾイソインドール誘導体の色素誘導 体を、上記式(9-1)で表されるアゾ色素誘導体 変えた以外は同様に行い、微細ジケトピロ ピロール系顔料組成物を得た。得られた微 ジケトピロロピロール系顔料組成物は、TEM 察により、1次粒子の大きさは直径20~40nmの から米粒状の粒子であった。収量は81.4gであ った。

[実施例25]
 実施例2の第2工程において、上記(4-1)で表さ れるベンゾイソインドール誘導体の色素誘導 体を、上記(11-17)で表されるキノフタロン色 誘導体に変えた以外は同様に行い、微細ジ トピロロピロール系顔料組成物を得た。得 れた微細ジケトピロロピロール系顔料組成 は、TEM観察により、1次粒子の大きさは直径2 0~40nmの丸から米粒状の粒子であった。収量は 82.4gであった。

[実施例26]
 市販のジケトピロロピロール顔料(C.I.PIGMENT RED 254、チバスペシャルティケミカルズ社製 「イルガフォアレッドB-CF」)85部、3-(4-ビフェ ニリル)-6-(4-クロロフェニル)-ピロロ[3,4-c]ピ ール-1,4(2H,5H)-ジオン1部、上記(4-1)で表され ベンゾイソインドール誘導体の色素誘導体4 、食塩900部、及びジエチレングリコール110 を、混練機(株式会社井上製作所製「1ガロ ニーダー」)中に仕込み、15時間混練した。 に、混練した混合物を温水に投入し、約80℃ に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状と て、濾過及び水洗をして食塩及びジエチレ グリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥後 、粉砕し、微細ジケトピロロピロール系顔料 組成物86.1部を得た。得られた微細ジケトピ ロピロール系顔料組成物は、TEM観察により 1次粒子の大きさは直径20~40nmの丸い形状の粒 子であった。

[実施例27]
 市販のジケトピロロピロール顔料(C.I.PIGMENT RED 254、チバスペシャルティケミカルズ社製 「イルガフォアレッドB-CF」)83部、3-(4-ビフェ ニリル)-6-(4-クロロフェニル)-ピロロ[3,4-c]ピ ール-1,4(2H,5H)-ジオン3部、上記(4-1)で表され ベンゾイソインドール誘導体の色素誘導体4 、食塩900部、及びジエチレングリコール110 を、混練機(株式会社井上製作所製「1ガロ ニーダー」)中に仕込み、15時間混練した。 に、混練した混合物を温水に投入し、約80℃ に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状と て、濾過及び水洗をして食塩及びジエチレ グリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥後 、粉砕し、微細ジケトピロロピロール系顔料 組成物86.1部を得た。得られた微細ジケトピ ロピロール系顔料組成物は、TEM観察により 1次粒子の大きさは直径20~40nmの丸い形状の粒 子であった。

[実施例28]
 比較例1で得られたジケトピロロピロール顔 料90部及び後述する参考例1で得られたジケト ピロロピロール系顔料組成物10部を混合した

(比較例7)
 比較例1で得られたジケトピロロピロール顔 料90部、食塩900部、及びジエチレングリコー 110部を、混練機(株式会社井上製作所製「1 ロンニーダー」)中に仕込み、15時間混練し 。次に、混練した混合物を温水に投入し、 80℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー として、濾過及び水洗をして食塩及びジエ レングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾 燥後、粉砕し、微細ジケトピロロピロール顔 料84.6部を得た。得られた微細ジケトピロロ ロール顔料は、TEM観察により、1次粒子の大 さは直径20~40nmの丸い形状の粒子であった。

(比較例8)
 市販のジケトピロロピロール顔料(C.I.PIGMENT RED 254、チバスペシャルティケミカルズ社製 「イルガフォアレッドB-CF」)83部、市販のジ トピロロピロール顔料(C.I.PIGMENT RED 264、チ スペシャルティケミカルズ社製「IRGAZIN DPP RUBINE TR」)3部、上記(4-1)で表されるベンゾイ ソインドール誘導体の色素誘導体4部、食塩90 0部、及びジエチレングリコール110部を、混 機(株式会社井上製作所製「1ガロンニーダー 」)中に仕込み、15時間混練した。次に、混練 した混合物を温水に投入し、約80℃に加熱し がら1時間撹拌してスラリー状として、濾過 及び水洗をして食塩及びジエチレングリコー ルを除いた後、80℃で一昼夜乾燥後、粉砕し 微細ジケトピロロピロール系顔料組成物86.3 部を得た。得られた微細ジケトピロロピロー ル系顔料組成物は、TEM観察により、1次粒子 大きさは直径20~40nmの丸い形状の粒子であっ 。

(参考例1)
 実施例1の4-クロロベンゾニトリル97.0g及び4- シアノビフェニル3.9gを、4-クロロベンゾニト リル45.0g及び4-シアノビフェニル71.7gに変更し た以外は、実施例1の第1工程及び第2工程と同 様に行い、微細ジケトピロロピロール系顔料 組成物を得た。

 得られた微細ジケトピロロピロール系顔 組成物は、TEM観察により、1次粒子の大きさ は直径20~40nmの丸い形状の粒子であった。収 は78.0gであった。

 以上の実施例10~28、比較例6~8及び参考例1 得られたジケトピロロピロール顔料(又は顔 料組成物)を含有する着色組成物を、上記実 例1~9及び比較例1~5における「顔料分散ペー トの調製法」にしたがって調製し、さらに 記「感光性着色組成物の調製」、「感光性 色組成物の塗布、及び測定用塗布基板の作 」と同様にして測定用の塗布基板を作製し コントラスト比の測定及び加熱工程による 物発生の観察を行った。これらの結果を表5~ 10に示す。

(本願発明の効果)
 イルガフォアレッドB-CFを微細化した顔料( 較例4)及び市販されているイルガフォアレッ ドB-CF(比較例5)に比べて、本発明のジケトピ ロピロール系顔料組成物である実施例1~28は いコントラスト比を示した。また、4-クロ ベンゾニトリルのみを使用した比較例1と比 て、本発明のジケトピロロピロール系顔料 成物である実施例1~28は、異物発生が大幅に 抑制されていた。

 実施例10、11及び12の評価結果から、「B-CN 」で表されるベンゾニトリル化合物の添加に よる効果は、少なくとも0.2モル%から期待で ることが分かった。また、上記実施例の評 結果から、「B-CN」で表されるベンゾニトリ 化合物として例えばシアノビフェニルを使 した場合(実施例11)では45モル%でも、ナフト ニトリルを使用した場合(実施例12)では40モル %でも高いコントラストかつ抑制された異物 生の効果が得られた。

 実施例2、5、13及び15、比較例2、3及び6の 果から、「B-CN」で表されるベンゾニトリル 化合物には選択性があることが分かった。

 実施例6~9、16及び17の評価結果から、顔料 化の方法に依存せず、異物の発生が従来に比 べて飛躍的に少なくかつ良好なコントラスト 比が得られることが分かった。

 実施例18~25の評価結果から、色素誘導体 種類に依存せず、異物の発生が従来に比べ 飛躍的に少なくかつ良好なコントラスト比 得られることが分かった。

 実施例26及び27、比較例4の評価結果から 本発明の効果を奏する有効成分は、式(II)で されるジケトピロロピロール化合物(ヘテロ DPP)であると考えられる。