Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
PLASMA DISPLAY PANEL, METHOD OF MANUFACTURING PLASMA DISPLAY PANEL, AND PASTE FOR SEALING
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/081491
Kind Code:
A1
Abstract:
A plasma display panel (10) comprises a rear substrate (19), partition walls (22) for partitioning the one surface side of the rear substrate (19) into electric discharging spaces (24), and fluorescent elements (23 (23r, 23g, 23b)) formed in respective discharging spaces (24). The fluorescent elements (23) are so formed that the surfaces thereof exposed to the discharging spaces (24) is made to be semi-elliptic recess-like curved surfaces. The light emitting and condensing efficiencies of the fluorescent elements (23) can be improved, whereby the reliability of the PDP can be increased.

Inventors:
HORIUCHI TOSHIHIRO (JP)
NISHIKI MASASHI (JP)
KOUZUMA TAKASHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/074918
Publication Date:
July 02, 2009
Filing Date:
December 26, 2007
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
HITACHI LTD (JP)
HORIUCHI TOSHIHIRO (JP)
NISHIKI MASASHI (JP)
KOUZUMA TAKASHI (JP)
International Classes:
H01J11/02; C09D5/22; C09D7/63; H01J9/227; H01J9/26
Foreign References:
JPH117895A1999-01-12
JP2001155641A2001-06-08
JPH10223135A1998-08-21
JP2007217603A2007-08-30
JP2004335340A2004-11-25
JPH03273069A1991-12-04
Attorney, Agent or Firm:
TSUTSUI, Yamato (6th Floor Kokusai Chusei Kaikan,14, Gobancho, Chiyoda-k, Tokyo 76, JP)
Download PDF:
Claims:
 基板と、
 前記基板の一方の面側を複数の放電空間に区画する隔壁と、
 前記複数の放電空間の各々に形成される蛍光体とを有し、
 前記蛍光体は、
 前記放電空間に露出した面が半楕円形の凹状の曲面を成すように形成されていることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
 請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルにおいて、
 前記蛍光体は、
 第1有機化合物と、
 前記第1有機化合物中に分散される蛍光体粒子とを有する蛍光体ペーストを用いて形成され、
 前記第1有機化合物は、
 下記構造式(1)で示される有機化合物であることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
 基板の一方の面側を複数の放電空間に区画する隔壁を形成する工程と、
 前記複数の放電空間の各々に蛍光体を形成する工程とを有し、
 前記蛍光体を形成する工程は、
 前記放電空間に蛍光体ペーストを塗布する工程と、
 加温により前記蛍光体ペーストに含まれる有機化合物成分を取り除く工程と、を含み、
 前記蛍光体ペーストは、
 第1有機化合物と、
 前記第1有機化合物中に分散される蛍光体粒子とを有し、
 前記第1有機化合物は、
 テルペン骨格を有し、25℃での粘度が10,000~1,000,000mPa・sであることを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
 請求項3に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法において、
 前記蛍光体ペーストは、前記第1有機化合物よりも25℃での粘度が低い第2有機化合物を有していることを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
 請求項4に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法において、
 前記第2有機化合物は、20℃~30℃での温度による粘度の変化率が前記第1有機化合物よりも低いことを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
 請求項5に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法において、
 前記第1有機化合物は、下記構造式(1)で示される有機化合物であることを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
 第1基板の一方の面に複数の第1電極が形成され、前記第1電極を被覆する誘電体層が形成された第1構造体と、第2基板の一方の面に複数の第2電極と複数の隔壁とが形成された第2構造体とを準備する準備工程と、
 前記第1構造体の前記誘電体層の表面に保護層を形成する保護層形成工程と、
 前記第1構造体と、前記第2構造体とを組み立てる組み立て工程とを有し、
 前記組み立て工程には、
 前記第1構造体と前記第2構造体とが重なる領域の周囲部に封着用ペーストを塗布する工程と、
 前記封着用ペーストに含まれる有機化合物成分を取り除く工程と、を含み、
 前記封着用ペーストは、
 第1有機化合物と、
 前記第1有機化合物中に分散されるガラスを含む無機粒子とを有し、
 前記第1有機化合物は、
 テルペン骨格を有し、25℃での粘度が10,000~1,000,000mPa・sであることを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
 請求項7に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法において、
 前記準備工程には、
 前記第2基板の一方の面側を複数の放電空間に区画する前記隔壁を形成する工程と、
 前記複数の放電空間の各々に蛍光体を形成する工程とを有し、
 前記蛍光体を形成する工程は、
 前記放電空間に蛍光体ペーストを塗布する工程と、
 加温により前記蛍光体ペーストに含まれる有機化合物成分を取り除く工程と、を含み、
 前記蛍光体ペーストは、
 第1有機化合物と、
 前記第1有機化合物中に分散される蛍光体粒子とを有し、
 前記第1有機化合物は、
 テルペン骨格を有し、25℃での粘度が10,000~1,000,000mPa・sであることを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
 第1有機化合物と、
 前記第1有機化合物中に分散されるガラスを含む無機粒子とを有し、
 前記第1有機化合物は、
 テルペン骨格を有し、25℃での粘度が10,000~1,000,000mPa・sであることを特徴とする封着用ペースト。
 請求項9に記載の封着用ペーストにおいて、
 前記封着用ペーストは、前記第1有機化合物よりも25℃での粘度が低い第2有機化合物を有していることを特徴とする封着用ペースト。
 請求項10に記載の封着用ペーストにおいて、
 前記第2有機化合物は、20℃~30℃での温度による粘度の変化率が前記第1有機化合物よりも低いことを特徴とする封着用ペースト。
 請求項9に記載の封着用ペーストにおいて、
 前記第1有機化合物は、下記構造式(1)で示される有機化合物であることを特徴とする封着用ペースト。
Description:
プラズマディスプレイパネル、 ラズマディスプレイパネルの製造方法およ 封着用ペースト

 本発明は、プラズマディスプレイパネル 技術に関し、特に、蛍光体を使用するプラ マディスプレイパネル、および一対の基板 放電空間を構成した状態で対向して封着さ るプラズマディスプレイパネルに適用して 効な技術に関する。

 プラズマディスプレイパネル(PDP;Plasma Dis play Panel)は、例えば希ガスなどの放電ガスを 封入したセルと呼ばれる放電空間内で、気体 放電を発生させ、この際に発生する真空紫外 線で蛍光体を励起させ、画像を表示する表示 パネルである。

 PDPは一般に、一対の基板を互いに対向さ た状態で重ね合わせた構造となっている。 に面放電型と呼ばれるPDPでは、一対の基板 うち、一方の基板(前面基板)に、対向面側 放電用電極と、該放電用電極を被覆する誘 体層が形成される。

 また、他方の基板(背面基板)には、背面 板の一方の表面側を区画する複数の隔壁が 成され、隔壁で区画されたセル内に、赤(R), (G),青(B)の各色の可視光を発光する蛍光体が 形成されている。

 前面基板と背面基板は、前面基板の放電 電極が形成された面と背面基板の隔壁が形 された面とが対向した状態で重ね合わされ 。重ね合わされた領域の周囲部は、フリッ と呼ばれる低融点ガラスなどの封着材料に って封着される。

 蛍光体や封着材(例えば低融点ガラス)は 常温(25℃)では固体状態の無機材料である。 のため、この無機材料を所定の位置に所定 塗布する場合、あるいは、所定形状に成形 る場合には、この無機材料を粉状にした無 粒子を有機化合物中に分散させたペースト( 蛍光体ペーストあるいは封着用ペースト)と ばれる組成物を用いる。

 また、これらのペーストを所定の位置に 定量塗布する場合、あるいは、所定形状に 形する場合、ペーストは、その塗布方法、 るいは成形方法に応じて所定の粘性(チクソ 性)を有している必要がある。

 この必要な粘性を得る方法として、これ のペーストに、バインダとよばれる樹脂な のポリマを含有させる技術がある。

 例えば、特開2007-145973号公報(特許文献1) は、蛍光体粉末と、有機バインダ樹脂と、 機溶剤とを構成成分とする蛍光体ペースト 開示されている。

 また例えば、特開2007-87876号公報(特許文献2) には、粉末状のガラス組成物と、バインダ樹 脂と、有機溶剤とを構成成分とする封着用ペ ーストが開示されている。

特開2007-145973号公報

特開2007-87876号公報

 蛍光体や封着材は上記のようにペースト 態で形成されるが、形成後にペースト中に まれる有機化合物を取り除く必要がある。 の有機化合物を取り除く工程では、蛍光体 ーストを加熱することにより、有機化合物 分をガス化(蒸発)させて蛍光体ペーストの 外に排出する方法(以下蒸散と呼ぶ)が一般に 用いられる。

 ペーストを構成する材料のうち、蛍光体 低融点ガラスなどの無機粒子およびポリマ( 重合体)を分散させる溶媒として用いられる 機溶剤は比較的蒸散させ易く、例えば、蛍 体ペーストを150℃程度に加熱することによ 蒸散する(乾燥工程と呼ばれる)。

 ところが、バインダとして用いられるポ マは有機溶剤と比較して蒸散し難く、例え 350℃以上に加熱しても加熱後の部材(蛍光体 または封着材)中にポリマの残渣が残る場合 ある。ポリマは、モノマに分解されてから ス化するが、モノマに分解するために多く エネルギーを要するためである。

 加熱後の部材に有機化合物成分の残渣が っていると、PDPを駆動する際の放電などに り、残渣が分解して分解ガスが発生する場 がある。蛍光体や封止材から分解ガスが発 すると、放電ガスが封入されている放電空 内の不純物濃度が上昇する。このため、例 ば、放電電圧の上昇など、PDPの信頼性を低 させる原因となる。

 また、蛍光体中に有機化合物成分の残渣 残っていると、蛍光体が、所定の可視光を 光しなくなる場合がある。あるいは、発光 が少なくなり、所定の輝度が得られなくな 場合がある。また、蛍光体を複数の領域に 成する場合、この複数の領域間でのバイン の残渣にばらつきが生じると、発光量がば つくこととなる。つまり、蛍光体中にバイ ダの残渣があるとPDPの放電空間毎の輝度が らつき、PDPの信頼性を低下させることとな 。

 また、封着材中に有機化合物成分の残渣( 特に気泡状態で封着材中に閉じこめられた残 渣)が残っていると、この残渣(気泡)に起因し て封着材にクラックが生じる場合がある。封 着材にクラックが生じると、放電空間の気密 性が破壊され、放電ガスが汚染されるという 問題がある。

 上記のように蛍光体や封着材中にバイン の成分が残留することによる悪影響を防止 るため、ペースト中のバインダ成分を完全 取り除く工程(脱バインダ工程と呼ばれる) 必要となる。

 ここで、前述の通り、バインダを構成す ポリマは蒸散し難いため、脱バインダ工程 は、一般にペーストを450℃程度まで加熱(焼 成と呼ばれる)し、数十分から数時間程度保 する必要がある。

 しかし、脱バインダ工程として、ペース を高温状態で保持する方法には以下の問題 ある。

 まず、処理温度が高いため、加工に要す エネルギー消費量が多い。また、加熱に要 る時間、あるいは高温で保持する時間が長 ため、製造効率が悪い。また、蛍光体や封 材を高温で加熱することにより、蛍光体や 着材が酸化し、劣化する場合がある。

 本発明は、上記問題に鑑みてなされたも であり、その目的は、PDPの信頼性を向上さ ることができる技術を提供することにある

 本発明の前記ならびにその他の目的と新 な特徴は、本明細書の記述および添付図面 ら明らかになるであろう。

 本願において開示される発明のうち、代 的なものの概要を簡単に説明すれば、次の おりである。

 すなわち、本発明の一つの実施の形態に けるPDPは、基板と、前記基板の一方の面側 複数の放電空間に区画する隔壁と、前記複 の放電空間の各々に形成される蛍光体とを するPDPであって、前記蛍光体を、前記放電 間に露出した面が半楕円形の凹状の曲面を すように形成するものである。

 本願において開示される発明のうち、代 的なものによって得られる効果を簡単に説 すれば以下のとおりである。

 すなわち、蛍光体の発光効率や集光効率 向上させることができるので、PDPの信頼性 向上させることができる。

本発明の一実施の形態である蛍光体ペ ストの製造フローを示す説明図である。 本発明の一実施の形態である高粘度溶 の粘度と蒸発量の温度依存性を示す説明図 ある。 本発明の一実施の形態であるPDPの要部 拡大して示す要部拡大斜視図である。 図3に示す前面構造体と背面構造体を重 ね合わせた状態を示す要部拡大断面図である 。 本発明の一実施の形態のPDPの製造工程 うち、蛍光体ペースト塗布工程を示す拡大 面図である。 蛍光体ペースト塗布後の加温工程を示 拡大断面図である。 本発明の他の実施の形態である封着用 ーストの製造フローを示す説明図である。 本発明の他の実施の形態である背面構 体に封着用ペーストを塗布した状態を示す 部平面図

 本実施の形態を説明するための全図にお て同一機能を有するものは同一の符号を付 ようにし、その繰り返しの説明は原則とし 省略する。以下、本発明の実施の形態を図 に基づいて詳細に説明する。

 (実施の形態1)
 <蛍光体ペーストの製造方法>
 まず、図1を用いて本実施の形態1の蛍光体 ースト1の製造方法について説明する。図1は 本実施の形態1の蛍光体ペーストの製造フロ を示す説明図である。

 まず、図1に示す高粘度溶剤(第1有機化合 )2および溶剤(第2有機化合物、分散剤)3を準 して、これらを混合する。

 この高粘度溶剤2は蛍光体ペースト1に所 の粘度を付与するために混合される溶剤で る。一般に蛍光体ペーストに所定の粘度を 与するためには、エチルセルロースやアク ル系樹脂などのポリマ(重合体、高分子有機 合物)が用いられるが、本実施の形態1の蛍 体ペースト1は、高粘度溶剤2を用いるので、 構成成分として、樹脂などのポリマを含んで いない。また、高粘度溶剤2は25℃で液体であ る。

 一方、溶剤3は蛍光体ペースト1の粘度を 整する希釈溶剤(分散剤)として用いられ、後 述する高粘度溶剤2よりも25℃での粘度が低い 材料を用いることが好ましい。また、この溶 剤3は構成成分としてポリマ(重合体、高分子 機化合物)を含まない。

 このような材料として、例えば、トルエ 、キシレン等の芳香族炭化水素化合物、テ ラヒドロフラン、1,2-ジブトキシエタン等の エーテル化合物、アセトン、メチルエチルケ トン等のケトン化合物、酢酸エチル、酢酸ブ チル、酢酸2-(2-ブトキシエトキシ)エチル、フ タル酸ジオクチル等のエステル化合物、イソ プロピルアルコール、2-(2-ブトキシエトキシ) エチルアルコール、テルピネオール、2-フェ キシエタノール等のアルコール化合物、BC( チルカルビトール)、BCA(ブチルカルビトー アセテート)等を挙げることが出来る。

 蛍光体ペースト1の粘度は主にこの高粘度 溶剤2および溶剤3の配合割合により規定され 。すなわち、本実施の形態1の蛍光体ペース ト1は、高粘度溶剤2を用いることにより、一 の蛍光体ペーストにおいて増粘剤(バインダ )として用いられるポリマを含まずに、所定 粘度特性を得ることができる。

 ここで、蛍光体ペースト1の所定の粘度特 性とは、蛍光体ペースト1を加工に供する(例 ば、基板に塗布する)際に必要な粘度特性で あり、加工手段に応じて値は異なる。詳しく は、本実施の形態1の蛍光体ペースト1の使用 であるPDPの製造方法を説明する際に詳述す 。

 高粘度溶剤2は蛍光体ペースト1の増粘剤 して機能するので、蛍光体ペースト1を加工 供する(例えば、基板に塗布する)際の温度( えば25℃)における粘度が低すぎる場合、蛍 体ペースト1が所定の粘度を得られなくなる 。また、粘度が高すぎる場合には、塗布時に 不具合が発生するおそれがある。例えば、デ ィスペンサで塗布する場合、ペースト切れが 悪くなるおそれがあり、スクリーン印刷では 糸を引いたり、スクリーン離れが悪くなるお それがある。また、膜表面の粗度が悪化する おそれもある。

 本発明者が検討した結果、高粘度溶剤2の 粘度特性が、25℃での粘度が10,000~1,000,000mPa・ sの範囲内のものを用いることが好ましい。

 ここで、高粘度溶剤2の粘度が10,000mPa・s りも低い場合には、誘電体ペーストとして 分な粘度を得ることが困難である。また、 粘度溶剤2の粘度が1,000,000mPa・sよりも高い場 合には、これを希釈するための分散剤が大量 に必要となるため製造効率やコストの面で好 ましくない。

 したがって、上記10,000~1,000,000mPa・sの粘 特性の高粘度溶剤が必要となるところ、従 はプラズマディスプレイパネルの製造工程 使用できる高粘度溶剤はポリマ以外に知ら ていなかったが、本発明者の実験により、 粘度溶剤2として下記構造式(1)で示されるテ ペン骨格を有する有機化合物(イソボルニル シクロヘキサノール)を適用できることが判 した。

 上記構造式(1)で示される有機化合物(イソボ ルニルシクロヘキサノール)はポリマではな が、25℃で336,000mPa・s、30℃で65,500mPa・sの粘 を有しており、上記10,000~1,000,000mPa・sの粘 特性の範囲に含まれる。

 また、イソボルニルシクロヘキサノール 、他に以下の物性的特徴を有している。高 度溶剤2に用いるイソボルニルシクロヘキサ ノールの物性的特徴について図2を用いて説 する。図2は、本実施の形態1の高粘度溶剤2 粘度、および蒸発量(重量減少量)の温度依存 性を示す説明図である。

 図2において、横軸は高粘度溶剤2の温度( )を、第1縦軸(図2中左側の縦軸)は高粘度溶 2の粘度を、第2縦軸(図2中右側の縦軸)は高粘 度溶剤2の蒸発量を示している。

 図2に示すように、高粘度溶剤2を25℃から 加温すると、粘度は急激に低くなり、40℃ま 加温すると25℃での粘度の1/10以下となる。 た、粘度の温度曲線は約40℃付近に変位点 有しており、高粘度溶剤2を40℃以上に加温 ても粘度は大きくは低下しない。一方、蒸 量については、高粘度溶剤2を70℃まで加温 ても殆ど蒸発しないが、この温度曲線は約70 ℃を超えた地点に変位点を有し、70℃を超え と蒸発量が増加する。

 本実施の形態1では高粘度溶剤2の上記特 を利用して、図1に示す溶剤3と高粘度溶剤2 を混合する前に、高粘度溶剤2を40℃~70℃の 囲で加温する。高粘度溶剤を40℃~70℃の範囲 で加温することにより、高粘度溶剤2の蒸発 抑制しつつ、粘度を低下させることができ ので、極めて簡易的な混合装置で容易に高 度溶剤2と溶剤3とを均一に混合することがで きる。

 すなわち、蛍光体ペースト1の製造効率を 向上させることが可能となる。高粘度溶剤2 溶剤3との混合装置としては、例えばホモミ サなどの攪拌混合装置を用いることができ 。この混合工程により、高粘度溶剤2と溶剤 3との混合溶液であるビヒクル4が得られる。

 次に、図1に示す蛍光体粒子5を準備して ビヒクル4に分散させる。蛍光体粒子はビヒ ル4に分散させやすいように粉末状の粒子( 機粒子)として準備する。また、ビヒクル4は 40℃~70℃の範囲では、粘度が低下した状態を 持できるので、蛍光体粒子5を極めて簡易的 な混合装置で容易に均一に分散させることが できる。この分散工程で用いる混合装置とし ても、たとえばホモミクサなどの混合装置を 用いることができる。

 蛍光体粒子5としては、蛍光体ペースト1 用途に応じて種々選択することができる。 えば、蛍光体ペースト1をPDPなどカラー表示 置の発光素子の形成に用いる場合、カラー 示装置は、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色の組み わせによりカラー画像を表示するので、R、 G、Bの光を発光する3種類の蛍光体粒子5をそ ぞれ準備する。

 PDPの場合、所定波長(例えば147nm)の真空紫 外線に蛍光体が励起されることによりR、G、B 各色の光を発光する方式が用いられているの で、この所定波長の真空紫外線に励起された 際の光の色合い、発光効率が良い材料を選択 することが好ましい。このような材料として 、例えば以下の材料を例示することができる が、蛍光体粒子5の材料は以下に限定される のではない。

 例えば、赤用の蛍光体粒子5としては[(Y,Gd)BO 3 :Eu 3+ ]、緑用として[Zn 2 SiO 4 :Mn 2+ ]、青用として[BaMgAl 10 O 17 :Eu 2+ ]などを用いることができる。

 この分散工程により、蛍光体粒子5は高粘 度溶剤2中に分散された状態となる。

 次に、蛍光体粒子5が分散されたビヒクル 4を濾過する。この濾過工程を行うことによ 、ビヒクル4中に含まれる不純物や、所定の 子径よりも大きい蛍光体粒子5を取り除くこ とができる。したがって、濾過工程が完了し た後の蛍光体ペースト1は、蛍光体粒子5がビ クル4中(すなわち、高粘度溶剤2および溶剤3 中)に均一に分散した状態となる。

 最後に、例えば、25℃の雰囲気に放置す ことにより冷却して蛍光体ペースト1が得ら る。

 ところで、本実施の形態1では、蛍光体ペ ースト1に含まれる有機化合物成分として、 粘度溶剤2および溶剤3が含まれる構成例につ いて説明した。しかし、高粘度溶剤2として ソボルニルシクロヘキサノールを用いる場 、上記の通り、40℃以上に加熱すると粘度が 低下するので、有機化合物成分として高粘度 溶剤2のみを含む蛍光体ペースト1とすること できる。

 ただし、高粘度溶剤2としてイソボルニル シクロヘキサノールを用いる場合、図2に示 ように40℃よりも低い温度帯では、温度によ ってその粘度が大きく変化する。このため、 蛍光体ペースト1に含まれる有機化合物成分 高粘度溶剤2のみとした場合、蛍光体ペース 1を加工に供する(例えば、基板に塗布する) の温度帯(例えば20℃~30℃)で蛍光体ペースト 1の粘度が大きく変化する場合がある。

 したがって、図1に示すように、高粘度溶 剤2に希釈溶剤としての溶剤3を加えることに り、蛍光体ペースト1を加工に供する際の温 度帯(例えば20℃~30℃)での蛍光体ペースト1の 度変化を抑制させることが好ましい。

 また、溶剤3は蛍光体ペースト1を加工に する際の温度帯である20℃~30℃での温度によ る粘度変化率が、高粘度溶剤2よりも小さい のを用いることが好ましい。溶剤3の例とし 上記した各材料はいずれも20℃~30℃の範囲 の温度による粘度変化が高粘度溶媒2である ソボルニルシクロヘキサノールの粘度変化 よりも小さい。

 溶剤3としてこのような材料を用いること により、蛍光体ペースト1の加工時の粘度変 を抑制することができる。このため、蛍光 ペースト1の加工性を向上し、製造効率を向 させることができる。

 蛍光体ペースト1に含まれる各構成成分の 割合は、必要な粘度に応じて異なるが本実施 の形態1では、蛍光体ペースト1の実施例とし 以下を作成した。すなわち、蛍光体ペース 1に対する重量割合を蛍光体粒子5が30wt%、溶 剤3が16wt%、高粘度溶剤2が54wt%とした。この蛍 光体ペースト1全体としての粘度は25℃で25,000 mPa・sであった。

 本実施の形態1では、ビヒクル4に蛍光体 子5を分散させる方法について説明したが、 合工程、分散工程の順番はこれに限定され い。

 例えば、溶剤3中に蛍光体粒子5を分散さ てスラリーを作成し、これに40℃~70℃の範囲 で加温した高粘度溶剤2を混合する方法とし もよい。あるいは、40℃~70℃の範囲で加温し た高粘度溶剤2中に蛍光体粒子5を分散させて ラリーを作成し、これに溶剤3を混合する方 法としても良い。

 いずれの方法を用いても、図1に示す方法 と同様に蛍光体粒子5が溶剤3および高粘度溶 2中に分散された蛍光体ペースト1が得られ 。

 <PDPの構造>
 次に、図3~図4を用いて本実施の形態1の蛍光 体ペースト1の適用例であるPDPの構造の一例 ついて交流面放電型のPDPを例に説明する。 3は本実施の形態1のPDPの要部を拡大して示す 要部拡大斜視図、図4は図3に示す前面構造体 背面構造体を重ね合わせた状態を示す要部 大断面図である。なお、図3ではPDPの構造を 説明し易くするため、前面構造体と背面構造 体とが所定の間隔よりも離れた状態を示して いる。

 図3において、PDP10は前面構造体(第1構造 )11と背面構造体(第2構造体)12とを有している 。前面構造体11と背面構造体12とは互いに対 した状態で組み合わされている。

 前面構造体11はPDP10の表示面を有し、表示 面側には主にガラスで構成される前面基板( 板、第1基板)13を有している。前面基板13の 示面と反対側の面には維持放電を行うため 複数のX電極(電極、第1電極)14及びY電極(電極 、第1電極)15が形成されている。

 このX電極14およびY電極15はPDP10の表示面 に形成される。このため、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)などの透明な電極材料で構成される X透明電極14a、Y透明電極15aと、各透明電極に 気的に接続されるXバス電極14b、Yバス電極15 bとで構成されている。

 このXバス電極14bおよびYバス電極15bは、X 極14およびY電極15の電気抵抗を低減するた に形成され、透明電極よりも電気抵抗の低 CuやAgなどで形成されている。

 X電極14およびY電極15はそれぞれ横(行)方 に沿って延在するように形成されている。 3ではX透明電極14aおよびY透明電極15aの形状 横方向に延在する帯形状としたが、この形 には限定されず、各種変形例が存在する。 えば、維持放電の放電効率向上などを目的 して後述する放電空間の位置に対応して局 的にX電極14およびY電極15の間隔距離を近づ るような構造としても良い。

 また、X電極14およびY電極15はそれぞれが 在する方向と交差する縦(列)方向に所定の 置間隔で配置されている。また、隣り合うX 極14とY電極15との対ができるように配置さ ている。例えば、X電極14とY電極15が交互に 置されている。PDP10は一対のX電極14とY電極15 とが表示の行を構成する。

 これらの電極群(X電極14、Y電極15)は、誘 体層17で被覆されている。また、誘電体層17 表面には、MgOなどの酸化金属で構成される 護層(酸化金属層)18が形成されている。保護 層18は誘電体層17の一方の表面を覆うように 成されている。

 保護層18に用いる材料はMgOの単一成分に 定されない。例えば、MgOにCaO(酸化カルシウ )を混合した複合材料としてもよい。CaOを混 合することにより、保護層18のスパッタ耐性 向上させることができる。

 一方、背面構造体12は、主にガラスで構 される背面基板(基板、第2基板)19を有してい る。背面基板19上には、複数のアドレス電極( 電極、第2電極)20が形成されている。各アド ス電極20は、X電極14およびY電極15が延在する 方向と(略直角に)交差する縦(列)方向に、延 するように形成されている。また、各アド ス電極20は、互いに沿って(略平行)となるよ に所定の配置間隔を持って配置されている

 アドレス電極20は、誘電体層21で被覆され ている。誘電体層21上には背面構造体12の厚 方向に伸びる複数の隔壁22が形成されている 。隔壁22はアドレス電極20が延在する方向に ってライン状に延在するように形成されて る。また、隔壁22の平面上の位置は、隣り合 うアドレス電極20の間に配置されている。隔 22を隣り合うアドレス電極20の間に配置する ことにより、各アドレス電極の位置に対応し て誘電体層21の表面を列方向に区分けする空 が形成される。

 また、アドレス電極20上の誘電体層21上面 、および隔壁22の側面には、真空紫外線によ 励起されて赤(R),緑(G),青(B)の各色の可視光 発生する蛍光体23r、23g、23bがそれぞれ所定 位置に形成されている。

 PDP10は、一対のX電極14とY電極15とアドレ 電極20との交差に対応して1個のセルが構成 れる。各セルには、赤用の蛍光体23r、緑用 蛍光体23g、または青用蛍光体23bのいずれか それぞれ形成されている。このR,G,Bの各セル のセットにより画素(ピクセル)が構成される つまり、各蛍光体23r、23g、23bはPDP10の発光 子であり放電によって発生する所定波長の 空紫外線に励起されて赤(R),緑(G),青(B)の各色 の可視光を発生する。

 次に、図4に示すように、前面構造体11と 面構造体12とは、保護層18が形成された面と 隔壁22が形成された面とが対向した状態で固 される。保護層18と隔壁22とは少なくとも一 部が接触した状態で固定されている。前面構 造体11と背面構造体12の間の距離は隔壁22で規 定され、その距離は、例えば100μm程度である 。

 保護層18と隔壁22とが接触した状態で固定 することにより、保護層18と隔壁22とに区画 れた放電空間24が形成され、放電空間24の背 構造体12側の面(底面および両側面)には蛍光 体23が形成された状態となる。また、PDP10の 囲部は、例えばフリットとよばれる低融点 ラス材料などの封着材(図示は省略)により封 着され、放電空間24内に、放電ガスと呼ばれ ガス(例えばNeとXeの混合ガス)が所定の圧力 封入されている。

 PDP10は、放電空間24内のセル毎に放電を発 生させて、放電により発生する真空紫外線に よりR、G、Bの各蛍光体23を励起して発光させ 構造となっている。

 ここで、蛍光体23の詳細な形状について 明する。図3および図4において、蛍光体23の 面(放電空間24に露出した面)は平坦部を有さ ず、半楕円形の凹状の曲面を成すように形成 されている。

 このため、隔壁22に対する蛍光体23の厚さ (一つの隔壁22から隣設された隔壁22に向かう 向の距離)は、該曲面の変曲点の位置で最大 となる。また、前面構造体11に近づく程蛍光 23の厚さは薄くなる。

 蛍光体23の表面を半楕円形の凹状の曲面 成すように形成することにより、放電空間24 (図4参照)の内、特に維持放電を行うX電極14お よびY電極15に近い領域を広くとることができ る。蛍光体23を励起する真空紫外線はこの維 放電により発生する。放電空間24の内、維 放電を行うX電極14およびY電極15に近い領域 広くとることにより、広範囲で真空紫外線 発生させることができる。したがって、蛍 体23の発光効率を向上させることができる。

 また、蛍光体23の表面を半楕円形の曲面 成すように形成すると、蛍光体23を隔壁22の 面と誘電体層21の表面に平坦に形成する場 と比較して蛍光体23から発生する光の集光効 率を向上させることができる。

 すなわち、PDP10は、蛍光体23の表面が半楕 円形の曲面を成すように形成することにより 、蛍光体23の発光効率と、集光効率を向上さ ることができるので、輝度を向上させるこ ができる。

 ところで、蛍光体23の上記構造的特徴は れぞれ本実施の形態1の蛍光体ペースト1を用 いて形成することにより得られる。蛍光体23 形成に蛍光体ペースト1を用いることにより 上記構造的特徴が得られる理由と、その他の 効果はPDP10の製造方法を説明する際に詳述す 。

 PDP10は、要求性能や駆動方式などに応じ 各種構造が存在するが、本実施の形態1のPDP1 0は図3および図4に示す構造に限定されない。 例えば、図3では、放電空間をライン状(縦方 )に伸びている隔壁22により区画する例につ て説明した。

 しかし、輝度を向上させるなどの目的で この放電空間を格子状に配置された隔壁で 画する場合もある。本実施の形態1のPDP10は のような構成を取ることもできる。

 <PDP10の製造方法>
 次に、図3~図6を用いて本実施の形態1のPDP10 製造方法について説明する。図5は、本実施 の形態1のPDP10の製造工程のうち、蛍光体ペー スト塗布工程を示す拡大断面図、図6は蛍光 ペースト塗布後の加温工程を示す拡大断面 である。

 (A)まず、図3に示す前面構造体11(保護層18 形成されていないもの)と平面構造体12とを 備する。この準備工程で準備する前面構造 11は例えば以下のように製造する。

 まず、前面基板13を用意して一方の面にX 極14およびY電極15を所定のパターンで形成 る。また、前面基板13の表面に複数のX電極14 よびY電極15を形成する。この電極形成工程で は、透明電極であるX透明電極14a、Y透明電極1 5a上にそれぞれXバス電極14b、Yバス電極15bの 成も行う。この段階では、前面構造体11には 図3に示す保護層18は形成されていない。

 また、図3に示す背面構造体12は例えば以 のように製造する。

 (a)まず、図3に示す背面基板19を準備する( 基板準備工程)。

 (b)次に、背面基板19の表面に複数のアド ス電極20を形成する。

 (c)次に、アドレス電極20を覆うように誘 体層21を形成する。

 (d)誘電体層21を形成した後、誘電体層21の 表面に放電空間を規定する隔壁22を形成する 隔壁22は、アドレス電極20に沿って延在する ように形成する。この隔壁22は、例えばサン ブラスト法により形成することができる。

 (e)次に、隔壁22で仕切られた複数の空間( 面および側壁)のそれぞれに所定の蛍光体23r 、23g、23bを形成する。この蛍光体形成工程で は以下の方法で形成する。

 (e1)まず、図5に示すように隔壁22で仕切ら れた複数の空間(底面および側壁)のに本実施 形態1の蛍光体ペースト1を塗布する。蛍光 ペースト1の塗布方法としては、スクリーン 刷法やディスペンス法(ノズル充填法)を用 ることができる。

 蛍光体ペースト1をスクリーン印刷法で塗 布する場合、蛍光体ペースト1がスクリーン ッシュを通過し、塗布後の液垂れを抑制し かつ隔壁22で仕切られた各空間に塗布された 蛍光体ペースト1の膜が形状を保つことがで る程度の粘度を有していれば良い。本発明 が検討した所、蛍光体ペースト1の粘度が15,0 00~120,000mPa・sの範囲であればこのような条件 満足する。

 また、蛍光体ペースト1をディスペンス法 で塗布する場合、ディスペンサの吐出ノズル から適正量を吐出することができ、塗布後の 液垂れを抑制し、かつ隔壁22で仕切られた各 間に塗布された蛍光体ペースト1の膜が形状 を保つことができる程度の粘度を有していれ ば良い。本発明者が検討した所、スクリーン 印刷法の場合と同様に蛍光体ペースト1の粘 が15,000~120,000mPa・sの範囲であればこのよう 条件を満足する。

 この蛍光体ペースト塗布工程を行う温度 (20~30℃)では、蛍光体ペースト1は上記塗布 法に応じた所定の粘度を有しているので、 5に示すように隔壁22の側面および誘電体層21 の表面に貼り付いた状態で塗布される。

 また、この段階では、蛍光体ペースト1の 表面は図3および図4に示すような半楕円形の 面は成しておらず、隔壁22で区画される放 空間24の形状に倣って略一様な厚さで塗布さ れる。

 (e2)次に、蛍光体ペースト1を加温して、 光体ペースト1に含まれる有機化合物成分(溶 剤3および高粘度溶剤2)を除去する。また本加 熱工程では蛍光体ペースト1に含まれる無機 子成分(蛍光体粒子5)の融点まで加熱してこ を融着、一体化させる。

 ここで、蛍光体ペーストにポリマが含ま ている場合、ポリマはモノマに分解された でガス化する。このため、有機化合物成分 全てガス化させるためには多くの熱エネル ーを要する。また、全ての有機化合物成分 ガス化する前に蛍光体粒子5の一部が溶融、 一体化すると、有機化合物成分(特にポリマ) 蛍光体23内に残渣として残留する可能性が る。

 このため、ポリマを含む蛍光体ペースト 用いる場合、一般に蛍光体粒子の融点より い温度で所定時間保持することにより、ポ マをガス化、排出する工程(脱バインダ工程 )が必要となる。この脱バインダ工程を行っ も、ポリマが完全にガス化する温度と、蛍 体粒子5が一体化する温度が近い場合、蛍光 23に有機化合物成分の一部が残渣として残 場合がある。

 しかし、本実施の形態1の蛍光体ペースト 1は有機化合物成分としてポリマを含まない め、ポリマを含んだ蛍光体ペーストと比較 て、この有機化合物成分をガス化させるた に要する熱エネルギーが低い。ポリマをモ マに分解する工程が必要ないためである。

 また、蛍光体ペースト1を構成する有機化 学成分のうち、高粘度溶剤2は溶剤3よりも蒸 させるために多くの熱エネルギーを必要と るが、この高粘度溶剤2も図2に示すように70 ℃以上に加熱することにより蒸発させること ができる。また、温度を上昇させることによ り、さらに蒸発させやすくなる。

 したがって、蛍光体ペースト1は有機化合 物成分としてポリマを含まないため、容易に 有機化合物成分を取り除くことができる。例 えば、蛍光体ペースト1を塗布した後、蛍光 粒子5が溶融、一体化する温度(例えば230℃) で直線的に加熱した場合であっても、蛍光 粒子5が一体化する前に、有機化合物成分を 全に取り除くことができる。

 本実施の形態1のPDP10が備える蛍光体23は 蛍光体ペースト1を用いて形成するので、有 化合物成分を完全に取り除くことができる このため、有機化合物成分の残渣に起因す 分解ガスの発生を防止することができるの 、PDP10の信頼性を向上させることができる

 ところで、蛍光体ペースト1を加熱すると 、蛍光体ペースト1の粘度が急激に低下する 蛍光体ペースト1に粘度を付与している高粘 溶剤2の粘度が低下するためである。蛍光体 ペースト1の粘度が低下すると、蛍光体ペー ト1の形状が、図6に示す蛍光体23の形状(放電 空間24に露出した面が半楕円形の凹状の曲面 成す形状)に変形する。これは蛍光体ペース トの粘度が低下したことにより、蛍光体粒子 5が自重により蛍光体ペースト1内で沈降する めと考えられる。

 なお、本発明者は、有機化合物成分とし ポリマを含む蛍光体ペーストを用いて図6に 示す蛍光体23と同様な構造が得られるか否か 確認した。ポリマを含む蛍光体ペーストは 加温しても本実施の形態1の蛍光体ペースト 1よりも粘度が高く、蛍光体粒子がペースト で沈降しないため、図6に示す蛍光体23と同 な構造は得られなかった。

 本実施の形態1の蛍光体ペースト1は加熱 れることにより粘度が25℃での粘度の1/10以 に低下するので、その形状が図6に示す所定 形状とすることができる。

 また、蛍光体ペースト1は、70℃以上に加 されると、その粘度が十分に小さくなるの 、本加温工程で、各蛍光体23毎に若干の温 ムラが発生した場合でも、全ての蛍光体23を 一様な形状(表面が半楕円形の曲面を成す形 )とすることができる。つまり、前記した蛍 体ペースト塗布工程で、塗布された蛍光体 ースト1の形状がバラついている場合でも、 本加熱工程で形状を修復することができる。

 全ての蛍光体23を一様な形状とすることに り、PDP10のセル毎の輝度を安定化させること ができる。すなわち、PDP10の信頼性を向上さ ることができる。
この加熱工程が完了すると図3に示す背面構 体12が得られる。

 (B)次に、保護層形成工程として、前面構 体11の誘電体層17の表面に保護層18を形成す 。保護層18は例えばMgOで構成され、例えば 着法により形成することができる。本実施 形態1では、ターゲットとしてMgOソースを用 た電子ビームによる真空蒸着法で、誘電体 17の表面に膜厚が1μmのMgOの保護層18を製膜 た。

 ここで、保護層18を構成するMgOなどの金 酸化物は雰囲気中の水分などを吸着しやす 性質を有している。このため、本保護層形 工程は真空(減圧)雰囲気中で行い、保護層18 の水分の付着を防止ないしは抑制すること 好ましい。

 (C)次に、背面構造体12と前面構造体11とを 組み立てる。組み立て工程は例えば以下のよ うに行う。

 まず、位置合わせ(アライメント)工程と て、前面構造体11と、背面構造体12とが所定 位置関係となるように位置合わせをする。 置合わせ工程では、前面構造体11のX電極14 Y電極15と背面構造体12のアドレス電極20とが 定の位置関係となるように高精度の微調整 行う。

 次に、封着工程として、図4に示すように 前面構造体11の保護層18が形成された面と、 面構造体12の隔壁22が形成された面と対向さ た状態で重ね合わせ、前面構造体11と背面 造体12との重なっている領域の周囲部を例え ばフリットと呼ばれる低融点ガラス材料など の封着材(図示は省略)で封着する。

 この封着工程では、前面構造体11あるいは 面構造体12の少なくともいずれか一方に、あ らかじめ(位置合わせ工程の前に)封着用ペー トを塗布する。この封着用ペーストは、例 ば、PbO(酸化鉛)やBi 2 O 3 (酸化ビスマス)などを主成分とするガラス粉 を、例えばテルピネオールなどの有機溶剤 エチルセルロースなどのポリマを混合した ヒクル中に分散させたペーストである。

 次に位置合わせ工程が完了した後で、こ 封着用ペーストを加温してペースト中の有 化合物成分(有機溶剤およびポリマ)を取り く。次に、封着用ペーストに含まれるガラ 粉末の軟化点まで加温することによりガラ 粉末を一体化させて前面構造体11と背面構造 体12とを封着する。この封着工程が完了する 前面構造体11と背面構造体12とは所定の位置 関係を維持した状態で固定される。

 封着材は、前面構造体11と背面構造体12と にそれぞれ密着し、両構造体の周囲部を封着 する。この結果、図4に示す放電空間24は、PDP 10の外部から遮断される(ただし、前面構造体 11または背面構造体12の1箇所以上に形成され 内部ガスの排気および放電ガスの封入を行 ための通気口は確保されている)。

 したがって、この封着工程までは、保護 18が水分などの不純物を吸着する現象を防 するため、真空(減圧)雰囲気中で行うことが 好ましい。

 次に、放電ガス導入工程として、前面構 体11または背面構造体12の1箇所以上に形成 れた通気孔(図示は省略)に接続された通気経 路を通じて、放電空間24内に希ガスなどの所 の放電ガス(例えばNeとXeの混合ガス)を導入 る。放電ガスを導入する前に、放電空間24 の残ガスは予め排気する。

 最後に封止工程で通気孔の開口部を封じ 、PDP10が完成する。

 本実施の形態1によれば、蛍光体23を形成 る工程で、蛍光体ペースト1を用いることに より、蛍光体ペースト1中の有機化合物成分 確実に取り除くことができる。このためPDP10 の信頼性を向上させることができる。

 また、有機化合物成分を容易に取り除く とができるので、蛍光体ペースト1を加温す る時間を短縮することができる。このためPDP 10の製造効率を向上させることができる。

 また、蛍光体ペースト1を用いることによ り、蛍光体23の表面(放電空間24に露出した面) が半楕円形の凹状の曲面を成すように形成す ることができる。このため、蛍光体23の発光 率や集光効率を向上させることができる。

 また、蛍光体ペースト1を用いることによ り、蛍光体23の形状を容易に(高精度な加熱温 度の調整なしに)一様な形状(放電空間24に露 した面が半楕円形の凹状の曲面を成す形状) することができる。このため、放電空間毎 輝度のバラツキを抑制し、PDP10の信頼性を 上させることができる。また、加熱時間を 縮することができる。

 <変形例>
 ところで、蛍光体から発光される光の集光 率を向上させる技術として、各蛍光体23の 層に例えばAl(アルミニウム)などの反射性金 で形成された反射材層を形成する場合があ 。

 この反射材層は、蛍光体ペースト1を塗布 する前に反射材ペースト(反射性金属を有機 合物中に分散させたもの)を塗布して形成さ る。また反射材ペーストに含まれる有機化 物成分を加温することにより取り除く。

 本実施の形態1で説明した技術を、この反 射材ペーストに適用すると、有機化合物成分 としてポリマを含まない反射材ペーストを得 ることができる。この反射材ペーストは、本 実施の形態1で説明した蛍光体ペースト1の製 方法において、蛍光体粒子5を、例えばAlな の反射性金属粒子に置き換えることにより られる。

 この反射材ペーストを用いて、蛍光体23 下層に反射材層を形成すれば、PDP10の集光効 率を更に向上させることができる。

 (実施の形態2)
 前記実施の形態1では、PDP10が有する蛍光体2 3を有機化合物成分としてポリマを含まない 光体ペースト1を用いて形成する実施態様に いて説明した。本実施の形態2では、これに 加えてPDP10の前面構造体11と背面構造体12とを 封着する接着材に有機化合物成分としてポリ マを含まない封着用ペーストを用いる実施態 様について説明する。

 なお、本実施の形態2のPDP30(図3参照)の構 は、前記実施の形態1で説明したPDP10の構造 同様である。したがって、繰り返しの説明 原則として省略し、必要に応じて前記実施 形態1で説明した図1~図6を適宜参照して説明 する。

 <封着用ペーストの製造方法>
 まず、図7を用いて本実施の形態2の封着用 ースト31の製造方法について説明する。図7 本実施の形態2の封着用ペーストの製造フロ を示す説明図である。

 図7において本実施の形態2の封着用ペー ト31は前記実施の形態1で説明した蛍光体ペ スト1の蛍光体粒子5を、ガラス粉末32および ィラー粉末33に置き換えたペーストである

 つまり、封着用ペースト31は有機化合物 分としてポリマを含まず、その粘性(チクソ )は高粘度溶剤2によって付与される。また 溶剤3によって粘度調整がなされる。封着用 ースト31と前記実施の形態1で説明した蛍光 ペースト1との共通する部分は説明を省略し 、相違点である無機粒子成分についてのみ説 明する。

 ガラス粉末33には比較的融点の低い(軟化点 低い)材料を用いることが好ましい。一体化 させる際の加熱温度を下げるためである。こ のようなガラス粉末33の一例として、PbO(酸化 鉛)やBi 2 O 3 (酸化ビスマス)などの酸化金属を主成分とす 材料(この他、B 2 O 3 やSiO 2 などを含んでも良い)を用いることができる Bi 2 O 3 を主成分とすると、誘電体ペースト31のPbフ ー化が図れる点で好ましい。また、その他 材料としてP 2 O 5 -SnO(リン酸塩錫)系の材料を用いても良い。

 また、必須ではないが、最終的に形成さ る封着材の膨張係数などを調整するため、 ルミナやチタニアなどのフィラー粉末(無機 粒子)33を添加しても良い。フィラー粉末33を 加する場合はこれらの粉末をあらかじめ粉 混合しておくと良い。

 本実施の形態2では、封着用ペースト31の 施例として以下を作成した。すなわち、封 用ペースト31に対する重量割合をガラス粉 32とフィラー粉末33との合計が90wt%、溶剤3が5 wt%、高粘度溶剤2が5wt%とした。この封着用ペ スト31全体としての粘度は25℃で60,000mPa・s あった。

 <PDP30の製造方法>
 次に、本実施の形態2のPDP30の製造方法につ て図8を用いて説明する。本実施の形態2のPD P30の製造工程と前記実施の形態1で説明したPD P10の製造工程との相違点は、前記(C)組み立て 工程の封着工程である。

 図8に本実施の形態2の背面構造体12に封着 用ペースト31を塗布した状態を示す要部平面 を示す。

 本実施の形態2では、前面構造体11(図3参 )と背面構造体12との封着材として本実施の 態2の封着用ペースト31を用いる。

 詳しくは、図8に示すように、前面構造体 11(図3参照)と背面構造体12とが重なる領域の 囲部に、所定のパターンで封着用ペースト31 を塗布する。封着用ペースト31は隔壁22を取 囲むように塗布する。また、背面構造体12に は、前記実施の形態1で説明した放電ガスの 入経路となる通気孔25が形成されており、封 着用ペースト31は通気孔25よりも外周側に塗 する。この塗布工程は、前記実施の形態1で 明した位置合わせ工程の前に行う。

 なお、図8では、背面構造体12の全体構造 判りやすく示すために隔壁22の数を13本とし たが、隔壁22の数はこれより多く、PDP30の精 度に応じた多数の隔壁22が形成されている。 また、図8では、背面構造体12に封着用ペース ト31を塗布したが、前面構造体11に塗布して 良いことは言うまでもない。

 封着用ペースト31の塗布方法は、例えば ディスペンス法を用いて所定のパターンで 布することができる。但し、前面構造体11と 背面構造体12とを重ね合わせた時に両構造体 表面に封着用ペースト31を接着させる必要 あるので、保型性を確保する観点から前記 施の形態1で説明した蛍光体ペースト1の粘度 よりは高い粘度とすることが好ましい。

 本発明者が検討した所、蛍光体ペースト1 の粘度が60,000~120,000mPa・sの範囲であればこの ような条件を満足する。

 次に、前面構造体11と背面構造体12を重ね 合わせ、所定の位置関係となるように位置合 わせを行う。

 次に、封着用ペースト31を加温してペー ト中の有機化合物成分(高粘度溶剤2および溶 剤3)を取り除く。

 ここで、封着用ペースト31は有機化合物 分としてポリマを含まないため、容易に有 化合物成分を取り除くことができる。その 由は、前記実施の形態1で蛍光体ペースト1を 加温する工程で説明した通りである。

 したがって、封着材中の有機化合物成分 残渣に起因する分解ガスの発生を防止し、 電空間24内の汚染を防止することができる また、封着材中に有機化合物成分が気泡と て残留することを防止できるので、この気 に起因した封着材の欠陥(クラックなど)を防 止することができる。

 すなわち、本実施の形態2によれば、封着 用ペースト31を用いて前面構造体11と背面構 体12とを封着することにより、PDP30の信頼性 PDP10よりもさらに向上させることができる

 本実施の形態2では、蛍光体ペースト1を いて蛍光体23を形成し、かつ、封着用ペース ト31を用いて前面構造体11と背面構造体12とを 封着している。このため蛍光体ペースト1を 温する工程と封着用ペースト31を加温する工 程を同時に行うこともできる。蛍光体ペース ト1および封着用ペースト31は容易に有機化合 物成分を取り除くことができるため、精密な 温度調整を行う必要がないためである。

 蛍光体ペースト1と封着用ペースト31を同 に加温することにより、製造工程を大幅に 縮し、製造効率を向上させることができる

 また、蛍光体23および封着材中に残渣が らないため、PDP30が完成した後のエージング 工程(放電させた状態で数時間維持して放電 態を安定化させる工程)の処理時間を短縮す ことができる。

 <実施の形態2の変形例>
 本実施の形態2の変形例として、前面構造体 11と背面構造体12とを封着用ペースト31を用い て封着し、蛍光体は有機化合物成分としてポ リマを含む蛍光体ペーストを用いて形成する こともできる。

 この場合、蛍光体ペーストにポリマが含 れるため、蛍光体中に有機化合物成分の残 が残る可能性はある。しかし、封着用ペー ト31を用いるので、封着材中には有機化合 成分の残渣が残らないので、ポリマを含む 着用ペーストを用いる場合と比較するとPDP 信頼性を向上させることができる。また、 着用ペースト31を加温する工程の処理時間を 短縮することができる。

 以上、本発明者によってなされた発明を 施の形態に基づき具体的に説明したが、本 明は前記発明の実施の形態に限定されるも ではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種 変更可能である。

 例えば、実施の形態1で説明した蛍光体ペ ースト1の好ましい条件(溶剤3の粘度特性など )を実施の形態2で説明した封着用ペースト31 適用しても良い。

 また、例えば、蛍光体ペースト1や封着用 ペースト31の適用例としてPDP10、20について説 明したが、このPDP10、20に駆動回路などの回 が形成された回路基板を取り付けてPDPモジ ールとしてもよい。また、PDPモジュールに バーなどの筐体やスタンドなどの支持部材 取り付けてPDP装置に組み込んでも良いこと 言うまでもない。

 本発明は、PDP、PDPに駆動回路などの各種 路基板を取り付けたPDPモジュール、あるい PDPモジュールにカバーや支持部材を取り付 たPDP装置に適用できる。