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Patent Searching and Data


Title:
PLASMA DISPLAY PANEL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/101790
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a plasma display panel comprising a front plate (2) wherein a dielectric layer (8) is so formed as to cover a display electrode (6) formed on a front glass substrate (3) and a protective layer (9) is formed on the dielectric layer (8), and a back plate (10) so arranged as to face the front plate (2) so that a discharge space (16) is formed therebetween. The back plate (10) is provided with an address electrode (12) lying in the direction intersecting the display electrode (6), a base dielectric layer (13) so formed as to cover the address electrode (12), and a partition wall (14) so formed on the base dielectric layer (13) as to divide the discharge space (16). The protective layer (9) is obtained by forming a base film, which is composed of a metal oxide, on the dielectric layer (8) and arranging agglomerated particles, in which several crystal particles of a metal oxide are agglomerated, on the base film. The base dielectric layer (13) has a porosity of 2-20%.

Inventors:
HORIKAWA KEIJI
AOTO KOJI
MIZOKAMI KANAME
Application Number:
PCT/JP2009/000518
Publication Date:
August 20, 2009
Filing Date:
February 10, 2009
Export Citation:
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Assignee:
PANASONIC CORP (JP)
HORIKAWA KEIJI
AOTO KOJI
MIZOKAMI KANAME
International Classes:
H01J11/22; H01J11/24; H01J11/34; H01J11/38; H01J11/40
Foreign References:
JP2008021660A2008-01-31
JP2006244784A2006-09-14
JP2001118511A2001-04-27
JP2007523442A2007-08-16
JP2007035655A2007-02-08
JP2008293803A2008-12-04
JP2000323046A2000-11-24
Other References:
See also references of EP 2128884A4
Attorney, Agent or Firm:
IWAHASHI, Fumio et al. (1006 Oaza Kadoma, Kadoma-sh, Osaka 01, JP)
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Claims:
基板上に形成した表示電極を覆うように誘電体層を形成するとともに前記誘電体層上に保護層を形成した前面板と、前記前面板に放電空間を形成するように対向配置し、前記表示電極と交差する方向に設けたアドレス電極と前記アドレス電極を覆って設けた下地誘電体層と前記下地誘電体層に設けて前記放電空間を区画する隔壁とを形成した背面板とを有し、前記保護層を、前記誘電体層上に金属酸化物により構成した下地膜と前記下地膜の上に付着させた金属酸化物の結晶粒子が数個凝集した凝集粒子とにより構成するとともに、前記下地誘電体層の空隙率を2%~20%としたことを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
前記金属酸化物が酸化マグネシウムであることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
前記凝集粒子が、平均粒径が0.9μm~2μmの結晶粒子からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプラズマディスプレイパネル。
Description:
プラズマディスプレイパネル

 本発明は、表示デバイスなどに用いるプ ズマディスプレイパネルに関する。

 プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと 呼ぶ)は、高精細化、大画面化の実現が可能 あることから、65インチクラスのテレビなど が製品化されている。近年、PDPは従来のNTSC 式に比べて走査線数が2倍以上のハイディフ ニションテレビへの適用が進んでいるとと に、環境問題に配慮して鉛成分を含まないP DPが要求されている。

 PDPは、基本的には、前面板と背面板とで 成されている。前面板は、フロート法によ 硼硅酸ナトリウム系ガラスのガラス基板と そのガラス基板の一方の主面上に形成され ストライプ状の透明電極とバス電極とで構 される表示電極と、表示電極を覆ってコン ンサとしての働きをする誘電体層と、誘電 層上に形成された酸化マグネシウム(以下、 MgOと表現する)からなる保護層とで構成され いる。

 一方、背面板は、ガラス基板と、その一 の主面上に形成されたストライプ状のアド ス電極と、アドレス電極を覆う下地誘電体 と、下地誘電体層上に形成された隔壁と、 隔壁間に形成された赤色、緑色および青色 れぞれに発光する蛍光体層とで構成されて る。

 前面板と背面板とはその電極形成面側を 向させて気密封着され、隔壁によって仕切 れた放電空間にネオン(Ne)-キセノン(Xe)の放 ガスが5.3×104Pa~8.0×104Paの圧力で封入されて る。PDPは、表示電極に映像信号電圧を選択 に印加することによって放電させ、その放 によって発生した紫外線が各色蛍光体層を 起して赤色、緑色、青色の発光をさせてカ ー画像表示を実現している。

 このようなPDPにおいて、前面板の誘電体 上に形成される保護層には、放電によるイ ン衝撃から誘電体層を保護すること、アド ス放電を発生させるための初期電子を放出 ることなどが要求される。イオン衝撃から 電体層を保護することは、放電電圧の上昇 防ぐ重要な役割であり、またアドレス放電 発生させるための初期電子を放出すること 、画像のちらつきの原因となるアドレス放 ミスを防ぐ重要な役割である。

 保護層からの初期電子の放出を増加させ 画像のちらつきを低減するために、例えばM gOに不純物を添加する例や、MgO粒子をMgO保護 上に形成した例が開示されている(例えば、 特許文献1、2、3など参照)。

 近年、テレビは高精細化が進んでおり、 場では低コスト・低消費電力・高輝度のフ HD(ハイ・ディフィニション)(1920×1080画素:プ ログレッシブ表示)PDPが要求されている。保 層からの電子放出特性はPDPの画質を決定す ため、電子放出特性を制御することが重要 ある。

 保護層に不純物を混在させることで電子 出特性を改善しようとする試みが行われて る。しかしながら、保護層に不純物を混在 せて電子放出特性を改善した場合には、保 層表面に電荷が蓄積され、メモリー機能と て使用しようとする際の電荷が時間ととも 減少する減衰率が大きくなる。そのため、 れを抑えるための印加電圧を大きくする必 があるなどの対策が必要になる。このよう 保護層の特性として、高い電子放出能を有 るとともに、メモリー機能としての電荷の 衰率を小さくする、すなわち高い電荷保持 性を有するという、相反する二つの特性を せ持たなければならないという課題があっ 。

 このような特性を満足させる手段として、M gO粒子をMgO保護層上に形成した例が開示され いる。しかしながら、MgO粒子をMgO保護層上 形成した場合には、放電によってMgO粒子を として針状結晶が成長し、針状結晶で覆わ たMgO保護層のスパッタを抑制する効果はあ が、針状結晶が成長していない領域に存在 るMgO保護層のスパッタが促進されてPDPの寿 を低下させるといった課題が発生する。

特開2002-260535号公報

特開平11-339665号公報

特開2006-59779号公報

 本発明のPDPは、基板上に形成した表示電 を覆うように誘電体層を形成するとともに 電体層上に保護層を形成した前面板と、前 板に放電空間を形成するように対向配置し 表示電極と交差する方向に設けたアドレス 極とアドレス電極を覆って設けた下地誘電 層と下地誘電体層上に設けて放電空間を区 する隔壁とを形成した背面板とを有し、保 層を、誘電体層上に金属酸化物により構成 た下地膜と下地膜の上に付着させた金属酸 物の結晶粒子が数個凝集した凝集粒子とに り構成するとともに、下地誘電体層の空隙 を2%~20%としている。

 このような構成によれば、電子放出特性 電荷保持特性とを改善して高画質、低電圧 両立させ、さらに保護層の下地膜のスパッ を抑制して長寿命のPDPを提供することがで る。

図1は本発明の実施の形態におけるPDPの 構造を示す斜視図である。 図2は同PDPの前面板の構成を示す断面図 である。 図3は同PDPの保護層部分を拡大して示す 説明図である。 図4は同PDPの保護層において、凝集粒子 を説明するための拡大図である。 図5は同PDPの下地誘電体層の空隙率と電 子放出特性と下地膜のスパッタ量との関係を 示す図である。 図6は同PDPのMgOの結晶粒子の粒径と電子 放出性能との関係を示す図である。 図7は同PDPの結晶粒子の粒径と隔壁の破 損の発生率との関係を示す図である。

符号の説明

 1  PDP
 2  前面板
 3  前面ガラス基板
 4  走査電極
 4a,5a  透明電極
 4b,5b  金属バス電極
 5  維持電極
 6  表示電極
 7  遮光層
 8  誘電体層
 9  保護層
 10  背面板
 11  背面ガラス基板
 12  アドレス電極
 13  下地誘電体層
 14  隔壁
 15  蛍光体層
 16  放電空間
 81  第一誘電体層
 82  第二誘電体層
 91  下地膜
 92  凝集粒子
 92a  結晶粒子

 以下、本発明の実施の形態におけるPDPに いて図面を用いて説明する。

 (実施の形態)
 図1は本発明の実施の形態におけるPDPの構造 を示す斜視図である。PDPの基本構造は、一般 的な交流面放電型PDPと同様である。図1に示 ように、PDP1は、前面ガラス基板3などよりな る前面板2と背面ガラス基板11などよりなる背 面板10とが対向して配置され、その外周部を ラスフリットなどからなる封着材によって 密封着して構成されている。封着されたPDP1 内部の放電空間16には、NeおよびXeなどの放電 ガスが5.3×104Pa~8.0×104Paの圧力で封入されてい る。

 前面板2の前面ガラス基板3上には、走査 極4および維持電極5よりなる一対の帯状の表 示電極6と遮光層7が互いに平行にそれぞれ複 列配置されている。前面ガラス基板3上には 表示電極6と遮光層7とを覆うようにコンデン としての働きをする誘電体層8が形成され、 さらにその表面にMgOなどからなる保護層9が 成されている。

 また、背面板10の背面ガラス基板11上には 、前面板2の走査電極4および維持電極5と直交 する方向に、複数の帯状のアドレス電極12が いに平行に配置され、これを下地誘電体層1 3が被覆している。さらに、アドレス電極12間 の下地誘電体層13上には放電空間16を区切る 定の高さの隔壁14が形成されている。隔壁14 の溝にアドレス電極12毎に、紫外線によっ 赤色、緑色および青色にそれぞれ発光する 光体層15が順次塗布して形成されている。走 査電極4および維持電極5とアドレス電極12と 交差する位置に放電セルが形成され、表示 極6方向に並んだ赤色、緑色、青色の蛍光体 15を有する放電セルがカラー表示のための 素になる。

 図2は、本発明の実施の形態におけるPDP1 前面板2の構成を示す断面図であり、図2は図 1と上下反転して示している。図2に示すよう 、フロート法などにより製造された前面ガ ス基板3に、走査電極4と維持電極5よりなる 示電極6と遮光層7がパターン形成されてい 。走査電極4と維持電極5はそれぞれインジウ ムスズ酸化物(ITO)や酸化スズ(SnO2)などからな 透明電極4a、5aと、透明電極4a、5a上に形成 れた金属バス電極4b、5bとにより構成されて る。金属バス電極4b、5bは透明電極4a、5aの 手方向に導電性を付与する目的として用い れ、銀(Ag)材料を主成分とする導電性材料に って形成されている。

 誘電体層8は、前面ガラス基板3上に形成 れたこれらの透明電極4a、5aと金属バス電極4 b、5bと遮光層7とを覆って設けた第一誘電体 81と、第一誘電体層81上に形成された第二誘 体層82の少なくとも2層構成とし、さらに第 誘電体層82上に保護層9を形成している。

 次に、PDPの製造方法について説明する。 ず、前面ガラス基板3上に、走査電極4およ 維持電極5と遮光層7とを形成する。これらの 透明電極4a、5aと金属バス電極4b、5bは、フォ リソグラフィ法などを用いてパターニング て形成される。透明電極4a、5aは薄膜プロセ スなどを用いて形成され、金属バス電極4b、5 bは銀(Ag)材料を含むペーストを所定の温度で 成して固化している。また、遮光層7も同様 に、黒色顔料を含むペーストをスクリーン印 刷する方法や黒色顔料をガラス基板の全面に 形成した後、フォトリソグラフィ法を用いて パターニングし、焼成することにより形成さ れる。

 次に、走査電極4、維持電極5および遮光 7を覆うように前面ガラス基板3上に誘電体ペ ーストをダイコート法などにより塗布して誘 電体ペースト層(誘電体材料層)を形成する。 電体ペーストを塗布した後、所定の時間放 することによって塗布された誘電体ペース 表面がレベリングされて平坦な表面になる その後、誘電体ペースト層を焼成固化する とにより、走査電極4、維持電極5および遮 層7を覆う誘電体層8が形成される。なお、誘 電体ペーストはガラス粉末などの誘電体材料 、バインダおよび溶剤を含む塗料である。

 次に、誘電体層8上にMgOからなる下地膜91 真空蒸着法により形成する。その後、下地 91上に金属酸化物であるMgOの結晶粒子92aが 個凝集した凝集粒子92を、スクリ-ン印刷な を用いて全面に亘ってほぼ均一に分布する うに複数個付着させて保護層9を形成してい 。

 以上の工程により前面ガラス基板3上に所 定の構成物(走査電極4、維持電極5、遮光層7 誘電体層8、保護層9)が形成され、前面板2が 成する。

 一方、背面板10は次のようにして形成さ る。まず、背面ガラス基板11上に、銀(Ag)材 を含むペーストをスクリーン印刷する方法 、金属膜を全面に形成した後、フォトリソ ラフィ法を用いてパターニングする方法な によりアドレス電極12用の構成物となる材料 層を形成し、それを所定の温度で焼成するこ とによりアドレス電極12を形成する。次に、 ドレス電極12が形成された背面ガラス基板11 上にダイコート法などによりアドレス電極12 覆うように誘電体ペーストを塗布して誘電 ペースト層を形成する。その後、誘電体ペ スト層を焼成することにより下地誘電体層1 3を形成する。

 なお、前面板2で形成した誘電体層8と同 に、下地誘電体層13を形成する材料である誘 電体ペーストもガラス粉末などの誘電体材料 とバインダおよび溶剤を含んだ塗料で構成さ れ、バインダの含有割合などを調整すること により、焼成後の下地誘電体層13の空隙率を 御することができる。

 本発明に至る実験においては、このバイ ダの含有量を調整し、下地誘電体層13の空 率を最大50%まで変化させたPDPを試作して評 した。

 次に、下地誘電体層13上に隔壁材料を含 隔壁形成用ペーストを塗布して所定の形状 パターニングすることにより隔壁材料層を 成し、その後、焼成することにより隔壁14を 形成する。ここで、下地誘電体層13上に塗布 た隔壁用ペーストをパターニングする方法 しては、フォトリソグラフィ法やサンドブ スト法を用いることができる。次に、隣接 る隔壁14間の下地誘電体層13上および隔壁14 側面に蛍光体材料を含む蛍光体ペーストを 布し、焼成することにより蛍光体層15が形 される。以上の工程により、背面ガラス基 11上に所定の構成部材を有する背面板10が完 する。

 このようにして所定の構成部材を備えた 面板2と背面板10とを走査電極4とアドレス電 極12とが直交するように対向配置して、その 囲をガラスフリットで封着し、放電空間16 Ne、Xeなどを含む放電ガスを封入することに りPDP1が完成する。

 ここで、前面板2の誘電体層8を構成する 一誘電体層81と第二誘電体層82について詳細 説明する。第一誘電体層81の誘電体材料は 次の材料組成より構成されている。すなわ 、酸化ビスマス(Bi2O3)を20重量%~40重量%、酸化 カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、 化バリウム(BaO)から選ばれる少なくとも1種 0.5重量%~12重量%、酸化モリブデン(MoO3)、酸化 タングステン(WO3)、酸化セリウム(CeO2)、二酸 マンガン(MnO2)から選ばれる少なくとも1種を 0.1重量%~7重量%含んでいる。

 なお、酸化モリブデン(MoO3)、酸化タング テン(WO3)、酸化セリウム(CeO2)、二酸化マン ン(MnO2)に代えて、酸化銅(CuO)、酸化クロム(Cr 2O3)、酸化コバルト(Co2O3)、酸化バナジウム(V2O 7)、酸化アンチモン(Sb2O3)から選ばれる少なく とも1種を0.1重量%~7重量%含ませてもよい。

 また、上記以外の成分として、酸化亜鉛( ZnO)を0重量%~40重量%、酸化硼素(B2O3)を0重量%~35 重量%、酸化硅素(SiO2)を0重量%~15重量%、酸化 ルミニウム(Al2O3)を0重量%~10重量%など、鉛成 を含まない材料組成が含まれていてもよい

 これらの組成成分からなる誘電体材料を 湿式ジェットミルやボールミルで平均粒径 0.5μm~2.5μmとなるように粉砕して誘電体材料 粉末を作製する。次にこの誘電体材料粉末55 量%~70重量%と、バインダ成分30重量%~45重量% を三本ロールでよく混練してダイコート用 または印刷用の第一誘電体層用ペーストを 製する。

 バインダ成分はエチルセルロース、また アクリル樹脂1重量%~20重量%を含むターピネ ール、またはブチルカルビトールアセテー である。また、ペースト中には、必要に応 て可塑剤としてフタル酸ジオクチル、フタ 酸ジブチル、リン酸トリフェニル、リン酸 リブチルを添加し、分散剤としてグリセロ ルモノオレート、ソルビタンセスキオレヘ ト、アルキルアリル基のリン酸エステルな を添加して印刷性を向上させてもよい。

 次に、この第一誘電体層用ペーストを用 、表示電極6を覆うように前面ガラス基板3 ダイコート法あるいはスクリーン印刷法で 刷して乾燥させ、その後、誘電体材料の軟 点より少し高い温度の575℃~590℃で焼成する

 次に、第二誘電体層82について説明する 第二誘電体層82の誘電体材料は、次の材料組 成より構成されている。すなわち、酸化ビス マス(Bi2O3)を11重量%~20重量%、さらに、酸化カ シウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化 バリウム(BaO)から選ばれる少なくとも1種を1.6 重量%~21重量%、酸化モリブデン(MoO3)、酸化タ グステン(WO3)、酸化セリウム(CeO2)から選ば る少なくとも1種を0.1重量%~7重量%含んでいる 。

 なお、酸化モリブデン(MoO3)、酸化タング テン(WO3)、酸化セリウム(CeO2)に代えて、酸 銅(CuO)、酸化クロム(Cr2O3)、酸化コバルト(Co2O 3)、酸化バナジウム(V2O7)、酸化アンチモン(Sb2 O3)、酸化マンガン(MnO2)から選ばれる少なくと も1種を0.1重量%~7重量%含ませてもよい。

 また、上記以外の成分として、酸化亜鉛( ZnO)を0重量%~40重量%、酸化硼素(B2O3)を0重量%~35 重量%、酸化硅素(SiO2)を0重量%~15重量%、酸化 ルミニウム(Al2O3)を0重量%~10重量%など、鉛成 を含まない材料組成が含まれていてもよい

 これらの組成成分からなる誘電体材料を 湿式ジェットミルやボールミルで平均粒径 0.5μm~2.5μmとなるように粉砕して誘電体材料 粉末を作製する。次にこの誘電体材料粉末55 量%~70重量%と、バインダ成分30重量%~45重量% を三本ロールでよく混練してダイコート用 または印刷用の第二誘電体層用ペーストを 製する。バインダ成分はエチルセルロース またはアクリル樹脂1重量%~20重量%を含むタ ピネオール、またはブチルカルビトールア テートである。また、ペースト中には、必 に応じて可塑剤としてフタル酸ジオクチル フタル酸ジブチル、リン酸トリフェニル、 ン酸トリブチルを添加し、分散剤としてグ セロールモノオレート、ソルビタンセスキ レヘート、アルキルアリル基のリン酸エス ルなどを添加して印刷性を向上させてもよ 。

 次にこの第二誘電体層用ペーストを用い 第一誘電体層81上にスクリーン印刷法ある はダイコート法で印刷して乾燥させ、その 、誘電体材料の軟化点より少し高い温度の55 0℃~590℃で焼成する。

 なお、誘電体層8の膜厚としては、可視光 透過率を確保するために、第一誘電体層81と 二誘電体層82とを合わせ41μm以下とすること が好ましい。第一誘電体層81は、金属バス電 4b、5bの銀(Ag)との反応を抑制するために酸 ビスマス(Bi2O3)の含有量を第二誘電体層82の 化ビスマス(Bi2O3)の含有量よりも多くして20 量%~40重量%としている。そのため、第一誘電 体層81の可視光透過率が第二誘電体層82の可 光透過率よりも低くなるので、第一誘電体 81の膜厚を第二誘電体層82の膜厚よりも薄く ている。

 なお、第二誘電体層82において酸化ビス ス(Bi2O3)が11重量%以下であると着色は生じに くなるが、第二誘電体層82中に気泡が発生 やすく好ましくない。また、40重量%を超え と着色が生じやすくなり透過率をあげる目 には好ましくない。

 また、誘電体層8の膜厚が小さいほどPDP輝 度の向上と放電電圧を低減するという効果は 顕著になるので、絶縁耐圧が低下しない範囲 内であればできるだけ膜厚を小さく設定する のが望ましい。このような観点から、本発明 の実施の形態では、誘電体層8の膜厚を41μm以 下に設定し、第一誘電体層81を5μm~15μm、第二 誘電体層82を20μm~36μmとしている。

 このようにして製造されたPDPは、表示電 6に銀(Ag)材料を用いても、前面ガラス基板3 着色現象(黄変)が少なくて、なおかつ、誘 体層8中に気泡の発生などがなく、絶縁耐圧 能に優れた誘電体層8を実現することを確認 している。

 次に、本発明の実施の形態におけるPDPに いて、これらの誘電体材料によって第一誘 体層81において黄変や気泡の発生が抑制さ る理由について考察する。すなわち、酸化 スマス(Bi2O3)を含む誘電体ガラスに酸化モリ デン(MoO3)、または酸化タングステン(WO3)を 加することによって、Ag2MoO4、Ag2Mo2O7、Ag2Mo4O1 3、Ag2WO4、Ag2W2O7、Ag2W4O13といった化合物が580 以下の低温で生成しやすいことが知られて る。

 本発明の実施の形態では、誘電体層8の焼 成温度が550℃~590℃であることから、焼成中 誘電体層8中に拡散した銀イオン(Ag+)は誘電 層8中の酸化モリブデン(MoO3)、酸化タングス ン(WO3)酸化セリウム(CeO2)、酸化マンガン(MnO2 )と反応して安定な化合物を生成して安定化 る。すなわち、銀イオン(Ag+)が還元されるこ となく安定化されるために、凝集してコロイ ドを生成することがない。したがって、銀イ オン(Ag+)が安定化することによって、銀(Ag)の コロイド化に伴う酸素の発生も少なくなるた め、誘電体層8中への気泡の発生も少なくな 。

 一方、これらの効果を有効にするために 、酸化ビスマス(Bi2O3)を含む誘電体ガラス中 に酸化モリブデン(MoO3)、酸化タングステン(WO 3)、酸化セリウム(CeO2)、酸化マンガン(MnO2)の 有量を0.1重量%以上にすることが好ましいが 、0.1重量%以上7重量%以下がさらに好ましい。 特に、0.1重量%未満では黄変を抑制する効果 少なく、7重量%を超えるとガラスに着色が起 こり好ましくない。

 すなわち、本発明の実施の形態におけるP DPの誘電体層8は、銀(Ag)材料よりなる金属バ 電極4b、5bと接する第一誘電体層81では黄変 象と気泡発生を抑制し、第一誘電体層81上に 設けた第二誘電体層82によって高い光透過率 実現している。その結果、誘電体層8全体と して、気泡や黄変の発生が極めて少なく透過 率の高いPDPを実現することが可能となる。

 なお、背面板10の下地誘電体層13の材料成 分は、前面板2の誘電体層8と同様に鉛成分を 有しないガラス材料などによって構成され いるが、銀材料を含むアドレス電極12によ 着色現象に対しては前面板2の誘電体層8ほど 条件を厳しくする必要はない。

 次に、本発明による保護層9の構成および 製造方法について詳細に説明する。

 図3は本発明の実施の形態におけるPDPの保 護層9部分を拡大して示す説明図である。図3 示すように、保護層9は、誘電体層8上にMgO らなる下地膜91を形成し、その下地膜91上に 金属酸化物であるMgOの結晶粒子92aが数個凝 した凝集粒子92を離散的に全面に亘ってほ 均一に分布するように付着させて構成して る。

 ここで、凝集粒子92とは、図4に示すよう 、所定の粒径の一次粒子である結晶粒子92a 凝集またはネッキングした状態のものであ 。また、凝集粒子92はそれぞれの一次粒子 固体として大きな結合力を持って結合して るのではない。すなわち、静電気やファン ルワールス力などによって複数の一次粒子 集合体の体をなし超音波などの外的刺激に り、その一部または全部が一次粒子の状態 なる程度で結合しているものである。凝集 子92の粒径としては約1μm程度のものであり 結晶粒子92aの形状としては、14面体や12面体 どの7面以上の面を持つ多面体形状が望まし い。

 また、この結晶粒子92aの一次粒子の粒径 、結晶粒子92aの生成条件によって制御でき 。例えば、炭酸マグネシウムや水酸化マグ シウムなどのMgO前駆体を焼成して生成する 合、焼成温度や焼成雰囲気を制御すること 粒径を制御できる。一般的に、焼成温度は7 00℃程度から1500℃程度の範囲で選択できるが 、焼成温度が比較的高い1000℃以上にするこ で、一次粒径を0.3μm~2μm程度に制御可能であ る。さらに、結晶粒子92aはMgO前駆体を加熱す ることにより得られるが、その生成過程にお いて、複数個の一次粒子同士が凝集またはネ ッキングと呼ばれる現象により結合した凝集 粒子92を得ることができる。

 以上のように、本発明の実施の形態にお る保護層9は、誘電体層8上にMgOにより構成 た下地膜91を形成するとともに、下地膜91に 属酸化物からなる複数個の結晶粒子が凝集 た凝集粒子92を全面に亘って分布するよう 複数個付着させて構成している。このよう 構成することにより、電子放出特性として 放電遅れ(ts)を改善し、さらには電荷保持特 をも改善することができるものである。そ 結果、高精細化により走査線数が増加し、 つセルサイズが小さくなる傾向にあるPDPで っても、電子放出能力と電荷保持能力の両 を満足させて、高画質で低電圧駆動のPDPを 現することが可能となる。

 一方、前述のように、MgOの凝集粒子92を 護層の下地膜91上に形成したPDPにおいても、 近年の高精細で高輝度の表示性能を備えたPDP においては、長時間の放電によってイオン衝 撃により下地膜91のスパッタが促進され、放 電圧の上昇や画像のチラツキが発生すると った課題があった。

 これらの下地膜91の放電によるスパッタ は、放電空間に存在する水分量に影響され 水分量が多い場合にスパッタ量が多くなる とがわかった。特に背面板10を構成する下地 誘電体層13からの水分の放電空間16への放出 影響が大きく、下地誘電体層13の空隙率を制 御して放電空間16への水分の持込と放電中の 電空間16への水分拡散を制御することが重 であることがわかった。

 そこで本発明の実施の形態では、下地誘 体層13に着目し、下地誘電体層13の空隙率を 変えたPDPを作製して、それぞれについて電子 放出特性と所定時間放電させた後の下地膜91 スパッタ量とについて調べた。なお、下地 電体層13の空隙率は下地誘電体層13を形成す る際のペーストにおける樹脂成分の調合割合 などを調整することによって変えている。

 図5は本発明の実施の形態におけるPDPにお いて、下地誘電体層13の空隙率と下地膜91の パッタ量および放電特性との関係を示す図 ある。図5において、横軸は下地誘電体層13 空隙率であり、縦軸は下地膜91のスパッタ量 と放電特性としての放電遅れ(ts値)の変化量 示している。

 ここで、下地誘電体層13の空隙率は下地 電体層13の断面SEM写真を画像処理することに より測定した。また、所定時間放電させた後 の下地膜91のスパッタ量についても断面SEM写 からその掘り込み量を測定した。なお、実 は加速ライフ試験として2万時間相当の放電 を行い、その結果としての下地膜91のスパッ 量と、放電初期の放電遅れ(ts値)からの変化 量とを測定した。

 また、電子放出特性としての放電遅れ(ts )は、特開2007-48733号公報に記載されている 法を用い、放電時の遅れ時間のうち、統計 れ時間と呼ばれる放電の発生しやすさの目 となる数値を測定してその逆数を積分する とで評価している。この放電時の遅れ時間 は、パルスの立ち上がりから放電が遅れて われる放電遅れ時間(以下、ts値と呼称する) 意味する。

 図5に示すように、下地誘電体層13の空隙 によって、下地膜91のスパッタ量と放電遅 の変化量が大きく変化することがわかる。 なわち、下地誘電体層13の空隙率の上昇につ れて下地膜91のスパッタ量が増加し、空隙率 20%を超えるとその増加傾向が顕著になるこ がわかる。このことは、下地誘電体層13か 放出される水分の量が大きくなることによ てスパッタが促進される結果である。

 一方、放電遅れ(ts値)の変化、すなわち放 電初期に比べて2万時間相当の加速ライフ放 をした後の放電遅れは、下地誘電体層13の空 隙率が小さければ小さいほどその変化が大き いことわかる。これは、下地誘電体層13の空 率が小さくなりすぎると、放電空間内に放 される水分量が減少して、保護層9の表面に 存在するOH基による欠陥準位が安定的に供給 れなくなり、その結果として保護層9表面か らの2次電子放出が小さくなり放電が遅れる のと考えられる。

 表示装置の寿命として10万時間を必要と る場合、2万時間の加速ライフ放電によるス ッタ量としては200nm以下、ts変化量としては 5倍以内が要求される。したがって、下地誘 体層13の空隙率が2%から20%の範囲内であれば 命10万時間を確保することができる。

 次に、本発明の実施の形態におけるPDPの 護層9に用いた結晶粒子92aの粒径について説 明する。なお、以下の説明において、粒径と は平均粒径を意味し、平均粒径とは、体積累 積平均径(D50)のことを意味している。図6は、 凝集粒子92を構成するMgOの結晶粒子92aの粒径 変化させて電子放出性能を調べた実験結果 示す図である。なお、図6および図7におい 、MgOの結晶粒子92aの粒径は、結晶粒子92aをSE M観察することで測長した。電子放出性能は 述と同様の放電遅れを測定し、粒径が0.1μm 場合を基準として示している。

 図6に示すように、結晶粒子92aの粒径が0.6 μm以下の領域では電子放出性能が急激に低下 し、0.9μm以上であれば高い電子放出性能が得 られることがわかる。

 ところで、放電セル内での電子放出数を 加させるためには、保護層9上の単位面積あ たりの結晶粒子92aの数は多い方が望ましい。 しかしながら、本発明者らの実験によれば、 前面板2の保護層9と密接に接触する背面板10 隔壁14の頂部に相当する部分に結晶粒子92aが 存在することで、隔壁14の頂部を破損させ、 の材料が蛍光体層15の上に乗るなどによっ 、該当するセルが正常に点灯消灯しなくな 現象が発生することがわかった。この隔壁 損の現象は、結晶粒子92aが隔壁14の頂部に対 応する部分に存在しなければ発生しにくいこ とから、付着させる結晶粒子92aの数が多くな れば、隔壁14の破損発生確率が高くなる。

 図7は、単位面積当たりに粒径の異なる同 じ数の結晶粒子を散布し、隔壁破損の関係を 実験した結果を示す図である。図7から明ら なように、結晶粒子92aの粒径が2.5μm程度に きくなると隔壁破損の確率が急激に高くな が、2.5μmより小さい結晶粒子径であれば、 壁破損の確率は比較的小さく抑えることが きることがわかる。

 以上の結果より、結晶粒子が凝集した凝 粒子92としては粒径が0.9μm以上2.5μm以下の のが望ましいと考えられるが、PDPとして実 に量産する場合には、結晶粒子の製造上で ばらつきや保護層を形成する場合の製造上 のばらつきを考慮し、平均粒径が0.9μm~2μmの 範囲にある凝集粒子を使用すれば、上述した 本発明の効果を安定的に得られることがわか った。

 以上のように本発明の実施の形態におけ PDPによれば、下地膜のスパッタを抑制して 電子放出性能と電荷保持特性が良好なPDPを ることができ、高精細で高輝度の表示性能 備え、低消費電力で長寿命のPDPを実現する とができる。

 なお、以上の説明では、下地膜としてMgO 主成分とする場合を例としたが、電子放出 能が金属酸化物の単結晶粒子によって支配 に制御される構成を取るため、MgOである必 はなくAl2O3などの耐衝撃性に優れる他の材 を用いても構わない。また、本発明の実施 形態では、単結晶粒子としてMgO粒子を用い 説明したが、この他の単結晶粒子でも、MgO 様に高い電子放出性能を持つSr,Ca,Ba,Alなどの 金属の酸化物による結晶粒子を用いても同様 の効果を得ることができるため、粒子種とし てはMgOに限定されるものではない。

 本発明のPDPは、高精細で高輝度の表示性 を備えるとともに長寿命のPDPを実現し、大 面高精細のディスプレイ装置などに有用で る。