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Title:
PLASMA DISPLAY PANEL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/107217
Kind Code:
A1
Abstract:
This invention provides a plasma display panel with a protective film, which can reduce the amount of adsorption of impurity gas on the protective film while maintaining good secondary electron release properties. The protective film has a double layer structure comprising a main protective film formed of a magnesium oxide film having (111) orientation and an upper protective film formed of a magnesium oxide film having a higher film density than the main protective film. In the plasma display panel comprising a pair of opposed substrate, a discharge space provided between the pair of substrates, and a protective film provided on the outermost surface in contact with the discharge space on the inner face of one of the substrates. The protective film comprises a main protective film as a (111) oriented film of magnesium oxide, and an upper protective film which is formed so as to cover the main protective film and is a magnesium oxide film having a higher film density than the main protective film.

Inventors:
YOSHINO FUMIAKI (JP)
KAWASAKI TATSUHIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/053541
Publication Date:
September 03, 2009
Filing Date:
February 28, 2008
Export Citation:
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Assignee:
HITACHI LTD (JP)
YOSHINO FUMIAKI (JP)
KAWASAKI TATSUHIKO (JP)
International Classes:
H01J11/12; H01J11/40
Foreign References:
JP2003022755A2003-01-24
JP2002260535A2002-09-13
Attorney, Agent or Firm:
NOGAWA, Shintaro (JP)
Shintaro Nogawa (JP)
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Claims:
 対向して配置された一対の基板間に放電空間が形成され、一方の基板の内面の放電空間と接する最表面に保護膜が形成されたプラズマディスプレイパネルであって、
 前記保護膜が、酸化マグネシウムの〈111〉配向膜である主保護膜と、その主保護膜を覆うように形成され、主保護膜よりも膜密度の高い酸化マグネシウム膜である上部保護膜とからなるプラズマディスプレイパネル。
 前記上部保護膜が、酸化マグネシウムの〈110〉配向膜、〈220〉配向膜、または〈330〉配向膜である請求項1記載のプラズマディスプレイパネル。
 前記上部保護膜の膜厚が、前記主保護膜の膜厚よりも薄い請求項1または2記載のプラズマディスプレイパネル。
Description:
プラズマディスプレイパネル

 本発明は、プラズマディスプレイパネル( 以下PDP)に関し、さらに詳しくは、一方の基 の内面の最上層に保護膜を有するPDPに関す 。

 PDPとして、AC駆動方式の3電極面放電型のP DPが知られている。このPDPは、前面側基板構 と背面側基板構体との間に放電空間が形成 れ、放電空間に放電ガスが封入された構成 なっている。

 汎用の反射型パネル構造において、前面 基板構体の内面には、行又は列方向に表示 の主電極が形成され、その主電極が誘電体 で覆われ、その誘電体層が保護膜で覆われ いる。保護膜の材料としては、酸化マグネ ウム(MgO)が多く用いられる。

 背面側基板構体の内面には、放電空間を 画する隔壁が形成され、隔壁で区画された ル内に蛍光体層が設けられている。そして 主電極間の面放電による紫外光で蛍光体層 発光させてカラー表示を行うようにしてい 。

 このPDPの製造においては、通常、前面側 板構体と背面側基板構体を作製した後、前 側基板構体と背面側基板構体とを対向配置 、周辺を封着材で封着する。この際、前面 基板構体の内面の放電空間と接する最表面 保護膜として酸化マグネシウム膜が形成さ ていると、この酸化マグネシウム膜が大気 に暴露されるため、酸化マグネシウム膜に 気中の不純物ガスが吸着される。この不純 ガスが吸着された状態で、前面側基板構体 背面側基板構体とを封着すると、パネル内 放電空間に不純物ガスが持ち込まれること なり、この不純物ガスが良好な放電発光を ばむ要因になっていた。

 このように保護膜に不純物ガスが吸着され ことを防止するために、保護膜として、種 晶と柱状結晶からなる二層の酸化マグネシ ム膜を形成し、表面露出面積を低減するよ にしたものが知られている(特許文献1参照) また、保護膜として、MgOと1モル~30モル%の 中濃度のCeO 2 とを含むアモルファス状態または微結晶状態 の酸化マグネシウム膜を形成したものも知ら れている(特許文献2参照)。

特開2002-150953号公報

特開2000-164143号公報

 しかしながら、上記のような酸化マグネ ウム膜を保護膜として形成した場合には、 純物ガスの低減が充分でなかったり、二次 子放出特性が低下するなどの問題が生じる このため、二次電子放出特性を低下させる となく、不純物ガスの吸着を低減した酸化 グネシウム膜の出現が望まれていた。

 本発明は、このような事情を考慮してな れたもので、保護膜を、〈111〉配向の酸化 グネシウム膜からなる主保護膜と、その主 護膜よりも膜密度の高い酸化マグネシウム からなる上部保護膜との二層構造とするこ で、良好な二次電子放出特性を維持したま 、不純物ガスの保護膜への吸着量を低減す ものである。

 本発明は、対向して配置された一対の基 間に放電空間が形成され、一方の基板の内 の放電空間と接する最表面に保護膜が形成 れたプラズマディスプレイパネルであって 前記保護膜が、酸化マグネシウムの〈111〉 向膜である主保護膜と、その主保護膜を覆 ように形成され、主保護膜よりも膜密度の い酸化マグネシウム膜である上部保護膜と らなるプラズマディスプレイパネルである

 本発明によれば、酸化マグネシウムの〈1 11〉配向膜である主保護膜の上に、主保護膜 りも膜密度の高い酸化マグネシウム膜であ 上部保護膜を成膜することで、不純物ガス 主保護膜内に取り込まれにくくなる。この め、酸化マグネシウムの〈111〉配向膜が持 良好な二次電子放出特性を維持しながら、 保護膜に吸着される不純物ガス量が低減さ 、パネル内への不純物ガスの持ち込み量が 減される。

本発明のPDPの一実施形態の構成を示す 明図である。 本発明の実施形態の保護膜の詳細構成 示す説明図である。 保護膜として主保護膜のみを形成した 合の比較例である。 本発明のPDPの製造方法を示す説明図で る。 TDS装置を用いたパネル表面脱ガス特性 示すグラフである。 TDS装置を用いたパネル表面脱ガス特性 示すグラフである。

符号の説明

 11 前面側の基板
 12 透明電極
 13 バス電極
 17,24 誘電体層
 18 保護膜
 18a 主保護膜
 18b 上部保護膜
 21 背面側の基板
 28R,28G,28B 蛍光体層
 29 隔壁
 30 放電空間
 A アドレス電極
 X,Y 表示電極

 本発明において、一対の基板としては、 ラス、石英、セラミックス等の基板や、こ らの基板上に、電極、絶縁膜、誘電体層、 護膜等の所望の構成要素を形成した基板が まれる。

 上記の基板上には、電極が形成されていて よい。この電極は、当該分野で公知の各種 電極を適用することができる。これらの電 に用いられる材料としては、例えば、ITO、S nO 2 などの透明な導電性材料や、Ag、Au、Al、Cu、C rなどの金属の導電性材料が挙げられる。電 の形成方法としては、当該分野で公知の各 の方法を適用することができる。たとえば 印刷などの厚膜形成技術を用いて形成して よいし、物理的堆積法または化学的堆積法 らなる薄膜形成技術を用いて形成してもよ 。厚膜形成技術としては、スクリーン印刷 などが挙げられる。薄膜形成技術の内、物 的堆積法としては、蒸着法やスパッタ法な が挙げられる。化学的堆積方法としては、 CVD法や光CVD法、あるいはプラズマCVD法など 挙げられる。

 誘電体層は、当該分野で公知の各種の材料 方法を用いて形成することができる。たと ば、誘電体層は、低融点ガラスフリット(ガ ラス粉末)、バインダー樹脂、および溶媒か なるガラスペーストをスクリーン印刷法で 布して、焼成することで形成することがで る。あるいは、ガラス粉末のグリーンシー (未焼結の誘電体シート)を貼り付けて、焼成 することで形成することができる。誘電体層 は、この他に、SiO 2 膜のような薄膜を成膜することで形成するこ ともできる。

 保護膜は、上記電極間の面放電により生 るイオンの衝突による損傷から、保護膜の 層にある例えば誘電体層などを保護するも である。保護膜は、酸化マグネシウムを用 て、電子ビーム蒸着法やスパッタ法のよう 、当該分野で公知の薄膜形成プロセスによ て形成することができる。

 本発明において、保護膜は、酸化マグネ ウムの〈111〉配向膜である主保護膜と、そ 主保護膜上に形成され、主保護膜よりも膜 度の高い酸化マグネシウム膜である上部保 膜とからなる。酸化マグネシウムの〈111〉 向膜とは、〈111〉配向結晶(膜厚方向の結晶 方位が〈111〉であり膜平面と平行な面が{111} の結晶)が他の結晶に対してその数の上で優 勢な酸化マグネシウム膜を意味する。同様に 、〈110〉配向の酸化マグネシウム膜、〈220〉 配向の酸化マグネシウム膜、および〈330〉配 向の酸化マグネシウム膜も、これらの配向結 晶が他の結晶に対してその数の上で優勢な酸 化マグネシウム膜を意味する。

 これらの酸化マグネシウム膜は、適当な 素分圧の酸素雰囲気中での真空蒸着や、適 なイオン照射量のイオンアシスト蒸着等に って形成することができる。具体的には、 化マグネシウムの〈111〉配向膜については たとえば、特開平5-234519号公報に記載の方 などを適用することができる。

 本発明において、上部保護膜は、主保護 に不純物ガスが吸着されることを防止する めに設けられる。この観点から、上部保護 は、主保護膜よりも膜密度の高い膜であれ 、どのような酸化マグネシウム膜であって よい。主保護膜よりも膜密度が高い酸化マ ネシウム膜としては、たとえば、〈110〉配 、〈220〉配向、または〈330〉配向の酸化マ ネシウム膜などが挙げられる。

 上記の膜密度とは、成膜した膜中に占め 、水分や炭素化合物などの不純物ガス以外 結晶成分の割合を意味し、膜密度が高いと 、膜中の結晶成分の割合が高いことを意味 る。

 本発明においては、膜密度を酸化マグネ ウ(MgO)のバルクに対する相対膜密度で定義 た。膜密度は屈折率の関数であるので、成 したMgO膜の屈折率をエリプソメータ等で測 することで、そのMgO膜の相対膜密度を知る とができる。すなわち、不純物ガスを含ま い膜密度100%のMgOの単結晶(純度100%のMgOのバ ク)の屈折率を1.74(化学便覧等参照)とし、不 物ガスの屈折率を1.0とすると、成膜したMgO の屈折率を調べることで、以下の式から成 したMgO膜の相対膜密度を知ることができる

  成膜したMgO膜の屈折率(測定値):n
  成膜したMgO膜の相対膜密度:ρ
  MgO単結晶の屈折率(既知):α(1.74)
  不純物ガスの屈折率(既知):β(1.0)
  不純物ガスの相対膜密度:1-ρ
とすると、
  n=α×ρ+β×(1-ρ)
上記の式にα=1.74、β=1.0を代入すると、
  n=0.74ρ+1
  ρ=(n-1)/0.74
上記の式から、成膜したMgO膜の屈折率:nを測 し、その屈折率が例えば1.6であった場合に 、ρ≒0.81となり、成膜したMgO膜の相対密度 約81%であることがわかる。

 主保護膜として形成する酸化マグネシウ の〈111〉配向膜の屈折率は1.48~1.63であり、 対膜密度は65~85%である。これに対し、上部 護膜として形成する酸化マグネシウムの〈1 10〉配向膜、〈220〉配向膜、または〈330〉配 膜の屈折率は1.63~1.74であり、相対膜密度は8 5~100%である。したがって、上部保護膜として は、酸化マグネシウムの〈110〉配向膜、〈220 〉配向膜、及び〈330〉配向膜のいずれを形成 してもよい。

 本発明において、上部保護膜は、主保護 に不純物ガスが吸着されることを防止でき 程度の膜厚であればよい。この観点から、 部保護膜は、主保護膜の膜厚よりも薄い膜 であればよく、具体的には、主保護膜の17~5 0%の膜厚とすることが望ましい。主保護膜お び上部保護膜は、それぞれ200nm以上の膜厚 有することが望ましい。これは結晶性が安 するためである。主保護膜と上部保護膜の 計の膜厚は、400~1500nm程度の膜厚を有するこ が望ましい。これは、保護膜全体の膜厚を4 00nm以下にした場合には、保護膜は、平行す 2本の表示電極間の面放電時にスパッタされ が、そのスパッタにより保護膜の寿命に影 を与えるからである。また、保護膜全体を1 500nm以上の膜厚で成膜する場合には、製造コ トの上昇を招くからである。

 これらの観点から、主保護膜の膜厚は200~ 1000nm程度、上部保護膜の膜厚は200~500nm程度、 主保護膜と上部保護膜の合計の膜厚は400~1500n m程度の膜厚とすることが望ましい。

 以下、図面に示す実施形態に基づいて本 明を詳述する。なお、本発明はこれによっ 限定されるものではなく、各種の変形が可 である。

 図1(a)および図1(b)は本発明のPDPの一実施 態の構成を示す説明図である。図1(a)はパネ 全体を示す斜視図であり、図1(b)は図1(a)の 分分解斜視図である。このPDPはカラー表示 のAC駆動方式の3電極面放電型で、かつ蛍光 層を背面側に設けた反射型パネル構造のPDP ある。

 PDPは、前面側基板構体と背面側基板構体 で構成されている。前面側基板構体は、前 側の基板11にPDPとして機能する各種の構成 素が形成されたものである。背面側基板構 は、背面側の基板21にPDPとして機能する各種 の構成要素が形成されたものである。前面側 の基板11と背面側の基板21としては、透光性 ガラス基板を用いているが、ガラス基板以 に、石英基板、セラミックス基板等も使用 ることができる。

 前面側の基板11の内側面には、水平方向に 示電極Xと表示電極Yが交互に等間隔で配置さ れている。隣接する表示電極Xと表示電極Yと 間が全て表示ラインLとなる。各表示電極X,Y は、ITO、SnO 2 などの幅の広い透明電極12と、例えばAg、Au、 Al、Cu、Cr及びそれらの積層体(例えばCr/Cu/Crの 積層構造)等からなる金属製の幅の狭いバス 極13から構成されている。表示電極X,Yは、Ag Auについてはスクリーン印刷のような厚膜 成技術を用い、その他については蒸着法、 パッタ法等の薄膜形成技術と、サンドブラ トやエッチング技術を用いることにより、 望の本数、厚さ、幅及び間隔で形成するこ ができる。

 なお、本PDPでは、表示電極Xと表示電極Y 交互に等間隔で配置され、隣接する表示電 Xと表示電極Yとの間が全て表示ラインLとな 、いわゆるALIS構造のPDPとなっているが、対 なる表示電極X,Yが放電の発生しない間隔(非 放電ギャップ)を隔てて配置された構造のPDP あっても、本発明を適用することができる

 表示電極X,Yの上には、表示電極X,Yを覆う うに低融点ガラス等からなるAC駆動のため 電荷を蓄積できる誘電体層17が形成されてい る。

 誘電体層17の上には、表示の際の放電に り生じるイオンの衝突による損傷から当該 電体層17を保護するための保護膜18が形成さ ている。この保護膜は酸化マグネシウム(MgO )で形成されている。保護膜は、蒸着法やス ッタ法のような、当該分野で公知の薄膜形 プロセスによって形成することができる。 の保護膜の詳細については後述する。

 背面側の基板21の内側面には、平面的に て表示電極X,Yと交差する方向に複数のアド ス電極Aが形成され、そのアドレス電極Aを覆 って誘電体層24が形成されている。アドレス 極Aは、表示電極Yとの交差部で発光セルを 択するためのアドレス放電を発生させるも であり、Cr/Cu/Crの3層構造で形成されている このアドレス電極Aは、その他に、例えばAg Au、Al、Cu、Cr等で形成することもできる。ア ドレス電極Aも、表示電極X,Yと同様に、Ag、Au ついてはスクリーン印刷のような厚膜形成 術を用い、その他については蒸着法、スパ タ法等の薄膜形成技術とエッチング技術を いることにより、所望の本数、厚さ、幅及 間隔で形成することができる。誘電体層24 、前面基板側の誘電体層17と同じ材料、同じ 方法を用いて形成することができる。

 なお、アドレス電極Aを前面側の基板11側 表示電極X,Yと共に配置することも可能で、 の場合アドレス電極Aは誘電体層17と保護膜1 8との間に配置される。

 隣接するアドレス電極Aとアドレス電極A の間の誘電体層24上には、放電空間を表示電 極X,Yの延伸方向にセルごとに区画するストラ イプ状の隔壁29が形成されている。隔壁29は サンドブラスト法、フォトエッチング法等 より形成することができる。例えば、サン ブラスト法では、ガラスフリット、バイン ー樹脂、溶媒等からなるガラスペーストを 電体層上に塗布して乾燥させた後、そのガ スペースト層上にリブパターンの開口を有 る切削マスクを設けた状態で切削粒子を吹 つけて、マスクの開口に露出したガラスペ スト層を切削し、さらに焼成することによ 形成する。また、フォトエッチング法では 切削粒子で切削することに代えて、バイン ー樹脂に感光性の樹脂を使用し、マスクを いた露光及び現像の後、焼成することによ 形成する。

 各隔壁29で区分けされた領域(溝)の側面及 び底面には、紫外線により励起されて赤(R)、 緑(G)、青(B)の可視光をそれぞれ発生する蛍光 体層28R,28G,28Bが順番に繰り返し形成されてい 。この隔壁29により隔てられ、前面側の基 の保護膜18と背面側の基板の蛍光体層28R,28G,2 8Bで囲われて放電空間30が形成されている。 光体層28R,28G,28Bは、蛍光体粉末とバインダー 樹脂と溶媒とを含む蛍光体ペーストを隔壁29 囲まれたセル内にスクリーン印刷、又はデ スペンサーを用いた方法などで塗布し、こ を各色毎に繰り返した後、焼成することに り形成している。この蛍光体層28R,28G,28Bは 蛍光体粉末と感光性材料とバインダー樹脂 を含むシート状の蛍光体層材料(いわゆるグ ーンシート)を使用し、フォトリソグラフィ ー技術で形成することもできる。この場合、 所望の色のシートを基板上の表示領域全面に 貼り付けて、露光、現像を行い、これを各色 毎に繰り返すことで、対応するセル内に各色 の蛍光体層を形成することができる。

 PDPは、上記した前面側基板構体と背面側 板構体とを、表示電極X,Yとアドレス電極Aと が交差するように対向配置し、周囲をガラス フリット等のシール材により封着し、隔壁29 囲まれた放電空間30にXeとNeとを含む放電ガ を充填することにより作製されている。こ PDPでは、表示電極Xと表示電極Yとの間の表 ラインとアドレス電極Aとの交差部の放電空 30が、表示の最小単位である1つのセル(単位 発光領域)となる。1画素はR、G、Bの3つのセル で構成される。

 図2は保護膜の詳細構成を示す説明図であ る。この図は保護膜の断面を拡大した図であ る。保護膜18は、前述したように、誘電体層1 7の上に、誘電体層17を覆うように形成されて いる。この保護膜は、誘電体層17の上に、〈1 11〉配向のMgO膜を主保護膜18aとして形成し、 の上に、主保護膜18aよりも膜密度の高い〈1 10〉配向のMgO膜を上部保護膜18bとして形成し 構造であり、二層構造の保護膜となってい 。

 上記の実施形態では、上部保護膜18bを〈1 10〉配向のMgO膜としているが、この上部保護 18bは、主保護膜18aに不純物ガスが吸着され ことを防止する役割を果たすものであり、 保護膜18aよりも膜密度が高いMgO膜であれば どのようなMgO膜であってもよい。主保護膜1 8aよりも膜密度が高い他のMgO膜としては、た えば、〈220〉配向のMgO膜、または〈330〉配 のMgO膜などが挙げられる。したがって、他 実施形態としては、上部保護膜18bに〈220〉 向のMgO膜、または〈330〉配向のMgO膜を成膜 た形態などがある。

 上部保護膜18bは、主保護膜18aに不純物ガ が吸着されることを防止できる程度の膜厚 あればよく、主保護膜18aよりも薄い膜厚で 成されている。主保護膜18aおよび上部保護 18bは、結晶性の安定のためには、それぞれ2 00nm以上の膜厚で成膜することが望ましい。 保護膜と上部保護膜の合計の膜厚は、膜寿 の観点から400nm以上、製造コストの観点から 1500nm以下の厚みで成膜することが望ましい。

 上記の理由から、主保護膜18aの膜厚は200~ 1000nm程度、上部保護膜18bの膜厚は200~500nm程度 、主保護膜18aと上部保護膜18bの合計の膜厚は 400~1500nm程度で成膜する。上部保護膜18bは主 護膜18aの17~50%の膜厚とすることが望ましい

 このように、二次電子放出特性が良好な 111〉配向のMgO膜を主保護膜18aとして形成し その上に膜密度の高いMgO膜を上部保護膜18b して成膜した二層構造の保護膜とすること 、保護膜が大気中に暴露された場合でも、 保護膜18aに不純物ガスGが吸着されにくい構 造とする。これにより、保護膜を、二次電子 放出特性が良好で、かつ不純物ガスの吸着量 が少ない保護膜とすることができる。

 図3は保護膜として主保護膜のみを形成し た場合の比較例である。本比較例では、誘電 体層37の上に、主保護膜として、〈111〉配向 MgO膜38だけを成膜している。

 〈111〉配向のMgO膜は、他の配向のMgO膜と 較して、平行する2本の電極間で面放電を発 生させた際の二次電子放出特性が良好であり 、この理由から一般によく用いられている。 しかし、成膜後、大気中に暴露すると、結晶 と結晶との隙間に水分(水蒸気)や二酸化炭素 ような不純物ガスGが取り込まれやすく、PDP の製造後、この不純物ガスがPDPの表示放電に 悪影響を与える。

 すなわち、〈111〉配向のMgO膜を基板に成 した後、チャンバーから出して大気中に暴 すると、〈111〉配向のMgO膜に不純物ガスGが 吸着される。したがって、このような不純物 ガスが吸着された基板を用いてPDPを製造する と、PDPの表示放電によるスパッタで保護膜か ら不純物ガスが放出され、この不純物ガスに よって放電空間内が汚染され、二次電子放出 特性が悪化する。

 これに対し、本発明では、図2に示したよ うに、主保護膜18aへの不純物ガスGの吸着量 低減することができ、これにより、良好な 次電子放出特性を維持したまま、放電空間 への不純物ガスの持ち込み量を低減させる とができる。

 図4(a)~図4(e)はPDPの製造方法を示す説明図で る。
 まず、前面側の基板11に透明電極12とバス電 極13を形成し(図4(a)参照)、透明電極12とバス 極13を覆って誘電体層17を形成する(図4(b)参 )。

 次に、誘電体層17上に、〈111〉配向のMgO を主保護膜18aとして成膜し(図4(c)参照)、こ 主保護膜18aの上に、〈110〉配向のMgO膜を上 保護膜18bとして成膜する(図4(d)参照)。

 そして、背面側の基板21にアドレス電極A 誘電体層24、隔壁29、および蛍光体層を形成 した背面側基板構体に、上記の工程で製造し た前面側基板構体を対向させて位置合わせを 行い、基板の周辺を封着材で封着して、パネ ル(放電空間)内の排気および放電ガスの封入 行った後、エージングを行うことでPDPを製 する(図4(e)参照)。

 主保護膜18aと上部保護膜18bは、誘電体層1 7を形成した前面側の基板11をチャンバー内に 搬入し、誘電体層17上に蒸着法やスパッタ法 よって形成する。上部保護膜18bの成膜に際 ては、主保護膜18aを成膜した後、いったん 膜を停止し、成膜条件を変えて上部保護膜1 8bを成膜してもよいし、主保護膜18aの成膜の 終段階で、成膜条件を変え、そのまま継続 て上部保護膜18bを成膜してもよい。主保護 18aの成膜は比較的高い温度で行われるため 主保護膜18aに吸着される不純物ガスの量は れほど多くないが、主保護膜18aを成膜した 、基板をチャンバーの外へ出すと、主保護 18aに不純物ガスが吸着されてしまう。この め、主保護膜18aと上部保護膜18bは、同一の ャンバー内で継続して成膜することが望ま い。

 〈110〉配向のMgO膜は、〈111〉配向のMgO膜 成膜中に、チャンバー内に水素ガスまたは を10sccm以上導入することで、成膜すること できる。水素ガスまたは水の導入量は、〈1 10〉配向、又は〈220〉配向のMgO膜を効率よく 膜するためには、100~5000sccm程度とすること 望ましい。上限を5000sccmとしたのは、入れ ぎるとチャンバー内圧力が悪くなり、結晶 が悪化するためである。

 前述したように、上部保護膜18bは、主保 膜18aよりも薄い膜厚で成膜する。主保護膜1 8aの膜厚は200~1000nm程度、上部保護膜18bの膜厚 は200~500nm程度、主保護膜18aと上部保護膜18bの 合計の膜厚は400~1500nm程度で成膜する。

 上記の〈111〉配向のMgO膜の成膜や、〈110 配向のMgO膜の成膜は、従来公知の成膜方法 て行うこともできる。たとえば、特開2003-31 136号公報や、特開平9-295894号公報に記載の成 方法などを適用することができる。

 図5および図6はTDS装置を用いたパネル表面 ガス特性を示すグラフであり、保護膜から 不純物ガスの脱ガス量を示したものである 図5は水分(H 2 O)の脱ガス量を示し、図6は二酸化炭素(CO 2 )の脱ガス量を示している。いずれもTDS(昇温 脱分析)装置を用いて測定したものである。

 これらのグラフは、ガラス基板に保護膜を 膜した後、保護膜からの不純物ガスの脱ガ 量を測定したものである。これらのグラフ 示すように、本発明の保護膜の場合、つま 主保護膜と上部保護膜の二層構造の保護膜 成膜した場合には、保護膜として主保護膜( 〈111〉配向のMgO膜)だけを成膜した場合と比 して、パネルからの水分(H 2 O)の脱ガス量と、二酸化炭素(CO 2 )の脱ガス量は、いずれも減少しており、こ により、本発明の二層構造の保護膜であれ 、不純物ガスが吸着されにくいことがわか 。

 なお、以上の実施形態は、蛍光体層を背 側基板に設けた反射型パネル構造を対象と たものであるが、本発明は、蛍光体層を前 側基板に設け、表示電極、誘電体層、保護 を背面側基板に設けた、いわゆる透過型パ ル構造に対しても適用可能である。

 保護膜を有するPDPに対して幅広く適用す ことができる。