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Patent Searching and Data


Title:
PLASMA DISPLAY PANEL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/113229
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a plasma display panel comprising a front panel, which forms a dielectric layer in a manner to cover display electrodes formed on a front glass substrate and which has a protective layer formed over the dielectric layer, and a back panel which is arranged to face the front panel so as to form a discharge space and to form address electrodes in a direction to intersect the display electrodes, and which has a partition for defining the discharge space. The protective layer is constituted to form a surface film over the dielectric layer and to adhere and distribute aggregated grains formed by aggregation of a plurality of crystal grains made of a metal oxide over the entire surface. The aggregated grains are made such that the distribution of the peak intensity values of the spectrum of the wavelength range of 200 nm to 300 nm in a cathode luminescence is contained within 240 % of the accumulated average value.

Inventors:
MIZOKAMI KANAME
ISHINO SHINICHIRO
SAKAMOTO KOYO
MIYAMAE YUICHIRO
OOE YOSHINAO
Application Number:
PCT/JP2009/000298
Publication Date:
September 17, 2009
Filing Date:
January 27, 2009
Export Citation:
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Assignee:
PANASONIC CORP (JP)
MIZOKAMI KANAME
ISHINO SHINICHIRO
SAKAMOTO KOYO
MIYAMAE YUICHIRO
OOE YOSHINAO
International Classes:
H01J11/02; H01J9/02; H01J11/22; H01J11/24; H01J11/34; H01J11/40
Domestic Patent References:
WO2007126061A12007-11-08
Foreign References:
JP2007035655A2007-02-08
JP2006244784A2006-09-14
JP2008293803A2008-12-04
JP2008293772A2008-12-04
Other References:
See also references of EP 2133902A4
Attorney, Agent or Firm:
IWAHASHI, Fumio et al. (JP)
Fumio Iwahashi (JP)
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Claims:
基板上に形成した表示電極を覆うように誘電体層を形成するとともにその誘電体層上に保護層を形成した前面板と、
前記前面板に放電空間を形成するように対向配置されかつ前記表示電極と交差する方向にアドレス電極を形成するとともに前記放電空間を区画する隔壁を設けた背面板と、を有し、
前記保護層は、前記誘電体層上に下地膜を形成するとともに、前記下地膜に金属酸化物からなる複数個の結晶粒子が凝集した凝集粒子を全面に亘って分布するように付着させて構成し、かつ前記凝集粒子は、カソードルミネッセンスにおける200nm以上300nm以下の波長領域のスペクトルのピーク強度値の分布が、累積平均値の240%以内に含まれるものであることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
前記凝集粒子は、平均粒径が0.9μm以上2μm以下の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
前記下地膜はMgOにより構成したことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載のプラズマディスプレイパネル。
Description:
プラズマディスプレイパネル

 本発明は、表示デバイスなどに用いるプ ズマディスプレイパネルに関する。

 プラズマディスプレイパネル(以下、「PDP 」と呼ぶ)は、高精細化、大画面化の実現が 能であることから、65インチクラスのテレビ などが製品化されている。近年、PDPは従来の NTSC方式に比べて走査線数が2倍以上のハイデ フィニションテレビへの適用が進んでいる ともに、環境問題に配慮して鉛成分を含ま いPDPが要求されている。

 PDPは、基本的には、前面板と背面板とで 成されている。前面板は、フロート法によ 硼硅酸ナトリウム系ガラスのガラス基板と ガラス基板の一方の主面上に形成されたス ライプ状の透明電極とバス電極とで構成さ る表示電極と、表示電極を覆ってコンデン としての働きをする誘電体層と、誘電体層 に形成された酸化マグネシウム(MgO)からな 保護層とで構成されている。一方、背面板 、ガラス基板と、その一方の主面上に形成 れたストライプ状のアドレス電極と、アド ス電極を覆う下地誘電体層と、下地誘電体 上に形成された隔壁と、各隔壁間に形成さ た赤色、緑色および青色それぞれに発光す 蛍光体層とで構成されている。

 前面板と背面板とはその電極形成面側を 向させて気密封着され、隔壁によって仕切 れた放電空間にNe-Xeの放電ガスが400Torr~600Tor rの圧力で封入されている。PDPは、表示電極 映像信号電圧を選択的に印加することによ て放電させ、その放電によって発生した紫 線が各色蛍光体層を励起して赤色、緑色、 色の発光をさせてカラー画像表示を実現し いる(特許文献1参照)。

 このようなPDPにおいて、前面板の誘電体 上に形成される保護層の役割は、放電によ イオン衝撃から誘電体層を保護すること、 ドレス放電を発生させるための初期電子を 出することなどがあげられる。イオン衝撃 ら誘電体層を保護することは、放電電圧の 昇を防ぐ重要な役割である。また、アドレ 放電を発生させるための初期電子を放出す ことは、画像のちらつきの原因となるアド ス放電ミスを防ぐ重要な役割である。

 保護層からの初期電子の放出数を増加さ て画像のちらつきを低減するためには、た えばMgOにSiやAlを添加するなどの試みが行わ れている。

 近年、テレビは高精細化がすすんでおり 市場では低コスト・低消費電力・高輝度の イ・ディフィニション(1920×1080画素:プログ ッシブ表示)PDPが要求されている。保護層か らの電子放出性能はPDPの画質を決定するため 、電子放出性能を制御することは非常に重要 である。

 PDPにおいて、保護層に不純物を混在させる とで電子放出性能を改善しようとする試み 行われている。しかしながら、保護層に不 物を混在させて電子放出性能を改善した場 、これと同時に保護層表面に電荷が蓄積さ 、メモリー機能として使用しようとする際 電荷が時間と共に減少する減衰率が大きく ってしまう。したがって、これを押さえる めの印加電圧を大きくする等の対策が必要 なる。このように保護層の特性として、高 電子放出性能を有すると共に、メモリー機 としての電荷の減衰率を小さくする、すな ち高い電荷保持性能を有するという、相反 る二つの性能を併せ持たなければならない いう課題があった。

特開2007-48733号公報

 本発明のPDPは、基板上に形成した表示電 を覆うように誘電体層を形成するとともに の誘電体層上に保護層を形成した前面板と この前面板に放電空間を形成するように対 配置されかつ表示電極と交差する方向にア レス電極を形成するとともに前記放電空間 区画する隔壁を設けた背面板とを有する。 護層は、前記誘電体層上に下地膜を形成す とともに、その下地膜に金属酸化物からな 複数個の結晶粒子が凝集した凝集粒子を全 に亘って分布するように付着させて構成し かつ凝集粒子は、カソードルミネッセンス おける200nm以上300nm以下の波長領域のスペク トルのピーク強度値の分布が、累積平均値の 240%以内に含まれるものであることを特徴と る。

 このような構成により、電子放出性能を 善するとともに、電荷保持性能も併せ持ち 高画質と、低コスト、低電圧を両立するこ のできるPDPを提供することにより、低消費 力、かつ高精細で高輝度の表示性能を備え PDPを実現することができる。

図1は本発明の実施の形態におけるPDPの 構造を示す斜視図である。 図2は同PDPの前面板の構成を示す断面図 である。 図3は同PDPの保護層部分を拡大して示す 断面図である。 図4は同PDPの保護層において、凝集粒子 を説明するための拡大図である。 図5は結晶粒子のカソードルミネッセン ス測定結果を示す特性図である。 図6は本発明の実施の形態による効果を 説明するために行った実験結果において、PDP における電子放出性能とVscn点灯電圧の検討 果を示す特性図である。 図7Aは各凝集粒子の200nm以上300nm以下の 波長領域のスペクトルのピーク強度値の分布 図である。 図7Bは各凝集粒子の200nm以上300nm以下の 波長領域のスペクトルのピーク強度値の分布 図である。 図7Cは各凝集粒子の200nm以上300nm以下の 波長領域のスペクトルのピーク強度値の分布 図である。 図8は累積平均強度値に対する標準偏差 の割合と、許容下限の電子放出性能を確保す るために必要な凝集粒子数の関係を示す特性 図である。 図9は凝集粒子数と隔壁の破損の発生率 との関係を示す特性図である。 図10は結晶粒子の粒径と電子放出性能 関係を示す特性図である。 図11は結晶粒子の粒径と隔壁の破損の 生率との関係を示す特性図である。 図12は本発明の実施の形態によるPDPに いて、凝集粒子の粒度分布の一例を示す特 図である。 図13は本発明の実施の形態によるPDPの 造方法において、保護層形成のステップを すステップ図である。

符号の説明

 1  PDP
 2  前面板
 3  前面ガラス基板
 4  走査電極
 4a,5a  透明電極
 4b,5b  金属バス電極
 5  維持電極
 6  表示電極
 7  ブラックストライプ(遮光層)
 8  誘電体層
 9  保護層
 10  背面板
 11  背面ガラス基板
 12  アドレス電極
 13  下地誘電体層
 14  隔壁
 15  蛍光体層
 16  放電空間
 81  第1誘電体層
 82  第2誘電体層
 91  下地膜
 92  凝集粒子
 92a  結晶粒子

 以下、本発明の一実施の形態におけるPDP ついて図面を用いて説明する。

 (実施の形態)
 図1は本発明の実施の形態におけるPDPの構造 を示す斜視図である。PDPの基本構造は、一般 的な交流面放電型PDPと同様である。図1に示 ように、PDP1は前面ガラス基板3などよりなる 前面板2と、背面ガラス基板11などよりなる背 面板10とが対向して配置されている。PDP1の外 周部は、ガラスフリットなどからなる封着材 によって気密封着されている。封着されたPDP 1内部の放電空間16には、NeおよびXeなどの放 ガスが400Torr~600Torrの圧力で封入されている

 前面板2の前面ガラス基板3上には、走査 極4および維持電極5よりなる一対の帯状の表 示電極6とブラックストライプ(遮光層)7が互 に平行にそれぞれ複数列配置されている。 面ガラス基板3上には表示電極6と遮光層7と 覆うようにコンデンサとしての働きをする 電体層8が形成されている。さらに、誘電体 8の表面に酸化マグネシウム(MgO)などからな 保護層9が形成されている。

 また、背面板10の背面ガラス基板11上には 、前面板2の走査電極4および維持電極5と直交 する方向に、複数の帯状のアドレス電極12が いに平行に配置されている。そして、アド ス電極12を下地誘電体層13が被覆している。 さらに、アドレス電極12間の下地誘電体層13 には放電空間16を区切る所定の高さの隔壁14 形成されている。隔壁14間の溝にアドレス 極12毎に、紫外線によって赤色、緑色および 青色にそれぞれ発光する蛍光体層15が順次塗 して形成されている。走査電極4および維持 電極5とアドレス電極12とが交差する位置に放 電セルが形成され、表示電極6方向に並んだ 色、緑色、青色の蛍光体層15を有する放電セ ルがカラー表示のための画素になる。

 図2は、本発明の一実施の形態におけるPDP1 前面板2の構成を示す断面図であり、図2は図 1と上下反転させて示している。図2に示すよ に、フロート法などにより製造された前面 ラス基板3に、走査電極4と維持電極5よりな 表示電極6と遮光層7がパターン形成されて る。走査電極4と維持電極5はそれぞれインジ ウムスズ酸化物(ITO)や酸化スズ(SnO 2 )などからなる透明電極4a、5aと、透明電極4a 5a上に形成された金属バス電極4b、5bとによ 構成されている。金属バス電極4b、5bは透明 極4a、5aの長手方向に導電性を付与する目的 として用いられ、銀(Ag)材料を主成分とする 電性材料によって形成されている。

 誘電体層8は、前面ガラス基板3上に形成 れたこれらの透明電極4a、5aと金属バス電極4 b、5bと遮光層7を覆うように設けた第1誘電体 81と、第1誘電体層81上に形成された第2誘電 層82の少なくとも2層構成としている。さら 第2誘電体層82上に保護層9を形成している。 保護層9は、誘電体層8上に形成された下地膜9 1と、その下地膜91上に付着させた凝集粒子92 ら構成している。

 次に、PDPの製造方法について説明する。 ず、前面ガラス基板3上に、走査電極4およ 維持電極5と遮光層7とを形成する。これらの 透明電極4a、5aと金属バス電極4b、5bは、フォ リソグラフィ法などを用いてパターニング て形成される。透明電極4a、5aは薄膜プロセ スなどを用いて形成される。金属バス電極4b 5bは銀(Ag)材料を含むペーストを所定の温度 焼成して固化している。また、遮光層7も同 様に、黒色顔料を含むペーストをスクリーン 印刷する方法や、黒色顔料をガラス基板の全 面に形成した後、フォトリソグラフィ法を用 いてパターニングし、焼成する方法により形 成される。

 次に、走査電極4、維持電極5および遮光 7を覆うように前面ガラス基板3上に誘電体ペ ーストをダイコート法などにより塗布して誘 電体ペースト層(誘電体材料層)を形成する。 電体ペーストを塗布した後、所定の時間放 することによって塗布された誘電体ペース 表面がレベリングされて平坦な表面になる その後、誘電体ペースト層を焼成固化する とにより、走査電極4、維持電極5および遮 層7を覆う誘電体層8が形成される。なお、誘 電体ペーストはガラス粉末などの誘電体材料 、バインダおよび溶剤を含む塗料である。

 次に、誘電体層8上に酸化マグネシウム(Mg O)からなる保護層9を真空蒸着法により形成す る。以上のステップにより前面ガラス基板3 に所定の構成物、すなわち走査電極4、維持 極5、遮光層7、誘電体層8、保護層9が形成さ れ、前面板2が完成する。

 一方、背面板10は次のようにして形成さ る。まず、背面ガラス基板11上に、銀(Ag)材 を含むペーストをスクリーン印刷する方法 、金属膜を全面に形成した後、フォトリソ ラフィ法を用いてパターニングする方法な によりアドレス電極12の構成物となる材料層 を形成する。そして、その材料層を所定の温 度で焼成することによりアドレス電極12を形 する。

 次に、アドレス電極12が形成された背面 ラス基板11上にダイコート法などによりアド レス電極12を覆うように誘電体ペーストを塗 して誘電体ペースト層を形成する。その後 誘電体ペースト層を焼成することにより下 誘電体層13を形成する。なお、誘電体ペー トはガラス粉末などの誘電体材料とバイン および溶剤を含んだ塗料である。

 次に、下地誘電体層13上に隔壁材料を含 隔壁形成用ペーストを塗布して所定の形状 パターニングすることにより、隔壁材料層 形成する。その後、隔壁材料層を焼成する とにより隔壁14を形成する。ここで、下地誘 電体層13上に塗布した隔壁形成用ペーストを ターニングする方法としては、フォトリソ ラフィ法やサンドブラスト法を用いること できる。次に、隣接する隔壁14間の下地誘 体層13上および隔壁14の側面に蛍光体材料を む蛍光体ペーストを塗布し、焼成すること より蛍光体層15が形成される。以上のステ プにより、背面ガラス基板11上に所定の構成 部材を有する背面板10が完成する。

 このようにして所定の構成部材を備えた 面板2と背面板10とを走査電極4とアドレス電 極12とが直交するように対向配置して、その 囲をガラスフリットで封着し、放電空間16 Ne、Xeなどを含む放電ガスを封入することに りPDP1が完成する。

 ここで、前面板2の誘電体層8を構成する第1 電体層81と第2誘電体層82について詳細に説 する。第1誘電体層81の誘電体材料は、次の 料組成より構成されている。すなわち、酸 ビスマス(Bi 2 O 3 )を20重量%~40重量%を含み、酸化カルシウム(CaO )、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化バリウム(Ba O)から選ばれる少なくとも1種を0.5重量%~12重 %含み、酸化モリブデン(MoO 3 )、酸化タングステン(WO 3 )、酸化セリウム(CeO 2 )、二酸化マンガン(MnO 2 )から選ばれる少なくとも1種を0.1重量%~7重量% 含んでいる。

 なお、酸化モリブデン(MoO 3 )、酸化タングステン(WO 3 )、酸化セリウム(CeO 2 )、二酸化マンガン(MnO 2 )に代えて、酸化銅(CuO)、酸化クロム(Cr 2 O 3 )、酸化コバルト(Co 2 O 3 )、酸化バナジウム(V 2 O 7 )、酸化アンチモン(Sb 2 O 3 )から選ばれる少なくとも1種を0.1重量%~7重量% 含ませてもよい。

 また、上記以外の成分として、酸化亜鉛(ZnO )を0重量%~40重量%、酸化硼素(B 2 O 3 )を0重量%~35重量%、酸化硅素(SiO 2 )を0重量%~15重量%、酸化アルミニウム(Al 2 O 3 )を0重量%~10重量%など、鉛成分を含まない材 組成が含まれていてもよく、これらの材料 成の含有量に特に限定はない。

 これらの組成成分からなる誘電体材料を 湿式ジェットミルやボールミルで平均粒径 0.5μm~2.5μmとなるように粉砕して誘電体材料 粉末を作製する。次に、この誘電体材料粉末 55重量%~70重量%と、バインダ成分30重量%~45重 %とを三本ロールでよく混練してダイコート 、または印刷用の第1誘電体層用ペーストを 作製する。

 バインダ成分はエチルセルロース、また アクリル樹脂1重量%~20重量%を含むターピネ ール、またはブチルカルビトールアセテー である。また、ペースト中には、必要に応 て可塑剤としてフタル酸ジオクチル、フタ 酸ジブチル、リン酸トリフェニル、リン酸 リブチルを添加し、分散剤としてグリセロ ルモノオレート、ソルビタンセスキオレヘ ト、ホモゲノール(Kaoコーポレーション社製 品名)、アルキルアリル基のリン酸エステル どを添加して印刷性を向上させてもよい。

 次に、この第1誘電体層用ペーストを用い 、表示電極6を覆うように前面ガラス基板3に イコート法あるいはスクリーン印刷法で印 して乾燥させ、その後、誘電体材料の軟化 より少し高い温度の575℃~590℃で焼成する。

 次に、第2誘電体層82について説明する。第2 誘電体層82の誘電体材料は、次の材料組成よ 構成されている。すなわち、酸化ビスマス( Bi 2 O 3 )を11重量%~20重量%を含み、さらに、酸化カル ウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化バ リウム(BaO)から選ばれる少なくとも1種を1.6重 量%~21重量%含み、酸化モリブデン(MoO 3 )、酸化タングステン(WO 3 )、酸化セリウム(CeO 2 )から選ばれる少なくとも1種を0.1重量%~7重量% 含んでいる。

 なお、酸化モリブデン(MoO 3 )、酸化タングステン(WO 3 )、酸化セリウム(CeO 2 )に代えて、酸化銅(CuO)、酸化クロム(Cr 2 O 3 )、酸化コバルト(Co 2 O 3 )、酸化バナジウム(V 2 O 7 )、酸化アンチモン(Sb 2 O 3 )、酸化マンガン(MnO 2 )から選ばれる少なくとも1種を0.1重量%~7重量% 含ませてもよい。

 また、上記以外の成分として、酸化亜鉛(ZnO )を0重量%~40重量%、酸化硼素(B 2 O 3 )を0重量%~35重量%、酸化硅素(SiO 2 )を0重量%~15重量%、酸化アルミニウム(Al 2 O 3 )を0重量%~10重量%など、鉛成分を含まない材 組成が含まれていてもよく、これらの材料 成の含有量に特に限定はない。

 これらの組成成分からなる誘電体材料を 湿式ジェットミルやボールミルで平均粒径 0.5μm~2.5μmとなるように粉砕して誘電体材料 粉末を作製する。次に、この誘電体材料粉末 55重量%~70重量%と、バインダ成分30重量%~45重 %とを三本ロールでよく混練してダイコート 、または印刷用の第2誘電体層用ペーストを 作製する。バインダ成分はエチルセルロース 、またはアクリル樹脂1重量%~20重量%を含むタ ーピネオール、またはブチルカルビトールア セテートである。また、ペースト中には、必 要に応じて可塑剤としてフタル酸ジオクチル 、フタル酸ジブチル、リン酸トリフェニル、 リン酸トリブチルを添加し、分散剤としてグ リセロールモノオレート、ソルビタンセスキ オレヘート、ホモゲノール(Kaoコーポレーシ ン社製品名)、アルキルアリル基のリン酸エ テルなどを添加して印刷性を向上させても い。

 次に、この第2誘電体層用ペーストを用い て第1誘電体層81上にスクリーン印刷法である いはダイコート法で印刷して乾燥させ、その 後、誘電体材料の軟化点より少し高い温度の 550℃~590℃で焼成する。

 なお、誘電体層8の膜厚については、第1誘 体層81と第2誘電体層82とを合わせ、可視光透 過率を確保するためには41μm以下が好ましい 第1誘電体層81は、金属バス電極4b、5bの銀(Ag )との反応を抑制するために酸化ビスマス(Bi 2 O 3 )の含有量を第2誘電体層82の酸化ビスマス(Bi 2 O 3 )の含有量よりも多くし、20重量%~40重量%とし いる。そのため、第1誘電体層81の可視光透 率が第2誘電体層82の可視光透過率よりも低 なるので、第1誘電体層81の膜厚を第2誘電体 層82の膜厚よりも薄くしている。

 なお、第2誘電体層82において酸化ビスマス( Bi 2 O 3 )が11重量%以下であると着色は生じにくくな が、第2誘電体層82中に気泡が発生しやすく ましくない。また、40重量%を超えると着色 生じやすくなり透過率を上げる目的には好 しくない。

 また、誘電体層8の膜厚が小さいほどパネ ル輝度の向上と放電電圧を低減するという効 果は顕著になるので、絶縁耐圧が低下しない 範囲内であればできるだけ膜厚を小さく設定 するのが望ましい。このような観点から、本 発明の実施の形態では、誘電体層8の膜厚を41 μm以下に設定し、第1誘電体層81を5μm~15μm、 2誘電体層82を20μm~36μmとしている。

 このようにして製造されたPDPは、表示電 6に銀(Ag)材料を用いても、前面ガラス基板3 着色現象(黄変)が少なくて、なおかつ、誘 体層8中に気泡の発生などがない。したがっ 、絶縁耐圧性能に優れた誘電体層8を実現す ることができる。

 次に、本発明の実施の形態におけるPDPにお て、これらの誘電体材料によって第1誘電体 層81において黄変や気泡の発生が抑制される 由について考察する。すなわち、酸化ビス ス(Bi 2 O 3 )を含む誘電体ガラスに酸化モリブデン(MoO 3 )、または酸化タングステン(WO 3 )を添加することによって、Ag 2 MoO 4 、Ag 2 Mo 2 O 7 、Ag 2 Mo 4 O 13 、Ag 2 WO 4 、Ag 2 W 2 O 7 、Ag 2 W 4 O 13 といった化合物が580℃以下の低温で生成しや すいことが知られている。本発明の実施の形 態では、誘電体層8の焼成温度が550℃~590℃で ることから、焼成中に誘電体層8中に拡散し た銀イオン(Ag + )は誘電体層8中の酸化モリブデン(MoO 3 )、酸化タングステン(WO 3 )、酸化セリウム(CeO 2 )、酸化マンガン(MnO 2 )と反応し、安定な化合物を生成して安定化 る。すなわち、銀イオン(Ag + )が還元されることなく安定化されるために 凝集してコロイドを生成することがない。 たがって、銀イオン(Ag + )が安定化することによって、銀(Ag)のコロイ 化に伴う酸素の発生も少なくなるため、誘 体層8中への気泡の発生も少なくなる。

 一方、これらの効果を有効にするためには 酸化ビスマス(Bi 2 O 3 )を含む誘電体ガラス中に酸化モリブデン(MoO 3 )、酸化タングステン(WO 3 )、酸化セリウム(CeO 2 )、酸化マンガン(MnO 2 )の含有量を0.1重量%以上にすることが好まし が、0.1重量%以上7重量%以下がさらに好まし 。特に、0.1重量%未満では黄変を抑制する効 果が少なく、7重量%を超えるとガラスに着色 起こり好ましくない。

 すなわち、本発明の実施の形態におけるP DPの誘電体層8は、銀(Ag)材料よりなる金属バ 電極4b、5bと接する第1誘電体層81では黄変現 と気泡発生を抑制し、第1誘電体層81上に設 た第2誘電体層82によって高い光透過率を実 している。その結果、誘電体層8全体として 、気泡や黄変の発生が極めて少なく透過率の 高いPDPを実現することが可能となる。

 次に、本発明の実施の形態におけるPDPの 徴である保護層の構成及び製造方法につい 説明する。

 本発明の実施の形態におけるPDPでは、図3 に示すように、保護層9を構成している。保 層9は、誘電体層8上に、不純物としてAlを含 するMgOからなる下地膜91を形成する。そし 、その下地膜91上に、金属酸化物であるMgOの 結晶粒子92aが複数個凝集した凝集粒子92を離 的に散布する。このようにして、凝集粒子9 2を、全面に亘ってほぼ均一に分布するよう 付着させることにより、保護層9を構成して る。

 ここで、凝集粒子92とは、図4に示すよう 、所定の一次粒径の結晶粒子92aが凝集また ネッキングした状態のものである。固体と て大きな結合力を持って結合しているので なく、静電気やファンデルワールス力など よって複数個の一次粒子が集合体の体をな ているものである。すなわち、結晶粒子92a 、超音波などの外的刺激により、その一部 たは全部が一次粒子の状態になる程度で結 しているものである。凝集粒子92の粒径と ては、約1μm程度のもので、結晶粒子92aとし は、14面体や12面体などの7面以上の面を持 多面体形状を有するのが望ましい。

 また、このMgOの結晶粒子92aの一次粒子の 径は、結晶粒子92aの生成条件によって制御 きる。例えば、炭酸マグネシウムや水酸化 グネシウムなどのMgO前駆体を焼成して生成 る場合、焼成温度や焼成雰囲気を制御する とで、粒径を制御できる。一般的に、焼成 度は700度程度から1500度程度の範囲で選択で きるが、焼成温度が比較的高い1000度以上に ることで、一次粒径を0.3~2μm程度に制御する ことが可能である。さらに、MgO前駆体を加熱 して結晶粒子92aを得ることにより、生成過程 において、複数個の一次粒子同士が凝集また はネッキングと呼ばれる現象が生じ、結合し た凝集粒子92を得ることができる。

 次に、本発明の実施の形態による保護層 有するPDPの効果を確認するために行った実 結果について説明する。

 まず、構成の異なる保護層を有するPDPを 作した。試作品1は、MgOによる保護層のみを 形成したPDPである。試作品2は、Al、Siなどの 純物をドープしたMgOによる保護層を形成し PDPである。試作品3は、MgOによる下地膜上に 金属酸化物からなる結晶粒子の一次粒子のみ を散布し、付着させたPDPである。試作品4は 本発明の実施の形態品で、MgOによる下地膜 に、上述したように、複数個の結晶粒子を 集させた凝集粒子を全面に亘ってほぼ均一 分布するように付着させたPDPである。なお 試作品3、4において、金属酸化物としては、 MgOの単結晶粒子を用いている。また、この本 発明の実施の形態による試作品4について、 地膜上に付着させた結晶粒子について、カ ードルミネッセンスを測定したところ、図5 示すような特性を有していた。なお、発光 度は相対値で表示している。

 これらの4種類の保護層の構成を有するPDP について、その電子放出性能と電荷保持性能 を調べた。

 なお、電子放出性能は、大きいほど電子 出量が多いことを示す数値で、放電の表面 態及びガス種とその状態によって定まる初 電子放出量をもって表現する。初期電子放 量については表面にイオン、或いは電子ビ ムを照射して表面から放出される電子電流 を測定する方法で測定できるが、パネルの 面板表面の評価を非破壊で実施することが 難を伴う。そこで、特開2007-48733号公報に記 載されているように、放電時の遅れ時間のう ち、統計遅れ時間と呼ばれる放電の発生しや すさの目安となる数値を測定している。そし て、その数値の逆数を積分することで、初期 電子の放出量と線形に対応する数値が算出さ れる。ここではこのようにして算出された数 値を用いて初期電子放出量を評価している。 この放電時の遅れ時間とは、パルスの立ち上 がりから放電が遅れて行われる放電遅れの時 間を意味する。放電遅れは、放電が開始され る際にトリガーとなる初期電子が保護層表面 から放電空間中に放出されにくいことが主要 な要因として考えられている。

 また、電荷保持性能は、その指標として PDPとして作成した場合に電荷放出現象をお えるために必要とする、走査電極に印加す 電圧(以下、「Vscn点灯電圧」と呼称する)の 圧値を用いた。すなわち、Vscn点灯電圧の低 い方が、電荷保持性能が高いことを示す。こ のことは、PDPのパネル設計上でも低電圧で駆 動できるため、利点となる。すなわち、PDPの 電源や各電気部品として、耐圧および容量の 小さい部品を使用することが可能となる。現 状の製品において、走査電圧を順次パネルに 印加するためのMOSFETなどの半導体スイッチン グ素子には、耐圧150V程度の素子が使用され いる。そのため、Vscn点灯電圧としては、温 による変動を考慮し、120V以下に抑えるのが 望ましい。

 これらの電子放出性能と電荷保持性能に いて調べた結果を図6に示している。この図 6から明らかなように、試作品4は、電荷保持 能の評価において、Vscn点灯電圧を120V以下 することができ、しかも電子放出性能は6以 の良好な性能を得ることができる。

 一般的にはPDPの保護層の電子放出性能と 荷保持性能は相反する。例えば、保護層の 膜条件を変更したり、また、保護層中にAl Si、Baなどの不純物をドーピングして製膜す ことにより、電子放出性能を向上すること 可能であるが、副作用としてVscn点灯電圧も 上昇してしまう。

 本発明の実施の形態による保護層を形成 たPDPにおいては、電子放出性能としては、6 以上の特性で、電荷保持性能としてはVscn点 電圧が120V以下のものを得ることができる。 たがって、高精細化により走査線数が増加 、かつセルサイズが小さくなる傾向にある PDPの保護層に対して、電子放出性能と電荷 持性能の両方を満足させることができる。

 ところで、結晶粒子の生成条件によって 各粒子の電子放出性能は異なってしまう。 の原因としては、MgO前駆体を焼成して結晶 子を生成する際の焼成炉内での焼成温度や 囲気の分布が考えられる。上記電子放出性 の指標としては、200nm以上300nm以下の波長領 域のスペクトルのピーク強度値があげられる 。

 各凝集粒子の200nm以上300nm以下の波長領域 のスペクトルのピーク強度値のばらつきが大 きい場合、放電セル間での電子放出性能にば らつきが生じてしまう。このような凝集粒子 を用いて、許容下限以上の電子放出性能、つ まり必要な画質を得るために要求される最低 限の電子放出性能を確保するためには、全体 的に凝集粒子数を増加させるという方法が考 えられる。しかしながら、前面板の保護層と 密接に接触する背面板の隔壁の頂部に相当す る部分に凝集粒子が存在することで、隔壁の 頂部を破損させ、その破損された材料が蛍光 体の上に乗るなどによって、該当するセルが 正常に点灯消灯しなくなる現象が発生するこ とがある。この隔壁破損の現象は、凝集粒子 が隔壁頂部に対応する部分に存在しなければ 発生しにくいことから、付着させる凝集粒子 数が多くなれば、隔壁の破損発生確率が高く なる。

 つまり、隔壁の破損発生確率を悪化させ に、全放電セルにおいて許容下限以上の電 放出性能を確保するためには、各凝集粒子 200nm以上300nm以下の波長領域のスペクトルの ピーク強度値の分布を制御する必要がある。

 ここで、各凝集粒子の200nm以上300nm以下の 波長領域のスペクトルのピーク強度値の分布 が異なる凝集粒子を用いて行った実験結果に ついて説明する。

 図7A、7B、7Cに示すような異なるスペクト の強度分布をもつ凝集粒子を3種類用意した 。累積平均強度値に対する標準偏差の割合、 が、図7Aに示した凝集粒子では25%である。図7 Bに示した凝集粒子では52%である。図7Cに示し た凝集粒子では126%である。ここで、累積平 強度値とは、累積頻度50%となるピーク強度 である。また、標準偏差の割合とは、標準 差を累積平均強度値で割った値である。

 これらの3種類の凝集粒子を用いて、許容 下限の電子放出性能を確保するための凝集粒 子数を測定した。図8に、累積平均強度値に する標準偏差の割合と、許容下限の電子放 性能を確保するために必要な凝集粒子数の 係を示す。この結果より、累積平均強度値 対する標準偏差の割合が小さいほど、凝集 子数が少なくても必要な電子放出性能が得 れることがわかる。ここで、凝集粒子数は 下地膜上の所定の面積内の数を表している

 標準偏差の割合が大きくても、凝集粒子 が増加すれば必要な電子放出性能は得られ 。凝集粒子数が増加させた場合、隔壁の破 発生確率が高くなることから、この影響を べるため、凝集粒子数と隔壁の破損発生確 の関係を調べた結果を図9に示す。この結果 より、凝集粒子数が12より大きくなると、隔 破損の確率が急激に高くなる。しかし、凝 粒子数が12以下であれば、隔壁破損の確率 比較的小さく抑えることができる。

 上記したように、隔壁破損確率を悪化さ ない12以下の凝集粒子数において、必要な 子放出性能を確保するためには、累積平均 度値に対する標準偏差の割合は、図8より80% 下であることが要求される。つまり、凝集 子としては、カソードルミネッセンスにお る200nm以上300nm以下の波長領域のスペクトル のピーク強度値の分布が、累積平均値の240%( 準偏差の3倍:3σ)以内に含まれるものが望ま い。すなわち、カソードルミネッセンスに ける200nm以上300nm以下の波長領域のスペクト ルのピーク強度値の分布が、全凝集粒子の99% 以上が含まれるものであることが望ましい。

 次に、本実施の形態におけるPDPの保護層 用いた結晶粒子の粒径について説明する。 お、以下の説明において、粒径とは平均粒 であり、体積累積平均径(D50)のことを意味 ている。

 図10は、上記図6で説明した本実施の形態 おける試作品4において、MgOの結晶粒子の粒 径を変化させて電子放出性能を調べた実験結 果を示すものである。なお、図10において、M gOの結晶粒子の粒径は、結晶粒子をSEM観察す ことで測長した。

 この図10に示すように、粒径が0.3μm程度 小さくなると、電子放出性能が低くなり、 ぼ0.9μm以上であれば、高い電子放出性能が られることがわかる。

 ところで、隔壁破損発生確率は、上記の うに凝集粒子数が多くなった場合に悪化す 。また、隔壁破損発生確率は、凝集粒子数 同じ場合でも、粒径が大きくなると悪化す 。図11は、上記図6で説明した本実施の形態 おける試作品4において、単位面積当たりに 粒径の異なる同じ数の結晶粒子を散布し、隔 壁破損の関係を実験した結果を示す図である 。

 この図11から明らかなように、粒径が2.5μ m程度に大きくなると、隔壁破損の確率が急 に高くなる。しかし、粒径が2.5μmより小さ れば、隔壁破損の確率は比較的小さく抑え ことができることがわかる。なお、図9の実 においては、粒径をそろえた凝集粒子を用 ている。

 以上の結果に基づくと、本実施の形態に けるPDPにおける保護層においては、凝集粒 として、粒径が0.9μm以上2.5μm以下のものが ましいと考えられる。しかし、PDPとして実 に量産する場合には、結晶粒子の製造上で ばらつきや保護層を形成する場合の製造上 のばらつきを考慮する必要がある。

 このような製造上でのばらつきなどの要 を考慮するために、粒度分布の異なる結晶 子を用いて実験を行った。図12は本発明の 施の形態によるPDPにおいて、凝集粒子の粒 分布の一例を示す特性図である。縦軸の頻 (%)は、横軸に示されている凝集粒子の粒径 範囲を分割し、それぞれの範囲に存在する 集粒子の量の全体に対する割合(%)を示して る。実験の結果、図12に示すように、平均粒 径が0.9μm以上2μm以下の範囲にあり、さらに 各凝集粒子の、カソードルミネッセンスに ける200nm以上300nm以下の波長領域のスペクト のピーク強度値の分布が、累積平均値の240% 以内に、含まれるものが望ましい。すなわち 、カソードルミネッセンスにおける200nm以上3 00nm以下の波長領域のスペクトルのピーク強 値の分布において、付着させた全凝集粒子 99%以上が含まれる凝集粒子を使用すれば、 述した本実施の形態における効果を安定的 得られることがわかった。

 以上のように本実施の形態における保護 を形成したPDPにおいては、電子放出性能と ては、6以上の特性で、電荷保持性能として はVscn点灯電圧が120V以下のものを得ることが きる。すなわち、高精細化により走査線数 増加し、かつセルサイズが小さくなる傾向 あるPDPの保護層として、電子放出性能と電 保持性能の両方を満足させることができる これにより高精細で高輝度の表示性能を備 、かつ低消費電力のPDPを実現することがで る。

 次に、本実施の形態におけるPDPにおいて 保護層を形成する製造ステップについて、 13を用いて説明する。

 図13に示すように、第1誘電体層81と第2誘 体層82との積層構造からなる誘電体層8を形 する誘電体層形成ステップA1を行う。その 、次の下地膜蒸着ステップA2において、アル ミニウム(Al:Aluminium)を含むMgOの焼結体を原材 とした真空蒸着法によって、誘電体層8の第 2誘電体層82上にMgOからなる下地膜を形成する 。

 その後、下地膜蒸着ステップA2において 成した未焼成の下地膜上に、複数個の凝集 子を離散的に付着させる凝集粒子ペースト 形成ステップA3を行う。

 このステップA3においては、まず、所定 粒度分布を持つ凝集粒子92を樹脂成分ととも に溶剤に混合した凝集粒子ペーストを作成し 、その凝集粒子ペーストをスクリーン印刷法 などの印刷により、未焼成の下地膜上に塗布 して凝集粒子ペースト膜を形成する。なお、 凝集粒子ペーストを未焼成の下地膜上に塗布 して凝集粒子ペースト膜を形成するための方 法として、スクリーン印刷法以外に、スプレ ー法、スピンコート法、ダイコート法、スリ ットコート法等も用いることができる。

 この凝集粒子ペースト膜を形成した後、 集粒子ペースト膜を乾燥させる乾燥ステッ A4を行う。

 その後、下地膜蒸着ステップA2において 成した未焼成の下地膜と、凝集粒子ペース 膜形成ステップA3において形成し、乾燥ステ ップA4を実施した凝集粒子ペースト膜とを、 成ステップA5において、数百度の温度で同 に加熱焼成する。この焼成ステップA5におい て、凝集粒子ペースト膜に残っている溶剤や 樹脂成分を除去することにより、下地膜91上 金属酸化物からなる複数個の結晶粒子92aが 集した凝集粒子92を付着させた保護層9を形 することができる。

 この方法によれば、下地膜91に複数個の 集粒子92を全面に亘って均一に分布するよう に付着させることが可能である。

 なお、このような方法以外にも、溶媒な を用いずに、粒子群を直接にガスなどと共 吹き付ける方法や、単純に重力を用いて散 する方法などを用いてもよい。

 なお、以上の説明では、保護層として、MgO 例に挙げたが、下地に要求される性能はあ までイオン衝撃から誘電体を守るための高 耐スパッタ性能を有することであり、あま 電子放出性能が高くなくてもよい。従来のP DPでは、一定以上の電子放出性能と耐スパッ 性能という二つを両立させるため、MgOを主 分とした保護層を形成する場合が非常に多 った。しかし、電子放出性能が金属酸化物 結晶粒子によって主に制御される構成を取 ため、MgOである必要は全くなく、Al 2 O 3 等の耐衝撃性に優れる他の材料を用いても構 わない。

 また、本実施例では、単結晶粒子としてM gO粒子を用いて説明したが、この他の単結晶 子でもよい。すなわち、MgO同様に高い電子 出性能を持つSr,Ca,Ba,Al等の金属の酸化物に る結晶粒子を用いても同様の効果を得るこ ができる。したがって、粒子種としてはMgO 限定されるものではない。

 以上のように本発明は、高精細で高輝度 表示性能を備え、かつ低消費電力のPDPを実 する上で有用な発明である。