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Patent Searching and Data


Title:
PLASMA DISPLAY PANEL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/141983
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a PDP, which is enabled to realize an excellent image displaying performance by exhibiting an excellent luminous efficiency equivalent to or higher than that of the prior art while suppressing the rise of a discharge voltage in the PDP having a highly fine or ultra-highly fine cell structure.  The PDP (1) comprises display electrodes (4 and 5) constituted, in combination, of band-shaped transparent electrodes (41 and 51) and bus electrodes (42 and 52).  The transparent electrodes (41 and 51) have an electrode gap (d) set within a range of 5 µm to 60 µm, and the ratio occupied in a discharge cell area by transparent electrodes (41 and 51) is set within a range of 0.6 to 0.92.  The product (Pd) of the whole pressure (P) of a discharge gas and the electrode gap (d) is set within a range of 13.33 Pa·cm to 133.3 Pa·cm.  The discharge gas is composed of 100 % of Xe, and has its whole pressure (P) set within a range of 2.0 kPa to 53.3 kPa.  As a result, the discharge starting length is adjusted to be longer than the electrode gap (d).

Inventors:
YANAGAWA HIROTO
YAMAKITA HIROYUKI
HASHIMOTODANI KIYOSHI
OKADA KEISUKE
Application Number:
PCT/JP2009/002138
Publication Date:
November 26, 2009
Filing Date:
May 15, 2009
Export Citation:
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Assignee:
PANASONIC CORP (JP)
YANAGAWA HIROTO
YAMAKITA HIROYUKI
HASHIMOTODANI KIYOSHI
OKADA KEISUKE
International Classes:
H01J9/02; H01J11/12; H01J11/24; H01J11/32
Domestic Patent References:
WO2007086105A12007-08-02
Foreign References:
JP2002083543A2002-03-22
JP2003114641A2003-04-18
JP2004087165A2004-03-18
JP2001084906A2001-03-30
JPH11149873A1999-06-02
JP2004087164A2004-03-18
JP2001076630A2001-03-23
Attorney, Agent or Firm:
NAKAJIMA, Shiro et al. (JP)
Shiro Nakajima (JP)
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Claims:
 表示電極対が複数対にわたり配設された第一基板が、放電空間を挟んで第二基板と対向して配置され、第一基板と第二基板の間に放電ガスが封入され、表示電極の延伸方向に沿って複数の放電セルが配設されたプラズマディスプレイパネルであって、
 表示電極は帯状であり、
 放電セル面積中の表示電極の占有面積が0.6以上0.92以下であって、
 表示電極対中における電極間隙が5μm以上60μm以下に設定されている
 プラズマディスプレイパネル。
 一の表示電極対と、これに隣接する表示電極対との間において、隣り合う電極同士の電位が同電位に設定されている
 請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
 前記放電ガスの全圧と電極ギャップの積が13.33Pa・cm以上、133.3Pa・cm以下であり、
 放電ガスの全圧が2.0kPa以上53.3kPa以下である
 請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
 放電ガスのXe分圧が80%以上である
 請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
 放電ガスが100%のXeである
 請求項4に記載のプラズマディスプレイパネル。
 さらに、第一基板には前記表示電極を被覆するように、膜厚が20μm以下に設定された誘電体層が配設されている
 請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
 誘電体層の比誘電率が2以上5以下である
 請求項6に記載のプラズマディスプレイパネル。
 誘電体層はSiO 2 を含んでなり、真空プロセスにより形成されたものである
 請求項6に記載のプラズマディスプレイパネル。
 放電セルはストライプ状の複数の隔壁によって区画されており、
 互いに対向して隣接する隔壁のピッチが、50μm以上120μm以下である
 請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
 第一基板表面に、表示電極対を複数対にわたり形成する電極形成ステップと、
 第一基板表面に、前記表示電極対を覆うように誘電体層と保護層とを順次形成した後、
 表面にデータ電極及び隔壁、並びに蛍光体層を形成した第二基板とを対向配置させ、表示電極対とデータ電極とが立体交差する領域に放電セルを形成するプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
 前記電極形成ステップでは、表示電極対の電極ギャップを5μm以上60μm以下に設定するとともに、ディスプレイ面を見下ろしたときの放電セル面積に占める表示電極面積の割合が0.6以上0.92以下となるように表示電極を形成する
 プラズマディスプレイパネルの製造方法。
 電極形成ステップでは、第一基板表面に形成した透明電極膜をパターニングする工程を有し、
 当該工程では、表示電極対の少なくとも電極ギャップに相当する領域の透明電極膜をレーザー加工で除去し、
 前記領域以外の領域におけるパターニングをウエットエッチングにより行う
 請求項10に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
 表示電極対が複数対にわたり配設された第一基板が、放電空間を挟んで第二基板と対向して配置され、第一基板と第二基板の間に放電ガスが封入され、表示電極の延伸方向に沿って複数の放電セルが配設されたプラズマディスプレイパネルであって、
 表示電極対における放電開始点が、当該一対をなす各表示電極の少なくともいずれかの上に重なっている
 プラズマディスプレイパネル。
 駆動時における放電開始長が、表示電極対の最小の電極ギャップよりも広い
 請求項12に記載のプラズマディスプレイパネル。
 前記放電ガスの全圧と電極ギャップの積が13.33Pa・cm以上、133.3Pa・cm以下である
 請求項12に記載のプラズマディスプレイパネル。
 放電ガスの全圧が2.0kPa以上53.3kPa以下、電極ギャップが5μm以上60μm以下である
 請求項14に記載のプラズマディスプレイパネル。
 前記放電ガスのXe分圧が80%以上である
 請求項12に記載のプラズマディスプレイパネル。
 前記放電ガスが100%のXeである
 請求項16に記載のプラズマディスプレイパネル。
 表示電極の各々は、放電セル内において前記延伸方向に延伸された基部と、基部の側面から前記電極ギャップに突出するように接続して配設された突出部とを有し、
 表示電極対における各表示電極は、放電セル内で互いの突出部を対向させて配設されている
 請求項12に記載のプラズマディスプレイパネル。
 表示電極対において、一方の表示電極の突出部の他方の表示電極に対向する先端部分における、前記延伸方向に沿った幅が、当該突出部が基部と接続する部分における、前記延伸方向に沿った幅よりも広い
 請求項18に記載のプラズマディスプレイパネル。
 表示電極対において、互いの対向する突出部同士のギャップが5μm以上30μm以下である
 請求項18に記載のプラズマディスプレイパネル。
 表示電極対において、互いの対向する基部同士のギャップが100μm以上300μm以下である
 請求項18に記載のプラズマディスプレイパネル。
 放電セル内において、前記突出部の電極面積は、前記基部の電極面積の1/10以下である
 請求項18に記載のプラズマディスプレイパネル。
 さらに、第一基板には前記表示電極を被覆するように、膜厚が20μm以下に設定された誘電体層が配設されている
 請求項12に記載のプラズマディスプレイパネル。
 前記誘電体層の比誘電率が2以上5以下である
 請求項23に記載のプラズマディスプレイパネル。
 前記誘電体層はSiO 2 を含んでなり、真空プロセスにより形成されたものである
 請求項23に記載のプラズマディスプレイパネル。
 各々の放電セルはストライプ状の複数の隔壁によって区画されており、
 互いに対向して隣接する隔壁のピッチが、50μm以上120μm以下である
 請求項12に記載のプラズマディスプレイパネル。
Description:
プラズマディスプレイパネル

 本発明はテレビジョン等に使用されるプ ズマディスプレイパネルに関し、特に表示 極の改良技術に関する。

 近年、家庭用テレビ受像機の大画面化に い、旧来のCRT(Cathode Ray Tube)装置に変わる 型の表示装置が急速に普及している。薄型 画面を実現する表示装置として、液晶ディ プレイとならんで現在の主流となっている が、各画素に相当する微小なセル内部に放 プラズマを生じさせ、そこから発生する紫 線を蛍光体で可視光に変換することで発光 示を行うプラズマディスプレイパネル(以下P DPと称する)である。

 PDPの代表的な構成は面放電AC型と呼ばれ 。このPDPは、一般的には表面に表示電極対( 査電極と維持電極)が複数対にわたり配設さ れ、これを覆うように誘電体層、保護層が順 次積層されたフロントパネルに対し、表面に 複数のアドレス(データ)電極が配設され、こ を覆う誘電体層と複数の隔壁(リブ)、並び 隣接隔壁間にRGB各色の蛍光体層とが配設し バッグパネルを、一定間隔をおいて対向配 させ、両パネルの周囲を封止して構成され 。フロントパネルおよびバッグパネルには ラス基板が用いられる。両パネル間の内部 間はプラズマ放電のための放電空間であり 当該空間にキセノン(以下、「Xe」と表記す )等の所定の希ガス成分を含む放電ガスが充 される。そして表示電極対と一本のアドレ 電極の交差相当領域に対応して、パネル全 に複数の放電セルが配設される。

 PDPの駆動時には、表示電極対に電圧印加 、放電空間内の放電ガス中でプラズマ放電 発生させる。この放電により生じた電荷は 電荷として放電セル内に蓄積し、各電極の 位を相殺する。放電は電圧印加時にパルス に発生し、放電セル内に蓄積された壁電荷 よる電界は、印加電圧の電位が反転した際 印加電圧と同極性に重畳され、放電維持に 要な印加電圧が低減される。このような壁 荷を制御することで、放電セルのON/OFF選択 可能となる。

 従来の一般的なPDPについては、封入ガス をP、表示電極対の電極ギャップをdとする き、そのPd積と放電電圧との間に相関関係( ッシェンの法則)が成立することが知られて る(「電子ディスプレイデバイス」、オーム 社、昭和59年、P.113~114)。PDPの設計をする際に は、この法則を表した関数曲線(最小値を持 放物線状の曲線である、いわゆるパッシェ 曲線)を用い、表示電極の電極ギャップと放 ガスの全圧について、放電効率及び放電電 に最適な設定が行われている。パッシェン 線の最小値(パッシェンミニマム)を示すPd積 値よりも大きい値では、発光効率が増加し、 逆にパッシェンミニマム近傍を示すPdでは放 開始電圧の低減が優先される。従って、実 にはいずれかの特性を優先するトレードオ を考慮した設定が行われ、一般に放電開始 圧の上昇を許容しながら、効率を向上させ ように設定されたPDPが商品化されている。

 そこで、例えば特許文献1には、表示電極 対の間に補助電極を配設し、放電開始時には 走査電極と補助電極の小さいギャップにおい て、低電圧で放電開始し、その後、表示電極 対の電極ギャップで維持放電させる構成が開 示されている。これにより特許文献1のPDPで 、低電圧駆動と高効率の両立効果をねらっ いる。

特開2004-214200号公報

特開平11-149873号公報 『画素ピッチ0.3mm超高精細AC型PDPの開発  石井啓二(NHK技術研究所)他EID2006-62

 しかしながら、特許文献1に記載された技 術では、一定の効果は得られるものの、駆動 電圧の低減と高効率のいずれの効果も十分に 発揮されているとは言い難い。さらに、実際 上は電極構成が複雑化し、製造コストの増加 や歩留まりの問題を誘発するなどの他の問題 も生じうる。

 また、非特許文献1に記載の技術に基づい て、単に電極ギャップを大きくした場合には 、発光効率の向上とともに放電開始電圧が上 昇してしまい、PDP(特に回路部)の消費電力が 大、回路部品のコストが増加するという新 な問題を生じる。

 また、近年では地上波でのデジタルハイ ジョン放送など、高品位なテレビジョン放 の普及に伴い、PDPを含めた表示装置の高精 化、超高精細化の要請がある。ここで言う 高精細パネルは、セルサイズの短辺長が100 m以下になる。このようなディスプレイの高 細化、超高精細化は必然的に放電セル数の 大と放電セルサイズの小寸法化を伴うが、P DPの放電セルを単に小型化するだけでは、放 電圧の上昇と輝度、発光効率の低下を生ず おそれがある。例えば、パネル規格をHDか フルHDに高精細化した場合、放電電圧は20~40V にわたって上昇する。

 そのため、上記した従来技術では電圧低 効果が不十分であり、PDPの商品競争力を高 るためにはさらなる電圧低減が望まれる。

 以上のように現在のPDPでは、未だ解決す き余地が存在する。

 本発明は上記課題に鑑みてなされたもの あって、特に高精細、または超高精細なセ 構造を有するPDPにおいて放電電圧の上昇を 制しつつ、低い放電ガスの全圧においても 来と同等以上の良好な発光効率を発揮する とにより、優れた画像表示性能を実現しう PDPを提供することを目的とする。

 上記課題を解決するために、本発明は、 示電極対が複数対にわたり配設された第一 板が、放電空間を挟んで第二基板と対向し 配置され、第一基板と第二基板の間に放電 スが封入され、表示電極の延伸方向に沿っ 複数の放電セルが配設されたプラズマディ プレイパネルであって、表示電極は帯状で り、放電セル面積中の表示電極の占有面積 0.6以上0.92以下であって、表示電極対中にお ける電極間隙が5μm以上60μm以下に設定されて いる構成とした。

 ここで、一の表示電極対と、これに隣接 る表示電極対との間において、隣り合う電 同士の電位が同電位に設定されている構成 することもできる。

 また、前記放電ガスの全圧と電極ギャップ 積が13.33Pa・cm以上、133.3Pa・cm以下であり、 電ガスの全圧が2.0kPa以上53.3kPa以下である構 成とすることもできる。
放電ガスは、Xe分圧が80%以上のものとするこ もできる。或いは放電ガスを100%Xeで構成す こともできる。

 さらに、第一基板には前記表示電極を被 するように、膜厚が20μm以下に設定された 電体層が配設された構成としてもよい。誘 体層の比誘電率は、2以上5以下が好適である 。

 誘電体層はSiO 2 を含むように、真空プロセスで形成すること もできる。

 放電セルはストライプ状の複数の隔壁に って区画するようにし、互いに対向して隣 する隔壁のピッチを、50μm以上120μm以下に 定することもできる。

 また本発明は、第一基板表面に、表示電 対を複数対にわたり形成する電極形成ステ プと、第一基板表面に、前記表示電極対を うように誘電体層と保護層とを順次形成し 後、表面にデータ電極及び隔壁、並びに蛍 体層を形成した第二基板とを対向配置させ 表示電極対とデータ電極とが立体交差する 域に放電セルを形成するプラズマディスプ イパネルの製造方法であって、前記電極形 ステップでは、表示電極対の電極ギャップ 5μm以上60μm以下に設定するとともに、ディ プレイ面を見下ろしたときの放電セル面積 占める表示電極面積の割合が0.6以上0.92以下 となるように表示電極を形成するものとした 。

 ここで、電極形成ステップでは、第一基 表面に形成した透明電極膜をパターニング る工程を有し、当該工程では、表示電極対 少なくとも電極ギャップに相当する領域の 明電極膜をレーザー加工で除去し、前記領 以外の領域におけるパターニングをウエッ エッチングにより行うこともできる。

 また、本発明は、表示電極対が複数対に たり配設された第一基板が、放電空間を挟 で第二基板と対向して配置され、第一基板 第二基板の間に放電ガスが封入され、表示 極の延伸方向に沿って複数の放電セルが配 されたプラズマディスプレイパネルであっ 、表示電極対における放電開始点が、当該 対をなす各表示電極の少なくともいずれか 上に重なっている構成とした。

 ここで、駆動時における放電開始長が、 示電極対の最小の電極ギャップよりも広い 成とすることもできる。

 前記放電ガスの全圧と電極ギャップの積 、13.33Pa・cm以上、133.3Pa・cm以下が望ましい また、放電ガスの全圧が2.0kPa以上53.3kPa以下 、電極ギャップが5μm以上60μm以下であること が好適である。

 放電ガスは、Xe分圧が80%以上であること 望ましく、さらには100%Xeで構成することが 適である。

 また表示電極の各々は、放電セル内にお て前記延伸方向に延伸された基部と、基部 側面から前記電極ギャップに突出するよう 接続して配設された突出部とを有し、表示 極対における各表示電極は、放電セル内で いの突出部を対向させて配設することもで る。この場合、表示電極対において、一方 表示電極の突出部の他方の表示電極に対向 る先端部分における、前記延伸方向に沿っ 幅が、当該突出部が基部と接続する部分に ける、前記延伸方向に沿った幅よりも広い 成が望ましい。また、表示電極対において 互いの対向する突出部同士のギャップを5μm 以上30μm以下とするのが好適である。表示電 対において、互いの対向する基部同士のギ ップは100μm以上300μm以下に設定することが ましい。

 放電セル内における前記突出部の電極面 としては、前記基部の電極面積の1/10以下と することが望ましい。

 また、さらに、第一基板には前記表示電極 被覆するように、膜厚が20μm以下に設定さ た誘電体層を配設することもできる。この 合、前記誘電体層の比誘電率を2以上5以下に 設定することができる。この誘電体層は、SiO 2 を含むように、真空プロセスで形成すること ができる。

 また、各々の放電セルをストライプ状の 数の隔壁で区画するとともに、互いに対向 て隣接する隔壁のピッチを50μm以上120μm以 に設定することもできる。

 上記課題に鑑みて本願発明者らが鋭意検 した結果、PDPにおいて所定の微細な放電セ を形成し、比較的低い全圧の放電ガスを用 た場合、放電セル内の表示電極対によって 生する放電は、電極間の最小ギャップでは く、放電開始電圧が最小となる放電開始長 して自然に発生することが見出された。

 本発明は、このような知見に基づいて電 ギャップ並びに放電ガスの全圧、並びに放 セル面積中の表示電極の占有面積を設定す ものであり、これにより放電開始電圧を低 し、特に高精細セルまたは超高精細セルを するPDPの消費電力を低減できる。

 また、放電中の電子エネルギー(電界強度 /放電ガス圧の比に比例する)の低減によりXe 励起効率が向上され、紫外線発生効率が向 されるので、結果的に発光効率の向上も期 できる。本発明では、この2つの効果によっ 、PDPの消費電力を低減することができる。

 従来のPDPにおいて、単に電極ギャップを 干小さくするだけの設計では、放電パスの 小に伴い、放電中の電極降下部の占める割 が増加し、発光効率が低下する問題がある この問題は、放電開始電圧の低減効果より 深刻になる。

 これに対し本発明では、電極ギャップを 分に小さく設定するとともに、表示電極上 放電開始点とする放電を発生させることで 放電開始時に放電パスが短くなるような放 ではなく、放電パスが自然に決まるため、 電がフロントパネルから離れ、フロントパ ルへの荷電粒子拡散による放電損失が低減 れ、発光効率の低下を効果的に防止できる

 さらに、上記した帯状の表示電極を有す 本発明のPDPでは、放電セル面積中の表示電 の占有面積を十分に広く設定しているため いったん放電開始した後に形成されるメイ 放電の放電パスはほぼ放電セルの長辺ピッ 全体にわたり、非常に長くなる。その結果 メイン放電の規模を放電セル全体程度まで 大させることができるので、従来構造と同 もしくはそれ以上の発光効率が期待できる

 このように本発明では、従来に比べて遜 ない発光効率を維持することで消費電力の 減でき、放電電圧も低減できるため、両効 の両立が期待できるようになっている。

 ここで、本発明のPDPを得るためには、一 的な放電セルサイズのPDPを用いて算出した ッシェン曲線(以下、「仮想的なパッシェン 曲線」と称する。)の最小値を示すPd積よりも 小さいPd値になるように、高精細セルまたは 高精細セルを有するPDPにおいて、適切に放 ガス圧と電極ギャップdを減少させた場合が 挙げられる。この場合は、放電開始長が一対 の表示電極の最小ギャップと一致しなくなり 、且つ、その放電開始長が放電開始電圧が最 少となる長さ(すなわち、パッシェン曲線の 小値を示すPd積値に対応する長さ)に設定さ る。このとき、一対の表示電極対における 電開始点は、当該一対をなす各表示電極の なくともいずれかの上に重なるので、放電 始長が表示電極対の最小の電極ギャップよ も広くなる。このときの放電開始長は、放 開始電圧が最小となる長さとして、自動的 定まったものである。

 このような効果が得られる理由として、 のことが考えられる。

 従来の一般的なセルサイズを持つPDPでは 放電特性においてパッシェン曲線のパラメ タであるP(放電ガス圧)とd(放電ギャップ)が 配的となる。これに対し、高精細セルまた 超高精細セルを持つPDPでは、その性質上、 電セル中の壁電荷が少量しか存在しない。 のためパッシェン曲線の上記パラメータよ も壁電荷量が放電特性において支配的にな と考えられる。このような高精細セルまた 超高精細セルを持つPDPでは、表示電極の電 ギャップdを小さくするとともに、当該電極 の幅をできるだけ広くして壁電荷を確保する ことが重要となる。

 本発明では、このような工夫により、主 して微細セル等を有するPDPにおいて、壁電 を豊富に確保することで高効率と低電圧駆 の両立を実現したものである。

 尚、本発明で「放電開始長」とは、ディ プレイ面に垂直な方向から放電セルを見下 した場合における、一方の表示電極上の放 開始点と、他方の表示電極での放電開始点 の間の距離を指す。

 このような仮想的なパッシェン曲線の最 値を示すPd積よりも小さいPd積の範囲では、 放電ガス圧、放電ガス種、放電セルサイズの 調整を或程度自由に行うことが可能であり、 いずれの設定値でも放電開始電圧が最小とな る放電開始長が決められる。このため、駆動 時におけるPDPの放電開始電圧を効率よく低減 でき、優れた消費電力の低減効果が発揮され る。

 さらに本発明は、放電の起点と終点が電 ギャップの位置に依存しないため、PDPの放 時には放電パスがフロントパネル側から離 る形態になり、荷電粒子の損失が軽減され 。従って、放電空間では豊富な荷電粒子が 在するようになるので、これを利用して従 と遜色ない程度、またはそれ以上の発光効 が発揮される。このように良好な発光効率 維持されることについては、本願発明者ら 行った実験で確認されている。

 また、本発明のPDPでは、従来に比べて長 命化も期待できる。PDPの寿命は、主として 電により保護層がスパッタされて摩耗する とで決まるが、従来のPDPでは放電は表示電 対の電極間隙側の側部で開始されるため、 の部分に対応する保護層が比較的激しくス ッタされる。一方、本発明では、放電開始 は放電開始電圧が最小となる位置に選択さ るほか、放電経路がフロントパネルから遠 かるように膨出して形成される。このため 発明では、局所的なスパッタによる保護層 損傷が低減でき、結果的にPDPの寿命向上が 待できるものである。

 なお、さらなる本発明の効果として、商 化時の設定電圧を低減でき、また同時に表 品質の向上も期待できる。従来のPDPでは、 電は表示電極対の対向間隙で開始されるた 、電極ギャップにおいて加工精度がバラツ を生じると、各放電セル間での放電電圧が なる問題がある。これに対し本発明では、 記の通り放電開始点が電極ギャップとは無 係に設定されるため、たとえ電極ギャップ バラツキがあっても、放電開始電圧が安定 ている。この効果は、特に高い加工精度が められる高精細セルまたは超高精細セルを するPDPにおいて有効に発揮されるものであ 。

 なお、本発明で言及する「高精細セル」 「超高精細セル」とは、セルサイズの短辺 が同順に約160μm以下、約100μm以下程度のセ を指す。本発明は、特にこのような微細な ル構造を有するPDPにおいて有効である。

本発明の実施の形態1に係るAC型のPDPの 成を示す模式図である。 各電極とドライバとの関係を示す模式 である。 PDPの駆動波形例を示す図である。 実施の形態1の表示電極の構成を示す上 面図である。 従来の表示電極の構成を示す上面図で る。 実施例の電圧低減効果を示すグラフで る。 従来及び実施の形態1の各PDPにおける、 放電発生初期の様子を示す模式的な断面図で ある。 実施の形態2の表示電極の構成を示す上 面図である。 実施の形態3の表示電極の構成を示す上 面図である。 実施の形態4の表示電極の構成を示す 面図である。 実施の形態5の表示電極の構成を示す 面図である。 実施の形態6の表示電極の構成を示す 面図である。 従来の表示電極の構成を示す上面図で ある。 各種放電ガスを用いたPDPの測定結果で 得られたパッシェン曲線を示すグラフである 。 放電開始電圧、発光効率及び電極ギャ ップとの関係を示すグラフである。 実施例の電圧低減効果を示すグラフで ある。 実施例と比較例の放電初期の表示電極 付近の様子を示す写真である。 パッシェン曲線の一例を示すグラフで ある。 一般的なセルサイズと高精細セルサイ ズの比較を説明するための図である。

 以下に、本発明の各実施の形態を説明す 。しかしながら本発明はこれらの実施形式 限定されるものではなく、その技術的範囲 逸脱しない範囲で適宜変更して実施するこ ができる。

 <実施の形態1>
 図1は、本発明の実施の形態1に係るPDP1の構 を示す部分的な模式図である。当該PDP1は、 放電ガス及び表示電極の構成に主たる特徴を 有する。

 PDP1は、ここでは高精細セル構造を有する HD(High Definition)パネル規格で作製されている この規格を例示すれば、パネルサイズが37 42、50インチの各サイズの場合、同順に1024×7 20(画素数)、1024×768(画素数)、1366×768(画素数) 設定できる。そのほか、当該HDパネルより さらに高精細、超高精細な高解像度パネル 含めることができる。HD以上の解像度を有す るパネルとしては、1920×1080(画素数)を備える フルHDパネルを含めることができる。一方、 常のNTSC仕様のAC型に適用したり、XGAやSXGA等 の仕様に適用することもできる。

 図1に示すように、PDP1の構成は互いに主 を対向させて配設された第一基板(フロント ネル2)および第二基板(バックパネル9)に大 される。

 フロントパネル2の基板となるフロントパネ ルガラス3には、その一方の主面に所定の電 ギャップをおいて配設された表示電極対6(走 査電極5、維持電極4)が複数対にわたり形成さ れている。各表示電極対6は、酸化インジウ 錫(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化錫(SnO 2 )等の透明導電性材料からなる帯状の透明電 51、41(厚さ0.1μm、幅150μm)に対して、Ag厚膜( み2μm~10μm)、Al薄膜(厚み0.1μm~1μm)またはCr/Cu/ Cr積層薄膜(厚み0.1μm~1μm)等からなるバス電極 52、42(厚さ1μm、幅30μm)が積層されてなる。こ のバス電極52、42によって透明電極51、41のシ ト抵抗が下げられる。

 「厚膜」とは、導電性材料を含むペース 等を塗布した後に焼成して形成する各種厚 法により形成される膜をいう。また、「薄 」とは、スパッタリング法、イオンプレー ィング法、電子線蒸着法等を含む、真空プ セスを用いた各種薄膜法により形成される をいう。

 ここで図4は、放電セル20内の表示電極4、 5のXY平面に沿った上面図である。図中、点線 で囲った領域が放電セル20の内部に対応して り、ディスプレイ面を見下ろしたときの放 セル面積を表している。透明電極41、51は、 透明電極の延伸方向(Y方向)に平行な帯状体と して構成されている。透明電極41、51の対向 ャップが表示電極4、5の電極ギャップd(d1)と っている。d(d1)は、5μm以上60μm以下の範囲 設定される。このようにPDP1の電極ギャップd は従来のPDPに比べて非常に狭く設定されてい るが、これは電界集中による電圧低減効果を 向上させる目的による。

 さらに、本実施の形態1の特徴として、放 電セル面積中に占める表示電極41、51の面積 割合が0.6以上0.92以下に設定されており、従 に比べて非常に広い電極面積を確保する構 となっている。これは言い換えると、放電 ル20のX方向セルピッチが150μmの場合、放電 ル20中の透明電極41、51の合計幅が90μm以上13 8μm以下であり、放電セル20のX方向セルピッ が360μmの場合、前記合計幅が216μm以上331.2μm 以下であることを指す。

 なお、このような表示電極4、5のパター ングは、後述するようにフォトエッチング や印刷法等のほか、レーザー加工で形成す ことができる。

 表示電極対6を配設したフロントパネルガラ ス3には、その主面全体にわたり、厚み20μm以 下の酸化ケイ素(SiO 2 )からなる誘電体層7が、CVD法等のいわゆる薄 形成法で形成されている。誘電体層7は、AC PDP特有の電流制限機能を有し、DC型PDPに比 て長寿命化を実現する要素になっている。Si O 2 からなる誘電体層7を用いれば、電極ギャッ dを小さくした場合でも、当該電極ギャップd 間での誘電体層7の絶縁破壊を抑制できる。 って、高い信頼性を確保しながら放電電圧 低減できるメリットがある。

 誘電体層7の比誘電率としては、2以上5以 に設定するのが望ましい。これにより、誘 体層7厚みを20μm以下にした場合でも電荷密 (=比誘電率/誘電体厚み)を低減でき、発光効 率を良好に確保できる。

 なお誘電体層7は、SiO 2 のほか、酸化鉛(PbO)または酸化ビスマス(Bi 2 O 3 )または酸化燐(PO 4 )を主成分とする低融点ガラス(厚み35μm)を用 、スリートコーター法、スクリーン印刷法 ゾルゲル法等によっても形成できるが、駆 時の絶縁破壊及び透明性の確保の点、及び 密な層構造を形成する目的から、上記のよ に薄膜形成法(真空プロセス)でSiO 2 からなる誘電体層7を所定の厚みで形成する が望ましい。SiO 2 からなる誘電体層7を用いれば、電極ギャッ dを小さくした場合でも、当該電極ギャップd 間の絶縁破壊の発生を抑制できる。従って、 高い信頼性を確保しながら放電電圧を低減で きるメリットがある。

 誘電体層7の放電空間15側の面には保護層8 が配設される。保護層8は、放電時のイオン 撃から誘電体層7を保護し、放電開始電圧を 減させるための薄膜であって、耐スパッタ 及び2次電子放出係数γに優れるMgO材料から り、誘電体層7上に真空蒸着法、イオンプレ ーティング法等公知の薄膜形成法で厚さ約1μ mの範囲で成膜される。なお、保護層8の材料 MgOに限らず、MgO、CaO、BaO及びSrOの群より選 れた少なくとも一つの金属酸化物を含むよ に構成することもできる。

 バックパネル9の基板となるバックパネル ガラス10には、その一方の主面に、Ag厚膜(厚 2μm~5μm)、Al薄膜(厚み0.1μm~1μm)またはCr/Cu/Cr 層薄膜(厚み0.1μm~1μm)等のいずれかからなる データ電極11が、幅40μmで、X方向を長手方向 してY方向に一定のピッチ(50μm以上120μm以下 )でストライプ状に並設される。そして、各 のデータ電極11を内包するように、バックパ ネルガラス9の全面にわたって、厚さ10μmの誘 電体層12が配設されている。

 誘電体層12の上には、さらに隣接するデ タ電極11のギャップに合わせて井桁状の隔壁 13(高さ約90μm、幅40μm)が配設され、放電セル 区画されることで誤放電や光学的クロスト クの発生を防ぐ役割をしている。このうち ータ電極11と平行な隔壁13のピッチ(互いに 向して隣接するピッチ)は、前記データ電極1 1のピッチと同様である。

 隣接する2つの隔壁13の側面とその間の誘電 層12の面上には、カラー表示のための赤色(R )、緑色(G)、青色(B)のいずれかの色に対応す 蛍光体層14が形成されている。各種蛍光体の 組成は、青色蛍光体(B)には、既知のBAM:Eu、赤 色蛍光体(R)には(Y、Gd)BO 3 :EuやY 2 O 3 :Eu等、緑色蛍光体(G)にはZn 2 SiO 4 :Mn、YBO 3 :Tbおよび(Y、Gd)BO 3 :Tb等が利用できる。

 なお、誘電体層12は必須ではなく、デー 電極11を直接蛍光体層14で内包するようにし もよい。

 フロントパネル2とバックパネル9は、デ タ電極11と表示電極対6の互いの長手方向が 交するように対向配置され、両パネル2、9の 外周縁部がガラスフリットで封着されている 。この両パネル2、9間には高い発光効率の発 を目的として、Xe100%の放電ガスが所定のガ 圧で封入されている。なお、放電ガスとし はその他、He、Xe、Ar、Kr、Neの1種以上を含 た放電ガスを利用できるが、高効率を得る 点から、分圧80%以上のXeを用いることが好適 である。

 隔壁13の間は放電空間15であり、隣り合う 一対の表示電極対6と1本のデータ電極11が放 空間15を挟んで交叉する領域に対応して、図 中の点線のように、マトリクス状に放電セル (「サブピクセル」とも言う)20が多数設けら ている。放電セルピッチはX方向が150μm以上3 60μm以下、Y方向が50μm以上120μmである。隣り うRGBの各色に対応する3つの放電セル(20R、20 G、20B)で正方形の1画素(この場合、一辺が150μ m~360μm)が構成される。

 走査電極5、維持電極4及びデータ電極11の 各々には、図2に示すようにパネルXY方向端部 付近において、駆動回路として走査電極ドラ イバ111、維持電極ドライバ112、データ電極ド ライバ113が電気的に接続される。ここで、維 持電極4は一括して維持電極ドライバ112に接 され、各走査電極5と各データ電極11は、そ ぞれ独立して走査電極ドライバ111或いはデ タ電極ドライバ113に接続される。

 (PDPの駆動例)
 上記構成のPDP1は前記各ドライバ111~113を含 公知の駆動回路(不図示)によって、各表示電 極対6のギャップに数十kHz~数百kHzのAC電圧が 加されることにより、任意の放電セル20内で 放電を発生させ、励起されたXe原子からの紫 線によって蛍光体層14を励起し、可視光発 するように駆動される。

 その駆動方法としては、いわゆるフィー ド内時分割階調表示方式がある。当該方式 、表示するフィールドを複数のサブフィー ド(SF)に分け、各サブフィールドをさらに複 数の期間に分ける。1サブフィールドは更に (1)全表示セルを初期化状態にする初期化期 、(2)各放電セル20をアドレスし、各放電セル 20へ入力データに対応した表示状態を選択・ 力していくデータ書き込み期間、(3)表示状 にある放電セル20を表示発光させる維持放 期間、(4)維持放電により形成された壁電荷 消去する消去期間という4つの期間に分割さ てなる。

 各サブフィールドでは、初期化期間で画 全体の壁電荷を初期化(リセット)した後、 ドレス期間で点灯すべき放電セル20のみに壁 電荷を蓄積させるアドレス放電を行い、その 後の放電維持期間ですべての放電セル20に対 て一斉に交流電圧(維持電圧)を印加するこ によって一定時間放電維持することで発光 示する。

 ここで図3は、フィールド中の第m番目の ブフィールドにおける駆動波形例である。 ィールド中の第m番目のサブフィールドの駆 波形図3が示すように、各サブフィールドに は、初期化期間、アドレス期間、放電維持期 間、消去期間がそれぞれ割り当てられる。

 初期化期間とは、それ以前のセルの点灯 よる影響(蓄積された壁電荷による影響)を ぐため、画面全体の壁電荷の消去(初期化放 )を行う期間である。図3に示す波形例では 走査電極5にデータ電極11および維持電極4に べて高い電圧を印加しセル内の気体を放電 せる。それによって発生した電荷はデータ 極11、走査電極5および維持電極4間の電位差 を打ち消すようにセルの壁面に蓄積されるの で、走査電極5付近の保護層8表面には負の電 が壁電荷として蓄積される。またデータ電 11付近の蛍光体層14表面および維持電極4付 の保護層8表面には正の電荷が壁電荷として 積される。この壁電荷により、走査電極5― データ電極11間、走査電極5―維持電極4間に 定の値の壁電荷により形成される電位が生 る。

 アドレス期間は、サブフィールドに分割 れた画像信号に基づいて選択されたセルの ドレッシング(点灯/不点灯の設定)を行う期 である。当該期間では、セルを点灯させる 合には走査電極5にデータ電極11および維持 極4に比べ低い電圧を印加させる。すなわち 、走査電極5―データ電極11には前記壁電荷に より形成される電位と同方向に電圧を印加さ せると共に走査電極5―維持電極4間に壁電荷 より形成される電位と同方向にデータパル を印加させ、書き込み放電(アドレス放電) 生じさせる。これにより蛍光体層14表面、維 持電極4付近の保護層8表面には負の電荷が蓄 され、走査電極5付近の保護層8表面には正 電荷が壁電荷として蓄積される。以上で維 電極4―走査電極5間には所定の値の電位が生 じる。

 放電維持期間は、階調に応じた輝度を確 するために、アドレス放電により設定され 点灯状態を拡大して放電維持する期間であ 。ここでは、上記壁電荷が存在する放電セ 20で、一対の走査電極5および維持電極4の各 々に維持放電電圧パルス(例えば約200Vの矩形 電圧)を互いに異なる位相で印加する。これ により表示状態が書き込まれた表示セルであ る放電セル20に対し電圧極性の変化毎にパル 放電を発生せしめる。

 この維持放電により、放電空間15におけ 励起Xe原子からは147nmの共鳴線が放射され、 起Xe分子からは173nm主体の分子線が放射され る。この共鳴線・分子線が蛍光体層14表面に 射され、可視光発光による表示発光がなさ る。そして、RGB各色ごとのサブフィールド 位の組み合わせにより、多色・多階調表示 なされる。なお、保護層8に壁電荷が書き込 まれていない非表示セルの放電セル20では、 持放電が発生せず表示状態は黒表示となる

 消去期間では、走査電極5に漸減型の消去 パルスを印加し、これによって壁電荷を消去 させる。

 以上の構成を有するPDP1では、駆動時には 以下の豊富な効果が奏される。

 PDP1では駆動時において、高精細セルであ る放電セル20内で発生する維持放電が、表示 極対6の電極ギャップd(d1)ではなく、このう いずれかの電極上の位置を放電開始点して 電着火する。このような位置に基づく放電 始長は、PDP1の放電開始電圧が最小となる長 さとして自然に定まったものである。

 PDP1では、放電ギャップdに臨む透明電極41 、51の側部から電極幅方向(X方向)に沿って内 に入った領域で、駆動時に最小の放電開始 圧となる小さな規模の放電(電極ギャップd りも長い放電開始長の放電)が起こる。この さな放電は、同方向に沿ってバス電極42、52 に向かって進展し、最終的には表示電極対6 全体で高効率な長ギャップのメイン放電と て成長する。

 このような放電の調整により、PDP1では放 電開始電圧を効率よく低減できるので、特に 回路部品での消費電力を低減でき、優れた消 費電力の低減効果が発揮される。

 これを具体的に説明すると、PDP1の表示電 極のギャップd(d1)は、パッシェン曲線におい 、その最小値を示すPd積よりも小さいPd積(0. 1以上1以下の範囲)となる電極ギャップdに設 されている。しかしながらPDP1では、パッシ ン曲線の放電開始電圧が最小値を示すPd積 りも小さなPd積の範囲において、実際の放電 は電極ギャップdでは発生させず、いずれか 表示電極4、5上を放電開始長の始点として発 生させる特徴を有する。このような放電発生 の特性は、本願発明者らの検討により見出さ れたものである。

 PDP1は、高精細なセル構造を有しており、 駆動時の放電開始長は、電極ギャップdでは く、パッシェン曲線において放電開始電圧 最小値を示すPd値に対応した長さに調節され る。従ってPDP1は、Pd値が小さく設定されては いるが、放電開始長は最小の放電開始電圧が 得られるように決定されるので、その分、そ の消費電力を効果的に低減することができる 。

 なお、PDP1では表示電極対6を帯状に形成 ており、その長手方向(方向Y方向)に沿って 放電開始時の放電起点が広く確保される。 の結果、放電の発生確率を高めることがで 、一層、放電開始電圧の低減効果が期待で るようになっている。

 また、表示電極対6で放電が開始すると、 後に図(9(b))を用いて説明するように、放電パ スがフロントパネル2側から離れるように形 される。これによりフロントパネル表面へ 拡散による荷電粒子の損失が軽減され、放 空間15で豊富な荷電粒子が確保されるので、 これを利用して従来と同等以上の発光効率が 発揮される。これに加え、PDP1では放電セル 積の大部分を占めるように、広い面積の透 電極41、51が配設されており、これらの透明 極41、51の面積を利用して、良好な規模のメ イン放電が維持されるようになっている。こ こで、広い電極部分を透明電極材料で構成し ているので、放電セル20内から外部への光取 し効率が向上され、その分、発光効率を改 させることができる。

 このようにPDP1では、良好な消費電力の低 減効果と、従来のPDPに比べて遜色のない発光 効率とが、いずれも高次元で両立して発揮さ れる。

 また、PDP1では、0.1以上1以下のPd積の範囲 において、放電ガスの全圧Pを2.0kPa以上53.3kPa 下の範囲に設定することができる。このた 、同範囲で比較的広い設計自由度を有して ると言える。

 さらに、放電ガス中のXe成分を分圧80%以 にまで増やすと、発光効率が大きく改善さ 、電圧低減効果も増大することが分かって る。Xeを100%使用した単一組成の放電ガスに れば、さらに発光効率が改善されるほか、 述のように荷電粒子の流れをフロントパネ 2から離れさせることができるので、駆動時 保護層8のMgO膜における、放電による局所的 なスパッタレートを低減でき、PDPの長寿命化 が図られる。

 さらにPDP1では、放電ガスの全圧が従来値 (例えば66.5kPa~101kPa)よりも低く抑えられてい ので、高いガス圧に耐えるための特別な構 を使わなくても実現できるメリットがある 従って本発明は、特に放電セル20の数が多く 、微細な放電セル構造(例えば、短辺ピッチ 50μm以上120μm以下)を有する次世代のPDPでも い実現性を有している。

 また、本発明をこのような高精細セルを するPDPに適用した場合には、比較的放電セ サイズの大きな従来のPDPに比べ、特に顕著 放電開始電圧の低減効果と良好な発光効率 維持が期待できることが分かっている。

 また、PDP1では帯状の透明電極41、51を用 ているため、製造時において少なくともY方 にフロントパネル2及びバックパネル9のア イメントずれが生じても、電極ギャップd(d1) は変化せず、このようなアライメントずれに よる悪影響を最小限に抑えることができる。 このメリットは特に、放電セルの短辺サイズ が略100μm以下となる高精細なPDPを製造する場 合において、その製造を比較的容易にでき、 すぐれた実現性を発揮できる点で有効である 。

 なお、PDPにおいて、帯状の透明電極を所 の電極ギャップをおいて配設した表示電極 造自体は公知である。しかしながら本発明 、高精細セルや超高精細セルを持つPDPにお て、パッシェン曲線の最小値を示すPd値よ も小さいPd値を積極的に利用する等の方法に より、電極ギャップdを従来より飛躍的に小 くして放電開始長を広く調整する一方、放 セル面積に占める電極面積を広く確保する とにより、良好な規模のメイン放電を維持 きる点で大きな特徴を有し、この点におい 従来技術と明確に異なるものである。

 次に示す図6は、電極幅105μm、電極ギャッ プdを30μmにまで狭めて設定した実施の形態1( 施例)の電圧低減効果と、各々の発光効率の 変化を示すグラフである。従来例は図5の従 の表示電極(電極幅60μm、電極ギャップdを80μ mとした)を用いた。図中、四角の位置は放電 始電圧を変化させた場合の測定ポイントで り、左へ向かって、ほぼ一定の発光効率が られるように、放電開始電圧を下げた場合 示している。

 当図に示すように、従来の帯状電極にお て発光効率を維持できる放電開始電圧の範 は、或程度高い数値範囲を示している。こ に対して実施例では、発光効率を維持した ま、従来例より35V程度も放電開始電圧を低 できることが確認できる。

 このように本発明で放電開始電圧の低減 放電効率の維持を両立できる理由は、放電 圧の低減のために、Pd値をパッシェン曲線 最小値に対応するPd値よりも小さく設計する ことによって、放電開始長を電極ギャップd りも長くして放電パスを確保し、放電長に める陰極降下部の長さを比較的小さくし、 光に有効に寄与できる放電規模を得たこと このときの放電がフロントパネル2より離れ ことにより、フロントパネル2へ荷電粒子が 拡散するのを回避し、放電損失が低減できた こと、及び放電開始電圧の低減により電子エ ネルギーが低減され、紫外線発生効率が向上 したこと等が功を奏したと考えられる。

 なお、PDP1ではX方向で隣接する表示電極 6の配設方法として、1の表示電極対6と、こ に隣接する表示電極対6との間において、隣 合う表示電極同士が同電位に設定される、 わゆるABBA配列(隣接する表示電極対6との関 で、維持電極4または走査電極5が2つ連続し 配列される)にすると、同方向で隣接する放 電セル20間で誤放電が生じるのを防止できる この効果は当該PDP1のように、放電セル面積 に対して非常に大面積の透明電極41、51を配 する場合において、隣接する放電セル20同士 の間で誤放電の発生を回避して、高精細な画 像表示性能を発揮させる上で非常に有効であ る。この場合、各々の維持電極4または走査 極5に対するドライバ112または111の接続関係 、図2に示す状態のままでよい。表示電極対 をABBA配列で配設する構成については、例え 特開2003-114641号公報に記載されている。

 次に、本発明で得られる発光効率の改善 果について具体的に説明する。

 図7(a)は、従来のPDPにおける放電初期の様 子を示す模式的な断面図である。当図に示す 従来構造では、パッシェン曲線の最小値に対 応するPd値よりも、やや小さいPd値に基づい 設計をしている。このため、当図に示すよ に、パッシェン曲線の最小値に対応するPdの 電極ギャップdに最も近い場所、すなわち透 電極41、51の電極ギャップd(d0)に臨む側面付 から放電開始する。また、その際の放電経 は、放電空間15内においてできる限り間隙d 小さくするように形成され、フロントパネ 2の表面に近接した形態となる。

 一方、図7(b)は実施の形態1のPDP1における 電初期の様子を示す模式的な断面図である このPDP1では、Pdがパッシェン曲線の最小値 示すPdより十分に小さい値に設定されてい ので、放電開始長は、放電開始電圧が最小 なる透明電極41、51上の位置が基点となる。 た、このPDP1では従来のPDPとは異なり、放電 開始後の放電経路が電極ギャップdと無関係 決定されるため、電極ギャップd(d1)による制 約を受けることがなく、放電空間15内におい フロントパネル2の表面から離れる方向に膨 出して形成される。

 このような放電形態によって、本発明のP DPでは放電時にフロントパネル2で発生する荷 電粒子の損失を低減できるので、発光効率が 良好に改善されることとなる。

 一般に、PDPの効率は、発光効率、無効電 、回路損失の3つの総和で評価される。この うち発光効率は、主としてパネル単体の構成 で決定される。無効電力と回路損失の特性は 、それぞれパネルの構成と駆動回路の双方の 性能、特に電圧特性に依存する。このうち、 無効電力は電圧値の二乗に比例する。ここで 、本実施の形態1では前述したように、特に 電開始電圧の低減効果が高くなっている。 の優位性は、電圧特性に依存する無効電力 回路損失をそれぞれ効果的に低減させるよ に働く。したがって、PDP1では所定の放電ギ ップで配した帯状の表示電極対6による発光 効率の向上効果とともに、無効電力および回 路損失をも良好に低減することができ、PDP全 体の効率を多方面から改善できるようになっ ている。

 (放電セルサイズに伴う放電特性について)
 一般に、PDPの低電力駆動化を考える場合、 示電極対の電極ギャップを小さくすること 行われる。また、PDPの高効率化を考える場 には、表示電極対の放電長を伸ばして電極 ャップ付近以外の高効率な放電領域の割合 増大できるように、電極ギャップを大きく ることが行われる。そこで設計時には、い ゆるパッシェン則に従い、図18に示すよう パッシェン曲線を用い、当該曲線の最小値 りも右側の領域で、放電ガス圧と電極ギャ プの設定を行う。これにより、一般的なセ サイズを持つPDPにおいて、低電力駆動と高 率の両立バランスが図られる。なお、一般 なセルサイズのPDPでは、当該曲線の最小値 りも左側の領域で放電ガスと電極ギャップ 設定すると、効率が著しく低下することが られている。

 これに対し、放電セルの短辺長が160μm以 の高精細セル、または前記短辺長が100μm以 の超高精細セル等を持つPDPでは、放電セル 極めて微小な構造となるため、上記したパ シェン則よりも、放電セル内に確保された 電荷量が放電特性において支配的となる。 来型のセルと同様に、電極ギャップdを広げ る一方で電極幅Wを狭めてしまうと、壁電荷 損失が無視できなくなる。壁電荷が失われ と、PDPデバイスの基本原理である、壁電荷 よる放電発光が得られないため、PDPの画像 示性能が著しく低下するおそれがある。

 このように微細セルを有するPDPでは、放 効率の著しい低下や駆動不可を回避するた 、特有の設計が必要である。そこで本発明 は、具体的には図19に示すように、従来のPD Pの放電セル(図中左側)に比べて電極ギャップ dを小さくするとともに、電極幅Wを広く確保 る(図中右側)。この構成を得るため、本発 では、PDPの放電ガス圧Pと電極ギャップdを、 仮想的なパッシェン曲線の極小値よりも左側 の領域に合わせて設計する。これにより微小 な放電セル内に十分な壁電荷が確保され、PDP において高効率と低電力駆動とを両立できる 。本発明を高精細セルまたは超高精細セルを 有するPDPに適用する場合、放電セル中に占め る表示電極の幅Wはできるだけ広く(電極ギャ プdはできるだけ小さく)設定するのが望ま い。

 次に、本発明の別の実施の形態について、 施の形態1との差異を中心に説明する。主な 特徴部分はいずれも表示電極周辺の構成にあ り、PDPの全体構成は実施の形態1と同様であ 。
<実施の形態2>
 次に示す図8は、実施の形態2のPDPにおける 放電セル20内の表示電極4、5のXY平面に沿っ 上面図である。図中、点線で囲った領域が 電セル20の内部に対応している。透明電極41 51は、透明電極の延伸方向(Y方向)に平行な 状の基部401、501と、各々の基部401、501の対 する側部から電極幅方向(X方向)に突出して けられたI字型の突出部402、502とで構成され いる。突出部402、502の先端同士は、X方向に 沿って互いに対向するように調整され、その 間は表示電極4、5の最小ギャップd(d1)となっ いる。d(d1)は5μm以上30μm以下にすることで、 電界集中による電圧低減効果が大きくなるた め好適である。基部401、402同士のギャップL 、100μm以上300μm以下に設定し、放電パスを くして発光効率の維持を図っている。突出 402、502のY方向幅(W1)は10μm、基部401、501のX方 向幅は50μmに設定している。

 さらに、放電セル20内において、放電セ 面積中に突出部402、502の面積が占める割合 、基部401、501面積の1/10以下になるように、 切に設定されている。

 なお、このような表示電極4、5のパター ングは、フォトエッチング法や印刷法等で 成することができる。

 表示電極対6を配設したフロントパネルガラ ス3には、PDP1と同様に、その主面全体にわた 、厚み20μm以下の酸化ケイ素(SnO 2 )からなる誘電体層7が、CVD法等のいわゆる薄 形成法で形成されている。厚みを20μm以下 薄く形成することにより、表示電極対6の突 部402、502における電界集中効果が当該誘電 層7中で緩和されるのが抑制され、適切な電 界が放電空間に形成されて放電電圧の低減効 果が期待できるので好適である。

 以上の構成を持つ実施の形態2のPDPでは、 駆動時において放電セル20内で発生する維持 電が、表示電極対6の電極ギャップd(d1)や基 401、501同士のギャップLではなく、このうち いずれかの電極上の位置を放電開始点して放 電着火する。このような位置に基づく放電開 始長は、実施の形態1のPDP1と同様に、当該PDP 放電開始電圧が最小となる長さとして自然 定まったものである。

 当該PDPでは、402、502のいずれかの突出部 先端から電極幅方向に沿って当該突出部の 側に入ったところで、駆動時に最小の放電 始電圧となる小さな規模の放電(電極ギャッ プdよりも長い放電開始長の放電)が起こる。 の小さな放電は、同方向に沿って基部401、5 01のそれぞれに向かって進展し、最終的には 示電極対6の全体で高効率な長ギャップのメ イン放電として成長する。

 このような放電の調整により、当該PDPで 放電開始電圧を効率よく低減できるととも 、実施の形態1に比べて、一層優れた効率の 向上が期待できる。

 また、表示電極対6で放電が開始すると、 図7(b)で示したように、放電パスがフロント ネル2側から離れるように形成されるので、 ロントパネルへの拡散による荷電粒子の損 が軽減され、放電空間15で豊富な荷電粒子 確保される。したがって、これを利用する とで、従来と同等以上の発光効率が発揮さ る。

 このように実施の形態2のPDPにおいても、 実施の形態1と同様に、良好な消費電力の低 効果と、優れた効率の向上効果とが、いず も高次元で両立して発揮される。特に、表 電極対6の形状として、帯状電極の一部を削 し、突出部402、502を設けた形状とすること 、いったん発生した放電が徐々に拡大する に、発光にあまり寄与しない電極上への給 を抑制できる。このため、比較的大面積を する形状の表示電極対を持つPDPに比べ、電 消費量を低減させて効率の向上を一層良好 図ることができる。

 また、当該PDPにおいては、0.1以上1以下の Pd積の範囲において、放電ガスの全圧Pを2.0kPa 以上53.3kPa以下の範囲、表示電極対6の電極ギ ップdを5μm以上60μm以下の範囲でそれぞれ設 定することができる。このため、同範囲で比 較的広い設計自由度を有していると言える。

 さらに、放電ガス中のXe成分を分圧80%以 にまで増やすと、発光効率が大きく改善さ 、電圧低減効果も増大することが分かって る。Xeを100%使用した単一組成の放電ガスに れば、さらに発光効率が改善されるほか、 動時に保護層8のMgO膜における、放電による パッタレートを低減できるので、PDPの長寿 化が図られる。

 なおPDPでは、放電開始初期における放電 、発光効率があまり優れないことが分かっ いる。そこで当該PDPでは、放電開始初期の 電をできるだけ小さくし、十分な規模に成 した放電を積極的に維持して発光効率の向 を図ることができるようになっている。具 的には、放電セル面積において、突出部402 502の占有面積を基部401、501の占有面積の1/10 以下に設定している。これにより表示電極対 6では放電開始時における放電(着火放電)を比 較的小さく発生させ、その後、電極ギャップ dから遠ざかる方向に沿って基部401、501に向 って進展させ、最終的に基部401、501同士に ける高効率な長ギャップなメイン放電まで 行させることができる。このため、放電開 初期の放電はできるだけ小さく抑えながら 基部401、501同士の間の長ギャップを利用し 大きな規模のメイン放電を積極的に維持す ことによって、高い発光効率を発揮できる うにしている。

 さらに突出部402、502を透明電極材料で構 しているので、放電セル20内から外部への 取出し効率が向上され、その分、発光効率 改善させることができる。

 なお、PDPにおいて、電極ギャップに臨むよ に突出部を備える表示電極の構造自体は公 であり、例えば特許文献2に開示されている 。しかし本発明は、パッシェン曲線の最小値 を示すPd値よりも小さいPd値を積極的に利用 、放電開始長を電極ギャップdよりも広く確 して、放電開始電圧を最少に抑制する点に 徴を有し、この点において従来技術と大き 異なるものである。
<実施の形態3>
 図9は、実施の形態3のPDPにおける表示電極4 5の形状を示す、XY平面に沿った上面図であ 。

 実施の形態3のPDPにおける透明電極41、51 、その延伸方向(Y方向)に平行な帯状の基部40 1、501に対し、各々の基部401、501がギャップL おいて対向する側部から、当該ギャップLに 突出するように、T字型の突出部(本体部402、5 02、先端部403、503)が設けられている。この構 成例では、先端部403、503の先端同士の間が表 示電極4、5の最小ギャップd(d1)となっている d1は実施の形態2と同様に30μmである。本体部 402、502のX方向長さは10μm、先端部403、503のY 向に沿った幅(W2)は30μm、本体部402、502のY方 幅と先端部403、503のX方向幅は、いずれも10 mである。このような設定により表示電極4、 5では、表示電極4、5の延伸方向(Y方向)に沿っ た突出部403、503の先端幅(W2)に対し、基部401 501との接続部分における本体部402、502の同 向に沿った幅が広くなっている。

 ここで当該PDPでは、Pd値は90.0Pa・cmになる ように設定されている。

 以上の構成を有する実施の形態3のPDPにお いても、駆動時には実施の形態2と同様の消 電力の低減効果と、発光効率の維持向上の 果が両立的に発揮される。

 さらに当該PDPでは、先端部403、503におい 電極面積が広く確保されている一方、放電 始点が存在する本体部402、502付近の電極面 が適度に低減されている。従って、駆動時 は、広い電極面積を利用して放電の着火を 易にすることで、放電開始電圧のさらなる 好な低減が図られる。

 また、電極面積が適切に低減された部分 おいて、着火した放電が基部401、502付近ま 拡大する進展過程での放電規模(メイン放電 に至るまでの低効率な放電の規模)が効果的 抑制され、発光効率にそれほど貢献しない 電の規模が小さく抑えられている。

 このような工夫から、放電開始電圧を大 に低減しつつ、発光に寄与する維持放電を 極的に行うことができ、優れた発光効率が られるようになっている。

 この具体的な効果を表1に示す。比較対象 の従来例は、電極ギャップdが140μmである帯 電極としている。表中には他の実施の形態 効果も併記している。

 表1に示すように、T字型突出部の採用に り、実施の形態2のPDPに比べてさらに放電開 電圧を20V程度低減できるほか、図13に示す 状電極の表示電極構造に比べると50V程度ま 低減できることが実験により明らかになっ いる。

 一般には、パッシェン曲線の最小値に対 するPd値に基づいて放電ガスの全圧Pと電極 ャップdを設計することにより、いずれのPDP でも放電開始電圧を最小化できると考えられ ている。しかしながら表1に示す実験結果に されるように、電極ギャップが十分に小さ PDPにおいては、本発明のようにパッシェン 線の最小値を示すPd値よりも小さな値にPdを 計することで、従来に比べて著しく電圧低 効果が得られることが確認できる。また、P d値を十分に小さくしても放電開始電圧の低 効果が得られることから、逆に、電極ギャ プdを小さく設定した場合には、実際の放電 電極ギャップdに依存せずに発生する可能性 を示しているとも言える。

 また、表1では、従来例の表示電極として 帯状電極のみを示した。ここで、当該従来例 と同一の放電ガスの全圧P及び電極ギャップd( 140μm)において、電極構造のみをI字型突出部 たはT字型突出部を備える構成にした場合( 極形状のみ実施の形態2または3と同一にした 場合)は、いずれも放電開始電圧が、当該従 例よりも高くなる。

 よって、従来例と同一の放電ガスの全圧P及 び電極ギャップdに設定した場合には、いず の表示電極形状でも本発明のような、有効 放電開始電圧の低減効果は得られないこと 分かった。
<実施の形態4>
 図10は、実施の形態4のPDPの表示電極4、5の 成を示す、XY平面に沿った上面図である。実 施の形態3のPDPは、実施の形態3の表示電極構 に基づき、Pdを30.0Pa・cm、電極ギャップdを10 μmとなるように設定した点に特徴を有する。

 このような工夫により、駆動時には実施 形態3と同様の効果に加え、さらに高い電圧 低減効果が図れるように工夫されている。

 すなわち、実際の効果としては表1の実施 例3に示されるように、従来の帯状電極に比 ると120V程度もの放電開始電圧の低減が図ら る。この結果はさらに、実施の形態4が、実 施の形態2に比べて90V、実施の形態3に比べて 70Vもの一層大幅な電圧低減効果が奏される とを示している。

 なお、表1において実施の形態3と比較し 場合に、両者の違いは電極ギャップdのみで ることを考慮すると、実施の形態3との効果 の差分は、主として電極ギャップdを小さく たことによって得られた効果であると考え れる。

 次に示す図16は、図13に示す従来の各表示 電極と比較した場合の実施の形態4の電圧低 効果と、発光効率とを示すグラフである。 中、三角の位置は電極ギャップdを変化させ 測定ポイントであり、左側へ向かって、測 ポイントほど電極ギャップdを小さくした場 合を示す。

 当図のように、従来の帯状電極では、電 ギャップdを小さくすれば、放電電圧につい て一定の低減効果は見られる。しかし、他方 で電極ギャップdを小さくすれば発光効率も 下する課題がある。この原因は、電極ギャ プdを縮めると表示電極対間の電界強度が高 るので、低い電圧で放電が開始できるが、 電開始長が短くなることで放電における陰 降下部の割合が相対的に増加し、結果とし 紫外線の発生効率が低下するためであると えられる。

 それに対し本実施の形態4では、放電開始電 圧が従来構造よりも大きく低減されている( 一の電極ギャップdにおいて120V程度の低減効 果が見られる)。そして、電極ギャップdを狭 しても、発光効率は電極ギャップの大小に かわらず、ほぼ同程度の高効率が達成され いることが確認できる。この理由は、放電 圧低減のために、Pd値をパッシェン曲線の 小値に対応するPd値よりも小さく設計しつつ 、かつ、突出部の電極面積(402、403、502、503 合計面積)を基部401、501の面積に比べて小さ 設定したことが功を奏したと考えられる。 なわち、放電開始長は、放電開始電圧が最 となる開始点で決定される。また、放電発 初期には電極面積の小さな突出部同士で小 模の放電を行い、発光効率に寄与しない放 を抑制しながら、後に基部401、501同士間で 効率な長ギャップのメイン放電を積極的に 持でき、結果的に高い発光効率を維持でき ようになっている。
<実施の形態5及び6>
 図11は、実施の形態5の表示電極4、5の構成 示す、XY平面に沿った上面図である。実施の 形態5は、実施の形態4の表示電極構造におい 、先端部403、503のY方向幅W3を延長し、同方 で隣接する放電セル20同士で連続させた点 特徴を有する。

 このような工夫により、駆動時には実施 形態4と同様の効果に加え、さらに優れた電 圧低減効果が図れるように工夫されている。

 すなわち、先端部403、503において電極面 が広く確保されているので、電圧印加時に 不要な電荷の集中が抑えられる。この結果 表1の実施例4に示すように、従来構造と比 て放電開始電圧を140V(実施の形態3と比べて 20V)も低減することができる。

 なお、表1において、実施の形態3と比較 た場合に20Vの電圧低減効果が得られている 、この原因は主として先端部403、503の幅W3を 拡大したことが考えられ、先端部幅を拡大す ることが放電開始電圧の低減に有効に作用す ることを示している。

 また、一般に突出部が電極ギャップdで対 向する表示電極を用いると、適切な電極ギャ ップを確保するため、製造工程においてフロ ントパネル2及びバックパネル9のアライメン ずれを排除する必要がある。しかし、実施 形態5の表示電極4、5を適用すれば、少なく もY方向にフロントパネル2及びバックパネ 9のアライメントずれが生じても、放電セル2 0の中心における電極ギャップd(d2)の位置は常 に変化しないため、このようなアライメント ずれによる悪影響を最小限に抑えることがで きる。このメリットは特に、放電セルの短辺 長が約160μm以下となる高精細セル、または約 100μm以下となる超高精細セルを備えるPDPを製 造する場合において有効である。

 なお、実施の形態5においては、放電セル20 における本体部の本数は402、502の各1本に限 らない。図12は実施の形態6であって、実施の 形態5を基本とし、各表示電極4、5の放電セル 内の本体部をそれぞれ3本ずつ(402a、402b、402c 502a、502b、502c)設けた構成を示す。このよう な構成においても実施の形態4と同様の効果 奏されるほか、本体部の断線による通電不 を効果的に低減でき、リペア率や不良発生 を改善する効果も期待できる。
<各種実験>
(従来構造のPDPについて)
 PDPは放電を利用した表示デバイスであり、 電ガスの全圧P、表示電極ギャップd、並び 放電開始電圧Vfの間には、いわゆるパッシェ ンの法則が成立する(「電子ディスプレイデ イス」、オーム社、昭和59年、P.113~114)。横 にPd積、縦軸に放電開始電圧を設定して描か れるパッシェン曲線は、PDPにおいて、これら の各パラメータを設計する際の大きな指針と なっている。

 PDPは放電ガスを満たした放電空間におい 、表示電極対で維持放電を起こして紫外線 発生させ、その紫外線を蛍光体に照射して 視光発光させている。放電ガスとしては、 度特性のなさ、地球環境への影響を考慮し 、Xeが好適とされている。しかし、放電ガ 中のXe分圧を高めると高効率化は望めるが、 同時に電圧も上昇してしまい、不都合である 。従って、通常は高効率化目的でXeガスを使 しつつ、電圧低減の目的でNe、Ar、Kr、Heの1 上のガスをバッファガスとして混合した放 ガスが用いられている。現在商品化されて るPDPでは、NeガスにXe分圧を10%程度に抑えて 添加する等のガス設計が一般的である。

 本願発明者らは、実施例及び従来例のPDP 作製して各種実験を行い、各PDPについて得 れたデータを評価した。ここでは従来例のP DPにおける特性を確認するため、一般的なXe-N e系(Xe10%Ne90%)、又は高効率化を目的とするXe100 %をそれぞれ放電ガスとするサンプルPDPを作 した(それぞれ比較例1、2とする)。

 まず、従来例1、2のPDPでは、いずれも同 のセルサイズで、表示電極の電極ギャップd 60μmに設定した。

 従来例1、2の各々の製造工程では、フロ トパネルとバックパネルをクリップで貼り わせ、真空チャンバー内に入れた。そして ロータリーポンプ、クライオポンプを用い 真空引きを行った。その後、両パネル内に 定の組成の放電ガスを封入した。

 このように作製した各PDPを、エージング 路を用いて点灯させた。その際、印加パル の周波数はそれぞれ200kHzに設定した。

 その後、各PDPについて、封入ガス圧を変 させながら放電セルを点灯させ、そのとき 放電電圧及び発光効率を測定した。

 なお、ここで本願で言う発光効率とは、1 W当たりの光源から出る光量を指す。光源か 出る可視光線の量(光束)はlmで表し、発光効 の単位としてはlm/Wとなる。上記測定に際し ては、以下の算出式に基づいて計算を行った 。

 発光効率={π×放電面積×(点灯時輝度-消灯時 輝度)}/{Vsus×(点灯時電流-消灯時電流)}
 放電電圧の測定は、印加電圧を上げていき パネル内の全放電セルを点灯させ、その後 圧を下げていき、全放電セルが点灯してい 最小の電圧を測定して行った。なお、一般 にこの最小の電圧は放電維持電圧(Vsus_pd)と ばれるものである。

 図14に、このとき得られた実験データ(パ シェン曲線)を示す。図中、横軸をPdとし、 軸を放電開始電圧としている。

 当図に示すように、従来例1、2のPDPでは、 ずれの放電ガス組成においてもPd積が146.7Pa cm以上186.6Pa・cm以下の範囲でパッシェン曲線 が最小値となり、この範囲で放電開始電圧が 最小になることがわかった。
(従来構造のPDPの表示電極と放電電圧、発光 率の関係について)
 従来のPDPでは、電極ギャップを大きくする 発光効率は向上する(『画素ピッチ0.3mm超高 細AC型PDPの開発』石井啓二(NHK技術研究所)他 EID2006-62)。しかし、電極ギャップの増大に伴 て、放電電圧も上昇してしまうことが知ら ている。

 そこで、次の実験で上記特性を検証した

 具体的な方法としては、従来の帯状透明 極を備える表示電極を有するPDPを用いた(図 9)。このPDPを用いて、パッシェン曲線の最小 付近に対応するPd値が180.0Pa・cmとなるP=30kPa d=60μmの条件から、放電ガスの全圧Pを固定 たまま、電極ギャップdを、高効率を得るた に160μmまで拡大した。

 このとき得られた放電電圧と発光効率の 係を図15に示す。

 当図に示すように、確かに電極ギャップを 大することで発光効率は向上するが、同時 これと比例して、放電電圧も上昇するのが 認できた。
(本発明における放電開始点の検証)
 次に、本発明において、パッシェン曲線の 小値を示すPd値よりも小さなPd値に基づいて 設計を行った場合、駆動時に、電極ギャップ dより広い放電開始長で放電が開始すること 確認実験を行った。

 比較例のPDPとしては、図13に示す帯状の 明電極を用いた構成とした。実施例のPDPと ては、図19に示す実施の形態2の、T字型突出 を持つ透明電極を用いた構成とした。

 放電の発生時には、放電セル内で近赤外 が放射されるので、この近紫外線をゲート メラ(浜松ホトニクス株式会社製「C8484-05G」 )を用いて観察した。

 尚、観察した近赤外線は放電時に発生す 紫外線と相関があることが知られている。 こで、具体的には、波長780nm~860nmの近赤外 発光を、ゲート幅10nsで測定した。この観察 より、放電を時間的・空間的に解析するこ が可能となる。

 図17(a)(b)は、それぞれ従来例及び本発明 放電発生初期の近赤外線発時の表示電極の 察像を示す写真である。

 当図が示すように、従来の帯状電極では 電圧印加の瞬間(0ns)において、電極ギャッ d(d0)に臨む一方の表示電極の側面(ここでは 明電極41の側面)で放電が開始している(図17(a ))。

 これに対し、実施例のT字型突出部を持つ 表示電極では、同じ電圧印加の瞬間(0ns)にお て、表示電極対間に非常に狭い電極ギャッ d(d2)が存在するにもかかわらず、本体部402 基部401との接続部分付近を放電開始点とし 、電極ギャップd(d2)より広い放電開始長で放 電が開始していることが確認できる(図17(b))

 なお、図17(b)等の結果では、本発明では 電開始長の放電開始点より電極ギャップd(d2) 側電極部分が放電に寄与していないようにも 見えるが、Pd積を30.0Pa・cm以上90.0Pa・cm以下の 範囲まで減少させた際には電圧が低減したこ とから、このような電極部分も積極的に放電 電圧低減に寄与していると言える。なお、こ の写真ではアノード側に放電開始点が明確に 確認でき、他方のカソード側の放電開始点は 突出部の先端に存在すると推察される。

 以上より、本発明では、電極ギャップd(d2 )より広いギャップで放電が開始し、放電電 が低減できること、また、放電開始点より 極ギャップd(d2)側の電極部分が放電開始電圧 の低減に大きく貢献していることは明らかで ある。

 なお、本発明のPDPで設定すべきPd値とし は、少なくとも30.0Pa・cm以上90.0Pa・cm以下の 囲が好適であることが別の実験で分かって る。しかしながら、Pd値が13.33Pa・cm以上133.3 Pa・cm以下の範囲であれば、これとほぼ同様 効果が得られることが分かっている。

 <実施の形態2~6に関するその他の事項>
 なお、上記各実施の形態において、表示電 対6間における突出部402、502同士の電極ギャ ップdは5~30μm、基部401、501の電極ギャップLは 100μm~300μmにそれぞれ設定すると、本発明の 果が特に大きくなるので望ましい。しかし がら、本発明はこの設定範囲に限定するも ではない。

 なお、各実施の形態では、表示電極対6を なす各表示電極4、5を、電極ギャップdを挟ん で互いに対称的且つ同じ形状とした構成につ いて例示したが、このような表示電極4、5の 造は、駆動時にAC型の動作原理である壁電 を誘電体層7に蓄積させ、且つ、損失を効果 に抑制して放電毎に表示電極対6間で移動で きるので、高効率化に有利である。

 <PDPの製造方法>
 次に、本発明のPDPの製造方法を例示する。 発明のPDPの製造方法は、主として表示電極 設計と放電ガスのガス圧・ガス成分の調整 特徴を有し、その他は従来構成とほぼ共通 ている。

 (フロントパネル2の作製)
 厚さ約1.8mmのソーダライムガラスからなる ロントパネルガラス3の面上に、表示電極対6 を作製する。ここでは印刷法によって表示電 極対6を形成するステップを示す。

 まず、ITO、SnO 2 、ZnO等の透明電極材料を最終厚み約100nmで、 膜プロセスで形成し、その後エッチングに りパターンニングすることで透明電極41、51 が作製される。

 また、レーザーパターニング法を用いて 極形成するステップも取り得る。この場合 は、まずフロントパネルガラス3上に真空プ ロセス等の薄膜形成法を用い、前記透明電極 材料からなる薄膜(透明電極膜)を形成する。 の後、レーザーアブレーションを行い、薄 を部分的に除去して、所望のパターンの透 電極41、51を形成する。

 ここで、透明電極材料からなる薄膜を形 した後、少なくとも表示電極対の電極ギャ プdに相当する領域についてはレーザーアブ レーションによりパターニングする工程を実 施し、これ以外の領域、例えば隣接する表示 電極対の間(すなわち隣接セルとの間)に相当 る領域はウェットエッチング法によりパタ ニングすることもできる。このような方法 採れば、比較的広い面積の薄膜を効率よく ェットエッチング法で除去するとともに、 細な電極ギャップdでの電極形状をレーザー で精密に形成することが可能であり、製造効 率の面で合理的な工夫を行える。

 透明電極41、51は、上記方法以外にもダイ コート法、ブレードコート法等で形成するこ とができる。いずれの作製方法でも、各々の 放電セル面積において表示電極が占める割合 が0.6以上0.92以下になるように設定する。ま 、電極ギャップdを5μm以上60μm以下に設定す 。

 一方、Ag粉末と有機ビヒクルに感光性樹 (光分解性樹脂)を混合してなる感光性ペース トを調整し、これを前記透明電極41、51の上 重ねて塗布し、形成するバス電極のパター に合わせた開口部を有するマスクで覆う。 して、当該マスク上から露光し、現像工程 経て、590~600℃程度の焼成温度で焼成する。 れにより透明電極41、51上に最終厚みが数μm のバス電極42、52が形成される。このフォト スク法によれば、従来は100μmの線幅が限界 されていたスクリーン印刷法に比べ、30μm程 度の線幅までバス電極42、52を細線化するこ が可能である。バス電極42、52の金属材料と ては、Agの他にPt、Au、Al、Ni、Cr、また酸化 、酸化インジウム等を用いることができる バス電極42、52は上記方法以外にも、蒸着法 、スパッタリング法などで電極材料を成膜し たのち、エッチング処理して形成することも 可能である。

 次に、表示電極対6の上から、CVD、スパッタ 、EB等の真空プロセスを用い、SiO 2 からなる最終厚みが20μm以下の誘電体層7を形 成する。厚みを20μm以下に薄く形成すること より、表示電極対6間の電界集中効果が当該 誘電体層7中で緩和されるのが抑制され、適 な電界が放電空間15に形成されて放電電圧の 低減効果が期待できるほか、信頼性の確保の 点でも好適である。

 また誘電体層7の比誘電率としては、2以 5以下に設定するのが望ましい。これにより 誘電体層7厚みを20μm以下にした場合でも電 密度(=比誘電率/誘電体厚み)を低減でき、発 光効率を良好に確保できる。

 なお誘電体層7は、SiO 2 のほか、酸化鉛(PbO)または酸化ビスマス(Bi 2 O 3 )または酸化燐(PO 4 )を主成分とする低融点ガラス(厚み35μm)を用 、スリートコーター法、スクリーン印刷法 ゾルゲル法等によっても形成できるが、駆 時の絶縁破壊及び経時変化の小さい良好な 明性の確保の点、及び緻密な層構造を形成 る目的から、上記のように薄膜形成法(真空 プロセス)でSiO 2 からなる誘電体層7を所定の厚みで形成する が望ましい。

 次に誘電体層の表面に所定の厚みの保護 8を成膜する。成膜方法は蒸着法を用い、酸 素雰囲気中において、ピアス式電子ビームガ ンを加熱源として、上記蒸着源を加熱して行 う。成膜時の電子ビーム電流量、酸素分圧量 、基板温度等は成膜後の保護層の組成に大き な影響を及ぼさないため、任意設定で構わな い。なお保護層の成膜方法は、上記EB法に限 するものではなく、その他の方法、例えば パッタ法、イオンプレーティング法等、各 薄膜法を利用してもよい。

 以上でフロントパネル2が作製される。

 (バックパネルの作製)
 厚さ約1.8mmのソーダライムガラスからなる ックパネルガラス10の表面上に、スクリーン 印刷法によりAgを主成分とする導電体材料を 定間隔でストライプ状に塗布し、厚さ数μm( 例えば約2μm)のデータ電極11を形成する。デ タ電極11の電極材料としては、Ag、Al、Ni、Pt Cr、Cu、Pd等の金属や、各種金属の炭化物や 化物等の導電性セラミックスなどの材料や れらの組み合わせ、あるいはそれらを積層 て形成される積層電極も必要に応じて使用 きる。

 ここで、PDP1を作製する場合には、隣り合 う2つのデータ電極11の間隔を隔壁13のピッチ 一致させ、50μm以上120μm以下に設定する。

 続いて、データ電極11を形成したバックパ ルガラス10の面全体にわたって鉛系の低融点 ガラスやSiO 2 材料からなるガラスペーストを厚さ約10μmで 布して焼成し、誘電体層12を形成する。
次に、誘電体層12面上に所定のパターンで隔 13を形成する。この隔壁13は、低融点ガラス 材料ペーストを塗布し、サンドブラスト法や フォトリソグラフィ法を用い、図1に示すよ に井桁状に形成する。

 隔壁13が形成できたら、隔壁13の壁面と、 隔壁13間で露出している誘電体層12の表面に 色(R)蛍光体、緑色(G)蛍光体、青色(B)蛍光体 いずれかの蛍光体層14を作製する。

 RGB各色蛍光体には次の組成物が利用でき 。

 赤色蛍光体;Y 2 O 3 ;Eu 3+
 緑色蛍光体;Zn 2 SiO 4 :Mn
 青色蛍光体;BaMgAl 10 O 17 :Eu 2+
 蛍光体層の形成方法としては、静電塗布法 スプレー法、スクリーン印刷法等、いずれ の公知の方法が採用できる。

 このうち静電塗布法を用いる場合は、エチ セルロース、α-ターピネオールをそれぞれ 媒、溶剤として用い、これに平均粒径2.0μm 蛍光体粉体と粉体とを添加し、サンドミル 混合する。これにより15×10 -3 Pa・s程度の粘度の蛍光体インクを作製する。 この蛍光体インクはサーバー内に投入し、ポ ンプにて径60μmのノズルから噴射させ、隣接 る隔壁間に塗布する。このとき、パネルを 壁13の長手方向に移動させ、ストライプ状 蛍光体インクを塗布する。塗布終了後は蛍 体インクを500℃で10分間焼成し、溶媒・溶剤 を除去する。これにより蛍光体層14が形成さ る。

 (PDPの完成)
 作製したフロントパネル2とバックパネル9 、封着用ガラスを用いて貼り合わせる。そ 後、放電空間15の内部を高真空(1.0×10 -4 Pa)程度に排気し、大気や不純物ガスを取り除 く。そして当該内部に所定の放電ガス全圧( こでは2.0kPa以上53.3kPa)で分圧80%以上のXeを含 放電ガス(Ne-Xe系やHe-Ne-Xe系、Ne-Xe-Ar系等のXe 合ガス)、或いは100%Xeからなるガスを放電ガ スとして封入する。

 なお、前述の如く、放電ガスの全圧Pと、 表示電極対6の電極ギャップdについては、Pd が13.33Pa・cm以上133.3Pa・cm以下になるように 定するのが好適である。

 以上の工程を経ることにより、本発明のP DPが完成する。

 なお、上記方法例ではフロントパネルガ ス3およびバックパネルガラス10をソーダラ ムガラスからなるものとしたが、これは材 の一例として挙げたものであって、これ以 の材料で構成してもよい。

 本発明のPDPは、交通機関及び公共施設の 報表示端末、家庭などにおけるテレビジョ 装置及びコンピューターのディスプレイに いられる表示装置等に利用できる。また、 発明は特にハイビジョン、フルハイビジョ 等の高精細セルまたは超高精細セルを有す テレビジョン装置として広く利用すること でき、その産業上の利用可能性は非常に大 い。

 1  PDP
 2  フロントパネル
 4  維持電極
 5  走査電極
 6  表示電極対
 7、12  誘電体層
 8  保護層
 9  バックパネル
 11  データ電極
 13  隔壁
 14  蛍光体層
 15  放電空間
 20  放電セル
 401、501  基部
 402、402a~402c、502、502a~502c  本体部
 403、503  先端部