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Patent Searching and Data


Title:
POLYMER CAPABLE OF ADSORBING ACIDIC WATER-SOLUBLE TARGET SUBSTANCE, AND METHOD FOR PRODUCTION OF THE POLYMER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/104323
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed are: a polymer which can adsorb an acidic water-soluble target substance selectively; a polymer which has a specific recognition site for an acidic water-soluble target substance; a method for producing each of the polymers; and an adsorbent for an acidic water-soluble target substance. Specifically disclosed is a polymer which can adsorb at least one acidic water-soluble target substance selectively, and which is characterized by having a cross-linked structure produced by a two-step reaction comprising carrying out the Michael addition reaction of a polymer having an amino group and/or an imino group and an unsaturated carbonyl crosslinking agent and carrying out the radical polymerization of the resulting product.

Inventors:
KONTANI TOMOHIRO
Application Number:
PCT/JP2008/071906
Publication Date:
August 27, 2009
Filing Date:
December 02, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NITTO DENKO CORP (JP)
KONTANI TOMOHIRO
International Classes:
C08F290/00; B01J20/26; C08F8/00; C08F26/02; C08F299/00; A61K47/32
Domestic Patent References:
WO2002022698A12002-03-21
WO2007023915A12007-03-01
WO2006067431A12006-06-29
WO2006129088A12006-12-07
Foreign References:
JP2004131406A2004-04-30
JP2006028467A2006-02-02
JP2004018576A2004-01-22
JP2003513112A2003-04-08
JP2003509550A2003-03-11
JP2003514051A2003-04-15
JP2008500442A2008-01-10
JP2007532715A2007-11-15
Other References:
H. ASANUMA; T. AKIYAMA; K KAJIYAMA; T. HISHIYA; N. KOMIYAMA, ANAL. CHIM. ACTA, vol. 435, 2001, pages 25
See also references of EP 2246375A4
Attorney, Agent or Firm:
HASHIMOTO, Kimihide et al. (JP)
Kimihide Hashimoto (JP)
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Claims:
 少なくとも1種の酸性水溶性標的物質を選択的に吸着するポリマーであって、アミノ基および/またはイミノ基を有するポリマーと不飽和カルボニル架橋剤とをマイケル付加反応した後にラジカル重合する2段階の反応により架橋した構造であることを特徴とするポリマー。
 少なくとも1種の酸性水溶性標的物質に対する特異的認識部位を有するポリマーであって、該特異的認識部位が以下の(1)および(2)の工程を含む分子インプリンティング法により水溶液中で形成されることを特徴とするポリマー。
(1)少なくとも1種の鋳型分子の存在下で、該鋳型分子との相互作用が可能な少なくとも1種のアミノ基および/またはイミノ基を有するポリマーと不飽和カルボニル架橋剤とをマイケル付加反応した後にラジカル重合する2段階の反応により架橋共重合体を得る工程
(2)工程(1)で得られた架橋共重合体から鋳型分子を遊離除去して該鋳型分子に対する特異的認識部位を形成する工程
 前記鋳型分子が、酸性水溶性標的物質、または該酸性水溶性標的物質の擬似分子である請求項2に記載のポリマー。
 前記アミノ基および/またはイミノ基を有するポリマーが、酸性水溶性標的物質と相互作用可能な1種以上の官能基で修飾されたポリマーである請求項1~3のいずれか1項に記載のポリマー。
 前記酸性水溶性標的物質と相互作用可能な官能基が、ジアミノトリアジン誘導体、ジアミノピリジン誘導体、グアニジン誘導体、イミダゾール誘導体、ポルフィリン誘導体およびシクロデキストリン誘導体のいずれか1であることを特徴とする請求項4に記載のポリマー。
 前記酸性水溶性標的物質が窒素代謝老廃物質、ヌクレオチドおよびアミノ酸のいずれか1であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のポリマー。
 前記窒素代謝老廃物質が尿酸であることを特徴とする請求項6に記載のポリマー。
 前記不飽和カルボニル架橋剤が2つ以上の不飽和カルボニル基を有することを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のポリマー。
 前記アミノ基および/またはイミノ基と前記不飽和カルボニル基とのモル比が0.15~1.35であることを特徴とする請求項8に記載のポリマー。
 前記特異的認識部位により酸性水溶性標的物質と部分的に結合できることを特徴とする請求項2~9のいずれか1項に記載のポリマー。
 水溶液中で酸性水溶性標的物質を選択的に吸着する請求項1~10のいずれか1項に記載のポリマー。
 少なくとも1種の酸性水溶性標的物質を選択的に吸着するポリマーの製造方法であって、該酸性水溶性標的物質との相互作用が可能な少なくとも1種のアミノ基および/またはイミノ基を有するポリマーと不飽和カルボニル架橋剤とをマイケル付加反応した後にラジカル重合する2段階の反応により架橋共重合体を得ることを特徴とするポリマーの製造方法。
 少なくとも1種の酸性水溶性標的物質に対する特異的認識部位を有するポリマーの製造方法であって、該特異的認識部位が以下の(1)および(2)の工程を含む分子インプリンティング法により水溶液中で形成されることを特徴とするポリマーの製造方法。
(1)少なくとも1種の鋳型分子の存在下で、該鋳型分子との相互作用が可能な少なくとも1種のアミノ基および/またはイミノ基を有するポリマーと不飽和カルボニル架橋剤とをマイケル付加反応した後にラジカル重合する2段階の反応により架橋共重合体を得る工程
(2)工程(1)で得られた架橋共重合体から鋳型分子を遊離除去して該鋳型分子に対する特異的認識部位を形成する工程
 前記アミノ基および/またはイミノ基を有するポリマーが、アミノ基および/またはイミノ基以外に、酸性水溶性標的物質と部分的に結合できる1種以上の官能基を有するポリマーである請求項12または13に記載のポリマーの製造方法。
 請求項1~11のいずれか1項に記載のポリマーを含む酸性水溶性標的物質吸着剤。
 請求項1~11のいずれか1項に記載のポリマーを用いて酸性水溶性標的物質を選択的に分離または除去する方法。
Description:
酸性水溶性標的物質吸着ポリマ 及びその製造方法

 本発明は、酸性水溶性標的物質を選択的 吸着するポリマー及び酸性水溶性標的物質 対する特異的認識部位を有するポリマー、 れらの製造方法、並びに酸性水溶性標的物 の吸着剤に関する。

 標的物質の構造及び特性に基づく、標的 質の選択的分離技術は、各種の産業、並び 化学及び生物学の研究等に不可欠の技術で る。選択的分離技術において、分子インプ ンティング(molecular imprinting)法は、最も重 な方法の1つである(例えば、非特許文献1参 )。分子インプリンティング法で得られる分 インプリンテッドポリマー(molecularly imprinte d polymer、以後MIPとも言う。)は、官能基を有 る重合可能な分子を鋳型分子の存在下で重 させ、次いで、該鋳型分子を取り除くこと より、鋳型分子に相補的な特異的結合部位 有する特徴をもつ。

 MIPは、現在までに生物抗体の代替として 例えば、医療物質のクロマトグラフィー分 、環境由来または生物由来試料の前処理用 相抽出、イムノアッセイでの人工抗体、お び構造特異性検出用のバイオセンサ用デバ スへの適用などが検討されている。

 一般的に、MIPの調製は、有機溶剤中で水 結合による相互作用を利用して行われる。 たがって、水溶性化合物に対するMIPを有機 剤中で調製することは、困難である。また 有機溶剤中で調製したMIPを水溶液中で使用 ると、ポリマーが収縮することでMIPの鋳型 子に対する特異的認識能が低下するという 題がある。さらに、水分子は物質間の水素 合を解離する特徴があるために、水中でのM IPの調製、及び、使用は非常に困難である。 に、水溶液中では、疎水性相互作用による ポリマーマトリックス表面への非選択的な 着が生じやすい傾向にある。

 近年、水溶液中で調製された新規なMIPと て、アクリロイルシクロデキストリンとビ アクリルアミドを用いて調製されたもの(非 特許文献2参照)や、ポリエチレングリコール アクリレートを用いて官能基間距離固定化 により調製されたもの(特許文献1参照)が報 されている。これらのMIPは、ある程度の鋳 分子に対する選択的な吸着を示している。

 しかしながら、非特許文献1の製造方法で は、過剰の機能性モノマーを用いてMIPを製造 するため、MIPの鋳型分子に対する認識部位が 均質でないと考えられる。また、特許文献1 製造方法では、有機溶剤中でイオン相互作 を形成してMIPを製造するため、有機溶剤中 官能基間距離は水溶液中での官能基間距離 は異なると考えられる。したがって、これ の方法ではインプリント効果が十分でない 考えられる。また、これらの方法では、芳 族等の疎水性骨格を有しない水溶性化合物 対しては利用することができないという問 がある。

 ところで、近年、慢性人工透析患者数は2 0万人を超え、年々増加傾向にある。このよ に多数の慢性腎不全症患者があるにも関わ ず、根本的治療法はなく、延命を目的とし 対症療法の血液透析療法しかないのが現状 ある。慢性腎不全の血液透析療法としては セルロース系天然高分子物質、並びにポリ ルホン及びポリメタクリ酸メチルなどの合 高分子物質を素材とした中空糸膜型人工腎 を使用して、患者の血液中に産出、蓄積さ た尿毒症関連物質などの有害物質を除去す のが一般的である。

 中空糸膜壁には直径:10~100nm程度の微細孔 貫通するように作製されており、この孔か 有害物質は浸透圧差によって血液側から透 液側に移行する。現在、中空糸膜の性能は 常に向上しており、尿素及びクレアチニン どの低分子量物質(500ダルトン以下)ばかり なく、中分子量物質(500~5000ダルトン)、ある は分子量が1万ダルトン以上の低分子量蛋白 質を慢性腎不全患者から透析によって除去で きるようになっている。

 しかしながら、分子量の大きな病因物質 除去できる中空糸膜は、膜の構造と透過性 工学的根拠から、生体にとって必須である ルモン、ビタミン、アミノ酸及び水を体外 除去し過ぎる傾向がある。そのため、人工 析を長く使用していると、これらが原因で ・関節障害、貧血、血圧低下などの様々な 併症を引き起こすこととなる。

 上述のように、現在の中空糸膜による慢 腎不全の治療法では、溶質の選択的除去能 不十分な点が多く、生体に必須の低分子量 質も透析によって体外に失われるという問 がある。しかし、これまでのところ、透析 療ではこの問題の対処策は見出されていな 。また、一般的な血液透析療法では病院で 患者の束縛時間が非常に長く、社会的活動 負担が大きいという問題もある。

B.Sellergren,:Molecularly imprinted polymers: man  made mimic of antibodies and their application,Elsevie r Science(2001) H.Asanuma,T.Akiyama,K.Kajiyama,T.Hishiya and N.Komiy ama,Anal.Chim.Acta,2001,435,25

特開2006-137805号公報

 本発明は、上記を鑑み、尿酸およびクレ チンのような窒素代謝老廃物質、ヌクレオ ド並びにアミノ酸等の酸性水溶性標的物質 選択的に吸着するポリマー及び酸性水溶性 的物質に対する特異的認識部位を有するポ マー、それらの製造方法、並びに酸性水溶 標的物質の吸着剤を提供することを課題と る。

 本発明者は、前記課題を達成するために 意研究を重ねた結果、アミノ基および/また はイミノ基を有するポリマーと不飽和カルボ ニル架橋剤とをマイケル付加反応した後にラ ジカル重合する2段階の反応により架橋した 造のポリマーは酸性水溶性標的物質を選択 に吸着することができることを見出した。

 また、アミノ基および/またはイミノ基を 有するポリマーと不飽和カルボニル架橋剤と をマイケル付加反応した後にラジカル重合す る2段階の反応と、分子インプリンティング とを組合わせて調製したポリマーは、酸性 溶性標的物質に対する親和性が高く、特異 に酸性水溶性標的物質を認識して吸着する とができることを見出し、本発明の完成に った。すなわち、本発明は下記の通りであ 。

1.少なくとも1種の酸性水溶性標的物質を選択 的に吸着するポリマーであって、アミノ基お よび/またはイミノ基を有するポリマーと不 和カルボニル架橋剤とをマイケル付加反応 た後にラジカル重合する2段階の反応により 橋した構造であることを特徴とするポリマ 。
2.少なくとも1種の酸性水溶性標的物質に対す る特異的認識部位を有するポリマーであって 、該特異的認識部位が以下の(1)および(2)の工 程を含む分子インプリンティング法により水 溶液中で形成されることを特徴とするポリマ ー。
(1)少なくとも1種の鋳型分子の存在下で、該 型分子との相互作用が可能な少なくとも1種 アミノ基および/またはイミノ基を有するポ リマーと不飽和カルボニル架橋剤とをマイケ ル付加反応した後にラジカル重合する2段階 反応により架橋共重合体を得る工程
(2)工程(1)で得られた架橋共重合体から鋳型分 子を遊離除去して該鋳型分子に対する特異的 認識部位を形成する工程
3.前記鋳型分子が、酸性水溶性標的物質、ま は該酸性水溶性標的物質の擬似分子である 項2に記載のポリマー。
4.前記アミノ基および/またはイミノ基を有す るポリマーが、酸性水溶性標的物質と相互作 用可能な1種以上の官能基で修飾されたポリ ーである前項1~3のいずれか1項に記載のポリ ー。
5.前記酸性水溶性標的物質と相互作用可能な 能基が、ジアミノトリアジン誘導体、ジア ノピリダジン誘導体、グアニジン誘導体、 ミダゾール誘導体、ポルフィリン誘導体お びシクロデキストリン誘導体のいずれか1で あることを特徴とする前項4に記載のポリマ 。
6.前記酸性水溶性標的物質が窒素代謝老廃物 、ヌクレオチドおよびアミノ酸のいずれか1 であることを特徴とする前項1~5のいずれか1 に記載のポリマー。
7.前記窒素代謝老廃物質が尿酸であることを 徴とする前項6に記載のポリマー。
8.前記不飽和カルボニル架橋剤が2つ以上の不 飽和カルボニル基を有することを特徴とする 前項1~7のいずれか1項に記載のポリマー。
9.前記アミノ基および/またはイミノ基と前記 不飽和カルボニル基とのモル比が0.15~1.35であ ることを特徴とする前項8に記載のポリマー
10.前記特異的認識部位により酸性水溶性標的 物質と部分的に結合できることを特徴とする 前項2~9のいずれか1項に記載のポリマー。
11.水溶液中で酸性水溶性標的物質を選択的に 吸着する前項1~10のいずれか1項に記載のポリ ー。
12.少なくとも1種の酸性水溶性標的物質を選 的に吸着するポリマーの製造方法であって 該酸性水溶性標的物質との相互作用が可能 少なくとも1種のアミノ基および/またはイミ ノ基を有するポリマーと不飽和カルボニル架 橋剤とをマイケル付加反応した後にラジカル 重合する2段階の反応により架橋共重合体を ることを特徴とするポリマーの製造方法。
13.少なくとも1種の酸性水溶性標的物質に対 る特異的認識部位を有するポリマーの製造 法であって、該特異的認識部位が以下の(1) よび(2)の工程を含む分子インプリンティン 法により水溶液中で形成されることを特徴 するポリマーの製造方法。
(1)少なくとも1種の鋳型分子の存在下で、該 型分子との相互作用が可能な少なくとも1種 アミノ基および/またはイミノ基を有するポ リマーと不飽和カルボニル架橋剤とをマイケ ル付加反応した後にラジカル重合する2段階 反応により架橋共重合体を得る工程
(2)工程(1)で得られた架橋共重合体から鋳型分 子を遊離除去して該鋳型分子に対する特異的 認識部位を形成する工程
14.前記アミノ基および/またはイミノ基を有 るポリマーが、アミノ基および/またはイミ 基以外に、酸性水溶性標的物質と部分的に 合できる1種以上の官能基を有するポリマー である前項12または13に記載のポリマーの製 方法。
15.前項1~11のいずれか1項に記載のポリマーを む酸性水溶性標的物質吸着剤。
16.前項1~11のいずれか1項に記載のポリマーを いて酸性水溶性標的物質を選択的に分離ま は除去する方法。

 本発明のポリマーは、酸性水溶性標的物 に対する優れた吸着性を有しており、生体 似環境においても、酸性水溶性標的物質の をより選択的に吸着する性能を発現するた 、生体必須成分を除去することなく、迅速 酸性水溶性標的物質のみを排除することが 能である。したがって、本発明のポリマー 主成分とする酸性水溶性標的物質の吸着剤 、従来の血液透析に比べて、合併症を引き こすような血中栄養分の低下の抑制、及び 会的活動の負担の低減が可能であることか 、透析療法の代替として極めて有用である

実施例1-1のポリマーによる尿酸吸着速 を示す。 DAT-PALAの 1 H-NMRスペクトルを示す。

 本発明は、酸性水溶性標的物質を選択的 吸着するポリマーを提供する。ここで、本 明において「酸性水溶性標的物質」とは、 性官能基を含む水溶性化合物である。該酸 官能基としては、例えば、リン酸基、スル ン基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、 ミノ基、アミド基、エステル基およびウレ ン基等が挙げられる。

 前記酸性水溶性標的物質としては、例え 、尿酸、クレアチニンおよびビリルビン等 窒素代謝老廃物質(窒素を含む化合物の代謝 によって生じた老廃物)、馬尿酸等の代謝物 、ウリジン、シチジン、アデノシンおよび アノシン等のヌクレオシド、ヌクレオシド 5’-一リン酸化されたヌクレオチド、ヌクレ オチドの共重合体であるポリヌクレオチドや オリゴヌクレオチド、ヌクレオシドに5’-二 ン酸化されたヌクレオシド二リン酸、ヌク オシドに5’-三リン酸化されたヌクレオシ 三リン酸、アスパラギン酸、チロシン、セ ンおよびアラニン等のアミノ酸、アミノ酸 基からなるポリペプチド、オリゴペプチド コール酸等の胆汁酸、2,4-ジクロロフェノキ 酢酸等の農薬、並びにビスフェノールA等の 内分泌撹乱物質等が挙げられる。

 また、酸性水溶性標的物質の擬似分子と 、その主たる骨格が同一または類似し、他 分子と相互作用する官能基を含む骨格が同 または類似する分子を言う。例えば、UMP(ウ リジン5’-一リン酸)とAMP(アデノシン5’-一リ ン酸)とは主たる五単糖の骨格が同一であり 相互作用に寄与するリン酸基を同一とする のであり、両者は擬似分子である。

 本発明のポリマーを慢性腎不全の透析療 の代替として用いる場合、酸性水溶性標的 質は、窒素代謝老廃物質、好ましくは尿酸 あることが好ましい。

 本発明において、「選択的に吸着する」 は標的物質を優先的に吸着することを言う 本発明のポリマーによる酸性水溶性標的物 に対する選択的な吸着は、分光光度計によ 吸光度の測定、高速液体クロマトグラフィ による溶離速度等により測定することがで る。

 本発明の酸性水溶性標的物質を選択的に 着するポリマーは、アミノ基および/または イミノ基を有するポリマーと不飽和カルボニ ル架橋剤とをマイケル付加反応(第1段階目の 応)した後に、ラジカル重合(第2段階目の反 )する2段階の反応により架橋した構造であ 。アミノ基および/またはイミノ基を有する リマーと不飽和カルボニル架橋剤とを当該2 段階の反応により架橋させることにより、強 固且つ高性能な特異的認識部位を有する架橋 共重合体を得ることができる。

〔第1段階目の反応:マイケル付加反応〕
 第1段階目の反応であるマイケル付加反法で は、アミノ基および/またはイミノ基を有す ポリマー及び不飽和カルボニル架橋剤等の 応成分と鋳型分子を重合溶剤に溶解させた 、アミノ基および/またはイミノ基を有する リマーと不飽和カルボニル架橋剤を付加反 させて、架橋共重合体を得る。

 マイケル付加反応は、通常は、アミノ基 よび/またはイミノ基を有するポリマーを重 合溶剤に溶解させたポリマー溶液と、ポリマ ー溶液を、不飽和カルボニル架橋剤を重合溶 剤に溶解させた架橋剤溶液と合わせて、攪拌 後、暗所で静置して反応させる。攪拌方法且 つ時間は、特に限定されず、完全に混合させ ることが目的である。マイケル付加反応の反 応温度は4~90℃が好ましく、4~35℃がより好ま い。また、反応時間は、1時間以上が好まし く、12時間以上(通常48時間以下)がより好まし い。

(アミノ基および/またはイミノ基を有するポ マー)
 本発明のポリマーはアミノ基および/または イミノ基を有することにより、酸性水溶性標 的物質と相互作用できる。アミノ基および/ たはイミノ基を有するポリマーとしては、 えば、第1級および/または第2級アミノ基を するアリルアミンをモノマーとして用いる リルアミン系重合体(例えば、ポリアリルア ン、およびアミノ基が一部アセチル化また アルキル化されたポリアリルアミン等)、ア ルキレンイミン系重合体、ビニルアミン系重 合体、リジン系重合体、キトサン、並びに第 1級および/または第2級アミノ基もしくはイミ ノ基を複数有するポリマー等が挙げられる。

 前記アミノ基および/またはイミノ基を有 するポリマーのなかでも、マイケル付加反応 を効率良く行ない、酸性水溶性標的物質と静 電的相互作用を効率良く発現する重量平均分 子量20,000以下、好ましくは18,000以下(通常1000 上)のポリアリルアミンが好適に用いられる 。アミノ基および/またはイミノ基を有する リマーは、単独で用いても、複数種を組み わせて用いてもよい。

 本発明では、アミノ基および/またはイミ ノ基を有するポリマーは重合溶剤に溶解させ てポリマー溶液として用い、該ポリマー溶液 を、不飽和カルボニル架橋剤を重合溶剤に溶 解させた架橋剤溶液と合わせて、マイケル付 加反応溶液とすることが好ましい。該ポリマ ー溶液中のポリマー濃度は5~40質量%が好まし 、5~20質量%がより好ましい。ポリマーの濃 が40質量%より大きいと溶液粘度が高くなり 扱いが困難になる。

 また、マイケル付加反応溶液中のアミノ および/またはイミノ基を有するポリマーの 濃度は2~15質量%とすることが好ましく、3~6質 %とすることがより好ましい。

(不飽和カルボニル架橋剤)
 本発明のポリマーは、アミノ基および/また はイミノ基と不飽和カルボニル架橋剤とをマ イケル付加反応で架橋することで、酸性水溶 性標的物質に対する特異的認識部位を形成す るだけでなく、特異的認識部位に要しないア ミノ基および/またはイミノ基をキャップす ことができる。これにより、過剰の官能基 よる非選択的吸着を抑えることが可能とな 。

 前記不飽和カルボニル架橋剤は2つ以上の 不飽和カルボニル基を有する化合物であるこ とが好ましい。かかる不飽和カルボニル架橋 剤としては、例えば、N,N’-ビスアクリロイ ピペラジン、N,N’-エチレンビスアクリルア ド、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、ポ リエチレングリコールジ(メタ)アクリレート エチレングリコールジ(メタ)アクリレート よびトリメチロールプロパントリメタクリ ート等が挙げられる。不飽和カルボニル架 剤は、単独で用いても、複数種を組み合わ て用いてもよい。

 前記アミノ基および/またはイミノ基と不 飽和カルボニル架橋剤との配合比は、特に限 定されないが、(アミノ基および/またはイミ 基)/(不飽和カルボニル架橋剤の不飽和カル ニル基)のモル比を0.15~1.35とすることが好ま しく、より好ましくは0.25~0.66である。

 前記(アミノ基および/またはイミノ基)/( 飽和カルボニル架橋剤の不飽和カルボニル )のモル比が1.35より大きいと、アミノ基およ び/またはイミノ基が十分に不飽和カルボニ 基と反応ができず、残存アミノ基および/ま はイミノ基によって生体必須成分の吸着が 加する傾向にある。なお、当該モル比が0.15 より小さいと、ポリマー内で特異的認識部位 を形成できるアミノ基および/またはイミノ の数が少なくなり、酸性水溶性標的物質の 択的吸着が発揮することができなくなる傾 にある。

 また、マイケル付加反応においては、得 れる本発明のポリマーの吸着選択性を向上 せるために、必要に応じて、不飽和カルボ ル架橋剤以外の不飽和カルボニル化合物を 時又は後に反応させてもよい。かかる不飽 カルボニル化合物としては、例えば、2-ヒ ロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロ ール(メタ)アクリレート、N-ビニルピロリド 、アクリルアミドおよびアルキル(メタ)アク リレート等が挙げられる。

(重合溶剤)
 重合溶剤としては、例えば、水、メタノー およびエタノール等のアルコール類、並び ジメチルホルムアミド等の有機溶剤等が挙 られ、中でも水が好ましい。溶剤として水 液を用いることで、高親水性のポリマーが られ、疎水性相互作用による非選択的吸着 抑えることができる。重合溶剤は、単独で いても、複数種を組み合わせて用いてもよ 。

 マイケル付加反応溶液における重合溶剤 濃度は特に限定されないが、前記(ポリマー 溶液と上記架橋剤溶液で用いた重合溶剤の総 量)/(不飽和カルボニル架橋剤とアミノ基およ び/またはイミノ基を有するポリマーの総量) 1~9で用いられることが好ましい。重合溶剤 総量比が大きいと生体必須成分の吸着が増 する傾向にある。

 重合溶剤は、重合開始剤を含有する。重 開始剤としては、ビニル基を活性化させて ジカルを生じるラジカル重合開始剤であれ 特に限定されないが、例えば、2,2’-アゾビ ス(2-アミノジノプロパン)二塩酸塩、2,2’-ア ビス(N、N’-ジメチレンイソブチルアミジン )二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(N-アリルアミジ )プロパン]二硫酸塩、2,2’-アゾビス[2-メチ -N-(2-ヒドロキシエチル)-プロピオンアミド] よび4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸)な のアゾ化合物、過硫酸ナトリウムおよび過 酸アンモニウムなどの過硫酸塩、並びにt-ブ チルパーオキサイドおよびジスクシン酸パー オキサイドなどの有機過酸化物等が挙げられ る。これらの重合開始剤は、単独で用いても よいし、複数種を組み合わせて用いてもよい 。また、これらの重合開始剤には、例えば、 N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン等 重合促進剤を併用しても良い。

 重合開始剤と不飽和カルボニル架橋剤と 配合比は、特に限定されないが、十分な重 率でポリマーを得るためには、重合開始剤/ 不飽和カルボニル架橋剤のモル比が0.0025~0.02 あることが好ましく、より強固且つ高性能 架橋共重合体を得るためには0.004~0.01である ことが好ましい。

〔第2段階目の反応:ラジカル重合反応〕
 第2段階目の反応であるラジカル重合法では 、マイケル付加反応終了後、マイケル付加反 応溶液をラジカル重合させることにより、架 橋共重合体を得るものである。このことによ り、本発明のポリマーは酸性水溶性標的物質 に対する高い選択的吸着を水溶液中で実現す ることができる。

 前記ラジカル重合反応は、周知の方法を いることができ、例えば、40~120℃に加熱す 、または紫外線、電子線等の活性エネルギ 線を照射して実施することができる。活性 ネルギー線としては、紫外線が好ましい。

 紫外線照射によりラジカル重合する場合 、紫外線照射後に暗所に静置して反応させ 。この場合、反応温度を4~90℃とすることが 好ましく、4~15℃とすることがより好ましい また、反応時間は12時間以上が好ましく、18 間以上(通常36時間以下)がより好ましい。

 上記のようにして得られた架橋共重合体 、ボールミル、ハンマーミル、ジェットミ 、すり鉢等の方法で粉砕した後、特定の大 さのものを回収して用いても良い。また、 橋共重合体の形状は、特に特定されるもの はなく、上記粉砕物を回収しても良いし、 は、公知の粒子製造方法、例えば、懸濁重 法や分散重合法等を適用することにより、 め特定の粒子形状に重合しておいても良い

 本発明は、また、酸性水溶性標的物質に する特異的認識部位を有するポリマーを提 する。ここで、「特異的認識部位」とは、 リマーの認識対象となる酸性水溶性標的物 の鋳型に相当する部位であり、対象物質と る酸性水溶性標的物質に対して相補的な孔 部を意味する。

 前記特異的認識部位は、後述するように 子インプリンティング法により形成する。 のことにより、該特異的認識部位は、生体 似環境下でも酸性水溶性標的物質に対する 和性が高く、本発明の酸性水溶性標的物質 対する特異的認識部位を有するポリマーは 異的な酸性水溶性標的物質認識能を発現で る。

 また、本発明の酸性水溶性標的物質に対 る特異的認識部位を有するポリマーは、水 媒体との馴染が非常に良好であり、特定の 性水溶性標的物質との吸着を迅速に達成す ことができる。

 本発明の酸性水溶性標的物質に対する特 的認識部位を有するポリマーは、該特異的 識部位が以下の(1)マイケル付加反応および ジカル重合の2段階の反応により架橋共重合 体を得る工程、および(2)鋳型分子に対する特 異的認識部位を形成する工程を含む分子イン プリンティング法により水溶液中で形成され る。

 ここで、「分子インプリンティング法」 は、上述したように、官能基を有する重合 能な分子を鋳型分子の存在下で重合させ、 いで、該鋳型分子を取り除くことにより、 型分子に相補的な特異的結合部位を有する リマーを調製する方法である。

 本発明において、分子インプリンティン 法は水溶液中で行う。水溶液として重合溶 は、例えば、アミノ基および/またはイミノ 基を有するポリマーと鋳型分子である酸性水 溶性標的物質との相互作用を損なわず、各重 合成分を溶解することができ、かつ、多孔性 にするための溶剤(ポロジェン)となり得るも が好ましい。

 前記重合溶剤としては、上述したように 例えば、水、メタノールおよびエタノール のアルコール類、並びにジメチルホルムア ド等の有機溶剤等が挙げられ、中でも、血 や体液といった使用時環境の観点から、水 好ましい。重合溶剤は、単独で用いても、 数種を組み合わせて用いてもよい。

 以下、前記工程(1)および(2)について説明す 。
(1)マイケル付加反応およびラジカル重合の2 階の反応により架橋共重合体を得る工程
 この工程は、少なくとも1種の鋳型分子の存 在下で、該鋳型分子との相互作用が可能な少 なくとも1種のアミノ基および/またはイミノ を有するポリマーと不飽和カルボニル架橋 とをマイケル付加反応した後にラジカル重 する、2段階の反応により架橋共重合体を得 る工程である。

 前記「鋳型分子」とは、酸性水溶性標的 質を言う。また、前記「相互作用」として 、例えば、イオン結合、水素結合、ファン ルワールス力、配位結合、静電相互作用、 極子相互作用、π-πスタッキング等による 子間相互作用が挙げられる。

 前記ポリマー中のアミノ基および/または イミノ基は、鋳型分子と相互作用することで 、特異的結合部位の相互作用点として機能で きる。また、当該アミノ基および/またはイ ノ基がマイケル付加反応可能な不飽和カル ニル架橋剤と反応することで、特異的認識 位に要しないアミノ基および/またはイミノ を架橋点として機能できる。このため、本 明の酸性水溶性標的物質に対する特異的認 部位を有するポリマーは、非選択的吸着を えるだけでなく、酸性水溶性標的物質に対 て高い選択的吸着能を発揮できることとな 。

 前記ポリマーは、アミノ基および/または イミノ基以外に、酸性水溶性標的物質と相互 作用できる1種以上の官能基を有することも きる。これにより、上記標的物質と多点且 特異的に相互作用することが可能となり、 ミノ基および/またはイミノ基のみを用いた 合よりも、上記標的物質に対して強い選択 吸着能を発揮できる。

 前記酸性水溶性標的物質と部分的に結合 きる官能基としては、標的物質と相互作用 能であれば特に限定されないが、例えば、 アミノトリアジン誘導体、ジアミノピリジ 誘導体、グアニジン誘導体、イミダゾール 導体、ポルフィリン誘導体、シクロデキス リン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン 導体、トリアゾール誘導体、ピロール誘導 、インドール誘導体、プリン誘導体および ミド誘導体等が挙げられる。

 前記官能基は対応する化合物の骨格を有 る置換基であればよく、これらの中でも特 ジアミノトリアジン誘導体[下式(1)]、ジア ノピリジン誘導体[下式(2)]、グアニジン誘導 体[下式(3)]、イミダゾール誘導体[下式(4)]、 ルフィリン誘導体[下式(5)]およびシクロデキ ストリン誘導体[下式(6)]が好ましく、イミド と多点で相互作用可能なジアミノトリアジ 誘導体(例えば、2,4-ジアミノ-s-トリアジン 導体)がより好ましい。

 工程(1)において、酸性水溶性標的物質/( ミノ基および/またはイミノ基)のモル比は0.0 5以上とすることが好ましく、より好ましく 0.075~0.125とする。当該モル比が0.05より小さ とポリマー内の特異的認識部位の存在数が なくなり、酸性水溶性標的物質の選択的吸 が発揮することができなくなる傾向にある

(2)鋳型分子に対する特異的認識部位を形成す る工程
 工程(2)は、工程(1)で得られた架橋共重合体 ら鋳型分子を遊離除去して該鋳型分子に対 る特異的認識部位を形成する工程である。

 鋳型分子である酸性水溶性標的物質を架 重合体から遊離除去する方法としては、例 ば、親水性溶剤で洗浄する方法が挙げられ 。親水性溶剤としては、例えば、水酸化ナ リウム水溶液、ピリジン、ジメチルホルム ミド、メタノール、エタノール、アセトン よび水等が挙げられる。これらの溶剤は単 で用いても、複数種を組み合わせて用いて よい。

 酸性水溶性標的物質を架橋重合体から遊離 去する方法の具体例として、例えば、以下 工程(a)および(b)を含む方法が挙げられる。
(a)水酸化ナトリウム水溶液を用いた場合、0.5 mol/lの水酸化ナトリウム水溶液に架橋重合体 混合して攪拌し、上澄みに酸性水溶性標的 質が検出されなくなるまで繰り返し液を入 替えて洗浄する。
(b)超純水で溶液を置換し、上澄み液のpHが7以 下になるまで繰り返し液を入れ替えて脱塩し た後、凍結乾燥して、酸性水溶性標的物質特 異的認識ポリマーを得る。

 また、本発明の方法により重合体を得る 程を更に詳しく説明する具体例として、以 の工程(A)~(D)を含む方法を挙げるが、重合体 を得る工程はこの具体例に限られるわけでは ない。

(A)重合溶剤としての水に、酸性水溶性標的物 質(例えば、尿酸)を通常75mmol/l以上、好まし は100mmol/l以上と、アミノ基および/またはイ ノ基を有するポリマーとしてのポリアリル ミンを通常5~40質量%、好ましくは5~20質量%の 濃度で溶解させてポリマー溶液を調製する。
(B)重合溶剤としての水に、不飽和カルボニル 架橋剤(例えば、N,N’-ビスアクリロイルピペ ジン)及び重合開始剤[例えば、2,2’-アゾビ (2-アミノジノプロパン)二塩酸塩]を溶解さ て架橋剤溶液を調製する。
(C)(A)で調製したポリマー溶液に、(B)で調製し た架橋剤溶液を添加し、30秒間攪拌を行った 、室温で16時間暗所に静置することで、マ ケル付加反応による1段階目の架橋反応を行 。
(D)4℃にて24時間紫外線を照射して、ラジカル 重合反応による2段階目の架橋反応を行う。 応後、塊状架橋共重合体をボールミルによ 粉砕する。

 本発明のポリマーは、特異的認識部位に り酸性水溶性標的物質と部分的に結合でき ことがより好ましい。酸性水溶性標的物質 部分的に結合できることにより、本発明の リマーは、2種以上の酸性水溶性標的物質と も結合できるように設計することが可能とな り、より効率良く酸性水溶性標的物質を吸着 することができる。

 本発明は、本発明のポリマーを含む酸性 溶性標的物質吸着剤を提供する。本発明の 着剤は、本発明の酸性水溶性標的物質を選 的に吸着するポリマーまたは酸性水溶性標 物質に対する特異的認識部位を有するポリ ーを主成分とするものであり、物理的又は 学的に適合し得る1種類以上の吸着剤と混合 しても良い。かかる吸着剤としては、例えば 、活性炭、活性炭素繊維、カーボンブラック 、シリカゲル、活性アルミナおよびゼオライ ト等が挙げられる。

 本発明の吸着剤を、酸性水溶性標的物質 着の用途に用いる場合、特に限定されない 、例えば、吸着剤を吸着器の充填剤として いて、その充填剤に酸性水溶性標的物質を む溶液を加えて酸性水溶性標的物質のみを 択的に分離または除去することができる。

 また、酸性水溶性標的物質を含む溶液に 着剤を加えて、ろ過又はデカントして、酸 水溶性標的物質が吸着している吸着剤を除 して、該溶液から酸性水溶性標的物質を選 的に分離または除去することもできる。

 以下に実施例を揚げて本発明を更に詳し 説明するが、本発明はこれらの実施例のみ 限定されるものではない。

[実施例1-1]
〔ポリマー溶液の調製〕
 ガラス製ネジ付き試験管中で、10質量%に調 した分子量15,000のポリアリルアミン水溶液( 1g当りのアミノ基総量は17.5mmol)(日東紡製)(PALA 15)1.2ml(アミノ基2.14mmol)に尿酸(シグマ・アル リッチ社)36.0mg(0.21mmol)を添加して尿酸を溶解 させた。その後、窒素ガスを5分間バブリン してポリマー溶液を調製した。

〔マイケル付加反応〕
 N,N’-ビスアクリロイルピペラジン(シグマ アルドリッチ社)416.4mg(2.14mmol)と2,2’-アゾビ (2-アミジノプロパン)二塩酸塩2.9mg(0.017mmol)( グマ・アルドリッチ社)を水2.7mlに溶解させ 窒素ガスを5分間バブリングして架橋剤溶液 を調製した。該架橋剤溶液を前記ポリマー溶 液に添加し、この状態で30秒間攪拌を行った 攪拌終了後、室温で16時間暗所に静置する とで、マイケル付加反応による1段階目の架 反応を行った。

〔ラジカル重合反応〕
 その後、4℃で24時間ブラックライトにより 外線を照射して、ラジカル重合反応による2 段階目の架橋反応を行い、前記1段階目の架 反応後よりも強固な塊状架橋共重合体を得 。

 前記塊状架橋共重合体をボールミルによ 粉砕した後、用いた尿酸を除去するために0 .5mol/l 水酸化ナトリウム水溶液で充分に洗浄 した。続いて、水でpH7になるまで洗浄した。 遠心分離(6000rpm、15分)により上澄液を回収後 沈殿物を凍結乾燥し、酸性水溶性標的物質( 尿酸)選択的吸着ポリマーの粒子を得た。

[実施例1-2]
 尿酸を配合しなかったこと以外は、実施例1 -1と同様にしてポリマー粒子を調製した。

[比較例1-1]
〔ポリマー溶液の調製〕
 ガラス製ネジ付き試験管に、10質量%に調製 た分子量15,000のポリアリルアミン水溶液(日 東紡製)(PALA15)1.2mlと尿酸(シグマ・アルドリッ チ社)36.0mg(0.21mmol)を添加して尿酸を溶解させ 。その後、窒素ガスを5分間バブリングして ポリマー溶液を調製した。

〔マイケル付加反応〕
 水2.7mlにN,N’-ビスアクリロイルピペラジン4 16.4mg(2.14mmol)(シグマ・アルドリッチ社)と2,2’ -アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩2.9mg(0 .0107mmol)(シグマ・アルドリッチ社)を溶解させ 、窒素ガスを5分間バブリングして架橋剤溶 を調製した。この架橋剤溶液を上記ポリマ 溶液に添加し、この状態で30秒間攪拌を行っ た。攪拌終了後、室温で16時間暗所に静置す ことで架橋反応を行った。

 前記マイケル付加反応による1段階目の架 橋反応のみを実施した架橋共重合体をボール ミルにより粉砕した後、用いた尿酸を除去す るために0.5mol/l 水酸化ナトリウム水溶液で 分に洗浄した。続いて、水でpH7になるまで 浄した。遠心分離(6000rpm、15分)により上澄液 を回収後、沈殿物を凍結乾燥し、ポリマー粒 子を調製した。

[比較例1-2]
 尿酸を配合しなかったこと以外は、比較例1 -1と同様にしてポリマー粒子を調製した。

[参考例1-1]
 市販活性炭(アルドリッチ社製;粒径2-12μm)

[尿酸吸着性能評価]
 0.2mmol/lの尿酸(シグマ・アルドリッチ社)を む1mmol/lの食塩水1mlに、実施例1-1および1-2、 較例1-1および1-2、並びに参考例1-1の各粒子 10mgを添加した。室温で16時間インキュベー した後、遠心分離(4000rpm、10分、室温)して被 険液を得た。得られた各被険液について、尿 酸の特徴的な290nmの吸収を分光光度計(ベック マン・コールター社、DU800)にて測定すること により、残存尿酸を定量し、その結果から尿 酸吸着量を算出した。その結果を表1に示す

 表1から明らかなように、実施例1-1のポリ マーは、分子インプリンティング法および2 階反応(マイケル付加反応およびラジカル重 反応)によってポリマー内に尿酸に対する特 異的認識部位を形成させることで、同じ樹脂 組成で分子インプリンティング法を行わず2 階反応によりポリマーを調製した実施例1-2 ポリマーに比べて尿酸の高い吸着性能を示 た。

 また、分子インプリンティング法および イケル付加反応でポリマーを調製した比較 1-1も、同じ組成で分子インプリンティング を行わずにマイケル付加反応のみでポリマ を調製した比較例1-2に比べて、尿酸に対す 高い吸着性能を示した。これらのことから 分子インプリンティング法によりポリマー 調製することにより、酸性水溶性標的物質 対して高い吸着性能を示すポリマーが得ら ることが分かった。

 一方、2段階反応のうち1段階目のマイケ 付加反応のみでアミノ基を有するポリマー 不飽和カルボニル架橋剤で架橋した比較例1- 1および1-2のポリマーは、マイケル付加反応 ラジカル重合との2段階反応で架橋した実施 1-1および1-2のポリマーよりも低い尿酸吸着 であった。このことから、当該2段階反応に より架橋させることにより、酸性水溶性標的 物質に対して高い吸着性能を示すポリマーが 得られることが分かった。

[特異的認識性能評価1]
 生体にとって必須成分であるビタミンB 3 (ニコチン酸アミド)(シグマ・アルドリッチ社 )0.2mmol/lを含む1mmol/lの食塩水 1mlに、実施例1- 1および1-2、比較例1-1および1-2、並びに参考 1-1の各粒子 10mgを添加した。室温で16時間イ ンキュベートした後、遠心分離(4000rpm、10分 室温)して被険液を得た。得られた被険液に いて、ビタミンB 3 の特徴的な260nmの吸収を分光光度計(ベックマ ン・コールター社、DU800)にて測定することに より、残存ビタミンB 3 を定量し、その結果からビタミンB 3 吸着量を算出した。その結果を表1に示す。

 表1から明らかなように、実施例1-1および1-2 、並びに比較例1-1および1-2のポリマーは、参 考例1-1に比べて、ビタミンB 3 に対する低い吸着性を示した。ここで、尿酸 吸着性能評価では、表1に示すように、参考 1-1は、実施例1-1および1-2のポリマーと比較 て、酸性水溶性標的物質(尿酸)に対する高い 吸着性能を示したが、生体必須成分のビタミ ンB 3 に対しても高い吸着性能を示した。これらの ことから、実施例1-1および1-2のポリマーは、 酸性水溶性標的物質に対して高い吸着性能を 示し、ビタミンB 3 に対しては低い吸着性を示すことが確認され た。

[特異的認識性能評価2]
 生体にとって必須成分であり、尿酸の類似 造を有するビタミンB 2 (リボフラビン)(シグマ・アルドリッチ社) 0.0 8mmol/lを含む1mmol/lの食塩水 1mlに、実施例1-1 よび1-2、比較例1-1および1-2、並びに参考例1- 1の各粒子10mgを添加した。室温で16時間イン ュベートした後、遠心分離(4000rpm、10分、室 )して被険液を得た。得られた被険液につい て、ビタミンB 2 の特徴的な264nmの吸収を分光光度計(ベックマ ン・コールター社、DU800)にて測定することに より、残存ビタミンB 2 を定量し、その結果からビタミンB 2 吸着量を算出した。その結果を表1に示す。

 表1から明らかなように、実施例1-1および1-2 のポリマーは、特異的認識部位が形成されて いないビタミンB 2 に対して、参考例1-1に比べて低い吸着性を示 した。参考例1-1は、実施例1-1および1-2のポリ マーと比較して、酸性水溶性標的物質に対す る高い吸着性能を示したが、生体必須成分の ビタミンB 2 に対しても高い吸着性能を示した。

 また、マイケル付加反応とラジカル重合 の2段階反応により架橋した実施例1-1のポリ マーは、1段階目のマイケル付加反応でのみ 橋した比較例1-1および1-2のポリマーに比べ 低い吸着性を示し、2段階架橋によって高い 択的吸着性能を付与できることが分かった

 これらのことから、実施例1-1および1-2の リマーは、比較例1-1および1-2のポリマー並 に参考例1-1と比較して、酸性水溶性標的物 に対する高い特異的認識性能を有すること 分かった。すなわち、2段階反応により架橋 させて調製したポリマーは酸性水溶性標的物 質に対する高い特異的認識性能を有すること が分かった。

 また、分子インプリンティング法と2段階 反応により架橋させた実施例1-1のポリマーは 、2段階反応のみで架橋させた実施例1-2のポ マーと比較して、高い尿酸吸着量を示した このことから、分子インプリンティング法 2段階反応を組合わせることにより、酸性水 性標的物質に対する高い特異的認識性能が り向上することが分かった。

[吸着速度評価]
 0.2mmol/lの尿酸を含む1mmol/lの食塩水1mlに、実 施例1-1の粒子10mgを添加した。室温で0.5、0.7 3、11、16時間インキュベートした後、遠心分 離(10,000rpm、1分、室温)して被険液を得た。得 られた被険液について、尿酸の特徴的な290nm 吸収を分光光度計(ベックマン・コールター 社、DU800)にて測定することにより、残存尿酸 を定量し、その結果から尿酸吸着速度を考察 した。その結果を図1に示す。

 図1から明らかなように、実施例1-1のポリ マーにより、酸性水溶性標的物質の吸着が1 間以内に飽和した。このことから、一般的 血液透析治療では1回3時間以上必要であるこ とを考えると、本発明のポリマーは、迅速な 吸着性能を発揮できることが期待される。

[実施例2-1~2-9]
(アミノ基および/またはイミノ基を有するポ マー)
 アミノ基および/またはイミノ基を有するポ リマーとして、分子量3000のポリアリルアミ 水溶液(1g当りのアミノ基総量は17.5mmol)(日東 製)(以後、PALA03と省略する)、分子量15,000の リアリルアミン水溶液(1g当りのアミノ基総 は17.5mmol)(日東紡製)(以後、PALA15と省略する) および2,4-ジアミノ-s-トリアジン基(以後、DAT と省略する)を有するポリアリルアミン(以 、DAT-PALAと省略する)を使用した。DAT-PALAは以 下のように合成した。

・DAT-PALAの合成
 フラスコに、40質量%に調製したPALA03 5ml(ア ノ基総量 35mmol)、0.5mol/lの水酸化ナトリム 溶液 20ml、2,4-ジアミノ-6-クロロ-s-トリアジ (以後、Cl-DATと省略する) 1.018mg(7mmol)を加え 攪拌混合した。得られた混合液を110℃に昇 させ、このまま48時間攪拌および還流させ ことで、Cl-DATのアンモノリシス反応により 下式(7)に示すDAT-PALAを合成した。図2に得ら たDAT-PALAの 1 H-NMRスペクトルを示す。

 上記溶液を室温まで冷却し、不溶物を濾 除去した。得られた濾液を、60mlの強酸性陽 イオン交換樹脂(Amberlite、IR120、H型)および60ml の強塩基性陰イオン交換樹脂(Amberlite、IRA400 OH型)に通過させることで脱塩した。その濾 を凍結乾燥し、DAT-PALAを得た。

 得られたDAT-PALAの構造を、IRおよび 1 H-NMRにより確認した。DAT-PALAの合成に用いた 記ポリアリルアミンのアミノ基総量の20mol% DAT基を導入され、DAT-PALAの1g当りのアミノ基 量は15.2mmolであった。

(不飽和カルボニル架橋剤)
 不飽和カルボニル架橋剤として、N,N’-ビス アクリロイルピペラジン(以後、BAPと省略す )(シグマ・アルドリッチ社)、N,N’-エチレン スアクリルアミド(以後、EBAAと省略する)(シ グマ・アルドリッチ社)を使用した。

(重合開始剤)
 重合開始剤として、2,2’-アゾビス(2-アミジ ノプロパン)二塩酸塩(シグマ・アルドリッチ )を使用した。

(重合溶剤)
 重合溶剤として、超純水を使用した。

(鋳型分子)
 鋳型分子として、各酸性水溶性標的物質で る、ウリジン5’-一リン酸(以後、UMPと省略 る)(シグマ・アルドリッチ社)、アデノシン5 ’-一リン酸(以後、AMPと省略する)(シグマ・ ルドリッチ社)、N-カルボベンゾキシ-L-アス ラギン酸(以後、ZAspと省略する)(シグマ・ア ドリッチ社)、尿酸(シグマ・アルドリッチ )を使用した。

 下記手順により、表2に示す組成の各ポリマ ーを作製した。
〔ポリマー溶液の調製〕
 ガラス製ネジ付き試験管中で、10質量% 水 液(DAT-PALAは13.3質量%)に調製した、アミノ基 よび/またはイミノ基を有するポリマー溶液 鋳型分子を添加して溶解させた。その後、 素ガスを5分間バブリングしてポリマー溶液 を調製した。

〔マイケル付加反応〕
 重合溶剤に不飽和カルボニル架橋剤と重合 始剤を溶解させ、窒素ガスを5分間バブリン グして架橋剤溶液を調製した。この架橋剤溶 液を上記ポリマー溶液に添加し、この状態で 30秒間攪拌を行った。攪拌終了後、室温で16 間暗所に静置することでマイケル付加反応 よる1段階目の架橋反応を行った。

〔ラジカル重合反応〕
 その後、4℃で24時間ブラックライトにより 外線を照射して2段階目の架橋反応させるこ とにより、前記マイケル付加反応による1段 目の架橋反応後よりも強固な塊状架橋共重 体を得た。

 前記塊状架橋共重合体をボールミルによ 粉砕した後、用いた鋳型分子を除去するた に0.5mol/l 水酸化ナトリウム水溶液で充分に 洗浄した。続いて、超純水でpH7になるまで洗 浄した。遠心分離(6000rpm、10分)して上澄液を 収後、沈殿物を凍結乾燥し、各酸性水溶性 的物質に対する特異的認識部位を有する、 リマー粒子を得た。

[実施例2―10~2-15]
 表2に示すように、鋳型分子を配合しない限 りは、実施例2-1~2-9と同様の方法によって、 2に示す組成のポリマー粒子を得た。

[比較例2-1~2-4]
 比較例2-1および2-2では、一般的に実施され いる、機能性モノマーを使用した分子イン リンティング法によって表3に示す組成のポ リマーを作製した。また、比較例2-3および2-4 では、鋳型分子を配合しない限りは、比較例 2-1および2-2と同様の方法により、表3に示す 成の従来の架橋共重合体粒子を得た。

 比較例2-1および2-2のポリマー粒子並びに比 例2-3および2-4の架橋共重合体粒子の原料に 、以下を用いた。
鋳型分子:酸性水溶性標的物質である尿酸(シ マ・アルドリッチ社)
機能性モノマー:アリルアミン(ALA)(シグマ・ ルドリッチ社)、ビニルイミダゾール(VID)(シ マ・アルドリッチ社)
架橋剤:EBAA(シグマ・アルドリッチ社)
重合開始剤:2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパ )二塩酸塩(シグマ・アルドリッチ社)
重合溶剤:超純水

 表3に示す組成で、重合溶剤に機能性モノ マー、架橋剤、重合開始剤と鋳型分子を溶解 させ、窒素ガスを5分間バブリングして原料 合液を調製した。その後、4℃で24時間ブラ クライトにより紫外線を照射して架橋反応 せることにより、強固な塊状重合体を得た

 前記塊状重合体をボールミルにより粉砕 た後、用いた鋳型分子を除去するために0.5m ol/l水酸化ナトリウム水溶液で充分に洗浄し 。続いて、超純水でpH=7になるまで洗浄した 遠心分離(6000rpm、15分)して上澄液を回収後 沈殿物を凍結乾燥し、参考例2-1および2-2の リマー粒子並びに参考例2-3および2-4の架橋 重合体粒子を得た。

[UMP吸着性能評価]
 4本の2mlマイクロチューブに実施例2-1、2-2、 2-4および2-10の各粒子 10mgを入れ、UMP 0.01mmol/ lを含む1mmol/lの食塩水 1mlを添加した。室温 16時間インキュベートした後、遠心分離(4000r pm、10分、室温)して被険液を得た。得られた 険液について、UMPの特徴的な260nmの吸収を 光光度計(ベックマン・コールター社、DU800) て測定することにより、残存UMPを定量し、 の結果からUMP吸着量を算出した。

 また、分子インプリンティング法により付 されたUMP吸着向上効果を下式に従って算出 た。その結果を表4に示す。
UMP吸着向上効果(nmol/10mg)=A/B
A:実施例実施例2-1、2-2または2-4のUMP吸着量
B:実施例2-1、2-2および2-4と同じ樹脂組成であ 、実施例2-10のUMP吸着量

 表4から明らかなように、UMPに対する特異 的認識部位を有する実施例2-1のポリマーは、 同じ樹脂組成である実施例2-2、2-4および2-10 ポリマーに比べてUMPに対する高い吸着性能 示した。このことから、分子インプリンテ ング法によりポリマーを調製することによ 、酸性水溶性標的物質に対する、より高い 着向上効果が得られることが分かった。

 また、AMPに対する特異的認識部位を有す 実施例2-2のポリマー、および、尿酸に対す 特異的認識部位を有する実施例2-3のポリマ は、分子インプリンティング法を用いてい い実施例2-10と同程度のUMPに対する吸着性能 を示した。このことから、分子インプリンテ ィング法により特異的認識部位を設計するこ とにより、ポリマーが酸性水溶性標的物質に 対する高い選択的吸着性能を示すことが分か った。

[AMP吸着性能評価]
 2本の2mlマイクロチューブに実施例2-2および 2-10の各粒子 10mgを入れ、これにAMP 0.01mmol/l 含む1mmol/l 食塩水1mlを添加した。室温で16時 間インキュベートした後、遠心分離(4000rpm、1 0分、室温)して被険液を得た。得られた被険 について、AMPの特徴的な260nmの吸収を分光 度計(ベックマン・コールター社、DU800)にて 定することにより、残存AMPを定量し、その 果からAMP吸着量を算出した。

 また、分子インプリンティング法により付 されたAMP吸着向上効果を下式に従って算出 た。その結果を表5に示す。
AMP吸着向上効果(nmol/10mg)=A/B
A:実施例2-2のAMP吸着量
B:実施例2-2と同じ樹脂組成である実施例2-10の AMP吸着量

 表5から明らかなように、AMPに対する特異 的認識部位を有する実施例2-2のポリマーは、 同じ樹脂組成である実施例2-10のポリマーに べてAMPに対する高い吸着性能を示した。こ ことから、分子インプリンティング法によ ポリマーを調製することにより、酸性水溶 標的物質に対する、より高い吸着向上効果 得られることが分かった。

[ZAsp吸着性能評価]
 2本の2mlマイクロチューブに実施例3および 較例1の各粒子 10mgを入れ、これにZAsp 0.2mmol /lを含む1mmol/lの食塩水1mlを添加した。室温で 16時間インキュベートした後、遠心分離(4000rp m、10分、室温)して被険液を得た。得られた 険液中の残存ZAsp量について、以下の条件に り液体クロマトグラフィーを用いて測定し その結果からZAsp吸着量を算出した。

 液体クロマトグラフィーは以下の条件で行 た。
HPLC装置:Hitachi製のLachromシステム
カラム:Chromolith RP-18e
流量:0.5ml/min
検出器:LC7455 UV・254nm
注入量:100μl
溶離液:0.1%TFA水溶液/0.1%アセトニトリル=75/25

 また、分子インプリンティング法により付 されたZAsp吸着向上効果を下式に従って算出 した。その結果を表6に示す。
ZAsp吸着向上効果(nmol/10mg)=A/B
A:実施例2-3のZAsp吸着量
B:実施例2-3と同じ樹脂組成である実施例2-10の ZAsp吸着量

 表6から明らかなように、ZAspに対する特 的認識部位を有する実施例2-3のポリマーは 同じ樹脂組成である実施例2-10のポリマーに べてZAspの高い吸着性能を示した。このこと から、分子インプリンティング法によりポリ マーを調製することにより、酸性水溶性標的 物質に対する、より高い吸着向上効果が得ら れることが分かった。

[尿酸吸着性能評価]
 17本の2mlマイクロチューブに実施例2-1およ 2-4~2-15、並びに比較例2-1~2-4の各粒子10mgを入 、これに尿酸 0.01mmol/lを含む1mmol/lの食塩水  1mlを添加した。室温で16時間インキュベー した後、遠心分離(4000rpm、10分、室温)して被 険液を得た。得られた被険液について、尿酸 の特徴的な290nmの吸収を分光光度計(ベックマ ン・コールター社、DU800)にて測定することに より、残存尿酸を定量し、その結果から尿酸 吸着量を算出した。

 また、分子インプリンティング法により付 された尿酸吸着向上効果は下式に従って算 した。その結果を表7に示す。
尿酸吸着向上効果(nmol/10mg)=A/B
A:実施例2-1若しくは2-4~2-9、または比較例2-1若 しくは2-3の尿酸吸着量
B:実施例2-1若しくは2-4~2-9、または比較例2-1若 しくは2-3と同じ樹脂組成である、実施例2-10~2 -15または参考例2-2若しくは2-4(比較対照)の尿 吸着量

 表7から明らかなように、尿酸に対する特 異的認識部位を有する実施例2-4~2-9のポリマ は、同じ樹脂組成の比較対照のポリマーに べて尿酸に対する高い吸着性能を示した。 た、UMPに対する特異的認識部位を有する実 例2-1のポリマーは、表4に示すように実施例2 -4のポリマーと比較してUMPに対する高い吸着 能を示したが、尿酸に対しては低い吸着性 を示した。

 これらのことから、本発明の方法により 製したポリマーは、それぞれの標的物質に 補的な特異的認識部位を有し、該特異的認 部位により酸性水溶性標的物質に対する高 選択的吸着性能を示すことが分かった。

 また、機能性モノマーを用いて分子イン リンティング法により調製された比較例2-1 よび2-3の架橋共重合体は、尿酸に対して特 的吸着性能を示さなかった。このことから 本発明の方法で調製したポリマーは、アミ 基および/またはイミノ基を有するポリマー を用いることで、鋳型分子と多点で効率良く 相互作用することができ、ポリマー内に効率 良く特異的認識部位を形成できることが分か った。

 ここで、鋳型分子である尿酸/機能性モノ マーのモル比は、尿酸の溶解性が乏しいため に0.02が最大であり、ポリマー内の特異的認 部位の存在数をさらに増やすことが困難で った。

 (アミノ基および/またはイミノ基)/(不飽 カルボニル架橋剤の不飽和カルボニル基)の ル比を0.5とした実施例2-4は、当該モル比を0 .25とした実施例2-6と比較して、尿酸吸着向上 効果が小さくなった。このことから、強固な 架橋構造によって特異的認識部位の形成が促 進され、さらにポリマー単位重量あたりのア ミノ基/イミノ基が減少したことで非選択的 着を抑制できることが分かった。

 アミノ基とDAT基の両方を用いた実施例2-9 ポリマーは、同じ樹脂組成である実施例2-15 のポリマーと比較して、尿酸に対する高い吸 着性能を示した。このことから複数の官能基 を用いた分子インプリンティング法でも、高 い特異的認識性能を付与できることが分かっ た。

 また、実施例2-9のポリマーは、アミノ基 みを用いた実施例2-4のポリマーよりも格段 高い尿酸吸着向上効果を示した。このこと ら、ポリマー内に酸性水溶性標的物質と相 作用可能な官能基を多数導入することで、 性水溶性標的物質と多点且つ特異的に相互 用することが可能となり、酸性水溶性標的 質に対して高い吸着性能を発揮できること 分かった。

[特異的吸着力評価]
 2mlマイクロチューブに実施例2-4、実施例2-9 比較例2-1および比較例2-6の各粒子10mgを入れ 、これに尿酸 0.01mmol/lを含む10mmol/lまたは150m mol/l食塩水の各1mlを添加した。室温で16時間 ンキュベートした後、遠心分離(4000rpm、10分 室温)して被険液を得た。得られた被険液に ついて、尿酸の特徴的な290nmの吸収を分光光 計(ベックマン・コールター社、DU800)にて測 定することにより、残存尿酸を定量し、その 結果から尿酸吸着量を算出した。

 また、分子インプリンティング法により付 された尿酸吸着向上効果は下式に従って算 した。その結果を表8に示す。
各塩濃度における尿酸吸着向上効果(nmol/10mg)= A/B
A:実施例2-4または2-9の各塩濃度における尿酸 着量
B:実施例2-4または2-9と同じ樹脂組成である実 例2-10または2-15(比較対照)の各塩濃度におけ る尿酸吸着量

 表8から明らかなように、試験液中の塩濃 度が増加するに従って、実施例2-4、2-9、2-10 よび2-15のポリマーによる尿酸吸着量が低下 た。このことから、試験液中の塩成分がポ マーマトリックス表面への非選択的な吸着 抑制することが分かった。

 また、アミノ基のみを有するポリマーを いて調製した実施例2-4のポリマーは、試験 中の塩濃度が増加するに従って、尿酸吸着 上効果が低下した。これに対し、アミノ基 、イミド構造と相互作用できるDAT基の両方 有するポリマーを用いて調製した実施例2-9 ポリマーは、高い尿酸吸着向上効果を示し 。

 このことから、本発明の方法により調製 たポリマーは、酸性水溶性標的物質と相互 用可能な官能基を多数導入することで、酸 水溶性標的物質と多点且つ特異的に相互作 することが可能となり、酸性水溶性標的物 に対して強い特異的吸着性能を発揮できる とが分かった。

[選択的吸着能評価]
 2mlマイクロチューブに実施例2-9および2-15の 各粒子10mgを入れ、これに尿酸[下式(8)]と類似 構造を有するチミン[下式(9)](シグマ・アルド リッチ社)、テオブロミン[下式(10)](シグマ・ ルドリッチ社)、テオフィリン[下式(11)](シ マ・アルドリッチ社)またはカフェイン[下式 (12)](シグマ・アルドリッチ社)を0.01mmol/l含む 150mmol/l 食塩水1mlを添加した。室温で16時間 インキュベートした後、遠心分離(4000rpm、10 、室温)して被険液を得た。

 得られた各被険液について、各尿酸類似 子の特徴的な吸収(チミン;260nm;、テオブロ ン;270nm、テオフィリン;270nm、カフェイン;270n m)を分光光度計(ベックマン・コールター社、 DU800)にて測定することにより、各残存尿酸類 似分子を定量し、その結果から各残存尿酸類 似分子量を算出した。その結果を表9に示す

 下式(8)~(12)に示すように、各尿酸類似分 は尿酸と類似形状を有しているが、各尿酸 似分子の化学構造および大きさは実質的に 酸と異なる。

 表9から明らかなように、尿酸に対する特 異的認識部位を有する実施例2-9のポリマーは 、同じ樹脂組成である実施例2-15のポリマー りも尿酸の高い吸着性能を示したが、各尿 類似分子(チミン、テオブロミン、テオフィ ンおよびカフェイン)に対しては極めて低い 吸着性能を示した。このことから、尿酸のよ うなイミド構造を有する分子に対して主にDAT 基をポリマーの特異的認識部位の形成に使用 することによって、非特異的な吸着を抑制で きることが分かった。

 すなわち、本発明の方法で調製したポリ ーは、酸性水溶性標的物質と相互作用可能 官能基を多数用いることで、酸性水溶性標 物質に相補的な特異的認識部位を有し、該 異的認識部位により酸性水溶性標的物質に する高い選択的吸着性能を示すことが分か た。

 なお、本発明を詳細にまた特定の実施形 を参照して説明したが、本発明は前述した 施形態及び実施例に限定されるものではな 、適宜、変形、改良、等が可能である。

 本出願は、2008年2月21日出願の日本特許出 願(特願2008-040189)に基づくものであり、その 容はここに参照として取り込まれる。

 本発明の酸性水溶性標的物質吸着ポリマ によれば、生体類似環境においても、酸性 溶性標的物質のみをより選択的に吸着する 能を発現するため、生体必須成分を除去す ことなく、迅速に酸性水溶性標的物質のみ 排除することが可能である。したがって、 発明のポリマーを主成分とする酸性水溶性 的物質の吸着剤は、従来の血液透析に比べ 、合併症を引き起こすような血中栄養分の 下の抑制、及び社会的活動の負担の低減が 能であり、透析療法の代替として極めて有 である。




 
Previous Patent: WO/2009/104286

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