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Patent Searching and Data


Title:
PROCESS FOR PRODUCTION OF PRECURSOR COMPOUND FOR RADIOACTIVE HALOGEN-LABELED ORGANIC COMPOUND
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/078589
Kind Code:
A1
Abstract:
[PROBLEMS] To provide a process for producing a labeled precursor which is useful for the production of an amino acid compound labeled with a radioactive fluorine. [MEANS FOR SOLVING PROBLEMS] In the reaction process for introducing a leaving group to a mixture of a syn-OH form and an anti-OH form of FACBC, a base is allowed to present in the reaction system to produce a syn-leaving group adduct which is unreactive with the base and is highly stable and an anti-leaving group adduct which can be react with the base to form a water-soluble compound. By employing a purification method utilizing the difference in solubility between these adducts, the syn-leaving group adduct can be separated selectively. The base may be a linear or branched primary to tertiary alkylamine having 1 to 10 carbon atoms, a nitrogenated heterocyclic compound having 2 to 20 carbon atoms or a nitrogenated hetero-aromatic cyclic compound having 2 to 20 carbon atoms.

Inventors:
TOYAMA MASAHITO (JP)
HAYASHI AKIO (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/074220
Publication Date:
July 03, 2008
Filing Date:
December 17, 2007
Export Citation:
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Assignee:
NIHON MEDIPHYSICS CO LTD (JP)
TOYAMA MASAHITO (JP)
HAYASHI AKIO (JP)
International Classes:
C07C303/28; C07C303/44; C07C309/65; A61K51/00; C07B59/00; G01T1/161; G21G4/08
Domestic Patent References:
WO2006126410A12006-11-30
WO2007063824A12007-06-07
WO2007132689A12007-11-22
WO1997017092A11997-05-15
WO2004056725A12004-07-08
Foreign References:
JP2000500442A2000-01-18
JP2006510706A2006-03-30
US20060292073A12006-12-28
Other References:
See also references of EP 2128130A4
Attorney, Agent or Firm:
IDE, Masatake et al. (9FGobancho Grand Bldg.,3-1, Gobancho, Chiyoda-ku, Tokyo 76, JP)
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Claims:
下記式(1):
(式(1)中、R 1 はカルボキシル基の保護基を;
R 2 はアミノ基の保護基を表す)
で表される化合物と、式(1)で表される化合物のOH基と反応して脱離基となる化合物と、塩基とを含む溶液に反応条件を与える反応工程と、
前記反応工程が終了した前記反応溶液を精製して、下記式(2):
(式(2)中、R 1 はカルボキシル基の保護基を;
R 2 はアミノ基の保護基を;
R 3 は脱離基を表す)
で表される化合物の実質的に単一の立体異性体を得る精製工程と、
を含むことを特徴とする、放射性フッ素標識有機化合物の前駆体化合物の製造方法。
前記反応工程において式(1)で表される化合物のOH基と反応して脱離基となる化合物が、直鎖又は分岐鎖の炭素数1から10のアルキルスルホン酸、直鎖又は分岐鎖の炭素数1から9のハロアルキルスルホン酸、芳香族スルホン酸、および芳香族スルホン酸クロライドからなる群より選ばれる一つまたは複数である請求項1の製造方法。
アルキルスルホン酸が、メタンスルホン酸である請求項2の製造方法。
ハロアルキルスルホン酸が、トリフルオロメタンスルホン酸である請求項2の製造方法。
芳香族スルホン酸が、トルエンスルホン酸、ニトロベンゼンスルホン酸、またはベンゼンスルホン酸である請求項2の製造方法。
芳香族スルホン酸クロライドが、トルエンスルホン酸クロライド、ベンゼンスルホン酸クロライド、またはニトロベンゼンスルホン酸クロライドである請求項2の製造方法。
前記反応工程における塩基が、直鎖又は分岐鎖の炭素数1から10の一級から三級のアルキルアミン、炭素数2から20の窒素含有複素環化合物、および炭素数2から20の窒素含有ヘテロ芳香族環化合物からなる群より選ばれる一つまたは複数である請求項1から6の何れか1項の製造方法。
アルキルアミンが、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、またはトリプロピルアミンである請求項7の製造方法。
窒素含有複素環化合物が、ピロリジン、イミダゾリン、ピラゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2.]オクタン、ピロリン、アジリジン、または1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンである請求項7の製造方法。
窒素含有ヘテロ芳香族環化合物が、ピロール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、イミダゾール、またはピラゾールである請求項7の製造方法。
前記精製工程が、分液精製法、カラム分離法、スラリー法、または再結晶法によるものである請求項1から10の何れか1項の製造方法。
Description:
放射性ハロゲン標識有機化合物 前駆体化合物の製造方法

本発明は、陽電子放出型断層撮像(PET)に用 られる製剤の有効成分である、放射性ハロ ン標識有機化合物の製造に、好適に用いる とができる有機化合物の製造方法に関する

核医学検査は、特定の放射性同位元素で標 識された化合物を有効成分とする製剤(以下 「放射性医薬品」と称す)を人体に静脈内投 し、該化合物より放出された放射線を検出 て、その放射線により得られた情報を画像 することにより、診断を可能とする。核医 検査は、心臓疾患や癌をはじめとする種々 疾患の診断に有効であり、疾患に対する特 度や感度が高いという優れた性質を有して るばかりでなく、病変部の機能に関する情 を得ることができるという、他の検査方法 はない特徴を有している。

また、放射性医薬品は、標識される前の化 合物(以下、「標識前駆体」と称す)を必要時 識し、精製などの製剤化の作業を行うこと より、製造される。そのため、標識前駆体 有効成分を合成するための原料として非常 重要であり、安価で大量の標識前駆体を製 する方法は、放射性医薬品開発にとって必 課題である。

近年、新規な放射性医薬品として、[ 18 F]1-amino-3-fluorocyclobuthanecarboxylic acid(以下、[ 18 F]-FACBCと称す)が研究開発されている。[ 18 F]-FACBCは、アミノ酸トランスポーターを介し 細胞に取り込まれる性質を有すると考えら ており、タンパク合成が盛んな増殖能の高 腫瘍細胞への取り込みが高く、腫瘍診断剤 しての開発が期待されている。

[ 18 F]-FACBCには、syn体とanti体(以下、syn-[ 18 F]-FACBCまたはanti-[ 18 F]-FACBCと称する)と称される、立体異性の異な る化合物が存在することが知られている。立 体異性体は、通常、物理的・化学的性質を異 にするため、syn-[ 18 F]-FACBCとanti-[ 18 F]-FACBCは、医薬品開発上、異なる化合物とし 定義される。したがって、[ 18 F]-FACBCを医薬品の有効成分とする場合には、 質的にいずれかの立体異性体のみを含む医 品組成としなければならない。

一方、[ 18 F]-FACBCについても安価で大量の標識前駆体を 造する方法が重要である。一般的に、 18 Fで標識された放射性化合物の標識前駆体と ては、 18 Fによる標識部位に、トリフレート等の脱離 を導入した化合物が用いられ、これは通常 次のように製造される。まず、その放射性 合物の 18 Fの位置がOH基で置換された化合物を合成する 。そして、そのOH基に、トリフレートなどの 離基を導入し、さらに必要に応じ保護基な を導入する。[ 18 F]-FACBCの標識前駆体についても、同様の合成 法が開示されている(特許文献1)。

ところで、[ 18 F]-FACBCにおいては、 18 Fを導入する段階で、立体反転が起こる。そ ため、例えばanti-[ 18 F]-FACBC合成に用いる標識前駆体の合成では、 18 Fの位置とは反対のsynの位置にOH基を導入した 化合物を合成しなければならない。同様に、 syn-[ 18 F]-FACBC合成に用いる標識前駆体の合成では、a ntiの位置にOH基を導入した化合物を合成しな ればならない。

以下、便宜の為、各化合物を下記のように省 略して表す。必要に応じ、立体異性を示すsyn 、antiの単語を付すと共に、それらを付さな 場合は混合物を表すこととする。
保護体・・・FACBCのアミノ基およびカルボキ ル基を保護した化合物
OH体・・・保護体の 18 Fを導入する位置にOH基を導入した化合物
脱離基付加体・・・OH体のOH基に脱離基を導 した化合物

国際公開第97/017092号パンフレットには、[ 18 F]-FACBCの標識前駆体として、1-t-ブチルカルバ メート-3-トリフルオロメタンスルホンオキシ -シクロブタン-1-カルボン酸メチルエステル 合成方法が開示されている(特許文献1)。

国際公開第04/056725号パンフレットには、anti-[ 18 F]-FACBCの標識前駆体として、syn-1-t-ブトキシ ルボニルアミノ-3-[1,2,3,4-テトラフルオロ-2-(1 ,1,2,2-テトラフルオロ-2-ヨードエトキシ)エタ スルホニルオキシ]-シクロブタンカルボン メチルエステルの合成方法が開示されてい 。これは前述のとおり、syn-OH体を合成した 、syn脱離基付加体を合成する方法である。

国際公開第97/017092号パンフレット

国際公開第04/056725号パンフレット

上述したとおり、国際公開第97/017092号パンフ レットには、[ 18 F]-FACBCの標識前駆体の合成方法が開示されて る。しかしこの公報では、各ステップにお て立体異性体の区別がされていない。

国際公開第04/056725号パンフレットには、anti-[ 18 F]-FACBCの標識前駆体であるsyn-1-t-ブトキシカ ボニルアミノ-3-[1,2,3,4-テトラフルオロ-2-(1,1, 2,2-テトラフルオロ-2-ヨードエトキシ)エタン ルホニルオキシ]-シクロブタンカルボン酸 チルエステルの合成方法が開示されている しかしながら、anti-OH体の合成に至るまでの ステップで、立体異性体の精製を行ってい 点で、煩雑である。

本発明は上記事情を鑑みてなされたものであ り、anti-[ 18 F]-FACBCの前駆体であるsyn脱離基付加体の簡易 製造方法の提供を目的とした。

発明者らは鋭意研究を重ねた結果、syn脱離 基付加体とanti脱離基付加体は、塩基による 応性に差があることを見出した。脱離基を 入する段階で特定の塩基を反応系に加えた 合、非水溶性のsyn脱離基付加体は塩基に対 て反応性を示さず安定である。一方、anti脱 基付加体は容易に塩基と反応し、水溶性の 合物となる。これら脱離基付加体の溶解性 差を利用した精製法を選択することにより たとえsyn-OH体とanti-OH体の混合物であっても 、脱離基導入の段階で特定の塩基を加えて反 応させることにより、複雑な精製を要さずに 選択的にsyn脱離基付加体を得ることを可能と した。

本発明にかかるanti-[ 18 F]-FACBCの前駆体製造方法は、下記式(1):

で表される化合物と、式(1)で表される化合物 のOH基と反応して脱離基となる化合物と、塩 とを含む溶液に反応条件を与える反応工程 、
前記反応工程が終了した後に前記反応溶液を 精製して、下記式(2):

で表される化合物の実質的に単一の立体異性 体を得る精製工程と、
を含むことを特徴とする。

R 1 はカルボキシル基の保護基であり、カルボキ シル基に用いられる保護基であれば特に限定 されない。好ましくは、直鎖又は分岐鎖の炭 素数1から5のアルキル基、芳香族置換基を用 ることができる。より好ましくは、メチル 、エチル基、t-ブチル基、フェニル基を用 ることができる。

R 2 はアミノ基の保護基であり、アミノ基に用い られる保護基であれば特に限定されない。好 ましくは、炭素数2から7の直鎖又は分岐鎖の ルキルオキシカルボニル置換基、炭素数3か ら7の直鎖又は分岐鎖のアルケニルオキシカ ボニル置換基、炭素数2から7の飽和又は不飽 和アルキルカルボニル基、炭素数7から12のベ ンジルオキシカルボニル置換基、炭素数2か 7のアルキルジチオオキシカルボニル置換基 炭素数1から6の直鎖又は分岐鎖のアルキル ミド置換基、炭素数2から6の直鎖又は分岐鎖 のアルケニルアミド置換基、炭素数6から11の ベンズアミド置換基、炭素数6から11の芳香族 イミン置換基、炭素数1から6の直鎖又は分岐 のアルキルアミン置換基、炭素数2から6の 鎖又は分岐鎖のアルケニルアミン置換基、 素数6から11のベンジルアミン置換基を用い ことができる。より好ましくは、t-ブトキシ カルボニル基、アリルオキシカルボニル基、 N-ベンジリデンアミン置換基を用いることが きる。

反応工程において式(1)で表される化合物の OH基と反応して脱離基となる化合物としては 例えば、直鎖又は分岐鎖の炭素数1から10の ルキルスルホン酸、直鎖又は分岐鎖の炭素 1から9のハロアルキルスルホン酸、芳香族 ルホン酸、芳香族スルホン酸クロライドを いることができる。直鎖又は分岐鎖の炭素 1から10のハロアルキルスルホン酸としては メタンスルホン酸を用いることが好ましい 直鎖又は分岐鎖の炭素数1から9のハロアルキ ルスルホン酸としては、トリフルオロメタン スルホン酸を用いることが好ましい。芳香族 スルホン酸としては、トルエンスルホン酸、 ニトロベンゼンスルホン酸、ベンゼンスルホ ン酸からなる群より選ばれる化合物を用いる ことが好ましい。芳香族スルホン酸クロライ ドとしては、トルエンスルホン酸クロライド 、ベンゼンスルホン酸クロライド、ニトロベ ンゼンスルホン酸クロライドからなる群より 選ばれる化合物を用いることが好ましい。

反応工程において添加する塩基は、直鎖又 は分岐鎖の炭素数1から10の一級から三級のア ルキルアミン、炭素数2から20の窒素含有複素 環化合物、炭素数2から20の窒素含有ヘテロ芳 香族環化合物からなる群より選ばれる一つま たは複数を用いることができる。一級から三 級のアルキルアミンとしては、エチルアミン 、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジ メチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピル アミン、ジイソプロピルアミン、トリメチル アミン、トリエチルアミン、またはトリプロ ピルアミンを選択することが好ましく、窒素 含有複素環化合物としては、ピロリジン、イ ミダゾリン、ピラゾリジン、ピペリジン、ピ ペラジン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2.]オクタン 、ピロリン、アジリジン、または1,8-ジアザ シクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンを選択すること 好ましく、窒素含有ヘテロ芳香族環化合物 しては、ピロール、ピリジン、ピリミジン ピラジン、トリアジン、イミダゾール、ま はピラゾールを用いることが好ましい。よ 好ましくは、ピリジンを用いることが好ま い。

反応工程で用いる溶媒は、化学式(1)で表さ れる化合物、該化合物のOH基と反応して脱離 となる化合物、塩基を溶解することができ かつ、それらの化合物との反応性を有しな 溶媒である限り特に限定されない。好まし は、極性溶媒を用いることができ、クロロ ルム、ピリジンを用いることがより好まし 。

反応工程における反応温度としては、常温 より低い温度とすることが好ましく、より好 ましくは4℃以下、最も好ましくは0℃付近と ることができる。このとき、反応温度が高 ぎると、副生成物の生成の原因となる場合 あるため、注意が必要である。また、反応 度は、溶媒の凝固点以上の温度であれば良 が、低すぎると、反応の進行が遅くなりす る場合があるため、注意する必要がある。 ましい態様としては、氷浴下または冷却溶 下などにおいて、温度を調節しながら反応 せる方法が挙げられる。反応時間は反応が 行するための充分な時間であるかぎり特に 定されない。

精製工程における精製法としては、溶解性 の差を利用した種々の精製法を用いることが できる。好ましくは、分液法、カラム分離法 、スラリー法などによる精製法を用いること ができる。より好ましくは、分液法を用いる ことができる。

本発明により、anti-[ 18 F]-FACBCを得るために有用な標識前駆体であるs yn脱離基付加体を容易かつ効率的に得ること 可能となった。

以下、syn-1-(N-(t-ブトキシカルボニル)アミ )-3-[((トリフルオロメチル)スルフォニル)オ シ]-シクロブタン-1-カルボン酸エチルエステ ルを製造する場合を例にとり、本発明に係る 化合物の製造方法につき説明する。

まず、5-(3-ベンジルオキシシクロブタン)ヒ ダントインを飽和水酸化バリウム溶液に溶解 した溶液を還流後、硫酸を加えて溶液のpHを 7に調整する。この溶液をろ過してろ液を濃 縮することにより、白色結晶として1-アミノ- 3-ベンジルオキシシクロブタン-1-カルボン酸 析出させる(工程1)。pH調整に用いる酸は硫 以外の酸であってもよいが、バリウムとの で水に難溶な無機塩を形成する酸である必 がある。なお、これまでに開示された方法 は異なり、本発明においては、この工程に いる5-(3-ベンジルオキシシクロブタン)ヒダ トインの立体異性体を精製する必要はなく syn体/anti体の混合物のままであっても用いる ことができる。

次いで得られた1-アミノ-3-ベンジルオキシシ ロブタン-1-カルボン酸を十分に乾燥させて 分を取り除き、エタノールに溶解させた後 塩基を加え、さらに塩化チオニルを加えて 温下攪拌後、約95℃の温度で加熱還流する 十分に反応が進行した後、この液を減圧濃 することにより、1-アミノ-3-ベンジルオキシ シクロブタン-1-カルボン酸エチルエステルが 白色結晶として得られる(工程2)。
ここで、反応液に加える塩基は、反応時に発 生する塩酸をトラップできるものであればよ く、好ましくはトリエチルアミンを用いるこ とができる。また、用いる量は、塩化チオニ ルに対し等量以上とする。
塩化チオニルの量は、反応原料である1-アミ -3-ベンジルオキシシクロブタン-1-カルボン に対して等量以上である必要がある。この き、塩化チオニルの量が少ないと、エチル ステル化反応が十分に進行しないため、好 しくない。また、添加量が多すぎると、よ 過剰な塩酸が発生し、より多くの塩基を用 る必要が生じるため好ましくない。好まし 態様において、塩化チオニルの量は、1-ア ノ-3-ベンジルオキシシクロブタン-1-カルボ 酸に対して、5当量以下とする。

次に、1-アミノ-3-ベンジルオキシシクロブタ -1-カルボン酸エチルエステルを、エタノー 等のアルコール溶媒に少量の塩基を加えた に加え、得られた懸濁液を冷却しながら攪 後、二炭酸-t-ブチルを加えて室温下で反応 せる(工程3)。ここで、用いるアルコール溶 としては、種々のものを用いることができ 好ましくはエタノールを用いることができ 。塩基の量は、アルコールに対して十分に ない量とする必要があるが、あまり少なす ると、反応が遅くなってしまうため好まし ない。好ましい態様としては、アルコール 塩基の割合を9:1としたものを用いる。二炭 -t-ブチルの量は、1-アミノ-3-ベンジルオキ シクロブタン-1-カルボン酸に対して等量以 である必要があり、好ましくは1.5当量とす 。
この操作により、1-(N-(t-ブトキシカルボニル) アミノ)-3-ベンジルオキシ-シクロブタン-1-カ ボン酸エチルエステルを得ることができる

上記で合成した1-(N-(t-ブトキシカルボニル) アミノ)-3-ベンジルオキシ-シクロブタン-1-カ ボン酸エチルエステルを、エタノール等の ルコール溶媒又は酢酸エチルエステル等の 酸エステル溶媒に溶解した液に、水素雰囲 下でパラジウム-活性炭素(添加量:基質に対 て10w/w%以上)を加えて攪拌しながら室温下で 反応させる。その後反応液をセライトでろ過 し、ろ液を濃縮及び精製することにより、1-( N-(t-ブトキシカルボニル)アミノ)-3-ヒドロキ -シクロブタン-1-カルボン酸エチルエステル 得る(工程4)。

得られた1-(N-(t-ブトキシカルボニル)アミノ )-3-ヒドロキシ-シクロブタン-1-カルボン酸エ ルエステルをジエチルエーテル等の有機溶 に溶解させ、塩基を添加し、無水トリフル ロメタンスルホン酸を加えて、反応条件を えることにより、syn-1-(N-(t-ブトキシカルボ ル)アミノ)-3-[((トリフルオロメチル)スルフ ニル)オキシ]-シクロブタン-1-カルボン酸エ ルエステルを合成する(工程5)。本発明にお ては、これまでに開示された方法(例えば、 文献(国際公開第04/056725号パンフレット)記載 方法)と異なり、この工程に用いる1-(N-(t-ブ キシカルボニル)アミノ)-3-ヒドロキシ-シク ブタン-1-カルボン酸エチルエステルの立体 性体を精製する必要はなく、syn体/anti体の 合物のままであっても用いることができる

塩基としては、アルキルアミン、窒素含有複 素環化合物、窒素含有ヘテロ芳香族環化合物 を用いることができる。好ましい態様として は、溶解溶媒及び塩基としてピリジンを用い る。
最後に、この反応溶液を精製することにより 、目的物であるsyn-1-(N-(t-ブトキシカルボニル )アミノ)-3-[((トリフルオロメチル)スルフォニ ル)オキシ]-シクロブタン-1-カルボン酸エチル エステルを実質的に単一の立体異性体として 得ることができる。好ましい精製方法として は、反応溶液に、水、エーテル等の有機溶媒 及び酸を加え、有機層を精製する分液精製法 を用いることができる。

なお、本発明に係る上記以外の化合物につ いても、上記と同様の工程にて合成すること ができる。例えば、シクロブタン環の3位の 素に、トリフレート置換基以外のハロアル ルスルホン酸エステル置換基、アルキルス ホン酸エステル置換基又は芳香族スルホン エステル置換基を結合させた化合物を合成 る場合は、工程5において、無水トリフルオ メタンスルホン酸の代わりに種々のハロゲ スルホニル又はスルホン酸無水物を用い、 程5と同様の要領にて反応させればよい。

1位のアミノ基にt-ブトキシカルボニル置換 基以外のアルキルオキシカルボニル置換基、 アルケニルオキシカルボニル置換基又はベン ジルオキシカルボニル置換基を結合させた化 合物を合成する場合は、上記工程3にて、二 酸-t-ブチルの代わりに、それぞれ、種々の ルキルクロロフォルメート、アルケニルク ロフォルメート又はベンジルクロロフォル ートを用いた反応を行えばよい。同様に、 香族イミン置換基をアミノ基と結合させた 合物は、工程3にて、置換基を有するベンズ ルデヒドをアミノ基と反応させることによ 得ることができる。

1-プロピルエステル体及びイソプロピルエ テル体を合成する場合は、前記工程2におい て反応させるアルコールを、それぞれ、1-プ パノール及びイソプロパノールとすればよ 。

次に、本発明に係る新規アミノ酸有機化合物 の使用方法の一例として、上記で合成された syn-1-(N-(t-ブトキシカルボニル)アミノ)-3-[((ト フルオロメチル)スルフォニル)オキシ]-シク ロブタン-1-カルボン酸エチルエステルを用い て、anti-[ 18 F]-FACBCを合成する方法につき説明する。
anti-[ 18 F]-FACBCの合成は、前駆体に放射性フッ素を付 する工程、及び、放射性フッ素を付加した 合物につき脱保護を行う工程の、2段階の工 程にて行われる。

放射性フッ素は、公知の方法、例えばH 2 18 O濃縮水をターゲットとしてプロトン照射を うといった方法により、得ることができる このとき、放射性フッ素はターゲットとし H 2 18 O濃縮水中に存在している。この放射性フッ を含むH 2 18 O濃縮水を、例えば陰イオン交換カラムに通 して該カラムに放射性フッ素を吸着捕集し H 2 18 O濃縮水と分離する。その後、該カラムに炭 カリウム溶液を通液して放射性フッ素を溶 させ、相関移動触媒を加えて乾固させるこ により、放射性フッ素を活性化させる。

次いで、上記乾固された放射性フッ素をアセ トニトリルに溶解し、前駆体化合物であるsyn -1-(N-(t-ブトキシカルボニル)アミノ)-3-[((トリ ルオロメチル)スルフォニル)オキシ]-シクロ ブタン-1-カルボン酸エチルエステルを加えて 加熱反応させることにより、該前駆体化合物 に放射性フッ素が付加されて、anti-[ 18 F]-1-(N-(t-ブトキシカルボニル)アミノ)-3-フル ロシクロブタン-1-カルボン酸エチルエステ が合成される。

得られたanti-[ 18 F]1-(N-(t-ブトキシカルボニル)アミノ)-3-フルオ ロシクロブタン-1-カルボン酸エチルエステル につき、脱エステルおよび脱保護を行うこと により、目的物であるanti-[ 18 F]-FACBCを得ることができる。脱エステルおよ 脱保護は種々の方法、たとえば文献(特許文 献;国際公開第97/017092号パンフレット)記載の 法にて行うことができる。添加する酸の量 、脱保護に十分な酸性条件を与え得る量で る限りにおいて特に限定されない。

以下に、実施例を記載して本発明をさらに 詳しく説明するが、本発明はこの内容に限定 されるものではない。

(実施例)syn-1-(N-(t-ブトキシカルボニル)アミ ノ)-3-[((トリフルオロメチル)スルフォニル)オ キシ]-シクロブタン-1-カルボン酸エチルエス ルの合成

ヒダントインの加水分解(図1、工程1)
5-(3-ベンジルオキシシクロブタン)ヒダントイ ン6.15g(25mmol相当)に、飽和水酸化バリウム水 液250mLを加え、114℃の油浴にて24時間以上加 還流(reflux)して反応させ、1-アミノ-3-ベンジ ルオキシシクロブタン-1-カルボン酸を合成し た。クロロホルム:メタノール=5:1(syn-ヒダン インのRf値=0.6付近)及びクロロホルム:メタノ ール=95:1(syn-ヒダントインのRf値=0.3付近)の2種 類の系を展開溶媒として使用したTLC分析を行 い、反応終了の確認を行った(UVとリンモリブ デン酸による呈色によって確認)。なお、反 に使用したヒダントインのsyn/anti比は、約65/ 35であった。

反応終了を確認した後、反応液を室温まで 冷却し、1mol/mL硫酸約27mLを加え中和した。中 後、さらに室温で5分攪拌し、生成した沈殿 を濾去した後、濾液を濃縮し、1-アミノ-3-ベ ジルオキシシクロブタン-1-カルボン酸と無 塩の混合品として19.07gを白色固体として得 。

エチルエステル化(図1、工程2)
充分に乾燥させ水分を取り除いた1-アミノ-3- ンジルオキシシクロブタン-1-カルボン酸19.0 7gを、エタノール250mLに溶解させた。この液 、トリエチルアミン9.5mL(75mmol相当)を加え、- 78℃にて20分間冷却し、塩化チオニル4.6mL(62.5m mol相当)を加えた。反応液を、0℃で1時間、室 温で1時間それぞれ攪拌した後、95℃の油浴に て、1晩加熱還流した。クロロホルム:メタノ ル=95:1(目的物のRf値=0.6付近)を展開溶媒とし て使用したTLC分析(UVとリンモリブデン酸によ る呈色にて確認)により、反応終了の確認を った。反応終了確認後、反応液を減圧濃縮 て1-アミノ-3-ベンジルオキシシクロブタン-1- カルボン酸エチルエステルを得た。

Boc化(図1、工程3)
1-アミノ-3-ベンジルオキシシクロブタン-1-カ ボン酸エチルエステル7.64gを、エタノール: リエチルアミン=9:1混液250mLに溶解させた。 の溶液を氷浴で15分冷却した後、二炭酸ジ-t -ブチル8.6mL(37.5mmol相当)を加え、室温下1晩攪 した。ヘキサン:酢酸エチル=1:1(反応目的物 Rf値=0.6付近)を展開溶媒として使用したTLC(UV 及びモリブデン酸による呈色にて確認)にて 反応終了を確認した。反応終了確認後、反 液を減圧濃縮し、残渣として白色結晶を得 。この残渣に、冷酢酸エチル150mLと0.5mol/Lの 塩酸150mLを加え、氷浴下で5分攪拌し、次い 室温にて静置分離した。有機層を水150mL×2 飽和炭酸水素ナトリウム水溶液150mL、水150mL 2,飽和食塩水150mL×2の順で抽出・洗浄し、無 硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し、黄 油状物を得た。別に、水層を酢酸エチル150m L×2、水150mL×2、飽和食塩水150mLの順で抽出・ 浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃 することにより、少量の黄色油状物を回収 た。一連の操作により、淡黄色油状物8.82g 得た。TLCにて確認を行ったところ、残渣に 反応させた試薬等が残っていたことから、 リカゲルカラムクロマトグラフィーにより 易精製(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)を行い、白 結晶の1-(N-(t-ブトキシカルボニル)アミノ)-3- ベンジルオキシ-シクロブタン-1-カルボン酸 チルエステル 4.9282g(14mmol相当)を得た。

脱ベンジル化(図1、工程4)
1-(N-(t-ブトキシカルボニル)アミノ)-3-ベンジ オキシ-シクロブタン-1-カルボン酸エチルエ テル4.9282g(14mmol相当)にエタノール150mLを加 た後、パラジウム-活性炭素(パラジウム10%)90 0mgを加え、水素置換、室温下で一晩攪拌した 。反応後、セライトを用いた濾過によりパラ ジウム-活性炭素を濾去し、濾液を減圧濃縮 、残渣として白色結晶5.74gを得た。ヘキサン :酢酸エチル=1:1(反応目的物のRf値=0.2付近)を 開溶媒として使用したTLC分析(UVとニンヒド ンによる呈色にて確認)にて反応追跡を行い 反応終了を確認した。次いで残渣をシリカ ルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢 エチル=1:1,ヘキサン:酢酸エチル=4:1) により 離精製し、白色結晶として1-(N-(t-ブトキシ ルボニル)アミノ)-3-ヒドロキシ-シクロブタ -1-カルボン酸エチルエステル1.61g(6.2mmol相当) を得た。
なお、得られた1-(N-(t-ブトキシカルボニル)ア ミノ)-3-ヒドロキシ-シクロブタン-1-カルボン エチルエステルにつき、syn体の3位の炭素に 結合しているトランス位のプロトンと、anti の3位の炭素に結合しているシス位のプロト との 1 H-NMRの積分値からモル比を概算したところ、s yn体とanti体との比は、14/46であった(図2)。

トリフレート化(図1、工程5)
1-(N-(t-ブトキシカルボニル)アミノ)-3-ヒドロ シ-シクロブタン-1-カルボン酸エチルエステ 259mg(1mmol、反応開始時のsyn/antiの比は、14/46) をピリジン4mLに溶解させ、氷浴下20分間攪拌 た。無水トリフルオロメタンスルホン酸0.26 mL(1.5mmol相当)を加え、そのまま30分間攪拌し 。ヘキサン:ジエチルエーテル=1:1を展開溶媒 (反応目的物のRf値=0.6付近)としたTLC分析(ニン ヒドリンの呈色にて確認)を用いて反応を追 し、反応終了を確認した。TLCでは、syn-1-(N-(t -ブトキシカルボニル)アミノ)-3-[((トリフルオ ロメチル)スルフォニル)オキシ]-シクロブタ -1-カルボン酸エチルエステルを表すRf値=0.4 外に原点にスポットが確認された(ヘキサン/ ジエチルエーテル=1/1)。反応終了を確認後、 応液に水50mLとエーテル50mLを加え、1mol/L塩 50mL×2、水50mL×2、飽和食塩水50mL×2の順で抽 洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、 圧濃縮することにより、淡黄色結晶297.2mgを た。TLCにより、原点のスポットは消失しRf =0.4以外にスポットは確認されなかった(ヘキ サン/ジエチルエーテル=1/1)。反応残渣をシリ カゲルカラムクロマトグラフィーにより分離 精製(ヘキサン:ジエチルエーテル=3:1)するこ により、白色結晶222.8mgをえた。NMRにより分 を行ったところ、syn-1-(N-(t-ブトキシカルボ ル)アミノ)-3-[((トリフルオロメチル)スルフ ニル)オキシ]-シクロブタン-1-カルボン酸エ ルエステルであることが確認された。

得られたsyn-1-(N-(t-ブトキシカルボニル)ア ノ)-3-[((トリフルオロメチル)スルフォニル) キシ]-シクロブタン-1-カルボン酸エチルエス テルのNMR測定結果(内部標準物質:テトラメチ シラン)は、以下の通りであった。

使用NMR:JNM-ECP-500(日本電子株式会社製)
1H-NMR(溶媒:CDCl3、共鳴周波数:500MHz):δ5.41-5.35(m,  1H),5.32(b,1H),4.26(q,2H,J=7 Hz),3.10-3.02(m, b,4H),1.45 (s、9H),1.31(t,3H, J=7.0 Hz)

本発明は、PET製剤として有用な放射性フッ 素標識アミノ酸化合物合成の分野で利用でき 、放射性医薬品の分野において有用である。

syn/anti-ヒダントインを出発物質とした 合のsyn-1-(N-(t-ブトキシカルボニル)アミノ)-3 -[((トリフルオロメチル)スルフォニル)オキシ ]-シクロブタン-1-カルボン酸エチルエステル 合成スキーム 1-(N-(t-ブトキシカルボニル)アミノ)-3-ヒドロ シ-シクロブタン-1-カルボン酸エチルエステ の 1 H-NMRスペクトル