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Title:
PROTECTIVE AGENT FOR ORAL MUCOSA CONTAINING TREHALOSE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/026310
Kind Code:
A1
Abstract:
The object of the invention is to provide a protective agent for oral mucosa for protecting the mucosa in the oral cavity from dry irritation. The object can be basically achieved by a protective agent for oral mucosa containing an effective amount of trehalose as an active ingredient. As demonstrated by Examples, according to the protective agent for oral mucosa of the invention, a dry condition in the oral cavity can be effectively prevented, therefore, in particular during surgery, the risk of receiving damage from dry irritation caused by drying the area undergoing surgery and its peripheral mucosa.

Inventors:
TAKATO TSUYOSHI (JP)
TEI YUICHI (JP)
MORI YOSHIYUKI (JP)
SUZUKI SHIGEKI (JP)
IIMURA HIDEKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/000911
Publication Date:
March 06, 2008
Filing Date:
August 27, 2007
Export Citation:
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Assignee:
CELLEX K K (JP)
UNIV TOKYO (JP)
TAKATO TSUYOSHI (JP)
TEI YUICHI (JP)
MORI YOSHIYUKI (JP)
SUZUKI SHIGEKI (JP)
IIMURA HIDEKI (JP)
International Classes:
A61K31/7048; A61K9/12; A61K47/36; A61P1/02; C07H17/04
Domestic Patent References:
WO2001074396A12001-10-11
WO2004071472A12004-08-26
Foreign References:
JP2005200327A2005-07-28
JP2006124322A2006-05-18
JP2006316053A2006-11-24
Other References:
AGA M.: "Trehalose - San. Tabako Kemuri Seibun ni Taisuru Saibo Shogai Hogo Sayo -", FOOD SCIENCE, vol. 48, no. 1, 2005, pages 84 - 85
Attorney, Agent or Firm:
HIROSE, Takayuki (Chester Court Nihonbashi 12041-13, Nihonbashi Koami-cho,Chuo-k, Tokyo 16, JP)
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Claims:
 トレハロース,又はその薬学的に許容される溶媒和物を有効成分として含有する口腔内の粘膜を保護するための口腔粘膜保護剤。
 増粘剤を含有する請求項1に記載の口腔粘膜保護剤。
 プルランを含有する請求項1に記載の口腔粘膜保護剤。
 湿潤剤を含有する請求項1に記載の口腔粘膜保護剤。
 酸化防止剤を含有する請求項1に記載の口腔粘膜保護剤。
 抗菌剤を含有する請求項1に記載の口腔粘膜保護剤。
 前記口腔粘膜保護剤が液剤であり,前記液剤のpHが5.7~8.5である請求項1に記載の口腔粘膜保護剤。
 “メントール,アネトール,ペパーミント油,スペアミント油,メチルサリシレート,オイゲノール,ユーカリプトール,リモネン塩化セチルピリジニウム,グルコン酸クロルヘキシジン,トリクロサン,イソプロピルメチルフェノール,グリチルリチン酸ジカリウム,アズレンスルホン酸ナトリウム,塩化デカリニウム,塩化リゾチーム,ヒノキチオール,ラウロイルサルコシンナトリウム,ラクトフェリン,及びパラベン”からなる群から選択される1種又は2種以上の化合物を含有する請求項1に記載の口腔粘膜保護剤。
 スプレー液,噴霧又は気化投与用の液剤,洗口液,含嗽液,泡状エアゾール剤,潅流液又は輸液パック収容液である請求項1に記載の口腔粘膜保護剤。
 口腔乾燥症の治療剤若しくは予防剤,又はドライマウスの治療剤若しくは予防剤である請求項1に記載の口腔粘膜保護剤。
Description:
トレハロース含有口腔粘膜保護

 本発明は,トレハロースを有効成分として 含有する口腔内の粘膜を保護するための口腔 粘膜保護剤などに関する。より詳しく説明す ると,本発明は,トレハロースにより乾燥刺激 ら組織を保護し,特に口腔乾燥症又はドライ マウスの治療剤又は予防剤として有効な口腔 粘膜保護剤などに関する。

 唾液には雑菌が含まれているので,インプ ラント埋入などの口腔内外科手術において, 般的に,唾液を吸引しつつ施術が行われる。 たがって,施術中,創部を含めた口腔内は乾 状態にある。すなわち,口腔内粘膜は空気に 露されることによる乾燥などによる酸化ス レスにより損傷を被ることとなる。したが て,施術中の乾燥から口腔内の粘膜を保護す るための粘膜保護剤が望まれる。

 また,日常の生活においても,唾液分泌が 下すると,自浄作用が低下し,粘膜の潤滑作用 が低減するため,口腔内が乾燥し,粘膜障害,虫 歯や歯周病の発生など,様々な症状が発生す 。特に口腔内の乾燥は,シーグレン症候群や ューマチ等の疾病,薬物や放射線治療による 副作用,加齢による唾液の減少,口呼吸等によ て惹起される。したがって,口腔乾燥症若し くはドライマウスの治療剤又は予防剤が望ま れる。

 乾燥した粘膜は物理的な刺激に弱くなる そのため,義歯(入れ歯)を用いる患者にとっ ,口腔内が乾燥すると,義歯によりもたらさ る損傷により,外傷性潰瘍が惹起されること ある。したがって,特に義歯を用いる患者に 対して,口腔内の乾燥を防止するような剤が まれる。

 特許第3,418,423号公報(特許文献1)は経粘膜 与用薬剤組成物に関し,その請求項1には「 レハロースを含有し,軟膏,クリーム,ゲル状 リーム,ローション,エアゾール,液剤,坐剤か なる群から選択される剤型であることを特 とする経粘膜投与用薬剤組成物」からなる 明が記載されている。すなわち,特許第3,418, 423号の請求項1は,「トレハロースを含有し,液 剤である経粘膜投与用薬剤組成物」を含む。 ただし,同公報に開示される発明は,鼻腔から ルモン剤を投与する際の刺激を緩和するた のものであり,口腔内への投与は意図されて いない。また,トレハロースは経粘膜投与用 剤組成物中に配合されるものであり(同公報 段落0006),トレハロースは生理活性物質では いとされている(同公報の段落0010)。

 特開2002-308783号公報(特許文献2)には,「皮 または粘膜疾患予防,治療用医薬組成物」に 関し,糖類としてトレハロースを用いること 開示されている(請求項3,段落0007)。ただし, 糖類の作用機序は,細胞外液,あるいは,細胞 液の組成における水の状態を整えること,グ コース,フルクトース,などの細胞質のエネ ギーとなりうる単糖類を供給すること,およ ,その還元性により細胞間液の酸化劣敗を遅 らすことにあると考えられる」とされている (段落0007)。すなわち,同公報において,糖類は ネルギー源であると考えられており,しかも ,トレハロースを用いた実施例はない。

 特開昭61-100512号公報(特許文献3)は,「スキ ンモイスチャライジング組成物及び方法」に 関し,「有効量のトレハロースを含む皮膚モ スチャライジング組成物を局所適用するこ によって乾燥した皮膚を処理し及び/又は皮 の乾燥を抑制しうることを見出した。」と れる(2頁右下欄4行~7行)。特開昭61-100512号公 では,あくまで皮膚の乾燥を防止するために トレハロースを用いることが開示されている 。すなわち,トレハロースが皮膚の乾燥を防 することは示唆されているが,口腔内の粘膜 乾燥から保護しうることについては,記載も 示唆もされていない。

 特許第2,896,211号公報(特許文献4)は,キシリ トールを有効成分とする口内乾燥症治療用可 食組成物に関する。しかしながら,同公報の のは,基本的にはガムにより唾液の分泌を促 ことによって口腔内の乾燥を防止するもの ある。また,糖アルコールであるキシリトー ルと,二糖類であるトレハロースでは,分子構 が全く異なり,甘味料である点を除いて物性 が全く異なる。

特許第3,418,423号公報

特開2002-308783号公報

特開昭61-100512号公報

特許第2,896,211号公報

 本発明は,乾燥刺激から口腔内の粘膜を保 護するための口腔粘膜保護剤を提供すること を目的とする。本発明は,また,味覚的にも優 た口腔粘膜保護剤を提供することを目的と る。

 本発明は,施術中の乾燥刺激から口腔内の 粘膜を保護するための口腔粘膜保護剤を提供 することを目的とする。

 本発明は,口腔乾燥症若しくはドライマウ スの治療剤又は予防剤を提供することを目的 とする。

 本発明は,義歯による外傷性潰瘍の治療剤 又は予防剤を提供することを目的とする。

 本発明は,基本的には,トレハロースを有 成分として有効量含有する口腔粘膜保護剤 関する。後述する実施例により実証された おり,本発明の口腔粘膜保護剤によれば,口腔 内が乾燥する事態を効果的に防止できるので ,特に施術中に施術部やその周辺の粘膜が乾 することによる乾燥刺激により損傷を受け 事態を防止できるという知見に基づくもの ある。

 本発明はまた,トレハロースを有効成分と して有効量含有する剤によれば,口腔内が乾 する事態を効果的に防止できるので,口腔乾 症若しくはドライマウスに罹患することを 果的に防止でき,また口腔乾燥症若しくはド ライマウスに罹患した患者の口腔内に潤いを 与え,口腔乾燥症若しくはドライマウスの治 に有効であるとの知見に基づくものである 本発明の口腔粘膜保護剤は,例えば有効成分 してトレハロースを用いるので,味覚に優れ た口腔粘膜保護剤を提供することができる

 すなわち,本発明は,基本的には,トレハロ ス,又はその薬学的に許容される溶媒和物を 有効成分として含有する口腔内の粘膜を保護 するための口腔粘膜保護剤に関する。トレハ ロースは,組織又は細胞において,水に替わる 割を果たし,組織や細胞から水が失われた場 合でも,乾燥などにより被る損傷から細胞な を保護するものと考えられる。

 本発明の口腔粘膜保護剤の好ましい態様 ,増粘剤を含有する上記に記載の口腔粘膜保 護剤であり,増粘剤としては,プルランが好ま い。すなわち,増粘剤を含有するので,有効 分であるトレハロースの口腔粘膜への付着 を増大させ,粘膜に滞留するトレハロースの 度を高めるとともに,トレハロースが粘膜に 滞留する時間を長くすることができる。本発 明の口腔粘膜保護剤の好ましい態様は,湿潤 を含有する上記記載の口腔粘膜保護剤であ ,湿潤剤を含有するので急激な空気等による 燥に対して水分の急激な蒸散を防止でき,口 腔粘膜の変化を緩和させトレハロースの粘膜 への浸透を助け,トレハロースが粘膜に滞留 る時間を長くすることができる。本発明の 腔粘膜保護剤の好ましい態様は,酸化防止剤 含有する上記いずれかに記載の口腔粘膜保 剤である。本発明の口腔粘膜保護剤の好ま い態様は,抗菌剤を含有する上記いずれかに 記載の口腔粘膜保護剤である。

 本発明の口腔粘膜保護剤の好ましい態様 ,口腔粘膜保護剤が液剤であり,前記液剤のpH が5.7~8.5(5.7以上8.5以下を意味し,以下同様とす る。)である上記いずれかに記載の口腔粘膜 護剤である。トレハロース水溶液(30%水溶液) のpHは,4.5~6.5である。そして,pHが5.5以下の状 では,一般に,歯の表面を保護しているエナメ ル質が溶け,う蝕の原因となる。トレハロー は,口腔内での酸産生が少なく,また虫歯の一 因である不溶性グルカンの生成が認められな い。また,トレハロースは,砂糖由来の不溶性 ルカンの付着を約60%抑制する。よって,トレ ハロースにより,う蝕が進行するおそれは乏 いが,本発明の剤は,投与後特に水などで口腔 内をゆすぐことなく用いられることも意図さ れているため,口腔内においてう蝕が進行す 事態を防止するため,上記のような酸性度と ることが好ましい。

 本発明の口腔粘膜保護剤の好ましい態様 ,“メントール,アネトール,ペパーミント油, スペアミント油,メチルサリシレート,オイゲ ール,ユーカリプトール,リモネン塩化セチ ピリジニウム,グルコン酸クロルヘキシジン, トリクロサン,イソプロピルメチルフェノー ,グリチルリチン酸ジカリウム,アズレンスル ホン酸ナトリウム,塩化デカリニウム,塩化リ チーム,ヒノキチオール,ラウロイルサルコ ンナトリウム,ラクトフェリン,及びパラベン ”からなる群から選択される1種又は2種以上 化合物を含有する上記いずれかに記載の口 粘膜保護剤である。すなわち,本発明の口腔 粘膜保護剤は,芳香成分,殺菌剤,唾液成分(酵 ,糖蛋白),抗炎症剤又は防黴剤などを適宜含 して,芳香性などを調整したものが好ましい

 本発明の口腔粘膜保護剤の好ましい態様 ,スプレー液(薬液を対象箇所に向けて噴射 る剤),噴霧又は気化投与用の液剤,洗口剤,含 剤,泡状エアゾール剤,潅流液又は輸液パッ 収容液である上記いずれかに記載の口腔粘 保護剤である。すなわち,本発明の口腔粘膜 護剤は,対象疾患などの目的に応じて,それ ふさわしい剤型とすることができる。

 本発明の口腔粘膜保護剤の好ましい態様 ,口腔乾燥症の治療剤若しくは予防剤,又は ライマウスの治療剤若しくは予防剤である 記いずれかに記載の口腔粘膜保護剤に関す 。すなわち,本発明の口腔粘膜保護剤によれ ,口腔内が乾燥する事態を効果的に防止でき るので,口腔乾燥症若しくはドライマウスに 患することを効果的に防止でき,また口腔乾 症若しくはドライマウスに罹患した患者の 腔内に潤いを与え,口腔乾燥症若しくはドラ イマウスの治療に有効である。

 なお,本発明は,口腔粘膜保護剤を製造す ためのトレハロースの使用をも提供する。 た,本発明は,有効量のトレハロースを含有す る口腔粘膜保護剤を対象に投与する工程を含 む,特に施術中に口腔粘膜を保護する方法,口 乾燥症若しくはドライマウスの治療方法,及 び口腔乾燥症若しくはドライマウスの予防方 法をも提供する。

 本発明によれば,乾燥刺激から口腔内の粘 膜を保護するための口腔粘膜保護剤を提供で きる。本発明の口腔粘膜保護剤は,例えば有 成分としてトレハロースを用いるので,味覚 優れた口腔粘膜保護剤を提供することがで る

 本発明によれば,施術中の乾燥刺激から口 腔内の粘膜を保護するための口腔粘膜保護剤 を提供できる。

 本発明によれば,口腔乾燥症若しくはドラ イマウスの治療剤又は予防剤を提供できる。

 本発明によれば,義歯による外傷性潰瘍の 治療剤又は予防剤を提供できる。

 本発明は,基本的には,トレハロース又は, の薬学的に許容される溶媒和物を有効成分 して有効量含有する口腔粘膜保護剤に関す 。「口腔粘膜保護剤」とは,特に,乾燥刺激 ら口腔内の粘膜を保護する剤を意味する。 発明の口腔粘膜保護剤は,例えば有効成分と てトレハロースを用いるので,味覚に優れた 口腔粘膜保護剤を提供することができる。

 「トレハロース」は,2分子のグルコース 1,1結合した非還元性の二糖を意味する。ト ハロースとして,含水結晶トレハロース,無水 結晶トレハロース,トレハロース含有糖,α,α- レハロース(狭義のトレハロース),α,β-トレ ロース(ネオトレハロース),β,β-トレハロー (イソトレハロース)などいずれのトレハロ スを用いることもできる。これらの中では, ,α-トレハロース(α-D-グルコピラノシルα-Dグ リコピラノシド)の含水結晶トレハロース又 無水結晶トレハロースが好ましい。トレハ ースは,公知であって,例えば,特許第3,515,456 公報に記載される「含水物に無水結晶トレ ロース及び/又は非晶質無水トレハロースを 有せしめトレハロース含有含水物を調製す 工程,及び,調製されたトレハロース含有含 物を乾燥する工程とを含むことを特徴とす トレハロース含有粉末組成物の製造方法」 よって製造することができる。

 「その薬学的に許容される溶媒和物」と ,トレハロースの溶媒和物を意味する。トレ ハロースの溶媒和物として,トレハロースの 水和物があげられる。本発明においては,乾 刺激などから組織を保護することが期待さ るところ,トレハロースの二水和物を用いた 剤は,好ましい組織保護能を有するために好 しい。溶媒和物として,水和物があげられる また,本発明の化合物は,大気中に放置して いたり,再結晶することにより,水分を吸収し ,吸着水が付いたり,水和物となる場合がある そのような溶媒和物を形成する場合も,“そ の溶媒和物”に含む。

 「有効成分」とは,乾燥刺激などから口腔 内の粘膜を保護する機能を有する成分を意味 する。そして,本発明においては,トレハロー が,有効成分である。もっとも,トレハロー 以外の有効成分が適宜含まれていてもよい

 「有効量」とは,粘膜組織などを乾燥刺激 などから保護するために有効なトレハロース の量を意味する。トレハロースは一般に甘味 を有する添加剤,安定化剤,食感改善剤などと て,主に固体のものが食品に含有されている 。また,トレハロースは,医薬においても,安定 化剤などとして添加されることがある。本発 明の口腔粘膜保護剤においては,トレハロー を組織の乾燥を防止するための液剤などに いるので,医薬において安定化剤などとして 加する場合に比べて,多くのトレハロースを 添加することが好ましい。口腔粘膜保護剤に 含有されるトレハロースの重量は,用途に応 て適宜調整すればよい。口腔粘膜保護剤に けるトレハロースの含有量として,0.5重量%~25 重量%があげられ,3重量%~15重量%が好ましい。 方,トレハロースの含有量が多くなりすぎる と,口腔粘膜保護剤が極端に甘く感じられる のの,乾燥刺激を効果的に防止するため,口腔 粘膜保護剤に含まれるトレハロースの含有量 として,20重量%~80重量%でもよく,25重量%~50重量 %でもよい。ただし,口腔粘膜保護剤として,使 用に際して溶媒で薄めて用いるものの場合は ,薄め具合に応じて適宜濃度を調整すればよ 。

 本発明の口腔粘膜保護剤の好ましい態様 ,口腔乾燥症の治療剤若しくは予防剤,又は ライマウスの治療剤若しくは予防剤である 記いずれかに記載の口腔粘膜保護剤に関す 。すなわち,本発明の口腔粘膜保護剤によれ ,口腔内が乾燥する事態を効果的に防止でき るので,口腔乾燥症若しくはドライマウスに 患することを効果的に防止でき,また口腔乾 症又はドライマウスに罹患した患者の口腔 に潤いを与え,口腔乾燥症又はドライマウス の治療に有効である。

 本発明のトレハロースを,上記治療剤又は 予防剤として使用する場合には,それ自体を 与しても良いし,薬理学的に許容される担体 どと混合して投与してもよい。このような は,公知の方法により製造できる。本発明の 化合物を用いた剤として,スプレー剤,噴霧投 用の液剤,気化投与用の液剤,洗口液,含嗽剤, 泡状エアゾール剤,潅流液,又は輸液パックが げられる。ここで,スプレー剤とは,スプレ 容器に収容され,スプレー状に投与される剤 ある。噴霧投与用の液剤とは,噴霧投与装置 と物理的に離れた位置に存在する容器内に収 容され,必要に応じて噴霧部で噴霧に適した 態とされた後に噴霧される剤である。気化 与用の液剤とは,気化投与部と物理的に離れ 位置に存在する容器内に収容され,必要に応 じて気化され,気化投与部から投与される剤 ある。洗口液とは,うがい剤などを意味する ,本発明の洗口液は,口腔内を洗浄したのち き出すものであっても良いし,口腔内の乾燥 防止するか又は口腔内を湿潤させた後,飲み 込むものであっても良い。一般に洗浄剤は, 腔内を洗浄した後吐き出すものであるので, 飲した場合に,心理的にも好ましくない。一 方,本発明の洗浄剤は,基本的には,生体適合性 の高い化合物のみを含むので,もともと飲み んでも問題ない。よって,心理的にも優れた 浄剤を提供できることとなる。含嗽剤は,口 に含んですすいだ後に吐き出す液剤である。 口腔乾燥症又はドライマウスの予防剤又は治 療剤として,有効量のトレハロースを含有す 液剤,特に液剤,スプレー剤が好ましい。

 本発明の剤は,増粘剤,湿潤剤,pH調整剤など 適宜含んでもよい。すなわち,本発明の口腔 膜保護剤の好ましい態様は,増粘剤を含有す る上記に記載の口腔粘膜保護剤である。増粘 剤として,薬学的に許容される公知の増粘剤 適宜用いることができる。増粘剤として,“ ルラン,グァーガム,ラムダカラギナン,トラ ントガム,ペクチン,マンナンなどの増粘多 類,メチルセルロース,メチルヒドロキシプロ ピルセルロース,エチルセルロース(EC),ヒドロ キシプロピルセルロース(HPC),ヒドロキシプロ ピルメチルセルロース(HPMC),カルボキシメチ セルロース,カルボキシメチルエチルセルロ ス又はそれらの塩類,結晶セルロース,酢酸 ルロース,酢酸フタル酸セルロース,ヒドロキ シエチルセルロース,ヒドロキシプロピルセ ロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロー ,ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタ レート,粉末セルロース,などのセルロース系 導体,アラビアゴム,ガラクタン,寒天,クイン スシード,小麦澱粉,米澱粉,トウモロコシ澱粉 ,馬鈴薯澱粉,カードラン,キサンタンガム,サ シノグルカン,デキストラン,ヒアルロン酸, ルブミン,カゼイン,コラーゲン,ゼラチン,フ ブロイン,カルボキシメチルスターチ及びそ の塩類,クロスカルメロース及びその塩類,ア ファー化澱粉,部分アルファー化澱粉,カル キシメチル澱粉,デキストリン,メチル澱粉, ルギン酸ナトリウム,アルギン酸プロピレン リコールエステル,コンドロイチン硫酸ナト リウム,ヒアルロン酸ナトリウム,カルボキシ ニルポリマー,ポリアクリル酸ナトリウム, リビニルアセタールジエチルアミノアセテ ト,ポリビニルアルコール,ポリビニルピロリ ドン,メタアクリル酸-アクリル酸エチルコポ マー,メタアクリル酸-メタアクリル酸エチ コポリマー,メタアクリル酸エチル・メタア リル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル ポリマー,メタアクリル酸ジメチルアミノエ チル・メタアクリル酸メチルコポリマー,含 二酸化ケイ素,軽質無水ケイ酸,コロイダルア ルミナ,ベントナイト及びラポナイト”から る群より選ばれる少なくとも1種又は2種以上 の化合物があげられる。すなわち,増粘剤を 有するので,有効成分であるトレハロースの 腔粘膜への付着性を増大させ,粘膜に滞留す るトレハロースの濃度を高めるとともに,ト ハロースが粘膜に滞留する時間を長くする とができる。上記の化合物の中では,プルラ が好ましい。プルランは,後述する実施例に より実証されたとおり,上記の作用を有する か,トレハロースとの相性がよく,しかもトレ ハロースの乾燥刺激保護効果を飛躍的に高め るという作用をも有するからである。プルラ ンは,例えば,平均分子量10万のプルラン粉末( 品名『プルラン
PF-10』)と平均分子量20万のプルラン粉末(商品 名『プルラン PF-20』『プルラン PI-20』)が市 販されている。これらのいずれを用いてもよ い。すなわち,プルランの数平均分子量とし ,5万~40万(5万以上40万以下,以下同様)があげら れ,好ましくは15万~25万である。

 増粘剤の含有量は,トレハロースを100重量 部とした場合に,5重量部~100重量部があげられ ,10重量部~80重量部でもよく,20重量部~50重量部 であればより好ましい。なお,口腔粘膜保護 を液剤,又はスプレー剤として用いる場合,適 度な粘度を確保し,粘膜組織への良好な付着 を得る観点及びゲル形成,ゼリー状化による 射性の低下を防止する観点から,液状組成物 中の含有量を決定すればよい。

 湿潤剤とは,組織に湿り気と潤いを与える ために加えられる化合物である。湿潤剤とし て,ムチン,グリセリン,プロピレングリコール ,ソルビトール,ポリエチレングリコールなど あげることができる。湿潤剤として,生体親 和性に優れるものが望まれる。そして,ムチ は,唾液に含まれる湿潤剤,保湿剤であるので ,生理的に望ましいといえる。また,グリセリ は,味面,安全性面において,好ましい。湿潤 の含量は,トレハロースを100重量部とした場 合に,5重量部~100重量部があげられ,10重量部~80 重量部でもよく,20重量部~60重量部であればよ り好ましい。

 酸化防止剤とは,空気中酸素によって組織 粘膜が酸化することを防止するための化合物 である。本発明の口腔粘膜保護剤として,酸 刺激を低減できるものが好ましい。そこで, 腔粘膜保護剤が酸化防止剤を含有すること ,酸化刺激を低減することができるとともに ,液剤自体が酸化し劣化する事態を効果的に 止できることとなる。本発明の口腔粘膜保 剤における酸化防止剤として,アスコルビン 誘導体があげられる。このような酸化防止 として,安定性と低刺激性に優れるものが望 ましい。そのような観点からは,特にアスコ ビン酸グリコシドが好ましい。酸化防止剤 ,口腔粘膜保護剤中に,一般的に液剤に含まれ る程度の量が含まれていればよい。

 抗菌剤とは,抗菌作用のある化合物などを意 味する。口腔内には,組織1グラム中におよそ1 ×10 11 程度の細菌が存在している。そして,それら 細菌の中には病原菌も無数に含まれており, れらの病原菌が生体内に進入すると生体が メージを被ることとなる。一方,唾液には, 菌作用を持つ物質である,ラクトフェリンや ゾチームなどが含まれており,それらにより 細菌の増加が阻害される。よって,抗菌剤と て,唾液に含まれ,生体親和性に優れたラクト フェリン又はリゾチームなどが好ましい。な お,ラクトフェリンは,口腔内の第二鉄イオン 結合する働きがある。そして,第二鉄イオン は,細菌が成長するために必要な成分である め,ラクトフェリンを含有する口腔粘膜保護 は,口腔内での第二鉄イオンの欠乏状態を惹 起し,それにより細胞の増殖を阻害できると えられる。一方,リゾチームは細菌の細胞壁 作用して,細胞壁を分解させる働きがある。 そして,細胞壁が分解されると,細胞は溶解し め,結果として細菌を死滅する。そこで,リ チームを含有する口腔粘膜保護剤は,細胞の 胞壁を分解し,細菌を死滅させることができ るので,好ましい。抗菌剤として,公知の殺菌 を含んでもよく,具体的には,イソプロビル チルフェノールやショウジ油,チモール,塩酸 クロルヘキシジン又は塩化セチルピリジニウ ム等があげられる。これら抗菌剤は,抗菌作 を発揮するために有効な量を含有されるこ が好ましい。

 本発明の口腔粘膜保護剤の好ましい態様 ,口腔粘膜保護剤が液剤であり,前記液剤のpH が5.7~8.5である上記いずれかに記載の口腔粘 保護剤である。トレハロース水溶液(30%水溶 )のpHは,4.5~6.5である。そして,pHが5.5以下の 態では,一般に,歯の表面を保護しているエナ メル質が溶け,う蝕の原因となる。トレハロ スは,口腔内での酸産生が少なく,また虫歯の 一因である不溶性グルカンの生成が認められ ない。また,トレハロースは,砂糖由来の不溶 グルカンの付着を約60%抑制する。よって,ト レハロースにより,う蝕が進行するおそれは しいが,本発明の剤は,投与後特に水などで口 腔内をゆすぐことなく用いられることも意図 されているため,口腔内においてう蝕が進行 る事態を防止するため,上記のような酸性度 することが好ましい。pHを調整するために ,アルカリ性のpH調整剤又は酸性のpH調整剤を 適宜添加すればよい。アルカリ剤として,「 酸水素ナトリウム,炭酸ナトリウム,炭酸水素 カリウム,炭酸カリウム,炭酸カルシウム,乳酸 カルシウム,コハク酸二ナトリウム,リンゴ酸 トリウム,リン酸水素二ナトリウム,リン酸 素二カリウム,リン酸三ナトリウム」からな 群から選ばれる1種又は2種以上の化合物が げられる。酸性剤として,「酢酸,クエン酸, 石酸,プロピオン酸,塩酸,フマル酸,アジピン ,安息香酸,リンゴ酸,リン酸,乳酸,グルコン 」からなる群から選ばれる1種又は2種以上の 化合物があげられる。 

 薬理学的に許容される担体として,滅菌水 ,精製水,蒸留水,滅菌有機溶媒,水性デンプン, 工唾液,生理食塩水,アルコール,オイル,又は でんぷんなどがあげられる。

 口腔粘膜保護剤は,保存剤及び矯味矯臭剤 から適宜選択されるものを含有してもよい。 本発明の口腔粘膜保護剤の好ましい態様は, メントール,アネトール,ペパーミント油,ス アミント油,メチルサリシレート,オイゲノー ル,ユーカリプトール,リモネン塩化セチルピ ジニウム,グルコン酸クロルヘキシジン,ト クロサン,イソプロピルメチルフェノール,グ リチルリチン酸ジカリウム,アズレンスルホ 酸ナトリウム,塩化デカリニウム,塩化リゾチ ーム,ヒノキチオール,ラウロイルサルコシン トリウム,ラクトフェリン,及びパラベン” らなる群から選択される1種又は2種以上の化 合物を含有する上記いずれかに記載の口腔粘 膜保護剤である。すなわち,本発明の口腔粘 保護剤は,芳香成分,殺菌剤,唾液成分(酵素,糖 蛋白),抗炎症剤又は防黴剤などを適宜含有し ,芳香性などを調整したものが好ましい。

 保存剤として,例えば,メチルパラベン,プ ピルパラベンのようなパラオキシ安息香酸 ステル類,クロロブタノール,ベンジルアル ール,フェニルエチルアルコールのようなア コール類,塩化ベンザルコニウム,フェノー ,クレゾールのようなフェノール類,チメロサ ール,デヒドロ酢酸,及び,ソルビン酸があげら れる。矯味矯臭剤として,例えば,甘味料,酸味 料,及び香料などがあげられる。希釈剤とし ,滅菌水,滅菌有機溶媒,水性デンプン,人工唾 又は生理食塩水などがあげられる。

 本発明の剤は,本発明の化合物又は本発明の 医薬組成物を用い,公知の方法に従って製造 きる。液剤は,本発明の化合物又は本発明の 薬組成物を用い,滅菌水,滅菌有機溶媒,水性 ンプン,人工唾液又は生理食塩水などと混合 することにより得ることができる。
ガム状の口腔粘膜保護剤は,公知のガムの製 方法に従って製造できる。

 本発明の化合物の使用量は,症状,年齢,性 ,投与方法などに応じて適宜調整すればよい 。インプラント埋入などの口腔内手術の場合 は,本発明の5ml~100mlの口腔粘膜保護剤で口を すがせた後に,手術を行ってもよい。また,液 状又はスプレー状とした口腔粘膜保護剤を適 宜患部や周辺粘膜に投与してもよい。口腔乾 燥症又はドライマウスの予防剤又は治療剤と して,1ml~100mlの液状の口腔粘膜保護剤で口を すぐようにすればよい。投与回数は,例えば, 1日当り1回~数回を症状に応じて投与すればよ い。

 なお,本発明は,治療対象に,トレハロース, 又はその薬学的に許容される溶媒和物を有効 成分として含有する口腔内の粘膜を保護する ための口腔粘膜保護剤を投与する口腔乾燥症 又はドライマウスの治療方法をも提供する。 なお,この治療方法において,口腔粘膜保護剤 これまで説明した様々なパターンのものを 宜用いることができる。

 また,本発明は,口腔乾燥症又はドライマ スの予防剤又は治療剤を製造するための,ト ハロース,又はその薬学的に許容される溶媒 和物の使用(特に主成分としての使用)をも提 する。

 以下,実施例を用いて本発明を具体的に説 明する。本発明は,以下の実施例から当業者 自明な範囲で適宜修正を加えることができ, 下の実施例に限定されるものではない。

 トレハロース(株式会社林原生物化学研究 所製造)10g,プルラン(株式会社林原生物化学研 究所製造)4gを滅菌精製水(光製薬株式会社製 )に溶解した。0.2mol/l炭酸水素ナトリウム水 液を用いて溶液の酸性度がpH7.4となるように 調整し,滅菌精製水(光製薬株式会社製造)を加 えて100gとした。孔径0.22マイクロメートルの ィルターを用いてろ過し,口腔粘膜保護剤を 得た。炭酸水素ナトリウムは日本薬局方品を 用いた。

 トレハロース(株式会社林原生物化学研究 所製造)10g,プルラン(株式会社林原生物化学研 究所製造)4g,濃グリセリン5gを滅菌精製水(光 薬株式会社製造)に溶解した。0.01mol/l炭酸水 ナトリウム水溶液を用いて溶液の酸性度がp H7.4となるように調整し,滅菌精製水(光製薬株 式会社製造)を加えて100gとした。孔径0.22マイ クロメートルのフィルターを用い,ろ過し,口 粘膜保護剤を得た。濃グリセリンおよび炭 水素ナトリウムは日本薬局方品を用いた。

 トレハロース(株式会社林原生物化学研究 所製造)20g,プルラン(株式会社林原生物化学研 究所製造)4g,濃グリセリン2gを滅菌精製水(光 薬株式会社製造)に溶解した。0.01mol/l炭酸水 ナトリウム水溶液0.03gを用いて溶液の酸性 がpH7.4となるように調整し,滅菌精製水(光製 株式会社製造)を加えて100gとした。孔径0.22 イクロメートルのフィルターを用い,ろ過し ,口腔粘膜保護剤を得た。濃グリセリンおよ 炭酸水素ナトリウムは日本薬局方品を用い 。

 なお,以下の実験における対象実験のため の比較例として,「滅菌精製水(光製薬株式会 製造)」を用いて炭酸水素ナトリウムの濃度 が0.2mol/lの水溶液とし,得られた炭酸水素ナト リウム水溶液を用い「滅菌精製水(光製薬株 会社製造)」をpH7.4に調整し,100gのpH7.4の炭酸 素ナトリウム水溶液を得た。なお,炭酸水素 ナトリウムは日本薬局方品を用いた。

 乾燥保護性能評価-舌背表面の水分推移-
 実施例1,実施例2及び比較例で得られた口腔 膜保護液を4名の被験者を用いて評価した。 評価手順は以下のとおりである。

 手順1. 唾液腺開口部である両側上顎第二 大臼歯頬側,下顎口庭部にロールワッテを置 ,実施例1,実施例2の液又は対照としての参考 の液を口蓋,左右頬粘膜,舌背の4箇所に噴霧 (合計1.2g) ,口腔内を湿潤させた。

手順2. 右側臼歯部にバイトブロックを置 ,下顎左側顎角部に口腔内バキュームを置き, 吸引し,口腔内に気流を生じさせ,空気による 燥状態とした。5分間続けた後,口腔内バキ ームをはずした。

手順3. その後排唾管をつけ,舌先を下歯茎 つけて,5分間,口を開いたままにした。

 「舌背表面の水分推移」について,施術の 開始前,手順2の後及び手順3の後に,口腔水分 (ムーカス(登録商標)株式会社ライフ)を用い 背表面の水分を測定した。得られた結果を 1に示す。

 表1から,比較例の乾燥環境下では,舌背表 水分の推移が著しく下がることがわかる。 施例1又は実施例2と,比較例とを比較すると, 実施例の方が比較例に比べて粘膜が乾燥する 事態を効果的に防止できることがわかる。口 腔内湿潤持続感は実施例1と実施例2とに大き 差がなく,やや実施例2のほうが勝っていた なお,実施例1は実施例2に比べ甘味が弱く,被 者Bから,はっきりしない味との評価を得た また,実施例3は甘味が強く,実施例2を好む人 多かった。  

 乾燥保護性能評価-糸状乳頭の観察-
 実施例2及び比較例で得られた口腔粘膜保護 液を5名の被験者を用いて糸状乳頭をデジタ カメラでの目視観察による変化推移を検討 ることで,乾燥保護性能を評価した。評価手 は以下のとおりであった。
手順1. 唾液腺開口部である両側上顎第二大 歯頬側,下顎口庭部にロールワッテを置き,実 施例の液又は対照としての参考例の液を口蓋 ,左右頬粘膜,舌背の4箇所に噴霧し(合計1.2g) , 口腔内を湿潤させた。

 手順2. 右側臼歯部にバイトブロックを置 き,下顎左側顎角部に口腔内バキュームを置 ,吸引し,口腔内に気流を生じさせ,空気によ 乾燥状態とした。5分間続けた後,口腔内バキ ュームをはずした。

 手順3. その後排唾管をつけ,舌先を下歯 につけて,5分間,口を開いたままにした。

 糸状乳頭の観察
開始前,手順2の後及び手順3の後に,糸状乳頭 状態を可視光下デジタルカメラ(マイクロス ンスコープ 株式会社アールエフ)で観察し 。

 比較例のものを投与した場合,特に被験者 3名の糸状乳頭には,著しい状態変化がみとめ れ,白くなるとともに先が細くなる様子が観 察された。なお,変化の程度は,時間が進むに れ大きくなった。一方,実施例2の口腔粘膜 護剤を投与した被験者については,噴霧前,5 後,及び10分後では,いずれも糸状乳頭の状態 著しい変化は認められず,粘膜保護効果が確 認された。

茸状乳頭の観察
開始前,手順2の後及び手順3の後に,茸状乳頭 大きさを可視光下デジタルカメラ(マイクロ キンスコープ 株式会社アールエフ)を用い, 基準(マーカー)と一緒に撮影し,その像より長 径及び短径を測定し楕円相当面積を算出した 。その結果を表2に示す。

 表2では,噴霧前の茸状乳頭の面積を1.000と したときの,5分後,10分後における面積比率の 移を示した。茸状乳頭は空気による乾燥に り,実施例の液では極僅かに萎縮し面積が小 さくなるが,噴霧前と5分後,噴霧前と10分後,5 後と10分後では有意差は認められなく,収縮 抑制が認められた。参考例では5分後,10分後 もに明らかな萎縮が見られ,噴霧前と5分後, 霧前と10分後,5分後と10分後いずれも有意差 認められ,空気による乾燥により収縮した。 10分後には噴霧前の0.505にまで収縮した。

 5分後から緩和な乾燥環境である自然乾燥 により5分間実施したが(10分後),実施例の一部 の被験者については比較例ではみられない回 復が見られた。実施例の液が口内治療中にお ける空気による乾燥より,粘膜保護効果が明 かになった。同様に口呼吸,唾液の減少その による口腔内の乾燥からの口腔粘膜保護に し本発明が有用であることが明らかとなっ 。また,実施例1および実施例2の口腔粘膜保 液の成分は安全性が高く,飲み込んでよい成 分からなり,吐き出したり,水等で口内を漱ぐ 要がないため効果の持続がはかれる。

 口腔粘膜保護剤は,歯科手術の際や,口腔 燥症若しくはドライマウスの治療剤若しく 予防剤として有効であるので,医薬産業など おいて好適に利用されうる。