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Patent Searching and Data


Title:
PROTEIN CRYSTALLIZING AGENT AND METHOD OF CRYSTALLIZING PROTEIN THEREWITH
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/102469
Kind Code:
A1
Abstract:
Technique for crystallizing a given protein at high possibility; namely, a protein crystallizing agent and method of crystallizing protein; and further a technique for determining the conditions for protein crystallization easily with high efficiency, namely, a method of screening the conditions for protein crystallization and protein crystallization screening reagent. As the protein crystallizing agent, use is made of at least one compound selected from the group consisting of a basic amino acid, an acidic amino acid, an ester derivative of amino acid and an amide derivative of amino acid, or use is made of at least one of these compounds combined with another protein crystallizing agent.

Inventors:
YAMAGUCHI HIROSHI (JP)
ITO LEN (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/068192
Publication Date:
August 28, 2008
Filing Date:
September 19, 2007
Export Citation:
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Assignee:
KWANSEI GAKUIN EDUCATIONAL FOU (JP)
YAMAGUCHI HIROSHI (JP)
ITO LEN (JP)
International Classes:
C07K1/30; B01D9/02
Other References:
"ADDit Additive Screen", B-BRIDGE NEWSLETTER, 2005, pages 28, XP003024693, Retrieved from the Internet
"ADDit Addtive Screen - technical sheet", B-BRIDGE INTERNATIONAL, INC., 2004, pages 1, XP003024694, Retrieved from the Internet
Attorney, Agent or Firm:
SAEGUSA, Eiji et al. (1-7-1 Doshomachi,Chuo-ku, Osaka-shi, Osaka, JP)
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Claims:
 塩基性アミノ酸、酸性アミノ酸、アミノ酸のエステル誘導体、アミノ酸のアミド誘導体、並びにこれらの塩および溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を有効成分とする蛋白質結晶促進剤。
 上記塩基性アミノ酸がアルギニン、リシン、およびオルニチンであり;酸性アミノ酸がアスパラギン酸、およびグルタミン酸であり;アミノ酸のエステル誘導体がグリシンエチルエステル、リシンエチルエステル、およびセリンエチルエステルであり;アミノ酸のアミド誘導体がグリシンアミド、セリンアミド、スレオニンアミド、アルギニンアミド、およびプロリンアミドである、請求項1記載の蛋白質結晶促進剤。
 塩基性アミノ酸、酸性アミノ酸、アミノ酸のエステル誘導体、アミノ酸のアミド誘導体、並びにこれらの塩および溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物からなるか、またはこれらの少なくとも1つの化合物を含有する蛋白質結晶化剤。
 上記塩基性アミノ酸がアルギニン、リシン、およびオルニチンであり;酸性アミノ酸がアスパラギン酸、およびグルタミン酸であり;アミノ酸のエステル誘導体がグリシンエチルエステル、リシンエチルエステル、およびセリンエチルエステルであり;アミノ酸のアミド誘導体がグリシンアミド、セリンアミド、スレオニンアミド、アルギニンアミド、およびプロリンアミドである、請求項3記載の蛋白質結晶化剤。
 リシン、アルギニン、オルニチン、グリシンエチルエステル、セリンエチルエステル、リシンエチルエステル、グリシンアミド、セリンアミド、スレオニンアミド、アルギニンアミド、およびプロリンアミド、並びにこれらの塩および溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物からなる、請求項3記載の蛋白質結晶化剤。
 塩基性アミノ酸、酸性アミノ酸、アミノ酸のエステル誘導体、アミノ酸のアミド誘導体、並びにこれらの塩および溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物と、沈殿剤およびpH緩衝剤からなる群から選択される少なくとも1つの成分との組み合わせ物である、請求項3に記載する蛋白質結晶化剤。
 蛋白質を含有する溶液と、請求項1または2に記載する蛋白質結晶促進剤または請求項3~6のいずれか1項に記載する蛋白質結晶化剤とを接触状態に置いて蛋白質を析出させる工程を有する、蛋白質の結晶化方法。
 蒸気拡散法、バッチ法、液-液拡散法または透析法において、蛋白質結晶促進剤として請求項1または2に記載する蛋白質結晶促進剤、または蛋白質結晶化剤として請求項3~6のいずれか1項に記載する蛋白質結晶化剤を用いて、当該蛋白質結晶促進剤または蛋白質結晶化剤と蛋白質含有溶液とを接触状態に置いて蛋白質を析出させる工程を有する、請求項7に記載する蛋白質の結晶化方法。
 蛋白質含有溶液と請求項1または2に記載する蛋白質結晶促進剤または請求項3~6のいずれか1項に記載する蛋白質結晶化剤とを接触状態に置いて、蛋白質の析出の有無を確認する工程を有する、蛋白質の結晶化条件をスクリーニングする方法。
 蒸気拡散法において、蛋白質結晶促進剤として請求項1または2に記載する蛋白質結晶促進剤、または蛋白質結晶化剤として請求項3~6のいずれか1項に記載する蛋白質結晶化剤を用いて、当該蛋白質結晶促進剤または蛋白質結晶化剤と蛋白質含有溶液とを混合して蛋白質を析出させる工程を有する、請求項9に記載する蛋白質の結晶化条件をスクリーニングする方法。
 請求項1もしくは2に記載する蛋白質結晶促進剤または請求項3~6のいずれか1項に記載する蛋白質結晶化剤を含むことを特徴とする、蛋白質結晶化スクリーニング試薬または試薬キット。
Description:
蛋白質結晶化剤および蛋白質結 化剤を用いた蛋白質結晶化方法

 本発明は、蛋白質含有溶液から蛋白質の 晶析出を促進して、蛋白質の結晶を取得す ために用いられる蛋白質結晶促進剤および 白質結晶化剤に関する。また本発明は、蛋 質含有溶液から蛋白質結晶を析出するため 方法に関する。さらに本発明は、蛋白質含 溶液から蛋白質を結晶化するための条件を クリーニングする方法およびそれに使用す ための試薬に関する。

 ポストゲノム研究のもと、近年、蛋白質 立体構造をもとにして創薬する試みがなさ ており、蛋白質の構造解析が急務となって る。蛋白質の構造解析に最適な手法は、結 構造解析であるが、そのための必須工程で る蛋白質の結晶化は成功率が低く、時間が かるなど、非常に難しいのが現状であり、 白質の立体構造解析ひいてはそれに利用し 創薬化のボトルネックとなっている。

 一般に蛋白質含有溶液から蛋白質の結晶 析出させるには、溶媒蒸発、温度変化また 沈殿剤等を利用してより過飽和度を大きく る必要がある。過飽和が低いと核が発生し かったり、核形成・結晶成長が遅延するな といった問題があるからであるが、逆に、 まりにも過飽和度を高くしすぎると、結晶 一気に析出して急成長するため、得られる 晶の品質に問題が生じたり、また溶液から 離した非晶質の沈殿が生成しやすくなると う問題がある。また通常、結晶化の条件は 実際に結晶化を複数~多数試みるなど、試行 錯誤の結果決定されるが、これでは労力と時 間がかかり過ぎて効率的ではない。

 これを解決する方法として、蛋白質含有 液に短波パルスのレーザーを照射して強制 に結晶の核を発生させ、溶液を攪拌するこ で短期間に結晶を作成する方法が開発され いる(非特許文献1、特許文献1など参照)。ま た高品質で大型の蛋白質の結晶の育成に適し た方法として、温度を降下させながら2液界 で結晶を育成する方法が提案されている(非 許文献2など参照)。

 一方、ある種の沈殿剤や緩衝剤が蛋白質 結晶化を促進することを利用して、蛋白質 晶化スクリーニング試薬キット(例えば、Ham pton Research社、Emerald Biostructure社、Jena Bio Sc ience社、Molecular Dimensions社など)が市販されて いる。蛋白質の結晶化には、明快なセオリー があるわけではないから、まずは種々の広範 囲な条件下でスクリーニングを行って結晶化 する条件を探り当て(初期スクリーニング、 ンダムスクリーニング)、次いで得られた結 化条件に基づいて最適な結晶化条件を絞っ いく(条件の精密化)という手法がとられる が一般的である。ゆえにこの方法の場合、 的蛋白質の結晶化が成功するか否かは、上 初期スクリーニングで結晶化条件を探り当 ることができるか否かにかかっているとい ても過言ではない。さらに、目的蛋白質を 晶化させるためには、目的蛋白質が結晶化 適する高純度である必要がある。

 上記市販の蛋白質結晶化スクリーニング試 キットは、確かに簡便に利用できる点で有 ではあるものの、結晶が得られる確率は必 しも高いものではないため、より高い確率 蛋白質の結晶を析出させることのできるス リーニング試薬の開発が望まれている。ま 、純度の低い蛋白質においても結晶化を可 にする試薬が求められている。

国際公開公報(WO2004/018744) 日本結晶成長学会誌、Vol.29、No.5、2002 日本結晶成長学会誌、Vol.29、No.3、2002

 本発明は、かかる事情に鑑みてなされた のであり、所望の蛋白質を高い確率で結晶 するための技術(蛋白質結晶促進剤、蛋白質 結晶化剤および蛋白質結晶化方法)を提供す ことを目的とする。また、本発明は、蛋白 の結晶化条件を簡単にしかも効率良く探索 て決定するための技術(蛋白質の結晶化条件 スクリーニング方法および蛋白質結晶化ス リーニング試薬)を提供することを目的とす る。

 本発明者らは、上記目的を達成するため 日夜鋭意検討していたところ、蛋白質を含 する溶液に、特定のアミノ酸、アミノ酸の ステル誘導体またはアミノ酸のアミド誘導 などの低分子化合物を配合することによっ 、蛋白質の結晶析出が促進され、高い確率 蛋白質が結晶化することを見出し、これら 低分子化合物が蛋白質結晶促進剤として機 すること、またこれらの低分子化合物が単 で、または従来蛋白質結晶化剤として公知 沈殿剤やpH緩衝剤などと組み合わせて、蛋 質結晶化剤として有効に用いることができ ことを確認した。また、蛋白質を含有する 液にこれらの低分子化合物を配合すること よって、従来蛋白質の結晶が析出しなかっ 条件や、やや純度の劣る蛋白質でも結晶析 が可能になることを見出し、当該低分子化 物は、蛋白質結晶化条件を探索するための クリーニング試薬としても有効に用いるこ ができることを確認した。

 本発明はかかる知見に基づいて完成され ものであり、下記の態様を含むものである

  (I)蛋白質結晶促進剤
(I-1)塩基性アミノ酸、酸性アミノ酸、アミノ のエステル誘導体、アミノ酸のアミド誘導 、並びにこれらの塩および溶媒和物からな 群から選択される少なくとも1つの化合物を 有効成分とする蛋白質結晶促進剤。
(I-2)上記塩基性アミノ酸がアルギニン、リシ 、およびオルニチンであり;酸性アミノ酸が アスパラギン酸、およびグルタミン酸であり ;アミノ酸のエステル誘導体がグリシンエチ エステル、リシンエチルエステル、および リンエチルエステルであり;アミノ酸のアミ 誘導体がグリシンアミド、セリンアミド、 レオニンアミド、アルギニンアミド、およ プロリンアミドである、(I-1)記載の蛋白質 晶促進剤。

  (II)蛋白質結晶化剤
(II-1)塩基性アミノ酸、酸性アミノ酸、アミノ 酸のエステル誘導体、アミノ酸のアミド誘導 体、並びにこれらの塩および溶媒和物からな る群から選択される少なくとも1つの化合物 らなるか、またはこれらの少なくとも1つの 合物を含有する蛋白質結晶化剤。
(II-2)上記塩基性アミノ酸がアルギニン、リシ ン、およびオルニチンであり;酸性アミノ酸 アスパラギン酸、およびグルタミン酸であ ;アミノ酸のエステル誘導体がグリシンエチ エステル、リシンエチルエステル、および リンエチルエステルであり;アミノ酸のアミ ド誘導体がグリシンアミド、セリンアミド、 スレオニンアミド、アルギニンアミド、およ びプロリンアミドである、(II-1)記載の蛋白質 結晶化剤。
(II-3)アルギニン、リシン、オルニチン、グリ シンエチルエステル、セリンエチルエステル 、リシンエチルエステル、グリシンアミド、 セリンアミド、スレオニンアミド、アルギニ ンアミド、およびプロリンアミドからなる群 から選択される少なくとも1つの化合物から る、(II-1)記載の蛋白質結晶化剤。
(II-4)塩基性アミノ酸、酸性アミノ酸、アミノ 酸のエステル誘導体、アミノ酸のアミド誘導 体、並びにこれらの塩および溶媒和物からな る群から選択される少なくとも1つの化合物 、沈殿剤およびpH緩衝剤からなる群から選択 される少なくとも1つの成分との組み合わせ である、(II-1)または(II-2)に記載する蛋白質 晶化剤。

  (III)蛋白質結晶化方法
(III-1)蛋白質を含有する溶液と、(I-1)若しくは (I-2)に記載する蛋白質結晶促進剤または(II-1)~ (II-4)のいずれかに記載する蛋白質結晶化剤と を、接触状態に置いて蛋白質を析出させる工 程を有する、蛋白質の結晶化方法。
(III-2)蒸気拡散法、バッチ法、液-液拡散法ま は透析法において、蛋白質結晶促進剤とし (I-1)若しくは(I-2)に記載する蛋白質結晶促進 剤、または蛋白質結晶化剤として(II-1)~(II-4) いずれかに記載する蛋白質結晶化剤を用い 、当該蛋白質結晶促進剤または蛋白質結晶 剤と蛋白質含有溶液とを接触状態に置いて 白質を析出させる工程を有する、(III-1)に記 する蛋白質の結晶化方法。

  (IV)蛋白質の結晶化条件のスクリ ニング方法
(IV-1)蛋白質含有溶液と、(I-1)若しくは(I-2)に 載する蛋白質結晶促進剤または(II-1)~(II-4)の ずれかに記載する蛋白質結晶化剤とを、接 状態に置いて蛋白質の析出の有無を確認す 工程を有する、蛋白質の結晶化条件をスク ーニングする方法。
(IV-2)蒸気拡散法において、蛋白質結晶促進剤 として(I-1)若しくは(I-2)に記載する蛋白質結 促進剤、または蛋白質結晶化剤として(II-1)~( II-4)のいずれかに記載する蛋白質結晶化剤を いて、当該蛋白質結晶促進剤または蛋白質 晶化剤と蛋白質含有溶液とを混合して蛋白 を析出させる工程を有する、(IV-1)に記載す 蛋白質の結晶化方法。

  (V)蛋白質の結晶化条件をスクリー ニングする試薬または試薬キット
(V-1)(I-1)若しくは(I-2)に記載する蛋白質結晶促 進剤または(II-1)~(II-4)のいずれかに記載する 白質結晶化剤を含むことを特徴とする、蛋 質結晶化スクリーニング試薬または試薬キ ト。

  (VI)アミノ酸またはアミノ酸誘導 の蛋白質結晶促進剤または蛋白質結晶化剤 しての使用
(VI-1)塩基性アミノ酸、酸性アミノ酸、アミノ 酸エステル誘導体、アミノ酸アミド誘導体、 並びにこれらの塩および溶媒和物からなる群 から選択される少なくとも1つの化合物の、 白質結晶促進剤または蛋白質結晶化剤とし の使用。
(VI-2)上記塩基性アミノ酸がアルギニン、リシ ン、およびオルニチンであり;酸性アミノ酸 アスパラギン酸、およびグルタミン酸であ ;アミノ酸のエステル誘導体がグリシンエチ エステル、リシンエチルエステル、および リンエチルエステルであり;アミノ酸のアミ ド誘導体がグリシンアミド、セリンアミド、 スレオニンアミド、アルギニンアミド、およ びプロリンアミドである、(IV-1)記載の使用。

 なお本発明が対象とする「蛋白質」には 天然または人造(化学合成法、発酵法、遺伝 子組み換え法)などの由来や製造方法の別に かわらず、ペプチド、ポリペプチド、蛋白 、およびこれらの複合体(例えば、(ポリ)ペ チドまたは蛋白質と化合物との複合体、(ポ )ペプチドまたは蛋白質と糖類との複合体、 (ポリ)ペプチドまたは蛋白質と金属との複合 、(ポリ)ペプチドまたは蛋白質と補酵素と 複合体など)が含まれる。

 本明細書において、「結晶化」または「 晶の析出」とはいずれも同一の意味であり 蛋白質含有溶液から当該蛋白質の結晶を生 および成長させて析出させることを意味す 。

 「蛋白質含有溶液」とは、結晶化させる 象の蛋白質またはスクリーニング方法で結 化条件を特定する対象の蛋白質を溶解した 液である。蛋白質の溶解に使用する溶媒と ては、通常、水を挙げることができる。た し、有機溶媒を含む水を用いることを制限 るものではない。当該蛋白質含有溶液には 対象とする蛋白質の他、蛋白質の溶解を助 る蛋白質溶解剤や安定化剤などを配合する ともできる。

 また本発明において、蛋白質含有溶液と 白質結晶促進剤若しくは蛋白質結晶化剤と 「接触状態に置く」とは、蛋白質含有溶液 蛋白質結晶促進剤若しくは蛋白質結晶化剤 が互いに触れあう状態に配置されることを 味する。かかる具体的な態様としては、蛋 質含有溶液に蛋白質結晶促進剤若しくは蛋 質結晶化剤またはこれらの溶液を添加する 様、蛋白質含有溶液に蛋白質結晶促進剤若 くは蛋白質結晶化剤またはこれらの溶液を 加し混合する態様、蛋白質含有溶液と蛋白 結晶促進剤若しくは蛋白質結晶化剤を含有 る溶液の界面を直接または間接的(ゲルや透 析膜などを介して)に接触させる態様などを 示することができる。

 本発明が提供する塩基性アミノ酸、酸性 ミノ酸、アミノ酸のエステル誘導体、アミ 酸のアミド誘導体、並びにこれらの塩およ 溶媒和物(以下、これらを総称して「アミノ 酸類(AMINO ACIDS)」ともいう)は、蛋白質含有溶 液中での蛋白質の結晶析出を促進する作用を 有するため、蛋白質の結晶化に有効に使用す ることができる。この意味で本発明が提供す るアミノ酸類は、蛋白質結晶促進剤として有 用である。

 特に本発明が提供する上記アミノ酸類に れば、前述するように蛋白質結晶促進作用 有するため、単独で、また従来公知の蛋白 結晶化剤(沈殿剤やpH緩衝剤など)と併用する ことによって、広範囲な条件で早期に蛋白質 結晶を析出することができる。この意味で本 発明が提供するアミノ酸類は、単独または従 来公知の蛋白質結晶化剤(沈殿剤やpH緩衝剤な ど)と組み合わせて、蛋白質結晶化剤として いることができる。

 これらの蛋白質結晶促進剤または蛋白質 晶化剤によれば、やや純度の劣る蛋白質で 結晶を析出させることが可能になるため、 白質の結晶化の確率(ヒット率)を高めるこ もできる。

 このため、これらのアミノ酸類からなる 発明の蛋白質結晶促進剤、ならびに当該ア ノ酸類からなるか、またはこれらアミノ酸 と従来公知の蛋白質結晶化剤との組み合わ からなる本発明の蛋白質結晶化剤は、蛋白 の結晶化条件を探索するスクリーング試薬 して有用である。ゆえに、当該スクリーニ グ試薬を用いた本発明スクリーニング方法 よれば、広範囲な条件で高い効率で蛋白質 結晶を析出することができるため、迅速か 簡便に、蛋白質の結晶化に適した条件を見 け出すことが可能である。また本発明のス リーニング試薬を用いた本発明スクリーニ グ方法によれば、やや純度の劣る蛋白質で 結晶化に適した条件を見つけ出すことが可 である。

 現在、蛋白質の結晶化に特化した企業や 白質の構造解析を請け負う企業が国内外で 数立ち上がっている。本発明が提供する技 は、蛋白質構造解析のために必須で且つ困 であるがゆえにその律速段階となる蛋白質 結晶化に有用であり、例えば蛋白質構造解 に基づく創薬に貢献するものと考えられる

I.蛋白質結晶促進剤
 本発明の蛋白質結晶促進剤は、塩基性アミ 酸、酸性アミノ酸、アミノ酸のエステル誘 体、アミノ酸のアミド誘導体、並びにこれ の塩および溶媒和物からなる群から選択さ る少なくとも1つの化合物からなることを特 徴とする。

 アミノ酸としては、グリシン、バリンお びアラニンなどのモノアミノモノカルボン :セリンおよびトレオニンなどのヒドロキシ モノアミノモノカルボン酸:アスパラギン酸 よびグルタミン酸などのモノアミノジカル ン酸:アルギニン、リシンおよびオルニチン のジアミノモノカルボン酸:メチオニンおよ びシステイン等の硫黄含有アミノ酸:プロリ およびヒスチジンなどの複素環式アミノ酸 知られているが、本発明が対象とする塩基 アミノ酸は、上記のうち、アルギニン、リ ンおよびオルニチンといったジアミノモノ ルボン酸であり、酸性アミノ酸は上記アミ 酸のうち、アスパラギン酸およびグルタミ 酸などのモノアミノジカルボン酸である。 基性アミノ酸のうち、好ましくはリシンお びオルニチンであり、酸性アミノ酸のうち 好ましくはグルタミン酸である。

 アミノ酸のエステル誘導体としては、ア ノ酸のカルボキシル基がメチルエステル化 たはエチルエステル化されたものであれば く、例えばグリシンエチルエステル、グリ ンt-ブチルエステル、グリシンベンジルエ テル、アルギニンメチルエステル、ニトロ ルギニンメチルエステル、アルギニンエチ エステル、リシンメチルエステル、リシン チルエステル、フェニルアラニンエチルエ テル、アスパラギン酸ジメチルエステル、 ステインエチルエステル、セリンエチルエ テル、トレオニンエチルエステル、および ロリンエチルエステルを挙げることができ 。好ましいアミノ酸のエステル誘導体とし 、グリシンエチルエステル、アルギニンエ ルエステル、リシンエチルエステル、セリ エチルエステルおよびシステインエチルエ テルを挙げることができる。より好ましく 、グリシンエチルエステル、リシンエチル ステル、およびセリンエチルエステルであ 。

 アミノ酸のアミド誘導体としては、アミ 酸のカルボキシル基がアミド化されたもの あればよく、例えばグリシンアミド、セリ アミド、スレオニンアミド、アルギニンア ド、およびプロリンアミドを挙げることが きる。中でも好ましくはプロリンアミド、 リシンアミドおよびセリンアミドである。

 なお、これらの塩基性アミノ酸、酸性ア ノ酸、およびアミノ酸誘導体(アミノ酸エス テル誘導体、アミノ酸アミド誘導体)は、い れも塩の形態や溶媒和物の形態を有してい もよい。ここで塩としては、ナトリウムや リウムなどのアルカリ金属との塩;マグネシ ムやカルシウムなどのアルカリ土類金属と 塩;アンモニウム塩;または塩酸、燐酸、硝 、硫酸、亜硫酸などの無機酸との塩;ギ酸、 酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、マロ 酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒 酸等の有機酸との塩を挙げることができる また溶媒和物としては、水和物を挙げるこ ができる。

 本発明の蛋白質結晶促進剤は、上記に掲 る塩基性アミノ酸、酸性アミノ酸、アミノ エステル誘導体、アミノ酸アミド誘導体、 れらの塩、またはこれらの溶媒物(アミノ酸 類(AMINO ACIDS))からなるものであり、これらを 1種単独からなるものであってもよいし、ま これらの2以上の化合物を任意に組み合わせ なるものであってもよい。

 本発明の蛋白質結晶促進剤は、溶液に溶 している蛋白質を、当該溶液から結晶とし 析出することを促進する作用を有し、もっ らその目的で用いられる。但し、結晶析出 促進する結果として蛋白質が結晶化する場 も、結晶の析出促進作用を利用していると て、本発明の蛋白質結晶促進剤の用途の範 に含まれる。

 当該蛋白質結晶促進剤は、通常、上記アミ 酸類からなるものであるが、その蛋白質結 化促進作用が妨げられない限り、上記アミ 酸類の1種または2種以上に、他の成分を含 するものであってもよい。かかる他成分と ては、保存安定剤、または蛋白質含有溶液 の溶解を補助する作用を有する溶解剤また 溶解補助剤などを例示することができる。 体的には、グリセロール、糖、金属イオン( えば、Ca ++ 、Mg ++ 、Mn ++ )、塩、緩衝剤などを挙げることができるが これらに制限されるものではない。

 なお、本発明の蛋白質結晶促進剤の形状 、特に制限されず、固体状(例えば、凍結乾 燥形状、粉末、顆粒状、錠剤)および液状の ずれでもよいが、使用の簡便性から好まし は液状である。この場合、蛋白質結晶促進 は、通常、アミノ酸類を約0.1mM~飽和濃度の 合で含む水溶液の状態に調製される。

 本発明の蛋白質結晶促進剤は、前述する うに蛋白質の結晶化を促進するために用い れるが、この場合、蛋白質結晶化剤と組み わせて用いることもできる。ここで蛋白質 晶化剤としては、従来蛋白質結晶化剤とし 使用されているもの(以下、「公知結晶化剤 」という)、具体的には蛋白質の溶解度を下 る作用を有する沈殿剤や、pH緩衝剤を挙げる ことができる。

 より具体的には、沈殿剤としては、例え 塩(例えば、塩化ナトリウム、塩化カルシウ ム、塩化マグネシウム、塩化リチウムなどの 塩化物;硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム 硫酸マグネシウム、硫酸リチウム、硫酸カ ミウムなどの硫酸塩;リン酸ナトリウム、リ 酸カリウム、無水リン酸アンモニウム、無 リン酸カリウムなどのリン酸塩;リン酸2水 ナトリウムやリン酸2水素カリウムなどのリ 酸水素塩;硝酸ナトリウムなどの硝酸塩;酢 ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸マグネシ ム、酢酸カルシウム、酢酸アンモニウム、 酸亜鉛などの酢酸塩;クエン酸3ナトリウムな どのクエン酸塩;ギ酸ナトリウムやギ酸カリ ムなどのギ酸塩;その他、酒石酸カリウムナ リウム、マロン酸ナトリウムなどの有機酸 ;ならびにこれらの水和物)、水溶性高分子 合物(例えば、分子量400~20000程度のポリエチ ングリコール、ポリエチレングリコールモ アルキルエーテル、ポリエチレンイミンな )、有機溶剤(例えば、2-メチル-2,4-ペンタン オール、エタノール、メタノール、イソプ パノール、n-プロパノール、tert-ブタノール 、ジオキサンなど)を挙げることができる。

 またpH緩衝剤としては、リン酸緩衝剤、 エン酸緩衝剤、トリス緩衝剤、グッド緩衝 などの公知のpH緩衝剤を挙げることができる が、具体的には、酢酸ナトリウム三水和物; ン酸カリウム;イミダゾール;クエン酸ナトリ ウム;カコジル酸ナトリウム;MES、Bis-Tris、ADA PIPES、ACES、MOPSO、BES、MOPS、TES、HEPES、DIPSO、T APSO、POPSO、HEPPSO、EPPS、Tricine、Bicine、TAPS、CHE S、CAPSO、CAPS、およびBis-Tris Propaneなどのグッ ド緩衝剤;そのほか、AMPSO、CABS、glycine、HEPBS MOBS、TABS、TEAなどが例示される。

 また、本発明の蛋白質結晶促進剤は、上 公知結晶化剤(例えば、沈殿剤および/また pH緩衝剤)に加えて、1価または2価の塩、有機 溶媒、グリセロール、糖、高分子化合物、補 酵素や基質、および界面活性剤などの1種ま は2種以上の付加物と組み合わせて用いるこ もできる。

 なお公知結晶化剤は、上記に掲げる沈殿 、pH緩衝剤およびその他付加物に限定され 、公知文献に基づくものや市販の蛋白質結 化スクリーニングキット(例えば、Hampton Rese arch社、Emerald Biostructure社、Jena Bio Science社 Molecular Dimensions社製など)で使用されている 知結晶化剤も同様に使用することができる

  II.蛋白質結晶化剤
 本発明の蛋白質結晶化剤は、溶液に溶解し いる蛋白質を、当該溶液から結晶として析 する作用を有し、もっぱらこの目的で使用 れるものである。

 本発明は、前述する塩基性アミノ酸、酸 アミノ酸、アミノ酸のエステル誘導体、ア ノ酸のアミド誘導体、並びにこれらの塩ま は溶媒和物(アミノ酸類)が、蛋白質結晶促 剤としての作用だけでなく、それ単独で、 白質を結晶化する蛋白質結晶化剤として使 できるという知見に基づくものである(実施 5参照)。また、上記アミノ酸類は、前述す ように、他の蛋白質結晶化剤(例えば、公知 晶化剤など)による蛋白質の結晶化を促進す る作用を有するため、当該他の蛋白質結晶化 剤(公知結晶化剤)と組み合わせた形態で、蛋 質結晶化剤として用いることができる。す わち、本発明でいう蛋白質結晶化剤には、( 1)前述するアミノ酸類単独を有効成分とする の(単独使用態様)、および(2)前述するアミ 酸類と他の蛋白質結晶化剤(公知結晶化剤)と の組み合わせ物を有効成分とするもの(併用 様)が含まれる。

 本発明の蛋白質結晶化剤で使用される塩 性アミノ酸、酸性アミノ酸、アミノ酸のエ テル誘導体、アミノ酸のアミド誘導体、並 にこれらの塩または溶媒和物(アミノ酸類(AM INO ACIDS))としては、(I)で前述したものを同様 に挙げることができ、またこれらは、(I)に記 載するように、1種または2種以上を組み合わ て用いることができる。

 なお、アミノ酸類を上記(1)の単独使用態 で使用する場合、かかるアミノ酸類として ましくは、リシン、アルギニン、およびオ ニチンといった塩基性アミノ酸;グルタミン 酸やアスパラギン酸といった酸性アミノ酸; リンエチルエステル、リシンエチルエステ およびグリシンエチルエステルといったア ノ酸エステル誘導体;グルシンアミド、セリ アミド、スレオニンアミド、プロリンアミ 、およびアルギニンアミドといったアミノ アミド誘導体を挙げることができる。

 また上記アミノ酸類を(2)の併用態様(公知 結晶化剤との組み合わせ)で使用する場合、 記アミノ酸類と組み合わせて用いられる蛋 質結晶化剤(公知結晶化剤)としては、例えば 蛋白質の溶解度を下げる作用を有する沈殿剤 や、pH緩衝剤を挙げることができる。

 ここで沈殿剤としては、(I)に記載する塩 水溶性高分子化合物、および有機溶剤を同 に挙げることができる。塩として好ましく 、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫 アンモニウム、硫酸リチウム、無水リン酸 トリウム、無水リン酸カリウム、無水リン アンモニウム、リン酸2水素カリウム、酢酸 マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸アンモ ニウム、酢酸ナトリウム、酢酸亜鉛、クエン 酸3ナトリウム、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリ ム、酒石酸カリウムナトリウム、ならびに れらの水和物を;水溶性高分子化合物として ましくは、400~20000程度のポリエチレングリ ールを;また有機溶剤として好ましくは、2- チル-2,4-ペンタンジオール、イソプロパノ ルを例示することができる。

 またpH緩衝剤としても、(I)に記載するpH緩 衝剤を同様に挙げることができる。好ましく は、酢酸ナトリウム三水和物、リン酸カリウ ム、イミダゾール、クエン酸ナトリウム、カ コジル酸ナトリウム、並びにHEPES・NaやTris-HCl などのグッド緩衝剤を例示することができる 。これらのpH緩衝剤は、蛋白質含有溶液を、 晶の析出に適したpH条件、例えばpH3~10の範 、好ましくはpH4~9の範囲に設定し維持するた めに有効に用いられる。なお、これらのpH緩 剤は、上記pH条件に調整する目的で、単独 たは2種以上組み合わせて、また必要に応じ 酸あるいはアルカリなどと併用して用いる とができる。

 また、前述する本発明のアミノ酸類は、 知結晶化剤として上記沈殿剤および/または pH緩衝剤に加えて、1価または2価の塩、有機 媒、グリセロール、糖、高分子化合物、補 素や基質、および界面活性剤などの付加物 組み合わせて、蛋白質結晶化剤として用い こともできる。

 なお公知結晶化剤は、上記に掲げる沈殿 、pH緩衝剤およびその他付加物に限定され 、公知文献に基づくものや市販の蛋白質結 化スクリーニングキット(例えば、Hampton Rese arch社、Emerald Biostructure社、Jena Bio Science社 Molecular Dimensions社製など)で使用されている 知結晶化剤も同様に使用することができる

 上記(1)の単独使用態様の本発明の蛋白質結 化剤は、通常、上記アミノ酸類からなるも であるが、その蛋白質結晶化作用が妨げら ない限り、上記アミノ酸等の1種または2種 上に加えて、他の成分を含有するものであ てもよい。かかる他成分としては、保存安 剤、または蛋白質含有溶液への溶解を補助 る作用を有する溶解剤または溶解補助剤な を例示することができる。具体的には、グ セロール、糖、金属イオン(例えば、Ca ++ 、Mg ++ 、Mn ++ )、塩、緩衝剤などを挙げることができるが これらに制限されるものではない。

 この場合、本発明の蛋白質結晶化剤の形 は、特に制限されず、固体状(例えば、凍結 乾燥形状、粉末、顆粒状、錠剤)および液状 いずれでもよいが、使用の簡便性から好ま くは液状である。この場合、蛋白質結晶化 は、通常、アミノ酸等を約0.1mM~飽和濃度の 合で含む水溶液の状態に調製される。

 上記(2)の併用態様の本発明の蛋白質結晶 剤は、通常、上記アミノ酸類と、前述する 知結晶化剤の少なくとも1種との組み合わせ からなる。この場合、上記アミノ酸類と前述 する公知結晶化剤の少なくとも1種とがあら じめ混合されて一つの包装形態からなるも であってもよいし(配合剤)、また上記アミノ 酸類と前述する公知結晶化剤の少なくとも1 とが別個に包装されており、蛋白質を結晶 する際に全成分を混合して使用される形態 有するものであってもよい(セット剤)。また 、この蛋白質結晶化剤には、その蛋白質結晶 化作用が妨げられない限り、上記アミノ酸類 や公知結晶化剤に加えて、他の成分を含有す るものであってもよい。かかる他成分として は、保存安定剤、または蛋白質含有溶液への 溶解を補助する作用を有する溶解剤または溶 解補助剤などを例示することができる。

 配合剤の形態を有する本発明の蛋白質結 化剤は、その形状を特に制限せず、固体状( 例えば、凍結乾燥形状、粉末、顆粒状、錠剤 )および液体のいずれの形状を有することが きる。使用の簡便性からは好ましくは液状 あり、この場合、アミノ酸等が約0.1mM~飽和 度となるように、またpHが3~10、好ましくはpH 4~9の範囲の水溶液の状態に調整される。また 、公知結晶化剤として、塩を含む場合はその 濃度として0.1M~飽和濃度を、有機溶剤を含む 合はその濃度として1~80%(v/v)を、水溶性高分 子を含む場合はその濃度として1~60%(w/v)を、 たpH緩衝剤を含む場合、その濃度として5mM~0. 3Mを挙げることができる。

 またセット剤の形態を有する本発明の蛋 質結晶化剤は、上記アミノ酸類と1種または 2種以上の公知結晶化剤とがあらかじめ混合 れておらず、使用時に混合して使用できる うに2以上の包装形態を有するものであれば く、その限りにおいて各包装物の形状は特 制限されない。

 例えば、同一または異なって、固体状(例 えば、凍結乾燥形状、粉末、顆粒状、錠剤) たは液体の形状を有していてもよい。液体 形状を有する場合、アミノ酸類は、通常0.1mM ~飽和濃度の範囲になるように調製される。 知結晶化剤として、塩を含む場合、通常0.1M~ 飽和濃度になるように、有機溶剤を含む場合 は、通常1~80%(v/v)の濃度となるように、水溶 高分子を含む場合は、通常1~60%(w/v)の濃度と るように、またpH緩衝剤を含む場合、通常5m M~0.3Mの濃度となるように、それぞれ調製する ことができる。

  III.蛋白質結晶化方法
 本発明が提供する蛋白質結晶化方法は、蛋 質の結晶化に際して、蛋白質結晶促進剤と て前述する本発明の蛋白質結晶促進剤を、 たは蛋白質結晶化剤として前述する本発明 蛋白質結晶化剤(アミノ酸類、またはアミノ 酸類と公知結晶化剤の組み合わせ)を用いる とを特徴とするものである。

 蛋白質結晶化の手法として、従来、バッ 法、蒸気拡散法、液-液拡散法、および透析 法が用いられているが、本発明の方法はこれ らのいずれの手法にも適用することができる 。

 (III-1)バッチ法
 「バッチ法」は、結晶化させる対象の蛋白 を含有した溶液(蛋白質含有溶液)に蛋白質 晶促進剤または蛋白質結晶化剤を少しずつ えて両者を接触させ、蛋白質含有溶液がわ かに濁ったところで不溶物を遠心分離して 去し、上清を小さな試験管等の容器に入れ 密封した後、静置することによって結晶を 出する方法である。また、ごく微量(例えば1 μl程度)の蛋白質含有溶液に蛋白質結晶促進 または蛋白質結晶化剤を混合して蒸発しな 条件下で保存する(例えば、不揮発性のオイ 中に液滴として保存する)方法を用いること もできる。従って、この蛋白質結晶促進剤と して前述する本発明の蛋白質結晶促進剤を、 また蛋白質結晶化剤として前述する本発明の 蛋白質結晶化剤を用いることによって、発明 の蛋白質結晶化方法をバッチ法に適用するこ とができる。なお、当該方法は、通常、-5~30 、好ましくは0~25℃の条件で行われる。

 ここで蛋白質含有溶液の蛋白質濃度とし は、通常0.1~15%(w/v)の範囲を挙げることがで 、好ましくは0.3~100%(w/v)、より好ましくは0.5 ~2%(w/v)である。当該蛋白質含有溶液には、対 とする蛋白質の他、あらかじめ、pH緩衝剤 蛋白質の溶解を助ける溶解剤や溶解補助剤 安定化剤などを配合しておくこともできる

 上記蛋白質含有溶液への添加に使用する 白質結晶促進剤または蛋白質結晶化剤は、 体の形状を有していることが好ましい。当 蛋白質結晶促進剤または蛋白質結晶化剤の ミノ酸類の濃度として、通常0.1mM~飽和濃度 好ましくは50mM~2Mを挙げることができる。ま た、当該蛋白質結晶化剤が公知結晶化剤(塩 有機溶剤、水溶性高分子、またはpH緩衝剤) 含むものである場合、塩の含有量としては 通常50mM~飽和濃度、好ましくは0.1~2M:有機溶 の含有量としては、通常1~80%(v/v)、好ましく 5~40%(v/v):水溶性高分子の含有量としては、 常0.1~60%(w/v)、好ましくは1~40%(w/v)、pH緩衝剤 含有量としては、通常5~300mM、好ましくは50~2 00mMを、それぞれ例示することができる。

 なお、蛋白質の結晶化は、通常pH3~10、好 しくはpH4~9の範囲で行うことが好ましい。 えに、pH緩衝剤は、蛋白質含有溶液のpHが上 範囲になるような割合で用いることが好ま い。

 (III-2)蒸気拡散法
 「蒸気拡散法」は、蛋白質結晶促進剤また 蛋白質結晶化剤を混合した蛋白質含有溶液 液滴を、より高濃度の蛋白質結晶促進剤ま は蛋白質結晶化剤を含む緩衝液(リザーバー 溶液)の入った容器中に置き、密閉後、静置 る方法である。液滴の置き方によりハンギ グドロップ法、シッティングドロップ法に 別される。ハンギングドロップ法は、図1に すように、蛋白質結晶促進剤または蛋白質 晶化剤を含む蛋白質含有溶液の小さな液滴 カバーガラス上に設置し、当該カバーガラ を液滴が吊り下がるように反転させて、容 周縁に密着させて密閉する方法である。シ ティングドロップ法は、より高濃度の蛋白 結晶促進剤または蛋白質結晶化剤を含む緩 液(リザーバー溶液)の入った容器内に液滴 を設置し、蛋白質結晶促進剤または蛋白質 晶化剤を混合した蛋白質含有溶液の液滴を 該液滴台上に設置し、カバーガラス等で容 を密閉する方法である。通常、蛋白質含有 液の液滴の容量は、外液の容量の1/100程度に なるように調製される。当該蒸気拡散法は、 多数の条件をより微量の蛋白質で検討できる ため、結晶化条件を幅広くスクリーニングす るのに適した方法である。

 ここで蛋白質結晶促進剤として前述する 発明の蛋白質結晶促進剤を、また蛋白質結 化剤として前述する本発明の蛋白質結晶化 を用いることによって、本発明の蛋白質結 化方法を蒸気拡散法に適用することができ 。なお、当該方法は、通常、0~30℃、好まし くは4~25℃の条件で行われる。

 ここで使用する蛋白質含有溶液の蛋白質 度としては、通常0.1~15%(w/v)の範囲を挙げる とができ、好ましくは0.3~10%(w/v)、より好ま くは0.5~2%(w/v)である。

 リザーバー溶液の蛋白質結晶促進剤また 蛋白質結晶化剤の濃度としては、アミノ酸 の濃度として、通常0.1M~飽和濃度、好まし は0.2~2Mを挙げることができる。また、当該 白質結晶化剤が公知結晶化剤(塩、有機溶剤 水溶性高分子、またはpH緩衝剤)を含むもの ある場合、塩の濃度として、通常50mM~飽和 度、好ましくは0.1~2M:有機溶剤の濃度として 、通常1~80%(v/v)、好ましくは5~40%(v/v):水溶性 分子の濃度としては、通常0.1~60%(w/v)、好ま くは1~40%(w/v)、pH緩衝剤の含有量としては、 常5~300mM、好ましくは50~200mMを、それぞれ例 することができる。

 また、蛋白質含有溶液の液滴中の蛋白質 晶促進剤または蛋白質結晶化剤の濃度とし は、上記リザーバー溶液の10/100~80/100程度の 濃度を挙げることができる。具体的には、ア ミノ酸類の濃度として、通常0.1mM~飽和濃度の 10/100~80/100、好ましくは1mM~1Mを、また蛋白質 晶化剤が公知結晶化剤(塩、有機溶剤、水溶 高分子、またはpH緩衝剤)を含む場合は、塩 濃度として、通常50mM~飽和濃度の10/100~80/100 好ましくは0.1~3.5M:有機溶剤の濃度としては 通常1~80%(v/v) の10/100~80/100、好ましくは10~70% (v/v) :水溶性高分子の濃度としては、通常0.1~ 60%(w/v) の10/100~80/100、好ましくは1~40%(w/v) 、p H緩衝剤の濃度としては、通常5~300mM、好まし は50~200mMを、それぞれ例示することができ 。

 なお、蛋白質の結晶化は、通常pH3~10、好 しくはpH4~9の範囲で行うことが好ましい。 えに、pH緩衝剤は、蛋白質含有溶液のpHが上 範囲になるような割合で用いることが好ま い。

 (III-3)液-液拡散法または透析法
 「液-液拡散法」(「自由界面法」)又は「透 法」は、蛋白質含有溶液を蛋白質結晶促進 または蛋白質結晶化剤の入った緩衝液に対 て、それぞれ両溶液の界面を直接、または ル又は半透膜を介して接触させることによ て、蛋白質含有溶液に蛋白質結晶促進剤ま は蛋白質結晶化剤を移行させて、その濃度 徐々に上昇させる方法である。これらの方 は、良質な蛋白質結晶を得るために好適に 用することができる。

 これらの方法において蛋白質結晶促進剤 して前述する本発明の蛋白質結晶促進剤を また蛋白質結晶化剤として、前述する本発 の蛋白質結晶化剤を用いることによって、 発明の蛋白質結晶化方法を液-液拡散法また は透析法に適用することができる。なお、こ れらの方法は、通常、-5~30℃、好ましくは0~25 ℃の条件で行われる。

 ここで使用する蛋白質含有溶液の蛋白質 度としては、通常0.1~15%(w/v)の範囲を挙げる とができ、好ましくは0.3~10%(w/v)、より好ま くは0.5~2%(w/v)である。

 緩衝液中の蛋白質結晶促進剤または蛋白 結晶化剤の濃度としては、アミノ酸類の濃 として、通常0.1mM~飽和濃度、好ましくは0.2~ 2Mを挙げることができる。

 また、当該蛋白質結晶化剤が公知結晶化 (塩、有機溶剤、または水溶性高分子)を含 ものである場合、塩の濃度として、通常50mM~ 飽和濃度、好ましくは0.1~2M:有機溶剤の濃度 しては、通常1~80%(v/v)、好ましくは5~40%(v/v): 溶性高分子の濃度としては、通常0.1~60%(w/v) 好ましくは1~40%(w/v)を、それぞれ例示するこ ができる。これらの蛋白質結晶化剤を含有 る緩衝液としては、前述するpH緩衝剤から 製される水溶液を挙げることができ、その 度としては、通常5~300mM、好ましくは50~200mM 、またpH条件としてはpH3~10、好ましくはpH4~9 挙げることができる。

 これらの方法において、結晶析出の有無 、通常、肉眼(目視)で行うことができるが より正確には実体顕微鏡、電子顕微鏡、光 顕微鏡、またはX線回折装置などにより観察 てもよい。対象とする蛋白質の種類、その 度や濃度などによっても異なるが、本発明 方法によれば、通常、数十分~30日間の期間 結晶析出の有無を図ることが可能である。 件によっては、数ヶ月後に結晶が得られる ともある。 

 なお、析出した結晶は、必要に応じて、 ャピラリーやピペットなどで溶液より吸い げたり、小さなループやスパチュラで溶液 ら取り出したり、回収したりすることがで る。

  IV.蛋白質結晶化条件のスクリーニ ング方法とそれに使用する試薬
 本発明が提供するスクリーニング方法は、 白質の結晶化条件を、多くの条件(蛋白質結 晶促進剤または蛋白質結晶化剤の種類や濃度 、pH、温度など)から探索して、決定する方法 であり、蛋白質結晶化剤として前述する本発 明の蛋白質結晶促進剤または蛋白質結晶化剤 (アミノ酸類、またはアミノ酸類と公知結晶 剤の組み合わせ)を用いることを特徴とする のである。当該方法は、特に結晶化条件を 定する初期段階におけるランダムスクリー ング(初期スクリーニング)に好適に使用さ る。

 本発明のスクリーング方法は、前述する ッチ法、蒸気拡散法、液-液拡散法、および 透析法のいずれの手法でも行うことができる が、多数の条件をより微量の蛋白質で検討で きる蒸気拡散法(ハンギングドロップ法、シ ティングドロップ法)を用いて行うことが好 しい。

 蒸気拡散法を用いる場合、本発明のスク ーニング方法は、上記本発明の蛋白質結晶 進剤または蛋白質結晶化剤を混合した蛋白 含有溶液の液滴を、より高濃度の蛋白質結 促進剤または蛋白質結晶化剤を含む緩衝液( 外液)の入った容器中に置き、密閉した状態 静置することによって行われる。すなわち 本発明によるスクリーニング方法は、対象 する蛋白質を含有する溶液と本発明の蛋白 結晶促進剤または蛋白質結晶化剤とを混合 て、当該蛋白質を本発明の蛋白質結晶促進 または蛋白質結晶化剤の存在下に置くこと よって行われる。

 蛋白質の結晶化は、対象とする蛋白質の 度や濃度、使用する蛋白質結晶促進剤また 蛋白質結晶化剤の種類や濃度、蛋白質結晶 進剤または蛋白質結晶化剤が複数からなる 合はその組み合わせや組成、pH条件や温度 件などのパラメーターによって影響を受け 。このため、蛋白質の結晶化条件は、これ のパラメーターの組み合わせによって決定 れる。すなわち、蛋白質の結晶化条件をス リーニングするとは、上記パラメーターの 数の組み合わせの中から、対象とする蛋白 の結晶化に適したパラメーターの組み合わ を選抜することを意味する。

 本発明のスクリーニング方法は、複数の エル内にこれらのパラメーター(対象とする 蛋白質の濃度、使用する本発明の蛋白質結晶 促進剤または蛋白質結晶化剤の種類や濃度、 蛋白質結晶促進剤や蛋白質結晶化剤が複数か らなる場合はその組み合わせや組成、pH条件 ど)が複数集積されたマイクロアレイまたは マルチプルプレートを利用することによって 行うことが好ましく、こうすることで微量の 蛋白質試料を用いて、多数想定される結晶化 条件の中から最適な条件を簡便かつ迅速に決 定することが可能になる。

 例えば、上記パラメーターの一つである 白質濃度は、制限されないが、通常0.1~150mg/ mlの範囲で数段階に設定することが好ましい なお、蛋白質含有溶液は、対象とする蛋白 の他、蛋白質の溶解を助ける可溶化剤、還 剤などの安定化剤などを含有していてもよ 。

 上記パラメーターの一つである蛋白質結 促進剤または蛋白質結晶化剤の種類として 、前述する塩基性アミノ酸、酸性アミノ酸 アミノ酸のエステル誘導体、アミノ酸のア ド誘導体、並びにこれらの塩または溶媒和 (アミノ酸類)を1種で使用する態様、または れらを任意に2種以上組み合わせて使用する 態様、またはこれらのアミノ酸類の1種また 2種以上と、公知結晶剤〔沈殿剤(塩、水溶性 高分子、有機溶剤)、pH緩衝剤、その他の付加 物〕の1種または2種以上とを組み合わせて使 する態様を、種々設定することが好ましい またこれらの使用濃度(反応液中の濃度)は アミノ酸類の場合、通常20mM~1Mの範囲で数段 設定することが好ましく、またこれに公知 晶剤を併用する場合、塩(沈殿剤)について 通常50mM~2.5Mの範囲、水溶性高分子(沈殿剤)に ついては通常0.5~40% (w/v)の範囲、有機溶剤(沈 殿剤)については通常1~40%(v/v)の範囲、pH緩衝 については通常10mM~0.2Mの範囲で数段階設定 ることが好ましい。

 また温度条件やpH条件も、蛋白質結晶化 件の一要件であるため、数段階設定してス リーニングを行うことが好ましく、温度条 としては、例えば4~25℃の範囲で数段階、ま pH条件としては、例えばpH3~9の範囲で数段階 設定することができる。

 こうした種々のパラメーターからなる条 で、対象蛋白質と本発明の蛋白質結晶促進 または蛋白質結晶化剤とを共存させた状態 静置することによって結晶の析出を待つ。 白質が析出するのに要する十分な時間とし は、蛋白質の種類、濃度および純度などに っても異なるが、通常1時間から10日間であ 、30日以上経過しても結晶が析出しない場 には、その結晶化条件(パラメーターの組み わせ)は、結晶化に適していないと判断する ことができる。

 なお、結晶析出の有無は、通常、肉眼(目 視)で行うことができるが、より正確には実 顕微鏡、光学顕微鏡、またはX線回折装置な により観察してもよい。また、多数の結晶 条件における結晶析出の様子を、例えば顕 鏡に搭載したCCDカメラにより撮影記録して 画像処理してもよく、こうすることによっ 結晶化の成否を遠隔地にいながらも高速に 断することができる。

 蛋白質の結晶が確認された場合は、当該 晶の析出に使用した条件(パラメーターの組 み合わせ)を、結晶化条件として決定する。 た必要に応じて、さらにより詳細な蛋白質 晶化条件に絞り込むために、さらに蛋白質 晶化条件をより狭い範囲で設定した第2段階 スクリーング方法、また、さらなる条件を 密化した方法を行うこともできる。

 斯くして決定された結晶化条件を用いる とにより、当該対象の蛋白質は、この技術 野で通常使用される蛋白質結晶化手法(バッ チ法、蒸気拡散法、液-液拡散法、および透 法)により、よりX線実験に適した結晶を析出 することが可能となる。

 蒸気拡散法を用いた本発明のスクリーニ グ方法によれば、微量の蛋白質を用いて複 の蛋白質結晶化条件の中から適切な条件を 便にスクリーニングすることができ、蛋白 結晶化条件を容易かつ迅速に決定するため 有用である。

 なお、上記のスクリーニング方法は、前 するアミノ酸類からなる本発明の蛋白質結 促進剤、前述するアミノ酸類を有効成分と る本発明の蛋白質結晶促進剤、または当該 ミノ酸等からなるか、またはこれらアミノ 類と従来公知の蛋白質結晶化剤(公知結晶化 剤)との組み合わせからなる本発明の蛋白質 晶化剤を含む、スクリーング試薬を用いて うのが簡便である。よって、本発明は、前 する本発明の蛋白質結晶促進剤、および蛋 質結晶化剤をスクリーニング試薬として提 する。

 また当該スクリーニング試薬は、そのほ 、スクリーニング方法に使用されるマイプ アレイ、マイクロプレート、カバーガラス 仕様書、緩衝液などをセットとして備えた 薬キットの形態を有するものであってもよ 。

 以下、実験例および実施例を示して本発 を説明するが、本発明はかかる実施例など よって制限されるものではない。

  実施例1   
 蛋白質としてリゾチーム(生化学工業(株))を 用いて、各種アミノ酸(グリシン、アラニン メチオニン、オルニチン[以上、和光純薬工 (株)]、リシン[シグマ(株)])、アミノ酸エス ル誘導体(グリシンエチルエステル、リシン チルエステル、システインエチルエステル[ シグマ(株)])、およびアミノ酸アミド誘導体( リシンアミド、プロリンアミド[和光純薬工 業(株)])の蛋白質結晶化剤または蛋白質結晶 促進剤としての機能を調べた。

 (1)実験方法
 具体的には、蛋白質溶液として、上記各種 ミノ酸、アミノ酸エステル誘導体、または ミノ酸アミド誘導体を最終濃度が0.2Mとなる ように添加した0.1 M緩衝溶液 (酢酸ナトリウ ム(pH 4.5)またはリン酸ナトリウム(pH 6.5))を いて、25 mg/mlもしくは50 mg/ml濃度のリゾチ ム溶液を調製した。この蛋白質溶液を用い 、スパースマトリックス法(J. Jancarik and S.- H. Kim, J. Appl. Cryst. (1991). 24, 409-411)により 、結晶化のための初期スクリーニングを行っ た。なお、結晶化は、ハンギングドロップ蒸 気拡散法(「タンパク質の結晶化 回折構造生 物学のために」P 373、京都大学学出版会、坂 部知平監修、相原茂夫編者)の手法を用いて 下記に示す操作に従って行った(図1参照)。

 スクリーニングには、市販のCrystal Screen 1 (Hampton Research社)スクリーニングキットを用 た。このキットには表1に示す50種類の溶液 含まれており、これをリザーバー溶液とし 用いた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 <結晶化操作> ハンギングドロップ蒸気 拡散法(図1)
操作1:ビーカーに表1に示す各組成からなるリ ザーバー溶液を500μl入れ、一方、カバーガラ スに蛋白質溶液(25 もしくは50 mg/ml濃度のリ チーム溶液)を1μlのせる。
操作2:ビーカー内のリザーバー溶液から1μl取 り出す。
操作3:取り出したリザーバー溶液1μlを、カバ ーガラスにのせた蛋白質溶液1μlと混ぜ合わ る。
操作4:カバーガラスを反転させて、蛋白質溶 の液滴がビーカー内側に吊り下がる形にな ように、カバーガラスをビーカーの口に密 させて密閉する。
操作5:この状態で20℃の条件で放置し、結晶 出の有無を観察する。

 なお、対照実験(control)として、上記蛋白 溶液に代えて、アミノ酸やアミノ酸誘導体 含まない0.1 M緩衝溶液 (酢酸ナトリウム(pH 4.5)またはリン酸ナトリウム(pH 6.5))を用いて 調製した25 mg/mlもしくは50 mg/ml濃度のリゾチ ーム溶液を用いて、同様の操作を行った。

 結晶析出有無の判断は、蛋白質溶液内に じた析出物を光学顕微鏡で観察することに って行い、析出物の形状(結晶のエッジ)が れいで透明性が高い場合に「結晶析出あり と判断した。

 (2)実験結果
 異なるpH条件下(pH4.5、pH6.5)での結晶析出結 を表2および3に示す。各表に示す番号は、使 用した50種類のリザーバー溶液のうち結晶析 した溶液の番号であり、その横の%は結晶析 出成功率(ヒット率)を示す。また、この結果 グラフ化したものを図2に示す。

 
 
    

 また異なる蛋白質濃度条件(25mg/ml、50mg/ml) 、pH 4.5での結晶析出結果を表4および5に示す 。各表に示す番号は、表2と3と同じく、使用 た50種類のリザーバー溶液のうち結晶析出 た溶液の番号であり、その横の%は結晶析出 功率(ヒット率)を示す。また、この結果を ラフ化したものを図3に示す。

 
 
  
   

 また異なる蛋白質濃度条件(25mg/ml、50mg/ml)、 pH 6.5での結晶析出結果を表6に示す。各表に す番号は、表2と3と4と5と同じく、使用した 50種類のリザーバー溶液のうち結晶析出した 液の番号であり、その横の%は結晶析出成功 率(ヒット率)を示す。また、この結果をグラ 化したものを図4に示す。
 
 
 
 
 
   
 
 
 
 

 アミノ酸またはアミノ酸誘導体の配合に る結晶析出成功率が、対照実験(各図左端:co ntrol)のそれよりも大きい場合に、そのアミノ 酸またはアミノ酸誘導体の配合によって蛋白 質の結晶化が促進されると判断することがで きる。

 図2の結果から、pHの別にかかわらず、リ ン、オルニチン、グリシンエチルエステル リシンエチルエステル、システインエチル ステル、およびグリシンアミドによって結 化が促進されることが分かった。また図3か ら、25 mg/ml濃度のリゾチームの場合、リシン 、オルニチン、グリシンエチルエステル、リ シンエチルエステル、システインエチルエス テル、およびグリシンアミドによって結晶化 が促進されることが分かった。また、50 mg/ml 濃度のリゾチームの場合、アルギニン、リシ ン、オルニチン、グリシンエチルエステル、 リシンエチルエステル、システインエチルエ ステル、およびグリシンアミドによって結晶 化が促進されることが分かった。

 また図4から、25 mg/ml濃度のリゾチームの 場合、オルニチン、グリシンエチルエステル 、リシンエチルエステル、システインエチル エステル、グリシンアミド、およびプロリン アミドによって結晶化が促進されることが分 かった。また、50mg/ml濃度のリゾチームの場 、オルニチン、グリシンエチルエステル、 シンエチルエステル、システインエチルエ テル、グリシンアミド、およびプロリンア ドによって結晶化が促進されることが分か た。

 以上の結果から、pHや蛋白質濃度などの 件によって効果のある添加剤の種類は異な ものの、結晶化に際して、蛋白質溶液に塩 性アミノ酸(アルギニン、リシン、アルニチ )、アミノ酸エステル誘導体、またはアミノ 酸アミド誘導体を加えることによって結晶化 が促進されること、言い換えれば結晶析出の 成功率が向上することがいえる。すなわち、 これらの結果は、これらのアミノ酸またはア ミノ酸誘導体に、蛋白質結晶化剤または蛋白 質結晶促進剤としての作用があることを示す ものである。

  実施例2   
 蛋白質としてリゾチーム(生化学工業(株))を 用いて、各種アミノ酸(グリシン、セリン、 スパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン オルニチン[以上、和光純薬工業(株)]、リシ [シグマ(株)])、アミノ酸誘導体(グリシンエ ルエステル[シグマ(株)]、グリシンアミド[ 光純薬工業(株)])の蛋白質結晶化剤または蛋 質結晶化促進剤としての機能を調べた。

 (1)実験方法
 蛋白質溶液として、0.1 M緩衝溶液(リン酸水 素ナトリウム (pH 6.5))を用いて調製した25 mg /ml濃度のリゾチーム溶液を用い、またリザー バー溶液として下記組成からなるアミノ酸ま たはアミノ酸誘導体含有溶液を用いて、実施 例1で用いたハンギングドロップ蒸気拡散法( 作1~5)と同様の操作を行うことによって、結 晶析出の有無を観察した。

 <リザーバー溶液の組成>
緩衝溶液:0.1 M リン酸水素ナトリウム (pH 6. 5)
沈 殿 剤:2.0 M~0.1 M 塩化ナトリウム
添 加 剤:0.1 M~1.0 M各種アミノ酸またはアミ ノ酸誘導体。

 また対照実験(control)として、リザーバー 液として、上記添加剤(アミノ酸やアミノ酸 誘導体)を含まない上記緩衝溶液(0.1 M リン 水素ナトリウム(pH 6.5))と沈殿剤(2.0 M~0.1 M  塩化ナトリウム)のみからなる溶液を用いて 同様の操作を行った。

 (2)実験結果
 結果を図5、6および7に示す。図5は結晶化開 始から9日目に観察した結果を、図6は結晶化 始から3日目に観察した結果を示す。また図 7は蛋白質濃度条件(50mg/ml)での結晶析出結果 示す。なお、各図の縦軸は、結晶化に使用 た沈殿剤(NaCl)の濃度を示し、各種アミノ酸 たはアミノ酸誘導体を配合した場合に得ら るバーの長さが対照実験(各図左端:control)で られるバーより長い場合に、アミノ酸また アミノ酸誘導体によって結晶析出が促進さ 、結晶を析出させる沈殿剤の使用濃度範囲 より広くなること、言い換えれば結晶化条 の範囲が広がることを意味する。

 図5に示すように、グリシンおよびセリン 以外のアミノ酸(アルギニンおよびリシンの 基性アミノ酸、アスパラギン酸およびグル ミン酸の酸性アミノ酸)と、アミノ酸エステ 誘導体(グリシンエチルエステル)でcontrolと なる結果を得た。具体的には、アルギニン よびグリシンエチルエステルは、高濃度の 殿剤含有溶液(高過飽和溶液)において蛋白 の結晶化を促進し、また他のアミノ酸(リシ 、アスパラギン酸、グルタミン酸)、および グリシンエチルエステルは、低濃度の沈殿剤 含有溶液(低過飽和溶液)において蛋白質の結 化を促進することが確認された。

 これらのことより、上記アミノ酸(アルギ ニンやリシンの塩基性アミノ酸、アスパラギ ン酸やグルタミン酸の酸性アミノ酸)または ミノ酸エステル誘導体を従来公知の沈殿剤 併用することによって広範囲の条件で結晶 析出させることができること、言い換えれ 上記アミノ酸またはアミノ酸エステル誘導 を使用することによって結晶の析出が促進 れ、従来の沈殿剤を用いても結晶化しない 件(control)でも結晶が析出し、結晶の成功率 向上させることができることが分かった。

 また、図6は結晶開始から3日目の結晶化 況を示す結果であるが、従来の沈殿剤を用 ても結晶化しない条件(control)でも、上記ア ノ酸またはアミノ酸エステル誘導体を用い ことによって結晶が析出した。またその結 は結晶開始から9日目の結果(図5)と大差ない とから、上記アミノ酸またはアミノ酸エス ル誘導体の配合によって結晶析出までの時 が短縮できることが分かる。

 また図7で示すように、グリシンおよびセ リン以外のアミノ酸(アルギニン、リシンお びオルニチンといった塩基性アミノ酸、ア パラギン酸やグルタミン酸といった酸性ア ノ酸)、アミノ酸エステル誘導体(グリシンエ チルエステル)、およびアミノ酸アミド誘導 (グリシンアミド)でcontrolと異なる結果を得 。具体的には、アルギニン、グリシンエチ エステル、およびグリシンアミドは、高濃 の沈殿剤含有溶液(高過飽和溶液)において蛋 白質の結晶化を促進し、また他のアミノ酸( シン、アスパラギン酸、グルタミン酸、オ ニチン)、グリシンエチルエステル、および リシンアミドは、低濃度の沈殿剤含有溶液( 低過飽和溶液)において蛋白質の結晶化を促 することが確認された。

 これらの結果から、結晶化に際して蛋白 溶液に上記アミノ酸(アルギニン、リシンお よびオルニチンといった塩基性アミノ酸、ア スパラギン酸やグルタミン酸といった酸性ア ミノ酸)、アミノ酸エステル誘導体、または ミノ酸アミド誘導体を加えることによって 晶化が促進され、その結果、広範囲の条件 また短時間に結晶を析出させることが可能 なることが分かる。すなわち、これらの結 は、蛋白質結晶化の初期スクリーニングに いて、塩基性アミノ酸、酸性アミノ酸、ア ノ酸エステル誘導体、またはアミノ酸アミ 誘導体を従来公知の蛋白質結晶化剤と組み わせて用いることによって、蛋白質結晶化 成功率を上げることができることを示すも である。

  実施例3   
 蛋白質としてリゾチーム(生化学工業(株))を 用いて、各種アミノ酸(グリシン、アルギニ 、オルニチン[以上、和光純薬工業(株)]、リ ン[シグマ(株)])、アミノ酸エステル誘導体( リシンエチルエステル、セリンエチルエス ル、リシンエチルエステル[以上、シグマ( )])、アミノ酸アミド誘導体(グリシンアミド セリンアミド、スレオニンアミド、プロリ アミド、アルギニンアミド[以上、和光純薬 工業(株)])の蛋白質結晶化剤または蛋白質結 化促進剤としての機能を、実施例2の方法と 様にして調べた。

 50mg/mlのリゾチーム濃度条件で、結晶開始 から2日目に観察した結果を図8に示す。図の 軸は、結晶化に使用した沈殿剤(NaCl)の濃度 示し、各種アミノ酸またはアミノ酸誘導体 配合した場合に得られるバーの長さが対照 験(各図左端:control)で得られるバーより長い 場合、またそのバーの範囲からシフトしてい る場合に、アミノ酸またはアミノ酸誘導体に よって結晶析出が促進され、結晶を析出させ る沈殿剤の使用濃度範囲がより広くなること 、言い換えれば結晶化条件の範囲が広がるこ とを意味する。

 図8に示すように、グリシン以外のアミノ 酸(アルギニン、リシンおよびオルニチンの 基性アミノ酸)、アミノ酸エステル誘導体(グ リシンエチルエステル、セリンエチルエステ ル、リシンエチルエステル)、およびアミノ アミド誘導体(グリシンアミド、セリンアミ 、スレオニンアミド、プロリンアミド、ア ギニンアミド)でcontrolと異なる結果を得た 具体的には、アルギニン、グリシンエチル ステル、セリンエチルエステル、リシンエ ルエステル、グリシンアミド、スレオニン ミド、プロリンアミド、およびアルギニン ミドは、高濃度の沈殿剤含有溶液(高過飽和 液)において蛋白質の結晶化を促進し、また 他のアミノ酸(リシン、オル二進)、およびグ シンエチルエステル、セリンエチルエステ 、リシンエチルエステル、グリシンアミド およびプロリンアミドは、低濃度の沈殿剤 有溶液(低過飽和溶液)において蛋白質の結 化を促進することが確認された。

 これらのことより、上記アミノ酸(アルギ ニン、リシンおよびオルニチンの塩基性アミ ノ酸)、アミノ酸エステル誘導体またはアミ 酸アミド誘導体を従来公知の沈殿剤と併用 ることによって広範囲の条件で結晶を析出 せることができること、言い換えれば上記 ミノ酸、アミノ酸エステル誘導体またはア ノ酸アミド誘導体を使用することによって 晶の析出が促進され、従来の沈殿剤を用い も結晶化しない条件(control)でも結晶が析出 、結晶の成功率を向上させることができる とが分かった。

  実施例4  
 沈殿剤として硫酸アンモニウムを用いてリ チームを結晶化することは非常に困難とさ ている( Acta   Cryst .(1997) D53, 759-797、 Acta Cryst .(1994) D50, 366-369)。そこで、沈殿剤として硫 アンモニウムを用いた条件で、酸性アミノ (グルタミン酸)、塩基性アミノ酸(アルギニ 、リシン、オルニチン)、アミノ酸エステル 誘導体(グリシンエチルエステル)、またはア ノ酸アミド誘導体(グリシンアミド)を加え 場合に、リゾチームの結晶が析出するかど かを調べた。

 (1)実験方法
 蛋白質溶液として、0.1 M緩衝溶液(リン酸水 素ナトリウム (pH 6.5))を用いて調製した100 m g/mlまたは150 mg/ml 濃度のリゾチーム溶液を い、またリザーバー溶液として下記組成か なるアミノ酸、またはアミノ酸誘導体含有 液を用いて、実施例1で用いたハンギングド ップ蒸気拡散法(操作1~5)と同様の操作を行 ことによって、結晶析出の有無を観察した

 <リザーバー溶液の組成>
緩衝溶液:0.1 M リン酸水素ナトリウム (pH 6. 5)
沈 殿 剤:1.5 M~0.1 M 硫酸アンモニウム
添 加 剤:0.1 M~1.0 M各種アミノ酸、またはア ミノ酸誘導体。

 また対照実験(control)として、リザーバー 液として、上記添加剤(アミノ酸やアミノ酸 誘導体)を含まない上記緩衝溶液(0.1 M リン 水素ナトリウム(pH 6.5))と沈殿剤(1.5 M~0.1 M  硫酸アンモニウム)のみからなる溶液を用い 、同様の操作を行った。

 (2)実験結果
 結晶開始から3週間目の結果を図9(100 mg/mlリ ゾチーム)と図10(150 mg/mlリゾチーム)に示す。 なお、図の縦軸は、結晶化に使用した沈殿剤 (硫酸アンモニウム)の濃度を示す。図9と10か わかるように、塩基性アミノ酸、酸性アミ 酸、およびアミノ酸誘導体のいずれも使用 ない対照実験(左端:control)では結晶の析出は 認められなかったのに対して、塩基性アミノ 酸、酸性アミノ酸、アミノ酸エステル誘導体 、またはアミノ酸アミド誘導体、特にグルタ ミン酸、アルギニン、リシン、オルニチン、 グリシンエチルエステル、またはグリシンア ミドを使用した場合には、沈殿剤(硫酸アン ニウム)の存在で結晶が析出した。この結果 、塩基性アミノ酸、酸性アミノ酸、アミノ エステル誘導体、およびアミノ酸アミド誘 体によって結晶析出が促進され、従来困難 されていた硫酸アンモニウムを沈殿剤とし リゾチームの結晶化が可能になることを示 と同時に、塩基性アミノ酸、酸性アミノ酸 アミノ酸エステル誘導体、およびアミノ酸 ミド誘導体を用いることによって、蛋白質 晶に有効に使用できる沈殿剤の種類の幅が がること、言い換えれば、蛋白質結晶化の 期スクリーニングにおいて使用できる結晶 条件の範囲が広がることを意味する。

 上記文献( Acta   Cryst .(1997) D53, 759-797.、 Acta   Cryst .(1994) D50, 366-369)では、硫酸アンモニウムを 澱剤として用いたリゾチームの結晶化を、 販のリゾチームをさらに高純度に精製する とによりようやく成功している。しかし、 発明の方法によれば、前述するように、市 のリゾチームに単に上記のアミノ酸または ミノ酸誘導体を添加するだけで硫酸アンモ ウムによる結晶化に成功した。このことは 純度がさほど良くない蛋白質を用いても、 記アミノ酸またはアミノ酸誘導体の使用に り結晶化を成功に導くことを意味している

  実施例5  
 蛋白質としてヘモグロビン(シグマ(株))を用 いて、各種アミノ酸(プロリン、セリン、ア パラギン酸、グルタミン酸 [以上、和光純 工業(株)])の蛋白質結晶化剤または蛋白質結 化促進剤としての機能を調べた。

 (1)実験方法
 蛋白質溶液として、0.1 M緩衝溶液(リン酸水 素ナトリウム (pH 6.5))を用いて調製した4%(w/v ) ヘモグロビン溶液を用い、またリザーバー 溶液として下記組成からなるアミノ酸含有溶 液を用いて、実施例1で用いたハンギングド ップ蒸気拡散法(操作1~5)と同様の操作を行う ことによって、結晶析出の有無を観察した。

 <リザーバー溶液の組成>
緩衝溶液:0.1 M リン酸水素ナトリウム (pH 6. 5)
沈 殿 剤:12.5 %(w/v)~25.0 %(w/v) ポリエチレン リコール3350
添 加 剤:0.2 M~1.0 M各種アミノ酸。

 また対照実験(control)として、リザーバー 液として、添加剤(アミノ酸)を含まない上 緩衝溶液(0.1 M リン酸水素ナトリウム(pH 6.5 ))と沈殿剤(12.5(w/v)~25.0(w/v) ポリエチレングリ コール)のみからなる溶液を用いて、同様の 作を行った。 

 (2)実験結果
 結晶開始から3日目の結果を図11に示す。図 縦軸は、結晶化に使用した沈殿剤(PEG)の濃 を示す。ポリエチレングリコール3350は、25%( w/v)よりも濃度の低い範囲を検討している。 のため、、各種アミノ酸を配合した場合に られるバーが対照実験(各図左端:control)で得 れるバーより下方向に長く伸びている場合 、当該アミノ酸によって結晶析出が促進さ 、結晶を析出させる沈殿剤(PEG)の使用濃度 囲がより広くなること、言い換えれば結晶 条件の範囲が広がることを意味する。この 果から、アスパラギン酸またはグルタミン の酸性アミノ酸を使用することによって、 殿剤としてポリエチレングリコールを用い 場合の結晶化条件の幅が広がることが判明 た。

 図12は、アスパラギン酸またはグルタミ 酸を用いることによって析出した結晶の顕 鏡写真である(接眼レンズ×10, 対物レンズ×4 )。また、アルギニンの使用によって析出し 結晶の顕微鏡写真も併せて掲載する。図中 「No additive」は対照実験(control)で得られた 白質の結晶を示すが、小さな結晶が重なり っているためX線回折実験には使用できない( 本来、4%(w/v)ヘモグロビン、沈殿剤に17.5%(w/v)P EG 3350を使用)。一方、アスパラギン酸、グル タミン酸、またはアルギニンを配合すること によって得られた蛋白質の結晶は、いずれも 単結晶であり、X線回折実験に好適に使用で る良質のものであった。このことから、酸 アミノ酸は、結晶化条件の範囲を広げるだ でなく、結晶の質をも向上させるとことが 唆された。

  実施例6  
 蛋白質としてリボヌクレアーゼA(ワーシン トン(株))を用いて、各種アミノ酸(アラニン グルタミン酸 、オルニチン[以上、和光純 工業(株)]、 アスパラギン酸、リシン[以上 シグマ(株)]およびアミノ酸誘導体(グリシン エチルエステル)の蛋白質結晶化剤または蛋 質結晶化促進剤としての機能を調べた。

 (1)実験方法
 蛋白質溶液として、0.1 M緩衝溶液(酢酸ナト リウム (pH 6.0))を用いて調製した25 mg/ml リ ヌクレアーゼA溶液を用い、またリザーバー 溶液として下記組成からなるアミノ酸含有溶 液を用いて、実施例1で用いたハンギングド ップ蒸気拡散法(操作1~5)と同様の操作を行う ことによって、結晶析出の有無を観察した。

 <リザーバー溶液の組成>
緩衝溶液:0.1 M 酢酸ナトリウム (pH 6.0)
沈 殿 剤:35 %(w/v) 硫酸アンモニウム
添 加 剤:0.5 M各種アミノ酸、またはアミノ 誘導体。

 また対照実験(control)として、リザーバー 液として、添加剤(アミノ酸)を含まない上 緩衝溶液(0.1 M酢酸ナトリウム (pH 6.0))と沈 剤(35 %(w/v) 硫酸アンモニウム)のみからな 溶液を用いて、同様の操作を行った。 

 (2)実験結果
 図13は、アスパラギン酸またはグリシンエ ルエステルを用いることによって析出した 晶の顕微鏡写真である(接眼レンズ×10, 対物 レンズ×4)。図中、「No additive」は対照実験(c ontrol)を示すが、結晶の析出は観察されず、 晶質の沈殿物のみが観察された。一方、ア パラギン酸、グリシンエチルエステルを配 することにより良質の蛋白質結晶を得るこ ができた。文献(Protein Sci. (2002) 11(1). 72)で は、硫酸アンモニウムを沈澱剤として用いて リボヌクレアーゼAの結晶化に成功している しかし、蛋白質の結晶化はその蛋白質純度 より、以前報告された結晶化条件において 晶が析出しないと言ったことが度々起こる しかし、本発明の方法によれば、前述する うに、既存の結晶化条件において結晶が析 しない、やや純度に問題があると考えられ 市販のリボヌクレアーゼAに、単に上記のア ノ酸またはアミノ酸誘導体を添加するだけ 硫酸アンモニウムによる結晶化に成功した このことは、純度がさほど良くない蛋白質 用いても、上記アミノ酸またはアミノ酸誘 体の使用により結晶化を成功に導くことを 味している。このことから、特に酸性アミ 酸は、純度が良くない蛋白質を用いても結 化を向上させるとことが示唆された。

  実施例7
 蛋白質としてリゾチーム(生化学工業(株))を 用いて、各種アミノ酸(グルタミン酸、オル チン、アルギニン、アスパラギン酸[以上、 光純薬工業(株)]、リシン[シグマ(株)])、ア ノ酸エステル誘導体(グリシンエチルエステ 、アルギニンエチルエステル[シグマ(株)]) およびアミノ酸アミド誘導体(グリシンアミ [和光純薬工業(株)])の単独使用による蛋白 結晶化剤としての作用を調べた。

 (1)実験方法
 蛋白質溶液として、0.1 M緩衝溶液(リン酸水 素ナトリウム (pH 6.5))を用いて調製した50 mg /ml, 100 mg/ml, または150 mg/ml濃度のリゾチー 溶液を用い、またリザーバー溶液として下 組成からなるアミノ酸、またはアミノ酸誘 体含有溶液を用いて、実施例1で用いたハン ギングドロップ蒸気拡散法(操作1~5)と同様の 作を行うことによって、結晶析出の有無を 察した。

 <リザーバー溶液の組成>
緩衝溶液:0.1 M リン酸水素ナトリウム (pH 6. 5)
添 加 剤:0.75 M~2.0 M各種アミノ酸、または ミノ酸誘導体。

 (2)実験結果
 結晶開始から14日目の結果を図14に示す。ア ミノ酸(リシン、アルギニン、オルニチン、 スパラギン酸、グルタミン酸)、アミノ酸エ テル誘導体(アルギニンエチルエステル、グ リシンエチルエステル)、またはアミノ酸ア ド誘導体(グリシンアミド)を配合すると結晶 が析出した。この結果は、酸性アミノ酸(ア パラギン酸、グルタミン酸)、塩基性アミノ (アルギニン、リシン、オルニチン)、アミ 酸アミド誘導体(グリシンアミド)、およびア ミノ酸エステル誘導体(アルギニンエチルエ テル、グリシンエチルエステル)は、これら 独で蛋白質を結晶化し、蛋白質結晶化剤と て有用であることを示すものである。

実施例1~6で結晶化に使用するハンギン ドロップ上記拡散法の操作の概略を示す。 実施例1における結果(表2と3)をグラフ した図である。すなわち、初期スクリーニ グにおける各種アミノ酸(横軸)使用による結 晶成功率を、pH別(pH4.5と6.5)に示した図である 。 実施例1における結果(表4と5)をグラフ した図である。すなわち、初期スクリーニ グにおける各種アミノ酸またはアミノ酸誘 体(横軸)使用による結晶成功率を、蛋白質濃 度別(25mg/ml、50mg/ml)に示した図である(pH 4.5) 実施例1における結果(表6)をグラフにし た図である。すなわち、初期スクリーニング における各種アミノ酸またはアミノ酸誘導体 (横軸)使用による結晶成功率を、蛋白質濃度 (25mg/ml、50mg/ml)に示した図である。(pH 6.5) 実施例2における結晶開始から9日目の 晶析出状況を示す。縦軸は結晶化に使用し 沈殿剤(NaCl)の濃度を、横軸は結晶化に使用 たアミノ酸およびアミノ酸誘導体を示す。 お、蛋白質濃度は25mg/mlである。 実施例2における結晶開始から3日目の 晶析出状況を示す。縦軸は結晶化に使用し 沈殿剤(NaCl)の濃度を、横軸は結晶化に使用 たアミノ酸およびアミノ酸誘導体を示す。 お、蛋白質濃度は25mg/mlである。 実施例2における結晶開始から3週間後 結晶析出状況を示す。縦軸は結晶化に使用 た沈殿剤(NaCl)の濃度を、横軸は結晶化に使 したアミノ酸およびアミノ酸誘導体を示す なお、蛋白質濃度は50mg/mlである。 実験例3における結晶開始から2日後の 晶析出状況を示す。縦軸は結晶化に使用し 沈殿剤(NaCl)の濃度を、横軸は結晶化に使用 たアミノ酸およびアミノ酸誘導体を示す。 お、蛋白質濃度は50mg/mlである。 実施例4における結晶析出状況を示す。 縦軸は結晶化に使用した沈殿剤(硫酸アンモ ウム)の濃度を、横軸は結晶化に使用したア ノ酸およびアミノ酸誘導体を示す。なお、 白質濃度は100mg/mlである。 実施例4における結晶析出状況を示す 縦軸は結晶化に使用した沈殿剤(硫酸アンモ ウム)の濃度を、横軸は結晶化に使用したア ミノ酸およびアミノ酸誘導体を示す。なお、 蛋白質濃度は150mg/mlである。 実施例5における結晶析出状況を示す 縦軸は結晶化に使用した沈殿剤(ポリエチレ グリコール)の濃度を、横軸は結晶化に使用 したアミノ酸およびアミノ酸誘導体を示す。 実施例5において得られた結晶を実体 微鏡で観察した結果を示す画像を示す。図 、「No additive」は対照実験(control)で得られ 蛋白質の結晶を示す。 実施例6において得られた結晶を実体 微鏡で観察した結果を示す画像を示す。図 、「No additive」は対照実験(control)でのドロ プの様子を示す。対照試験では、結晶は得 れず沈殿のみが得られた。 実施例7における結晶析出状況を示す 横軸は結晶化に使用したアミノ酸、ジペプ ド、およびアミノ酸誘導体を、縦軸はその 度を示す。