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Title:
RING-SHAPED WINDING TYPE INDUCTOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/084684
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is an epoch-making practical ring-shaped winding type inductor which can realize a high attenuation characteristic in a wide frequency band by only one ring-shaped winding type inductor. The ring-shaped winding type inductor is formed by winding a conductive wire (2) around an external circumferential portion of a troidal core (1). The troidal core (1) has an external circumferential portion having a cross section which is partially deformed so that the winding diameter of the conductive wire (2) continuously wound around the external circumferential portion of the troidal core (1) is not constant but varies depending on the winding positions.

Inventors:
OGAWA SHIGERU (JP)
SUZUKI TAKAICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/074883
Publication Date:
July 17, 2008
Filing Date:
December 25, 2007
Export Citation:
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Assignee:
N O C CO LTD (JP)
OGAWA SHIGERU (JP)
SUZUKI TAKAICHI (JP)
International Classes:
H01F17/06; H01F3/08; H01F5/00
Foreign References:
JP2574554Y21998-06-18
JPH06338419A1994-12-06
JP2006173455A2006-06-29
JPH0284306U1990-06-29
Attorney, Agent or Firm:
NOMURA, Yasuhisa (8-20 Nibanch, Chiyoda-ku Tokyo, JP)
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Claims:
 トロイダルコアの外周部に導線を巻線して成るリング状巻線型インダクタであって、前記トロイダルコアの外周部に連続的に巻線した前記導線の巻線径が一定ではなく巻線箇所によって異なる巻線径となるように、このトロイダルコアの外周部の断面形状を一定ではなく箇所によって変化した形状に設定したことを特徴とするリング状巻線型インダクタ。
 前記トロイダルコアの外周面に連続的に巻線した前記導線の巻線径が一定ではなくこのトロイダルコアの周方向に沿って徐々に漸増若しくは漸減するように、このトロイダルコアの外周面の断面形状を一定ではなくこのトロイダルコアの周方向に沿って外周面の断面形状の面積(断面積)が徐々に漸増若しくは漸減する形状に設定したことを特徴とする請求項1記載のリング状巻線型インダクタ。
 前記トロイダルコアは中央部にリング孔を有するリング状とすると共に、このトロイダルコアを側面視において肉厚が一定ではなく変化した形状とする,若しくは,平面視においてこのトロイダルコアのリング孔の内面部からトロイダルコアの外側周面部までの距離が一定ではなく変化した形状とすることで、このトロイダルコアの前記導線が巻線される外周部の断面形状を一定ではなく箇所によって変化した形状に設定したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のリング状巻線型インダクタ。
 前記トロイダルコアは、側面視において肉厚が最小となる箇所から最大となる箇所までその肉厚が急激に増減せず徐々に漸増する形状に設定したことを特徴とする請求項3記載のリング状巻線型インダクタ。
 前記トロイダルコアは中央部にリング孔を有するリング状とすると共に、このトロイダルコアの中心位置に対してリング孔の孔中心位置が重合位置とせず位置ズレした偏心リング状にトロイダルコアの形状を設定して、このトロイダルコアの前記導線が巻線される外周部の断面形状を一定ではなく箇所によって変化した形状に設定したことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のリング状巻線型インダクタ。
 前記トロイダルコアは、外周部の断面形状の面積(断面積)が最小となる箇所に対して、外周部の断面形状の面積(断面積)が最大となる箇所の面積比が1.1倍~500倍となる形状に設定したことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のリング状巻線型インダクタ。
 前記トロイダルコアは、外周部の断面形状の面積(断面積)が最小となる箇所に対して、外周部の断面形状の面積(断面積)が最大となる箇所の面積比が1.5倍~11.2倍となる形状に設定したことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のリング状巻線型インダクタ。
 前記トロイダルコアは、外側周面部及びこのトロイダルコアのリング孔の内面部の形状を円状若しくは少なくとも五角形以上の多角形状に設定し、このトロイダルコアの外周部の断面形状の面積(断面積)が最小となる箇所から最大となる箇所まで、このトロイダルコアの周方向に沿って外周部の断面形状の面積(断面積)が急激に増減せずに徐々に漸増する形状に設定したことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のリング状巻線型インダクタ。
 前記トロイダルコアは、コアの厚みが0.1~250mmであり、コアの外形の直径が1.5~300mmであり、かつコアの中心孔の直径が0.7~250mmであることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載のリング状巻線型インダクタ。
Description:
リング状巻線型インダクタ

 本発明は、例えばプリント配線板の回路 線などに実装されるリング状巻線型インダ タに関するものである。

 強磁性を有するリング状のトロイダルコ の外周部に連続的に導線を巻線して構成さ た、いわゆるトロイダルコイル(リングコイ ル)と呼ばれるリング状巻線型インダクタが 来から種々提案されている(例えば特許文献1 ,2)。

 このリング状巻線型インダクタは、磁束 多くがリング状のトロイダルコア自身を通 する構造上、漏れ磁束が少なく、周囲の物 の影響を受けにくいなどの利点を有し、安 したインダクタンスを発揮できることから 特に高周波回路に好んで使用されている。

 ところで、この従来のリング状巻線型イ ダクタ(以下、従来品という。)は、導線を 続的に巻線する前記トロイダルコアの外周 の断面形状が一定の形状に形成されている 、この外周部に連続的に巻線する前記導線 巻線径も一定の径となる構造である。

 従って、従来品は、導線の巻線径が常に一 であるため、単一の共振周波数しか有して らず、それ故、その共振周波数帯域におい はインピーダンスが良好に増大し高い減衰 性(インダクタ特性)が得られるものの、そ 共振周波数帯域を外れると、直ちにインピ ダンスが低減し、それに伴い減衰特性が減 してしまうという特性を有した。即ち、狭 周波数帯域にしか有効ではない(高い減衰特 を得られない)ため、広い周波数帯域におい て高い減衰特性を必要とする場合、共振周波 数の異なる複数の従来品を一つの回路に複数 実装する必要があり、それだけコストが高く つく上に、それだけ実装スペースも多く嵩張 り回路装置自体の大型化の原因となるなど、 種々の問題を有した。

特開2002-217046号公報

特開2005-142316号公報

 本発明は、従来から提案されているこの のリング状巻線型インダクタについての更 る研究開発を進め、一体のリング状巻線型 ンダクタで複数の共振周波数を有する構成 簡単な構造で実現し得、これにより、たっ 一体のリング状巻線型インダクタによって 広い周波数帯域において高い減衰特性を実 し得る極めて実用性に秀れた画期的なリン 状巻線型インダクタを提供することを課題 する。

 添付図面を参照して本発明の要旨を説明す 。
 本発明の請求項1記載の発明は、トロイダル コア1の外周部に導線2を巻線して成るリング 巻線型インダクタであって、前記トロイダ コア1の外周部に連続的に巻線した前記導線 2の巻線径が一定ではなく巻線箇所によって なる巻線径となるように、このトロイダル ア1の外周部の断面形状を一定ではなく箇所 よって変化した形状に設定したことを特徴 するリング状巻線型インダクタに係るもの ある。

 また、本発明の請求項2記載の発明は、前 記トロイダルコア1の外周面に連続的に巻線 た前記導線2の巻線径が一定ではなくこのト イダルコア1の周方向に沿って徐々に漸増若 しくは漸減するように、このトロイダルコア 1の外周面の断面形状を一定ではなくこのト イダルコア1の周方向に沿って外周面の断面 状の面積(断面積)が徐々に漸増若しくは漸 する形状に設定したことを特徴とする請求 1記載のリング状巻線型インダクタに係るも である。

 また、本発明の請求項3記載の発明は、前 記トロイダルコア1は中央部にリング孔3を有 るリング状とすると共に、このトロイダル ア1を側面視において肉厚が一定ではなく変 化した形状とする,若しくは,平面視において のトロイダルコア1のリング孔3の内面部か トロイダルコア1の外側周面部までの距離が 定ではなく変化した形状とすることで、こ トロイダルコア1の前記導線2が巻線される 周部の断面形状を一定ではなく箇所によっ 変化した形状に設定したことを特徴とする 求項1,2のいずれか1項に記載のリング状巻線 インダクタに係るものである。

 また、本発明の請求項4記載の発明は、前 記トロイダルコア1は、側面視において肉厚 最小となる箇所から最大となる箇所までそ 肉厚が急激に増減せず徐々に漸増する形状 設定したことを特徴とする請求項3記載のリ グ状巻線型インダクタに係るものである。

 また、本発明の請求項5記載の発明は、前 記トロイダルコア1は中央部にリング孔3を有 るリング状とすると共に、このトロイダル ア1の中心位置に対してリング孔3の孔中心 置が重合位置とせず位置ズレした偏心リン 状にトロイダルコア1の形状を設定して、こ トロイダルコア1の前記導線2が巻線される 周部の断面形状を一定ではなく箇所によっ 変化した形状に設定したことを特徴とする 求項1~4のいずれか1項に記載のリング状巻線 インダクタに係るものである。

 また、本発明の請求項6記載の発明は、前 記トロイダルコア1は、外周部の断面形状の 積(断面積)が最小となる箇所に対して、外周 部の断面形状の面積(断面積)が最大となる箇 の面積比が1.1倍~500倍となる形状に設定した ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に 載のリング状巻線型インダクタに係るもの ある。

 また、本発明の請求項7記載の発明は、前 記トロイダルコア1は、外周部の断面形状の 積(断面積)が最小となる箇所に対して、外周 部の断面形状の面積(断面積)が最大となる箇 の面積比が1.1倍~500倍となる形状に設定した ことを特徴とする請求項6記載のリング状巻 型インダクタに係るものである。

 また、本発明の請求項8記載の発明は、前 記トロイダルコア1は、外側周面部及びこの ロイダルコア1のリング孔3の内面部の形状を 円状若しくは少なくとも五角形以上の多角形 状に設定し、このトロイダルコア1の外周部 断面形状の面積(断面積)が最小となる箇所か ら最大となる箇所まで、このトロイダルコア 1の周方向に沿って外周部の断面形状の面積( 面積)が急激に増減せずに徐々に漸増する形 状に設定したことを特徴とする請求項1~7のい ずれか1項に記載のリング状巻線型インダク に係るものである。

 また、本発明の請求項9記載の発明は、前 記トロイダルコアは、コアの厚みが0.1~250mmで あり、コアの外形の直径が1.5~300mmであり、か つコアの中心孔の直径が0.7~250mmであることを 特徴とする請求項1~8の記載のいずれか1項に 載のリング状巻線型インダクタに係るもの ある。

 本発明は上述のように構成したから、ト イダルコアの外周部に連続的に巻線した導 の巻線径が巻線箇所によって異なり、これ より本発明品は一体で複数の異なる共振周 数を有することができ、この複数の異なる 振周波数により広い周波数帯域において秀 た(高い)減衰特性を発揮できる。

 また、トロイダルコアの外周部が箇所に り変化する形状となっており、単にこの外 部に連続的に導線を巻線することで導線の 線径が一定ではなく異なり上記の秀れた減 特性を有する構造を簡易に実現でき量産性 コスト性にも秀れる。

 また、従来の導線を連続的に巻線する前 トロイダルコアの外周部の断面形状が一定 形状に形成されているリング状巻線型イン クタに比較し、その温度上昇が非常に少な 。従って、発熱による機器部品への影響が ない効果がある。

 さらに、単一の共振周波数しか有さない 来品を使用して広い周波数帯域において高 減衰特性を実現するには、一つの電子回路 共振周波数の異なる複数種類の従来品を実 しなければならなかったが、この点、本発 によればたった一体で広い周波数帯域にお る高い減衰特性が得られ、それだけ少ない 品点数で広い周波数帯域における高い減衰 性を実現でき、実装コストを抑えると共に 装スペースも少なく済み回路装置の小型化 ども容易に図り得る。更に、本発明品自体 簡易構造で、あくまで従来品と略同様のコ トで製造実現可能な量産性やコスト性に秀 た構造で、よって、本発明は実用性及び量 性に秀れた極めて画期的で商品価値の高い ング状巻線型インダクタとなる。

本発明の実施例1に係るリング状巻線型 インダクタの斜視図である。 本発明の実施例1の他の例を示す斜視図 である。 本発明の実施例2を示す側断面図である 。 本発明の実施例2を示す平面図である。 本発明の実施例3を示す側断面図である 。 本発明の実施例3を示す平面図である。 本発明の実施例1の減衰特性比較試験方 法を示す説明図である。 本発明の実施例1の他の減衰特性比較試 験方法を示す説明図である。 本発明の実施例1の減衰特性比較試験結 果を示す説明図である。 本発明の実施例1の他の減衰特性比較 験結果を示す説明図である。 本発明の実施例1の具体的設計例を示 図である。 本発明の実施例1の他の具体的設計例 示す図である。 本発明の実施例3の具体的設計例を示 図である。 本発明の実施例3の他の具体的設計例 示す図である。 図16~図18に示される実験結果に用いら た各サンプルの構造を示す図である。 実施例1~3について、従来品と比較した 各サンプルの周波数―損失特性を示す図であ る。 実施例1~3について、従来品と比較した 各サンプルの直流重畳特性を示す図である。 実施例3について、従来品と比較した サンプルの温度上昇特性の実験結果を示す である。 本発明の実施例3の斜視図である。 本発明の実施例の応用例を示す図であ る。 本発明の実施例3の他の例の斜視図を す図である。 本発明の実施例1の他の例についての 23,図24の特性測定に用いたサンプルの説明図 である。 本発明の実施例1の他の例について行 た周波数特性の比較試験結果を示すグラフ ある。 本発明の実施例1の他の例について行 た図23の周波数特性の比較試験結果を他のパ ラメータから見たグラフである。

符号の説明

  1   トロイダルコア
  2   導線
  3   リング孔
 10   トロイダルコア
 11   リング孔
 12   トロイダルコア
 13   リング孔
 15   トロイダルコア
 16   リング孔
 20   トロイダルコア
 21   リング孔

 好適と考える本発明の実施形態(発明をどの ように実施するか)を、図面に基づいて本発 の作用を示して簡単に説明する。
 本発明は、トロイダルコア1の外周部に導線 2を巻線して成るリング状巻線型インダクタ 関するものである。

 本発明のトロイダルコア1は、図1,図2や図 19,図21に示すように、前記導線2が連続的に巻 線されるその外周部の断面形状が、一定では なく箇所によって変化した形状に設定してい る。それ故、このトロイダルコア1の外周部 連続的に巻線した前記導線2の巻線径は一定 はなく、巻線箇所によって異なる巻線径と る。

 即ち、従来品は導線2の巻線径が一定であ りそれ故単一の共振周波数しか有していなか ったところを、本発明品においては導線2の 線径が巻線箇所によって異なる構成である 、一体で複数の共振周波数を保有でき、そ だけ広い周波数帯域で高い減衰特性が得ら ることとなる。

 しかも、単に外周部の断面形状を一定で なく箇所によって変化した形状に設定され トロイダルコア1に導線2を連続的に巻線し 成る簡易な構成である為、導線2の巻線径が 線箇所により異なり複数の共振周波数を有 る秀れた構造を簡易に実現でき得ることと る。

 従って、これまで、広い周波数帯域にお て高い減衰特性を得るには、単一の共振周 数しか有さない従来品を複数種類実装しな ればならなかったところを、本発明によれ 、たった一体のリング状巻線型インダクタ 広い周波数帯域における秀れた減衰特性を ることができるから、それだけ実装数を減 し、低コストにして実装スペースも少なく み回路装置の小型化なども容易に図り得、 かもこの秀れた減衰特性を有する構造を簡 な構成で実現でき量産性やコスト性にも秀 るなど、極めて画期的で実用性に秀れたも となる。

 尚、例えばトロイダルコア1の外周面に連 続的に巻線した前記導線2の巻線径が一定で なくこのトロイダルコア1の周方向に沿って 々に漸増若しくは漸減するように、このト イダルコア1の外周面の断面形状を一定では なくこのトロイダルコア1の周方向に沿って の外周面の断面形状の面積,即ち断面積が徐 に漸増若しくは漸減する形状に設定した場 、トロイダルコア1の外周部の断面形状が急 激に増減せず徐々に漸増若しくは漸減する形 状とした為、それだけこのトロイダルコア1 導線2を巻線する作業を別段の困難性無く従 同様に行うことができる。

 しかも、導線2の巻線径が徐々に漸増若し くは漸減することで、連続的に異なる複数の 共振周波数を有することとなるから、所定の 広い周波数帯域において連続的に高い減衰特 性を発揮できる構造となり、例えば、或る特 定の広い周波数帯域の全域で、特定値以上の 高い減衰特性が得られるように設定すること も簡易に実現可能となる。

 また、トロイダルコア1の外周部の断面形 状は、例えば、このトロイダルコア1を側面 において肉厚が一定ではなく変化した形状( 3参照)としたり、また例えば、平面視にお てトロイダルコア1の中央部のリング孔3の内 面部からこのトロイダルコア1の外側周面部 での距離が一定ではなく変化した形状(図1, 2参照)としたりすることで、トロイダルコア 1の外周部の断面形状が箇所によって変化す 形状を簡易に設計実現可能である。

 特に、図1に図示したように、このトロイ ダルコア1の中心位置に対してリング孔3の孔 心位置が重合位置とせず位置ズレした偏心 ング状にトロイダルコア1の形状を設定する 場合、単にこのリング孔3の孔中心位置の偏 位置ズレ量を調整設計することで、トロイ ルコア1の外周部の断面形状の面積(断面積) 変化量を容易に調整設計でき、この際後述 実施例のようにトロイダルコア1の側面視肉 が一定であれば、このトロイダルコア1の中 心位置に対するリング孔3の孔中心位置の偏 位置ズレ量の調整によりトロイダルコア1の 面積や容積,重量を変化させることなく一定 に保持したまま、このトロイダルコア1の外 部の断面形状の面積(断面積)の変化量を調整 設計することも可能となる。

 本発明の具体的な実施例1(以下、A型という )について図面に基づいて説明する。
 本発明のトロイダルコア1は、強磁性を有す る材質により構成したものであって、このト ロイダルコア1の外周面に連続的に巻線した 記導線2の巻線径が一定ではなくこのトロイ ルコア1の周方向に沿って徐々に漸増若しく は漸減するように、このトロイダルコア1の 周面の断面形状を一定ではなくこのトロイ ルコア1の周方向に沿って外周面の断面形状 面積(断面積)が徐々に漸増若しくは漸減す 形状に設定したものである。

 尚、トロイダルコア1の外周面の「断面形 状」なる記載は、このトロイダルコア1の外 面の所定箇所を、当該箇所に巻線された導 2の巻線方向に沿って切断した際の切断面の 状を意味するものである。また、トロイダ コア1の「周方向」なる記載は、トロイダル コア1の平面視における周回り方向を意味す ものである。

 従って、トロイダルコアの外周部の形状 急激に増減しておらず徐々に漸増若しくは 減する形状の為、この外周部に導線2を連続 的に巻線する作業を別段の困難性無く通常通 り行うことができる。また、この外周部に巻 線した導線2の巻線径は徐々に漸増若しくは 減して変化するので、この巻線径の漸増,減 化に伴い、連続的に異なる複数の共振周波 を有することができ、よって特定の非常に い周波数帯域の全域において秀れた(高い) 衰特性が得られる構造とすることも容易に 現可能である。

 具体的には、図1に図示したように、円盤 体の中央部に貫通状態に円形のリング孔3を するリング状に形成している。即ち、平面 において外側周面部が円形で、且つリング 3の内面部も円形の円環リング状としている また更に、この円環リング状のトロイダル ア1の中心位置に対し、リング孔3の孔中心 置は重合位置とせずにズレた位置に設定し 偏心リング状にこのトロイダルコア1の形状 設定している。

 従って、このリング孔3の臨界孔中心位置 の偏心位置ズレによって、トロイダルコア1 、平面視においてリング孔3の内面部からト イダルコア1の外側周面部までの距離が一定 ではなく変化した形状となり、これにより、 このトロイダルコア1の外周部の断面形状が 定ではなくその断面形状の面積(断面積)が周 方向に沿って徐々に漸増及び漸減するように 設定している。

 尚、本実施例1(A型)では、このトロイダルコ ア1の側面視における肉厚(板厚)は一定に設定 している。
 ここで、一般的なトロイダルコアの形状は 側面視における肉厚(板厚)が一定の円盤体 中央部の中心位置に円形の貫通孔を形成し 成るリング状であるが、これに対して、本 施例品のトロイダルコア1の形状は、側面視 おける肉厚が一定の円盤体の中央部に円形 リング孔3を形成するがそのリング孔3の孔 心位置はトロイダルコア1の中心位置に対し 位置ズレした偏心リング状である。つまり トロイダルコア1の中心位置に対してリング 孔3の孔中心位置の偏心位置ズレ量をゼロと たのが従来の一般的なトロイダルコア1の形 であり、このリング孔3の孔中心位置の偏心 位置ズレ量を所定量設けたものが本実施例の トロイダルコア1の形状である。

 従って、このトロイダルコア1の中央部の リング孔3の孔中心位置の偏心位置ズレ量を 整設定することで、トロイダルコア1の外周 の断面形状の面積の変化量や変化率の調整 定を容易に図れる。即ち、導線2の巻線径、 ひいては共振周波数を決定するトロイダルコ ア1の外周部の断面形状の変化量や変化率を 単に設計時にリング孔3の孔中心位置の偏心 置ズレ量を調整設計するだけで簡単に調整 計でき、よって所望の前記変化量や変化率 有するトロイダルコア1の形状を簡易に設計 ・実現可能である。また、リング孔3の偏心 置ズレ量に関わり無く、トロイダルコア1の 面積や容積,質量は変化しないので、トロイ ダルコア1の外周部の断面形状の面積の変化 や変化率の調整設計時にこのトロイダルコ 1の表面積や容積,質量の変化は一切考慮する 必要は無く、この点においても取り扱いが容 易で実用性が高い。

 尚、このトロイダルコア1は、外周部の断 面形状の面積(断面積)が最小となる箇所に対 て、外周部の断面形状の面積(断面積)が最 となる箇所の面積比が1.1倍~500倍,好ましくは 1.5倍~11.2倍となる形状に設定する。これによ 、トロイダルコア1の外周部に連続的に巻線 した導線2の巻線径を確実に変化させ、ひい は、異なる複数の共振周波数を保有し広い 波数帯域で高い減衰特性を発揮するとうい 本実施例の上記秀れた特性を確実に発揮で ることとなる。

 また、図1に図示した形状と同様にして、 本実施例のトロイダルコア1は、外側周面部 びリング孔3の内面部の形状を円状若しくは なくとも五角形以上の多角形状に設定し、 のトロイダルコア1の外周部の断面形状の面 積、即ち断面積が最小となる箇所から最大と なる箇所まで、このトロイダルコア1の周方 に沿って前記断面積が急激に増減せず、徐 に(連続的且つなだらかに)漸増する形状に設 定してもよい。即ち、例えばトロイダルコア 1の外側周面部を三角形や四角形とし、その 央にリング孔3を三角形や四角形状に形成し 構成とした場合、このトロイダルコア1の前 記断面積が最小となる箇所から最大となる箇 所に至る範囲に連続的に巻線された導線2の 線径は増加と減少を繰り返す形状となり、 の連続的に巻線された各導線2が有する共振 波数もその周波数域が増減することになる

 この点、本実施例では、トロイダルコア1 の外側周面部を円状に形成し、リング孔3も 状に形成している為、前記断面積が最小と る箇所から最大となる箇所に至る範囲に連 的に巻線された導線2の巻線径は、このトロ ダルコア1の周方向に沿って急激に増加した り減少したりせず、徐々に漸増することとな る。それ故、この連続的に巻線された各導線 2が有する共振周波数も、増えたり減ったり 繰り返さず連続的にその周波数域が推移す こととなり、このように増えたり減ったり ず連続的に周波数域が推移する複数の共振 波数の集合により、広い周波数帯域で非常 秀れた減衰特性を発揮できることとなる。

 また、このように外周部の断面形状の面 が急激に増減せず連続的に(なだらかに)漸 する形状とした場合、この外周部に導線2を 線する作業もやり易く生産性にも秀れる。 た、本実施例のようにトロイダルコア1の外 側周面部及びリング孔3の内面部の形状を円 とせずとも、例えば外側周面部及びリング 3の内面部の形状を五角形以上の多角形状に 成して、外周部に巻線する導線2の巻線径が 急激に増減を繰り返すことを阻止できる形状 に設定することも可能である。この場合、よ り多角形化することで、巻線径の急激な増減 を一層良好に阻止できる形状に設定可能であ る。

 尚、上記実施例1においては、上述のよう にトロイダルコア1の形状を設定しているが これに限らず、例えば図2に図示した他の例 ように、トロイダルコア1の中心位置に対し て中央部のリング孔3の孔中心位置は重合位 に設定しているが、このリング孔3の形状を 形ではなく図示した楕円型や例えば星型な にすることで、平面視においてこのトロイ ルコア1のリング孔3の内面部からトロイダ コア1の外側周面部までの距離が一定ではな 変化した形状に設定してもよい。

 ここで、コア直径10mmでコア中心位置と中 央部のリング孔(内径8mm)3の孔中心位置とが偏 心位置ズレした偏心リング状のトロイダルコ ア(厚み2mm)1に、直径0.2mmの導線2を39回巻線し 成る図7(b)、図8(b)に示す形状のリング状巻 型インダクタ(ノーマルモード)の本実施例1 ついて、これをネットワークアナライザで 衰特性評価した結果を図9及び図10に示す。 較品としては、本実施例品と同様にコア直 が10mm、リング孔内径8mmであるがコア中心位 とリング孔5の孔中心位置が偏心位置ズレし ておらず重合状態の(偏心リング状ではない) 常の同心円環リング状のトロイダルコア(厚 み2mm)6(図7(a),図8(a)参照)に、直径0.2mmの導線2 39回巻線して成る構成の通常(従来品)のリン 状巻線型インダクタ(ノーマルモード)を採 する。なお、図7,図8において、巻き線は省 されている。

 スイーパ(掃引信号発振器)からレシーバ( 信装置)に掃引信号を発振しつつ、ネットワ ークアナライザ(高周波測定器)により減衰量( 減衰特性)を評価する。この際、図7に図示し ように、マイクロストリップライン4を配線 した試験用回路基板に対してトロイダルコア 1,6を縦に実装して評価試験を行った場合の結 果を図9に示し、図8に図示したようにマイク ストリップライン4を配線した試験用回路基 板に対してトロイダルコア1,6を横に実装して 評価試験を行った場合の結果を図10に示す。

 図9から分かるように、トロイダルコア1,6 を縦に実装して評価試験を行った場合、本実 施例品は20MHz近辺から6000MHz近辺の広範囲に亘 って減衰量-20dB以上の秀れた減衰特性を発揮 きるのに対し、比較品は20MHz近辺から減衰 -20dB以上を発揮できるものの1000~2000MHzの範囲 で、その減衰量が略-18dB近辺まで弱まってし う。

 また、図10から分かるように、トロイダ コア1,6を横に実装して評価試験を行った場 、本実施例品は20MHz近辺から8000MHzの広範囲 亘って減衰量-20dB以上の秀れた減衰特性を発 揮できるのに対し、比較品は1000~2000MHzの範囲 で、その減衰量が略-18dBまで弱まってしまう このように、本実施例品は比較品に比して れた(高い)減衰特性を広範囲に亘って(特に 1GHz以上の高周波領域において)発揮でき得 ものである。

 以上、本実施例によれば、たった一体で 常に広範囲に亘って高い減衰特性が得られ リング状巻線型インダクタを簡易な構成に り確実に実現でき、例えば高周波回路など 実装するインダクタとして極めて好適であ 、画期的で実用性及び量産性に秀れたリン 状巻線型インダクタとなる。

 また、例えば図3及び図4には、本発明に の実施例(実施例2。以下、B型という。)を示 。図3のように、トロイダルコア1の中心位 に対して中央部のリング孔3の孔中心位置は 合位置に設定しているが、トロイダルコア1 を側面視において肉厚(板厚)が一定ではなく 化した形状に設定している。この図3及び図 4に図示した実施例2(B型)では、トロイダルコ 1の肉厚が最小となる箇所から最大となる箇 所まで、その肉厚が急激に増減するのではな く徐々に漸増する(特にこの図示した別例2で 、一定率で肉厚が漸増する)形状とし、この トロイダルコア1の外周部に巻線する導線2の 線径が急激に増減せず、連続的に変化する( 前記肉厚が最小の箇所から最大の箇所から漸 増する)形状となるように設定する。

 この場合も、実施例1(A型)と同様に、コアの 断面積が円周方向に変化する形状となってお り、他の実施形態として前記実施例1(A型)と 様の効果が期待できる。
 なお、図3に示すコアの断面は台形(または3 形)であるが、コア断面の角に丸みを付け、 台形(または3角形)状の略楕円形とした方がよ い。断面が略楕円形状の方が巻き線に有利な ので、製品としてはこの方が好ましい。この 場合も、コアの断面積が円周方向に変化する 形状となっており、前記効果の点で両者に差 異がない。

 また、例えば図5及び図6には、本発明の の実施例(実施例3。以下、C型という。)を示 。図5,図6に示すように、トロイダルコア1の 肉厚を変化させて尚且つリング孔3の孔中心 置を偏心した位置ズレ状態に設定すれば、 ロイダルコア1の外周部の断面形状の面積(断 面積)の変化量,変化率を一層大きく設けるこ ができる。その他にも、トロイダルコア1の 外周部の断面形状が一定ではなく箇所によっ て変化した形状であれば、前述したものに限 らず種々の形状のものを採用できる。

 このように、実施例3(C型)のものは、コア の中心孔を偏心させると共に、コアの断面形 状も台形にし円周方向断面積を変化させたも のである。このため、コアの円周方向断面積 の変化は、A型、B型より大きく、A型、B型の 果が重畳されたものとなる。

 なお、図5に示すコアの断面は台形である が、コア断面の角に丸みを付け、台形状の略 楕円形とした方がよい。断面が略楕円形状の 方が巻き線に有利なので、製品としてはこの 方が好ましい。この場合も、コアの断面積が 円周方向に変化する形状となっており、前記 効果の点で差異がない。

 なお、図13,図14に示されるように、コア 中心孔はコアの肉厚の一番薄い方向に偏心 れる。この形状が、トロイダルコア1の外周 の断面形状の面積(断面積)の変化量,変化率 一番大きくすることができるからである。

 本実施例では、このトロイダルコア1の外 周部に、このトロイダルコア1のリング孔3を 過するようにして導線2を連続的に巻線する 。この巻線方法は、ノーマルモードでもコモ ンモードの何れの巻線方向を採用しても良い 。

 また、本実施例3においては、図19に示す うに、このトロイダルコア1の周方向全周に 連続的に導線2を巻線することとしているが 例えば図21に示すように、このトロイダルコ ア1の周方向半周など、一部にのみ導線2を巻 する構成としても良い。

 また、導線を2本巻き、4端子として変成 として用いてもよい。この場合も一体で広 域の変成器が得られることになる。巻き方 、図21のように1本を半周巻き、他の半周に う1本の導線を巻く実施例が想定される。

 図11には、前記本発明の実施例2の具体的 設計例を示す。図11のコアにおいて、コア 外径10は8.5mmであり、コアの中心の孔11の直 は5mmである。また、中心孔11の中心とコア外 径10の中心とは、距離にして0.87mmだけ偏心し いる。なお、コアの厚み(横幅)は3mmである

 同様に、図12には、前記本発明の実施例2 具体的な他の設計例を示す。図12のコアに いて、コアの外径12は5mmであり、コアの中心 の孔13の直径は3mmである。また、中心孔の中 とコア外形の中心とは、距離にして0.7mmだ 偏心している。なお、コアの厚み(横幅)は3mm である。

 同様に、図13には、前記本発明の実施例3 具体的な設計例を示す。図13のコアにおい 、コアの外径15は3mmであり、コアの中心の孔 16の直径は1.5mmである。また、中心孔の中心 コア外形の中心とは、距離にして0.5mmだけ偏 心している。さらに、コアの断面は、図13(b) 示す如く台形17をなし、上記コア中心の孔 、該台形の細い方に偏心している。上記台 において、上辺と下辺のなす角度(交差角)は 14°である。すなわち、上記コアの厚みは最 で1.5mm、最小で0.75mmとなっている。

 同様に、図14には、前記本発明の実施例3 具体的な他の設計例を示す。図14のコアに いて、コアの外径20は8.5mmであり、コアの中 の孔21の直径は5mmである。また、中心孔21の 中心とコア外形20の中心とは、距離にして0.87 mmだけ偏心している。さらに、コアの断面は 図14に示す如く台形22をなし、上記コア中心 の孔は、該台形の細い方に偏心している。上 記台形において、上辺と下辺のなす角度(交 角)は13°である。すなわち、上記コアの厚み は最大で2.8mm、最小で0.88mmとなっている。

 ここで、上記実施例1~3について、従来品 比較した、周波数―損失特性、直流重畳特 実験結果を図16,図17に示す。また、上記実 例3について、従来品と比較した温度上昇特 の実験結果を図18に示す。なお、図15は、図 16~図18における各曲線の対象とする上記従来 、本発明の実施例1~3の形状(A~C型)と対応す 記号を示す。なお、各サンプルは、すべて ェライト(コア)の体積は同じで、コアの形状 だけ変化させたものである。また、多少厚み 寸法が異なるが、図15の31の参照拡大図が図11 に示され、図15の33の参照拡大図が図14に示さ れる。

 また、実施例1(A型)について、中心孔の位 置を少しづつずらした場合の、すなわち中心 孔の偏心率を変化させた場合の周波数特性の 測定結果を図23,図24に示す。なお、図23,図24 測定に用いたサンプルは、図22に示される。 図22において、コアの直径(70)は8.5mmであり中 孔(71)の直径は5mmであり、コアの厚み(73)は4m mである。また、中心孔の中心とコア外形の 心との距離は74に示されるように0.35~1.75まで 変化させており、図23,図24のグラフにおいて 、これをコア断面積の最小値(すなわち、最 も細い箇所の断面積)と最大値(すなわち、最 太い箇所の断面積)の比として表示してある 。

 図16の損失特性のグラフにおいて、40は測 定系の概略図を示し、PORT1からPORT2にノイズ 分である各周波数の信号を送り、どれだけ ノイズ成分が検出されたかを表示している

 なお、図16において、44は、図15のサンプ 30(従来品)の曲線を、43は、図15のサンプル31 (A型)の曲線を、42は、図15のサンプル32(B型)の 曲線を、41は、図15のサンプル33(C型)の曲線を それぞれ示す。

 図16において、従来品の曲線44は、4000MHz 上の高周波領域でインピーダンスが低下し いるのが分かる。一方、本発明の実施例3(C )の曲線41は、4000MHz以上の高周波領域で損失 性が少ない。すなわち、インピーダンスの 下が少なく、インダクタンス値が保たれて るのが分かる。同様に、本発明の実施例1,2( A型、B型)の曲線43,42も、従来品(曲線44)より400 0MHz以上の高周波領域での損失特性が少ない とが明らかである。

 また一方、図23において、81は、コアの断 面積比が1(従来品)の場合の曲線、同じく82は アの断面積比が2(実施例1)の場合の曲線、83 コアの断面積比が2.7(実施例1)の場合の曲線 84はコアの断面積比が8.6(実施例1)の場合の 線、85はコアの断面積比が11.5(実施例1)の場 の曲線を示す。横軸が周波数、縦軸は通過 失量を示す。

 図23において、従来品(曲線81)は、通過損 量が4000MHz~12000MHzにわたって急激に低下して いるのに対して、例えば最も偏心している( 面積比11.5)の本発明の曲線85の場合、通過損 量が4000MHz~12000MHzにわたってー1dBから―2dBと その損失量が小さい。このことから偏心した 本発明の巻き線型トロイダルコアの方が高い 周波数の方までインピーダンスが保たれてい る。

 同様に、偏心率(断面積比2~8.6)の本発明の曲 線82~84の場合も、明らかに従来品(曲線81)より 高周波数領域におけるインピーダンスが大き いことが分かる。
 図24は、図23のグラフにおいて、別の観点か ら―1dBを通過するときの周波数を前記コアの 断面積比に対してプロットしたものである。 図24においても、明らかに高周波領域におい コアの中心孔が偏心した本発明の実施品の が高周波域での損失特性が優れていること 分かる(図24において、断面積比1が従来品で ある)。

 また、同時に前記断面積比が大きくなる ど、そのインピーダンスの低下が小さくな ことも分かる。ただ、コアの製造において ア断面積の薄い部分(細肉箇所)には工作上 限界があるが、今後製造上の工夫により更 断面積比が大きいコアが製造できればさら 性能の向上が期待できる。その断面積比は 500倍位までのものが実現可能である。

 また、図17の直流重畳特性のグラフにお て、54は、図15のサンプル30(従来品)の曲線を 、51は、図15のサンプル31(A型)の曲線を、53は 図15のサンプル32(B型)の曲線を、50は、図15 サンプル33(C型)の曲線をそれぞれ示す。なお 、コイルの巻き数は28回(線径0.2mm)であり、測 定周波数は1MHzである。

 図17のグラフにおいて、従来品(曲線54)は、 初17μHであったものが、電流の増加と共に ンダクタンスが低下し、2Aでは2μHにまで低 して、当初のインダクタンスの1/8程度にま 低下している。グラフからおそらく0.3A付近 飽和してしまっており、この近辺でもう使 に耐えられず、大電流に対する耐性がない とが分かる。

 一方、本発明の実施品(C型)を示す曲線50 、当初7.5μHだったものが、電流を増加させ もさほどインダクタンスの急激な低下は見 れず、2.0Aに到ってもまだ2.5μHとなっており その変化率は当初のインダクタンスの1/3で る。

 このように、本発明の実施品(C型)を示す曲 50はインダクタンスの変化率が小さく、大 流に対する耐性が従来品より大きいことが かる。
 なお、本発明の実施品(A型)を示す曲線51や じく実施品(B型)を示す曲線53も2.0Aにおける ンダクタンスは従来品のそれの倍近くあり C型ほどではないにしても、従来品よりはイ ダクタンスの変化率が小さく(1/4~1/5程度)、 電流に対する耐性が良好であることが分か 。

 図17の直流重畳特性と同様なことが図18の 温度上昇特性の比較グラフからも見てとれる 。図18の発熱特性のグラフにおいて、60は、 15のサンプル30(従来品)のコイルの温度上昇 線を、61は、図15のサンプル33(C型)に巻かれ コイルの温度曲線を、62は、図15のサンプル3 0(従来品)のコアの温度曲線を、63は、図15の ンプル33(C型)に巻かれたコアの温度曲線、64 室温をそれぞれ示す。

 明らかに、本発明の実施品(C型)の示す曲線6 1,63は、従来品の示す曲線60,62と対比すると、 温度上昇が小さい。
 この温度上昇が低いことは、近年の回路の 密度化の傾向の中で重要な要素となる。た えば、ノートブックパソコンや携帯電話等 小型、かつ高密度回路機器では、いかに回 の放熱をするかに苦慮しており、コアの温 上昇が少なければ、熱設計が非常に楽にな ので、この特性は産業上の利用性が非常に い。

 図17,図18の特性の要因は、本発明の実施 の場合、電流を上げていくとコアは断面積 小さい部分が部分的に磁気飽和し、他の断 積の大きい部分で飽和しない部分が残って るためではないかと推測される。一方、従 品のようにコアのすべての箇所で断面積が じ場合は、すべての部分が同時に飽和して まい、高電流ではインダクタンスが0に近く って発熱量も大きいものと思われる。本発 の実施例の場合、上記のように断面積の大 い部分で飽和しない部分が残っているため 高電流でもインダクタンスが残存している のと推測される。

 なお、図18において、同じC型でもコイル 温度上昇(曲線61)の方がコアの温度上昇(曲 63)より大きい。これは、上記のようにイン クタンスの低下により流れる大電流によっ 発生する巻き線抵抗の温度上昇の方が、コ 自体の温度上昇より大きいためと考えられ 。

 また、図17において、A型,B型のものは、C に比べ、インダクタンスの変化が大きいが これはC型の場合、コア断面積の最小値と最 大値の比がA型,B型のものより大きく、このた め残存する飽和しないコアの比率が大きくな るためではないかと推測される。

 図20には、この発明の実施例の使用例を す。近年の回路の高密度化の傾向の中で、 とえば、ノートブックパソコン等では、い に回路の放熱をするかに苦慮しており、コ の温度上昇が少なければ熱設計が非常に楽 なると共に、より高密度化が可能になる効 がある。

 この発明のリング状巻線型インダクタは (1)大電流対応バイアスT回路や光通信、ワイ ヤレス通信の基地用(2~10A、100kHz~10GHz)、(2)車 用ノイズフィルタ(5~10A、100kHz~2GHz)、(3)工業 ノイズフィルタ(20~200A、100kHz~50MHz)、(4)電力 通信用ノイズフィルタ(1~15A、500kHz~1GHz)、(5) アコン、冷蔵庫、洗濯機等のインバータを 用している家電製品のノイズフィルタ(LCフ ルタ、1~10A、100kHz~100MHz)等幅広い用途がある

 上記用途において、本発明の実施例は、単 で広帯域のインダクタンス特性を有するの 、部品点数を減らすことができ、回路設計 有利になる。
 また、本発明の実施例は大電流に対する耐 が高く大電流でも温度上昇が低いので、大 流を使用するノイズフィルタやバイアス回 等に用いると、熱設計が楽になると共に熱 して浪費されるエネルギーが減少し電力消 も少なくなる利便性があり、産業上の利用 が高い。

 さらには、上記温度上昇が低いことは、 年の回路の高密度化の傾向の中で重要な要 となる。たとえば、ノートブックパソコン では、いかに回路の放熱をするかに苦慮し おり、コアの発熱が少なければ、熱設計が 常に楽になるので、この特性は産業上の利 性が非常に高い。