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Patent Searching and Data


Title:
RUN-FLAT TIRE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/150952
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a run-flat tire which has an excellent run-flat performance as well as a high high-speed straight running stability in the non-punctured state, a high steering stability on both of a dry road surface and a wet road surface and a good fuel efficiency. A run-flat tire which comprises at least two cross belt layers formed by rubberizing a steel cord and a tread rubber located successively, wherein a reinforcing rubber is provided inside a carcass.  The above-described steel cord has a single twisted structure or a core/single layered sheath structure consisting of 6 to 10 steel strands having a strand diameter of 0.10 to 0.20 mm.  The density of the implanted steel cords is 40 cords/50 mm or more and the distance between the adjacent steel cords in the belt layer is 0.3 mm or longer.  Moreover, the dynamic storage modulus E’ (MPa) at 30°C of the tread rubber and tanδ at 60°C of the same respectively satisfy the relationships represented by the formulae: 5.0≤E’ and 0.050≤tanδ≤0.240.

Inventors:
HAYASHI SHOJI (JP)
MORII TAKAO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/060004
Publication Date:
December 17, 2009
Filing Date:
June 01, 2009
Export Citation:
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Assignee:
BRIDGESTONE CORP (JP)
HAYASHI SHOJI (JP)
MORII TAKAO (JP)
International Classes:
B60C17/00; B60C1/00; B60C9/00; B60C9/20; B60C11/00; D07B1/06
Domestic Patent References:
WO2007037111A12007-04-05
WO2007052603A12007-05-10
Foreign References:
JPH11301223A1999-11-02
JP2007276596A2007-10-25
JPH11301221A1999-11-02
JP2008143485A2008-06-26
JP2000264012A2000-09-26
JP2005297876A2005-10-27
JP2006274049A2006-10-12
JPS5938102A1984-03-01
JPS60185602A1985-09-21
JPS632702A1988-01-07
JPH03143703A1991-06-19
Other References:
See also references of EP 2292451A4
Attorney, Agent or Firm:
HONDA ICHIRO (JP)
Ichiro Honda (JP)
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Claims:
 左右一対のビード部間でトロイド状に延びるカーカスを骨格とし、該カーカスのクラウン部ラジアル方向外側に、スチールコードをゴム引きしてなる少なくとも2層の交錯ベルト層とトレッドゴムが順次配置され、かつ、タイヤ幅方向の断面形状が三日月状の補強ゴムを前記カーカスのサイドウォール部の内側部分に配設してなるランフラットタイヤにおいて、
 前記スチールコードが、素線径0.10~0.20mmのスチール素線6~10本からなる単撚り構造またはコア-単層シース構造を有し、該スチールコードの打ち込み本数が40本/50mm以上であり、ベルト層内で隣接する該スチールコード間の距離が0.3mm以上であり、かつ、
 前記トレッドゴムの、30℃における動的貯蔵弾性率E’(MPa)および60℃における損失正接tanδが、夫々次式、
5.0≦E’
0.050≦tanδ≦0.240
で表される関係を満足することを特徴とするランフラットタイヤ。
 前記トレッドゴムにおいて、ゴム成分100質量部に対し白色充填剤が20~80質量部およびカーボンブラックが10~30質量部配合され、かつ、該白色充填剤の部数Aと該カーボンブラックの部数Bとが次式、
20≦(A/(A+B))×100≦95
で表される関係を満足する請求項1記載のランフラットタイヤ。
 前記スチールコードの断面形状が扁平であり、かつ、該扁平断面の長径方向が前記ベルト層の幅方向に沿って配列している請求項1記載のランフラットタイヤ。
 前記スチールコードの打ち込み本数が40~60本/50mmである請求項1記載のランフラットタイヤ。
 前記ベルト層内で隣接するスチールコード間の距離が0.4~1.0mmである請求項1記載のランフラットタイヤ。
Description:
ランフラットタイヤ

 本発明は、タイヤがパンクによりタイヤ の空気が抜けたランフラット状態において 比較的長い距離を走行でき、車両の安全性 高めることができるランフラットタイヤに し、詳しくは、かかるランフラット性能と もに、非パンク時である空気入り時におけ 高速直進安定性、乾燥路面および濡れた路 での操縦安定性(以下、夫々「ドライ性能」 および「ウェット性能」とも称する)、並び 低燃費性にも優れたランフラットタイヤに する。

 パンク等によりタイヤの内圧が低下した 態でも、タイヤが荷重支持能力を失うこと くある程度の距離を安全に走行することが 能なランフラットタイヤとして、タイヤの イドウォール部のカーカスの内面に、比較 モジュラスが高い、タイヤ幅方向断面三日 状のサイド補強ゴム層を配置してサイドウ ール部の剛性を向上させ、内圧低下時にサ ドウォール部の撓み変形を極端に増加させ ことなく荷重を負担できるようにしたサイ 補強タイプのランフラットタイヤが各種提 されている(例えば、特許文献1、2参照)。

 一方、近年、車両の安全性を向上させる めに、乾燥路面および濡れた路面の双方に けるタイヤの摩擦係数(μ)を上昇させて、タ イヤのドライ性能およびウェット性能を同時 に向上させることが求められており、このド ライ性能およびウェット性能に関する改善要 求に対して、種々の技術が開発されてきてい る。例えば、タイヤのドライ性能およびウェ ット性能に直接寄与するタイヤのトレッド用 ゴム組成物の開発にあたっては、0℃付近で 損失正接(tanδ)と30℃付近での損失正接(tanδ) を指標とすることが一般的に有効であり、 体的には、0℃付近でのtanδが高いゴム組成 をトレッドに用いることで、タイヤの濡れ 路面での摩擦係数(μ)を上昇させてウェット 性能を向上させることができ、一方、30℃付 でのtanδが高いゴム組成物をトレッドに用 ることで、タイヤの乾燥路面での摩擦係数( )を上昇させてドライ性能を向上させること できる。

 また、昨今の環境問題への関心の高まり 伴う世界的な二酸化炭素排出規制の動きに 連して、自動車の低燃費化に対する要求も まりつつある。このような要求に対応する めに、タイヤ性能についても転がり抵抗の 減が求められている。ここで、タイヤの転 り抵抗に寄与するタイヤのトレッド用ゴム 成物の開発にあたっては、60℃付近での損 正接(tanδ)を指標とすることが一般的に有効 あり、具体的には、60℃付近でのtanδが低い ゴム組成物をトレッドに用いることで、タイ ヤの発熱を抑制して転がり抵抗を低減し、結 果として、タイヤの低燃費性を向上させるこ とができる。

 これらドライ性能、ウェット性能および 燃費性を兼ね備えたタイヤを実現するため 技術として、例えば、特許文献3には、トレ ッドゴムの改良技術が開示されている。また 、ベルト層に用いられるスチールコードに着 目して操縦安定性の向上や乗心地の向上を企 図した技術として、例えば、特許文献4には 素線径の細い特定のスチールコードを用い ことが、また、特許文献5には、曲げ抵抗お び引張り伸びによりスチールコードを規定 ることが、夫々提案されている。さらに、 許文献6には、ベルト層を、コード直径と1 のコード内のフィラメント数とベルト層の ち込みコード数との関係式により規定した イヤが、開示されている。さらにまた、特 文献7には、ベルトコード構造および打ち込 本数を所定の範囲に規定したベルトプライ 、緩衝ゴムを介して配置したタイヤが開示 れている。

特開2000-264012号公報(特許請求の範囲等)

特開2005-297876号公報(特許請求の範囲等)

特開2006-274049号公報(特許請求の範囲等)

特開昭59-38102号公報(特許請求の範囲等)

特開昭60-185602号公報(特許請求の範囲等)

特開昭63-2702号公報(特許請求の範囲等)

特開平3-143703号公報(特許請求の範囲等)

 これまでに提案されたサイド補強タイプ ランフラットタイヤにより、パンク等によ タイヤの内圧が低下した状態でも、タイヤ 荷重支持能力を失うことなくある程度の距 を安全に走行することができるようにはな たが、非パンク時である空気入り時におけ 走行性能については十分な検討がなされて なかった。即ち、ランフラットタイヤにお ては、近年の要求特性である上述の非パン 時における高速直進安定性、ドライ性能お びウェット性能、並びに低燃費性について 十分な検討がなされていなかったのが現状 ある。

 そこで本発明の目的は、優れたランフラ ト性能を有するとともに、非パンク時にお る高速直進安定性、乾燥路面および濡れた 面での操縦安定性、並びに低燃費性にも優 たランフラットタイヤを提供することにあ 。

 本発明者らは、サイド補強タイプのラン ラットタイヤの非パンク時における走行時 車両の直進安定性、操縦安定性、低燃費性 の改善を図るために、トレッド部のゴムの 性とベルト剛性、即ちベルト部のスチール 比とに着目して鋭意検討した結果、本発明 完成するに至った。

 即ち、本発明のランフラットタイヤは、左 一対のビード部間でトロイド状に延びるカ カスを骨格とし、該カーカスのクラウン部 ジアル方向外側に、スチールコードをゴム きしてなる少なくとも2層の交錯ベルト層と トレッドゴムが順次配置され、かつ、タイヤ 幅方向の断面形状が三日月状の補強ゴムを前 記カーカスのサイドウォール部内側部分に配 設してなるランフラットタイヤにおいて、
 前記スチールコードが、素線径0.10~0.20mmの チール素線6~10本からなる単撚り構造または ア-単層シース構造を有し、該スチールコー ドの打ち込み本数が40本/50mm以上であり、ベ ト層内で隣接する該スチールコード間の距 が0.3mm以上であり、かつ、
 前記トレッドゴムの、30℃における動的貯 弾性率E’(MPa)および60℃における損失正接tan δが、夫々次式、
5.0≦E’
0.050≦tanδ≦0.240
で表される関係を満足することを特徴とする ものである。

 本発明のランフラットタイヤにおいては、 記トレッドゴムにおいて、ゴム成分100質量 に対し白色充填剤が20~80質量部およびカー ンブラックが10~30質量部配合され、かつ、該 白色充填剤の部数Aと該カーボンブラックの 数Bとが次式、
20≦(A/(A+B))×100≦95
で表される関係を満足することが好ましい。 また、前記スチールコードの断面形状が扁平 であり、かつ、該扁平断面の長径方向が前記 ベルト層の幅方向に沿って配列していること が好ましい。さらに、前記スチールコードの 打ち込み本数は、好ましくは40~60本/50mmであ 、また、前記ベルト層内で隣接するスチー コード間の距離は、好ましくは0.4~1.0mmであ 。

 以下、ランフラットタイヤの具体的作用に き説明する。
 ランフラット性能は、パンク等の空気抜け 状態において安全に走行可能な距離の長短 よって決まる。サイド補強タイプのランフ ットタイヤは、サイドウォール部を中心と て内面に、タイヤ幅方向断面が三日月状を す補強ゴムが配設されている。かかる補強 ムが存在しない場合、タイヤは空気内圧に って荷重負担能力を維持し得るものの、サ ドウォール部はそのゴム厚さおよび硬度が 較的低いために、該サイドウォール部自体 の荷重支持能力には限界があり、パンク時 ランフラット性能を発揮することは困難で る。このため補強ゴムによって、サイドウ ール部とその両側に位置するトレッドショ ダー部及びビード部を補強し、これら部分 おける荷重支持能力を高め、これによりパ ク等の空気抜け時において変形が大なるサ ドウォール部の変形を減じ、ランフラット 能を維持することが可能となる。

 図1は、ランフラット走行中のランフラッ トタイヤ断面図を示している。このような変 形はCTスキャナを用いた調査により確認する とができ、サイドウォール部における補強 ム5は荷重を支えるため非常に大きな剛性を 必要とすることが分かる。その一方で、非パ ンク時、即ち、空気入り時は、補強ゴム5の 在しない通常のタイヤでは荷重時にサイド が大きく変形し、荷重を吸収して接地面に 分な力を伝えないか、もしくは伝えにくい 、剛性の高い補強ゴム5を有するランフラッ タイヤでは逆にこのようなサイド部の変形 ほとんど起こらない。

 上述のようにランフラットタイヤでは、 イヤショルダー部内側は路面により拘束さ るが、ショルダー部外側は荷重による曲げ 形が補強ゴムの存在によりほとんど生じな ため、直接ショルダー部外側に荷重(F)が伝 ってしまうことになる(図2)。その結果、シ ルダーブロックは横方向せん断変形を強く け、結果的に反力として路面からショルダ 部外側に向かった大きな力を発生させた状 で走行することになる。この力は両サイド ョルダー部に働き、均一な路面を走行した 合にはこれらの力は釣り合うが、実際の路 では均一な路面はごくわずかで、一般の路 における路面のわずかな不均衡により左右 力(F)に不釣合いが生じ、それが車輪に伝わ 、車両が直進することが困難となり、車両 直進安定性や操縦安定性が悪化することに る。また、これによってトレッド部の変形 大きくなり、結果として転がり抵抗が増大 て低燃費性能も悪化することになる。本発 者らは、このようなランフラットタイヤの 用を明らかにした、その上で、トレッドゴ に低ロスのゴムを配置し、かつ、ベルト部 は従来より剛性の高い部材を配置すること より高速直進安定性能、ドライ性能、ウェ ト性能を向上しつつ、転がり抵抗を低減で ることを見出したのである。

 本発明によれば、優れたランフラット性 を有するとともに、非パンク時における高 直進安定性、ドライ性能およびウェット性 、並びに低燃費性にも優れたランフラット イヤを提供することができる。

パンク時走行中のランフラットタイヤ 右半分の概略断面図である。 非パンク時走行中のランフラットタイ の右半分の概略断面図である。 本発明の一実施の形態に係るランフラ トタイヤの右半分の概略断面図である。

 以下に、図を参照しながら本発明の実施 形態につき詳細に説明する。図3は、本発明 のランフラットタイヤの一例の部分断面図で ある。図3に示すタイヤは、左右一対のビー 部1及び一対のサイドウォール部2と、両サイ ドウォール部2に連なるトレッド部3とを有し 一対のビード部1間にトロイド状に延在して 、これら各部1、2、3を補強する1枚以上のカ カスプライからなるカーカス4と、サイドウ ール部2のカーカス4の内側に配置した一対 タイヤ幅方向断面三日月状サイド補強ゴム5 を備える。

 また、図示例のタイヤにおいては、ビー 部1内に夫々埋設したリング状のビードコア 6のタイヤラジアル方向外側にビードフィラ 7が配置されており、更に、カーカス4のクラ ウン部のタイヤラジアル方向外側には2層の 錯ベルト層からなるベルト8が配置されてい ことに加え、該ベルト8のタイヤラジアル方 向外側でベルト8の全体を覆うようにベルト 強層9Aが配置され、更に、該ベルト補強層9A 両端部のみを覆うように一対のベルト補強 9Bが配置されている。ここで、ベルト層は タイヤ赤道面に対して傾斜して延びるスチ ルコードのゴム引き層からなり、2枚のベル 層は、該ベルト層を構成するコードが互い 赤道面を挟んで交差するように積層されて ルト8を構成する。また、ベルト補強層9A,9B 、通常、タイヤ周方向に対し実質的に平行 配列したコードのゴム引き層からなる。

 なお、図示例のカーカス4は、平行に配列 された複数の補強コードをコーティングゴム で被覆してなるカーカスプライ1枚から構成 れ、また、該カーカス4は、上記ビード部1内 に夫々埋設した一対のビードコア6間にトロ ド状に延在する本体部と、各ビードコア6の りでタイヤ幅方向の内側から外側に向けて ジアル方向外方に巻上げた折り返し部とか なるが、本発明のランフラットタイヤにお ては、カーカス4のプライ数及び構造は、こ れに限られるものではない。カーカス4は、 イヤ赤道面に対して60~90°の角度で傾くラジ ル構造のカーカスコードを具え、またポリ ステル、ナイロン、芳香族ポリアミド等の 機繊維コードを好適に用いることができる 更に、図示例のベルト8は、2枚のベルト層 らなるが、本発明のランフラットタイヤに いては、ベルト8を構成するベルト層の枚数 これに限られるものではない。更に、本発 のランフラットタイヤにおいては、ベルト 強層9A,9Bの配設も必須ではなく、別の構造 ベルト補強層を配設することもできる。

 本発明においては、トレッドゴムとして、3 0℃における動的貯蔵弾性率E’(MPa)および60℃ における損失正接tanδが、夫々次式、
5.0≦E’ 
0.050≦tanδ≦0.240
で表される関係を満足する必要がある。

 このtanδが0.050より小さいと、操縦安定性 およびドライ性能の低下を招くおそれがある 。一方、0.240より大きいと、転がり抵抗の低 効果が減少し、低燃費性能の向上を図るこ が困難となる。

 また、30℃における動的貯蔵弾性率E’が5.0M Pa未満では乾燥路面における操縦安定性(ドラ イ性能)の向上効果が得られない。この動的 蔵弾性率E’は、好適には次式、
8.0≦E’
で表される関係を満足するものとする。

 次に、操縦安定性および低燃費性能に関 するトレッド部における歪エネルギーロス 布を考えた場合、サイド補強ゴムを有しな 通常のタイヤにおいては、サイド部の剛性 低くタイヤ変形をサイド部でも分散できる め、トレッド部が均一に変形しやすく、非 ンク時の歪エネルギーロス分布はトレッド に均一に分散できると考えられる。これに し、ランフラットタイヤでは、サイド補強 ムを有するためにサイド部剛性が高く、タ ヤ変形をサイド部で分散できないため、ト ッド端部に変形が集中しやすく、非パンク の歪エネルギーロス分布はトレッド端部に 中するものと考えられる。

 したがって、ランフラットタイヤにおい は、通常タイヤの場合とは異なって、非パ ク時において歪エネルギーロス分布のトレ ド端部への集中が生ずるため、ランフラッ タイヤの非パンク時における操縦安定性お び低燃費性能を向上するためには、この歪 ネルギーロスの集中を解消することが重要 なる。

 本発明のランフラットタイヤにおいては 交錯ベルト層が高い周方向引っ張り剛性と 内曲げ剛性を発揮するとともに低い面外曲 剛性を有する。交錯ベルト層は、コーナリ グ限界付近では大きな面内方向への曲げ変 を受け、曲げ変形内側では大きな圧縮変形 受けることでバックリングが発生するおそ があるが、本発明においては交錯ベルト層 面外曲げ剛性を低くすることにより、圧縮 伴う面外曲げ変形力が低下し、タイヤ内部 力によってバックリング変形を抑制するこ ができる。その結果として、本発明のラン ラットタイヤにおいては、非パンク時にお る接地圧分布を均一にして、歪エネルギー ス分布のトレッド端部への集中を解消する とができ、これにより、トレッドゴムに加 る入力を均一化することができ、非パンク における操縦安定性および低燃費性能を向 することができる。

 かかる交錯ベルト層を実現するために、 用されるスチールコードは、素線径0.10~0.20m mのスチール素線6~10本からなる単撚り構造ま はコア-単層シース構造を有し、該スチール コードの打ち込み本数が40本/50mm以上であり ベルト層内で隣接する該スチールコード間 距離が0.3mm以上であることが肝要である。

 この素線径が0.20mmを超えるとコードの曲 剛性が高くなり、交錯ベルト層の面外曲げ 性を低くすることが困難になる。一方、素 径が0.10mm未満であると本発明に適合する素 数および、コード間距離の条件下で高い引 張り剛性を得ることが困難になるとともに コスト高となる。

 また、素線数が多いと、コードが曲げら たときの素線同士の干渉によって曲げ剛性 増大するが、素線数が10本以下であると曲 剛性に対する影響が小さくて済む。ただし 素線数が6本未満であると本発明に適合する い周方向引っ張り剛性を得ることが困難に る。

 さらに、本発明においては、スチールコ ドの打ち込み本数が40本/50mm以上、好適には 40~60本/50mmである。打ち込み本数を40本/50mm以 としたのは、必要な周方向引っ張り剛性を るためには、最低限必要なスチール占有率 確保する必要があること、交錯ベルト層の 方向引っ張り剛性は同じスチール占有率で っても上下のベルト層によって形成される チールコードの網目が小さく、かつ数が多 ほど高くなること、によるものである。

 ここで、素線径が小さいほど、また素線 数が少ないほど、打ち込み本数を多くして 所望の周方向引っ張り剛性を得ることが好 しいが、ベルト層内で隣接するスチールコ ドのコード間距離は0.3mm以上とすることが 要である。スチールコード間距離が0.3mm未満 であると、スチールコード端部で発生した微 細なクラックが隣接するスチールコード相互 間にまたがって成長し、ベルト積層相互間に もつながり拡大して、ベルトセパレーション に至る。ベルト層内で隣接するスチールコー ド間の距離は、好ましくは、0.4~1.0mm程度であ る。

 また、好ましくは、スチールコードの断 形状を扁平とし、その扁平断面の長径方向 ベルトの層の幅方向に沿って配列させるこ により、より高い面内曲げ剛性とより低い 外曲げ剛性を得ることができる。

 断面形状が扁平なスチールコード構造と ては、素線の螺旋形状が一方向に押しつぶ れた単撚り構造や、互いに撚り合わされず 並列して配置した2~3本のスチール素線をコ とし、その周囲にスチール素線を撚り合わ てシースを形成した構造等を適用すること できる。特に、2並列+4~7等の、互いに撚り されず並列して配置された2本のスチール素 をコアとし、その周囲に残りのスチール素 が、撚り合されてなるコア-単層シース構造 のスチールコードを適用することは、より高 い面内曲げ剛性と、より低い面外曲げ剛性を 得ることができるので、好ましい。

 本発明に用いるトレッドゴムは、具体的に 、ゴム物性100質量部に対して白色充填剤が2 0~80質量部およびカーボンブラックが10~30質量 部配合されてなり、かつ、これらの白色充填 剤の部数Aとカーボンブラックの部数Bとが、 式、
20≦(A/(A+B))×100≦95
で表される関係を満足するものを好適に用い ることができる。

 白色充填剤の部数Aが20質量部未満である 濡れた路面での操縦安定性のメリットが得 れず、一方、80質量部を超えると、ゴムシ トのまとまりが悪くなるなど加工性が劣る とになる。また、カーボンブラックが10質量 部未満であると熱入れ性等において加工性に 劣ることとなり、30質量部を超えると濡れた 面での操縦安定性のメリットが低下する。 らに、(A/(A+B))×100<20であると、濡れた路 での操縦安定性のメリットが得られず、一 、(A/(A+B))×100>95であると、ゴムシートのま とまりが悪くなるなど、加工性に劣ることと なる。

 トレッドゴムのゴム成分としては、具体 には例えば、スチレン・ブタジエン共重合 ゴム(SBR)、天然ゴム(NR)や、スチレン・イソ レン共重合体ゴム(SIR)、ポリイソプレンゴ (IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(II R)およびエチレン・プロピレン共重合体等の 成ゴムが挙げられる。

 また、白色充填剤としては、シリカや水 化アルミニウム等が挙げられ、これらの中 もシリカが好ましい。シリカとしては、特 限定されず、例えば、湿式シリカ(含水ケイ 酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシ ウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられ、こ れらの中でも、破壊特性の改良効果とウェッ ト性能及び転がり抵抗性との両立に優れる点 で、湿式シリカが好ましい。なお、白色充填 剤としてシリカを用いる場合、その補強性を さらに向上させる観点から、配合時にシラン カップリング剤を添加することが好ましい。 かかるシランカップリング剤としては、ビス (3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスル ィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル) リスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリル ロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシ シリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3-ト メトキシシリルプロピル)テトラスルフィド ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラス ルフィド、3-メルカプトプロピルトリメトキ シラン、3-メルカプトプロピルトリエトキ シラン、2-メルカプトエチルトリメトキシシ ラン、2-メルカプトメチルトリエトキシシラ 、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチ ルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-ト エトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオ ルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキ シシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイ テトラスルフィド、3-トリメトキシシリル ロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド 3-トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾ ールテトラスルフィド、3-トリエトキシシリ プロピルメタクリレートモノスルフィド、3 -トリメトキシシリルプロピルメタクリレー モノスルフィド、ビス(3-ジエトキシメチル リルプロピル)テトラスルフィド、3-メルカ トプロピルジメトキシメチルシラン、ジメ キシメチルシリルプロピル-N、N-ジメチルチ カルバモイルテトラスルフィド、ジメトキ メチルシリルプロピルベンゾチアゾールテ ラスルフィド等が挙げられ、これらの中で 、補強性改善効果の観点から、ビス(3-トリ トキシシリルプロピル)テトラスルフィドお よび3-トリメトキシシリルプロピルベンゾチ ゾールテトラスルフィドが好ましい。これ シランカップリング剤は1種単独で使用して もよいし、2種以上を併用してもよい。

 さらに、カーボンブラックとしては、特 限定されるものではないが、FEF、SRF、HAF、I SAF、SAFグレードのものなどを用いることがで き、中でも特に、ヨウ素吸着量(IA)が60mg/g以 でかつ、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が80m L/100g以上のものが好適である。カーボンブラ ックを配合することでゴム組成物の諸物性を 改善することができるが、耐摩耗性の観点か らはHAF、ISAF、SAFグレードのものがより好ま い。

 トレッドゴムには軟化剤を含有してもよ 、その配合量としては、ゴム成分100質量部 対して0~30質量部の範囲である。軟化剤の配 合量が30質量部を超えると、加硫ゴムの引っ り強度および低発熱性が悪化する傾向があ 。軟化剤としては、プロセスオイル等を用 ることができ、かかるプロセスオイルとし 、より具体的には、パラフィンオイル、ナ テン系オイル、アロマオイル等が挙げられ 。これらの中でも、引っ張り強度および耐 性の観点からはアロマオイルが好ましく、 ステリシスロスおよび低温特性の観点から ナフテン系オイルおよびパラフィン系オイ が好ましい。

 トレッドゴムには一般的なゴム用架橋系 用いることができ、架橋剤と加硫促進剤と 組み合わせて用いることが好ましい。架橋 としては、ゴム成分100質量部に対して硫黄 として0.1~10質量部の範囲が好ましく、1~5質 部の範囲がより好ましい。架橋剤の配合量 、ゴム成分100質量部に対して硫黄分として0 .1質量部未満では、加硫ゴムの破壊強度、耐 性および低発熱性が低下し、一方、10質量 を超えるとゴム弾性が失われる。また、加 促進剤としては、特に限定されるものでは いが、2-メルカプトベンゾチアゾール(M)、ジ ベンゾチアジルジスルフィド(DM)、N-シクロヘ キシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド(CZ )、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェン ミド(NS)等のチアゾール系加硫促進剤、ジフ ェニルグアニジン(DPG)等のグアニジン系加硫 進剤、N,N’-ジフェニルチオ尿素(CA)等の尿 系加硫促進剤などが挙げられる。加硫促進 の使用量としては、ゴム成分100質量部に対 て0.1~5質量部の範囲が好ましく、0.2~3質量部 範囲がより好ましい。これらの加硫促進剤 、1種単独で使用してもよいし、2種以上を 用してもよい。

 トレッドゴムには上記のほか、例えば、 化防止剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、酸化 止剤、オゾン劣化防止剤等のゴム業界で通 用いられる添加剤を、本発明の目的を害し い範囲で適宜選択して配合することができ 。

 以下、本発明を実施例に基づき説明する。
(実施例1~5および比較例1~4)
 カーカスのクラウン部ラジアル方向に、ス ールコードをゴム引きしてなる2層の交錯ベ ルト層と、トレッドゴムとを順次備えた、図 3に示すようなサイド補強タイプのランフラ トタイヤを作製した。各実施例および比較 のベルト層としては、夫々下記表2,3に従う 件を満足するものを用いた。タイヤサイズ 225/45R17とし、交錯ベルト層の角度は、タイ 幅方向に対し±62°とした。使用したトレッ ゴムの配合を、下記表1に示す。

 得られた各供試タイヤにつき、下記に従 評価を行った。その結果を、トレッドゴム 30℃における動的貯蔵弾性率E’および60℃ おける損失正接tanδの測定値とともに、下記 の表3中に併せて示す。

(E’およびtanδの測定)
 レオメトリックス社製の粘弾性測定装置を いて、周波数15Hz、歪5%の条件で、トレッド ムの30℃における動的貯蔵弾性率(E’)およ 60℃における損失正接(tanδ)を測定した。

(高速直進安定性および操縦安定性)
 各供試タイヤを実車に装着して、乾燥状態( ドライ)および濡れた状態(ウェット)のサーキ ットにおけるドライバーのフィーリング走行 により、高速直進安定性、操縦安定性の試験 を行った。結果は10点満点の評点で示した。 値が大なるほど、高速直進安定性および操 安定性に優れ、良好である。なお、ドライ 縦安定性については、0.5点の差異は性能上 きく、一般ドライバーにおいて性能差を認 できるレベルである。

(加工性)
 加工性の評価を、下記に従い行った。
 シーティングロール上で未加硫ゴムをシー ィング後、10cm×2cm×2mmの型に打ち抜き、24時 間の放置後に打ち抜き後からの収縮量を測定 した。収縮量が40%以下の場合を○(良好)、40% 超え60%以下の場合を△、60%を超える場合を とした。

(転がり抵抗試験)
 外径が1707.6mm、幅が350mmのスチール平滑面を 有する回転ドラムを用い、JIS規格の正規内圧 、450kgfの荷重の作用下で0~180km/hの速度で回転 させて測定する方法、いわゆる惰行法により 測定した。
 比較例1を100とした時の指数で表す。値が大 きいほど優れていることを示す。

* 1)A:シリカ(白色充填剤)およびB:カーボンブ ックの、ゴム成分100質量部に対する部数(質 量部)を示す。

 上記表3に示すように、ベルト層のスチー ルコードおよびトレッドゴムとして、本発明 に従う所定条件を満足するものを用いた実施 例のランフラットタイヤにおいては、いずれ も比較例のランフラットタイヤに比べすべて の性能について良好な結果が得られた。

(参考例1,2)
 サイド補強ゴムを有しない通常タイヤを、 レッドゴムとして実施例1と同じものを用い 、交錯ベルト層として上記表2および下記表4 従う条件を満足するものを用いて、それぞ 作製した。タイヤサイズは225/45R17とし、交 ベルト層の角度は、タイヤ幅方向に対し±62 °とした。

(比較例5)
 サイド補強ゴムを有するサイド補強タイプ ランフラットタイヤを、トレッドゴムおよ 交錯ベルト層に関する条件を参考例1と同様 にして、作製した。

(実施例6)
 サイド補強ゴムを有するサイド補強タイプ ランフラットタイヤを、トレッドゴムおよ 交錯ベルト層に関する条件を参考例2と同様 にして、作製した。

(総歪エネルギーロス評価)
 得られた各供試タイヤにつき、トレッド部 おける歪エネルギーロスを解析、算出して その総和を求めた。また、ベルト構造以外 同一構造である各供試タイヤ間(参考例1と 考例2との間、および、比較例5と実施例6と 間)における、ベルト構造による総歪エネル ーロスの変化率をそれぞれ求めた。
 その結果を、下記の表4中に併せて示す。

 上記表4に示すように、同じベルト構造(1) を適用した参考例1の通常タイヤと比較例5の ンフラットタイヤとを比較した場合、総歪 ネルギーロスの値は、比較例5のランフラッ トタイヤのほうが参考例1の通常タイヤより 大幅に高い値となっており、したがって発 量も比較例5のランフラットタイヤのほうが くなる。これは、前述したように、ランフ ットタイヤでは、サイド補強ゴムを有しな 通常タイヤとは異なりサイド部剛性が高く タイヤ変形をサイド部で分散できないこと ら、トレッド端部に歪エネルギーロス分布 集中するためであると考えられる。

 ここで、ベルト構造(1)とベルト構造(2)と 違いを考えると、本発明に従う条件を満足 るベルト構造(2)のベルトは、ベルト構造(1) ベルトよりも面外曲げ剛性が低いため、ベ ト構造(2)を適用することでタイヤの圧縮に う面外曲げ変形力が低下して、バックリン 変形が抑制され、結果としてトレッドゴム 加わる入力を均一化する効果が得られるも である。

 しかし、通常タイヤの場合は、ベルト構 (1)を適用した場合(参考例1)でも歪エネルギ ロス分布を均一に分散することが可能であ ため、ベルト構造(1)に代えてベルト構造(2) 適用した場合(参考例2)においても、総歪エ ルギーロスの値にそれほどの改善は見られ かった。

 これに対し、実施例6のランフラットタイ ヤの場合には、ベルト構造(2)の適用により、 ベルト構造(1)を適用した場合(比較例5)にトレ ッド端部に集中していた変形を分散して、非 パンク時の歪エネルギーロス分布をトレッド 部に均一に分散することで、通常タイヤの場 合と比較して総歪エネルギーロスの値がより 効果的に低減されており、発熱量についても 抑制されることがわかる。

1 ビード部
2 サイドウォール部
3 トレッド部
4 カーカス
5 (サイド)補強ゴム
6 ビードコア
7 ビードフィラー
8 ベルト
9A,9B ベルト補強層