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Title:
SILICON NITRIDE SINTERED BODY AND SLIDING MEMBER USING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/111307
Kind Code:
A1
Abstract:
A silicon nitride sintered body contains silicon nitride particles and a sintering agent component within a range of 2-15 mass%.The silicon nitride particles contain needle crystalline particles, which have a long diameter (L) of 10μm or shorter and a ratio of the long diameter (L) to a short diameter (S) (L/S) of 5 or more, by 50% or more in area ratio in the crystalline structure of the silicon nitride sintered body. The silicon nitride sintered body is used as a sliding member like a bearing ball (2).

Inventors:
TAKAO MINORU (JP)
KOMATSU MICHIYASU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/000525
Publication Date:
September 18, 2008
Filing Date:
March 11, 2008
Export Citation:
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Assignee:
TOSHIBA KK (JP)
TOSHIBA MATERIALS CO LTD (JP)
TAKAO MINORU (JP)
KOMATSU MICHIYASU (JP)
International Classes:
F16C33/32; C04B35/584
Foreign References:
JPH04132664A1992-05-06
JPH03271164A1991-12-03
JPH0193470A1989-04-12
Attorney, Agent or Firm:
SUYAMA, Saichi (1 Kandata-cho 2-chome, Chiyoda-k, Tokyo 46, JP)
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Claims:
 窒化珪素粒子と、2質量%以上15質量%以下の範囲の焼結助剤成分とを含有する窒化珪素焼結体であって、
 前記窒化珪素粒子は、長径Lが10μm以下で、かつ短径Sに対する長径Lの比(L/S)が5以上である針状結晶粒子を、前記窒化珪素焼結体の結晶組織内に面積比で50%以上有することを特徴とする窒化珪素焼結体。
 請求項1記載の窒化珪素焼結体において、
 前記窒化珪素焼結体中に存在するボイドの最大径が3μm以下であることを特徴とする窒化珪素焼結体。
 請求項2記載の窒化珪素焼結体において、
 前記ボイドの数が30×30μmの範囲内に5個以下であることを特徴とする窒化珪素焼結体。
 請求項1記載の窒化珪素焼結体において、
 前記結晶組織内における前記長径Lが10μm以下でかつL/S比が5以上である針状結晶粒子の面積比は80%以下であることを特徴とする窒化珪素焼結体。
 請求項1記載の窒化珪素焼結体において、
 前記焼結助剤成分として、1質量%以上6質量%以下の範囲の希土類元素と、0.5質量%以上6質量%以下の範囲のAlとを含有することを特徴とする窒化珪素焼結体。
 請求項5記載の窒化珪素焼結体において、
 さらに、Ti、Zr、Hf、W、Mo、Ta、NbおよびCrから選ばれる少なくとも1種の金属元素を、前記金属元素の単体または前記金属元素の化合物として、0.01質量%以上5質量%以下の範囲で含有することを特徴とする窒化珪素焼結体。
 請求項5記載の窒化珪素焼結体において、
 さらに、Ti、Hf、WおよびMoから選ばれる少なくとも1種の金属元素を、前記金属元素の単体または前記金属元素の化合物として、0.01質量%以上5質量%以下の範囲で含有することを特徴とする窒化珪素焼結体。
 請求項1記載の窒化珪素焼結体において、
 3点曲げ試験における抗折強度が700MPa以上であることを特徴とする窒化珪素焼結体。
 窒化珪素粒子と、2質量%以上15質量%以下の範囲の焼結助剤成分とを含有する窒化珪素焼結体を具備する摺動部材であって、
 前記窒化珪素粒子は、長径Lが10μm以下で、かつ短径Sに対する長径Lの比(L/S)が5以上である針状結晶粒子を、前記窒化珪素焼結体の結晶組織内に面積比で50%以上有することを特徴とする摺動部材。
 請求項9記載の摺動部材において、
 前記窒化珪素焼結体の前記結晶組織内における前記長径Lが10μm以下でかつL/S比が5以上である針状結晶粒子の面積比は80%以下であることを特徴とする摺動部材。
 請求項9記載の摺動部材において、
 前記焼結助剤成分として、1質量%以上6質量%以下の範囲の希土類元素と、0.5質量%以上6質量%以下の範囲のAlとを含有することを特徴とする摺動部材。
 請求項11記載の摺動部材において、
 さらに、Ti、Zr、Hf、W、Mo、Ta、NbおよびCrから選ばれる少なくとも1種の金属元素を、前記金属元素の単体または前記金属元素の化合物として、0.01質量%以上5質量%以下の範囲で含有することを特徴とする摺動部材。
 請求項9記載の摺動部材において、
 ベアリングボールであることを特徴とする摺動部材。
 請求項9記載の摺動部材において、
 前記ベアリングボールは、最大接触圧力5.9MPa、回転数1200rpmの条件下で転がり寿命をスラスト型軸受試験機で測定したとき、600時間以上の転がり寿命を有することを特徴とする摺動部材。
Description:
窒化珪素焼結体とそれを用いた 動部材

 本発明は窒化珪素焼結体とそれを用いた 動部材に関する。

 摺動部材は、例えば軸受部材、圧延用の うな各種ロール材、コンプレッサ用ベーン ガスタービン翼、カムローラのようなエン ン部品等、各種の分野で使用されている。 のような摺動部材には、軽量で高強度のセ ミックス材料が用いられるようになってき いる。特に、窒化珪素焼結体は機械的強度 耐摩耗性に優れることから、ベアリングボ ル等の軸受部材への適用が進められている

 窒化珪素焼結体を用いたベアリングボー 等の軸受部材に関しては、例えば焼結体組 (焼結助剤の種類や添加量)の制御、焼結体 での各助剤成分の形態制御、製造工程の制 等に基づいて、機械的強度や転がり寿命に 表される耐摩耗性等を向上させることが提 されている(特許文献1,2参照)。特許文献1に 、平均粒径が0.1μm以下のTiN粒子を含有させ ことによって、耐摩耗性を向上させた窒化 素焼結体が記載されている。特許文献2には Ti化合物としてTiNおよびTiCNの少なくとも一 を含む窒化珪素焼結体が記載されている。

 HDDやDVD等のディスク媒体を有する電子機器 おいては、スピンドルモータのような回転 動装置により回転軸を高速回転させ、この 転軸に装着された各種ディスクを機能させ いる。高速回転させる回転軸の軸受に軽量 耐摩耗性等に優れる窒化珪素焼結体製のベ リングボールを適用することが試みられて る。しかしながら、従来の窒化珪素焼結体 ベアリングボールは、例えば5000rpm以上とい うように高速回転させる回転軸の軸受に使用 したときに、転がり寿命のバラツキが大きい という難点を有している。このため、必ずし も十分な信頼性や耐久性を満足させるまでに は至っていない。

特開2004-002067公報

特開2006-036554公報

 本発明の目的は、転がり寿命に代表され 摺動特性のバラツキを低減することによっ 、耐久性や信頼性を再現性よく高めること 可能にした窒化珪素焼結体とそれを用いた 動部材を提供することにある。

 本発明の態様に係る窒化珪素焼結体は、 化珪素粒子と、2質量%以上15質量%以下の範 の焼結助剤成分とを含有する窒化珪素焼結 であって、前記窒化珪素粒子は、長径Lが10μ m以下で、かつ短径Sに対する長径Lの比(L/S)が5 以上である針状結晶粒子を、前記窒化珪素焼 結体の結晶組織内に面積比で50%以上有するこ とを特徴としている。

 本発明の態様に係る摺動部材は、窒化珪 粒子と、2質量%以上15質量%以下の範囲の焼 助剤成分とを含有する窒化珪素焼結体を具 する摺動部材であって、前記窒化珪素粒子 、長径Lが10μm以下で、かつ短径Sに対する長 Lの比(L/S)が5以上である針状結晶粒子を、前 記窒化珪素焼結体の結晶組織内に面積比で50% 以上有することを特徴としている。

本発明の実施形態によるベアリングの 成を一部断面で示す図である。

符号の説明

  1…ベアリング、2…ベアリングボール、 3…内輪、4…外輪。

発明を実施するための形態

 以下、本発明を実施するための形態につ て説明する。本発明の実施形態による窒化 素焼結体は、窒化珪素を主成分とすると共 、2~15質量%の範囲の焼結助剤成分を含有す ものである。焼結助剤成分は少なくとも希 類元素とアルミニウムを含むことが好まし 。希土類元素やアルミニウムは、例えばSi― R―Al―O―N化合物(R:希土類元素)からなる粒界 相を形成し、これにより焼結体の緻密化等に 寄与する。このように、窒化珪素焼結体は窒 化珪素粒子と粒界相とから主として構成され るものである。

 焼結助剤成分としての希土類元素は特に 定されるものではないが、イットリウム(Y) ランタン(La)、セリウム(Ce)、サマリウム(Sm) ネオジウム(Nd)、ジスプロシウム(Dy)、エル ウム(Er)等のランタノイド系希土類元素を適 することが好ましい。希土類元素の含有量 1~6質量%の範囲であることが好ましい。希土 類元素の含有量が1質量%未満であると、窒化 素焼結体を十分に緻密化することができな おそれがある。希土類元素の含有量が6質量 %を超えると、窒化珪素焼結体中の粒界相の が過剰となるため、強度等の機械的特性が 下する。希土類元素は例えば酸化物、窒化 、硼化物、炭化物、珪化物等として添加さ る。

 焼結助剤成分としてのアルミニウムは、 土類元素の焼結促進剤としての機能を助長 る役割を果たすものであり、例えば酸化ア ミニウムや窒化アルミニウム等として添加 れる。アルミニウムの含有量は0.5~6質量%の 囲であることが好ましい。アルミニウムの 有量が0.5質量%未満であると、窒化珪素焼結 体の緻密化が不十分となるおそれがある。ア ルミニウムの含有量が6質量%を超えると粒界 が増加するだけでなく、アルミニウムが窒 珪素結晶粒中に固溶することで熱伝導率等 低下するおそれがある。

 窒化珪素焼結体は希土類元素とアルミニ ム以外の焼結助剤成分を含んでいてもよい それらを含めて焼結助剤成分の総含有量は2 ~15質量%の範囲とすることが好ましい。焼結 剤成分の総含有量が2質量%未満であると、窒 化珪素焼結体を十分に緻密化することができ ないおそれがある。焼結助剤成分の総含有量 が15質量%を超えると、窒化珪素焼結体が本来 有する機械的強度や耐摩耗性等の特性が低下 するおそれがある。各元素の含有量は窒化珪 素焼結体を溶かした後にICPで化学分析して測 定する。

 窒化珪素焼結体は、さらにチタン(Ti)、ジ ルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、タングステ (W)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、ニオブ(N b)、およびクロム(Cr)から選ばれる少なくとも 1種の金属元素Mを、金属元素の単体または金 元素の化合物として含んでいてもよい。金 元素MはTi、Hf、WおよびMoから選ばれる少な とも1種であることがより好ましい。金属元 Mは酸化物、炭化物、窒化物、珪化物、硼化 物等の化合物(M化合物)として窒化珪素焼結体 に添加される。

 金属元素Mの化合物(M化合物)は焼結助剤や 機械的特性の向上剤として機能する。例えば 、M化合物を窒化珪素焼結体中に分散させる とで分散強化効果を得ることができる。こ によって、窒化珪素焼結体の機械的強度や がり寿命を向上させることが可能となる。 属元素Mの含有量は0.01~5質量%の範囲とするこ とが好ましい。金属元素Mの含有量が5質量%を 超えると、逆に機械的強度や転がり寿命等が 低下するおそれがある。金属元素Mの含有量 下限値は必ずしも規定されるものではない 、有効な添加効果を得る上で0.01質量%以上と することが好ましい。

 窒化珪素焼結体の結晶構造に関しては、 化珪素粒子(結晶粒)のβ化率が95%以上である ことが好ましい。さらに、窒化珪素粒子は長 径Lが10μm以下で、かつ短径Sに対する長径Lの (L/S)が5以上である針状結晶粒子を、窒化珪 焼結体の結晶組織内に面積比で50%以上有し いる。このように、窒化珪素粒子の針状形 を揃えることによって、窒化珪素焼結体の 密性を高めることができる。すなわち、窒 珪素焼結体中に存在するボイドのサイズと を低減することが可能となる。さらに、L/S (アスペクト比)が大きい針状の窒化珪素粒 で窒化珪素焼結体を構成することによって 針状粒子が絡み合うことで窒化珪素焼結体 高強度化することができる。

 窒化珪素粒子の長径Lやアスペクト比(L/S )は以下のようにして測定するものとする。 ず、窒化珪素焼結体の任意の4箇所の表面も しくは断面をエッチングして助剤成分を溶出 させた後に拡大写真を撮り、各拡大写真に存 在する各窒化珪素粒子の長径Lと短径Sを測定 る。これらの測定結果から長径Lが10μm以下 アスペクト比(L/S比)が5以上の針状結晶粒子 面積を求め、針状結晶粒子の面積が測定面 に占める面積率(%)を算出する。各測定面の 積率の平均値を針状結晶粒子の面積比(%)と る。拡大写真は1000倍以上とすることが好ま しい。この実施形態の窒化珪素焼結体におい て、針状結晶粒子の面積比は焼結体のどの部 位で測定しても同様な値を示すものである。

 長径Lが10μm以下でアスペクト比(L/S比)が5 上の針状窒化珪素粒子は緻密性や強度の向 に寄与する。針状結晶粒子の長径Lが10μmを えると、絡み合い構造が複雑になってボイ が発生しやすくなると共に、転がり寿命に 表される耐摩耗性が低下するおそれがある 針状結晶粒子のアスペクト比(L/S比)が5未満 あると、強度や緻密性の向上効果が十分に られないおそれがある。従って、長径Lが10 m以下でアスペクト比(L/S比)が5以上の針状結 粒子の面積率が50%以上となるように、窒化 素粒子の形状を揃えて緻密性や強度を高め ことによって、転がり寿命に代表される摺 特性のバラツキを低減することが可能とな 。

 長径Lが10μm以下でL/S比が5以上の針状結晶 粒子の面積率が50%未満であると、窒化珪素粒 子の形状が不揃いになることに起因して、ボ イドの大きさや量が増加する。これによって 、窒化珪素焼結体の摺動特性にバラツキが生 じやすくなる。このような窒化珪素焼結体で は耐久性や信頼性を再現性よく高めることが できない。ただし、長径Lが10μm以下でL/S比が 5以上の針状結晶粒子の面積率が80%を超える 、針状結晶粒子の配向性が高くなり、圧力 印加方向に基づく強度のバラツキが生じる それがある。ベアリングボール等の摺動部 には等方的な特性が求められるため、圧力 印加方向に基づく強度のバラツキは好まし ない。長径Lが10μm以下でL/S比が5以上の針状 晶粒子の面積率は、さらに50~70%の範囲であ ことが好ましい。

 窒化珪素粒子の形状制御に基づいて、窒 珪素焼結体中に存在するボイドの最大径を3 μm以下とすることができる。さらに、ボイド の数は30×30μmの範囲内に5個以下とすること できる。このように、ボイドの最大径が3μm 下で、かつボイドの数を30×30μmの範囲内に5 個以下とした窒化珪素焼結体によれば、転が り寿命に代表される摺動特性の値自体を向上 させることができるだけでなく、摺動特性の バラツキを低減することが可能となる。従っ て、窒化珪素焼結体を摺動部材として用いた 場合の耐久性と信頼性を向上させることがで きる。

 ボイドの最大径は2μm以下とすることがよ り好ましい。30×30μmの範囲内におけるボイド の数は3個以下とすることがより好ましい。 イドの大きさと数は、窒化珪素焼結体の任 の表面もしくは断面に研磨加工、ポリッシ 加工、ラップ加工を施したとき、加工面に 留するピット(ボイドに相当)の大きさおよび 個数を測定することにより求めるものとする 。ボイドの測定は任意の4箇所の表面または 面に対して実施し、これらの平均値で表さ るものである。

 この実施形態の窒化珪素焼結体は、例えば ッカース硬さHvが1300~1600の範囲の硬度、破 靭性値が6.0MPa・m 1/2 以上の靭性、3点曲げ強度が700MPa以上の抗折 度、さらに150N/mm 2 以上の圧砕強度を満足するものである。この ような特性を有する窒化珪素焼結体によれば 、摺動部材の耐久性や信頼性を高めることが できる。なお、ビッカース硬度はJIS-R-1610で 定された測定法に基づいて、試験荷重198.1N 試験を行った結果を示すものとする。破壊 性値はJIS-R-1607で規定されたIF法に基づいて 定し、niiharaの式により算出する。圧砕強度 旧JIS規格B1501に準じて、インストロン試験 で圧縮加重をかけて破壊時の荷重を測定し 結果を示すものである。

 上述した実施形態の窒化珪素焼結体は、 えば以下のようにして作製される。まず、 化珪素粉末を用意する。窒化珪素粉末は不 物陽イオン元素の含有量が0.3質量%以下、酸 素含有量が1.5質量%以下で、かつα相型窒化珪 素を90質量%以上含むことが好ましい。窒化珪 素粉末の平均粒径は0.4~0.6μmの範囲であるこ が好ましい。このような窒化珪素粉末に対 て、希土類化合物粉末、アルミニウム化合 粉末、さらに必要に応じてM化合物粉末(また は金属粉末)を所定量添加する。焼結助剤等 添加剤粉末の平均粒径は0.6~1.2μmの範囲であ ことが好ましい。

 次に、各粉末を粉砕しつつ混合する。粉 の粉砕・混合には、直径が0.1~2mmのビーズを 用いたビーズミルを適用することが好ましい 。ビーズミルに用いるビーズは、窒化珪素製 ビーズまたはジルコニア製ビーズであること が好ましい。なお、ボールミルには直径が5mm 以上(例えば15~20mm)のボール(例えばアルミナ ボール)が用いられる。ビーズミルは粉砕、 合に使用するメディア(ビーズやボール)の 径に基づいて、ボールミルと区別されるも である。

 このようなビーズミルを用いて、窒化珪 粉末と添加剤粉末とを十分に粉砕しつつ混 することによって、例えば粒径を0.1~1.3μmの 範囲に調整した原料混合粉末が得られる。ビ ーズミルによる混合時間は粉末10kg当たり1時 以上とすることが好ましい。ただし、ビー ミルによる混合時間を長くしすぎると粒子 細かくなりすぎて、原料混合粉末の取扱い 等が低下するため、ビーズミルによる混合 間は粉末10kg当たり5時間以下とすることが ましい。

 ビーズミルを用いて原料混合粉末の粒径 微細化することによって、焼結助剤の機能 向上させつつ均等化することができる。従 て、窒化珪素粒子の粒成長が均等に促進さ るため、長径Lが10μm以下でアスペクト比(L/S 比)が5以上の針状結晶粒子の面積率50%以上の 構造を有する窒化珪素焼結体を再現性よく ることが可能となる。なお必要に応じて、 い分けを適用して所定範囲の粒径のみの原 混合粉末としてもよい。

 上述した原料混合粉末に有機バインダや 散媒を加えて混合した後、一軸プレス、ラ ープレス、CIP(コールドアイソスタティック プレス)等の公知の成形法を適用して所望の 状に成形する。次いで、成形体に脱脂処理 施した後、窒素雰囲気やAr雰囲気等の不活性 雰囲気中で1600~2000℃の範囲の温度で焼結して 窒化珪素焼結体を作製する。焼結時間は3~10 間の範囲とすることが好ましい。焼結工程 は、常圧焼結、雰囲気加圧焼結、加圧焼結( ットプレス)、HIP(ホットアイソスタティッ プレス)等の様々な焼結方法が適用可能であ 。

 さらに、常圧焼結や雰囲気加圧焼結後にH IP処理を行う等、複数の方法を組合せてもよ 。特に、窒化珪素焼結体をベアリングボー のような軸受部材に適用する場合には、常 焼結または雰囲気加圧焼結後にHIP処理を行 ことが有効である。HIP処理は100~200MPaの圧力 下で1600~1900℃の温度で所定時間保持すること により行うことが好ましい。常圧焼結や雰囲 気加圧焼結を実施する場合には、まず真空雰 囲気下(例えば0.1Pa以下の真空雰囲気)で成形 を熱処理して脱気処理した後、800~1400℃の範 囲内の温度で窒素ガス等を導入することが好 ましい。

 この実施形態の窒化珪素焼結体は、軸受 材、圧延用等の各種ロール材、コンプレッ 用ベーン、ガスタービン翼、カムローラの うなエンジン部品等の摺動部材に好適であ 。これらのうちでも、特にベアリングボー のような軸受部材(転動体)に有効である。 述した実施形態の窒化珪素焼結体は、これ 以外にヒータカバーや切削工具等としても 用することができる。本発明の実施形態に る摺動部材としては、上述した実施形態の 化珪素焼結体からなるベアリングボール、 ーラ、コンプレッサ用ベーン、ガスタービ 翼、カムローラ等が挙げられる。

 図1は本発明の実施形態によるベアリング ボールを適用したベアリングを示している。 図1に示すベアリング1は、上述した実施形態 窒化珪素焼結体からなる複数のベアリング ール2と、これらベアリングボール2を支持 る内輪3および外輪4とを有している。内輪3 外輪4は回転中心に対して同心状に配置され いる。基本構成は通常のベアリングと同様 ある。内輪3や外輪4はJIS-G-4805で規定されるS UJ2等の軸受鋼で形成することが好ましく、こ れにより信頼性のある高速回転が得られる。

 この実施形態のベアリングボール2は、ス ラスト型軸受試験機を用いて、最大接触圧力 5.9MPa、回転数1200rpm、相手材がSUJ2鋼製平板の 件下で転がり寿命を測定したときに、600時 以上の転がり寿命を示す。従って、ベアリ グ1を装着した回転軸を高速回転させる場合 においても、耐久性や信頼性を良好に維持す ることができる。このようなベアリング1は 転軸を高速回転させる各種機器、例えばHDD ような磁気記録装置やDVDのような光ディス 装置等の電子機器に好適に用いられる。

 次に、本発明の具体的な実施例およびそ 評価結果について述べる。

(実施例1)
 酸素含有量が1.3質量%、平均粒径が0.55μmの 化珪素粉末を用意した。この窒化珪素粉末 、焼結助剤として平均粒径が0.7μmの酸化イ トリウム粉末を6質量%、平均粒径が0.5μmの酸 化アルミニウム粉末を6質量%の割合で添加し 。これらを粒径が0.5mmのビーズを用いたビ ズミルで粉砕・混合した。ビーズミルによ 混合時間は、粉末10kg当たり1時間とした。こ のようにして調製した原料混合粉末の粒径を 測定したところ、原料混合粉末の粒径範囲は 0.2~1.0μmであった。なお、粒径は粉末を液中 分散させたスラリーを一定径のレーザ光線 を通過させ、粒子1個ずつのレーザ光線を遮 した際の大きさに基づいて測定した。

 次に、上記した原料混合粉末に有機バイ ダを所定量添加して混合した後、CIP法で成 体を作製した。得られた成形体を空気気流 で脱脂した後、窒素雰囲気中にて1750℃×4h 条件で常圧焼結した。さらに、常圧焼結体 対して100MPaの圧力下で1700℃×1hの条件でHIP処 理を施した。このようにして、目的とする窒 化珪素焼結体を得た。

 得られた窒化珪素焼結体のビッカース硬さ 破壊靭性値、抗折強度を測定した。その結 、ビッカース硬さは1500(Hv)、破壊靭性値は7. 0MPa・m 1/2 であった。抗折強度は100本の3×4×40mmの試料 作製し、これらに3点曲げ試験を実施した。 の結果、抗折強度の最小値は800MPa、抗折強 の平均値は1000MPaであった。窒化珪素焼結体 の微構造を前述した方法にしたがって測定し たところ、長径Lが10μm以下でアスペクト比が 5以上の針状結晶粒子の面積比は50%であった

 さらに、窒化珪素焼結体中のボイドのサ ズと個数を以下のようにして測定した。窒 珪素焼結体の表面2箇所と断面2箇所を任意 選び、各面に対して研磨加工、ポリッシュ 工、ラップ加工を施す。各加工面をSEMで3000 の視野で観察し、加工面に残留するピット 大きさ(最大値)と個数を測定する。それら 平均値としてボイドの最大径と個数を求め 。その結果、ボイドの最大径は1μm、30×30μm 範囲内におけるボイドの個数は1個であった 。

 次に、同条件で作製した直径2mmの窒化珪素 ール(ベアリングボール)1個をSUJ2鋼製の平板 2枚で圧砕したときの圧砕強度と転がり寿命 測定した。ベアリングボールの表面はグレ ド3で表面研磨した。圧砕強度は900N/mm 2 であった。

 転がり寿命試験はスラスト型軸受試験機 用いて、100個のベアリングボールを順にSUJ2 鋼製の平板上を回転させることにより実施し た。転がり寿命は最大接触応力5.9GPa、回転数 1200rpmで試験し、ベアリングボールの表面に 離が生じるまでの時間を測定した。その結 、ベアリングボールの最短寿命時間は600時 であった。さらに、100個のベアリングボー の寿命時間をワイブルプロットしてワイブ 係数を求めた。寿命時間のワイブル係数は5. 0と良好な値を示した。

(実施例2~10)
 実施例1と同一の窒化珪素粉末に対して、表 1に示す焼結体組成となるように焼結助剤粉 等を添加した後、実施例1と同様に粉砕・混 して各原料混合粉末を調製した。原料混合 末の粒径範囲はそれぞれ表1に示す通りであ る。

 各原料混合粉末に有機バインダを所定量 加して混合した後にCIP法で成形した。得ら た各成形体を空気気流中で脱脂した後、実 例1と同一温度で常圧焼結した。さらに、各 焼結体に対して実施例1と同様なHIP処理を施 ことによって、目的とする窒化珪素焼結体 それぞれ得た。各窒化珪素焼結体の特性を 施例1と同様にして測定した。それらの結果 表2および表3に示す。

(比較例1~3)
 各原料粉末の混合条件とHIP圧力を変更する 外は、実施例1と同様にして窒化珪素焼結体 を作製した。各原料粉末の混合にはボールミ ルを使用した。各窒化珪素焼結体の特性を実 施例1と同様にして測定した。それらの結果 表2および表3に示す。

 表2および表3から明らかなように、各実 例による窒化珪素焼結体はいずれも緻密性 高く、ボイドのサイズと量が低減されてい ことが分かる。さらに、抗折強度およびそ 再現性に優れている。それらの結果として 各実施例による窒化珪素焼結体を用いたベ リングボールは転がり寿命に優れ、そのバ ツキも小さいことが分かる。従って、信頼 および耐久性に優れるベアリングボールを 供することができる。これら各ベアリング ールを用いてそれぞれベアリングを組立て 電子機器用のスピンドルモータに組み込ん 実機試験を行ったところ、回転軸の高速回 の耐久性に優れることが実証された。

(実施例11~20、比較例4~8)
 実施例1と同一の窒化珪素粉末に対して、表 4に示す焼結体組成となるように焼結助剤粉 等を添加した後、粉砕・混合して各原料混 粉末を調製した。実施例11~20については実施 例1と同様に、ビーズミルを用いて原料混合 末を調製した。比較例4~8については、ボー ミルを用いて原料混合粉末を調製した。ビ ズミルおよびボールミルによる混合時間は 5に示す通りである。このようにして調製し 各原料混合粉末の粒径を測定した。その結 を表4に示す。実施例および比較例の原料混 合粉末はいずれも平均粒径(D50)が0.6μm程度で ったが、比較例は粒径が1.0μmを超えて1.5μm 下の粒子を20%(質量比)程度含んでいた。

 各原料混合粉末に有機バインダを所定量 加して混合した後、CIP法を適用して成形体 それぞれ作製した。得られた各成形体を空 気流中で脱脂した後、それぞれ表5に示す条 件下で常圧焼結した。さらに、各焼結体に対 して表5に示す圧力でHIP処理を施した。HIP処 の温度および時間は実施例1と同様とした。 のようにして、目的とする窒化珪素焼結体 それぞれ作製した。各窒化珪素焼結体の特 を実施例1と同様にして測定した。それらの 結果を表6および表7に示す。

 表6および表7から明らかなように、各実 例による窒化珪素焼結体はいずれも緻密性 高く、ボイドのサイズと量が低減されてい ことが分かる。さらに、抗折強度およびそ 再現性に優れている。それらの結果として 各実施例による窒化珪素焼結体を用いたベ リングボールは転がり寿命に優れ、そのバ ツキも小さいことが分かる。従って、信頼 および耐久性に優れるベアリングボールを 供することができる。これら各ベアリング ールを用いてそれぞれベアリングを組立て 電子機器用のスピンドルモータに組み込ん 実機試験を行ったところ、回転軸の高速回 の耐久性に優れることが実証された。

(実施例21~28、比較例9~14)
 実施例1と同一組成となるように、窒化珪素 粉末に焼結助剤粉末等を添加した後、実施例 1と同様にビーズミルを用いて粉砕・混合し 各原料混合粉末を調製した。ただし、ビー ミルによる混合時間は、それぞれ表8に示す 間を適用した。実施例および比較例による 原料混合粉末の粒径範囲は表8に示す通りで ある。

 各原料混合粉末に有機バインダを所定量 加して混合した後、CIP法を適用して成形体 それぞれ作製した。得られた各成形体を空 気流中で脱脂した後、それぞれ表8に示す条 件下で常圧焼結(一次焼結)した。さらに、各 結体に対して表8に示す条件下でHIP処理(二 焼結)を施した。HIP圧力は100MPaとした。この うにして、目的とする窒化珪素焼結体をそ ぞれ作製した。各窒化珪素焼結体の特性を 施例1と同様にして測定した。それらの結果 を表9に示す。

 表9から明らかなように、ビーズミルによ る混合時間を粉末10kg当たり1~5時間の範囲と た原料混合粉末は粒径範囲が微細側で安定 ており、その結果として窒化珪素焼結体の 構造の制御性に優れている。これに対し、 ーズミルによる混合時間が不十分な比較例9~ 11は原料混合粉末中に比較的大きな粒子が混 するため、長径Lが10μm以下でアスペクト比 5以上の針状結晶粒子の比率が低下している 。一次焼結時間が長すぎる比較例12では過剰 粒成長するため、長径Lが10μmを超える針状 晶粒子の比率が増加している。一次焼結温 が高すぎる比較例13でも過剰に粒成長し、 径Lが10μmを超える針状結晶粒子の比率が増 している。一次焼結時間が短すぎる比較例14 では焼結が不十分となり、その結果として粒 成長が不足してボイドが増加している。

 本発明の態様に係る窒化珪素焼結体は、 化珪素粒子の形状を制御することによって 動特性の再現性を高めている。従って、耐 性や信頼性に優れる窒化珪素焼結体、さら 窒化珪素焼結体からなる摺動部材を再現性 く提供することが可能となる。