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Title:
SPIROOXAZINE RADICAL DERIVATIVES AND REVERSIBLE ISOMERIZATION REACTION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/081460
Kind Code:
A1
Abstract:
Spirooxazine radical derivatives represented by the general formula (1) which exhibit chromism characteristics enabling the distinction between the radical species and the cation species on the basis of absorption wavelength: wherein X1 is chalcogen, alkylidene, or cycloalkylidene; X2 is chalcogen; R1 to R11 are each independently hydrogen, alkyl of 1 to 4 carbon atoms, alkoxy, aryl, halogenated alkyl, cyano, amino, nitro, or halo, or any two of R1 to R11 which are bonded respectively to carbon atoms adjacent to each other may be united to form an optionally substituted aromatic or heterocyclic ring; and n is 0 or 1.

Inventors:
SAWADA ATSUMASA (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/074542
Publication Date:
July 02, 2009
Filing Date:
December 20, 2007
Export Citation:
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Assignee:
NEC CORP (JP)
SAWADA ATSUMASA (JP)
International Classes:
C07D498/20; C07D498/10; C07D498/22; C07D513/10; C07D517/10; C09B57/00; C09K9/02; H01M4/60
Foreign References:
JPH02101080A1990-04-12
JP2005535692A2005-11-24
JP2001139569A2001-05-22
JP2000256662A2000-09-19
JPH06161022A1994-06-07
JP2005209498A2005-08-04
Other References:
LI, XIAOLIU ET AL.: "Synthesis of functionalized spiropyran and spirooxazine derivatives and their photochromic properties", JOURNAL OF PHOTOCHEMISTRY AND PHOTOBIOLOGY, A: CHEMISTRY, vol. 161, no. 2-3, 2004, pages 201 - 213
Attorney, Agent or Firm:
MIYAZAKI, Teruo et al. (16th Kowa Bldg.9-20, Akasaka 1-chom, Minato-ku Tokyo 52, JP)
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Claims:
 下記一般式(1)のスピロオキサジンラジカル誘導体。
 式中、
 X 1 は、カルコゲン元素、アルキリデン基あるいはシクロアルキリデン基であり、
 X 2 は、カルコゲン元素であり、
 R 1 ~R 11 は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、アルコキシ基、アリール基、ハロゲン化アルキル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基又はハロゲン原子であり、又は、隣り合う炭素原子にあるR 1 ~R 11 は、互いに結合して、置換基を有することのある、芳香環あるいは複素環を形成していてもよく、
 nは0又は1である。
 一般式(1)において、nが0である、請求項1記載のスピロオキサジンラジカル誘導体。
 一般式(1)において、nが1である、請求項1記載のスピロオキサジンラジカル誘導体。
 下記反応式Iに示す、スピロオキサジンラジカル誘導体の一般式(1)スピロ型構造体と一般式(2)の開環体との可逆的異性化反応。
 式中のX 1 、X 2 、R 1 ~R 11 及びnは、請求項1で示したと同じである。
 反応式Iにおいて、nが0である、請求項4記載の可逆的異性化反応。
 反応式Iにおいて、nが1である、請求項4記載の可逆的異性化反応。
Description:
スピロオキサジンラジカル誘導 及び可逆的異性化反応

 本発明は、光エネルギーや電気エネルギ を与えることにより、可逆的な着脱色に伴 、ラジカル種が生成又は消失するクロミッ 性質を有するスピロオキサジンラジカル誘 体及び該スピロオキサジンラジカル誘導体 可逆的異性化反応に関する。

 ラジカル化合物は、高活性状態であるこ から、古くより様々な用途への応用が試み れてきた。例えば、高分子化合物の合成に ける重合開始剤として使われるラジカル開 剤が示される。

 しかし、多くのラジカル化合物は不安定 あり、短時間でラジカル状態を消失させて まう。

 そのような中で、ニトロキシラジカル(> ;N-O・)は比較的安定してラジカル状態を保っ いることができることが知られており、例 ば、ニトロキシラジカルを分子内に備えた 合物、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピ リジン-1-オキシル(TEMPOL)は、電子スピン共鳴 分析(ESR)に用いられるスピンラベル剤として 用されている。さらに、この化合物は、医 用途への応用も検討され、放射線がん治療 使われる防護剤として有望視されている(例 えば、S. M. Halm, etc., "Evaluation of TEMPOL radi oprotection in murine tumor model", Free Rad. Biol.  Med., 22, 1211-1216(1997) 参照)。

 さらに、近年のエレクトロニクスの目覚 い発展の中で開発された、高速な充放電が 待されている非水電解液二次電池に使われ 有機ラジカルポリマーがある(例えば、特開 2005-209498号公報参照)。

 この有機ラジカルポリマーは、二次電池 活物質として機能し、電気化学的に可逆的 酸化還元反応が可能である。この酸化還元 応は、ニトロキシラジカル種とニトロソニ ム種の間を、外部からの可逆的な電子の授 により制御され、ニトロソニウム種(カチオ ン種)が生成した際に、対アニオン種として 子が放出され、電流が発生する。

 クロミック化合物は、単一化合物にて異 る2つの化学種を有し、各々の化学種が異な る光吸収波長を持ち、それぞれの化学種の間 を外的な因子、例えば、光、電気、熱などに より、可逆的な構造異性化反応を起こす機能 を有する。

 クロミック化合物には、スピロピラン化 物、スピロオキサジン化合物などの多くの 合物が知られている(例えば、日本化学会編 、季刊化学総説、No.28「有機フォトクロミズ の化学」、P70-88(1996)参照)。それぞれの化合 物は合成自由度の高い有機化合物であり、各 化合物群から得られる誘導体は、個々に異な る特性を付与できることも知られている。

 例えば、スピロピラン化合物は、ピラン 内に発色団として機能する炭素-炭素二重結 合部(-C=C-)があり、この結合部位は一重項酸 による自動酸化反応が発生しやすい構造で るため、可逆的異性化の耐久性を保持する 間が短いと言われている。

 また、スピロオキサジン化合物は、スピ ピラン化合物のピラン環をオキサジン環に き換えた構造であり、スピロピラン化合物 ピラン環と同様に、オキサジン環上の発色 である炭素-窒素二重結合部(-C=N-)が一重項 素の攻撃を受ける。しかし、炭素-窒素二重 合は、炭素-炭素二重結合に比べて、一重項 酸素の結合が困難であるとされていることか ら、自動酸化劣化が発生し難くなり、可逆的 異性化の耐久性が向上する。したがって、繰 り返し耐久性の高いクロミズム特性を示すス ピロ化合物にあっては、スピロオキサジン化 合物が好ましく、例えば、フォトクロレンズ 用機能性色素として応用されている。

 さらに、従来のスピロオキサジン化合物 、スピロ環のうちの一方を形成するインド ン環、チオリン環、セレナゾリン環などの 素環内の窒素に、ヒドロキシル基、アルキ 基、アリール基、アラルキル基、アルコキ アルキル基、アルキルカルボニル基、アル キシカルボニルアルキル基などの安定置換 を導入したものが知られている(例えば、日 本化学会編、季刊化学総説、No.28「有機フォ クロミズムの化学」、P70-88(1996)、特開2000-02 6469号公報参照)が、不安定化学種であるラジ ルを有する基を直接導入したものは知られ いない。

 また、安定な有機ラジカル化合物として ニトロキシラジカル基を有する複素環化合 があり、上記したTEMPOLに加え、例えば、5,5- ジメチル-1-ピロリン-N-オキシドのスピンアダ クト、3-カルバモイル-2,2,5,5-テトラメチルピ リジン-1-オキシル、4-カルバモイル-2,2,6,6- トラメチルピペリジン-1-オキシル、4-メタク リロイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジ ン-1-オキシルなどが知られている。

 これら安定ニトロキシラジカル基をもつ 素環化合物は、異なる印加電位を与えると ニトロキシラジカルとニトロソニウムイオ 間を可逆的に変化する。つまり、可逆的な 化還元反応を示して、電子の授受が発生す 。しかし、ニトロキシラジカルのような安 ラジカル基をもつ有機ラジカル化合物の酸 還元反応の可逆的な状態変化は、酸化還元 位の直接測定を行う以外に方法がなかった

 そこで、本発明の課題は、酸化還元反応 発生に寄与する安定ラジカル基と、クロミ ム特性に寄与する発色団を合わせ持ち、有 ラジカル化合物の酸化還元反応を異なる波 光を与えることで制御すると共に、光異性 に伴う吸収スペクトル変化、又は可視域に 収のある場合は色変化も誘起させることが 能である、ラジカル種とカチオン種の発生 態を吸収波長の違いで識別できるクロミズ 特性を示す新規なスピロオキサジンラジカ 誘導体を提供することにある。

 本発明者は、上記課題の解決のために、 ロミズム特性を示すスピロオキサジン化合 のオキサジン環に対してスピロ環を形成し いる、ピロリジン環、ピペリジン環、オキ ゾリジン環、オキサジン環、チアゾリジン 、チアジン環、セレナゾリジン環、セレナ ン環などの環内に、安定なラジカル種であ ニトロキシラジカル部位(>N-O・)をもたせ こと、つまり、スピロ炭素に隣接する窒素 子に、酸素ラジカルを導入することで、目 が解決されることを見出し、ついに本発明 至った。

 すなわち、本発明は、下記一般式(1)のス ロオキサジンラジカル誘導体である。

 式中、
 X 1 は、カルコゲン元素、アルキリデン基あるい はシクロアルキリデン基であり、
 X 2 は、カルコゲン元素であり、
 R 1 ~R 11 は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~4の アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ハ ロゲン化アルキル基、シアノ基、アミノ基、 ニトロ基又はハロゲン原子であり、又は、隣 り合う炭素原子にあるR 1 ~R 11 は、互いに結合して、置換基を有することの ある、芳香環あるいは複素環を形成していて もよく、
 nは0又は1である。

 また、本発明は、下記反応式Iに示す、ス ピロオキサジンラジカル誘導体の一般式(1)の スピロ型構造体と一般式(2)の開環体との可逆 的異性化反応である。

 式中のX 1 、X 2 、R 1 ~R 11 及びnは、上記で示したと同じである。

発明を実施するために最良の形態

 本発明は、上記一般式(1)で表される、5又 は6員複素環とオキサジン系複素環がスピロ 造をし、5又は6員複素環中のスピロ炭素に隣 る窒素原子に酸素ラジカルが結合した、すな わちニトロキシラジカルとなった、スピロオ キサジンラジカル誘導体である。

 上記一般式(1)中のX 1 は、カルコゲン元素、アルキリデン基あるい はシクロアルキリデン基である。なお、カル コゲン元素としては、酸素原子、硫黄原子、 セレン原子などを挙げることができる。また 、ここで、アルキリデン基の2つのアルキル は、互いに同じであっても異なっていても わない。

 なお、X 1 がカルコゲン元素であるときは、ニトロキシ ラジカルの安定に寄与するので、酸素原子が 一番好ましく、硫黄原子、セレン原子の順で ある。また、アルキリデン基のときは、アル キリデン基を構成する2つのアルキル基はそ ぞれ独立に炭素数1~5個のものが好ましく、 トロキシラジカルの安定には、1~3個ものが ましい。具体的には、メチル基、エチル基 プロピル基、イソプロピル基などである。 様に、シクロアルキリデン基であるときは 素数5~7であることが好ましい。

 X 2 は、カルコゲン元素、例えば、酸素原子、硫 黄原子、セレン原子などであり、ニトロキシ ラジカルがより安定するので、原子量の小さ い酸素原子が好ましい。なお、X 2 が酸素原子であるときは、該6員環がオキサ ン環であるが、本明細書中では、X 2 が酸素原子以外のカルコゲン元素であるとき も簡便のためにオキサジン環という。

 R 1 ~R 11 は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基 、アルコキシ基、アリール基、ハロゲン化ア ルキル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基又 はハロゲン基であり、また、隣り合う炭素に あるR 1 ~R 11 は、該炭素原子と共に、置換基を有しても良 い、芳香環あるいは複素環を形成していても よい。なお、R 1 ~R 11 はアルキル基であるときは、炭素数1から4ま が好ましく、特に、R 1 、R 2 及びR 5 はメチル基であることが、ニトロキシラジカ ルの安定のために好ましい。

 また、R 1 ~R 11 は、隣り合う炭素原子にあるもの同士が結合 して、該炭素原子と共に、例えば、ベンゼン 環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナ ントレン環等の芳香環や、例えば、ピリジン 環、ピリミジン環、イソキノリン環、キナゾ リン環、アクリジン環、ベンゾアクリジン環 等の複素環を形成することがある。さらに、 これら芳香環あるいは複素環は、アルキル基 、アルコキシ基、アミノ基等の電子供与性基 やニトロ基、シアノ基、ハロゲン化アルキル 基、アルキルカルボニル基、アルキルエステ ル基、ハロゲン基等の電子吸引性基などの置 換基が置換されていても良い。

 すなわち、nが0のとき、隣り合う炭素原子 あるR 1 、R 2 、R 3 及びR 4 と当該炭素原子との間で芳香環又は複素環を 形成しても良いことを、また、nが1のときは 隣り合う炭素原子にあるR 1 、R 2 、R 10 及びR 11 の組合せあるいはR 10 、R 11 、R 3 及びR 4 の組合せで、芳香環又は複素環を形成しても 良いことを意味する。なお、環の形成が複素 環である場合、これらの組合せにおいて、当 該炭素原子間が2重結合又は共役系である時 複素芳香環では、4つの基はすべて結合に関 する。しかし、当該炭素原子から形成され 環が両方とも飽和結合であったり、一方の が不飽和結合であったりした時、複素環の 成ではこれら4つの基は環を形成する基と環 の形成に関与しない基が1個又は2個ある。し がって、このことも上記には含んでいる。

 また、オキサジン環に結合するベンゼン環 あるR 6 ~R 9 は、隣り合うもの同士で該ベンゼン環にさら にベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン 環、フェナントレン環等の芳香環や、ピリジ ン環、ピリミジン環、イソキノリン環、キナ ゾリン環、アクリジン環、ベンゾアクリジン 環等の複素環が形成されていても良いことを 意味する。

 なお、上記において、ニトロキシラジカ の安定には、芳香環や複素環を含まない構 が好ましいが、芳香環を導入する場合はも とも小さいベンゼン環が好ましく、次いで フタレン環、アントラセン環、フェナント ン環の順である。複素環を導入する場合も 芳香環と同じく、もっとも小さいピリジン が好ましく、次いでピリミジン環、イソキ リン環、キナゾリン環、アクリジン環、ベ ゾアクリジン環の順である。

 また、芳香環や複素環はアルキル基、ア コキシ基、アミノ基等の電子供与性基やニ ロ基、シアノ基、ハロゲン化アルキル基、 ルキルカルボニル基、アルキルエステル基 ハロゲン基等の電子吸引性基などの置換基 置換されていてもよい。なお、電子供与性 と電子吸引性基は助色団としての機能があ ので、電子供与性基の導入により光吸収波 を長波長側に移動でき、電子吸引性基の導 により光吸収波長を短波長側に移動できる

 なお、一般式(1)において、nは0又は1であ 。

 本発明のスピロオキサジンラジカル誘導体 前駆体は、プロトン核磁気共鳴分析( 1 H-NMR)、カーボン核磁気共鳴分析( 13 C-NMR)、赤外分光分析(FT-IR)、元素分析等にて 構造確認が行なえる。また、本発明のスピ オキサジンラジカル誘導体自体は、電子ス ン共鳴分析(ESR)にて、確認できる。

 本発明のスピロオキサジンラジカル誘導 は、その合成方法については特に限定され ことはないが、合成ステップ数の少ない簡 な合成経路として以下に示す方法を示すこ ができる。

 下記一般式(3)で示される化合物Aと下記一 般式(4)で示される化合物Bを、メタノール、 タノール、トルエン、テトラヒドロフラン N,N-ジメチルホルムアミドなどの溶媒存在中 、窒素、アルゴンなどの不活性気体雰囲気 に、還流しながら反応を進行させる。

 式(3)及び式(4)中のX 1 、X 2 、R 1 ~R 11 及びnは、上記で示したと同じである。

 化合物Aと化合物Bの反応割合は、求める 率にもよるが、1モル対3モルから3モル対1モ の範囲が好ましい。ここで得られる反応生 物は、下記一般式(5)に示す化合物C(中間合 物)となる。

 式(5)中のX 1 、X 2 、R 1 ~R 11 及びnは、上記で示したと同じである。

 続いて、化合物Cに、異常過熱しないよう に過酸化水素を滴下しながら加え、第二アミ ン部を酸化してヒドロキシルアミン化し、本 発明のスピロオキサジンラジカル誘導体の前 駆体である下記一般式(6)に示す化合物D(中間 成物)を得る。

 式(6)中のX 1 、X 2 、R 1 ~R 11 及びnは、上記で示したと同じである。

 最後に、化合物Dを十分に脱水した有機溶 媒、例えば、エーテル、クロロホルム、酢酸 エチル、ヘキサン、アセトニトリルなどに溶 解し、氷冷にて酸化銀を加えて十分に攪拌す る。副生成物として得られる水を、無水硫酸 ナトリウムを加えることで脱水除去する。ろ 過により固形残渣を除去し、ろ液をロータリ ーエバポレーターなどで減圧濃縮する。この とき、完全に溶媒を除去することなく、残留 物の2倍から3倍の溶媒を残す。残分をエタノ ルとドライアイス混合物などにより低温冷 し、本発明のスピロオキサジンラジカル誘 体Eを得る。

 本発明のスピロオキサジンラジカル誘導 は、塩化メチレン、クロロホロルム、ヘキ ン、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド、 テトラヒドロフランなどの有機溶媒に溶解し 、下記の反応式Iに示すような可逆変化を誘 させるべく、400nm~750nmの可視光域又は250nm~400 nmの紫外光域の光により、可逆的な光吸収ス クトル変化を誘起する。状態変化の確認は 紫外可視分光光度計により、2つの異なる吸 収ピークの吸光度変化により、可逆的状態変 化を知ることができ、特に可視域に吸収があ る場合は、可逆的色変化として、着色状態と 無色状態の間の変化を視認できる。2つの状 変化の可逆的なラジカルの発生と消失は、 子スピン共鳴分析(ESR)にて知ることができる 。さらに、本発明のスピロオキサジンラジカ ル誘導体について、サイクリックボルタンメ トリー(CV)測定をすることで、可逆的な酸化 元反応に伴う電位変化を知ることができる

 上記反応式I中のX 1 、X 2 、R 1 ~R 11 及びnは、上記で示したと同じである。

 なお、反応式Iでは、完全に電子が離れたカ チオン種構造を示した。しかし、X 1 、X 2 、R 1 ~R 11 及びnの組み合わせにもよるが、この中間に カチオン種と電子が対をなした構造や一般 (2)の開環体において電子が離れる前の状態 あるラジカル様構造もありうる。

 本発明のスピロオキサジンラジカル誘導 は、反応式Iに示したような酸化還元反応を 利用して、例えば、二次電池等の各種用途に 利用可能である。

 本発明の実施例を以下に示す。ただし、 示内容に限定されるものではない。

[実施例1]
 化合物Aとして下記式(7)にて示される2-メチ ン-3,3,5,5-テトラメチルピロリジン3mmol(417mg) 化合物Bとして2-ニトロソフェノール3mmol(369m g)を脱水メタノール溶媒40mlに溶解し、3時間 熱還流した後、溶媒を減圧留去した。得ら た残留反応物をシリカゲルカラムで展開分 し(展開溶媒:酢酸エチル/ノルマルヘキサン 合溶媒)、下記式(8)で示される化合物(C-1)の 液を得た。得られた溶液から溶媒を減圧留 して十分に除去し、精製された化合物(C-1)が 得られた。

 続いて、化合物(C-1)0.61mmol(150mg)を脱水エ テル中にて、異常発熱しないように、ゆっ りと過酸化水素水を過剰量滴下し、下記式(9 )で示される化合物(D-1)を得た。

 化合物(D-1)0.50mmol(130mg)を脱水エーテル30ml に加え、氷冷にて酸化銀(I)0.50mmol(116mg)を加 て十分に攪拌した。無水硫酸ナトリウムを えて、吸引濾過した。得られた濾液をロー リーエバポレーターにより、2分の1の体積 で減圧濃縮した。残分をエタノールとドラ アイス混合物などにより低温冷却(-78℃)し、 下記式(10)で示されるスピロオキサジンラジ ル誘導体(E-1)を得た。

 なお、スピロオキサジンラジカル誘導体(E-1 )のラジカルの発生は電子スピン共鳴分析(ESR) により確認できた。上記の反応原料、中間合 成物及びスピロオキサジンラジカル誘導体の 構造を第1表(表1~3)に示した。また、中間合成 物(C-1)、(D-1)の 1 H-NMRの測定結果(溶媒:CDCl 3 、基準:TMS)と元素分析結果を第2表(表4、5)に す。

[実施例2~15]
 実施例1と同様にして、表1に示す原料を用 、表1に示す各種スピロオキサジンラジカル 導体を製造した。これら実施例での中間合 物の構造を第1表(表1~3)に、また、中間合成 の 1 H-NMRの測定結果(溶媒:CDCl 3 、基準:TMS)と元素分析結果を第2表(表4、5)に す。

 

 上記により得られたスピロオキサジンラ カル誘導体を、クロロホルムに溶解し、紫 光や可視光を照射したところ、紫外可視分 光度計により、2つの異なる吸収ピークが観 測され、一方の吸収ピークの増加減衰変化に 対応して、他方の吸収ピークの減衰増加変化 が確認できると共に、400nm~800nmの可視域にス クトル吸収が観測されるものにあっては、 色と消色が可逆的に変化することを目測確 できた。

産業上の利用分野

 本発明のスピロオキサジンラジカル誘導 は、有機溶媒やポリマー中に溶解し、紫外 や可視光が照射されると、それぞれの波長 において、2つの異なる吸収ピークをもつ光 吸収スペクトルが可逆的に変化し、特に可視 域にスペクトル吸収がある場合は、着色と退 色の可逆変化があり、これら可逆変化に伴い 、酸化還元電位変化を生じ、それぞれの波長 光における化学種の状態に応じた電子の授受 が発生するので、この性質を用いて、各種用 途に使用可能である。