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Patent Searching and Data


Title:
STRING AND HAT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2020/175646
Kind Code:
A1
Abstract:
[Problem] To provide a string which has excellent rigidity and shape stability while suppressing the distinct glossiness that occurs when using monofilaments. [Solution] This string is manufactured by covering, with textured yarn, the periphery of a synthetic fiber monofilament A satisfying (1) to (3) below, and/or a monofilament B satisfying (1) below, and using covering yarn satisfying (4) and (5) below. This string is preferably used in a hat. (1) A fineness of 150-3000 dtex (2) A maximum reflection intensity of 50 or less, at a light receiving angle of 0-80° (3) A ratio of maximum reflection intensity to minimum reflection intensity (maximum reflection intensity/minimum reflection intensity) of 2.8 or less (4) A fineness of the textured yarn of 50 dtex or greater (5) A ratio of maximum reflection intensity to minimum reflection intensity (maximum reflection intensity/minimum reflection intensity) of the covering yarn of 2.8 or less

Inventors:
KISHITA FUMIYA (JP)
MINE SHINGO (JP)
Application Number:
PCT/JP2020/008153
Publication Date:
September 03, 2020
Filing Date:
February 27, 2020
Export Citation:
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Assignee:
TORAY INDUSTRIES (JP)
International Classes:
D04C1/02; A42C1/00; D04C1/06
Foreign References:
JPH08158218A1996-06-18
JP2018071017A2018-05-10
JP2009235591A2009-10-15
JP2005226169A2005-08-25
JP2009301880A2009-12-24
JP2005015960A2005-01-20
JP2000017553A2000-01-18
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Claims:
\¥02020/175646 25 卩(:17 2020/008153

請求の範囲

[請求項 1] 下記 (1) 〜 (3) を満たす合成繊維モノフィラメント八、 および

/または下記 (1) を満たすモノフィラメント巳の周囲を加工糸で被 覆し、 下記 (4) 〜 (5) を満たすカバリングヤーンを用いて製紐し てなる紐。

( 1) 繊度 1 50 6 X以上 3000 6 X以下

(2) 受光角〇〜 80° の最大反射強度が 50以下

(3) 最小反射強度に対する最大反射強度の比 (最大反射強度/最 小反射強度) が 2. 8以下

(4) 加工糸の繊度は 50 ¢1 I 6 X以上である。

(5) カバリングヤーンの最小反射強度に対する最大反射強度の比 (最大反射強度/最小反射強度) が 2. 8以下

[請求項 2] 合成繊維モノフィラメント が下記 ( 6) を満たす請求項 1記載の 紐。

(6) 光沢度が受光角 0° の時、 反射強度が 20以下

[請求項 3] 前記合成繊維モノフィラメント八が酸化チタンを〇. 01〜 1 0重 量%、 シリカを〇. 01〜 1 0重量%含むモノフィラメントをアルカ リ減量加工したものである請求項 1 または 2記載の紐。

[請求項 4] 合成繊維モノフィラメント八が下記 ( 7) 〜 ( 8) を満たす請求項

1〜 3のいずれか記載の紐。

(7) 曲げ剛性の巳値が〇. 002 (N c m2/y a r n) 以 上、

(8) 曲げヒステリシス 21~1巳値が〇. 003

门) 以下

[請求項 5] 前記合成繊維モノフィラメント および/または前記モノフィラメン 卜巳の含有率が 3〜 60重量%である請求項 1〜 4のいずれか記載の 紐。

[請求項 6] 少なくとも前記合成繊維モノフィラメント八および/または前記加 \¥02020/175646 26 卩(:171?2020/008153 エ糸は染色されている請求項 1〜 5のいずれか記載の紐。

[請求項 7] 前記合成繊維モノフイラメント および/または前記カバリングヤ

—ンは、 マルチフイラメントが隣接した状態で組まれている請求項 1 〜 6のいずれか記載の紐。

[請求項 8] 紐が芯糸に対し組糸が組まれ、 芯糸は紡績糸を含み、 組糸は合成繊 維モノフイラメント八および/または前記カバリングヤーンを含む請 求項 1〜 7のいずれか記載の紐。

[請求項 9] 前記紡績糸は、 ポリエステル繊維、 ポリアミ ド繊維、 アクリル繊維

、 綿およびウールから選択される 1種以上を含む紡績糸である請求項 8記載の紐。

[請求項 10] 前記紡績糸は繊度が綿番手で 4〜 5〇番である請求項 8または 9記 載の紐。

[請求項 1 1 ] 前記マルチフイラメントが長手方向に染着差を有している請求項 7

〜 1 0のいずれか記載の紐。

[請求項 12] 用途が帽子である請求項 1〜 1 1のいずれか記載の紐。

[請求項 13] 請求項 1〜 1 1のいずれか記載の紐で構成される帽子。

Description:
\¥02020/175646 1 卩(:17 2020/008153

明 細 書

発明の名称 : 紐および帽子

技術分野

[0001 ] 本発明は、 紐および帽子に関する。

背景技術

[0002] 従来、 麻、 ケンマソウ、 麦わらやラフィアなどの天然繊維、 抄紙繊維を使 用した紐は外観に優れたものであり、 帽子をはじめ、 バッグや籠、 家具、 シ —卜など、 多用途で使用されている。

[0003] 特に、 紐を用いて作られる帽子は通気性に優れ、 夏場の帽子として広く普 及している。

[0004] しかしながら麦わらなどの天然繊維では肌ざ わり、 洗濯耐久性に課題があ り、 また近年、 麦わら帽子は麦わら等の天然草の材料入手が 難しくなり、 麻 の紐や抄繊糸の紐が多くを占めている。 麻の紐は麻繊維を束ねたものを原糸 とし、 製紐機にて平打ちで組んだものである。 しかし、 麻の曲げ硬さは天然 繊維の中では強いが、 麦わら帽子形状を保つ為には十分ではない。 その為、 帽子状に縫製する際の安定性と帽子の形態保 持、 収納後の形態回復性に課題 があった。

[0005] また、 麻などの天然繊維では洗濯耐久性に乏しいな ど日用使いが難しいと いう問題もあった。

[0006] 上記抄繊糸の製紐を使用したベーパーハッ ト等も多く販売されているが、 抄繊糸を使用した製紐は軽量感に欠け、 洗濯後の保形性も樹脂コーティング が剥がれ低下することがあった。

[0007] 上記形状保持の課題を解決するため、 全長に渡って形状保持モノフィラメ ントが含まれた紐 (ブレード) が提案されている。 (例えば、 特許文献 1参 照)

また、 麻繊維に腰の強い化学繊維のモノフィラメン トを含ませた紐 (ブレ —ド) を成形したものがある。 (例えば、 特許文献 2参照) \¥02020/175646 2 卩(:17 2020/008153

先行技術文献

特許文献

[0008] 特許文献 1 :特開 2 0 0 5 _ 1 5 9 6 0号公報

特許文献 2 :特開 2 0 0 0 - 1 7 5 5 3号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0009] 特許文献 1、 2に開示されるように、 天然繊維のみで構成された紐に比べ 、 モノフィラメントを含む紐は曲げ硬さが強く 、 保形性と形態回復性に優れ る。

[0010] 上記特許文献記載の紐においては、 曲げ剛性の強いポリエステルやポリプ ロピレン、 ナイロン 6等がモノフィラメントに使用されているが モノフィ ラメントには強い表面光沢があり、 紐に使用した際ギラつく為、 外観品位を 低下させていた。

[001 1 ] また、 麻繊維とモノフィラメントを撚り合わせたも のや、 麻繊維の周囲に モノフィラメントを巻き沿わせたものや、 モノフィラメントを芯にしてその 外周に麻の繊維を撚り合わせた方法等も記載 されているが、 この方法では光 沢感の低減には十分ではなく、 店頭照明など強い光源にさらされた際、 部分 的にギラツキが発生し、 表面品位が不均一で天然繊維感に乏しいとい った問 題があった。 (例えば、 特許文献 2参照)

抄繊糸を使用した紐は糸の剛性は強いものの 、 吸水性がある為水分に弱い 。 洗濯耐久性のあるものは表面に撥水剤等の樹 脂剤をコーティングしている 為、 軽量感が損なわれるといった問題があった。 また、 曲げ回復性に弱く、 一度収納してしまうと形態が回復せず、 外観品位を低下させる問題があった

[0012] この様にいずれの提案も剛性の向上を取り上 げただけのものであって、 “ ギラツキ” 、 “光沢” を改善しようという試みまで具体的に踏み込 んだもの ではなかった。 \¥02020/175646 3 卩(:171?2020/008153

[0013] そこで本発明は、 モノフィラメントを使用する際に生じる独特 の光沢感を 抑えつつ、 剛性、 形態安定性に優れた紐および帽子を提供する ことを課題と する。

課題を解決するための手段

[0014] 本発明は、 前述の課題を解決達成するために、 以下の構成を有する。

[0015] 下記 (1) 〜 (3) を満たす合成繊維モノフィラメント八、 および/ま たは下記 (1) を満たすモノフィラメント巳の周囲を加工糸 で被覆し、 下記

(4) 〜 (5) を満たすカバリングヤーンを用いて製紐して なる紐。

( 1) 繊度 1 5 0 6 X以上 3 0 0 0 6 X以下

(2) 受光角〇〜 8 0 ° の最大反射強度が 5 0以下

(3) 最小反射強度に対する最大反射強度の比 (最大反射強度/最小反射強 度) が 2 . 8以下

(4) 加工糸の繊度は 5 0 ¢1 I 6 X以上である。

(5) カバリングヤーンの最小反射強度に対する最 大反射強度の比 (最大反 射強度/最小反射強度) が 2 . 8以下

合成繊維モノフィラメント が下記 (6) を満たす前記の紐。

(6) 光沢度が受光角 0 ° の時、 反射強度が 2 0以下

前記合成繊維モノフィラメント八が酸化チタ ンを〇. 0 1〜 1 0重量% 、 シリカを〇. 0 1〜 1 0重量%含むモノフィラメントをアルカリ減 加工 したものである前記の紐。

[0016] 合成繊維モノフィラメント八が下記 (7) 〜 (8) を満たす前記の紐。

(7) 曲げ剛性の巳値が〇. 0 0 2 以上、

(8) 曲げヒステリシス 2 1 ~ 1巳値が〇. 0 0 3 (1\1 〇 /ソ 3 「 n) 以下 -前記合成繊維モノフィラメント および/または前記モノフィラメント 巳の含有率が 3〜 6 0重量%である前記紐。

[0017] 少なくとも前記合成繊維モノフイラメント八 および/または前記加工糸 は染色されている前記紐。

[0018] 前記合成繊維モノフイラメント および/または前記カバリングヤーン \¥02020/175646 4 卩(:171?2020/008153

は、 マルチフィラメントが隣接した状態で組まれ ている前記紐。

[0019] 前記紐は芯糸に対し組糸が組まれ、 芯糸は紡績糸を含み、 組糸は合成繊 維モノフィラメント および/または前記カバリングヤーンを含む 記紐。

[0020] 前記紡績糸は、 ポリエステル繊維、 ポリアミ ド繊維、 アクリル繊維、 綿 およびウールから選択される 1種以上を含む紡績糸である前記紐。

[0021 ] 前記紡績糸は繊度が綿番手で 4〜 5〇番である前記紐。

[0022] 前記マルチフィラメントが長手方向に染着差 を有している前記紐。

[0023] 用途が帽子である前記紐。

[0024] 前記紐で構成される帽子。

発明の効果

[0025] 合成繊維からなる紐において、 合成繊維の紐の最大の欠点である “ギラツ キ” 欠点を改善し、 剛性、 形態安定性に優れた紐を得ることが可能であ る。

[0026] さらに合成繊維モノフィラメントにマルチフ ィラメント、 紡績糸等を併用 するなど 2種類以上の繊維を用いた場合、 相互の繊維が有する特徴と組み合 わせることで、 合成繊維製紐の最大の欠点である “ギラツキ” 欠点が特に改 善され、 形態安定性、 曲げ回復性に優れた紐を得られる。 さらに異染色差を 発現する加工糸を使用することで、 スパン調の優れた外観を付与することが 可能である。

図面の簡単な説明

[0027] [図 1 ]図 1は、 実施例 1で用いた合成繊維モノフィラメント の表面状態を示 す、 図面代用写真である。

発明を実施するための形態

[0028] 本発明の紐は、 特定の合成繊維モノフィラメント 、 および/またはモノ フィラメント巳の周囲を加工糸で被覆した特 定のカバリングヤーンを用いて 製紐してなる紐であり、 これによりモノフィラメントの表面光沢を低 減し、 従来から改善困難とされてきた “ギラツキ” を改善した紐が得られる。

[0029] 本発明の紐を構成する上で最も重要な手段は 、 ギラツキを低減したモノフ ィラメントおよび/またはカバリングヤーン 用いる点である。 \¥02020/175646 5 卩(:171?2020/008153

[0030] (合成繊維モノフィラメント八)

上記ギラツキを低減したモノフィラメントは 、 下記 (1) 〜 (3) を満た す合成繊維モノフィラメント八である。

( 1) 繊度 1 5 0 6 X以上 3 0 0 0 6 X以下であり、 2 0 0〜 1 0 であることが より好ましい。

(2) 受光角〇〜 8 0 ° の最大反射強度が 5 0以下であり、 4 0以下である ことが好ましく、 3 5以下であることがより好ましい。

(3) 最小反射強度に対する最大反射強度の比 (最大反射強度/最小反射強 度) が 2 . 8以下であり、 2 . 5以下であることが好ましく、 小さい方が紐 のギラツキの少なさの点から特に好ましい。

[0031 ] これにより合成繊維の紐の最大の欠点である “ギラツキ” 欠点を改善し、 剛性、 形態安定性に優れた紐を得ることが可能であ る。

[0032] 上記合成繊維モノフィラメント八は、 紐のギラツキの点から受光角〇〜 8

0 ° の最大反射強度を上記範囲とすることが好ま しい。

[0033] また、 光沢度が受光角 0 ° の時、 反射強度が 2 0以下であることが好まし く、 1 8以下であることが好ましい。

[0034] これにより、 モノフィラメントを用いて製紐しても、 太陽光や 照明 で照らされた際もギラつかず、 製紐の表面品位に優れるものとなる。

[0035] 特に光沢度が高すぎるものはギラツキが強く 、 製紐した際、 モノフィラメ ントの光沢感が目立ち、 製紐の外観品位を低下させる傾向にある。 このよう な光沢感は合成繊維の製紐として好ましくな い。 よって、 上記範囲の特性を 保有することが好ましい。

[0036] 本発明で用いる合成繊維モノフィラメント八 は、 曲げ剛性の巳値が 0 . 0

0 2 以上であることが好ましい。 これにより帽子 の保形性に優れる。 巳値が〇. 0 0 2 未満の場合で は製紐の剛性が低くなり、 帽子等の形状にした際、 ハリコシ感が足りず、 形 態安定性に乏しいものとなる。 また、 曲げ剛性巳値が 0 . 0 1 \¥02020/175646 6 卩(:171?2020/008153

V 3, ^ を超えるとモノフィラメントの繊度が大きく なり、 製紐の外観品 位を著しく低下させる傾向にある。 更に好ましくは曲げ剛性の巳値が 0 . 0 0 4〜〇. 0 0 6 のモノフィラメントである。

[0037] また、 本発明で用いる合成繊維フィラメント八は、 曲げヒステリシス 2 1 ~ 1 巳値が〇. 0 0 3 以下であることが好ましい。 下限 としては、 〇. 0 0 0 5 以上の範囲の特性を保有す ることが好ましく、 〇. 0 0 1 以上であることがよ り好ましい。 特に曲げヒステリシス 2 1 ~ 1巳値が〇. 0 0 1〜〇. 0 0 3 ( - 〇 ^/) / ^「 11) であるときに製紐の剛性に優れ、 帽子等の形状にした際 、 ハリコシ感に優れ、 形態安定性に優れる点で好ましい。

[0038] 本発明において合成繊維モノフィラメント としては、 上記範囲を満たす 限り特に制限はないが、 ポリエステル系繊維のモノフィラメントが好 ましい

[0039] 一般的にポリエステル系繊維を活用すること はインドローの仮撚り加工や 部分融着加工が容易にでき、 染色も分散染料を使用し、 多色展開ができる為 、 生産性に優れている点で有利である。 また、 糸加工としてチーズ染色機を 用い、 抗菌加工やリ Vカッ ト加工、 撥水加工などの各種吸尽加工を施すこと ができ、 商品展開に寄与し得る点でも好ましい。 さらに上記染色性、 加工性 の他、 コストダウンが可能で、 モノフィラメントの剛性とポリエステルの熱 セッ ト性の観点から洗濯によっても形状保持性に 優れる等の洗濯耐久性に優 れ、 または洗濯後の乾きも早いという乾燥性に優 れる点からも製紐に用いる 合成繊維モノフィラメント八がポリエステル 系繊維であることは商品展開に 非常に有利である。

[0040] 上記合成繊維モノフィラメント は、 表面に微細な凹凸を持たせることで ギラツキを抑制し、 光沢感を低減することができる。

[0041 ] 合成繊維モノフィラメント の表面に微細な凹凸表面を付与するには、 例 えば所望の凹凸表面を形成し得る粒子を添加 してモノフィラメントを紡糸し 、 その後、 減量処理を施して、 モノフィラメントの表層を溶かし、 粒子を脱 \¥02020/175646 7 卩(:171?2020/008153

落させる方法が挙げられる。 その際、 粒子とともに艶消し剤を併用すること で、 よりいっそうギラツキを抑制し、 光沢感を低減することが可能になる。

[0042] 上記粒子、 艶消し剤としては、 例えばシリカ、 酸化チタン、 酸化ケイ素、 アルミナ、 アルミナゾル、 炭酸カルシウム、 有機スルホン酸金属塩化化合物 、 硫酸塩、 ベンゼンスルホン酸ナトリウム、 ジカルボン酸マグネシウム、 リ ン酸一水素カリウム、 リン酸塩、 架橋ポリスチレン等が挙げられる。 特に粒 子としてシリカ (なかでもコロイダルシリカが好ましい) 、 艶消し剤として 酸化チタンを用いることが好ましい。 なお酸化チタンのような粒子状の艶消 し剤は、 艶消し剤としてのみでなく、 脱落して凹凸表面も形成し得る。 した がって、 上記艶消し剤を粒子と分けて議論することは 難しいので、 本発明に おいては、 これら艶消し剤や粒子は明確な区分けをしな い。 上記粒子、 艶消 し剤を 2種以上用いる場合、 繊維に対し、 艶消し性付与効果の高い方を艶消 し剤とし、 その他を粒子として扱う。 粒子および/または艶消し剤を含有せ しめて紡糸したモノフィラメントを製造した 後、 減量加工を行うことにより 、 表面に露出した粒子および/または艶消し剤 脱落させて凹凸を形成する ことで製造することができる。

[0043] 上記のような微細な凹凸を持つモノフィラメ ントであることは、 光が照射 された際、 凹凸で光が乱反射して光沢感を抑制し、 紐の “ギラツキ” を低減 することになる。

[0044] 合成繊維モノフィラメント において酸化チタン等の艶消し剤を合成繊維 モノフィラメントに対して〇. 0 1〜 1 0重量%含有することは、 色の明度 を低下させ、 深い色を再現するために好ましい。 より好ましくは、 0 . 0 1 〜 8 . 0重量%である。

[0045] また、 シリカ等の粒子の含有量を合成繊維モノフィ ラメント に対し〇.

0 1〜 1 0重量%とすることは、 減量加工し、 合成繊維モノフィラメント八 の表面に微細な凹凸を形成する点で好ましい 。 より好ましくは、 〇. 0 1〜 8 . 0重量%である。

[0046] なかでもギラツキの低減と高次加工性との兼 ね合いから酸化チタンを合成 \¥02020/175646 8 卩(:171?2020/008153

繊維モノフィラメント八 1 0 0重量%に対して、 〇. 0 1〜 1 0重量%、 シ リカを〇. 0 1〜 1 0 . 0重量%を含む合成繊維モノフィラメント八 する ことが好ましい。

[0047] ギラツキを低減したモノフィラメントを得る には紡糸時に上記酸化チタン 等の艶消し剤、 シリカ等の粒子をそれぞれ〇. 〇 1〜 1 〇重量%含有させ、 チーズ染色機等の染色機を用いて減量加工と 染色を施し、 製造することが極 めて有効である。

[0048] シリカ等の粒子の平均粒子径としては〇. 5〜 8 が望ましい。 例えば 乾式シリカ粒子の場合は、 電子顕微鏡から得た一次粒子経から数平均で 求め た値である。 コロイダルシリカの粒子径の場合は、 シリカ粒子を 2 0質量% 含有した、 十分に撹拌されたエチレングリコールスラリ ー中に存在する当該 粒子に光りを照射した際に発生する散乱光を ! !〇[¾ I 巳 製粒径分析装置 ( !_八_ 7 0 0) を用いて、 IV! 丨 6錯乱理論により解析し、 得られた数値であ る。 その他の粒子の測定は、 上記方法のうち、 より適した方法を選択して測 定し、 いずれの方法でも測定困難である場合は、 当業界で一般的に使用され る一次粒子の平均粒子径を求める方法で測定 して得られる数値とする。

[0049] 特に好ましくは上記において、 合成繊維モノフィラメント を構成する素 材として、 ポリエチレンテレフタレート ( 巳丁) を用い、 上記のようにし て粒子、 艶消し剤を含有させたポリエチレンテレフタ レートのモノフィラメ ントを製造し、 チーズ染色機を用い、 減量加工と染色を施すことにより、 ギ ラツキが低減された合成繊維モノフィラメン ト八を得る方法である。

[0050] モノフィラメントの減量は、 モノフィラメントを構成する素材に応じた方 法が採用されるが、 例えば、 ポリエチレンテレフタレートのモノフィラメ ン 卜の場合には、 アルカリ溶液を用いてモノフィラメントの表 面を溶出させ、 減量加工を行う方法が挙げられる。 減量加工に用いるアルカリ溶液は、 好ま しくは、 水酸化ナトリウム、 水酸化カリウム等の水溶液が好ましい。 糸の状 態で減量する方法としては、 通常の糸染設備を利用し、 アルカリ溶液で減量 加工する方法で実施可能である。 具体的には、 チーズの形状で処理するチー \¥02020/175646 9 卩(:171?2020/008153

ズ染色機、 又はカセ形状で処理するカセ染色機、 マフ染色機、 スター染色機 を用いることができる。 減量の均一性、 糸の解舒性から、 チーズ染色機を用 いることが特に好ましい。

[0051 ] また、 減量の処方は一般的な減量加工の条件で十分 であるが、 モノフィラ メントの場合、 重量に対して表面積が非常に小さい為、 減量速度が遅く減量 促進剤を使用することが好ましい。 減量率は、 通常減量加工前と比較し、 重 量比 3 %以上 9 8 %以下である。 減量加工によりモノフィラメントに含まれ る粒子を脱落させてクレーターを多数形成し 、 光を乱反射させることで光沢 感を低減することが可能であるが、 過剰に減量すると引張強度、 伸度が低下 し、 紐の製造時に糸切れが起こる可能性がある。 光沢感を低減しつつ、 弓 I張 強度と伸度の低減を最低限に抑える減量率と しては重量比 3〜 3 0 %が望ま しく、 5〜 3 0 %がより望ましく、 重量比 1 0〜 3 0 %が特に望ましい。

[0052] 上記方法により、 上記 (1) 〜 (3) を満たすモノフィラメント を製造 することができる。

[0053] (モノフィラメント巳の周囲を加工糸で被覆 したカバリングヤーン) 本発明の紐には、 モノフィラメント巳の周囲を加工糸で被覆し た特定の力 バリングヤーンを用いることによっても “ギラツキ” を改善した紐が得られ る。

[0054] 上記カバリングヤーンは、 前記 (1) を満たすモノフィラメント巳の周囲 を加工糸で被覆し、 下記 (4) 〜 (5) を満たすカバリングヤーンである。

(4) 加工糸の繊度は 5 0 ¢1 I 6 X以上である。

(5) カバリングヤーンの最小反射強度に対する最 大反射強度の比 (最大反 射強度/最小反射強度) が 2 . 8以下

上記モノフィラメント巳は曲げ剛性と形態安 定性が求められるため、 合成 繊維モノフィラメントが好ましく、 ポリエステル系繊維やポリプロピレン繊 維、 ポリエチレン繊維等のオレフィン系繊維、 ポリアミ ド繊維等のモノフィ ラメントがより望ましい。 繊度は

であり、 2 0 0〜 1 0 0 0 I 6 Xであることが好ましく、 3 0 0〜 7 0 0 \¥02020/175646 10 卩(:171?2020/008153

〇1 I 6 Xであることがさらに好ましい。

[0055] 本発明で用いるモノフィラメント巳は、 曲げ剛性の巳値が〇. 002 (

- 〇 ^ 2 / y a 「 11) 以上であることが好ましい。 これにより帽子の保形性に 優れる。 巳値が 0. 002 (1\1 〇 ^ 2 / y a 「 1^) 未満の場合では製紐の 剛性が低くなり、 帽子等の形状にした際、 ハリコシ感が足りず、 形態安定性 に乏しいものとなる。 また、 曲げ剛性巳値が 0. 01 (N cm 2 / y a r n ) を超えるとモノフィラメントの繊度が大きく なり、 製紐の外観品位を著し く低下させる傾向にある。 更に好ましくは曲げ剛性の巳値が〇. 004〜〇

. 006 のモノフィラメントである。

[0056] また、 本発明で用いる合成繊維フィラメント巳は、 曲げヒステリシス 21 ~ 1 巳値が〇. 003 (1\1 〇 3 r n) 以下であることが好ましい。 下限 としては、 〇. 0005 以上の範囲の特性を保有す ることが好ましく、 〇. 001 以上であることが燃 り好ましい。 特に曲げヒステリシス 21 ~ 1巳値が〇. 001〜〇. 003 (

- 〇 ^/)/ ^ 「 11) であるときに製紐の剛性に優れ、 帽子等の形状にした際 、 ハリコシ感に優れ、 形態安定性に優れる点で好ましい。

[0057] 加工糸は繊維の形態がストレートであるよう な延伸糸ではなく、 加工糸に 限る。 延伸糸を使用すると繊維の形態がストレート である為、 製紐を製造し た際にギラツキが強く製紐の表面品位が低下 する。 加工糸の場合は繊維形態 が部分的に異なる為、 ギラツキを低減することができる。

[0058] なお、 加工糸の糸形態としては、 通常マルチフィラメントが用いられる。

[0059] 加工糸としては、 モノフィラメント巳を十分に被覆するため、 光沢感を低 減するために、 仮撚り加工を施した糸が好ましい。

[0060] 加工糸の素材としては、 ポリエステル、 ポリプロピレン、 ナイロン等が挙 げられるが、 多色展開と発色性に優れることから染色が容 易なポリエステル やナイロンが好ましい。

[0061] ポリプロピレンの場合、 通常の方法で染色が困難で、 汎用性に欠ける課題 があり、 ナイロンの場合は耐光性、 曲げ剛性の点で制約がある。 ポリエステ \¥02020/175646 11 卩(:171?2020/008153

ルは、 染色性に優れ、 適度な曲げ剛性を有する点で好ましい。

[0062] 紐のスパン調の風合いを付与し得る面、 剛性の面から加工糸の繊度として は 5 0 1 6 X以上であるが、 が好ましい 。 特に 1 0 0〇1 6父~ 1 0 0 0〇1 ㊀父、 さらには 1 0 0〇1 6父~ 6 0 0〇1 I ㊀ Xがよりいっそうギラツキを低減する上や、 カバリングの生産性の 点で好ましい。 さらにモノフィラメント巳の被覆率を向上さ せつつ、 軽量感 を保ち、 高次加工性にも優れる。 また、 モノフィラメント巳に繊度の細い加 エ糸を用いてカバリングすることで、 光が乱反射して “ギラツキ” を抑制す ることができる。

[0063] モノフィラメント巳に加工糸を被覆する方法 としては本発明で規定する条 件を満たす限り制限はないが、 ダブルカバーもしくはシングルカバーを行う ことが好ましく、 これによりギラツキを低減し得るが、 なかでもダブルカバ リングであることが好ましい。

[0064] カバリングヤーンの卷数としては 3 0 0〜 3 0 0 0丁/ が好ましい。 ま た、 モノフィラメント巳の被覆率を向上させつつ 、 軽量感を保ち、 高次加工 性の兼ね合いから加工糸の巻数は 3 0 0丁/ 〜 2 0 0 0丁/ が好ましい

[0065] 加工糸のマルチフィラメントを使用すること で紐のギラツキを低減し、 品 位向上を達成することができる。

[0066] カバリングヤーンの最小反射強度に対する最 大反射強度の比 (最大反射強 度/最小反射強度) は 2 . 8以下である。 また、 2 . 5以下であることが紐 のギラツキの少なさの点から好ましい。

[0067] このようなカバリングヤーンは、 カバリング機を用い、 仮撚り加工糸等の加 エ糸をモノフィラメントに被覆する方法によ り得ることができる。

[0068] そして上記カバリングヤーンは、 モノフィラメント巳に加工糸をカバリン グすることにより、 ギラツキが低減されることから、 光沢度が受光角 0 ° の 時、 反射強度を 2 0以下という好ましい範囲とすることができ より好まし い態様においては 1 8以下というより好ましい範囲を達成するこ も可能で \¥02020/175646 12 卩(:171?2020/008153

ある。

[0069] さらに上記カバリングヤーンは、 ギラツキが低減されることから受光角 0 〜 8 0 ° の最大反射強度を 5 0以下という好ましい範囲とすることができ より好ましい態様においては 4 0以下というより好ましい範囲、 3 5以下と いう特に好ましい範囲を達成することも可能 である。

[0070] 上記のような合成繊維モノフィラメント および/またはカバリングヤー ンを用いることで、 紐としたときにギラツキを低減することが可 能となる。 以下このような合成繊維モノフィラメント八 、 カバリングヤーンを特殊モノ フィラメントと称することがある。

[0071 ] (紐)

本発明の紐は、 上記特殊モノフィラメントを用いて製紐する ことにより、 得ることができる。

[0072] 製紐する際の紐の組織については、 特に制限はなく、 平打ちに組んだ構成 が一般的であるが、 渦巻き状に縫い合わせることにより帽子を形 成可能なテ —プ状であれば特定されない。

[0073] 平打ちとする場合には、 一般的な平打ちの製紐機を使用し、 製造すること が可能である。

[0074] 製紐は、 上記特殊モノフィラメントを含む 1本以上の繊維を組んで紐とす ることが可能であり、 なかでも芯となる芯糸 (例えば 4本) に対し、 組糸 ( 例えば 6〜 1 6本) が組まれた組紐とするのが好ましい。

[0075] 本発明において上記特殊モノフィラメントは 、 ギラツキの抑制効果を十分 活かし得る点で、 組糸に用いることが好ましい。

[0076] その際には、 特殊モノフィラメントとともにマルチフィラ メントを組み合 わせて用いることが好ましい。 組み合わせの態様としては、 特殊モノフィラ メントとマルチフィラメントを予め合糸して 組糸として用いる態様、 それぞ れ別の組糸として用いる態様のいずれも構わ ないが、 特殊モノフィラメント とマルチフィラメントが隣接した状態で組ま れている態様が好ましく、 紐の 生産性、 糸の解舒性の点から特殊モノフィラメントと マルチフィラメントを \¥02020/175646 13 卩(:171?2020/008153

予め合糸して組糸として用いる態様が好ま しい。 特に合成繊維モノフィラメ ント八とマルチフィラメントを予め合糸して 組糸として用いることが紐の生 産性の点から好ましい。

[0077] このようなマルチフィラメントとしては、 加工糸のポリエステルマルチフ ィラメント、 ポリアミ ドマルチフィラメントが好ましく挙げられる が、 曲げ 剛性と耐光性の点からポリエステルマルチフ ィラメントが特に好ましい。

[0078] 加工糸のマルチフィラメントは繊維の形態が ストレートであるような延伸 糸ではなく、 加工糸を用いることが好ましい。 延伸糸を使用すると繊維の形 態がストレートである為、 紐を製造した際にギラツキが強く製紐の表面 品位 が低下する傾向にある。 加工糸の場合は繊維形態が部分的に異なる為 、 ギラ ツキを低減することができる。 加工糸としては、 仮撚り加工糸、 部分融着糸 、 タスラン加工糸、 茔糸等が望ましく、 なかでも糸の長手方向に染着の濃淡 差 (以下染着差と称する場合もある) を有することにより、 紐に天然繊維の ような風合いを付与することができる糸が好 ましい。 このような長手方向に 染着差を有する糸として部分融着糸が好まし い。 これらは染色することによ り、 紐とした場合によりいっそうギラツキを低減 したり、 染着の濃淡差によ る自然な風合いを付与することができる。

[0079] なかでもマルチフィラメントを紡糸した後に 、 部分的に融着させる部分融 着加工を施し、 チーズ染色機を用いて染色を行う方法が好ま しい。 これによ りシャリ感や染着の濃淡差を出すことができ るので、 結果として天然繊維の ような繊度差や色差を得ることができる。

[0080] このような染着差のあるマルチフィラメント は、 延伸条件を制御する、 具 体的には延伸時に相対的に延伸倍率の小さい 弱延伸部と相対的に延伸倍率の 高い強延伸部を形成することにより製造する ことができる。 上記弱延伸部の 溶融点は強延伸部に比較して低くなるため、 延伸後の熱セッ トエ程での加熱 により弱延伸部分で融着し、 部分融着した部分融着糸となる。 このような部 分融着糸とすることで、 染着差を発現させることができる。 部分的に染料着 差を有することで色の濃淡差を生み、 麦わらや麻等の天然繊維のような外観 \¥02020/175646 14 卩(:171?2020/008153

が得られる点で好ましい。 ここでいう染着差とは、 染料着差、 すなわち、 繊 維に対する染料の着きやすさに差があること をいう。 この効果はポリエチレ ンテレフタレート等のポリエステルマルチフ ィラメントを用いる場合に特に 顕著である。

[0081 ] ポリエステルフィラメントを紡糸した後に、 部分的に融着させ、 更に仮撚 り加工することにより、 シャリ感や染着の濃淡差を出すことで天然繊 維のよ うな繊度差や色差を得ることができる。 具体的には部分的に融着加エを施し 、 チーズ染色機を用いて染色を行うことにより 得られる。 なお、 部分融着の 技術は、 製造に用いる装置の機種、 工程および条件等も特別に選定したもの でなくてよいが、 融着部が 当たり 5箇所以上存在することが望ましい。 5 個未満の場合、 染着差が小さく、 硬さの変化が小さいため、 単調な風合いと なる。 その反対に融着部を多くすると融着部の硬さ が目立ち、 風合い、 肌ざ わりが悪く、 粗硬感が強くなる。

[0082] 本発明においては、 通常のポリエステルマルチフィラメントの高 配向未延 伸糸条を用い、 部分融着の糸加工を行い、 チーズ染色機で染色と抗菌加工や II Vカッ ト加工を施した加工糸を用いることが特に好 ましい。

[0083] 本発明の紐においては、 製紐時、 紐を構成する糸が滑脱しないよう、 特に 組紐においては、 芯糸に対し、 組糸が滑脱しないようにするため、 紡績糸を 併用することが好ましい。

[0084] 上記紡績糸はポリエステル繊維やポリアミ ド繊維、 アクリル繊維、 綿、 ウ —ルといった染色可能な繊維で構成されるこ とが好ましい。 これらは 1種又 は 2種以上で用いることができる。 ポリプロピレン繊維といった染色できな い原糸の場合、 汎用性に乏しくカラー展開がしにくい。 原着によって色を付 与することはできるので使用は可能であるし 、 他の繊維と混紡することも可 能であるが、 色の微調整が難しく、 ロッ トも大きくなるため原糸の使用量が 少ない製紐には向いていない。 なかでもポリエステル繊維やポリアミ ド繊維 を用いることが好ましい。

[0085] したがって、 上記紡績糸としては、 ポリエステルスパン糸、 ポリアミ ドス \¥02020/175646 15 卩(:171?2020/008153

パン糸が好ましく、 なかでもポリエステルスパン糸は曲げ剛性が 強く、 紐の 幅を出すこと、 紐の剛性を高めてくれるため、 特に好ましい。 また、 融着ポ リエステルもしくは融着ナイロン原綿を入れ たスパン糸を使用し、 融着する ことでさらに紐の剛性を高めることも可能で ある。

[0086] 上記紡績糸は、 紐の構成糸として用いられるが、 組紐においては、 組糸に も芯糸にも好ましく用いられる。 特に芯糸として使用するのが好ましい。 必 要であれば紡績糸を組糸として使用すること ももちろん可能である。

[0087] 紡績糸の繊度としては縫製、 帽子での形態安定性の為綿番手で 5〇番以下 、 なかでも 4〜 5〇番が好ましい。 特に芯糸に用いる場合には、 2〇番以下 が好ましく、 4番以上 20番以下が特に好ましい。

[0088] また、 曲げ剛性の巳値が小さすぎると紐の巾不同が 発生しやすく、 帽子に 縫製する際の安定性も損なわれるため、 紐の曲げ剛性の巳値が 0. 002 ( 以上が望ましい。

[0089] また、 収納性、 家庭洗濯を行うことを考慮すると適度なしな やかさは必要 であり、 組紐の曲げ剛性の巳値は〇. 025 (N c m 2 /y a r n) 以下で あることが好ましく、 〇. 01 9 (N c m 2 /y a r n) 以下であることが 好ましい。

[0090] バッグなどに収納後、 素早い形状回復が求められるため、 組紐の曲げヒス テリシス 21 ~ 1巳値が 0. 01 (1\1 〇 /ソ 3 「 n) 以下であることが好ま しい。 下限としては、 〇. 0005 以上であること が好ましく、 より好ましくは〇. 001 (N c m/y a r n) 以上であり 、 さらに好ましくは〇. 003 以上である。

[0091] 上記紡績糸は一般的な紡績工程を経て、 チーズ染色機を用いて分散染料等 紡績糸の素材に適した染料にて染色すること ができる。 さらに抗菌加工やリ Vカッ ト加工、 撥水加工等の各種加工を施したものも好まし く用いることが できる。

[0092] 以下に上記紡績糸の製造方法を記す。

[0093] 一般的なリング紡績機を用いて紡績を実施し 、 撚り止めセッ トを施すこと \¥02020/175646 16 卩(:171?2020/008153

が好ましい。

[0094] 紡績糸は紐にする際、 曲げ剛性と引張強度の高さが求められ、 軽量感を有 する物が好ましい。

[0095] 紡績糸の曲げ剛性、 曲げ回復性を向上させる為、 双糸もしくは三子糸が望 ましい。 また、 製紐にした際の軽量感と染色性も重要な為、 中空型のポリエ ステルが望ましい。

[0096] 本発明の紐は、 通常の製紐機を用い製紐することができる。 なかでも一般 的な平打ちの製紐機を使用して製紐した紐は 、 7本組や 9本組であるので好 ましい。

[0097] 本発明においては、 組紐の曲げ剛性によって紐の巾が変化する為 、 芯糸は

2本以上挿入することが好ましい。 また、 用途を麦わら帽子とする場合、 縫 製のしやすさが麦わら帽子の表面品位に影響 する為、 製紐巾と組み糸本数を 適切に選択することが好ましい。

[0098] 以上、 組み糸本数は 5本以上 1 6本以下が好ましい。

[0099] これまでに提案されている合成繊維を使用し た製紐は、 曲げ剛性の強いモ ノフィラメントを使用する為に光沢感に課題 があり、 モノフィラメントを使 用しない場合は製紐の曲げ剛性が足りず、 帽子としての品位に問題があるの は前述したとおりである。

[0100] 本発明においては紐中の合成繊維モノフィラ メント および/または前記 モノフィラメント巳の含有率は 3〜 6 0重量%であることが好ましい。

[0101 ] 本発明の求める効果としては、 減量加工を行うことで合成繊維モノフィラ メント八の表面に微細な凹凸を作る、 あるいはふくらみ感のある加工糸でモ ノフィラメント巳をカバリングすることでモ ノフィラメントの表面光沢を抑 制し、 合成繊維特有のギラツキが少なく、 紐の外観品位を向上させることが できる。 太くて光沢感の無い特殊モノフィラメントを 用いることで紐の剛性 を保つことができ、 ハリコシ感を得られるのである。

[0102] また、 上記に加えてモノフィラメントとともに、 加工糸としてポリエステ ルマルチフィラメントの加工糸を用いて、 部分的に融着させる場合、 加工糸 \¥02020/175646 17 卩(:171?2020/008153

の繊維表面が部分的に融着する結果、 未融着部と融着部の染着差により色の 濃淡差が発生するので、 製紐した場合、 紐に不均一な加工糸のタッチ感や色 相を与え、 スパン調の風合いが得られるので好ましい。

[0103] かく して得られる本発明の紐は、 モノフィラメントを用いながらも、 通常 のモノフィラメントが有する光沢感を低減し 、 加工糸の風合い、 外観品位を 持ちながらハリコシがあり、 家庭洗濯や収納性、 軽量感に優れる紐となり、 従来から大きな欠点とされる “ギラツキ” をなく し、 “ギラツキ” 、 “テカ リ” のない表面品位を確立し、 合繊の光沢感の無い加工糸の紐を得ることが できる。

[0104] なお、 上記合成繊維モノフィラメント八、 モノフィラメント巳、 加工糸を 製造するにあたって、 紡糸工程での紡糸口金を異形断面にして断面 形態を変 化させる (雲型、 中空、 八葉など各種) ことや原糸で減量加工することによ り微細な凹凸を作ることができる粒子 (酸化チタンやコロイダルシリカ等の シリカが好ましい) を含有することにより糸条の光沢が一層低減 することが でき、 本発明に更に大きな効果を与えてくれるので 好ましい。

[0105] 本発明の紐は上記の特性を有することから、 帽子に極めて適しているが、 これに限らず、 バッグや籠、 家具、 シートにも好適に用いることができる。

[0106] 特に紐を用いた帽子では麦わらや麻のような ハリコシがあり、 洗濯耐久性 をも有するので、 麦わら帽子等の天然繊維からなる帽子よりも 実用性を有す る。

実施例

[0107] 以下に実施例に基づいて本発明を詳細に説明 するが、 本発明は必ずしもこ れらに限定されるものではない。

[0108] (評価方法)

本発明によって作成したモノフィラメントは 以下の方法によって分析を行 った。

[0109] 光沢度、 反射強度:

光沢度、 反射強度は三次元変角光度計 2 0 0 (村上色彩技術研究所 \¥02020/175646 18 卩(:171?2020/008153

(製) ) を用いて測定した。

[0110] 上記光沢計を用い、 入射角を 60° とし、 標準白板のフルスケールを 20

0とした時、 受光角を変化させ、 受光角 0 ° の時の反射強度、 受光角〇〜 8 0 ° の間における最大反射強度、 受光角〇〜 80 ° の間における最小反射強 度、 最小反射強度に対する最大反射強度の比を求 めた。 反射強度は値が小さ いものほど、 キラツキがなく、 良好と評価した。

[0111] 曲げ剛性、 曲げヒステリシス:

本発明における曲げ剛性は、 評価機器として 純曲げ試験機 (力卜ーテック (株) 製) を使用し、 測定した。 1 の間に等間隔にモノ フィラメントを 4本並べ測定した。 曲げたときの曲げ剛性巳値と曲げヒステ リシス 21 ~ 1巳値を測定した。

[0112] 巳値はこの値が大きいほど、 剛性が高く、 コシがある。 また、 モノフィラ メントを曲げたときの曲げヒステリシス 21 ~ 1巳値を測定する。 この値が小さ いほど、 歪みがなく、 腰のある反発性の高いモノフィラメントであ る。

[0113] 繊度

モノフィラメントの繊度は!- 1 01 3 : 201 0 8. 3. 1 八法に 従い測定した。

[0114] 加工糸の繊度は!- 1 01 3 : 201 0 8. 3. 1 巳法に従い測定し た。

[0115] 糸径

匕 モノフィラメントの糸径は、 オリンパス株式会社製光学顕微鏡巳 1 ~ 12を 使用した。 モノフィラメント側面の顕微鏡観察から直径 を求め、 1水準につ き 1 〇回測定し、 その算術平均値により測定した。

[0116] 本発明によって作成した紐は以下の方法によ って分析を行った。

[0117] 曲げ剛性:

本発明における曲げ剛性は、 評価機器として 純曲げ試験機 (力卜ーテック (株) 製) を使用し、 測定した。 紐を 1本セッ トし、 測定し た。 曲げたときの曲げ剛性巳値と曲げヒステリシ ス曲げヒステリシス 2 !!巳 \¥02020/175646 19 卩(:171?2020/008153

値を測定した。

[01 18] 巳値はこの値が大きいほど、 剛性が高く、 コシがある。 また、 紐を曲げた ときの曲げヒステリシス曲げヒステリシス 2 1 ~ 1巳値を測定する。 この値が小 さいほど、 歪みがなく、 腰のある反発性の高い紐である。

[01 19] 紐中の特殊モノフィラメント含有率の評価:

製造した紐を 1 にカツ トし、 モノフィラメント、 加工糸、 スパン糸に分解 し、 それぞれ質量を測定した。 測定は、 5回行い、 その平均値を有効数字 3 桁まで求め、 含有率とした。

[0120] 帽子の評価:

帽子は以下の方法によって分析を行った。

5人の官能評価により、 帽子のハリコシ感、 光沢感の少なさを評価した。 評 価は下記を基準にして、 5レベルで評価した。 なお、 最も多い評価を採用し 、 評価が同数の場合には評価結果が低い方を採 用した。

帽子のハリコシ感:

5手で掴むとコシがある感触でつぶれない。

4手で掴むとコシがある感触でほとんどつぶ ない。

3手で掴むとコシがある感触で若干に潰れる

2手で掴むとへなっとした感触でやや簡単に れる。

1手で掴むとへなっとした感触で簡単に潰れ 。

帽子光沢の少なさ :

5自然光の下できらきら光らない。

4自然光の下で若干きらきら光って見える。

3自然光の下で部分的きらきら光って見える

2自然光の下できらきら光って見える。

1 自然光の下で強くきらきら光って見える。

[0121 ] 実施例 1

酸化チタン〇. 3重量%と乾式シリカ 1 . 5重量%が含まれている減量前 糸径 2 0 0 のポリエステル ( 巳丁) モノフィラメント (長軸方向に対 \¥02020/175646 20 卩(:171?2020/008153

して直角方向の断面の断面形状:丸断面) を使用した。

[0122] チーズ染色機を用い、 ポリエステルモノフィラメントのチーズを水 酸化ナ トリウム 3 0 %〇. . 干環境下で 1 2 0 °〇、 3 0分浸潰して減量加工を施 し、 加工前に対する重量%比で 1 5 %減量を行い、 表面に微細な凹凸を形成 した (1 5 %減量後の合成繊維モノフィラメント の繊度 =約 3 8 6 ¢1 I 6 X) 。 モノフィラメントの反射強度、 曲げ剛性、 曲げヒステリシスを測定し た。 測定結果を表 1 に示す。 また、 モノフィラメントの表面状態を走査型電 子顕微鏡 (3巳1\/〇 で観察し、 図 1 に示した。 図 1は、 実施例 1で用いた合 成繊維モノフィラメント の表面状態を示す、 図面代用写真である。 合成繊 維モノフィラメント八 1であるポリエステルモノフィラメントの表 に微細 な凹凸が形成されている。

[0123] 上記方法で製造したモノフィラメントとポリ エステルマルチフィラメント の加工糸 (総繊度 7 0 0丁) を引きそろえ、 平打ちの 9本組の組糸とした。 なお、 ポリエステル加工糸としては、 部分融着糸を用いた。 芯糸 4本はポリ エステルスパン糸 1 0 / 2 3を使用し、 製紐して 8 幅の平打ちの紐を作 成した。

[0124] 紐を本縫いミシンで渦巻状に縫製し、 金型で 1 8 0 °〇の熱セツ トを行い、 帽子を作成した。 得られた帽子は、 ポリエステルマルチフィラメントが部分 融着しており、 その頻度は 5 0個/ であった。

[0125] 実施例 2

酸化チタン〇. 5重量%のみ含まれた糸径 2 0〇 のポリエスエル ( º7) モノフィラメントを芯にし、 ポリエステル ( 巳丁) 仮撚り加工糸 1 6 6 6父を用いて、 8 0 0丁/ でダブルカバリングを行った。 その他は 実施例 1と同様の製造方法により、 幅の平打ちの紐、 帽子を得た。

[0126] 実施例 3

酸化チタン〇. 3重量%、 乾式シリカ 1 . 5重量%が含まれた糸径 3 0 0 のポリエスエル ( 巳丁) モノフィラメントを使用した以外は実施例 1 と同様の製造方法により、 幅の平打ちの紐、 帽子を得た。 [0127] 実施例 4

酸化チタン 0. 5重量%のみ含まれた糸径 1 50 Mmのポリエスエル (P ET) モノフィラメントを芯にし、 ポリエステル (P ET) 仮撚り加工糸 1 66 d t e xを用いて、 800 T/mでダブルカバリングを行った。 その他は 実施例 1と同様の製造方法により、 8 mm幅の平打ちの紐、 帽子を得た。

[0128] 比較例 1

酸化チタン 0. 5重量%のみ含まれた糸径 200 Mmのポリエステル (P ET) モノフィラメントを使用し、 減量加工は実施しなかった以外は実施例 1 と同様の製造方法により、 8mm幅の平打ちの紐、 帽子を得た。

[0129] 比較例 2

酸化チタン 3重量%のみ含まれた糸径 200 M mのポリエステル (P ET ) モノフィラメントを使用し、 減量加工は実施しなかった以外は実施例 1 と 同様の製造方法により、 8 mm幅の平打ちの紐、 帽子を得た。

[0130] 比較例 3

酸化チタン 0. 3重量%、 乾式シリカ 1. 5重量%が含まれた糸径 1 00 Mmのポリエステル (P ET) モノフィラメントを使用した以外は実施例 1 と同様の製造方法により、 8 mm幅の平打ちの紐、 帽子を得た。

[0131] 比較例 4

酸化チタン 3重量%のみ含まれた糸径 680 Mmのポリエスエル (P ET ) モノフィラメントを使用した以外は実施例 1 と同様の製造方法により、 8 mm幅の平打ちの紐、 帽子を得た。

[0132] 比較例 5

酸化チタン 0. 3重量%のみが含まれた糸径 200 のポリエスエル ( P ET) モノフィラメントを使用し、 33 d t e xのポリエスエル (P ET ) 仮撚り加工糸を 800 T/mでダブルカバリングを行った。 その他は実施 例 1 と同様の製造方法により、 8mm幅の平打ちの紐、 帽子を得た。

[0133] 〔谢-

103 —4 1 \¥0 2020/175646 23 2020 /008153

[表 2]

術 2

[0135] 表 1は上記方法によって得られたモノフィラメ ト、 カバリングヤーンの 対比である。 \¥02020/175646 24 卩(:171?2020/008153

[0136] 表 1 に示すように本発明のギラツキの少ないポリ エステルモノフィラメン 卜を用いた実施例 1 と、 従来法によって得られたポリエステルモノフ ィラメ ントを用いた比較例 1、 2とでは最大反射強度と最小反射強度、 0 ° での反 射強度で大きな差がみられた。 上述したように、 反射強度が低いほど光沢感 が弱く、 最大光沢度と最小光沢度の差が小さい程ぎら つきにくいことを示す

[0137] その為、 実施例 1は比較例 1 , 2と同等の曲げ剛性、 曲げヒステリシスを 持ちながら光沢度が弱く、 ギラツキにくいモノフィラメントであるとい える

[0138] 実施例 1は、 比較例 3と比較すると光沢度は同等であるが、 曲げ剛性が高 く、 それから得られる紐は保形性と収容性に優れ る紐といえる。

[0139] 実施例 1、 3は比較例 4と比べ、 ギラツキが少なく、 外観品位に優れる。

また、 適切な曲げ剛性である為、 それから得られる紐は比較例 4に比べ収容 性に優れる紐といえる。

[0140] また、 実施例 2は比較例 5と同等の曲げ剛性を持ちながら、 モノフィラメ ントに対する仮撚り加工糸の被覆率が高いた め、 比較例 5より光沢感が低く 、 外観品位に優れた紐を得ることができる。 また、 仮撚り加工糸の繊度が 1 6 6 1 6父あることから比較例 5に比べ、 ダブルカバリングの生産性が高い

[0141 ] 表 2に示すように本発明のギラツキの少ない紐 実施例 1〜 4と、 従来法 によって得られた紐の比較例 1〜 5で比較を実施した。 曲げ剛性について、 実施例 1は比較例 1 , 2と同等の曲げ剛性、 曲げヒステリシスを持つが、 光 沢の少なさが際立って優れている。

[0142] 実施例 1の紐は、 比較例 3の紐と比較すると曲げ剛性と曲げヒステリ ス 値が高く、 保形性と収容性に優れる紐といえる。

符号の説明

[0143] 1 合成繊維モノフィラメント